ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

<   2017年 02月 ( 7 )   > この月の画像一覧


2017年 02月 15日

「モノ」から「コト」消費へ移行というのはデータからみれば、俗説じゃないかしら

日本のインバウンド市場に関する話題で、ずっと違和感をおぼえていたことがあります。

それは、外国人観光客の消費が「モノからコトへ」移ったという話です。これ、メディアもそうですが、皆さんけっこうよく口にしています。たとえば、「最近の外国人はもうモノを買うより温泉に入るなど、コト消費に変わった」とかなんとか。

本当にそうなんでしょうか。そもそも温泉に行くのが「コト」消費? そうではないですよね。

観光庁が四半期ごとに発表する「訪日外国人消費動向調査」の中に「訪日外国人旅行消費額の費目別構成比」というデータがあります。外国客が日本滞在中に消費した額を「宿泊」「飲食」「交通」「娯楽サービス」「買い物」「その他」に分類し、構成比を集計したものです。この分類によると、温泉は「宿泊」に分類されるはずです。

b0235153_160876.jpg
観光庁が今年1月中旬に公表した2016年の「訪日外国人消費動向調査」によると、「訪日外国人全体の旅行消費額(速報)は3兆7476億円と推計され、前年(3兆4771億円)に比べ7.8%増加」したそうです。

b0235153_160252.jpg
一方、「1人当たり旅行支出(速報)は15万5896円と推計され、前年(17万6167円)に比べ11.5%減少」しました。「国籍・地域別にみると、オーストラリアが最も高く(24万7千円)、ついで中国(23万2千円)、スペイン(22万4千円)の順で高い。中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅となった」といいます。

b0235153_1603938.jpg
それでも、国籍・地域別の総額でみると、「中国が1兆4754億円(構成比39.4%)と最も大きい。次いで台湾5245億円(同14.0%)、韓国3578億円(同9.5%)、香港2947億円(同7.9%)、米国2130億円(同5.7%)の順となっており、これら上位5カ国で全体の76.5%を占めた」とあります。

b0235153_1605487.jpg
さて、「訪日外国人旅行消費額の費目別構成比」についてですが、「買い物代(38.1%)が最大となったが、前年(41.8%)に比べて減少した。一方、宿泊料金(27.1%)、飲食費(20.2%)及び交通費(11.4%)が前年に比べ増加した」とあります。

これだけみれば「モノからコトへ」という話につながりそうにも思えますが、依然として最大の構成比は「買い物代(38.1%)」で、宿泊費よりも多いというのもそうですし、一般にアクティビティ消費ともいわれる「娯楽・サービス費」は全体のわずか3.0%。これは外国客が訪日後、参加するバスツアーや体験ツアー、テーマパークなどの、いわゆる「コト」消費を指すのですが、あまりにささやかすぎないでしょうか。実は、2016年10~12月期のデータでは、「娯楽・サービス費」の比率は2.7%に下がっているくらいです。

データをみる限り、外国人観光客の消費が「モノからコトへ」移ったというのは俗説にすぎない気がしてきます。

それにしても、「モノからコトへ」だなんて、誰が言い出したのでしょうか。そして、ここでいう「外国人観光客」とは誰のことを指しているのでしょうか。

欧米客についていえば、彼らは以前から「モノ」より「コト」消費でした。つまり、巷でいうこの俗説と彼らは関係ありません。昨年1人当たりの旅行支出トップとなったオーストラリア人は日本でスキーを楽しんでいることが知られていますが、これこそ「コト」消費の代表例でしょう。

では、アジア客はどうか。旅行関係者に聞くかぎり、「アジア客の関心のメインはいまでも買い物にある」という声が聞こえてきます。もともと彼らは中国客のような「転売」まがいの買い方はしておらず、いまでもお菓子やらドラッグストア商品などをあれこれ買い込んでいます。

じゃあやっぱり、「モノからコトへ」移ったというのは「爆買い」で鳴らした中国客のことでしょうか。

確かに、彼らはもろもろのお国の事情もあって、昨年「爆買い」は終息しています。

中国客の「爆買い」が“強制終了”した3つの理由
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/101800023/
「爆買い」終了で、訪日プロモーションの目的や中身を変える必要あり
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/102500024/

お国事情の最たるものは、2016年4月に中国の税関が海外旅行者に対する荷物開封検査を開始し、関税を取り立てるようになったことです。せっかく海外で安く購入しても、帰国時に高率の関税をかけられてしまうのでは、「爆買い」する意味はなくなるからです。

つまり、中国客の場合も、消費が「モノからコトへ」移ったというよりも、政府によって買い物額に上限を課せられた以上、たくさん買い物しても仕方がないから、買い物額が減ったというのが実情なのです。先ほどの観光庁の調査で「中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅となった」というのは、そういうことです。

では、中国客は本当に買い物する意欲を失ったというのでしょうか。そうでもないようです。昨年11月に訪日した中国の友人はこう話しています。「日本に行くとなったら、友人知人にあれを買ってきて、これを買ってきてと頼まれて困る。いま中国の税関では、1人8万円(=5000人民元)までは関税を取らないので、それ以上買わなければならないときは、郵便局から送っているんです」。

いやはや、ご苦労さまです。彼の泊まるホテルの客室を訪ねると、巨大なスーツケースが2つあり、持ち帰る分と郵便局で送る分の仕分けで大変そうでした。こういうのが、いまでもよく見かける中国客の姿です。べつにご本人が買い物したくなくても、買って帰らなければならない事情があるのです。だったら、いっそできる限りたくさん買って帰って転売することで小遣い稼ぎをしてしまおう。そう考えるのが中国の人たちです。そういう自分以外のために大量購入したのが「爆買い」の正体だったのであり、政府の税関検査でそれが急にできなくなったという話です。

