ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 04月 01日

タイ人客がやってきた!(ツアーバス路駐台数調査 2013年4月)

今年の桜は開花が早すぎたせいで、4月に入って花見を目的とした海外からのツアー客を失望させることになったのではないかとちょっと気がかりです。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた明治通り新宿5丁目付近における中国インバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(月)17:50 2台
2日(火)18:00 3台(うち1台小型バス)
      18:50 4台(1時間のうちに、バスが入れ替わりました)
3日(水) 未確認
4日(木)18:20 8台
※来ました来ました。あふれんばかりのインバウンドバスが新宿5丁目に集結しています。面白いのは、そのうち3台がタイ人観光客のバスだったことです。停車中のバスの運転手さんに話を聞いたところ、「最近は中国人ではなく、タイ人のお客さんがいちばん多いよ」とのこと。新しいお客さんの登場で、これから新宿5丁目も面白くなりそうです。

以下の写真は、新宿5丁目インバウンドスポットで列をなして路駐するバス。タイ人観光客の乗ったバスであることは車窓のプレートを見るとわかります。いちばん下の写真は、その日たまたま立ち寄った池袋の西武百貨店の前で、タイ人観光客のみなさんが食事を終えて、バスに乗り込むところです。今日はいろんな場所でタイ人のみなさんを見かけました。
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5日(金)12:50 2台
※この時間帯は、靖国通りの中華大飯店前にも2台のバスが停まっていました。うち1台は韓国のツアーでした。花園神社の入り口のファミマの中は韓国客でいっぱいです。
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     18:50 1台

6日(土)~14日(日)海外出張で未確認。

15日(月)12:20 2台(下の写真はお昼どき「林園」周辺でにぎわう中国客たち)
      18:20 2台
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16日(火)17:50 2台
17日(水)19:20 1台

【番外編】ようこそ!インドネシアのみなさん
この日の夜遅く、池袋の街を歩いていたら、ビジャーブ(イスラム女性が頭を覆うスカーフ)姿の女の子が立ち食いそば屋に入る姿を発見。「おやっ」。インバウンド“参与観察”者を自認しているぼくですから、そっとあとをついてお店に入りました。女の子3人組で、そばを注文しています。

「where are you from?」と聞くと、「Indonesia」。「Welcome」と笑顔で応じておきました。食事がすむと、店の外で彼女たちが立ち食いそば屋を記念撮影しているので、「this is traditonal Japanese fastfood」とつい解説してしまいました。ぼくってかなり怪しい存在だったでしょうね。でも、ひとりの子が「oishii」と、たぶんお愛想だと思いますけど、答えてくれました。

駅に向かって歩いていく彼女らを見ながら、きっとサンシャインプリンスあたりに泊まっているんだろうな。せっかく東京に来たんだから、もっと安くておいしいお店もいっぱいあるだろうに、インドネシア語の情報はまだないのだろうなあ、と思ったものです。
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18日(木)13:00 1台
      19:30 2台
19日(金)11:50 2台
この日の正午前、横断歩道を渡ろうとしたら、バスから降りてきた中国客の人たちに囲まれてしまいました。彼らは向かいの「林園」でお昼を取るためにここに来たのです。添乗員らしき中国の女性に「このツアーはどこから来たお客さんですか?」と聞くと、「上海ですよ」とのこと。もう一台のバスは「西安」からでした。

「林園」の近くで警備員のおじさんが中国客がぞろぞろ歩いているのを面白そうに眺めているので、「あの人たち何ですか?」とあえて聞いてみたら、「中国の観光客ですよ。ぼくは毎日ここに立っているからわかるけど、あの中華料理屋にみんな入りますよ」「そうなんですか」「でもそういや、昨日は隣の焼肉屋にも入ったかな」とのこと。

「林園」の隣には確かにランチ1000円で食べ放題の焼肉屋「味仙荘」(新宿5丁目15-2 Tel.03-3350-5204)があります。ここの店長は韓国人のヤンさんで、中国人スタッフも揃っています。
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     19:40 2台(うち1台は上海錦江旅行社のツアーバスでした)
20日(土)未確認
21日(日)未確認
22日(月)18:00 1台
23日(火)19:50 2台
24日(水)18:50 2台(うち1台は上海錦江旅行社のツアーバス)
25日(木)18:20 1台(タイのツアーバス)
26日(金)17:20  1台
27日(土)未確認
28日(日)未確認
29日(月)未確認
30日(火)12:20 3台
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by sanyo-kansatu | 2013-04-01 09:13 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2013年 03月 26日

ミャンマー人が日本旅行で行きたい場所は?

