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2016年 02月 21日

今年も中国客は来るぞ。そう実感させたSJ重慶・成田線で見たツアー客の一部始終

重慶からのスプリングジャパンの帰国便の話を書きます。

スプリングジャパン初の国際線(成田・重慶)に乗ってみた(第3ターミナルも初利用)
http://inbound.exblog.jp/25378551/
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市内から40分ほどモノレールに乗り、空港駅を下車して約200mほど歩くと、国際線ターミナルがあります。
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チェックインカウンターは大勢の出国客でにぎわっていました。カウンターこそ7か所くらいですが、いまの中国の地方都市の国際線はたいていこんな感じです。
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よく見ると、そこは国営キャリアの中国国際航空や山東航空、深圳航空、西蔵航空、澳門航空などの専用カウンターでした。
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スプリングジャパンと地元四川航空のカウンターは少しはずれた場所にありました。
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ひときわ目を引くのが「重慶―東京 299元から」の看板です。そう、いまや重慶の人たちは片道5000円ほどで東京に来られるのです。この衝撃的な意味については、別の機会に説明します。
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チェックインカウンターは成田と同様、「個人」と「団体」に分かれていました。圧倒的に多いのは団体客です。
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団体客に向かってツアーの注意事項を話しているのは、添乗員の男性です。スタジャンに黒縁メガネといういでたちは、いまから30年前の1980年代頃の日本を思い起こさせます。
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出国手続きをすませ、搭乗ロビーに足を運ぶと、先ほどの団体客が待っていました。機内食が有料だからでしょうか、タッパーに入れたおかずを食べてる人もいます。いかにも中国的なのどかさです。
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重慶空港の国際線は、19社のエアラインが運航しているようです。フィンエアーやマレーシア航空、カタール航空、アシアナ航空、チャイナエアラインなどナショナルフラッグ系に加え、エアアジア、ドラゴンエアー、復興航空(台湾系)、そしてスプリングジャパンなどLCCも多いことがわかります。
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機内はほぼ埋まっていました。ぼくの席は最後尾の一つ前の32番でしたが、その後ろが一列空いているだけでしたから。日本人客はざっと見た感じ5~6名です。
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一方、この便の客室乗務員は全員日本人。スプリングジャパンは日本のエアラインだということを印象付けようとしているようです。乗務員には男性も3名いて、みんな若々しく、他の日本のエアラインではちょっと見られないフレッシュさを感じさせます。現在、重慶線は週4便なので、重慶に宿泊するフライト日もあるそうで「初めて重慶の火鍋を食べた」とひとりの男性乗務員が話してくれました。
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とはいえ、中国客が大半を占めるだけに、機内はまさに中国です。機体が離陸し、まだ水平飛行にもなっていないとき、突然「お席を立つのはおやめください」と機内アナウンスが轟きました。見ると、ひとりの女性客が席を立ち、荷物を勝手に開けようとしていました。

こういうことは、中国以外ではまず見たことはありません。まったく彼らはルールに縛られることなく、どこまでも自由気ままです。

ひとりのおばさんはトイレに入っても、ロックをかけていませんでした。乗務員が戸を開けそうになったので、思わず「おばさんが入ってますよ」と止めなければなりませんでした。

とにかく機内はにぎやかです。フライト時間が長いせいか、延々トイレの列が並んでいます。シートピッチが狭くて座っていられないのか、立っている人もやたらといる。最後尾の空いてる席を見つけ、そこに座ろうとして、乗務員に注意されている光景もしばしばです。

個人的には、空いてるんだから座らせてあげればいいじゃない、という気もしますが、乗務員は全員日本人ですから、そのへんはきちっとしています。他のお客様もいるのだから、例外は許さないということのようです。

だからでしょうか、中国客たちも「排队、排队(列に並びましょう)」と苦笑しながら、それに応えています。彼らも気持ちの上では、ここは(ルールに厳しい)日本なのかもしれません。

まったく中国客というのは子供のような無邪気なところがあります。海外慣れしていないせいか、「ちょっとびっくりするようなこともしがちですが、きちんと注意すれば、たいてい聞いてくれる」と乗務員は言います。

乗務員たちは乗客からいろいろ質問もされています。「いま日本で桜は見られるのか?」「いいえ、さくらは東京では3月下旬くらいからです」「それは残念」「でも、いま伊豆の河津で桜が見られますよ」「それはどこで見られるのか」……。

そんなこと事前に調べてくればいいのに…。そう思わないでもありませんが、たいていの団体客は日本に対する知識はほとんどないのが普通です。添乗員が案内してくれるので、調べてくる必要を感じていないのです。「ネットで事前にいろいろ調べてくる」というのは、あくまで若い個人客の話。最近、よくメディアで中国人観光客の行動スタイルが「モノからコトへ」と変わったなどといっていますが、それは少し先走りすぎの見方です。実際には、異なるふたつの層(団体客と個人客)に分かれているだけのこと。それが実態です。

最近増えてきた個人客には「モノからコトへ」というニーズが生まれていることは確かですが、後発の内陸都市から来た団体客はまだビギナーで、彼らが変わるにはまだ少し時間がかかります。そして、いま内陸都市からのフライトが急増し、従来型の中国団体客が増えているのです。ですから、こうした全体像が見えていないと、判断を誤ります。

中国「爆買い」の主役は内陸都市からの団体ツアー客
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/010400002/

中国沿海都市から新タイプの個人客、ニーズが多様化し新たな商機生まれる
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/011800003/

ツアーに参加した大学生は、2日目の自由行動の1日、都内を同行の友人たちと探索しようと計画しているそうです。彼の場合は、多少は事前にネットで日本のことを下調べしてきたでしょうが、実際に目にした東京の地下鉄路線網のあまりの複雑ぶりに面食らっているようでした。きっと次回はツアーなどには参加せず、日本を個人旅行したいと彼は思うはずです。
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帰国便でぼくの隣の席にいたのは、米国留学経験のある60代の男性で、奥さんは日本在住経験もあるというご夫婦でした。中学生の娘と3人の家族旅行です。ご主人は英語がお得意で、いろいろ話したのですが、孤児だった娘さんをひきとり、おふたりで養育しているそうです。おとなしそうな女の子でしたが、奥さんは機内で彼女の勉強を見たり、大切に育てていることが感じられました。