もちろん、リピーターが増えている上海人のように「何度も日本に来るから、もうまとめ買いは必要ない」などと、うそぶいている中国客も最近は増えています。彼らはお土産をいっぱい買って帰る中国の地方出身の団体客をどこか小バカにしているところもあります。

今後は中国客の「コト」消費実況レポートが出てくるのでしょうか? ある人が言うには「エステとか、ネイルサロンとか」だそうですが、その種のものはすでに中国にも普通にあります。それでも、医療検診のために日本を訪れる中国客はそこそこ増えているようです。「コト」消費が起こるためには、日本でしかできない体験でなければならないのです。

そのようなわけで、彼らが我々日本人の期待するような「コト」消費を始めているかというと、大いに疑問です。にもかかわらず、なぜこのような俗説が広まったのでしょうか。

ネットをみると、これからはグルメだ「自然体験」が注目だと、なんでもかんでも「コト」消費に結びつけようとしていますけど(まあ、そんなに厳密に区別するような話じゃないからいいんですけど)、それらも「爆買い」は終わったけど、次は「コト」消費があると、世間のインバウンドに対する関心をこのままキープさせたいと願う関係者が発信源? それとも、これはかなりうがっていますが、自国民の「爆買い」を苦々しく思っていた中国政府の意向を忖度した誰かの……???

ともあれ、もっと「コト」消費を盛り上げていかなければならないことは確かでしょう。海外旅行は国籍を問わず、そこでどんな体験をしたかで訪れた国の印象は決まるものだからです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-15 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(1)
2017年 02月 10日

中国客の『君の名は。』聖地巡礼が起きたのも、岐阜県の地道な取り組みが実を結んだ結果

先日、ネットに岐阜県が舞台の『君の名は。』聖地巡礼の話が出ていました。実は、そろそろこの話が出てくる頃だろうと友人と話していました。

ここは岐阜県飛騨市、JR高山本線の飛騨古川駅だ。昨年8月に公開されて大ヒットを記録した映画『君の名は。』のヒロイン・三葉が住む山里のモチーフのひとつになったことで、「聖地巡礼」(アニメの舞台となった土地をファンが実際に訪ねる旅行)の観光客が増加している。

作中で主人公が利用した図書館のモチーフになった飛騨市図書館も「巡礼地」のひとつだ。飛騨市によると、『君の名は。』展示がおこなわれている同図書館内で写真撮影を申請した人数は、昨年8月26日から12月31日までの約4ヶ月間で3万6200人に達した。

そのなかに少なからず含まれているのが、台湾・香港・中国など東アジア各国からのファンである。特に昨年12月に中国で作品公開がはじまり、同国の日本アニメ映画興行記録の歴代1位となる大ヒットを記録したことで、中国大陸から飛騨古川を訪れる人も増えた。


『君の名は。』聖地に“リア充”中国人集団が殺到中(文春オンライン2017/02/08)
http://bunshun.jp/articles/-/1325

この記事によると「春節期間前後の中の1月25日から2月3日まで、市内の『まちなか観光案内所』を訪れた外国人客の合計は566人」。内訳は以下のとおり。

台湾人……218人
中国人……134人
香港人……134人
シンガポール人……28人
タイ人…‥25人
韓国人……15人
マレーシア人……12人

やっぱり、台湾客がいちばん多かったのですね。映画の公開が早かったこともあるでしょうけれど、この種の話題にいち早く食いつくのは、台湾の人たちです。

興味深いのは「食堂のノートに残された正しき「巡礼」の足跡」という話です。

「市内の食堂に置かれたメッセージノートのページをめくると、英語や中国語・韓国語・広東語の書き込みも目立つ。自作のイラストを描いている人もおり、正しき「聖地巡礼」の姿を感じさせた」

そして、実際の書き込みの写真が載っています。中国のネット上にはこの種の書き込みはあふれていますが、生書き込みを見ることは少ないので、面白いです。

記事はこう結ばれています。

「爆買い現象が一段落し、さらに今年の春節では中国人ツアー客の大幅な減少を伝える報道も出ている。そんななか、地方のインバウンド誘致の新しいパターンとして、飛騨古川の事例はなかなか興味深い話と言ってよいのではないだろうか」

全体にちょっとはしゃぎすぎのようにも思えますが、いま日本各地で起きていることをわかりやすく伝えています。

というのも、この種の中国客の「聖地巡礼」の話題は、これまでも『スラムダンク』の鎌倉高校とか前例はいろいろあるからです。

「スラムダンク」の舞台『鎌倉高校前駅』―中国・台湾観光客のやりすぎ記念撮影(JCASTテレビウォッチ2015/8/12)
http://www.j-cast.com/tv/2015/08/12242532.html

先月、本ブログで紹介した台湾人監督による短編映画がきっかけで、北海道の無人駅を訪ねる中国客が現れて、ちょっと困っているという一件も、「聖地巡礼」系の話でしょう。

北海道のローカル駅の線路に入る「危ない訪日客」が出没する理由がわかってしまいました (2017年 01月 14日)
http://inbound.exblog.jp/26555234/

さて、アニメヒット作のおかけで、にわかに岐阜県の注目度がアップしているように思われた方もいるかもしれませんが、実はそれだけではなかったという話を簡単にしておきたいと思います。

岐阜県のインバウンド誘致の取り組みには、以前から定評があったんです。背景には、岐阜県の弱みがありました。端的にいうと、国際線が乗り入れている空港がなく、都市部から時間がかかるというアクセスの悪さです。その一方、飛騨高山の古い街並みとそこに住む人々、世界遺産の白川郷のような他にはない強みがありました。

大事なのは、その弱みを逆手にとって、自分なりのやり方でプロモーションをしようと考える人材が岐阜県にはいたことです。その方が始めたのは、地元が十分受け入れ可能で、本当に来てほしい層を呼び込むのに有効なSTPマーケティング(セグメント、ターゲティング、ポジショニングを設定した手法)の具体的な実践でした。

