ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 06月 08日

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた

5月末、中国メディアで一斉に報じられた日本の「ブラック免税店」告発報道について、これまでいくつかの文章を書いてきました。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

これが中国報道の原文です。

日本免税黑店专坑游客 多次曝光受害者不减反增(2016.5.31)
http://news.sina.com.cn/w/zx/2016-05-31/doc-ifxsqxxu4793505.shtml

さて、この記事の中に出てくるのが、以下の2つの免税店です。

Alexander & Sun
東京都新宿区新宿5丁目17番13号
オリエンタルウェーブビル 6F
http://www.alexanderandsun.com/
1978年大阪で創業。店舗は、東京、大阪、名古屋、福岡ホークスタウン、太宰府、札幌、別府、有田、沖縄と東京オフィスがあります。

JTC 免税店(JTC Tax-freeshop)
新宿区大久保1丁目8番4号 2F
http://www.groupjtc.com/japanese/
「外国人観光客向けに全国に13店舗(常設10店舗、臨時3店舗)を運営しています。高級化粧品、健康食品、電化製品、アクセサリー、雑貨などの約2万アイテムを取り扱っており、中国語・韓国語・英語・タイ語に対応しています」(同サイトより)。

実をいうと、この2店は、東新宿にあるぼくの仕事場からどちらも500m半径内にあります。

こうなると、住所の場所を訪ねてみないわけにはいきませんね。先ほどちょっと見に行ってきました。

まずAlexander & Sun。新宿花園神社の裏手にある中華料理の老舗「東京大飯店」と同じビルで、靖国通りに面しています。
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ビルの前に行くと、店のシャッターは閉められていました。
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居酒屋などの入った雑居ビルの6Fにあるのですが、エレベーターで6Fのボタンを押しても反応しません。
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1Fの通路に扱っている商品らしきディスプレイがあるのみでした。
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かつて「ダイヤ免税店」という名だったことがわかります。

もしかして中国報道の影響があったのでしょうか…。ただし、この種の免税店は、団体客が来たときだけ、店を開けるのかもしれません。予約なしで来店ということはないのでしょう。

次は、JTC 免税店。こちらは新大久保の職安通りにあります。
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東新宿駅方面から職安通りを歩くと、大型バスの数が目に見えて増えてきます。数台のバスが停車している場所に向かうと、そこがJTC 免税店でした。
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店の前には中国客があふれています。
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1Fが宝石店で、2Fが例の免税店、3Fはレストラン街です。韓国料理などのレストランが数軒入っています。
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もともとこのビルは、2012年6月にオープンした韓流百貨店「K-PLUS」というアミューズメントビルでしたが、韓流ブームの凋落とともに経営が低迷し、14年10月に3Fのレストランを除いて閉店。翌11月にJTC免税店の開店となったようです。3Fのレストランの隣の売店で働く韓国人に聞くと「前はレストランにもたくさん客が来ていたけど、最近は少ない。でも、下の免税店は9割が中国人。韓国人もたまに来る」とのこと。これだけ中国客が押し寄せると、日本の韓流ファンも足が遠のくのは無理もなさそうです。せめて中国客がここで食事をしてくれればいいのでしょうが、それはほぼなさそうです。韓国料理しかないせいもあるでしょうし、彼らには在日中国人の経営する提携食堂が別の場所にあるからでしょう。

帰りに、免税店の中をちらりと覗くと、ビルの前はそれなりに人で混雑しているものの、それほど買い物客がいるようでもなく、閑散としています。以前、福岡のクルーズ客が免税店にあふれ、「爆買い」していた光景を見たことがありますが、そのような熱気は感じられませんでした。

そうだとしても、中国報道によると、この免税店で多くの中国客が騙されているというのに、これだけの人たちがいまもここに来ている…。いったいどうしたことでしょう。彼らは何も知らないのか。

中国団体客は年配の人が多いため、この種の情報に疎いのか。でも、若い子もそこそこいます。買い物をすませたのか、そもそも買うつもりがないからか、店の外でバスを待っている女性たちもけっこういます。彼女たちは、報道を知っていて、そうしているのでしょうか?
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免税店の隣には、中国客向けの小さな薬局や雑貨店までできていて、クスリはもちろん、ドリンクや軽食を売っています。さすがに商魂たくましいですね。
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JTC免税店の東側に、昨年にできたという別の免税店もありました。「東京薬局免税店」とありますが、調べると、韓国系の永山免税店新宿店のようです。中を覗くと、宝石や家電用品、ドラッグストア系商品などが置かれていて、中国客もいます。いまや職安通りは、コリアンタウンの一部でありながら、中国団体客ご用達ショッピングタウンになっているのですね。
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先日、中国の通訳ガイドの友人と「ブラック免税店」の問題をめぐってずいぶん話したのですが、よくよく考えると、中国側の報道がもっと広まれば、さすがの中国客の皆さんも、ここでは無言の非買運動を始めるはずでは。そうすれば、わざわざ摘発などしなくても、これらの免税店の経営は立ち行かなくなり、市場から淘汰されるという話にはならないのか。

ブラック免税店日中問答「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」
http://inbound.exblog.jp/25876810/

でも、どうやらそうはならなさそうなところが、いかにも中国的です。新宿のJTC免税店は、少なくともいまは中国団体ツアー必須の立ち寄り先になっているようです。もちろん、それは中国客の希望というより、在日の中国人ガイドがコミッションをもらわないとツアーが成り立たないからでしょうけれど。

はたして中国メディアから名指しされた「ブラック免税店」は今後、どうなるのでしょう。

【追記】
昨日、この記事のアクセス数が急に増えました。ただし、この記事は、昨年6月上旬に書かれたもので、現状の同スポットの状況は当時のようではありません。背景には、今年に入ってからの訪日中国客数の伸び悩みや団体客から個人客への移行があり、数年前のように、多くのバスが大挙してこのスポットを訪れるということはなくなっているからです。訪日中国市場の変化はいつもビックリするほど早いのです。毎年、注目すべきトピックが変わります。今年のそれは、すでに本ブログでも書いていますが、「越境白タク」や中国客向けモバイル決済の導入の行方ではないでしょうか。その旨、ひとこと付け加えておきたいと思います。(2017年8月3日)

4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップ! 中国は伸び悩み
http://inbound.exblog.jp/27007721/
大都市圏を中心に増殖中!中国系「越境白タク」の問題点を追跡
http://inbound.exblog.jp/26951467/
中国客向けモバイル決済導入はどこまで進むだろうか?
http://inbound.exblog.jp/27017793/
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by sanyo-kansatu | 2016-06-08 15:27 | 東京インバウンド・スポット | Comments(1)
2016年 06月 04日

ブラック免税店日中問答「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」

前回、前々回と5月末の中国メディアの「日本のブラック免税店」告発報道を紹介しました。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

この報道を教えてくれた中国語通訳案内士の彼女と、この問題をめぐってチャットしました。あとで残った文面を見ながら、なるほど日中のこの問題に関する感じ方はこんな風に違うんだなと思った次第。以下、その一部を公開します。(A:ぼく B:彼女)

A「こんばんは。ところで、Bさんはブラック免税店に行ったことありますか?」

B「行ったことないですよ。基本的にあそこに行くのは安いツアーに参加した団体客。経営は中国人や韓国人がしているそうですよ。東京だけでなく、大阪にもあります」

A「Bさんは団体客のガイドはやりませんものね。実は、ぼくは以前、知り合いの中国の旅行会社の友人の引率するツアーに紛れて、お台場の近くのブラック免税店に行ったことがあります。そのとき、友人から『店に入ったら、日本語しゃべらないでね』と言われていました。でも、一緒にいたツアー客は、ぼくが日本人であることを知っているので、『これは本物ですか? ここで買うべきですか?』と聞かれて、答えに窮した覚えがあります」

B「こういう免税店に行くようなツアーは、だいたい闇ガイドを使っていますよ。中国からの添乗員がそのままガイドする場合もあります」

A「確かに、友人は中国から来た添乗員でした。こういう人は、かつて中国で日本から来た観光客のガイドをしていました。ですから、日本語は堪能です。いまは日本から中国へ行く旅行者が激減しているので、彼らは仕事を失い、逆に中国客の添乗員として日本に来ているのです。

一応日本側のガイドもいましたが、在日中国人。彼が通訳案内士の資格を持っているかどうかはあえて聞きませんでしたが、たぶんないでしょうね」

B「闇ガイドを見分ける方法は簡単です。彼らは通訳案内士の有資格証がないので、名所や博物館に入る際、ツアー客と一緒で入場券が必要です」

A「なるほど。でも、実際のところ、中国の団体客はほぼこのような無資格ガイドによるツアーではないですか。まったくもって公然とルール違反しているのに、誰も取り締まらなかったことと、ブラック免税店を野放しにしているのは、同じですね」

