ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 05月 31日

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?

5月27日に都内で開催されたバケーションレンタルexpoの会場では、新法施行後、民泊を取り巻く環境が激変することをふまえた新しいビジネストレンドの提案がテーマでした。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

なにしろ民泊専門の行政書士である戸川大冊氏によるセミナーで明らかな通り、民泊新法の狙いは「ヤミ民泊」の絶滅を目指すもので、これまで旅館業法や特区民泊の許認可を持たない違法民泊が主流だった時代は続きそうもないからです。自治体のみならず、観光庁も苦情窓口を設置し、訴訟や罰金のおそれも増大します。その対象にはairbnbのような民泊仲介サイトや「住宅宿泊管理業者(民泊代行業者)」も含まれます。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
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会場にブースを出展していた関係者は、当然のことでしょうが、それを強く意識しているようでした。民泊ホストの側も、最近の民泊に関する報道などから事情をよく理解しており、いかに民泊で利益を出すかという視点から、どうすれば合法的に運用できるかという観点に関心が移ってきていると思われます。

こんなストレートなチラシを用意した代行業者もいたほどです。
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↑民泊運営代行サービス「エアサポ」 http://air-sapo.com/

会場内で行われた計25のセミナーのテーマも、外資系の民泊仲介サイトの戦略から民泊運用ノウハウに関する話まで幅広いトピックにわたっていました。

なかでも民泊代行業者3社の関係者が登壇し、会場の一般客からの質問に答える「民泊のシャベリ場」と題されたセミナーは、新法施行後の見えにくい民泊の行方についての本音が伝わるものでした。登壇していたのは、以下の3社のトップです。

Zens http://www.zens.tokyo/
ファミネクト https://www.faminect.jp/
オックスコンサルティング http://ox-consulting.jp/

同社らが事業を始めたのは、airbnbが日本法人を設立した2014年の翌年だそうです。質問の前の挨拶で、オックスコンサルティングの代表は「民泊新法施行後、これまで従事していた一定数の民泊ホストは運営ができなくなるでしょう。民泊は昔のように、やれば儲かるという時代ではなくなります」と言います。

では、どうすればいいのか。

たとえば、サービスアパートメントやマンスリーマンションの運用であれば「180日ルール」は適用されません。また地方の眠っているリゾートマンションの活用も考えられるとのこと。

さらには、繁忙期を民泊にし、残りの時期をマンスリーマンションで回すというような運営もあるのだとか。これを業界では「二毛作」というそうです。そんなにうまくいくものかしら…と思わないではありませんけれど。
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※「マンスリー+民泊」について
https://minpaku.yokozeki.net/shinpouminpaku-business/

会場で出会ったひとりの関係者によると、妙高高原や白馬でオーストラリア人が眠っていたホテルやペンションを買い取り、スキーシーズンのみ運用しているそうです。従業員はワーキングホリデーのオーストラリア人を活用。夏場は営業を休むので、「海の家」の逆シーズン版です。

激変する地方観光地 外国人が…(NHK2017.2.4)
http://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/02/0204.html

これは民泊の例ではありませんが 「180日ルール」については、繁忙期のみの運用と割り切ればクリアできるわけです。それで投資を回収できるかどうかは別の話ですが、確実に外国人が訪れる地域であれば、やれることはあるのかもしれません。

地方への分散化が進んでいるとはいえ、外国人の宿泊ニーズは圧倒的に大都市圏に集中しており、それがここ数年のairbnbのような民泊サイトの躍進やヤミ民泊ホストを増殖させたわけですが、新法施行直後はかなりの混乱が起きるかもしれません。合法的にやろうとすれば、それなりの投資が必要となるため、摘発をおそれ、運営をやめるホストは相当数になるのではないでしょうか。会場でもそんな声を耳にしました。

ところが、会場には外資系、特に中国系の民泊サイトが軒並み出展していたことはすでに述べたとおりです。彼らは、新法施行後の市場環境の変化をどう捉え、日本で何をしようと考えているのでしょうか。正直なところ、いまの時期に進出して大丈夫なのだろうかと思わないではありません。彼らもまた今後は摘発の対象になるからです。

次回は、中国系民泊サイトの関係者らのセミナーのコメントなどを通して、その点について考えてみたいと思います。

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 16:25 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 31日

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏

5月27日に開かれた「バケーションレンタルEXPO」では、民泊に関わる関係者による大中小3つの会場で合わせて25本ものセミナーが繰り広げられました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

なかでも大盛況だったのが、民泊許可業務の第一人者である特定行政書士の戸川大冊氏のセミナーでした。少々民泊ビジネスを煽りぎみの出展者らが多いなか、実際のところ、法的に見てどうなのか。民泊新法施行後に、状況はどう変わるのか、知りたいと考える人が多かったからでしょう。

そんな疑問に応えるべく、セミナーのタイトルは以下のようなものでした。

「住宅宿泊事業法」を正しく理解し、合法的に運営する
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戸川氏は、テレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』4月30日放送で、旅館業許可を取らないで営業している「ヤミ民泊」の問題点や罰則規定について解説しました。また、「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)の立法趣旨や、旅館業の「許可」と民泊新法の「届出」に関する法的性質、特区民泊との違いにも触れています。

この日のセミナーも、まさにこのテーマを番組より詳しく解説した内容でした。以下、戸川氏の運営する「民泊許可.com」などの資料を参考にさせていただきながら、民泊新法の中身を中心に紹介します。

戸川氏の運営するサイト「民泊許可.com」
https://民泊許可.com/

開口一番、彼は言います。「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」。新法成立後は、これまでのような民泊ビジネスはできなくなるとして、近年増えている「ヤミ民泊」摘発事例を挙げます。

2016年7月 旅館業の営業許可を得ずに、無許可で「ヤミ民泊」営業をしたとして、不動産関連会社「ハイブリッド・ファシリティーズ」(東京都港区)と親会社「ピクセルカンパニーズ」が摘発

2016年6月 民泊代行業者(ハイブリッド・ファシリティーズ)が捜索・差押を受け民泊運営支援事業を廃止

2016年4月 大阪府警は大阪市生野区の韓国籍の飲食業の女(71)、中国籍のレンタルビデオ店経営の夫(37)と韓国籍の妻(55)を、旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検

2015年11月 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検

2014年5月 木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)

ヤミ民泊の認知件数は以下のとおりです。

平成25年度 62件
平成26年度 131件
平成27年度 994件
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この認知件数は、保健所などが把握した件数にすぎませんが、最近は近隣住民によるチクリが急増しているそうです。

また自治体の摘発強化も進んでいます。

2016年5月 京都市、無許可民泊148件に営業停止を指導 http://airstair.jp/kyoto-148/
2016年7月 京都市、「民泊通報・相談窓口」開設 http://min-paku.biz/news/kyoto-minpaku-tsuihou-soudan-20160713.html
2016年10月 大阪市 、民泊専従チームを組織 http://mainichi.jp/articles/20161010/k00/00m/010/017000c
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そもそも「民泊」という事象は、①国家戦略特区の特例(特区民泊=外国人旅客の滞在に適した施設)と②旅館業(旅館か簡易宿所)、そして③今回の民泊新法(住宅宿泊事業法)で生まれる住宅宿泊の集合体というべきで、それぞれ営業するためには異なる要件があります。

戸川氏は言います。「民泊の許可を出すのは、大家ではなく自治体です。ですから、よく不動産会社が『民泊許可物件』などと表示していますが、このようなものは存在しません」

さらに、昨年6月、ヤミ民泊ホストに対してマンション管理組合からの差し止めが認められました(その後、今年に入り、損害賠償も認められたようです)。

2016.05.24 大阪地裁、初のマンション「民泊」差し止め
http://min-paku.biz/news/osakachisai-minpaku-sashitome.html

賃貸マンションを民泊に使うオーナーが増えているなか、こうした判決が出たのは、民法の「所有権」に関する規定とマンション標準管理規約の「用法の制限」(もっぱら住宅として使用する)をふまえ、区分所有法がいう「区分所有者の権利義務」「共同の利益に反する行為の停止の請求」が認められたものといえます。つまり、マンションのオーナーにとって「他人にとやかく言われる筋合いはない」という主張は間違いだということです。
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最近、外国人による都内のマンション購入が進み、民泊を始めているケースが知られていますが、もし彼らが住民の声を無視して民泊の営業中止を受け入れようとしなかったとしても、マンション管理組合からの訴えは有効だといえます。

