ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:ショッピング ( 77 ) タグの人気記事


2014年 11月 12日

100円ショップを観光客に広めたのは外国人ツアーガイドだった

100円ショップは、コンビニと同様に日本人の日常生活にはなくてはならないインフラといえますが、いまでは外国人ツアー客も必ず立ち寄るお土産買いスポットとなっています。
b0235153_153772.jpg

4年ほど前、中国から来た団体ツアー客の同行取材をしていたとき、皇居、浅草、新宿(歌舞伎町、都庁展望台)、銀座など、都内の定番スポットを2日間かけて訪ねた後、最後にお台場でバスを降ろされました。

そこで中国人ガイドがツアー客を案内したのは、ザ・ダイソーアクアシティお台場店。「ここは商品のどれでも100円均一。食品から雑貨、文房具、化粧品、衣類、食器など、何でも売っています。中国に帰ってみんなに配るおみやげを買うにはうってつけですよ」。

バスでの移動時間が長い中国をはじめとしたアジアからの観光客は、たいていの場合、外国人ツアーガイドによって100円ショップに連れてこられるようです。

100円ショップの商品には確かに玉石混交はありますが、さすがは日本の長期デフレ時代を象徴する商業施設。商品のデザイン性や品揃えの豊富さ、陳列の美しさなどに定評があります。

外国人ツアーガイドの多くは、日本在住者か添乗で何十回も日本を往来している人たちです。100円ショップに連れていけば、お約束で連れ回される怪しげな華人経営の免税店では、常に何かを買わされるのではないかと疑心暗鬼になっているツアー客の信頼を勝ち得ることも心得ている。彼らにとって免税店からのキックバックのような実入りはなくとも、客の気持ちをつかむ一種の隠し技なのでしょう。

では実際、ツアー客はどんなものを購入していくのか。

実はそれもガイド次第なのです。中高年客が多い場合は、意外に便利なお値打ち実用品をおすすめ。たとえば、ピーラー(野菜の皮むき器)は驚くほど皮がむけるので女性客にウケるといいます。爪切りセットも人気のアイテムだそう。若い客が多い場合は、キャラクター系や色味の鮮やかな和雑貨類。「これが100円だなんて、誰もわからないでしょう」とガイドはそっと口添えするのを忘れません。
b0235153_152146.jpg

b0235153_1523710.jpg

ただし、中国客は「メイド・イン・チャイナ」では価値が暴落すると考えているので、商品に「メイド・イン・ジャパン」と記されているかどうか、厳しい目で見極めています。

日本全国にある100円ショップの場所は、以下のサイトで探せます。「ダイソー」や「キャンドゥ」などのチェーン店が特に有名です。

全国100円ショップMAP
http://100yen.shopmap.jp/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-11-12 14:59 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2014年 04月 26日

「Tokyo Grand Shopping Week」(表参道)の舞台裏

今年1月23日~2月5日、東京を代表するおしゃれストリートの原宿と表参道で外国人観光客を対象にした Tokyo Grand Shopping Week が開催されました。キデイランドなどの個店や表参道ヒルズやラフォーレ原宿、東急プラザなどの商業施設のテナントが参加し、バーゲンセールや店頭でのスクラッチ抽選キャンペーンなどが実施されました。イベントを主催した原宿表参道欅会の松井誠一理事長と事務局インバウンド担当の中島 圭一さんに話を聞きました。

やまとごころインタビュー
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/index04.html

―『Tokyo Grand Shopping Week』を振り返ってどうでしたか?

中島(敬称略。以下同)
「原宿表参道では、昨年同時期にも“Tokyo Fan Week”というイベントを開催していますが、今年はよりショッピングのイメージを重視して名称を変更しました。

バーゲンセールをキラーコンテンツと捉えて「日本で最も遅い」といわれるラフォーレ原宿のバーゲンセールに他の施設や個店が時期を合わせる形でキャンペーンをスタートし、終わりを中国の旧正月にあたる春節期間に設定しました。

『Tokyo Grand Shopping Week』のターゲットは、台湾、香港、中国、韓国および東南アジア諸国をメインとする20~40代の男女と日本在住の外国人です。キラーコンテンツは、183店舗が参加したバーゲンセール。そして、1000円以上お買い物、お食事をされたお客さまにスクラッチカードを渡し、当ったお客さまは臨時観光案内所で10000円分の表参道ヒルズのお買い物券や参加店舗から集めた景品と引換していただくキャンペーン。昨年は表参道ヒルズの1ヵ所でしたが、今年は東急プラザと2ヵ所で行いました。

昨年の反省からいくつもの改善を行いました。たとえば、昨年は開催期間が1か月で途中、中だるみしたことから、今年は2週間にしました。スクラッチカードは店頭で削ってもらい、当たりがその場でわかる方式にしました。

イベント告知も、「長距離(海外)」「中距離(国内)」「短距離(近接した地区)」の3つのチャネルのうち、近場から外国人客を呼び込むため「短距離」に力を入れ、渋谷区や新宿区、港区のホテルなどにチラシを徹底して配布しました。

今回もいくつかの課題が指摘されており、来期に向けてその改善ともに、年間を通した取り組みを行っていきたいと思っています」。

―原宿表参道でインバウンドの取り組みを始めたのはいつですか?

中島
「インバウンド推進のための3か年計画がスタートしたのは、2010(平成22)年からです。

最初に手がけたのは、他の商業地区に比べ遅れていた銀聯カード端末の導入でした。その後、チャイナリスクが起こり、中国一辺倒ではダメだということを痛感しました。

いつも考えるのは、PRと受け入れのバランスです。欅会ではまず春節キャンペーンを打つ前に決済環境などの最低限の受け入れ整備を優先しました。外国のお客様がお買い物にストレスを感じる状況を残したまま、PRを行うのを避けたかったからです。

その次に初めてキャンペーンに軸足を移しました。表参道は、基本的にFIT(個人客)が似合う街です。
個人客を取り込むには日ごろ接している現場の人間に裁量権を与えることが重要だと考えています。
このエリアではそれが実現できています。毎月2回現場の販促担当者らを集めて会議を開くのですが、この街の人たちは一体になりやすいのがうれしいことです」。

―一体になりやすいというのは、表参道の土地柄にも関係があるのでしょうか?

松井(敬称略。以下同)
「表参道には2つの原点があります。戦後の歴史からお話しますと、ここも2回戦災に遭っていて、焼け野原から始まっています。代々木の陸軍練兵場が米空軍将校やGHQ官僚の家族用宿舎などからなるワシントンハイツとなり、西洋文化と彼らのライフスタイルに直接触れられる街になりました。それがひとつの原点です。

一般に原宿や表参道は、ストリートファッションの街。誰もが思い思いのファッションを表現し、新しいアイデアやインスピレーションが生まれる日本のアパレルを代表する街だと思われています。

転機は東京オリンピックでした。その頃から、ワシントンハイツに丹下健三や浅井慎平といった著名な建築家やカメラマン、デザイナーたちが事務所を構えたように、いろんな才能が集まってきました。実は緑が多くて、家賃が安かったからです。

ところが、外国の方に聞くと、表参道は日本的なものを感じるから好きだというのです。それは、もうひとつの原点である明治神宮の参道であることと関係あるかもしれません。この街の人たちは、表参道が他の商業地と同じ感覚では困ると考えています。だから、欅会の前身である「原宿シャンゼリゼ会」が発足した1973年当時から「キープ・クリーン/キープ・グリーン」というスローガンを掲げ、商業振興と地域環境の両面で活動を続けてきました。

もともと表参道の欅並木は大正10年に植えられたものですが、戦災でなくなった後、昭和26年に地元で造園業を営む方が再植林させたのです。この街の人たちの欅に対する思い入れがいかに強かったかを物語っています。

1970年代後半、原宿は若者の街として脚光を浴びます。ラフォーレ原宿のオープンは1978年。商業ビル化の始まりです。そして90年代前半のバブル崩壊。このあたりの地価も一気に5分の1になり、更地が増えたのもこの時期でした。2000年暮れにオープンしたベネトンを皮切りに、海外の高級アパレルブランドがこぞって出店してきました。ついにここも外資に乗っ取られるのか? でも、結果的にはそうなりませんでした。彼らの多くがビル一棟取得し、日本本社機能を持たせて街と共存しようとしました。彼らの原宿・表参道が持つ価値に対する評価は変わらなかったからです」。

―評価が変わらなかったのはなぜだったのでしょうか?

