ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:エアライン・クルーズ・鉄道・バス ( 217 ) タグの人気記事


2013年 08月 04日

8月に入り、中国客はほぼ回復してきたようですが…(ツアーバス路駐台数調査 2013年8月)

8月に入り、ランチタイムと夕方の時間帯にかけて御苑大通りはツアーバスで訪れる中国客でますますにぎわっています。
b0235153_1251344.jpg
b0235153_12515189.jpg

この夏、中国本土からの訪日客はほぼ回復してきたといえそうです。実際、日中関係の悪化で両国の航空会社が便数を大いに絞り込んだため、日本から中国へのフライト予約が取りにくくなっていると都内の旅行関係者は語っています。訪日客が急増しているからです。
b0235153_1252433.jpg
b0235153_12521862.jpg

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)18:00 6台
2日(金)18:10 5台
3日(土)未確認
4日(日)未確認
5日(月)12:30 5台
18:10 3台
6日(火)12:30 6台(うち1台はマイクロバス)
b0235153_12492083.jpg
今日も御苑大通りのパークシティイセタン脇に中国客を乗せたツアーバスが数台路駐しています。
        18:20 4台

※7日~19日まで出張のため、調査はお休みになります。

20日(火)12:50 5台
18:20 4台
21日(水)18:20 2台

※22日~31日まで今月2回目の出張のため、調査はお休みです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-08-04 12:12 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2013年 07月 29日

LCCはアジア客の訪日旅行の促進につながるか?【2013年上半期⑫LCC】

国内初の格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションが就航して今年3月で1年を迎えました。ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパン(その後、ANAとエアアジアは合併解消。バニラエアとして生まれ変わる)も少し遅れて昨夏営業開始。2012年は日本の空に本格的なLCC時代が到来したといわれています。新聞各紙は、「空の価格破壊」と話題を呼んだ就航1年後のLCCをめぐる国内外の動向を伝えています。
b0235153_17112896.jpg

「LCC新路線で需要開拓 海外勢との競争激化」(読売新聞2013年5月18日)

「国内の格安航空会社(LCC)3社が路線拡充に力を入れている。就航からほぼ1年で認知度も上がり、4~5月の大型連休中の乗客数も順調に推移した。海外勢の参入など競争激化が予想されるなか、新規路線の開設で新たな需要を取り込む考えだ」

●主な国内LCC(2013年7月31日現在)
       ピーチ・アビエーション ジェットスター・ジャパン エアアジア・ジャパン
就航時期     2012.3.1        2012.7.3     2012.8.1
拠点空港   関西国際空港      成田国際空港    成田、中部国際空港 
路線数  10路線(国内7、国際3)  13路線(国内のみ) 9路線(国内5、国際4)
主な路線 関空-新千歳、仙台、那覇  成田-関空、新千歳、 成田-新千歳、福岡、那覇 
     関空-仁川、香港、台北   大分、関空-福岡   成田-台北、中部-仁川
主な新路線 関西-新石垣(6.14)   成田-鹿児島(5.31)   成田-台北(7.3)
       関西-釜山(9.13)     成田-松山(6.11)
使用機体       9機          13機         5機
累計利用者  200万人(5.7現在)  100万人(3.22現在)  50万人(5月末)
搭乗率      80%前後         72.0%        62.6%
遅延率      18.74%         19.77 %       35.84% 
主な株主     ANA        JAL、カンタス  ANA、エアアジア(合弁解消)

「ただ、エアアジアが就航予定の成田-台北先には、シンガポール航空の子会社のLCCが既に就航している。茨城-上海線など国際3路線を運航する中国の春秋航空も、日本の国内線への就航方針を表明した。拡大する日本のLCC需要の取り込みを狙う海外勢との競争は激しくなる」としています。

では、LCCは日本の旅行シーンにどんな影響を与えたのでしょうか。

「LCC就航1年 生活スタイル変わった 沖縄に移住、東京へ“通勤”」(日経MJ2013年3月20日)

「大手航空会社に比べて半分以下の運賃で提供する移動サービスは、消費者のライフスタイルを大きく変え始めた。手軽にアジアや北海道の日帰り旅行を楽しむ若者が増え、沖縄県に移住して都内に“通勤”する人も出てきた」といいます。

同紙では、「長距離移動のコストは下がっている」として、LCCによる長距離移動と既存の交通手段による近距離移動の運賃格差が消滅している事例を挙げています。

・東京~札幌 往復4960円(エアアジア・ジャパン セール運賃の最安値)
・東京~松山 往復3980円(ジェットスター・ジャパン キャンペーン運賃)
・大阪~ソウル 日帰り往復7400円(ピーチ・アビエーション、平日)

・東京~箱根 往復4040円(小田急電鉄特急利用)
・大阪~白浜(和歌山県) 往復9240円(JR特急利用)
・神戸~大分 往復1万円(フェリーさんふらわあ、週末)

「移動コストの安さなら国内の観光地より、距離的に遠いアジアを選ぶ動きがLCCで加速する」「宿泊旅行が中心だった北海道や沖縄、近隣のアジア地域も、近所に行く感覚で旅行する『日帰りエリア』に一変させた」そうです。

そのぶん、「浮いたお金、旅行先で消費」(同上)「日帰りしない人は、安い航空運賃で浮いたお金を節約せずに、ホテルの宿泊や買い物の予算を増やすケースなどが少なくない」と、大手航空会社を利用した場合との運賃の差額分を現地での消費に使うという傾向が出てきたといいます。

LCCの登場は、他の交通機関にも影響を与えています。

「フェリーや高速バス 『移動+α』で対抗探る」(同上)では、大分~神戸を結ぶ大型フェリー「さんふらわあ」の0泊3日往復1万円(週末)の人気を紹介しています。いわばそれは「弾丸フェリー」。LCCと同程度の安さに加え、寝ているうちに目的地まで運んでくれることで、2泊分の宿泊代を浮かすことができます。

その一方、「安さを武器に年間750万人が利用する高速ツアーバスは、LCCの登場で顧客が流出する路線が出てきた」そうです。確かに、LCCと高速ツアーバスは競合関係にあるのかもしれません。

週刊トラベルジャーナルでは、「日系LCC効果を検証する ピーチ就航から1年」(2013年3月11日号)という特集を組んでいます。LCC効果は以下の3点です。
b0235153_1715847.jpg