民泊を合法的に行う場所を決めるうえで、もう一点考えなければならないことがあります。それは、各自治体による「上乗せ条例」です。たとえば、新宿区や渋谷区、台東区、京都市、大阪市では、それぞれ認可の条件が加えられます。これは民泊新法施行後も変わらないため、他の地域に比べ、ハードルが高いといえます。これらはすべて民泊人気集中地区で、摘発が強化されていることはすでに述べたとおりです。
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さて、ネガティブな話ばかりをしてきましたが、今年の通常国会で成立の見通しとされる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」とはどのような内容なのか。
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ポイントは、「180日以下の運営」であることです。戸川氏は、その理由について「今回の新法は、あくまで住宅を一定の要件で他人の宿泊サービスに提供するものであり、1年の半分以上の期間を超えてしまうと、それは住宅とはいえないから」と説明。法的な見地からみて、今後民泊をこれまでのようにビジネスと考えるのはおすすめできない、というのが戸川氏の一貫したアドバイスといえます。
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さらに、民泊新法では、民泊事業者の「都道府県知事への届出」、特に「家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託すること」が義務付けられます。住宅宿泊仲介業(民泊仲介サイト)に対する規制も加わり、観光庁長官への登録が義務付けられます。これによって、airbnbなどが違法なヤミ民泊をあっせんすることは、施行後は不可能になります。加えて、観光庁で「民泊」苦情窓口を新設するようです。

こうしたことから、戸川氏は「もし民泊を年間を通じて合法的にやるなら、旅館業の営業許可を取るべきだ」と指摘します。民泊新法と同時に審議が進んでいる旅館業法の改正で規制緩和が進むことがわかっているからです。ここでのポイントは、客室数や寝具の種類、トイレ、最低床面積などの構造設置基準の緩和。これで旅館営業に以前より参入しやすくなるのは確かです。他方、無許可営業に対する罰金が3万円から100万円に引き上げるなど、ヤミ民泊の取り締まりは強化されます。
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冒頭で、戸川氏が「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」と言ったのは、180日間以内の営業では儲かるとは思えないからです。「民泊新法がビジネスに不向きであることは決定的」「よって合法的な民泊を事業として開始しようと考えている事業者は、民泊新法の成立を待たずに簡易宿所型民泊か特区民泊ですぐ事業を開始すべき」といいうのは、そのためです。

※特区外の簡易宿所型民泊や特区民泊の合法的な始め方については、民泊許可.com参照。

この図は、新法施行後の民泊の姿です。
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このセミナーを聞くかぎり、これまで自覚の有無はともかく「ヤミ民泊」に手を染めていた人たちは、訴訟や罰金を食らう恐れが増大することでしょう。airbnbなど民泊サイトへの影響も大きそうです。

ともあれ、ルールづくりは大事です。そのうえで、おかしなところは改正していけばいいのです。新法施行以降、これまでの「安かろう悪かろう」の日本の民泊イメージが大きく変わっていくことを期待します。

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 13:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 30日

タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと

中国の「越境白タク」の急増の背景には、同国での配車アプリサービスの普及があり、そのまま法を無視して日本国内で運用されている実情があります。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

では、日本ではどうして中国のようにライドシェアが進まないのでしょうか。

先日、タクシーを利用したとき、ライドシェアについて運転手とこんな話をしました。

-今年1月30日から東京23区と一部の地域で初乗り料金410円になりましたね。利用客は増えているのでしょうか。

「初乗り410円」きょうから 都心部のタクシー(朝日デジタル2017年1月30日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1W6G7RK1WUTIL056.html

「どうですかねえ。ちょい乗りができるということで、最寄り駅から自宅へ乗る人が増えたので、我々の仲間は駅で客を拾いたがらなくなった。近距離のお客さんばかりですからね」

-ライドシェアは進んでいるんでしょうか。都内のタクシーでもスマホ向けの配車アプリが導入されていますね。

「いま配車アプリサービスを提供しているのは大手4社がメイン。でも、運転手の間では評判よくないんです。アプリで予約した後、目の前に別のタクシーが来ると、そのまま乗っちゃう人が多いからです。我々が駆けつけたときには、すでにお客さんはいないというわけです。これでは、我々も慎重にならざるを得ない…」

なるほど。そりゃそうですね。なぜそんなことが起きてしまうのか。想像できます。

配車アプリは、スマホの地図上で場所を指定すると、近くを走行中のタクシーを検索し、自動的に指定場所まで配車するサービス。事前に登録をせずに支払いは従来通りに行う方法と、あらかじめ登録を行い、ネット決済を使って支払う方法を選択できます。混雑時にはなかなか配車されないこともありますが、アプリの評判は総じて高く、ビジネスマンを中心に利用者が増えているといいます。問題は、事前登録しないで利用する一般客のドタキャンというわけです。

シェアリング・エコノミーと自動運転技術の発達で、近い将来、タクシーが無人化・無料化することを見据えた取り組みで、外国人観光客の増加で最寄の駅からホテルまでといった短距離需要が拡大しているという追い風もあります。

タクシー大手4社
http://タクシー転職ガイド.com/taxi_4/

日本交通株式会社
大和自動車交通株式会社
帝都自動車交通株式会社
国際自動車株式会社(kmグループ)

最初に始めたのは日本交通株式会社で2011年1月から。スマートフォン向けタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」を提供し、同年12月にはマイクロソフトと共同で「全国タクシー配車」アプリをスタート。17年10月31日以降は、「日本交通タクシー配車」のサービスを終了し、「全国タクシー配車」に統合します。

「全国タクシー」アプリへの統合のお知らせ
https://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/iphone/

先ほどの運転手が語ってくれたように、一部のビジネス需要には貢献していると思われる日本の配車アプリサービスですが、中国のように、広く一般の利用が広がっているという実感はありませんし、そもそも運転手が乗り気でなさそう。

なぜそうなるのかといえば、やはり日本ではモバイル決済が中国ほど進んでいないからです。しくみはあっても、運転手が懸念する「ノーショー(予約したのに利用しない)」のケースが出てくるからです。

中国でライドシェアが普及した背景には、WeChatPayやアリペイといったモバイル決済の日常化があります。そのため、客は予約した以上、他の車を利用できなくなり、運転手は取りっぱぐれが起こらないからです。中国の事例に学ぶなら、普及のためには、利用者とドライバー双方にインセンティブが必要だということになります(ここらのやり方は中国のうまいところです)。

もうひとつの理由は、国内に相乗りを日常的に提供するような日本人ドライバーがどれほどいるかという話です。実は、中国でも同じで、白タクの大半はその都市の戸籍を持たない出稼ぎ外地人たちでした。日本で在日中国人が白タクをやるのと似た話です。すでに中国の一部の都市では外地人の白タクは違法となり、摘発も始まっています(ただし、中国では白タク自体は合法)。配車アプリ会社同士のサービス競争で過熱していた数年前のように、市内の至る場所にタクシーと白タクが走り回っていたという状況には、上海ですら再び戻るとは思えません。

日本の一般市民が街角でライドシェアを利用することが普及するには、相当数のドライバーの存在が必要で、時間はかかりそうです。もちろん、便利なサービスですから、今後ゆっくり進んでいくことは間違いないとしても。

そして、結局、日本のライドシェアがいちばん進んでいる領域が、中国の「越境白タク」というわけです。そこにニーズがあるからですが、おかしな話です。

では、日本の国内事情にふさわしいライドシェアのあり方とは何か。

ここでは、国内の日本人が利用するライドシェアのあり方と訪日外国人市場における運用を分けて考えたいと思います。これをごちゃまぜにして議論しようとするのは、現状では賢いとは思えません。

国内向けには、まず地方でのライドシェアを進めることでしょう。迅速に使える利便性を追求するというより、公共の足として普及させる取り組みは、各地で始まっているようです。もちろん、これは過疎地の住民のためだけでなく、地方に出かけたい外国人観光客の利便性を高めることにつながります。大都市圏はモバイル決済の普及を待ちつつ、無理なく進めるしかありません。