昨日、あるミャンマー人の知り合いから、ぼくの携帯に電話がかかってきました。

10年ほど前、ぼくはミャンマーを訪ねたことがあるのですが、そのとき現地でお世話になった旅行会社のミョ・ナインさんという人からでした。

彼は子供の頃、家族で東京に住んでいたことがあります。母国で政変があり、帰国後、ミャンマーの大学を出て、家族で旅行会社を経営しながら、日本との貿易の仕事をしている人です。

その彼から、10年ぶりに突然電話があったのでびっくりしたのですが、ミャンマーでは大変お世話になったし、何よりミャンマー旅行のことを懐かしく思い出したので、すぐに会おうということになりました。翌日からぼくは地方出張の予定があり、その日しか時間がとれなかったからです。

彼の話によると、この1年でミャンマーは政治的にも、社会的にも、大きく変わりつつあるようです。彼は3つの名刺を持っていて、うち2つは旅行会社と貿易会社のものですが、もうひとつはミャンマーに進出する日本企業に対するコンサルタントという肩書きでした。今、ヤンゴンではホテル投資が盛んに行われているそうで、日本企業にとってもホテルは有望なおすすめ投資先だというのです。

彼が言うには、最近はミャンマーでも海外旅行に出かける人たちがいるそうで、大半の旅行先はお隣のタイですが、日本に旅行に行きたい人たちもいて、彼の旅行会社でも日本ツアーの催行を準備しているそうです。だいたい1週間で、日本円で15万円くらいのツアーを考えているようでした。そこで、彼に尋ねてみました。

「ミャンマーの人が日本で行きたいのはどこですか?」
「鎌倉や牛久」
「えっ、あの大仏のある……」
「そう、ミャンマー人はお寺が好きなのです」
「牛久も知っているの?」
「知っています。ミャンマー人は仏教徒ですから。あとは東京ディスニーランドと買い物です」
「そこはよその国の人と同じなんですね」
「はい」

ミョ・ナインさんはヤンゴンの空港と市街地を結ぶリムジンバスを運行するビジネスをこれから始めたいとか。

「ヤンゴンにはまだリムジンバスがないんですね」
「はい、まだそんなに空港を利用する人は多くないですから。でも、これから海外旅行に行く人も増えてくるので、バスがあると便利だと思います」

10年前にヤンゴン空港に降り立ったとき、旅客機から乗客を空港ビルに運んでいるのは、日本の地方都市の路線バスの廃車を再利用していたことを思い出しました。面白いことに、バスの行先の日本語表示が残ったままで、ヤンゴンの空港内を走っていたのです。ミャンマーの人は日本語が読めないから関係ないみたいでした。

ミョ・ナインさんは、ミャンマー人向けの日本の旅行案内もつくりたいと言いました。

「じゃあぼくが日本の情報や写真を送ってあげるから、ミョ・ナインさんがミャンマー語に翻訳して、向こうで印刷しちゃえば」

軽い思いつきでぼくがそう言うと、彼はうれしそうに、「そうしましょう。よろしくお願いします」と言います。

……もしかしたら、この話、本当に実現したりして。そう思うと、ちょっと面白い気がしてきました。

「じゃあまずミャンマーの人が日本で行きたい場所や、特に興味のあるお寺はどれか教えてくれますか。そして、1週間くらいの日本旅行のコースを考えてみてください。それに合わせて情報を集めてみますから」

ミャンマーでは、いまようやく海外旅行が始まろうとしています。そんなにすぐには大量送客なんてことにはならないと思いますが、ミャンマーはすべてがこれからの国です。リムジンバスの話もそうですが、社会のインフラやサービスなど、いろんなことをこれから一から作っていくことになるのです。

そんな時代を生きている人たちと一緒に仕事ができるなんて、とても面白いことではないか、そう思えてきました。

それにしても、なぜ彼は突然ぼくに電話をしてきたのだろう? 

