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2016年 02月 23日

中国の市販薬のパッケージは確かに地味でした(これも日本のクスリが人気の理由)

日本薬粧研究家の鄭世彬さんの著書『爆買いの正体』(飛鳥新社)の88ページにこんな記述があります。

「これまで私はコスメショッピングガイドの執筆のため、何百、いや何千という日本の製品をチェックしてきました。何より感心しているのは、計算され尽くしたパッケージのデザインです。クスリを入れる紙箱ひとつとっても、決して適当につくられていないからです」(2章 日本人が知らない日本のすばらしさ)

これを読んで、そんなものかなあと思う人は多いでしょう。ぼくもそう思いました。しかし、彼はこう書いています。

「なぜなら、台湾の市販薬のパッケージに比べると、その違いは歴然としているからです。最近少し改善されてきたのですが、たとえば目薬なら、これまでの台湾のパッケージは白っぽい単調な色合いばかり。紙箱に目のイラストがただ描かれていて、適応症を説明する文字がいくぶん強調されているだけのものがほとんどでした」(同上)

『爆買いの正体』(鄭世彬著 飛鳥新社)
http://goo.gl/DXhOMa

一度鄭さんに聞いたことがあります。

「でも、香港や中国にはワトソンズ(屈臣氏)があるじゃない。台湾にもあるでしょ」
「でも、あそこはコスメがメインのイメージがあります。日本のドラッグストアにあるような市販薬はあまり置いていないんですよ」
「そうなの?」

【アジアクリック】アジアNo1のドラッグストア「ワトソン」から学ぶ、日本以外の選択肢
http://asiasns.jp/dragstore-1941

※この記事によると、ワトソンズは薬も販売しているようですが、確かに日本の市販薬はあまり見かけたことがない気ががします。だいたいワトソンズの商品って日本に比べるとちょっと高い気がしますしね。

そんなことがちょっと気になっていたので、先日中国に行く機会があり、薬局を覗いてみることにしました。

ここは四川省成都のごく一般的な薬局です。
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店舗は日本のドラッグストアとさほど変わらない広さです。店内は効能別に分けられたコーナーごとに市販薬が並んでいるのですが、確かに地味というか…。まあ薬局なんてこんなもんじゃないかと思いつつ、日本のドラッグストアの華やかさをあらためて思い出しました。
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これ風邪薬のコーナーです。
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こちらは消化器系。
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美容関連のコーナーもありますが、鄭さんのいうように、白地のパッケージにちょっとした図柄は入っているものの、基本は文字がのっているというデザインが基本のようです。
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あっ、でもちょっと色のついた日本っぽいパッケージもいくつかあります。
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これはビタミン剤ですね。
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こちらは中国製の日焼け止めの乳液みたいです。広州のメーカーだそうです。さすがにコスメのパッケージは少し垢抜けているんですね。
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Ruvanon(洛华侬)
http://ruvanon.net/

とまあそんなわけで、中国の地方都市の薬局の世界はこのような感じでした。中国客が日本に来てマツキヨはもちろんですが、ドラッグストアの世界に魅せられるというのはわからないでもない気がしました。中国の薬局は単に体調の悪い人が来る場所にすぎないけれど、日本のドラッグストアは健康な人たちにとっても、日々の生活を美しく快適にするために必要なあらゆるアイテムが揃うスポットですものね。ワクワク感があります。

これも日本のクスリが中華圏の人たちに人気の理由といえそうです。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-23 20:04 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 12日

本日、鄭世彬さん(日本薬粧研究家)の『爆買いの正体』が発売されます

2月12日(金)、『爆買いの正体』(飛鳥新社)という本が発売になります。
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著者は「爆買いの仕掛け人」と称される台湾人作家の鄭世彬(チェン・スウビン)さんで、ぼくは本文構成を担当しています。

鄭世彬さんの肩書は、日本薬粧研究家です。耳慣れないことばですが、文字どおり日本の薬や化粧品、美容・健康商品の専門家で、すでに台湾、中国で11冊の本を上梓している人物です。念のためにいうと、1980年台南生まれの男性です。

内容はひとことでいえば、昨年新語・流行語大賞を受賞した「爆買い」はどうして起きたのか。その背景を台湾人の目を通して語ってもらうというものです。ここ数年メディアをにぎわせていた「爆買い」ルポとはまったく違う内容となっています。「爆買い」の当事者が語る本質を突いた指摘が次々と出てきます。「爆買い」を経済現象としてみるのではなく、民族的、歴史的な背景をもった文化現象として描いていることが本書の大きな特徴です。

さらに、この本は台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書でもあります。なぜ台湾の人たちがこれほど日本の製品を愛好してくれるのか、その理由を熱く語ってくれています。

鄭世彬さんとはちょうど1年前、あるきっかけで出会いました。その後、この本をつくるために何度も彼に会い、話し合ったのですが、日本の美点を語るその内容は少々買いかぶりだと思うよ…。そう戸惑いながらも、彼のまっすぐな日本を見つめる姿にほだされてしまいました。ちょっと内向き、排外的な気分の蔓延するこの国で、彼のことばはみんなを心穏やかにしてくれること請け合いです。

鄭さんについては、以下の日経BPネットのぼくの連載(ニッポンのインバウンド舞台裏)の中でもインタビュー記事として簡単に紹介しています。

「爆買いの仕掛け人」に聞く【前編】 元祖「爆買い」は90年代の台湾人
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012900004/

「爆買いの仕掛け人」に聞く【後編】 買いだめは華人の本能。一過性のものではない
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/021200006/