「今回、どうして日本旅行に来ようと思われたのですか」と尋ねると、奥さんはこう言いました。

「中国の学校教育では、日本のことを悪くばかり教えている。でも、そうではないことを私は知っている。だから、娘にも実際の日本を見せたかったの」。

まいりました。こういう品のいい旅客もいるのですね。

スプリングジャパンの成田・重慶線が就航したことで、重慶の人たち(武漢も同様)の日本旅行のアクセスはとても便利になります。これまで重慶から成田には中国国際航空の上海経由便しかなく、春秋航空も関空にしか運航していませんでした。そのため、以前は経由便で往復2日が丸まる移動に費やされ、春秋便でも関空から入国し、東京まで行くと、再び関空に戻って帰国しなければならなかったのですが、その必要がなくなったからです。

スプリングジャパンはこれからも続々と成田からの中国地方路線への運航を計画しているようです。

先週、日本政府観光局(JNTO)の2016年1月の訪日外国人旅行者数の発表がありましたが、中国客は47万5000人と昨年の2倍増で、数、伸び率ともにトップでした。

訪日外客数2016年1月推計値を発表 前年同月比52.0%増の185万2千人
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/index.html

今年も訪日中国客の勢いは止まりそうもありません。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-21 16:24 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 09日

お台場の今年の春節のにぎわいは期待はずれ?

楽天カンファレンスの取材の後、久しぶりにお台場を歩きました。
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楽天トラベル vs. Expedia これからが面白いと思いたい
http://inbound.exblog.jp/25341674/

その日は、まさに春節の2月8日。ところが、思ったほどのにぎわいがないのです。平日とはいえ、これはどうしたことでしょう。
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アクアシティからデックス東京ビーチを抜けて、ゆりかもめのお台場海浜公園駅まで歩いたのですが、中国団体客や中華系の小グループ、欧米人の家族連れなどを数組見かけただけで、ショッピングモール内は閑散としていたのです。
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一部のショップでは、中国語でセールを告知していますが、それほどどの店も積極的にPRしている感じはありません。
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さらに、アクアシティ、デックスそれぞれ春節向けのクーポン券や福袋などを企画しているのですが、あまり利用されていないようなのです。
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アクアシティのインフォメーションの女の子に聞くと「今年は去年に比べ中国人観光客が少ない。どうしてでしょう?」と言います。

確かに、通りにかつてはあれほど路上駐車していたバスの姿も今日は数台しかありません。

中国人団体客の都内での動きに変化が起きているのかもしれません。

どうしてなのか?

これはあくまでぼくの仮説です。中国客の利用するホテルが郊外化することで、彼らが都心で過ごす時間を調整、あるいは短縮する必要が出てきているのではないでしょうか。バスの運転手の労働時間が厳守されるため、以前より早めに都心を出なければならないということもあるかもしれません。そうだとすれば、たとえば木更津のホテルに泊まるような場合は、買い物は都心ではなく、郊外のアウトレットやイオンモールですればいいという話になる。

ラオックスのように中国客が買いたいものだけしっかり揃っていて、まとめ買いできるショッピング施設ならともかく、お台場にあるテナントショップで何を買えばいいのか、みんなよくわからないのではないでしょうか。

このあと、ゆりかもめに乗って新橋まで行き、銀座方面にも足を伸ばしてみました。その話は次回また。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-09 18:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 01月 17日

日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示するバス事故再び

1月15日未明、長野県軽井沢町で14人の命を奪うツアーバス事故が起きました。各メディアは事故の原因を次々に報道しました。

なかでもいちばん気がかりだったのは、朝日新聞が報じた次の指摘です。長いですが、転載します。

スキー夜行日帰り「過酷」 競争過熱、足りない運転手(朝日新聞2016年1月16日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1H5R8CJ1HUTIL048.html

長野県軽井沢町で15日未明に起きたバス事故で、今回のスキーツアーは車中泊の後、現地で泊まる1泊3日や2泊4日で1万3千~2万円弱の格安料金だった。ネットには「最安値」「超お得」と価格を競う宣伝があふれる。

■長野スキーバス転落事故

公益財団法人・日本生産性本部の調べでは、スキー人口は1993年の1860万人が2014年は760万人に激減。都内の旅行会社の担当者は「格安ツアーは広告みたいなもの」と話す。スキー客が先細り、減ったパイを奪い合うのが実情だ。コスト削減のなか、安全性の確保に取り組んでいるという。

貸し切りバス業界では、運転手不足の影響も懸念されている。

国交省によると、貸し切りバスの事業者は2000年に規制緩和され、00年度の2864社から12年度は4536社に増えた。日本バス協会(東京都)の11年のアンケートでは、大手事業者の7割以上が「運転手が不足している」と回答。事業者は、運転に必要な大型二種免許取得に助成するなどしているが、「訪日外国人の急増で旅行会社からの注文に応えられないのが実情」という。

高齢化も深刻だ。今回の事故の運転手は65歳と57歳。国交省によると、バス運転手の平均年齢は48・5歳で全産業の平均42・1歳を上回り、6人に1人が60歳以上だ。バス運転手に年齢制限はないが、事業用自動車の運転手の病気による「健康起因」の事故は2014年に96件発生しており、運転への不安はぬぐえないのが現状だ。

■相次ぐ高速バス事故

2000年にバス参入が規制緩和された後、高速バス事故は相次いだ。12年に関越道の高速ツアーバス事故で7人が死亡したのを機に、国土交通省は安全対策の強化に乗りだした。

原因とされた過労運転を防ぐため、1人で運転できる距離の上限を従来の1日670キロから原則として夜は400キロ、昼は500キロに縮小し、上限を超える場合は交代の運転手の配置を義務づけた。今回事故を起こしたバスも2人体制で運行していた。

運転手への安全研修や飲酒チェックの設備にかかる安全コストを運賃に上乗せする新料金制度も導入。ツアーを主催する旅行会社が不当な価格でバス会社に運行を委託し、安全を軽視した運行が行われないようにするためだ。

貸切バス事業の新規参入時には必要な資金を引き上げ、営業所や車庫への現地調査も定めた。イーエスピーは14年4月に許可を受け、国交省の担当者は「厳格化された条件をクリアした」と説明する。

それでも事故は繰り返された。ある運転手は「格安スキーツアーは過酷」という。昨冬、志賀高原のバスセンターで別の運転手が「日帰りで折り返し。3時間しか寝ていない」と嘆くのを聞いた。東京を深夜に出て翌朝にスキー場に着き、夕方に東京に戻る「夜行日帰り」の日程を「やひ」と呼ぶという。「格安ツアーは運転手に『やひ』を強いやすい。いつか事故を起こすと心配していた」

