ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

<   2017年 07月 ( 37 )   > この月の画像一覧


2017年 07月 31日

聖なる高原リゾート、長白山に登る

長白山(朝鮮名:白頭山)は吉林省東南部に位置する標高2744mの名峰だ。清朝を興した満洲族や朝鮮民族の聖地とされるこの霊山には「天池」と呼ばれる美しいカルデラ湖がある。原生林に覆われた山麓は、野趣あふれる温泉や高山植物の宝庫として知られ、国内外から多くの登山客が訪れている。日本からのアクセスも悪くない。北京経由、同日着で山麓まで行ける。(2008年5月、12年7月、14年7月取材)
b0235153_1334527.jpg

↑コバルトブルーに輝く天池に映る白雲。山の天気は変わりやすく、このようなクリアな湖面を見せてくれるのは珍しい

1年の大半は氷に閉ざされた北緯42度の神話の山

5月中旬、長白山の山頂付近はまだ雪を被っていた。北坡の山門を抜け、林道を進むと「長白瀑布」と呼ばれる大きな滝が見えてきた。滝の周囲は氷雪にびっしり覆われていた。

天池に登るのはこれで2度目だった。誰でも安全に登れるように滝つぼの脇にコンクリート製の見栄えのよくないトンネルの登山道ができていたが、以前は滝つぼを間近に見ながら水しぶきで濡れた岩場をおそるおそるよじ登ったものだ。

階段を上りつめると視界が開け、天池から零れる雪解け水がまさに落下する滝口が目の前に見えた。手に触れるとしびれるほど冷たい。これが松花江の源流である。そこから厚い雪の壁の間にできた通り道をしばらく歩くと、ついに天池が目の前に現れた。

それは吹雪舞う北緯42度の極寒の光景だった。天池は一面厚い氷で閉ざされていた。時おり陽光が差し込む瞬間はあったが、頭上を覆う黒雲の変化は早かった。
b0235153_1344812.jpg

↑静寂に包まれた天池では、時おり氷結した湖面を滑るヒューという風の音が聞こえる。対岸は北朝鮮領だ。

1年の大半は氷結する天池だが、7月に入ると、風景は一変する。氷はウソのように消え、湖面は空の色を映して神々しいまでの紺碧に染まる。

天池にはこんな伝説がある。天女の三姉妹がこの湖で水浴びをしていたところ、神の使いのカカサギが赤い実を運んできた。その実を食べた三女は身ごもり、男子を産む。その彼こそ清朝を興した満洲族の始祖だという。朝鮮民族にもこの山麓を民族のルーツと結びつけた伝説がある。いずれも両民族の建国神話として伝わっているが、その舞台がかぶっているのは、いかにも大陸らしい話といえる。長白山系は中朝両国にまたがり裾野を広げているからだ。天池の半分は北朝鮮領でもあるのだ。

長白山は休火山で、歴史上何度も噴火している。特に大きかったのが約1000年前で、吹き飛ばされた岩石や灰は日本にまで届いたという記録も残っている。

このときの噴火の凄まじさを幻視した画家がいる。遼寧省出身の高斉環画伯だ。

彼の代表作『爆発』は、爆裂する長白山から大量の黒煙とマグマが噴き出す光景を描いたものだ。この作品が描かれたのは、改革解放後の1985年で、中国の長い政治動乱が収束し、しばらくたった頃のことである。彼が作品に込めたのは時代への怒りだったのか。

画伯の本来の作風は、大学時代にロシア美術を通じて学んだ油絵や水彩画、フランス印象派の手法を中国の水墨画に融合させた彩墨画を通じて表現される優美な世界にある。今日の中国ではもう出会うことの難しい、人と自然の暮らしが溶け合う夢心地のような原風景を多数描いてきた。その意味では、彼の作品の中でも特異な系列にあたる。

