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2017年 02月 10日

中国客の『君の名は。』聖地巡礼が起きたのも、岐阜県の地道な取り組みが実を結んだ結果

先日、ネットに岐阜県が舞台の『君の名は。』聖地巡礼の話が出ていました。実は、そろそろこの話が出てくる頃だろうと友人と話していました。

ここは岐阜県飛騨市、JR高山本線の飛騨古川駅だ。昨年8月に公開されて大ヒットを記録した映画『君の名は。』のヒロイン・三葉が住む山里のモチーフのひとつになったことで、「聖地巡礼」(アニメの舞台となった土地をファンが実際に訪ねる旅行)の観光客が増加している。

作中で主人公が利用した図書館のモチーフになった飛騨市図書館も「巡礼地」のひとつだ。飛騨市によると、『君の名は。』展示がおこなわれている同図書館内で写真撮影を申請した人数は、昨年8月26日から12月31日までの約4ヶ月間で3万6200人に達した。

そのなかに少なからず含まれているのが、台湾・香港・中国など東アジア各国からのファンである。特に昨年12月に中国で作品公開がはじまり、同国の日本アニメ映画興行記録の歴代1位となる大ヒットを記録したことで、中国大陸から飛騨古川を訪れる人も増えた。


『君の名は。』聖地に“リア充”中国人集団が殺到中(文春オンライン2017/02/08)
http://bunshun.jp/articles/-/1325

この記事によると「春節期間前後の中の1月25日から2月3日まで、市内の『まちなか観光案内所』を訪れた外国人客の合計は566人」。内訳は以下のとおり。

台湾人……218人
中国人……134人
香港人……134人
シンガポール人……28人
タイ人…‥25人
韓国人……15人
マレーシア人……12人

やっぱり、台湾客がいちばん多かったのですね。映画の公開が早かったこともあるでしょうけれど、この種の話題にいち早く食いつくのは、台湾の人たちです。

興味深いのは「食堂のノートに残された正しき「巡礼」の足跡」という話です。

「市内の食堂に置かれたメッセージノートのページをめくると、英語や中国語・韓国語・広東語の書き込みも目立つ。自作のイラストを描いている人もおり、正しき「聖地巡礼」の姿を感じさせた」

そして、実際の書き込みの写真が載っています。中国のネット上にはこの種の書き込みはあふれていますが、生書き込みを見ることは少ないので、面白いです。

記事はこう結ばれています。

「爆買い現象が一段落し、さらに今年の春節では中国人ツアー客の大幅な減少を伝える報道も出ている。そんななか、地方のインバウンド誘致の新しいパターンとして、飛騨古川の事例はなかなか興味深い話と言ってよいのではないだろうか」

全体にちょっとはしゃぎすぎのようにも思えますが、いま日本各地で起きていることをわかりやすく伝えています。

というのも、この種の中国客の「聖地巡礼」の話題は、これまでも『スラムダンク』の鎌倉高校とか前例はいろいろあるからです。

「スラムダンク」の舞台『鎌倉高校前駅』―中国・台湾観光客のやりすぎ記念撮影(JCASTテレビウォッチ2015/8/12)
http://www.j-cast.com/tv/2015/08/12242532.html

先月、本ブログで紹介した台湾人監督による短編映画がきっかけで、北海道の無人駅を訪ねる中国客が現れて、ちょっと困っているという一件も、「聖地巡礼」系の話でしょう。

北海道のローカル駅の線路に入る「危ない訪日客」が出没する理由がわかってしまいました (2017年 01月 14日)
http://inbound.exblog.jp/26555234/

さて、アニメヒット作のおかけで、にわかに岐阜県の注目度がアップしているように思われた方もいるかもしれませんが、実はそれだけではなかったという話を簡単にしておきたいと思います。

