ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 02月 15日

「モノ」から「コト」消費へ移行というのはデータからみれば、俗説じゃないかしら

日本のインバウンド市場に関する話題で、ずっと違和感をおぼえていたことがあります。

それは、外国人観光客の消費が「モノからコトへ」移ったという話です。これ、メディアもそうですが、皆さんけっこうよく口にしています。たとえば、「最近の外国人はもうモノを買うより温泉に入るなど、コト消費に変わった」とかなんとか。

本当にそうなんでしょうか。そもそも温泉に行くのが「コト」消費? そうではないですよね。

観光庁が四半期ごとに発表する「訪日外国人消費動向調査」の中に「訪日外国人旅行消費額の費目別構成比」というデータがあります。外国客が日本滞在中に消費した額を「宿泊」「飲食」「交通」「娯楽サービス」「買い物」「その他」に分類し、構成比を集計したものです。この分類によると、温泉は「宿泊」に分類されるはずです。

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観光庁が今年1月中旬に公表した2016年の「訪日外国人消費動向調査」によると、「訪日外国人全体の旅行消費額(速報)は3兆7476億円と推計され、前年(3兆4771億円)に比べ7.8%増加」したそうです。

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一方、「1人当たり旅行支出(速報)は15万5896円と推計され、前年(17万6167円)に比べ11.5%減少」しました。「国籍・地域別にみると、オーストラリアが最も高く(24万7千円)、ついで中国(23万2千円)、スペイン(22万4千円)の順で高い。中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅となった」といいます。

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それでも、国籍・地域別の総額でみると、「中国が1兆4754億円(構成比39.4%)と最も大きい。次いで台湾5245億円(同14.0%)、韓国3578億円(同9.5%)、香港2947億円(同7.9%)、米国2130億円(同5.7%)の順となっており、これら上位5カ国で全体の76.5%を占めた」とあります。

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さて、「訪日外国人旅行消費額の費目別構成比」についてですが、「買い物代(38.1%)が最大となったが、前年(41.8%)に比べて減少した。一方、宿泊料金(27.1%)、飲食費(20.2%)及び交通費(11.4%)が前年に比べ増加した」とあります。

これだけみれば「モノからコトへ」という話につながりそうにも思えますが、依然として最大の構成比は「買い物代(38.1%)」で、宿泊費よりも多いというのもそうですし、一般にアクティビティ消費ともいわれる「娯楽・サービス費」は全体のわずか3.0%。これは外国客が訪日後、参加するバスツアーや体験ツアー、テーマパークなどの、いわゆる「コト」消費を指すのですが、あまりにささやかすぎないでしょうか。実は、2016年10~12月期のデータでは、「娯楽・サービス費」の比率は2.7%に下がっているくらいです。

データをみる限り、外国人観光客の消費が「モノからコトへ」移ったというのは俗説にすぎない気がしてきます。

それにしても、「モノからコトへ」だなんて、誰が言い出したのでしょうか。そして、ここでいう「外国人観光客」とは誰のことを指しているのでしょうか。

欧米客についていえば、彼らは以前から「モノ」より「コト」消費でした。つまり、巷でいうこの俗説と彼らは関係ありません。昨年1人当たりの旅行支出トップとなったオーストラリア人は日本でスキーを楽しんでいることが知られていますが、これこそ「コト」消費の代表例でしょう。

では、アジア客はどうか。旅行関係者に聞くかぎり、「アジア客の関心のメインはいまでも買い物にある」という声が聞こえてきます。もともと彼らは中国客のような「転売」まがいの買い方はしておらず、いまでもお菓子やらドラッグストア商品などをあれこれ買い込んでいます。

じゃあやっぱり、「モノからコトへ」移ったというのは「爆買い」で鳴らした中国客のことでしょうか。

確かに、彼らはもろもろのお国の事情もあって、昨年「爆買い」は終息しています。

中国客の「爆買い」が“強制終了”した3つの理由
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/101800023/
「爆買い」終了で、訪日プロモーションの目的や中身を変える必要あり
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/102500024/

お国事情の最たるものは、2016年4月に中国の税関が海外旅行者に対する荷物開封検査を開始し、関税を取り立てるようになったことです。せっかく海外で安く購入しても、帰国時に高率の関税をかけられてしまうのでは、「爆買い」する意味はなくなるからです。

つまり、中国客の場合も、消費が「モノからコトへ」移ったというよりも、政府によって買い物額に上限を課せられた以上、たくさん買い物しても仕方がないから、買い物額が減ったというのが実情なのです。先ほどの観光庁の調査で「中国においては、1人当たり旅行支出が前年比18.4%減少し、全国籍・地域の中で最大の減少幅となった」というのは、そういうことです。

では、中国客は本当に買い物する意欲を失ったというのでしょうか。そうでもないようです。昨年11月に訪日した中国の友人はこう話しています。「日本に行くとなったら、友人知人にあれを買ってきて、これを買ってきてと頼まれて困る。いま中国の税関では、1人8万円(=5000人民元)までは関税を取らないので、それ以上買わなければならないときは、郵便局から送っているんです」。

いやはや、ご苦労さまです。彼の泊まるホテルの客室を訪ねると、巨大なスーツケースが2つあり、持ち帰る分と郵便局で送る分の仕分けで大変そうでした。こういうのが、いまでもよく見かける中国客の姿です。べつにご本人が買い物したくなくても、買って帰らなければならない事情があるのです。だったら、いっそできる限りたくさん買って帰って転売することで小遣い稼ぎをしてしまおう。そう考えるのが中国の人たちです。そういう自分以外のために大量購入したのが「爆買い」の正体だったのであり、政府の税関検査でそれが急にできなくなったという話です。

もちろん、リピーターが増えている上海人のように「何度も日本に来るから、もうまとめ買いは必要ない」などと、うそぶいている中国客も最近は増えています。彼らはお土産をいっぱい買って帰る中国の地方出身の団体客をどこか小バカにしているところもあります。

今後は中国客の「コト」消費実況レポートが出てくるのでしょうか? ある人が言うには「エステとか、ネイルサロンとか」だそうですが、その種のものはすでに中国にも普通にあります。それでも、医療検診のために日本を訪れる中国客はそこそこ増えているようです。「コト」消費が起こるためには、日本でしかできない体験でなければならないのです。

そのようなわけで、彼らが我々日本人の期待するような「コト」消費を始めているかというと、大いに疑問です。にもかかわらず、なぜこのような俗説が広まったのでしょうか。

ネットをみると、これからはグルメだ「自然体験」が注目だと、なんでもかんでも「コト」消費に結びつけようとしていますけど(まあ、そんなに厳密に区別するような話じゃないからいいんですけど)、それらも「爆買い」は終わったけど、次は「コト」消費があると、世間のインバウンドに対する関心をこのままキープさせたいと願う関係者が発信源? それとも、これはかなりうがっていますが、自国民の「爆買い」を苦々しく思っていた中国政府の意向を忖度した誰かの……???

ともあれ、もっと「コト」消費を盛り上げていかなければならないことは確かでしょう。海外旅行は国籍を問わず、そこでどんな体験をしたかで訪れた国の印象は決まるものだからです。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-15 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(1)
2016年 11月 30日

タイでも「ゼロドルツアー」摘発! キックバックに頼る中国人ツアーは万国共通

こんな記事をネットで見つけました。タイのインバウンド市場に関するニュースです。

タイ、12~2月の観光ビザ申請無料に(newsclip.be2016年11月23日)
http://www.newsclip.be/article/2016/11/23/31278.html

2016年11月22日、タイ国軍事政権は2016年12月1日から2017年2月28日までの3ヵ月間、観光ビザの申請料1000バーツを免除し、到着時ビザの申請料を2000バーツから1000バーツに引き下げることを閣議で承認した。

タイは例年、乾期の11月~2月が観光のピークだが、今年は中国人向けツアーの取り締まりや、プミポン国王死去にともなう自粛ムードなどから、観光者が減少してしまうことが懸念されている。今回の施策はそんな中で旅行者誘致が狙いとみられる。

タイは乾期の11~2月ごろが観光の書き入れ時だが、今年は中国人向け「ゼロドルツアー」の取り締まり、10月のプミポン国王死去にともなう自粛ムードなどで、客足が鈍ることが懸念されている。


えっ、「ゼロドルツアー」って何? 記事は以下のように説明します。

「ゼロドルツアー」はタイでの宿泊費、食費、ツアー費などが全て無料とうたった中国人向けツアー。ツアー参加者がタイ滞在中に宝石店、皮革製品店、絹製品店などに連れて行かれ、高値で商品を買わされるなどトラブルが多く、軍政が取り締まりを進めている。取り締まりの影響で、一部の観光地で中国人旅行者が激減したという報道がある。

なるほど。要するに、日本で行われているような免税店で購入した土産物の売上からキックバックをもらい、ホテルやバス代、食事代などのコストを切り盛りする中国人ツアーがタイでも行われているということです。

ネットで調べると、今年9月、タイでこの種のツアーを扱うランドオペレーターが摘発されたことがわかりました。

中国人向け「ゼロドルツアー」運営会社を摘発(グローバルニュースアジア2016年9月18日)
http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=3756&&country=2&&p=2

2016年9月13日、タイ警察は資金洗浄取締法、旅行業法などの違反容疑でバンコクの大手旅行会社OAトランスポートの会長であるタイ人女性(61)と、その息子(26)で取締役の2人を逮捕した。

この逮捕に先立ち、タイ資金洗浄取締局(AMLO)は9日、OAトランスポートが所有する大型バス2000台以上、計90億バーツ相当の他、銀行預金、現金など42億バーツを差し押さえた。

OAトランスポートは「ゼロドルツアー」と呼ばれる、タイでの宿泊費、食費、ツアー費など全て無料とする中国人向けツアーを、中国の旅行会社と組んで運営し、巨額の利益をあげていた。