旅する画伯が描いた36年前の江南水郷の原風景
http://inbound.exblog.jp/24977546/
b0235153_1312015.jpg

↑天地から滝に落ちる雪溶け水。ここから松花江の支流に向かい、黒龍江(アムール河)に合流した後、オホーツク海に至る。
b0235153_13134076.jpg

↑外輪山のひとつ、北坡の天文峰展望台から望む氷結する天池。5月でも厚い防寒ジャケットがないと凍えてしまう。
b0235153_1314844.jpg

↑高斉環画伯は1935年遼寧省遼陽生まれ。幼少より高名な水墨画家から手ほどきを受けた彼は、瀋陽の魯迅美術学院卒業後、黒龍江省ハルビンの美術出版社に画家兼編集者として着任。東北三省をはじめ全国を旅しながら絵筆を執った。画歴60年間の集大成となる『高斉環画集』が2015年7月、東京で刊行された。

夏は高原植物の咲き乱れる山岳リゾートに変貌

神話の山にも時代の波が押し寄せている。長白山が今日のように大きく変貌するきっかけとなったのは、2008年夏の長白山空港の開港である。

長白山の観光開発は1980 年代後半から始まり、特に92年の中韓国交樹立以降、多くの韓国人が訪れるようになった。その後、2000年代中頃になると、豊かになった中国の国内レジャー客も大挙して現れるようになった。

登山シーズンは6月中旬から9月中旬の3ヵ月間。この時期、山麓のなだらかな草原に群生した高原植物が一斉に花を開く。北緯42度は北海道の駒ケ岳の緯度にあたるため、オダマキやオヤマエンドウ、キバナシャクナゲ、ツガザクラ、ヒナゲシなどが見られる。

長白山には北坡(北坂)、西坡(西坂)、南坡(南坂)の3つの外輪山から天池を望める登山コースがある。このうち最初に開発されたのは、長白山の北側に位置する北坡山門コースだ。山門からは長白瀑布に向かう道と、途中から中国側最高峰の天文峰に登る道に分かれている。原生林を散策する林道もあり、ショートトレッキングに最適だ。

長白山空港から最も近いのは西坡山門コース。近年本格的な開発が進められ、登山を楽しんだ後にくつろげる温泉付きの国際的な山岳リゾートホテルが続々と誕生している。朝1時起きで展望スポットまでの長い階段を上ると、天池越しにサンライズウォッチングできるのは西坡だけだ。

最近開発されたのが南坡山門コース。山門から頂上に向かう登山道に見られる高原植物の豊富さは随一。鴨緑江の源流となる長さ10kmの大峡谷の絶景もある。コースによってそれぞれ異なる景観や体験が楽しめる。

中国の名山といえば、黄山(安徽省)や廬山(江西省)、泰山(山東省)が有名だ。隆々しく変化に富む奇抜で神秘的な景観はいかにも中国人好みで、道教の世界観と縁が深い。一方、長白山は北方民族の霊山であり、なだらかに裾野の広がる富士山のような美しいシルエットが特徴。原生林やカルデラ湖、火山活動の跡を残す渓谷や溶岩痕、野趣あふれる温泉、高原植物の咲き乱れる光景など、どれを取っても中国では珍しい。

最近では冬季シーズンのスキーリゾート化も進められている。本格的なリゾートとなるにはまだ時間がかかりそうだが、1年中を通して観光客が訪れる山岳リゾートに生まれ変わろうとしている。一方、世界遺産登録を目指す地元吉林省では、野放図な開発は抑制しようとする動きも見られる。登山客の増加が環境悪化をもたらす懸念から、3年前から前述の長白瀑布の脇の登山道は閉鎖され、天池への観光客の立ち入りは禁止されている。
b0235153_13183566.jpg

