ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ

タグ:ツアー ( 147 ) タグの人気記事


2016年 04月 06日

イースター(復活祭)を迎えて欧米客が目につく今日この頃(ツアーバス路駐台数調査 2016年4月)

3月27日は、キリスト教圏に暮らす人たちにとっての休暇シーズンであるイースター(復活祭)の日に当たります。

そのせいで、ここ1週間ほど、新宿界隈では欧米客の姿を多く見かけます。実は、3月末に京都と大阪に出張に行ったのですが、やはり欧米客だらけでした。

桜も満開になり、もちろん中国の団体客のバスも多いです。昼どきには、新宿5丁目の明治通り沿いの歩道は中国客であふれて、にぎやかです。
b0235153_13451970.jpg

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(金)13:30 7台、18:40 4台
2日(土)未確認 
3日(日)未確認
4日(月)12:20 6台、19:10 4台
b0235153_13453262.jpg

※この日、歌舞伎町の前の靖国通りは多国籍の人たちであふれかえっていました。欧米系、東南アジア系、マレー系の人たちなど、本当にいろいろです。最近よく見かけるのが、髪をブルーやピンクに染めて、アニメのコスプレをした西洋人の女の子の姿です。きっとアニメファンなのでしょうね。

5日(火)12:30 7台、17:40 3台
6日(水)12:20 6台、19:20 3台
7日(木)13:30 6台、18:20 4台
8日(金)13:20 3台、16:40 2台
9日(土)未確認
10日(日)未確認
11日(月)11:30 8台
※この日、昼前から多くの中国客が新宿5丁目界隈に現れていました。

12日(火)19:20 2台
13日(水)12:10 9台
b0235153_12421414.jpg

※この日も「金鍋」の前は中国客で列をなしていました。
b0235153_12422434.jpg

※「味仙荘」の前も彼らであふれています。

14日(木)11:20 3台、18:20 2台
15日(金)11:50 7台
16日(土)未確認
17日(日)未確認
18日(月)14:10 2台、17:30 4台
19日(火)12:10 9台、18:10 3台
20日(水)未確認
21日(木)12:40 3台、18:00 2台
22日(金)未確認
23日(土)未確認
24日(日)未確認
25日(月)未確認
26日(火)12:40 2台
b0235153_17553514.jpg

※正午過ぎ新宿5丁目を歩いているとき、この看板を見かけました。この通りへの路上駐車は禁じられてしまったようです。実際、路駐しに来たバスを警察関係者が追い払っている光景を目撃しました。

ついにこの日が来たようです。

もっとも、「味仙荘」のある通りの反対側は問題ないようです。

こうなると、もうここにはバスが現れることはなくなるのでしょうか。でも、団体客の食事場所がここにある以上、どこかで乗客を降ろさなければなりません。

はてさて、今後どうなるのか? 

ところが、その日夕刻そこを通ると、バスが4台並んでいました。

なるほど。そういうもんなんですね。様子を見守ることにしましょう。

27日(水)12:10 5台、20:20 1台
28日(木)13:10 3台、18:20 2台

※「路駐禁止」の看板はあまり気にされていないようです。実際、バス以外にトラックなど、いろんな関係者の車が路駐しています。

29日(金)未確認
30日(土)未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-04-06 13:45 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 03月 09日

まもなく桜の季節が来ますが、今年はどうかな?(ツアーバス路駐台数調査 2016年3月)

3月に入って、寒暖の差が大きい日が続いています。いよいよ今月下旬頃には、外国人にとっての訪日旅行のメインイベントのひとつである桜のシーズンがやって来ます。

先日、訪日中国ツアーを手配しているランドオペレーター2社の関係者に話を聞いたのですが、「今年はそれほどでもないかもよ」と揃っておっしゃいたのが印象的でした。どういうことなのでしょうか。日本政府観光局(JNTO)の配信する統計データでは、今年もすごい勢いで訪日客が増えているのに、なぜ?

その理由として、「想像する以上のスピードで中国客の個人旅行化が進んでいるようだ」というコメントをしてくれた関係者もいました。この意味は今後じっくり検証する必要がありそうです。

さて、今年の桜シーズンはバスの数はどうなるのか? 

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(火)未確認
2日(水)20:10 2台 
3日(木)12:30 4台
4日(金)12:10 5台
5日(土)未確認
6日(日)未確認
7日(月)未確認
8日(火)12:50 6台
9日(水)12:40 5台

10日(木)~17日(木) 海外出張のため未確認

18日(金)18:20 2台
19日(土)未確認
20日(日)未確認
21日(月)未確認
22日(火)19:20 2台
※ただし、この日歌舞伎町方面、靖国通り沿いには東南アジアの団体客の姿が多く見られました。
b0235153_8592957.jpg

b0235153_859433.jpg

23日(水)13:10 6台、18:40 4台
※この日のお昼過ぎの新宿5丁目は中国団体客であふれていました。例の居酒屋「金鍋」の前も食事を終えた中国客が路上に群がっていました。さすがに東京も桜の開花が始まり、ツアー客が増えてきました。
b0235153_9177.jpg

b0235153_912358.jpg

24日(木)13:15 7台、18:00 3台
25日(金)12:20 5台、17:10 3台
26日(土)未確認
27日(日)未確認
28日(月)12:20 6台、18:20 2台
29日(火)13:20 5台、19:10 2台
30日(水)未確認
31日(木)未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-03-09 17:42 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 03月 05日

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?

中国発クルーズ客船が多数寄港する福岡で、中国客の上陸観光のガイドとしてバスに同乗し、免税店を案内する傍ら、売上に応じたコミッションを得ていた中国人不法ガイドがついに摘発されました。

この一件は、ガイドらが書類送検された3月3日夕方にはテレビのニュースなどでも報じられていました。
b0235153_1627549.jpg

無資格「観光ガイド」2人を摘発 免税店から報酬5,000万円(FNN2016/3/03)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00317893.html

爆買い中国人のガイド役の男女が摘発された。

入管法違反の疑いで摘発されたのは、中国人の無職の女(31)と留学生の男(25)。2人は、就労ビザがないのに、2014年から2015年にかけて、観光ガイドとして、中国人観光客を福岡市の免税店に案内し、見返りに報酬を受け取った疑いが持たれている。

2人は、ボランティアと称していたが、口座には報酬として、少なくともそれぞれ、およそ5,000万円が入金されていたという。2人のうち、女は2月、裁判所から罰金の略式命令を受け、国外退去処分になっている。


翌4日、大手各紙がさらに詳細に報じています。

不法就労助長:「爆買い」無資格ガイド 中国人摘発 福岡県警(毎日新聞2016年3月4日)
http://mainichi.jp/articles/20160304/ddh/041/040/004000c

大型クルーズ船で入国した中国人観光客を案内するツアーガイドに無資格の中国人を雇ったとして、福岡県警は3日、旅行代理店や免税店6店(いずれも福岡市)の支店長ら男女6人を出入国管理法違反(不法就労助長)容疑などで福岡地検に書類送検した。ガイドの中国人男女2人も福岡地検に書類送検するなどした。「爆買い」のガイドが摘発されたのは初めて。