「ゼロドルツアー」に関しては、ツアー参加者がタイ滞在中に宝石店、皮革製品店、絹製品店などに連れて行かれて、高値で商品を買わされるケースが頻発し、タイ軍事政権が取り締まりを指示していた。


さらに検索すると、以下のブログの記事も見つかりました。

そのブログ「タイ字新聞、タイ語の記事をとりあえず日本語に」(http://taigoshinbum.blog79.fc2.com/blog-entry-1550.html)によると、

摘発されたのは「大手のゼロ・ドル・ビジネスを行っている会社、フーアン社、シンユアン社」の2社。「2社とも、違法にタイのIDカードを用いてツアー会社を設立し、秘密結社法に違反していた。資金洗浄取締局の財産没収罪となる。その後の拡大捜査で、広範なネットワークを持つ大手のオーエー・サーンサポート社に捜査が及び、ツアーバスが押収された」。

「5日間の飛行機代、車代、滞在費と食費を入れて、だいたい2,000~5,000バーツだ。ツアーの主催者はツアー料金があまりに安すぎると考えるが、中国人のツアー客を毎晩引き連れて買い物させ、商品価格の35-50%をサービス料として割り増している」と解説しています。

気になるのは、「フーアン社、シンユアン社」の実態です。あとでタイの知人に聞いてみたいと思います。

さて、これは日本に限らず、香港、台湾、韓国、オーストラリアなどのアジア太平洋地区、そして欧米諸国でも、万国共通で当たり前に行われていることですから、いまさら驚く話ではありませんが、「ゼロドルツアー」というネーミングがいかにもタイらしいというべきか。

結局、こうしたことは、中国国内のビジネス慣行を海外にもそのまま持ち出し、在外華人らと結託することから起きてしまうことですが、摘発による影響で中国人観光客が減少したことから、今度は観光ビザ代の申請料免除で、各国の旅行者を呼び込もうというわけでしょう(日本人はもとからビザ不要なので関係なし)。大挙して来れば問題を起こすし、来ないとなれば困る。それは周辺国の抱えるジレンマです。難しいものですね。

この人騒がせな中国人ツアーをめぐる各国の対応と攻防はこれからも続くことでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-30 14:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 02日

「消費」が減れば「薄い恩恵」とは、ちょっと浅ましすぎないか

先月末の31日に、国土交通省は今年の訪日外国人数がこの時点で2000万人を突破したことを報告しました。

その翌日の11月1日、以下の記事が出てきました。

訪日2000万人、薄い恩恵 クルーズ船客が牽引、大台突破も… 地元商店寄らず・宿泊なし(朝日新聞2016年11月1日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12636227.html

今年に入って日本を訪れた外国人客が2千万人を超えたと、国土交通省が31日発表した。年間で2千万人の大台を突破するのは初めて。中国などアジアからのクルーズ船客が急増し、伸びを牽引(けんいん)している。ただ、訪日客の伸び率は鈍化しており、地域経済へのプラス効果も期待されたほどではないようだ。

1年間の訪日客数は、前年比2割増の2400万人前後になる勢いだ。とくにクルーズ船での訪日客が増えており、今年は前年の倍の200万人強になるとみられている。

クルーズ船は日本の地方都市にも寄港する。国交省は「地方創生」につながるとし、港湾整備費として2017年度予算で16年度当初比66%増の137億円を要求した。

だが、地域経済への恩恵は、政府の期待ほど広がっていないのが実情だ。

宮崎県日南市の油津港。10月中旬の朝、マンションのように多くの客室を備えるクルーズ船が岸壁に到着し、降りてきた訪日客が大型バスに乗り込んでいった。宮崎県内の神社を二つ回った後、地元商店街には寄らず、県外企業が運営する免税店に向かった。この店はクルーズ船が来港したときだけ開く。地域に恩恵を広げようと、地元商店などが出店する物産展を日南市などが港で開く動きもあるが、地元商店街のパン店で働く女性は「訪日客が増えても、私たちにはいいことがない」とこぼす。

日本に寄港するクルーズ船ツアーの多くは、中国の旅行会社が企画。韓国と日本を回るコースが典型だ。

寄港地での行き先を決めるのは、ランドオペレーター(ランオペ)と呼ばれる仲介業者。立ち寄る免税店からマージン(手数料)を受けとる。高額なマージンの店ばかりに行き、その店で割高な商品を売りつけられるなどのトラブルも報告されている。中国でも「ぼったくり免税店」と問題視する報道が出始めている。

ランオペを規制する法律は、日本にはない。観光庁は6月に実態調査を始めたばかりで、対応はおくれ気味だ。(柴田秀並)

■消費総額、前年割れ

観光庁の統計によると、8月の外国人の国内宿泊者数は3年半ぶりに前年同月比で減少に転じた。船内で寝泊まりできるクルーズ船による訪日客が増えていることも影響しているようだ。下船して宿泊しないと、国内での食事や買い物の機会も減る。7~9月の訪日客の消費総額は約5年ぶりに前年割れした。

中国当局の関税引き上げや円高などで「爆買い」ブームも去り、訪日客1人あたりの消費額も前年割れが続く。訪日が2回目以上の「リピーター」が買い物にこだわらずに観光を楽しみ始めたとの見方もあるが、リピーター率は50%台半ばから伸びていない。

一方で、ホテル不足は深刻なままだ。政府は年間の訪日客数を「2020年までに4千万人」に増やす目標を掲げるが、宿泊施設を確保できるかは不透明だ。

訪日客に人気の大阪市では、14年度に25件だった宿泊施設の建築計画届が、今年度は上半期だけで183件と急増している。三菱総合研究所によると、18年までに大阪市のホテル客室数は2割近く増え、新たに8500室ができる見通しだ。小泉洋平主任研究員は「それでも訪日客を倍増させる目標に照らすと十分とはいえない」と指摘する。

宿泊施設不足の打開策を期待される「民泊」の普及でも、政府の対応は後手に回っている。法案の提出は、来年の通常国会になる見通しだ。(奥田貫、田幸香純)


言いたいことはよくわかるけど、訪日外国人による消費額が前年割れしたとたん、「薄い恩恵」とは、いささか浅ましすぎるもの言いではないでしょうか。まるで、たくさん買い物しないようなら、外国客はお呼びでない、とでもいうのでしょうか。問い詰めれば、そんなつもりはないと答えるのでしょうが、外国の人たちからすれば、そう受け取れなくもない気がします。

このメディアがこのようなタイトルをつけるのは理由があるように思われます。安倍政権が「アベノミクス」の成果とばかりに持ち上げた訪日旅行市場の盛況について、これ自体は否定しにくいため、「経済効果」が広がらないことで、批判の対象にしたいのではないでしょうか。

自分の手柄のように持ち上げた政権側もどうかと思いますが、基本的に、インバウンドを政治イシューにすることは得策ではないと思います。相手がいる世界だからです。むしろ、インバウンドの本来の目的は「経済効果」ばかりにあるのではないことを説くことが必要ではないでしょうか。

少なくともこの数年、メディアはインバウンドの「経済効果」を、しぶしぶなのかどうかわかりませんが、伝えることに熱心でした。まるで、インバウンドの意義がそこにしかないかのように。

これからは「経済効果」のみにこだわらない議論を始めてほしいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-02 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 04日

中国客向けフリーペーパーはもう時代遅れな気がします

中国の建国記念日(国慶節)に当たる10月1日の正午過ぎ、銀座中央通りを歩いた話をしましたが、その続き。ホコテンを抜けると、中央通りと交差する首都高の下にショッピング施設「銀座ナイン」があります。その周辺は中国人ツアー客を乗せたバスの停車スポットになっています。
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2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影を興じていた
http://inbound.exblog.jp/26247961/

なぜなら、この周辺は、銀座7丁目のラオックスが近いこともありますが、同じく量販店のドンキホーテや中国団体客向けショーのある日本料理店「どすこい相撲茶屋」があるからです。
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銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

さらにいうと、「どすこい相撲茶屋」の向かいに永山免税店もあります。
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永山免税店 ステファニー銀座店
http://japan.eisan.jp/store-ginza/

もっというと、少しはずれに「銀座百薬粧」という名の免税店もあります。明らかに日本語の使い方ではない店名ですね。
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銀座百薬粧
http://www.taxfreeshops.jp/ja/shop/21646

まさに中国団体客向け免税店の集積地である銀座8丁目周辺は、いま深刻な状況に見舞われています。

中国客が以前のように積極的に買い物をしなくなったからです。

今年8月のラオックスグループの売上が、前年同月比マイナス53%だったという衝撃の報告もあります。

ラオックス月次報告(2016年8月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201608_jp.pdf

そんな折、この日そこで見たのは、バスから降りる中国客に在日中国人のアルバイトが銀座のショッピングスポットを紹介するフリーペーパーを配る姿でした。
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それはどう考えても、時代遅れな光景といっていいでしょう。もはや中国ではフリーペーパーの時代は終わり、割引クーポン等をアプリで入手するのが一般的です。

彼女らが配っていたのは、ダイヤモンド・ビッグ社が発行する「東京・大阪名品淘」と「尚Life Japan」の2誌でした。後者は在日華人が発行しています。
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尚Life Japan
http://www.lifejapan.info/

だからでしょうか、「尚Life Japan」では、誌面に掲載されている店舗(銀座の有名ブランドショップやMIKIMOTOなどの宝飾店)のQRコードをスマホで読み取れば、店舗情報やGPSで地図を表示してくれるしくみになっています。「東京・大阪名品淘」にも一応同じしくみはあります。これを見て、いまのフリーペーパーは中国の実情がよくわかっているといえなくもないのですが、結局のところ、これらの情報を日本に来てから入手していたのでは、使いこなせないのが実情ではないでしょうか。やはり、日本に旅行に来る前に入手させないと意味がないと思います。

いよいよ中国客向けのフリーペーパーは潮時という気がしてなりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 18:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 09月 13日

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?

