ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:エアライン・クルーズ・鉄道・バス ( 195 ) タグの人気記事


2017年 07月 19日

009 ウラジオストク駅からローカル電車で行く海水浴場

b0235153_835024.jpg

ウラジオストク駅からローカル電車に乗って郊外に向かうと、海水浴場が見えてきた。海沿いのビーチに車で市内から来た海水浴客の姿が見える。(撮影/2012年6月)

※ウラジオストク駅を出た郊外電車は、ムラヴィヨフ=アムールスキー半島の西岸を走る。車窓に広がるアムール湾内には、砂浜や夏の別荘(ダーチャ)、キャンプ場などが多く、にぎわいを見せる。


今年4月、ボーダーツーリズム(国境観光)をテーマにした以下のサイトを立ち上げました。同サイトの一コーナー「北東アジア《ボーダーNOW》 」では、北東アジアに広がる国境地域で出会った人や文化、街の風景を、佐藤憲一の写真を中心に紹介しています。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
北東アジア《ボーダーNOW》
http://border-tourism.jp/northeast-asia-borders/

※現在、同サイトは鋭意コンテンツを積み増し中で、エリア名のみ記載されているものの、コンテンツが用意されていないページが多くあり、お見苦しいことをお詫びします。少しずつ時間をかけて構築していくつもりなので、ご理解ください。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-19 08:05 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 17日

超マニア向けボーダーツーリズム「中ロ国境(ハバロフスク・撫遠)」を渡った日本人の話

これは先週の話です。知り合いの日本人から、ハバロフスク・撫遠という超マニア向けの中ロ国境を渡ったという報告を受けました。
b0235153_82830.jpg

ここでいうハバロフスクとは、極東ロシアのアムール河(黒龍江)とウスリー河の合流地点にある都市のことです。そして、撫遠とは、その対岸にある中国黒龍江省の国境の町です。この地は、1960年代後半に中ソ両国が国境紛争のために起こした戦争の舞台に近い場所でもあります。そのようないわく付きの土地ですが、両国は2000年代に入り、「フィフティフィフティ」の原則に基づき、国境画定に至りました。

そして、最近になって、中ロ両国民以外の一般の外国人もこの国境を渡れるようになったのです。

とはいえ、このような国境があることを多くの日本人はご存じないことでしょう。ですから、この国境を渡った日本人というのは、これまでほとんどいなかったと思います。ちなみに、彼はウラジオストク在住です。

今回、彼は仕事でハバロフスクを訪ねています。少し時間があったので、視察も兼ねて、そのまま鉄道でウラジオストクに戻るのではなく、中国国内を通って帰ろうと考えたそうです。そのため、ハバロフスクの対岸の撫遠に船で渡り、そこからバスで黒龍江省東部の主要都市ジャムス(佳木斯)に出て、牡丹江、绥芬河と移動し、ロシアに戻ったそうです。結果的に、超マニア向けのボーダーツーリズムの旅を実践していたのです。

これからぼくがその日本人にぶつけた質問と、彼が答えてくれた内容を紹介します。

1)ハバロフスクから中国への出国、そして撫遠行きのプロセスについて詳しく教えてください。
2)撫遠はどんなところですか。ジャムス行きバスは所要何時間かかりますか。本数はけっこうありますか。
3)ジャムスから牡丹江へはどうですか。
4)綏芬河からロシアへはバスで帰ったんですか。
5)今回の移動中でトラブルはなかったですか。

以下、質問とその回答です。

1)ハバロフスクから中国への出国、そして撫遠行きのプロセスについて詳しく教えてください。

「ハバロフスクの郊外に、アムール川の中国行き船乗り場があります。ウスペンスキー教会から徒歩10分弱の場所です。
b0235153_14222928.jpg

b0235153_19425553.jpg

b0235153_19432879.jpg

そこで中国行きのチケットを購入します。基本的に、日本人は中国への入国は15日以内に限り、ノービザですから、事前にビザの手配は不要です。
b0235153_19504098.jpg

チケットの購入には2つの方法があります。

ひとつは、普通の船運営会社の切符窓口で購入します。片道3150ルーブルです。

もうひとつは、船乗り場の近くに数社の団体用旅行会社のプレハブのオフィスがあり、そこでも購入できます。ここでは団体割引が利きます。3000ルーブル(往復5000ルーブル)と少し安いです。
b0235153_1944912.jpg

b0235153_19443716.jpg

船は1日2便、午前9時頃と午後3時頃に出るようです。

私が船乗り場に行くと、そこには70人ほどの中国人、7~8人のロシア人がいました。日本人は私だけです。

出発の30分ほど前に入口が開き、①切符②パスポート③登録票(船会社チケット窓口が手書き)を見せた後、出国ゲートまで行きます。
b0235153_1945819.jpg

ロシア出国ゲートは淡々と進みます。

出国ゲートを出ると、船に乗ります。40人乗りくらいのボートなので、2艘に分かれて乗りました。
b0235153_19455364.jpg

b0235153_19465154.jpg

約1時間半後、撫遠に着きます。

そこから船内を出る際に、人数確認などのために中国の入管関係者が乗船し、数が揃ったら入国検査に行きます。

船内で人数を数えているときに、すでに私は日本人だということで、入管が特別扱いしてました(よくない意味です)。

そして、入管審査の手前で5名ほどの係官と思われる男たちから「そこに座れ」と言われました。

そのとき、「何の目的で中国に来たのか。誰と会うのか。どこに住んでいるか」など、15分くらいかけて、さまざまな角度から質問されました。過去に訪れた訪問国なども聞かれました。なぜだかわかりませんが、タイに行ったことをやたらと気にしていました。

そして携帯、パソコン、メールなどすべて見られ、所持している現金などもチェックされました。免許証、住基カードなどもコピーを取られました。

今回の旅行のために用意していた、撫遠周辺のコピーした地図もやたらとこだわってしつこく質問されました。

これらのことに1時間半くらいかかって、ではすんなり行かせてくれると思ったら、中国人同様長蛇の列に並び、ようやくのことで入国です。ここまでしごかれたので、入国審査自体はすぐに終わりました」
b0235153_1952378.jpg

b0235153_1953215.jpg

b0235153_19532329.jpg

2)撫遠はどんなところですか。ジャムス行きバスは所要何時間かかりますか。本数はけっこうありますか。

「撫遠は、国境の町ですが、それほど経済的に潤っている印象はありませんでした。中国の田舎の町です。街にはロシア語の表記は一応ありますが、ロシア人の姿は数名しか見かけませんでした。
b0235153_195278.jpg

街のはずれに、マルエツくらいの規模のの食品スーパーがあって、そこと町の中心部を結ぶ2線の無料バスが出ていました。この町には有料の公共バスはなく、このスーパーを中心としたバスが公共バスの役割を果たしています。

なにより困ったのが、人民元を入手しようとATMに行くと、500元しか引き出せないことでした。これはジャムスでも同じでした。
b0235153_1947506.jpg

b0235153_19483389.jpg

b0235153_19491171.jpg

ジャムス行きのバスは1日8本です。朝5時30分から14時30分まで1時間に1本です。距離は約420キロで、所要6時間半でした」

3)ジャムスから牡丹江はどうですか。

b0235153_19513866.jpg

「ジャムスから牡丹江まではバスが少なく、1日3~4本です。私が乗ったのは14時発で、牡丹江には18時10分着でした。約4時間かかりました。牡丹江から綏芬河へは鉄道で移動しました」
b0235153_19561844.jpg