6人の送検容疑は2014年9月〜15年9月に男(25)=福岡市=を、15年5〜11月に女(31)=神戸市=をガイドに雇用し、客を免税店に引率させたなどとしている。2人に就労資格はなく、県警は女を今年1月に同法違反(資格外活動)容疑で逮捕。女は2月に罰金50万円の略式命令を受け、国外退去処分になった。県警は男も2月に同容疑で書類送検した。

県警によると、旅行代理店が2人にガイドを委託し、報酬として女に約3000万円、男に約4500万円が支払われた。

関与した旅行代理店3店はいずれも中国系、免税店3店はそれぞれ中国、韓国、台湾資本という。


毎日新聞は、摘発の容疑が「出入国管理法違反(不法就労助長)」であること。関与した旅行会社や免税店が、昨年の訪日外国人旅行者数トップ3の中国、韓国、台湾資本であると指摘しています。

「爆買い」ツアー、無資格でガイド 入管法違反容疑で男女2人摘発(朝日新聞2016年3月4日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12240131.html

就労資格がないのに中国人観光客のガイドをして不正に報酬を得ていたとして、福岡県警は出入国管理法違反(資格外活動)の疑いで中国人の女を逮捕、男を書類送検し3日発表した。2人は免税店で観光客の買い物を支援する報酬として、少なくとも約7600万円を免税店側から受け取っていたという。県警によると、海外からのツアー客のガイド行為に同法を適用したのは全国初。

県警は3日、2人にガイドを委託した福岡市と東京都の旅行会社3社の役員計3人を同法違反(不法就労助長)容疑で、報酬を渡した同市と東京都の免税店運営会社3社の役員計3人を不法就労助長の幇助(ほうじょ)容疑でそれぞれ書類送検した。

外事課の説明では、自称無職の女(31)は昨年5~11月、就労ビザがないのに、中国人観光客らを福岡市内の免税店に案内するなどして、約3千万円を得ていたとして今年1月に逮捕された。2月に罰金50万円の略式命令を受けて国外退去になった。留学生の男(25)は2014年9月~15年9月、同様に計約4600万円の報酬を得たとして、今年2月に書類送検された。

免税店運営会社の役員2人は「就労資格は旅行会社が確認していると思っていた」などと容疑を一部否認。ガイド2人と旅行会社役員3人、免税店運営会社の役員1人は容疑を認めているという。

同課によると、旅行会社は2人に報酬は支払わず、「ボランティア」名目で委託。実際には免税店側から2人の口座へ入金があり、県警は報酬にあたると判断した。


朝日新聞は今回の摘発を「海外からのツアー客のガイド行為に同法を適用したのは全国初」。さらに「外事課」が動いていたことを報じています。

「爆買い」無資格案内、容疑の中国人ら摘発 福岡県警(日本経済新聞2016/3/4)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98016980U6A300C1CC1000/

就労資格がないのに、中国などから買い物に訪れる「爆買い」目的の観光客らを免税店に案内し報酬を得ていたとして、福岡県警は3日までに、入管難民法違反(資格外活動)容疑で中国人の女(31)を逮捕したほか、中国人留学生の男(25)を書類送検した。

県警によると、同容疑で中国人ツアーガイドを摘発したのは全国初。

県警は同日、この男女をガイド役として雇った旅行会社3社と免税店の運営会社3社の幹部ら計6人を同法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検した。県警によると、免税店の運営会社の2人は容疑を否認している。

県警によると、ガイド役の男女は2014年9月~15年11月、就労資格のないビザで日本に滞在し、買い物をする中国人観光客らをボランティア名目で案内。その見返りとして案内先の免税店から計約7500万円の報酬を受け取っていたという。

女は今年1月に逮捕され、簡裁から罰金50万円の略式命令を受け、国外退去処分となった。

外国人向けに観光案内をする場合は「通訳案内士」の資格が必要だが、この男女は取得していなかった。


日本経済新聞は「無資格」「就労資格がない」「入国管理法違反」などと各紙が説明する中国人ガイドらの摘発の理由として「通訳案内士」資格を持っていなかったことだと説明しています。

さて、本ブログでは昨年来、福岡に寄港する中国発の大型クルーズ客船の動向をウォッチングしてきました。
b0235153_16295534.jpg

いまや東シナ海は中国クルーズ旅行の新ゴールデンルートです
http://inbound.exblog.jp/24720904/

その経緯からすると、今回の摘発はいつ起きてもおかしくないと思っていました。この時期になったのは、摘発する側のなんらかの事情で決まったと思われます。

実をいうと、「観光立国」の推進役である観光庁を外局にもつ国交省は、2010年無資格ガイドを手配したとしてJTB系旅行会社を処分しています。このため、その後日系旅行会社は中国発クルーズの上陸観光手配からは一部を除きほぼ手を引いたため、現状はアジア系事業者と中国系ガイドの仕切る世界になっていたのです。

JTB系旅行会社を厳重注意処分に=通訳案内士法違反で初、中国人留学生バイト募集に問題―九州運輸局(レコードチャイナ2010年3月30日)
http://www.recordchina.co.jp/a40879.html

今回の摘発の理由となった「通訳案内士」資格をめぐる問題についても、これまで本ブログでは何度も指摘してきました。

NHK報道をめぐり思う。通訳案内士って何だろう?
http://inbound.exblog.jp/24442716/

メディアは「通訳案内士」問題をどう報じてきたか
http://inbound.exblog.jp/24446629/

無資格ガイド問題とは何か?
http://inbound.exblog.jp/24472149/

こうした現状もそうですが、一般の日本人からみると、中国人不法ガイドが数千万円もの収入を得ていたことのほうが驚きかもしれません。中国人観光客による「爆買い」で最も利益を得たのは彼らだったかもしれないからです。

ある事情通は、彼らが法外な利益を得たカラクリについてこう説明してくれました。

「彼ら無資格ガイドが、免税店やアジア系旅行会社から無償または1日5000円程度でクルーズ客の上陸観光のバス1台分40名のガイド業務を引き受けるとする。免税店に連れてゆき、1人平均5万円のお買い上げで、売上総額は200万円。そのうち10%を免税店からコミッションとして受け取ると、20万円/日の実入りとなる。いまや福岡には毎日のようにクルーズ船は来るから、年間で約150日ガイドをやって、こつこつ貯めれば軽く3000万円を超える。免税店や商品によっては、コミッションが売上の20~30%の場合もあるので、もっと利益は増える。これを中国へ持ち帰ると、都市郊外のマンションが買える金額だ。まさに商才民族というべきだろう。

考えてみれば、これは中国人が中国人を食い物にする構造だ。日本人がそれをやれば、中国から袋叩きに遭うだろう。しかし、中国人同士がやっていることなので、関係者らは見て見ぬふりをしてきたというのが、これまでの経緯だったと思う」

こうしたことが起こりえた背景には、いうまでもなく中国人観光客の「爆買い」があったことは確かです。彼らが「爆買い」しなければ、こんなカラクリは成立しないからです。

実は、このニュースが各紙で報じられた昨日、ぼくはたまたま在日中国人の旅行手配業者の知り合いに会う約束になっていました。そのとき、当然この話が出たのですが、その業者によると、昨年末、ある中国系の免税店から各業者に一斉に通達があったそうです。その内容は「在留カードを持たない中国人ガイドが客を連れてきても、2016年1月1日からはコミッションは出さない」というものだったそうです。

