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2015年 09月 04日

海外客が羽田でレンタカーを利用するまでの流れとは

外国人ツーリストが羽田空港からレンタカーを利用するまでの流れは、我々日本人の場合と若干違うところがあります。
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日本人の場合、第一、第二ターミナルにある各社別のレンタカーカウンターに向かうことになりますが、外国人の場合、国際ターミナルの到着フロアのゲイトに向かって右側にあるレンタカーカウンターに向かいます。
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リムジンバスの発券所の隣に、オリックスレンタカー、トヨタレンタカー、Hertz、日産レンタカー、ニッポンレンタカー、Times Car RENTAL、Europcarの合同カウンターがあります。
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事前にレンタカー予約した外国人は、ここで予約の照会をすませると、1階の「乗車レーン」まで歩き、レンタカー会社の用意した車に乗せられて、営業所に向かいます。「乗車レーン」は国際ターミナルの到着ロビーから京浜急行線の向こう側にあります。
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今回、ニッポンレンタカーの協力で、羽田営業所に向かいました。移動時間は約10~15分です。
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ニッポンレンタカー羽田営業所の佐藤大助サブマネージャーに話を聞きました。
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―羽田営業所での外国客のレンタカー利用はいつごろから増えてきましたか。

「2014年3月30日の国際線の大増便あたりからではないでしょうか。最近では、香港や韓国のお客様を中心に毎月70組以上の利用があります。特に1~2月の旧正月のシーズンは香港の方が多いです。また最近、タイの方も増えてきました」。

―外国客がレンタカー利用の手続きをする際、何が必要ですか。

「パスポートと国際免許証の写しが必要です。手続きは10分程度で、国内のお客様の場合とそんなに変わりません。ただし、外国客は羽田で乗って成田で乗り捨てというケースも多いので、お返しの日時と場所をしっかり確認します。お乗りになる前に、事故の連絡先や営業所の近くのガソリンスタンドのMAPをお渡しします。今後は事故防止のためのガイダンスを作成し、お渡しする予定です」。

―外国客には日本での運転のポイントとしてどんなことを伝えていますか。

「事故の際の対応と駐車禁止についてです。事故といっても接触事故などがほとんどですが、帰国されてしまうと処理ができなくなりますから。また特に都内の道路は駐車禁止が多いので、そのことも伝えます。給油に関してもたまにトラブルが起きます。たとえば、レギュラーのかわりになぜか灯油を入れてしまい、車が動かなくなったこともありました」。

―一般に外国客の利用期間は国内客より長いそうですね。人気の車種はありますか。

「そうですね。平均1週間くらいです。外国客に人気の車種はフィアットとかワゴン車です。特に家族で利用される方に人気です」。

首都圏における国内客のレンタカー利用は圧倒的にビジネス利用で、レジャーは少ないようです。その点、外国客はレジャー利用が多い。最近の若い世代の免許証取得比率の減少などで国内市場が縮小していく中、レンタカー業界も外国客の取り込みが重要になっています。国内市場を外客で補いつつ、国内の道路システムの維持を図り、さらにはユニバーサルなシステムに徐々に転換していくためだそうです。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-04 17:01 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 06月 17日

観光をマーケティングに活かせない日本の製造業こそ問題

「訪日客のインバウンド消費が日本経済を救う」(ダイヤモンドオンライン)式の論調やそれを後押しする政府の統計発表などが続いています。

6月に入り、政府発の訪日旅行拡大効果を伝える強気の発表続く
http://inbound.exblog.jp/24579303/

「○○が日本(経済)を救う」といったタイトルの立て方は、一種のノリみたいなもので、そんなに深く考え練られたものではないのでしょうが、「インバウンド消費への対応が経済復活の柱の一つになるだろう」といったあたりさわりのない論調に対しても、世の中には反論したくなる人がいるものです。

アホノミクスと呼ばせないために必要なのは現実的エネルギー・環境政策 金融、観光は日本経済成長の原動力には力不足(WEDGE Infinity2015年6月11日)
http://blogos.com/article/116169/

反論の理由はこうです。

「観光産業が作り出す付加価値額が相対的に少ないとの問題もある。昨年の過去最高の訪日観光客1341万人が日本で宿泊、外食、買い物、交通費に使った金は約2兆円だった。誘発効果もあり経済成長には寄与するが、大きく経済を引き上げ、1人当たりの平均給与が上がることにはならない。ちなみに製造業の売上額は約390兆円ある。

『「里山資本主義」では持続可能な社会をつくれない』で触れた通り、日本では観光・外食産業が作り出す1人当たりの付加価値額は大きくないからだ。製造業の1人当たり付加価値額約750万円の半分にも達しない。付加価値額、つまり稼ぎが少ないので、1人当たり給与も大きくない。訪日外国人を増やし、消費する金額を伸ばせばよいとの考えもあるが、この分野で大きな成長を作るには限度がある」(一部抜粋)。

もっともな話です。2014年のインバウンド消費額が2兆円超で、訪日客が2000万人となる近い将来には4兆円を目指すというわけですから、日本の500数十兆円というGDPの規模からすると、ささやかな数字です。日本の経済を語るうえで、わずかな日数を滞在するにすぎない外国人の財布をあてにするのは、もとより限度のある話です。

ですから、これは何をいまさらというような話であって、問題なのは、この筆者も述べるように、日本の製造業がかつての勢いを失っていることでしょう。日本の経済指標で右肩上がりに伸びている数少ないマーケットにケチをつけている場合ではないはずです。

「アジア諸国における日本製品のシェアは下落を続けている。図-4はアジアの主要国の輸入における日本のシェア推移を示している。どの国でも波を描きながら日本のシェアは低下を続けている。中国、韓国の進出がありシェアを落としている側面はある。しかし、他の主要先進国との比較では、日本の輸出の伸びは相対的に低い状態にある。図-5が示すように、ドイツを筆頭に、他の先進諸国は輸出を日本以上に伸ばしている。

なぜ、日本の輸出は相対的に伸びなかったのだろうか。日本企業だけ海外生産が増え空洞化が起こったためだろうか。それは正しくない。失われた20年間で日本の製造業が随分力を失くし、成長産業で他の先進諸国に遅れを取ったからだ。海外での製造を含め日本の製造業が力を失くした20年だったのだ」(一部抜粋)。

この筆者によると、日本の製造業不振と輸出競争力の低下の理由は、ひとことでいえば、デフレにあるとのことです。

「日本の製造業がこれから目指すべきは、このアジアの巨大な需要を満たすための供給能力を整えることだが、付加価値額が低い製品は現地で生産を行い、付加価値額が高い製品を国内で製造することを考えるべきだ。アジアの需要を掴み日本国内の製造業の成長を図ることにより、結果として給与増も可能になる。そのためには、企業が設備投資と研究開発の意欲を再度持つようになるデフレ脱却がまず必要になる。アベノミクスの方向は間違っていない」(一部抜粋)。

デフレゆえに、設備投資と研究開発が進まなかったことが問題だというわけです。

その理屈の是非や妥当性はともかく、この人は「日本の製造業がこれから目指すべきは、このアジアの巨大な需要を満たすための供給能力を整えることだ」と言っています。少子高齢化が進む日本の内需を拡大させるのは難しい。だから、アジア市場にモノを売るべきだというわけです。