4)綏芬河からロシアへはバスで帰ったんですか。

「綏芬河発ウラジオストク行きのバスは、朝8時30分と午後1時の2本。多くはすでに買い出しツアーできているロシア人に買い占められ、早朝6時30分にバス乗り場に行っても、午後1時の便しか買えませんでした。その日中にウラジオストクに戻る必要があったので、午前8時50分発のウスリースク行きのバスに乗りました。ウスリースクからも、ウラジオ行きのバスがたくさん出ているので。
b0235153_19543452.jpg

ウスリースク行きバスは、1時間に1本程度出ています。ウスリースクに着いたのがロシア時間の16時前、中国時間14時前ですので、国境審査も合わせて、5時間くらいかかりました。

私の場合、綏芬河からロシアに渡るのはこれで2度目でしたが、以前に比べ、荷物の検査のスピードが早くなっていました」

5)今回の移動中でトラブルはなかったですか。

「私はウラジオストクで働く日本人ですから、ロシアから中国、中国からロシアへと国境を渡ることに関して、ビザの問題はまったくありませんでした。

とはいえ、私が中国に入国すると、中国側のイミグレーションでたいてい30分くらいは事情聴取されます。私に何か問題があるというより、綏芬河や琿春、撫遠といったロシア国境を通って日本人が入国してくるということ自体がめったにないこともあり、彼らにとって注意対象となるようです。

それは彼らにとって深刻な問題というより、所詮ここらは中国の辺境で、田舎なので、珍しい日本人の来訪を面白がるようなところがあり、わざと事を大げさにしている雰囲気があります。ですから、私でなくても、日本人なら誰でも多かれ少なかれ似たような境遇になるはずです。

これも、団体旅行客であれば、話は別だと思いますが。

なにしろ撫遠では、1時間半近くチェックされました。

確かに、時が時なら私もスパイみたいなものですが、持参していたあらゆる書類、パソコン、所持品、日本の身分証など取り上げられました。おそらく、携帯は写真に中国国家に反するもの、入管手続き付近を撮影したもの、それらが入っていないかの確認だったと思います。もちろん、見せる前には削除しても、あとで復旧できるので問題ないですけれど。

PCも画面やメールを見られました。漢字で見て、中国に反するようなことが書かれていないかチェックしたようです」

大変ご苦労様でした。これは中国に限らず、日本人がめったに現れることのないような異国の国境では、同じようなことが起こるに違いありません。なかでも最近の中国は、日本人をスパイ容疑で拘束してしまうような国ですから、いろんな中央からの通達が辺境の地にも届いているのでしょう。

もし、今後この国境を渡ろうと考えるのであれば、それ自体は問題ありませんが、つまらない誤解を中国側の入管関係者に与えないような配慮は必要でしょう。つまり、相手はPCやスマホ、所持品のチェックまでするはずですから、そこに彼らの気になるものを残しておかないことです。あとで修復すればいいだけのことですから。

ところで、以前本ブログでも紹介しましたが、今年8月、この国境を訪ねる以下のツアーが実施されます。

ハバロフスクから中国に船で渡る「中露国境紀行2017」ツアー募集中
http://inbound.exblog.jp/26862674/

このツアーは、とても画期的です。なぜなら、先ほどの日本人のように、ただロシアのハバロフスクから中国の撫遠まで船で国境を渡るだけではなく、以下のように、これまで外国人には訪問を許されなかった両国にとって微妙なエリアを初めて訪ねるものだからです。

「ロシア側の国境、カザケヴィチェボ村を訪問し、中国の対岸烏蘇鎮の国境を遠望します。またこのカザケヴィチェボ村で村の人々とランチをいただきます。地域の博物館訪問も予定しています。国境に生きる人々の暮らしも垣間見える旅になるかと思います。

ロシア領の国境へは「観光ビザ」と「許可証」を取得し入ります。その許可証取得に2ヶ月もかかります。

一方の中国側国境烏蘇鎮へも参ります。中国側は国境画定から観光地として発展してきました。許可証などは不要です」。

この中にある「ロシア側の国境、カザケヴィチェボ村」へは「観光ビザ」と「許可証」が必要とありますが、この地は1960年代から続いた中ロ両国の国境画定事業において、きわめて敏感な場所でした。

詳しくは、北海道大学の岩下明裕教授の以下の著書をお読みください。

『中・ロ国境4000キロ』(角川選書、2003)
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/books_new/2003/iwasita/iwasi-hyo.html

そのうえ、このツアーで訪ねる「9月1日の中国側烏蘇鎮と黒瞎子島(ヘイシャーズ島)観光」が、あり得ない内容であることです。なぜなら、一般にロシアとの国境を展望できるこの地域に日本人は訪問できないからです。

こうしたことが実現できたのも、このツアーを催行するロシア専門旅行会社の裏技によるものなのかもしれません。

ちなみに、この地域については、以下の中国の旅行サイトが詳しく紹介しています。

黑瞎子岛
http://www.mafengwo.cn/poi/6704561.html
乌苏镇
http://www.mafengwo.cn/poi/6657226.html
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-17 19:58 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(5)
2017年 07月 17日

初めてウラジオストク旅行に行こうとしているみなさんへ その1

今年3月、羽田深夜便(ピーチ)で上海出張に行ったとき、去年大学を卒業したばかりというOLさんふたりと知り合いました。深夜0時半、羽田の空港チェックインカウンターに並んでいたとき、たまたま列の前にいた子たちですが、そのうちひとりは会社帰りのワンピースにコートを着て片手に通勤バッグという軽装で、いまどきこういう子が深夜便を利用しているんだなあと思って声をかけたのです。

彼女たちは金曜深夜発、日曜夜便戻り、すなはち羽田深夜便を利用した「1泊3日弾丸上海旅行」(しかも、初めての中国旅行)にチャレンジしていたのです(もちろん、月曜朝には出勤です。元気ですね)。

帰国してから一度ご飯を食べたり、たまに連絡を取り合っていたのですが、なんでも秋休みにウラジオストクに行きたいと言い出しているんです。それは、ぼくがふたりにウラジオストクの話をさんざん聞かせたせいでもあるのですが…。

先日、彼女らのひとりからメールで以下の質問が届きました。誰でも初めての国に旅立つ前に、知っておきたいことです。

「円からルーブルに変えるのはどこが一番お得ですか?
ドルからルーブルに変えた方がお得など、、、
また、エアですが、直接アエロフロートからとる方がやはりお得ですか?」


そこで、ぼくはウラジオストク在住の旅行会社の友人に相談し、彼女らの質問に答えることにしました。以下、その回答メールを公開しつつ、彼女らのように、初めてウラジオストク旅行に行こうとしているみなさんへ、思いつく限りのアドバイスをしたいと思います。

【質問1】「円からルーブルに変えるのはどこが一番お得ですか?
ドルからルーブルに変えた方がお得など、、、」

【回答】
「出発前に、成田空港で5000~1万円を両替し、とりあえず現金(ルーブル)獲得は必須です。

そのうえで、現地で必要分をATMでキャッシング(成田レートよりは全然いいです)することをおすすめします。海外のATMでキャッシングするためには、「VISA」や「PLUS」マークの表示がある海外のCD・ATMで現地通貨を引き出せるカードを用意する必要があります。

海外ATMの使い方徹底ガイド(VISAの場合)
http://www.visa-news.jp/cu/atm_info/

新生銀行インターナショナルキャッシュカード ※「VISA」や「PLUS」マークの表示がある海外のCD・ATMで現地通貨を引き出せる。
http://www.shinseibank.com/atm/atm_kaigai.html

ただし、ロシアのATMでは、たまに札切れのケースもあるので、要注意。ウラジオストク市内には以下の両替所や銀行もあります。

「銀行」という名前の両替所
http://urajio.com/item/0812
レートがいいのは、やはり銀行で、「バンクプリモーレ」(ロシア語名:Банк Приморье) はおすすめです。
http://urajio.com/item/0813