…とまあそんなわけで、ぜひ本書をお買い上げいただきたい。またお知り合い、ご友人にこの本のウワサを広めていただきましたら、望外の喜びです。

『爆買いの正体』(鄭世彬著 飛鳥新社)
2016年2月12日発売

http://goo.gl/DXhOMa

なにとぞよろしくお願いします。

本書のあとがきとして、ぼくも以下の文章を書いています。そこでは、彼との出会いのきっかけについて紹介しています。

鄭世彬さんとの出会い

 2015年2月中旬、私は上海の書店で一冊の奇妙な中国書を目にした。『東京コスメショッピング全書(东京美妆品购物全书)』と題されたオール4色刷のムック本で、旅行書籍のコーナーで異彩を放っていた。海外旅行が解禁されて10数年がたった中国では、世界一周旅行記や欧州でのヒッチハイク体験記など、ちょうど日本の1970年代に似た海外ひとり旅の体験を披露する旅行書が続々と現れていた。だが、日本の医薬品や化粧品のお土産購入指南という特定の消費分野に絞った、いわば80年代型のモノカタログ的なガイド書を見たのは初めてだった。

 私はこれまで経済成長に伴い拡大するアジア各国の海外旅行市場をウォッチングしてきた。編集者として常に気にしていたのが、海外の同業者たちがつくる旅行書だった。それぞれのマーケットの特性や成熟度、嗜好を表すひとつの指標になるからだ。

 帰国後、日本国内では春節で中国人観光客が「爆買い」する報道でにぎわっていた。当然、私はこの本と中国客とのつながりを直感した。あらためて著者プロフィールをみると、「台南人」とある。やはりそうか、この種の本を書けるのは、いまの中国人ではなく、80年代から長く日本の旅行に親しんできた台湾人だったろうと納得した。

 とはいえ、いったいこの本はどんな動機でどのような人物によって書かれたのか。また読者はどのような人たちなのか…。さまざまな問いが頭をめぐり、私はネットで「鄭世彬」という名を検索した。すぐに彼のフェイスブックページが見つかった。そこで、簡単な自己紹介を添えて彼にメッセージを送ることにした。すると、わずか数分後、彼から返信が届いた。

 以上が私と鄭世彬さんの出会いの経緯である。その先も早かった。彼は3月上旬、新刊の取材のために来日するという。フェイスブックで友だち申請してから10日後のことだった。

 都内の宿泊先に近い小さな喫茶店で話を聞いた。最初に私はこの本の執筆動機について尋ねた。すでに著書のある専門家にする質問である以上、出版の内容とその狙いを問うビジネストークのつもりだったが、彼は意外にも自分の少年時代の日本語との出会いを話し始めた。

 話を聞きながら、どうやら彼はマーケティングとかコンサルティングという領域の人ではなく、作家性をもった人物であると思った。数日後、幕張メッセで開かれていた日本ドラッグストアショーを視察する彼に同行した。すでに彼は多くの日本の医薬品メーカー関係者の知己を得ており、貴重な情報収集の場だったことを知った。彼の取材に協力を惜しまなかった日本家庭薬協会のブースを訪ねると、レトロな家庭常備薬のパッケージが並ぶ展示の片隅に、彼が昨年1月に台湾で出版した『日本家庭藥』が置かれていた。そのとき、彼は自分がいちばん出したかったのはこの本だったと語った。

 同書は日本の家庭薬がこれほど人々の生活に根づき、今日のドラックストアに見られるように文化として花開いた背景に、100年以上続く老舗企業の存在があり、その歴史を日本の医薬品を愛好してやまない台湾の読者向けに紹介する内容だった。これを聞いて、少々大げさかもしれないが、彼はこれからの日本にとって大切な人になるだろうと私は確信した。

 鄭世彬さんは、日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品の専門家であると同時に、自ら「爆買い」する消費者であり、日本における「爆買い」の現場をよく知るフィールドワーカーでもある。何より驚くべきは、彼の発信する情報が10数億という人口を抱える中華圏に広まり、「爆買い」客を誘引したことだ。

 そんな彼が本書で語る「爆買い」に関する認識は我々に多くの知見を与えてくれる。華人にとって「爆買い」は本能である。面子、関係(グァンシー)、血縁を大切にする文化的背景に加え、根っからの商売人気質ゆえに誰もが転売業者のような買い方をする。それがネットとSNSによって想像を超えた拡散効果と購買の連携を生み、中華圏のみならず、東南アジアへと伝播する可能性も示唆している。

 台湾人の中国観や日本に対する熱い思いも正直に語ってくれた。彼と出会ってこの1年、この本をつくるために何度も会い、話し合った時間はとても有意義なものだった。うれしいことをずいぶん言ってくれるけど、少々買いかぶりすぎじゃないか…。このところ自信をなくしかけていた多くの日本人はそう感じるかもしれない。だが、東日本大震災のときに彼がこぼしたという涙に私もほろりとさせられた。この心優しき台湾人作家の日本に対する信認を知るとき、我々はもっとしっかりしなくちゃと思うのである。
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上海の書店に置かれていた鄭世彬さんの『东京美妆品购物全书』
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by sanyo-kansatu | 2016-02-12 08:02 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 10日

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?

