ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 10月 31日

102 長白山北坡の天文峰展望台

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長白山登山のレジャー化は1990年代から始まったが、それが可能となったのは、北坡の天文峰展望台への自動車道路が整備されてから。展望台の下の駐車場に見えるランドクルーザーの台数やドライバーなどすべては吉林省の長白管理委員会が運営管理している。(撮影/2014年7月)

※日本の富士登山道のひとつ「富士スバルライン」が開通したのは1964年。五合目まで車で登れるようになったことが、富士登山客を急増させました。同じことが中国では1990年代に始まったのです。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(長白山編)
http://border-tourism.jp/changbaishan/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
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by sanyo-kansatu | 2017-10-31 07:54 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 30日

日本のシェアサイクルはツーリスト向けにサービスを特化したほうがいいのでは

今夏、中国のシェアサイクル大手のMobike(摩拝单车)やofoが日本に進出するニュースが流れ、話題になりました。

自転車シェア中国「モバイク」、日本で10カ所展開へ
23日から札幌でサービス (日本経済新聞2017/8/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22HZZ_S7A820C1EA2000/

ソフトバンクとの協業で日本進出するケースもあります。

ソフトバンクC&S、Ofoと共同でシェアバイク事業を開始――まずは東京・大阪で9月から
http://jp.techcrunch.com/2017/08/09/20170809ofo-softbank-japan-dock-less-bikesncidmobilenavtrend/

中国語で「共享单车」と呼ばれるシェアサイクルは、確かに中国の都市部を中心に驚くほどのスピードで普及しました。去年の秋ごろから一気にです。

今年3月に上海に行ったときも、街中でシェアサイクルが走っている光景を見て、かなり驚きました。
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南京でも同様の光景を見かけました。
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外国人も利用していました。思うに、この種のサービスは外国人やよその土地から来た人にとって重宝するもので、出張中のぼくも利用したいと思ったのですが、中国に銀行口座をつくり、WeChatPayのような決済アプリと紐づける必要があり、時間がないので断念しました。
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これらのシェアサイクルには、QRコードが付いていて、利用者はスマホでスキャンして鍵を開けます。
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興味深いのは、中国では都市の一般住民が利用していることです。地下鉄駅から職場までの「最後の1km」が合言葉で、そのようにちょい乗りされることが多いそうです。いちばん驚くのは「好きな場所で借りて、どこでも乗り捨てできる」ことです。
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その仕組みは、中国の人たちの意識を変えるとも言われています。なぜなら、すべての自転車の位置と利用者の情報を配車アプリ企業は握っている以上「盗んでも意味がない」ため「悪いことはできないから」です。

中国を席巻するハイテク「シェア自転車」~仕組みで意識を変える試み(NECwisdom2017年02月02日)
https://wisdom.nec.com/ja/business/2017020201/index.html
中国で「シェアエコノミー」が大爆発中のワケ
「シェア自転車」人気の背後には何があるのか(東洋経済オンライン2017年06月14日)
http://toyokeizai.net/articles/-/175441

ほかにも中国でシェアサイクルが普及した理由はいろいろありそうですが、個人の自転車を路上に置くと、鍵をかけても悲惨な状況になりがちで、だったらシェアサイクルのほうがいいや、となるのかもしれません。
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このサービスを支えるために、夜になると、大型トラックが自転車の再配置のために市内を走りまわっているようです。より利用の多い地区に、夜のうちに自転車を運び去ってしまうとは。ここまでやるというのはすごいと思いました。
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こうしたことから、世界に自らの先進性を誇りたい中国政府も、ちょうど3月上旬に開かれていた全人代で「共享单车」ビジネスの支持を表明していました。
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上海で見かけたシェアサイクルは以下の5社でした。大手はMobikeとofoです。日本に進出したMobikeは日本語サイトもあります。
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Mobike(摩拝单车) https://mobike.com/cn/
Mobike Japan https://mobike.com/jp/
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ofo http://www.ofo.com/
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享骑电单车 http://www.xqchuxing.com
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小鸣单车 https://www.mingbikes.com/
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永安行单车 https://www.youonbike.com/

それぞれ保証金(利用の登録時に最初に払うデポジット)や料金が違います。また自転車のデザイン性ではofoが人気だとか、料金の安さでは小鸣单车(0.1~0.5元/30分)とか、電動自転車の享骑电单车だとか、微妙に差別化しながら個性を競い合っています。