ちなみに、ウラジオストク空港から市内への移動については、このブログの記事にわかりやすく書かれていますので、参考にしてください。

http://chiyo045.hatenablog.com/entry/2016/05/09/002344  」


【質問2】「エアですが、直接アエロフロートからとる方がやはりお得ですか?」

※なぜ彼女がこのような質問をしたのか、それには理由があります。

今年4月30日から成田・ウラジオストク線は毎日運航(夏季に限ります)となりました。おかげで日本人渡航者数が急増していますが、そうだとしても、1日何十便ものフライトがあるソウルや台北、上海などに比べれば、まだまだ小さな路線といわねばなりません。現在、両都市に就航しているのは、ロシア系航空会社のS7航空(週4便:火木土日)とオーロラ航空(週3便:月水金)です。S7航空は同じく4月末から関西・ウラジオストク線に水、金の週2便で運航を開始しました。

S7、オーロラ航空とも、ロシア系大手のアエロフロートのウエブサイトで予約を受け付けています。しかし、そこには競合はありません。その点、格安航空券を販売するサイトでは、ソウル経由の大韓航空便の予約も受け付けています。ただし、同社利用の場合、往路復路ともソウル泊しなければならないようです(同日乗継があるかどうかは不明)。休みが短い人には、これは考えられません。

となると、ウラジオストク便の予約は、直接アエロフロートのサイトでするのがいちばん安いのではないか、と彼女は考えたのでしょう。

さて、それをふまえて、以下回答します。

【回答】
「これは必ずしもそうではありません。ロシア系専門旅行社などでは、ツアー向けに飛行機の座席を買い取りしており、こちらで買うほうが安い場合が多いといえます。

JATM(ジャパンエアトラベルマーケティング)
http://www.jatm.co.jp/

ただし、これらの旅行会社では、基本的にツアー販売用に航空券を安く仕入れることができるわけで、航空券のみを販売することには、それほど積極的ではありません(もちろん、空席がある場合は、なるべく売りたいというのは確かですけれど)。

さらに、DENAトラベルのような格安航空券とホテルをセットにしたツアーを販売するサイトもあり、時期によっては、かなり安くなるケースあります。

DENAトラベル
http://www.skygate.co.jp/

しかし、ツアーに参加しないで、ウラジオストクを個人旅行する場合、航空券やホテルのみならず、「観光ビザ」と「(現地)旅行会社が発行するバウチャー」を自分で取得する必要があります。

ウラジオストク旅行は、台北やソウル、上海に行く場合とは、この点が大きく違います。これは、実はなかなか面倒なハードルでもあるのです。

ところで、今年8月1日よりウラジオストクへの渡航が「ノービザ」化すると本ブログでも伝えてきました。

8月1日からウラジオストクは8日間の「ノービザ」渡航が可能になります
http://inbound.exblog.jp/26806617/

これは、以下のロシア側の報道で確認されています。

外国人の極東への渡航を簡素化(2017年2月23日 ロシアNOW)
https://jp.rbth.com/travel/2017/02/22/708146

ここでいう「ノービザ」「簡素化」とは、台北やソウル、上海に行くときのように、航空券だけ自分で手配すれば簡単に入国できるのではなく、事前にネットで大使館に申請することで、ウラジオストク空港入国の際にビザ(アライバルビザといいます)を発行してくれることをいいます。これまでは日本国内にあるロシア大使館に申請にいかなければならなかったことに比べると「簡素化」といえるのです。申請しておけば、空港で無料でビザがもらえるのですから、「ノービザ」に近いともいえるのです。

そのためには、以下の手順で「観光ビザ」の申請をしなければなりません。ポイントは2つです。

①ロシアに入国する予定の日付の4日前に、インターネットの特別なサイト(8月1日に在日本ロシア大使館のHPにアップされる予定)でビザの申請を行うこと
②ビザは無料で、申請した時点から30日間有効。8日間以下の滞在が許可される

さらに、前述したとおり、「観光ビザ」を申請する前に、「(現地)旅行会社が発行するバウチャー」を手配する必要があります。

なぜこんな手続きが必要なのかについて、以下の記事は、わかりやすく説明されています。

ロシア観光ビザの申請方法と極東地域のビザ緩和について
http://trip-coffeex2.com/touristvisaforrussia

これを読むと、ではどうやって「(現地)旅行会社が発行するバウチャー」を手配すればいいのか、という質問が出てくると思います。

この点については、後日あらためて説明しましょう。

ひとまず、ウラジオストクへの旅行は、以前に比べると、簡単になったことは事実ですが、まだちょっと面倒な手間がかかるということを頭に入れてください。

それでも、行ってみたい。そういう気持ちがあるかどうか、少し考えてみてください。

もちろん、旅行会社のツアーに参加すれば、ビザも含めて、すべての面倒ごとを解決してくれます。限られた日程の旅行の場合、それも賢い方法といえます。ただし、ウラジオストクは、それほど大きな都市ではないので、数日あれば、自分の足でも旅行を楽しめるのも確かで、考えどころです。



[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-17 16:04 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 07月 17日

007 シベリア鉄道の終点駅、ウラジオストク駅の瀟洒な駅舎

b0235153_10522317.jpg

ウラジオストク駅の開業は1893年で、この美しい古代ロシア風の駅舎は1912年に完成している。1992年まで外壁はモスグリーンだったが、その後、現在の明るいクリーム色に塗り替えられた。駅の裏手には境港行きフェリー乗り場がある。(撮影/2012年6月)

※ウラジオストクは極東からモスクワに至るシベリア鉄道の始発駅です。

8月1日から始まるウラジオストクのアライバルビザ受け入れ開始が近づいてきました。現地に確認したところ、まだ実施に関して不透明なところも多そうで、円滑なスタートとなるかについては懸念の声もありますが、以降、ロシア大使館に足を運ぶことなく、大使館のHPで申請すれば、ウラジオストク空港で8日間のビザが発給されることは決まっています。

そこで、これからしばらくウラジオストクの街の風景をアップしていきます。わずか飛行機で1時間半の場所に、整然としたヨーロッパの街並みがあることを知っていただけるとうれしいです。

今年4月、ボーダーツーリズム(国境観光)をテーマにした以下のサイトを立ち上げました。同サイトの一コーナー「北東アジア《ボーダーNOW》 」では、北東アジアに広がる国境地域で出会った人や文化、街の風景を、佐藤憲一の写真を中心に紹介しています。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
北東アジア《ボーダーNOW》
http://border-tourism.jp/northeast-asia-borders/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-17 10:54 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 14日

ボーダーツーリズム(国境観光)って何だろう?

7月10日、羽田空港ビルで、日本国内では数少ない隣国との国境に近い地域(ボーダーランズ)に位置する自治体を中心にした「ボーダーツーリズム推進協議会」の設立総会があり、北海道大学の岩下明裕先生の「ボーダーツーリズム(国境観光)、『さいはて』が出発地」という講演会がありました。
b0235153_10585871.jpg

岩下先生の専門はロシア外交で、中ロ国境の実地調査を行ってきたフィールド派の研究者です。『中・ロ国境4000キロ』(角川選書、2003)という抜群に面白い著書があります。
b0235153_10593519.jpg

岩下明裕先生(北海道大学大学院)
https://www.let.hokudai.ac.jp/staff/2-6-02/
『中・ロ国境4000キロ』(角川選書、2003)
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/books_new/2003/iwasita/iwasi-hyo.html

同協議会についてはのちほど説明するとして、設立時に所属しているのは、北海道(礼文町、稚内市、根室市、標津町)、東京都小笠原村、長崎県(五島市、対馬市)、島根隠岐の島町、沖縄県(竹富町、与那国町)の10の自治体です。