①「航空市場の変化 若年女性中心に新規需要創出」

ここでは、LCCを誰が利用しているのか検証しています。同誌によると、「LCC利用者のプロフィール」」として以下の5つの属性を挙げています。

・旅行頻度の低い層ほど利用
・収入階層の低い層ほど利用
・20代の利用率が最も高い(40代以上は低い)
・泊数の長い旅行ほど利用
・ひとり旅の利用率が高い(家族旅行は低い)
(公益財団法人日本交通公社「旅行者動向調査2012年」結果速報から)

これは日本のLCCの利用実態を物語る興味深い指摘といえます。

「LCCの先駆的存在であるライアンエアーが新規需要を40%創出したという、いわゆるライアン効果が認められたヨーロッパでは、高頻度で旅行を繰り返すリピーターがLCC需要を支えた。旅慣れた人々がLCCの価値を認め、良さを引き出した。一方、東南アジアでは高速バスからLCCへ需要がシフトし、これまで飛行機を使った旅行に縁のなかった人々が猛然と旅行に出るようになった。

では日本ではどうなのか。(中略)『旅行頻度の低い層ほど利用率が高く、収入階層の低い層ほど利用率が高い』。また年代別では20代の利用率が最も高く、40代以上の利用率は低い傾向も確認された」といいます。

日本人のLCC利用は、現状では、旅慣れた旅行者の利用が多いヨーロッパ型というより、これまで飛行機に乗ることのなかった層の利用率が高い東南アジア型に近いようです。

②「人的流動の変化 就航地の客数増くっきりと」

ここでは、LCCが就航地への観光客数にどんな影響を与えたかを検証しています。たとえば、LCC3社のうち、ジェットスター・ジャパンとエアアジア・ジャパンの2社が運航している成田/新千歳、成田/福岡、成田/那覇の場合、宿泊者統計をみると、それぞれ観光客は増えているようです。

LCC就航による観光客の押し上げ効果について、福岡市議の以下のコメントを紹介しています。

「LCCには、既存の航空会社から需要を奪うというよりは、低運賃を武器に手軽に観光やビジネスを飛行機で利用する機会を作り出し、これまで航空機を利用しなかった人の掘り起こしによる新規需要の創出、市場拡大が期待されている」。

③「ビジネスの変化 新商品開発など商機うかがう」

ここでは、新たに登場したLCCを利用したツアー商品について紹介しています。たとえば、JTBはジェットスター・ジャパン就航と同時に同社利用の北海道や沖縄ツアーを催行。エイチ・アイ・エスも、北海道や沖縄、福岡線を利用した長崎のハウステンボスのツアーを始めているそうです。ネットによる直販がビジネスモデルのLCCですが、現状の日本のマーケットでは旅行会社との連携は欠かせないようです。

さて、順風満帆に見える日本のLCCですが、6月11日、エアアジアとANAの提携解消が報道されました。

「ANA、エアアジアと合弁解消 『日本流』文化の溝埋まらず」(産経新聞2013年6月30日)

「価格破壊で話題を呼んだ日本の格安航空会社(LCC)が岐路を迎えている。ANAホールディングス(HD)と、マレーシアのLCC大手エアアジアが、不振が続く合弁事業の解消で合意した。ANAHDは、両者が共同出資するLCCエアアジア・ジャパンを完全子会社化する。破談に至ったのは、日本流ビジネスをめぐる対立の溝を埋められなかったからだ」。

同紙によると、「合弁解消の理由」として、以下の点を挙げています。

①利用客の低迷
「月別の利用率は、直近でも53%台と採算ラインとされる約7割を割り込んだまま。84%に達する同じANA系のピーチ・アビエーションとは対照的」「主要拠点に成田空港を選んだことが響いた。成田は騒音問題を抱え、夜11時以降は原則、離着陸できない。1日に何度も機体を往復させて利益を絞り出すLCCは、“門限”に戻れなければ翌朝の初便が欠航するなどの打撃を受ける。運航ダイヤが正確な日本の空の旅に慣れた利用客が離れる一つの要因となった」

②コスト削減の手法の溝
「エアアジアなど海外の一般的なLCCは、航空券販売をウェブサイトによる直販にほぼ特化している。ただ、日本では旅行会社経由の販売の比重が大きい。そこでピーチは直販にこだわらず、旅行会社15社に航空券を卸している。エアアジア・ジャパンも1月から、中堅旅行会社のビッグホリデーに航空券を卸し、3月の利用率は76%台に増えた。ところが、『コストがかさむとマレーシアの本社が待ったをかけた』(関係者)こともあり、4月以降の利用率は急降下した」

③サイト運営
「費用節約のためにエアアジアと共通化したサイトは当初、英語が多用されるなど日本人にとって使い勝手が悪かった」

結果的には、「合弁解消は、業績低迷に業を煮やしたエアアジアが持ち出した」といいます。

もっとも、両社の提携解消は“異文化ギャップ”だけが理由ともいえなさそうです。

「日本の空、ガラパゴス化? LCC時代 世界に広がる航空再編」(日本経済新聞2013年7月10日)

同紙は、海外に比べ、「日本のLCCの旅客の伸びはいまひとつ」と指摘し、その理由をこう述べています。

「(日本のLCC旅客の伸びに)弾みがつかない理由の一つは空港の制約だ。日本はLCCの育成策を打ち出したのが航空自由化推進を宣言した09年以降。しかも、羽田空港の発着枠がほとんどLCCに与えられないまま政策が進められた。東京から遠い成田や地方空港だけでは経営は難しい」。

これはエアアジアがANAとの提携を解消した理由と重なります。

一方、海外に目を転じると、世界の航空再編のなかで、LCC台頭の動きが最も著しいのはアジア・オセアニアだといいます。もともとオーストラリアのカンタス航空から生まれたジェットスターはいまやカンタスの売上高を上回る規模に成長しているとか。レガシーキャリアからLCCへの規模逆転が起きているというのです。

「ボーイングの予測によれば、アジアの旅客需要は32年まで毎年6.5%と最も高いペースで膨らむ。LCCがけん引役となり、南アジアや東南アジアではLCCの比率が現在の5割超から7割程度まで伸びる可能性がある」といいます。