中国人観光客の「爆買い」が終わったと多くのメディアは指摘している。本当にそうなのだろうか。では、その理由は何なのか。探っていくと、そこには3つの理由があることがわかった。
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7月上旬、中国南方航空の成田・ハルビン線の機内の大半は中国客だった。彼らは日本人に比べればずいぶん多くの買い物をしているようだが、昨年までのように炊飯器を5つも6つもまとめ買いするような人は見かけなかった。

現地到着後、預け入れ荷物を受け取った中国客の多くは、X線検査装置にそれを通さなければならない。そのため、買い物を手控えているのだろうか。少なくとも、その光景を見る限り、「爆買いが終わった」というのは本当のようだった。
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■電化製品やカメラの購入額が減少

いくつかの経済指標がそれを裏付けている。

たとえば、2016年7月の全国百貨店売上高概況によると、免税品売上高が前年同月比で21.0%減少。購買客数は継続して拡大しているが、購買単価の下落によるものだ。

全国百貨店売上高概況(2016年7月)
http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list

中国人観光客ご用達免税店ともいえるラオックスの7月の売上高も、前年同月比44%と大きく減少。前年度比マイナスは今年2月から続いている。

ラオックス月次状況報告(2016年7月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201607_jp.pdf

観光庁が四半期ごとに実施している訪日外国人消費動向調査(2016年4−6月期)では「訪日外国人旅行消費額は9533億円で、前年同期比7.2%増加。ただし、1人当たりの旅行支出は15万9930円で、9.9%減」と報告している。
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国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額と構成比(2016年4-6月期)観光庁プレスリリース(2016年7月20日)より

なかでも中国の1人当たり支出は21万9996円で22.9%減。トップは中国を抜いたベトナムの23万8000円だった。観光客数が多いぶん、国別の消費額のシェアは中国がトップで37.0%を占めるが、比率は前年の40.3%から下がっている。

「爆買い」の主人公と目される中国人観光客の消費は、明らかに昨年に比べ減退していることがわかる。

さらに報告書では、消費される費目について「“電気製品”や“化粧品・香水”では中国、“医薬品・健康グッズ・トイレタリー”では台湾と中国の購入率が高い」と指摘する。

だが、中国客の「電気製品」の購入者単価は前年同期の6万2316円から3万6630円へ、「医薬品・健康グッズ・トイレッタリー」も4万1225円から3万3479円へと減少。

特に「カメラ・ビデオカメラ・時計」は10万3920円から6万246円に大きく減少した。

訪日外国人消費動向調査(観光庁)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

こうした具体的な費目の調査からも、中国客の日本での消費シーンが様変わりしていることがうかがえる。

※購入率(その費目を購入した人の割合)、購入者単価(その費目を購入した人における当該費目の1 人当たり平均支出)を指す。

■「爆買い」が終わった3つの理由

その一方で、訪日中国客数は相変わらず伸びている。日本政府観光局(JNTO)の8月17日付プレスリリースによると、今年7月の訪日中国客数は前年同月比26.8%増の73万1400人。

単月として過去最高を記録している。

こうした客観情勢をふまえ、「爆買い」が終わった理由を検証してみたい。

以下の3つの理由があると筆者は考えている。

①中国の景気低迷による消費者心理の変化
②メディアが誘導した愛国的反発心
③転売できなければ「爆買い」なし


まず①「中国の景気低迷による消費者心理の変化」について。

筆者は7月上旬から約1ヵ月間、中国の地方都市(東北三省や内蒙古自治区)を視察する機会を得たが、各地で聞かれるのは「景気がよくない」という声ばかりだった。

特に地方都市では、急ピッチで進む高速鉄道網の拡充に代表される政府のインフラ投資が盛んに見られたが、民間経済の押し上げには必ずしもつながっていないようだった。

一方、深圳や上海、北京などの経済先進都市で特徴的なのは、政府の規制緩和策により再び始まった不動産価格の高騰とEC市場の拡大だ。ECについては明らかに日本より各種のサービス面で進んでいる点も多い。

だが、それは手放しで喜べる話でもないようだ。

不動産価格の高騰は一部の利得者に恩恵を与えるとしても、国民生活にもたらす影響が懸念される。また、「いまの中国人はショッピングモールで洋服の試着はするけれど、実際に買うのはネット。そのほうが安いから。でも、これは中国の経済全体にいい影響を与えていない」という声もある。

共通するのは、もはやGDP2桁成長が続いた2000年代の中国ではないという認識だ。

もうひとつ別の観点を付け加えれば、日本の百貨店の免税売上の購買単価が下がり、高額商品の売れ行きが落ちた背景には、習近平政権が推し進める「反汚職キャンペーン」の影響も考えられる。汚職に対する社会の目が厳しくなったことから、役人への贈り物や接待需要が激減したからだ。これが経済へのマイナス影響を与えているとの指摘も多い。

こうしたことから、中国の消費者心理は以前に比べ変わらざるを得ない。特に団体ツアー客を多く送り出している地方都市ほどその影響は大きそうだ。

■日中炊飯器論争と愛国

次に②「メディアが誘導した愛国的反発心」だが、これを象徴する事例がある。昨年春頃に始まった「日中炊飯器論争」だ。

論争を仕掛けたのは国営大手メディアだった。日本製と中国製の炊飯器で炊いた米の味の比較実験を始めたのである。

中日両国の炊飯器の性能を徹底比較 勝つのはどっち?(人民網日本語版2015年3月2日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0302/c94476-8855374.html

ここでは大真面目に「中日の炊飯器で炊いた米の味を比較」した結果、「中国製の炊飯器で炊いた米の方が美味しいと答えた人は5人、日本製の方が美味しいと答えた人は3人、「ほとんど同じ」と答えた人は2人だった」と票決している。

これはテレビの比較広告ではない。比較の対象は企業ではなく、国家である。

その後も日中炊飯器論争は続くのだが、さすがにこれではあからさますぎると思ったのか、自国の製造業の問題をいかに克服するかという議論に移っていく。

全人代代表、製造業めぐり熱い議論 炊飯器が出発点(人民網日本語版2016年3月10日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0310/c94476-9028195.html

「日本の電気炊飯器現象」が中国家電企業に刺激、家電大手が新たな展開(人民網日本語版2016年3月14日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0314/c94476-9029652.html

こうした奇妙な論争が起こる背景には、従来の投資に頼る経済から消費主導の社会に転換していかなければならないという中国の大命題がある。

自国の製造業が発展すれば、なにも海外で炊飯器を買う必要はない。そう訴えかけることで、海外で買い物ばかりしている自国民に警鐘を鳴らしたのだ。

中国政府は近々、自国の製造業の品質を向上するために「消費品標準・質量向上計画」なる施策を公表するようだ(朝日新聞2016年8月30日)。

こうした一連の動きから、海外での「爆買い」によって消費が国外に逃げることを政府がいかに問題視しているかわかる。その意味でも、中国メディアは巧みにナショナリズムを利用して国民の意識を誘導したのだといえる。

そして、この議論に余計な刺激を与えたのが、日本での中国人観光客「爆買い」報道だった。

筆者はこれまで多くの日本をよく知る中国人と「爆買い」について話をしたが、決まって彼らはこう言う。

「爆買い、爆買いって、なんだか私たち、バカにされている気がする。中国にだっていいものはあるわ」。

ほんの数年前まで中国では、なにかにつけて「日本商品不買運動」を提唱する声がネット上にあふれたものだが、さすがに消費社会化が進むと、その無意味さに多くの国民が気づくようになる。だが、今回に限っては、日本の報道が彼らの自尊心を刺激し、反発心を引き起こした面もあるようだ。
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中国人はこんな光景はもう観たくない!?

■「爆買い」とは何だったのか
 
こうしてみると、一部のメディアが報じた中国人観光客の旅行支出が「モノからコトへ」と変わるという説明はいかにも単純すぎるだろう。

ここであらためて「爆買い」とは何だったのかについて確認したい。

その問いに明快に答えてくれるのは、台湾出身の日本薬粧研究家の鄭世彬氏だ。彼が今春上梓した日本での初の著書『爆買いの正体』(飛鳥新社)によると、「爆買い」の背景には以下の3つのポイントがある。

①華人にとって買いだめは本能
②面子や血縁を大切にする文化的特質
③誰もが転売業者のような買い方をする


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『爆買いの正体』(飛鳥新社)は、中国人の買い物の特徴について詳しく解説している。同書を読むと、彼らが「爆買い」した理由がよくわかると同時に、急ブレーキがかかってしまった理由も見えてくる。

鄭氏によると、歴史的に変動の大きな社会を生きてきた中華圏の人たちは買いだめが本能だという。つまり、買えるときにたくさん買っておきたいという消費心理が身についているというのだ。

旅行に行くと、お土産を広く配る習慣が残っているのは、人間関係を重視する社会ゆえだ。

さらに、根っからの商売人気質ゆえに、誰もが転売業者のような買い方をする。それがネットやSNSによって想像を超えた拡散効果と購買の連鎖を生んだのが「爆買い」の正体だった。

この指摘が興味深いのは、日本のメディアを通じて我々が思い描いていた「爆買い」に対する理解は、少し的外れだったかもしれないことに気づかされるからだ。

中国人観光客の多くは「富裕層」などではなく、自分のためだけにお土産を買っていたのではなかった。

直接代償としての金銭を受け取るかどうかはともかく、帰国後、購入した商品が多くの人の手に広く渡っていくことが前提だったのである。だからあれほど大量に、転売業者のような買い方をしたのだった。

