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2013年 07月 27日

スカイツリーは外国人客を呼び込めるのか?【2013年上半期⑩ツリー効果】

東京スカイツリーが2013年5月22日で開業一周年を迎えました。各紙は当初の想定以上ににぎわいを見せているスカイツリー現象について、人気の背景や経済効果について分析しています。
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「ツリー人気衰えず 22日で開業1年 来場者はディズニーの1.8陪」(読売新聞2013年5月20日)

「東京スカイツリー(東京都墨田区、634m)が今月22日に開業から1年を迎える。(ツリーと商業施設『東京ソラマチ』に)想定を大きく上回る5000万人以上が訪れた」「事前予測の3200万人を大きく超え、昨年度の東京ディスニー・リゾートの1.8倍になる」と報じています。

人気の理由について、事業主体の東武鉄道は「震災の1年後に開業して、復興の象徴のように好意的に報道された。強風での休業が年間3日で済んだことも大きい」とみているそうです。

●主な観光地の最新の年間入場者数

東京スカイツリーと東京ソラマチ 5000万人(うちツリーは630万人)
六本木ヒルズ 4100万人
東京ディズニー・リゾート 2750万人
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン 975万人
東京タワー 243万人

さらに、「東京ディズニーランドの30周年、渋谷ヒカリエやお台場のダイバーシティ東京プラザの開業が重なって、東京全体が観光地化し、相乗効果が生まれている」というJTB関係者のコメントを挙げています。これら話題の商業施設はすべて震災の翌年にオープンしているんですね。

「スカイツリー1周年 笑顔も突き抜けた」(産経新聞2013年5月23日)は、「国内随一の集客力を誇り、『観光ニッポン』の新しいシンボルとなった東京スカイツリー(東京都墨田区)。『訪れる人たちみんなが笑顔』。開業1周年の22日に来た観光客はこう印象を語る。浅草など周辺の観光地では客足が伸びるなどの相乗効果も生まれている。深刻化していたごみ問題もマナー向上で改善しつつあり、ツリーのにぎわいは2年目も続きそうだ」と報じています。

また同紙でも、お台場のダイバーシティ東京プラザや渋谷ヒカリエなど同じ年に開業した商業施設がともに当初の目標を超える売上や来場者数を見せたことを「スカイツリーとの相乗効果」として分析。「スカイツリーの開業以降は観光地としての魅力が東京全体でアップした」と指摘しています。

東京の観光シーンに与えたスカイツリー効果については、「下町ツリー 首都席巻 観光、東京一人勝ち」(朝日新聞2013年5月23日)でも報じられました。

同紙で「東京一人勝ち」とコメントしているのは、はとバスの広報室長です。同社では展望デッキ入場券付きツアーが好評だといいます。

ところが、このにぎわい、日本人にだけしか共有されていないようにも見えます。そう、ツリーを訪れる外国人客はそれほど多くないかもしれないのです。

「スカイツリー特需 観光業界“ご満悦”」 (産経新聞2013年5月23日)によると、「東京スカイツリーが予想を超える人出を記録する中、関連業界が『スカイツリー特需』に沸いている。事業主体の東武鉄道だけでなく、ホテルなど幅広い企業が恩恵を受けている」「波及効果も大きい。はとバスが運行し、他の観光スポットと合わせて展望台を訪れるコースは、平均乗車率が約9割で、スカイツリーを含まないコースの6割を大きく上回る」としていますが、その一方で「外国人観光客は現在来場者の1割に満た」ないというのですから。

もっとも、今年に入って浅草には外国人客が増えてはいるようです。「浅草『昭和のにぎわい』 雷門通り路線価9%上昇」(朝日新聞2013年7月1日)では、浅草の雷門通りが東日本の路線価アップのトップになったと別の観点からツリー効果を報じ、さらに「この1年で外国人観光客が急激に増えた。浅草が一番にぎやかだった昭和30年代初めに戻ったようだ」という浅草寺参道仲見世で土産店を営む女性の声を紹介しています。

しかし、浅草に外国人客が増えたことは、ツリー効果とはそれほど関係ないのではないでしょうか。

ぼくがそう考える理由として、訪日客の4分の3を占めるアジアの新興国における近年の高層建築ラッシュがあります。

朝日新聞2012年4月25日の折り込み特集「GLOBE 巨大建築」によると、2012年、世界一高い建築物はドバイのBurj Khakifa(828m 2010)です。以下、トップ10は以下のとおりです。

2位 Taipei 101(508m 2004 台北)
3位 Shanghai World Financial Center(492m 2008 上海)
4位 International Commerce Center (484m 2010 香港)
5位 Petronas TowerⅠ(452m 1998 クアラルンプール)
5位 Petronas TowerⅡ(452m 1998 クアラルンプール)
7位 Zifeng Tower(450m 2010 南京)
8位 Willis Tower(442.1m 1974 シカゴ)
9位 Kingkey 100(441.8m 2011 深圳)
10位 Guangzhou International Finance Center(439m 2010 広州)

現在世界の高層建築のトップ10は、1970年代にシカゴで建てられたWillis Towerを除き、すべてアジアの新興国で建てられたものなのです。

それは何を意味するのか。アジアの新興国から日本を訪れる観光客は、普段から高層建築を見慣れていることから、スカイツリーに対してそれほど特別な魅力を感じていないかもしれないと考えられるのです。

多くの日本人がスカイツリーを「復興の象徴」として見るような、ある意味情緒的な捉え方を、外国人客に期待しても無理があります。このあたりの認識のズレや温度差は、いたし方ないことといえるでしょう。

前述の朝日新聞2013年5月23日では「アジア客誘致へPR」として「訪日外国人の誘客を進める観光庁は、スカイツリーの開業を、震災やウォン安の影響で落ち込んだ韓国からの観光客が増える『切り札』と位置付ける」「韓国の大手テレビ局を東京に招待。平日夜の情報番組で、スカイツリーと東京の魅力を放送してもらう」「中国や香港、台湾の旅行会社なども日本に招き、スカイツリーの魅力を押し出したツアーをつくってもらうことも予定している」とあります。

「観光庁の担当者は『欧米人は伝統的な日本を好むが、アジア人は都会的な日本が好きでスカイツリーはPRにピッタリ』と意気込」んでるそうですが、はたしてそうなのでしょうか。アジアの新興国の人たちから見て、時代の最先端を日本に求めるような感覚は、もしかしたらもう薄らいでいるかもしれないからです。むしろ日本の普段着の生活文化の質の高さに、彼らはだんだん気づき始めているということなのではないか。

そういう意味では、彼らがスカイツリーをどう見ているかという視点を加え、もう少し別の観点からアピールポイントを付加しないとアジアの新興国の人たちを納得させるのは難しいのでは、と思います。

ところで、なぜ上記のランキングにスカイツリーが入っていないかというと、「ランキングをつくった『高層建築と都市居住に関する国際委員会』(CTBUH、シカゴ)によると、高さ比較の対象は『全体の高さのうち少なくとも半分が実用フロアのビル』」だからだそうです。展望台などわずかな実用スペースを持たないスカイツリーはランキングから除外されているのです。
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# by sanyo-kansatu | 2013-07-27 15:44 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)