これらの地域は、まさに日本の「さいはて(ボーダーランズ)」ですが、もとよりそれぞれ独自の魅力があります。そこに、新たな価値として「ボーダーツーリズム(国境観光)」を加え、「さいはてが出発地」として新たな可能性を広げようとしているわけです。

では、日本の「さいはて」の地を舞台とした「ボーダーツーリズム(国境観光)」とはどのようなものなのでしょうか。
b0235153_10594944.jpg

推進役である岩下先生らがこれらの自治体と組んでこれまで実施してきたのが、フェリーでめぐる対馬・釜山の旅、稚内からサハリンへ船で渡るの旅、八重山諸島と台湾をチャーター便でつなぐ旅、小笠原諸島の旅などです。

なかでも面白そうなのは、フェリーでめぐる対馬の旅でしょうか。東京に住んでいると、「さいはて」と感じられる対馬が韓国の釜山と目と鼻の先、フェリーで1時間ほどだというのですから。以下は、同モニターツアーの解説の一部です。
b0235153_110349.jpg

「韓国と海を接する国境離島・対馬には、現在、年間約20万人もの韓国人観光客が訪れ、島の経済は韓国人観光客から得られる収入に依存せざるを得ない状況となっているとともに、対馬を訪れる日本人観光客が少なすぎることが対馬の最大の課題であるという問題意識が、多くの対馬市民の関心事となっています。他方で、対馬と釜山の間の海域は、日韓で海の境界が画定している数少ない場所であり、国境を越えた交流を行う上で、日本で最も安定した地域のひとつとなっています。
b0235153_1111460.jpg

そこで、日本人観光客が対馬を縦断しながら島内の観光地を回り、そのまま国境を越えて釜山に渡るという、国内旅行と海外旅行を組み合わせた国境観光(ボーダーツーリズム)の発展可能性を調査するために、今回の1泊2日のモニターツアーを実施しました。福岡と釜山の間ではすでに多くの日本人観光客が海外旅行として行き来する中で、対馬を経由した「国境観光」とするところに、今回の試みの新しさがあります」(北海道大学グローバルCEOプログラムより)

対馬・釜山「国境観光」モニターツアーが盛況のうちに終了(北海道大学グローバルCEOプログラム)
http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/BorderStudies/news/201312413.htm

その他のツアーについては、いくつかのメディアが報じています。

可能性広がる「国境観光」(毎日新聞2015年7月30日)※稚内−サハリンツアーについて
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150730org00m040005000c.html
国境観光 関心高まるボーダーツーリズム(毎日新聞2016年8月10日)※八重山・台湾ツアー について
https://mainichi.jp/articles/20160804/org/00m/010/039000c

こうした各地でのモニターツアーの実施を通して、岩下先生は見えてきたことがあるとして、次のように語ります。

「ボーダーツーリズムとは、空間と場所を体感する包括的ツーリズムで、歴史や芸術、民俗、フード、グリーンなどのさまざまな要素を包括する。現地の優れた解説者によってアカデミックツーリズムとしての特徴を持つ。ツアー参加者は、帰途につくとき、そこで体験したことをすぐには消化できないほどの興奮と達成感がある。ゆえにリピーターも多い。ストーリー性が大事な気づきのツアーとなる。
b0235153_113935.jpg

さらにいえば、たとえ国境を越えなくても、地域の中で境界を越え、その広がりを体感する『境界地域(ボーダーランズ)』の可能性も広がっている」
b0235153_1132060.jpg

今後、以下のようなボーダーツアーが計画されています。

・サハリン北緯50度越え北へ(2017年8月)
サッポロ発、ユジノサハリンスク、北緯50度、アレクサンドロフスク(北サハリン)

・中露国境越えツアーⅡ(2017年8月)
福岡発、ハバロフスク、ヘイシャーズ島(黑瞎子岛)、撫遠(アムール河越え)、長春、ソウル

・福岡・対馬・釜山ツアー(2017年11月)
福岡以外の日本各地から集客、マスツーリズムへの可能性を模索

・釜山から入る対馬ツアー(2018年春頃)
札幌発、釜山から ロシアの痕跡を見る

これらのツアーの問い合わせ先は、ボーダーツーリズム推進協議会です。

ボーダーツーリズム推進協議会
https://www.border-tourism.com/

ちょっとわくわくするようなラインナップです。

ただし、すでに指摘されていることですが、課題もあります。一般にこうしたユニークなルートを商品化しようとすると、ツアー料金を安くすることは難しいからです。そもそも出発地である「さいはて」まで行くのに、お金と時間がかかってしまい、その先まで行こうとすると、さらにコストがかかるのです。

それでも、これまで岩下先生らが実施してきた対馬ボーダーツアーの取り組みに刺激を受けたのか、今年、以下のようなお得な割安乗船券が登場しました。

関釜フェリー(下関港→釜山港)、JR九州高速船ビートル(釜山港→対馬比田勝港)がセットになった特別企画乗船券で、キャンペーン価格9000円というものです。
b0235153_1143061.jpg

下関⇒対馬(比田勝)乗継片道乗船券 - 関釜フェリー
http://www.kampuferry.co.jp/passenger/kampu/tsushima.html

こうして多くの人が参加しやすくなると、ボーダーツーリズム(国境観光)の可能性が高まります。そのためには、地域の自治体や観光業界の協力が欠かせません。こうして設立されたのが、「さいはて(ボーダーランズ)」の自治体や企業、団体、そして研究者たちによるボーダーツーリズム推進協議会でした。

この協議会は一足飛びに生まれたものではありません。

ことの始まりは、岩下先生をはじめとする「国境」研究者によって始められた、ボーダー(境界、国境)現象や境界地域の実証・比較・理論を総合的に研究しする北海道大学グローバルCEOプログラム「境界研究の拠点形成」(2009~13年)の取り組みから生まれた「国境地域研究センター」や、さらなる地域との連携や社会貢献のために結成された「境界地域研究ネットワーク(JIBSN)」の存在がありました。

国境地域研究センター
http://borderlands.or.jp/
境界地域研究ネットワーク(JIBSN)
http://src-hokudai-ac.jp/jibsn/

こうした一連の輻輳した動きが、まだ始まったばかりとはいえ、日本のボーダーツーリズム(国境観光)の現状といえそうです。近年、日本と近隣諸国との関係が変わり、国境を意識することが以前に増して増えているように思います。とはいえ、そこがどのような場所なのか、多くの人は知る由もありません。そこが「さいはて」である以上、簡単に訪れることができないと思っていたからです。

ボーダーツーリズム推進協議会の設立は、「さいはて」の地の魅力を伝えるとともに、新たな知的な旅の可能性を教えてくれます。

これまでぼくはガイドブック取材の仕事を通じて、北東アジアのボーダーツーリズムの現場に何度も足を運んできました。そして、今年4月に立ち上げたのが、以下のサイトです。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/

今回、設立総会に参加し、感じたのは、いろんなことがシンクロしていたのだなという思いです。

最後に、総会の後、思いがけないアトラクションがあったこともぜひ報告したいと思います。

それは、羽田空港国際ターミナルの近くにある小さな船着場から出る「羽田空港沖アンダージェットクルーズ」に乗ったことです。
b0235153_1174756.jpg

このクルーズは、離発着する航空機を羽田空港沖合から観賞するもので、一般ツアー化されています。約2時間のクルーズでしたが、アンダージェットもすごかったし、川崎の工場夜景もすばらしかったです。
b0235153_11165218.jpg
(撮影/佐藤憲一)

羽田・横浜・東京湾クルーズツアー
http://www.hps-co.jp/haneda/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-14 11:09 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 07月 08日

「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!?