バスや鉄道の安全対策に詳しい関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「国交省の規制強化の方向性は正しいが、2人で乗務しても交代要員が寝ている間にドライバーが居眠り運転することもありうる。特に零細バス業者で順法意識が薄く、健康管理や労務管理が不十分なケースもある。規制の実効性を高める必要がある」と指摘する。


ポイントは、これまで本ブログでも何回も指摘してきた貸切バスの運転手不足と高齢化です。65歳の運転手に深夜運転をさせなければならない状況というのは、常識で考えるとぞっとしないではありません。

さらに、この背景に貸切バス業界で国の基準を下回る低運賃請け負い問題があることも指摘されています。

基準額割れでバス違法運行 「ツアー会社から要請」(朝日新聞2016年1月17日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1J5Q82J1JUTIL026.html

事故を起こしたバスを運行した「イーエスピー」(東京都羽村市)が、基準額を下回る安値で運行を請け負っていたことが16日、国土交通省の特別監査でわかった。複数の運転手を過労状態にさせていたことも判明。ずさんな運行管理が常態化していた実態が明らかになった。

■長野スキーバス転落事故

国交省は安全コストを軽視した過剰な価格競争を招かないよう、バス会社がツアーを請け負う際の運賃を、国が定めた基準の範囲内にするよう求めている。しかし同社は今回のツアーを、国に届け出た運賃の下限を8万円下回る19万円で請け負っていた。道路運送法違反になるという。

ツアーを企画した「キースツアー」(東京都渋谷区)とイーエスピーの間に入って運賃を調整した「トラベルスタンドジャパン」(千代田区)に対し、観光庁は聞き取りを実施。それによると、下限割れ運賃を提案したのはキースツアーだった。トラベル社からキースツアーに「下限を下回っている」と伝えたところ、キースツアーから「今年は雪が少なくてお客さんが集まらない。当面、下限を下回る値段でやってくれ」と要請され、イーエスピーに伝えたという。

記者会見したイーエスピーの高橋美作社長によると、2014年のバス事業開始当初はさらに低い料金で受注していたが、高橋社長は安全面の影響について「全くない」と主張した。キースツアーの福田万吉社長は下限割れについて「そんなことはないと思う。(認識に)行き違いがある」と述べた。

また、国交省が監査で運転手の乗務記録などを調べたところ、複数の運転手が国が定めた勤務時間の上限を超えていたという。今回乗務して死亡した2人に記録上の過労はなかったが、国交省は2人の勤務実態を詳しく調べる。2人は直近の健康診断を受診しておらず、道路運送法違反になるという。乗務記録と乗員台帳の記載漏れや、健康診断記録の保管の不備も見つかった。

イーエスピーでは事故を起こしたバスの運転手に対し、出発前の健康チェックも怠っていた。ところが運行管理者の荒井強(つよし)所長(47)は出発前日、「健康チェックを実施し、現地に到着した」とする記録をつけていた。16日の記者会見で荒井所長は「社長に負担をかけないため」と釈明。同様の事例は過去に複数回あったという。高橋社長は「心の緩みがあるかもしれない」と土下座した。

石井啓一国交相は16日、「監査後の再発防止の実効性を高めたい」と記者団に話し、監査のあり方を見直す可能性を示唆した。

観光庁によると、このバスには「トップトラベルサービス」(渋谷区)と「フジメイトトラベル」(杉並区)が手配した乗客も計4人乗車していた。


同じことは、FNNでも報じていました。

長野・スキーバス転落 国が定める最低基準下回る額で発注か(FNN2016/1/17)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00313826.html

今回に限らず繰り返される事故報道を聞くにつけ、いつも思うのは、格安なのに深夜運行という運転手にとって最も引き受けたくないと思われるスキーバスの過酷な運転を高齢者が担当せざるを得ないという業界の構造です。日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示しているように思えてなりません。我々が当たり前と思って享受しているインフラがいつか瓦解する日が来るのではないか…。

増加する訪日外国人ツアーが普段利用しているのが、まさにこの貸切バスであることを思うと、別の心配も想起します。もし事故が起きて、多くの外国人観光客が亡くなるということにでもなれば、「日本のバスは(高齢者が運転しているから)怖い」というイメージが海外に広がることで、単に訪日旅行市場に影響するというだけでなく、日本の安全・安心イメージが揺らぐことにもなりかねないからです。

実は、この問題については、昨年11月12日のNHK「おはよう日本」でかなり直截に報じられていました。

NHKおはよう日本「急増 外国人観光客 苦悩するバス業者」(2015年11月12日)
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/11/1112.html

その一部の核心部分を抜粋します。この報道では、日本のインバウンドの何が問題かについて、適切に指摘しています。要は、外国人観光客が増加しても、貸切バス業界には恩恵が及んでいないことです。バス業者の受けとる料金が安すぎるのです。その背景について、NHKはこう指摘します。

「受け取る料金が安く抑えられている理由。

有賀さんが指摘するのが、「ランドオペレーター」という業者の存在です。

ランドオペレーターは、日本にいながら中国の旅行代理店から仕事を受注します。

日本に事務所を持たない旅行代理店に代わって業務を行う仲介業者の役割を担います。

指定された予算で、宿泊先やバスの手配を行うのです。

バス業者への支払いを安く抑えれば抑えるほど、ランドオペレーターの利益は増える仕組みになっています。

現在、急増している中国からのツアーの多くにこのランドオペレーターが関わっているといいます。

中国から来日し、ランドオペレーターをしている女性が取材に応じました。

年間300件もの仕事をこなすという、この女性。

全国各地から、少しでも安い価格で仕事を受ける業者を探すことが欠かせないといいます。

ランドオペレーター
「(安い業者が多いのは)千葉県・三重県・愛知県、山の奥の県(のバス業者)はある程度、料金に応じてくれる。バス代を安く抑えなきゃいけない、抑えないと(ランドオペレーターは)全く利益が出ない、赤字になるだけ。」


ここでNHKは「ランドオペレーター」という存在を何やらあやしげに説明していますが、これはJTBやHISの海外支店と基本的に同じ存在です。日本から海外旅行に行くお客さんのホテルや観光の手配をする現地会社で、同じことは中国から日本に旅行に来る観光客にとっても、当然不可欠な存在なのです。

