ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 06月 27日

サハリンで聴いたロシア正教の鐘はカリヨンの演奏のよう

6月中旬、1週間ほどサハリンに行ってきました。

初めてのサハリン行きで、ロシア語もできないものですから、言葉がほとんど通じない外国で、バスや鉄道に乗るにも右往左往する毎日というのは久しぶりのことでした。でも、市井のロシア人たちの善良さに触れることができました。要するに、彼らは、周辺の国々の人たちに比べ、ガツガツしていないんです。北海道のさらに北にある北東アジアの最果ての地に、このような品のいい人たちが静かに暮らしていると思うと、なんだかホッとします。それが第一印象でした。

今回、州都のユジノサハリンスク以外に、サハリン鉄道の北の終着駅であるノグリキやポロナイスク、ドリンスク、ホルムスク、稚内と航路で結ばれているコルサコフなどを鉄道やバスで旅しましたが、どこに行ってもロシア正教会がありました。どの教会も、きれいにお化粧され、輝かんばかり。ロシアの人たちにとって教会がいかに大切な場所であるかを実感します。

これはユジノサハリンスクで広く知らているロシア正教会です。
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こちらはホルムスクの教会で、中に入ると、イコンがぎっしり並べられ、宗教的にとても濃密な世界があります。ヨーロッパのプロテスタント系の教会の簡素な世界とはまるで対極です。実は、同行した写真家の佐藤憲一氏がユジノサハリンスクの教会のミサの様子を撮影しており、近日中に公開したいと思います。
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この時期、サハリンでは午前中は海霧のような雲に覆われ、曇り空は正午過ぎまで続き、午後3時くらいからようやく空が晴れてきます。日本と比べ、時差が2時間早いこともあり、日が暮れるのは夜の9時半頃。ですから、教会などの本格的な撮影は、時刻でいえば午後5時以降がベストといえます。

コルサコフには路線バスで約1時間。この日は午後4時くらいまでずっと曇り空だったので、コルサコフ港の青い海を撮影することを断念し、バスでユジノサハリンスクに戻ろうとしていたら、途中で急に空が晴れてきました。すでに午後5時を回っています。ロシア正教は見た目がとても美しいので、青空の下で撮影をしたいということになり、冒頭のガガーリン公園の近くにあるロシア正教会に行こうと、バスを降りたユジノサハリンスク駅からタクシーに乗ったところ、連れて行かれたのが、勝利広場の隣にある、もうひとつの大聖堂でした。
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こちらの聖堂は巨大です。中に入ってみたところ、まだ内装を工事中でした。それでも、修道女の人たちがお祈りを捧げている姿を目にしました。

教会の外に出ると、いきなり頭上から鐘の音が聞こえてきました。

ロシア正教特有の大小いくつもの鐘をカリヨンの演奏のように鳴らす音です。

その一部を動画に撮りました。

サハリンのロシア正教会の鐘 まるで楽器の演奏のよう(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=9R3q1Cfs-3g

以前、函館のロシア正教会で鐘を鳴らしておられる神父さんにお話を聞いたことがありますが、上手に鳴らせるようになるには相当練習が必要だそうです。確かに、音色を聞いている限り、けっこう難易度の高い「演奏」のように思います。

異国情緒という言葉を強く引き起こされるサウンドスケープといえます。

サハリンは、ひとことでいえば、「日本にいちばん近いヨーロッパの田舎」ですね。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-27 13:53 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 06月 26日

大都市圏を中心に増殖中!中国系「越境白タク」の問題点を追跡

羽田空港や成田空港、そして大都市圏を中心に、人知れず中国系の白タクが増殖している。その背景には、日本に先んじて広く普及した中国の配車アプリサービスが、日本の国内ルールを無視して横行していることにある。日本のライドシェアのあるべき姿を見据え、「越境白タク」の何が問題かを考えたい。 
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羽田空港国際ターミナル1階、午前0時半。タクシー降り場の周辺に何台ものワゴンタイプの自家用車が隊列停車し、大きな荷物を抱えた乗客を降ろしている。一見、家族に見送られる旅行客にも思われるが、乗客の多くは中国客だった。

「それは中国系の白タクです。彼らは営業許可を持たない自家用車で中国の個人客の送迎サービスを行っているのです」。そう語るのは、一般社団法人アジアインバウンド推進協議会(AISO)の王一仁会長だ。

同じことは成田空港をはじめとする全国の主な国際空港で起きている。

中国系白タクが急増していることは、関係者の間では数年前から広く知られていた。NHKの「クローズアップ現代」は昨年10月下旬、中国人観光客の周辺で起きる違法問題の一例として留学生の白タクドライバーを告発している。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/

地元ドライバーの仕事が奪われる沖縄県の事情

なかでもこの問題が深刻な地域のひとつは沖縄県だ。地元メディアは、白タクの背景に配車アプリを使った中国のサービスがあり、3年前から顕在化しているという。

台湾人向け「白タク」中国系運転手がクルーズ客送迎 総合事務局「違法行為」(琉球新報2017年5月1日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-488190.html
中国客も「白タク」利用 沖縄観光、アプリで配車 運転手は県内に100人超(琉球新報2017年5月14日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-495441.html