それにしても、このようなサービスでどうやって企業は利益を得ているのでしょう。中国の友人によると「最初に利用者からもらう保証金(99元~299元)の金利ビジネスですよ」とのこと。これほど安価なサービスを提供するビジネスが超スピードで拡大したのも、どれだけ利用者を集められるかに事業の成敗がかかっていたからでもあるのです。低金利の日本ではちょっと考えられません。

さらにいえば、いまの中国の経営者の考え方も反映されていて、新しい市場が生まれると、いち早く参入し、そこそこの市場シェアを獲得しておけば、どこかの時点で大企業に買収してもらえる。そうすれば、事業自体に利益が出ていなくても、売り抜けてひと財産築ける。大企業側も最初は資金力を活かして利益度外視で市場拡大にひた走る。そのうち大半の中小企業はふるい落とされ、結局は大手の寡占状態となる。利益を取るのはそれからでいい…。このようにビジネスシーンが展開していく例は、配車アプリでいま「滴滴」が一強になったことからもわかるでしょう。

もっとも、市場の拡大は街への自転車の氾濫を引き起こします。今年7月までに、すでに1600万台の自転車が街に投入されたというのですから。

中国のシェア自転車、急増で「悲惨な運命」(WSJ2017 年 4 月 4 日)
http://jp.wsj.com/articles/SB10352219306287233570804583063854080347428

中国はかつて「自転車大国」で、通りも広く、自転車専用道路もそこそこあるため、大きな問題にはなっていないといえるのかもしれませんが、このサービスを日本に導入するのはかなり難しいだろうと言わざるを得ません。

その点について、中国事情に詳しいルポライターの安田峰俊さんも指摘しています。

シェア自転車の"上陸"を阻む日本特有の壁
福岡で"モバイク"が始まらない理由(プレジデントオンライン2017.10.24)
http://president.jp/articles/-/23406

同じことは台湾にもいえるようで、シンガポールのシェアサイクル企業が進出したところ、迷惑駐輪が多発しているそうです。

台湾各地に進出の「oBike」、迷惑駐輪多発 台北市が法整備へ/台湾(フォーカス台湾2017/07/11)
http://japan.cna.com.tw/news/atra/201707110001.aspx

そもそも日本の一般の人たちにとってシェアサイクルはどれほどのニーズがあるのでしょうか。たいてい自分の自転車は持っていて、生活圏ならそれを利用するでしょうし、職場の近くでは…そりゃあったら便利とはいえるでしょうけれど、いつ乗ればいいのでしょう。先日、都心のオフィス街でサラリーマン風の男性がレンタルサイクルに乗って横断歩道を渡っている光景を見ましたが、ちらほら見かけるというのがせいぜいです。
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むしろ、このサービスはツーリスト向けではないかと思います。外国人もそうですが、日本人だって旅行先で自転車に乗って観光地をめぐれたら楽しいものです。中国と日本の社会の違いを考慮せず、そのまま同じサービスを導入しようとしても、うまくはいかないものです。それはお互い様です。

ですから、これは進出してきた中国企業に限らず、日本のすでに始まっているシェアサイクル事業に関しても、いち早くツーリスト向けのサービスに特化していくような発想の転換をすることが利用者の支持を広げることにつながるのではないかと思えてなりません。そのためには、多言語化うんぬんもそうですが、外国人にも日本人にも徹底してわかりやすいレンタルシステムを提供する必要があります。

その意味で、中国の仕組みは(モバイル決済の普及が前提となっていますが)非常にわかりやすく、優れているといえるでしょう。日本の現状のレンタサイクルはポート式とならざるを得ないため、自転車を返却しようとしたらポートが埋まっていてできなかったり、ポートに行っても自転車がすべて使われていたりで、GPS連動で1台単位で管理し、決済もスマホのみで完結する中国式には利便性ではとても及びません。

日本の場合、GPS連動やモバイル決済はすぐには無理でも、せめて全国ネットで地方の観光地を同じプラットフォームで管理でできれば、利便性も上がると思います。つまり、東京で登録すれば、地方都市でも使える。そうなれば、プロモーション費用の効率化やシステムの共有化につながり、シェアサイクルの促進に貢献するのではないでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-30 10:35 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 10月 30日

中国配車アプリ大手「滴滴」が日本に進出だそうだけど、訪日中国人向け「白タク」はどうなるの?

