ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:ツアー ( 147 ) タグの人気記事


2012年 02月 17日

すっかり姿を消す(ツアーバス路駐台数調査 2012年2月)

2月に入ると、バスはすっかり姿を消しました。昨年の春節は2月でしたから、この時期毎日のように多くのバスが現れたものでしたが……。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた明治通り新宿5丁目付近における中国インバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(水) 未確認
2日(木)18:20 2台 
3日(金) 未確認
4日(土)15:30 2台(乗客のことばから広東系と判明)
5日(日) 未確認
6日(月) 未確認
7日(火) 未確認
8日(水) 未確認
9日(木)18:20 0台
10日(金)18:30 0台 
11日(土) 未確認
12日(日) 未確認
13日(月)18:20 1台(マイクロバス)
14日(火)17:30 0台
15日(水)19:00 0台 
16日(木)17:50 2台(うち1台はマイクロバス) 
17日(金)18:50 0台
18日(土) 未確認
19日(日) 未確認
20日(月)18:20 0台
21日(火)18:50 1台(マイクロバス)
22日(水)18:40 0台
*この日の夜、新大久保方面に行く用があり、職安通りを歩いていると、コリアンタウン沿いに大型観光バスが多数停車していたので、もしや…と思ったら、日本のツアーバスでした。ドン・キホーテの近辺に集中して停車しており、韓国料理を食べて、韓流みやげと食材を買い込み、バスに戻っていくのは、年配の日本のおばさんたちでした。

23日(木)18:10 0台
24日(金)12:30 1台
     18:00 0台
25日(土) 未確認
26日(日)19:50 1台(ミニバス)
27日(月)18:10 0台
28日(火)18:30 0台
29日(水)19:40 1台

*今年の春節が1月下旬だったことで、2月に入るとバスは激減した。3月はどうだろう?
[PR]

by sanyo-kansatu | 2012-02-17 19:36 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2012年 01月 19日

春節つかのまのバスラッシュ(ツアーバス路駐台数調査 2012年1月)

新年を迎えました。今年の春節は1月23日です。はたしてバスは新宿に戻ってくるのでしょうか?

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた明治通り新宿5丁目付近における中国インバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(日) 未確認
2日(月) 未確認
3日(火) 未確認
4日(水)18;00 0台
5日(木)17;20 0台
6日(金)19:00 1台
7日(土) 未確認
8日(日) 未確認
9日(月) 未確認
10日(火) 未確認
11日(水)18:30 1台
12日(木)18:00 0台
13日(金)18:20 1台
14日(土) 未確認
15日(日) 未確認
16日(月) 未確認
17日(火)18:40 2台(うち1台は広東から)
18日(水)18:00 4台(うち2台は広東から。春節が近づき、バスの数も少し増えてきた?)
b0235153_14141849.jpg










19日(木)18:10 4台(うち1台はCITSのツアーバス)
20日(金)18:40 0台
21日(土) 未確認
22日(日) 未確認
23日(月)18:30 3台 ※春節です。
b0235153_14143676.jpg










24日(火)正午頃 中国人団体グループ(普通話)歌舞伎町散策姿見かける
     19:10 3台(うち1台は「周遊貴賓(デラックス)」ツアー)
25日(水)18:00 4台
26日(木)13:20 3台
     18:10 3台
27日(金)13:30 3台
b0235153_13592311.jpg※最近の中国の消費者は賢くなり、金遣いは年々渋ちん傾向にあるので、以前ほど“爆買い”は見られないかもしれませんが、食事は1日3回とります。お昼頃と17時過ぎの1日2度、左記の新宿5丁目インバウンドバス停車スポットにある中国団体ツアー客専用中華料理店「林園」(バイキング料理専門。在日中国人経営。一般客利用不可)の前には、バスが立ち寄る姿が見られます。
「林園」
03-5369-8228(新宿5丁目 明治通り沿い)
b0235153_13532935.jpg  










28日(土) 未確認
29日(日) 未確認
30日(月)18:30 1台
31日(火) 未確認

※春節は終わりました。これでつかの間のバスラッシュもひと段落か。昨年に比べると、明らかに中国客来襲の勢いが強くは感じられなかった、というのが新宿5丁目的観点からみた今年の春節の印象です。激安ツアーで中国本土客のパイを増やすというビジネスモデルはさすがにもう頭打ちではないかと思われます。発想を転換して新しい状況に向き合う必要がありそうです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2012-01-19 13:22 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2011年 12月 23日