さらに、観光客以外にも多くの「爆買い」の担い手がいたことは知られている。

それは日本に住む中国系の人たちの代購(代理購入)業者だった。

一部の企業にとって観光客の買い物より代購による売上が大きかったとの指摘もある。

あるトイレタリー企業の関係者も「売上のピークは2015年10月。その多くは代購によるものだった」と証言している。

この点について、ある中国の旅行関係者もためらうことなく、こう話す。

「日本では中国人が「爆買い」をしなくなったと言っているようだが、その理由をひと言でいえば、代購が難しくなったからだ」。

背景には、海外の輸入商品が街場のショップより安く買えるというふれこみで広がった中国の越境ECの普及がある。所詮ブローカーにすぎない代購業者たちは、それ以降、もう利益が見込めないとみてあっさり商売替えしてしまったのだ。これは日本に限らず、欧米諸国でも同様に起きていたことなのである。
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「出勤中に買って、出社時に受け取る。その日に届き、その日に使える」。購入手続きの簡便さと早さをうたう中国越境ECサイトの「T-mall(天猫)」の地下鉄広告(上海)


■とどめを刺した荷物の開封検査

こうしたなか、今年に入って「爆買い」にとどめを刺したのが、4月6日付け文書で7日交付、8日には執行と、日本ではあり得ないスピードで着手された中国の税関による海外旅行者への荷物の開封検査の強化だった。 
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海关总署公告2016年第25号(关于《中华人民共和国进境物品归类表》和《中华人民共和国进境物品完税价格表》的公告)
http://www.customs.gov.cn/publish/portal0/tab65598/info793342.htm

この通達の添付資料には、食料品(15%)から酒(60%)、電気製品(30%)、化粧品・医薬品(30~60%)など、中国人が好んで買いそうな、さまざまな商品に関する免税枠と関税率が事細かに記されている。

ある中国の訪日ツアーの担当者によると、関税率自体は2012年に出されたものと大きく変わっておらず、要はこれまでスルーされていた旅行者の荷物の開封検査を税関が抜き打ち的に始めたことが事態を大きく変えたのだという。

まさに中国式のショック療法である。

これでは、海外での買い物に対する事実上の課税と受け取られても無理はない。

その後、旅行客の反発から、検査は少しゆるくなってきたとも聞くが、せっかく日本で安く買っても、帰国時に高率の関税をかけられてしまうのであれば、安値で転売することができない。同じことは個人輸入の託送便でも実施されたため、代購の意味もほぼなくなった。

「転売できなければ「爆買い」なし」とはこのことだ。

中国側は、2014年10月に日本が実施した外国客に対する免税枠の拡大とは真逆の手を打ち、「爆買い」を沈静化しようとしたのである。

その効果はてきめん。

中国の人たちにとって人より安くモノを入手できるということは賞賛に値することで、そこにケチをつけられたようなもの。こうして中国人観光客は「爆買い」する意欲を急速に失っていったと考えられる。

■今後どうなるのか

では、今後はどうなるのか。

注目すべきは、中国客の影に隠れて見えにくい存在であった台湾客の存在だろう。

彼らはいまでも無理なく「爆買い」を楽しんでいる。繰り返していうが、「爆買い」は「富裕層」の専売特許ではない。華人ならではの購買の連鎖が生んだものだ。それは本来、彼らにとって景気のいい、喜ばしき体験なのである。

台湾の人たちは長く日本の商品に親しみ、その価値を知っている。だから、彼らが選ぶ商品は、中国の消費者の先取りをしている。彼らは日本の魅力の雄弁な語り手なのである。

実は、そこが中国の消費者とのいちばんの違いだ。

中国人観光客の多くは、これまで実際に日本の商品を手にしていたわけでも、正確な商品知識を持っていたわけでもなく、ただSNSや口コミを頼りに購入していただけだった。

特定の商品だけが大量に売れるという事態が起きたのはそのためだ。

前述したように、今日の中国にはいくつもの相反する事態が同時進行で起きている。大都市圏の不動産価格は高騰し、ECに誘発されて消費市場が活性化しているかに見える一方、民間経済の低迷を懸念する声は強い。政府があの手この手で「爆買い」のストップをかけようとしたのも、そのためだ。

こうした将来に対する不透明な情勢は、日本のバブル崩壊以降に起きたことと同様に、中国の消費者の成熟化をもたらすと考えられる。

消費者に確実に支持された商品だけが売れるという日本では当たり前の状況にだんだん近づいていくはずだ。

特に、中国の若い世代は生まれた頃から消費社会を知っており、自分の目で価値判断ができる人たちだ。すでに彼らは団体ツアーではなく、個人客として訪日するのが普通になっている。

今後はこうした個人客に向けた取り組みが求められるが、そうなるとこれまでのやり方では足りない部分が出てくるだろう。

その点については、別の機会にあらためて検討したい。

※やまとごこと特集レポート
前編 http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_27.html
後編 http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_28.html
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by sanyo-kansatu | 2016-09-13 17:47 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2016年 06月 23日

日本人は知らないブラック免税店で扱う商品のビル広告、新宿に現わる

先月末、中国のメディアやネット上で日本のブラック免税店を告発する動きがありました。そこでは新宿にある2軒の免税店を名指ししていました。そこで、ぼくも実際にそれらの店を訪ねてみた話を、以下書いています。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/
中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

爆買いも下火になってきたとの報道もあり、さてこれからこの種の商売はどうなるのだろうと思っていたら、先日新宿で妙なものを見つけてしまいました。

日本の「爆買い」報道は中国人の自尊心を傷つけた!?
http://inbound.exblog.jp/25928875/
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それは、中国メディアが指摘していたブラック免税店で扱っている商品のビル広告でした。
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近づいて見てみましょう。「健康、美麗 第一酵素 第一薬品 MADE IN JAPAN」とあります。

中国語のわかる友人がそれを見て言いました。「一見、日本語だけど、『美麗』という表現は中国語的だよね。つまり、この広告は中国人向けなんじゃないか」。

このあやしげな商品については、中国メディアが細かく指摘しているのでここでは触れませんが、面白いことに、この広告は靖国通りに面したビルにデカデカと貼られています。実は、その通りの向かい(歌舞伎町側)に、例の免税店があるのです。
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実際、歌舞伎町沿いの靖国通りは中国をはじめアジア系の団体客を乗せたバスが客を乗り降りさせるためよく停車しています。その広告はバスの窓からよく見えることでしょう。
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友人は言います。「なるほどこれを見ると、この商品が日本でも有名であるかのように思うだろうね。よく考えたよなあ」。

ところで、この商品は街場のドラッグストアでも売られているのか。それが気になって、広告のあるビルの中にあるドラッグストアと通りの向かいにある同業店を覗いてみました。

店員さんに聞くと、アンチエイジングやダイエットに効くとのことで、ずいぶん前から酵素系の商品は人気といいます。ここ数年、中国爆買い客の間でもよく売れていました。さすがに日本のドラッグストアには多種多様な酵素系商品が置かれていましたが、値段は1000円台からが一般的で、高いものでも6、7000円。なかには2万4800円という商品も混じっていましたが、第一薬品のものは見当たりませんでした。
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新宿あたりのドラッグストアでは、外国人向けの免税専用と一般日本人向けのレジが分かれています。
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例の免税店は、新宿花園神社の鳥居の隣にあります。
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【追記】
2017年4月上旬、靖国通りを歩いていたら、例の広告がなくなっていました。
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ある関係者の話では、ここ数年、中国の旅行関係者から日本の一部のそれほど知名度のない製薬会社に「中国客販売用のオリジナルな商品をつくってほしい」という話がよく持ちかけられるそうです。こうして日本人は知らない日本の医薬商品が生まれます。なぜそれが必要とされるかというと、在日ランドおよびガイドが法外な比率の売上コミッションを取れる商品がほしいからです。「爆買い」が終わり、売上コミッションが減少するなか、なるべく高比率の(たとえば、売上の50%)オリジナル商品を中国団体客に買わせたいからです。そうでないと、赤字になってしまうからでしょう。具体的な商品名も聞きましたが、ここでは書きません。でも、ネットで調べると、わりとすぐ見つかります。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 09:11 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 06月 19日

日本の「爆買い」報道は中国人の自尊心を傷つけた!?

為替が円高に振れ始めたと思ったら、メディアは中国客の「爆買い」にも影響が出てきたと報じ始めました。

「爆買い」に急ブレーキ インバウンド 変わる風景(日本経済新聞2016/6/18)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03780060Y6A610C1SHA000/

5月の大型連休明け。家電量販店のヤマダ電機はJR新橋駅前(東京・港)の店舗をひっそりと閉めた。不採算60店を一斉閉店する一方、新たな「戦略店」として2015年春に開いた免税専門店だった。

■1年で見切り
「インバウンドは経営の核にならない」。山田昇会長は1年あまりで見切りをつけた。1台10万円近い炊飯器を何台もまとめ買いする中国人客。一本調子で増えてきたこんな「爆買い」にブレーキがかかった。

中国は経済成長が鈍り、15年夏には上海株が急落。円高・人民元安が進み、この1年で日本の商品の“お得感”は2割近くも失われた。ただ、爆買いがしぼむ理由をこれだけで片付けることはできない。

訪日観光ビザの4割を発給する上海の日本総領事館では1~4月の発給件数が前年同期比15%増。日本への旅行熱が冷める気配はない。沿岸部中心に給与水準は上昇。2桁成長が続く中国の消費市場では依然、日本製の人気は高い。実際、16年1~3月期に訪日中国人客の旅行消費額は客数の伸びが寄与し、前年同期を4割強上回った。ただ、1人当たりに換算すると、12%近くも減っている。