↑長白山空港の開港以降、北京や上海、長春などから直行便が運航。空港から西坡山門まで車で15分という距離にある。
b0235153_131959.jpg

↑天池の水は落差68mの長白瀑布から落ちていく。雪解けの頃には、水しぶきが登山路まで飛んでくるほど。
b0235153_13193582.jpg

↑北坡の天文峰展望台は天池を望むのに最もポピュラーなスポット。夏は展望台からあふれんばかりの登山客が訪れる。
b0235153_13195827.jpg

↑北坡の原生林の林道を歩くと、エメラルド色の水をたたえる緑淵潭をはじめ、美しい湖沼がいくつもある。
b0235153_13202090.jpg

↑西坡から南坡にかけた長白山中腹はフラワーハイキングのメッカ。キンポウゲの咲くのどかな草原が広がっている。

※『中國紀行CKRM Vol.08 (主婦の友ヒットシリーズ) 』(2017年7月18日発売)に掲載された記事を転載しています。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-31 13:20 | 日本人が知らない21世紀の満洲 | Comments(0)
2017年 07月 31日

021 ウラジオストクで見かけた水兵さん

b0235153_101934100.jpg

元軍港だったこともあるせいか、ウラジオストクの街角では、よく若い水兵さんの姿を見かける。白いセーラー服と角帽姿のまだあどけない若者たちだ。港町らしい風景といえる。(撮影/2012年6月)

※いまも世界中の海軍水兵の軍服として使われているセーラー服の歴史をひもとくと、胸元が開いて逆三角形になっているのは、海に落ちたとき、すぐ服を脱ぎ、泳ぎやすくするためのデザイン(ひとつの説)だそう。そのシルエットがどこかフェミニンだったせいか、19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパ各国で子供服や女性のファッションとして流行したそうです。その流行に少し後れて1920年代に日本の女子生徒の制服に採用されるようになって、いまに至っているわけです。確かに、若い男性が着ていてもかわいく見えてしまいますね。


ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-31 10:20 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 30日

韓国が訪日客数トップになった背景に出国率の著しい上昇がある

2017年、日本を訪れる韓国人観光客がすごい勢いで増えています。

最近、日本政府観光局(JNTO)が公表した「訪日外客数(2017 年6月推計値)」によると、4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップになっています。

4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップ! 中国は伸び悩み
http://inbound.exblog.jp/27007721/

上半期の韓国客の訪日数の伸びは前年度比42・5%増で、6月単月に限ると(これは昨年の熊本地震の反動といえますが)63.8%増です。中国客の6月の前年比が0.8%増にすぎないのと対照的に、目立った増え方です。

彼らの多くは、日本の社会に溶け込んでいるため、欧米客や中国客のように、その存在が気づかれる場面は少ないかもしれませんが、韓国から多くのLCCが運航されている関西方面やフェリーで気軽に来られる九州などでは、地域の人たちにも彼らの存在感が意識されるようになっていると思われます。

それにしても、なぜ韓国の人たちはこんなにたくさん日本を訪れているのでしょう。

韓国系のランドオペレーターの関係者に聞いたところ、以下のように答えてくれました。

「確かに、今年は多くの韓国人が日本を訪れています。この調子でいくと、過去最高の年間700万人が見込まれている。昨年の訪日韓国人は約500万人で、今年は100万人程度は増えるだろうと思っていたら、中国の影響でもっと増えそうです。

ご存知のように、THAAD問題で韓中関係が悪化し、中国を避けようとする韓国人もいて、そのぶん日本に流れている面があります。

しかし、これだけ増えたのは、韓国人の海外旅行の中身が変わったことも大きい。今日の韓国客の行動形態は香港客に近いといえます。7割以上がFITで、リピーターも多い。日本に来ても、国内旅行と同じ感覚で、ゲストハウスを利用したり、温泉や買い物を楽しんでいます。

韓国で個人旅行が一般化したのは10年前くらいからで、LCCの普及と関係あります。手ごろな料金で誰でも日本に行けるようになったことが大きいです。

でも、韓国人が訪れているのは日本だけではありません。日本に限らず出国者数が年々増えているからです。特にこの数年は年々300万人増という勢いです。2014年には日本の海外旅行者数約1600万人に並び、15年は追い抜きました。そして、今年17年は約5000万人の人口の韓国で海外旅行者数が約2500万人。出国率50%という高い上昇が見込まれているのです」