ところが、それを誰がやっているかというのが問題です。事実上、大半は在日中国人の業者がやっています。それ自体がいい悪いではなく、その理由は単に彼らが中国語がわかり、送客側の中国の旅行会社とのコミュニケーションの問題ということだけではなく、彼らしか中国式の商取引を日本側で受け入れる業者がないからです。なぜなら、中国の旅行会社は日本側のランドオペレーターに十分な代金を支払うことなく、免税店などでの買い物をさせたキックバックでホテル代やバス代を補てんするように迫るからです。当然、日本の旅行会社はそのような商取引を受け入れません。その結果、在日系のランドオペレーターだけが、中国式の商取引に合わせても利益が出るよう、日本のバス会社に低価格で仕事を発注するため、こうした問題が起こるわけです。

さらに、指摘は続きます。

「危機感を持った国は対策に動きました。

去年4月、新たな制度を立ち上げ、ランドオペレーターからバス業者に支払われる料金が高くなるようにしたのです。

しかし取材を進めると、新たな制度が守られていない事実が明らかになりました。

30台の観光バスを保有するこのバス業者。

ランドオペレーターから毎月40件ほどの依頼がくるといいますが、新しい料金を提示されたことは1件もないと証言しました」。


これが実態です。中国人ツアー客のバスを運行するような中小零細企業では、国交省の定めた新規の運賃制度が守られていないとNHKは明確に指摘したのです。

なのに、それを誰も咎めないのはなぜ?

これを問題化したら、中国人客の手配をしている在日中国人のランドオペレーターを監視しなければならなくなり、そんなことをしたら、年間500万人規模までふくらんだ訪日中国旅行市場は事実上維持できなくなるからです。しかし、NHKはそれを知ってか知らずか、そこまでは指摘しません。

もういいです。だから、ぼくは思います。

監督官庁もただ監視を厳しくするというだけでなく、中小零細バス会社が安定的に経営できるための施策を考えるべきだと思いますし、大手バス会社も「危うきに近寄らず」でなく、もっとインバウンド事業に参入し、日本の交通インフラの安定のために一肌脱いてもらいたいところです。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-17 10:50 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 01月 13日

北京からの団体客と夕食を共にする(新宿5丁目「金鍋」にて)

昨日は久しぶりに、新宿5丁目で山東人たちが経営する中国ツアー客ご用達居酒屋「金鍋」に足を運んでみました。毎日通勤途上に店の前を通っていて、客の入りはどうかなど、普段から通りすがりに眺めていたのですが、冬場に入り、オープン当時のようなにぎわいが見られないようだったので、ちょっと気にしていたのでした。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

仕事が早く終わったので、開店に合わせて5時過ぎに入店したところ、店内には若い中国人が10数名いてなにやら打ち合わせの最中のようでした。「あれっ、まだ営業してないの?」と聞くと、「いえ、そんなことないですよ。どうぞこちらへ」と店員に招き入れられ、地下のフロアに連れていかれました。

そこは、いつも中国の団体客が食事を取っている場所です。「あとで団体のお客さんが来るけど、ここでもいいですか?」。そう顔見知りの山東娘が聞くので、「別にかまわないよ」と答えて、1杯300円の生ビールと羊肉串を注文しました。

しばらくすると、ゾロゾロ中国の中高年の団体客が40名ほどでしょうか、入店してきて、地下のフロアのテーブルを埋め尽くしました。おお、まさか彼らと一緒に夕食を共にすることになるとは。これから何が起こるのだろう。じっと眺めていると、店員の女の子たちが仕出し弁当を運んできて、テーブルに置いて回りました。
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はてさて、どんなメニューなのだろう。見ると、ごはんに焼き魚、揚げ餃子、サラダ、みそ汁に加え、白いパッケージのままの納豆が入った定食でした。あまりコストのかかっていないような(失礼!)シンプルなお弁当ですが、中高年の食事としてはこれで十分なのでしょう。

添乗員らしき中国人女性が説明します。「これは納豆といって日本の伝統料理です。中を開けたら辛子としょうゆをかける前に、こうやって糸を引くまで何度もかき混ぜてください。おいしく食べるコツです」とかなんとか。

その説明を聞いて、ツアー客の皆さんはいっせいに納豆をかき混ぜ始めました。楽しげな光景です。
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ひとりニヤニヤしながら眺めているのもあやしいので、隣に座ったおじさんに尋ねることにしました。

「どちらからいらっしゃったのですか?」
「北京ですよ。あんたはどこの人?」
「日本人ですよ」
「あっそうなの。そりゃまあそうか。ここは日本だものね」
「ところで、日本にはどれくらい滞在するのですか?」
「7日間」
「東京から大阪まで行くんですか?」
「そうですよ」
「それはそれは、欢迎光临(ようこそいらっしゃいました)」
「おお、謝謝」

他愛のない会話ですが、皆さんこっちを見てニコニコしています。でも、この人たち、北京から来たと言っているけれど、もしかしたら見た感じ、河北省の人たちじゃないかな…。埼玉や千葉、なかには茨城の人が、海外で外国人から「どこから来たか」と聞かれたとき、説明してもどうせわかってもらえないからと、しれっと「東京」と答えるのと同じです。まあ北京といってもけっこう広くて農村部もあるし、職場旅行であれば北京の人たちも団体で来ることはあるでしょう。

彼らは誰ひとりビールやお酒を頼んだりもせず、いっせいに食事をかき込み、30分もすると慌しく店を出て行きました。夜の買い物タイムが待っているからかもしれません。

実際、こういうのが「爆買い」中国客の実態でもあるのです。ツアーの中身や食事はとことん節約して、買い物に集中的に散財する。よく中国経済の悪化によって「爆買い」客は消滅するという人がいますが、彼らは驚くほど安いツアー代金で来日しており、他国の訪日客に比べると、ホテルも食事もお金をかけていないので、そのぶん買い物額が多くなるのはある意味当然なのです。それが目的で来ているのですから。

傍で見ていて、このような旅行がいいとはもちろん思いませんが、いまの彼らはこれがやりたいことなのです。「もっと別の楽しみ方がありますよ」などと提案したところで、彼らにしてみれば、「いまそんなことを言われても困るよ」という感じでしょう。

店を出て、金鍋の同じ通りの斜め向かいにあるゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」を見ると、欧米の若いツーリストだらけでした。
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東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人
http://inbound.exblog.jp/25142528/

オープン当時はアジア客が多かったようですが、クリスマスの頃から客層が変わってきたようで、いまではロビー脇のカフェで過ごしているのは大半が若い欧米人ツーリストです。