過疎地こそ、ライドシェア
http://タクシー転職ガイド.com/kasochi_rideshare/
世界的な配車サービス「ウーバー」は、日本の過疎地を救えるのか? 京都丹後町「ささえ合い交通」を取材した
https://www.travelvoice.jp/20161114-77067
なかとんべつライドシェア(相乗り)事業実証実験
http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/docs/2016081800017/

一方、訪日外国人向けのあるべきライドシェアを考えるためには、現状の違法状態を是正することから考えなければなりません。

この問題を、もうかれこれ40年以上見つめてきた人物に、訪日外国人の受け入れを担ってきた国内老舗ランドオペレーターの団体であるAISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)の王一仁会長がいます。

王会長は言います。「日本のインバウンド市場にはモグリの業者が多すぎる。なぜそうなるかといえば、日本にはインバウンドに関わる法律がないことだ。香港や中国では当たり前にある外国人観光客受け入れ事業に関する規則を定めた法律が、先進国といわれる日本にはなぜかない。

ルールがはっきりしていないから、グレーゾーンだらけになり、モグリの業者は好き放題に暗躍してしまうのだ。なぜ日本政府はルールをつくろうとしないのか。PRにはあんなにお金をかけるのに、いちばん肝心なことはやろうとしない。これでは本末転倒だし、いったい何のために訪日外国人の促進を進めているのか意味がわからない。これは私に限らず、海外の旅行業者はみんな呆れている。

問題なのは、モグリの業者ばかりのせいで、本来お金が落ちるべきところにお金が落ちてこないので、まじめなインバウンド事業者に正当な利益が回らず、モグリの業者や外国人の中だけでお金が回り、きちんと税金が納められることもない。そのせいで、一般の日本人も外国人観光客の恩恵を知らないでいる。外国人の訪日の恩恵は買い物だけにあるのではない。ルールがないことで、いちばん損しているのは日本社会だ」

日本にも観光立国推進法はありますが、ここには外国人観光客の受け入れを推進する目的や意気込みしか書かれていないといわれても仕方ありません。インバウンドビジネスは国内で行う事業であるにもかかわらず、他の産業界にあるような業界を健全に発展させるための原則やルールがない。だから、不法ガイドや違法民泊、白タクなどの参入を安易に許すことになっているというのが、王会長の主張なのです。

王会長は白タク問題を解消するためのこんな提案をしています。

「これは皮肉な言い方かもしれないが、白タク暗躍で見えてきたのは、中国人観光客の個人化にともなう移動ニーズの実態だ。これを駆逐するためにも、税金を使って彼らのための格安の足の手配を官民が協力して用意することはできないか。

いま地方へ外国人観光客を呼び込むのに最も効果的なのは、交通インフラの改善だ。ひとつの手段として、地方への外国人向けの無料バスを走らせたらどうか。もちろん、国内のバス会社に平等に共同でやらせればいい。こういうことに税金を使うほうが、PRに使うより意味があるのではないか」

「外国人向け無料バス」と聞いて、外国人優遇なんて言わないでください。その費用は、海外へのPR費を削って、相殺すればいいのです。

日本は、中国のように勝手にラインやインスタグラムを禁止するような無法な国ではないので、中国の配車アプリを国内で使えなくさせなくすることはできない以上、彼らの違法営業をやめさせるためには、空港での摘発強化に加え、市場のニーズに対応した代替サービスを提供することが必要になります。原則とルールを決めたら、違反する者をきちんと取り締まる。これが第一歩ですが、それだけでは不十分で、市場を動かすためのインセンティブを考えることを忘れてはいけないのです。

この種のリアルなニーズに即したサービスは、宣伝しなくてもSNSであっという間に海外に広まっていくことが考えられます。中国系の人たちは、利用者のインセンティブを直接引き出すやり方をよく知っています。我々も、もう少しそれに学ぶ必要がありそうです。

たとえば、中国配車アプリで定番となっている成田や羽田からの都心部へのワゴン車による送迎サービスで、現行に近い価格帯を実現させることはできないでしょうか(ちなみに、DingTAXI日本包車旅遊の場合、成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円)。

ただし、摘発を同時に進めない限り、配車アプリサービスは個人ドライバーのすることですから、利用客へのキャッシュバックなどで割引するなど、取り込みのための策は続くでしょう。そういう駆け引きをするのが中国人です。その一方で、中国では何事も当局は問答無用で摘発をするのが常ですから、彼らはそういう仕打ちに慣れています。もちろん、中国と同じようにやれという意味ではないですけれど。

乱暴に思えるかもしれませんが、こうしたことは長く外国人観光客を受け入れてきた欧米やアジアの国では常識です。日本人がまだ状況に慣れていないだけなのです。

※ところで、「越境白タク」といえば、その本家はuberといえます。本来はまずuberについて考えるべきところですが、実のところ、国内でどの程度の市場規模になっているのか、よくわかりません。

とはいえ、中国客に限らず、重いスーツケースを持ち、家族や子連れ、小グループで旅する多くの外国客にとって、uberは重宝するに違いないことは理解できます。土地勘がなくても使えるからです。今後の宿題にさせてください。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-30 11:31 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

日本最長老ガイド、ジョー岡田さんは語る「訪日2000万人の半分は日本人と一言も話をしないで帰国する」

先週、国会で改正通訳案内士法が成立したことを受け、どうしても話を聞いてみたい方がいました。

通訳案内士法改正は一歩前進だが、現状では海外から評価されない(無資格を合法にするなら登録制にすべき)
http://inbound.exblog.jp/26889249/
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それは、御年88歳という日本最長老通訳ガイドであるジョー岡田さんです。

日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

今日の午後、岡田さんの携帯に久しぶりにお電話しました。以前と変わらず、お元気そうな声です。

-ついに国会で改正通訳案内士法が成立しましたが、何をお感じになりましたか。

「これで、通訳案内士を守るバリアーがなくなった。研修制度を設け、ガイドのスキルアップをすると言っているが、50年以上ガイドをやってるワシでも、十分な説明ができないときがある。十人十色の外国人相手にガイドをするのは、生半可な気持ちではできない」

-年間2000万人を超える外国人が日本を訪れるようになり、通訳案内士を取り巻く状況も大きく変わりましたね。

「いま2000万人以上の外国人が日本に来るが、半分の1000万人は日本人と一言も話をしないで帰国すると言われている。日本はただのハコモノで、心の交流がない。とても残念なことだ」

岡田さんのことばの重さが身に染みます。いまや85%がアジアからの旅行者です。彼らのほとんどは、ホテルのフロントや飲食店で、片言の英語で事務的な会話をすることはあっても、生身の日本人と心を開いてじっくりおしゃべりする機会はほとんどありません。岡田さんはそれを50年以上続けてきました。ところが、今日どんなに多くの外国人観光客が日本に来ても、その大半は外国語を操る通訳案内士とはまったく接点がなく、日本のことをよく知らない外国人の自称ガイドに案内されているのが実態です。

団体から個人へ旅行形態が変わっても、それは変わりません。そもそも大半の外国人観光客は、日本の通訳案内士制度について知らないでしょう。なぜなら、彼らの旅行手配は日本人ではなく、外国人が手がけているからです。

そういう事態を野放しにしてきたのは、日本の監督官庁です。外国人観光客を増やすことばかりに注力し、受け入れ態勢についてどこまでまじめに考えていたのか。その結果が、今回のなし崩し的な法改正です。古びた法を改正するのは当然のことだと思いますが、いったいそれで何が改善されるのでしょうか。

そのこと自体を岡田さんはいまさらどうこう言う考えはなさそうです。すでに我々とは次元の違う境地にいらっしゃるからでしょう。

毎週、京都で行うThe Last and Only Samurai Showを精力的にこなす日々。88歳というお歳とはとても思えない奮闘ぶりに、ただただ感服してしまいます。
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残念ながら、日本のプロ通訳ガイドは、大きくうねる訪日旅行市場の蚊帳の外に置かれています。もはや違法とはいえませんが、日本のことをよく知らない外国人の無資格ガイドが跋扈しているのが実情です。

本当にこんなことでいいのでしょうか。

それは、日本の大切な価値を粗末に扱うのと同じではないか。

確かに、一般の日本人にとって外国語を操る彼らは縁のない存在でしょう。でも、どんな人物が日本の価値を外国人に伝えようとしているか。こういう肝心なことに、もっと関心を持っていただきたいと思います。

実は、ジョー岡田さんは先ごろ、英文の日本案内書を上梓されました。

タイトルは『Beyond sightseeing the Ultimate-Guide to Japan(観光を超えた究極の日本案内)』です。

近日中に入手する予定なので、あらためて紹介します。

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!
http://inbound.exblog.jp/26896088/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 23:16 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?