これらの記事では、いま沖縄で起きている中国系白タク問題をふたつのケースに分けて指摘している。ひとつは、台湾からのクルーズ客が上陸観光の際に「旅客自動車運送事業の許認可を受けず、レンタカーを使って有償で運送」(琉球新報2017年5月1日)するケース。もうひとつは、中国客が「世界各地で事業展開する中国の運転手付き自動車配車サービスアプリを使う」(同5月14日)ケースで、共通するのはドライバーの大半が県内在住の中国人であることだ。

背景には「急増する外国人観光客への多言語対応など、県内の受け入れ態勢の不備が白タクの横行を招いている側面」(同上)があるという。問題は、彼らが営業許可を取らずに課税逃れのヤミ商売をしていることだ。「同アプリに登録し、沖縄で操業できる中国人運転手は100人を超える」(同上)ため、沖縄県民のドライバーの仕事が奪われているというのだ。

中国の配車アプリサービスとは?

では、琉球新報が報じる中国の配車アプリサービスとはどのようなものか。

一般に配車アプリサービスとは、スマートフォンで走行中のタクシーを検索し、自動的に指定場所まで配車するもの。事前に登録をせずに支払いは従来通りに行う方法と、あらかじめ登録を行い、ネット決済で支払う方法を選択できる。

ところが、中国系白タクの場合、日本国内の配車アプリサービスではなく、中国で運営されているサービスをそのまま利用している。つまり、これは「越境EC」ならぬ、「越境白タク」とでも呼ぶべきものである。問題は、営業許可をはじめ日本国内の法やルールはあっさり無視されていることだ。
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↑中国の配車アプリ大手「滴滴出行」
http://www.xiaojukeji.com

なぜこのようなことが起きるのか、理由は明快だ。

中国では日本より先んじて配車アプリが普及し、身近なサービスとして社会に定着したこと。そして、同サービスの配信企業が中国国内と同様に海外でも事業を展開し始めたことだ。

なぜそんなことが可能となったのか。

それは、サービスの担い手である在外華人が日本国内に暮らし、ドライバーをしているからだ。これは日本のみならず、在外華人の住む海外の国々では、どこでも起きている。

配車アプリが提供するサービスとは?

中国にはいくつかの配車アプリサービスがある。なかでも海外展開を積極的に進めているサービスに「皇包車(HI GUIDES)」がある。
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↑皇包車(HI GUIDES)
https://www.huangbaoche.com/

このサービスのキャッチコピーはこうだ。

「华人导游开车带你玩」

”中国人ガイドがあなたを乗せてドライブします”

ここでいう中国人ガイドとは誰のことだろうか?

このアプリのトップページに、以下のような海外都市と同アプリと契約していると思われるドライバー数が載っている。このドライバーこそが「中国人ガイド」というわけだ。NHKの番組でも指摘されたように、彼らの多くは営業許可を持っているとは思えない。

東京:1659名     台北:1643名   大阪:1172名

ニューヨーク:698名  パリ:786名   バリ島:101名

では、実際にどのようなサービスを提供しているのか。東京のページをみてみよう。
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↑皇包車(HI GUIDES):東京
https://www.huangbaoche.com/app/lineList.html

このページには、東京発のさまざまなドライブコースが表示されている。

たとえば、トップにあるのが、富士山日帰りドライブコース。

多くの乗客を乗せる大型バスでもないのに、1名あたりの料金は驚くほど安い。

富士山河口湖→五合目→忍野八海→山中湖温泉

包车一日游,东京往返(東京発1日パッケ―ジ)

489元(7900円)

海外展開しているもうひとつの中国系配車アプリサービスに「DingTAXI」がある。

同サービスの日本ページ(日本包车旅游)をみてみよう。
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↑DingTAXI:日本
https://www.dingtaxi.com/zh_CN/c/japan

トップページには以下のようなコースと料金(一部)が記されている。

東京包车一日游(東京1日チャーター)JPY23,000~

大阪包车一日游(大阪1日チャーター)JPY25,500~

(东京出发)富士山箱根包车一日游(東京発富士山・箱根1日チャーター)JPY36,000~

ちなみに、成田空港から都内へは16,500円、羽田空港からは9,500円とある。

おそらくこれが筆者が羽田空港で見かけた白タクだろう。

中国客に配車アプリサービスが支持される理由

さらに、DingTAXIの「東京1日チャーター」のページをみてみよう。ここには23人のドライバーと自家用車の写真が載っている。それぞれ1日の運行時間や料金に加え、深夜航空便利用客のニーズに合わせた深夜料金なども設定されている。
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↑DingTAXIの「東京1日チャーター」ドライバーリスト

このサービスを利用する中国客たちは、日本を訪れる前に、アプリ上で車の写真や料金、条件などを比べてドライバーを選ぶことになる。予約と支払いは、中国で普及しているモバイル決済で完結するしくみだ。

中国客に配車アプリサービスが支持される理由に、成田空港をはじめとする日本の国際空港から市内へのアクセスのコスト高がある。京浜急行やバス会社など民間による格安な交通手段も登場し、LCC客を中心に利用者は増えているが、中国ではタクシーで2000~3000円も出せば市内に行けることを思えば、相当割高に感じるだろう。