不思議な一日でしたが、彼の今後のアプローチを楽しみに待ちたいと思います。

彼との久方ぶりの出会いを通して、すべてを一から始めようとしている国の人たちとぼくらは一緒に何ができるのか……もはやあらかたのことが揃い、成熟しきってしまって身動きが取れなくなっている日本の社会を生きるぼくらにとって、彼らのために何かお手伝いすることで自分自身もなんとか生き延びていく、そんな時代をいま迎えているのではないかと、あらためて思ったものです。
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by sanyo-kansatu | 2013-03-26 22:48 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2012年 12月 03日

16回【トラベルマート 2012報告 前編】 観光庁も「脱中国」。東南アジアシフトに転換か?

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訪日旅行市場の拡大に向けた日本最大の商談会「VISIT JAPAN トラベルマート2012」が11月20日、21日の両日、パシフィコ横浜で開かれました。

トラベルマートは、国土交通省(観光庁)が主催するB to Bのインバウンド商談会です。海外から日本ツアーを造成するバイヤー(旅行会社)やメディア関係者が来日、国内からは彼らに旅行素材を提供するセラー(ランドオペレーターやホテル、交通、観光地のアトラクション施設、全国の自治体など多彩)が集結。一堂に会して訪日旅行市場を盛り上げていこうという、年に一度のイベントです。国内外のインバウンド関係者の話を一度にまとめて聞ける、絶好の情報収集のチャンスです。

日中政府間のねじれた相互不信によって中国インバウンドの行方に依然暗雲が漂うなか、日本のインバウンドにいま何が起きているのか。今回は、会場での見聞や感じたこと、関係者からのヒアリングを通じた知見などを報告しながら、2013年のインバウンドの展望を占ってみたいと思います。

会場で目につくヒジャーブ(スカーフ)姿

トラベルマートの初日は、特設スペースで行なわれる恒例の開会式から始まります。最初に登壇するのは、今年4月に就任した井手憲文観光庁長官。日本のツーリズム産業は震災からいち早く回復したことを報告、インバウンド市場の拡大をアピールすべく、列席した海外の記者たちに呼びかけました。

開会式が終わると、商談会のスタートです。事前にアポイントした海外バイヤーと国内セラーの商談が始まります。

今年の会場は例年に比べ、こぢんまりした印象です。ホテル関係者ら訪日旅行に絶対欠かせない特定のセラーが商談に追われていたことを除けば、熱気や盛り上がりの点でもうひとつという気がしました。前回までは会場内を国内セラーの展示ブースと海外バイヤー専用席に仕切り、相互訪問しながら商談する仕組みになっていたのですが、今回からバイヤー席をなくしてしまったからです。昨年に比べ全体の出展数は減少しているわけではないのに、以前よく見かけたコスプレや着物姿のPRといった派手な演出も少なかったようです。

こうしたなか印象に残ったのは、イスラム女性が頭を覆うヒジャーブ(スカーフ)姿の関係者が目についたことです。事務局の報告した海外バイヤーの国別数をみると、その理由がわかります(トラベルマート公式サイトより。カッコ内は昨年の数)。

中国35(41)、韓国23(26)、香港12(9)、台湾12(14)、タイ24(23)、シンガポール19(16)、豪州15(14)、英国10(10)、フランス5(5)、ドイツ5(3)、米国17(8)、カナダ18(17)、マレーシア19(7)、インド12(1)、インドネシア18(1)、ベトナム18(0)、ロシア3(21)、オンライン系5(21)

上記のとおり、マレーシアやインドネシアなど東南アジアのイスラム圏のバイヤーが急増していました。激増したインドや今回初登場のベトナムも注目です。ここに見られるのは、招聘する側が明らかに東南アジアシフトを意図した結果といえそうです。

東南アジアシフトに転換した背景

開会式の後には、外国人記者会見があります。主催者である国土交通省(観光庁)が海外メディアに訪日旅行促進のための日本政府の考え方やプロモーション活動について広報する場です(昨年の外国人記者会見の様子)。

今回の記者会見で観光庁が強調したいポイントはふたつあったと思います。ひとつは、東日本大震災後、日本のインバウンド市場は予想以上に早い回復が見られたこと。これは確かにアピールすべきポイントでしょう。東日本大震災の前月に地震の被害を受けたニュージーランドでは未だに復興が遅れ、同国のインバウンド市場が低迷しているのに比べ、日本では官民の協働が早期回復に貢献した面は大きかったと思います。