だとしたら、もっと観光(=アジア新興国の消費者動向)をマーケティングし、商品企画や開発に活かすべきでしょう。この20年間、さまざまな理由から、アジア新興国の消費マーケットの実情をふまえたマーケティングに基づく商品企画や開発がうまく機能しなかったことこそが、日本の製造業不振と輸出競争力の低下の理由ではないかと思うのです。頼りにしていたコンサルティング会社が用意したマーケティング資料の多くも、製造業からみれば、実感をともなう内実を備えていなかったからではないでしょうか。それゆえモチベーションも強く発揮されなかったのでは。

日本のインバウンド振興には3つの意味があるとぼくは考えています。

まず、訪日外客による直接のインバウンド消費。これは前述したように、伸びているといっても、経済全体から見ればささやかなものです。ただし、これまで日本に存在していなかった新しい消費者(=外国客)が現われていることは、製造業にとっても製品企画や開発のモチベーションとなりうるはずです。

ふたつめの意味が、まさにそれ。日本をショーウィンドに見立てて、あらゆる商品やサービスをアジア新興国を中心とした消費者に知ってもらい、彼らのニーズを探ることで、製造業の商品開発に活かすことです。いまや日本に大挙して訪れるアジアの消費者は、かつて存在した日本の製造業の送り出す商品規格との質的・価格的ミスマッチングを埋めることができる存在といえます。

三つめは観光プロモーションのもつパブリック・ディプロマシー的な意味です。

そういう意味でも、観光や金融、通信を製造業と切り離して論ずることは賢明ではないといえるでしょう。むしろ、それらともっと連動させるべきではないか。そのように考えると、世の中がもっと面白く見えてくると思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-17 11:15 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 06月 16日

新大久保はハラルの町、エスニック度が上昇しています

この週末、久しぶりに新大久保を訪ねたら、以前と比べてちょっと様相が変わって見えました。街を歩く人たちのエスニック度がこれまでに増して上昇しているのです。

コリアン街として知られる新大久保のJR山手線の内側には、多くの韓国料理店や韓流グッズ、化粧品、食材などの店が並んでいます。ハングルのネオンがきらめく都内でもユニークな移民街ですが、人通りは少なくなったとまではいえないものの、数年前ほどのにぎわいは感じられません。通りに面した一部のレストランの中を覗くと、まったく客の姿が見当たらない店もけっこうあります。

一方、山手線の外側に位置する一角には、独特のにぎわいがあります。そこには東南アジアから西アジアにかけての濃い顔をした人たちが往来しているのです。ここ数年で彼らの数はぐっと増えたように思われます。

朝日新聞2015年5月10日~12日の東京版には、以下の新大久保訪問ルポが書かれていました。

イスラム横丁へようこそ! 新大久保に根付くムスリムのコミュニティー(朝日新聞2015年05月21日)http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2015051500003.html

「そこは「イスラム横丁」と呼ばれる。

JR山手線の新大久保駅(新宿区)の西側。目抜き通りを北に折れて40メートル進んだ丁字路に、ムスリム(イスラム教徒)向けの店が並ぶ。駅東の「コリアンタウン」とは風景も行き交う人もまるで違う。

金曜の昼過ぎ。インド人が営む食材店、バングラデシュ人の香辛料店、トルコ人のケバブ店……。店が次々に閉まる。店内や路上にいた人々が、古びた雑居ビルへと吸い込まれていく」(一部抜粋)
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「新大久保 心つながるムスリム」「モスクで礼拝200人 視線を気にせず没頭」「厳格と寛容、教えを守り日本に根」「思い込みで身構えすぎていた」「違い 知ること、知ろうとすることが大事」「『心のグローバル化を』重く響いた」……といったこの種のルポにありがちな記事のメッセージは、月並みすぎて正直あんまり感心しませんでしたが、同記事を読んで興味深かったのは、この地でハラル食材店を経営し、「ビッグブラザー」と呼ばれるインド人長老の語る夢として「学校とホテル、多国籍ハラルレストランが併設されたムスリム施設の建設」を挙げていることでした。
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この写真(上)の店がインド人長老の経営するハラル食材店です。中に入ると、ハラル処理された肉や香辛料、インスタントラーメン、ドリンク類などが売られていますが、客層は多国籍です。面白いのは、共通語として片言の日本語が使われています。声をかけてみると、必ずしも在住者ではなく、観光で来日した東南アジア系の人たちが多いことです。
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そうなんです。新大久保に訪日外国人が多く訪れるようになっているのです。必ずしもアジア系だけでなく、大久保界隈の安いホステル系の宿に泊まる欧米人の子供連れのファミリーもいたりします。

インド人長老が夢として「学校とホテル、多国籍ハラルレストランが併設されたムスリム施設の建設」を語った背景には、新大久保を訪れるアジア系旅行者が増えていることがあるのだと思います。

これには、当然ここ数年のアジア各国へのビザ緩和の影響があるはずです。ハラルフードの食材店やレストランが多いことも、外国客を引き寄せる理由になっているのでしょう。

別のハラルショップでは、食材以外にも格安航空券やスマホ、PC、SIMカードなどを販売していました。
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新大久保は今後、在住ムスリムだけでなく、訪日外客も含めた新しい多国籍エスニック街に変わっていくのかもしれません。
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【追記】
欧米系を含めた訪日外国人旅行者の姿は、新大久保の延辺料理店(中国の朝鮮族の地方料理の店)などでも見かけます。ちょっと意外な気がしたのですが、ではなぜ韓国料理店にはあまり入っていないのだろうと考えたところ、これはあくまで推論にすぎませんけれど、日本を訪れた外国客がハングル表記の店にわざわざ入ることはあまり考えないからだろうと思われます(好み以前の話です。ここは韓国ではないのですから)。

それに、今の新大久保の韓国料理店の外観は、日本の韓流ファン向けのテイストのデザインが多く、料理の値段も決して安くありません。旅行者の気持ちになって考えてみれば、日本に来てわざわざコリアンタウンで韓国料理、という流れにはなりにくいだろうと思われます。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-16 17:32 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 02月 05日

アセアン第二陣、フィリピンとベトナムの訪日旅行市場でいま起きていること

2014年の訪日外国人旅行者数1300万人突破で弾みのつく日本のインバウンド業界。

年末から年初にかけて関係者に話を聞いていると、中国、台湾、香港など訪日客の半分近くを占める中華圏市場への過度の偏りではなく、アセアンやオセアニア、欧米を含めた市場の分散化を期待する声が強いようだ。

なかでもここ数年、観光ビザの緩和で訪日客の増えているアセアン市場への関心は高い。

規模でいえば訪日客全体の1割強と、中華圏に比べればまだ小さいものの、タイを筆頭にマレーシア、シンガポールなど、すでにノービザ化が実現している国々も含め、基本的に「親日的」とされるアセアン市場に対する関係者の期待が大きいためだ。

2015年はアセアン統合の年。さらなる地域の経済発展が予測されるなか、昨年訪日数で中国に次いで高い伸びを見せたのがフィリピン(70.0%増)とベトナム(47.2%増)だ。アセアン第二陣ともいうべき両国の市場動向は他の国々と比べてどうなのか。新しい動きを中心に報告したい。

フィリピン客の特徴は英語を話し、ファミリー旅行が多い

1月20日に発表された日本政府観光局(JNTO)のリリースによると、2014年に中国に次ぐ高い伸びを示したフィリピンの訪日客数は、前年度比70.0%増の18万4200人。フィリピン市場の特徴をJNTOは以下のように解説している。