回復の兆し見える(ツアーバス路駐台数調査 2011年12月)

2011年11月から始めた明治通り新宿5丁目付近における中国インバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)18:20 2台
2日(金)20:00  0台
3日(土) 未確認
4日(日) 未確認
5日(月)18;30 2台(広東省からのグループ)
6日(火)19:20 0台
7日(水) 未確認
8日(木)18:20  1台
9日(金) 未確認
10日(土) 未確認
11日(日) 未確認
12日(月)17:10  2台
13日(火)18:40 3台
14日(水) 未確認
15日(木)18:30 5台(うち2台はマイクロバス)
16日(金)19:00  3台(うち2台はマイクロバス)
17日(土)13:30 1台
18日(日) 未確認
19日(月)19:30 1台
20日(火)18:40 0台 
21日(水)19:00 1台
22日(木)18:20 1台
23日(金) 未確認
24日(土) 未確認
25日(日) 未確認
26日(月)18:10 0台
27日(火)12:00 1台
28日(水)18:00 2台(うち1台は広東から)
29日(木)18:20 2台(うち1台は広東から)
30日(金) 未確認
31日(土) 未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2011-12-23 13:28 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2011年 12月 07日

アニメ王国ニッポンを旅しよう!

ちょうど北京で国際マンガサミットが開かれていた2011年10月下旬、ぼくは北京の知り合いの日本のアニメファンの女の子が主催する「六次会」という集まりで、ちょっとしたおしゃべりをしました。六次会では北京の大学の日本語学科を卒業した若い社会人のみなさんが交流のために、年に何度かたいてい学生街の五道口あたりのカフェで集まっているそうです。

六次会 http://neo-acg.org/supesite/?action-viewnews-itemid-2844

そのときぼくは、国際マンガサミット開催時期ということもふまえて、日本全国のアニメスポットを紹介しました。

そのためにつくったのが、下記のパワポの資料です。タイトルは「一起来动漫王国日本旅行吧(アニメ王国ニッポンを旅しよう!)」です。

b0235153_7451327.jpg

六次会に参加したみなさんはみんな日本語が上手で、日系企業などにお勤めの方も多かったのですが、ふだん自分が動画サイトなどで愛好しているアニメの作品の舞台=実在の場所と日本の旅行をつなげて考えるという、いわゆる「聖地」めぐりの発想はまだピンとこないみたいでした。作品の登場人物たちが繰り広げているのはフィクション空間にすぎないけれど、その場所は実在するのだから行ってみるといろいろ発見があったり、感じられたりして面白いよ、というようなメタな楽しみ方は、中国に住むみなさんにはまだちょっと距離があるのかもしれません。

ただひとり日本の名古屋に留学していた人がいて、彼女だけはその面白さを少し理解できたようでした。彼女は旅行好きで、1年間の留学期間中、全国各地を旅したそうです。そういう人なら、日本各地の風景や食文化などの地域性の微妙な違いもそれなりにわかっているので、それが作品の設定や物語に登場してくるさまざまなディティールに反映されていることに想像力が働くからでしょう。

そう考えると、海外の人たちに「聖地」巡礼の面白さをすすめるのは、現段階ではちょっとハードルが高いような気がしました。いまでこそ、たくさんの中国人観光客が来日する時代ですが、実際には誰もが簡単に日本に旅行に行けるわけではないことも、いまの中国の実情だからです。日本のアニメ好きだから、日本人と同じように日本のことをわかっているわけではないのです。とはいえ、海外にもおたくはいるので、彼らにならその面白さがわかるのかもしれません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2011-12-07 07:29 | アニメと「80后」の微妙な関係 | Comments(0)
2011年 11月 07日

ツアーバス運転手は見た! 悲しき中国人団体ツアー

2011年2月3日、中国の旧正月にあたる春節の夜。尖閣事件以降、鳴りを潜めていた中国人団体ツアー客を乗せた貸切バスが、久々に大挙して新宿歌舞伎町界隈に姿を現し、周辺を回遊していた。

彼らはたいてい夕方5時から6時頃に歌舞伎町に集結し、乗客を降ろす。「アジア最大の歓楽街」を散策し、夕食をとるためだ。日本側のランドオペレーター(宿泊や移動、食事などの手配を請け負う旅行会社)が送り込んだガイドを先頭に、格安中華チェーン店か在日中国人の経営する中華料理店(ツアー客専用で一般客入店不可)でバイキングメニューの食事をすませると、路上に繰り出す客引きを横目に歌舞伎町の裏道を練り歩き、ドンキホーテやマツキヨあたりで雑貨買いを楽しむのが相場だ。時間があれば、向かいのヤマダ電器に行くこともあるが、別日程となることが多い。ホテルに早くチェックインしなければならないからだ。