春節の2月8日、ドン・キホーテ銀座本店も訪ねてみました。場所は、銀座ナインという首都高下のショッピング街の中にあります。

銀座本店
http://www.donki.com/store/shop_detail.php?shop_id=92

中央通りから首都高沿いに歩いていくと、そこは「春節」商戦真っ盛りでした。
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興味深いのは、入り口に貼られていた「3万円買うと2000円キャッシュバック」キャンペーンです。これはどういうことでしょう? 
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以下の記事によると、「中国大手決済サービス「アリペイ」利用者を対象にしたキャッシュバックキャンペーンだそうです。もともとアリペイはECのための決済サービスですが、中国ではスマホを使って買い物にも使えるようになっているので、これをドンキでも採用しているのです。はたして利用者はどのくらいいるのでしょうか。気になりますね。

ドン・キホーテ、店舗で中国大手決済「アリペイ」導入、春節(旧正月)向けて「888万円」の豪華福袋も(トラベルボイス2016年1月28日)
http://www.travelvoice.jp/20160128-59854
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もちろん、おなじみの銀聯カードも使えます。ただし、銀聯カードは昨年秋、中国政府が突然海外での引き出し額の制限を年間10万元にすること(16年1月1日から)を通達したように、ちょっと旗色が悪そうです。アリババの馬さん、してやったりでしょうか。

中国人“爆買い”にブレーキ? 大人気のカードに引き出し制限、幹部の資金流出を牽制か(産経ニュース2015年10月1日)
http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010029-n1.html

さて、店内は「さすがドンキ」という品揃えと中国語をメインとした外国語表記であふれています。
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中国語やハングル、タイ語までは最近どこでも見かけますが、これはベトナム語でしょうか。
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ここは免税専用カウンターです。
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「爆買い」客は健在ですね。
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さて、今回いちばん面白かったのが、これです。
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「徹底対抗 ラオックス価格」。銀座のドンキは、打倒ラオックス宣言をしていたのです。

こんな話があります。周知のとおり、中国の団体ツアーは、日本に限らず海外の免税店での買い物による売上の一部を手配業者へキックバックすることで成り立っています。それは当然、免税店の販売価格に影響を与えます。それを知っている中国客は、なるべくガイドが連れていく免税店で買い物をしたくないという気持ちがあります。ドンキはそこを突いているのです。

ラオックスは銀座のドンキの目と鼻の先にあります。

これも春節商戦の一幕です。

今年の春節、銀座はそこそこにぎわっていたけれど……
http://inbound.exblog.jp/25347749/
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by sanyo-kansatu | 2016-02-10 18:16 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 02月 10日

今年の春節、銀座はそこそこにぎわっていたけれど……

お台場を訪ねたあと、ゆりかもめで新橋に戻り、その足で銀座の様子を覗きにいくことにしました。2月8日、春節の当日の夕方のことです。

お台場の今年の春節のにぎわいは期待はずれ?
http://inbound.exblog.jp/25341806/
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首都高の新橋出口のあたりまで来ると、バスが何台も停車していて、中国の団体客の皆さんが大勢いました。
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首都高の下で、おそらく同じツアーの人たちの買い物時間が終わるまでの間、外で待っているのでしょう。中国の団体客みんなが「爆買い」しているわけではないのです。自分はもう十分でも、まだ買いたい人がいるから、仕方がないのでここでバスが来るのを待っているのです。
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そこは銀座ナインという首都高下のショッピング街の一角で、肉のハナマサ銀座店があります。その裏にはドンキホーテ銀座本店も。

そのまま銀座の中央通りを7丁目まで歩くと、中国人観光客御用達でおなじみのラオックスがあります。
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撮影に興じる彼らの脇を通り抜け、ラオックスに向かう歩道の中国人密度はおそらく全国一ではないでしょうか。
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ここがラオックス銀座本店です。さすがは春節。にぎわっています。
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ラオックス銀座本店
http://www.laox.co.jp/stores/ginza/
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当然通りは彼らを乗せたバスが列をなしています。昨年メディアで報じられたとおりの光景でした。
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銀座の中国人ツアーバス路駐問題、ついに報じられる
http://inbound.exblog.jp/25169176/

あまりに中国人だらけなので、2014年の年末、ぼくはちょっと心配になってこんな記事を書いています。

クリスマスイブの銀座は中国人だらけで、う~ん(ちょっと気がかり)
http://inbound.exblog.jp/23928070/

でも、もう世間も銀座の7~8丁目あたりは、中国人観光客があふれる場所として認知しているようです。少々騒がしいけれど、こんなに買い物してくれるんだから、よしとするほかないだろうということでしょう。

面白いのは、一眼レフやテレビカメラを抱えた報道人たちも彼らに混じって、この時期必ずいることです。でも、あんな大きなカメラを抱えて店の前に張り付かれるのは、迷惑じゃないでしょうか。…なんて、ぼくも人のことはいえませんけど。
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ラオックスを後にして、中央通りを歩くと、やはり中国人観光客密度は銀座5丁目の晴海通りくらいまで高くなっています。彼らは旅行者なので、いでたちもラフになりがち。おしゃれして銀座を歩く日本人とはひと目で見分けがついてしまいます。
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このとき知ったのですが、銀座メルサの4~6階にもラオックスができていたのですね。ラオックスのHPをみると、現在全国に35店舗あるようです。訪日中国人数の拡大とともに店舗を増やしてきたことがわかります。銀座の一等地にすごいですね。
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ラオックス銀座EXITMELSA
http://www.laox.co.jp/stores/ginzamelsa/
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和光の時計台が見えてきました。相変わらずバスはやって来ます。

銀座三越では、2月2日~16日まで「DISCOVER! TOKYO ~JAPAN POP CULTURE~」という明らかに外国人観光客向けの催事をやっているようです。
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今回、こうして中央通りを歩いて思ったのは、「今年の春節、銀座はそこそこにぎわっていたけど…。まあこんなものかな」という感じでした。期待値が高すぎたせいか、普段の時期とそれほど大きく変わらない印象です。

帰り際、地下鉄に乗ろうと思って地下道を歩いていると、銀聯カードでATMから日本円がキャッシィングできるイーネットの広告が出ていました。
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イーネット
http://www.enetcom.co.jp/

はたして銀座は春節でどれくらい潤ったのでしょうか?