そのまま靖国通りを歩いていると、その日は中国の大手旅行社の錦江旅行社のバスが停まっていて、さきほどの中高年の団体客とはまったく世代の異なる若いツアー客が歌舞伎町散策を終えて、乗り込もうとしていました。
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さらに西武新宿駅方面に歩いていくと、歌舞伎町一番街のネオンの下にやはり中国の団体客が大勢いて、ヤマダ電機の街頭ビジョンを眺めながら、バスを待っていました。
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東新宿のいつもの光景といえばそれだけの話ですが、日々少しずつ変化が見られることも確かです。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-13 11:51 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 01月 08日

今年もバスはやって来ています(ツアーバス路駐台数調査 2016年1月)

このバス調査もすでに5年目に突入しました。調査などというのは大げさで、通勤途上にたまたま中国ツアー客を乗せたバスが停車するスポットがあることを知り、様子をちらりと観察しているのにすぎないのですが、さすがに5年たつと状況がいろいろ変わってきました。昨年、中国人旅行者数が倍増し、500万人規模になったことで、安価なツアーに参加している客は都内のホテルに泊まることができなくなったため、昼間こそ新宿に姿を現すものの、夕方以降は以前ほど姿を見せなくなりました。首都圏郊外のホテルに泊まっているため、この時間帯に都心にいられないからだと思われます。

そもそも新宿に現れるツアーバスの台数の推移から何かしら統計的なデータが読み取れるかというとそういうものではなく、たまたま交差点で声をかけたことで知る乗客の出身地や、ナンバープレートからうかがえるバスの発地などから、内陸客が増えてきたことや成田・関空以外の乗り入れ客が出てきたことなどを感じ取っていたにすぎません。

さて、年明け早々、上海株は再び滑落する気配となり、しかも北朝鮮の水爆実験報道も加わり、東アジア情勢も決して安穏としていられなさそうな雲行きです。はたして今年も中国客を乗せたバスは新宿に現れるのか。気長に眺めていきたいと思っています。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(金)~5日(火)未確認
6日(水)17:20 2台
7日(木)12:40 2台
8日(金)12:10 6台
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※今日はバスがたくさん来ていました。でも、40分もすると、さっといなくなっていました。

9日(土)未確認
10日(日)未確認
11日(月)未確認
12日(火)17:20 2台
13日(水)12:10 5台
14日(木)18:10 2台
15日(金)11:45 5台
16日(土)13:10 5台、17:50 4台
17日(日)未確認
18日(月)未確認
19日(火)未確認
20日(水)12:20 4台、17:40 0台
21日(木)12:50 7台、18:10 1台
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※この日は久しぶりにバスをたくさん見ました。新宿5丁目焼肉店脇にはバスを待つ中国客の団体の姿を見られました。家族連れが多いようです。

22日(金)12:10 3台
23日(土)未確認
24日(日)未確認
25日(月)11:50 1台、18:10 3台
※この日の中国客は子供の多いグループで、中国南方方言を話す人たちでした。
26日(火)11:30 4台
27日(水)13:50 2台、17:40 3台
28日(木)12:10 3台
29日(金)12:20 6台
30日(土)未確認
31日(日)未確認
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by sanyo-kansatu | 2016-01-08 13:32 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 01月 07日

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?

昨年7月上旬、こんなニュースがありました。

「鳥取県の北西部、島根県に隣接する境港市。ゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげるさんの出身地としても知られ、商店街には、キャラクターの銅像が立ち並び、妖怪の町として観光客の人気スポットとなっている。

その町におととい、これまで日本に寄港した客船の中で最も大きい、クァンタム・オブ・ザ・シーズが入港した」。

4500人の中国人が来航!地元港は大混乱!(「ウェークアップ!」読売テレビ2015年7月4日)
http://www.ytv.co.jp/wakeup/news/n11081879_main.html

で、何が起きたかというと、「村の人口(3455人)も上回る4000人以上の中国人が訪れて爆買いし、現地住民の生活が一時困窮した」(人民網日本語版)というのです。

日本の村で「食い尽くせ、買い尽くせ!」 クルーズ旅行の中国人4000人が爆買いで「村民困窮」(Focus Asia 2015年7月7日)
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/photonews/422797/

中国人「爆買い」で困る鳥取県 ネット民「日本の観光客受け入れ能力が低すぎる」(人民網日本語版2015年7月9日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0709/c94659-8918190.html

激増する中国人観光客の影響はこんな形で現れるものなのか…。

この日、境港に寄航した「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」は、世界最大規模の大型クルーズ客船です。ロイヤルカリビアン社というアメリカのクルーズ会社が運営しています。

実は、その5日前、ぼくは博多港で同客船の内覧会に参加していたので、その巨大さは体感済みでした。

6月27日中国発客船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が博多に初入港しました
http://inbound.exblog.jp/24648018/

博多中洲のショッピングモール「キャナルシティ」で中国客が「爆買い」する光景を見ていたので、確かに山陰の小さな村のショッピング施設では大混乱が起きていたのかもしれない。なにしろそんなに大勢の外国客が来店することなんて初めてだったでしょうから。

そんな報道がずっと頭に引っかかっていたので、年末のある日、鳥取県西伯郡日吉津村にあるイオンモール日吉津を訪ねてみました。

JR山陰本線米子駅からバスで30分。田園風景の中にイオンモールが見えてきました。
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イオンモール日吉津
http://hiezu-aeonmall.com/

その瞬間、思いました。「あれっ、話がちょっと違うのでは?」。 

山陰の片田舎にあるとはいえ、そのイオンモールはけっこう巨大な施設だったからです。東館(イオン直営店とドラッグストアなど)と西館(テナント中心)に分かれ、館内は歳末セールでにぎわっていました。地方都市なら全国どこでも同じでしょうが、地元客は車で郊外にあるイオンモールにまとめ買いに来るのです。おかげで米子駅前は閑散としているわけです。
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ネットが報じた「大混乱」の痕跡を探そうと、館内を歩き回ってみました。でも、入り口に1枚の外国語のポスターが貼ってあったのと、表に「免税 Tax-free」の垂れ幕があったくらいで、特になんてことはないのです。
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東館の中央部にサービスカウンターがあり、そこが免税手続きを担当する唯一の場所でした。女性のスタッフに話を聞いてみることにしました。

―今度友人の外国人を連れて買い物に来たいのですが、免税してもらうためにはここに来ればいいのでしょうか(すいません。ウソついてます)。

「はい、そうです。いったんお買い上げいただいた後、パスポートとレシートを持ってこのカウンターに来ていただくことになっています。ただし、お買い上げ金額の条件があります。医薬品やお菓子などの消耗品の場合、5401円以上でなければ適用できません。家電製品の場合は10801円以上です」