靖国通りに乗りつけるのは、60名乗りの大型バスから8名乗りのマイクロバスまで種類はいろいろ。そこでは当然路駐はできないため、客を降ろすとバスはすぐに移動する。でも、都心の繁華街だ。駐禁エリアから逃れるのは容易じゃないが、運転手たちもプロである。いくつか近場の路駐可能なポイントを知っていて、そこで気長にガイドからの携帯の呼び出しを待っている。その間2時間から長くて3時間半を超えることもある。

それは運転手にとって唯一の憩いのひとときだ。話し相手でもいればなおさらである。そこで、春節の夜、歌舞伎町周辺某所に路駐していた貸切バス運転手、岡本次郎さん(62仮名)を訪ねることにした。マスコミの報じる百貨店や家電量販店での爆買いシーンを通して、いまや「低迷する日本の消費市場が頼みとする救世主」とまで持ち上げられた中国人客――その多くを占める団体ツアーの一部始終を目撃してきた岡本さんに「バスの中で何が起きているか」を聞くためである。

食事はいつでもバイキング

岡本さんは首都圏に本社を置く貸切バス会社の社員運転手で、ドライバー暦35年のベテランだ。インバウンド――日本人客ではなく、訪日外国人客を乗せるようになったのは1990年代半ばから。当時は台湾客がメインだったという。その後、東アジアや欧米などさまざまな国籍の観光客を乗せて全国津々浦々を駆けめぐってきた。

バスを訪ねると、前部扉から招き入れられ、運転席に座ったままの岡本さんに話を聞いた。

――今日は一日どこを走ってこられたのですか。明日からの予定は?

「今日は午後2時の便で成田入りした上海からの客でね、浅草を散策した後、歌舞伎町に来た。あとは品川の高輪プリンスに送って終わり。今日の客はけっこういいホテルだね。明日は山梨の石和温泉。途中箱根を通り、富士山を見て、御殿場アウトレットに寄って温泉旅館に泊まる。河口湖の近くは中国人専用の宿が増えたからねえ。この季節、あのあたりの旅館じゃ中国客にカニを食わせるんだよね。中国人好きだから。それから先は(ツアーのスケジュール表を見ながら)いったん東京に戻って自由行動の1日があり、そのあと岐阜市内と大阪のホテルに泊まって関空へ」

山梨県といえば、中国人にとって最大の観光ハイライトである富士山の裏庭に位置することから、訪日中国人客の取り込みに熱心なことで知られるが、昨年9月の尖閣諸島漁船衝突事件(以下、尖閣事件)に端を発した中国人客キャンセル続出に見舞われたばかり。なかでも前原誠司国土交通大臣(当時)も一役買った観光庁のトップセールスで受注した中国のネットワーク販売会社大手の宝健(中国)日用品有限公司の1万人規模の社員旅行のドタキャンは、山梨県の宿泊業者を直撃した。さらに宝健社長が記者会見まで開いて行った「愛国キャンセル」表明が、中国に強硬だとされる前原外相へのあてつけだとみなされ、中国側では「よくやった」と喝采を浴びたという後味の悪い結末も記憶に新しい。

――食事はいつもどうしているのですか。ツアー客とは別?

「地方に出ると同じホテルに泊まるから、食事は一緒だけど、はっきり言ってひどいね。いつでもバイキング。せっかく日本に来てるんだから、もっとましなものを食わせてやればいいのにと思うよ。でも仕方がないんだよね。予算の上限が昼は1000円、夜は1500円と決まってるそうだから」

――先ほど山梨の旅館ではカニを出すと…。

「あれは冷凍ズワイガニ。どうせロシア産だから。中国にはワタリガニしかないそうで、足の長いズワイガニが珍しいんだよ。よく家族連れがカニの足を広げて手に持って記念撮影してるよ。かわいいもんだね。たまに回転寿司とかしゃぶしゃぶの店にも行くけど、食べ放題メニューさ。客が頼めば刺身盛りを出すこともあるけど、中国人ってのは団体でもみんなに分けたりしないで、頼んだ連中が自分だけで平気で食べてる。そういうのはみんなオプションといって、別料金なんだよ。

ただこのオプションってのがクセモノでさ。刺身盛りの2000円くらいのを1万円といってガイドが徴収している。ステーキ屋に行って『これは神戸和牛だから2万円』とか。もうやりたい放題なんだ。