だとすれば、アジア・オセアニアのLCCは今後日本への乗り入れを加速することでしょう。それは、アジア客の訪日をますます促進することにつながると考えられます。

実際、今年3月に開港した沖縄県の新石垣島空港には、台湾からすでにLCCの新規就航が始まっているようです。

「新空港開港で石垣にインバウンド客は増えるのか?」を参照。

また以前、本ブログでも、訪日韓国人や台湾人が増えた背景として、円安に加えて、LCCの相次ぐ就航もあることを「LCC就航拡大 韓台から若者来やすく」(日本経済新聞2013年6月9日)という記事を通して紹介したことがあります。今後、東南アジア発の新規のLCCが就航すれば、東南アジア客にも同じような動きが起こることでしょう。

※「「訪日韓国人 回復進む 円安ウォン高で拍車」【2013年上半期⑤韓国客】」を参照。

最後に、主なアジア・オセアニアのLCCグループを挙げておきます。

●エアアジア(マレーシア)  
エアアジア・タイ、エアアジア・インドネシア、エアアジア・フィリピン、エアアジア・インディア、エアアジアX (エアアジア・ジャパンはANAとの合弁解消)
●ジェットスター航空(オーストラリア)
  ジェットスター・アジア、ジェットスター・パシフィック、ジェットスター・ジャパン、ジェットスター香港
●タイガー・エアウェイズ(シンガポール)  
  タイガー・オーストラリア、マンダラ航空(インドネシア)、SEエア(フィリピン)
●ライオン・エア(インドネシア
  マリンド(マレーシア)

これらに中国や韓国、台湾、タイ、そして日本のLCCが加わることで、日本のインバウンドの中身も変わっていくことになるのでしょう。

【追記】
2013年7月30日、ANAホールディングスは先ごろエアアジアとの提携を解消したエアアジア・ジャパンを12月末から新ブランドで運航すると発表しました。

「LCC 2年目の一手」(朝日新聞2013年7月31日)

「日本の空にLCC3社が登場して1年。各社とも、先行した海外流の安さだけでない日本型を模索する」

同紙では、エアアジアとの提携を解消した背景を紹介しつつ、「ビジネス客は羽田の方が厚いが、成田は内外のリゾート路線で利用が見込める。国際線は単価が高い」というANA執行役員のコメントを紹介し、同社の新ブランドへの切り替えの方向性を伝えています。

そして最後にこう付け加えています。
「『LCC元年』とされた12年度、国内線の旅客数は6年ぶりに増えた。ただし3社のシェアは計3.2%で、3割超の欧米やアジアにはまだ遠い」
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-29 17:19 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 22日

大型クルーズ来航で富裕層は本当に立ち寄るのだろうか【2013年上半期⑦クルーズ】

近年、海外からのクルーズ船を誘致する動きが全国各地で見られるようになっています。
b0235153_16203746.jpg

「大型クルーズで観光振興 富裕層立ち寄り期待」(日経MJ2013年2月18日)

「外国船籍の大型クルーズ船による、国内港を発着するクルーズの就航や寄港が相次ぎ決まった。誘致に成功した地元では富裕層が立ち寄ることで観光振興や経済効果に期待が高まっている」として、横浜や京都(舞鶴)、富山(伏木富山)などの誘致事例を紹介しています。

●横浜
2014年4月から10月にかけて米大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」を誘致。北海道、九州など国内15港や韓国、台湾、ロシアなどを巡るクルーズが20回実施される予定。

●京都
2014年春から秋にかけて舞鶴港に前述の「ダイヤモンド・プリンセス」が寄港し、約1万人が同港を訪れる見通し。府は舞鶴や周辺の市町村と連携し、天橋立など日帰りできる観光名所への波及効果を狙う。

●富山
9月10日、米ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(フロリダ州)の大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が伏木富山港に寄港する。ボイジャーは、上海を母港とするアジア最大のクルーズ船で総トン数13万7000トン。定員は乗客3840人、乗務員1176人。天津を9月7日に出発し、伏木富山、室蘭、東京、長崎、釜山を経由して19日に天津に戻る。

今年3月下旬、ぼくは沖縄に寄港する大型クルーズ船の実態(「20回 観光の島、沖縄でいま何が起きているのか?」を取材しましたが、九州や沖縄に寄港する外国の大型クルーズ客船の来航は、街の風景を大きく変えています。
b0235153_16214566.jpg

ただし、そこで紹介した沖縄のカジュアルな台湾クルーズ客の例もそうですが、大型クルーズ客船の乗客が「富裕層」と呼べるかというと、必ずしもそうとはいえません。なぜなら、クルーズ客船には以下の3つのランクがあり、1日当たりの料金も中身もずいぶん違うからです。

●ラグジュアリークラス
1日当たりのクルーズ料金が400ドル以上。1万数トン以下の小型船から、大きくても5万総トン程度が多い。このクラスの客船なら、料金に見合った最高のサービスが提供されます。上級者向け(≒富裕層)のクルーズといえそうです。

●プレミアムクラス
1日当たりのクルーズ料金が200ドル前後。乗客数1200人前後の中型客船が主流だが、最近は10万総トンなど大型化が進んでいます。乗客はシニア世代で、運航エリアはカリブ海、アラスカ、地中海、世界一周など幅広い。前述の「プリンセス・クルーズ」はこのカテゴリといえます。

●スタンダードクラス
1日当たりのクルーズ料金が100ドル前後、またそれ以下の安価なクルーズ。運航エリアは東南アジアやカリブ海など。大型客船も多い。「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」や「コスタ・クルーズ」「スター・クルーズ」などがこのカテゴリ。

要するに、日本に寄港するアジアからのクルーズ船はスタンダードクラスが多いのです。日本のマスコミが「(海外)富裕層」というとき、どういう定義でそれを使っているのかわかりませんが、一般に船が大型になるほどクルーズ船はカジュアル化することは確かでしょう。

大型客船の寄港といえば、「大型クルーズ船 レインボーブリッジくぐれず 大井水産物埠頭に着岸」(日本経済新聞2013年1月11日)という話もありました。

「東京都は大型クルーズ船の着岸場所として、海産物の荷揚げ用の大井水産物埠頭(東京・大田)を4月から活用する。現在は晴海客船ターミナル(東京・中央)に国内外の客船が寄港しているが、船体の高い大型クルーズ船は晴海に向かう途中にあるレインボーブリッジをくぐることができなかった。都心とシャトルバスも運行し、外国人富裕層の観光誘客体制を整える」