ここ数年の韓国の海外旅行者数の推移 (韓国観光公社より)

2014年 約1600万人
2015年 約1900万人
2016年 約2200万人
2017年 約2500万人(見込み)

彼の指摘のとおり、韓国の出国率は年々著しく上昇しているといえます。国民の2人に1人が出国している計算になるからです。しかし、ここで知っておきたいのは、出国率が高いのは韓国だけではありません。日本の近隣の東アジア諸国は、中国を除くと、すべて日本より高いのです。少し古いデータですが、以下のとおりです。

各国の出国者数・出国率・入国者数・受入率(2014年)※日本旅行業協会HPより
https://www.jata-net.or.jp/data/stats/2016/14.html

    人口/出国者数/出国率(%)/入国者数/受入率(%) ※単位千人
日本 127,061/16,903/13.3/13,413/10.6
韓国 50,424/16,081/31.9/12,619/25.0
中国 1,367,820/98,185/7.2/26,361/1.9 (※ただし、中国の出国率の半分は香港、マカオ渡航が含まれています)
台湾 23,434/11,845/50.5/9,910/42.3
香港 7,264/9,232/127.0/17,589/242.1

2014年の台湾の出国率は50.5%、香港はなんと127%です。

ちなみに、台北駐日経済文化代表処のサイトに2015年の台湾の海外旅行者数は1,318万人(前年比11.3%増加)とあり、出国率は56%になります。

台湾の2015年海外旅行者数、過去最高を記録(台北駐日経済文化代表処2016-04-07)
http://www.roc-taiwan.org/jp_ja/post/29994.html

これらの数字をみていると、いかに日本の出国率(13.3%)が低いか、逆に驚いてしまいますね。実際、日本人の出国率は2000年からほとんど伸びていません。この理由については、いろんな説明ができるのでしょうが、それはここで置くとしても、日本の近隣諸国の出国率がこれほど高く、さらに上昇していることは、確認しておかなければなりません。

前述の韓国系ランドオペレーターの彼は言います。

「日本ではどうしても韓国を政治的な目で見ることが多いと思います。そのせいか、韓国を訪れる日本人が減っています。でも、韓国人は『政治は政治、旅行は旅行』と分けて考える人も多いんです。日本の旅行を心から楽しみにしている人たちがこれほど多いことをぜひ知ってほしいと思います」

きっとそうなんだろうなあと思いつつも、日々メディアで報じられる韓国報道に触れる限り、どうして? と思わざるを得ないのも正直なところです。でも、現実には多くの韓国人が日本を訪ねています。こうした彼らの心理についての分析は、今後の課題としたいと思います。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-30 20:32 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 07月 30日

020 金角橋とウラジオストク港の眺め

b0235153_8231092.jpg

2012年に開通した金角橋はウラジオストクのランドマークとなっている。撮影は、境港行きのDBSクルーズフェリーの乗り場のあるウラジオストク駅方面から。この構図に時折写り込んでくるのは、湾内を行き交う船舶や頭上を元気に飛び回るカモメたちだ。(撮影/2012年6月)

※橋脚高さは225メートル、全長は2,1kmの斜張橋。一見、吊り橋に似ているが、塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造で、日本でいえば横浜ベイブリッジがそう。この橋ができたことで、ウラジオストクのイメージが大きく変わったと思います。つまり、かつての軍港ではなく、人々が普通に暮らす港町として。


ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-30 08:24 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 29日

中国客向けモバイル決済導入はどこまで進むだろうか?