その一連の話をぼくは最近書いた日経BPネットの以下の連載で紹介しています。

知名度がなくアクセスも悪い観光地をどうプロモーションするか(日経BPネット2016年12月27日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/122600027/
知名度がなくても始められる「旅行体験共有会」という手法(日経BPネット2017年01月30日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700028/
個人旅行の時代には口コミの核になるファンを集めよう(日経BPネット2017年01月31日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700029/

記事では、岐阜県が2010年頃から地道な取り組みをしていたことを紹介しています。岐阜県の担当者と二人三脚でプロモーションに取り組んだ上海側のPR会社の日本人がどういうことをやってきたか。ぜひ目を通していただけるとさいわいです。

こういう下地があってこそ、今回の話につながったのだと思います。

いま岐阜県が、このテーマで記事に出てくる「旅行体験共有会」をやったら盛り上がりそうですね。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-10 07:42 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 02月 08日

スノボのオージーもAirBnB。東新宿は民泊のメッカです(ツアーバス路駐台数調査 2017年2月)

今年の春節は中国の団体客の比率がかなり下がったようですが、新宿を訪れるツアーバスはそこそこでした。すでに一昨年前からその現象は起きていたことは、この定点観測のデータからもわかることです。

中国団体客が減って困る人、ほくそ笑む人?
http://inbound.exblog.jp/26614855/

おかげで、中国団体客専用に開業した在日中国人の食堂はかつてのような混雑もなく、この先いつまで営業を続けるのか気になるところです。彼らは儲かると思えば、すぐに投資をしますが、ダメだと思ったら、手を引くのが早いからです。面白いのは。例の「金鍋」の店内を覗くと、日本の酒造メーカーのポスターが貼ってあったり、まるで日本人も来店している居酒屋のようですが、いまはまったく一般客の利用はできないのです。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(水)未確認
2日(木)未確認
3日(金)17:50 3台
4日(土)未確認
5日(日)未確認
6日(月)12:40 5台、17:20 3台
7日(火)12:10 6台、16:20 2台
8日(水)12:20 6台、12:45 4台、17:40 4台
b0235153_1345222.jpg

この日は、朝から面白い光景を目撃しました。丸の内線新宿御苑前駅を降りたぼくは仕事場に向かって新宿1丁目を歩いていたのですが、とあるマンションから5人組の背の高い青年たちがスノボをひきずり、出てくるのに出くわしました。オージーだと思われます。彼らはAirBnBでこのマンションの一室で民泊しているものと思われます。まさに東新宿は民泊のメッカです。
b0235153_135979.jpg

お昼になったので、ランチをしに仕事場を抜け出したところ、IMANO TOKYO HOSTELの前に大男のバックパッカーが立っていました。
b0235153_1352339.jpg

b0235153_1354211.jpg

新宿5丁目の例のスポットに行くと、バスが6台も駐車していて、いままさに中国団体客ご用達焼肉店「味仙荘」の前からバスに乗り込むところでした。東京医大通りには、派手なおそろいの防寒コスチュームとサングラスをした、まるでスキーヤーのようないでたちのアジア系の女の子ふたり組が歩いていました。さすがに、この時期、東新宿界隈はにぎやかです。

9日(木)12:50 2台
10日(金)12:30  6台
11日(土)未確認
12日(日)未確認
13日(月)12:20 6台、17:40 2台
14日(火)13:10 2台
15日(水)12:40 4台
16日(木)13:10 1台
17日(金)17:50 2台
18日(土)未確認
19日(日)未確認
20日(月)13:10 2台
21日(火)11:50 2台
22日(水)12:40 4台

※この日もお昼頃、東京医大通りにひとりの欧米人青年がスノボの長いボードをひきずりながら歩いていました。彼はIMANO TOKYO HOSTELに入っていきました。彼もきっとオージーでしょうね。

23日(木)11:40 2台
24日(金)12:50 3台
25日(土)未確認
26日(日)未確認
27日(月)11:50 2台
28日(火)12:20 1台、17:50 1台
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-08 13:05 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 02月 08日

アパホテルとデモ騒動、これじゃ中国の為政者に踊らされすぎです

この週末、新宿で例の「アパホテル問題」を発端にしたデモ騒動が起きました。

在日中国人「反アパホテル」デモ 対抗団体も登場、休日の新宿が混乱(産経ニュース2017.2.5)
http://www.sankei.com/affairs/news/170205/afr1702050015-n1.html

ホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えているとして、中国当局が猛反発している問題で、日本在住の中国人らが5日、東京都新宿区で同ホテルへの抗議デモを実施した。現場周辺にはデモに抗議する団体メンバーも多数詰めかけ、休日の新宿は混乱した。

デモを行ったのは、このデモのために結成された日本で生活している中国人企業経営者、会社員らで作る「中日民間友好委員会」。約300人(主催者発表)の参加者が午後3時から、新宿中央公園から新宿御苑に近い同ホテル周辺まで行進した。「中日友好」「民族の尊厳を守る」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げながら道路を歩いたが、シュプレヒコールを上げることはなかった。

デモには抗議する右翼団体の構成員らが併走。「JAPANが好きだ」と書かれた横断幕を奪い取ろうとしたほか、デモに飛びかかろうとして、警戒に当たっていた警察官に静止される場面が何度も見られた。

デモを主催した来日10年になるという中国人女性は「(周囲の)みなさんにはご迷惑をおかけした。今回声を上げたのは勇気ある中国人だ」などとコメント。年齢や名前などは明らかにしなかった。


騒動の始まりは「ニューヨークに住む米国人女子大学生Katさんと中国人男子大学生Sidさんのコンビ「KatAndSid」が15日夕方に投稿」した「告発」でした。それにしても、アンチデモの連中の暴走のため、まるで中国人のデモ関係者のほうが被害者のように見えてくる始末ですが、彼らもわざわざ垂れ幕に「JAPAN」と書くあたり、なんだか真意がすっきりしませんね。