「フィリピンの訪日旅行者数は184,200 人で、10 年ぶりに過去最高を記録するとともに、前年比70.0%増と東南アジア市場で最も高い伸率を示した(これまでの過去最高は2004年154,588 人)。月別では4 月から6 月、9 月から12 月で、各月の過去最高を記録した。査証緩和に加え、円安の進行、羽田空港の国際線発着枠の拡大に伴う増便や新規就航など、航空座席供給量が大幅に増加したことや、旅行会社などとの継続的な共同広告の実施、旅行博でのプロモーションが、観光需要を大きく後押しし、2014 年の伸びに寄与した。なお、9 月30 日より、フィリピン国民に対する数次ビザの大幅緩和が実施された」。

ポイントは「東南アジア市場で最も高い伸率」と「10 年ぶりに過去最高を記録」したことだろう。フィリピン市場を考えるうえで在日フィリピン人の存在は大きい。2013年で約21万人と中国、韓国に次いで多く、親族訪問に限らず、日本とフィリピンの人的往来は以前から盛んだったからだ。

フィリピンから日本に乗り入れている航空会社も多彩で、日本航空や全日空、フィリピン航空だけでなく、LCCのセブパシフィック航空やジェットスター航空、ジェットスター・アジア航空がある。さらには大韓航空やキャセイパシフィック航空などの経由便も利用されてきた。

アセアン各国の訪日旅行を扱う株式会社ティ・エ・エスの下川美奈子さんは「(14年に訪日客が大幅に伸びた理由は)ビザが取りやすくなったことが大きい。数年前までフィリピンでは韓国旅行がブームだったが、それがひと段落して、いまは日本旅行がブームになってきた」と語る。

では、フィリピンの訪日旅行の実態はどのようなものなのか。

下川さんによると「団体ツアーはほぼ東京・大阪のゴールデンルートのみ。ただし、フィリピンの場合、全体でみると団体とFIT(個人客)は半々で、アセアンの中ではFITの存在感が大きい市場のひとつといえる。もともとフィリピンには中小の旅行会社が多く、不特定多数の人たちが参加する募集型ツアーよりも家族単位のグループが多く、個人手配の旅行に近い」という。

フィリピン客の特徴は英語を話すことだ。そのため、「欧米客と同じJTBのサンライズツアーやグレーラインのバスツアーに参加することも多い。国内移動も自分たちで新幹線に乗る」。

物怖じすることなく欧米客と一緒にバスツアーに出かけるのが、フィリピン人旅行者なのだ。その意味で彼らは英語圏の旅行者に近いといえそうだ。

訪日ベトナム人が増えた3つの理由

一方、フィリピンに次いで伸び率の高かったベトナムの訪日客数は14年に初めて10万人を突破し、前年度比47.2%増の12万4300人となった。

訪日ベトナム客が増えた理由について、JNTOは以下のように分析している。

「ベトナムの訪日旅行者数は124,300 人で、3 年連続で過去最高を記録し、初めて10 万人を突破した。月別では、2012 年1 月以降、36 カ月連続で各月の過去最高を更新し続けている。査証緩和に加え、円安の進行に伴う訪日旅行の価格低下、羽田便の増便をはじめとした座席供給量の増加、従来よりも手頃な価格での航空券の販売、共同広告、有名人歌手を起用したミュージックビデオの制作およびイベント実施、ベトナム語よる情報発信強化などのプロモーションが、増加要因として挙げられる。また、観光客だけでなく、留学生、技能実習生なども増加傾向にある。なお、9 月30 日より、ベトナム国民に対する数次ビザの大幅緩和が実施された」。

このうち、「査証緩和」や「円安の進行」など各国に共通する事項を除くと、ポイントは「羽田便の増便をはじめとした座席供給量の増加」「有名人歌手を起用したミュージックビデオの制作およびイベント実施」「ベトナム語よる情報発信強化」「留学生、技能実習生なども増加傾向」などか。

それぞれ具体的にみていこう。

まず航空座席供給量については、14年7月の羽田空港の国際線枠の拡大に伴い、ベトナム航空のハノイ・羽田線、ベトナム中部都市ダナンから初の成田線などが新規に就航。確実に拡充している。

この年末年始、関西空港にベトナムのLCC・ベトジェット航空のチャーター便が初就航したニュースも、この市場を知るうえでなかなか興味深い。

同エアラインは、定期便が就航する最初の便で機内に水着やドレス姿のキャンペーンガールを同乗させ、ダンスを披露するなど、およそお堅い社会主義国とは思えないサービスが話題となっているからだ。
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ベトジェット航空の機内で行われる就航記念イベント

ベトジェット航空の佐藤加奈さんによると、「2011年12月に運航を開始したベトナム第2のエアラインで、初めてのLCC。現在、国内16路線、国際線もタイやシンガポール、カンボジア、台湾、韓国などに運航している」。躍進著しい民営の新興エアラインなのである。
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ベトジェット航空
http://www.airinter.asia/

日本への定期便の運航は、15年1月現在未定だが、チャーター便を運航する計画がある。「今後、ベトナムからの訪日客は必ず増えると思う。ベトナム人は親日的で、何より平均年齢が27歳と若い国」と佐藤さんは期待をこめる。

大阪を旅する「ベトナム人気歌手」のPV撮影が話題に!

ベトナムの若さという意味では、「有名人歌手を起用したミュージックビデオの制作およびイベント実施」も気になるところだ。

これは昨年9月、ベトナムの人気歌手ヌーフックティン(Noo Phước Thịnh)さんの新曲のプロモーションビデオの撮影が大阪で行われたことを指している。

ヌーフックティンさんの新曲『be together forever』PV(動画)
http://www.tiin.vn/chuyen-muc/nhac/noo-phuoc-thinh-tung-mv-quay-o-nhat-ban-thach-thuc-son-tung-m-tp.html

ストーリーは、関西空港に降り立ったヌーフックティンさんが偶然知り合った日本の女の子に大阪をデート感覚で案内してもらうという設定。ロケ地としては、梅田スカイビルや大阪城、道頓堀、通天閣などが登場する。撮影には、ビジット・ジャパン事業の一環として日本政府観光局や地元大阪観光局が協力した。

PV制作を担当した大阪のイベント運営会社の担当者によると「ベトナムの人気歌手の新曲のPV撮影のロケ地に大阪を選んだことは、訪日促進プロモーションにつながっていると思う。昨年10月26日にホーチミンで開催された日越交流イベント『ジャパンデー2014』の会場でもこのPVは流された」という。

日本情報があふれるタイなどに比べるとまだこれからとはいうものの、ベトナムでは現地向けのベトナム語のフリーペーパーの発行が数年前からすでに始まっている。「きらら」は隔月刊の若いベトナム女性向けのライフスタイルマガジンで、ホーチミンを中心に5万部を発行。訪日旅行を喚起するさまざまなコンテンツを発信している。

「きらら」ウエブサイト
http://www.kilala.vn/cam-nang-nhat-ban.html

平均年齢27歳というこの国が今後、どんな消費シーンを見せていくのか、楽しみだ。

反中が「空前の日本語ブーム」に向かわせた?

