ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 04月 11日

2016年の外航クルーズ客船の動向を占うための客観情勢

3月上旬、中国発クルーズ客船が多数寄航する福岡で、中国人不法ガイドが逮捕されたニュースが報じられたばかりですが、今年も昨年以上の勢いで外航クルーズが日本にやって来るようです。

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?
http://inbound.exblog.jp/25461430/

これまで本ブログでも、沖縄や福岡、境港などのクルーズ寄港地を訪ね、現地の事情を報告してきました。

クルーズ寄港ラッシュで沸くインバウンド先進県、沖縄(日経ビジネスONLINE 2014年4月8日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140402/262219/
東シナ海クルーズラッシュの背景:博多港にいつ頃から現れていたのか?
http://inbound.exblog.jp/24665654/
4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?
http://inbound.exblog.jp/25247278/

こうした寄航数が増えている地域ばかりが話題になるのは無理もないことですが、日本全体に寄港する外航クルーズの客観情勢はどうなっているのでしょうか。

トラベルジャーナル2016年4月4日号の特集「激増する訪日クルーズ 恩恵を受けた地域、受けない地域」は、それを知る手がかりとなります。

ざっと同特集のポイントを整理してみましょう。

まず特集の冒頭で告げられる以下の一文に注目です。「訪日クルーズ旅客数が、昨年始めて100万人を突破した。20年に100万人の政府目標を5年も前倒しで達成した背景には、受け入れ環境整備の成果だけでなく、中国市場の急拡大がある。果たして、地域にはどのような影響を及ぼしているのか」。
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そうなんです。昨年日本を訪れた外国人旅行者のうち、約100万人はクルーズ客船で寄航し、上陸した人たちなのです。その数が多いかどうかはともかく、2015年の寄航数は昨年の1.5倍増(965回)、乗客数になると3倍増(111万6000人)に近い勢いで伸びたことがデータで示されます。

国土交通省が制作した以下のサイトをみると、クルーズ寄港地がわかります。2015年の寄航回数のランキングは以下のとおりです。

1位 博多(245回)
2位 長崎(128回)
3位 那覇(105回)
4位 石垣(79回)
5位 鹿児島(51回)
6位 神戸(42回)
7位 横浜(37回)
8位 佐世保(34回)
9位 広島(25回)
10位 大阪(18回)

CRUISE PORT GUIDE OF JAPAN
http://www.mlit.go.jp/kankocho/cruise/jp/

このランキングを見れば一目瞭然、上位を占めるのは九州と沖縄で、それぞれ中国発、台湾発のクルーズ客船が寄航回数を押し上げていることがわかります。

なかでもトップの博多港への外航クルーズ寄航回数のデータは以下のとおりです。

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東日本大震災の2011年と尖閣問題が再燃した2012年9月以降の影響で13年に数を減らしているものの、14年から15年にかけて2.5倍の伸びを見せています。福岡市では、「平成27年博多港寄港クルーズ船乗客実態調査」を実施していて、以下のような興味深い指摘をしています。

①乗客一人当たりの平均消費額 10万7000円
②福岡での購入品目 1位化粧品 2位健康食品 3位お菓子 4位医薬品 5位電化製品
③乗客の女性比率が61%と高く、30代と50代が多い。
④乗客の在住都市は上海が4割と最大だが、地方都市も増えている。
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15年博多港寄港クルーズ船乗客実態調査
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/52066/1/cruise.pdf

この調査からうかがえるのは、10万円超という買い物購入額がクルーズ旅行商品を成り立たせていること。購入品目の大半がドラッグストア系商品であること。30代と50代が多いということは、1980年代生まれの「80后」世代とその親の世代のファミリー旅行がメインの客層として想定されること。そして、すでに半分以上は、上海以外の地方都市の住人であることがわかります。

ところで、同特集は次のようにも述べています。

「16年の寄航予定数は400回は箱崎ふ頭も駆使した格好で、博多港のキャパシティーはほぼ飽和状態にあるといえよう。そんななか、福岡市はポートセールスでやみくもに寄航回数を増やすのではなく、ラグジュアリータイプの船や日本人の海外クルーズを伴う寄航を促進するなど、利用者の幅を広げる施策にシフトしている」。

福岡市のクルーズ関係者に今年初め、話を聞いたことがあるのですが、やはり中国発クルーズ客船の勢いはすざまじいものがあり、今年は400回の予約がすでにあり、来年は700回などといわれているそうです。しかし、中国人不法ガイドに代表されるさまざまな問題をはらんだ中国発クルーズがこのままいつまで持続可能性のあるビジネスとしてあり続けるのか、中国側の事情もよく見ていく必要があるように思います。

さて、同誌では、逆に寄航回数が減少している北海道の事例も紹介しています。

同誌によると、北海道に寄航するクルーズ客船数は14年に過去最高の157回となりましたが、15年に半数以下の69回に落ち込みました。急増・急落の要因は、外国船社の寄航数の増減によるものだといいます。九州でこれだけ増えている中国発クルーズ客船は、長くても1週間程度のカジュアルクルーズがメインであるため、北海道は距離的に遠く、寄港地の候補からはずされているといいます。
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同誌はさらに次のような面白い指摘をしています。

「訪日クルーズ拡大は、日本人のクルーズ市場にも少なからぬ影響を及ぼしている。華やかな大型客船の寄航によるクルーズ旅行への関心の高まりが期待される一方で、日本人の乗船機会が奪われるとの懸念もある」。

これはどういうことでしょうか。
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実は、日本人のクルーズ旅行市場は、2000年代からずっと伸び悩んでいます。日本人にとってクルーズ旅行は「高価な贅沢旅行」「退屈」「船酔い」といったネガティブなイメージを引きずっているのだといいます。

中国発クルーズの増加は、日本人にクルーズ旅行は必ずしも「贅沢」とは限らないことを教えてくれたという功績はある一方、一部とはいえ寄航回数の激増した港のキャパが飽和状態だとしたら、日本人のクルーズ旅行にも支障が出るおそれがあるというわけです。同誌は触れていませんが、いくらカジュアルクルーズだからといって、中国客がたくさん乗船している客船には乗りたくないという気持ちも出てくる気もします。

日本のクルーズ市場を取り巻く客観情勢をざっと眺めてきましたが、寄港地でのさまざまな取り組みがもっと注目されてもいいと思います。もし機会があったら、長崎や鹿児島、北陸などを訪ねてみたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-11 09:02 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 04月 09日

多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた

ここ2回ほど、上海のコンビニがいまどんなことになっているかについて書いてきました。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活
http://inbound.exblog.jp/25642955/

ところで、上海滞在中、どうしても気になるのがPM2.5です。毎日がそんなにひどいというわけでもありませんが、1週間ほど滞在していると、必ずやばい日があります。朝ホテルの窓から外を見ると、空は真っ白。現地に住んでいる日本人は「もう慣れっこだから」と苦笑いしますけど、たまに行く人間は、どれだけのど薬やマスクなどで万全の対策をしていても、やはり心配の種はつきません。

①ドラックストア商品も充実

その点、日系のコンビニには、たいていPM2.5予防用の高機能マスクも置かれているので安心です。ただし、香港製で1枚32元(550円)と安くはありませんけれど。
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ほかにも、スキンケアやシャンプーなどの女性向けドラックストア商品も揃っています。
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男性向けも店によってはけっこうあります。ただし、やっぱり日本で買うのに比べると割高ですけれど。
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それでも、乾電池や細かなPC用具、ステイショナリー類など、旅先であると助かるアイテムも事欠かないのが、いまの上海コンビニです。
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現地生産のポッキーなどのお菓子類も豊富です。
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日系なら、ワインも日本と同様揃っています。1本100元(1800円)くらいで、こちらも日本より高い印象です。
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②物販以外の便利なサービス