先週土曜(5月27日)、新宿NSビルで「バケーションレンタルEXPO」が開催されました。
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バケーションレンタルEXPO
http://minpaku-expo.com/visitor/
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民泊事業を行っている、あるいはこれから行う個人事業者や法人を主なターゲットとした商談会です。主催者によると「3000名を超える人々が来場」「民泊仲介サイトや民泊運用代行会社、清掃代行会社、不動産会社、スマートロック、民泊IoT、民泊支援アプリなど民泊に関わる業種の事業者54社が出展」したといいます。
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同イベントを主催したのは、民泊に関わるあらゆる事業を手がけるメトロエンジン株式会社と株式会社オックスコンサルティングで、両社は情報サイトも運営しています。

メトロエンジン株式会社
http://airstair.jp/
株式会社オックスコンサルティング
http://min-paku.biz/
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確かに、会場は多くの人であふれていました。これだけ多くの外国人が日本を旅行する時代になり、彼らを泊めて趣味と実益を兼ねたビジネスができたら面白そう、と考える人たちの気持ちはよく理解できます。いまブームの民泊をこれから始めてみようという若いカップルやアパート経営に代わる資産運営を考えていそうな中高年の方たち、そしてそこかしこで中国語が聞かれたように、会場の中国人比率はかなり高い印象もありました。

イベントの概要は、主催者発表の以下の記事を参照していただくとして、会場で見たこと、感じたことを以下、思いつくまま報告します。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

まずいちばん感じたのは、出展者をみると、いわゆるプラットフォーム系(マッチングサイト)に関しては、日本勢は惨敗で、中国系の民泊サイトの途家、自在客、住百家、小猪、AsiaYoが勢ぞろいしていたことです。会場の入口正面のメインブースの大半を占めていたのは、まぎれもなく彼らだったからです。
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途家 http://www.tujia.com/
自在客 http://www.zizaike.com/
住百家 http://www.zhubaijia.com/
小猪 http://www.xiaozhu.com/
AsiaYo  https://asiayo.com/

※これら中国系民泊サイトについては以下参照。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

中国系以外はエクスペディア傘下のHomeAwayとホテル予約サイトのAgodaというわけで、日本勢は出展すらしていなかったのです。
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※HomeAwayについては、以下参照。
バケーションレンタルって何?
http://inbound.exblog.jp/26802073/

では、日本企業はどのような業種が出展していたかというと、民泊運用代行会社や清掃代行会社、行政書士などの皆さんです。
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↑民泊用の不動産を提供する「部屋バル」 http://ta-japan.com/
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↑民泊用の清掃を代行する「ハウスケア」 https://housecare.tokyo/
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↑民泊メディアを運営し、支援も行う「メトロエンジン株式会社」では、外国人ゲストとの多言語化サービスも行うhttp://airstair.jp/

昨年、Airbnbは370万件ものマッチングを発表したように、いま国内の民泊を支援するビジネスが必要とされていることはわかるのですが、日本勢は脇役ばかりという印象もぬぐえません。

いったい日本の民泊はどうなっているのか。今年施行されるという民泊新法によって、この市場はどう変わっていくのか。次回以降、探っていきたいと思います。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 20:12 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

通訳案内士法改正は一歩前進だが、現状では海外から評価されない(無資格を合法にするなら登録制にすべき)

先週、ついに改正通訳案内士法が成立しました。

本ブログでも、詳しく扱ってきた問題です。

http://inbound.exblog.jp/tags/通訳・多言語化

これまでは議論ばかりで、状況は変わらないどころか、ますます悪化していくばかりだったことを考えれば、インバウンド市場にとって欠かせないルールづくりのひとつとして一歩前進と評価できます。でも、依然問題は山積みです。

通訳ガイド、無資格でも 外国客急増で 質低下の懸念も(朝日デジタル2017年5月29日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5C03BBK5BUTIL04F.html

「通訳案内士」の国家資格を持つ人にだけ認められてきた外国人旅行者への有償の通訳ガイドが、無資格者でも担えるようになる。外国人旅行者の急増を受け、改正通訳案内士法が国会で26日に成立した。1949年に制度ができて以来初めての大幅な規制緩和。観光業界は新たなガイドへの期待と、質の低下への懸念とが交錯している。

訪日外国人は昨年約2403万9千人で、4年連続で過去最多を更新。そのガイドを担い、正しく日本の歴史や地理を伝えるのが通訳案内士で「民間外交官」とも呼ばれる。試験は毎年1回あり、外国語に加え、地理や歴史、政治などの筆記テストと口述テストがある。専門言語は10カ国語で、昨年度の試験では2404人が合格した。合格率は21・3%だった。

昨年4月時点で約2万人が登録されているが、その約7割は「英語」が専門。旅行者は中国からが最多で約630万人(約26%)、次いで韓国の約500万人(約21%)。東アジアと東南アジアで全体の8割超を占め、ミスマッチが課題となっていた。さらに、有資格者の4分の3は首都圏や関西圏に住み、地方に外国人を呼び込みたい自治体や業界の思惑ともずれが生じていた。

そこで政府は、無資格者にも有償ガイドを解禁することにした。ただ国家資格は残し、より質の高い案内士として活用する方針。また、地域限定で活動する「地域通訳案内士制度」も新設し、地方の人材不足に対応できるようにする。

しかし法改正には、「悪質ガイドにお墨付きを与えるようなもの」と質の低下を懸念する声もある。日本観光通訳協会の木脇祐香理副会長は「外国語能力だけでは不十分。ガイドで日本の印象が決まる。下見など入念に準備して歴史、文化や魅力を紹介し、満足度を上げてリピーターになってもらうことが大切」と指摘する。「優秀なガイドを育て、質を保つための国の新たなサポートも必要になると思う」と話している。

観光庁はガイドをあっせんする仲介業者「ランドオペレーター(ランオペ)」を登録制として指導を強めるなどして、質の低下を防ぎたいとしている。

政府は東京五輪・パラリンピックがある2020年までに訪日客を4千万人まで増やす目標を掲げる。大手旅行会社幹部は「規制緩和が、人材の充実につながれば」と期待している。(伊藤嘉孝)

■通訳ガイドのルールはこう変わる
・有償ガイドを無資格者に解禁
・「地域通訳案内士」の資格を創設
・手配業者を登録制に。悪質業者に罰則も


正直なところ、改正法成立の報を聞いて最初に思ったのは「これで中国人の白タクドライバーによるガイド行為は合法になるんだな」ということでした。これまで「無資格ガイド」と呼んでいた対象、それはたとえば、中国の団体客相手のボッタクリガイドなども皆、資格の有無が問題でなくなるわけです。

もっとも、朝日報道にもあるように、これほど外国人が増えているのに、70年近く前にできた古いルールのままでいいはずはありません。通訳案内士団体など反対派の主張はとてもまじめで、あるべき理想の姿を示したものでしたが、一般国民からすれば、大勢からみて説得力がないとみなされても仕方がないものでした。

通訳案内士法の改正に関する要望書
http://www.ijcee.com/hiroba/guideinsti/demand01_100622.pdf

ただし、今回の改正は、とてつもなく時代錯誤だった大きなタテマエ(有資格者でなければ、有償通訳ガイドをするのは違法)を崩しただけにすぎません。より現実的な通訳ガイドのあり方のために決めたルールである以上、すでに指摘されている多くの懸念や問題を解消していく必要があります。

問題は、訪日外国人を対象とした通訳ガイドの周辺で起きている多くの違法状態について、広く一般国民に理解されていないことです。通訳案内サービスを受けるのはあくまで外国人であって、日本の一般国民ではないため、ピンとこないのは当然です。それでも、これだけ外国人が増えた以上、有資格者でなければ有償ガイドができないことを法で縛るのはどうかという一般社会の常識的は判断から、今回の改正に遅まきながら至ったのだと思います。