もうひとつは、訪日プロモーションの最重点エリアが中国から東南アジアにシフトしたことです。

統計をみると、理由は明快です。国土交通省の担当者が用意した資料「Recent Situation Regarding Inbound Promotion」によると、2012年1月~10月までの国別訪日旅行者数のうち、震災の影響を受ていない2010年度比で最も伸びているのは、ベトナム(33.3%増)、次いでインドネシア(26.0%増)、タイ(19.5%増)、マレーシア(13.7%増)と、すべてが東南アジア諸国です。

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こうしたデータの裏づけをもとに、観光庁が今後の目標設定として掲げるのは、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアを中心にした東南アジアからの訪日旅行者数を現在の約50万人から3年後(2016年)までに200万人へと拡大させることです。そのための施策として、すでに今年7月からタイのマルチビザ発給、9月からマレーシアとインドネシアにも短期のマルチビザ発給を開始しています。2013年は日本アセアン友好協力40周年にあたるため、周年事業をインバウンド振興に活用することで東南アジア諸国に向けた重点プロモーションを展開することになりそうです。

こんなにあっさり転換して大丈夫?

ところで、今回インバウンド関係者をホッとさせた話のひとつに、今年9月日本の「旅博」をドタキャンし、11月の上海旅行博(CITM)では日本関係者の出展を断ってきたことで、日本に対する強硬な姿勢を見せてきた中国の旅行会社が予定どおりに来日していたことがあります。来日した35社(昨年は41社)をざっと見る限り、上海や広東などの沿海部が中心で、内陸部や東北地方は少ないようでした。国内で相変わらず続く「反日」的な雰囲気の中、商談のために来日した旅行業者がいたことで、中国という国を相手にする場合、政府と民間を分けて考える必要があることをあらためて確認したいと思います。

もっとも、ある大手旅行会社の関係者によると「来日した中国のビジネスパートナーと会ったが、お互いため息ばかり」だったとのこと。北京出張から戻ってきたばかりの彼は現地の旅行関係者の様子についても「今回は2010年のように当局が自国の旅行会社にツアー催行中止の通達を出しているわけではないけれど、民族感情を煽ることで未だに日本ツアーを集客しにくい社会のムードがある」と話してくれました。

国土交通省(観光庁)がこれほどあっさり「脱中国」に転換した背景には、今日の険悪な日中関係があるのはいうまでもないでしょう。

そもそも尖閣諸島沖で中国国家海洋局の監視船と直接向き合っている海上保安庁の巡視船は国土交通省の管轄です。たとえこの先、訪日客が再び動き出したとしても、ひとたび彼らが海上で何か起こせば、事態はすぐに逆戻りです。まったくくだらない話だとぼくは思いますが、中国政府は我々と同じようには考えてはいないので始末が悪いといえます。

日本人には思いがけないことですが、特定の個人や組織、団体に因縁をつけて攻撃対象とするのは、政治闘争の国である中国ではよく見られることです。彼らは標的とみなした相手にプレッシャーをかけることで自己の主張を通そうとします。本来民間交流にすぎない観光に政治の影響がこれほど出てくるのも、観光行政を担当する国土交通省が中国政府の標的のひとつにみなされているからだと思います。中国メディアによって悪者扱いにされている2010年秋当時の担当大臣に対するあてつけすら感じます。

表向き旅行会社に口を出していないといいながら、あの手この手で日本ツアーの集客を難しくさせるよう宣伝工作を行なう中国政府の子供じみたやり方も、彼らの考え方では自らが利を得るためのごく自然な行動原理にすぎず、我々がいくら道義を欠いていると非難したところで通じそうにもありません。

今回のトラベルマートが、例年に比べてどこか熱気を欠いた理由に、我々日本人の常識では思いもよらなかった中国政府のふるまいに対する拒絶感からくる「脱中国」の共時的な国民レベルでの承認と、その結果生まれた虚脱感があったと思わざるを得ません。日本の「観光立国」ブームを支えたのは、この10年の中国の経済発展に対する官民の過剰なまでの期待であったことは間違いなく、その取り込みを図るというのが産業界の合言葉だったため、その反動も大きかったといえます。