だからといって口出しもできないしね。だいたい中国語がわからないし。あとでガイドが日本語で話してくれるんだ。『今日は儲かった』とかいって、チップを余分にくれることもたまにある」

――そういうのは中国ツアーのおいしいところでしょうか。

「バスで待ってるときの食事代や駐車料金、高速代などをまとめて2万円。必要経費だし、たいした金額じゃないよ。申し訳ないけど、中国人は下品ってのかなあ。床にガムを吐き捨てるし、ヒマワリの種を撒き散らすし、ゴミの量も1日45リットル2袋は出るからね。ホテルに送り届けて車庫に戻った後、明日に備えて車内掃除を念入りに1時間以上かけてやらなきゃならないんだから」

バスの中ではもっぱら車内販売

――運転中バスの中はどんな様子ですか?

「車が走り出すと、すぐに車内販売が始まる。観光案内もそこそこに、ガイドが客にあれこれ売りまくるんだけど、とにかく客に好かれるように媚を売りまくってね。そのくせ客が買わないとイライラして喧嘩ごしになってくるのがわかるから、こっちも気が気じゃなくて」

――どんなものを売っているんですか。

「それがひどいんだよ。日本じゃ見たこともない活性炭入り携帯清浄機ってのかな。どう見てもバッタモンを日本製だと偽って7000円とか、1000円くらいにしか見えない安物の磁気ネックレスやブレスレットを2万円とか……。日本人も身につけているからと証明するために、事前に俺に『これはサクラだからちょっと着けてみて』って。おい悪いけど、俺をサギの仲間に入れるんじゃないよって断ったことがあるんだ」

こうした悪質な車内販売に加え、特定のボッタクリ免税店への連れまわしの実態は、都内で発行されている在日中国人向け週刊新聞「『東方時報』(2009年6月25日付)で報じられ、中国の大手メディア『北京法制』にも転載されたことから、日本ツアーの内情と悪評が中国全土に広まり、「日本よ、お前もか」と現地でも反響を呼んだ。

すでに中国メディアで告発された問題なのに、なぜ自浄能力が働かず、車内販売という名のサギ行為が横行しているのか。

「中国人客はあまりガイドを疑わないようなんだ。外国にいるから仕方ないと思うのかね。ガイドがアメと鞭で客を操っているとでもいうのかな」。岡本さんは首を傾げるばかりだ。

90年代に起業した在日中国系ランドオペレーター勤務の女性はこう話す。
「銀座に連れていって、ショーウインドーを見せて、『ほら高いでしょう。でも、私は同じブランド品をもっと安く買える店を知っていますよ。着いてきますか』。そういって契約した店に連れて行くというのが彼らのやり方です。外国で頼りになるのはガイドだけ。その心理をうまく利用して、客を信用させてしまうのです。中国では同じものが別の場所で驚くほど安く売られているのはよくあるので、日本も同じだと思って騙されてしまうんです」

オプション買わなきゃ置き去りも

ツアー中に起きている異常事態は、それだけではない。

「とにかく信じられないようなことをするんだよ」と岡本さんが声を荒らげたのが、前述したオプションをめぐるガイドと客の壮絶な駆け引きだ。

「見てるとなんでもオプションなんだ。新幹線の大阪京都間のチケットも8000円、ディズニーランドも1万円徴収といったぐあい。アコギだよなあ。中国側で払うツアー料金には何もついていないからと、とにかく上乗せして客から金を取る。観光地だってオプションにしちゃうんだから、呆れちゃう。たとえば、富士山5合目なんてバスでみんなを連れていきゃいいものを、3000円のオプションで別料金を請求し、払わない客は麓の富士山ビジターセンターにわざわざ置いてきぼりにするんだよ。3時間ここで待ってろと。そこは無料施設だから金はかからないんだけど、置いてきぼりにされた中国人客が増えすぎて、問題になったことがある。忍野八海だってオプション払わないと連れていかない。親子連れをさ、途中で置き去りにして……、とても見ちゃいられない。『乗せてやんなよ』って俺は言うんだけどさ。ガイドが『いいから』と」