B「それなのに、いま日本では通訳案内士制度の規制緩和を進めようとしている。もともと規制なんてないも同然だったのに。要するに、闇ガイドを容認するということですね」

A「通訳案内士法というのが、ちょっと古すぎて時代に合わない面もあります。ただ無資格ガイド問題とブラック免税店の問題は、野放しという意味では同じだけど、このしくみが温存されるのは理由があって、それはガイドが免税店からコミッションを受け取ることができるからですよね」

B「この業界は、有資格者ほどコミッションを取る団体の仕事をやりたくない人が多いので、生計を立てにくい。逆に、闇ガイドは年収1000万円台という話です」

A「でも、最近は中国の団体客は以前のように“爆買い”をしなくなってきたから、闇ガイドも前ほど儲けられなくなっていませんか? この稼業は団体客がブラック免税店で買い物してくれないと赤字になるというリスクがつきまとうので、このままいくと、彼らはいつか仕事を放り出すのではないかと思うんです。そんなことないですか?」

B「確かに、中国人はこの問題に対して相当警戒が強くなっているようです。中国の税関も厳しくなってきた。だから、私が案内する個人客は、日本人がふだん買い物するところへ連れていけ、と言います。実際、私もそういうところしか知らないので、特に困ることはありません。でも、団体客はそうはいかない。今後は中国から免税店の投資があるかもしれません」

A「そうなんですか。中国ツアーの構造として、ガイドはブラック免税店からコミッションをもらわないと、ツアー客のホテルやバス、食事の支払いができません。中国の旅行会社はほぼ一銭もガイドにお金をくれないのですから。中国では東京・大阪5泊6日のツアー代が安い時期で3500元(5万7000円)ほど。これでは往復の航空券代と中国側の旅行会社の利益だけです。だから、ガイドはブラック免税店に客を連れていき、コミッションをもらわないといけないわけです。この不幸な構図が変わらない限り、問題は解決しないと思います」
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B「そうそう、向こうではガイドは投資者です。ツアーを買ってその回収に必死ですよ」

A「なるほど、彼らはそういう投資感覚でガイドをしているんですね。確かに、中国側の旅行会社にお金を払ってツアー客をもらうケースもあるそうですから。まさにギャンブル的です。なかなか日本人には理解できないところがありますね」

B「ただこれから中国客は自分たちで旅程を組んで日本に来るようになると思います。でも、買い物はやみそうにない」

A「個人旅行になるということですね」

B「すでにそういうお客様が現れています。彼らの静かな“爆買い”は続くと思います。日本の百貨店やアウトレットが人気です」

A「結局、北京や上海のような経済先進地の人たちはそうなるのですが、いまの時代、中国の内陸都市から飛行機がどんどん飛んできているので、彼らは団体でくるしかなく、この構造は温存されていくのでしょうね」

B「だって彼らは言葉もわからないし、闇ガイド業者の言いなりですよ。まだまだ日本旅行のメインテーマは買い物です。だからこそ、日本政府は違法行為をある程度取り締まるべきですよ。法治社会の信用を守ることは日本の国益につながるはずです」

A「う~ん、それはおっしゃるとおりですね。これまで日本政府は観光客の数を増やすことばかりで、きちんとしたルールづくりを怠けてきました。さすがに2000万人時代となり、今年はそういう議論が起きてくると思います」

B「中国人観光客の多くは、自国にはない生活のクオリティや秩序など、日本に理想像を求めて来たのに、騙されて帰ったら、SNSでどんどん日本のブラック免税店問題を発信すると思いますよ。たとえ加害者は同じ中国人だとしても、帰国後、日本に通報するのは物理的に難しい。やはり国には責任がある。それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」

A「確かに、ブラック免税店を野放しにしておいて、おもてなしはないですよね。基本的にはおっしゃるとおりかと思います。では、今日はこのへんで…」

昨年秋、中国の河南省の鄭州を訪ねたとき、地元で有名な麺料理(会麺といいます)の店で食事をしていたとき、給仕のおばさんから「日本ってきれいな国なんだってねえ」と言われたことがあります。失礼な言い方だけど、そのおばさんは海外旅行できるような階層には思えませんでしたが、「日本=きれいな国」というイメージは民間に広まっていると感じました。これがここ数年の中国の日本旅行ブームを下支えしていた面もありそうです。

しかし、この国のSNS文化の影響は、予測しがたいところがあります。これからは「日本=ブラック免税店」のイメージが、民間で語られるようになるかもしれません。彼らはこう思うことでしょう。「なんだ、日本も中国と大して変わらないんだね」と。

さて、ひとまずBさんの意見を支持したものの、この問題、実際に解決に向けた道のりに進むためには、ただ取り締まればいいという話でもなさそうです。なぜなら、すでに書いたように、この問題はいまに始まった話ではないからです。はっきりいえば、中国の団体観光客が解禁された2000年秋以降、我々日本人の目に見えない場所でずっと起きていたのです。

ブラック免税店問題はもうずっと前からありました
http://inbound.exblog.jp/25875949/

翌日、またBさんとチャットしました。

A「昨日の話の続きですが、この問題はいまに始まった話ではなく、すでに日本でも何度も報道もされていて、なんら進展はないんです。日本の消費者庁は外国人消費者について守るべき法律はないという立場のようです。

こうなると、“爆買い”で恩恵を受けていた小売業界やJSTO(日本ショッピングツーリズム協会)のような団体がこの問題をどう考えるかということも、解決に向けた道のりにつながるのではないかと思うんです」

B「どういうことですか?」

A「要するに、日本のショッピングの悪評判がどんどん広まり、小売業が打撃を受けるというような事態にでもならないかぎり、彼らはこの問題を無視し続けるように思う。

だから、中国の消費者が日本旅行中、消極的に非買運動を続けてもらうことが良いかもしれません。そうなると、日本側の関係者も、少し慌ててブラック免税店を駆逐しようと動き出すのでは」

B「いまの中国の観光客に不買運動は難しいですよ。環境汚染でも団結できないくらいですから。やはり、日本に行ったら買い物したいわけだし。やはりルールをつくるべき」

A「そりゃそうなんだけど、日本人の理解を越えているのは、これだけたくさん中国客が来るのだから、何もニセモノまで売って評判を落とすこともないと思うのに、なぜブラック免税店はそんなことをするのだろう? 日本人ならいいものを売れば、もっと儲かるから頑張ろうとなると思うのだけど。彼らがやっていることは、ルール以前の問題のような気がする」

B「中国では横断歩道を守らない人が多いですが、警察官が立てば、日本人以上に守りますよ。日本は法治社会なのに、この問題はなぜか矛盾している気がする」

A「なるほど。それが中国的な法に対する認識なんですね。日本人は、法というのは国民の権利や利害を守るためにあると考えていると思います。規制緩和をめぐる議論もたいていそこが焦点になる。やはり、基本的な考え方がずいぶん違いますね。中国では、法は為政者が国民を統治するための道具ですね」

B「そうしないと、秩序が乱れるからです。中国人が日本に来て社会の整然とした秩序に驚くのは、そのためです。きっと厳しく統治されているのだろうと中国人は考えるのですが、実際は違いますよね。だから、中国人はなぜ日本ではブラック免税店を取り締まろうとしないのか、よく理解できません」

A「たぶん、自国民でない人たちだからかもしれませんね。彼らが自国民に直接害を与えているわけではないということもある。権威主義体制の中国では、為政者は外国人が自国で犯罪を犯しているのを放置するなんて考えられないとなるのでしょうかね」

B「でも、ルールはやはり必要です。闇ガイドの問題だって、このまま規制緩和されてしまうと、いま真剣に通訳案内士の資格を取ろうとする若者、必死に仕事を探している通訳案内士もそうですが、日本旅行に夢を見ている中国の観光客が可哀想ですよ。この問題で、暗躍しているのは中国人だけじゃないですよね」

A「個人的には、これだけ外国人旅行者が増え、さまざまなニーズが生まれているので、規制緩和はやむをえないと思っています。通訳案内士ほど高度な語学力がなくても、外国人を接遇する場面は増えているからです。ただし、規制緩和する以上、外国人を添乗するだけの仕事でも、団体客のガイドは監督官庁に登録させるようにすべきだと思います」

B「登録も必要ですが、やはりインバウト専門の苦情処理窓口と日本国内のメディアの力が必要です。取り締まるべきところは取り締まらないと。旅行者はいつか帰国してしまうので、圧倒的に弱者です」