通訳案内士法改正は一歩前進だと考えますが、「誰がガイドをするのがふさわしいか」について、もっと議論が必要です。これまで多くの日本人がほとんど考えてこなかったことですが、外国人相手なら外国人がガイドするのがもっともだ、というような誤解をなくしていかなければなりません。

そうでないと、「悪質ガイドにお墨付きを与える」ことにしかならないからです。これまでボッタクガイドやブラック免税店の存在を批判していた中国をはじめとした海外の国々からも、今回の改正だけでは評価されないでしょう。問題の解決にはつながらないからです。通訳ガイドサービスは、海外の人たちから評価されてこそ、意味があるのです。

通訳案内士法改正とともに進んでいる旅行業法の改正案では、これまで規制の対象外だったランドオペレーターに観光庁への登録を義務付けるといいます。悪質な訪日ツアーの増加をふまえ、海外旅行客の安全や旅行の質の確保など、業務の適正化を目指すためのもので、ランドオペレーターには管理者の選任、業務に関する契約書面の作成などを求めることになっています。

ボッタクリツアーの温床となっていた中国系のランドオペレーターを登録制にすることは、ルールづくりの第一歩ですが、結局のところ、これらの問題はランドとガイドの連携で成り立っていた以上、せめて団体客が相手の場合、ガイドも登録制にすることが必要ではないでしょうか。いまは、白タクをはじめ、個人客相手の無資格ガイドが跋扈する時代だからです。

今後は在日中国人をはじめとした外国人のガイドに、研修や登録を義務付けるしくみを新たに加えていくことが求められると考えます。はたしてその外国人が日本を案内するのにふさわしい人物であるか、それを見極めるのは、我々の責任です。自国をガイドする外国人にライセンスを与えるのは、海外では常識ですが、これまで日本だけがなおざりにしてきたのです。無資格ガイドを合法とする以上、これは当然ではないでしょうか。

ランオペ登録制は一歩前進。ガイドも登録制にできるだろうか
http://inbound.exblog.jp/26296114/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 15:56 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 28日

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい?

国際社会が注視するなか、今月18日、万景峰号の北朝鮮の羅津港とロシアのウラジオストク港間の定期運航が始まりました。そして、今週25日(木)、2度目のウラジオストク入港がありました。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から
http://inbound.exblog.jp/26886405/
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しかし、乗客はほんのわずかな人たちだったようです。
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現地関係者によると「羅津港から乗船したロシア客に話を聞いたところ、船内ではレストランやショップが営業していたが、乗客は少なかった」とのこと。
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翌26日(金)夜の羅津港に向けた出港時も「乗客は7~8名で、中国の旅行会社の関係者と若い個人旅行者1名、ロシア人3名、朝鮮人2名ほど。ただでさえウラジオストク港の入管手続きは遅いが、数名の外国人に対して1時間半もかかり、予定では20時発が、結局は21時30分に出港した」といいます。
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↑万景峰号の背後にウラジオストク港に架かる金角橋のネオンが見えます
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↑ウラジオストクを出港する万景峰号

こんなに少ない乗客では、とても定期運航どころではないのではないか。それが率直な印象です。

ところで、前回、中国で万景峰号を利用したロシア・北朝鮮の周遊ツアーが販売されていると書きました。

現地関係者から入手した同ツアーのパンフレットを紹介します。
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「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」です。

これが日程です。
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初日朝7時に延吉集合。バスでロシア国境の町・琿春へ。ロシアのイミグレーションを抜け、一路ウラジオストクへ。翌日は、市内観光。3日目も夕方まで市内観光で、2012年のAPEC会場になったルースキー島などを訪ね、8時に万景峰号乗船。翌朝6時に北朝鮮の羅津港に到着。北朝鮮の経済貿易特区である羅先を市内観光し、午後には中国へ出国。夕方までにはバスで延吉に戻るというものです。

ちなみにツアー料金は、万景峰号の船室のランクによって違います。5月発については、以下のとおり(上段/下段は2段ベッドのこと)。

8人部屋 上段 1880元 下段1930元
6人部屋 上段 1980元 下段2030元
4人部屋 上段 2080元 下段2130元
ツイン 2230元
シングル 2330元

みやげ物店からの売上に対するキックバックで費用を補填するおなじみの中国式ビジネス慣行により、驚くほど安価なツアーになっています。そのため、参加費用は3万円からと安いのに、オプションは別料金で、ウラジオストク港の1時間のボートクルーズ代400元(6500円)、ロシア民族舞踊のディナーショー500元(8200円)、ロシアのタラバガニ料理500元(8200円)など、暴利をむさぼるしくみです。

※ちなみにウラジオストク港のボートクルーズの料金は、個人で行けば1時間700ルーブル(1400円)です。いかに中国の旅行会社がボッタクリしているかわかるでしょう。
http://urajio.com/item/0559

この料金表からわかるのは、このツアーのコストの内訳です。前回、万景峰号の片道運賃は「600元から750元」であることを伝えましたが、この運賃額を差し引いた金額は、これまで中国東北三省の旅行会社が催行してきたウラジオストク2泊3日ツアー料金の1200元相当します。つまり、「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」は、従来のウラジオ2泊3日に万景峰号クルーズと朝鮮観光を加えたものだといえます。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から
http://inbound.exblog.jp/26886405/
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ツアーパンフレットには、旅行会社がツアーコストの原資を得るために立ち寄る免税店が記載されています。ウラジオストク市内にあるロシア産の紫金の宝飾店、ロシア産のチョコレートやウォッカ、タバコをなどを売る免税店、万景峰号が入港する国際ターミナルの免税店の3つです。2013年に施行された新旅游法により、中国ではツアーで立ち寄る免税店についてはパンフレットに情報公開することが義務付けられています。

一方、羅先には、いわゆる免税店はありませんが、こちらでも北朝鮮産の海産物などを法外な価格で売る店に連れていかれます。なぜなら、先ほどのツアー料金からみると、中国の旅行会社は朝鮮側に支払うコストに見合う金額を旅行客からもらっていないと考えられるからです。金を払わない代わりに、中国客にみやげ物を買わせて、その上がりで1日のバス代と観光手配は朝鮮側に請け負わせているわけです。

これは中国では定番ともいうべきボッタクリツアーです。残念ながら、このようなやり方でしか、客を集められないのが現状なのです。これは中国人の日本ツアーやクルーズでも同じです。

このツアーを催行しているのは、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉にある延辺中鉄国際旅行社です。現在、予定されている6月までのツアー出発日は、5月24日、31日、6月7日、14日、21日、28日です。

延边中铁国际旅行社有限公司(※ただし、同社のウエブサイトには掲載されていません)
https://ztlx1.package.qunar.com/

とはいえ、東南アジアのゴールデントライアングル(タイ、ラオス、ミャンマー)と同じく、中国、ロシア、北朝鮮の3ヵ国が接する国境地帯を周遊できるという、この斬新かつ魅力的なツアーも、これまで述べた客観状況や現状の乗客数をみるかぎり、今後参加者が現れるかどうかはかなり疑問です。

もうひとつの中朝国境の町、遼寧省丹東の旅行関係者によると「これまで両国往来の旅を楽しんできた中朝国境沿いの住民も、昨年の核実験以降、さすがに北朝鮮に対する国民感情は悪化している」とのこと。新義州への日帰りツアーも昨年に比べ、半減以下に落ち込んでいるといいます。

※2016年9月9日に実施された北朝鮮による5度目の核実験は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州と国境を接する咸鏡北道吉州郡豊渓里付近だったことから、中国側でも地震が観測されています。

さて、この中国発の周遊ツアーが催行されないとなると、万景峰号の定期運航にも影響を与えることになりそうです。

ある中国メディアは、今回万景峰号の定期運航を企画したロシア側の関係者の「(初運航の際に乗船した)中国の旅行会社7名は船内のレストランや施設を視察した。今後運航を続けられるかは、中国客が乗船するかどうかで決める」とのコメントを紹介しているからです。

中国旅行社测试从朝鲜到俄远东的海上路线(2017年05月18日)
http://sputniknews.cn/china/201705181022655579/

(一部抜粋)「赫梅利还表示:"本次航行是测试,因此船上没有游客,也没有货物。船上只有7名中国旅行社的代表,他们为了保险起见决定亲自考察路线,评估船上的饮食和设施。虽然有中国游客希望乘坐,但是决定先不搭载游客」