同紙では「晴海客船ターミナルは1991年の完成。2年後にできたレインボーブリッジの橋桁は高さ52m。当時世界最大の『クィーンエリザベス2世号(QE2)』が通過できるように設計したが、QE2を上回る大型クルーズ船が次々と完成し、晴海を使えない例が増えている。受け入れ第1弾となるのは、中国・上海から4月末に初入港するバハマ船籍の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」。全長331m、全幅48m。QE2の2倍、沈没したタイタニックの3倍の大きさを誇る(中略)水面からの高さが63mもあるため、レインボーブリッジをくぐれなかった」と書いています。

ちなみに、2011年の外国船籍のクルーズ船の国内寄港回数は、1位が石垣港(42回)、2位が那覇港(37回)、3位が博多港(26回)。東京港は0回でした。

ともあれ、外国船籍のクルーズ船の来航が増えるにしたがって、入国審査の短縮も受け入れ体制上の課題といえます。次のような報道もあります。

「新時代の入国管理 大型クルーズ船審査急げ」(日本経済新聞2013年6月12日)

「豪華な船旅が楽しめるクルーズ船が人気で、大型船が入稿できる九州の港にも立ち寄るようになった。買い物需要が期待できると地方の誘致熱は高まる。

客の観光上陸(入国)は半日程度。シーズン初めの3月下旬に鹿児島港に入った客船(11万6000トン)は豪州発で乗客1000人。午前8時から30分ごとにバス30台が市内観光に客を運ぶ。出港は午後4時だ。

1分でも長く滞在を楽しんでもらうためには、入国審査時間の短縮がカギを握る。福岡入国管理局鹿児島出張所は福岡から応援部隊を得て18人のチームを編成し審査に臨んだ。未明に集合して乗船すると6階と7階の食堂ラウンジに臨時の審査場を設営した。

午前7時20分、横一列の審査台の前に乗客が並び審査開始。乗客は指紋照合だけ済めば、旅券の写しの表側に仮上陸許可証を貼ってもらい、次々と下船する。乗客誘導など乗員も全面協力し、2時間でほぼ全員が審査場を通過した。

仮上陸許可は審査完了前に入国を認める措置で、クルーズ船に適用した。入国審査官は船内に残り預かった旅券審査にかかる。出国手続きもすませる」

クルーズ客に対する入国審査の合理化、スピードアップは、「観光立国」を目指す日本の国策のひとつというわけです。

※日本のクルーズ振興、とりわけ外客を乗せたクルーズ船の誘致については、下記の国土交通省のまとめた資料に大まかに整理されています。ただし、これが書かれたのは、2012年8月という尖閣事件の直前にあたり、その年の7月までは中国から多くの大型クルーズ客船が九州や沖縄に寄港していた時期のもので、それ以後の状況は一変しています。要するに、中国(上海発がほとんど)からのクルーズ客船は激減しました。それでも、2013年秋頃から、少しずつ上海発クルーズ客船が来航するようにはなってきています。

参考 港湾におけるクルーズ振興を巡る現状と課題(国土交通省資料)(2012年8月)
http://port-of-hakata.city.fukuoka.lg.jp/topic_pdf_2/503f1465d02db7.78882769.pdf
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-22 16:26 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 19日

「訪日韓国人 回復進む 円安ウォン高で拍車」【2013年上半期⑤韓国客】

「韓国からの訪日客が回復している。日本政府観光局の19日の発表によると、1月に日本を訪れた韓国人の数は23万人余りで、前年同月を3割強上回った。進む円安ウォン高の効果もあり、東日本大震災前の水準に迫っている。九州などの観光地は韓国人客でにぎわう光景もみられ、足が遠のいたままの中国人客とは対照的だ」(日本経済新聞2013年2月20日)
b0235153_1833076.jpg

「原発事故の影響で減った韓国人客は、昨年春ごろから回復。李明博韓国大統領の竹島(韓国名・独島)訪問で9月に鈍化したが、その後は増加基調を維持する。特に円安がウォン相場を押し上げた昨年11月以降は拍車がかかった」

同記事では、「九州旅客鉄道(JR九州)が韓国・釜山-長崎県・対馬間で運航する高速船は、1月の利用客が50%増加」「福岡市の商業施設『キャナルシティ博多』では、韓国人を中心に外国人客数が『足元は昨年夏の2倍』(運営する福岡地所)。ハウステンボス(長崎県佐世保市)は1月の韓国人入場者数が前年同月比18%伸びた」と報じています。

その一方で、「韓流ブーム 冬の気配 竹島・円安で観光客急減」(朝日新聞2013年4月16日)と韓国を訪れる日本人は急減しているという対照的な構図が報じられています。

「韓国を訪れる日本人が減っている。竹島問題や『アベノミクス』による円安に加え、『北朝鮮リスク』が追い打ちをかける。10年を迎えた韓流は曲がり角を迎えているのか」

「統計も日本人客の減少を裏づける。韓国観光公社によると、日本の観光客数は昨年1~8月まで全円を上回っていた。ところが、翌9月から急減。安部政権が生まれた昨年12月から、前年を2割前後下回る月が続く。特に韓流ブームを支えたとされる50代以上の女性が3割以上減っている」そうです。

訪日韓国人が増えたのは、円安に加えて、「LCC就航拡大 韓台から若者来やすく」(日本経済新聞2013年6月9日)なったこともありそうです。

「格安航空会社(LCC)の就航拡大により、台湾や韓国の若者が日本に旅行しやすくなっている――。観光庁の調べてこんな傾向がわかった。両国・地域からLCCを利用して来日した観光客の5割近くが30歳未満で、一般の航空会社より若年層の利用が多かった」

日本に発着するLCCは今年2月の時点で韓国が16、台湾が3。「両国・地域から日本への航空運賃は、LCCの方が一般の航空会社より2~3割安い」。そのぶん、「日本滞在中の平均支出額をみると、台湾はLCC利用者が9万3000円と一般の航空会社の利用者に比べ、2割少ない。韓国のLCC利用者も5万8000円と同3割少なかった」そうです。

同じことは「LCC訪日客、出費少なく」(日経MJ2013年6月9日)により具体的に報じられていました。ここでも、韓国のLCC利用者は「大手旅行会社の利用者に比べて運賃は約1万円安く、旅行期間中の1人あたりの支出額についても2万円程度少なかった。買い物をする場所はスーパーやショッピングセンター(SC)、若い女性の個人旅行が目立つ」そうです。