彼らも今回の摘発を免れるための手を打っていたことがわかります。もっとも、それは「在留カード」の所持にすぎず、外国人に対してガイド業務を行う通訳案内士資格の有無ではありませんでした。各紙が報じる外国人の「就労」資格に関する判断は、単に「在留カード」があればすむことなのか、「通訳案内士」資格まで問うているのか、分かれているようにも読めます。

しかし、そんな通達は、急増する訪日中国人旅行市場の現状からいって、守られることなど到底、無理な話だったのです。

何はともあれ、パンドラの箱はついに開けられました。

はたして今回の摘発は、福岡以外の全国に波及するのか。そうなると、航空便で訪日する中国人ツアー全体に影響が出てくることが考えられます。

なぜなら、中国の訪日団体ツアーは、航空便利用の場合も、クルーズ同様、コミッションによるコスト補填で成り立っている状況は同じだからです。

だとすれば(あえてこんな言い方をしますが)今回の摘発以降、逮捕される危険を顧みず、ガイド業務を買って出る中国人がいなくなってしまえば、中国側の旅行会社ががいくら日本に客を送ってみたところで、ツアーが回せなくなってしまう可能性があるのです。

この摘発が、未曾有に拡大しつつあった訪日中国旅行市場にどんな影響を与えることになるのか。注視していきたいと思います。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-03-05 14:43 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 02月 29日

「重慶・東京5400円から」「日本旅行5泊6日6万3000円」~重慶、成都の街角にて

2月中旬、重慶と四川省の成都を訪ねたのですが、街でさまざまな日本旅行の情報を見かけました。

いま中国の内陸都市から日本に向かう航空路線が急増しています。重慶や成都でも、日本旅行が少しずつブームになり始めています。

東アジア航空網に新時代、訪日客増大の本当の理由は地方路線の大拡充
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/022600007/

街角で見かけた日本旅行の募集告知や案内版を紹介しましょう。

まず訪ねてみたのが、スプリングジャパンの就航で成田との直行便が実現した春秋国際旅行社です。
b0235153_1546590.jpg

春秋国際旅行社重慶支店
渝中区民生路268号
b0235153_15462379.jpg

旅行店舗の表に春秋航空の日本線が書かれています。

重慶=東京(火木土日) 5時間
重慶=大阪(月水度) 4時間
春秋航空 www.ch.com

そして、スプリングジャパンの就航で実現した「重慶・東京299元(5400円)より」が目を引きます。
b0235153_15463259.jpg

店舗に入ると、春節休暇も終わったばかりだというのに、けっこうにぎわっていました。やはり、日本旅行が一番人気のようです。ためしに客を装って、日本線やツアーの料金を尋ねてみたところ、2月18日発の重慶・成田便の片道は980元(1万8000円)、26日初の東京・大阪6泊7日のツアーが3500元(6万3000円)でした。
b0235153_15481147.jpg

これでわかるように、スプリングジャパンの片道299元(5400円)というのは最安値であって、通常は片道2万円相当のようです。春秋航空の茨城・上海線でも同様で、同社はよくキャンペーン料金を出すものの、時期と席数は限定です。だとしても、個人観光ビザを取得して、うまく日程を調整すれば、重慶の人たちも片道5000円相当で日本に来られるというわけです。

春秋国際旅行社では、今年も福岡など九州を訪れるクルーズ商品も販売しています。重慶市民の場合は、まず上海まで飛んで、そこからクルーズ船に乗船します。
b0235153_15474579.jpg

重慶に来て気がついたことがあります。中国の一定の所得層の人たちは、東シナ海のクルーズツアーの前段階として、重慶発の三峡クルーズを経験済みだろうということです。三峡クルーズもたいてい3泊4日から4泊5日ですから、東シナ海クルーズと日程的にも同じです。彼らはカジュアルなクルーズに慣れているといっていいでしょう。
b0235153_15481945.jpg

それにしても、これまで何度も指摘してきましたが、「日本旅行5泊6日3500元(6万3000円)」というのは呆れてしまいます。

実は、成都でも同じでした。街場の小さな旅行会社の店舗にこんな貼り紙があったからです。
b0235153_15483340.jpg

b0235153_1548436.jpg

すべては免税店での“爆買い”を前提として成立させている、きわどい商品です。

もっとも、新しい動きも見つけました。重慶で最もにぎやかな繁華街の解放碑地区で見かけた電光掲示板です。

これはシンガポール旅行の案内です。
b0235153_15485928.jpg

次が、日本旅行。しかも、「日本自由行」。つまり、個人観光ビザ取得者だけが可能な自由旅行の意味です。
b0235153_1549574.jpg

興味深いことに、ずいぶん細かく料金が表示されています。個人旅行の場合、個々の手配を自分でしなければならないからです。

机票(エアチケット)2700元より
4星酒店(4つ星ホテル)400元より
JR交通卡(JRパス?※これがどのパスを指すのか不明)65元
WIFI 18元/天
本州机场接送机(空港からの送迎・片道)600元/趟

新亜国際旅行社
http://www.cqxygl.com
※同社のHPをみると、重慶発の日本ツアーがいくらくらいで売り出されているかわかります。またエアチケットの値段(2700元より)からすると、春秋航空ではなく中国南方航空利用のようです。春秋航空を利用できれば、もっと安くうたえるわけですが、春秋国際旅行社の独壇場なのでしょう。

中国の内陸都市発の訪日旅行市場がいま、どのようになっているのか。これら街場の広告はそれを理解するうえで手がかりになりそうです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-02-29 15:50 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 21日

今年も中国客は来るぞ。そう実感させたSJ重慶・成田線で見たツアー客の一部始終

重慶からのスプリングジャパンの帰国便の話を書きます。

スプリングジャパン初の国際線(成田・重慶)に乗ってみた(第3ターミナルも初利用)
http://inbound.exblog.jp/25378551/
b0235153_742046.jpg

市内から40分ほどモノレールに乗り、空港駅を下車して約200mほど歩くと、国際線ターミナルがあります。
b0235153_16144948.jpg

チェックインカウンターは大勢の出国客でにぎわっていました。カウンターこそ7か所くらいですが、いまの中国の地方都市の国際線はたいていこんな感じです。
b0235153_16151246.jpg

よく見ると、そこは国営キャリアの中国国際航空や山東航空、深圳航空、西蔵航空、澳門航空などの専用カウンターでした。
b0235153_1615472.jpg

スプリングジャパンと地元四川航空のカウンターは少しはずれた場所にありました。
b0235153_1616775.jpg

ひときわ目を引くのが「重慶―東京 299元から」の看板です。そう、いまや重慶の人たちは片道5000円ほどで東京に来られるのです。この衝撃的な意味については、別の機会に説明します。
b0235153_16163224.jpg

チェックインカウンターは成田と同様、「個人」と「団体」に分かれていました。圧倒的に多いのは団体客です。
b0235153_1617226.jpg

団体客に向かってツアーの注意事項を話しているのは、添乗員の男性です。スタジャンに黒縁メガネといういでたちは、いまから30年前の1980年代頃の日本を思い起こさせます。
b0235153_1618834.jpg

出国手続きをすませ、搭乗ロビーに足を運ぶと、先ほどの団体客が待っていました。機内食が有料だからでしょうか、タッパーに入れたおかずを食べてる人もいます。いかにも中国的なのどかさです。
b0235153_16174662.jpg