これらの一連の件について、以前ぼくは中国が日本に限らず対外的に繰り広げてきた「宣伝戦」の一環であると書きました。その目的は、短期的には中国の歴史認識を否定する私企業(標的)に対してなんらかの経営的な打撃を与えることでしょうが、在日中国人まで巻き込んで騒動を拡大することで、結果的に、中国の主張を広く喧伝することでしょう。でも、こういうことはこれまでもしばしばあったことです。

中国SNSでアパホテル炎上 春節はどうなる?(2017年01月17日)
http://inbound.exblog.jp/26563241/

ささやかな記事ですが、BBCが動画付きでこれを報じています。

アパホテルに抗議、在日中国人らが東京でデモ(BBC2017年02月6日)
http://www.bbc.com/japanese/video-38877494

ビジネスホテル大手アパグループが日中戦争時の南京大虐殺を否定する本を客室に置いていることをめぐり、在日中国人らが5日、東京・新宿で抗議デモを行った。

本はアパグループの元谷外志雄代表が執筆したもので、大虐殺は起きていないと主張している。本の客室設置をめぐっては、中国政府が批判したほか、中国国内の予約サイトがアパホテルをボイコットするなどし、反発が広がっていた。


今朝、ネットを見たら、中国専門家の福島香織さんが今回の騒動についてこう書いていました。「結果的には、中国やアンチアパホテル側にとっていい感じの映像や記事が山のように出来上がった」。

「アパホテル問題」はスルーするに限る
中国の「公共外交」に踊らず、日本の魅力を示せ(日系2017年2月8日ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/020600087/

まったく同感です。彼女は言います。

「それよりも、南京事件80周年の今年の春節前に、中国の動画サイトや微博で中国人向け投稿を頻繁にしているKat&Sidという米国人女性と中国人男性の二人組が、アパホテルの歴史本の存在を今更のように投稿して、批判し、中国のネットで炎上気味に拡散して、中国政府が旅行代理店や国民にはっきりと、アパホテルを使用するなと通達した一連の流れに、なにかしらの偶然とはいいがたいものを感じる。

もちろん、Kat&Sidが、中国共産党の手先だというつもりは毛頭ない。しかしながら、中国がこれまでとってきた、パブリックディプロマシー(公共外交)や歴史戦、国際世論戦の手法を思い返すと、最初のきっかけが偶然だとしても、中国当局はすぐさま戦略的に有効な展開を考えるものだ。そして、また日本のメディアも活動家も面白いようにそれに呼応してくれる」

さらに彼女は、中国の近年のパブリックディプロマシーの成果として「中国公共外交発展報告(2015)」の内容を紹介しています。その狙いは「安倍晋三の軍国主義復活を喧伝し、日米を離反させ、国際社会で日本を孤立させること」でした。中国出張中、テレビニュースを見ていると、今年に入っても日本に関する報道はそのような内容でほぼ占められていることを知るとき、まったく徹底していると感じます。中国メディアの特徴は、安倍首相が自衛隊といるときの映像を繰り返し使うことです。
b0235153_751598.jpg

そして、今回の発端に象徴されるように、中国は今後ますますSNSを使った対日世論工作や国際世論形成に力を入れていくことになると指摘しています。

「こういう風に今年、中国が戦略的忍耐でもって、慎重に国際世論戦を展開してくるというなら、日本も慎重に迎え撃つしかない。右翼活動家の罵詈雑言による短絡的なカウンターデモは、はっきり言って、こうした公共外交、国際世論戦にとって日本の足を引っ張る以外の何者でもなかった」

ですから、今回の「カウンターデモ」は、中国の為政者に見事に踊らされてしまったも同然なんです。

最後に、福島さんは書きます。「日本の公共外交は、実のところ中国が歯噛みするほどの底力がある」。

そうなのです。いま多くの中国客が日本を訪れ、美しい風景や食事、サブカルチャーも含めた日本の多様な側面をSNSで広めてくれています。むしろ、こうしたことが中国の為政者に対するカウンターになるはずです。それ自体を目的とするのは本末転倒ですけれど、そのことに自覚的であってもいいと思います。

これからも彼らは私たちの嫌がることをあの手この手で仕かけてくるでしょう。今回は私企業に対する工作でもあり、義憤をおぼえた人も多かったのかもしれませんが、そうだとしたら、相手に乗せられたという話です。次回こうしたことが起きたときは、もう少し頭を冷やして、最も効果のある対応をすべきだと思います。それだけの手持ちは日本には豊富に揃っているのですから。

それからもうひとつ。日中の民間同士がいがみ合うことも、中国の為政者の思うつぼだということを頭に叩き込んでおきたいところです。民意によって選ばれたわけではない中国の為政者と民間人は区別しなければなりません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-08 07:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 02月 07日

中国団体客が減って困る人、ほくそ笑む人?

今年の春節休み、ぼくは中国黒龍江省ハルビンの氷雪祭りを観に行っていました。LCCのスプリング・ジャパンが成田・ハルビン線を就航し、その初便に乗ることになったからです。この写真は、零下20度以下に冷え込んだハルビン国際空港に着陸し、初就航ということで歓迎垂れ幕が用意されていたときのものです。ピリピリと肌を刺すような寒さでした。
b0235153_1192169.jpg

189人乗りのボーイング737-800機のハルビン線は行きも帰りも満席で、往路の乗客の多くは日本在住の黒龍江省出身者の帰省客で、日本人客は10数名といったところ。もっとも、復路は一部日本ツアーに参加した中国の団体客もいました。
b0235153_1193944.jpg

黒龍江省出身者といえば、都内の在日中国人経営の中国料理店に出稼ぎとして数年単位で働いている中高年の女性たちのイメージが浮かびます。実際、今回乗ったハルビン線には、家族客もいましたが、それ以上に中高年の女性の姿が多く見られました。かつてはなかば出稼ぎ労働者だった彼女たちが、いまやレジャー目的の観光客として日本を訪れるようになったことは、時代の変化を感じさせます。