これまでは日系コンビニの品揃えの話でしたが、上海コンビにはローカル系も含め、物販以外にも使えるサービスが充実しています。

たとえば、携帯の無料充電器。これはけっこうありがたいものです。この種の携帯まわりのサービスについては、たぶん東京より上海のほうが進んでいる気がします。
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上海の日系および前回紹介した3大ローカル系コンビニ(好徳、快客、喜士多)などでは、たいてい店舗内にこのような多種多彩のサービスを行う端末が設置されています。
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これはある好徳の店舗の端末機です。メニューをみると、わかりやすいところで、中国の高速鉄道や飛行機の予約ができたり、携帯やゲームのポイント、地下鉄カードのチャージ、公共料金の支払い、意外なところでは、交通違反の罰金の支払いなどもできます。中国最大のEC企業アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスもあります。この種のキャッシュレスの普及は、日本より進んでいると思われます。
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この端末機を使って中国専用で使っている携帯のポイントをチャージしてみました。支払い方法は、銀聯カードと微信と支付宝から選べるようになっています。現地に住んでいるわけではないのですが、もうだいぶ前につくった銀聯カードで決済しました。携帯のポイントチャージは、以前ならコンビニやキオスクなどで専用カードを買って、移動通信に電話をして暗証番号を入力するというやり方でしたが、いまはコンビニの端末で簡単にできてしまいます。
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この種の端末がないコンビニでも、地下鉄カードのチャージができる店もあります。この上にカードを載せて、必要な金額だけレジで払えばチャージ完了です。上海ではコンビニが生活のインフラとなっているというのはこういうことです。
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上海のコンビは表向き中食を中心としたPB(プライベート・ブランド)で競い合っているように見えて、その実こうした決済サービスができる店とそうでない店で、おおかた決着がついてしまっています。この種のサービスの種類の豊富さでいうと、ローカル系のほうが日系より優っているように見えます。

③ポイントサービスや宅配も上海流

日本でも顧客の囲い込みのため、コンビニごとにポイントのためられるカードを発行していますが、上海では、すでに携帯が決済だけでなく、ポイントの受け皿になっています。
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たとえば、ローソンでは店頭のポスターやレシート、ウエブサイトに記載してあるQRコードをスキャンすると、アプリがダウンロードできます。そして、10回購入すると、弁当やおにぎりなどの無料クーポン券がもらえるサービスを始めています。ただポイントをためて割引に使うというようなことでは、上海の消費者は満足しないそうです。それより直接商品をプレゼントするほうが効果があるというのです。
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APP STOREのアプリ『罗森点点』はこのQRコードをスキャンします。こうしたことが可能なのも、日本に比べ携帯アプリなどの決済サービスが普及しているからなのです。
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さらに、驚くべきは、コンビニのコーヒー宅配サービスです。これはセブン・イレブンの宅配サービスです。
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上海ではあらゆるものがECで購入できる環境が整いつつありますが、それが可能となるのは、運び屋であるバイク便の兄ちゃんたちが大勢いるからでもあります。こういうことは、上海のような都市戸籍/農村戸籍(あるいは外地戸籍)という、公然とまたあっけらかんと2つに階層化された社会でなければ実現できないものだと思いますが、現にそれが実現してしまっているので、ただただ驚くほかありません。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

とまあいろいろ裏の事情もありますが、上海のコンビニが進化していることはおわかりになったと思います。このような便利な消費社会を生きているのが上海人であるということを知っておくことは必要です。なぜなら、日本に旅行に来るのは、当然これらのサービスを日常的に使っている側の階層の人たちだからです。だとしたら、彼らは日本に来て、ずいぶん不便だなあと思うかもしれません。だからといって、彼らにどこまで合わせるかという話はまた別のことですけれど。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 20:19 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

ローカル系コンビニから見えてくる上海人の消費生活

上海にはローソンやファミマ、セブン・イレブンなどの日系に加え、さまざまなローカル系コンビニがひしめいています。前回書いたように、数の上ではローカル系のほうが多数派です。

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25641549/

正直なところ、日系に比べて店内は明るくない印象だし、商品の陳列もさえないし、愛想のよくない店員もいるのがローカル系ですが、この際いろいろ比べてみようということで、訪ねてみました。コンビニほど地元の人たちの暮らしが見えてくる場所はないと思ったからです。

まず、上海の主なローカル系コンビニ・チェーンを紹介しておきましょう。以下の3つは、上海の3大ローカルチェーン。街角でもよく見かける、市民生活には欠かせないインフラといえるでしょう。
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好徳(Hapde)
上海のローカル系で最大勢力のチェーン。
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快客(Quik)
地下鉄駅構内にも出店しているのでよく目につく上海資本のチェーン。
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喜士多(C-Store)
台湾資本のチェーンで、イートインが他と比べ充実しています。

これ以外にもいろんなチェーンがあります。「可的」は確か「好徳」と同じ系列のチェーンだったと思います。店舗のイメージカラーは明るめのグリーンとオレンジというローカル系の中では最もポップな印象です。
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ここまではまだいいほうなのですが、ローカル系の中には「おやっ、これは?」と一目でわかるようなあやしげなチェーンも散見されます。
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この「全佳」というのは、ファミマの中国名が「全家」であることから、パクリ系だと思われても仕方ありませんね。そのくせ、黄色に緑、オレンジという3本色こそ微妙に違うものの、セブン・イレブンに似てます。中国らしいといえば、いえるかも。
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ほかにもこの「良友集団」や「上海如海超市」などもローカル系です。おそらくこれらはもともと雑貨店だったものがフランチャイズされたケースが多そうです。
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さて、これらローカル系コンビニで販売されている商品群は、日系とはかなり毛色が違っています。

なかでも代表的なのが、レジのそばにたいてい置かれている「茶たまご (茶葉蛋)」ではないでしょうか。お茶の葉と醤油で卵をゆでたもので、中国ではポピュラーなおやつです。今回初めて試食してみたのですが、特に変わった味ではありません。ただゆで卵を食べる習慣がない日本人は、ちょっとグロテスクに見えなくもない色形から敬遠するかもしれません。
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商品棚を見ていきましょう。これは中国人の好きな干し梅や干しブドウです。やはりローカル色たっぷりですね。
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カップラーメンの種類が驚くほど豊富です。日清のUFOや韓国の辛ラーメンもありますが、大半はローカルブランドのようです。
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伴麺というのは、上海の汁なし麺で、ひき肉とかいろいろからめて食べるものです。ご当地カップ麺を試してみるのも悪くないかもしれません。
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お酒のコーナーは、上海らしくお米が原料の黄酒(日本では老酒というのが一般的か)、いわゆる紹興酒系のお酒がたくさん並んでいます。ぼくは「石庫門」という上海の租界建築の様式の名の付けられた黄酒をときどき買って飲んだりします。とても飲みやすいお酒です。
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つまみ系も、日系にはない、真空パック系のディープな世界が広がっています。
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さて、ローカル系コンビニにも、最近はイートインができています。なかでも台湾系の喜士多(C-Store)は充実しています。
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ここではどんな中食メニューが味わえるのか。これが弁当コーナーです。きれいにパッケージされてはいるのですが、なぜか中身が見えないようなものも多く、ちょっと手が出ません。
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中食という意味では、ローカル系コンビニのフードコーナーは多彩です。おでんはもちろん、フライドチキン、ソーセージなど、立ち食いジャンクフードが大量にありますね。
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ゆでコーンやちまきがあるのも、ローカル系らしいです。前回、上海に屋台がなくなり、代わりにコンビニが中食の提供先になっているという話をしましたが、こうしたラインナップにそれがうかがえますね。
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最後に弁当やフードコーナーの食べ物をまとめて撮ってみました。ピリ辛おでんや中華そうざい2色弁当、とんかつカレーとドリンク類を選んでみたのですが、どうでしょう?
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正直な感想としては、これだったら安い食堂でワンタンとかぶっかけ飯でも食べたほうがいいかな、という感じでしょうか。
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スイーツ系もいろいろあったのですが、こちらは弁当以上にいただけませんね。見かけはだいぶ日本のコンビニスイーツに似てきたのですが、口入れると、うん? どうしてこういう味になってしまうのか。よくわかりません。