今朝、面白いニュースが飛び込んで来ました。中国配車アプリ大手の「滴滴」が来春、日本に進出するというのです。

中国配車アプリ「滴滴」、来春にも日本でサービス
第一交通と組む (日本経済新聞2017/10/30)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22855700Z21C17A0MM8000/

タクシー配車とライドシェア(相乗り)サービスで世界最大手の中国・滴滴出行が日本に進出する。タクシー国内最大手の第一交通産業と組み、2018年春にも東京都内で配車アプリを使ったサービスを始める。シェア自転車やアリババの電子決済など中国発のサービスが相次ぎ日本に上陸。規制などのハードルもあって日本企業が手をこまぬいているうちに、中国など新興国企業の後手に回る懸念も強まっている。

スマートフォン(スマホ)のアプリを使った新サービスでは中国勢が急成長しており、日本への進出も相次いでいる。モバイクが8月から日本で事業を始めたシェア自転車など、日本企業が出遅れている事業も多い。

滴滴の配車アプリの登録者数は約4億4000万人。米ウーバーテクノロジーズの中国事業も買収しており、1日当たりの利用は2100万回以上と、配車サービスで世界最大手に位置する。

配車サービスは、アプリの地図で出発地と目的地を指定すると、事業者に登録した運転手が迎えに来る仕組み。利用者はアプリを介して料金を支払う。日本では自家用車の有料配送が「白タク」行為として原則禁止されているため、滴滴は配車アプリでタクシーの利用客を囲い込む。

まずは保有台数約8700台と国内最大手の第一交通と組み、18年春にも都内で約500台を滴滴のアプリで配車できるようにし、将来は数千台規模に増やす。各地のタクシー会社とも連携して全国規模で展開することで、日本でもネットを使った配車網の主導権を握る考えだ。

滴滴にはソフトバンクグループも出資しており、日本法人の設立なども視野に入れる。滴滴の配車アプリは現在、中国語版の利用が中心だが、日本語にも対応するとみられる。

第一交通は滴滴との提携で、中国からの訪日客のタクシー需要を取り込む。第一交通と滴滴は手数料や具体的な運用方法など細部を詰めている。

配車アプリではウーバーもすでに日本に上陸し、都内でタクシーやハイヤーの配車サービスを手掛けている。一部の過疎地では自家用車を配車するが、法的には例外扱いとなっている。


ついに中国のシェアエコノミーを代表する配車アプリ企業が日本のタクシー会社と組んで事業を始めるそうです。こちらは営業車のサービスですから法的になんら問題ないし、日本のすでにある配車サービスを凌駕する利便性を発揮できれば、日本人相手でも可能性があるのかもしれません。

日本で仮に自家用車によるライドシェアが解禁されたとしても、昼間に学校や職場に行かないで車を走らせることのできる人などどれほどいるでしょう。オーストラリアでUberをやってそこそこ稼いでいる知人がいますが、彼はチェコ人。要するに移民労働者なんです。このサービスは移民が担う傾向が強いように思えます。中国でも基本地方から来た出稼ぎの人たちです。ここにシェアエコの問題があるように思われます。

とはいえ、タクシーのような営業車が配車アプリのサービスを強化することは日本でも求められていたはずです。中国企業の参入をいい刺激と受け止めて、サービスの利便性をもっと高め、PRする必要が出てくるとしたら、悪い話ではありません。

ただし、これまで人知れずやっていた訪日中国人相手の在日中国人ドライバーの運転する自家用車=「白タク」問題はどうするのでしょう? 

野放し「中国人白タク」で見えた、日本の遅れ(ForbesJapan2017/10/26)
https://forbesjapan.com/articles/detail/18241

中国人には使い慣れているサービスだけに、はたして記事にあるように「中国からの訪日客のタクシー需要」を取り込むことができるのか。訪日中国客が必要としているのは、タクシーではなく、ワゴン車ではないのか。だとしたら、すでにある中国「白タク」を利用してしまうのではないか…。

いろいろ思うところのある記事ですが、今後の行方が興味津々です。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-30 08:50 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 10月 29日

101 空港の開港で登山客が増加した長白山

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かつて吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉や長春などから車で来るほかなかった長白山も、2008年夏に開港した長白空港のおかげでアクセスが飛躍的に良くなった。日本からも北京経由で同日着できる。いまでは北京や上海、深圳、広州、天津など国内10都市からフライトがあり、国内客が急増した。空港は西坡の山門から車で15分くらいの場所にある。(撮影/2012年7月)