ところで、メディアは今年の春節休みの中国団体客が減っていると報じています。

春節も続く中国人客減 富士山麓の土産物店など悲鳴「団体客が前年の半分以下に」(産経news2017.2.2)
http://www.sankei.com/life/news/170202/lif1702020024-n1.html

1月27日から始まった中国の旧正月にあたる「春節」休暇は、2日で幕を閉じるが、山梨県の富士北麓エリアでは宿泊施設や土産物店から「客数が激減した」「爆買いがなくなった」と悲鳴が上がっている。県によると、中国人の宿泊者数は昨年10月、前年同月比49%減の3万4640人と3年2カ月ぶりにマイナスに転じ、11月も3万820人(同32%減)と落ち込みが続いている。春節期間中、日帰り客も多い大規模施設では例年並みに集客を確保したものの、“爆買い”を含め、中国人の姿はめっきり減っている。関係者は今後もこの傾向が続くのか、気をもんでいる。

中国人客の減少の影響は春節にも出ている。外国人客が多い河口湖畔のレストランでは、「団体客が前年の半分以下に減った」と嘆く。土産物店を併設する郷土料理店も「理由は分からないが中国人客が減っているのは確実。春節後の見通しはつかない」とため息をついた。

これらに対し、富士急ハイランド(富士吉田市)では中国人観光客向けの恒例の「春節イベント」を開催中。富士急行は「春節の来場者数は過去3年、横ばいで推移しており、今年も前年並みでは」と見込む。

外国人客が宿泊者総数の9割近くを占める富士河口湖町のホテルのフロント担当者は、「中国人団体客が前年同期と比べ約2割減。その分は個人客を増やして補った」と苦労を明かした。

ただ、同ホテルも昨年11月以降、中国人客を中心に宿泊客数の減少が前年比1割強の水準で続いた。「春節後は以前の状況に戻ると思う」と懸念する。

富士河口湖町観光連盟は「団体から個人へのシフトは昨年の春節から続く傾向だ。店舗でも“爆買い”が見られなくなっている」と指摘する。

山梨県観光企画課は「中国経済低迷による旅行離れや静岡空港の中国路線の大幅縮小などが影響している」と分析。「要因は複合している。過去のような伸びを期待するのは難しい」と今後を厳しく見通している。


富士河口湖町といえば、中国団体ツアーのゴールデンルート上に位置し、富士山観光の拠点のひとつとなる温泉郷でした。もう7~8年前ですが、中国団体客向けの温泉ホテルを始めた経営者に話を聞きにいったことがあります。当時から河口湖温泉では一部のホテルや旅館しか中国団体客の受入れをしていませんでした。むしろ山梨県では石和温泉郷が中国団体客の受け皿として知られています。こちらの入りはどうだったのでしょうか。

こんな記事もあります。この筆者は毎回興味深い上海事情を報告してくれますが、今回に関しては若干煽り気味に感じます。

宿泊業界大混乱、中国の団体旅行客はどこへ消えた?
キャパ拡大の設備投資は完全に裏目(JBPRESS2017.2.7)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49099

記事にはこうあります。「東京~富士山~大阪を結ぶ「ゴールデンルート」といえば、訪日客が最も集中する行程だ。ここでも異変が起きていた」。

「現地のホテルに問い合わせてみたところ、次のような回答が返ってきた。「今年の春節は、中国の個人客は何組かいらっしゃいますが、団体のお客様はいないのです」 過去には30~40名ほどの中国からの団体客を扱ったこともあると言うが、「なぜか今年の春節は来ない」のだという」。

そりゃあそうでしょう。中国の訪日客の客層が団体から個人へ移行する動きはすでに2015年から始まっていました。

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは? (2016年04月08日)
http://inbound.exblog.jp/25638388/

上海市場に限れば、すでに2015年に初めて団体客の数を個人客が上回っていたのです。そうなった背景には、15年1月の日本政府による個人マルチビザ取得要件の緩和がありますが、それをさらに加速させたのは、以下のような、いかにも中国的な事情がありました。

上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!? (2016年04月10日)
http://inbound.exblog.jp/25647061/

そして、個人化への流れはすでに半年遅れくらいで、地方の主要都市でも始まっていました。

中国内陸都市でも若い世代を中心に個人旅行化の機運が起きている(2016年03月09日)
http://inbound.exblog.jp/25481978/

その意味では、今年の春節休みの中国団体客の減少はすでに予測されていたものだったのです。

同記事は、その最も顕著な例として、静岡空港の中国路線が16年秋以降、一気に減ったことを挙げています。

「2014年7月末に3路線13便だった中国路線は、2015年7月末には13路線47便にまで拡大した。静岡空港における国際線の搭乗者数は40万人目前に迫った。ところが2016年は一転して減少し、約28万人にとどまった。減少の理由はほかでもない、中国からの団体客が減ったためである。

静岡県文化・観光部が行った調査によれば、2015年に静岡空港を利用した中国人客は97%が団体ツアーの客だったという。だが、そうした団体ツアーの利用客がめっきり減ってしまった。

その結果、2016年は中国からの旅客機の運休が相次いだ。結局、静岡空港では、13あった中国路線が上海経由武漢、寧波、杭州、南京の4路線だけに縮小してしまっている」

この点については、本ブログでも、ちょうど1年前に報告していました。ぼくは静岡空港を訪ね、関係者に話を聞いていましたが、彼らも当時はこれほど急増したことに疑心暗鬼のところもありました。ですから、16年に入って急減したことも、あり得ることとある程度予測していたと思います。

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか? (2016年01月25日)
http://inbound.exblog.jp/25298380/