やはり弁当やスイーツといった中食は、中国に比べはるかに日本が進んでいることは間違いないようです。いまだに中国系エアラインの機内食はおいしくないのも、製造技術と工程に難があるからだと思います。

もっとも、PBフードに関してはいまいちのローカル系コンビニですが、日本より進んでいるサービスもあるのです。その話は、次回にしましょう。


多彩な決済サービスや宅配が普及【後編】上海のコンビニはここまで進化していた
http://inbound.exblog.jp/25643288/
 
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 18:47 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 04月 09日

弁当、ベイカリーなどPBが充実【前編】上海コンビニはここまで進化していた

今日も、上海出張の続きです。これまで上海のEC(ネットショッピング)が日本をはるかに上回る勢いで普及していることや、6月中旬にオープン予定の上海ディズニーの話、昨年ついに上海の訪日旅行市場で団体客の数を個人客が抜いた話などを書きましたが、今回は上海のコンビニの話です。

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?
http://inbound.exblog.jp/25638388/
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今日の上海に住む人たちがどんな消費生活を送っているか。それを理解するうえで、コンビニ事情を紹介するのは意味があると考えるからです。インバウンドに関心のある人たちにとっても、中国人観光客の嗜好や行動について知るうえで役立つと思います。

①日系vs.ローカル系の構図も変化

さて、いま上海にはどのくらいの数のコンビニがあるかご存知でしょうか。

すでに6000店を越えるコンビニがあるそうです。上海のまちを歩いていると、東京と同じくらいの比率で、コンビニに出会います。「開いててよかった」は日本で初めてセブン・イレブンが営業開始した頃のコピーですが、いまや上海でも市民生活のインフラとなっているのです。

数でいうと、全体の4分の3くらいは地元中国のコンビニが占めますが、日系のコンビニも年々店舗数を増やしています。日系では、ローソンとファミリーマート、セブン・イレブンがあります。ただし、ファミマとセブン・イレブンは台湾系の資本で、数はファミマが約900店、セブン・イレブンが約100店、ローソンが2015年末現在で390店というところです。
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ローソン http://www.lawson.com.cn/
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ファミリーマート http://www.familymart.com.cn/
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セブン・イレブン http://www.7-11.com.tw/in/cn.html

なかでもファミマとローソンは積極的に出店を拡大しています。セブン・イレブンのみ、内部にいろいろ事情があり、伸び悩んでいます。これは先ごろの日本のトップが退陣した話とは関係ありません。

一方、ローカル系コンビニは、ここ数年減少傾向にあります。理由は、上海における高速度のECの普及とも関係がありそうです。上海の小売業は、コンビニに限らず、百貨店もスーパーも苦戦しているのです。

それでも、日系コンビニが出店を拡大している背景には、2000年代半ばくらいからの地下鉄網の急速な拡大で通勤圏が広がり、各地にベッドタウンができ、出店チャンスが広がっているからです。なぜローカル系は減少しているのに、日系は伸びているかというと、やはり販売している商品のクオリティが上海市民に評価されているからでしょう。かつてはローカル系に比べ高いといわれていた日本の商品も、上海市民の所得の向上により、いはゆる「日常買い」の対象になってきたのです。日系vs.ローカル系の構図にも変化が起きているのです。
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中国人観光客の「爆買い」の理由も、要するにこういう話なのです。彼らは、もはや日本の商品はそんなに高いとは感じていない。ローカル商品より高くても、品質がよければ日本の商品を選ぶのです。

②キラーコンテンツとしてのPB~弁当とベイカリー

日系コンビニのキラーコンテンツは、独自のプライベートブランド(PB)商品といえます。それは何かというと、専用工場でつくられる弁当やベイカリーです。少し前までは、日本人の感覚からすると、上海コンビニの弁当やパン類はわざわざ買って食べるものではありませんでした。はっきり言って、味が落ちるからです。安くておいしい食堂やレストランはいくらでもあるので、コンビニ弁当という選択肢は考えられなかったからです。

たとえば、上海ローソンのPBコーナーはこんな感じです。もう見かけは日本とほぼ変わりません。中身は日本と同じものもあるけど、中国オリジナルのものもたくさんあり、手にとって比べてみたくなります。おにぎりの具は日本にはない中華風調理肉が多いのが特徴です。
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いちばん大きな進化はベイカリーではないでしょうか。棚もおしゃれですし、上海オリジナルとしては、地元で人気のもちもち食感の通称「QQパン」が知られています。
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これはローソンのとんかつ弁当の「香炸猪排花式盒饭」(15.9元)。一見日本の弁当風ですが、中華そうざいが一品入っているのが特徴です。
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日本よりはるかに種類が豊富なのが、肉まんケース。広東式点心から紫芋入りまでローカルの味が楽しめます。 
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③カフェより安くコーヒーが飲めてくつろげる

上海の日系コンビニのありがたいところは、日本と同じドリップコーヒーが味わえることです。なにしろ上海のスタバはカフェラテが500円という世界。しかし、ローソンの場合、アメリカンコーヒー(8元)やカフェラテ(8元)、香港式ミルクティ(5元)、豆乳(3.5元)が味わえます。上海人は濃い目のブレンドがあまり好みではないようで、アメリカンしかないのがちょっと残念です。
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日本でもおなじみのセブン・コーヒーもあります。ただし、上海ではセルフでなく、店のスタッフがコーヒーメーカーでいれてくれます。
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ドリンク系も以前と違って、サントリー「ウーロン茶」以外にも、ローカル製品で甘くないお茶も買えるようになりました。
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アサヒやキリンなどの日本ビールも普通にあります 
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つまみ系も充実しているので、ホテルに帰って缶ビールで一杯のお楽しみもできるのはうれしい。
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④イートインが大繁盛!

上海のコンビニで特筆すべきことは、イートイン・スペースが充実していることです。特に朝と昼どきはイートインが大繁盛! 出勤前に小さなイートインで肉まんと豆乳の朝食をすませるというのは定番だそうです。
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昼もオフィスに帰って弁当を食べる人も多いですが、イートインのテーブルはほぼ占拠され、食堂のようなにぎわいです。
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どこでもそうだとはいえませんが、最近の上海の日系コンビニのイートインは広めで、日本のコンビニと変わらない清潔な店が増えています。日本でもイートインは増えていますが、もともとは台湾で古くから普及していて、4年前くらいから上海でも採用されるようになったそうです。
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その背景には、上海市の条例で屋台などが消え、中食の提供先がコンビニに移ってきていることもあるようです。実際、上海のコンビニでは、朝と昼の売上が高いそうです。

いまや上海コンビは、屋台に代わる中食ステーションとなりつつあります。これだけ豊富なPB商品が安価で提供されていることも大きいです。弁当は1個10元台なので、飲み物を買ってもレストランで食べるより割安です。だから、イートインがにぎわうのです。

もともと中国人は冷たい食事を好まないと言われていましたが、コンビニ弁当でもチンすれば普通に食べる時代になっているのですね。もちろん、これはあくまで経済先進地域であり、しかも味付けなどの食文化が比較的日本に近い上海の事情で、中国の他の地域ではまず当てはまらないことも知っておく必要があるでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 13:35 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 28日

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?