A「そうですね。せめて苦情窓口は必要です。ただ現状でいえば、資格うんぬんの前に、登録させないと。いま誰がどこで何をやっているか、まったく監督官庁もつかんでいないため、取り締まりも何もできないですから。

昨年末、ある中国系免税店は自衛のためでしょうか、中国客を連れてくるガイドに「労働許可証」のない者には入店させないと通達を出したと聞いています。これはガイド資格以前の話ですが、実態の把握のためにも登録は最低限必要です」

B「いったん登録したら、観光客や関係機関に周知させ、ときどきチェックも徹底しないと、また無法状態。「杀一儆百」(少数を厳しく罰して見せしめにし、多数の人に警告すること。一罰百戒)。いまはこれがいちばん即効性があると思いますよ。検挙、検挙、また検挙…」

A「いかにも、中国的だなあ。ヨーロッパの一部では、確かにツーリストポリスがいて、現場の問題処理にあたります。ただ、中国団体客の問題となると、彼らもなかなか難しいのでは。まず言葉の問題があります。英語が通じればいいですけど。オーストラリアのような観光国でも、問題解決は難しそうです」

※澳洲“免税”店与旅行社勾结 专坑中国游客(新华国际 于 2016-05-29)
http://www.wenxuecity.com/news/2016/05/29/5244163.html
オーストラリアの免税店でも、旅行会社とグルになって中国客を陥れているという報道。

B「ブラック免税店の問題は、日中両国のずる賢い人たちが関与しているので、行政との知恵比べでしょう。日本の法治が問われていると思います。私は思うんですが、今回の中国のメディア報道や駐日中国大使館の苦情などを受けて、日本の関係機関は「丢面子」(メンツを失う)を感じていないのかしら? それとも故意に無視している?」

A「まだ十分に感じていないかもしれませんね。故意でもあり、むしろメンドウごとに関わりたくないという感じではないでしょうか。所詮、外国人の問題だからと逃げているのです。だからこそ、訪日中国客が消極的に非買運動することが、いちばん彼らを困らせるはず。なぜなら、“爆買い”がなくなれば、結果的に、中国人ツアーは減るほかありません。昨日書いた理屈で、在日ガイドが赤字になるような仕事は投げ出すため、中国側の旅行会社が送客しようとしても、受け皿がなくなるのですから。そうなると、これまで拡充した日中間の航空路線も縮小し、小売業にも影響が出る。そうなると、その原因をブラック免税店に求める動きがようやく起こるかもしれない」

B「わからないではないけど、やはり法治社会の日本の矛盾を関係者に注目してもらうようにすることも大事。孟子曰く『まず仁義が先にあっての利』です。私の見た日本の旅行業界には、利を先に求める人が多いようです。悲しいなあ」

A「人は利で動くものですからねえ。だからこそ、法という縛りが必要ということですね」

B「同感同感」

A「う~ん、まあそうかもしれないけど、今日はこのへんで」

結局、ふたりのチャットの内容は平行線をたどっているように思います。中国人の彼女からすれば、外国人による違法行為を野放しにすることは、日本政府のメンツに関わるはずで、そこをメディアの力や中国政府の苦情によって彼らのメンツを失わせることで、行動を促すことが問題解決になるという判断のよう。一方、ぼくにはどうやら日本側はそんなことでメンツを痛めたりすることもなく、むしろ日本国民に実害がないうちは、勝手におやりください。実害を受けているのは、中国の皆さんでしょう。そういう冷めた認識、あるいは底意地の悪さを感じないでもない。

やはり、日本人からすると、訪日旅行の周辺で起きている中国人のルールを無視したギャンブル的なやり方は、まるで「戦後のドサクサ」の時代を生きている人たちのようにも見えてしまいます。なぜ彼らはそこまでやるのか。こんなやり方では長く商売できないだろうに…。中国側の良識ある関係者らも、実は同じことを話しています。でも、結局のところ、中国人にはそのようなやり方しかできない、と彼らも同胞の姿をみて嘆いている。中国側にも問題の所在を理解している人たちもいるのですが、それを変えられない。

まあそんなことで、この問題はいろいろな見方ができるわけですが、彼女に言われた「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」という指摘から、我々も逃げることはできない道理はあるはずです。この数年間、中国客にたくさん買い物をしてもらうために、日本の小売業界を中心にしたさまざまな業界や自治体まで含め、あの手この手で中国市場も対応してきたのに、ブラック免税店問題は知らぬ存ぜぬでいるわけにはいかないと思うからです。

ひとまず問題の所在が社会に広く理解されないと、解決に向けて動き出すことはなさそう。だから、まずはそこから始めるしかないと思う次第です。

【追記】
数日後、実際にそれらの免税店を訪ねてみました。

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

みなさんはこの現状をどう思いますか?
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by sanyo-kansatu | 2016-06-04 18:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 04日

ブラック免税店問題はもうずっと前からありました

前回、日本のブラッグ免税店問題に関する中国報道を紹介しました。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

この記事を教えてくれたのは、日本に住む通訳案内士の中国女性です。彼女はふだんは翻訳の仕事をするかたわら、通訳ガイドの仕事も最近は増えているようです。団体客をガイドすることはまずなく、ブラック免税店のこともよく知らなかったせいか、この報道を見て義憤をおぼえたようです。

でも、こうした問題は以前からずっとあったことでした。

日本のメディアも数年前から報じています。

たとえば、かの文春砲もすでに放たれていました。
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中国人が中国人をボッタクリ “日本観光”の醜悪現場 密着ルポ(週刊文春2013.3.7)
http://hello.ac/guide/bunshun2013.pdf

さらには、その前年にNHKも報じています。

NHK総合テレビ<追跡!真相ファイル>「中国人観光客訪日格安ツアーのカラクリ」(2012.8.21)
https://www.youtube.com/watch?v=jLeQfCrZg80

ある語学学校の経営者も、無資格ガイドに絡むこの問題を長く追及しています。

<「ALEXANDER & SUN」免税店」脱税事件>の真相と深層
https://www.facebook.com/Helloguideacademy/posts/433254933447543

一方、中国側からこの問題が初めて出てきたのは、おそらく在日華人紙「東方時報」2009年6月25日が報じた、悪質な旅行会社とガイドが結託したボッタリ免税店への上海人団体客の連れ込みの実態だったと思います。そう、2008、9年当時は、上海や北京などの団体客がブラック免税店に連れ込まれていたのです。

ボッタクリや無資格ガイド問題も浮上。日中双方が解決すべき中国人ツアーの課題
http://inbound.exblog.jp/iv/detail/?s=16998604&i=201111%2F20%2F53%2Fb0235153_13233726.jpg

こうした報道をうけ、ぼくも以下のような記事を書いたことがあります。

中国人の日本ツアーはメイド・イン・チャイナである(2011年)
http://www.yamatogokoro.jp/column/2011/column66/column_02_4.html
http://www.yamatogokoro.jp/column/2011/column68/column_02_2.html

この問題の語り方は、立場によって変わってくるところがありますが、ぼくの場合、当時は東日本大震災直後で、訪日客が大きく減るなか、それでも日本に来てくれる中国客に対して、せめて日本国内では日本人と同じように消費者として最低限度の保護すべきだという思いがありました。その頃の訪日中国市場はいまの5分の1の規模だったのです。また、中国客に対する免税店ボッタクリ問題は、2000年代に入るとすでに香港やタイで頻発していて、ツアー客とガイドが殴りあうとか、免税店に行くのを拒んだ客を置き去りする事件などがずいぶん報じられていたからです。こういうことが日本で起きるのは恥ずかしい。そう思っていたのです。

これらの騒動から、中国政府は2013年に「新旅游法」を施行し、この問題の解決にあたったはずでしたが、結局もとの木阿弥に近い結果で終わりました。というのも、本来ツアー客の望まない免税店への連れ込みをした旅行会社は罰則を受けるという内容だった「新旅游法」なのですが、中国の旅行会社はその後、消費者に免税店への連れ込みをやめる代わりにツアー代金を上げるしかないが、それがいやなら連れ込みを承諾するという誓約書にサインを求めることにしたのです。

その結果、中国の消費者は、ツアー料金を安くするためには、免税店への連れ込みはやむ得ないという従来どおりの姿を選んだのです。中国では国内旅行でも、お土産のコミッションでツアー代が安くなるという仕組みは同じで、広く知られているため、それが無理なく受け入れられてしまったのです。逆に、ツアー代を安くしてくれたのだから、免税店での買い物も少し付き合わないとガイドさんが困るだろうというような感覚も彼らにはあるのです。