今年5月18日、極東ロシアのウラジオストクと北朝鮮の羅先を結ぶ定期フェリー航路が開設され、ひそかに注目されています。

万景峰号は貨客船としての運航でもあり、両国間で取引される荷物の中身も気になるところでしょうが、そもそも乗客が少なければ定期運航を続けるのは厳しいものがあります。

以前、万景峰号を利用したロシアと北朝鮮の2国をめぐる中国発の周遊ツアーを催行している中国吉林省延辺朝鮮族自治州の旅行会社の話を書きましたが、結果的にほとんど集客はできなかったようで、予定されていた5月~6月の6回のツアー募集も終わってしまいました。

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい?(2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886620/

そんなこともあり、7月最初の木曜日(6日)万景峰号はウラジオストク港に入港するのか、気になっていました。

そこで、現地在住の友人に6日、7日の両日、ウラジオストクのフェリーターミナルを訪ねてもらいました。以下、その報告です。

結論から先にいうと、万景峰号は確かに運航を続けていました。

「6日(木)の夜、ファリーターミナルを訪ねたところ、万景峰号はいませんでした。ところが、ウラジオストクを訪れる中国客が必ず立ち寄る宝石店に聞くと、確かに万景峰号はその日の朝、入港していたとのこと。他の客船の入港もあり、その日は別の場所に停泊しているらしいのです。
b0235153_1316127.jpg

b0235153_13163214.jpg

翌7日(金)の午後、再びフェリーターミナルに行くと、ロシア人客が30人くらい出航を待っていました。聞くと、彼らは万景峰号で朝鮮旅行に行くとのこと。アジア客は見当たりませんでした」

中国発のツアーは客を集められなかったものの、どうやら今度はロシア沿海地方のロシア人を対象にした北朝鮮ツアーが始まるようです。

いったいどんなツアーなのでしょうか。さっそく調べてみました。以下のツアー募集が見つかりました。催行しているのは、DAL'RASSVET(ДАЛЬРАССВЕТ)というロシアの旅行会社です。
b0235153_13164552.jpg

ウラジオストクからフェリーで行く北朝鮮(羅先)6泊7日
Cеверная корея: Паромом из Владивостока. Отдых. Море. Экскурсии !

https://www.farpost.ru/vladivostok/rest/asia/cevernaja-koreja-paromom-iz-vladivostoka-otdyh-more-exkursii-54777007.html

ロシア語しかないので、ざっとツアーの内容を超簡訳で以下紹介します。

このツアーは、金曜19時に万景峰号に乗ってウラジオ港を出港し、翌朝羅津港に入港。復路は水曜夜同じく万景峰号に乗って木曜朝9時ウラジオストク着というものです。つまり、土曜日から水曜日までの5日間を羅先に滞在するというものです。

料金は、万景峰号の8人部屋を利用する最低価格で27000RB(約5万4000円)。1週間の海外旅行としては、お値打ち価格といえるかもしれません。

ツアー催行日も決まっています。7月から10月まで募集があるようです。

июль(7月)14, 21, 28
август(8月)4, 11, 18, 25
сентябрь(9月)1, 8, 15, 22, 29
октябрь(10月)6, 13, 20, 27

このツアー代金に含まれるものとして、以下の事項が書かれています。

ウラジオ・羅先往復フェリーチケット
フェリー内(往復)朝食、夕食
宿泊代(海水浴場のキャンプ場利用含む)
羅先での市内観光

日程も以下のように記されています。

1日目(金)
ウラジオストク港集合。出国手続きをすませ、万景峰号乗船。出航。

2日目(土)
羅津港に入港。入国手続き後、ホテルに送迎、チェックイン。午前自由。ランチ後、市内観光(金日成花温室、ソビエト兵士慰霊碑、勝利石油コンビナートを訪問。少年少女による歓迎コンサートあり)。夕食。
b0235153_13174769.jpg

b0235153_1318376.jpg

b0235153_13181786.jpg

3日目(日)
ホテルで朝食。琵琶島海水浴場へ。エンペラーホテル&カジノ訪問。琵琶島ではオプションでオットセイのいる島への遊覧船あり。ランチ。午後は、外国文書店(朝鮮書籍、切手の販売)、朝鮮土産店、海浜公園のビヤハウスで生ビール、市場歩きなど。夕食。
b0235153_13184151.jpg

b0235153_13185651.jpg

b0235153_13192160.jpg

b0235153_13193931.jpg

b0235153_13194742.jpg
b0235153_1320165.jpg

b0235153_13202478.jpg

4日目(月)
ホテルで朝食。市内観光(革命博物館などを訪問)。ランチ。外貨両替可能なゴールデン・トライアングル・デルタ・バンク、縫製工場で女性労働者の仕事ぶりを参観、大学訪問など。夕食。
b0235153_13204197.jpg

5日目(火)
ホテルで朝食。農場見学(キノコ栽培)、ミネラルウォーター工場を訪問。ランチ。孤児のための中等学校寄宿学校他(一部内容不明)訪問。コーヒーショップで休憩。夕食。

6日目(水)
ホテルで朝食。羅先市美術展覧館(絵画販売)訪問。ランチ。ホテルに戻り休憩。夕刻、出国手続き後、万景峰号乗船。羅津港出航。
b0235153_13213257.jpg

7日(木)
朝9時、ウラジオストク港入港。入国手続きを経て解散。

上記日程で挙げた羅先観光の訪問スポットについては、以下参照。

北朝鮮 羅先観光の現在
http://inbound.exblog.jp/19752652/
朝鮮観光のしおり
http://inbound.exblog.jp/i32/

このように、羅先観光は、首都平壌で実施されている朝鮮観光のモデルを踏襲した地方版で、海水浴場などの自然体験を除けば、内容はほとんど変わりません。少年少女の歌謡ショーは、朝鮮全土のどの町でも用意されています。外国人にとって、それが魅力的かどうかは、個人の価値観によるとしかいえません。

それはロシア人にとっても同じことで、興味深いことに、ツアー案内には以下の注意書きもあります。

「北朝鮮旅行における観光客の行動については、他の外国とはまったく異なる独自のローカル原則があることをご確認ください。

豊かな自然が残る北朝鮮では、本格的な朝鮮料理やスキー、海浜でのリラックスな体験ができます。また、他の国々とはまったく類似しない特殊な社会体制の中に現実に人々が住んでいることを知ることになるでしょう。北朝鮮ツアーは、この国でしかない特別な体験をしてみたい若者の間で人気があります」

諸外国の人々に比べると、多くの建設労働者を受け入れているロシア人の目から見て、北朝鮮は(「悪の枢軸」などではなく)、きわめて特殊な政治体制ではあるけれど、貧しくて勤勉な人々が働く国です。おそらく今日の中国人のほうが厳しい目で北朝鮮を見ているように思います(たとえ、同胞が多く住んでいるとしても)。

この時期、中国の大連などにも少なくないロシア人観光客が海水浴のために訪れます。経済発展が遅れているぶん、自然もそれなりに豊かな北朝鮮を海水浴や休暇を目的に訪れるロシア人観光客というのは、これまで決して多いとはいえませんが、存在していました。今回、ロシアの船会社が万景峰号の定期運航を始めることにした以上、自国民を乗船させようとするのは自然なことでした。

いずれにせよ、中国や北朝鮮を旅行先に選ぶロシア人は中間層以下の人たちで、経済的にゆとりがある層はタイなどの東南アジアを目指します。

こうしたことから考えても、10月まで万景峰号の定期運航が続くかどうかは疑問がないではありません。今後を占ううえで、国際的な観点も重要ですが、ローカルな視点も欠かせません。これからも注視していきたいと思います。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-08 13:24 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 07月 04日

中国の夏休みが始まり、ツアー客も少し増えてきたようです(ツアーバス路駐台数調査 2017年7月)