「上班买, 下班收 当日达, 当日用(出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える)」。
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3月中旬、上海の地下鉄車両内で見かけた中国のECサイト「天猫」の広告のコピーです。これは単なる煽り文句ではありません。いまの上海では、ECによる宅配サービスが社会に浸透していて、文字通り、「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況が実現しているからです。

上海の地下鉄には、ホームも通路も車両内も、さまざまなECサイトの広告であふれていて、政府広報を除くと、かつては大半を占めていたアップルやサムソン、高級ブランド系などの海外メーカーの広告よりも数の上では多そうです。7割がたそうではないでしょうか。

たとえば、これは「京東商場」(JD.com)というECサイトの広告です。
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またこれは「1号店」(Yhd.com)というサイトです。
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なかでも圧倒的な広告スペースを誇っているのが「天猫」です。3月はちょうど長い春節休みが終わったばかりの時期だったため、「新学期向け」商品の割引をうたう広告が出ていました。
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全車両「天猫」でラッピングされた地下鉄も走っているほどです。
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「天猫」とは、中国最大のネット企業「アリババ」が運営する越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」のことです。
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天猫国際(Tモールグローバル)
https://www.tmall.com/

「越境EC」については、先週発売された日経ビジネスの以下の特集で次のように説明されています。

個人輸入を含む、国境を越えて商品が取引されるECのこと。中国では、政府がECを使って海外製商品の個人輸入を促進する枠組みを2013年から段階的に制度化。一般貿易と比べて税率が低い、個人輸入の際に課せられる「行郵税」が越境ECにも課せられる。

越境ECサイトの運営会社が上海の自由貿易試験区などの「保税区」に倉庫を設置。そこに海外製商品を在庫し、ECサイトからの注文に応じて中国内の消費者に出荷する。海外から個別に消費者に直送する場合と比べて、保税区の倉庫への一括納入で輸送コストを抑えられる。中国国内の倉庫から出荷するため、配達時間も短縮できる。

課税逃れの並行輸入業者を締め出したり、品質の悪い中国製品に対する消費者の不満をガス抜きしたりするために導入されたと言われる。リスクは突然の税率変更。実際、2016年4月から一部の商品について税率が引き上げられると言われている
」(p30)

日経ビジネス2016.03.21 特集「100兆円市場 中国にはネットで売れ」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/031500264

つまり、いま上海では「天猫」を使えば、日本のドラッグストアで販売されているような商品などが、ECで手軽に購入できるというわけです。

同誌の特集では、中国のEC市場のランキングを載せていますが、「天猫」を運営するアリババが「2位以下を圧倒」しています。
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こうした中国のECビジネスの盛況ぶりについて、コンパクトにまとめられている記事をネットで拾ったので、全文を紹介します。筆者はジェトロの研究員です。

ECビジネス普及で再編期到来 中国流通業界の戦略とは(2015年12月19日 大西康雄(日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5758


中国で流通業界再編の新しいうねりが起こっている。その直接的な契機となったのは、第1にインターネットの普及=ECビジネスの急成長である。

マクロ経済統計では、製造業が軒並み不振な中、全社会小売総額は二桁増を続けているが、その内容を見ると、デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している。

これに対してインターネット小売市場(Eコマース)売り上げ額は前年比で40%以上の急増ぶりを示し、15年上半期の売り上げ額は1兆6140億元で全商品小売額の11%となった。中でも携帯電話などの移動通信デバイス使った移動Eコマースがその4分の1近くを占めている。

第2には、消費者行動の大きな変化がある。特に都市部では、日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景となりつつある。

再編の間接的契機となったのは流通業界自身が、消費需要の把握や業態の近代化で出遅れたことである。確かに家電などの量販店、コンビニなどの先進国型業態が急速に普及したが、規模拡大で利益額を拡大する旧態依然な戦略が主流を占めてきた。消費者の要求が多様化する中で利益率が縮小し、15年上半期には、大手小売企業101社中42社がマイナス成長となった。

業界の対応は様々だ。第1は、店舗数縮小による「損切り」タイプの対応で、健康・美容商品の採活(VIVO)、高級スーパーOleなどを展開している華潤グループが代表例である。

第2は、逆に経営悪化の他店を買収し規模拡大を図るタイプで、チェーンストア大手の北京物美グループがその代表例。同グループは、廉美、新華百貨、江蘇時代スーパーなどを傘下に収め、売り上げを伸ばしている。

第3は、Eコマースを取り入れた新業態を模索するタイプで、これは上記の例を含め業界全体で採用されている。ネット上に取扱い商品を展示し、実体店舗にその実物を置いて消費者に体験させ、注文を受けると宅配で届けるというO2O(Online to Offline)方式はその典型例である。すでにウォルマートは「速購」、華潤は「e万家」というサイトを立ち上げている。

中国の世界に例を見ない規模で進む都市化や消費の高度化は止まることがない。流通業界の挑戦も終わることはないであろう。


ここでも、中国の都市部で「日用品に至るまでネットで注文するというライフスタイルが日常の光景」となっていることが指摘されています。

それが可能となった背景には、アリババが提供する「支付宝(アリペイ)」やテンセントの微信(WeChat)に組み込まれている「微信支付(ウイチャットペイメント)」などの決済サービスの普及があります。
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中国では国際的なクレジットカードを持っている人は多いとはいえませんが、こうした独自の決済サービスを広めたことで、ECの利用が日常化していったわけです。

コンビニなどはもちろん、ジュースの自動販売機などでも一部対応しているのを見かけました(これは余談ですが、上海では日本のように街中に販売機はほぼ置かれていませんが、地下鉄駅構内やホームにのみ置かれています)。
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しかも、その普及ぶりは、海を越えた銀座のドン・キホーテでも使えるほどなのです。

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

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実際、上海人の「ライフスタイル」にECは定着していて、高価な外国製コスメや靴、電化製品だけでなく、お弁当やトイレットペーパーなどの日用品まで宅配で届けられているようです。

それを実感する場面として印象的だったのが、上海の知り合いに案内してもらった大学で、学生寮のそばにECで購入した商品を受け取るための特設施設があったことでした。中国の大学生は、基本的に寮住まいです。1部屋に数人が共同生活している環境です。ところが、豊かになった彼らは、ECを使って日常的に買い物をしているのです。
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その大学は、毛沢東の像がいまも鎮座する華東師範大学でした。女子学生が多いことで知られる名門大学です。
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さらに、「饿了吗(おなかすいた?)」というサイトがあり、これは市内のどこにいても近所の飲食店からお弁当や飲み物などを宅配してもらえるECサービスです。今回知人のオフィスを訪ねたとき、このサービスでお弁当を宅配してもらって、一緒に食事をしました。これは中国国内の他の都市部でもかなり普及していて、いまや中国は「出前パラダイス」といえそうです。

饿了吗
https://www.ele.me/home/

同じような話は、前述の「日経ビジネス」の特集でも書かれていました。

上海市の高級住宅地に住む専業主婦の滕綺達さん(45歳)の自宅には、1日に7~8回、宅配便が届く。段ボール箱の中身は、洋服から生活用品、家電から生鮮食品まで様々。どれも滕さんがECで購入した商品だ。