松井
「街に独自の文化があったからです。モノがあるから人が集まるのではありません。お客さま向けの商品をいくら提供しても、旅の満足は満たされない。もともと表参道に在住外国人が多かったのも、そのためでしょう。

この頃から私たちも原点回帰を考えるようになりました。自分たちのオリジナルは何かということです。それは、欅並木だと。こうして2000年、歴史的に明治神宮の表参道であること、そのシンボルが欅であることから『原宿表参道欅会』と名称を変更したのです」。

中島
「そこから、原宿表参道が目指すインバウンドの方向性が決まりました。

『街歩きが楽しい街(歩いて自分の目で見て触れる観光)』『一人ひとりの個人レベルで楽しめる街の魅力発信』『人間的な交流やホスピタリティが生まれる街』『国内客と海外客の観光施策を変えない』『即効性の集客を競うのではなく、リピーターにつながる街のファンづくり』というものです。

今回の『Tokyo Grand Shopping Week』でも、原宿・表参道の路地裏歩きガイドツアーを実施しました。外国人客にチープだけどクリエイティブなものが見つかることが、この街の魅力だと知ってほしかったのです。それがこの街のDNAだからです」。
b0235153_10312427.jpg

商店街振興組合原宿表参道欅会
東京都渋谷区宮前6-9-1 冨永ビル地下1階2号室
http://omotesando.or.jp/jp

<編集後記>
近年、各地の商店街が外客誘致に向けた取り組みを始めているなか、日本で最も有名なストリートのひとつである表参道がインバウンドに取り組んでいると聞いて、ぜひお話をうかがってみたいと思っていました。

松井理事長はこんなことをお話になっていました。
「もともと在住外国人も多いので、10年前はわざわざ海外から外国客を誘致しようなんて誰も考えていませんでした。2004年頃から都の働きかけで、いくつかの国際観光に関する会合に出席しましたが、外客誘致のために先行投資をすることは誰も望んでいなかったことから、議論は堂々めぐりの時期が続きました」。

一方、中島さんは言います。「なぜインバウンドなのか。将来は人口減、商店街のライバルは楽天という時代に、いかに街で買ってもらえるか。これは全国の商店街の共通の課題となっているはずです」。

表参道にはまちづくり協議会の地道な活動があり、ファッションビルが次々と建てられても、住民が郊外に移らず、コミュニティが維持されるような施策に取り組んできたそうです。これは百貨店や大型量販店だけが連携してキャンペーンを行った新宿との違いでしょうか。

さすがは時代を先駆けて「キープ・クリーン/キープ・グリーン」を実践してきた表参道ともいえますが、全国どこでもこんなにスマートな外客誘致を進めることができるとは思えません。結局のところ、どれが正しいではなく、それぞれの街の土地柄に見合った手法を見つけていくことが大切なのだと思いました。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-04-26 10:32 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2014年 04月 19日

タイ人留学生とお土産談義~なぜ日本の文房具は人気なのか?

前回、タイ人留学生ジャムジュン・モンティチャーさんと一緒に、タイ語の旅行ガイドブック『一人でも行ける日本の旅(Japan ญี่ปุ่น คนเดียวก็เที่ยวได้)』をめぐる問答をお届けしましたが、今回はその続きです。タイ人の日本土産と日本旅行ブームの背景について彼女の意見を聞いています。
b0235153_1152311.jpg

―実はこの本(『Omiyage』(Marugoto(Thailand)CO.Ltd刊)も昨年夏、タイ国際旅行フェアの会場で購入したものですが、バンコクのある日系出版社が刊行した都道府県別のお土産案内です。とても詳しく全国のお土産が紹介されているのですが、実際のところ、いまタイ人は日本でどんなものを買っていくのでしょうか。

「女性の観点でいうと、まず化粧品です。資生堂とDHCのサプリメント。お菓子もいろいろ。なかでも抹茶味のキットカットが人気です。東京バナナやロイズの生チョコ、タイ人はイチゴが好きなので、イチゴ入りのチョコレートにも目が離せません」
b0235153_7203512.jpg

―なぜ抹茶味が人気なんですか。

「なぜでしょう。ほかにも桜味やワサビ味などがありますが、こちらの人気はいまいちです。最近、ブルーベリーチーズパイ味のキットカット(上・甲信越限定ご当地商品)が出て、これはおいしいですね。キットカットはタイにも売っているけど、少し高いので、日本のコンビニで買えば安いことをみんな知っています。空港でまとめ買いする人も多いです。私もタイに帰省するときは、荷物のほとんどがお土産で、お菓子や化粧品がいっぱい詰まってしまいます。向こうに帰っても着るものはそんなに必要ないからですが、友達に頼まれるので、仕方ないんです」。

―他にも何かありますか。

「日本のステーショナリーが人気です。ふつう人からペンをもらっても、何これって感じですが、日本のシャーペンとか、消えるペンとかあげるとみんな喜びます。だから、最近のタイ人のツアーでは、ロフトとか東急ハンズに連れて行ってくれというお客さんのリクエストが多いそうです」。

―日本の文房具のどんなところがいいのでしょうか。

「すごくよくできているのと、タイ人は小さくて細かくて、カラフルでいろいろあるという世界が好きなんです。日本のステーショナリーを見ていると、ワクワクします」。

―タイ人のそんな感性は日本人と似ていますね。最近、タイ人客が増えたので、百貨店やドラッグストアなどでもタイ語のポップや商品説明が増えてきた気がします。

「でもね、タイ語がちょっと変なんです。たぶん、タイ語の翻訳ソフトを使ったんじゃないかと思いますけど」

―以前、タイでもちょっと変な日本語をよく見かけたものですが、逆のことが起きているんですね。ところで、タイ人がいまのように海外旅行にたくさん行くようになってきたのはいつ頃ですか。

「4~5年前からです。LCCが飛ぶようになった頃で、タイ人の所得もだいぶ上がったことが大きいです。私が大学を卒業したころは、新卒の初任給は日本円で2万円相当でしたが、いまは約5万円と聞きます。ですから、半年とか1年とかお金を貯めて、海外旅行に行きたいと考える若者が増えています。自分のための1年1回のプレゼントとして。最初は近場の香港やシンガポールに行くけど、本当は日本に行ってみたかった。

これまでヨーロッパと同じように敷居の高かった日本が観光ビザを免除したり、円安になったりして、行きやすくなったため、日本旅行のブームが起きているのだと思います。なにしろ以前は、特にタイの女性の場合、日本に行くには、半年分の銀行口座の残高証明だとか、いろんな書類を用意しなければなりませんでした。その必要がなくなったのですから。