先ごろウラジオストクを訪れた現地通によると、「現在ロシア沿海地方には約8000人の北朝鮮労働者がいる。彼らは主に建設現場や水産加工工場などで働いており、北朝鮮への帰省は、鉄道を利用する場合が多く、割高な万景峰号をわざわざ利用することはない」とのこと。一方、「北朝鮮旅行に行くロシア人もいないことはないが、少ない以上、万景峰号の定期運航は中国客にかかっている。しかし、中国人の多くは安かろう悪かろうで、免税店に連れまわされるボッタクリツアーに嫌気が差しているので、どれだけ参加者がいるだろうか」と疑問を呈しています。

中国側でこのツアーを企画しているのは、延辺朝鮮族自治州・延吉の旅行会社です。中国政府は万景峰号に中国客が乗ることについて、朝鮮族による民族交流の一環であるなどとして、制裁違反との批判に対して一定の言い訳ができると考えていると思われます。

現在のウラジオストクには、北朝鮮人労働者のみならず、中国や韓国の観光客が多く訪れています。つまり、北朝鮮を訪れることのできない韓国国民も、この町に行けば、好むと好まないにかかわらず、北朝鮮国民と普通に話を交わすことができるのです。またモンゴル人や彼らと同じ顔をしたブリヤート系ロシア人もいるなど、ウラジオストクは、今日の北東アジアを象徴する国際都市といえます。

日本のメディアは、国連による対北制裁とロシアの思惑という大がかりな視点から万景峰号の動向を理解しがちですが、こうした現地のローカル事情をふまえると、まったく別の視点も見えてきます。

【追記その1】
その後、FNSが4回目の万景峰号の羅先・ウラジオストク航路に乗船したようです。

北朝鮮「万景峰号」内部をTV初取材(FNS2017/06/07)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00360574.html
「万景峰号」に初乗船 船内は?(FNS2017/06/08)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00360643.html

特に目新しい発見はないようですが、「TV初取材」を謳っているわりには、とてものどかな船旅だったようです。

同スタッフは万景峰号の船内を動画で撮っています。

万景峰号をメディア初取材。北朝鮮の「謎の船」の実態を詳しくレポート(ホウドウキョクJun 15, 2017)
https://www.houdoukyoku.jp/posts/13418

正直なところ、何のために行ったのかよくわからないようなレポートでしたね。

【追記その2】

その後しばらくして、中国発のツアー募集は終わってしまいました。今度は、7月からロシア発の万景峰号ツアーが始まるようです。

「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!? (2017年07月08日)
http://inbound.exblog.jp/26975951/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-28 11:58 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 05月 28日

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から

先週5月18日(木)の朝、北朝鮮船籍の万景峰号がロシアのウラジオストク港に初入港しました。当初は9日からと報じられていましたが、ロシア側の事情で延期になりました。今後は、毎週1回、水曜夜に北朝鮮の羅津港を発ち、翌朝ウラジオストク着、金曜夜に同港を発ち、北朝鮮に戻るというスケジュールだそうです(ただし、7月以降は未定)。
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↑ウラジオストク港に入港する万景峰号。運航を行うロシア企業が外観を白粉直しし、内観も旅客用にリノベーションしたという

日本のメディアも同船の入港を以下のように伝えています。

北朝鮮の万景峰号、ロシア・ウラジオストクとの間で定期便始まる(HuffPostJapan2017年05月18日)
http://www.huffingtonpost.jp/2017/05/18/mangyongbong_n_16682488.html

北朝鮮の貨客船・万景峰(マンギョンボン)号が5月18日朝、ロシア極東のウラジオストクに入港した。両国間で客船の定期便が運航するのは初めて。ロシアのインタファクス通信などが伝えた。

万景峰号は平壌郊外にある山の名前にちなんで付けられた。1990年代から主に新潟港とを行き来していたが、北朝鮮が2006年にミサイル発射実験と地下核実験を相次いで実施したため、日本は万景峰号を含め、すべて北朝鮮の船舶の入港を禁止にした。

インタファクス通信によると、定員約190人、積載量約1000トン。ロシア側は船舶輸送会社「インベストストロイトレスト」(ウラジオストク)が運行に携わるという。

また、タス通信によると、万景峰号は17日夕、北朝鮮北東部の羅津(ラジン)港を出発。中国人の観光客ら約40人を乗せてウラジオストクに向かった。19日にロシア人観光客らを乗せて北朝鮮に戻る予定。

インタファクス通信によると、6月までは毎週水曜日に羅津を出発、金曜日にウラジオストクから戻るスケジュールだ。

北朝鮮はミサイル発射実験や核開発などを続けており、アメリカが空母打撃群を朝鮮半島近海に派遣するなど、緊張状態が続いている。

アメリカの圧力などもあって友好国の中国との関係も悪化している。ロシアとの間で定期航路を開いた背景には、北朝鮮が孤立化を防ぎ、観光によって外貨を稼ぎたい思惑もありそうだ。


日本の大手メディアは、アメリカ主導による対北朝鮮制裁が強化されるなか、同船の定期運航の背景に「北朝鮮とロシアの融和的な関係」があることを気にしています。

万景峰号がウラジオストク入港 ロシアと関係強化図る?(朝日デジタル2017年5月18日)
http://digital.asahi.com/articles/ASK5L21B4K5LUHBI009.html

かつて日本と北朝鮮を往来していた貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」が18日朝、ロシア極東のウラジオストク港に入港した。新たに開設された北朝鮮との定期航路に就航したためで、月4回往復する予定だ。核・ミサイル開発を進める北朝鮮へは日米韓に加えて中国も姿勢を強めており、ロシアとの結びつきが強まる可能性もある。

万景峰号は17日夕、北朝鮮北東部の羅先(ラソン)経済特区にある羅津(ラジン)港を出港。約10時間かけてウラジオストクに到着した。到着ターミナルは多数の警官が警備し、岸壁付近への立ち入りを禁止するなど、物々しい雰囲気となった。

接岸した白い船体には、ハングルで「万景峰」と書かれている。乗客は中国の観光会社の代表ら。そのうちの1人は「時間も短く、料金も安い。とても快適だった」と話した。ロシアから食料品、北朝鮮から衣料品なども運ぶ計画だ。

ロシア極東には北朝鮮の出稼ぎ労働者が多く、航空や鉄道の直行便もある。運営するロシアの物流会社インベスト・ストロイ・トレストは「運航は庶民のため。北朝鮮に大きな利益は入らない」としている。

ロシア当局も計画を許可したとみられるが、5月上旬の就航予定が延期され、回数も月6回から4回に減った。今後も順調に運航できるかは不透明だ。

今回就航した万景峰号は92年に建造された2代目とは別の船で、就航に向けて全面改装した。北朝鮮の船は、北朝鮮のミサイル発射を受け、2006年に制裁の一環として日本への入港が禁止された。(ウラジオストク=中川仁樹)


万景峰号がウラジオストクに到着 ロシア、対北融和の姿勢鮮明に(産経ニュース2017.5.18)※共同ニュースの動画付き
http://www.sankei.com/world/news/170518/wor1705180037-n1.html

(一部抜粋)「核・ミサイル開発を進める北朝鮮への国際的な圧力が強まるなか、同国に融和的なロシアの姿勢が改めて浮き彫りになった」

一方、韓国や中国のメディアは、同船の乗客に注目しています。下記の韓国メディアの中国語版によると、「40名いた乗客のうち、90%は中国の旅行会社の関係者」だったと指摘しています。

北韩客货船“万景峰”号开始通航俄罗斯远东港口(KBS World Radio2017-05-19)
http://world.kbs.co.kr/chinese/news/news_In_detail.htm?No=54789

(一部抜粋)「本月17日从北韩罗津港出发的“万景峰”号于18日抵达俄罗斯远东符拉迪沃斯托克。北韩与俄罗斯通航定期客轮还尚属首次。在40多名乘客中,90%是关注海上旅游商品的中国旅行社负责人」。