いずれ結果が報じられることでしょうから、それを待つことにしましょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-10 17:06 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 02月 09日

お台場の今年の春節のにぎわいは期待はずれ?

楽天カンファレンスの取材の後、久しぶりにお台場を歩きました。
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楽天トラベル vs. Expedia これからが面白いと思いたい
http://inbound.exblog.jp/25341674/

その日は、まさに春節の2月8日。ところが、思ったほどのにぎわいがないのです。平日とはいえ、これはどうしたことでしょう。
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アクアシティからデックス東京ビーチを抜けて、ゆりかもめのお台場海浜公園駅まで歩いたのですが、中国団体客や中華系の小グループ、欧米人の家族連れなどを数組見かけただけで、ショッピングモール内は閑散としていたのです。
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一部のショップでは、中国語でセールを告知していますが、それほどどの店も積極的にPRしている感じはありません。
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さらに、アクアシティ、デックスそれぞれ春節向けのクーポン券や福袋などを企画しているのですが、あまり利用されていないようなのです。
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アクアシティのインフォメーションの女の子に聞くと「今年は去年に比べ中国人観光客が少ない。どうしてでしょう?」と言います。

確かに、通りにかつてはあれほど路上駐車していたバスの姿も今日は数台しかありません。

中国人団体客の都内での動きに変化が起きているのかもしれません。

どうしてなのか?

これはあくまでぼくの仮説です。中国客の利用するホテルが郊外化することで、彼らが都心で過ごす時間を調整、あるいは短縮する必要が出てきているのではないでしょうか。バスの運転手の労働時間が厳守されるため、以前より早めに都心を出なければならないということもあるかもしれません。そうだとすれば、たとえば木更津のホテルに泊まるような場合は、買い物は都心ではなく、郊外のアウトレットやイオンモールですればいいという話になる。

ラオックスのように中国客が買いたいものだけしっかり揃っていて、まとめ買いできるショッピング施設ならともかく、お台場にあるテナントショップで何を買えばいいのか、みんなよくわからないのではないでしょうか。

このあと、ゆりかもめに乗って新橋まで行き、銀座方面にも足を伸ばしてみました。その話は次回また。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-09 18:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 02月 09日

渋谷公園通りの「ラッキーシェイクキャンペーン」を体験してみた

昨日少し触れましたが、いま渋谷の公園通りでは「Tokyo Prime Shopping 2016 in Shibuya」という商店街のイベントが開催され、外国人観光客向けの「ラッキーシェイクキャンペーン」というのを実施しています。
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Tokyo Prime Shopping 2016 in Shibuya
http://www.koen-dori.com/news/2015/12/tokyo_prime_shopping_2016_in_s.html

これは、キャンペーン期間中(1月2日~2月29日)、外国人観光客が所定の場所(参加店など)で中国版ツィッターこと「微信(WeChat)」を起動し、携帯端末をシェイクすると、アプリ画面上でくじ引きできるというものです。商品総額は200万円、それ以外に参加店舗からの商品券や景品などが当たるそうです。
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公園通りにひらめく大量の旗に書かれた中国語簡体字の「幸运摇出来」は、スマホをフルフルすることで幸福を呼び込もうという意味です。

公園通り商店街のHPによると、このイベントのターゲットや参加店は以下のとおりです。

●ターゲット
中国、台湾をメインエリアとして、それに、英語圏の外国人観光客を加えた、年齢 20~40 代の男女

●キャンペーン参加店舗数 
約900店舗(大型商業施設テナントも1つとしてカウント)
参加大型商業施設、11施設

同商店街では初の試みだそうですが、なかなか大規模なものです。

また協賛・協力に中国系の企業が多いのも特徴です。

●メイン協賛:サイバーマートグループ、FJサイバー株式会社(日本窓口)
●協賛・協力:東方網、東方航空、上海酷活電子貿易、SENSORO、ジャパンショッピングツーリズム協会

基本的に外国人向けのキャンペーンですから、日本人にはあまり関係ないのかもしれませんが、この「ラッキーシェイクキャンペーン」、どこでやっているのでしょうか。

そのひとつのスポットが、昨年オープンした渋谷モディの地下1階です。
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渋谷モディ
http://shibuya.m-modi.jp/

ここ、確か元丸井だったビルです。地下に降りると、そこはHISのずいぶんおしゃれな旅行カウンターとカフェスペースがありました。
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そのずいぶん奥まった場所にキャンペーンカウンターはあり、ひとりの若い女性スタッフがいました。以下、彼女との会話です。

「あのぉ、ぼく日本人なんですけど、できるんですか?」
そう聞くと、一瞬彼女は戸惑いながら、
「ええ、大丈夫ですよ。でもWeChatできますか」

「できますよ。普段よく使います」
「そうですか。それじゃあやり方を教えますね」

「ところで、あなたは中国の人ですか」
「いいえ、台湾人です」
「だったら、普段はWe Chat使わないんじゃない?」
「ええ、まあ」
「台湾のどこの出身?」
「台北の南の新竹市、わかりますか」
「ああ、桃園空港の南の…知ってるよ」
「そうです。あら、うれしいですね」
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そんな会話をしながら、彼女はやり方を教えてくれました。以下のとおりです。

①まずbluetoothを立ち上げる
②次にWe Chat(微信)を立ち上げ、「揺一揺」でシェイクする
③「Tokyo Prime Shopping 2016 in Shibuya」のページをゲットし、3択の宝石箱からひとつを選ぶ。