クレジットカードをつくりやすくなったこともあります。海外旅行ローンもできるようになった。年に2回のトラベルフェアなどで安いツアーや航空券が買えるようになったので、海外旅行のチャンスが広がっています」。

―タイの人たちは日本の情報をどのように知るのでしょうか。どんな内容だと日本に旅行に行きたいという気持ちになるのかな。

「やはり影響力が大きいのはテレビ番組です。日本を紹介する番組は昔から多かったのですが、最近はタレントが実際に日本に旅行に行ってレポートする番組が増えています。たとえば、『I am Maru』とか、去年の春から放映している『MAJIDE JAPAN』は、おなべの子が日本を訪ねるバラエティです。あの番組、メチャメチャ面白いです。日本にいても、ネットで視聴できますよ」。

ガイドブック『一人でも行ける日本の旅』の中に指宿温泉や田沢湖など、いきなり渋い観光地が出てきたりするのも、タイの出版メディアやテレビ番組の制作者たちが、まだタイ人が知らない日本を競うように探して紹介しようと努めていることの表れだと思います。これほど強力な訪日旅行プロモーターはいないといえるでしょう。

実は、今年2月にタイで訪日旅行促進に貢献したとされるメディア作品などが日本政府観光局(JNTO)によって表彰されています。タイのトップスターから映画、テレビ番組、CMのプロモーションなど、多様なメディアが受賞して、興味深いです。その話は、次回に。

※(次回)タイの日本旅行番組『MAJIDE JAPAN』の影響力はマジですごいらしい
http://inbound.exblog.jp/22471451/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-04-19 11:03 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2014年 04月 09日

日本の良いものを世界のムスリムへ―ハラル食品をオンライン販売

東南アジアを中心に日本を訪れる観光客が増えるなか、日本と異なる宗教的戒律をもつムスリム客へのおもてなしのあり方が関心を呼んでいます。イスラム教徒向け食材を提供する専門商社の日本アセラル商事は「日本の良いものを世界のムスリムへ」を合言葉に、4月初旬、オンラインショップ「ハラルストア」を開設しました。その狙いや今後の展望は? 代表取締役社長の千葉弘樹氏にお話をうかがいました。

コンテンツ:
ハラルストアとは
日本製ハラル食品について
日本のハラルを取り巻く現状
ハラル・ジャパン協会について
まずはインバウンド客にアプローチ


―ハラルストアとはどんなサイトですか?

ハラルストアは、日本製ハラル商品に加え、ハラル認証を取得していないものの、豚由来の成分が入っていない、またアルコールが添加されていないNPNA(ノンポーク・ノンアルコール)食品を販売する日本初の専門サイトです。日本語版と英語版を設け、国内及び海外で販売を始めたばかりです。

ハラルストア
http://www.halal-store.net/

ハラール(HALAL)とは、イスラムの教え(シャリーア法とイスラム原理)で許された「健全な商品や活動」のことの全般を意味します。東南アジアを中心に日本を訪れる観光客が増えるなか、彼らに聞くと、日本食が大好きで、寿司やてんぷら、ラーメン、焼肉を食べたいといいます。ところが、そのネックとなっているのが、ハラルです。

イスラム教徒は世界人口の4分の1にあたる約19億人、食品市場だけで60兆円ともいわれますが、日本製の食品は現地でほとんど流通していません。こうしたなか、海外に日本製のハラル食品を輸出したいと考える企業も増えてきました。

日本製ハラル商品の専門商社である弊社は、昨年6月から国内在住のムスリムや訪日客の受け入れを行うホテルやレストランなどに卸販売を手がけてきました。ハラルストアは、そのオンラインショップといえます。「日本の良いものを世界のムスリムへ」を合言葉に、国内だけでなく、インドネシアやマレーシア、シンガポール、ドバイへの海外配送も行います。

―日本製のハラル食品にはどんなものがありますか?

日本にもマレーシアハラルコーポレーション(東京)など、認証および関連団体はいくつかあります。

現在、日本のハラル認証商品は約50〜60品目。醤油やカレー粉などの調味料、日本茶やゆずドリンクなどの飲料です。ただし、実際には認証がないと売れないのではなく、前述したように、豚由来の成分が入っていない、またアルコールが添加されていないNPNA(ノンポーク・ノンアルコール)食品であれば問題がないと考えるムスリムの方も多いため、ハラルストアでも約300点のNPNA商品を扱っています。
b0235153_1330273.jpg

b0235153_13303662.jpg

NPNA商品には、ミソやソースなどの調味料から、おかきやせんべいなどのお菓子類、そばやうどんなどの麺類、日本食のレトルト食品などいろいろあります。

―日本のハラルをめぐる現状をどうお感じですか?

この1年で急速にハラルに対する理解が広がっています。キーワードは、「尖閣」「竹島」でしょうか。政治的リスクを回避するため、アセアンと中東へ目を向けようという機運が国内で一気に盛り上がりました。2012年秋のことです。さらに、昨年7月東南アジア各国に対する観光ビザの緩和が相次いで行われ、9月には2020年東京オリンピック招致決定、12月には和食の世界無形文化遺産登録と、数ヵ月おきにハラルブームを後押しする出来事が起こりました。

その結果、物珍しさから日本製ハラル食品はメディアに取り上げられる機会も増えましたが、話題先行気味です。現実とのギャップが大きい。いくら話題になっても、商品が実際に売れなければ意味がありません。

―理事をされているハラル・ジャパン協会について教えてください。

設立は2012年10月1日。ハラルに関する啓蒙活動や市場調査、各企業が自社商品のハラル認証を取得するためのアドバイス、ハラル商品の販売支援、インバウンド支援などを行っています。
b0235153_13313324.jpg

毎月「ハラルビジネス講座」を開催しています。2日間でハラルの基礎からマーケティングまで学んでいただく。都内のモスクや在日ムスリムの経営するハラルショップなどを見学し、理解を深めます。モスクでは、イスラムの教えを直接うかがいます。

2008年頃、イスラム教徒向け食材市場の存在を知り、仲間と勉強会を始めたのが最初です。2010年、マレーシアに視察に行くと、「なぜ日本人は食材を売りにこないのか?」といわれました。ただし、現地で日本食品を販売するためにはハラル認証が必要なことを知りました。帰国して、在日ムスリム関係者に会い、彼らの協力のもとに国内の市場調査などを進めました。

現在、同協会の主な会員は、食品や化粧品メーカー、ホテル、商社などが多いです。

―ハラルに関心のあるインバウンド業界の方たちにアドバイスをいただけますか。

現在、インドネシアやマレーシアなど東南アジアはもちろん、南アジアのインドやパキスタン、バングラディッシュ、中東のサウジアラビアやUAE、トルコ、アフリカなどからも日本に観光やビジネスで多くのムスリム客が訪れています。ですから、我々もまずインバウンド客への取り組みを通して海外での販売につなげていきたいと考えています。ハラルビジネスは、インバウンドの周辺から動くはずだと。

ムスリム客対応としていきなりハラル対応を行うことは非常に困難です。まずは第一歩として、ホテルやレストランに必要なのは、ノンポーク&アルコール料理のメニューを用意することでしょう。また近隣のモスクやハラルレストランの情報を提供すること。客室にマットやキブラシール(メッカの方向を示すマーク)、コーランというお祈りグッズを貸し出すことも大切です。弊社では、ハラル商品の卸販売だけでなく、お祈り用マットやキブラシールの販売も行っています。またムスリム客対応のためのスタッフ教育として認証団体や講師の斡旋など、トータル的にサポートしています。
b0235153_1332188.jpg