重慶空港の国際線は、19社のエアラインが運航しているようです。フィンエアーやマレーシア航空、カタール航空、アシアナ航空、チャイナエアラインなどナショナルフラッグ系に加え、エアアジア、ドラゴンエアー、復興航空(台湾系)、そしてスプリングジャパンなどLCCも多いことがわかります。
b0235153_1618311.jpg

機内はほぼ埋まっていました。ぼくの席は最後尾の一つ前の32番でしたが、その後ろが一列空いているだけでしたから。日本人客はざっと見た感じ5~6名です。
b0235153_16192538.jpg

一方、この便の客室乗務員は全員日本人。スプリングジャパンは日本のエアラインだということを印象付けようとしているようです。乗務員には男性も3名いて、みんな若々しく、他の日本のエアラインではちょっと見られないフレッシュさを感じさせます。現在、重慶線は週4便なので、重慶に宿泊するフライト日もあるそうで「初めて重慶の火鍋を食べた」とひとりの男性乗務員が話してくれました。
b0235153_1619060.jpg

とはいえ、中国客が大半を占めるだけに、機内はまさに中国です。機体が離陸し、まだ水平飛行にもなっていないとき、突然「お席を立つのはおやめください」と機内アナウンスが轟きました。見ると、ひとりの女性客が席を立ち、荷物を勝手に開けようとしていました。

こういうことは、中国以外ではまず見たことはありません。まったく彼らはルールに縛られることなく、どこまでも自由気ままです。

ひとりのおばさんはトイレに入っても、ロックをかけていませんでした。乗務員が戸を開けそうになったので、思わず「おばさんが入ってますよ」と止めなければなりませんでした。

とにかく機内はにぎやかです。フライト時間が長いせいか、延々トイレの列が並んでいます。シートピッチが狭くて座っていられないのか、立っている人もやたらといる。最後尾の空いてる席を見つけ、そこに座ろうとして、乗務員に注意されている光景もしばしばです。

個人的には、空いてるんだから座らせてあげればいいじゃない、という気もしますが、乗務員は全員日本人ですから、そのへんはきちっとしています。他のお客様もいるのだから、例外は許さないということのようです。

だからでしょうか、中国客たちも「排队、排队(列に並びましょう)」と苦笑しながら、それに応えています。彼らも気持ちの上では、ここは(ルールに厳しい)日本なのかもしれません。

まったく中国客というのは子供のような無邪気なところがあります。海外慣れしていないせいか、「ちょっとびっくりするようなこともしがちですが、きちんと注意すれば、たいてい聞いてくれる」と乗務員は言います。

乗務員たちは乗客からいろいろ質問もされています。「いま日本で桜は見られるのか?」「いいえ、さくらは東京では3月下旬くらいからです」「それは残念」「でも、いま伊豆の河津で桜が見られますよ」「それはどこで見られるのか」……。

そんなこと事前に調べてくればいいのに…。そう思わないでもありませんが、たいていの団体客は日本に対する知識はほとんどないのが普通です。添乗員が案内してくれるので、調べてくる必要を感じていないのです。「ネットで事前にいろいろ調べてくる」というのは、あくまで若い個人客の話。最近、よくメディアで中国人観光客の行動スタイルが「モノからコトへ」と変わったなどといっていますが、それは少し先走りすぎの見方です。実際には、異なるふたつの層(団体客と個人客)に分かれているだけのこと。それが実態です。

最近増えてきた個人客には「モノからコトへ」というニーズが生まれていることは確かですが、後発の内陸都市から来た団体客はまだビギナーで、彼らが変わるにはまだ少し時間がかかります。そして、いま内陸都市からのフライトが急増し、従来型の中国団体客が増えているのです。ですから、こうした全体像が見えていないと、判断を誤ります。

中国「爆買い」の主役は内陸都市からの団体ツアー客
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/010400002/

中国沿海都市から新タイプの個人客、ニーズが多様化し新たな商機生まれる
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/011800003/

ツアーに参加した大学生は、2日目の自由行動の1日、都内を同行の友人たちと探索しようと計画しているそうです。彼の場合は、多少は事前にネットで日本のことを下調べしてきたでしょうが、実際に目にした東京の地下鉄路線網のあまりの複雑ぶりに面食らっているようでした。きっと次回はツアーなどには参加せず、日本を個人旅行したいと彼は思うはずです。
b0235153_16221992.jpg

帰国便でぼくの隣の席にいたのは、米国留学経験のある60代の男性で、奥さんは日本在住経験もあるというご夫婦でした。中学生の娘と3人の家族旅行です。ご主人は英語がお得意で、いろいろ話したのですが、孤児だった娘さんをひきとり、おふたりで養育しているそうです。おとなしそうな女の子でしたが、奥さんは機内で彼女の勉強を見たり、大切に育てていることが感じられました。

「今回、どうして日本旅行に来ようと思われたのですか」と尋ねると、奥さんはこう言いました。

「中国の学校教育では、日本のことを悪くばかり教えている。でも、そうではないことを私は知っている。だから、娘にも実際の日本を見せたかったの」。

まいりました。こういう品のいい旅客もいるのですね。

スプリングジャパンの成田・重慶線が就航したことで、重慶の人たち(武漢も同様)の日本旅行のアクセスはとても便利になります。これまで重慶から成田には中国国際航空の上海経由便しかなく、春秋航空も関空にしか運航していませんでした。そのため、以前は経由便で往復2日が丸まる移動に費やされ、春秋便でも関空から入国し、東京まで行くと、再び関空に戻って帰国しなければならなかったのですが、その必要がなくなったからです。

スプリングジャパンはこれからも続々と成田からの中国地方路線への運航を計画しているようです。

先週、日本政府観光局(JNTO)の2016年1月の訪日外国人旅行者数の発表がありましたが、中国客は47万5000人と昨年の2倍増で、数、伸び率ともにトップでした。

訪日外客数2016年1月推計値を発表 前年同月比52.0%増の185万2千人
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/index.html

今年も訪日中国客の勢いは止まりそうもありません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-02-21 16:24 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 09日

お台場の今年の春節のにぎわいは期待はずれ?

楽天カンファレンスの取材の後、久しぶりにお台場を歩きました。
b0235153_18385275.jpg

楽天トラベル vs. Expedia これからが面白いと思いたい
http://inbound.exblog.jp/25341674/

その日は、まさに春節の2月8日。ところが、思ったほどのにぎわいがないのです。平日とはいえ、これはどうしたことでしょう。
b0235153_18392888.jpg

アクアシティからデックス東京ビーチを抜けて、ゆりかもめのお台場海浜公園駅まで歩いたのですが、中国団体客や中華系の小グループ、欧米人の家族連れなどを数組見かけただけで、ショッピングモール内は閑散としていたのです。
b0235153_18394022.jpg

b0235153_1839583.jpg

b0235153_18401183.jpg


b0235153_15442986.jpg
b0235153_18402446.jpg


b0235153_101122.jpg
一部のショップでは、中国語でセールを告知していますが、それほどどの店も積極的にPRしている感じはありません。
b0235153_18404142.jpg

さらに、アクアシティ、デックスそれぞれ春節向けのクーポン券や福袋などを企画しているのですが、あまり利用されていないようなのです。
b0235153_18405627.jpg

b0235153_1841778.jpg

アクアシティのインフォメーションの女の子に聞くと「今年は去年に比べ中国人観光客が少ない。どうしてでしょう?」と言います。

確かに、通りにかつてはあれほど路上駐車していたバスの姿も今日は数台しかありません。

中国人団体客の都内での動きに変化が起きているのかもしれません。

どうしてなのか?