※長白山空港ができたおかげで、日本から同日着が可能になるほど、この聖山へのアクセスはぐっと近づきました。ここは中国と北朝鮮にまたがる国境の山で、自然豊かな山麓は朝鮮人参の産地です。


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by sanyo-kansatu | 2017-10-29 13:14 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 26日

100  松花江沿いのシベリア建築

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松花江沿いの公園には、木造のシベリア建築がいくつも残っている。1930年代に日本の建築家によって建てられたもので、当時は夏の行楽と憩いの場となっていた。現在はカフェやショップとして使われている。(撮影/2014年7月)

※松花江沿いにはロシア人が建てたヨットクラブの建物なども残っていて、いまはレストランとして使われています。ロシア料理を出す店もあります。

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by sanyo-kansatu | 2017-10-26 07:20 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 25日

中国のバイク便兄ちゃんの事故が多発する気の毒な事情-背景に地方出身者に対する戸籍差別がある

ここ数年、中国、特に上海などの経済先進都市に行くと、街にバイク便があふれている光景を見かけます。
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いま上海で通りに並んでいるのは、シェアサイクルの自転車か、各社のバイク便ばかりです。
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中国のECは世界でいちばん進んでいると言われますが、それが可能となるのも、バイク便兄ちゃんの数が世界でいちばん多いからともいえます。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か? (2016年03月28日)
http://inbound.exblog.jp/25584174/

第19回中国共産党大会が終わり、今日はこんな報道もありました。

「ネット出前」中国爆走 遅配は罰金、配送員の事故多発(朝日デジタル2017年10月25日)
http://www.asahi.com/articles/ASKBM4SR2KBMUHBI014.html

習近平(シーチンピン)政権が2期目を迎える中国経済。24日に閉幕した共産党大会の期間中に発表された2017年7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は、年間目標の6・5%前後を上回り、国家統計局は「経済は穏やかさを増している」と自信を深める。消費主導の経済への移行が順調に進むが、新たなひずみも目立ってきた。

お昼時の北京。赤、青、黄色のジャンパーをまとった人々が街中を電動バイクで駆け抜ける。スマートフォンで注文したレストランの料理を配達してくれるネット出前の配送員だ。

16年時点でネット出前の利用登録をしているのは全国で2億人を超える。スマホで決済まで完結できる便利さが受けている。

配送員の収入も悪くない。中国中央テレビによると、1回6~7元(102~119円)の配送を1日30~40回繰り返し、1カ月休まず働けば、業者が保証する賃金4千元程度と合わせて収入は1万元を超える。働いただけもうかる仕組みに、地方から出稼ぎに来た人々が飛びついた。

しかし、配送員の表情は浮かない。

「遅配や苦情があれば、給料から罰金を引かれる。バイクも自分で用意しなければならない」。東北部出身の20歳代の男性は、取材にそう語った。一定時間内に届けられないと20元、苦情があれば500元の罰金をとられるという。

遅配を避けたい配送員が猛スピードで運転するため、交通事故が頻発している。新華社ネットによると、江蘇省南京市では今年1~6月、出前によるバイク事故が3242件起き、3人が死亡。2473人がけがをした。

■習政権推進の新ビジネス、「格差」前提

ネット出前は、1期目の習政権が推進してきた技術革新による経済成長を象徴する新ビジネスだ。16年は全国で1千万人以上が配送員として登録していたとされ、大量の雇用を生み出している。

新ビジネスの発展について、李克強(リーコーチアン)首相は9月の政府の会議で「経済発展の新たな原動力をもたらしただけでなく、雇用をしっかり支えた」と称賛した。

とはいえ、低賃金で配送を請け負う出稼ぎ労働者がいて初めて成り立つネット出前は、「格差」が前提だ。大手の管理部門に勤める若手社員は、「安い労働力がないと成り立たない」とこぼす。

強まる批判を受けて、大手の一角の美団外売は9月、上海紙の取材に、配送員の労働環境を改善すると表明した。配送員の受け持つ量を減らし、バイクのスピードを監視するという。