旅行会社に対しては、「ハラルデリ」というハラル対応のお弁当の宅配サービスを行っていますので、ご利用いただけるとよろしいかと思います。観光やビジネスで訪れたムスリムのお客様の接待やツアーバスでの食事提供など、さまざまなシーンでご利用いただいています。

まずは、毎月1回開催している「ハラルビジネス講座」にご参加いただき、ムスリム対応の基礎を学んでいただくことをおすすめします。
b0235153_13364018.jpg

株式会社日本アセラル商事
東京都台東区上野2-12-18
http://aselal.jp
一般社団法人ハラル・ジャパン協会
東京都豊島区南池袋2-49-7 池袋パークビル1F
http://halal.or.jp

<取材後記>
にわかに盛り上がったハラルブームですが、イスラムの戒律と聞くと、厳しくて難しそうという印象がつきまといます。ハラルのわかりにくさは、イスラムの教理が基本的に寛容であることによるのだそうです。もともと個別のモスク周辺に暮らす住民に対してローカルの宗教指導者が地元に合った食のルールを伝えたのが始まり。「これで安心だよ」という地元のみで通用するお墨付きのようなもので、戒律が寛容というのはそういうことだとか。その結果、ハラルのルールは、宗派はもちろん、国や地域によって内容が相当違う。そのため、一律の基準を決めるということ自体に無理があり、個別のケースごとに異なる対応を迫られるため、日本人には難しく感じられるのです。

たとえば、中国のように国内に当たり前にムスリム(回民、ウイグル族)が生活するような社会であれば、ハラルは日常生活の中に根付いています。最近、日本の大学でもムスリム留学生向けにハラル食を出す学食もでてきていますが、中国の大学では、回民食のコーナーは以前から当たり前に存在していました。

日本の社会にこれまで存在しなかった異文化のルールを採り入れるというのはそう簡単なことではありません。しかし、関係者の話を聞く限り、求められているのは、必ずしも厳格なものばかりではなさそうです。そういう意味でも、我々がムスリム客に対してできるおもてなしは、“ムスリム・フレンドリー”な対応でしょう。「私たちはあなたがたを心より歓迎しています」というメッセージを込めたおもてなしということです。そのためには、ハラルの基本を頭に入れておくことは欠かせないといえます。

※やまとごころ.jpの取材です。
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/index03.html
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-04-09 13:35 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2014年 03月 28日

第1回「ジャパン・ショッピング・フェスティバル(JSF)」報告会にて

2013年12月1日~2014年2月28日にかけて、東京、大阪、福岡の約200を超える小売施設が参加した「ジャパン・ショッピング・フェスティバル(JSF)」が開催されました。主催は、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 Japan Shopping Tourism Organization(略称JSTO)と観光庁。JSTOはショッピングを通して日本の魅力を海外にPRするため、2013年9月に設立された組織です。今回は、2013-14年冬に実施された第1回JSFの報告会で語られた関係者の取り組みを紹介します。

日時 3月12日(水)15:00~17:00
会場 JAビル(大手町)
主催 一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)

●プログラム1:2013-14冬 ジャパン・ショッピング・フェスティバル(JSF)報告
新津研一JSTO専務理事(株式会社USPジャパン代表取締役社長)

b0235153_9191886.jpg

第1回JSFでは、海外PRのための公式サイト「GoJSF-Japan Shopping Festival」を昨年10月25日開設しました。今回JSFに参加したのは、東京、大阪、福岡の230施設。ショッピングセンターや量販店、専門店、百貨店、ディスカウントストア、アウトレットモールなど、業態はさまざまです。同サイトは4言語(英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語)対応で、参加店舗の情報がインデックスされ、各店から限定品情報やイベント情報、セール情報が発信されました。
b0235153_945735.png

GoJSF-Japan Shopping Festival
http://www.gojsf.com/

さらに、公式Facebook や協力企業を通じた海外PRも展開しました。Facebookの国別「いいね!」数では、7万人のアクセスの半数以上をタイが占めるという興味深い結果も出ました。とはいえ、ようやく海外PRのためのプラットフォームができたというのが実情で、JSFが海外で十分認知されたという状況には至っていません。

国内では、各地の参加施設が告知ポスターやフライヤーを使ってPRしました。ただし、日本旅行やデジタルカメラが当たる抽選キャンペーン「ジャパンプライズ」の応募者数が予想を下回ったなど、いくつかの課題も指摘されました。

●プログラム2
各商業施設の取り組み事例


春節の販売強化策
京王百貨店 代田怜子氏


京王百貨店では、今年の春節(1月24日~2月13日)の免税売上実績は対前年の約2倍となりました。国別でみると、1位は台湾、2位が中国ですが、ここ数ヵ月、中国のシェアが伸びています。

同店では、春節期間中、外国人向けの5%割引クーポンやお買上プレゼントを告知した「ウェルカムボード」の設置は店内誘導につながり割引クーポンによる売上は対前年8.5倍と大きな効果をもたらしました。さらに「春節福袋」を企画しましたが、事前告知不足や内容の見直しが改善点として挙げられるものの、福袋を紹介するペラの配布による掲載店舗への誘導は成果を挙げました。

東京メトロ1日乗車券の販売と割引キャンペーン
ビックカメラ 田熊力也氏


ビックカメラでは、春節期間中、免税売上が全売上の2桁の比率になりました。同店では、新しい取り組みとして英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語、タイ語、インドネシア語の多言語Facebookで商品情報を配信。カメラ好き社員の多い同社ならではの販促品として、社員が撮影したオリジナル写真のポストカードを外国客に渡したり、東京メトロと連携して1日乗車券を販売したうえ、乗車券を店頭で提示することで8%割引のキャンペーンを実施するなど、ユニークな販促を展開しました。
b0235153_9194644.jpg

海外店を活用した取り組み
三越伊勢丹ホールディングス 堀井大輔氏


三越伊勢丹ホールディングスでは、海外、国内、社内の3つの取り組みを実施しています。

同グループは海外5カ国、27店舗を展開していることから、現地で発行しているカード会員に対する訪日旅行時の優待サービスとしてクーポン券を発行しました。また国内では、新宿エリアでの他の商業施設と連携した共同キャンペーンを行いました。同じ志を持った異業種の方と話し合いの場を持てたことが収穫でした。
b0235153_96993.jpg

社内の取り組みとしては、店舗での外客受入の強化策として、対応言語別のバッジを胸に付け、外国語のサポート体制を構築しました。春節前に社内WEBで外客受入のための勉強会をしたことが、現場のスタッフのモチベーションアップにつながりました。
b0235153_920737.jpg

Tokyo Grand Shopping Week
原宿表参道欅会 中島圭一氏

b0235153_9202691.jpg

原宿表参道欅会では、春節期間中(1月23日~2月5日)、Tokyo Grand Shopping Weekを開催しました。昨年同時期にも、Tokyo Fan Weekを開催していますが、今年のイベントはよりショッピングのイメージを重視して名称を変更したものです。

表参道ヒルズ、ラフォーレ原宿、東急プラザなど、表参道原宿の施設テナントやキデイランドなどの個店約240店舗が参加し、バーゲンセールやお土産企画、レストラン・ウィークなどのコンテンツを実施しました。また期間中、1000円以上お買い求めの外国客に店頭でのスクラッチ抽選キャンペーンを企画しました。