7月になって東京はきびしい暑さが続いています。新宿5丁目界隈の外国人ツーリストも、身軽ないでたちで旅行を楽しんでいる様子がうかがえます。7月から中国の夏休みが始まり、バスの数も少し増えてきた気がします。
b0235153_10191890.jpg


※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(土)未確認
2日(日)未確認
3日(月)11:50 4台、19:40 1台
4日(火)12:20 3台、17:30 3台
5日(水)未確認
6日(木)11:30 3台
7日(金)11:50 4台、17:40 1台
8日(土)未確認
9日(日)未確認
10日(月)12:10 8台
※この日は、数年ぶりに見るバスの多さでした。
b0235153_1043658.jpg

b0235153_10432054.jpg

11日(火)12:50 4台
12日(水)11:50 3台
13日(木)未確認
14日(金)11:50 4台
15日(土)未確認
16日(日)未確認
17日(月)未確認
18日(火)12:10 4台、17:30 2台
19日(水)未確認
20日(木)12:00 5台
21日(金)未確認
22日(土)未確認
23日(日)未確認
24日(月)11:50 5台、17:30 2台
25日(火)12:10 5台
b0235153_12464616.jpg

26日(水)12:20 2台、13:40 5台
27日(木)13:20 2台
28日(金)未確認
29日(土)未確認
30日(日)未確認
31日(月)11:50 3台
※この日も、IMANO TOKYO HOSTELから若い欧米の男ども6人組が新宿の町に繰り出していく光景を目にしました。やっぱり夏はバックパッカー系の旅行者が増えますね。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-07-04 16:29 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 06月 24日

夕方のバスが増えてきたのは、都心のホテルが埋まらないせい?(ツアーバス路駐台数調査 2017年6月)

6月に入り、依然バスの台数は2012~3年頃のピーク時に比べ、少ないのですが、ここ1、2年と違った傾向が見られるようになりました。

それは、夕方にバスがちらほら姿を見せるようになったことです。

これはどうしてなのか?

この数年、都心のホテル価格が上昇し、安価なツアー料金で訪日する中国団体客は、八王子や木更津といった都心からずいぶん離れた町のホテルを利用するケースが増えていました。

ところが、民泊市場の急拡大によって都心のホテルも客室が埋まらない状況が起きてきたのです。

そのため、都心のホテルは価格を下げ、中国団体客も利用するようになったというわけです。都心に近い場所にホテルがあれば、夕食も新宿あたりですませても問題ありません。移動時間が短くなったからです。

あらゆる現象には、固有の因果関係があります。

そんなこともあり、近所の中国団体客ご用達居酒屋「金鍋」を夕刻通り過ぎるとき、中国客の入店する姿を見かけるようになりました。以前は昼しか見かけなかったのに。

そういえば、新宿5丁目でラオックスの無料バスを見かけました。団体客が減って、ラオックスは中国客を集めるのに大変なようです。
b0235153_16314853.jpg

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)12:20 2台
2日(金)11:50 3台、17:50 2台
3日(土)未確認
4日(日)未確認
5日(月)未確認
6日(火)11:50 3台、18:20 1台
7日(水)12:30 4台、19:10 1台
8日(木)11:40 2台
9日(金)11:50 3台、17:40 2台
10日(土)未確認
11日(日)未確認
12日(月)18:20 2台
13日(火)未確認
14日(水)未確認
15日(木)未確認
16日(金)未確認
17日(土)未確認
18日(日)未確認
19日(月)未確認
20日(火)未確認
21日(水)未確認
22日(木)12:30 4台
23日(金)11:50 3台、17:50 3台
24日(土)未確認
25日(日)未確認
26日(月)12:20 3台、18:40 1台
27日(火)11:40 2台
28日(水)11:40 2台、18:20 2台
29日(木)12:10 3台
30日(金)未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-06-24 15:54 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 05月 30日

タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと

中国の「越境白タク」の急増の背景には、同国での配車アプリサービスの普及があり、そのまま法を無視して日本国内で運用されている実情があります。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

では、日本ではどうして中国のようにライドシェアが進まないのでしょうか。

先日、タクシーを利用したとき、ライドシェアについて運転手とこんな話をしました。

-今年1月30日から東京23区と一部の地域で初乗り料金410円になりましたね。利用客は増えているのでしょうか。

「初乗り410円」きょうから 都心部のタクシー(朝日デジタル2017年1月30日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1W6G7RK1WUTIL056.html

「どうですかねえ。ちょい乗りができるということで、最寄り駅から自宅へ乗る人が増えたので、我々の仲間は駅で客を拾いたがらなくなった。近距離のお客さんばかりですからね」

-ライドシェアは進んでいるんでしょうか。都内のタクシーでもスマホ向けの配車アプリが導入されていますね。

「いま配車アプリサービスを提供しているのは大手4社がメイン。でも、運転手の間では評判よくないんです。アプリで予約した後、目の前に別のタクシーが来ると、そのまま乗っちゃう人が多いからです。我々が駆けつけたときには、すでにお客さんはいないというわけです。これでは、我々も慎重にならざるを得ない…」

なるほど。そりゃそうですね。なぜそんなことが起きてしまうのか。想像できます。

配車アプリは、スマホの地図上で場所を指定すると、近くを走行中のタクシーを検索し、自動的に指定場所まで配車するサービス。事前に登録をせずに支払いは従来通りに行う方法と、あらかじめ登録を行い、ネット決済を使って支払う方法を選択できます。混雑時にはなかなか配車されないこともありますが、アプリの評判は総じて高く、ビジネスマンを中心に利用者が増えているといいます。問題は、事前登録しないで利用する一般客のドタキャンというわけです。

シェアリング・エコノミーと自動運転技術の発達で、近い将来、タクシーが無人化・無料化することを見据えた取り組みで、外国人観光客の増加で最寄の駅からホテルまでといった短距離需要が拡大しているという追い風もあります。

タクシー大手4社
http://タクシー転職ガイド.com/taxi_4/

日本交通株式会社
大和自動車交通株式会社
帝都自動車交通株式会社
国際自動車株式会社(kmグループ)

最初に始めたのは日本交通株式会社で2011年1月から。スマートフォン向けタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」を提供し、同年12月にはマイクロソフトと共同で「全国タクシー配車」アプリをスタート。17年10月31日以降は、「日本交通タクシー配車」のサービスを終了し、「全国タクシー配車」に統合します。

「全国タクシー」アプリへの統合のお知らせ
https://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/iphone/

先ほどの運転手が語ってくれたように、一部のビジネス需要には貢献していると思われる日本の配車アプリサービスですが、中国のように、広く一般の利用が広がっているという実感はありませんし、そもそも運転手が乗り気でなさそう。

なぜそうなるのかといえば、やはり日本ではモバイル決済が中国ほど進んでいないからです。しくみはあっても、運転手が懸念する「ノーショー(予約したのに利用しない)」のケースが出てくるからです。

中国でライドシェアが普及した背景には、WeChatPayやアリペイといったモバイル決済の日常化があります。そのため、客は予約した以上、他の車を利用できなくなり、運転手は取りっぱぐれが起こらないからです。中国の事例に学ぶなら、普及のためには、利用者とドライバー双方にインセンティブが必要だということになります(ここらのやり方は中国のうまいところです)。

もうひとつの理由は、国内に相乗りを日常的に提供するような日本人ドライバーがどれほどいるかという話です。実は、中国でも同じで、白タクの大半はその都市の戸籍を持たない出稼ぎ外地人たちでした。日本で在日中国人が白タクをやるのと似た話です。すでに中国の一部の都市では外地人の白タクは違法となり、摘発も始まっています(ただし、中国では白タク自体は合法)。配車アプリ会社同士のサービス競争で過熱していた数年前のように、市内の至る場所にタクシーと白タクが走り回っていたという状況には、上海ですら再び戻るとは思えません。