「我が国の主要な社会矛盾は、日増しに増大する素晴らしい生活への人民の要求と発展の不均衡、不足との矛盾に変化している」

18日に開幕した共産党大会では、習総書記(国家主席)が今後5年の方針を示す政治報告でそう分析し、「より質が高く、より十分な雇用を図る」との目標を掲げた。

成長がもたらす新たなひずみにも配慮できるか。ネット出前の労働環境の行方は、習体制2期目を占う一つの指標になりそうだ。(北京=福田直之)


この記事では、中国のEC市場の拡大は「格差」前提の新ビジネスに支えられていると指摘しています。つまりは、「低賃金で配送を請け負う出稼ぎ労働者がいて初めて成り立つ」のが出前&宅配ビジネスなのです。では、彼らが背負う「格差」はどこから来るかといえば、中国の地方出身者に対する戸籍差別にあるといっていいと思います。これは共産党が建国当初から続けてきた政策によるものです。差別によって国を統治するのが彼らの伝統的なやり方です。

今年3月、上海を訪ねたとき、街を疾走するバイク便兄ちゃん(もちろん、中高年のおじさんもいます)の姿を知らず知らずのうちに追っていたので、その一部を紹介します。

朝早く通りを歩いていると、ブルーのジャケットを身につけた集団がいます。
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朝礼のようなことをしているようです。
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彼らこそ、朝日の記事に出てくる出前サイト「饿了吗(おなかすいた?)」の配達人です。
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饿了吗
https://www.ele.me/home/

これは市内のどこにいても近所の飲食店からお弁当や飲み物などを宅配してもらえるECサービスです。さすがは「食の国」中国らしく、地方都市でもかなり普及していて、いまや中国は「出前パラダイス」です。
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配達人の姿は真新しいショッピングモールの中でもよく見かけます。ショップ店員さんたちが注文しているからです。
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ある麺屋さんに入ったときも、その店では「饿了吗」と契約して出前をやっていました。上海ではほとんどの飲食店が「饿了吗」に限らず、なんらかの出前サービスと契約しているようです。
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オレンジ色のジャケットは、中国検索サイト大手「百度」の運営する「百度外卖」。
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黄色は「美団外卖」。町の食堂のような店でもどこかと契約しています。
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これらの出前サービスは、当然WeChatPayやアリペイで支払われます。この中国の2大決済アプリは現在、猛烈な加盟店獲得競争を続けているため、売上に応じて店にチップを渡すなどのインセンティブ合戦が起きており、町の果物屋さんでも「支付宝(アリペイ)」が使えるようになっています。
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これがよくいう「中国がキャッシュレス社会になっている」といわれるゆえんです。もちろん、地方に行けば、ここまで普及しているとはいえませんけれど。

とはいえ、中国のEC社会の実態はこんな場面にも現れています。たまたま通りを歩いていて、運送会社の前を通ることがありました。配送前の荷物が地面に放り出されており、これでは相当きちんと荷造りしないと大変です。
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バイクの後ろにこんなに荷物を積めば、事故も起きるでしょう。
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これなんか、走っていて荷崩れしないのかしら。
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最後に、これもたまたま上海駅近くの食堂で見かけたバイク便兄ちゃんたちの食事の光景です。
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みなさんスマホは手にしています。
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この種のローカルな食堂では、一品10元も出せばすみます。
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上海など大都市部の建設労働がひと段落した後、地方からの出稼ぎ労働者を待っていたのはバイク便兄ちゃんになる道だったというわけです。

【追記1】
以下のネット記事には、配送人たちの姿を映した動画が配信されていました。まさにこんな感じですね。

<上海だより>悲惨な労働環境の“闇”──激戦、中国宅配業界の配達員事情(The Page2017.05.12)
https://thepage.jp/detail/20170512-00000001-wordleafv

【追記2】
配送人の置かれた環境は、中国に限らず、欧州でも同じようです。欧州では周辺国から来た移民労働者が、中国では他の省や農村から来た都市戸籍を持たない外地人がこの仕事を担っているわけです。その意味で、中国をはじめとしたEC市場の拡大は彼らの存在抜きでは考えられないのです。

欧州のイケア運転手、トラック内で長期生活 低賃金で(BBC Japan2017年03月16日)
http://www.bbc.com/japanese/39276687
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by sanyo-kansatu | 2017-10-25 11:23 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2017年 10月 25日

今年の国慶節時のバスはほどほどの感じでした(ツアーバス路駐台数調査 2017年9月)