同会では、3~4年前からインバウンドに対する取り組みを始めています。多くの商業施設を取りまとめるため、毎月2回会議を開き、現場担当者らによる意見交換を行っていることが、今回のイベントの大きな推進力となっています。

●プログラム3:2014年夏キャンペーンに向けて
新津研一JSTO専務理事(株式会社USPジャパン代表取締役社長)


今年7月1日~8月31日にかけて夏のキャンペーンを実施します。

この冬のキャンペーンの課題をふまえ、運営方法を見直し、プロモーションの魅力度アップのために、海外PRの発信スケジュールを早期提示することに努めます。我々にとっての課題として何より挙げられるのが、日本には海外向けのショッピングのポータルサイトがない、ということに尽きます。このサイトをポータルに育てていく必要があります。

さらに次回は、これまで参加していなかった北海道や中京エリアの小売店、一部のドラッグストア、専門店などの参加者を拡大していきます。

一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)
東京都港区西新橋3-6-2 西新橋企画ビルディング3階
http://www.jsto.or.jp

<取材後記>
報告会の冒頭で、新津研一JSTO専務理事は「日本の魅力はショッピングに集約されている。ショッピングこそ、日本旅行の楽しいコンテンツである。ところが、海外ではそれが十分認知されていない。JSFは、日本の魅力を海外に広くPRするために、オールジャパンで取り組んでいく取り組みだ」といいます。

昨年秋、一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)が設立するというニュースを耳にしたとき、最初に思ったのは、このプロジェクトにモデルはあるのだろうか? ということでした。

たとえば、かつてバーゲンシーズンには日本人も大挙して押しかけた香港。なぜ多くの日本人は香港に買い物に出かけたのか? 確かに、香港政府観光局のプロモーションは当時から洗練されていましたが、それ以上に雑誌メディアなどが豊富な現地情報を提供していて、お目当ての商品を最初から目がけて香港に足を運ぶ人が多かったように思います。おいしい香港料理が食べられることもお楽しみとして。

こうしてみると、海外の旅行者というのは、限りなくピンポイント情報を求めているのでは……。要するに、バーゲン情報の具体的な中身。そんな身も蓋もないことを思わないではありません。

もっとも、関係者の語るように、いまはまだこのプロジェクトはスタートラインに立ったばかり。今年の春節は、大幅回復した中国本土客によって一部の小売店や百貨店に売上増をもたらしたのは事実です。ただし、それは多くの場合、関係者らの長い試行錯誤や努力の積み重ねがあったということは、今回の事例報告でよくわかりました。

今回の報告会では、現場で外客による売上効果を手応えとして実感している小売関係者の生の声を聞けたことに意味がありました。本来ライバルである方たちが、お互いの経験や知見を惜しみなく公開する場がこうして設けられたことにこそ、JSTO設立のひとつの意義があると思いました。

※九州在住の帆足千恵さんがやまとごころ.jpでJSFの九州での様子を報告しています。
訪日旅行者1000万人時代にショッピングツーリズムの果たす役割は何か?
http://www.yamatogokoro.jp/column/2014/column_147.html
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-03-28 08:52 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2014年 03月 24日

日本の供養文化を海外にどうやって伝えるか(お仏壇のハセガワ銀座本店)

今回も「やまとごころ.jp」のインタビューから。「お仏壇のはせがわ銀座本店」の話。

2003年に銀座1丁目に開店した「はせがわ銀座本店」には、多くの外国客が訪れている。「お仏壇のはせがわ」でおなじみの同店で外国客に人気なのは、和を感じさせる季節の室礼(しつらい)商品や、6階のギャラリーに収蔵されている年代物のお仏壇など貴重な伝統工芸品だ。まだ始まったばかりの同店のユニークな外国客誘致の取り組みについて、大石光一本店長と林星司店長のおふたりに話を聞いた。
b0235153_1513577.jpg

目次:
供養マーケットの創出
売れ筋は24節句の室礼(しつらい)商品
日本の伝統工芸技術を伝えるギャラリー
今後の課題

―銀座本店の位置付けについて教えてください。

大石
「これまで弊社はお仏壇や仏具、墓石や納骨に関するトータルサポートなど、新しい供養マーケットの創出を手がけ、国内に100店舗以上を出店してきました。ブランディングショップとして銀座本店をオープンさせたのは2003年です。お仏壇というのは、お寺さんを小さくした本堂で、家の中で仏様や祖先を祀る場所です。そこには、鍛金や彫金、金箔打ち、漆塗りなど、さまざまな伝統工芸の技法が集約されています。
b0235153_15145542.jpg

銀座本店では、単にお仏壇や仏具を並べるだけでなく、日本の伝統的な供養文化を多くの方に理解していただくため、小さなギャラリーを設置しました。

そこでは、定期的にお坊さんを呼んで法話会を開いたり、仏具等の展示会を開催したりしています。
毎年10~12月には古布人形展をやっていますが、そのときばかりは、ここは本当にお仏壇屋さんなのだろうか、というほど大勢の方がいらっしゃいます」

―いつごろから外国客が来店するようになったのですか?

大石
「当初外国のお客様のご来店は想定していなかったのですが、オープンすると、すぐに店内を覗きに来られるようになりました。最初は欧米の方が多かったようですが、最近はアジア方面、特に中国からのお客さまが多いという印象です。いまは欧米客3:アジア客7くらいの比率でしょうか」
b0235153_15152213.jpg


「1階に展示してある『季節の室礼商品』と私どもが呼んでいる、端午や桃の節句にちなんだガラス細工やちりめん細工の商材を手に取ったり、奥の黄金の茶室をご覧になったりしています。
b0235153_1516231.jpg

欧米の方は特に着物生地の商材やお香がお好みのようです。よく購入される商品の価格帯は、3万円前後。アジアのお客さまには香木が人気です。『これはどこで採れたものですか? 何年物ですか?』と熱心にご質問されます。中国に比べ値段が安く、偽物を買わされることがないので、日本での購入を希望するそうです」

大石
「欧米客は仏像をキャラクター化したブロンズ像などをアート作品として購入される場合が多いです。有名な彫刻家で東京芸術大学の籔内佐斗司先生の作品はとても人気があります」。
b0235153_15154280.jpg

―ギャラリーでは何を展示しているのですか?

大石
「弊社ではお仏壇や仏具の製造に加え、国内の重要文化財の修復をお手伝いさせていただいています。いま世界的にお仏壇や仏具を専門に作る職人は少なくなっています。中国では文化大革命によって徹底的に仏教文化が破壊されたため、ほとんどいないそうですし、台湾でも高齢化が進んでいると聞きます。そこで、2006年以来、弊社は東京芸術大学と連携、文化財保存学を学ぶ大学院生の最優秀研究に『お仏壇のはせがわ賞』授与し、日本の伝統工芸技術の継承にささやかながらご協力させていただいています。
b0235153_1516026.jpg

銀座本店のギャラリーは『ご供養の過去・現在・未来』をテーマとして日本の工芸技術と『祈りの心』を知っていただくために開設したものです。明治時代の金仏壇や阿弥陀如来立像といった貴重な文化財とともに、同大学院の優秀作品などを常設しています。来店したお客さまからお声をかけていただければ、6階までご案内します」。

―外国客向けの課題や今後の展望についてどうお考えですか?