残念ながら、ぼくはハズレてしまいました。あっけなく。

それを見て気の毒に思ってくれたのか、彼女は当たるとどうなるか、教えてくれました。
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これ、1000円の商品券。
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そして、こちらは109の商品券。
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「ああ、もっとよく考えて選べばよかった…」
「大丈夫。また明日来てください。1日1回なら何度でもできます」
「えっ、そうなの。じゃあまた今度渋谷に来たときやってみようかな。…それはそうと、いま台湾は大変だよね。ご家族や親戚は大丈夫だった?」
「はい、おかげさまで無事です。これから春節というときに、本当に悲しいことです」
「でも、台湾の人は東日本大震災のときに日本をずいぶん助けてくれたから、今度は日本が台湾を助ける番ですね」
「ありがとうございます。そう言っていただくと、本当にうれしいです」

そう言って彼女は、ぼくに台湾製のマンゴケーキをくれました。

「どうもありがとう」
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ほのぼのしたひとときでした。気になるのは、そうやってぼくがキャンペーン体験していた10数分間、ここに現れた外国人はいなかったことです。確かに、ちょっとわかりにくい場所にあると思います。実は、キャンペーンに参加した人は名前と国籍を書くことになっていたので、そのリストを見ると、この日ここを訪れた人は30人くらいでした。

NHKでこのキャンペーンについて報じていたようです。
https://www.youtube.com/watch?v=i9dhgZfdeXI&feature=youtu.be

春節休みの渋谷の通りは中国語簡体字表記であふれていた
http://inbound.exblog.jp/25337935/

【追記】
世の中にはいろんなショッピングキャンペーンがあるものですが、このWe Chatを使ったラッキーシェイク企画を考えたのは、当然中国系の企業でしょう。でも、考えてみてください。We Chatは日本人もそうですし、台湾人もアメリカ人もタイ人も韓国人もほとんど使いません。ちょっと無理のある企画じゃないかと思わざるを得ないのです。国籍別で中国本土の人たちがいちばん買い物すると統計的には指摘されているわけですが、そのような中国人がどれだけ渋谷に来るのだろう。やっぱり彼らは銀座や上野、せいぜい新宿が多いのでは。

最近の中国の人は、自分たちのやり方を押し付け気味の傾向がある気がします。自分たちには便利だとしても、それがどれだけ広い支持を得ているか、見えていないのでは…。おそらくこの企画、ニューヨークでやってもバンコクでやっても、台北でも、ちょっと難しいのではないでしょうか。そんな気がしてなりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-09 10:12 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 02月 08日

春節休みの渋谷は中国語簡体字表記であふれていた

2月6日(土)の昼下がり、ぼくは渋谷と表参道を訪ねました。春節休みのこの時期、渋谷と表参道で中華系の観光客をメインのターゲットとしたショッピングキャンペーンが繰り広げられていたからです。
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渋谷駅を降り、109方面に向かう道玄坂の両サイドには、中国のデビットカードである銀聨カードのキャンペーン旗がぎっしりと並び、はためいていました。
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一方、公園通り方面には、別の旗がひらめいています。こちらは「Tokyo Prime Shopping 2016 in Shibuya」というキャンペーンの旗です。同じ渋谷で、道玄坂と公園通り商店街ではまったく別のキャンペーンを繰り広げているというのも不思議ですが、共通するのは、中国の旧正月(春節)に向けたものであることです。
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公園通りの旗に書かれた簡体字の「幸运摇出来」は、同商店街が主催する「ラッキーシェイクイベント」のことで、キャンペーン期間中(1月2日~2月29日)、外国人観光客が所定の場所(参加店など)で中国版ツィッターこと「微信(WeChat)」を起動し、携帯端末をシェイクすると、アプリ画面上でくじ引きできるというものです。商品総額は200万円、それ以外に参加店舗からの商品券や景品などが当たるそうです。
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東急デパートにも「銀聨カード」の大きな垂れ幕が見られました。
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それにしても、渋谷の街がこれほど中国語簡体字表記であふれたのは初めてのことではないでしょうか。ちょっと驚きました。

もっとも、渋谷を行き交う多くの人たちのうち、このキャンペーンの存在を知っている人はどれほどいたことでしょう。そこが気になるところです。

さて、渋谷のタワーレコードの脇を抜け、キャットストリートを歩いて表参道にも足を伸ばしてみました。

表参道には、一斉に2枚の旗が並んでいました。渋谷と違い、表参道ではVISAカードが協賛するキャンペーンが繰り広げられているようです。
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ただし、こちらは中国語簡体字表記だけでなく、ハングル表記も含まれています。
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そして、この地区のキャンペーン名は「Tokyo Shopping Week 2016 at Harajuku/Omotesando」というものです。つまり、原宿と表参道がタッグを組んだショッピングキャンペーンというわけです。
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外国人観光客向けのスクラッチキャンペーンが実施され、2000名に1000円分の現金が当たるそうです。ラルフローレンの前に小さなテントがあって、外国人観光客は着物姿の女の子と一緒に記念撮影できます。
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渋谷との違いは、銀聨カードではなく、VISAカードが協賛していることもあり、必ずしも中国系の観光客だけがターゲットではないようです。とはいえ、この時期、中国本土以外の台湾、香港、東南アジア華人なども多く訪日するわけですから、本土客向けに簡体字を前面に出すのは控え、広い対象に向けてキャンペーンを実施したというのが、原宿・表参道の考え方だったのでしょう。