滕さんは11歳と7歳の2人の子供を育てている。忙しい生活の合間にも、スマートフォンを使ってアリババやJD.comなどのECサイトで買い物ができる。中国のECでは、既に5割強はスマートフォンなどのモバイル端末経由の購入。2019年にはこれが7割に達する見込みだ。支払いには、アリババの「支付宝(アリペイ)」などの決済サービスを使用。現金で物を買う機会はほとんどないという。滕さんは、「そのうち、リアルの店舗なんてどこにもなくなるんじゃない」と笑う
」(p30)

この記事は、海外事情をよく知らない読者向けの、ある一面のみを調子よく取り上げた印象がぬぐえませんが、エピソード自体はいまの上海では特別なことではありません。

冒頭の「出勤中に買って、仕事がすんだら受け取る。当日届いて、その日に使える」状況というのも、彼らが自分の勤めるオフィスに日用品の宅配を届けてもらっていることと関係あります。日本ではこうしたプライベートを職場に持ち込むようなことはちょっと考えにくいですが、彼らはそういうことを“気にかけない”文化といえます。つまり、そのような人が職場にいても、他人事として受け流すのが中国人社会なのです。これも中国でECが普及する背景のひとつでしょう。

こうしたことから、いまの上海では(中国では、とまではいえません)、日本に比べてはるかにECが身近なものとなっていることがわかります。

でも、話はそこで終わりません。

こうしたEC化の過度の促進は中国のリアル経済にとって良いこととはいえないと指摘する声は多いと聞きます。実際、前述のジェトロ研究者の記事でも「デパートやコンビニ、スーパー、専門店など伝統的小売業態の売り上げ増加率は次第に低下している」と指摘しています。ECがもらたす市場環境の変化から、これら巨大な売り場を必要とする業態が苦戦しているというのは世界的な現象ですが、中国は2000年代以降、いわば国を挙げた「不動産立国」と化してハコモノを量産し、GDPを増やしてきた国ですから、現状のように、全国どこでも高級ショッピングモールが閑古鳥という状況は、やはり心配なわけです。マクロ経済が不振となった根本的な問題が解決されているのではないからです。

それに、今回上海のECサービスのさまざまな便利さを体験し、その実情を垣間見てきたぼくがいちばん感じたのはこれです。

いったいECサイトで注文した商品を誰か運んでいるのか?

そりゃそうです。社会が便利になるためには、誰かがそれを支えているわけですから。そしてそれは、宅配便のバイク兄ちゃんたちなのです。 

実際、いまの上海の路上は、バイク便だらけです。彼らの多くは、建設労働が一段落したこの都市に居残ったと思われる上海戸籍を持たない地方出身者であることは間違いないでしょう。なぜなら、驚くほど安価でバイク便が運営されているからです。

この写真を見てください。いったい一度に何個の荷物を運ぼうとしているのでしょう。
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中国のECサイトを見ると、宅配手数料はわずか5~15元(100~200円)程度です。それで、利益を上げるためには一度にひとりが多くの荷物を運ばなければならないでしょう。ちなみに、日本のバイク便の料金相場をネットでみると、距離や重さで細かく料金が分かれていましたが、上海の10~30倍です。もちろん、ひとり1個が基本でしょう。人間ひとりの人件費で考えれば当然のことです。
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もちろん、中国にはたくさんの宅配業者があり、バイクだけが荷物を運んでいるわけではありません。問題はバイク便の彼らがどのような雇用条件で働いているかです。
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日本でもアマゾンの躍進は宅配手数料を引き下げています。しかし、それがどこまで可能かは、結局、荷物を運ぶ人たちの労働環境がどこまで担保されるかにかかっていると思われます。

それを考えると、中国のような地方出身者を外国人労働者同然に使える特異な階層社会でしか、現在上海で実現しているようなECサービスはありえないのでは、と思ったのも事実です。彼らのやることなすこと、持続可能性がどこまで考慮されているのか。それとも、彼らの存在はドローン宅配便が実現化するまでの時間つなぎということなのでしょうか?


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by sanyo-kansatu | 2016-03-28 09:52 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2016年 03月 09日

成都のイトーヨーカドーと伊勢丹は気軽に旅行に行けるようになった日本のイメージと重なって見える

2月中旬に四川省の成都を訪ねたとき、足を運んでみたかった場所があります。イトーヨーカドーと伊勢丹です。

理由は、以下のネット記事を読んでいたからです。

反日デモでイトーヨーカ堂がほとんど無傷だった理由
http://diamond.jp/articles/-/31996

2012年の荒れ狂った反日デモの渦中で、日系ショッピング施設でありながら「無傷」だったというのはどういうことなのか? 

ひとりの中国通の日本人経営者の存在があるようです。

詳しくはこの記事を読んでいただくとして、これ以外にも、2012年頃に配信されたネット情報をみると、同店が現地でいかに受け入れられているかを知ることができます。

城取博幸の 中国 成都のスーパーマーケット見聞録
https://www.shirotori-f.com/sp/data/21seito.pdf

場所は、成都市中心部に位置する天府広場に近い繁華街である利都広場にあります。
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これがイトーヨーカドーです。隣に伊勢丹があります。日系ショッピング施設が仲良く並んでいるのでした。
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まずイトーヨーカドーの中に入ってみましょう。
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なんだか日本のイトーヨーカドーみたいな雰囲気です。このセールの感じもそう。
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店舗は5階までで、1FにZARAが入っています。
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「新学期セール」をうたっていますが、中国では新学期は7月からのはず。どういうことでしょう。
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「朝9時から夜10時半まで」とは、さすが夜遊び好きの成都らしい営業時間です。
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成都伊藤洋华堂
http://www.iy-cd.com/

イトーヨーカドー海外店舗
https://www.itoyokado.co.jp/store/abroad.html

イトーヨーカドーが現地政府の要請で成都に開業したのは、1996年のことだそうです。現在、成都に6店舗。北京にも5店舗あるそうです。

さて、伊勢丹はどうか。8階建てで、日本食レストランも入っています。店内は、日本の地方の百貨店の雰囲気に近いです。
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ぼくは、上海や天津、そしていまは撤退してしまった瀋陽の伊勢丹にも足を運んだことがありますが、もしかしたら成都の伊勢丹がいちばんカジュアルというか、地元になじんでいる印象がありました。こちらは2007年の開業だそうです。
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成都伊势丹百货
http://www.isetan-chengdu.com/

伊勢丹海外店舗
http://www.imhds.co.jp/company/department_overseas.html

面白いのは、伊勢丹の周囲に屋台が出ていることです。これも成都らしいのかもしれません。
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ここに来るとき、ぼくは地下鉄を利用したのですが、2号線春熙路駅を降りると、地下から上海や北京にあるようなクールなショッピングモールにつながっていました。そこには海外の高級ブランド店が入っています。
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この高級ショッピングモールが伊勢丹の目の前にあるのです。おそらく数年前にできたというところでしょう。

これを見たとき、ふと思いました。ある時期まで、イトーヨーカドーはともかく、伊勢丹はこの街で最も輝いていた瞬間があったのだろうと。しかし、いまではプラダの入った高級ブランドショッピングモールができる時代を成都も迎えている。これじゃ伊勢丹の輝きもうせてしまったかもしれない…。

ところが、これらの高級モールにはそれほど客の姿が見えないのです。

こちらは重慶の最もにぎやかな解放碑という繁華街にある「協信星光広場」という高級ショッピングモールです。こういうの、よく北京や上海でも見かけます。でも、客はほとんどいません。その周辺の繁華街には人があふれているのに、です。
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中国もいまや低成長の時代を迎えています。2000年代のように高級ブランド品がバンバン売れる時代ではありません。これらのバブルな施設の命運は尽き果てそうな気配です。