大石
「昨年10月から中国福建省出身の林店長が着任し、中国のお客さまの接客は彼が担当しています。英語を話すスタッフもおり、ようやく外国客向けの態勢を整えつつある状況です。日本の『祈りの文化』を海外の方にもっと伝えていきたいと考えていますが、まだまだこれからです」。


「アジアのお客さまの8割を占める中国本土のお客さまは、一つひとつの商材に対して『これはどこで作ったものですか? この仏具にはどんな意味があるのですか?』と細かく尋ねられることも多く、やりがいがあります。日本の仏像の面相は、東南アジアと違い、中国や朝鮮半島の仏像と似ているので、人気があるのです。最近、中国では若い世代がお寺にお参りによく行くようになったといわれます。時代と共に信仰心が蘇ってきたのです。ですから、海外のお客さまをいかに当店に誘致するか、仏壇仏具を通して日本の伝統工芸技術の素晴らしさをいかに伝えるか、というふたつの目標をこれから掲げていきます」。
b0235153_15191895.jpg

はせがわ銀座本店
東京都中央区銀座1-7-6 銀座河合ビル
http://www.hasegawa.jp

【編集後記】
当初「お仏壇のはせがわ」に外国客が訪れているという話を聞いたとき、きっとタイ人だろうと思っていました。タイ人の日本旅行には、全国各地の大仏や仏教寺院の訪問が欠かせず、彼らが熱心にお参りしている姿を見ていたからです。ところが、銀座本店で話を聞いたところ、来店客の多くは中国本土客でした。背景には、文化大革命で破壊され、失われた中国の仏教文化を取り戻そうとする精神的な欲求があるらしいこと。ここ十数年の経済一辺倒の風潮の中で、特に中国の若い世代が熱心に宗教文化にすがろうとしている姿が見られることなど、今日の中国人にとって心の問題がとても重要になっていることを、同店の中国出身の担当者の指摘から知ることができました。

銀座には毎日、多くの観光バスが現れ、外国人観光客が散策とショッピングの時間を過ごしています。銀座には、はせがわ以外にも、日本を代表する多くの企業のショールームが集まっています。これらのショールームが一堂に連携して日本のものづくりの素晴らしさを発信することができれば、外国客に対する銀座の新しい過ごし方を提案できるのではないでしょうか。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-03-24 15:18 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2014年 03月 15日

ご当地みやげを改造せよ(1919年の提言)

ツーリスト28号(1917年11月)において、国内観光地に外客や国内遊覧客の便宜を図るためのさまざまな設備をつくることを提案したジャパンツーリストビューロー幹事の生野圑六は、2年後、次なる提案をしています。

それは、ご当地みやげを改造せよ、です。

「遊覧地土産品の改造を促す」(ツーリスト40号(1919年11月))の中で、彼はまず伊香保温泉を訪ねた折、遊覧客向けの設備が著しく改善されたことを「愉快」に感じたと述べたうえで、こんなことを書いています。

「一般遊覧地に對し上記六ケ条(ニッポンの観光地は外客の存在を意識して大正期に近代化された)の外更に所謂土産品の改造を促したいのである」

どういうことでしょう。

「今日相当名ある遊覧地を旅行して最も煩く眼に觸れる一は土産品である。曰く『温泉みやげ』『海水浴みやげ』其他神社佛閣に因める、さくら、もみぢもゆかりのあるもの等殆ど幾千種を以て數へらるるのであるが、假令土産品、名物の名は共通であっても此種のものが果たして土地特有の特色を出して居るか否乎は甚だ疑はしいのである。忌憚なく謂はしむれば今日の所謂土産品は其名の共通なる如く其實物も共通であって甲地のものも乙地のものも更に異れる點がない、例へば『松島みやげ』と称する貝細工と『江の島名物』の貝細工とを比較し、又箱根特産と銘打たる木細工と熱海名産の木細工とを比較する時吾人は容易に各自異れりとする其特色を見出し兼ぬるのである」

痛いところを突いていますね。でも、これは今日においても見られる現象ではないでしょうか。

生野は言います。

「土産品としては其種類の如何を問はず絛件として多少に関はらず必ず地方的趣味地方的特色を基礎として加味したものであって欲しい。例へば木曽の名物ならば本曾特有の或物を得て之に歴史的、傳統的な意義を含ませ、其郷土的色彩を加工の上に施したならば、単に一箇の木曽みやげとして見る以外之に由り其郷土人士の趣味性、風俗などより種々なる思想の上のことまで味ひ得られるであらう」

まったくおっしゃるとおりですね。

「一方又みやげ品は地方遊覧地の繁栄を期する上にも可なり重要な財源の一に數ふる事が出来る。従って各遊覧地が工夫を凝らし特色を発揮し、其需要を活発ならしむるに努めれば単に旅客の注意を喚起し趣味を満足せしむるに止らず、或る意味に於ては遊覧地住民に對する副業奨励ともなり遊覧地旅客相互に稗益するところ蓋し鮮少ならざる可しと信ぜられる」

高速道路沿いのサービスエリアがアジア客に人気といいます。そこで販売されるさまざまなご当地みやげを買うこと自体がお楽しみの時間になっているのだそうです。ですから、ツアーバスの関係者も、単なるトイレ休憩の場所ではなく、じっくり時間を取るそうです。

日本人の目からみると、ご当地みやげと称されるものの中には、かつて生野が指摘したようなマユツバっぽい品々も紛れているように思いますが、少なくとも海外の観光客にとって観光アトラクションのひとつになっているというのは、面白い話です。生野は、この光景を見て何を思うのでしょうか。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-03-15 11:16 | 歴史から学ぶインバウンド | Comments(0)
2014年 02月 19日

やれやれ「中国客が都内の質店でブランド品を転売目的で買い付け」だってさ

これまで中国人観光客の“爆買い”の光景を繰り返し報じてきた朝日新聞が2月13日の夕刊で「中古買い付け 万来中国人 『日本なら本物』ブランド品求めて東京へ 転売目的 高額まとめ買い」と書いています。
b0235153_10561358.jpg

「東京都内の中古ブランド品店で、常連の中国人が増えている。転売目的の買い付け人だ。日本人の鑑識眼に信頼を寄せ、時計やバッグを買い込んでいく」。

「東京・歌舞伎町近くの中古ブランド品店。1月下旬の平日午後、中国・遼寧省出身の男性(25)が、中古のエルメスの高級バッグ「バーキン」を買い、即時決済できる中国のデビットカード「銀聯カード」で139万8千円支を払った。北京に持ち帰り、1割弱の利益を上乗せして売るという。男性は約1年前に買い付けの仕事を始め、毎月のように来日する。今回は千葉県内のホテルに3泊し、新宿のほか、銀座や池袋など複数の中古ブランド品店をはしごし、高級バッグや高級時計「ロレックス」など数千万円分を買い集めた」。

その男は「日本なら海賊版をつかまされない。持ち帰れば確実に買い手がつく」と話したそうです。

「買い付け人は中国人を中心に、都内で1年ほど前から目立ち始めた。新宿駅東口にある大黒屋新宿本店では、中国人を中心とした外国人への売上が全体の5割を超え、増え続けている」。

こうしたことから、大黒屋の「従業員は、無料でメールができるLINE(ライン)を駆使し、客の注文に応じる。時計なら数点~十数点を数百万~数千万円でまとめ買いする中国人が多いという」「大黒屋の小川浩平社長は『日本では、有名ブランドの中古品が多く流通していて、お目当ての本物をほぼ確実に購入できる。真贋鑑定に厳しい日本の質店への信頼は高い』と胸を張る」のだとか。