富士山静岡空港
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/

同記事では「富士山静岡空港もその1つで、「急激に増えた中国人客により、手荷物検査や税関などで対応に苦慮した」(同観光部)という。そこで昨年11月より、ターミナルビルの増改築に乗り出している」「しかし、その目論見は早くも頓挫している。中国人の団体客が姿を消した今、「投資を回収できるのかという深刻な問題に直面している」(前出のホテル経営者)」と、中国団体客急増に備えて投資をした一部のホテルや同空港の「目論見は早くも頓挫」したと決めつけています。

まったく訪日中国旅行市場というのは、急に増えたり減ったり、人騒がせなところがあります。でも、こうしたアップダウンは、11年の東日本大震災、13年の「尖閣諸島国有化」への反発などで、これまでも数年おきに起きていたことです。ですから、いまさら「目論見は頓挫」というのはどうでしょう。

それにしても、2015年に中国の地方都市から一気に日本路線が拡充したものの、その後運休が相次いだ理由には、やはり中国の地方経済の問題がありそうです。要するに、地方都市では思ったほど団体客が集められないのでしょう。

さらにいうと、いまの中国の旅行会社も、特色もなく安いだけの、しかもキックバックモデルに依存した団体ツアーをいくらやっても儲からないので、以前のようなやる気を失っていることも考えられます。個人化とオンライン化が進んでいることが背景にあります。

こうして中国団体客が減ることで困る人たちも大勢いると思いますが、その一方でほくそ笑んでいる人たちもいるように思います。たとえば、不法ガイドやブラック免税店への対処を問われている監督官庁の関係者。要するに、これらの問題は団体客が多いから発生しているわけで、それが減れば問題も勝手に沈静化していくかもしれないからです。そう簡単にはいかないと思いますけれど。

それはともかく、今年の春節休みに中国客はどのくらい日本に来たのでしょうか。中国の海外旅行市場の専門家によると、今年の冬もPM2.5は猛威を振るっており、海外逃避旅行は増えると言っていました。方面としては、台湾、香港、韓国は政治的な理由で減少する一方、タイや日本が増えるとのことでした。

今年の春節休みも「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのだろうか? (2017年01月13日)
http://inbound.exblog.jp/26552082/

実際のところ、どうなのでしょう。今月中旬に、日本政府観光局(JNTO)が1月分の各国別訪日数を公表しますので、それを待つことにしましょう。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-07 11:17 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 02月 04日

今年こそ、ウラジオストク観光の年になるか

昨年9月末、極東ロシアのに住む日本の友人から、2017年にはウラジオストクへの観光ビザが不要になるという連絡がありました。

「日本に最も近いヨーロッパ」こと、ウラジオストクが来年からノービザになりそうです
http://inbound.exblog.jp/26231701/

その後、12月には日露首脳会談がありましたが、その結果は玉虫色で、いったい両国関係はどうなるのか定かではありません。でも、少なくとも日本政府は極東ロシアへの経済協力を進めたいことは確かのようです。そのためには人的交流が不可欠とのことから、旅行業界へ日本人の極東ロシア観光を積極的に進めるよう要請しています。

旅行業界に「極東ツアー」要請 政府、ロシアとの人的交流を促進 (SankeiBiz2016.10.13)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161013/mca1610130500018-n1.htm

政府が国内の旅行業界に対し、ロシア極東地域への観光ツアーを強化するよう要請したことが分かった。関係者が12日明らかにした。観光客の往来を通じ、安倍晋三首相が提案した対露経済協力プランの8項目に盛り込まれた人的交流を促進する。旅行各社は11月に担当者を現地に派遣し、ツアーの企画に向けて視察する方向だ。

安倍首相は極東のウラジオストクを「ユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー(玄関)」と位置付けている。政府観光局はモスクワ事務所の開設を目指すが、現状ではロシアへの観光客は限られている。旅行業界は現地の観光資源や需要などを慎重に見極める。

関係者によると、世耕弘成ロシア経済分野協力担当相が9月、ウラジオストクやハバロフスクなど極東地域へのツアー旅行を増やすよう観光庁を通じて日本旅行業協会に求めた。大手旅行会社の幹部は「人の往来が増えれば、モノの動きも活発になる」と話す。

観光庁によると、2014年にロシアを訪れた日本人旅行者は約10万人。約357万人の米国や約271万人の中国と大きな差がある。観光客は首都モスクワやサンクトペテルブルクなど西部に集まり、主な観光シーズンも夏に限られる。旅行各社は視察で現地の観光資源や施設を確認し、日本からの旅行需要をどの程度掘り起こせるか検討する。

対露経済協力の人的交流分野では、政府はすでに閣僚級による交流促進会議の新設やロシアからの訪日客の査証(ビザ)発給要件の緩和などを盛り込んだ具体案を策定している。

【用語解説】ロシア極東地域の観光
帝政ロシア時代の建造物が残るウラジオストクやハバロフスクが主な観光地。ウラジオストクはロシア太平洋艦隊の基地があり、極東地域の経済や文化の中心都市。モスクワまでの約9300キロをシベリア鉄道で結んでいる。ウラジオストクへは日本航空などの直行便があるほか、鳥取県境港市から韓国を経由して向かうフェリーもある。


何はともあれ、こうした情勢の変化はウラジオストク観光にとって明るい展望です。

現地関係者によると、ロシア沿海地方(ウラジオストクを含む地域)を訪れる日本人の数は、ここ数年5000人前後のようです。一方、韓国は2014年にノービザとなって以降、すでに3~4倍に増えているとのこと。

2016年11月現在、ウラジオストク空港に国際線を運航している都市は以下のとおり。日本からは成田のみで、ロシアのS7航空が運航。新潟からは昨年8月まで便がありましたが、9月以降は運休しています。韓国の仁川線が圧倒的に多いことがわかります。

仁川 17往復
釜山 3往復
北京 3往復
上海 2往復
ハルビン 2往復
成田 3往復
香港 4往復
プーケット(タイ) 1往復
バンコク 1往復
平壌 2往復