だからといって、法外な金額でニセモノをつかまされるのは許せないというわけで、今回の報道となったのでした。

中国「新旅游法」は元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

こうして結局のところ、問題はなんら改善されることもなく、月日だけがたちました。そのうち、上海や北京などに住む経済先進地域の人たちは、日本を個人ビザで訪れるようになり、ブラック免税店に連れ込まれることはなくなったのですが、いまでは内陸都市の地方客が同じ目に遭っているというわけです。時代を変えて、この問題は温存されているのです。

そんなわけで、個人的には、この問題をまじめに考えるのが少し馬鹿馬鹿しい気もして、2011年当時のような「中国客を消費者として保護すべき」と声を上げる気分にはなれないところがあります。

とはいえ、今回の中国報道が指摘する日本政府の不作為については、決してこのままでいいとは思えません。

日本側にはおそらくこんな言い訳があるかもしれません。もしブラック免税店の摘発を本気で行うと、彼らからのコミッションで支えられている中国の団体ツアーが成立しなくなり、市場の混乱が起こりかねない。そもそも中国の旅行会社が不当に安いツアーで客を集めるため、日本国内での宿泊や交通、食事に至るまで、そのすべてを日本側の手配会社が負わなければならないわけで、そこに無理があるのだと。日本側としたら、あえてそのモデルをぶち壊すことで、予測不能な事態を引き起こすことはなるべく避けたいし、中国側の航空・旅行業界もそれを望んでいるとは思えない。

昨年くらいから中国発の日本路線が驚くほど増え、国内の地方空港への運航も拡充しているなか、こうした動きを止めたくないとの思いは両国の関係者に共通しているはずです。その実、日本側の本音は、自国の消費者にまったく影響のない世界だから、わざわざ手をつける理由は見当たらないというものでしょうけれど。

今日の中国団体客の状況は以下を参照してください。

中国「爆買い」の主役は内陸都市からの団体ツアー客
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/010400002/
中国沿海都市から新タイプの個人客、ニーズが多様化し新たな商機生まれる
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/011800003/
東アジア航空網に新時代、訪日客増大の本当の理由は地方路線の大拡充
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/022600007/

こうしたなか、中国側では高額商品の「爆買い」の失速が伝えられています。

コラム:失速する中国人観光客の「爆買い」、ブランド品を直撃(ロイター2016年 05月 18日)
http://jp.reuters.com/article/column-china-shopping-idJPKCN0Y90CX

であれば、コミッションモデルもそのうち成り立たなくなるのではないか。そうすれば、ブラック免税店も消えていくはず…。そんな安易で希望的な観測も日本の監督官庁にはあるかもしれません。

おそらく中国側はそれらを承知のうえで、自国民の“爆買い”にいかに自制を効かせられるか、あの手この手で考えているのでしょう。確かに、状況はかなり進みつつありそうです。

中国が爆買い客に課税強化 空港で化粧品など廃棄も(Newsポストセブン2016.04.20)
http://www.news-postseven.com/archives/20160420_404278.html
アングル:中国が「国内爆買い」喚起、海南島を免税天国に(ロイター2016年 06月 1日)
http://jp.reuters.com/article/angle-china-duty-paradise-idJPKCN0YM028

であれば、今回の報道もこの問題を自国民がどう受けとめるかを探る観測気球のようなものかもしれません。はたしてブラック免税店問題は今後、中国側でどれほど盛り上がるでしょうか。それが訪日旅行市場になんらかの影響を与えることがあるのか。いつものことながら、中国の消費者の本音と建前、政府の顔色をうかがいながらも、そこに面子が絡むという独特の反応の行方を眺めていくほかありません。

ブラック免税店日中問答「それはおもてなしする側が解決すべき問題でしょ」
http://inbound.exblog.jp/25876810/
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by sanyo-kansatu | 2016-06-04 13:33 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 04月 11日

2016年の外航クルーズ客船の動向を占うための客観情勢

3月上旬、中国発クルーズ客船が多数寄航する福岡で、中国人不法ガイドが逮捕されたニュースが報じられたばかりですが、今年も昨年以上の勢いで外航クルーズが日本にやって来るようです。

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?
http://inbound.exblog.jp/25461430/

これまで本ブログでも、沖縄や福岡、境港などのクルーズ寄港地を訪ね、現地の事情を報告してきました。

クルーズ寄港ラッシュで沸くインバウンド先進県、沖縄(日経ビジネスONLINE 2014年4月8日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140402/262219/
東シナ海クルーズラッシュの背景:博多港にいつ頃から現れていたのか?
http://inbound.exblog.jp/24665654/
4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278/

こうした寄航数が増えている地域ばかりが話題になるのは無理もないことですが、日本全体に寄港する外航クルーズの客観情勢はどうなっているのでしょうか。

トラベルジャーナル2016年4月4日号の特集「激増する訪日クルーズ 恩恵を受けた地域、受けない地域」は、それを知る手がかりとなります。

ざっと同特集のポイントを整理してみましょう。

まず特集の冒頭で告げられる以下の一文に注目です。「訪日クルーズ旅客数が、昨年始めて100万人を突破した。20年に100万人の政府目標を5年も前倒しで達成した背景には、受け入れ環境整備の成果だけでなく、中国市場の急拡大がある。果たして、地域にはどのような影響を及ぼしているのか」。
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そうなんです。昨年日本を訪れた外国人旅行者のうち、約100万人はクルーズ客船で寄航し、上陸した人たちなのです。その数が多いかどうかはともかく、2015年の寄航数は昨年の1.5倍増(965回)、乗客数になると3倍増(111万6000人)に近い勢いで伸びたことがデータで示されます。

国土交通省が制作した以下のサイトをみると、クルーズ寄港地がわかります。2015年の寄航回数のランキングは以下のとおりです。

1位 博多(245回)
2位 長崎(128回)
3位 那覇(105回)
4位 石垣(79回)
5位 鹿児島(51回)
6位 神戸(42回)
7位 横浜(37回)
8位 佐世保(34回)
9位 広島(25回)
10位 大阪(18回)

CRUISE PORT GUIDE OF JAPAN
http://www.mlit.go.jp/kankocho/cruise/jp/

このランキングを見れば一目瞭然、上位を占めるのは九州と沖縄で、それぞれ中国発、台湾発のクルーズ客船が寄航回数を押し上げていることがわかります。

なかでもトップの博多港への外航クルーズ寄航回数のデータは以下のとおりです。

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東日本大震災の2011年と尖閣問題が再燃した2012年9月以降の影響で13年に数を減らしているものの、14年から15年にかけて2.5倍の伸びを見せています。福岡市では、「平成27年博多港寄港クルーズ船乗客実態調査」を実施していて、以下のような興味深い指摘をしています。

①乗客一人当たりの平均消費額 10万7000円
②福岡での購入品目 1位化粧品 2位健康食品 3位お菓子 4位医薬品 5位電化製品
③乗客の女性比率が61%と高く、30代と50代が多い。
④乗客の在住都市は上海が4割と最大だが、地方都市も増えている。
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15年博多港寄港クルーズ船乗客実態調査
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/52066/1/cruise.pdf

この調査からうかがえるのは、10万円超という買い物購入額がクルーズ旅行商品を成り立たせていること。購入品目の大半がドラッグストア系商品であること。30代と50代が多いということは、1980年代生まれの「80后」世代とその親の世代のファミリー旅行がメインの客層として想定されること。そして、すでに半分以上は、上海以外の地方都市の住人であることがわかります。

ところで、同特集は次のようにも述べています。

「16年の寄航予定数は400回は箱崎ふ頭も駆使した格好で、博多港のキャパシティーはほぼ飽和状態にあるといえよう。そんななか、福岡市はポートセールスでやみくもに寄航回数を増やすのではなく、ラグジュアリータイプの船や日本人の海外クルーズを伴う寄航を促進するなど、利用者の幅を広げる施策にシフトしている」。

福岡市のクルーズ関係者に今年初め、話を聞いたことがあるのですが、やはり中国発クルーズ客船の勢いはすざまじいものがあり、今年は400回の予約がすでにあり、来年は700回などといわれているそうです。しかし、中国人不法ガイドに代表されるさまざまな問題をはらんだ中国発クルーズがこのままいつまで持続可能性のあるビジネスとしてあり続けるのか、中国側の事情もよく見ていく必要があるように思います。