「税制が変わってコストが合わない」。九州に住む中国人の主婦、高園園さん(29)が話す。ドラッグストアなどで買い付けた商品を本国の客に販売してきた代購(代理購入)。いわゆるブローカーだ。

中国政府は4月、越境EC(電子商取引)に関する税制を変更した。事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金が課される。税制の抜け道を使って荒稼ぎするブローカーを締め出し、正規の貿易業者の不公平感をなくすことが狙いとみられる。人海戦術で商品を調達してきた代講は関税引き上げと円高でうまみがなくなった。

日本百貨店協会がまとめた4月の全国の百貨店のインバウンド向け売上高は3年3カ月ぶりに前年割れとなった。客数は7%以上増えたにもかかわらず、単価が16%近く落ち込んだ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「ブローカーが減った」とみる。

■大きな振れ幅
免税店大手のラオックスは5月まで全店売上高が4カ月連続で前年割れとなった。店舗数は増やしても単価下落が補えない。8月をめどに日本行きのクルーズ船が発着する上海港に展示場を設ける。家電や化粧品など1000点超をそろえて、訪日前に予約販売。日本の店舗で手渡す。クルーズ旅行の富裕層を店舗に呼び込む苦肉の策だ。

免税販売は想定ほど伸びない。家電量販店のビックカメラは16年8月期の連結売上高を下方修正した。宮嶋宏幸社長は「インバウンドは1割程度が適切」と強調する。単体売上高に占める免税販売の比率は15年12月~16年2月期ですでに11%程度となっている。

15年には3兆4000億円に達し、百貨店や家電量販店を潤したインバウンド消費。振れ幅の大きさはリスク要因となりかねない。


この記事の興味深いところは、中国政府が「越境EC(電子商取引)に関する税制を変更」したことで、「爆買い」のもうひとりの重要なプレイヤーだったブローカーたちが「人海戦術で商品を調達してきた代講は関税引き上げと円高でうまみがなくなった」と指摘していることです。同様に、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長も「ブローカーが減った」とみていること。なんだ、これは観光客の話ではないじゃないですか、とつっこみを入れたくなります。

しかし、中国団体客ご用達免税店のラオックスが「5月まで全店売上高が4カ月連続で前年割れ」であるとしたら、中国客の買い物手控えは、すでに春節頃から始まっていたことがわかります。

昨年から中国政府があの手この手で中国客の「爆買い」阻止に動いていたことは知られています。決定的となったのは「事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金」が課されたことでしょう。

これでは、以前のように、知人友人親族のために、あるいは自らの面子のために、炊飯器を6つも7つも買って帰るなんて、したくてもできません。高い関税がかけられたのでは、中国で購入するのと変わらなくなりますし、周囲に自分は「こんなに安く買ってきたのだ」と得意げに言い張ることができません。海外から帰国した中国人が周囲に土産物をばらまくときに見せる、あのご満悦の表情にケチをつけたのは、中国政府です。内需を拡大することが至上命題である中国の深刻な事情を知ってか知らずか、どこか浮かれた気分だった自国民に冷水を浴びせたというべきではないでしょうか。

気になるのは、中国の旅行会社から訪日客を預けられる在日中国人のガイドたちです。これまでのように売上がたたなければ、免税店から十分なコミッションをもらえないわけですから、ホテルやバス、食事の支払いに窮することになると一大事でしょう。仕事を放りだす人たちが出てくるかもしれません。

それでも、訪日中国客は増え続けています(16年1~5月の中国客はすでに249万人。前年度比45.3%増)。熊本地震も、いまのところ影響はないようです。

今年2月、四川省を訪ねたとき、現地の若い中国人たちが口をそろえてこう言っていたことを思い出します。「日本ではさかんに中国人の爆買いを報道しているようだけど、なんかバカにされている気がする」。

「べつにバカにしてるんじゃなくて、驚いているんだよ。だって、日本人はそんな買い方をしたことがないので、見ていて面白いし、商売人も売上アップでうれしい。盛り上がらないわけがないでしょう」

そうぼくが言うと「べつに日本で買わなくても…。これじゃ中国に買うものがないみたいじゃないですか」と答えるのです。

みんながそうだとはいいませんが、一部の中国人は、日本の「爆買い」報道で自尊心が傷ついた面があるようなのです。

確かに、日本の「爆買い」報道に一種のあざけりのようなニュアンスが含まれていなかったかといえば、ウソになるでしょう。長期デフレに沈む多くの日本人にとって、景気よく買い物をする中国客の姿を見るのは面白くない、という感情もあるはずです。これは上海に在住する日本人の友人がよく言うのですが、「日本のメディアの中国報道には、妬みが入っている」と。そうかもしれませんね。

一方、ネットでこんな記事もありました。

「日本製」買う中国人に、悩む中国人 「同じ物作れるのに」=中国メディア(サーチナ2015-12-10)
http://news.searchina.net/id/1596727

中国人が海外で「爆買い」する背景には「自国製品への不信」があることは、当の本人たちは自覚しています。しかし、それは自国の面子を失わせることでもある。そんなことをわざわざ外国人に言われたくない…。

彼らの複雑な心理を知ると、ちょっと気の毒に思えてくるところがあります。彼らには、買い物が単なる個人の楽しみとしての消費行動にはならないところがあるのです。中国政府もメディアを使って、そのようにうまく誘導してきたと思います。

その点、台湾の人たちは、実におおらかに「爆買い」を楽しんでいます。今年2月、日本薬粧研究家の鄭世彬さんと一緒に『爆買いの正体』(飛鳥新社)という本をつくったときも、彼は日本でたくさんの買い物をすることが自尊心に関わる問題だなどとは想像もつかないことのようでした。

『爆買いの正体』という本は、昨年新語・流行語大賞を受賞した「爆買い」はどうして起きたのか。その背景を台湾人の目を通して語ってもらうというもので、「爆買い」の当事者である華人自身が語る本質を突いた指摘があふれています。要するに、華人にとって「爆買い」は本能だというのです。

さらに、この本は台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書です。なぜ台湾の人たちがこれほど日本の製品を愛好してくれるのか、その理由を熱く語ってくれています。
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http://goo.gl/DXhOMa

やはり、台湾人と中国人はまったく違うのですね。

とはいえ、「爆買い」が本能であるのは、中国人も同じ。本当は彼らにも気持ちよく買わせてあげたいものですが、一度ケチがついたら、これはけっこう長引くかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-19 18:59 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 15日

韓国メディアが教えてくれた銀座のツアーバス駐停車90秒ルール

今朝、なにげにネットニュースを見ていたら、こんな報道がありました。しかも、これは韓国メディアの日本語版です。

観光客がバスを待つ東京、90秒で全員搭乗・5分以内に出発(朝鮮日報2016.6.14)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/06/14/2016061401144.html?ent_rank_news

今月1日、東京・銀座のラオックス(LaOX)免税店。中国人団体観光客が一日3000-5000人押し寄せるショッピング・スポットだ。大型観光バスが1分に1-2台ずつ、ひっきりなしに客を降ろしていくが、どのバスも1カ所に5分以上停車していることはなかった。1時間に80台以上のバスが停車して、出発していったが、そのうち5分以上止まっていたバスはたった1台、車いすに乗った観光客を降ろしたバスだけだった。

なぜそのまま停車させておかずに、すぐにバスを移動させるのだろうか。観光バス運転手のノガミさん(53)は「会社から『絶対に5分以上、車を止めておくな。すぐに車を移動させろ』と指示された」と話す。ノガミさんは免税店前に観光客を降ろした後、日比谷公園やお台場といった車の通行が少ない地域に20-30分かけて移動し、決められた時間に観光客が全員集合したらガイドから電話をもらい、再び迎えに行く。多くのバスが順に観光客を降ろした後、ほかの場所で待機して、また順に戻ってくるという一種の「回転システム」になっているのだ。

別の運転手Aさんは「違反したら警察に徹底的に取り締まられる。10分を超えると警告もなくすぐに反則金1万2000-1万5000円、違反点数2点が付けられる」と言った。警視庁職員は「2点ずつ3回違反し、合計6点になると1カ月の免許停止、15点を超えると免許取り消しになる」と言った。反則金は、道路での駐停車違反は1万2000円、横断歩道・交差点にかかっていれば1万5000円だ。運転手が車を離れる放置駐車違反になると、反則金が道路では2万1000円、横断歩道・交差点などでは2万5000円とさらに高くなる。

東京で20年以上営業している中堅旅行代理店のB代表は「日本では旅行代理店がバス会社に数日前までに日程表を渡すと、バス会社が駐車場の計画を組んで現場に出る」と語った。観光客が遅刻しても、バスは約束通りの時間ピッタリに出発する。周辺を一周して15分後にその場に戻り、遅れて来た人を乗せるのだ。ガイドや観光客は現場で「早く来て車を止めていてほしい」「もう少し待ってくれ」とイライラを爆発させたらどうするのか。B代表は「警察もいるし反則金があるし…。お客様が怒ってもバス会社はその通りにはできない」と言った。

ラオックスから500メートル離れたロッテ免税店前でも駐停車の混乱はなかった。ロッテ免税店は今年3月の開店に先立ち、3カ月間にわたり東京都中央区役所と駐車場問題について協議し、免税店前のタクシー乗り場で観光バスの乗客が乗り降りできるよう許可をもらった。「バス1台当たり90秒以上停車しない」という条件付きだった。

乗客数十人が90秒以内に乗り降りを完了させられるのだろうか。ロッテ免税店のイム・ヨンソプ東京事務所長は「やってみたらできた」と話す。事実、炊飯器と買い物袋を1つずつ持った中国人観光客20人が免税店前のタクシー乗り場にあらかじめ並び、自分たちのバスが来ると軍事作戦のように一糸乱れずに乗車した。中国人ガイドは中国語で「皆さん、銀座ではすぐに乗車してください」と繰り返し叫んでいた。