もっとも、こちらでも思うことは、表参道を行き交う人たちのうち、どれだけの人が……、でしょう。

この日は土曜でしたが、昨年のイースター(4月上旬)に渋谷や表参道を訪ねたときのほうが圧倒的に人通りは多かったと思いますし、外国人観光客ももっと目に付いた記憶があります。

イースターも近い原宿では非英語圏の言葉があちこちで聞かれた
http://inbound.exblog.jp/24322287/

イースター休みに渋谷スクランブル交差点に出没した外国人をシューティング
http://inbound.exblog.jp/24348359/

はたして渋谷と表参道のキャンペーン、どれだけの効果があるものでしょうか。

実は、例の「ラッキーシェイクイベント」、外国人でもないぼくはこっそりやらせてもらいました。その話は次の機会に。

渋谷公園通りの「ラッキーシェイクキャンペーン」を体験してみた
http://inbound.exblog.jp/25340545/
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by sanyo-kansatu | 2016-02-08 11:22 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 01月 31日

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる

いま日本で最もインバウンドが熱い場所はどこなのか?

それは大阪です。

去年と今年の正月明け(あと去年の夏も一度)にぼくは大阪を訪ねています。大阪のインバウンドの現場をウォッチングしたかったからです。もともと自分は大阪にはほとんど土地勘はなかったのですが、ありがたいことに、大阪のインバウンド事情にこれほど通じている人はいないという心強い地元の案内人がいます。中国語通訳案内士の水谷浩さんです。

訪日旅行市場最大の中国語通訳案内士の現場は大変なことになっていた
http://inbound.exblog.jp/24486566/

2日間をかけて大阪のインバウンドスポット、すなわち外国人ツーリストがよく現れる場所を案内していただきました。それは、主に以下のエリアでした。

大阪駅周辺
新世界
日本橋
心斎橋商店街
黒門市場
船場
中崎町
富田林

※実際には大阪城やUSJもあるのですが、当たり前すぎるので、訪ねていません。
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一般に大阪は以下の5つの観光エリアに分けられるようです(大阪観光局発行公式ガイドブック参照)。

キタ・中之島エリア
大阪城エリア
ミナミエリア
天王寺・阿倍野エリア
ベイエリア

しかし、たいていの外国人旅行者は土地勘などなく、キタとミナミの違いもよくわかっていませんから、この日本人にはなじみのあるエリア区分はあまり意味をなしません。ただ特定の関心ある目的地にピンポイントで足を運びます。ひとつの特徴あるエリアを街区の連なりとして理解するには、しばらくその土地に住むなり、相当なリピーターにでもならないかぎり、難しいことだからです。その点、ぼくは外国人と立場はたいして変わりません。自分が外国人ツーリストになった気分で、水谷さんの案内してくれる大阪を楽しむことができました。

水谷さんが案内してくれた個別のエリアについては、追々紹介していくとして、大阪を歩いていると東京との違いをいろいろ知ることができました。

まずいちばん驚いたことは、心斎橋商店街をはじめとした延々と続く商店街の連なりと人ごみの驚くほどの多さです。大阪は地下街もすごいのですが、やはり東京にはこういうタイプの商圏はありません。せいぜい銀座がホコ天になったときとか、あとはあっても私鉄沿線の商店街くらいか。全然スケールが小さいのです。大阪のようにアーケードの商店街がどこまでも続く世界は、海外を探してもそんなにないのではないでしょうか。

もうひとつは、それとも関連するのですが、大阪は東京に比べまちがコンパクトなぶん、キタから天王寺まで歩いていけること。その間、商店街が名前を変えて接続していることも面白いですし、個性の異なるエリアを歩いて縦断していけることです。水谷さんは、こういう大阪の特徴をフランス菓子のミルフィーユにたとえてこう言います。「大阪はいろんな違う味がミルフィーユのようにつながる構造になっている。だから、歩くとその変化が面白い」と。なるほど、東京にも異なる個性を持ったエリアがいくつもありますが、大阪に比べて広いぶん、それぞれ点在していて、歩いてその違いを味わうというようなことは、そりゃできなくはないかもしれませんが、大阪ほどたやすくはありません。結局、地下鉄をどう乗り継ぐかということが、東京散策のポイントになりますが、大阪では1日かけて歩いて回ることもできない話ではない。

こういう都市のスケール感というのは、どちらかというとアジアというより、ヨーロッパの都市に近いといえるかもしれないことです。外国人ツーリストにとって訪れた都市がある程度コンパクトであるということは、魅力につながるものです。なぜなら、初めて訪れた人間にも全体像が把握しやすいからです。把握しやすいということは、また来てみようという気にさせるところがあるのです。その点、東京は大きすぎて、全体像を把握しようなどという気持ちを最初から失わせるようなところがあります。

もちろん、そうはいっても、日本の地方都市に比べれば、大阪は大きいですし、歩いて観光しようなどという気持ちにはふつうはならないでしょう。でも、いまや北京や上海、広州などの大都市では、すでに大阪に比べて公共交通網が拡大していることもあり(関西圏全域まで広げると話は違ってきますけど)、これらの都市の住人の感覚では、東京は無理でも、大阪なら全体像を把握できると思えるかもしれません。そして、それが外国人ツーリストにとっての大阪に対する親しみや愛着につながる可能性があると思います。

大阪観光局の関係者によると、関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いことだそうです。なにしろ関空に乗り入れるLCC比率は全体の30%超と全国一。LCCを利用して賢く旅する外国人旅行者のことを「関西バジェットトラベラー」と呼んでいます。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といわれ、リピーター比率も東京より高いことも指摘されています。