日本の一般市民が街角でライドシェアを利用することが普及するには、相当数のドライバーの存在が必要で、時間はかかりそうです。もちろん、便利なサービスですから、今後ゆっくり進んでいくことは間違いないとしても。

そして、結局、日本のライドシェアがいちばん進んでいる領域が、中国の「越境白タク」というわけです。そこにニーズがあるからですが、おかしな話です。

では、日本の国内事情にふさわしいライドシェアのあり方とは何か。

ここでは、国内の日本人が利用するライドシェアのあり方と訪日外国人市場における運用を分けて考えたいと思います。これをごちゃまぜにして議論しようとするのは、現状では賢いとは思えません。

国内向けには、まず地方でのライドシェアを進めることでしょう。迅速に使える利便性を追求するというより、公共の足として普及させる取り組みは、各地で始まっているようです。もちろん、これは過疎地の住民のためだけでなく、地方に出かけたい外国人観光客の利便性を高めることにつながります。大都市圏はモバイル決済の普及を待ちつつ、無理なく進めるしかありません。

過疎地こそ、ライドシェア
http://タクシー転職ガイド.com/kasochi_rideshare/
世界的な配車サービス「ウーバー」は、日本の過疎地を救えるのか? 京都丹後町「ささえ合い交通」を取材した
https://www.travelvoice.jp/20161114-77067
なかとんべつライドシェア(相乗り)事業実証実験
http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/docs/2016081800017/

一方、訪日外国人向けのあるべきライドシェアを考えるためには、現状の違法状態を是正することから考えなければなりません。

この問題を、もうかれこれ40年以上見つめてきた人物に、訪日外国人の受け入れを担ってきた国内老舗ランドオペレーターの団体であるAISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)の王一仁会長がいます。

王会長は言います。「日本のインバウンド市場にはモグリの業者が多すぎる。なぜそうなるかといえば、日本にはインバウンドに関わる法律がないことだ。香港や中国では当たり前にある外国人観光客受け入れ事業に関する規則を定めた法律が、先進国といわれる日本にはなぜかない。

ルールがはっきりしていないから、グレーゾーンだらけになり、モグリの業者は好き放題に暗躍してしまうのだ。なぜ日本政府はルールをつくろうとしないのか。PRにはあんなにお金をかけるのに、いちばん肝心なことはやろうとしない。これでは本末転倒だし、いったい何のために訪日外国人の促進を進めているのか意味がわからない。これは私に限らず、海外の旅行業者はみんな呆れている。

問題なのは、モグリの業者ばかりのせいで、本来お金が落ちるべきところにお金が落ちてこないので、まじめなインバウンド事業者に正当な利益が回らず、モグリの業者や外国人の中だけでお金が回り、きちんと税金が納められることもない。そのせいで、一般の日本人も外国人観光客の恩恵を知らないでいる。外国人の訪日の恩恵は買い物だけにあるのではない。ルールがないことで、いちばん損しているのは日本社会だ」

日本にも観光立国推進法はありますが、ここには外国人観光客の受け入れを推進する目的や意気込みしか書かれていないといわれても仕方ありません。インバウンドビジネスは国内で行う事業であるにもかかわらず、他の産業界にあるような業界を健全に発展させるための原則やルールがない。だから、不法ガイドや違法民泊、白タクなどの参入を安易に許すことになっているというのが、王会長の主張なのです。

王会長は白タク問題を解消するためのこんな提案をしています。

「これは皮肉な言い方かもしれないが、白タク暗躍で見えてきたのは、中国人観光客の個人化にともなう移動ニーズの実態だ。これを駆逐するためにも、税金を使って彼らのための格安の足の手配を官民が協力して用意することはできないか。

いま地方へ外国人観光客を呼び込むのに最も効果的なのは、交通インフラの改善だ。ひとつの手段として、地方への外国人向けの無料バスを走らせたらどうか。もちろん、国内のバス会社に平等に共同でやらせればいい。こういうことに税金を使うほうが、PRに使うより意味があるのではないか」

「外国人向け無料バス」と聞いて、外国人優遇なんて言わないでください。その費用は、海外へのPR費を削って、相殺すればいいのです。

日本は、中国のように勝手にラインやインスタグラムを禁止するような無法な国ではないので、中国の配車アプリを国内で使えなくさせなくすることはできない以上、彼らの違法営業をやめさせるためには、空港での摘発強化に加え、市場のニーズに対応した代替サービスを提供することが必要になります。原則とルールを決めたら、違反する者をきちんと取り締まる。これが第一歩ですが、それだけでは不十分で、市場を動かすためのインセンティブを考えることを忘れてはいけないのです。

この種のリアルなニーズに即したサービスは、宣伝しなくてもSNSであっという間に海外に広まっていくことが考えられます。中国系の人たちは、利用者のインセンティブを直接引き出すやり方をよく知っています。我々も、もう少しそれに学ぶ必要がありそうです。

たとえば、中国配車アプリで定番となっている成田や羽田からの都心部へのワゴン車による送迎サービスで、現行に近い価格帯を実現させることはできないでしょうか(ちなみに、DingTAXI日本包車旅遊の場合、成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円)。

ただし、摘発を同時に進めない限り、配車アプリサービスは個人ドライバーのすることですから、利用客へのキャッシュバックなどで割引するなど、取り込みのための策は続くでしょう。そういう駆け引きをするのが中国人です。その一方で、中国では何事も当局は問答無用で摘発をするのが常ですから、彼らはそういう仕打ちに慣れています。もちろん、中国と同じようにやれという意味ではないですけれど。

乱暴に思えるかもしれませんが、こうしたことは長く外国人観光客を受け入れてきた欧米やアジアの国では常識です。日本人がまだ状況に慣れていないだけなのです。

※ところで、「越境白タク」といえば、その本家はuberといえます。本来はまずuberについて考えるべきところですが、実のところ、国内でどの程度の市場規模になっているのか、よくわかりません。

とはいえ、中国客に限らず、重いスーツケースを持ち、家族や子連れ、小グループで旅する多くの外国客にとって、uberは重宝するに違いないことは理解できます。土地勘がなくても使えるからです。今後の宿題にさせてください。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-05-30 11:31 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 28日

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい?

国際社会が注視するなか、今月18日、万景峰号の北朝鮮の羅津港とロシアのウラジオストク港間の定期運航が始まりました。そして、今週25日(木)、2度目のウラジオストク入港がありました。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から
http://inbound.exblog.jp/26886405/
b0235153_11475583.jpg

しかし、乗客はほんのわずかな人たちだったようです。
b0235153_1148311.jpg

b0235153_1148478.jpg

現地関係者によると「羅津港から乗船したロシア客に話を聞いたところ、船内ではレストランやショップが営業していたが、乗客は少なかった」とのこと。
b0235153_11491825.jpg

翌26日(金)夜の羅津港に向けた出港時も「乗客は7~8名で、中国の旅行会社の関係者と若い個人旅行者1名、ロシア人3名、朝鮮人2名ほど。ただでさえウラジオストク港の入管手続きは遅いが、数名の外国人に対して1時間半もかかり、予定では20時発が、結局は21時30分に出港した」といいます。
b0235153_11494937.jpg
↑万景峰号の背後にウラジオストク港に架かる金角橋のネオンが見えます
b0235153_1150632.jpg

b0235153_11502196.jpg
↑ウラジオストクを出港する万景峰号

こんなに少ない乗客では、とても定期運航どころではないのではないか。それが率直な印象です。

ところで、前回、中国で万景峰号を利用したロシア・北朝鮮の周遊ツアーが販売されていると書きました。

現地関係者から入手した同ツアーのパンフレットを紹介します。
b0235153_11522334.jpg

「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」です。

これが日程です。
b0235153_11525131.jpg

初日朝7時に延吉集合。バスでロシア国境の町・琿春へ。ロシアのイミグレーションを抜け、一路ウラジオストクへ。翌日は、市内観光。3日目も夕方まで市内観光で、2012年のAPEC会場になったルースキー島などを訪ね、8時に万景峰号乗船。翌朝6時に北朝鮮の羅津港に到着。北朝鮮の経済貿易特区である羅先を市内観光し、午後には中国へ出国。夕方までにはバスで延吉に戻るというものです。