さて、同誌では、逆に寄航回数が減少している北海道の事例も紹介しています。

同誌によると、北海道に寄航するクルーズ客船数は14年に過去最高の157回となりましたが、15年に半数以下の69回に落ち込みました。急増・急落の要因は、外国船社の寄航数の増減によるものだといいます。九州でこれだけ増えている中国発クルーズ客船は、長くても1週間程度のカジュアルクルーズがメインであるため、北海道は距離的に遠く、寄港地の候補からはずされているといいます。
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同誌はさらに次のような面白い指摘をしています。

「訪日クルーズ拡大は、日本人のクルーズ市場にも少なからぬ影響を及ぼしている。華やかな大型客船の寄航によるクルーズ旅行への関心の高まりが期待される一方で、日本人の乗船機会が奪われるとの懸念もある」。

これはどういうことでしょうか。
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実は、日本人のクルーズ旅行市場は、2000年代からずっと伸び悩んでいます。日本人にとってクルーズ旅行は「高価な贅沢旅行」「退屈」「船酔い」といったネガティブなイメージを引きずっているのだといいます。

中国発クルーズの増加は、日本人にクルーズ旅行は必ずしも「贅沢」とは限らないことを教えてくれたという功績はある一方、一部とはいえ寄航回数の激増した港のキャパが飽和状態だとしたら、日本人のクルーズ旅行にも支障が出るおそれがあるというわけです。同誌は触れていませんが、いくらカジュアルクルーズだからといって、中国客がたくさん乗船している客船には乗りたくないという気持ちも出てくる気もします。

日本のクルーズ市場を取り巻く客観情勢をざっと眺めてきましたが、寄港地でのさまざまな取り組みがもっと注目されてもいいと思います。もし機会があったら、長崎や鹿児島、北陸などを訪ねてみたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-11 09:02 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 04月 09日

多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた

ここ2回ほど、上海のコンビニがいまどんなことになっているかについて書いてきました。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活
http://inbound.exblog.jp/25642955/

ところで、上海滞在中、どうしても気になるのがPM2.5です。毎日がそんなにひどいというわけでもありませんが、1週間ほど滞在していると、必ずやばい日があります。朝ホテルの窓から外を見ると、空は真っ白。現地に住んでいる日本人は「もう慣れっこだから」と苦笑いしますけど、たまに行く人間は、どれだけのど薬やマスクなどで万全の対策をしていても、やはり心配の種はつきません。

①ドラックストア商品も充実

その点、日系のコンビニには、たいていPM2.5予防用の高機能マスクも置かれているので安心です。ただし、香港製で1枚32元(550円)と安くはありませんけれど。
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ほかにも、スキンケアやシャンプーなどの女性向けドラックストア商品も揃っています。
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男性向けも店によってはけっこうあります。ただし、やっぱり日本で買うのに比べると割高ですけれど。
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それでも、乾電池や細かなPC用具、ステイショナリー類など、旅先であると助かるアイテムも事欠かないのが、いまの上海コンビニです。
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現地生産のポッキーなどのお菓子類も豊富です。
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日系なら、ワインも日本と同様揃っています。1本100元(1800円)くらいで、こちらも日本より高い印象です。
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②物販以外の便利なサービス

これまでは日系コンビニの品揃えの話でしたが、上海コンビにはローカル系も含め、物販以外にも使えるサービスが充実しています。

たとえば、携帯の無料充電器。これはけっこうありがたいものです。この種の携帯まわりのサービスについては、たぶん東京より上海のほうが進んでいる気がします。
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上海の日系および前回紹介した3大ローカル系コンビニ(好徳、快客、喜士多)などでは、たいてい店舗内にこのような多種多彩のサービスを行う端末が設置されています。
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これはある好徳の店舗の端末機です。メニューをみると、わかりやすいところで、中国の高速鉄道や飛行機の予約ができたり、携帯やゲームのポイント、地下鉄カードのチャージ、公共料金の支払い、意外なところでは、交通違反の罰金の支払いなどもできます。中国最大のEC企業アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスもあります。この種のキャッシュレスの普及は、日本より進んでいると思われます。
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この端末機を使って中国専用で使っている携帯のポイントをチャージしてみました。支払い方法は、銀聯カードと微信と支付宝から選べるようになっています。現地に住んでいるわけではないのですが、もうだいぶ前につくった銀聯カードで決済しました。携帯のポイントチャージは、以前ならコンビニやキオスクなどで専用カードを買って、移動通信に電話をして暗証番号を入力するというやり方でしたが、いまはコンビニの端末で簡単にできてしまいます。
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この種の端末がないコンビニでも、地下鉄カードのチャージができる店もあります。この上にカードを載せて、必要な金額だけレジで払えばチャージ完了です。上海ではコンビニが生活のインフラとなっているというのはこういうことです。
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上海のコンビは表向き中食を中心としたPB(プライベート・ブランド)で競い合っているように見えて、その実こうした決済サービスができる店とそうでない店で、おおかた決着がついてしまっています。この種のサービスの種類の豊富さでいうと、ローカル系のほうが日系より優っているように見えます。

③ポイントサービスや宅配も上海流

日本でも顧客の囲い込みのため、コンビニごとにポイントのためられるカードを発行していますが、上海では、すでに携帯が決済だけでなく、ポイントの受け皿になっています。
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たとえば、ローソンでは店頭のポスターやレシート、ウエブサイトに記載してあるQRコードをスキャンすると、アプリがダウンロードできます。そして、10回購入すると、弁当やおにぎりなどの無料クーポン券がもらえるサービスを始めています。ただポイントをためて割引に使うというようなことでは、上海の消費者は満足しないそうです。それより直接商品をプレゼントするほうが効果があるというのです。
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APP STOREのアプリ『罗森点点』はこのQRコードをスキャンします。こうしたことが可能なのも、日本に比べ携帯アプリなどの決済サービスが普及しているからなのです。
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さらに、驚くべきは、コンビニのコーヒー宅配サービスです。これはセブン・イレブンの宅配サービスです。
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上海ではあらゆるものがECで購入できる環境が整いつつありますが、それが可能となるのは、運び屋であるバイク便の兄ちゃんたちが大勢いるからでもあります。こういうことは、上海のような都市戸籍/農村戸籍(あるいは外地戸籍)という、公然とまたあっけらかんと2つに階層化された社会でなければ実現できないものだと思いますが、現にそれが実現してしまっているので、ただただ驚くほかありません。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

とまあいろいろ裏の事情もありますが、上海のコンビニが進化していることはおわかりになったと思います。このような便利な消費社会を生きているのが上海人であるということを知っておくことは必要です。なぜなら、日本に旅行に来るのは、当然これらのサービスを日常的に使っている側の階層の人たちだからです。だとしたら、彼らは日本に来て、ずいぶん不便だなあと思うかもしれません。だからといって、彼らにどこまで合わせるかという話はまた別のことですけれど。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 20:19 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活

上海にはローソンやファミマ、セブン・イレブンなどの日系に加え、さまざまなローカル系コンビニがひしめいています。前回書いたように、数の上ではローカル系のほうが多数派です。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

正直なところ、日系に比べて店内は明るくない印象だし、商品の陳列もさえないし、愛想のよくない店員もいるのがローカル系ですが、この際いろいろ比べてみようということで、訪ねてみました。コンビニほど地元の人たちの暮らしが見えてくる場所はないと思ったからです。

まず、上海の主なローカル系コンビニ・チェーンを紹介しておきましょう。以下の3つは、上海の3大ローカルチェーン。街角でもよく見かける、市民生活には欠かせないインフラといえるでしょう。
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好徳(Hapde)
上海のローカル系で最大勢力のチェーン。
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快客(Quik)
地下鉄駅構内にも出店しているのでよく目につく上海資本のチェーン。
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喜士多(C-Store)
台湾資本のチェーンで、イートインが他と比べ充実しています。

これ以外にもいろんなチェーンがあります。「可的」は確か「好徳」と同じ系列のチェーンだったと思います。店舗のイメージカラーは明るめのグリーンとオレンジというローカル系の中では最もポップな印象です。
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ここまではまだいいほうなのですが、ローカル系の中には「おやっ、これは?」と一目でわかるようなあやしげなチェーンも散見されます。
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この「全佳」というのは、ファミマの中国名が「全家」であることから、パクリ系だと思われても仕方ありませんね。そのくせ、黄色に緑、オレンジという3本色こそ微妙に違うものの、セブン・イレブンに似てます。中国らしいといえば、いえるかも。
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ほかにもこの「良友集団」や「上海如海超市」などもローカル系です。おそらくこれらはもともと雑貨店だったものがフランチャイズされたケースが多そうです。
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さて、これらローカル系コンビニで販売されている商品群は、日系とはかなり毛色が違っています。