今年の国慶節休暇中に新宿5丁目に現れた中国ツアーバスの数は、普段と比べて特に多くも少なくもないという感じでした。

9月中旬に伝えられた中国の日本の団体ツアーに対する数値制限の通達の影響がどうなるのか気がかりでしたが、少なくとも10月中のツアーは早い段階で予約されていたものだと思いますから、影響らしいものは感じませんでした。問題は、11月以降です。いくつかの省や都市ではもう1本もツアーは出せないと言っていますし、まったくそんなことはないという話も聞かれます。中国ではいつもこんな感じで、地域によって通達の中身も違うのかもしれませんし、よくわかりません。

中国はついに日本への渡航制限を始めるのか? (2017年 09月 22日)
http://inbound.exblog.jp/27130164/

ただし、10月8日までの国慶節休暇中は子供連れのファミリー客が多かったのですが、中旬を過ぎると、以前と同様中高年世代のグループの比率が増えたように思います。学校を休んでまで海外旅行というわけにはいかないでしょうから、これも当然でしょう。相変わらず、新宿5丁目界隈の中国団体客専用食堂では、中国のおばちゃんたちがにぎやかです。
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※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(日)未確認
2日(月)未確認
3日(火)12:00 4台
4日(水)12:50 5台
5日(木)12:20 4台
6日(金)未確認
7日(土)未確認
8日(日)未確認
9日(月)未確認
10日(火)12:10 5台
11日(水)11:50 4台、18:20 2台
12日(木)未確認
13日(金)12:40 7台
14日(土)未確認
15日(日)未確認
16日(月)12:10 5台
17日(火)11:50 4台
18日(水)12:20 4台
19日(木)12:10 3台
20日(金)未確認
21日(土)未確認
22日(日)未確認
23日(月)12:00 5台
24日(火)12:20 4台
25日(水)12:30 3台
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by sanyo-kansatu | 2017-10-25 11:13 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 10月 25日

099 アールヌーヴォー建築はKFCになっていた

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かつてハルビンを代表するロシア正教会(中央寺院)のあった紅博広場の近くにある、ユニークなアールヌーヴォー建築も旧東清鉄道社宅だった。1990年代には中国への進出の早かったベネトンのショップだった時期もあったが、現在、KFCとして使われている。(撮影/2014年7月)

※この種の中国のユニークな建築の存在に最初に目を付けたのは、外資系企業でした。中国建国以降、灰色の社会主義建築で覆われていたハルビンのあちこちに残っていたロシア時代の建築は、文革当時はブルジョワ的とされ、その一部は破壊されたものもあったのですが、改革開放以降の新時代に見直されることになります。いまではお化粧直しされ、市を挙げたPRに使われています。時代の波に翻弄されながらも生き残ってきたこれらの老建築はハルビンの魅力のひとつとなっています。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(ハルビン編)
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by sanyo-kansatu | 2017-10-25 08:30 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 24日

098  旧東清鉄道社員の宿舎(現ハルビン南崗展覧館)

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ハルビンに東清鉄道を建設したロシア人たちの社員宿舎だったという建物は、この町にあるアールヌーヴォー建築の代表作のひとつ。現在はハルビンの100年間の歴史を展示する博物館として使われているが、かつては幼稚園として使われた時代もあった。(撮影/2014年7月)

※ぼくはこのユニークな建物が幼稚園として使われていた1990年の頃、ここを訪ねたことがあります。子供たちが好むようにピンクや黄色などに塗りたくられ、あの当時のハルビンとしては斬新かつポップな様相を呈していました。いまは博物館で、1920~30年代のロシア文化が花咲くハルビンの写真や遺品を観ることができます。


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by sanyo-kansatu | 2017-10-24 08:44 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 23日

097 ハルビンはアールヌーヴォーの街

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19世紀末にロシア人に造られたハルビンには、ヨーロッパから多くの外国人が集まってきており、さまざまな様式の西洋建築が建てられた。なかでも当時隆盛を極めたアールヌーヴォー建築が、遠く離れたこの地に周回遅れで建てられた面がある。その有機的なモチーフや曲線を多用するデザインは遊び心にあふれていて、当時のハルビンはまるでおとぎの国のようでもあった。(撮影/2014年7月)

※いまでこそ、高層ビルもずいぶん建てられたハルビンですが、昔からロシアや日本時代のユニークな建築が印象的な街です。建築を訪ねて旅する人も多くいます。

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by sanyo-kansatu | 2017-10-23 09:25 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)