「留学生、技能実習生なども増加傾向」というのも、ベトナム市場のもうひとつの実態といえる。どういうことか。

朝日新聞2014年9月5日によると、「南シナ海のベトナム沖から中国が石油掘削施設を撤収して1ヵ月半がたつが、ベトナム国内の「反中国」ムードが収まらない」「国営テレビは中国の連続ドラマの放送を打ち切り、観光業者による中国へのツアーの多くも中止されたままだ」(「ベトナム冷めない「反中」 政治的な対立は沈静化」)という。

ベトナムでは、南シナ海における中国との確執を契機に、これまでの依存し過ぎた対中関係のバランスを改めようとする動きがあるというのだ。それがベトナム人の関心を日本に向わせる背景となっているというのが、次の記事だ。

「ベトナムで空前の日本語ブームが起きている。昨年度の日本への語学留学生は前年度の4倍で、日本語試験の受験者も東南アジアで断トツだ。

ブームの背景にあるのは、国際環境の変化だ。日中関係の悪化で中国からベトナムへ拠点を移す日系企業が増え、商工会の加盟数は1299社(14年4月)と、5年で約1.5倍も増えた。いまや学生にとって日本語習得が「就職への近道」になっているのだ」(「ベトナム、日本語熱沸騰」朝日新聞2014年9月9日)。

ベトナムからの留学生も増えている。同記事では、「日本語教育振興協会(東京都渋谷区)によると、02年度に日本国内の日本語教育機関で学ぶベトナム人は198人で全体の0.5%。ところが13年度には前年度比4倍超の8436人になり、2386人の韓国を抜いて2位」という。

ベトナム国家観光局の統計をみると、13年のベトナム人の主な渡航先とおおよその数は、国境を接する中国100万人、カンボジア100万人、同じアセアン域内でビザが不要なタイ50万人、シンガポール30万人、マレーシア20万人、それ以外では韓国11万人だという。このうち、中国への渡航はビジネス目的が多いと考えられる。

昨年12万人を超えたベトナム訪日市場。この国の海外旅行の時代はまだ始まったばかりだが、今後の伸びしろは大きいといえるだろう。

神戸で神戸牛が重要! 訪日ベトナムツアーの9割はゴールデンルート

では、ベトナムの訪日旅行市場の現状はどのようなものなのか。HISホーチミン支店の井口唯さんに話を聞いた。以下、その一問一答。

――ベトナム人の一般的な日本ツアーのコースや日程、料金は。

「ツアーコースは9割以上が大阪→京都→名古屋→富士・箱根→東京、またはその逆をたどるゴールデンルート。

一般的な日本滞在中の日程は以下のとおり。
1日目 朝大阪着 神戸・大阪観光 大阪泊
2日目 京都観光 観光後名古屋へ 愛知県泊
3日目 富士・箱根観光 河口湖の温泉ホテル泊
4日目 東京観光 東京泊
5日目 早朝便で帰国または東京観光後、午後帰国
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ベトナムの日本ツアーのパンフレット(ゴールデンルート)

ゴールデンルートの料金は2,000ドル程度。この金額には全日程の宿泊や観光、食事、ホテル、査証、バス、保険などすべてが含まれる」。

――他のアジア諸国の訪日ツアーと比べてベトナムならではの特徴はあるか。

「いまのところベトナムの訪日ツアーの内容には他国と比べて特徴は少なく、どこの旅行会社も同じようなツアーを出し、同じような価格設定というのが現状。社会主義の国であるため、まだ規制が多く、自由な価格競争も難しい。たとえば、弊社がすべて5つ星ホテルに泊まるデラックスツアーや、札幌雪祭りやハウステンボスへ行くツアーなどのスペシャル企画を打ち出しても、なかなか売れないのが現状だ。

ちょっと面白いのは、ゴールデンルートでは必ず神戸に立ち寄ること。その目的は、瀬戸大橋を見て神戸牛を食べること。実際には神戸牛は大阪でも食べられるし、わざわざ往復2時間かけて神戸に行くより、大阪でじっくり時間をかけて観光したほうがいいと思うので、弊社では、たとえば大阪のインスタントラーメン発明記念館などを組み込んだツアーを企画してみるのだが、ツアーコースに神戸が入っていないと選んでくれない。宿泊についても、東京や大阪にこだわり、八王子や立川ならいいけど、横浜はダメだという。このようにベトナム人は先入観が強いというか、ちょっと頑固でミーハーなところがある」。

ベトナム客は神戸で神戸牛を食べないと気がすまない!?

「神戸牛を食べるなら神戸でなければならない」というような思い込みは、海外旅行が始まって間もない国の人たちに共通している傾向かもしれない。何度も日本に来られるわけではないから、来たからには当初の目的を貫徹したいという思いが強いと考えられる。情報豊富なリピーターの多い国から来た旅行者とは感覚が違うのは当然だろう。
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――ベトナム人は日本のどんなことに関心があるのか。それがツアー内容にどう反映されるのか。ベトナム人らしい立ち寄り先はあるか。どんなお土産が人気か。

「日本の伝統的なものより、まずは有名なことに関心があるように思う。たとえば、固有名詞でいうと、六本木、歌舞伎町、銀座、道頓堀、富士山、雪、寿司など。

一般にブランドものより100円均一やドンキホーテ、ヨドバシカメラなどの量販店での買い物を好むようだ。そのため、東京や大阪などで必ずショッピングフリータイムを2、3時間設けている。

ベトナム人らしい立ち寄り先というのは、神戸を除くといまは特にない。お土産はお菓子や食品などを買う傾向が強い。スーツケースや電化製品などを買う方もいるが、他の東南アジアのお客様より少ないように思う」。

――ベトナム人には日本食は問題ないか。またホテルやそれ以外で何かお困りのことは。

「日本食はほとんど問題ない。焼肉やしゃぶしゃぶ、寿司、和定食など、日本食としてよく知られているわかりやい料理が好まれる。ひとつ注意しなければならないのは、ベトナムではいま中国との関係が良くないため、中国客が多いレストランにお連れするとクレームを受けることがある。

ホテルでも特に困ったことはない。ただし、ベトナムではどんなに小さいカフェでも、家庭でもWiFiが当たり前のように普及しているため、WiFiがないホテルに泊まると驚かれてしまう。こういう点に関しては、あらかじめ日本の遅れているところとしてご理解いただくようご説明している」。

ベトナム客に留意するポイントはこれだ!

このようにベトナムの訪日旅行市場は、海外旅行の黎明期を迎えた国に共通して見られる微笑ましい特徴に加え、留意しなければならないいくつかのポイントがあるようだ。

昨年6月、アセアン・インドトラベルマート2014の商談会場で会ったハノイツーリストのLuu Duc Ke社長によると「これまでベトナム人の海外旅行先として人気の高かったタイで近年クーデターが起き、中国との関係も悪化したことから、両国を避ける動きが強まっている」という。

「現在、ベトナム人にビザが免除されているのはアセアン10カ国のみ。だから、もし日本でビザが緩和されたら、間違いなくベトナム人は日本へ行きたいと思うはず。日本の魅力は桜や紅葉に代表される自然の美しさ、近代的でありながらとても清潔な国であること。日本料理も食べたいし、買い物もしたい。ベトナムの経済水準はまだ低いので、リピーターが現れるようになるには時間がかかるが、少しずつ日本に行きやすい環境が整い始めている」と同社長は語る。

同じ会場にいた別のベトナム人関係者はこんな話を聞かせてくれた。「いまベトナムでは中国に対する反感が高まっていて、国内にあふれる中国製品を排斥する動きも強まっている。でも、ベトナムは親日、いや尊日の国だ」。

彼によると、訪日したベトナム客が家電量販店で電気製品を購入しようとしたとき、あまりのメイド・イン・チャイナの氾濫ぶりに唖然とするという。せっかく日本に来たのだから、メイド・イン・ジャパンを買いたいのに残念だと思うようだ。こうしたことから、これは家電量販店に限った話ではないが、ベトナム客の来店がわかったら、商品の薦め方に工夫が必要だ。レストランやホテルの客室の振り分けも、中国客とベトナム客がいたらフロアを別にするなど、細かい配慮も求められる。