「オプション買わなきゃ置き去り」というガイドの冷酷さに岡本さんは頭を抱えているようだ。

実はこれにも前例がある。東南アジアや香港行きの中国人ツアーで土産屋の連れ込みを拒否した客の置き去り事件が、数年前から中国でも報道されている。怒った客とガイドが喧嘩になって、傷害事件が発生したこともある。前述の『東方時報』では、上海からの日本ツアー参加者にヒアリングを行い、5000元(6万円)の低価格ツアーの参加者が、日本でオプションと称してツアー代金と同額に近い追加料金を次々と取られたことを告発している。日本では傷害事件までは耳にしないものの、客の置き去りがすでに常態化していたことを今回岡本さんの話で初めて知り、愕然とした。

これではバスの中は、非情な中国社会そのものではないか。

「だからなのかなあ。韓国ツアー客のおばちゃんたちは食事から帰ってきたとき、俺に『食事はすんだのか』と片言で話しかけてきたり、自然な交流ってのがあるんだけど、中国人客とはそういう感じにはほとんどならないなあ」と岡本さんはいう。

これまで新宿界隈でもよく中国人ツアー客の一群を見かけたが、どこか目つきが挙動不審というか、他国の旅行者に比べ和やかな印象がないのはどうしてかと思っていた。海外旅行慣れしていないこともあろうが、バスの中でこうしたことが起きているのだとしたら、無理もないのかもしれない。

キックバックを原資としたコスト構造

それにしても、なぜこんなことになってしまうのか。運転手の日本人ひとりを除いて、ここで起きているのは「中国人が中国人を騙す」という構図である。中国の民間社会の実情を少しでも知る人にとっては、それほど驚く話ではないかもしれないが……。

「でもさ、ガイドだけを責められないと思うよ。旅行業者が彼らにそれを強いているんだから」と、岡本さんはいう。

そのとおりなのである。なぜ中国団体ツアーのガイドが、オプションと車内販売で客から金を騙し取らなければならないのか。日中の複数の旅行関係者らの証言をまとめると、真相はこうなる。

中国で販売される一般的な「ゴールデンルート」と呼ばれる東京・大阪5泊6日のツアー代金は6000元(約7万円)相当。ところが、中国側の旅行会社から日本の手配を担当するランドオペレーターに渡るのは、往復航空券代と営業利益を差し引いたせいぜい2000元(2万5000円)という。これでは滞在中のホテル代、バス代、食事代、ガイド費用を捻出できるわけがない。ではどうしているかというと、それを埋め合わせるためのガイドによるオプション徴収と車内販売、客を送り込むことで得た免税店の売上の一部のキックバックなどの収入がランドオペレーターに渡るからだ。その売上がなければランドオペレーターはホテルやバス会社、レストランへの支払いができないからである。

つまり、中国団体ツアーはガイドによるキックバックを原資に成立しているのだ。なんともあやうく、ギャンブルみたいなしくみである。中国人ツアー客がある日目覚めて、オプションも車内販売も買わなくなれば崩壊してしまうだろう。

こうしたカラクリは、1990年代の一時期、日本の旅行会社が中国や東南アジア方面への驚くような激安ツアーを催行したとき、似たような構図として見られた。あらゆることがキックバックを前提として成立している中国人社会を知った当時の日本の業者は客を丸投げしたことは確かである。だから、現在の中国団体ツアーのキックバック方式も、当時の日本の旅行業者と同じでいまさら彼らを責められないという指摘も出てくる。キックバックは日本社会にだって蔓延してるじゃないかという指摘ももっともだ。しかし、当時の日中間には厳然とした物価や所得水準の格差があり、ツアーのコスト構造を埋め合わせるためにキックバックの上がりを関係者が分け合うにしても、授受される額は今日のケースとは違うことを忘れてはいけない。しかも日本は円高になったが、人民元高は起きていないのである。誰が今日の被害者かを考えるべきだろう。その後、日本人客が現在の中国人団体ツアー客のような理不尽な土産店への連れまわしや車内販売で騙されることがなくなったのも、日本人の海外旅行が成熟し、消費行動が変わったためだ。

もっと具体的にいおう。関係者らの証言を集約すると、ガイドは1日1名約1万円の通称「人頭税」をランドオペレーターに支払うことでツアーを請け負っている。彼らはガイド代を受け取るどころか、支払う側なのである。たとえば、20名の客が5泊6日の場合、100万円(20×5)が上納金となる。当然ガイドはそれ以上の上がりを手にしなければ大損になるが、それ以上なら自分の儲けになるから、車内販売に賭ける必死さが違ってくるのである。