先週、東京ビッグサイトで開かれていた展示会「インバウンドジャパン2017」に行ってきました。 
 
インバウンドジャパン2017
http://expo.nikkeibp.co.jp/ibj/2017/

日経BP社主催の同展示会には、越境ECや各種訪日客向けサービス、マーケティング系の企業が百数十社出展していました。全国の自治体などが多く出展する9月のツーリズムexpoジャパンとは違う、あくまでB2Bのイベントです。

さまざまな出展企業があり、それぞれ面白いのですが、注目はやはり、中国モバイル決済の雄であるアリペイ(支付宝)とWeChatPay(微信支付)の日本市場におけるシェア競争だったのではないでしょうか。日本の小売業界へ中国系モバイル決済の導入を進めるための代理店が何社も出展していたのです。

彼らのブースは入口正面右手にありました。

まずアリペイ系。謳い文句はこうです。

「インバウンド顧客の『爆買い』を呼び込むトータルソリューション
 アリペイ決済最強ツール! Cpay for Alipay in Japan」(日本恒生ソフトウェア)。
b0235153_16400468.jpg

加盟店のレジ処理の際の決済端末で、中国客の手にしたスマホのQRコードを読み込めばレシートが出て終わりというものです。

日本恒生ソフトウェア http://www.hundsun.co.jp

アリペイの本家本元アントファイナンスの日本法人ブースもありました。

アントファイナンスジャパン https://www.antfin.com/index.htm?locale=ja_JP

そのブースの中にはANA系の金融サービス会社もあります。

ANA Digital Gate http://www.ana-dg.com

アリペイ系の関係者に聞くと「今後、アリペイの決済は中国だけでなく、タイなど東南アジアにも普及するので、中国以外の訪日客でも利用が広がることでしょう」。

一方、WeChatPay系は「モバイル決済額はまだアリペイより小さいが、こちらは微信というSNSと連動した決済サービス。いずれシェアはアリペイを超えるといわれています」。
b0235153_16475988.jpg

以下のような関連企業が出展していました。

インタセクト・コミュニケーションズ http://www.intasect.com/
アプラス(新生銀行グループ) https://wechatpay.aplus.co.jp/

WeChatグループで、中国版食べログの「大衆点評」の日本法人も出展していました。

大衆点評 http://www.dianping.com/
同サービス東京のページ http://www.dianping.com/tokyo
b0235153_16413771.jpg
ざっと見た限り、まだ飲食店よりもショッピング施設の情報量のほうが多そうですが、ここでも中国国内向けのサービスがどんどん海外に「越境」していることがわかります。要するに、日本の飲食店も「大衆点評」に広告を出せば、中国客を集客できるというわけです。

今後、決済額でもアリペイをWeChatPayが超えるだろうという指摘は、以下の日本経済新聞でも報じられています。

スマホ決済 中国8億人に ネット大手テンセント
脱現金 利用者が急増 16年の市場倍増600兆円 (日本経済新聞2017/3/24)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX23H1S_T20C17A3FFE000/

(一部抜粋)「もともと中国でスマホ決済の主役は、電子商取引最大手のアリババ集団だった。自社で展開するネット通販の商品購入時に「アリペイ(支付宝)」と呼ぶ決済機能を使ってもらうことを中心にユーザーを増やしてきた。

ところが、そこにテンセントが9億人近い微信ユーザーを連れ、昨年から本格的に攻めてきたのだ。自社のスマホ決済「微信支付」を主力に、すでに昨年9月末時点で8.3億人の決済ユーザーを獲得。同4億人のアリババの「アリペイ」を、あっさり抜き去った。

決済金額ベースでは、高額商品も扱うネット通販向けが主力のアリババにまだ及ばないが、2014年に79%あったアリババの市場シェアは昨年50%まで低下。逆にテンセントが38%を獲得し、猛烈な追い上げを見せている」


こうした中国での覇権争いが日本にまで波及しているわけです。ここに日本の金融サービスが見当たらないところは残念ですけれど、いまインバウンド市場において最もホットな話題といえるでしょう。

ところが、今年に入って訪日中国客が伸び悩んでいます。先週、日本政府観光局(JNTO)が公表した「訪日外客数(2017 年6月推計値)」によると、今年上半期(1~6月)の中国客の伸びは前年に比べ6.7%増にすぎないこともそうですが、6月に限ると、前年比わずか0.8%増。ここ数年、毎年倍増ゲームのように訪日客を増やしてきたことを考えると、大きな変化といえます。これほど伸びが縮んだのは震災以来、初めてかもしれません。