配車アプリこそが、観光客のニーズを満たすサービス

最近のアジアからの個人旅行者は、家族や小グループが多い。荷物も多く、1台のタクシーでは乗り切れないため、ワゴン車が好まれる。中国客は、自国で予約決済をすませるので、日本でドライバーに支払いをする必要はない。土地勘のない海外でドライバーにボラれる心配はないのだ。アプリで簡単に予約でき、適度な価格帯で利用できる白タクが支持されるのは、顧客のニーズに正対するという意味でも、これほど理にかなっているサービスはないのだ。

実は、筆者は日本を訪れた中国の友人が予約した「越境白タク」に同乗したことが何度かある。ドライバーは日本在住の中国人なので、普通に日本語を話すし、友人もドライバーとの会話に支障はない。中国人同士、気軽に会話が楽しめ、日本の事情を聞くこともできる。営業許可のない自家用ワゴン車だが、中国客はそれが違法と知るよしもなく、「日本のタクシーは高すぎる。配車アプリほど便利でお得なサービスはない」と自慢げにいう。彼らには「自分たちは世界に例のない先進的なサービスを日常的に享受しているが、日本はとても遅れている」との思いもある。一方、事情を知らない日本人からみると、ドライバーも客も中国人同士ということもあり、白タク営業とは気づかないだろう。

参考:中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/

「越境白タク」の何が問題なのか?

一般の日本人が知らないうちに、これほど広範囲に中国人観光客を乗せた「越境白タク」が蔓延していた。では、この何が問題だと考えるべきだろうか。

いま日本国内でライドシェア(相乗り)推進をめぐる議論や取り組みが行なわれている。シェアリング・エコノミーと自動運転技術の発達で、近い将来、タクシーが無人化することも見据え、各地で検証実験も始まっている。外国人観光客の増加で、地方への旅行の足もそうだが、多くの荷物を抱えた彼らの最寄りの駅からホテルまでといった短距離需要が拡大しているのも追い風だ。

もっとも、言うまでもなく、日本国内では白タク営業は違法である。そのため政府もライドシェア推進を表明するものの、「白タク解禁」に対するタクシー業界からの反発も強く、「過疎地での観光客の交通手段に、自家用車の活用を拡大する」のが趣旨だと説明している。人口減少により公共交通機関の確保が難しくなった市町村で、住民にとって買い物や通院など日常を支える移動手段としてのライドシェアからまず始めようというのが、国内のコンセンサスである。

ところが、これらの地道な取り組みを無視して、中国の「越境白タク」は増殖している。過疎地の利用から始めようとする日本のライドシェア推進者たちの法令遵守の進め方は、中国配車アプリサービスではほぼ省みられることなく、東京など大都市圏のど真ん中で運用されているのだ。そこに中国客のニーズが集中しているためなのだが、この実態をまったく知らないことにしてまともな議論ができるのだろうか。このあまりに無頓着なフライングを見過していては、日本の社会にとって有用なライドシェアの実現をぶち壊しにしてしまうのではないか。

国内の日本人市場と訪日外国人市場、それぞれのライドシェアを分けて考える

では、日本の国内事情にふさわしいライドシェアのあり方とは何だろうか。

ここでは、国内の日本人が利用するライドシェアのあり方と訪日外国人市場における運用を分けて考えるべきだろう。双方のニーズのありようや普及のための条件は異なっている点が多いからだ。

中国でこれほど配車アプリサービスが普及した背景には、モバイル決済の高い普及率がある。ライドシェアの普及に欠かせないのは、モバイル決済なのである。なぜなら、配車アプリサービスを導入した日本のタクシー会社にとって、予約客のノーショー(ドタキャン)を防止するするには、それが決め手になるからだ。日本ではまだ少し時間がかかるかもしれない。

国内向けには、まず地方でのライドシェアを進めることだろう。迅速に使える利便性を追求するというより、公共の足として普及させる取り組みはすでに各地で始まっているが、ニーズはあっても、もうひとつ盛り上がりに欠けているかもしれない。であれば、過疎地の住民のためだけでなく、地方の観光地に足を延ばしたい外国人観光客へのサービスも提供することで普及させることはできないだろうか。

訪日外国人向けのライドシェアのあるべき姿とは

一方、訪日外国人向けのあるべきライドシェアを考えるためには、現状の白タクによる違法状態の取り締まりから逃げてはならないだろう。

冒頭で中国系白タクの存在を指摘した一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)の王一仁会長は、この問題を解消するためのこんな提案をしている。

「これは皮肉な言い方かもしれないが、白タク暗躍で見えてきたのは、中国人観光客の個人化にともなう移動ニーズの実態だ。これを駆逐するためにも、税金を使ってでも、彼らのための格安の足の手配を官民が協力して用意することはできないか。

いま地方へ外国人観光客を呼び込むのに最も効果的なのは、交通インフラの改善だ。ひとつの手段として、地方への外国人向けの無料バスを走らせたらどうか。もちろん、国内のバス会社に共同でやってもらえばいい。こういうことに税金を使うほうが、PRに使うより意味があるのではないか」