これはあくまでぼくの仮説です。中国客の利用するホテルが郊外化することで、彼らが都心で過ごす時間を調整、あるいは短縮する必要が出てきているのではないでしょうか。バスの運転手の労働時間が厳守されるため、以前より早めに都心を出なければならないということもあるかもしれません。そうだとすれば、たとえば木更津のホテルに泊まるような場合は、買い物は都心ではなく、郊外のアウトレットやイオンモールですればいいという話になる。

ラオックスのように中国客が買いたいものだけしっかり揃っていて、まとめ買いできるショッピング施設ならともかく、お台場にあるテナントショップで何を買えばいいのか、みんなよくわからないのではないでしょうか。

このあと、ゆりかもめに乗って新橋まで行き、銀座方面にも足を伸ばしてみました。その話は次回また。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-02-09 18:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 01月 17日

日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示するバス事故再び

1月15日未明、長野県軽井沢町で14人の命を奪うツアーバス事故が起きました。各メディアは事故の原因を次々に報道しました。

なかでもいちばん気がかりだったのは、朝日新聞が報じた次の指摘です。長いですが、転載します。

スキー夜行日帰り「過酷」 競争過熱、足りない運転手(朝日新聞2016年1月16日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1H5R8CJ1HUTIL048.html

長野県軽井沢町で15日未明に起きたバス事故で、今回のスキーツアーは車中泊の後、現地で泊まる1泊3日や2泊4日で1万3千~2万円弱の格安料金だった。ネットには「最安値」「超お得」と価格を競う宣伝があふれる。

■長野スキーバス転落事故

公益財団法人・日本生産性本部の調べでは、スキー人口は1993年の1860万人が2014年は760万人に激減。都内の旅行会社の担当者は「格安ツアーは広告みたいなもの」と話す。スキー客が先細り、減ったパイを奪い合うのが実情だ。コスト削減のなか、安全性の確保に取り組んでいるという。

貸し切りバス業界では、運転手不足の影響も懸念されている。

国交省によると、貸し切りバスの事業者は2000年に規制緩和され、00年度の2864社から12年度は4536社に増えた。日本バス協会(東京都)の11年のアンケートでは、大手事業者の7割以上が「運転手が不足している」と回答。事業者は、運転に必要な大型二種免許取得に助成するなどしているが、「訪日外国人の急増で旅行会社からの注文に応えられないのが実情」という。

高齢化も深刻だ。今回の事故の運転手は65歳と57歳。国交省によると、バス運転手の平均年齢は48・5歳で全産業の平均42・1歳を上回り、6人に1人が60歳以上だ。バス運転手に年齢制限はないが、事業用自動車の運転手の病気による「健康起因」の事故は2014年に96件発生しており、運転への不安はぬぐえないのが現状だ。

■相次ぐ高速バス事故

2000年にバス参入が規制緩和された後、高速バス事故は相次いだ。12年に関越道の高速ツアーバス事故で7人が死亡したのを機に、国土交通省は安全対策の強化に乗りだした。

原因とされた過労運転を防ぐため、1人で運転できる距離の上限を従来の1日670キロから原則として夜は400キロ、昼は500キロに縮小し、上限を超える場合は交代の運転手の配置を義務づけた。今回事故を起こしたバスも2人体制で運行していた。

運転手への安全研修や飲酒チェックの設備にかかる安全コストを運賃に上乗せする新料金制度も導入。ツアーを主催する旅行会社が不当な価格でバス会社に運行を委託し、安全を軽視した運行が行われないようにするためだ。

貸切バス事業の新規参入時には必要な資金を引き上げ、営業所や車庫への現地調査も定めた。イーエスピーは14年4月に許可を受け、国交省の担当者は「厳格化された条件をクリアした」と説明する。

それでも事故は繰り返された。ある運転手は「格安スキーツアーは過酷」という。昨冬、志賀高原のバスセンターで別の運転手が「日帰りで折り返し。3時間しか寝ていない」と嘆くのを聞いた。東京を深夜に出て翌朝にスキー場に着き、夕方に東京に戻る「夜行日帰り」の日程を「やひ」と呼ぶという。「格安ツアーは運転手に『やひ』を強いやすい。いつか事故を起こすと心配していた」

バスや鉄道の安全対策に詳しい関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「国交省の規制強化の方向性は正しいが、2人で乗務しても交代要員が寝ている間にドライバーが居眠り運転することもありうる。特に零細バス業者で順法意識が薄く、健康管理や労務管理が不十分なケースもある。規制の実効性を高める必要がある」と指摘する。


ポイントは、これまで本ブログでも何回も指摘してきた貸切バスの運転手不足と高齢化です。65歳の運転手に深夜運転をさせなければならない状況というのは、常識で考えるとぞっとしないではありません。

さらに、この背景に貸切バス業界で国の基準を下回る低運賃請け負い問題があることも指摘されています。

基準額割れでバス違法運行 「ツアー会社から要請」(朝日新聞2016年1月17日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1J5Q82J1JUTIL026.html

事故を起こしたバスを運行した「イーエスピー」(東京都羽村市)が、基準額を下回る安値で運行を請け負っていたことが16日、国土交通省の特別監査でわかった。複数の運転手を過労状態にさせていたことも判明。ずさんな運行管理が常態化していた実態が明らかになった。

■長野スキーバス転落事故

国交省は安全コストを軽視した過剰な価格競争を招かないよう、バス会社がツアーを請け負う際の運賃を、国が定めた基準の範囲内にするよう求めている。しかし同社は今回のツアーを、国に届け出た運賃の下限を8万円下回る19万円で請け負っていた。道路運送法違反になるという。

ツアーを企画した「キースツアー」(東京都渋谷区)とイーエスピーの間に入って運賃を調整した「トラベルスタンドジャパン」(千代田区)に対し、観光庁は聞き取りを実施。それによると、下限割れ運賃を提案したのはキースツアーだった。トラベル社からキースツアーに「下限を下回っている」と伝えたところ、キースツアーから「今年は雪が少なくてお客さんが集まらない。当面、下限を下回る値段でやってくれ」と要請され、イーエスピーに伝えたという。

記者会見したイーエスピーの高橋美作社長によると、2014年のバス事業開始当初はさらに低い料金で受注していたが、高橋社長は安全面の影響について「全くない」と主張した。キースツアーの福田万吉社長は下限割れについて「そんなことはないと思う。(認識に)行き違いがある」と述べた。

また、国交省が監査で運転手の乗務記録などを調べたところ、複数の運転手が国が定めた勤務時間の上限を超えていたという。今回乗務して死亡した2人に記録上の過労はなかったが、国交省は2人の勤務実態を詳しく調べる。2人は直近の健康診断を受診しておらず、道路運送法違反になるという。乗務記録と乗員台帳の記載漏れや、健康診断記録の保管の不備も見つかった。