日本にもともと、駐停車に伴う混乱がなかったわけではない。近年、中国人観光客が急増した影響で、免税店に寄る観光バスの駐車場問題が社会問題になった。すると、日本の国土交通省は今年2月、日本バス協会(NBA)と共に免税店前の駐車場問題について「マナーアップ(manner up)キャンペーン」を展開した。バスが観光客を待つのではなく、観光客が事前に出てきてバスを待たなければならないというのが骨子だ。同協会から会員企業に「5分以上停車しないでください。ほかの所に移動・待機してから戻ってきましょう」というパンフレットを配布した。銀座・浅草・新宿など観光スポット周辺の駐車場情報も付けた。警視庁も賛同した。旅行代理店やバス会社が自主的にキャンペーンに従うよう誘導すると共に、規則に違反した場合は警察が反則金を科すというシステムが確立した。

それに伴い、観光客の行動パターンも変わった。ラオックス関係者は「以前はバスが先に来て、観光客が出てくるのを10分でも20分でもひたすら待ち続けたが、今は観光客が集まってから車が来るので、観光客の間でも『日本では交通の妨げになってはいけない』という認識が定着した」と語った。

東京=金秀恵(キム・スへ)特派員 , 東京=崔仁準(チェ・インジュン)特派員


へえ、そんなことになっていたのか…。そう思った人も多いかもしれません。「ツアーバス駐停車90秒ルール」、知りませんでした。

確かに、今年の春節(2月上旬)、銀座8丁目の中国人ご用達の免税店「ラオックス」の前は、路駐するバスが列をなしていました。
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店の前もこの混雑ぶりです。地元からの声もあったことでしょう。
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さすがに、これだけのバスが一斉に路駐する状態は見逃せないと思ったのか、警察は動き出したようです。

同じことは、ぼくの仕事場に近い東新宿でも4月中旬頃から起きていました。

新宿5丁目ツアーバス路駐台数調査 2016年4月、5月、6月
http://inbound.exblog.jp/25630882/
http://inbound.exblog.jp/25812191/
http://inbound.exblog.jp/25873364/

記事にもあるように、バスの運転手は罰金を払わされてはたまらないというわけで、中国客にも協力してもらいながら、バスの乗り降りを迅速に行い、自らも彼らの買い物時間は店の前を離れ、付近で路駐できるスポットを探して身をひそめているか、あるいは周辺を回遊しながら約束の時間を待つことになったようです。ただでさえ、都心には路駐スペースがないのに、これはなかなか大変なことです。「みなさま、ご苦労様です」と言ってあげるべきではないでしょうか。

ところで、興味深いのは、日本のこうした出来事をなぜ韓国メディアが取り上げているか、です。彼らは区や警察、バス運転手らにも取材しています。

ネットを検索していると、同じ朝鮮日報でこんな記事が見つかりました。

渋滞する免税店周辺、ソウル市民の不満高まる(朝鮮日報2016.6.14)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/06/14/2016061401143.html

なんでもソウルの有名な免税店前の道路でも、バスが列をなして、地元市民が不満をもらしているとか。記事によると、夕刻一台のバスが違法駐車をしたものの、「警察やソウル市の取り締まりチームは現れず、地元の「模範運転者会」のメンバー4人がホイッスルを鳴らして交通整理しようとしていた。同団体のイ・ジンヨンさんは「バスが一度に詰め掛ければ交通整理は不可能に近い」と話した」と報じています。

さらに、こんなことも書かれています。

「外国人観光客を免税店に連れて行く観光バスが原因で、ソウル中心部のあちこちでひどい渋滞が頻発している。免税店が観光バスを吸い込む「ブラックホール」の役割を果たしているとして、免税店の責任を指摘する声もある。

現在、ソウル中心部には新羅免税店のほか明洞のロッテ免税店と新世界免税店、仁寺洞のSM免税店、光化門の東和免税店、東大門のドゥータ免税店など、大型免税店がいくつもある。ソウル市によると、市内の主な観光地を回る観光バスは1日平均1047台(2015年基準)に達するという」

えっ、1047台!?   これは相当なものではないでしょうか。訪韓中国客のソウル一極集中はすざまじいものがありますね。

「免税店周辺の交通渋滞に対し、ソウル市と免税店業界は互いに責任を押し付け合っている。ソウル市は「免税店の事業者が十分な駐車場を確保していないせい」と主張する一方、新羅免税店の関係者は「(奨忠体育館交差点一帯の)混雑は免税店とは関係なく、薬水高架道路を撤去したことが原因」と反発している。

不便をこうむっているのは市民だ。ソウル市麻浦区に住む女性(36)はこの日、ベビーカーを押して明洞のロッテヤングプラザを訪れたが、免税店前の観光バスの排ガスが気になりベビーカーにカバーをかけた。女性は「全部取り締まりの対象のはずなのに、どうして放置しているのか」と不満を口にした」。

どうやら朝鮮日報は、日本の免税店路駐問題の解決に向けた取り組みを見習え、とでも言っているようなのです。

さらに検索を続けると、別の韓国メディアのこんな記事が見つかりました。面白いことに、すべて同日配信です。

免税店に観光バス用の駐車場設置を義務付けへ=韓国 (聨合ニュース2016/06/14)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2016/06/14/0900000000AJP20160614005300882.HTML

韓国国土交通部は14日、市中免税店に観光バスの駐車場の設置を義務付ける内容が盛り込まれた駐車場法施行令一部改正案を立法予告したと明らかにした。(中略)これと関連してソウル市は先ごろ、市内の免税店7カ所に公文書を送付し、独自に用意した駐車場や公営駐車場に観光バスを誘導するなど対策を取るよう求めた。

まるでメディアと政府の連携プレーのような動きです。

それにしても、日本ではよその国の外国人旅行者の動向など、ほぼ関心がない話題だと思いますが、韓国では違うようです。そこには理由がありそうです。今年の初め、こんな報道がありました。

日本に奪われた中国人観光客 外国人訪問者数「韓日逆転」(聨合ニュース2016/01/27)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2016/01/26/0400000000AJP20160126004200882.HTML

記事によると「韓国観光公社とJNTOによると、昨年日本を訪問した外国人観光客数は1973万7000人で、韓国を訪問した外国人観光客数(1323万2000人)より多かった。訪韓外国人観光客数は09年に781万8000人を記録。679万人だった日本を超え、14年まで6年連続で日本を上回っていた」そうです。

つまり、昨年の外国人旅行者数において、韓国は日本に7年ぶりに追い越されてしまったのです。どうやら彼らはこの問題を気にしているようなのです。

ところが、中国人旅行者数に限っては、日本(499万人)より韓国(598 万人)が多い。当然、バス路駐問題は、韓国のほうがより深刻であることがわかります。これも彼らが日本のツアーバス路駐問題に関心を持った理由なのでしょう。

韓国メディアの危惧はそれだけではありません。訪韓日本人旅行者の減少問題です。昨年の訪日韓国人(400万人)に対して訪韓日本人(184万人)というダブルスコア以上の差となってしまいました。かつての韓流ブームは本当に過去のものとなってしまったのか。

しかしながら、皮肉なことに、こんな報道も見つけてしまいました。

ことし韓国人に最も人気の夏休み旅行先1位は大阪(中央日報2016年06月13日)
http://japanese.joins.com/article/813/216813.html?servcode=400§code=400
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これは先日、大阪の地下鉄に乗ったときに見かけたハングル表示です。いかに大阪に韓国人旅行者が多いか、よくわかりました。

では、日本人のこの夏の人気海外旅行先はどうなのか。

トラベルコちゃん海外ツアー検索で人気の海外旅行先(2016年夏)
http://www.tour.ne.jp/special/world/ranking/index_summer.html

このサイトによると「1位グアム、2位台北、3位ホノルル、4位ソウル、5位バリ島…」

良かったですね。4位にソウルが入っていました。

いまや韓国メディアの報道の一部は日本語で読める時代です。しかも、中国系のネットニュースのような記事を簡約したものではなく、そのまま翻訳されて掲載されているようです。他国の主要メディアの記事がふつうに読めるなんて、考えてみれば、すごいことです。

おかげで、彼らの考えていることがずいぶん伝わるようになりました。それが日本人の対韓イメージにどんな影響を与えているかについて考えると、疑問を感じることも多いのですけれど、韓国の事情に詳しくない自分のような人間でも、彼らが日本のいかなることに関心を持っているのか、またその理由について考察するうえで、それなりに役立つことは確かです。何より今回のように、日本の社会で起きている出来事について意外な視点を提供してくれることもあり、面白いものです。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-15 10:30 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 08日

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた

5月末、中国メディアで一斉に報じられた日本の「ブラック免税店」告発報道について、これまでいくつかの文章を書いてきました。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

これが中国報道の原文です。

日本免税黑店专坑游客 多次曝光受害者不减反增(2016.5.31)
http://news.sina.com.cn/w/zx/2016-05-31/doc-ifxsqxxu4793505.shtml

さて、この記事の中に出てくるのが、以下の2つの免税店です。

Alexander & Sun
東京都新宿区新宿5丁目17番13号
オリエンタルウェーブビル 6F
http://www.alexanderandsun.com/
1978年大阪で創業。店舗は、東京、大阪、名古屋、福岡ホークスタウン、太宰府、札幌、別府、有田、沖縄と東京オフィスがあります。

JTC 免税店(JTC Tax-freeshop)
新宿区大久保1丁目8番4号 2F
http://www.groupjtc.com/japanese/
「外国人観光客向けに全国に13店舗(常設10店舗、臨時3店舗)を運営しています。高級化粧品、健康食品、電化製品、アクセサリー、雑貨などの約2万アイテムを取り扱っており、中国語・韓国語・英語・タイ語に対応しています」(同サイトより)。