さらに、LCCを利用する韓国の若い女性の訪日旅行者は「来日回数では初めてという人が4割」と、必ずしもリピーターばかりではないことが興味深い結果といえます。一般にLCCは旅慣れた旅行者が賢く利用するというイメージが特にヨーロッパの事例などでは指摘されますが、アジア圏の場合、必ずしもそうではなく、これまで飛行機に乗ったことがなかったような層が利用を始めていることがここでもわかります。この点については、別の回で紹介します。

最後に、韓国人が大勢押し寄せている長崎県・対馬についての報道です。

「国境と歴史の島 長崎県・対馬に住んでみる」(日本経済新聞2013年7月6日)によると、「とにかく韓国の人が多い。対馬市厳原を訪ねた最初の印象だ。旧対馬藩府中(城下町)の小道を歩く。出会う人の大半は、団体や家族連れの韓国人観光客だ。昨年の来島者は約15万人。週末、土産店周辺には観光客があふれる。釜山・対馬間にはJR九州高速船、韓国の未来高速など3つの船会社が就航。厳原まで高速船なら2時間だ。釜山からは1万円弱の日帰りツアーもある。『異国情緒が手軽に味わえ、気分転換になる』(母親と来た女性会社員、30歳)、『歴史に関心がある。自然が豊かで町がきれい』(農業の男性、40歳)。登山も釣りも好まれ、対馬は『安・近・短』な観光地と親しまれる。隣国というより隣町感覚だ」

ただこんな声もあるようです。「韓国人観光客は決まったコース、飲食店、ホテルなどを利用するケースが多く、一般商店や飲食店の売り上げには直接つながらない」「観光客の賑やかさとは裏腹に、島の一部にはどこか冷めた視線がある」

「それでも島の活性化を目指す市は状況打開に知恵を絞る。例えば、観光情報や飲食店のメニュー、値段などを写真付きで見られるスマートフォン用韓国語アプリを長崎県観光連盟と協同で昨年秋に開発。対馬全体で約160の店や観光スポットの紹介を始めている」

いま対馬で起きていることは、日本のような島国の場合であっても、国の中央だけでなく、周縁からグローバル化が進んでいくというわかりやすい事例になっていると思います。こうした外からの人の流れによって、過疎といわれた地方も新たに活況を呈してくる。かつてのような日本と周辺国との圧倒的な経済格差が埋まり、富が平準化することで、日本も海外の人たちが自由に往来する「インバウンド社会」へと少しずつ移行しつつあるということでしょう。これからの国や地域のあり方をもっと考える必要がありそうです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-19 18:01 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 06日

ついに中国客が戻って来た!?(ツアーバス路駐台数調査 2013年7月)

7月に入ると、めっきりバスが増えてきました。特にお昼時には、例の「林園」と「味仙荘」の前に大勢の中国客が現れます。ついに中国客が戻ってきたということでしょうか。

この界隈には中国の団体ツアー客だけでなく、欧米系やアジア系の個人客もよく見かけるのですが、その理由がわかりました。この界隈には、リーズナブルな料金で泊まれる中級ホテルが数多くあるからです。詳しくは「東新宿は新しい外国人客の集住地になりつつあります」参照のこと。
b0235153_973083.jpg

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(月) 12:15 5台
      18:40 3台
2日(火) 12:30 3台
      18:50 3台
3日(水) 19:20 2台
4日(木) 12:40 3台
      18:10 4台
※この日のバスのうち1台は、南通中旅のバスでした。南通は江蘇省南部に位置し、黄海と長江に面した地方都市です。同社のHPを見る限り、日本ツアーはまだ東京大阪5泊6日のゴールデンルートくらいしか催行されていないようです。ただようやく南通のような地方都市からの日本ツアーが動き出したということはわかります。

南通中旅
http://www.ntcts.com/

5日(金)12:40 4台
     18:50 2台
6日(土)未確認
7日(日)未確認
8日(月)12:50 4台 
※本日の気温は35度超え。乗客は暑いせいか、バスを降りるといっせいに「林園」に駆け込んでいました。
     18:20 3台
※この日は夕方から雨。靖国通りを歩いていたら、中国団体客のグループに遭遇。久しぶりに彼らがどんな新宿観光をしているかウォッチングしてみました。彼らはまず靖国通りを西新宿方面に向かって歩いていましたが、明治通りを左に曲がり、伊勢丹から新宿通りを東口まで歩きました。そのあと、歌舞伎町のドンキホーテの対面で自由解散。各自でお食事タイムとなるようでした。このわずか10数分足らずのコースで、添乗員氏がツアー客を足止めさせてガイドしたのは、以下のスポットでした。

伊勢丹前交差点
新宿通りのカラオケ店
新宿駅東口
アルタ裏のラーメン屋
質屋
歌舞伎町ドンキホーテ対面

中国の人って質屋に関心があるようですね。かの国ではいま金融不安のため、質屋が大盛況と聞きます。ブランドもののバッグも質屋で買っていくようになるのだとしたら、やれやれすごいことですね。今回のグループは歌舞伎町の中は案内してないようでした。新宿東口界隈のドラッグストアには中国語簡体字表記がほぼあります。
b0235153_912471.jpg
b0235153_913641.jpg
b0235153_914649.jpg

9日(火)12:40 5台
※この日、御苑大通りは中国客だけでなく、アジア系、欧米系の旅行者があふれていました。西洋の女の子もスーツケースを押しながら東新宿のホテルに向かっています。たぶん、東京ビジネスホテルだろうな。
b0235153_945913.jpg

      18:10 4台
10日(水)12:40 3台
      18:20 2台
11日(木)12:20 2台
      18:15 2台
12日(金)12:30 3台
      18:10 2台
13日(土)18:20 2台
14日(日)未確認
15日(月)未確認
16日(火)12:30 2台
※うち1台は、広東省の南湖国旅のバスでした。
      19:50 2台
※うち1台はCtripでした。相変わらず同社は安いツアーを催行しているんですね。
17日(水)18:20 2台
※この日の午後、御苑大通り周辺で欧米人家族と香港人の4人グループを見かけました。両者とも個人旅行者で、欧米人家族はおそらく東京ビジネスホテルかホテルリステル新宿、香港人グループはスーツケースを押しながらヴィアイン新宿に入っていきました。これらのホテルはすべて東京医大通りにあります。東新宿は海外からの個人旅行者の集まるエリアだというのは、こういう光景を日常的に目にするからなんです。
b0235153_13544474.jpg
b0235153_13545430.jpg
b0235153_1355615.jpg