※S7航空
http://flyteam.jp/airline/s7-airlines

こうしたことからも、日本も韓国と同様にノービザが実現すれば、旅行市場の拡大が見込まれると考えられます。2015年には4万人以上の韓国人がウラジオストクを訪れたそう。以下の韓国のテレビ番組をみると、彼らの現地の旅行の様子がわかります。若い女性客が圧倒的に多く、「世界でいちばん近いヨーロッパの街」を気軽に楽しんでいるという印象です。

First Time in Vladivostok [Battle Trip / 2016.07.17]
https://www.youtube.com/watch?v=49IyNno9uVE
https://www.youtube.com/watch?v=VtavnZRw5B4

現在のウラジオストクに関する日本語の情報は、ネット上でかなり収集できるようになっています。

そのうち主なものを紹介します。

まず、選りすぐりの海外旅行プランを紹介する『トラベルプラネット』のウラジオストク・コミュニティ。昨年、数回行われた現地取材のレポートで構成されています。

TRAVEL PLANET ウラジオストク・コミュニティ
http://travelplanet.jp/projects/vladivostok

最強というべきなのが、現地の旅行会社「アルファイオメガ ウラジオストク店(Альфа и Омега)」に所属する宮本智さんが制作した以下の旅行サイトです。ウラジオストクのことをこれほど詳しく紹介している情報源は他にはありません。
b0235153_13451275.jpg

ウラジオ.com
http://urajio.com/

同社では、極東ロシアの手配に実績のある旅行会社のJATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)と共同で、昨年から今年の春にかけて、ウラジオストクのスタンプラリーを実施しています。

JATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)
http://www.jatm.co.jp/

b0235153_13454858.jpg

YOU TUBEで偶然見つけたのは、ロシア人イラストレーターのユーリャさんによるウラジオストク動画レポートです。日本語を話す彼女が町を案内しています。

ロシア人が故郷ウラジオストク観光をおすすめしたい!
https://www.youtube.com/watch?v=GcqJK_H7YvY
ロシア・ウラジオストク空港が新しくなった!
https://www.youtube.com/watch?v=c5LI-SyqoWc
ロシア人2人でウラジオストク市街観光
https://www.youtube.com/watch?v=Jb3na9BoxG4
ロシア・ウラジオストクの歴史ある大学と不思議な電車
https://www.youtube.com/watch?v=mGqk7lR8Dj0
【ウラジオストク】ロシア人ユーリャおすすめの名所
https://www.youtube.com/watch?v=7ml8N0IkY-E
北朝鮮レストランに初めて行ってきた!【ロシア・ウラジオストク】
https://www.youtube.com/watch?v=wBpYzEMYnIo
ウラジオストク・ロシア人の生活環境
https://www.youtube.com/watch?v=kuOogZEWNxU

ユーリャさんはこういう人です。

ロシア人ユーリャの自己紹介『東京・そして私の仕事』
https://www.youtube.com/watch?v=PZKT9UA2z2c

Yurya Blinchik (ユーリャ ブリンチク)公式サイト
http://www.blinchik.jp/

ちなみに、本ブログでも、2012年夏に訪ねたときの話をベースにウラジオストクを紹介しています。

ノービザ解禁間近!極東ロシア
http://inbound.exblog.jp/i33/

ウラジオストク、なかなか面白そうな町だと思いませんか。なにしろ成田からフライト2時間もかからないくらいですから、ぜひ今年の旅行計画に加えていただけるとうれしいです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-04 13:46 | ノービザ解禁!極東ロシア | Comments(0)
2017年 02月 04日

日本人は出不精、アジアの人たちは出たがり!? その理由は日本の高齢化にあると考えざるを得ない

今朝、ネットで以下の記事を読みました。

21世紀は世界中で高齢化が進行 日本以上の速さで高齢化が進むのはどの国? (THE PAGE2017.02.03)
https://thepage.jp/detail/20170203-00000005-wordleaf

「総務省が2016年10月発表した平成27年国勢調査確定値で、大正9(1920)年の調査開始以来、初の減少に転じた日本の総人口。人口減と合わせて問題になっているのが、世界で最も進んでいる社会の高齢化です。では、世界の人口の推移、高齢化の進行はどのようになっているのでしょうか」

記事によると、内閣府の「平成28年版高齢社会白書」は、世界の総人口は今後も増え続け、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)も上昇するとみているそうです。

そして、日本は2005年以降、高齢化率は世界一(26.7%(2015年))となっています。しかも、高齢化進行の速さも際立っています。

他国の情勢について、記事では以下のように述べています。

「現在先進国の中で、高齢化が進んでいるのがイタリア22.4%(2015年)、ドイツ21.2%(同)です。しかし、2060年まで高齢化率が上昇し続けるとみられる日本に対し、イタリアは2050年(35.1%)がピーク値になると推測。ドイツは、2035年ごろから上昇が緩やかになり、2060年は33.1%と見込んでいます。

一方、アジア諸国は、今後、急速に高齢化が進むとみられています。特に韓国は、日本以上のスピードで高齢化が進行し、現在の13.1%(2015年)から2060年には、日本を除く他の先進諸国よりも高い37.1%にまで達すると推計。同様に2060年の高齢化率は、シンガポールが36.3%、中国32.9%となって、軒並み現在より20数ポイント上昇すると考えられています」

※同記事の元ネタはこれです。

平成28年版高齢社会白書(概要版)> 第1節 高齢化の状況
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_1.html

詳細なデータは以下のとおり。

①高齢化率は26.7%
•我が国の総人口は平成27(2015)年10月1日現在、1億2,711万人。
•65歳以上の高齢者人口は3,392万人。
•65歳以上を男女別にみると、男性は1,466万人、女性は1,926万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は76.1。
•総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は26.7%。
平成72(2060)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上