イーエスピーでは事故を起こしたバスの運転手に対し、出発前の健康チェックも怠っていた。ところが運行管理者の荒井強(つよし)所長(47)は出発前日、「健康チェックを実施し、現地に到着した」とする記録をつけていた。16日の記者会見で荒井所長は「社長に負担をかけないため」と釈明。同様の事例は過去に複数回あったという。高橋社長は「心の緩みがあるかもしれない」と土下座した。

石井啓一国交相は16日、「監査後の再発防止の実効性を高めたい」と記者団に話し、監査のあり方を見直す可能性を示唆した。

観光庁によると、このバスには「トップトラベルサービス」(渋谷区)と「フジメイトトラベル」(杉並区)が手配した乗客も計4人乗車していた。


同じことは、FNNでも報じていました。

長野・スキーバス転落 国が定める最低基準下回る額で発注か(FNN2016/1/17)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00313826.html

今回に限らず繰り返される事故報道を聞くにつけ、いつも思うのは、格安なのに深夜運行という運転手にとって最も引き受けたくないと思われるスキーバスの過酷な運転を高齢者が担当せざるを得ないという業界の構造です。日本の近未来の交通インフラの脆弱性を暗示しているように思えてなりません。我々が当たり前と思って享受しているインフラがいつか瓦解する日が来るのではないか…。

増加する訪日外国人ツアーが普段利用しているのが、まさにこの貸切バスであることを思うと、別の心配も想起します。もし事故が起きて、多くの外国人観光客が亡くなるということにでもなれば、「日本のバスは(高齢者が運転しているから)怖い」というイメージが海外に広がることで、単に訪日旅行市場に影響するというだけでなく、日本の安全・安心イメージが揺らぐことにもなりかねないからです。

実は、この問題については、昨年11月12日のNHK「おはよう日本」でかなり直截に報じられていました。

NHKおはよう日本「急増 外国人観光客 苦悩するバス業者」(2015年11月12日)
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/11/1112.html

その一部の核心部分を抜粋します。この報道では、日本のインバウンドの何が問題かについて、適切に指摘しています。要は、外国人観光客が増加しても、貸切バス業界には恩恵が及んでいないことです。バス業者の受けとる料金が安すぎるのです。その背景について、NHKはこう指摘します。

「受け取る料金が安く抑えられている理由。

有賀さんが指摘するのが、「ランドオペレーター」という業者の存在です。

ランドオペレーターは、日本にいながら中国の旅行代理店から仕事を受注します。

日本に事務所を持たない旅行代理店に代わって業務を行う仲介業者の役割を担います。

指定された予算で、宿泊先やバスの手配を行うのです。

バス業者への支払いを安く抑えれば抑えるほど、ランドオペレーターの利益は増える仕組みになっています。

現在、急増している中国からのツアーの多くにこのランドオペレーターが関わっているといいます。

中国から来日し、ランドオペレーターをしている女性が取材に応じました。

年間300件もの仕事をこなすという、この女性。

全国各地から、少しでも安い価格で仕事を受ける業者を探すことが欠かせないといいます。

ランドオペレーター
「(安い業者が多いのは)千葉県・三重県・愛知県、山の奥の県(のバス業者)はある程度、料金に応じてくれる。バス代を安く抑えなきゃいけない、抑えないと(ランドオペレーターは)全く利益が出ない、赤字になるだけ。」


ここでNHKは「ランドオペレーター」という存在を何やらあやしげに説明していますが、これはJTBやHISの海外支店と基本的に同じ存在です。日本から海外旅行に行くお客さんのホテルや観光の手配をする現地会社で、同じことは中国から日本に旅行に来る観光客にとっても、当然不可欠な存在なのです。

ところが、それを誰がやっているかというのが問題です。事実上、大半は在日中国人の業者がやっています。それ自体がいい悪いではなく、その理由は単に彼らが中国語がわかり、送客側の中国の旅行会社とのコミュニケーションの問題ということだけではなく、彼らしか中国式の商取引を日本側で受け入れる業者がないからです。なぜなら、中国の旅行会社は日本側のランドオペレーターに十分な代金を支払うことなく、免税店などでの買い物をさせたキックバックでホテル代やバス代を補てんするように迫るからです。当然、日本の旅行会社はそのような商取引を受け入れません。その結果、在日系のランドオペレーターだけが、中国式の商取引に合わせても利益が出るよう、日本のバス会社に低価格で仕事を発注するため、こうした問題が起こるわけです。

さらに、指摘は続きます。

「危機感を持った国は対策に動きました。

去年4月、新たな制度を立ち上げ、ランドオペレーターからバス業者に支払われる料金が高くなるようにしたのです。

しかし取材を進めると、新たな制度が守られていない事実が明らかになりました。

30台の観光バスを保有するこのバス業者。

ランドオペレーターから毎月40件ほどの依頼がくるといいますが、新しい料金を提示されたことは1件もないと証言しました」。


これが実態です。中国人ツアー客のバスを運行するような中小零細企業では、国交省の定めた新規の運賃制度が守られていないとNHKは明確に指摘したのです。

なのに、それを誰も咎めないのはなぜ?

これを問題化したら、中国人客の手配をしている在日中国人のランドオペレーターを監視しなければならなくなり、そんなことをしたら、年間500万人規模までふくらんだ訪日中国旅行市場は事実上維持できなくなるからです。しかし、NHKはそれを知ってか知らずか、そこまでは指摘しません。

もういいです。だから、ぼくは思います。

監督官庁もただ監視を厳しくするというだけでなく、中小零細バス会社が安定的に経営できるための施策を考えるべきだと思いますし、大手バス会社も「危うきに近寄らず」でなく、もっとインバウンド事業に参入し、日本の交通インフラの安定のために一肌脱いてもらいたいところです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-17 10:50 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 01月 13日

北京からの団体客と夕食を共にする(新宿5丁目「金鍋」にて)

昨日は久しぶりに、新宿5丁目で山東人たちが経営する中国ツアー客ご用達居酒屋「金鍋」に足を運んでみました。毎日通勤途上に店の前を通っていて、客の入りはどうかなど、普段から通りすがりに眺めていたのですが、冬場に入り、オープン当時のようなにぎわいが見られないようだったので、ちょっと気にしていたのでした。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

仕事が早く終わったので、開店に合わせて5時過ぎに入店したところ、店内には若い中国人が10数名いてなにやら打ち合わせの最中のようでした。「あれっ、まだ営業してないの?」と聞くと、「いえ、そんなことないですよ。どうぞこちらへ」と店員に招き入れられ、地下のフロアに連れていかれました。

そこは、いつも中国の団体客が食事を取っている場所です。「あとで団体のお客さんが来るけど、ここでもいいですか?」。そう顔見知りの山東娘が聞くので、「別にかまわないよ」と答えて、1杯300円の生ビールと羊肉串を注文しました。

しばらくすると、ゾロゾロ中国の中高年の団体客が40名ほどでしょうか、入店してきて、地下のフロアのテーブルを埋め尽くしました。おお、まさか彼らと一緒に夕食を共にすることになるとは。これから何が起こるのだろう。じっと眺めていると、店員の女の子たちが仕出し弁当を運んできて、テーブルに置いて回りました。
b0235153_11482953.jpg

はてさて、どんなメニューなのだろう。見ると、ごはんに焼き魚、揚げ餃子、サラダ、みそ汁に加え、白いパッケージのままの納豆が入った定食でした。あまりコストのかかっていないような(失礼!)シンプルなお弁当ですが、中高年の食事としてはこれで十分なのでしょう。