また以下の中国メディアは「万景峰号の運賃が600元(9800円)から750元(1万2000円)であること。また乗客は、中国からロシアのウラジオストクに行く観光客で、その帰りに航路を利用すること。またロシアで働く北朝鮮の労働者たち」だと指摘しています。

北韩万景峰号客货船 定期驶往海参崴受注目(中广新闻网2017年05月19日)
http://dailynews.sina.com/gb/news/int/bcc/20170519/21007871554.html

(一部抜粋)「根据负责承运的俄投资建筑联合公司网站消息,不同舱位的船票价格为600至750元人民币(约5000-6000卢布)不等。根据获批的6月底之前的时刻表,渡轮每周三从罗津出发,每周五从符拉迪沃斯托克出发。”此外,俄罗斯卫星通讯社同日的另一篇报道《……国旅行社测试从朝鲜到俄远东的海上路线》里介绍说:“渡轮初步计划搭载来自……国珲春的游客赴俄,俄罗斯游客去往罗津港,以及朝鲜工人往返俄罗斯」

確かに、日本メディアのいうように、万景峰号の定期運航は国際社会の対北朝鮮制裁に一定の距離を置くロシア独自の動きという面もありますが、中国を巻き込む動き、すなはち中国人観光客を乗せることで運航を維持しようとしていることがわかります。

万景峰号によるロ朝新航路とウラジオストクで増加する北朝鮮人の事情 (2017年 04月 24日)
http://inbound.exblog.jp/26810634/

実は、中国ではすでに万景峰号を利用したロシア・北朝鮮の周遊ツアーが販売されていることが判明しています。次回は、そのツアーの内容や今週2度目の万景峰号のウラジオストク入港の様子について報告します。

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は無理?
http://inbound.exblog.jp/26886620/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-28 10:01 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 05月 26日

中国の流行語をうまく使った翻訳なんだけど……ちょっと微妙かも?

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

そのブログの記事から転載します。

これまで街で見かけた中国語表記の間違いを探してばかりいましたが、なかには「これは中国人が翻訳しているな」と思わせる名作もあります。

それは「訪日外国人向けワンストップ観光情報サイト」のライブジャパンの中国人向けポスターの文面です。東京メトロのホームに貼られていました。
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ライブジャパン
https://livejapan.com/

そこにはこう書かれています。

「东京观光哪里详
导遍日本数我强」
(東京観光はどこが詳しい
ライブジャパンがナンバーワン」

これを見た中国人観光客の多くは、思わずニヤっとしたことでしょう。この中国語のコピーには元ネタがあるからです。

それは、中国山東省にある有名な工業専門学校の以下の宣伝コピーです。

「挖掘机技术哪家强,
山东技校找蓝翔」
( ショベルカーの技術はどこが優れている
 山東技校で探せばいい)

文章のリズムもそうですし、文末に韻をふんでいて、いかにも中国的なのです。その意味では、とても優れた翻訳例といえると思います。

ではなぜ中国人の多くがこのコピーを見てニヤっとしたかというと、この正式名称「山東藍翔高級技工学校」という工業専門学校のテレビCMはもうだいぶ前から、いろんな意味で評判になっていたからです。

そのCMの一例はYOU TUBEでも見ることができます。
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中国山东找蓝翔 #恐怖蓝翔
https://www.youtube.com/watch?v=YqmbLYWAki4

ご覧のとおり、このド派手な学校案内のためのプロモーションビデオの中で、何度も繰り返されるのが、先ほどの「挖掘机技术哪家强,山东技校找蓝翔」という掛け声です。そして、この仰々しいコピーは、いまどきの若い世代の中国人にとってほとんど流行語のように耳になじんでいるのです。

ただし、それは決して気が利いたコピーというわけではありません。この学校はこのCMで全国的に有名になったことは確かですが、所詮地方の専門学校、日本では信じられないくらい厳しい学歴社会の中国では、大学に行けない連中のための学校にすぎないからです。日本にいる留学生のような恵まれた中国人からすれば、専門学校生なんて、自分とは生きる世界がまったく違う人たちなのです。

ですから、このコピーをチャカしたラップ風のパロディー動画なんかもつくられています。

【蓝翔洗脑广告】挖掘机技术哪家强?中国山东找蓝翔!
https://www.youtube.com/watch?v=AAiZJNhGE0s

このCMは「洗脳広告」だというわけです。

こうしたことを考え合わせると、中国人の若い世代の耳に慣れ親しんだフレーズを元ネタにしたコピーというのは、実際にはかなり微妙といえなくもないのです。

ある中国人留学生はこう言います。「だって、本来東京はCool Japanで売りたいわけでしょう。それが全然coolじゃない山東技校の広告のフレーズに重ねられるなんて、どうなんでしょう?」
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by sanyo-kansatu | 2017-05-26 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 25日

なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?

ここ数日、日本国内で急増している中国の「越境白タク」の実態を見てきました。それにしても、この問題のみならず、なぜ彼らの周辺では次々と違法問題が起きてしまうのでしょうか。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/

これまで本ブログで何度も指摘してきたように、無資格ガイドや違法民泊、ブラック免税店問題など、すべてとはいいませんが、その大半は中国人観光客の周辺で起きています。その理由について、少し考えてみたいと思います。

その前に、不用意に話を進めると偏見を助長しかねない、この問題を考えるうえでの、今日の中国と中国人に対する公平な理解の前提となる2つのポイントを挙げておきたいと思います。

よく「中国人は遵法意識がない」と言われます。この点について、良識ある中国人はそれを否定しません。なぜなら、彼らには、日本や欧米のような民主的な社会を生き、法によって人権が守られているという認識はありません。法は民ではなく、万事為政者が勝手に決めるものですから、常に上から降りかかる、むしろ災厄のようなもの。法の網をかいくぐり、利益を得た人間が賢いと評価される社会です。このような国に生きる人たちを、我々と同じ基準でジャッジしてしまうと、彼らのふるまいの背後にある真意を見間違いがちです。

もうひとつは、少しメンドウな話なのですが、中国が急速に経済力をつけ、ECやモバイル決済、そして配車アプリの普及など、明らかに日本の社会より利便性の進んでいる分野が次々と生まれてきたことから、「最先端のサービスを利用する自分たちがなぜ悪い? むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理が彼らの中に芽生えていることです。

この種の心理は、かつて(欧米社会に対するものとして)日本人にもあった気がしますから、やんわり受け流せばすむ話。とはいえ、国民感情として、言うは安しと感じる方も多いかもしれません。よく「中国人は傲慢だ」と言う人もいますが、あまりに単純固定化して彼らの言動を受けとめるのは思慮が欠けているといわざるを得ません。彼らがそう見えるのは、そうなる背景や理由があるからで、それをある程度頭に入れておけば、理解できない話ではないことは知っておいたほうがいいでしょう。我々とはあらゆる面で価値観が違うのも、そのためなのです。

この2点をふまえたうえで、考えなければならないのは次のことです。

我々の側に、観光客として彼らを受け入れるうえでの原則やルールがあるかどうか。それを彼らにもわかりやすく説明し、理解させているか。それが問われているのです。

しかし、実際にはそのような原則やルールを日本の社会は用意しているとは思えません。そんなことはまるで考えてもいないかのよう。せいぜい観光客がお金を落としてくれるんだから、日本が得意の「おもてなし」をしましょう…。たいていの場合、これだけです。

つまり、結論を先に言ってしまうと、中国人観光客の周辺で起こる違法問題の根本的な原因は、彼らの側だけにあるのではなく、むしろ我々が彼らを賢く受け入れるためのルールづくりをなおざりにしてきたからだ、というべきなのです。

もう半年以上前のことですが、昨年10月、NHKのクローズアップ現代で、中国人観光客の周辺で起こる違法問題を題材にした番組を放映していました。

「「爆買い」から「爆ツアー」へ。いま中国人観光客が目指すのは、都心の百貨店や家電量販店よりも、地方の観光都市。そこは「無資格ガイド」や「白タク」などが暗躍する、無法地帯となりつつある。番組はその実態を探るために潜入取材。その結果明らかになったのは、日本の旅行業法の不備をついて不当に利益を上げる、闇業者の存在だった。急増する中国人観光客がらみのトラブルと、どう向き合えばいいのか。お隣の韓国で成果を上げる、目からウロコの処方箋も紹介!」(同番組HPより)