気になるのは、日本側の受入態勢の問題だ。Luu Duc Ke社長は「ベトナムの旅行シーズンは4月、6月(夏休み)、10月。だがこの時期、日本ではバスやホテルの客室が取りにくい」と語っている。

この点について、株式会社ティ・エ・エスの友瀬貴也代表取締役は「華人ビジネスの影響を受けやすいタイのように、ツアー代金が急速に値下がりすることはあまり考えられないため、ベトナムは日本にとってはありがたい市場だ。しかし、9割のツアーがゴールデンルートというだけに、昨年すでにバスやホテル不足から予約を受けられない事態も発生している。これは対ベトナム市場に限ったことではないが、日本の受入態勢の問題をどう克服していくかが、今年ますます問われるだろう」と指摘する。

始まったばかりのアセアン第二陣。今回の内容はあくまで入門編に過ぎない。さらなる誘客を進めるためにも、それぞれの市場についてもっと理解を深めなければならない。

※やまとごころ.jp http://www.yamatogokoro.jp/report/2015/report_09.html
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by sanyo-kansatu | 2015-02-05 17:00 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2015年 01月 22日

機内ビキニショーが話題のベトナムLCCチャーター便初の関空入り

この年末年始、関西空港にベトナムのLCC・ベトジェット航空のチャーター便が初就航しました。

ベトナムのLCCというだけで意外性がありますが、同エアラインは、定期便の運航地に向かう初便において就航記念イベントと称して、機内に水着やドレス姿のキャンペーンガールを同乗させ、ダンスを披露するなど、およそお堅い社会主義国のエアラインとは思えないサービスが話題となっています。
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ベトジェット航空の佐藤加奈さんに話を聞きました。

――この年末年始のハノイ・関空線のチャーター便について教えてください。

「12月30日にハノイから関空へ。同日ハノイ経由でカンボジアのシェムリアップへ。1月1日シェムリアップからハノイへ。4日にハノイから関空へ(翌日朝着)。同日ハノイに戻るというフライトでした。

ハノイから関空の便は乗客の90%がベトナムの方で、大阪起点で東京に向かい、再び関空から帰るという4泊6日のゴールデンコースのツアーでした。関空発の便はハノイ(ベトナム)・アンコールワット(カンボジア)周遊ツアーに参加された日本のお客様が乗られました」。

――ベトナムにもLCCがあるとは初めて知りました。

「ベトジェット航空は2011年12月に運航を開始したベトナム第2のエアラインで、初のLCCであり、民営航空会社です。現在、国内16路線、国際線もタイやシンガポール、カンボジア、台湾、韓国などに運航しています」。
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機材はエアバスA320-200。座席は180席(エコノミーのみ)

――機内でビキニショーというのは斬新ですね。
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「いつでもやっているわけではなく、新しい就航地の初運航便の記念イベントということで、機内のビキニショーやウエディングなど、さまざまなエンターテインメント性の高いイベントを実施しています。彼女たちは客室乗務員ではなく、キャンペーンガールの皆さんです。初めて機内イベントを企画した際、運輸局に通達していなかったため、お目玉を食らって罰金となりましたが、以後は問題ありません。イベントの内容もさまざまで、韓国線の就航の際は、機内で「カンナムスタイル」のダンスを踊りました。日本就航の際の企画は未定です」。
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――今後、ベトナムからの訪日客が増えると思いますか。

「必ず増えると思います。ベトナム人は親日的ですし、平均年齢が27歳と若い国です。経済もこれからますます発展していくはずです」。
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ベトジェット航空
http://www.airinter.asia/
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ベトジェット航空の日本への定期便の就航は、2015年1月現在未定のようですが、今年もチャーター便を運航する計画があるそうです。チャーター便の運航は、双方の国の乗客がいて初めて成り立つツーウエイツーリズムがあるべき姿です。初便に乗って機内イベントをぜひ体験してみたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-22 11:29 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 01月 22日

ベトナム人気歌手Noo Phước Thịnhの新曲PVは大阪プロモーションになっている

ベトナムの訪日旅行事情について最近少しずつ調べ始めたところですが、1月20日の日本政府観光局(JNTO)のベトナムに関するリリースの中に「有名人歌手を起用したミュージックビデオの制作およびイベント実施」という一文がありました。

これはどういうことだろう? そこで、HISホーチミン支店の井口唯さんに聞いたところ、昨年9月、ベトナムの人気歌手ヌーフックティン(Noo Phước Thịnh)さんの新曲のPVの撮影が大阪で行われたことだと教えてもらいました。

ヌーフックティン(Noo Phước Thịnh)さんの新曲『be together forever』PV(動画)
http://www.tiin.vn/chuyen-muc/nhac/noo-phuoc-thinh-tung-mv-quay-o-nhat-ban-thach-thuc-son-tung-m-tp.html

この撮影にはビジット・ジャパン事業の一環として日本政府観光局と地元大阪観光局が協力したそうです。PVをご覧になればおわかりのように、関西空港から始まり、梅田スカイビルや大阪城、道頓堀などをロケ地に選び、ヌーフックティンさんと偶然知り合った日本の女の子がデート気分で大阪を案内するような設定です。ちなみに、彼女はふだんはローカルTV局のレポーターなどをしている女性だそうです。

このPV制作を担当した大阪のイベント運営会社、株式会社AABの担当者によると、「新曲のPVの撮影の舞台として大阪を選んだことで、ベトナムの訪日促進プロモーションにつながっていると思います。昨年10月26日にホーチミンで開催された日越交流イベントのジャパンデー2014の会場でもこのPVは流されました」とのこと。

ヌーフックティンさんの大阪での撮影の様子については、株式会社AABの運営するFB「ベトナム情報センター」でも紹介されています。

ベトナム情報センター
https://www.facebook.com/VietnamInformationCenter?pnref=lhc

日本情報のあふれるタイなどに比べると、ベトナムはまだ情報は少ないのではないかと思っていましたが、現地在住日本人らによるベトナム人向けフリーペーパーの制作も数年前から始まっています。「きらら」は隔月刊の若いベトナム女性向けのライフスタイルマガジンです。日本に関する情報に特化していて、ホーチミンを中心に5万部を発行しています。

きらら
http://www.kilala.vn/cam-nang-nhat-ban.html

ベトナム語が読めないのは残念ですが、平均年齢27歳という若い国だけに、これからどう化けていくのか、ちょっと楽しみです。

※ベトナムの訪日旅行事情については、以下参照。

アセアン第二陣、フィリピンとベトナムの訪日旅行市場でいま起きていること
http://inbound.exblog.jp/24096702/
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by sanyo-kansatu | 2015-01-22 11:10 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 01月 22日

ベトナムからの訪日ツアーは9割がゴールデンルート

2014年の訪日外国人旅行者数1300万人突破で弾みのつく日本のインバウンド業界。

年末から今年初めにかけて関係者に話を聞いていると、中国、台湾、香港など訪日客の半分近くを占める中華圏への過度の集中ではなく、アセアンやオセアニア、欧米を含めた市場の分散化を期待する声が強いことを実感します。