今回、これらを見て思ったのは、ここ数年の高級モールの登場で色あせたかに見える伊勢丹は、成都の人たちにとって気軽に旅行で行けるようになった日本のイメージと重なって見えているのでは、ということでした。それは、日本が彼らの手の届く存在になったということです。

それは悪い話ではないと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-09 17:48 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 03月 09日

ここまでやるとあっぱれか!?  銀座Laox vs.ドンキお土産商戦の一幕(続き)

春節のころ、中国人観光客専用免税店のLaoxに対してドン・キホーテ銀座本店が「徹底対抗」宣言していた話を以前書きましたが、3月に入って再び銀座を訪ねてみると、さらに過激化の様相を見せていました。

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/
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これを見てください。ドン・キホーテ銀座本店の裏手の入り口に、中国客に人気といわれる日本のドラッグストア系商品のLaoxと同店の価格比較が貼り出されていたのです。
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たとえば、胃腸薬の「キャベジン」は「ドンキでは1980円+税だが、Laoxでは2500円+税」、風邪薬の「パブロンゴールドA」は「ドンキでは1480円+税だが、Laoxでは1980円+税」というのです。

いやいや、商魂逞しいとはこのことか。ビジネスモデルの関係で必ずLaoxに立ち寄らざるを得ない中国の団体ツアー客に向けた強烈アピールといえるでしょう。中国客こそ、そのカラクリをいちばんよく理解している客層だからです。

ここまでやると、あっぱれ!? というべきでしょうか。

もっとも、その隣のラックに多国籍語のチラシが置かれていて、中国語簡体字、繁体字、ハングルのみならず、タイ語まであることから、ドン・キホーテは中国人団体客のみならず、広く多国籍の客層を視野に入れて商売しようとしていることもわかります。
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こういうディティールにこそ、ニッポンのインバウンドの実態が透けて見えてくるところがありますね。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-09 09:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 03月 05日

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?

中国発クルーズ客船が多数寄港する福岡で、中国客の上陸観光のガイドとしてバスに同乗し、免税店を案内する傍ら、売上に応じたコミッションを得ていた中国人不法ガイドがついに摘発されました。

この一件は、ガイドらが書類送検された3月3日夕方にはテレビのニュースなどでも報じられていました。
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無資格「観光ガイド」2人を摘発 免税店から報酬5,000万円(FNN2016/3/03)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00317893.html

爆買い中国人のガイド役の男女が摘発された。

入管法違反の疑いで摘発されたのは、中国人の無職の女(31)と留学生の男(25)。2人は、就労ビザがないのに、2014年から2015年にかけて、観光ガイドとして、中国人観光客を福岡市の免税店に案内し、見返りに報酬を受け取った疑いが持たれている。

2人は、ボランティアと称していたが、口座には報酬として、少なくともそれぞれ、およそ5,000万円が入金されていたという。2人のうち、女は2月、裁判所から罰金の略式命令を受け、国外退去処分になっている。


翌4日、大手各紙がさらに詳細に報じています。

不法就労助長:「爆買い」無資格ガイド 中国人摘発 福岡県警(毎日新聞2016年3月4日)
http://mainichi.jp/articles/20160304/ddh/041/040/004000c

大型クルーズ船で入国した中国人観光客を案内するツアーガイドに無資格の中国人を雇ったとして、福岡県警は3日、旅行代理店や免税店6店(いずれも福岡市)の支店長ら男女6人を出入国管理法違反(不法就労助長)容疑などで福岡地検に書類送検した。ガイドの中国人男女2人も福岡地検に書類送検するなどした。「爆買い」のガイドが摘発されたのは初めて。

6人の送検容疑は2014年9月〜15年9月に男(25)=福岡市=を、15年5〜11月に女(31)=神戸市=をガイドに雇用し、客を免税店に引率させたなどとしている。2人に就労資格はなく、県警は女を今年1月に同法違反(資格外活動)容疑で逮捕。女は2月に罰金50万円の略式命令を受け、国外退去処分になった。県警は男も2月に同容疑で書類送検した。

県警によると、旅行代理店が2人にガイドを委託し、報酬として女に約3000万円、男に約4500万円が支払われた。

関与した旅行代理店3店はいずれも中国系、免税店3店はそれぞれ中国、韓国、台湾資本という。


毎日新聞は、摘発の容疑が「出入国管理法違反(不法就労助長)」であること。関与した旅行会社や免税店が、昨年の訪日外国人旅行者数トップ3の中国、韓国、台湾資本であると指摘しています。

「爆買い」ツアー、無資格でガイド 入管法違反容疑で男女2人摘発(朝日新聞2016年3月4日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12240131.html

就労資格がないのに中国人観光客のガイドをして不正に報酬を得ていたとして、福岡県警は出入国管理法違反(資格外活動)の疑いで中国人の女を逮捕、男を書類送検し3日発表した。2人は免税店で観光客の買い物を支援する報酬として、少なくとも約7600万円を免税店側から受け取っていたという。県警によると、海外からのツアー客のガイド行為に同法を適用したのは全国初。

県警は3日、2人にガイドを委託した福岡市と東京都の旅行会社3社の役員計3人を同法違反(不法就労助長)容疑で、報酬を渡した同市と東京都の免税店運営会社3社の役員計3人を不法就労助長の幇助(ほうじょ)容疑でそれぞれ書類送検した。

外事課の説明では、自称無職の女(31)は昨年5~11月、就労ビザがないのに、中国人観光客らを福岡市内の免税店に案内するなどして、約3千万円を得ていたとして今年1月に逮捕された。2月に罰金50万円の略式命令を受けて国外退去になった。留学生の男(25)は2014年9月~15年9月、同様に計約4600万円の報酬を得たとして、今年2月に書類送検された。

免税店運営会社の役員2人は「就労資格は旅行会社が確認していると思っていた」などと容疑を一部否認。ガイド2人と旅行会社役員3人、免税店運営会社の役員1人は容疑を認めているという。

同課によると、旅行会社は2人に報酬は支払わず、「ボランティア」名目で委託。実際には免税店側から2人の口座へ入金があり、県警は報酬にあたると判断した。


朝日新聞は今回の摘発を「海外からのツアー客のガイド行為に同法を適用したのは全国初」。さらに「外事課」が動いていたことを報じています。

「爆買い」無資格案内、容疑の中国人ら摘発 福岡県警(日本経済新聞2016/3/4)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98016980U6A300C1CC1000/

就労資格がないのに、中国などから買い物に訪れる「爆買い」目的の観光客らを免税店に案内し報酬を得ていたとして、福岡県警は3日までに、入管難民法違反(資格外活動)容疑で中国人の女(31)を逮捕したほか、中国人留学生の男(25)を書類送検した。

県警によると、同容疑で中国人ツアーガイドを摘発したのは全国初。

県警は同日、この男女をガイド役として雇った旅行会社3社と免税店の運営会社3社の幹部ら計6人を同法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検した。県警によると、免税店の運営会社の2人は容疑を否認している。

県警によると、ガイド役の男女は2014年9月~15年11月、就労資格のないビザで日本に滞在し、買い物をする中国人観光客らをボランティア名目で案内。その見返りとして案内先の免税店から計約7500万円の報酬を受け取っていたという。

女は今年1月に逮捕され、簡裁から罰金50万円の略式命令を受け、国外退去処分となった。

外国人向けに観光案内をする場合は「通訳案内士」の資格が必要だが、この男女は取得していなかった。


日本経済新聞は「無資格」「就労資格がない」「入国管理法違反」などと各紙が説明する中国人ガイドらの摘発の理由として「通訳案内士」資格を持っていなかったことだと説明しています。