なかでも代表的なのが、レジのそばにたいてい置かれている「茶たまご (茶葉蛋)」ではないでしょうか。お茶の葉と醤油で卵をゆでたもので、中国ではポピュラーなおやつです。今回初めて試食してみたのですが、特に変わった味ではありません。ただゆで卵を食べる習慣がない日本人は、ちょっとグロテスクに見えなくもない色形から敬遠するかもしれません。
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商品棚を見ていきましょう。これは中国人の好きな干し梅や干しブドウです。やはりローカル色たっぷりですね。
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カップラーメンの種類が驚くほど豊富です。日清のUFOや韓国の辛ラーメンもありますが、大半はローカルブランドのようです。
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伴麺というのは、上海の汁なし麺で、ひき肉とかいろいろからめて食べるものです。ご当地カップ麺を試してみるのも悪くないかもしれません。
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お酒のコーナーは、上海らしくお米が原料の黄酒(日本では老酒というのが一般的か)、いわゆる紹興酒系のお酒がたくさん並んでいます。ぼくは「石庫門」という上海の租界建築の様式の名の付けられた黄酒をときどき買って飲んだりします。とても飲みやすいお酒です。
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つまみ系も、日系にはない、真空パック系のディープな世界が広がっています。
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さて、ローカル系コンビニにも、最近はイートインができています。なかでも台湾系の喜士多(C-Store)は充実しています。
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ここではどんな中食メニューが味わえるのか。これが弁当コーナーです。きれいにパッケージされてはいるのですが、なぜか中身が見えないようなものも多く、ちょっと手が出ません。
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中食という意味では、ローカル系コンビニのフードコーナーは多彩です。おでんはもちろん、フライドチキン、ソーセージなど、立ち食いジャンクフードが大量にありますね。
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ゆでコーンやちまきがあるのも、ローカル系らしいです。前回、上海に屋台がなくなり、代わりにコンビニが中食の提供先になっているという話をしましたが、こうしたラインナップにそれがうかがえますね。
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最後に弁当やフードコーナーの食べ物をまとめて撮ってみました。ピリ辛おでんや中華そうざい2色弁当、とんかつカレーとドリンク類を選んでみたのですが、どうでしょう?
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正直な感想としては、これだったら安い食堂でワンタンとかぶっかけ飯でも食べたほうがいいかな、という感じでしょうか。
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スイーツ系もいろいろあったのですが、こちらは弁当以上にいただけませんね。見かけはだいぶ日本のコンビニスイーツに似てきたのですが、口入れると、うん? どうしてこういう味になってしまうのか。よくわかりません。

やはり弁当やスイーツといった中食は、中国に比べはるかに日本が進んでいることは間違いないようです。いまだに中国系エアラインの機内食はおいしくないのも、製造技術と工程に難があるからだと思います。

もっとも、PBフードに関してはいまいちのローカル系コンビニですが、日本より進んでいるサービスもあるのです。その話は、次回にしましょう。


多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25643288/
 
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 18:47 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた

今日も、上海出張の続きです。これまで上海のEC(ネットショッピング)が日本をはるかに上回る勢いで普及していることや、6月中旬にオープン予定の上海ディズニーの話、昨年ついに上海の訪日旅行市場で団体客の数を個人客が抜いた話などを書きましたが、今回は上海のコンビニの話です。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?
http://inbound.exblog.jp/25638388/
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今日の上海に住む人たちがどんな消費生活を送っているか。それを理解するうえで、コンビニ事情を紹介するのは意味があると考えるからです。インバウンドに関心のある人たちにとっても、中国人観光客の嗜好や行動について知るうえで役立つと思います。

①日系vs.ローカル系の構図も変化

さて、いま上海にはどのくらいの数のコンビニがあるかご存知でしょうか。

すでに6000店を越えるコンビニがあるそうです。上海のまちを歩いていると、東京と同じくらいの比率で、コンビニに出会います。「開いててよかった」は日本で初めてセブン・イレブンが営業開始した頃のコピーですが、いまや上海でも市民生活のインフラとなっているのです。

数でいうと、全体の4分の3くらいは地元中国のコンビニが占めますが、日系のコンビニも年々店舗数を増やしています。日系では、ローソンとファミリーマート、セブン・イレブンがあります。ただし、ファミマとセブン・イレブンは台湾系の資本で、数はファミマが約900店、セブン・イレブンが約100店、ローソンが2015年末現在で390店というところです。
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ローソン http://www.lawson.com.cn/
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ファミリーマート http://www.familymart.com.cn/
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セブン・イレブン http://www.7-11.com.tw/in/cn.html

なかでもファミマとローソンは積極的に出店を拡大しています。セブン・イレブンのみ、内部にいろいろ事情があり、伸び悩んでいます。これは先ごろの日本のトップが退陣した話とは関係ありません。

一方、ローカル系コンビニは、ここ数年減少傾向にあります。理由は、上海における高速度のECの普及とも関係がありそうです。上海の小売業は、コンビニに限らず、百貨店もスーパーも苦戦しているのです。

それでも、日系コンビニが出店を拡大している背景には、2000年代半ばくらいからの地下鉄網の急速な拡大で通勤圏が広がり、各地にベッドタウンができ、出店チャンスが広がっているからです。なぜローカル系は減少しているのに、日系は伸びているかというと、やはり販売している商品のクオリティが上海市民に評価されているからでしょう。かつてはローカル系に比べ高いといわれていた日本の商品も、上海市民の所得の向上により、いはゆる「日常買い」の対象になってきたのです。日系vs.ローカル系の構図にも変化が起きているのです。
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中国人観光客の「爆買い」の理由も、要するにこういう話なのです。彼らは、もはや日本の商品はそんなに高いとは感じていない。ローカル商品より高くても、品質がよければ日本の商品を選ぶのです。

②キラーコンテンツとしてのPB~弁当とベイカリー

日系コンビニのキラーコンテンツは、独自のプライベートブランド(PB)商品といえます。それは何かというと、専用工場でつくられる弁当やベイカリーです。少し前までは、日本人の感覚からすると、上海コンビニの弁当やパン類はわざわざ買って食べるものではありませんでした。はっきり言って、味が落ちるからです。安くておいしい食堂やレストランはいくらでもあるので、コンビニ弁当という選択肢は考えられなかったからです。

たとえば、上海ローソンのPBコーナーはこんな感じです。もう見かけは日本とほぼ変わりません。中身は日本と同じものもあるけど、中国オリジナルのものもたくさんあり、手にとって比べてみたくなります。おにぎりの具は日本にはない中華風調理肉が多いのが特徴です。
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いちばん大きな進化はベイカリーではないでしょうか。棚もおしゃれですし、上海オリジナルとしては、地元で人気のもちもち食感の通称「QQパン」が知られています。
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これはローソンのとんかつ弁当の「香炸猪排花式盒饭」(15.9元)。一見日本の弁当風ですが、中華そうざいが一品入っているのが特徴です。
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日本よりはるかに種類が豊富なのが、肉まんケース。広東式点心から紫芋入りまでローカルの味が楽しめます。 
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③カフェより安くコーヒーが飲めてくつろげる

上海の日系コンビニのありがたいところは、日本と同じドリップコーヒーが味わえることです。なにしろ上海のスタバはカフェラテが500円という世界。しかし、ローソンの場合、アメリカンコーヒー(8元)やカフェラテ(8元)、香港式ミルクティ(5元)、豆乳(3.5元)が味わえます。上海人は濃い目のブレンドがあまり好みではないようで、アメリカンしかないのがちょっと残念です。
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日本でもおなじみのセブン・コーヒーもあります。ただし、上海ではセルフでなく、店のスタッフがコーヒーメーカーでいれてくれます。
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ドリンク系も以前と違って、サントリー「ウーロン茶」以外にも、ローカル製品で甘くないお茶も買えるようになりました。
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アサヒやキリンなどの日本ビールも普通にあります 
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つまみ系も充実しているので、ホテルに帰って缶ビールで一杯のお楽しみもできるのはうれしい。
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④イートインが大繁盛!