18日(木)12:30 5台
※この日の正午過ぎ、たくさんの中国団体客を乗せたバスが御苑大通りに来ました。「林園」で食事をすませると、たいていの客は暑いのですぐにバスに乗り込むのですが、女性客の一部はローソンで売り場を眺めています。いまどき中国の都市部にはコンビには普通にありますから、それ自体が珍しいわけではないのですが、何が売られているのか興味があるのでしょう。ふと見ると、ふたりの若い女性が、アダルト雑誌のコーナーに置かれた写真誌を取り出して見ていました。確かにこの手の雑誌は中国のコンビニには置かれていないでしょうね。
      18:15 2台
19日(金)12:20 5台
       18:10 2台
20日(土)未確認
21日(日)未確認
22日(月)18:10 3台
※うち1台は、広東省の深圳口岸中旅のツアーバスでした。同社のサイトによると、8月29日発、東京・大阪ゴールデンルートのツアー料金が、なんと3999元で売り出されていました。もうここまでくると、「安かろう悪かろう」の極み。呆れてしまいます。なぜ中国人客というのは「安物買いの銭失い」を繰り返してしまうのでしょう。ほぼ毎日、彼らの姿を新宿5丁目御苑大通りで眺めているぼくは、ただ彼らが気の毒に思えてくるだけです。

深圳口岸中旅 http://www.sztravel.com.cn/

23日(火)12:10 5台
      17:30 4台
※うち1台は、杭州海外旅游有限公司のツアーバス。

杭州海外旅游有限公司 http://www.otchz.com/

24日(水)12:20 5台
       18:10 2台
25日(木)18:10 2台
26日(金)13:00 4台 
※うち1台は台湾からのツアーバス。旅行会社は不明。 
       17:10 2台
27日(土)未確認
28日(日)未確認
29日(月)18:10 2台
30日(火)18:40 5台
31日(水)未確認

7月に入り、確かに中国客を乗せたツアーバスはいくぶん戻ってきました。しかし、他の多くのアジア客が自由に新宿の街を買い物したり、散策している姿を見るにつけ、せっかく東京を訪ねているのに、よりによって中国客だけ専用のバイキング食堂で食事を取り、わずかな散策時間もたまに歌舞伎町をガイドの案内でうろついたりするくらいで、ショッピングも楽しめないまま、バスに乗って走り去っていく姿を見ながら、なにやってんだろなあ……この人たち、と思わざるを得ません。結局彼らのツアー代が安すぎるので、都心のホテルには泊まれず、自由時間を楽しむ時間も場所もないのです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-06 16:53 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2013年 07月 02日

あらら! インバウンドバスの定点観測地は「御苑大通り」でした

これまで2年近く(22か月!)続けてきた新宿5丁目のインバウンドバス路駐台数調査の定点観測地の名称について、ぼくは大きな勘違いをしていたことが判明しました。

そこは、明治通りではなく、「御苑大通り」だったのです。明治通りから南下して靖国通りの手前にある花園神社あたりから道は分かれ、新宿御苑の新宿門に至る通りの名前がそれです。

そのこと気がついたのは、今日近所の食堂でたまたま手にした新宿~御苑~四谷のタウン誌「JG」の地図にそう書かれていたからです。つまり、中国をはじめとしたアジア系団体ツアー客を乗せたバスが路上駐車しているのは、御苑大通りの靖国通りの北側の一角というわけです。
b0235153_16591773.jpg

JG公式サイト
http://jgweb.jp/

東新宿に仕事場を移して3年以上たちますが、まだまだ地元のことはわかっていなかったと反省しました。

さて、ぼくの仕事場のある東新宿は、都内でも知る人ぞ知る外国人観光客の出没エリアのひとつです。そこには、欧米の個人旅行客が多く宿泊しています。

なにしろ東新宿は明治通りをはさんで「アジア最大の歓楽街」こと歌舞伎町や伊勢丹、丸井などのある新宿のショッピングエリアに近いという絶好のロケーションなのです。新宿御苑では外国人の姿が多く見られますし、夜の2丁目は御存知のとおり、その筋の人たちばかりとは限らないのでしょうけど、多くの欧米人の姿を見かけます。

東新宿のインバウンドホテル群の現況については、のちほど報告したいと思います。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-02 17:02 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2013年 06月 17日

国境を越えるとこんなに風景が違うのか!?【中国からバスで行くウラジオストク(後編)】

ロシアの入国手続きをすませると、それまで空を覆っていた黒雲がウソのように消え、快晴になりました。

あとで聞いた話では、ロシア沿海州南部は日本海に近いため、この季節の朝方は霧に覆われることが多く、お昼どきになると急に晴れるのだそうです。

琿春のバスターミナルを出てロシア入国が終わるまでに、約2時間かかっていました。ところが、極東ロシアは中国に比べ3時間も時差が進んでいます。つまり、中国ではまだ午前10時過ぎなのですが、ロシアでは午後1時になります。

ロシア側の国境の町はクラスキノといいます。スラビャンカに向かってバスは走り出しました。
b0235153_18445416.jpg

車窓の風景には手つかずの自然と緑の大地が広がっていました。中国側の至る所で土地を掘り起こし、耕作地にした風景とはまったく違います。
b0235153_18454553.jpg

国境を越えると、こんなにも風景が違うのかという驚きがありました。ここ沿海州南部は古代、のちに清朝を建国する満洲族などの少数民族が暮らしていました。本来この地域の自然や風土は同じなのに、国境が敷かれることで、国家と民族のありようが自然の景観を大きく変えてしまったということなのでしょう。
b0235153_1847819.jpg

2時間ほどでスラビャンカに到着しました。田舎町の小さなバスターミナルです。
b0235153_18471893.jpg

b0235153_1847525.jpg

残念なことにその日スラビャンカからのフェリーは運航していなかったため、ウラジオストク行きの路線バスに乗ることにしました。

1時間ほど時間があったので、ターミナルの周辺を歩くことにしました。ロシア人の子供たちや若いママさんたちとすれ違いました。
b0235153_18481470.jpg
b0235153_18482731.jpg