今回の尖閣問題をめぐる中国政府の思慮を欠いた対応によって、日本側の盲目的な中国市場に対する期待が裏切られたことで、時代は転機を迎えてしまいました。

ですから、観光庁が「脱中国」=東南アジアシフトに至った経緯というのも無理はないと思います。

その一方で、こんなにあっさり転換しても大丈夫なのだろうか、と思わないではありません。中国政府と民間の中国人の思いは同じではないからです。彼らは日本ともっとビジネスしたい。我々日中の民間人の利害は依然一致しているのです。

こうなった以上、我々は中国市場に対するアプローチを再考する必要があります。この連載で何度も指摘してきたような訪日中国人ツアーの数々の問題を改善していくうえで、これをいい転機にできないか。そのためには何をすればいいか、考えていきましょう。

所詮日本はインバウンドの新参者。やるべきことはある

ここから先は、今回のトラベルマートの会場で感じたことを思いつくまま書き出します。単なる批判ではなく、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

まず開会式について。昨年まで観光長官だった溝畑宏氏のいささかオーバアクション気味のスピーチに比べ(昨年の開会式の様子)、今回の新長官の挨拶はかなり地味な印象でした。どちらのキャラがいい悪いの話ではありませんが、せっかくの開会式なのですから、スピーチの内容はともかく、列席している外国人たちの気分を盛り上げるような華のある演出がもっとあってもいいのではないか。なぜなら、ツーリズム産業は万国共通、エンターテインメントビジネスだからです。海外のバイヤーやメディア関係者の多くは、B to Bの商談会といえども、ワクワクするような旅行資源を発掘してやろうと意気込む、基本ノリのいいキャラの持ち主たちです。彼らの期待に応えるべく、コストをかけなくてもやれることはあるように思います。要はセンスの問題です。

こんなことを思うのも、海外のトラベルマートをぼくは何度か視察してきたからです。特にヨーロッパ各都市で開催されるトラベルマートのお祭り騒ぎのようなにぎわいを知っているだけに、日本のトラベルマートは物足りないと思わざるを得ないのです。「観光立国」としての歴史と蓄積がヨーロッパとは違うのですから、新参者の日本とかの地を比較するもの言いに無理があることは承知ですが、そもそも会場となった横浜市民は、わが街でトラベルマートが開催されていたことをどれだけ知っていたのでしょうか(この意味を主催者が理解しているかどうかは大事だと思います)。ヨーロッパでは、トラベルマートは開催地を挙げたイベントであり、市民を巻き込んで海外から来た旅行関係者を歓待する光景が見られることを思うと、残念に思ってしまうのです。こちらは認識レベルの問題です。

もうひとつ気になったのは、海外バイヤー席がなくなったこと。商談というのは事前にアポ入れして行なうものですから、とくに支障はないのでしょうが、第三者には特定のバイヤーがどこにいるのかわからない。日本のセラーにとって受身の商談しかできないのでは、もったいない気がします。バイヤー席があれば、アポの入っていない時間帯を見計らって積極的にアプローチすることができるからです。

その点についてある海外バイヤーの知り合いに聞いたところ、必ずしもセラーに多く会えば会うほど商談が成立するというものでもないらしく、お互いに求めるものをある程度事前にすり合わせておかなければ効果がないとのこと。来日する前に、日本のセラーとどれだけ情報を共有できているかが鍵だと彼らはいいます。

だとしたら、出展者同士が情報交換できるようなマッチングの場を事前にネット上に提供するサービスがあってもいいのではないでしょうか。つまり、リアルな商談会を前提としたB to Bのためのプラットフォームを用意することが求められているのでないか。

以前からウェイボーのようなB to C向けの情報発信の重要性について指摘してきましたが、トラベルマートのような業界関係者との商談会の場にいると、やはり大事なのはB to Bの情報交流をもっと活性化することがインバウンド促進にとって重要だと実感します。相手国の市場の成熟度にもよりますが、消費者向けの情報に力を入れるより、海外の業界関係者に情報の優位性を与えてこそ、ビジネスは動き出すものだからです。この点については、今後もっと具体的な提案を今後してみたいと思います。

次回は、トラベルマートに出展していたアジアからの訪日旅行市場に特化した業界団体として知られるアジアインバウンド観光振興会(AISO)の総会で聞いた生々しい報告を中心に2013年のインバウンドの展望について紹介したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2012-12-03 13:31 | 最新インバウンド・レポート | Comments(0)