―つまり、8%分を差し引いた金額が、それぞれ5000円、1万円以上ということですね。ところで、ここに「免税手続きは1組45分程度」と書いてありますが、免税するのにそんなに時間がかかるものなのですか。

「中国のお客様はとにかく買い物の品数が多いので、すべてチェックしなければなりませんから。でも、だいたい平均して15分くらいです」
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話を聞きながら、これは大変なことだと感じました。どれほどの数の中国客がレジで受け取ったレシートを持ってここに並ぶのだろうか…。ついに本当に聞きたかったことを話すことにしました。

―今年の7月、境港に中国の大型クルーズ客船が来て、こちらで大勢の中国客が買い物したそうですね。1隻4000人以上のお客さんが乗っていたそうです。こちらにも来店されたのでしょうか。

「はい、お見えになりました。でも、イオンは松江にもあるので、そちらにも行かれたそうですから、4000人全員が来たわけではないですけど、大勢お見えになったのは本当です」

―でも、仮に1500人くらい来店されたとして、とても免税手続きに対応することはできなかったのではないですか。もしかして、このカウンターの前は大行列だったとか。

「確かにそうでした。ですから、とても全員の方の免税手続きに対応することができませんでした」

―そりゃあそうですよねえ。

カウンタースタッフの女性はとても素直かつまじめに答えてくださりました。当時の状況がだんだん見えてきました。

どうやらこの感じでは大半のクルーズ客は免税手続きができなかったのではないでしょうか。でも、円安なので、8%の免税のことなど彼らはそれほど気にしなかったに違いありません。そんなことより、買いたいものがどれだけ買えたかのほうが重要だったことでしょう。

―中国の方はどんなものを買い物されていましたか。

「ドラッグストアの商品が多かったです」

そこで、ドラッグストアを訪ねてみました。薬剤師さんがいたので、聞きました。

―7月に中国のクルーズ客船のお客さんが大勢いらしたそうですね。ずいぶん薬が売れたと聞きました。何が売れたのですか。

すると、若い薬剤師はぼくをあるコーナーに案内してくれて、次の話をしてくれました。そこには、外国客向け専用の棚ができていました。
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「いちばんよく売れたのは、目薬の『サンテボーティエ』(参天製薬)。なぜかこちらの安い『サンテFX』ではなく、高いほうを買っていかれます。あとは風邪薬の『パブロンゴールドA』『龍拡散』などです」。
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それらはまさに「神薬」のラインナップでした。なぜ『サンテFX』ではなく、『サンテボーティエ』が買われたかというと、『サンテFX』は「神薬」のリストに選ばれていないからだと考えられます。

まったくもって、世間で言われているとおりのことが、ここ山陰のイオンモールでも起きていたのでした。

おそらくその日は、駐車場にひっきりなしにバスが何十台も現れ、数十人ごとの中国客を下し、1時間ほど「爆買い」して帰っていくという光景が繰り返し見られたのでしょう。でも、だからといって「現地住民の生活が一時困窮」というような話ではなさそうです。日吉津村の人口が約3000人にすぎないことから、中国メディアはウケ狙いで面白おかしく書いたのでしょう。気持ちはまあわかります。

ただし、中国メディアが知ってか知らずか決して書こうとしなかったこともあると思います。日本では、たとえ山陰の片田舎にあるショッピング施設でも、中国人が「爆買い」したくなるような商品がふつうに売られていること。地域住民もごくふつうに車で来て買い物していることです。ここは中国でいえば、都市の規模や格でいうと5線級都市にもとうてい入らない鳥取県西伯郡日吉津村という農村地区であるにもかかわらずです。実は、これが日本と中国のいちばんの違いであるということを。

現地を訪ねてわかったことがあります。域内の主要都市である米子市への合併が周辺の町村で進む中、日吉津村は唯一合併を拒んでいるそうです。理由は、村内に王子製紙米子工場(旧日本パルプ)の一部があるためで、合併してしまうと同社の法人税を明け渡してしまうことになるからです。
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やはり、現地に行ってみないとよくわからないことってありますね。

境港の港湾関係者の話では、2016年は中国クルーズ客船の寄港回数はさらに増えるそうです。

次回以降、境港の関係者に聞いた話を紹介しましょう。
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境港が中国クルーズ船の寄港地に選ばれる理由
http://inbound.exblog.jp/25266871/

鳥取県境港に上陸した海外クルーズ客はどこに行くのか?
http://inbound.exblog.jp/25269581/
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by sanyo-kansatu | 2016-01-07 14:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 12月 03日

訪日中国客500万人越えなるか?(ツアーバス路駐台数調査 2015年12月)

12月に入り、再び新宿5丁目に現れる中国客を乗せたツアーバスが増えてきました。今年の中国人観光客は去年の2倍増の勢いで、年間500万人越えしそうです。ついに、訪中日本人の数を訪日中国人が越える年になりました。今月もウォッチングを続けてみようと思います。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(火)未確認
2日(水)12:30 4台、17:30 3台
3日(木)12:50 5台
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※今日のバスは、成田と堺のプレートでした。

4日(金)12:50 4台、17:50 2台
5日(土)未確認
6日(日)未確認
7日(月)12:40 0台、17:50 1台
8日(火)12:50 2台、18:20 2台
9日(水)13:00 1台
10日(木)13:50 3台、18:50 2台
11日(金)11:50 7台
12日(土)未確認
13日(日)未確認
14日(月)未確認
15日(火)未確認
16日(水)18:10 0台
17日(木)11:20 2台、13:10 2台
※この日、新宿5丁目の中華料理店「東順永」でお昼をとっていたら、中年4人組(男1人、女3人)の中国人観光客が来店してきました。聞くと、深圳から来たのだとか。北京、上海、広東省はすでに個人旅行の時代に入っていることを実感しました。ちなみに「東順永」は遼寧省瀋陽出身のご家族が経営している店で、例の山東省出身の人たちが9月に開店した中国団体客専用食堂のすぐそばにあります。

18日(金)13:20 1台
19日(土)未確認
20日(日)未確認
21日(月)13:10 1台
※12月に入って新宿5丁目に現れるバスの数は減っている気がします。中国からの日本路線がこの秋これだけ増えたことを思うと、どうしてなのかなと思います。減便が始まっているのか。少し気になります。