なかでもここ数年、観光ビザの緩和施策で訪日客の増えているアセアン市場への関心の高さは突出しているようです。規模でいえば訪日客全体の1割強と、中華圏に比べればまだ小さいものの、タイを筆頭にマレーシア、シンガポールといったすでにノービザ化が実現している国々も含め、基本的に「親日的」とされるアセアン市場への関係者の期待は大きいようです。2015年はアセアン統合の年でもありますし、昨年訪日数で高い伸びを見せたベトナムの市場動向や特性について考えてみたいと思います。

1月20日、日本政府観光局(JNTO)が発表したリリースによると、ベトナムの2014年の訪日客数は初めて10万人を突破し、12万4300人(前年度比47.2%)です。

JNTOのリリースでは、ベトナム市場について以下のように解説しています。

「ベトナムの訪日旅行者数は124,300 人で、3 年連続で過去最高を記録し、初めて10 万人を突破した。月別では、2012 年1 月以降、36 カ月連続で各月の過去最高を更新し続けている。査証緩和に加え、円安の進行に伴う訪日旅行の価格低下、羽田便の増便をはじめとした座席供給量の増加、従来よりも手頃な価格での航空券の販売、共同広告、有名人歌手を起用したミュージックビデオの制作およびイベント実施、ベトナム語よる情報発信強化などのプロモーションが、増加要因として挙げられる。また、観光客だけでなく、留学生、技能実習生なども増加傾向にある。なお、9 月30 日より、ベトナム国民に対する数次ビザの大幅緩和が実施された」。

このうち、「羽田便の増便をはじめとした座席供給量の増加」については、昨年7月、羽田空港の国際線枠の拡大に伴い、全日空やベトナム航空のハノイ・羽田線、ベトナム中部都市ダナンから初の成田線も就航するなど、座席数の拡充を指しています。

では、ベトナムの訪日旅行市場の現在の姿はどのようなものなのか。HISホーチミン支店の井口唯さんに話を聞きました。

――ベトナム人の一般的な日本ツアーのコースや日程、料金を教えてください。

「ツアーコースは9割以上が大阪→京都→名古屋→富士・箱根→東京、またはその逆をたどるゴールデンルートです。

一般的な日本滞在中の日程は以下のとおりです。
1日目 朝大阪着 神戸・大阪観光 大阪泊
2日目 京都観光 観光後名古屋へ 愛知県泊
3日目 富士・箱根観光 河口湖の温泉ホテル泊
4日目 東京観光 東京泊
5日目 早朝便で帰国または東京観光後、午後帰国

ゴールデンルートの料金は2,000ドル程度です。この金額には全日程の宿泊や観光、食事、ホテル、査証、バス、保険などすべてが含まれています」。

――他のアジア諸国の訪日ツアーと比べてベトナムならではの特徴はありますか。

「いまのところベトナムの訪日ツアーの内容には他の国と比べて特徴は少なく、どこの旅行会社も同じようなツアーを出し、同じような価格設定というのが現状です。社会主義の国であるため、まだ規制が多く、自由な価格競争も難しいのです。たとえば、弊社がすべて5つ星ホテルに泊まるデラックスツアーや、札幌雪祭りやハウステンボスへ行くツアーなどのスペシャル企画を打ち出しても、なかなか売れません。

ちょっと面白いのは、ゴールデンルートでは必ず神戸に立ち寄ります。その目的は、瀬戸大橋を見て神戸牛を食べることです。実際には神戸牛は大阪でも食べられますし、わざわざ往復2時間かけて神戸に行くより、大阪をじっくり時間をかけて観光したほうがいいと思うので、弊社では神戸ではなく、他の旅行社との差別化という意味で、たとえば大阪のインスタントラーメン発明記念館などを組み込んだツアーを企画してみるのですが、ツアーコースに神戸が入っていないと選んでくれません。宿泊についても、東京や大阪にこだわり、八王子や立川ならいいけど、横浜はダメという判断です。このようにベトナム人は先入観が強いというか、ちょっと頑固でミーハーなところがあります」。
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――「神戸牛を食べるなら神戸でなければならない」というような思い込みも、海外旅行が始まって間もない国の人たちに共通することかもしれませんね。そんなに何度も日本に来られるわけではないから、来たからには当初の目的を絶対はずせない、という思いが強いのでしょう。リピーターの多い国の人たちとは感覚が違いますね。ところで、ベトナム人は日本のどんなことに関心があるのでしょうか。それがツアー内容にどう反映されているのか。ベトナム人らしい立ち寄り先はありますか。どんなお土産に人気がありますか。

「日本の伝統的なことより有名なことに関心があるように思えます。たとえば、六本木、歌舞伎町、銀座、道頓堀、富士山、雪、寿司などでしょうか。

一般にブランドものより100円均一やドンキホーテ、ヨドバシカメラなどの量販店での買い物を好みます。そのため、東京や大阪などで必ずショッピングフリータイムを2、3時間設けます。

ベトナム人らしい立ち寄り先というのは特にありません。お土産はお菓子や食品などを買う傾向が強いです。スーツケースや電化製品などを買う方もいますが、他の東南アジアのお客様より少ないように思います」。

――ベトナム人は日本食に問題ありませんか。またホテルで何かお困りのことはありますか。またそれ以外でお困りのことは。

「日本食に対してはほとんど問題ありません。ただ、ベトナムの食事がそうであるように、あまり手の凝った料理は理解されません。焼く、ゆでる、煮る、揚げる、といったシンプルな料理が喜ばれます。一度、肉じゃがやチラシ寿司、湯葉などをご提供したことがあったのですが、日本食とは理解されず、不人気でした。焼肉やしゃぶしゃぶ、寿司定食、和定食など、日本食としてよく知られているわかりやい料理が好まれます。ひとつ注意しなければならないのは、ベトナムではいま中国との関係が良くないため、中国客が多いレストランにお連れするとクレームを受けることがあります。

ホテルでは特に困ったことはありません。クレームもほとんどないです。ただし、ベトナムではどんなに小さいカフェでも、家庭でもWiFiが当たり前のように普及しています。そのため、WiFiがないホテルに泊まると驚かれます。こういう点に関しては、あらかじめ日本の遅れているところとしてご理解いただくようにしています」。

ベトナム国家旅行局の統計によると、近年のベトナム人の主な出国先とその数は、中国100万人、カンボジア100万人、タイ50万人、シンガポール30万人、マレーシア20万人、韓国11万人だそうです。ただし、中国への渡航はビジネス目的が多いと考えられます。

2014年の訪日ベトナム人数は12万4300人。まだ時間はかかりそうですが、今後の伸びしろは大きいです。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-22 10:53 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 01月 20日

ベトナムの「反中」、日本語学習ブームとインバウンドの関係

訪日ベトナム客の特性を考えるうえで参考になりそうな記事(昨年9月に配信)2本を紹介します。いずれも、南シナ海における中国との確執を契機に、ベトナム国内でこれまでの依存し過ぎた対中関係にバランスを改めようとする動きといえそうです。

ベトナム冷めない「反中」 政治的な対立は沈静化(朝日新聞2014.9.5)

南シナ海のベトナム沖から中国が石油掘削施設を撤収して1ヵ月半がたつが、ベトナム国内の「反中国」ムードが収まらない。伝統的なお祭りを前に「海を守れ」と書かれたランタンが大流行。政府も寺院などには「中国風の獅子像を撤去せよ」との指令を出した。

ハノイ旧市街では8日の中秋節を前に、祭りで使うランタンや玩具が数多く売られている。今年目立つのは、ベトナム国旗や巡視船のイラストが描かれ、「島の主権を守れ」「がんばれ海軍」などのメッセージが入ったものだ。