②平成72(2060)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上
•総人口が減少するなかで、高齢化率は上昇。
•高齢者人口は、いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた人)が65歳以上となる平成27(2015)年には3,392万人となり、その後も増加。54(2042)年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じるが高齢化率は上昇すると推計される。
•平成72(2060)年には高齢化率は39.9%に達し、2.5人に1人が65歳以上。

③我が国は世界で最も高い高齢化率である
•先進諸国の高齢化率と比較すると、我が国は、1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、平成17(2005)年には最も高い水準となった。
•アジア諸国についてみると、今後、急速に高齢化が進み、特に韓国においては、我が国を上回るスピードで高齢化が進行し、平成17(2005)年の9.3%から72(2060)年には37.1%まで達すると見込まれている。
b0235153_12275911.jpg

さて、これらのデータを訪日旅行市場の観点から読み直してみたいと思います。ここ数年、訪日旅行市場が拡大した背景にアジア客の増加があります。2016年に日本を訪れた外国人のうち、アジアからの訪問客は85%を占めます。いまや世界で最も高齢化率の高い国となってしまった日本と比べて、これらアジアの国々のそれは日本より相当低いことが、こうなる理由のひとつとして考えざるを得ません。その鍵は、出国意欲の違いではないでしょうか。

ここにもうひとつのデータがあります。

世界150数ヵ国が加盟する国連世界観光機関(UNWTO)によると、2015年に国境を越えて移動した「国際観光客到着数」は世界全体で11億8600万人だといいます。伸び率は4・6%で、年間で5200万人増。こうした数字だけ挙げられてもピンときませんが、いわゆる「グローバル観光人口」が右肩上がりで増加していることは明らかです。その結果、日本でも多くの外国人観光客の姿を見かけるようになっているわけです。実際、14年から15年かけての訪日外国人数は1340万人から1970万人に増えており、アジア全体の5200万人の増加分のうち、日本は630万人を占めているのです。

(図表18)世界のインバウンド観光の推移(UNWTO)
http://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2016/09/Tourism-Highlight-s-20116.pdf

アジアの観光人口は世界全体の24%を占める約3億人。先進国の多さや移動の自由ゆえに世界の半分を占める欧州にはかないませんが、伸び率は最も高い6・6%です。

こうしたアジアの勢いを担っているのは、残念ながら、この十数年間、海外旅行市場が伸びていない日本ではなく、東アジアの中国や韓国、台湾、香港、そしてアセアンの国々です。国土と人口が桁違いに大きい中国はすでに2012年に世界一の海外旅行市場になっていますが、韓国も15年の海外旅行者数は1930万人と日本より多いし、台湾は2300万人の人口なのに1320万人で、出国率でいうと60%近い。その点、日本は人口1億2700万人で1620万人(15年)だから、出国率は13%程度にすぎません。

先ほどの「平成28年版高齢社会白書」によると、アジアの国々の高齢化率は以下のとおりです。

日本26.7
中国9.6
インド5.6
インドネシア5.2
フィリピン4.6
韓国13.1
シンガポール11.7
タイ10.5

今後、アジアの国々でも高齢化率が上昇することが予測されていますが、現状においては日本だけが突出して高いといえます。このことと出国率の低さには相関関係があってもおかしくないだろうと考えます。日本人は出不精になってしまいましたが、アジアの人たちは出たがりになっているというのは、そういうことです。

しかも、こんな記事があります。

外出する人の割合過去最低…特に20代低下(日本テレビ2016/12/26)
http://www.news24.jp/articles/2016/12/26/07350031.html

国土交通省が全国の都市で人の動きを調査した結果、家から外出する人の割合が過去最低を記録したことが分かった。

昨年度、調査日に外出した人の割合は平日で80.9%、休日で59.9%と1987年の調査開始以来、過去最低となった。特に20代の休日1日の移動回数は1.43回と70代の1.6回を下回り、若者が以前よりも外出しなくなっていることが明らかになった。

また、買い物や食事など私用目的で外出する回数も大きく減少している。中でも就業していない人は就業者よりも外出が少なく、外出率の減少の割合も大きいという。


高齢化率が世界でトップの日本で、若い世代の外出率が減少しているとなれば、出国率が低くなるのも無理はないでしょう。

もちろん、これには経済的要因など、それ以外の理由もいくつか考えられますが、いまさらそれ自体をどうこう論じても意味はあまりないと思います。日本の海外旅行者数は、1990年代までは堅調に伸びていましたが、それが止まるのが2000年代に入ってからです。高齢化率の影響もそうですが、一般に出国意欲は経済成長にともなって高まる傾向にあると考えられるからです。

であれば、日本の周辺の国の人たちがこれほど出たがりになっているという現実をどう受けとめるか。UNWTOが予測するように、今後も長期的にアジアのグローバル観光人口が増え続けるかはともかく、いま起きていることをしっかり見て、自分が何をすべきか考えればいいのだと思います。

こうした情勢もあってか、国内の旅行業者団体が今月中旬に「アウトバウンド(海外旅行者)促進協議会」を設立するそうです。

日本人の海外旅行低迷を打開へ 中国人観光客増え「日本人の地位低下」(SankeiBiz2017.1.30 )
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170130/bsd1701300500006-n1.htm

記事によると、日本人出国者が伸び悩む一方、中国をはじめとしたアジアの国々の出国者が増加していることから、「海外旅行市場における日本人の地位が低下している」(日本旅行業協会関係者)のだそうです。

でも、この種の話はもう10年以上前から業界では言われていたことです。「地位」がどうとかいう話ではなく、今後多くの外国人観光客が日本を訪れるであろうことは確かのようなのですから、我々日本人もせめてもう少し海外の事情を知っておくべきだという観点から、若い世代を中心にもっと出国意欲を高められるような情報発信をしていく必要があると考えます。本来、人の移動は双方向であるべきなのです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-02-04 12:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)