さて、本ブログでは昨年来、福岡に寄港する中国発の大型クルーズ客船の動向をウォッチングしてきました。
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いまや東シナ海は中国クルーズ旅行の新ゴールデンルートです
http://inbound.exblog.jp/24720904/

その経緯からすると、今回の摘発はいつ起きてもおかしくないと思っていました。この時期になったのは、摘発する側のなんらかの事情で決まったと思われます。

実をいうと、「観光立国」の推進役である観光庁を外局にもつ国交省は、2010年無資格ガイドを手配したとしてJTB系旅行会社を処分しています。このため、その後日系旅行会社は中国発クルーズの上陸観光手配からは一部を除きほぼ手を引いたため、現状はアジア系事業者と中国系ガイドの仕切る世界になっていたのです。

JTB系旅行会社を厳重注意処分に=通訳案内士法違反で初、中国人留学生バイト募集に問題―九州運輸局(レコードチャイナ2010年3月30日)
http://www.recordchina.co.jp/a40879.html

今回の摘発の理由となった「通訳案内士」資格をめぐる問題についても、これまで本ブログでは何度も指摘してきました。

NHK報道をめぐり思う。通訳案内士って何だろう?
http://inbound.exblog.jp/24442716/

メディアは「通訳案内士」問題をどう報じてきたか
http://inbound.exblog.jp/24446629/

無資格ガイド問題とは何か?
http://inbound.exblog.jp/24472149/

こうした現状もそうですが、一般の日本人からみると、中国人不法ガイドが数千万円もの収入を得ていたことのほうが驚きかもしれません。中国人観光客による「爆買い」で最も利益を得たのは彼らだったかもしれないからです。

ある事情通は、彼らが法外な利益を得たカラクリについてこう説明してくれました。

「彼ら無資格ガイドが、免税店やアジア系旅行会社から無償または1日5000円程度でクルーズ客の上陸観光のバス1台分40名のガイド業務を引き受けるとする。免税店に連れてゆき、1人平均5万円のお買い上げで、売上総額は200万円。そのうち10%を免税店からコミッションとして受け取ると、20万円/日の実入りとなる。いまや福岡には毎日のようにクルーズ船は来るから、年間で約150日ガイドをやって、こつこつ貯めれば軽く3000万円を超える。免税店や商品によっては、コミッションが売上の20~30%の場合もあるので、もっと利益は増える。これを中国へ持ち帰ると、都市郊外のマンションが買える金額だ。まさに商才民族というべきだろう。

考えてみれば、これは中国人が中国人を食い物にする構造だ。日本人がそれをやれば、中国から袋叩きに遭うだろう。しかし、中国人同士がやっていることなので、関係者らは見て見ぬふりをしてきたというのが、これまでの経緯だったと思う」

こうしたことが起こりえた背景には、いうまでもなく中国人観光客の「爆買い」があったことは確かです。彼らが「爆買い」しなければ、こんなカラクリは成立しないからです。

実は、このニュースが各紙で報じられた昨日、ぼくはたまたま在日中国人の旅行手配業者の知り合いに会う約束になっていました。そのとき、当然この話が出たのですが、その業者によると、昨年末、ある中国系の免税店から各業者に一斉に通達があったそうです。その内容は「在留カードを持たない中国人ガイドが客を連れてきても、2016年1月1日からはコミッションは出さない」というものだったそうです。

彼らも今回の摘発を免れるための手を打っていたことがわかります。もっとも、それは「在留カード」の所持にすぎず、外国人に対してガイド業務を行う通訳案内士資格の有無ではありませんでした。各紙が報じる外国人の「就労」資格に関する判断は、単に「在留カード」があればすむことなのか、「通訳案内士」資格まで問うているのか、分かれているようにも読めます。

しかし、そんな通達は、急増する訪日中国人旅行市場の現状からいって、守られることなど到底、無理な話だったのです。

何はともあれ、パンドラの箱はついに開けられました。

はたして今回の摘発は、福岡以外の全国に波及するのか。そうなると、航空便で訪日する中国人ツアー全体に影響が出てくることが考えられます。

なぜなら、中国の訪日団体ツアーは、航空便利用の場合も、クルーズ同様、コミッションによるコスト補填で成り立っている状況は同じだからです。

だとすれば(あえてこんな言い方をしますが)今回の摘発以降、逮捕される危険を顧みず、ガイド業務を買って出る中国人がいなくなってしまえば、中国側の旅行会社ががいくら日本に客を送ってみたところで、ツアーが回せなくなってしまう可能性があるのです。

この摘発が、未曾有に拡大しつつあった訪日中国旅行市場にどんな影響を与えることになるのか。注視していきたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-05 14:43 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 02月 23日

中国の市販薬のパッケージは確かに地味でした(これも日本のクスリが人気の理由)

日本薬粧研究家の鄭世彬さんの著書『爆買いの正体』(飛鳥新社)の88ページにこんな記述があります。

「これまで私はコスメショッピングガイドの執筆のため、何百、いや何千という日本の製品をチェックしてきました。何より感心しているのは、計算され尽くしたパッケージのデザインです。クスリを入れる紙箱ひとつとっても、決して適当につくられていないからです」(2章 日本人が知らない日本のすばらしさ)

これを読んで、そんなものかなあと思う人は多いでしょう。ぼくもそう思いました。しかし、彼はこう書いています。

「なぜなら、台湾の市販薬のパッケージに比べると、その違いは歴然としているからです。最近少し改善されてきたのですが、たとえば目薬なら、これまでの台湾のパッケージは白っぽい単調な色合いばかり。紙箱に目のイラストがただ描かれていて、適応症を説明する文字がいくぶん強調されているだけのものがほとんどでした」(同上)

『爆買いの正体』(鄭世彬著 飛鳥新社)
http://goo.gl/DXhOMa

一度鄭さんに聞いたことがあります。

「でも、香港や中国にはワトソンズ(屈臣氏)があるじゃない。台湾にもあるでしょ」
「でも、あそこはコスメがメインのイメージがあります。日本のドラッグストアにあるような市販薬はあまり置いていないんですよ」
「そうなの?」

【アジアクリック】アジアNo1のドラッグストア「ワトソン」から学ぶ、日本以外の選択肢
http://asiasns.jp/dragstore-1941

※この記事によると、ワトソンズは薬も販売しているようですが、確かに日本の市販薬はあまり見かけたことがない気ががします。だいたいワトソンズの商品って日本に比べるとちょっと高い気がしますしね。

そんなことがちょっと気になっていたので、先日中国に行く機会があり、薬局を覗いてみることにしました。

ここは四川省成都のごく一般的な薬局です。
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店舗は日本のドラッグストアとさほど変わらない広さです。店内は効能別に分けられたコーナーごとに市販薬が並んでいるのですが、確かに地味というか…。まあ薬局なんてこんなもんじゃないかと思いつつ、日本のドラッグストアの華やかさをあらためて思い出しました。
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これ風邪薬のコーナーです。
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こちらは消化器系。
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美容関連のコーナーもありますが、鄭さんのいうように、白地のパッケージにちょっとした図柄は入っているものの、基本は文字がのっているというデザインが基本のようです。
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あっ、でもちょっと色のついた日本っぽいパッケージもいくつかあります。
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これはビタミン剤ですね。
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こちらは中国製の日焼け止めの乳液みたいです。広州のメーカーだそうです。さすがにコスメのパッケージは少し垢抜けているんですね。
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Ruvanon(洛华侬)
http://ruvanon.net/