岐阜県のインバウンド誘致の取り組みには、以前から定評があったんです。背景には、岐阜県の弱みがありました。端的にいうと、国際線が乗り入れている空港がなく、都市部から時間がかかるというアクセスの悪さです。その一方、飛騨高山の古い街並みとそこに住む人々、世界遺産の白川郷のような他にはない強みがありました。

大事なのは、その弱みを逆手にとって、自分なりのやり方でプロモーションをしようと考える人材が岐阜県にはいたことです。その方が始めたのは、地元が十分受け入れ可能で、本当に来てほしい層を呼び込むのに有効なSTPマーケティング(セグメント、ターゲティング、ポジショニングを設定した手法)の具体的な実践でした。

その一連の話をぼくは最近書いた日経BPネットの以下の連載で紹介しています。

知名度がなくアクセスも悪い観光地をどうプロモーションするか(日経BPネット2016年12月27日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/122600027/
知名度がなくても始められる「旅行体験共有会」という手法(日経BPネット2017年01月30日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700028/
個人旅行の時代には口コミの核になるファンを集めよう(日経BPネット2017年01月31日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700029/

記事では、岐阜県が2010年頃から地道な取り組みをしていたことを紹介しています。岐阜県の担当者と二人三脚でプロモーションに取り組んだ上海側のPR会社の日本人がどういうことをやってきたか。ぜひ目を通していただけるとさいわいです。

こういう下地があってこそ、今回の話につながったのだと思います。

いま岐阜県が、このテーマで記事に出てくる「旅行体験共有会」をやったら盛り上がりそうですね。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-10 07:42 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 11日

2016年の訪日外国人数は2400万人超ですが、もう数の増減だけの議論はやめてほしい

1月10日、石井国土交通大臣は記者会見で、2016年の訪日外国人数の推計値が2403万人であることを明らかにしました。日本政府観光局(JNTO)による各国別も含めた訪日外国人数(推計値)の公表は、来週の17日(火)の予定ですが、過去最高となる数値を政権与党としてはいち早く発表したかったものと思われます。日本の経済指標で二桁、しかも20%超で成長している分野は少ないことから、訪日外国人市場への取り組みを政権の看板政策のひとつとして見せたいのかもしれません。

NHKは以下のように伝えています。

去年の訪日外国人旅行者 2400万人超 過去最高更新(NHK1月10日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170110/k10010833931000.html

去年(平成28年)1年間に日本を訪れた外国人旅行者はアジア各国との間で航空路線が増えたことなどから推計で2403万人余りとなり、過去最高を更新しました。

国土交通省の発表によりますと、去年1年間に日本を訪れた外国人旅行者は推計で2403万9000人となり、これまでで最も多かったおととし(平成27年)の1973万7409人より430万人余り、率にして21.8%増えて過去最高を更新しました。

これは、アジア各国との間で航空路線やクルーズ船が増えたことに加え、中国やベトナムからの旅行者向けのビザの発給要件が緩和されたこと、さらに外国人旅行者に対する免税制度が拡充されたことが主な要因です。

政府は、空港や港などのインフラ整備や地方の観光資源の掘り起こしなどを通じて日本を訪れる外国人旅行者を2020年に年間4000万人に増やすことを目標にしています。

石井国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「クルーズ船のさらなる受け入れに向けた環境整備や、富裕層などをターゲットとしたプロモーション活動などを戦略的に進め、目標の達成に向け政府一丸で取り組んでいきたい」と述べました。

官房長官「2020年に4000万人実現を」

菅官房長官は閣議の後の記者会見で「安倍内閣としては、観光を地方創生や成長戦略の切り札と位置づけ、ビザの戦略的緩和や免税制度の思い切った拡充など、大胆な取り組みをやつぎばやに実行しており、それが大台につながった。ことしも訪日外国人の勢いが止まることが無いよう、さまざまな対策をしっかり行って、2020年に4000万人を実現したい」と述べました。