ちなみにツアー料金は、万景峰号の船室のランクによって違います。5月発については、以下のとおり(上段/下段は2段ベッドのこと)。

8人部屋 上段 1880元 下段1930元
6人部屋 上段 1980元 下段2030元
4人部屋 上段 2080元 下段2130元
ツイン 2230元
シングル 2330元

みやげ物店からの売上に対するキックバックで費用を補填するおなじみの中国式ビジネス慣行により、驚くほど安価なツアーになっています。そのため、参加費用は3万円からと安いのに、オプションは別料金で、ウラジオストク港の1時間のボートクルーズ代400元(6500円)、ロシア民族舞踊のディナーショー500元(8200円)、ロシアのタラバガニ料理500元(8200円)など、暴利をむさぼるしくみです。

※ちなみにウラジオストク港のボートクルーズの料金は、個人で行けば1時間700ルーブル(1400円)です。いかに中国の旅行会社がボッタクリしているかわかるでしょう。
http://urajio.com/item/0559

この料金表からわかるのは、このツアーのコストの内訳です。前回、万景峰号の片道運賃は「600元から750元」であることを伝えましたが、この運賃額を差し引いた金額は、これまで中国東北三省の旅行会社が催行してきたウラジオストク2泊3日ツアー料金の1200元相当します。つまり、「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」は、従来のウラジオ2泊3日に万景峰号クルーズと朝鮮観光を加えたものだといえます。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から
http://inbound.exblog.jp/26886405/
b0235153_11531410.jpg

ツアーパンフレットには、旅行会社がツアーコストの原資を得るために立ち寄る免税店が記載されています。ウラジオストク市内にあるロシア産の紫金の宝飾店、ロシア産のチョコレートやウォッカ、タバコをなどを売る免税店、万景峰号が入港する国際ターミナルの免税店の3つです。2013年に施行された新旅游法により、中国ではツアーで立ち寄る免税店についてはパンフレットに情報公開することが義務付けられています。

一方、羅先には、いわゆる免税店はありませんが、こちらでも北朝鮮産の海産物などを法外な価格で売る店に連れていかれます。なぜなら、先ほどのツアー料金からみると、中国の旅行会社は朝鮮側に支払うコストに見合う金額を旅行客からもらっていないと考えられるからです。金を払わない代わりに、中国客にみやげ物を買わせて、その上がりで1日のバス代と観光手配は朝鮮側に請け負わせているわけです。

これは中国では定番ともいうべきボッタクリツアーです。残念ながら、このようなやり方でしか、客を集められないのが現状なのです。これは中国人の日本ツアーやクルーズでも同じです。

このツアーを催行しているのは、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉にある延辺中鉄国際旅行社です。現在、予定されている6月までのツアー出発日は、5月24日、31日、6月7日、14日、21日、28日です。

延边中铁国际旅行社有限公司(※ただし、同社のウエブサイトには掲載されていません)
https://ztlx1.package.qunar.com/

とはいえ、東南アジアのゴールデントライアングル(タイ、ラオス、ミャンマー)と同じく、中国、ロシア、北朝鮮の3ヵ国が接する国境地帯を周遊できるという、この斬新かつ魅力的なツアーも、これまで述べた客観状況や現状の乗客数をみるかぎり、今後参加者が現れるかどうかはかなり疑問です。

もうひとつの中朝国境の町、遼寧省丹東の旅行関係者によると「これまで両国往来の旅を楽しんできた中朝国境沿いの住民も、昨年の核実験以降、さすがに北朝鮮に対する国民感情は悪化している」とのこと。新義州への日帰りツアーも昨年に比べ、半減以下に落ち込んでいるといいます。

※2016年9月9日に実施された北朝鮮による5度目の核実験は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州と国境を接する咸鏡北道吉州郡豊渓里付近だったことから、中国側でも地震が観測されています。

さて、この中国発の周遊ツアーが催行されないとなると、万景峰号の定期運航にも影響を与えることになりそうです。

ある中国メディアは、今回万景峰号の定期運航を企画したロシア側の関係者の「(初運航の際に乗船した)中国の旅行会社7名は船内のレストランや施設を視察した。今後運航を続けられるかは、中国客が乗船するかどうかで決める」とのコメントを紹介しているからです。

中国旅行社测试从朝鲜到俄远东的海上路线(2017年05月18日)
http://sputniknews.cn/china/201705181022655579/

(一部抜粋)「赫梅利还表示:"本次航行是测试,因此船上没有游客,也没有货物。船上只有7名中国旅行社的代表,他们为了保险起见决定亲自考察路线,评估船上的饮食和设施。虽然有中国游客希望乘坐,但是决定先不搭载游客」

先ごろウラジオストクを訪れた現地通によると、「現在ロシア沿海地方には約8000人の北朝鮮労働者がいる。彼らは主に建設現場や水産加工工場などで働いており、北朝鮮への帰省は、鉄道を利用する場合が多く、割高な万景峰号をわざわざ利用することはない」とのこと。一方、「北朝鮮旅行に行くロシア人もいないことはないが、少ない以上、万景峰号の定期運航は中国客にかかっている。しかし、中国人の多くは安かろう悪かろうで、免税店に連れまわされるボッタクリツアーに嫌気が差しているので、どれだけ参加者がいるだろうか」と疑問を呈しています。

中国側でこのツアーを企画しているのは、延辺朝鮮族自治州・延吉の旅行会社です。中国政府は万景峰号に中国客が乗ることについて、朝鮮族による民族交流の一環であるなどとして、制裁違反との批判に対して一定の言い訳ができると考えていると思われます。

現在のウラジオストクには、北朝鮮人労働者のみならず、中国や韓国の観光客が多く訪れています。つまり、北朝鮮を訪れることのできない韓国国民も、この町に行けば、好むと好まないにかかわらず、北朝鮮国民と普通に話を交わすことができるのです。またモンゴル人や彼らと同じ顔をしたブリヤート系ロシア人もいるなど、ウラジオストクは、今日の北東アジアを象徴する国際都市といえます。

日本のメディアは、国連による対北制裁とロシアの思惑という大がかりな視点から万景峰号の動向を理解しがちですが、こうした現地のローカル事情をふまえると、まったく別の視点も見えてきます。

【追記その1】
その後、FNSが4回目の万景峰号の羅先・ウラジオストク航路に乗船したようです。

北朝鮮「万景峰号」内部をTV初取材(FNS2017/06/07)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00360574.html
「万景峰号」に初乗船 船内は?(FNS2017/06/08)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00360643.html

特に目新しい発見はないようですが、「TV初取材」を謳っているわりには、とてものどかな船旅だったようです。

同スタッフは万景峰号の船内を動画で撮っています。

万景峰号をメディア初取材。北朝鮮の「謎の船」の実態を詳しくレポート(ホウドウキョクJun 15, 2017)
https://www.houdoukyoku.jp/posts/13418

正直なところ、何のために行ったのかよくわからないようなレポートでしたね。

【追記その2】

その後しばらくして、中国発のツアー募集は終わってしまいました。今度は、7月からロシア発の万景峰号ツアーが始まるようです。

「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!? (2017年07月08日)
http://inbound.exblog.jp/26975951/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2017-05-28 11:58 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)