「日本製への信頼を意味する『メード・イン・ジャパン』になぞらえ、買い付け人の間では最近、日本で鑑定された品がこう呼ばれている」「チェックド・イン。ジャパン」。

やれやれ……。まだこんなことやっているんですね。

訪日中国人に限らず、都内の特に夜のお店で働く華人女性たちが、大黒屋やコメ兵(こちらのほうが有名かも!)といった歌舞伎町近くの質店で中古のバッグや時計、化粧品(こちらは中古ではありません)をよくまとめ買いしているという話はずっと前から聞いていました。おそらく彼女たちの情報が中国に口コミで広がり、買い付け目的で来日する中国人が現れたということでしょう。
b0235153_1055893.jpg

これは数年前、日本の骨董屋に大挙して中国人が押しかけたのと同じ話でしょう。彼らは戦前期に日本に持ち込まれた中国の骨董(絵画や書、清朝の陶器など)を全国の骨董店を訪ねて買い漁り、中古ブランド品と同様、利益を上乗せして中国で転売していたのです。

なぜメイドインジャパン好きの中国人がメイドインチャイナの骨董を高値で買うのか?
http://inbound.exblog.jp/19743450/

東日本大震災の起こる直前の2011年2月下旬、東京ドームホテルで開かれた中国骨董オークションの会場に足を運んだことがあります。ホテルの外に横付けされた何台もの大型バスから降りてきた中国の買い付け人たちは、オークションで競り落とした高額な骨董を日本円のキャッシュで支払っていました。なかには数千万円相当の品もあり、それを競り落とした中国の中年男性は、見せびらかさんばかりの手つきで1万円の札びらを切って、若い日本の女性スタッフに手渡すのです。海外では「品がない」と嫌悪される、この「札びらを見せる」という行為が、中国人にとっては信用においても面子においても重要だからですが、まさに俗物の権化のように見えてしまいます。
b0235153_115321.jpg

それにしても、一部の日本のメディアは、この手の話題がお好きなようです。日本人のサラリーは減る一方なのに、中国人はいまや金持ち! 日本は追い抜かれたとばかりに、ことさら彼らの破格の購買力を強調してみせるというメディアの送り手たちの自虐的、あるいは屈折した心理にはいたたまれない気さえします。こんな風に中国人のふるまいを報じてみても、所詮「好ましからざる中国」イメージにつながるネタの一ジャンルにしかならないわけで、後味が悪いですね。

考えてみれば、戦前期には多くの華人を通じて中国骨董が売り払われたからこそ、多くの品が日本にあるわけで、今度はそれを買い戻しに来ているという話。モノづくりではなく、すでにあるモノの価値を理屈をつけてつり上げ、上乗せしたうえで転がせ、利益を得るという商いの作法は、中国人のDNAに刻まれたごく自然な営みなのでしょう。そういう彼らが、今度は欧米産の中古ブランド品に目を付けたということです。

ここは「よくやるよね」とは突き放してみるほかありません。

そんな彼らにこそ、「エコノミック・アニマル」の称号を授けたいと思います。せいぜいたくさん買い上げてもらいましょう。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-02-19 10:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(1)
2013年 07月 21日

アジア系観光客の買い物先が百貨店とアウトレット、量販店だけだとしたら…【2013年上半期⑥小売業】

2013年上半期、日本の宿泊業や飲食サービス、一部の小売業の景況感が回復しているようです。

「宿泊・飲食業 景況感プラス 訪日客が押し上げ 小売業は横ばい」(日経MJ2013年7月3日)

「流通業やサービス業の景況感の改善が進んでいる。日銀がまとめた6月の企業短期経済観測調査(短観)によると企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・非製造業でプラス12だった。2四半期連続の改善となり、3月調査から6ポイント上昇した。プラス12はリーマン・ショック前の2008年3月調査と同じ水準。宿泊・飲食サービスの回復が目立った」

背景には、訪日外国客の増加の影響があるようです。

「宿泊・飲食サービス業の改善を後押ししているのはこのところの円高修正だ。訪日外国人観光客の増加による押し上げ効果は大きく、京王プラザホテル(東京・新宿)は5~6月の外国人宿泊客の比率が前年同期の50%台から60%台まで上昇。タイやインドネシアなど東南アジアからの旅行客の伸びが目立つという」

※宿泊業の動向については「東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】」を参照。

ところが、外国人観光客の買い物による地域経済への波及効果を期待する声は多いにもかかわらず、実際には「小売業は横ばい」と宿泊や飲食サービスに比べ、景況感の回復は見られないようです。

なぜなのか。ひとことでいえば、外国人客が買い物に訪れる場所は限定的だからです。

たとえば、「百貨店では海外高級ブランドなどの高額品に加え、訪日外国人向けの販売も好調。大丸松坂屋店では6月の免税売上高が2.5倍となった」とのこと。

「百貨店の外客売上120%増」(週刊トラベルジャーナル2013年7月8日)

「日本百貨店協会が発表した5月の外国人観光客の売上高・来客動向によると、調査対象44店舗の総売上高は前年同月比122.7%増の33億1615万円となった。(中略)今年2月以降、拡大基調が続いている。伸び率は、中華圏の旧正月時期に当たった2月(115.2%)を上回った」といいます。

ところが、「所得の本格回復が遅れているため、日常的な買い物が中心のスーパーは苦戦が続く。日本チェーンストア協会がまとめた5月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は前年同月比1.2%減」(日経MJ2013年7月3日)だったのです。

つまり、訪日外国人の4分の3以上を占めるアジア系旅行者の増加によって恩恵を受けるのは、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に限定、といえるかもしれないのです。

実際、訪日外国客の増加を背景に、不動産デベロッパーらのアウトレットモール開発の動きは盛んになっています。

「アウトレット2強 訪日外国人に照準」(産経新聞2013年4月20日)

「売れ残ったブランド品などを格安で売るアウトレットモールで、不動産大手2社の競争が激しくなっている。三菱地所が19日、千葉県酒々井町に新たな施設をオープンしたのに対し、ライバルの三井不動産は同県木更津市のアウトレットの増床を決めた。両社とも成田空港を利用する訪日外国人らを主要ターゲットに集客に工夫を凝らす」

同紙によると、両社の主なアウトレットモールの店舗は以下のとおり。

●三菱地所 
御殿場プレミアム・アウトレットと関西空港に近いりんくうプレミアム・アウトレットほか9施設
http://www.mec.co.jp/j/service/shopping/

●三井不動産
三井アウトレットパーク木更津ほか12施設
http://www.mitsuifudosan.co.jp/shopping/

日経MJ2013年5月13日では、今年4月中旬にオープンした「成田の近く 外国人客誘う 酒々井プレミアム・アウトレット」について次のように報じています。
b0235153_204483.jpg

「三菱地所・サイモン(東京・千代田)が4月19日に開業した酒々井プレミアム・アウトレット(千葉県酒々井町)。成田空港からバスで20分ほどと近いため、外国人客を意識した工夫を凝らした。アウトレット施設の飽和感が指摘される中、リピート客を取り込むためのテナント構成にも気を配るなど他にない特徴を打ち出している」

「通常、アウトレットの主役はアパレル店で、全店舗の5割程度を占めるが、酒々井は5割を切る」「その分、リピート率が高まる雑貨店などのライフスタイル関連の店を充実」「フードコートも集客の目玉だ。アウトレットの中でも最多の800席で飲食テナントは8店が入る」「このほか、国内のアウトレットで初めて外貨両替所を設置。米ドルのほか、中国元やタイバーツといった主要な通貨を扱う」「外国人に親しみやすいテナントも入れた。カジュアル衣料の『ユナイテッドアローズ』やバッグなどのブランド『サマンサタバサ』、時計の『セイコー』『シチズン』は外国人客の評判が良いという」