とまあそんなわけで、中国の地方都市の薬局の世界はこのような感じでした。中国客が日本に来てマツキヨはもちろんですが、ドラッグストアの世界に魅せられるというのはわからないでもない気がしました。中国の薬局は単に体調の悪い人が来る場所にすぎないけれど、日本のドラッグストアは健康な人たちにとっても、日々の生活を美しく快適にするために必要なあらゆるアイテムが揃うスポットですものね。ワクワク感があります。

これも日本のクスリが中華圏の人たちに人気の理由といえそうです。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-23 20:04 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 12日

本日、鄭世彬さん(日本薬粧研究家)の『爆買いの正体』が発売されます

2月12日(金)、『爆買いの正体』(飛鳥新社)という本が発売になります。
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著者は「爆買いの仕掛け人」と称される台湾人作家の鄭世彬(チェン・スウビン)さんで、ぼくは本文構成を担当しています。

鄭世彬さんの肩書は、日本薬粧研究家です。耳慣れないことばですが、文字どおり日本の薬や化粧品、美容・健康商品の専門家で、すでに台湾、中国で11冊の本を上梓している人物です。念のためにいうと、1980年台南生まれの男性です。

内容はひとことでいえば、昨年新語・流行語大賞を受賞した「爆買い」はどうして起きたのか。その背景を台湾人の目を通して語ってもらうというものです。ここ数年メディアをにぎわせていた「爆買い」ルポとはまったく違う内容となっています。「爆買い」の当事者が語る本質を突いた指摘が次々と出てきます。「爆買い」を経済現象としてみるのではなく、民族的、歴史的な背景をもった文化現象として描いていることが本書の大きな特徴です。

さらに、この本は台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書でもあります。なぜ台湾の人たちがこれほど日本の製品を愛好してくれるのか、その理由を熱く語ってくれています。

鄭世彬さんとはちょうど1年前、あるきっかけで出会いました。その後、この本をつくるために何度も彼に会い、話し合ったのですが、日本の美点を語るその内容は少々買いかぶりだと思うよ…。そう戸惑いながらも、彼のまっすぐな日本を見つめる姿にほだされてしまいました。ちょっと内向き、排外的な気分の蔓延するこの国で、彼のことばはみんなを心穏やかにしてくれること請け合いです。

鄭さんについては、以下の日経BPネットのぼくの連載(ニッポンのインバウンド舞台裏)の中でもインタビュー記事として簡単に紹介しています。

「爆買いの仕掛け人」に聞く【前編】 元祖「爆買い」は90年代の台湾人
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012900004/

「爆買いの仕掛け人」に聞く【後編】 買いだめは華人の本能。一過性のものではない
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/021200006/

…とまあそんなわけで、ぜひ本書をお買い上げいただきたい。またお知り合い、ご友人にこの本のウワサを広めていただきましたら、望外の喜びです。

『爆買いの正体』(鄭世彬著 飛鳥新社)
2016年2月12日発売

http://goo.gl/DXhOMa

なにとぞよろしくお願いします。

本書のあとがきとして、ぼくも以下の文章を書いています。そこでは、彼との出会いのきっかけについて紹介しています。

鄭世彬さんとの出会い

 2015年2月中旬、私は上海の書店で一冊の奇妙な中国書を目にした。『東京コスメショッピング全書(东京美妆品购物全书)』と題されたオール4色刷のムック本で、旅行書籍のコーナーで異彩を放っていた。海外旅行が解禁されて10数年がたった中国では、世界一周旅行記や欧州でのヒッチハイク体験記など、ちょうど日本の1970年代に似た海外ひとり旅の体験を披露する旅行書が続々と現れていた。だが、日本の医薬品や化粧品のお土産購入指南という特定の消費分野に絞った、いわば80年代型のモノカタログ的なガイド書を見たのは初めてだった。

 私はこれまで経済成長に伴い拡大するアジア各国の海外旅行市場をウォッチングしてきた。編集者として常に気にしていたのが、海外の同業者たちがつくる旅行書だった。それぞれのマーケットの特性や成熟度、嗜好を表すひとつの指標になるからだ。

 帰国後、日本国内では春節で中国人観光客が「爆買い」する報道でにぎわっていた。当然、私はこの本と中国客とのつながりを直感した。あらためて著者プロフィールをみると、「台南人」とある。やはりそうか、この種の本を書けるのは、いまの中国人ではなく、80年代から長く日本の旅行に親しんできた台湾人だったろうと納得した。

 とはいえ、いったいこの本はどんな動機でどのような人物によって書かれたのか。また読者はどのような人たちなのか…。さまざまな問いが頭をめぐり、私はネットで「鄭世彬」という名を検索した。すぐに彼のフェイスブックページが見つかった。そこで、簡単な自己紹介を添えて彼にメッセージを送ることにした。すると、わずか数分後、彼から返信が届いた。

 以上が私と鄭世彬さんの出会いの経緯である。その先も早かった。彼は3月上旬、新刊の取材のために来日するという。フェイスブックで友だち申請してから10日後のことだった。

 都内の宿泊先に近い小さな喫茶店で話を聞いた。最初に私はこの本の執筆動機について尋ねた。すでに著書のある専門家にする質問である以上、出版の内容とその狙いを問うビジネストークのつもりだったが、彼は意外にも自分の少年時代の日本語との出会いを話し始めた。

 話を聞きながら、どうやら彼はマーケティングとかコンサルティングという領域の人ではなく、作家性をもった人物であると思った。数日後、幕張メッセで開かれていた日本ドラッグストアショーを視察する彼に同行した。すでに彼は多くの日本の医薬品メーカー関係者の知己を得ており、貴重な情報収集の場だったことを知った。彼の取材に協力を惜しまなかった日本家庭薬協会のブースを訪ねると、レトロな家庭常備薬のパッケージが並ぶ展示の片隅に、彼が昨年1月に台湾で出版した『日本家庭藥』が置かれていた。そのとき、彼は自分がいちばん出したかったのはこの本だったと語った。

 同書は日本の家庭薬がこれほど人々の生活に根づき、今日のドラックストアに見られるように文化として花開いた背景に、100年以上続く老舗企業の存在があり、その歴史を日本の医薬品を愛好してやまない台湾の読者向けに紹介する内容だった。これを聞いて、少々大げさかもしれないが、彼はこれからの日本にとって大切な人になるだろうと私は確信した。

 鄭世彬さんは、日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品の専門家であると同時に、自ら「爆買い」する消費者であり、日本における「爆買い」の現場をよく知るフィールドワーカーでもある。何より驚くべきは、彼の発信する情報が10数億という人口を抱える中華圏に広まり、「爆買い」客を誘引したことだ。

 そんな彼が本書で語る「爆買い」に関する認識は我々に多くの知見を与えてくれる。華人にとって「爆買い」は本能である。面子、関係(グァンシー)、血縁を大切にする文化的背景に加え、根っからの商売人気質ゆえに誰もが転売業者のような買い方をする。それがネットとSNSによって想像を超えた拡散効果と購買の連携を生み、中華圏のみならず、東南アジアへと伝播する可能性も示唆している。

 台湾人の中国観や日本に対する熱い思いも正直に語ってくれた。彼と出会ってこの1年、この本をつくるために何度も会い、話し合った時間はとても有意義なものだった。うれしいことをずいぶん言ってくれるけど、少々買いかぶりすぎじゃないか…。このところ自信をなくしかけていた多くの日本人はそう感じるかもしれない。だが、東日本大震災のときに彼がこぼしたという涙に私もほろりとさせられた。この心優しき台湾人作家の日本に対する信認を知るとき、我々はもっとしっかりしなくちゃと思うのである。
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上海の書店に置かれていた鄭世彬さんの『东京美妆品购物全书』
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by sanyo-kansatu | 2016-02-12 08:02 | “参与観察”日誌 | Comments(0)