これまでみてきたとおり、中国の配車アプリサービスは、大都市圏のみならず、地方の観光地へ中国客を乗せたドライブサービスも展開している。アプリサイトのリストに載っている観光地はニーズの高い有名観光地が多いが、個別では、あまり多くの外国人観光客が訪れていない地域へのドライブサービスもあるだろう。この不届きな違法サービスも、中国客を地方へ分散させる足となっていることは否定できないのだ。彼らが市場ニーズに直結したサービスを提供しているのは確かなのである。なんという皮肉なジレンマだろう。

観光客のニーズに対応するサービスの提供が必要

団体から個人へと移行した中国人観光客の移動のニーズを正確に捕捉することは簡単ではない。それゆえ、我々は彼らのニーズに即応したサービスを提供できずにいる。そのため、すでに自国で定着したシステムを持つ中国の配車アプリサービスは、日本でこそ優位性を発揮し、好んで利用されているのだ。

そうである以上、彼らの違法営業をやめさせるためには、空港での摘発強化に加え、中国客のニーズに対応した代替サービスを提供することが必要になるだろう。原則とルールを決めて、違反する者をきちんと取り締まる。これが第一歩だが、それだけでは不十分で、市場を動かすためのインセンティブを用意することも不可欠なのだ。

たとえば、中国配車アプリサービスで定番となっている成田空港や羽田空港からの都心への外国客向けのワゴン車による送迎サービスで、彼らの提供する現行に近い価格帯を実現させることはできないだろうか(ちなみに、DingTAXIの場合、成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円)。外国客が利用しやすい決済サービスの構築も必要になる。

訪日外国人の増加は、我々の目の届かない領域でさまざまな不測の事態を引き起こしてきた。その実態を正しく把握したうえで、実情に合わせた対応策を用意することが求められている。

前述の王会長はいう。

「日本のインバウンド市場の問題は、ヤミ営業が野放しのせいで、本来お金が落ちるべき正規の事業者や地元にお金が落ちてこないこと。市場の変化に日本側の対応が追いつかず、すべてが後手後手となり、そこにヤミ業者が暗躍するすきを与えてしまう。その結果、一般の日本人も外国人観光客の本当の恩恵を知らないでいる。それは買い物による消費だけではない。もっと多くの恩恵があるはずなのに、いちばん損しているのは日本の社会である」

この率直かつ真摯な提言に、我々はどう応えていくべきだろうか。
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※上記記事は、2017年6月19日、21日、26日に「やまとごころ」で配信されました。 
http://www.yamatogokoro.jp/report/5540/
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by sanyo-kansatu | 2017-06-26 16:35 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2017年 06月 24日

夕方のバスが増えてきたのは、都心のホテルが埋まらないせい?(ツアーバス路駐台数調査 2017年6月)

6月に入り、依然バスの台数は2012~3年頃のピーク時に比べ、少ないのですが、ここ1、2年と違った傾向が見られるようになりました。

それは、夕方にバスがちらほら姿を見せるようになったことです。

これはどうしてなのか?

この数年、都心のホテル価格が上昇し、安価なツアー料金で訪日する中国団体客は、八王子や木更津といった都心からずいぶん離れた町のホテルを利用するケースが増えていました。

ところが、民泊市場の急拡大によって都心のホテルも客室が埋まらない状況が起きてきたのです。

そのため、都心のホテルは価格を下げ、中国団体客も利用するようになったというわけです。都心に近い場所にホテルがあれば、夕食も新宿あたりですませても問題ありません。移動時間が短くなったからです。

あらゆる現象には、固有の因果関係があります。

そんなこともあり、近所の中国団体客ご用達居酒屋「金鍋」を夕刻通り過ぎるとき、中国客の入店する姿を見かけるようになりました。以前は昼しか見かけなかったのに。

そういえば、新宿5丁目でラオックスの無料バスを見かけました。団体客が減って、ラオックスは中国客を集めるのに大変なようです。
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※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)12:20 2台
2日(金)11:50 3台、17:50 2台
3日(土)未確認
4日(日)未確認
5日(月)未確認
6日(火)11:50 3台、18:20 1台
7日(水)12:30 4台、19:10 1台
8日(木)11:40 2台
9日(金)11:50 3台、17:40 2台
10日(土)未確認
11日(日)未確認
12日(月)18:20 2台
13日(火)未確認
14日(水)未確認
15日(木)未確認
16日(金)未確認
17日(土)未確認
18日(日)未確認
19日(月)未確認
20日(火)未確認
21日(水)未確認
22日(木)12:30 4台
23日(金)11:50 3台、17:50 3台
24日(土)未確認
25日(日)未確認
26日(月)12:20 3台、18:40 1台
27日(火)11:40 2台
28日(水)11:40 2台、18:20 2台
29日(木)12:10 3台
30日(金)未確認
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by sanyo-kansatu | 2017-06-24 15:54 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 06月 02日

素敵なウエブサイトも自動翻訳任せだとダメージは大きいです

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

以下、記事を転載します。


このブログを始めて気がついたことがあります。おかしな中国語表示というのは、街角だけでなく、ネット上にもあふれていることです。

それは外国向けの情報を発信している企業のウエブサイトなどによく見られます。原因は、自動翻訳任せになっていることです。どんなに素敵なウエブサイトでも、自動翻訳任せの中国語をみると、ほとんど意味をなしていないケースが多いのに、そのまま放置されていることが気になって仕方がありません。