この番組の詳しい内容は以下のウエブサイトをみてもらえればわかりますが、NHKの取材陣が潜入したという「中国人爆ツアー」の現場のルポと識者らの解説にはいくつかの興味深い指摘がありました。と同時に、つっこみどころもけっこうあったので、解説します。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/

ルポの冒頭の舞台は沖縄です。沖縄はいま全国でいちばん白タク問題で悩んでいるからです。

NHKの中国人スタッフが観光客を装って接触を試みた白タク運転手は20代の中国人。聞けば留学生上がりで、在学中からやっていたといいます。もちろん、彼は通訳案内士の資格もなく、第2種運転免許もありません。明らかな違法営業です。

なぜこんな違法営業がまかり通るかについて、ランドオペレーターのひとりにこう言わせています。「しっかり監督をする組織が、部分がないですから、それが原因で白タクとか不法の民泊に、いま氾濫されている。一番大きいのは税金関係。税金みんな払ってない。資本金も何も必要なく、やり放題。これはおいしい、いっぱいおいしい利益をとるだけ」

そう、そのとおり。監督官庁の存在がまるで不明で、ルールづくりがおざなりにされてきたことが、無法状態の根源だというのです。

こうなってしまった理由として、立教大学の高井典子教授はこう説明します。

「まず前提として、これまでの日本の旅行業界というのは“日本人の、日本人による、日本人のため”の旅行を扱ってきた。

つまり「BtoC」、旅行会社から最終消費者である旅行者、ツーリストに向けてのビジネスに関して旅行業法という法律で管理してきたわけなんですね。

ところが、この数年、急激にアジアの市場が伸びてきていて、これが想定外の成長をしてしまい、いわば真空地帯だった所に新たに登場したのが、今、出てきました、多くの新しいランドオペレーターということになります」。

この指摘は基本的に間違いではないですが、「想定外の成長」「真空地帯」という説明を聞くと、ちょっとつっこみたくなります。というのは、訪日中国人団体客の受け入れは2000年に始まっており、「想定外」などというには時間がたちすぎています。時間は十分あったのに、やるべきことをやってこなかったというべきだからです。「真空地帯」というのも、そうなったのは、急増していくアジア系観光客の受け入れを本来担うべきだった国内業者が、彼らに対する国内の旅行手配や通訳ガイドによる接遇も含めた「おもてなし」をコストに見合わないという理由で投げ出してしまったというのが真相に近い。

とはいえ、言葉も地理もわからない外国人の団体を街に放り出すわけにはいきません。誰かが彼らの接遇を担わなければならなかったのに、国内業者がやろうとしない以上、その役割を買って出たのが在日アジア系の人たちだったのです。彼らは自分たちがそれを担った以上、自分たちなりのやり方でやろうとするのはある意味当然です。観光客の側にとっても、そのほうがわかりやすい。こうなると、日本のビジネス慣行やルールではなく、アジア的なスタイルで運営されていくことになる。それを国内業者は「触らぬ神に祟りなし」と、見てみぬふりをするほかなかった…。これが真相というべきです。

これは日本の家電メーカーがこの20年で中国や韓国の企業に市場を奪われていったケースと基本的に同じだと思います。コストが見合わないという理由で、新しい市場への取り組みを投げ出していった結果という意味で、決して飛躍した話ではありません。コスト以外にもさまざまな理由があったことも確かですが、当時の経営陣は先が読めなかったということでは同じです。

中国人観光客の周辺の違法問題を考えるとき、この視点を忘れてはならないと思います。そうでないと、結局、この番組の後半の流れのような、あたりさわりなく聞き流せばすむ議論で終わってしまうからです。

実際、番組では外国人観光客のマナー問題に話を移し、「ルールやマナーを知らない外国人と気持ちのいい関係をどう築いていくのか」と問いかけます。これからの時代は日本人もそれを受け入れていく(乗り越えていく?)気持ちを持たなければという精神論に向かっていきます。

その際、例に挙げられたのが、忍野八海の湧水にコインを投げ入れる中国人観光客の話でした。こういうことがなぜ起こるかについては、以前本ブログで説明していますが、ひとことでいえば、日本に関する知識のない無資格ガイドが案内しているから起こるというべきで、これも監督官庁の野放しが生んだ問題なのです。

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?
http://inbound.exblog.jp/26383490/

ところで、番組にひとりの中国人コンサルタントが登場します。この人の存在がなかなか微妙です。彼は白タクや違法民泊問題についても「シェアリング・エコノミーは世界的な流れ。その点では中国の方が進んでいます。日本人の日常生活を味わうのは大きな魅力です」という主旨の話をするのですが、前述したような、最近の中国人によく見られる「むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理がうかがえないではありません。これを聞くと、そういう風に話を丸め込まれてはたまらないと感じる視聴者も多かったのではないでしょうか。なぜなら、違法問題を引き起こしている当の本人が言い訳しているようにも聞こえるからです。

これらの問題を解決するための「目からウロコの処方箋」として、韓国の観光警察隊が紹介されますが、これも問題のすりかえに見えます。現状、外国人にマナーを問う前に日本社会がすべきことがあるからです。いま起きていることの多くは、外国客を受け入れるための原則やルールをつくってこなかった日本の監督官庁の姿勢にあるからです。アジア客の接遇を在日アジア系の人たちに投げ渡してしまったことで、彼らは自分たちのやりたいようにやるほかなかったのです。

いろいろつっこみを入れましたが、番組のウエブサイトでは、違法問題の背景について以下の解説を試みています。

なぜ、悪質なランドオペレーターを取り締まれないの?

取り締まるための法律がなかったからです。1952年に制定された旅行業法は、消費者となる旅行者を保護するために旅行会社を監督する目的で作られました。旅行会社から依頼を受け、バスやホテル・ガイドを手配するランドオペレーターは、旅行会社との取引になるため、旅行業法の規制の対象外になります。中国人観光客の数はこの3年で5倍近く増加し、ランドオペレーターの需要が急拡大する中、法の目が届きにくい現在の法制度の隙間をつく形で、次々と悪質業者が生まれきたと見られています。番組で取り上げたバス会社やレストランへの「突然キャンセル」だけではなく、旅行客を物販店に連れ回し不当に高額な商品を買わせる「ぼったくりツアー」で大きな利益を手にする業者もあります。さらに昨今、団体ツアーから個人旅行にシフトする中で、小回りのきく移動手段として「白タク」(営業届けをしないまま乗客を車に乗せ、運賃を受け取る車)や格安の宿泊場所として「無届け民泊」を手配するなど、悪質行為を行う業者も出てきています。

国はどのような対策を取ろうとしているの?

今年になって、国はようやくランドオペレーターの実態調査に乗り出し、全国で800以上の業者があることをつきとめました。現在、旅行業法を改正して、悪質なランドオペレーターを管理監督出来る仕組み作りを進めています。しかし、その一方で、他の業種では規制緩和を進めています。たとえば、これまで外国人を有償でガイドするためには「通訳案内士」という国家資格が必要でしたが、今後は「無資格」でもガイドすることを可能にする方針を打ち出しています。また、「民泊」もこれまで禁止されていた住宅街での開設を解禁する方向です。「2020年に訪日外国人観光客4,000万人」という目標を掲げる中、入国を許可するビザの発給要件の緩和も続ける日本。様々な規制緩和の中で、いかに悪質業者の横行を防いでいくようなルールやチェック体制が出来るかが、今後の課題となっています。


このように番組では、こうした違法営業が大手を振るっているにもかかわらず、政府の方針は「通訳ガイドは無資格でも可能」「民泊は住宅街でもOK」「ビザの緩和」「悪質業者を監督できる法改正を検討」と、規制を緩める方向にあることに疑問を呈しています。

その指摘自体は間違いないのですが、あたりさわりなく終わってしまう精神論や経済効果の話だけではなく、また安易に偏見を助長する結果を生みがちな表層的な実態のルポだけでもない、本質的な議論をしていかなければと感じます。

たとえば、ここでは「悪質業者」という言い方をしていますが、中国人の場合、そもそも法人ではなく、個人で白タクを始めているケースが多いのです。それを「越境配車アプリ」が束ねているのです。この越境性をどう捉えるかがこれからの課題なのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-25 09:58 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)