上海のコンビニで特筆すべきことは、イートイン・スペースが充実していることです。特に朝と昼どきはイートインが大繁盛! 出勤前に小さなイートインで肉まんと豆乳の朝食をすませるというのは定番だそうです。
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昼もオフィスに帰って弁当を食べる人も多いですが、イートインのテーブルはほぼ占拠され、食堂のようなにぎわいです。
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どこでもそうだとはいえませんが、最近の上海の日系コンビニのイートインは広めで、日本のコンビニと変わらない清潔な店が増えています。日本でもイートインは増えていますが、もともとは台湾で古くから普及していて、4年前くらいから上海でも採用されるようになったそうです。
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その背景には、上海市の条例で屋台などが消え、中食の提供先がコンビニに移ってきていることもあるようです。実際、上海のコンビニでは、朝と昼の売上が高いそうです。

いまや上海コンビは、屋台に代わる中食ステーションとなりつつあります。これだけ豊富なPB商品が安価で提供されていることも大きいです。弁当は1個10元台なので、飲み物を買ってもレストランで食べるより割安です。だから、イートインがにぎわうのです。

もともと中国人は冷たい食事を好まないと言われていましたが、コンビニ弁当でもチンすれば普通に食べる時代になっているのですね。もちろん、これはあくまで経済先進地域であり、しかも味付けなどの食文化が比較的日本に近い上海の事情で、中国の他の地域ではまず当てはまらないことも知っておく必要があるでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 13:35 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 28日

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?

「上班买, 下班收 当日达, 当日用(出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える)」。
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3月中旬、上海の地下鉄車両内で見かけた中国のECサイト「天猫」の広告のコピーです。これは単なる煽り文句ではありません。いまの上海では、ECによる宅配サービスが社会に浸透していて、文字通り、「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況が実現しているからです。

上海の地下鉄には、ホームも通路も車両内も、さまざまなECサイトの広告であふれていて、政府広報を除くと、かつては大半を占めていたアップルやサムソン、高級ブランド系などの海外メーカーの広告よりも数の上では多そうです。7割がたそうではないでしょうか。

たとえば、これは「京東商場」(JD.com)というECサイトの広告です。
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またこれは「1号店」(Yhd.com)というサイトです。
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なかでも圧倒的な広告スペースを誇っているのが「天猫」です。3月はちょうど長い春節休みが終わったばかりの時期だったため、「新学期向け」商品の割引をうたう広告が出ていました。
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全車両「天猫」でラッピングされた地下鉄も走っているほどです。
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「天猫」とは、中国最大のネット企業「アリババ」が運営する越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」のことです。
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天猫国際(Tモールグローバル)
https://www.tmall.com/

「越境EC」については、先週発売された日経ビジネスの以下の特集で次のように説明されています。

個人輸入を含む、国境を越えて商品が取引されるECのこと。中国では、政府がECを使って海外製商品の個人輸入を促進する枠組みを2013年から段階的に制度化。一般貿易と比べて税率が低い、個人輸入の際に課せられる「行郵税」が越境ECにも課せられる。

越境ECサイトの運営会社が上海の自由貿易試験区などの「保税区」に倉庫を設置。そこに海外製商品を在庫し、ECサイトからの注文に応じて中国内の消費者に出荷する。海外から個別に消費者に直送する場合と比べて、保税区の倉庫への一括納入で輸送コストを抑えられる。中国国内の倉庫から出荷するため、配達時間も短縮できる。

課税逃れの並行輸入業者を締め出したり、品質の悪い中国製品に対する消費者の不満をガス抜きしたりするために導入されたと言われる。リスクは突然の税率変更。実際、2016年4月から一部の商品について税率が引き上げられると言われている
」(p30)

日経ビジネス2016.03.21 特集「100兆円市場 中国にはネットで売れ」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/031500264

つまり、いま上海では「天猫」を使えば、日本のドラッグストアで販売されているような商品などが、ECで手軽に購入できるというわけです。

同誌の特集では、中国のEC市場のランキングを載せていますが、「天猫」を運営するアリババが「2位以下を圧倒」しています。
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こうした中国のECビジネスの盛況ぶりについて、コンパクトにまとめられている記事をネットで拾ったので、全文を紹介します。筆者はジェトロの研究員です。

ECビジネス普及で再編期到来 中国流通業界の戦略とは(2015年12月19日 大西康雄(日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5758


中国で流通業界再編の新しいうねりが起こっている。その直接的な契機となったのは、第1にインターネットの普及=ECビジネスの急成長である。

マクロ経済統計では、製造業が軒並み不振な中、全社会小売総額は二桁増を続けているが、その内容を見ると、デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している。

これに対してインターネット小売市場(Eコマース)売り上げ額は前年比で40%以上の急増ぶりを示し、15年上半期の売り上げ額は1兆6140億元で全商品小売額の11%となった。中でも携帯電話などの移動通信デバイス使った移動Eコマースがその4分の1近くを占めている。

第2には、消費者行動の大きな変化がある。特に都市部では、日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景となりつつある。

再編の間接的契機となったのは流通業界自身が、消費需要の把握や業態の近代化で出遅れたことである。確かに家電などの量販店、コンビニなどの先進国型業態が急速に普及したが、規模拡大で利益額を拡大する旧態依然な戦略が主流を占めてきた。消費者の要求が多様化する中で利益率が縮小し、15年上半期には、大手小売企業101社中42社がマイナス成長となった。

業界の対応は様々だ。第1は、店舗数縮小による「損切り」タイプの対応で、健康・美容商品の採活(VIVO)、高級スーパーOleなどを展開している華潤グループが代表例である。

第2は、逆に経営悪化の他店を買収し規模拡大を図るタイプで、チェーンストア大手の北京物美グループがその代表例。同グループは、廉美、新華百貨、江蘇時代スーパーなどを傘下に収め、売り上げを伸ばしている。

第3は、Eコマースを取り入れた新業態を模索するタイプで、これは上記の例を含め業界全体で採用されている。ネット上に取扱い商品を展示し、実体店舗にその実物を置いて消費者に体験させ、注文を受けると宅配で届けるというO2O(Online to Offline)方式はその典型例である。すでにウォルマートは「速購」、華潤は「e万家」というサイトを立ち上げている。

中国の世界に例を見ない規模で進む都市化や消費の高度化は止まることがない。流通業界の挑戦も終わることはないであろう。


ここでも、中国の都市部で「日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景」となっていることが指摘されています。

それが可能となった背景には、アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスの普及があります。
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中国では国際的なクレジットカードを持っている人は多いとはいえませんが、こうした独自の決済サービスを広めたことで、ECの利用が日常化していったわけです。

コンビニなどはもちろん、ジュースの自動販売機などでも一部対応しているのを見かけました(これは余談ですが、上海では日本のように街中に販売機はほぼ置かれていませんが、地下鉄駅構内やホームにのみ置かれています)。
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しかも、その普及ぶりは、海を越えた銀座のドン・キホーテでも使えるほどなのです。

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

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実際、上海人の「ライフスタイル」にECは定着していて、高価な外国製コスメや靴、電化製品だけでなく、お弁当やトイレットペーパーなどの日用品まで宅配で届けられているようです。

それを実感する場面として印象的だったのが、上海の知り合いに案内してもらった大学で、学生寮のそばにECで購入した商品を受け取るための特設施設があったことでした。中国の大学生は、基本的に寮住まいです。1部屋に数人が共同生活している環境です。ところが、豊かになった彼らは、ECを使って日常的に買い物をしているのです。
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その大学は、毛沢東の像がいまも鎮座する華東師範大学でした。女子学生が多いことで知られる名門大学です。
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さらに、「饿了吗(おなかすいた?)」というサイトがあり、これは市内のどこにいても近所の飲食店からお弁当や飲み物などを宅配してもらえるECサービスです。今回知人のオフィスを訪ねたとき、このサービスでお弁当を宅配してもらって、一緒に食事をしました。これは中国国内の他の都市部でもかなり普及していて、いまや中国は「出前パラダイス」といえそうです。

饿了吗
https://www.ele.me/home/

同じような話は、前述の「日経ビジネス」の特集でも書かれていました。

上海市の高級住宅地に住む専業主婦の滕綺達さん(45歳)の自宅には、1日に7~8回、宅配便が届く。段ボール箱の中身は、洋服から生活用品、家電から生鮮食品まで様々。どれも滕さんがECで購入した商品だ。

滕さんは11歳と7歳の2人の子供を育てている。忙しい生活の合間にも、スマートフォンを使ってアリババやJD.comなどのECサイトで買い物ができる。中国のECでは、既に5割強はスマートフォンなどのモバイル端末経由の購入。2019年にはこれが7割に達する見込みだ。支払いには、アリババの「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを使用。現金で物を買う機会はほとんどないという。滕さんは、「そのうち、リアルの店舗なんてどこにもなくなるんじゃない」と笑う
」(p30)