本ブログは特定の企業や個人を中傷するつもりはまったくありませんが、あるホテルのサイトを例に出してみます。

このホテルのウエブサイトは、英語、ハングル、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)の多言語表示ができるのですが、言語を切り替えると、そのページが自動翻訳されるしくみになっています。

トップページの頭にその旨了承してもらえるようにと、以下の中国文が載っていました。

「这个网页是被机器进行翻译的。翻译结果不可能100%正确。望您多理解而利用(このウエブサイトは自動翻訳を使っています。翻訳は100%正確ではありません。どうぞご理解ください)。」

この中国語もちょっと気になりましたが、それはともかく、最も残念だったのは、このホテルが提供する日本の伝統文化と和装の撮影サービスの紹介ページの自動翻訳文でした。

それはこのサービスの魅力を伝える核心部分にあたる以下のキャッチコピーです。

(日本語)「唐津での思い出に着物を着て記念撮影しませんか?」
(中国語)「在在唐津的回忆穿和服,不拍纪念照吗?」
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この中国語を目にしたときに、中国人に与えるダメージについては、これを翻訳ソフトで訳した日本語を見ていただくと、想像できるのではないでしょうか。

「唐津の追憶は和服を着て、たたかないでうつしを紀念しますか?」

「思い出を記念撮影に残す」というのは、中国語では「拍照留念」。こんな中国語で呼びかけるといいのではないでしょうか。

「大家何不穿着和服拍照留念呢?」

すべての文章を中国語にする必要はありません。写真を見れば、日本語がわからなくても、だいたいわかります。そのかわり、いちばん肝心なメッセージだけは、自動翻訳ではなく、中国人に頼んで翻訳してもらうというひと手間があるとないとでは、イメージが大きく違ってくるものなのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 15:29 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 02日

ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?

これ、何だと思いますか?
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5月27日に都内で開かれたバケーションレンタルexpoの会場で、ちょっと面白いものを発見しました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

アメリカで開発・製品化された、自宅の鍵をスマホのアプリで開閉できるオートロック『Sesame』です。
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「開けゴマ!」とばかりに、アプリを起動させて操作すると、鍵の開け閉めができるので、民泊のゲストへの受け渡しが不要になるというわけです。

使い方は、以下のレビューにあります。位置を決めて貼り付けるだけなので、10分程度で取り付け作業は終わるようです。

自宅の鍵をオートロック化!『Sesame, by CANDY HOUSE』レビュー
http://yasuos.com/blog/2016/12/23/post-9133/

これまで民泊(家主不在型)のホストがゲストに鍵を渡す場合、直接手渡しするか、郵便ポストに入れるなど、とてもスマートとはいえませんでした。しかし、これを使うと、鍵を“シェア”できるので、手間いらずでセキュリティ的にも万全だというわけです。

『Sesame』を提供しているのは、カリフォルニアのCandy Houseという企業です。この製品を開発したのは、MIT卒業生のDheera Venkatraman氏。ドアの内側の鍵のサムターンに被せて、遠隔操作で回転させるしくみを思いついたのだそう。
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CANDY HOUSE JAPAN
https://www.facebook.com/CANDY-HOUSE-JAPAN-240437093028435/
CANDY HOUSE
https://candyhouse.co/

会場の出展ブースでは、スタッフのみなさんがスマホ片手に『Sesame』の使い方を実演してくれました。バケーションレンタルexpoの会場内でほとんど唯一と思われる、民泊のリアリティあふれる出展でした。
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この種のスマホアプリを使ったオートロックのことは「スマートロック」と呼ぶそうで、同社以外にもすでにいろいろあるようです。以下参照。

Airbnb・民泊向けスマートロックのまとめ・比較
http://min-paku.biz/smartlock

(参考)
バケーションレンタルexpoに関する他の記事は以下参照。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 15:11 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 02日

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?

昨日、民泊新法が衆院で可決されました。

「民泊」解禁法案が衆院通過 全国で可能に(日本経済新聞2017/6/1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H4L_R00C17A6EAF000/

住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案が1日午後の衆院本会議で、与党と民進党、日本維新の会などの賛成多数で可決した。家主に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録をそれぞれ義務付け、誰でも民泊を営めるようにする。参院での審議を経て今国会で成立する見通し。早ければ2018年1月にも施行する。

民泊は急増する訪日外国人の受け皿になっているが、近隣トラブルなどの問題が相次ぎルール作りが課題になっていた。通常は家主が許可を得ずに有料で繰り返し宿泊客を受け入れると旅館業法に違反する。国家戦略特区の制度を使って一部の自治体で旅館業法の適用が除外されているが、これを全国的に解禁する。

法案では営業日数は年間180日以内と定め、自治体が条例で日数を短縮できる規定も盛り込んだ。届け出を怠るなど法令に違反すると業務停止命令や事業廃止命令を受け、従わない場合は6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。


5月下旬に開催されたバケーションレンタルexpoの会場で、存在感を放っていたのは中国企業であったことは、すでに報告したとおりです。日本国内で開かれた商談会なので、正直かなり驚きました。率直に言って、民泊新法が施行された後、彼らはやっていけるのだろうか、と思ったからです。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