セロハンで巡視船そのものの形をデザインしたランタンも登場した。一つ4万~5万ドン(約200~250円)。小学生の子どもに「海と島が好き」と書かれたランタンを買った女性アイさん(34)は「子どもたしに領域を守る大切さを教えておかないと、中国に取られてしまうでしょ」。

店員によると、愛国デザインのランタンはホーチミン市の業者が今年新たに製造し、「一番の売れ行き」だ。昨年までは、アニメの主人公をあしらった中国製のランタンや玩具が主力だった。「(中国製のものは)きっと売れないと思ったので、できるだけ排除した」という。

中国は5月から100隻以上の船団を引き連れ、南シナ海・パラセル(西沙)諸島近海で石油掘削活動を展開。ベトナムの巡視船と洋上で激しく対立した。7月半ばに中国が立ち去り、8月下旬にはベトナム共産党書記長の特使が中国を訪れるなど政治的な対立は沈静化している。

だが、全土に広がった国民の反中感情は収まっていない。国営テレビは中国の連続ドラマの放送を打ち切り、観光業者による中国へのツアーの多くも中止されたままだ。

さらに、文化スポーツ観光省は最近、全国の寺院や商業施設に、門前に縁起物などとして飾る中国風の獅子像の撤去を求める省令を出した。「ベトナム文化を尊重するため」とし、洋風のライオン像なども対象としているが、反中機運を受けての政策だ。

中国は、ベトナムにとって最大の輸入相手国。極端な中国離れは経済的にマイナスとの意見もあるが、著名な経済学者のレ・ダン・ズアン氏は「ベトナムはこれまで中国に依存しすぎていた。中国離れの影響は一部に出るが、長期的にはバランスを改めるチャンス」と前向きに捉えている。


次の記事は、バランスを改める動きが日本に対する関心に向かっているという内容です。

ベトナム、日本語熱沸騰(朝日新聞2014.9.9)

ベトナムで空前の日本語ブームが起きている。昨年度の日本への語学留学生は前年度の4倍で、日本語試験の受験者も東南アジアで断トツだ。

午後6時半、ハノイのオフィスビル20階の教室に学校や仕事を終えた若いベトナム人が集まる。

「謝るときのペコペコと空腹のペコペコは同じですか」「グズグズとノロノロの違いは何ですか」

5人の生徒が日本語の本を読み、気になった表現を質問していく。日本企業への就職や日本留学を目指した私塾だ。リクルート出身の阿部正行さん(66)が2005年に立ち上げた。

これまで約180人を日系企業に「正社員」として送り出した。エンジニア志望のニャンさん(23)は「3Dプリンター技術に興味がある」と日系企業への就職を目指す。

ブームの背景にあるのは、国際環境の変化だ。日中関係の悪化で中国からベトナムへ拠点を移す日系企業が増え、商工会の加盟数は1299社(14年4月)と、5年で約1.5倍も増えた。いまや学生にとって日本語習得が「就職への近道」になっているのだ。

南部ホーチミンで91年に開校した老舗のドンズー日本語学校では、12年に約3千人だった生徒数が13年に4千人を突破。日本語能力試験のベトナムの受験者数は昨年2万6696人で東南アジアで1位。2位のタイ(1万6800人)を大きく引き離している。

留学生も増えている。ベトナム北西部のディエンビエンフー高校では今年、初めて日本への留学生を出した。貧困層が多い地方からの日本留学はまれだ。ラム校長(56)は「東日本大震災の際の冷静な対応、サッカーワールドカップでゴミを拾う姿に感動した。知識はどこでも学べるが、人格教育なら日本」と学生に日本留学を勧めている。

日本語教育振興協会(東京都渋谷区)によると、02年度に日本国内の日本語教育機関で学ぶベトナム人は198人で全体の0.5%。ところが13年度には前年度比4倍超の8436人になり、2386人の韓国を抜いて2位となった。

一方で、トラブルも目立ち始めている。「日本で簡単にアルバイトができる」と誘われて留学したが、バイト先が見つからず、万引きなどの犯罪組織に引き込まれたりするケースが報告されている。


ベトナム人の日本語能力試験の受験者数が東南アジアで1位。さらに、国内の日本語学校の生徒数も2位なんですね。確かに、最近都内の居酒屋でベトナム人アルバイトの姿をよく見かけるようになったと感じていました。

これは1980~90年代に急増した来日中国人と似た状況がベトナムで起きているということでしょう。人員不足に悩む業界関係者にとっては朗報かもしれませんが、ベトナムの若い人たちを見ていると、彼らは中国人とはまた違った意味で、とても自尊心の強そうな印象があります。

「人格教育なら日本」というのはありがたいお言葉ですが、現在は「反中」機運が作用して日本が選ばれている面が強いと考えられます。そんな彼らの心情を理解し、大切に扱わないと、同じ歴史を繰り返すことになってはたまりません。

こうした動きとインバウンドの関係についていうと、あるベトナム人旅行関係者の話では、ベトナム人が日本に旅行に来ていちばんガッカリするのは「メイド・イン・チャイナ」の商品があふれていることだといいます。彼らは日本に来て「メイド・イン・チャイナ」は見たくないというのだそうです。そう言われても困ってしまいますが……。

ベトナムからの日本ツアーは6泊7日1600ドルが相場(アセアン・インドトラベルマート2014その1)
http://inbound.exblog.jp/22756970/

こうしたことからホテルの客室の振り分けも、中国客とベトナム客がいたらフロアを別にするなど、これまで必要とされなかった細かい配慮も求められそうです。
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by sanyo-kansatu | 2015-01-20 11:19 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2014年 06月 10日

訪日外国人数が出国日本人数を上回った4月とインバウンドの構造問題

「外国人旅行者が日本で使ったお金から、日本人旅行者が外国で使ったお金を差し引いた4月の『旅行収支』が黒字になった。大阪万博が開かれた1970年7月以来、約44年ぶりの黒字だ」 (朝日新聞2014年6月10日)との報道がありました。これはどういうことなのか。記事にもあるように、今年4月、訪日外国人数が出国日本人数を上回ったためです。

アセアン・インドトラベルマートの最終日の夜に行われたAISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)総会の冒頭、王一仁会長もこう語りました。

「今年の4月は特別な月となりました。40数年ぶりに日本の出入国においてOUTとINが逆転したのです。これは我々インバウンド事業者にとってもそうですが、日本にとっても画期的なことです。

しかし、日本は訪日外客の受け皿ができていません。4月にインバウンドの現場で起きたことは、それを物語っています」

AISOはアジアからの訪日客の旅行手配を扱う観光業者の団体です。国内ツアー手配を行う旅行会社(ランドオペレーター)をはじめ、ホテルやレジャー施設、自治体関係者らが会員で、アジアインバウンド市場の拡大に伴い、会員数は年々増えています。

AISO
http://shadanaiso.net
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会員同士の情報交換のため、年に数回行われるAISO総会は、訪日旅行市場の現場の生々しい話が聞かれるのが常です。どんな業界でもきれいことだけではすまない裏の事情があるものです。それはその後の市場動向に確実に影響を及ぼします。早めにキャッチしておくことに如くはありません。