これまでガイドの国籍については触れなかったが、彼らの多くは、在日中国人や香港、台湾からわざわざ自腹で訪日し、ガイドを請け負う人たちでもある。いまさら彼らの通訳案内士としての国家資格の有無を問うのはむなしい。彼らは中国本土出身者とは違い、日本にはノービザ渡航が可能という特典を有効活用しているのである。業界では彼らのことを「スルーガイド」と呼ぶ。

採算度外視の激安日本ツアーがなんとか成立しているのも、こうしたギャンブルに賭ける中国系スルーガイドと、このしくみを定着させた新興ランドオペレーターがいるからだ。もちろん、その前提には、上がりを生み出す中国人ツアー客の驚くべき爆買いニーズがある。よくしたものである。

こうした状況をよく知る北京のある現地旅行業者はため息混じりにこう話す。

「なにしろ中国では国内の海南島3泊4日ツアーより東京・大阪5泊6日ツアー料金のほうが安いんですから。ありえないでしょう。理由ははっきりしています。海南島はビーチリゾートなので、キックバックがもらえる家電量販店もないし、車内販売するためのバスの移動時間もないからです」。

岡本さんは、最後にこんな話をしてくれた。

「いちばんかわいそうなのは、結局、中国のツアー客だと思うよ。いろいろ悪口言ったけどさ。中国人ってよくバスの中で吐くんだよね。毎日過密スケジュールで、バスばっかり乗って移動してるからなのかもねえ……」

なんとも涙ぐましい話になってきたではないか。しかし、これは日本で実際に起きていることである。唐突だが、消費者庁はこの問題をどう考えるのだろうか。訪日客による消費を期待するだけではなく、消費者としての保護についてもっと真剣に考えなければならないのではないか……。

背景にバス規制緩和も

しかし、キックバックを原資にしたあやういツアー構造を支えているのは、中国系関係者ばかりではない。日本側の事情こそ指摘されなければならない。端的にいえば、客室単価の崩壊が起ころうとも数で中国客を受け入れる道を選んだ一部のホテル・旅館業界。日本人のアウトバウンド市場の低迷で経営基盤が揺らぐ航空業界。そして、岡本さんたち運転手を抱えるバス業界である。

2000年、貸切バス事業が免許制から許可制に規制緩和されたため、それまで違法経営を行っていた「白バス」業者が一気に新規参入した。以後、貸切バス業界は大競争時代に突入。都市間高速バスや激安国内バスツアーなどの価格破壊によって利用者は恩恵を受けたが、既存のバス事業者の収益低下によるローカルバスの廃止や、運転手の労働環境の悪化、安全確保への不安など、多くの問題が指摘されている。

なかでも2010年9月に総務省が公表した「貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」は、スキーバス過労運転による死傷事故や都市間高速バスの道路交通法違反問題などの事例をあげ、貸切バス規制緩和後の不健全な営業実態を追及しており、本来の監督官庁である国土交通省がなしえなかった意欲作といえる。

規制緩和後に起きたのは、貸切バス事業者と車輌数の増大にともなう公示運賃をものともせぬダンピングの横行だった。インバウンド貸切バス事業者もこうした流れの中で成長した。この10年で東アジアを中心とする訪日観光客が増大し、その追い風を受けて貸切バス需要が拡大したためだ。実際のところ、規制緩和後の価格破壊がなければ、今日の訪日ツアー客の受け入れは不可能だったかもしれない。

そのしわよせは、岡本さんら運転手の労働環境の悪化につながっている。2008年に国土交通省から出された「一般貸切旅客自動車運送事業に係る乗務距離による交替運転者の配置」の指針により、1日の走行可能な距離が670kmと定められた。その結果、運転手の拘束時間の延長は既成事実化していったという。運転手の1日は、早朝の出庫前に行なう車両点検から客をホテルに送り届けたあとの掃除まで、と深夜におよぶ。現場の思いはどうなのか。岡本さんに尋ねてみた。

――労働時間が長すぎるとは思いませんか?

「1日の時間もそうだけど、去年の8月までは本当に休みもなかった。だから、尖閣で中国客が減って正直ホッとしていたんだよ。ただこのご時世だから、仕事があるだけありがたいと思わなきゃならないしね。俺はなんだかんだいって、この仕事が好きなんだと思うよ」

――でも何か困っていることはないですか?