朝日新聞も次のような記事を配信しています。

昨年の訪日客、2403万9千人 過去最多更新(朝日新聞2017年1月10日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1B3CJBK1BULFA009.html

朝日の記事のポイントは「増加は5年連続だが、伸び率は15年(47%増)より鈍化」したと指摘していることでしょうか。ネット記事のタイトルは上記のとおりでしたが、11日の朝刊記事では「訪日2400万人 鈍る勢い 昨年最多 欧米富裕層にPRへ」となっているように、石井国交相の「目標に向かって堅調な伸びを示している」との認識を伝える一方、15年に比べ増え方が鈍ったことや1人あたりの消費額も前年割れする見通しを伝えています。また、とってつけたように「欧米の富裕層へのPRに力を入れる方針」にも触れています。

一方、日本経済新聞は前向きな捉え方をしています。

16年の訪日客2400万人超、最高を更新 5年連続の増加(日本経済新聞2017/1/10)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS07H0M_Z00C17A1MM8000/

(一部抜粋)中国や韓国からの観光客が堅調だった。ただ、全体の伸び率は、円安やビザ発給要件の緩和などで前年比約5割増だった15年に比べて緩やかになった。一時の円高傾向や熊本地震、中国経済の減速などが響いた。

一方、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど東南アジア各国からの観光客が大きく増えた。現地で実施した誘致のためのキャンペーンや新たな航空路線の開設などが寄与した。

政府は訪日客のさらなる増加に対応するため、受け入れ体制を整える。17年度予算案では、観光庁予算を過去最大の256億円としたほか、首相官邸主導で他省庁の予算でも観光関連分を拡充した。菅義偉官房長官は17年に取り組む重点施策の一つに観光分野を挙げており、特に地方経済の活性化につなげたい考え。

農林水産省は従来の農山漁村の振興交付金に50億円の「農泊」枠を新設した。政府は皇居や御所など全国の皇室関連施設の公開拡大も進める方針で必要な運営経費を新たに計上する。テロなど治安対策に向けては、国土交通省はボディースキャナーなど高性能な保安検査機器を19年までに国内の全ての主要空港に整備する。


東南アジア客の増加を強調しているところなど、朝日とは少し見方が違うようです。また受入態勢の整備への予算増や治安対策などについても触れています。

各国別推計値については、昨年12月に出た1~11月の訪日外国人数の推計値をみる限り、東南アジア各国からの観光客も増えていることは確かですが、トップ2の中国と韓国がダントツです(来週わかることですが、おそらく中国約650万人、韓国約500万人といったところ)。この政治関係の良好とはいえない二国がトップ2であることは、いつまでこの「堅調な伸び」が続くかを考えるうえで小さくない懸念材料です。

では、今年はどうなるのでしょうか。数日前の産経ニュースによると「旅行大手JTBは29年の訪日客数予想を2700万人とし、小幅な伸びにとどまると分析」していうようです。「小幅な伸び」(伸び率としては16年の半減)という現実的な数字を挙げているとはいうものの、昨年より300万人増加させるということですから、そんなに簡単ではないかもしれません。

28年の訪日客数は「2400万人前後に」 石井啓一国交相 前年比2割増 プロモーションやクルーズ船増で(産経ニュース2017.1.6 ) 
http://www.sankei.com/politics/news/170106/plt1701060037-n1.html

いずれにせよ、大手メディアは訪日旅行市場の数字について、政局とからめて論じたがるところがあるようなので、2400万人を達成しても「鈍る勢い」などと書きたくなるのでしょうけれど、もう増減をめぐる評価はいい気がします。またネット上でも、訪日中国客の伸びが昨年に比べて鈍化したことを「中国経済の減速」と結びつけて、大げさにもの言いする人をたまに見かけますが(要は、中国経済はもうダメだと言いたいだけ)、2015年が訪日旅行市場にとって特別の年であり、パイが増えれば伸び率が少し落ちるのも当然なのに、そういう全体像が見えていないがゆえのおっちょこちょいに思えてしまいます。