以下、総会で繰り広げられたさまざまな事業者のコメントを紹介したいと思います。

まずAISO理事の石井一夫氏(株式会社ジェイテック)から2013年度の活動報告がありました。

「昨年度、日本政府観光局(JNTO)との会合を数回行いました。テーマは、観光バスやホテルの需給ひっ迫問題です。昨夏北海道で起きた訪日客向けの観光バス不足問題は、今春も起こってしまいました。立川アルペンルート行きツアーに参加するはずだった台湾客の多くが、バス手配ができないため催行中止となり、お客様にツアー代金を返金するという事態が起きたのです。また3月下旬に国土交通省から通達された貸切バスの新運賃制度の施行で、現場は混乱しています。こうした現場の声をいかに行政の施策とすり合わせるか。これまで以上にAISOの果たすべき役割が重要になってきています」

河村弘之理事(株式会社トライアングル)は本年度の取り組みとして、以下の話題を提供しました。

「我々が抱えるインバウンドの問題点は、これまでもずっとそうでしたが、改善されていません。ホテルとバス不足、そしてガイド問題の3点です。訪日外客2000万人を目指すのはいいですが、いったいどこに泊めるんですか? ということです。ガイドの問題も深刻です。

先日もこんな話がありました。シンガポールから団体客を連れてひとりのガイドが成田に着いたところ、ガイドのみ入国拒否になりました。シンガポール人は日本の観光ビザが免除されていることから、そのガイドはツアー客を連れて日本への出入国を何度も繰り返していたため、出入国管理法に抵触してしまったのです。入国後、空港に残されてしまったツアー客はどうなったと思いますか?

アジア客の増加とともに、こういうことが起こり始めています。AISOとしては、今後全国でインバウンド事業者を対象にしたセミナーを始めるつもりです。またホテルやバス不足問題については、会員同士がホテルやバスの確保情報を共有し、手配を都合しあう協力体制をつくっていきたいと考えています」

続いて「インバウンドの現状と課題について」と題された討論会がありました。出席者からの質問や意見にAISO理事が答えるという形式でした。いろんな声がありました。

「訪日外客は急増し、手配不能な状況になっているといいますが、東北はどうでしょう。置き去りにされていると思わざるを得ません。AISOとして東北の外客回復のために何ができないのか」

これに対して、「確かにインバウンド事業者全体に、東北を盛り上げる気迫が欠けている。各事業者がバラバラで取り組んでも回復にはつながらない」「東京・大阪5泊6日と東京・東北5泊6日のツアーでは、どちらが高いか? 現状は後者である以上、選ぶのはお客さんであり、難しい面も」(ミッキー・ガン常務・AISC)「日本政府観光局のジャカルタ事務所が開設され、そこでは東北をプッシュし、ツアー募集は始まっている」(須田理事・株式会社フリープラス)「東北単独の商品が難しいなら、たとえばソウル青森線を使って、函館などを周遊するツアーを企画したらどうかと考えている」(鄭理事・株式会社四季の旅)「上海で祭りをテーマにしたツアー企画を1本募集しているが、中国からの集客はできていないのが現状」(清水理事・アメガジャパン株式会社)などのコメントがありました。

貸切バスを運行する株式会社平成エンタープライズの田倉貴弥社長のコメントも印象的でした。

「4月に施行された貸切バスの新運賃制度の特徴は、運行距離と時間制の併用だが、実際に1台あたりの運賃を計算してみると、旧運賃と比べてそんなに変わらないようだ。しかし、新制度施行後、バス会社に直接監査が入り、罰則規定もあることが、大きな違い。これまでランドオペレーターなどの手配業者は、バスやホテルなどが包括されているため、バス運賃の中身が見えなかった。それが過剰なダンピングにつながった面がある。問題は、運転手にきちんと給料が支払われているかどうか、にある。新運賃制度は、それを改善するためのものだ。だが、バス業界には問題は山積みだ。運転手が高齢化し、若い人が少ない。今後、運転手不足が顕在化してくるだろう」

ホテル関係者の次のコメントも気になりました。

「訪日外客のためのホテル不足が懸案となっていますが、現在、国内マーケットが堅調で、料金も上がっている。現場レベルでは、安く叩かれる海外の団体客には売り控えたいというのが本音だ。これでは、ホテル不足が起こるも当然だろう。せめて早い時期に、どの程度の客室数が必要か投げてもらえれば、検討する余地があるのだが、間際に数字を出されても対応が難しいケースが増えている」

今秋から導入される免税制度の見直しへの期待を語る理事もいました。

「今年10月から始まる新制度の下では、これまで消耗品とみなされていた商品に対しても免税扱いとなります。外客に対する免税品の幅が大きく広げられるため、免税処理手続きの認可をとることで、訪日客受け入れの入り口に立つことができる」

こうして関係者はそれぞれの立場から、日本のインバウンドの課題について率直に意見を表明したわけですが、この場にいると、いま訪日旅行の現場で何が起きているのか、よくわかってきます。そこには構造的な問題があり、徐々に顕在化してきていることも。

王会長は言います。「しかし、状況は我々を後押ししていることには変わりない。実際に訪日客を手配しているのは、他でもない、我々なのだから。この好機を逃さないよう頑張りましょう」

訪日外客に携わる事業者は業種もさまざまで、各自が個別の利益を追求してばかりいては収拾がつきません。それを強く自覚した人たちの集まりであるAISOの今後の連携に向けた取り組みを期待したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2014-06-10 12:33 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2014年 06月 09日

インド人の日本旅行の訪問地が東京・大阪プラス広島の理由(アセアン・インドトラベルマート2014その2)

アセアン・インドトラベルマート2014会場で、もうひとり話を聞いた海外バイヤーが、ムンバイから来たNarayan Kabraさんでした。彼はインドのオンライン旅行社Yatra Online Pvt Ltdの社員で、今回初めて来日したそうです。
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Yatra Online Pvt Ltd
http://www.yatra.com

商談の合間に少し時間をつくってもらい、話を聞きました。

―インド人の日本ツアーの一般的なコースとツアー代金の相場を教えてください。

「ツアー期間は1週間で、東京3日、大阪3日、広島1日の滞在が一般的です。ツアー代金は約10万5000ルピー(約30万円)です。航空運賃が高いのが問題です」

―広島を訪ねる理由は何ですか。他のアジアの国ではあまり聞いたことがないからです。

「インド人は第二次世界大戦の歴史に関心がありますから、広島の原爆ドームや平和資料館を訪ねたいと考えているのです」

―日本旅行中、気になることはありますか。

「インド人はヴェジタリアンが多いので、食事の問題があります。ホテルを選ぶ際も、近くにインドレストランがあるのが条件です」

―最近、日本にもインドレストランのチェーン店が増えています。

「今回私もよく見かけました。でも、カウンター席しかない小さなレストランは利用しにくいです。インド人の海外旅行は家族連れが多く、使いづらいし、ビジネスマンもあのようなカジュアルなレストランは使いたがりません」

―なるほど。他には要望はありますか。

「インド人は海外旅行に行くと、ナイトライフを楽しみたいと考えていますが、日本には外国人が楽しめるようなナイトエンターテインメントがほとんどありません。インド人は夜が遅いので、食事を楽しみながら見られるショーなどがあれば、喜んで行くと思いますよ」

話を聞きながら、日本に来た以上、広島には必ず足を運ぶというインド人は、さすがパール判事を生んだ国だと思いましたね。昨年訪日したインド人は約7万5000人といいますから、富裕層やビジネスマンに限られ、基本的に知的な層が大半を占めると思われますが、その国の歴史教育によって観光地の選択も、これほど影響があるものなのだとあらためて思いました。インド向けのプロモーションにおいて、広島をどうPRするか、知恵を絞る必要があるようです。
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by sanyo-kansatu | 2014-06-09 08:59 | “参与観察”日誌 | Comments(0)