添乗員らしき中国人女性が説明します。「これは納豆といって日本の伝統料理です。中を開けたら辛子としょうゆをかける前に、こうやって糸を引くまで何度もかき混ぜてください。おいしく食べるコツです」とかなんとか。

その説明を聞いて、ツアー客の皆さんはいっせいに納豆をかき混ぜ始めました。楽しげな光景です。
b0235153_11485622.jpg

ひとりニヤニヤしながら眺めているのもあやしいので、隣に座ったおじさんに尋ねることにしました。

「どちらからいらっしゃったのですか?」
「北京ですよ。あんたはどこの人?」
「日本人ですよ」
「あっそうなの。そりゃまあそうか。ここは日本だものね」
「ところで、日本にはどれくらい滞在するのですか?」
「7日間」
「東京から大阪まで行くんですか?」
「そうですよ」
「それはそれは、欢迎光临(ようこそいらっしゃいました)」
「おお、謝謝」

他愛のない会話ですが、皆さんこっちを見てニコニコしています。でも、この人たち、北京から来たと言っているけれど、もしかしたら見た感じ、河北省の人たちじゃないかな…。埼玉や千葉、なかには茨城の人が、海外で外国人から「どこから来たか」と聞かれたとき、説明してもどうせわかってもらえないからと、しれっと「東京」と答えるのと同じです。まあ北京といってもけっこう広くて農村部もあるし、職場旅行であれば北京の人たちも団体で来ることはあるでしょう。

彼らは誰ひとりビールやお酒を頼んだりもせず、いっせいに食事をかき込み、30分もすると慌しく店を出て行きました。夜の買い物タイムが待っているからかもしれません。

実際、こういうのが「爆買い」中国客の実態でもあるのです。ツアーの中身や食事はとことん節約して、買い物に集中的に散財する。よく中国経済の悪化によって「爆買い」客は消滅するという人がいますが、彼らは驚くほど安いツアー代金で来日しており、他国の訪日客に比べると、ホテルも食事もお金をかけていないので、そのぶん買い物額が多くなるのはある意味当然なのです。それが目的で来ているのですから。

傍で見ていて、このような旅行がいいとはもちろん思いませんが、いまの彼らはこれがやりたいことなのです。「もっと別の楽しみ方がありますよ」などと提案したところで、彼らにしてみれば、「いまそんなことを言われても困るよ」という感じでしょう。

店を出て、金鍋の同じ通りの斜め向かいにあるゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」を見ると、欧米の若いツーリストだらけでした。
b0235153_11501032.jpg

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人
http://inbound.exblog.jp/25142528/

オープン当時はアジア客が多かったようですが、クリスマスの頃から客層が変わってきたようで、いまではロビー脇のカフェで過ごしているのは大半が若い欧米人ツーリストです。

そのまま靖国通りを歩いていると、その日は中国の大手旅行社の錦江旅行社のバスが停まっていて、さきほどの中高年の団体客とはまったく世代の異なる若いツアー客が歌舞伎町散策を終えて、乗り込もうとしていました。
b0235153_1151597.jpg

さらに西武新宿駅方面に歩いていくと、歌舞伎町一番街のネオンの下にやはり中国の団体客が大勢いて、ヤマダ電機の街頭ビジョンを眺めながら、バスを待っていました。
b0235153_11511571.jpg

東新宿のいつもの光景といえばそれだけの話ですが、日々少しずつ変化が見られることも確かです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-13 11:51 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 01月 08日

今年もバスはやって来ています(ツアーバス路駐台数調査 2016年1月)

このバス調査もすでに5年目に突入しました。調査などというのは大げさで、通勤途上にたまたま中国ツアー客を乗せたバスが停車するスポットがあることを知り、様子をちらりと観察しているのにすぎないのですが、さすがに5年たつと状況がいろいろ変わってきました。昨年、中国人旅行者数が倍増し、500万人規模になったことで、安価なツアーに参加している客は都内のホテルに泊まることができなくなったため、昼間こそ新宿に姿を現すものの、夕方以降は以前ほど姿を見せなくなりました。首都圏郊外のホテルに泊まっているため、この時間帯に都心にいられないからだと思われます。

そもそも新宿に現れるツアーバスの台数の推移から何かしら統計的なデータが読み取れるかというとそういうものではなく、たまたま交差点で声をかけたことで知る乗客の出身地や、ナンバープレートからうかがえるバスの発地などから、内陸客が増えてきたことや成田・関空以外の乗り入れ客が出てきたことなどを感じ取っていたにすぎません。

さて、年明け早々、上海株は再び滑落する気配となり、しかも北朝鮮の水爆実験報道も加わり、東アジア情勢も決して安穏としていられなさそうな雲行きです。はたして今年も中国客を乗せたバスは新宿に現れるのか。気長に眺めていきたいと思っています。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(金)~5日(火)未確認
6日(水)17:20 2台
7日(木)12:40 2台
8日(金)12:10 6台
b0235153_13321548.jpg

※今日はバスがたくさん来ていました。でも、40分もすると、さっといなくなっていました。

9日(土)未確認
10日(日)未確認
11日(月)未確認
12日(火)17:20 2台
13日(水)12:10 5台
14日(木)18:10 2台
15日(金)11:45 5台
16日(土)13:10 5台、17:50 4台
17日(日)未確認
18日(月)未確認
19日(火)未確認
20日(水)12:20 4台、17:40 0台
21日(木)12:50 7台、18:10 1台
b0235153_13164445.jpg

※この日は久しぶりにバスをたくさん見ました。新宿5丁目焼肉店脇にはバスを待つ中国客の団体の姿を見られました。家族連れが多いようです。

22日(金)12:10 3台
23日(土)未確認
24日(日)未確認
25日(月)11:50 1台、18:10 3台
※この日の中国客は子供の多いグループで、中国南方方言を話す人たちでした。
26日(火)11:30 4台
27日(水)13:50 2台、17:40 3台
28日(木)12:10 3台
29日(金)12:20 6台
30日(土)未確認
31日(日)未確認
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-08 13:32 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 01月 07日

4500人の中国クルーズ客が山陰の人口3000人の村に押し寄せ、住民を困窮させたというのは本当か?