22日(火)13:20 2台、17:20 1台
23日(水)未確認
24日(木)11:40 1台、18:20 2台
25日(金)12:50 2台、16:40 1台
※今年のクリスマスはバスは少ないです。中国客は都心にホテルが取れないため、新宿に食事をするツアーが減っていることが考えられます。

26日(土)12:20 7台
※昨日までは少なかったバスが今日はたくさん来ていました。新宿5丁目のコンビには中国客でにぎわっています。
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このあたりは、中国団体客だけでなく、この界隈のビジネスホテルやゲストハウスに宿泊している欧米の若いツーリストの姿も多く見られました。交差点にある松屋には、ソースの種類を解説する英語の表示もありました。彼らがよく利用するからでしょうね。
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27日(日)17:00 1台
28日(月)12:30 5台
29日(火)未確認
30日(水)17:20 2台
31日(木)未確認
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by sanyo-kansatu | 2015-12-03 13:35 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2015年 11月 05日

東新宿はインバウンド先進エリアです~外客向けホステルが開業(ツアーバス路駐台数調査 2015年11月)

国慶節休みに入った10月上旬、中国人客を乗せたツアーバスが東新宿にはそれほど多く現れなかったことは先月書きましたが、逆に国慶節が終わった中旬以降、数が増えていました。11月に入ってもその傾向は変わらないようです。もしかしたら、都心の格安なビジネスホテルに団体客が戻ってきているのかもしれません。休暇シーズンが終わり、中国の個人客が減った関係で、都内でもホテルが若干取りやすくなっているのではないでしょうか。

なぜそう思ったかというと、10月下旬にぼくは中国河南省を訪ねていたのですが、一昨日、省都の鄭州からの帰国便で隣に乗り合わせた中国人老夫婦からこんな話を聞いたからです。彼らは鄭州市の住人で、今回初めて6泊7日の東京・大阪ゴールデンコースのツアーに参加しています。日程などを聞いていくうちに、2日目の宿泊先が東新宿のビジネスホテルでした。実はそのホテル、ぼくの仕事場から徒歩2分の距離にあります。そこで、昨日ご夫婦がホテルにチェックインする時間をホテルの人に聞いて、あいさつに行ったのです。ちょっと驚かせてやりたいという遊び心で。おふたりは再会をとても喜んでくれました。

この時期(11月上旬)、中国の団体ツアーでも都心のホテルを利用することがあるのだなと思ったのです。彼らは今日から富士山に向かいます。この話は別の機会にもう少し詳しく紹介するつもりですが、中国の内陸部の人たちがどんな日本旅行をしているか、彼らの話を通じて知ることができると思います。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日~3日 海外出張のため未確認。

4日(水)11:40 5台
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ところで、この日同じ東新宿の東京医大通りで面白い物件を見つけました。それは若い外国人向けのゲストハウス、しかもちょっと新しいタイプの宿が今月中にオープンするようです。
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IMANO TOKYO HOSTEL
http://imano-tokyo.jp/

同ホステルのサイトには、以下のような紹介文がありました。

「東京での滞在をより深く楽しむことができるよう、
館内には東京の文化、日常生活に触れられるようなキッカケが多く詰め込まれており、
施設全体が”トーキョー”のガイドブックとなるホステルです。

1Fには、東京のお酒や料理を提供するカフェ&バーを併設し、
世界中から集まった旅行者との交流を楽しむことが出来ます」。

はてさて、どんな宿になるのでしょうか。

東新宿はいまやインバウンド先進エリアといっていいでしょう。先月の中国人団体客向け居酒屋の開業もそうですが、さまざまなタイプの外国人客受入のための施設が日々生まれつつあるようです。オープンのときには訪ねてみようと思います。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

5日(木)12:50 4台
6日(金)13:20 3台

この日のランチタイムが終わる頃、新宿5丁目に停めたバスから中国客が例の居酒屋「金鍋」に向かってぞろぞろ歩いていました。山東人の店員の彼女が40人くらいのツアー客を迎え入れていました。商売繁盛で良かったですね。
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7日(土)未確認
8日(日)未確認
9日(月)未確認
10日(火)17:50 2台
※この日「金鍋」を覗いたら、上海から来た若者グループが来店していました。珍しいですね。でも、上海人だからといって団体で来ないわけではありません。きっと何かの視察ツアーなのでしょう。皆さん、かに鍋をつついていました。

11日(水)19:20 2台
12日(木)18:20 1台
13日(金)12:40 6台
14日(土)未確認
15日(日)未確認
16日(月)未確認
17日(火)13:20 3台
18日(水)12:50 4台
19日(木)12:40 6台
※この日も、新宿5丁目の食堂の前に中国客があふれていました。
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20日(金)12:20 4台
21日(土)未確認
22日(日)未確認
23日(月)未確認
24日(火)12:20 5台
※この日の正午頃、新宿5丁目の食堂からあふれた中国客たちは東京医大通りに繰り出し、バスが来るのを待っていました。彼らはいつものように大きな声で中国語を話しているので、何事だろうと思う地元の人たちもいたに違いありません。またこんなに中国客が現れるのですから、食堂だけでなく、ドラッグストアでも近くにあれば繁盛するのではと思ってしまいます。

25日(水)12:50 0台
26日(木)13:20 4台
27日(金)12:40 4台
28日(土)未確認
29日(日)未確認
30日(月)13:10 3台


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by sanyo-kansatu | 2015-11-05 10:20 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2015年 10月 21日

北朝鮮ローカル鉄道ツアーの参加者からメールをいただきました

昨日のことです。ぼくのブログの読者という方から以下のようなメールが届きました。

「はじめまして。Nと申します。あなたがブログで紹介していたKoryo ToursのTRAIN TOURに参加しました」。
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Koryo ToursのTRAIN TOURというのは、ぼくが10月1日にアップした以下の記事のまさにそのツアーのことでした。

明日(10月2日)、北朝鮮のローカル鉄道ツアーが出発します
http://inbound.exblog.jp/24951297/

このツアーは、北京にある英国人経営のKoryo Toursが企画催行。10月2日から12月/13日(前者は空路で北京、後者は鉄路で丹東による出国)までの10日間をかけて北朝鮮をローカル鉄道でめぐるというものです。

TRAIN TOUR – ‘EASTERN ADVENTURE BY RAIL’
http://www.koryogroup.com/travel_Itinerary_2015_train_tour.php