今回は、彼ら中国企業の関係者が会場でどんな発言をしていたかについて簡単に報告します。

午前11時から大セミナー会場で行われたのは、中国の大手民泊サイト「途家」役員の杜海COOのスピーチでした。北京清華大学卒でアメリカ留学組らしく、英語によるスピーチを強行する姿には苦笑してしまいましたが(いったい誰に聞かせるつもりだったのだろう?)、途家がExpediaグループの傘下となった背景には、彼のような人物がいたからかもしれません。
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途家
http://content.tujia.com/Japan/Index.htm
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スピーチの中で、彼は途家の右肩上がりの成長を淡々と語ります。2016年末には中国国内と海外の登録物件数が50万件を超えたそうです。日本国内の民泊事業では、市場のニーズが高い東京や大阪、京都、北海道、沖縄に重点を置くとしています。

さらに今年4月、中国富裕層に対する会員制ホテルならぬ、「会員制民泊サービス」(?)のためのプラットフォームVA Shareを立ち上げた話をしていました。会員を集め、国内外の賃貸物件や別荘に投資をし、民泊として使いながら資産運用にも使うということのようです。「所有権をシェアすることでコストを削減」「(会員は)毎年1週間の宿泊権利を獲得」「ホテル予約より50%安い」と話していますが、なんだか日本のバブル期を思い出します。
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以下の中国のネット記事によると「現在、国内外のシェア物件は800に達し、2年以内に6000まで増加する計画」だとか。

途家宣布推出共享度假交换平台VaShare(中国经济新闻网2017-04-17)
http://www.cet.com.cn/itpd/hlw/1916656.shtml
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スピーチが終わると、国内民泊サイトSTAY JAPAN(http://stayjapan.com/)を運営する株式会社百戦錬磨代表取締役社長との対談があり、杜海COOは日本における民泊ビジネスを「合法的に行うこと」をやたらと強調していました。

もうひとりの登壇者は、同じく中国民泊サイト「住百家」の日本法人の夏川峰社長です。彼は20年前に来日したハルビン出身の中国系日本人です。
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住百家 http://www.zhubaijia.com/

彼によると、住百家の設立は2012年で、現在世界70カ国、800都市で38万件の民泊登録物件があるそうです。ところが、彼の話はあまりに抽象的すぎるうえ、日本人でありながら中国語でスピーチしたものを同時通訳するという不可解なスタイルを採用したせいか、何が言いたいのか、よくわかりませんでした。

バケーションレンタルEXPO関係者の発信する記事によると、住百家で海外事業部マネジャーを務めるChoco Zhang氏は「日本には現在2万件ほど物件が登録されており、東京にはマンションが、京都では一軒家などが多く登録されている。住百家上で一番予約が多いのは日本なので、日本市場を重点的に開拓していく」のだそうです。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

同じ記事には、中国系民泊サイト「小猪」の副社長を務めるMichael Sun氏のコメントも載っています。「今日は日本の民泊ホストや民泊運用代行会社、ホールセラーらとより多くのパートナーシップや協力関係を構築するためにやってきた。日本は中国で最も人気がある観光地。我々は日本市場に進出してまだ4ヶ月で物件数も500件だが、今後は5,000件を目指す」とか。

小猪 http://www.xiaozhu.com/

我々の知らないうちに、中国民泊サイトは日本国内の登録物件をこんなに増やしていたのでした。

日経では、中国民泊サイトの成長について、半年以上前のことですが、次のような記事を配信しています。

中国民泊「途家」、エアビーを猛追(日本経済新聞2016/9/7)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX02H23_W6A900C1FFE000/

一般住宅の空室を有料で貸し出す「民泊」の仲介。世界の先頭を走る米エアビーアンドビーの強力な競争相手になりうる中国企業が台頭してきた。途家網(トゥージア)は景気減速下でも衰えない中国人の旅行熱を取り込み、創業から5年で40万を超える物件を抱えるまでに成長した。年1億2千万人を突破した中国人海外旅行客を巡り、アジアでは米中両巨頭のつばぜり合いも始まった。

■物件40万件超

「上海ディズニーに近く、全室テレビとエアコンを完備」。途家のサイトでは観光地やビジネス街の名前から、条件の良さをアピールする物件が簡単に見つかる。上海ディズニーリゾートに近い個人宅は広さ160平方メートルで最大6人が泊まれる。1泊約500元(約8千円)。周辺のホテルで複数の部屋を借りる場合の数分の1で済む。

途家は個人宅のほかにもアパートや古民家、別荘など国内外の宿泊施設を仲介する。2011年の創業で国内外の物件数は43万件。エアビーアンドビーの5分の1の規模だ。中国人の旅行ニーズの多様化に伴い、高級物件にも取り組む。

3月、シンガポールの不動産大手、キャピタランド傘下のアスコットと提携。新ブランド「トゥージア・サマーセット」のアパートを年内に計6棟、2千室を新設する計画で、すでに4月にリゾート地の中国海南島で開業した。世界で高級アパートを運営するアスコットと高品質なサービスを提供し、「中国の中間層を取り込む」と途家の羅軍(ジャスティン・ルオ)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は力を込める。