実をいうと、この2店は、東新宿にあるぼくの仕事場からどちらも500m半径内にあります。

こうなると、住所の場所を訪ねてみないわけにはいきませんね。先ほどちょっと見に行ってきました。

まずAlexander & Sun。新宿花園神社の裏手にある中華料理の老舗「東京大飯店」と同じビルで、靖国通りに面しています。
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ビルの前に行くと、店のシャッターは閉められていました。
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居酒屋などの入った雑居ビルの6Fにあるのですが、エレベーターで6Fのボタンを押しても反応しません。
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1Fの通路に扱っている商品らしきディスプレイがあるのみでした。
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かつて「ダイヤ免税店」という名だったことがわかります。

もしかして中国報道の影響があったのでしょうか…。ただし、この種の免税店は、団体客が来たときだけ、店を開けるのかもしれません。予約なしで来店ということはないのでしょう。

次は、JTC 免税店。こちらは新大久保の職安通りにあります。
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東新宿駅方面から職安通りを歩くと、大型バスの数が目に見えて増えてきます。数台のバスが停車している場所に向かうと、そこがJTC 免税店でした。
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店の前には中国客があふれています。
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1Fが宝石店で、2Fが例の免税店、3Fはレストラン街です。韓国料理などのレストランが数軒入っています。
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もともとこのビルは、2012年6月にオープンした韓流百貨店「K-PLUS」というアミューズメントビルでしたが、韓流ブームの凋落とともに経営が低迷し、14年10月に3Fのレストランを除いて閉店。翌11月にJTC免税店の開店となったようです。3Fのレストランの隣の売店で働く韓国人に聞くと「前はレストランにもたくさん客が来ていたけど、最近は少ない。でも、下の免税店は9割が中国人。韓国人もたまに来る」とのこと。これだけ中国客が押し寄せると、日本の韓流ファンも足が遠のくのは無理もなさそうです。せめて中国客がここで食事をしてくれればいいのでしょうが、それはほぼなさそうです。韓国料理しかないせいもあるでしょうし、彼らには在日中国人の経営する提携食堂が別の場所にあるからでしょう。

帰りに、免税店の中をちらりと覗くと、ビルの前はそれなりに人で混雑しているものの、それほど買い物客がいるようでもなく、閑散としています。以前、福岡のクルーズ客が免税店にあふれ、「爆買い」していた光景を見たことがありますが、そのような熱気は感じられませんでした。

そうだとしても、中国報道によると、この免税店で多くの中国客が騙されているというのに、これだけの人たちがいまもここに来ている…。いったいどうしたことでしょう。彼らは何も知らないのか。

中国団体客は年配の人が多いため、この種の情報に疎いのか。でも、若い子もそこそこいます。買い物をすませたのか、そもそも買うつもりがないからか、店の外でバスを待っている女性たちもけっこういます。彼女たちは、報道を知っていて、そうしているのでしょうか?
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免税店の隣には、中国客向けの小さな薬局や雑貨店までできていて、クスリはもちろん、ドリンクや軽食を売っています。さすがに商魂たくましいですね。
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JTC免税店の東側に、昨年にできたという別の免税店もありました。「東京薬局免税店」とありますが、調べると、韓国系の永山免税店新宿店のようです。中を覗くと、宝石や家電用品、ドラッグストア系商品などが置かれていて、中国客もいます。いまや職安通りは、コリアンタウンの一部でありながら、中国団体客ご用達ショッピングタウンになっているのですね。
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先日、中国の通訳ガイドの友人と「ブラック免税店」の問題をめぐってずいぶん話したのですが、よくよく考えると、中国側の報道がもっと広まれば、さすがの中国客の皆さんも、ここでは無言の非買運動を始めるはずでは。そうすれば、わざわざ摘発などしなくても、これらの免税店の経営は立ち行かなくなり、市場から淘汰されるという話にはならないのか。

ブラック免税店日中問答「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」
http://inbound.exblog.jp/25876810/

でも、どうやらそうはならなさそうなところが、いかにも中国的です。新宿のJTC免税店は、少なくともいまは中国団体ツアー必須の立ち寄り先になっているようです。もちろん、それは中国客の希望というより、在日の中国人ガイドがコミッションをもらわないとツアーが成り立たないからでしょうけれど。

はたして中国メディアから名指しされた「ブラック免税店」は今後、どうなるのでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-08 15:27 | 東京インバウンド・スポット | Comments(1)
2016年 06月 04日

ブラック免税店日中問答「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」

前回、前々回と5月末の中国メディアの「日本のブラック免税店」告発報道を紹介しました。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

この報道を教えてくれた中国語通訳案内士の彼女と、この問題をめぐってチャットしました。あとで残った文面を見ながら、なるほど日中のこの問題に関する感じ方はこんな風に違うんだなと思った次第。以下、その一部を公開します。(A:ぼく B:彼女)

A「こんばんは。ところで、Bさんはブラック免税店に行ったことありますか?」

B「行ったことないですよ。基本的にあそこに行くのは安いツアーに参加した団体客。経営は中国人や韓国人がしているそうですよ。東京だけでなく、大阪にもあります」

A「Bさんは団体客のガイドはやりませんものね。実は、ぼくは以前、知り合いの中国の旅行会社の友人の引率するツアーに紛れて、お台場の近くのブラック免税店に行ったことがあります。そのとき、友人から『店に入ったら、日本語しゃべらないでね』と言われていました。でも、一緒にいたツアー客は、ぼくが日本人であることを知っているので、『これは本物ですか? ここで買うべきですか?』と聞かれて、答えに窮した覚えがあります」

B「こういう免税店に行くようなツアーは、だいたい闇ガイドを使っていますよ。中国からの添乗員がそのままガイドする場合もあります」

A「確かに、友人は中国から来た添乗員でした。こういう人は、かつて中国で日本から来た観光客のガイドをしていました。ですから、日本語は堪能です。いまは日本から中国へ行く旅行者が激減しているので、彼らは仕事を失い、逆に中国客の添乗員として日本に来ているのです。

一応日本側のガイドもいましたが、在日中国人。彼が通訳案内士の資格を持っているかどうかはあえて聞きませんでしたが、たぶんないでしょうね」

B「闇ガイドを見分ける方法は簡単です。彼らは通訳案内士の有資格証がないので、名所や博物館に入る際、ツアー客と一緒で入場券が必要です」

A「なるほど。でも、実際のところ、中国の団体客はほぼこのような無資格ガイドによるツアーではないですか。まったくもって公然とルール違反しているのに、誰も取り締まらなかったことと、ブラック免税店を野放しにしているのは、同じですね」

B「それなのに、いま日本では通訳案内士制度の規制緩和を進めようとしている。もともと規制なんてないも同然だったのに。要するに、闇ガイドを容認するということですね」

A「通訳案内士法というのが、ちょっと古すぎて時代に合わない面もあります。ただ無資格ガイド問題とブラック免税店の問題は、野放しという意味では同じだけど、このしくみが温存されるのは理由があって、それはガイドが免税店からコミッションを受け取ることができるからですよね」

B「この業界は、有資格者ほどコミッションを取る団体の仕事をやりたくない人が多いので、生計を立てにくい。逆に、闇ガイドは年収1000万円台という話です」

A「でも、最近は中国の団体客は以前のように“爆買い”をしなくなってきたから、闇ガイドも前ほど儲けられなくなっていませんか? この稼業は団体客がブラック免税店で買い物してくれないと赤字になるというリスクがつきまとうので、このままいくと、彼らはいつか仕事を放り出すのではないかと思うんです。そんなことないですか?」

B「確かに、中国人はこの問題に対して相当警戒が強くなっているようです。中国の税関も厳しくなってきた。だから、私が案内する個人客は、日本人がふだん買い物するところへ連れていけ、と言います。実際、私もそういうところしか知らないので、特に困ることはありません。でも、団体客はそうはいかない。今後は中国から免税店の投資があるかもしれません」

A「そうなんですか。中国ツアーの構造として、ガイドはブラック免税店からコミッションをもらわないと、ツアー客のホテルやバス、食事の支払いができません。中国の旅行会社はほぼ一銭もガイドにお金をくれないのですから。中国では東京・大阪5泊6日のツアー代が安い時期で3500元(5万7000円)ほど。これでは往復の航空券代と中国側の旅行会社の利益だけです。だから、ガイドはブラック免税店に客を連れていき、コミッションをもらわないといけないわけです。この不幸な構図が変わらない限り、問題は解決しないと思います」
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B「そうそう、向こうではガイドは投資者です。ツアーを買ってその回収に必死ですよ」

A「なるほど、彼らはそういう投資感覚でガイドをしているんですね。確かに、中国側の旅行会社にお金を払ってツアー客をもらうケースもあるそうですから。まさにギャンブル的です。なかなか日本人には理解できないところがありますね」

B「ただこれから中国客は自分たちで旅程を組んで日本に来るようになると思います。でも、買い物はやみそうにない」

A「個人旅行になるということですね」

B「すでにそういうお客様が現れています。彼らの静かな“爆買い”は続くと思います。日本の百貨店やアウトレットが人気です」

A「結局、北京や上海のような経済先進地の人たちはそうなるのですが、いまの時代、中国の内陸都市から飛行機がどんどん飛んできているので、彼らは団体でくるしかなく、この構造は温存されていくのでしょうね」

B「だって彼らは言葉もわからないし、闇ガイド業者の言いなりですよ。まだまだ日本旅行のメインテーマは買い物です。だからこそ、日本政府は違法行為をある程度取り締まるべきですよ。法治社会の信用を守ることは日本の国益につながるはずです」

A「う~ん、それはおっしゃるとおりですね。これまで日本政府は観光客の数を増やすことばかりで、きちんとしたルールづくりを怠けてきました。さすがに2000万人時代となり、今年はそういう議論が起きてくると思います」