タイや中国などのアジア系観光客の多くが現状では「弾丸バスツアー」による団体客である以上、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に買い物先が限られてしまいがちなのは、ある意味無理もない面があります。ツアー形態が買い物先をある程度固定してしまうからです。最近オープンするアウトレットモールの多くが外国人観光客の一般的なツアーコースの動線に沿った場所に立地しているのもそのためです。

その結果、北海道や九州などでは、いくらアジア系外国人が大挙して来ても、地元の商店街にはお金がまったく落ちないという声が以前からずっと聞かれています。

これはツアー形態の問題だけではなく、アジアの新興国の場合、中間層以上の人たちの日常的な買い物先が自国の巨大なショッピング施設で行われているという実態からも説明できそうです。彼らはショッピングモールのような空間で買い物をすることに慣れているのです。エアコンの効いた場所でのんびり過ごすというのが、週末レジャーの過ごし方であり、それが便利で気が利いていることだと信じているのです。そういわれると、返す言葉がありません。

こうしてみると、訪日外国人客がいくら増えても、その多くがアジア系の新興国の人たちであるとしたら、地域にまんべんなく経済効果をもたらすというものではないことをそろそろ知るべきかもしれません。この点については、すぐに簡単な解決策はありませんが、考える必要はありそうです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-21 20:06 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 16日

「東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」【2013年上半期②外客動向】

2013年に入り、新聞各紙は訪日外国人観光客が戻ってきたことを報じています。なかでも東南アジア客の動向に注目が集まっています。

「観光地 戻る外国客」(読売新聞2013年5月2日)はこう報じています。

「東日本大震災の影響で一時減った外国人観光客が戻ってきた。背景には、安部政権の経済政策『アベノミクス』による円安や、原発事故に伴う放射能の風評被害が収まってきたことなどがあるとみられる。商機とみて受け入れ態勢を強化する施設もある」

同記事では「円相場を見て5日前に(訪日を)決めた」という浅草を訪れたタイ人客に話を聞き、「アジアを中心に日本旅行は『お得だ』という感覚が広まっている。数か月前に予約が決まるツアー客中心の欧米も延びてきそうだ」(観光庁国際交流推進課)のコメントを紹介。「富士山河口湖町では4月上旬、英語・中国語表記だったガイドマップのタイ語版を2万4000部作成」したこと、「新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)も、今年1~3月の外国人客数は前年同期から6割増」「海外で広がる日本流ラーメンブームの影響もあるとみられる」と分析しています。

5月下旬になると、訪日客の主役は東南アジア客だとの報道が急増します。

「首都圏観光、東南アが主役」(日本経済新聞2013年5月25日)

「外国人観光客が急増している。日本政府観光局によると4月の訪日客数は92万人となり、単月で初めて90万人台に達した。特に伸びているのが、経済成長で所得の拡大する東南アジア。格安航空会社(LCC)の増便も追い風で、首都圏の観光地はタイなどからの観光客の姿が目立つ。東京スカイツリーや富士山といった名所ばかりでなく、銭湯やラーメンなども人気を集める」

さらに、日本政府観光局による5月の訪日外客数が発表された6月19日の翌日には、各誌が主役の来訪の動向を取り上げています。

2013年5月の訪日外客数(日本政府観光局)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/130619_mothly.pdf

「観光 東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」
(朝日新聞2013年6月20日)
b0235153_19285117.jpg

「東南アジアから日本を訪れる観光客が増えている。日本政府観光局が19日発表した5月の訪日外国人数では、タイ人客が昨年5月より7割近くも増えるなど、各国がのきなみ2ケタの伸びを記録。昨秋の尖閣問題をきっかけに低迷が続く中国人客の分を、カバーする勢いだ」

「円安で外国人客増 5月旅行者最多 百貨店『追い風に』」
(読売新聞2013年6月20日)

「最近の円安による割安感から外国人旅行者が増え、百貨店で免税売り上げが伸びるなど、国内経済にもプラス効果が出始めている。5月の百貨店の免税売上高はこれまでの最高水準で、百貨店業界は『業績の追い風にしたい』と期待を寄せている」

「5月の訪日客、31%増 アジアから航空便増、円安も貢献 北海道・九州にも広がる」 (日本経済新聞2013年6月20日)

「日本政府観光局が19日まとめた5月の訪日外国人数は87万5000人と前年同月比で31%増加した。2月から4ヵ月連続のプラスで、5月としては過去最高。円高の修正に加えて航空便の増加が追い風になり、地方のホテルや商業施設でもアジアの観光客が増えている」

各紙のポイントとしては、朝日が東南アジア客の急増で尖閣問題以降の中国客の減少をカバーしたこと。読売が百貨店の免税売上にアジア客が貢献していること。日経が新千歳空港の5月の国際チャーター便の前年同月比2割増や、福岡の商業施設「キャナルシティ博多」を訪れるバスの台数が増えていることなどから、大都市圏だけでなく地方へも訪日客が増えていることを指摘しています。

東南アジア客の急増をふまえ、アセアン3カ国の訪日旅行の背景を分析する記事もあります。

「ASEAN、日本食に関心 旅行先、比較対象1位は韓国」(日経MJ2013年5月1日)

「今年は日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力40周年にあたる。リクルートライフスタイルの調査によるとシンガポール、タイ、マレーシアの3カ国からの訪日旅行のきっかけは車や家電を抑えて日本食が1位だった。四季の景色や古都への満足度も高く、都市化が進むASEANの人々が高い関心を寄せている姿が浮かんだ」

この記事は、リクルートライフスタイルの観光調査研究部門、じゃらんリサーチセンターが過去3年間に訪日経験がある人を対象に実施した調査を解析したもの。その結果は以下のとおりです。

●ASEAN3カ国からの訪日旅行のきっかけ

1位 日本の食事
2位 自然や風景
3位 ライフスタイル
4位 伝統的な文化
5位 製品・電子機器
6位 日本人の気質や人柄
7位 芸術
8位 アニメや漫画
9位 建築
10位 経済・産業

●訪日旅行で同時に検討した国・地域

1位 韓国
2位 中国
3位 台湾
4位 香港・マカオ
5位 シンガポール

●訪日の満足度(非常に満足したという回答)

1位 花見、紅葉、雪景色など季節の風景を見る
2位 日本式旅館に泊まる
3位 農村風景や田園風景を見る
4位 ローカルフードを食べる
5位 海や山などの自然の景色を見る
6位 刺し身、寿司など、生ものの日本食を食べる
7位 和牛や豚肉の料理を食べる
8位 世界遺産に行く
9位 日本の城を見る
10位 アウトドアスポーツ

同記事は、上記の調査を以下の3つのポイントに整理しています。
①ASEANからの訪日旅行のきっかけは「日本製品・電子機器」を抑え「食事」が1位
②訪日旅行で同時に検討した国・地域は3カ国ともに「韓国」が1位
③日本旅行で満足したことは「季節の風景」「日本式旅館」「農村風景や田園風景」が上位

この結果は、もしかすると意外に思われたかもしれません。でも、東南アジア客が増えている背景に、日本の自然や食事、旅館など、飾ることのない素顔の日本的な要素が挙げられていることは、ちょっとうれしく思いませんか。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-07-16 19:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)