昨年7月上旬、こんなニュースがありました。

「鳥取県の北西部、島根県に隣接する境港市。ゲゲゲの鬼太郎の作者・水木しげるさんの出身地としても知られ、商店街には、キャラクターの銅像が立ち並び、妖怪の町として観光客の人気スポットとなっている。

その町におととい、これまで日本に寄港した客船の中で最も大きい、クァンタム・オブ・ザ・シーズが入港した」。

4500人の中国人が来航!地元港は大混乱!(「ウェークアップ!」読売テレビ2015年7月4日)
http://www.ytv.co.jp/wakeup/news/n11081879_main.html

で、何が起きたかというと、「村の人口(3455人)も上回る4000人以上の中国人が訪れて爆買いし、現地住民の生活が一時困窮した」(人民網日本語版)というのです。

日本の村で「食い尽くせ、買い尽くせ!」 クルーズ旅行の中国人4000人が爆買いで「村民困窮」(Focus Asia 2015年7月7日)
http://www.focus-asia.com/socioeconomy/photonews/422797/

中国人「爆買い」で困る鳥取県 ネット民「日本の観光客受け入れ能力が低すぎる」(人民網日本語版2015年7月9日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0709/c94659-8918190.html

激増する中国人観光客の影響はこんな形で現れるものなのか…。

この日、境港に寄航した「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」は、世界最大規模の大型クルーズ客船です。ロイヤルカリビアン社というアメリカのクルーズ会社が運営しています。

実は、その5日前、ぼくは博多港で同客船の内覧会に参加していたので、その巨大さは体感済みでした。

6月27日中国発客船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」が博多に初入港しました
http://inbound.exblog.jp/24648018/

博多中洲のショッピングモール「キャナルシティ」で中国客が「爆買い」する光景を見ていたので、確かに山陰の小さな村のショッピング施設では大混乱が起きていたのかもしれない。なにしろそんなに大勢の外国客が来店することなんて初めてだったでしょうから。

そんな報道がずっと頭に引っかかっていたので、年末のある日、鳥取県西伯郡日吉津村にあるイオンモール日吉津を訪ねてみました。

JR山陰本線米子駅からバスで30分。田園風景の中にイオンモールが見えてきました。
b0235153_14461194.jpg

イオンモール日吉津
http://hiezu-aeonmall.com/

その瞬間、思いました。「あれっ、話がちょっと違うのでは?」。 

山陰の片田舎にあるとはいえ、そのイオンモールはけっこう巨大な施設だったからです。東館(イオン直営店とドラッグストアなど)と西館(テナント中心)に分かれ、館内は歳末セールでにぎわっていました。地方都市なら全国どこでも同じでしょうが、地元客は車で郊外にあるイオンモールにまとめ買いに来るのです。おかげで米子駅前は閑散としているわけです。
b0235153_1447585.jpg

ネットが報じた「大混乱」の痕跡を探そうと、館内を歩き回ってみました。でも、入り口に1枚の外国語のポスターが貼ってあったのと、表に「免税 Tax-free」の垂れ幕があったくらいで、特になんてことはないのです。
b0235153_14471715.jpg

b0235153_14472950.jpg

東館の中央部にサービスカウンターがあり、そこが免税手続きを担当する唯一の場所でした。女性のスタッフに話を聞いてみることにしました。

―今度友人の外国人を連れて買い物に来たいのですが、免税してもらうためにはここに来ればいいのでしょうか(すいません。ウソついてます)。

「はい、そうです。いったんお買い上げいただいた後、パスポートとレシートを持ってこのカウンターに来ていただくことになっています。ただし、お買い上げ金額の条件があります。医薬品やお菓子などの消耗品の場合、5401円以上でなければ適用できません。家電製品の場合は10801円以上です」

―つまり、8%分を差し引いた金額が、それぞれ5000円、1万円以上ということですね。ところで、ここに「免税手続きは1組45分程度」と書いてありますが、免税するのにそんなに時間がかかるものなのですか。

「中国のお客様はとにかく買い物の品数が多いので、すべてチェックしなければなりませんから。でも、だいたい平均して15分くらいです」
b0235153_14475138.jpg

話を聞きながら、これは大変なことだと感じました。どれほどの数の中国客がレジで受け取ったレシートを持ってここに並ぶのだろうか…。ついに本当に聞きたかったことを話すことにしました。

―今年の7月、境港に中国の大型クルーズ客船が来て、こちらで大勢の中国客が買い物したそうですね。1隻4000人以上のお客さんが乗っていたそうです。こちらにも来店されたのでしょうか。

「はい、お見えになりました。でも、イオンは松江にもあるので、そちらにも行かれたそうですから、4000人全員が来たわけではないですけど、大勢お見えになったのは本当です」

―でも、仮に1500人くらい来店されたとして、とても免税手続きに対応することはできなかったのではないですか。もしかして、このカウンターの前は大行列だったとか。

「確かにそうでした。ですから、とても全員の方の免税手続きに対応することができませんでした」

―そりゃあそうですよねえ。

カウンタースタッフの女性はとても素直かつまじめに答えてくださりました。当時の状況がだんだん見えてきました。

どうやらこの感じでは大半のクルーズ客は免税手続きができなかったのではないでしょうか。でも、円安なので、8%の免税のことなど彼らはそれほど気にしなかったに違いありません。そんなことより、買いたいものがどれだけ買えたかのほうが重要だったことでしょう。

―中国の方はどんなものを買い物されていましたか。

「ドラッグストアの商品が多かったです」

そこで、ドラッグストアを訪ねてみました。薬剤師さんがいたので、聞きました。

―7月に中国のクルーズ客船のお客さんが大勢いらしたそうですね。ずいぶん薬が売れたと聞きました。何が売れたのですか。

すると、若い薬剤師はぼくをあるコーナーに案内してくれて、次の話をしてくれました。そこには、外国客向け専用の棚ができていました。
b0235153_14492144.jpg

「いちばんよく売れたのは、目薬の『サンテボーティエ』(参天製薬)。なぜかこちらの安い『サンテFX』ではなく、高いほうを買っていかれます。あとは風邪薬の『パブロンゴールドA』『龍拡散』などです」。
b0235153_14493462.jpg

b0235153_14494776.jpg

b0235153_14495838.jpg

それらはまさに「神薬」のラインナップでした。なぜ『サンテFX』ではなく、『サンテボーティエ』が買われたかというと、『サンテFX』は「神薬」のリストに選ばれていないからだと考えられます。

まったくもって、世間で言われているとおりのことが、ここ山陰のイオンモールでも起きていたのでした。

おそらくその日は、駐車場にひっきりなしにバスが何十台も現れ、数十人ごとの中国客を下し、1時間ほど「爆買い」して帰っていくという光景が繰り返し見られたのでしょう。でも、だからといって「現地住民の生活が一時困窮」というような話ではなさそうです。日吉津村の人口が約3000人にすぎないことから、中国メディアはウケ狙いで面白おかしく書いたのでしょう。気持ちはまあわかります。

ただし、中国メディアが知ってか知らずか決して書こうとしなかったこともあると思います。日本では、たとえ山陰の片田舎にあるショッピング施設でも、中国人が「爆買い」したくなるような商品がふつうに売られていること。地域住民もごくふつうに車で来て買い物していることです。ここは中国でいえば、都市の規模や格でいうと5線級都市にもとうてい入らない鳥取県西伯郡日吉津村という農村地区であるにもかかわらずです。実は、これが日本と中国のいちばんの違いであるということを。

現地を訪ねてわかったことがあります。域内の主要都市である米子市への合併が周辺の町村で進む中、日吉津村は唯一合併を拒んでいるそうです。理由は、村内に王子製紙米子工場(旧日本パルプ)の一部があるためで、合併してしまうと同社の法人税を明け渡してしまうことになるからです。
b0235153_1451038.jpg

やはり、現地に行ってみないとよくわからないことってありますね。

境港の港湾関係者の話では、2016年は中国クルーズ客船の寄港回数はさらに増えるそうです。

次回以降、境港の関係者に聞いた話を紹介しましょう。
b0235153_14511477.jpg


境港が中国クルーズ船の寄港地に選ばれる理由
http://inbound.exblog.jp/25266871/

鳥取県境港に上陸した海外クルーズ客はどこに行くのか?
http://inbound.exblog.jp/25269581/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-01-07 14:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)