4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップ! 中国は伸び悩み
http://inbound.exblog.jp/27007721/

さらに、観光庁が今年1月中旬に公表した2016年の「訪日外国人消費動向調査」によると、こちらも異変が起きています。「国籍・地域別にみると、オーストラリアが最も高く(24万7千円)、ついで中国(23万2千円)、スペイン(22万4千円)の順で高い。中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅となった」。

つまり、もはや中国客は個人レベルでみると、日本でいちばんお金を使ってくれる人たちではなくなっているのです(数が多い分、全体ではトップですけれど)。

「モノ」から「コト」消費へ移行というのはデータからみれば、俗説じゃないかしら
http://inbound.exblog.jp/26654584/

はたして、こうした客観情勢の中で、中国系モバイル決済サービスの導入はどこまで進むでしょうか。かつて「爆買い」の恩恵を受けた百貨店や量販店、免税店の大手はほぼ導入が進んでいます。コンビニでも、ローソンがアリペイを全店導入。ファミリーマートでも一部店舗で導入を始めているそうです。

最後に、会場で知った情報を少し。まず今月、世界遺産になったばかりの宗像・沖ノ島(福岡県)の展示があり、現地の詳しい地図を入手しました。今後は沖ノ島への上陸自体が難しくなりそうですが、それ以外にもいくつかの美しい島があります。
b0235153_16483380.jpg
もうひとつは、都内新宿や浅草のハラルレストランマップを入手。最近、ヒジャブを巻いたムスリム客が増えていることもあり、この種の情報発信が大切になっていることを実感します。

インバウンド展示会は、世の中で次々といろんなことが起きていることを教えてもらえ、勉強になります。

[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-29 16:43 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 07月 29日

019 鷹の巣展望台に上るケーブルカー(ウラジオストク)

b0235153_10521850.jpg

金角湾を見下ろす鷹の巣展望台に上るには、レトロなケーブルカーがおすすめ。乗り場は金角橋のたもとに近いプーシキン劇場の隣にある。乗車時間はわずか2分だが、このケーブルカーは約50年前から運行している。(撮影/2012年6月)

※ウラジオストクには、このケーブルカーだけでなく、レトロな乗り物が多く、楽しいです。


ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-29 10:51 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 28日

2017年上半期、ウラジオストクを訪ねた日本人は前年比250%の増加

今朝ほど、環日本海経済研究所(ERINA)のメルマガ「北東アジアウォッチ No.315」(2017年7月28日発行)が届き、2017年上半期、ウラジオストクを訪ねた日本人は前年比250%の増加とのロシア報道を伝えました。

環日本海経済研究所(ERINA)
http://www.erina.or.jp/

◇2017年上半期に28万人の外国人観光客が沿海地方を訪れた◇

上半期の実績で、約28万人の外国人観光客が沿海地方を訪れた。前年同期比の成長率は2割強だった。

沿海地方観光局の発表によると、観光客の大多数は従来通りアジアの国々(中国、韓国、日本)からやってきた。「観光客数で絶対的な首位は、従来通り中国だ。上半期の実績によると、中国人観光客の数は18万6000人を超え、2016年上半期の10%増だった」と観光局では指摘している。

観光客数の第2位は韓国だ。今年上半期に沿海地方を訪れた韓国人観光客は3万5000人を達成。これは前年同期実績を80%上回っている。

最も印象的な成長を示したのは日本からの観光客数だった。日本から沿海地方を7000人強が訪れた。この数字は2016年の総合実績(8700人)を少し下回る程度だ。前年同期比成長率は約250%となった。

コンスタンチン・シェスタコフ沿海地方観光局長は、「沿海地方は今年、連邦中央の支援の下、観光産業の発展を目的とする主要な国際見本市で複数のイベントをやって来たし、今後も行っていく。さらに、我々は連邦観光局主催の一連のロードショーに参加し、韓国・ソウル、中国・香港、日本・大阪のプロのバイヤーに沿海地方の観光ポテンシャルを紹介した」と話した。(沿海地方政府7月10日)