外国人ツーリスト、とりわけアジア客にとって、東京より大阪のほうが親しみを感じている人が多いのかもしれません。

実際、2015年2000万人まであとわずかに近づいた訪日外国人旅行者数は全国的に増えたことは確かですが、関西の伸び率は全国平均を上回っているからです。
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あとこれは地下鉄御堂筋線に乗っていて思ったことですが、大阪の地下鉄では、ハングル表示もふつうにあるのですね。東京でもJR山手線などでは見かけますが、地下鉄ではふだんあまり見かけない気がしたので(路線にもよるのかな? 少なくとも自分が普段利用する都内西部方面の路線では見かけません)、ちょっと印象に残りました。大阪を訪れる韓国人の数は半端ではないようですから、当然のことかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-31 19:18 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 08日

中国人がジェネリック医薬品を買わないのはニセモノに見えるから

鳥取県境港に寄航した中国発大型クルーズ客船「クァンタス・オブ・ザ・シーズ」の乗客が人口3000人の村のイオンモールに押しかけた報道を昨日検証しましたが、これからするのはドラッグストアで聞いた話の続きです。

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278

実は、その日ぼくはおなかの調子が悪く、1日に何度もトイレに駆け込む状態でした。おなかがゆるいのです。疲れがたまっていたせいかもしれません。そこで、薬剤師さんに症状を話し、整腸薬を選んでもらったときのことです。

そこには、似たような白地にオレンジ色のパッケージをした2種類の整腸薬がありました。

新ビオフェルミンS錠(武田薬品工業 2267円)
ラクトファルミンS錠(米田薬品工業 934円)
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明らかに料金が違います。薬剤師さんはこう言いました。

「中国のお客さんはこちら(ビオフェルミンS錠)しか買いませんね。こちら(ラクトファルミンS錠)はイオンのプライベートブランドのような扱いなので、3分の1くらいの値段なのですが、手に取ろうとしない。なぜですかね」

そして、ぼくには安いラクトファルミンS錠をすすめてくれました。

なぜなのか。その理由は、パッケージの色もデザインも似通ったラクトフェルミンS錠は、中国客の目にはニセモノ商品にしか見えないからです。ニセモノがあふれる中国では、このように似通ったパッケージは疑惑の対象となるのです。

中国客が「口コミを重視する」という意味は、逆に言えば、自分の目で商品を選んでいないということなのです。

無理もありません。彼らの大半は初来日、日本の事情なんて何も知らないのですから。ただ友人知人に教えられた商品リストとパッケージ画像のみを頼りに購入しているだけだからです。

ある都内のドラッグストアの店長にこんな話を聞いたことがあります。

「うちは日本人とか外国人とかわけ隔てしないで、お客さん一人ひとりになるべく安く購入していただくために、同じ効能なら値段のお安いジェネリック医薬品をおすすめします。欧米の方や東南アジアの方たちは私のすすめに素直に従ってくれます。でも…」

もうこれ以上説明する必要はないでしょう。中国人はそれを信じることができないのです。それに、たとえそれを買って帰っても、お土産として誰かに渡すとき、相手もニセモノじゃないかと疑い、喜んでくれないのです。

まったく難しい人たちですね。

※自社が開発した先発医薬品の特許が切れたあと、その薬を他の医薬品メーカーが製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-08 13:53 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 01月 07日

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?

昨年7月上旬、こんなニュースがありました。

「鳥取県の北西部、島根県に隣接する境港市。ゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげるさんの出身地としても知られ、商店街には、キャラクターの銅像が立ち並び、妖怪の町として観光客の人気スポットとなっている。

その町におととい、これまで日本に寄港した客船の中で最も大きい、クァンタム・オブ・ザ・シーズが入港した」。

4500人の中国人が来航!地元港は大混乱!(「ウェークアップ!」読売テレビ2015年7月4日)
http://www.ytv.co.jp/wakeup/news/n11081879_main.html

で、何が起きたかというと、「村の人口(3455人)も上回る4000人以上の中国人が訪れて爆買いし、現地住民の生活が一時困窮した」(人民網日本語版)というのです。

日本の村で「食い尽くせ、買い尽くせ!」 クルーズ旅行の中国人4000人が爆買いで「村民困窮」(Focus Asia 2015年7月7日)
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/photonews/422797/

中国人「爆買い」で困る鳥取県 ネット民「日本の観光客受け入れ能力が低すぎる」(人民網日本語版2015年7月9日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0709/c94659-8918190.html

激増する中国人観光客の影響はこんな形で現れるものなのか…。

この日、境港に寄航した「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」は、世界最大規模の大型クルーズ客船です。ロイヤルカリビアン社というアメリカのクルーズ会社が運営しています。

実は、その5日前、ぼくは博多港で同客船の内覧会に参加していたので、その巨大さは体感済みでした。

6月27日中国発客船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が博多に初入港しました
http://inbound.exblog.jp/24648018/

博多中洲のショッピングモール「キャナルシティ」で中国客が「爆買い」する光景を見ていたので、確かに山陰の小さな村のショッピング施設では大混乱が起きていたのかもしれない。なにしろそんなに大勢の外国客が来店することなんて初めてだったでしょうから。

そんな報道がずっと頭に引っかかっていたので、年末のある日、鳥取県西伯郡日吉津村にあるイオンモール日吉津を訪ねてみました。

JR山陰本線米子駅からバスで30分。田園風景の中にイオンモールが見えてきました。
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イオンモール日吉津
http://hiezu-aeonmall.com/