「そうねえ、悩みのタネは駐車場問題かな。これだけ外国人が観光に来てるのに、都心には駐車場がない。だから、俺たちはいつもウロウロしてないといけないんだから。それと、よく地方でホテルの食事がすんだあと、『夜の街へ繰り出したいから運転手さん連れてってよ』ってガイドに言われることがあるんだ。でも、自分は行かないことにしている。仲間内にはチップをもらえば、どこにでもバスを走らせるという連中もいるようだけど、所定のコースでなければ保険が利かないからね。もし事故ったら終わりなんだよ、この仕事は」

バスツアーと保険の適正化――これも看過されがちだが、インバウンド市場の健全な成長のためには欠かせない課題だ。バス運転手は職業柄、どこか自由人のようなところがあるが、岡本さんのような場数をふんだベテランほど自己防衛の必要を理解しているのだろう。

アジアインバウンドの時代に向けて


――ところで、昔に比べてインバウンドの仕事はどうですか?

「昔はインバウンドといえば、台湾客のことだった。以前は台湾客もひどかったけどね。いまはだいぶおとなしい。韓国ツアー客も中高年のおばちゃんはうるさいけど、これは日本のおばちゃんも変わらないかな。まあ中国以外は車内販売がないからいいね。よく韓国やタイのガイドが、中国のガイドは大変だと言ってますよ。あんな仕事はガイドじゃないって……」

日本におけるアジアインバウンド市場は、1979年台湾の日本観光解禁とともに始まったといっていい。80年代から台湾のインバウンド客を扱ってきた台湾系旅行業者は、「当時インバウンドは嫌われ者だった。日本人客の少ないオフシーズンのホテルの穴埋めのような存在で、『白バス』が当たり前。いまのように、全国各地で歓迎されるなんて考えられなかった」と語る。

一方、中国の日本観光解禁はそれに遅れること約20年後の2000年12月だ。

「これには我々在日アジア系旅行業者も色めきたちました。なにしろ市場は大きい。これから本格的なアジアインバウンド時代が始まる。これまで市場を担ってきた我々の出番だと」

だが、彼らの思惑は数年後に破綻する。中国団体ツアーの常軌を逸した価格破壊のためだ。

「2000年の解禁当時1万8000元(約20万円)で始まった東京・大阪ゴールデンルート7泊8日の日本ツアーが、わずか1年後に半額近くなり、3年後には3分の1になった。この時点で我々は正攻法では中国客を受け入れられないため、手を引くしかなくなった」

ツアーのカラクリについてはすでに説明したとおりだが、2005年頃までには一部の高品質ツアーを除く中国団体ツアーのランドオペレーター事業から、まず日本の旅行大手が手を引き、既存の在日アジア系もそれに続いた。では誰が急増する中国団体ツアー客を引き受けたのか。それは2000年代以降、在日中国人経営者らを中心に立ち上げられた新興ランドオペレーターだった。

こうして一部を除く大半の中国団体ツアーは、日本の旅行業界にとってのアンタッチャブルと化していく。一方、急増する中国人観光客の家電量販店での爆買いシーンが08年頃からマスコミで盛んに取り上げられるようになり、地方自治体や小売業界などを中心にチャイナマネーの取り込みに向けた機運が高まった。その盛り上がりが空前の勢いを見せたのが2010年だったといえるだろう。しかし、その機運も秋には尖閣事件によって冷水を浴びせかけられ、今日に至る。

さて、これから中国団体ツアー市場はどうなるのだろうか。確かに、円高は懸念材料だが、今後は徐々に回復を見せるだろう。だが、本当の課題は、価格破壊によって事実上破損してしまった日本ツアーのクオリティをいかに向上させるかである。

前述の在日中国系のランドオペレーター勤務の女性はこう主張する。

「こんなツアーなら、日本は1回行けばもうたくさん。団体ツアーで来た中国の友人や親族が口々に日本の悪口を言うのが悔しい。なぜ車内販売を取り締まらないのか。日本の行政は野放しにすぎる。数を増やすことばかり考えているからではないか」

確かに、国土交通省が掲げる訪日客3000万人の数値目標に象徴される旅行者数至上主義は、国内の観光産業の実情を知る現場の立場からすると、受け入れ態勢の伴わない時代遅れのそろばん勘定に見えても仕方がないかもしれない。

では、クオリティ向上のためにはどうすればいいのか。利害の絡み合う関係業界すべてに都合のいい特効薬などないが、本稿で詳述してきた「バスの中」の事情をふまえ、アジアインバウンド時代に向けた以下の提言をしたい。