ロシア政府が公約(?)した沿海地方のビザ緩和(電子化によるアライバルビザ発給)をスタートさせる8月1日がもうすぐ近づいてきました。

関係者の話では、いま東京や大阪のロシア総領事館は大混雑だそうです。8月1日のビザ緩和の報道を受けて、航空券の予約を入れたものの、どのようにスタートするのか、ロシア側の情報発信がないため、急遽、従来どおり観光ビザを申請するために領事館に足を運んでいる人が多いからだそうです。

まったく困ったものですが、8月にウラジオストクを訪ねたいと考えている人は、従来どおり領事館でビザを取得しておいたほうが無難と思われます。

8月1日以降、ビザ申請のページを大使館、領事館のHPに載せるということになっているのですが、どうもロシアという国は、こういう新方式をスムーズに運用することが得意ではないようです。実際、ウラジオストクのビザ緩和は、数年前からずっと言われていたことだからです。

いずにせよ、近隣の国々から多くの旅行客がウラジオストクに押し寄せていることは確かです。

今後、新しい動きが出たら、本ブログでも報告していきます。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-28 10:33 | 日本に一番近いヨーロッパの話 | Comments(0)
2017年 07月 28日

018 鷹の巣展望台のキリルとメテディウスの像(ウラジオストク)

b0235153_882622.jpg

金角湾を見下ろす鷹の巣展望台には、ギリシャ語をスラブ語に翻訳しスラブ世界にキリスト教を布教した東方正教会の宣教師キュリロスとメトディオスの兄弟の像が建っている。彼らはスラブ語諸族が使うキリル文字の原型となるグラゴール文字を考案した。彼らの像をここに建てた理由は何か。ウラジオストクが極東に位置するスラブ語圏最果ての地であることは間違いない。(撮影/2012年6月)

※ロシア人がウラジオストクを開港したのは、ウスリー河以東の現在の沿海地方を勢力下に入れた1860年の北京条約以降です。このような極東の地の果てまでスラブ圏を広げようとしていたロシアと日本の関係もこの頃から始まります。まもなくウラジオストクへの日本人のビザ緩和で、8日間の自由渡航が始まりますが、この150年の歴史の中で、再び日本人とウラジオストクの新しい関係が生まれるのだとしたら、とても面白いと思います。


ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-28 08:09 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 27日

017 鷹の巣展望台からのウラジオストク港の眺め

b0235153_925569.jpg

ウラジオストク旅行者が必ず訪れる鷹の巣展望台からは、金角湾をまたぐ金角橋と港の全貌が見渡せる。正面のはるか先に見える島影はルースキー島だ。橋脚の高さは225m、全長は2.1kmの吊り橋で、2012年9月のAPEC開催時に開通した。かつてウラジオストクは軍港で、ここから何隻もの軍艦が見渡せたものだが、いまはほぼ姿はなく、平穏そのものに見える。(撮影/2012年6月)

※いまやウラジオストクの顔となった金角橋。9月下旬に開催されるウラジオストクマラソンでは、この橋もコースになっています。

第3回ロシア国際ウラジオストクマラソン参加者募集中!
http://inbound.exblog.jp/26970086/

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-27 09:29 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 26日

016 ウラジオストクの目抜き通りを闊歩するロシアンガールズ

b0235153_9405447.jpg

金角湾に沿って東西に延びるスヴェトランスカヤ通りを歩く地元の女性たち。ウラジオストクの目抜き通りに、彼女らが颯爽と繰り出す夏は、街がいちばん華やぐ季節かもしれない。(撮影/2012年6月)


※取材先で道行く人たちのスナップを撮ろうとすることはよくあるのですが、この町ではつい若い女性のスナップばかり撮ってしまいます。

ウラジオストクの美女たち
http://inbound.exblog.jp/20115798/

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-26 09:42 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)