ターミナルの裏に町の市場がありました。野菜や果物、衣類、靴などがふつうに売られています。モノの値段は、モスクワから遠く離れたこの地だけに、中国製品が多く、安くはないようです。
b0235153_18484541.jpg
b0235153_18485168.jpg

雑貨屋に入ると、中国では見ることのないロシアの食材が並んでいました。海産物が多いのも、沿海州ならではでしょう。
b0235153_18491821.jpg
b0235153_18492849.jpg

小さな食堂でロシア風餃子のペルメニとサラダのランチを食べました。ロシアビールも悪くありません。
b0235153_18494889.jpg

さて、いよいよバスが発車します。ロシアのローカルバスの中はこんな感じです。
b0235153_1850778.jpg
b0235153_18501440.jpg

のどかな一本道をバスは疾走します。ただし中国の幹線道路に比べると、舗装はいまいちで、よく揺れます。
b0235153_18503458.jpg

途中1回ドライブインで休憩。コーヒーショップもあります。
b0235153_1850537.jpg

ウラジオストクが近づくと、道路も2車線になりました。
b0235153_18511997.jpg

市内に入ると、急に風景が都会になったのですが、ひどい渋滞です。
b0235153_18514614.jpg
b0235153_18515576.jpg

朝6時に中国の延吉を出て、ウラジオストクのバスターミナルに到着したのはロシア時間の18時(中国時間の15時)でした。ほぼ丸1日かけての国境越えの旅でした。
b0235153_1852948.jpg
b0235153_18522456.jpg

【Travel Tips】スラビャンカからウラジオストクへの路線バスの運賃は367RB(約900円)でした。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-06-17 18:52 | 日本に一番近いヨーロッパの話 | Comments(0)
2013年 06月 17日

意外にすんなり!? ロシア入国ドキュメント【中国からバスで行くウラジオストク(前編)】

中国吉林省の延辺朝鮮族自治州は、中国、ロシア、北朝鮮の3つの国境に囲まれたエリアです。以前、本ブログでも中国側からこれら3カ国の国境が重なる場所を見渡せる防川展望台を紹介したことがあります(→「中朝ロ3か国の国境が見渡せる防川展望台(中国吉林省)」)。

でも、ただ眺めているだけじゃ、つまらないじゃないですか。そこで、中国から国際定期バスに乗って極東ロシアのウラジオストクまで小旅行に出かけてみたのが、ちょうど1年前の2012年6月下旬のことです。
b0235153_1717465.jpg

当初からウラジオストク行きの直行バスで行く予定でした。延辺朝鮮族自治州の中心都市の延吉からロシアのウラジオストク経由でウスリースクまで行く国際定期バスが1日1本あるからです。バスの出る「延吉公路客运总站‎」の掲示板には、中朝ロ3カ国語で地名表示してあります。
b0235153_17182672.jpg

ところが、出発日の前日に延吉のバスターミナルでチケットを購入しようとしたところ、満席とのこと。なぜもっと早く予約しておかなかったのか……。いきなり出鼻をくじかれてしまいました。そこで、ひとまずロシア国境のある琿春までタクシーで行き、そこからロシア行きの国際バスは1日何本かあるらしく、それに乗ろうということになりました。けっこう行き当たりバッタリの旅だったんです。
b0235153_17185530.jpg

朝6時、延吉市内のホテルからタクシーに乗って琿春方面行きの高速を走りました。約1時間で琿春到着。琿春のバスターミナルは、国境の町を意識しているのか、ロシア風の建築でした。
b0235153_1719911.jpg

ターミナルの構内には、ロシア行きのチケット売り場があります。ウラジオストク直行バスの発車時刻までかなり時間があるため、7時50分発のスラビャンカ行きに乗ることにしました。
b0235153_17193438.jpg
b0235153_17194838.jpg
b0235153_17195799.jpg

b0235153_2213522.jpg

スラビャンカは中国語で「斯拉夫杨卡」。ウラジオストクに行く途中の町ですが、地図によると、そこからウラジオストクにつなぐフェリーが出ているようです。バスとフェリーを乗り継いで行くなんて、ちょっと楽しそうではないですか。 
b0235153_1721169.jpg
b0235153_17203874.jpg

出発時刻が近づいたので、バスに乗り込むと、乗客の大半はロシア人でした。なんでも国境の向こうに住む彼らは琿春によく買い物に来るそうです。こうして我々はロシア人観光団ご一行と一緒にウラジオストクを目指すことになったのでした。
b0235153_2216558.jpg
b0235153_17215648.jpg

バスターミナルを出ると、ロシア語と中国語とハングルの併記された琿春市街を抜け、郊外にある琿春口岸(出入国施設)に向かいます。車窓に見る国境近くの風景は畑が広がり、中国ではあらゆる場所が耕作地だと、あとでロシアと比べてあらためて気づくことになります。
b0235153_172322.jpg
b0235153_17221489.jpg

「中華人民共和国 琿春口岸」と書かれた出入国管理所の巨大な門の前でいったんバスを降り、出国手続きに向かいます。
b0235153_17232113.jpg

ロシアのおばさんたちはずいぶん買い物しているようです。
b0235153_17233669.jpg

なかにはロシアと商売をしている中国人客もいました。出国書類を書いていました。
b0235153_17234863.jpg

いよいよパスポートチェックです。我々日本人もそうですが、ロシア人もただ出国するだけなので、時間はかかりません。
b0235153_1724121.jpg
b0235153_17242784.jpg

再びバスに乗り、ロシア側の出入国施設に移動します。
b0235153_17245261.jpg

中ロ両国の国旗が掲揚されるボーダーを抜けると、ロシア側のずいぶん簡素な出入国施設が見えてきました。隣に新しいイミグレーションのビルを建設中でしたから、今頃はこちらに移っているかもしれません。
b0235153_17254697.jpg
b0235153_17251415.jpg

さて、ロシアへの入国手続きです。ロシア人と同じ列に並び、「Passport Control」と書かれたゲートに入って、パスポートとビザを渡します。特に何も聞かれることなく、約2分でチェックは終わりました。手荷物チェックでは、一応麻薬犬もいましたが、特に何かを聞かれることもありませんでした。
b0235153_1726837.jpg
b0235153_17262613.jpg