この記事は、海外事情をよく知らない読者向けの、ある一面のみを調子よく取り上げた印象がぬぐえませんが、エピソード自体はいまの上海では特別なことではありません。

冒頭の「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況というのも、彼らが自分の勤めるオフィスに日用品の宅配を届けてもらっていることと関係あります。日本ではこうしたプライベートを職場に持ち込むようなことはちょっと考えにくいですが、彼らはそういうことを“気にかけない”文化といえます。つまり、そのような人が職場にいても、他人事として受け流すのが中国人社会なのです。これも中国でECが普及する背景のひとつでしょう。

こうしたことから、いまの上海では(中国では、とまではいえません)、日本に比べてはるかにECが身近なものとなっていることがわかります。

でも、話はそこで終わりません。

こうしたEC化の過度の促進は中国のリアル経済にとって良いこととはいえないと指摘する声は多いと聞きます。実際、前述のジェトロ研究者の記事でも「デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している」と指摘しています。ECがもらたす市場環境の変化から、これら巨大な売り場を必要とする業態が苦戦しているというのは世界的な現象ですが、中国は2000年代以降、いわば国を挙げた「不動産立国」と化してハコモノを量産し、GDPを増やしてきた国ですから、現状のように、全国どこでも高級ショッピングモールが閑古鳥という状況は、やはり心配なわけです。マクロ経済が不振となった根本的な問題が解決されているのではないからです。

それに、今回上海のECサービスのさまざまな便利さを体験し、その実情を垣間見てきたぼくがいちばん感じたのはこれです。

いったいECサイトで注文した商品を誰か運んでいるのか?

そりゃそうです。社会が便利になるためには、誰かがそれを支えているわけですから。そしてそれは、宅配便のバイク兄ちゃんたちなのです。 

実際、いまの上海の路上は、バイク便だらけです。彼らの多くは、建設労働が一段落したこの都市に居残ったと思われる上海戸籍を持たない地方出身者であることは間違いないでしょう。なぜなら、驚くほど安価でバイク便が運営されているからです。

この写真を見てください。いったい一度に何個の荷物を運ぼうとしているのでしょう。
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中国のECサイトを見ると、宅配手数料はわずか5~15元(100~200円)程度です。それで、利益を上げるためには一度にひとりが多くの荷物を運ばなければならないでしょう。ちなみに、日本のバイク便の料金相場をネットでみると、距離や重さで細かく料金が分かれていましたが、上海の10~30倍です。もちろん、ひとり1個が基本でしょう。人間ひとりの人件費で考えれば当然のことです。
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もちろん、中国にはたくさんの宅配業者があり、バイクだけが荷物を運んでいるわけではありません。問題はバイク便の彼らがどのような雇用条件で働いているかです。
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日本でもアマゾンの躍進は宅配手数料を引き下げています。しかし、それがどこまで可能かは、結局、荷物を運ぶ人たちの労働環境がどこまで担保されるかにかかっていると思われます。

それを考えると、中国のような地方出身者を外国人労働者同然に使える特異な階層社会でしか、現在上海で実現しているようなECサービスはありえないのでは、と思ったのも事実です。彼らのやることなすこと、持続可能性がどこまで考慮されているのか。それとも、彼らの存在はドローン宅配便が実現化するまでの時間つなぎということなのでしょうか?


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by sanyo-kansatu | 2016-03-28 09:52 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 09日

成都のイトーヨーカドーと伊勢丹は気軽に旅行に行けるようになった日本のイメージと重なって見える

2月中旬に四川省の成都を訪ねたとき、足を運んでみたかった場所があります。イトーヨーカドーと伊勢丹です。

理由は、以下のネット記事を読んでいたからです。

反日デモでイトーヨーカ堂がほとんど無傷だった理由
http://diamond.jp/articles/-/31996

2012年の荒れ狂った反日デモの渦中で、日系ショッピング施設でありながら「無傷」だったというのはどういうことなのか? 

ひとりの中国通の日本人経営者の存在があるようです。

詳しくはこの記事を読んでいただくとして、これ以外にも、2012年頃に配信されたネット情報をみると、同店が現地でいかに受け入れられているかを知ることができます。

城取博幸の 中国 成都のスーパーマーケット見聞録
https://www.shirotori-f.com/sp/data/21seito.pdf

場所は、成都市中心部に位置する天府広場に近い繁華街である利都広場にあります。
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これがイトーヨーカドーです。隣に伊勢丹があります。日系ショッピング施設が仲良く並んでいるのでした。
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まずイトーヨーカドーの中に入ってみましょう。
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なんだか日本のイトーヨーカドーみたいな雰囲気です。このセールの感じもそう。
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店舗は5階までで、1FにZARAが入っています。
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「新学期セール」をうたっていますが、中国では新学期は7月からのはず。どういうことでしょう。
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「朝9時から夜10時半まで」とは、さすが夜遊び好きの成都らしい営業時間です。
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成都伊藤洋华堂
http://www.iy-cd.com/

イトーヨーカドー海外店舗
https://www.itoyokado.co.jp/store/abroad.html

イトーヨーカドーが現地政府の要請で成都に開業したのは、1996年のことだそうです。現在、成都に6店舗。北京にも5店舗あるそうです。

さて、伊勢丹はどうか。8階建てで、日本食レストランも入っています。店内は、日本の地方の百貨店の雰囲気に近いです。
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ぼくは、上海や天津、そしていまは撤退してしまった瀋陽の伊勢丹にも足を運んだことがありますが、もしかしたら成都の伊勢丹がいちばんカジュアルというか、地元になじんでいる印象がありました。こちらは2007年の開業だそうです。
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成都伊势丹百货
http://www.isetan-chengdu.com/

伊勢丹海外店舗
http://www.imhds.co.jp/company/department_overseas.html

面白いのは、伊勢丹の周囲に屋台が出ていることです。これも成都らしいのかもしれません。
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ここに来るとき、ぼくは地下鉄を利用したのですが、2号線春熙路駅を降りると、地下から上海や北京にあるようなクールなショッピングモールにつながっていました。そこには海外の高級ブランド店が入っています。
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この高級ショッピングモールが伊勢丹の目の前にあるのです。おそらく数年前にできたというところでしょう。

これを見たとき、ふと思いました。ある時期まで、イトーヨーカドーはともかく、伊勢丹はこの街で最も輝いていた瞬間があったのだろうと。しかし、いまではプラダの入った高級ブランドショッピングモールができる時代を成都も迎えている。これじゃ伊勢丹の輝きもうせてしまったかもしれない…。

ところが、これらの高級モールにはそれほど客の姿が見えないのです。

こちらは重慶の最もにぎやかな解放碑という繁華街にある「協信星光広場」という高級ショッピングモールです。こういうの、よく北京や上海でも見かけます。でも、客はほとんどいません。その周辺の繁華街には人があふれているのに、です。
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中国もいまや低成長の時代を迎えています。2000年代のように高級ブランド品がバンバン売れる時代ではありません。これらのバブルな施設の命運は尽き果てそうな気配です。

今回、これらを見て思ったのは、ここ数年の高級モールの登場で色あせたかに見える伊勢丹は、成都の人たちにとって気軽に旅行で行けるようになった日本のイメージと重なって見えているのでは、ということでした。それは、日本が彼らの手の届く存在になったということです。

それは悪い話ではないと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-09 17:48 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 03月 09日

ここまでやるとあっぱれか!?  銀座Laox vs.ドンキお土産商戦の一幕(続き)

春節のころ、中国人観光客専用免税店のLaoxに対してドン・キホーテ銀座本店が「徹底対抗」宣言していた話を以前書きましたが、3月に入って再び銀座を訪ねてみると、さらに過激化の様相を見せていました。

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/
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これを見てください。ドン・キホーテ銀座本店の裏手の入り口に、中国客に人気といわれる日本のドラッグストア系商品のLaoxと同店の価格比較が貼り出されていたのです。
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たとえば、胃腸薬の「キャベジン」は「ドンキでは1980円+税だが、Laoxでは2500円+税」、風邪薬の「パブロンゴールドA」は「ドンキでは1480円+税だが、Laoxでは1980円+税」というのです。

いやいや、商魂逞しいとはこのことか。ビジネスモデルの関係で必ずLaoxに立ち寄らざるを得ない中国の団体ツアー客に向けた強烈アピールといえるでしょう。中国客こそ、そのカラクリをいちばんよく理解している客層だからです。

ここまでやると、あっぱれ!? というべきでしょうか。

もっとも、その隣のラックに多国籍語のチラシが置かれていて、中国語簡体字、繁体字、ハングルのみならず、タイ語まであることから、ドン・キホーテは中国人団体客のみならず、広く多国籍の客層を視野に入れて商売しようとしていることもわかります。
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こういうディティールにこそ、ニッポンのインバウンドの実態が透けて見えてくるところがありますね。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-09 09:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)