9月下旬、ぼくは北京のKoryo Toursのオフィスを訪ね、同社のバイスプレジデントのサイモン氏にツアーの概要について話を聞いたばかりでしたが、まさか日本人の参加者がいたとは知らず、また今回そのご本人からご連絡いただくことになり、ちょっとびっくりしました。以下、Nさんの文面です。

「旅行の様子をYoutubeに何本かアップしておきました。たとえば、

North Korea Train Tour: From Pyongyang to Hamhung 北朝鮮鉄道の旅:平壌から咸興へ
https://youtu.be/ESGR8oSNhyY

詳しくはのちほど当方のブログで報告する予定です」。

辺境へ(Nさんのブログ)
http://chojiro22.blogspot.jp/  

さっそくNさんのメールに返信させていただき、このツアーについて話をうかがいました。以下、やりとりを整理します。

―このツアーにはどんな人たちが参加していたのですか。

「イギリス人女性の添乗員を含め、総勢15人。

国籍の内訳は次のとおりです。
アメリカ人 4人
イギリス人 6人
オーストラリア人 1人
カナダ人  1人
香港人   1人
ラトビア人 1人
日本人(私) 1人」

これが集合写真だそうです。
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―以前ぼくはブログの中でこのツアーのスケジュールをKoryo Tourのサイトの情報をもとに紹介しましたが、実際このとおりだったのでしょうか。

「ほぼそのとおりです。ただ、変更点も少なからずあります。

①平壌での宿泊は高麗ホテルではく、全泊羊角島ホテルでした。

②清津では予定されていた食品工場の見学はなし(私は昨年訪れました)。代わりにトロリーバスに試乗しました。
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③清津に着いた日の夕食は船員クラブではなく、宿泊先の清津観光旅館でした。したがってカラオケはなし。翌日の昼食を船員クラブでとりました。

④平壌での映画撮影所見学やトロリーバス試乗もなし。でも、路面電車にはかなり長時間乗れました。残念ながら地元民と一緒ではなく、チャーターしたものです。地下鉄も全路線を試乗しました。下車した駅は5つか6つでしょうか。
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⑤平壌でのマスダンスの参観は外国人不可ということでした。代わりに、結成されたばかりのチョンボン(青峰)楽団の公演を11日に見ることができました。オプションで100ユーロ。

⑥平壌での買い物は楽園百貨店ではなく、光復地区商業中心(ガイドはスーパーマーケットと説明していました)でした。ここでは外貨を現地ウォンに交換して(交換は最低5ユーロから)、現地の人に混じって買い物ができます」。

―ツアー料金はいくらでしたか? 直接Koryo Tuor にネットで申し込まれたのですか?

「ツアー代金は2890ユーロ+1人部屋代(相部屋なら不要)400ユーロ +ビザ代50ユーロ。私の場合はリピーター10%割引の289ユーロを差し引いた合計3051ユーロでした。Koryo Toursにはネットで申し込みました。代金は半額の1500ユーロを事前に銀行振り込みし、残額を事前説明会の際に現金で支払いました」。

―ツアーに参加されたご感想は?

「同行者にも恵まれ、いい旅ができました。唯一の不満は私にとってはじめての咸興での滞在が短く(午後4時ごろ到着して翌早朝に出発)、肥料工場の見学のみだったことです。添乗員によれば「咸興はまだまだ閉ざされている」とのことでした」。

Nさんから道中の写真をたくさん見せていただきました。特に列車の車窓から見える北朝鮮のローカルな世界(道行く人々の様子や暮らしが見えてきます)がとても魅力的でした。Nさんは自分の写真は著作権フリーなので、自由に使ってかまわないと鷹揚なことをおっしゃるのですが、やはり貴重な作品ですので、このツアーのメインテーマである乗り物関係の写真のみ一部使わせていただくことにしました。車窓の風景は、いずれNさんのブログにアップされることと思います。以下、鉄道ツアーの寝台車、食堂の様子などです。
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それにしても、北朝鮮では続々とユニークなツアーが実現しており、以前紹介した航空マニア向けツアー同様、欧米人グループに混じって日本人も参加しているようです。

北朝鮮の航空マニア向け旧型ソ連機搭乗ツアーの中身
http://inbound.exblog.jp/24952047/
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by sanyo-kansatu | 2015-10-21 16:24 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2015年 10月 09日

国慶節なのに新宿にバスが少ないのはなぜか(ツアーバス路駐台数調査 2015年10月)

国慶節がやって来ました。ところが、昨年までツアーバスが押し寄せていた新宿5丁目も、今年は思ったほど姿を見せていません。

特に数が少ないのが夕方で、9月中旬に中国人団体客をあてこんでオープンした中国人経営の居酒屋も集客の当てが外れたようです。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

なぜ国慶節だというのに、新宿のような都心にバスが少ないのか。これは推測でしかありませんが、都心のホテル代金の高騰が影響しているのではないでしょうか。つまり、中国団体客の利用するホテルが都心からこれまで以上に離れた場所になってしまった関係で、昼間は新宿に立ち寄るとしても、夕方はホテルに近い東京郊外や埼玉、千葉といった場所で夕食を取っているのではないでしょうか。おそらく、そこでは新宿5丁目にあるような中国団体客専用の食堂が在日中国人らによって経営されているに違いありません。今度調べてみたいと思います。
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なお9月30日歌舞伎町にアパホテルグループの旗艦店とされる歌舞伎町タワー店が開業しました。料金もかなり高く、団体の利用はあまり考えられません。
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※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)未確認
2日(金)18:00 2台
3日(土)18:20 3台
4日(日)未確認
5日(月)17:50 0台
6日(火)11:50 5台、17:20 2台
7日(水)11:00 3台、12:00 6台、14:10 3台、17:20 3台
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※この日は今年の国慶節の最終日。ツアーバス客も比較的若い世代が目に付きました。

8日(木)18:20 3台
9日(金)11:30 5台
10日(土)未確認
11日(日)12:20 3台
※この日のツアーバス客はこれまでどおり中高年世代が大半。華東方言を使う人たちでした。

12日(月)未確認
13日(火)11:40 3台、12:20 8台
14日(水)12:00 4台
15日(木)未確認
16日(金)12:20 3台、17:20 0台
17日(土)未確認
18日(日)12:40 1台、18:10 5台

19日(月)12:10 4台
20日(火)12:10 6台、18:10 3台
21日(水)18:10 3台
22日(木)12:20 5台
23日(金)11:50 4台

24日~31日 海外出張のため、未確認。
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by sanyo-kansatu | 2015-10-09 13:52 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)