出入国管理所を出ると、ロシアの空は青く晴れ渡っていました。
b0235153_17264858.jpg

【Travel Tips】ロシア入国にはビザが必要です。しかも今回のような陸路入国の際は、入国地が記載されたビザでなければなりません(延辺から入国の場合、クラスキノになります)。そのため、今回ウラジオストクの旅行会社から入国地を記載した招聘状(宿泊ホテルの予約も必要)を出してもらいました。それを持って在日ロシア大使館に行けば、所要2週間でビザを発給してくれます(つまり、招聘状は有料、ビザは無料です)。

延辺からの国際定期バスは延吉か琿春のバスターミナルで5日前から購入できます。バスのチケット代は、琿春からスラビャンカまでが285元(約3700円)でした。

※この旅の続きは、「国境を越えるとこんなに風景が違うのか!?【中国からバスで行くウラジオストク(後編)】」をどうぞ。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-06-17 17:28 | 日本に一番近いヨーロッパの話 | Comments(6)
2013年 06月 11日

まるで宮崎アニメみたい!? 伝説の特急「あじあ」の運転席を激写!

この写真は何だと思いますか? 

満鉄の伝説の特急「あじあ」の運転席を撮ったものです。
b0235153_19292791.jpg

まるで生き物のようにも見えます。現代の化石とでもいえばいいのか。ちょっと宮崎アニメの世界を連想させる質感があります。

これを撮ったのは、2006年9月のことです。当時わずかに残る「あじあ」の一車両が大連駅のはずれにある車両倉庫に収められていました。地元のつてを使って倉庫の関係者に小遣いを渡して、内緒で見せてもらったのです。

ぼくは鉄道マニアではないので、「あじあ」の偉大さについて言葉を尽くして語ることはできません。でも、案内人が仰々しく倉庫の扉を開けた瞬間、目の前に現れた「あじあ」の姿に、思わず息を呑んだことは確かです。

撮影は、佐藤憲一カメラマンです。
b0235153_19304434.jpg
b0235153_19305187.jpg
b0235153_1930577.jpg
b0235153_1931389.jpg
b0235153_1931975.jpg
b0235153_19311530.jpg
b0235153_19312299.jpg
b0235153_19314135.jpg
b0235153_19314996.jpg
b0235153_19321615.jpg
b0235153_19322834.jpg
b0235153_19324382.jpg
b0235153_19325038.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-06-11 19:32 | 日本人が知らない21世紀の満洲 | Comments(0)
2013年 06月 09日

これは嵐の前の静けさなのか?(ツアーバス路駐台数調査 2013年6月)

6月に入って、バスの台数に大きな変化は見られません。この夏、訪日客は激増するという声も聞かれます。だとすれば、これは嵐の前の静けさだというのか?

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた明治通り新宿5丁目付近における中国インバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(土)未確認
2日(日)未確認
3日(月)17:50 2台
4日(火)18:50 1台
5日(水)18:30 1台
6日(木)未確認
7日(金)未確認
8日(土) 未確認
9日(日)未確認
10日(月)17:50 2台
※おなじみ中国団体客専用食堂「林園」の前に停められた大型バスの前では、中国人添乗員が大声で携帯に向かって話していました。
11日(火)19:50 1台
12日(水)11:40 4台 ※お昼前にもインバウンドバスがやって来ます。今日は中国客を乗せたバスばかりでした。
18:20 4台
b0235153_1261357.jpg


13日(木)12:20 5台
※今週に入り、ついに中国からのバスが増えてきました。お昼時、新宿5丁目明治通り沿いは中国客の来訪でにぎわいます。「林園」か隣の焼肉屋バイキングの店「味仙荘」で昼食を取るためです。今日の「味仙荘」は中国客でいっぱいで、後から来たバスの乗客たちは「人太多(客が多くて店に入れない)」と口々にいいながら、歩道で右往左往しています。それにしても、添乗員たちは予約もしないで来ているのでしょうか。
b0235153_135916.jpg

b0235153_13526100.jpg
b0235153_1354473.jpg

ちなみに、予約なしでお客さんを路頭に迷わせているのは、中国のネット最大手C-Tripのツアーでした。6月に入って急に中国客が増えたことで、激安ツアーの在日系ランドオペレーター業者の人たちも対応が追いつかないのかもしれません。

14日(金)12:20 3台
※今日も中国客たちが「林園」と「味仙荘」に吸い込まれていく姿が見られました。
15日(土)17:50 1台
16日(日)未確認
17日(月)19:50 1台
18日(火)18:50 1台
19日(水)17:50 1台 ※広東省のバスです。
20日(木)未確認
21日(金)13:20 1台
22日(土)未確認
23日(日)未確認
24日(月)12:20 1台
25日(火)18:30 1台
※そのあと歌舞伎町の中華大飯店の前を通ると、韓国からのツアーバスが1台停車していました。
26日(水)12:15 4台
※今日のお昼過ぎ、バスが4台路駐しているのを見ながら、明治通りで信号を待っていると、花園神社のほうから小柄到着な東南アジア系の女性ばかりの観光客約20名と一緒になりました。中国客と違ってみんなおとなしいのですが、数人が小さな声で話しているタイ語らしい声が聞こえたので、「タイから来たのですか?」とひとりの女性に尋ねると、「Ok!」と答えてくれました。みなさん、そのまま昨年オープンしたばかりのホテル「ヴィアイン新宿」に入っていきました。10年前くらいまでなら、タイの若い女性の観光ビザは不法就労と疑われてなかなかもらえなかったはずですが、ちょうど昨日、外務省から7月1日以降、タイとマレーシアのビザが免除されることが発表されたばかりでした。時代は大きく変わりつつあるようです。

タイ国民に対するビザ免除(外務省)2013年6月25日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

18:20 2台
※この日は香港の旅行会社、康泰旅行社(http://www.hongthai.com/)のツアーバスが停車していました。「富士山旅行」というツアータイトルだったので、世界遺産になったばかりの富士山を訪ねるツアーだったのでしょう。最近、新宿5丁目も中国本土以外のさまざまな国・地域のバスが現れるようになって来ました。

27日(木) 未確認
28日(金)18:15 3台
※全然インバウンドとは関係ないことですけれど、中国ツアー専門料理店「林園」の隣に自民党の丸川珠代代議士の選挙事務所ができました。
b0235153_22214468.jpg

29日(土) 未確認
30日(日) 未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-06-09 18:32 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)