その瞬間、思いました。「あれっ、話がちょっと違うのでは?」。 

山陰の片田舎にあるとはいえ、そのイオンモールはけっこう巨大な施設だったからです。東館(イオン直営店とドラッグストアなど)と西館(テナント中心)に分かれ、館内は歳末セールでにぎわっていました。地方都市なら全国どこでも同じでしょうが、地元客は車で郊外にあるイオンモールにまとめ買いに来るのです。おかげで米子駅前は閑散としているわけです。
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ネットが報じた「大混乱」の痕跡を探そうと、館内を歩き回ってみました。でも、入り口に1枚の外国語のポスターが貼ってあったのと、表に「免税 Tax-free」の垂れ幕があったくらいで、特になんてことはないのです。
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東館の中央部にサービスカウンターがあり、そこが免税手続きを担当する唯一の場所でした。女性のスタッフに話を聞いてみることにしました。

―今度友人の外国人を連れて買い物に来たいのですが、免税してもらうためにはここに来ればいいのでしょうか(すいません。ウソついてます)。

「はい、そうです。いったんお買い上げいただいた後、パスポートとレシートを持ってこのカウンターに来ていただくことになっています。ただし、お買い上げ金額の条件があります。医薬品やお菓子などの消耗品の場合、5401円以上でなければ適用できません。家電製品の場合は10801円以上です」

―つまり、8%分を差し引いた金額が、それぞれ5000円、1万円以上ということですね。ところで、ここに「免税手続きは1組45分程度」と書いてありますが、免税するのにそんなに時間がかかるものなのですか。

「中国のお客様はとにかく買い物の品数が多いので、すべてチェックしなければなりませんから。でも、だいたい平均して15分くらいです」
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話を聞きながら、これは大変なことだと感じました。どれほどの数の中国客がレジで受け取ったレシートを持ってここに並ぶのだろうか…。ついに本当に聞きたかったことを話すことにしました。

―今年の7月、境港に中国の大型クルーズ客船が来て、こちらで大勢の中国客が買い物したそうですね。1隻4000人以上のお客さんが乗っていたそうです。こちらにも来店されたのでしょうか。

「はい、お見えになりました。でも、イオンは松江にもあるので、そちらにも行かれたそうですから、4000人全員が来たわけではないですけど、大勢お見えになったのは本当です」

―でも、仮に1500人くらい来店されたとして、とても免税手続きに対応することはできなかったのではないですか。もしかして、このカウンターの前は大行列だったとか。

「確かにそうでした。ですから、とても全員の方の免税手続きに対応することができませんでした」

―そりゃあそうですよねえ。

カウンタースタッフの女性はとても素直かつまじめに答えてくださりました。当時の状況がだんだん見えてきました。

どうやらこの感じでは大半のクルーズ客は免税手続きができなかったのではないでしょうか。でも、円安なので、8%の免税のことなど彼らはそれほど気にしなかったに違いありません。そんなことより、買いたいものがどれだけ買えたかのほうが重要だったことでしょう。

―中国の方はどんなものを買い物されていましたか。

「ドラッグストアの商品が多かったです」

そこで、ドラッグストアを訪ねてみました。薬剤師さんがいたので、聞きました。

―7月に中国のクルーズ客船のお客さんが大勢いらしたそうですね。ずいぶん薬が売れたと聞きました。何が売れたのですか。

すると、若い薬剤師はぼくをあるコーナーに案内してくれて、次の話をしてくれました。そこには、外国客向け専用の棚ができていました。
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「いちばんよく売れたのは、目薬の『サンテボーティエ』(参天製薬)。なぜかこちらの安い『サンテFX』ではなく、高いほうを買っていかれます。あとは風邪薬の『パブロンゴールドA』『龍拡散』などです」。
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それらはまさに「神薬」のラインナップでした。なぜ『サンテFX』ではなく、『サンテボーティエ』が買われたかというと、『サンテFX』は「神薬」のリストに選ばれていないからだと考えられます。

まったくもって、世間で言われているとおりのことが、ここ山陰のイオンモールでも起きていたのでした。

おそらくその日は、駐車場にひっきりなしにバスが何十台も現れ、数十人ごとの中国客を下し、1時間ほど「爆買い」して帰っていくという光景が繰り返し見られたのでしょう。でも、だからといって「現地住民の生活が一時困窮」というような話ではなさそうです。日吉津村の人口が約3000人にすぎないことから、中国メディアはウケ狙いで面白おかしく書いたのでしょう。気持ちはまあわかります。

ただし、中国メディアが知ってか知らずか決して書こうとしなかったこともあると思います。日本では、たとえ山陰の片田舎にあるショッピング施設でも、中国人が「爆買い」したくなるような商品がふつうに売られていること。地域住民もごくふつうに車で来て買い物していることです。ここは中国でいえば、都市の規模や格でいうと5線級都市にもとうてい入らない鳥取県西伯郡日吉津村という農村地区であるにもかかわらずです。実は、これが日本と中国のいちばんの違いであるということを。

現地を訪ねてわかったことがあります。域内の主要都市である米子市への合併が周辺の町村で進む中、日吉津村は唯一合併を拒んでいるそうです。理由は、村内に王子製紙米子工場(旧日本パルプ)の一部があるためで、合併してしまうと同社の法人税を明け渡してしまうことになるからです。
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やはり、現地に行ってみないとよくわからないことってありますね。

境港の港湾関係者の話では、2016年は中国クルーズ客船の寄港回数はさらに増えるそうです。

次回以降、境港の関係者に聞いた話を紹介しましょう。
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境港が中国クルーズ船の寄港地に選ばれる理由
http://inbound.exblog.jp/25266871/

鳥取県境港に上陸した海外クルーズ客はどこに行くのか?
http://inbound.exblog.jp/25269581/
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by sanyo-kansatu | 2016-01-07 14:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)