急成長を支えるのは、中国人の巨大な旅行需要だ。15年は国内旅行者が40億人、海外旅行者は1億2千万人を突破。国内旅行収入は3兆4200億元(約52兆円)に達する。大人数で旅行する中国人にとって戸建てや集合住宅を貸す民泊は比較的安く、利用しやすい。

■自社管理強み 

中国では近年の不動産ブーム過熱で空き部屋が急増。有効活用先を探すオーナーが増えた。途家は中国の不動産最大手の万科企業と提携するなどして貸主も取り込む。

エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応。「欧米人オーナーは自分で管理できるが、中国人オーナーはそうはいかない」(羅軍CEO)

8月には1日の宿泊予約数が5万6千件と過去最高を記録。国内市場を盤石にした途家が次に狙うのは、中国人の海外旅行客だ。3月にはシンガポール同業で世界30万件の登録物件を持つ「ルーモラマ」と提携し、海外物件を拡充している。

「中国版エアビーアンドビー」と呼ばれるまでになった途家に立ちはだかるのは本家エアビーアンドビーだ。同社シンガポール法人でアジア太平洋地域を管轄するジュリアン・ペルサード地域代表は「16年6月時点で中国人利用者は前年比5倍に増えた」と話す。

同社は昨年、北京拠点を開設。7月からは中国の動画配信サイトを通じ、中国人旅行者の人気旅行先であるパリやバンコク、京都のイメージビデオを放送し始めた。

両社の勝負を左右する可能性があるのが手数料の違いだ。途家は貸主の収入から約12%の手数料を徴収するのに対し、エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収。物件数を増やす上ではエアビーアンドビーが優位に立つ。

中国で盤石の強さを誇る途家と、海外の物件数と知名度で先行するエアビーアンドビー。中国旅行者を巡る競争は熱を帯びていきそうだ。


途家に関する報道は他にもいくつかあります。

中国版AirbnbのTujia(途家)、Ctrip(携程)とQunar(去哪)のホームステイビジネスを買収(The Bridge2016.10.31)
http://thebridge.jp/2016/10/tujia-ctrip-and-qunar

中国の民泊大手「tujia(途家)」が日本の高級旅館700軒を掲載へ、「Relux」と業務提携(トラベルボイス2017年2月1日)
https://www.travelvoice.jp/20170201-82407

これら中国民泊サイトの日本進出や日本法人設立にはどんな背景があるのでしょうか。

その理由を普通に考えれば、来年1月に施行される民泊新法への対応だと思われます。これまでのような違法営業は許されなくなるからです。ところが、彼らの話を聞くかぎり、どうやらそういうことでもなさそうな気がしてきます。

日経の記事で興味深いのは「エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応」という部分です。これはどういうこと? 彼らが日本法人を設立したのは、自社で民泊物件の管理をするということなのか?

「貸主の収入から約12%の手数料を徴収」(エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収)と途家の民泊ホストへの手数料が高いのも、そのせいだというのでしょうか?

疑問は尽きないのですが、今回これらの日本法人の担当者と知り合うことができたので、あらためて話を聞きいてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 13:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 01日

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!

2017年5月、日本最長老通訳ガイドのジョー岡田さんが書かれた英文ガイドブック『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』が刊行されました。
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日本最長老ガイド、ジョー岡田さんは語る「訪日2000万人の半分は日本人と一言も話をしないで帰国する」
http://inbound.exblog.jp/26890168/
日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

同書は、いまから50年前の1966年に刊行され、12版(1991)も版を重ねた岡田さんの最初の日本案内書『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』を2年がかりで大幅改訂した渾身のニューバージョンです。

本文オールカラー、106ページの中にコンパクトにまとめられた題材は、超簡略日本史から日本の自然や風俗習慣、食文化、宗教、サブカルチャー、社会生活、教育、人生観に至るまでをカバー。ガイド人生55年の岡田さんがこれまで出会った何千何万人という外国人ツーリストとのやりとりの中で何度も聞かれたであろう質問に対する当意即妙な回答が収められています。

先日に続き、お電話で話を聞きました。

―手元に届いた新著を拝見し、20数年前の旧版と比べ読みさせていただきましたが、とても現代的に編集されており、斬新な内容です。今回の改訂のポイントは何でしょうか。

「旧版は、タイトルが『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』であることからわかるように、観光ガイドが知っておかなければならない日本に関する知識をまとめた、半分プロ向けのテキストのような内容だった。改訂版ではむしろ観光客の目から見て、こういうことを知りたいと思うような内容に絞って書きました。もちろん、日本人なら知っておかなければならない内容がたくさんあります」

―だから、タイトルも『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate guide to JAPAN』(観光を超えた究極の日本案内)なんですね。注目はどのページでしょうか。

「いまからページを言うからメモしてくださいね。25、26、43、50、55、72、94…」

―p25は「Beef or Veggies?」(ビーフor野菜?※岡田さんはアメリカ帰りですから、当然アメリカンイングリッシュです)。これは旧版でも書いてらっしゃいますが、日本の松坂牛と神戸牛のうまさと誕生秘話を紹介する内容ですね。ニューバージョンでは、これに精進料理の説明も加え、Beef or Veggies? とした。p26は「Kampai to The World」。