B「中国人観光客の多くは、自国にはない生活のクオリティや秩序など、日本に理想像を求めて来たのに、騙されて帰ったら、SNSでどんどん日本のブラック免税店問題を発信すると思いますよ。たとえ加害者は同じ中国人だとしても、帰国後、日本に通報するのは物理的に難しい。やはり国には責任がある。それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」

A「確かに、ブラック免税店を野放しにしておいて、おもてなしはないですよね。基本的にはおっしゃるとおりかと思います。では、今日はこのへんで…」

昨年秋、中国の河南省の鄭州を訪ねたとき、地元で有名な麺料理(会麺といいます)の店で食事をしていたとき、給仕のおばさんから「日本ってきれいな国なんだってねえ」と言われたことがあります。失礼な言い方だけど、そのおばさんは海外旅行できるような階層には思えませんでしたが、「日本=きれいな国」というイメージは民間に広まっていると感じました。これがここ数年の中国の日本旅行ブームを下支えしていた面もありそうです。

しかし、この国のSNS文化の影響は、予測しがたいところがあります。これからは「日本=ブラック免税店」のイメージが、民間で語られるようになるかもしれません。彼らはこう思うことでしょう。「なんだ、日本も中国と大して変わらないんだね」と。

さて、ひとまずBさんの意見を支持したものの、この問題、実際に解決に向けた道のりに進むためには、ただ取り締まればいいという話でもなさそうです。なぜなら、すでに書いたように、こういうことだからです。

ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

翌日、またBさんとチャットしました。

A「昨日の話の続きですが、この問題はいまに始まった話ではなく、すでに日本でも何度も報道もされていて、なんら進展はないんです。日本の消費者庁は外国人消費者について守るべき法律はないという立場のようです。

こうなると、“爆買い”で恩恵を受けていた小売業界やJSTO(日本ショッピングツーリズム協会)のような団体がこの問題をどう考えるかということも、解決に向けた道のりにつながるのではないかと思うんです」

B「どういうことですか?」

A「要するに、日本のショッピングの悪評判がどんどん広まり、小売業が打撃を受けるというような事態にでもならないかぎり、彼らはこの問題を無視し続けるように思う。

だから、中国の消費者が日本旅行中、消極的に非買運動を続けてもらうことが良いかもしれません。そうなると、日本側の関係者も、少し慌ててブラック免税店を駆逐しようと動き出すのでは」

B「いまの中国の観光客に不買運動は難しいですよ。環境汚染でも団結できないくらいですから。やはり、日本に行ったら買い物したいわけだし。やはりルールをつくるべき」

A「そりゃそうなんだけど、日本人の理解を越えているのは、これだけたくさん中国客が来るのだから、何もニセモノまで売って評判を落とすこともないと思うのに、なぜブラック免税店はそんなことをするのだろう? 日本人ならいいものを売れば、もっと儲かるから頑張ろうとなると思うのだけど。彼らがやっていることは、ルール以前の問題のような気がする」

B「中国では横断歩道を守らない人が多いですが、警察官が立てば、日本人以上に守りますよ。日本は法治社会なのに、この問題はなぜか矛盾している気がする」

A「なるほど。それが中国的な法の意味ですね。日本人は法は国民の権利や利害を守るためにあると考えていると思います。規制緩和をめぐる議論もたいていそこが焦点になる。やはり、基本的な考え方がずいぶん違いますね。中国では、法は為政者が国民を文字通り統治するための道具ですね」

B「そうしないと、秩序が乱れるからです。中国人が日本に来て社会の整然とした秩序に驚くのは、そのためです。きっと厳しく統治されているのだろうと中国人は考えるのですが、実際は違いますよね。だから、中国人はなぜ日本ではブラック免税店を取り締まろうとしないのか、よく理解できません」

A「たぶん、自国民でない人たちだからかもしれませんね。彼らが自国民に直接害を与えているわけではないということもある。権威主義体制の中国では、為政者は外国人が自国で犯罪を犯しているのを放置するなんて考えられないとなるのでしょうかね」

B「でも、ルールはやはり必要です。闇ガイドの問題だって、このまま規制緩和されてしまうと、いま真剣に通訳案内士の資格を取ろうとする若者、必死に仕事を探している通訳案内士もそうですが、日本旅行に夢を見ている中国の観光客が可哀想ですよ。この問題で、暗躍しているのは中国人だけじゃないですよね」

A「個人的には、これだけ外国人旅行者が増え、さまざまなニーズが生まれているので、規制緩和はやむをえないと思っています。通訳案内士ほど高度な語学力がなくても、外国人を接遇する場面は増えているからです。ただし、規制緩和する以上、外国人を添乗するだけの仕事でも、団体客のガイドは監督官庁に登録させるようにすべきだと思います」

B「登録も必要ですが、やはりインバウト専門の苦情処理窓口と日本国内のメディアの力が必要です。取り締まるべきところは取り締まらないと。旅行者はいつか帰国してしまうので、圧倒的に弱者です」

A「そうですね。せめて苦情窓口は必要です。ただ現状でいえば、資格うんぬんの前に、登録させないと。いま誰がどこで何をやっているか、まったく監督官庁もつかんでいないため、取り締まりも何もできないですから。

昨年末、ある中国系免税店は自衛のためでしょうか、中国客を連れてくるガイドに「労働許可証」のない者には入店させないと通達を出したと聞いています。これはガイド資格以前の話ですが、実態の把握のためにも登録は最低限必要です」

B「いったん登録したら、観光客や関係機関に周知させ、ときどきチェックも徹底しないと、また無法状態。「杀一儆百」(少数を厳しく罰して見せしめにし、多数の人に警告すること。一罰百戒)。いまはこれがいちばん即効性があると思いますよ。検挙、検挙、また検挙…」

A「いかにも、中国的だなあ。ヨーロッパの一部では、確かにツーリストポリスがいて、現場の問題処理にあたります。ただ、中国団体客の問題となると、彼らもなかなか難しいのでは。まず言葉の問題があります。英語が通じればいいですけど。オーストラリアのような観光国でも、問題解決は難しそうです」

※澳洲“免税”店与旅行社勾结 专坑中国游客(新华国际 于 2016-05-29)
http://www.wenxuecity.com/news/2016/05/29/5244163.html
オーストラリアの免税店でも、旅行会社とグルになって中国客を陥れているという報道。

B「ブラック免税店の問題は、日中両国のずる賢い人たちが関与しているので、行政との知恵比べでしょう。日本の法治が問われていると思います。私は思うんですが、今回の中国のメディア報道や駐日中国大使館の苦情などを受けて、日本の関係機関は「丢面子」(メンツを失う)を感じていないのかしら? それとも故意に無視している?」

A「まだ十分に感じていないかもしれませんね。故意でもあり、むしろメンドウごとに関わりたくないという感じではないでしょうか。所詮、外国人の問題だからと逃げているのです。だからこそ、訪日中国客が消極的に非買運動することが、いちばん彼らを困らせるはず。なぜなら、“爆買い”がなくなれば、結果的に、中国人ツアーは減るほかありません。昨日書いた理屈で、在日ガイドが赤字になるような仕事は投げ出すため、中国側の旅行会社が送客しようとしても、受け皿がなくなるのですから。そうなると、これまで拡充した日中間の航空路線も縮小し、小売業にも影響が出る。そうなると、その原因をブラック免税店に求める動きがようやく起こるかもしれない」

B「わからないではないけど、やはり法治社会の日本の矛盾を関係者に注目してもらうようにすることも大事。孟子曰く『まず仁義が先にあっての利』です。私の見た日本の旅行業界には、利を先に求める人が多いようです。悲しいなあ」

A「人は利で動くものですからねえ。だからこそ、法という縛りが必要ということですね」

B「同感同感」

A「う~ん、まあそうかもしれないけど、今日はこのへんで」

結局、ふたりのチャットの内容は平行線をたどっているように思います。中国人の彼女からすれば、外国人による違法行為を野放しにすることは、日本政府のメンツに関わるはずで、そこをメディアの力や中国政府の苦情によって彼らのメンツを失わせることで、行動を促すことが問題解決になるという判断のよう。一方、ぼくにはどうやら日本側はそんなことでメンツを痛めたりすることもなく、むしろ日本国民に実害がないうちは、勝手におやりください。実害を受けているのは、中国の皆さんでしょう。そういう冷めた認識、あるいは底意地の悪さを感じないでもない。

やはり、日本人からすると、訪日旅行の周辺で起きている中国人のルールを無視したギャンブル的なやり方は、まるで「戦後のドサクサ」の時代を生きている人たちのようにも見えてしまいます。なぜ彼らはそこまでやるのか。こんなやり方では長く商売できないだろうに…。中国側の良識ある関係者らも、実は同じことを話しています。でも、結局のところ、中国人にはそのようなやり方しかできない、と彼らも同胞の姿をみて嘆いている。中国側にも問題の所在を理解している人たちもいるのですが、それを変えられない。

まあそんなことで、この問題はいろいろな見方ができるわけですが、彼女に言われた「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」という指摘から、我々も逃げることはできない道理はあるはずです。この数年間、中国客にたくさん買い物をしてもらうために、日本の小売業界を中心にしたさまざまな業界や自治体まで含め、あの手この手で中国市場も対応してきたのに、ブラック免税店問題は知らぬ存ぜぬでいるわけにはいかないと思うからです。

ひとまず問題の所在が社会に広く理解されないと、解決に向けて動き出すことはなさそう。だから、まずはそこから始めるしかないと思う次第です。

【追記】
数日後、実際にそれらの免税店を訪ねてみました。

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

みなさんはこの現状をどう思いますか?
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by sanyo-kansatu | 2016-06-04 18:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)