キックバックを原資とした、どう見ても不健全なコスト構造で成り立つ日本行き中国団体ツアーの実情や中国客の蒙る不利益を、中国側にとことん公開し、被害者は中国人消費者であることを広く認識させること。残念ながら、「中国人を騙しているのは中国人である」という構図は、これまで香港や東南アジアで続出してきた状況を知る彼らは、よくわかっていると思う。ただ、そういう話を外国人からされるのは誰でも気分が悪いものである。彼らに冷静な判断を迫るには、日本における訪日客の消費者保護を強化、アピールすることで、彼らの自尊心に訴えかけることだろう。そのうえで、現在の団体ツアーとはまったく異なる高品質の日本ツアーが存在することをわかりやすくアピールすることが必要だ。これよりほかに、ツアー料金の適正化を図っていく手はないのではなかろうか。

そのためにも、尖閣事件でいったんケチのついた中国での外資旅行会社のアウトバウンド解禁は、早く進めてもらわなければなるまい。中国当局もそれが中国人消費者の保護につながることを理解してほしいものだ。

「データでわかる日本の未来 観光資源大国ニッポン」(洋泉社) 2011年3月刊行より

[追記]
これは2010年当時の中国団体ツアーの実態です。その後、「悲しい」状況も一部改善されている面があります。

中国「新旅游法」も元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

(2015.2.22)
[PR]

by sanyo-kansatu | 2011-11-07 14:45 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2011年 11月 06日

震災の影響未だありか(ツアーバス路駐台数調査 2011年11月)

1日(火) 未確認
2日(水)19:10  2台
 この日、路駐スポットのそばの花園神社で酉の市の露店が出てにぎわっていたが、ツアー客が訪ねたかどうか不明。若い中国女性と男性の3人組の個人客は見かけた。
3日(木)18:20 3台
4日(金)19:20 0台
5日(土) 未確認
6日(日) 未確認
7日(月)18:40 0台
8日(火)19:40  0台
9日(水)18:55  2台(広東省と遼寧省大連からのグループ)
10日(木)18:15 3台(1台はマイクロバス、もう1台は丸井メンズ館前に路駐。これ大丈夫なのかな?)
11日(金) 未確認
12日(土)18:10 1台
13日(日) 未確認
14日(月)10:50 1台
15日(火) 未確認
16日(水)19:00 1台
17日(木)18:20 1台
18日(金)17:40 3台
19日(土) 未確認
20日(日) 未確認 
21日(月)19:10 4台(1台はマイクロバス)
22日(火) 未確認
23日(水)17:30 1台
24日(木)18:10 3台(1台はマイクロバス)
25日(金) 未確認
26日(土) 未確認
27日(日) 未確認
28日(月)18:20 1台
29日(火) 未確認
30日(水)17:30 1台

※1ヵ月続けてみて、どれほど意味があるのだろうかという気もしましたが、「継続は力なり」を信じて、もうしばらく続けてみようと思います。毎日聞いているわけではありませんが、広東省を中心とした華南方面からのツアーが圧倒的に多いことがわかります(今年10月末の中国での取材からもうかがえましたが、北京や上海からの東京方面のツアーはかなり少ないようです)。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2011-11-06 18:59 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2011年 11月 06日

定点観測-新宿5丁目中国ツアーバス路駐台数調査(はじめに)

ぼくの事務所は、東新宿にあります。そのすぐそば、新宿5丁目にある伊勢丹パークシティをはさんだ明治通り(正しくは御苑大通り)沿いは、中国客を中心にアジアからの団体ツアーが、歌舞伎町散策と夕食のために訪れる、知る人ぞ知る「インバウンドバス路駐スポット」です。

仕事帰り、ぼくは必ずそこを通るので、以前からその日バスが何台停まっているかカウントしたりしていました。暇なときには、運転手さんに声をかけて、中国のどの省から来た人たちか。何人くらいのどんなツアーなのか、尋ねることもあります。

ブログを始めるにあたって、もう少しまじめに(?)新宿5丁目のインバウンドバス路駐台数を定点観測していくことにしました。

実際、中国客が大挙して来日した2010年の夏は多い日には5~6台も停まっていましたが、今年の夏はほとんど見かけませんでした。国慶節(10月第一週)もせいぜい1~2台でした。中国インバウンドの動向がここにいると、よく見えてくるのです。

もちろん、定点観測といっても、週末は事務所にめったに行かないし、出張もあるので、未確認の日もあることはご勘弁ください。

これまで何度か中国ツアー客の歌舞伎町散策にこっそり同行したこともあるので、追って報告していきますね。
b0235153_19123187.jpg

2011年2月9日撮影。震災前の春節時には毎晩多くのツアーバスが路駐していた
[PR]

by sanyo-kansatu | 2011-11-06 11:39 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)