「世界のことばで『乾杯』は何と言うか。これは大事ですよ」

―p43は岡田さんお得意の「It’s a Joke!」、p50は旧版にもあった日本の近海の魚マップ、p55は旅行者のための10の掟。これらは岡田さんのオリジナル創作で、面白いですね。

※実は、新著が手元に届いた日(5月30日)、テレビ朝日で放映された『日本テッパン遺産』<あなたの町の爆笑名人大賞>に岡田さんは出演していました。番組では岡田さんが外国客をガイドするときの“テッパン”ジョークがいくつか披露されていて、そのうちのひとつが「Ohayo(おはよう)」と「Ohio(オハイオ)」を間違えるというくだり。p43に載っています。
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もうひとつがp26の「Kampai to The World」の応用編で「乾杯(Kmpai)しすぎて支払うお金がないよ(can’t pay)」。
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「俺は冗談ばかり言ってるわけじゃないんだよ。注目してほしいのは、p72の禅に関する解説。ツーリストからしょっちゅう聞かれるのが禅や仏教、神道に関する質問なのだが、これだけの短いフレーズに禅の奥義をまとめたというのは素晴らしい。これを書いた京都大仙院の尾関宗園閑栖は、50年前からの知り合いなんじゃ」

Each day in life is training
Training for myself
Though failure is possible
Living each moment
Equal to anything
Ready for everything
I am alive-I am this moment
My future is here and now
For if I cannot endure today
When and where will I? by Soen Ozeki

―う~ん。こんなことまで書かれているとは…。最後のp94は十二支の解説ですね。

「これは外国人みんな喜ぶよ。自分は何年生まれだから、どんな運勢、性格なのか。欧米人でも、当たっているみたいだなあ」

―他にも「Loveless, Sexless and Aging(日本人のセックスレスや少子高齢化問題)」や「Mascots for Everything(日本のキャラクター文化)」「Working in Japan(日本の労働問題)」など、現代日本社会をちょっぴり風刺的に考察する内容、ウォシュレットの使い方を解説するページもありました。

「いまでこそ、日本のトイレは世界でいちばんきれいということになっているが、50年前、私が外国人と一緒に東海道をバスで案内したとき、ドライブインのトイレは男女共用だった。そりゃもう評判が悪かったものだ」

―なるほど。この半世紀で、日本は大きく変わったんですね。日本がバブル経済に向かった頃、岡田さんはガイドの仕事をおやめになっていた。しかし、21世紀になって世界と日本を取り巻く環境が変わり、東日本大震災後に再びガイドを始められた。そして、この本も新たに蘇ったんですね。

「前回まではほぼ私が書いていましたが、今回は、私以外の執筆者も何人か加わっていて、多くの皆さんから印刷代を援助していただいて出来上がったんです。ぜひ多くのみなさんに読んでもらいたいと思っていますよ」

岡田さんの本は、旧版の頃から日本全国の通訳ガイドにとってのネタ帳として使われてきただけでなく、外国人ツーリストにも好評で、すでに12万部を売り上げています。

旧版までは、国内の有名ホテルのブックショップに置かれていたそうですが、洋書の取次会社が倒産したことから、今回は納品が難しいそうです。だとしても、めげずに多くの外国人ツーリストの手に届けたいものです。なにかいいアイデアはないでしょうか。

もうひとつ思うことがあります。この本の中国語版は出せないものだろうか。なにしろ昨年日本を訪れた2400万人の外国人のうち、2人に1人以上は中国語圏の人たちだったのですから。

何よりこの本の面白さは、外国人の日本に対する関心や目線のありかを、扱われるテーマや題材を通して気づかせてくれることです。読んでいくうちに、なるほど、外国人は日本のことをこのように見ているんだなと理解できるのです。彼らが繰り出しそうな素朴な質問に対してどう答えるかについても、多くのヒントがあります。英語で外国人と会話するためのネタ集といえます。通訳ガイドのようなプロだけでなく、いまの時代を生きる一般の日本人にとっても必携の書といえるのではないでしょうか。

『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』の購入は、岡田さんのご好意により、定価1500円のところ、「通訳ガイド諸氏に限り3冊3000円の特価(送料込み)」でお求めいただけます。通常は1冊1500円+送料200円となります。

購入をご希望の方は samurai_joeokada@yahoo.co.jp までメールにてお申し込みください。

ちなみに、これが旧版の『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』です。
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1ドル=360円時代、前の東京オリンピック開催のしばらく後に刊行された表紙のデザインからは、戦前から通じる昭和のモダニズムが感じられます。特に裏表紙の折り返しを4つ折にして、東海道から近畿、中国、九州に至るゴールデンルートをイラストマップにした装丁は、断然イカしています。ニューバージョン同様、外国人の目線のありかをよく理解した多彩なコンテンツが詰め込まれており、ニッポンのインバウンドのルーツを垣間見る思いです。

さらなる新情報があります。ジョー岡田さんは、かつて『日本の音と民謡』というソノシート付きの本を外国人向けにつくったことがあるそうです、ソノシートには、当時の京都の舞妓の話し声や梵鐘などを収録してあるとか。近日入手予定なので、今度紹介したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-01 16:30 | “参与観察”日誌 | Comments(0)