そもそも国際関係を含めた国内外のさまざまな要因が影響する訪日旅行市場は、時によって増えもすれば減りもします。特に今年は国際情勢の変化が気になります。である以上、政府もメディアも、そろそろ市場の具体的な中身や訪日客の増加がもたらす日本社会への影響などに議論を移してほしいものです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-11 09:08 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 12月 19日

「未開期」「増加期」「過多期」など、地域によってインバウンドのステージは違う

今年1年間の訪日旅行市場に関する報道を振り返ってみながら思うのは、2015年に2000万人という訪日外国人数をほぼ達成し、その後も20%という伸びを見せてはいるものの、国内には外国人観光客の訪れていない「未開地」がまだまだたくさんあるということです。一方、政府が2003年にVJC(ビジットジャパンキャンペーン)を打ち出し、外国人観光客の誘致を行政主導で始めてから早13年。すでに多くの観光客が訪れ、むしろその増加が地域社会にとって問題を生み始めている場所もあります。

インバウンド市場には「未開期」「黎明期」「増加期」「隆盛期」「成熟期」「過多期」「減少期」とでもいうべき、いくつものステージがあり、どの段階にあるかは地域によって異なります。

「未開期」海外市場における知名度がなく、訪れる外国人も少ない時期
「黎明期」海外で知名度が生まれ、外国人が現れ始めた時期
「増加期」外国人が前年比で大きく伸び始めた時期
「隆盛期」国内外で外国人が多く訪れる地域として知られるようになった時期
「成熟期」訪れる外国人数と地域の受入キャパシティがほぼ飽和し、観光の内実が多様化していく時期
「過多期」外国人が多く訪れることで、地域社会に問題が発生する時期
「減少期」外国人からネガティブな評価が生まれ、減少傾向がみられる時期

※実は、これはインバウンドの時代を迎える以前の1960年代~90年代にかけて、日本の国内観光地で起きていたことでもあります。

それぞれの段階で課題ややるべきことは違うため、地域によってPRの手法は違って当然です。ところが、メディアはそれぞれの地域で起きていることを、国全体の話に乗せて(地域固有の現状や前述のステージについてはあまり触れないで)のっぺりと一様に報じてしまうことが多いように思います。

以下は、昨年春の北陸新幹線開通でいったん盛り上がったかと思われた北陸の旅行市場に「一服感」があるなか、新たに進めている外国客誘致について報じたものです。

外国人目線で北陸再発見 3県、集客へ留学生や海外雑誌活用(日本経済新聞2016/10/8)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO08144440X01C16A0LB0000/

北陸3県で外国人の視点や知恵を取り入れたインバウンド(訪日外国人)の集客策が広がってきた。福井県はSNS(交流サイト)で留学生らにお薦めの観光情報の発信を依頼。和倉温泉(石川県)の宿泊施設は米国の雑誌を活用し、サイクリングの魅力をアピールする。北陸新幹線の金沢開業効果に一服感があるなか、外国人目線で隠れた観光資源を掘り起こす。

観光庁によると2015年の北陸3県の外国人宿泊者数は計約78万人と全国の約1%にとどまる。海外からみた知名度の低さは否めない。県別では石川県の52万人、富山県の21万人に対し、福井県は約6万人。同県は巻き返しを狙い、県内の留学生や在住外国人から応援団「Fukui レポーターズ」を募る。

10月下旬からSNSを通じ、お薦めの観光地や飲食店、商品を週1回程度発信してもらう。英語と中国語で情報発信し、それ以外の言語を使う場合には英語か日本語の併記を求める。活動内容は基本的に自由。県は今後「県や市町の施設を入場無料にするなどして活動を促す」考えだ。

半年に数回程度、観光地ツアーや企業訪問も企画する。三方五湖(若狭町など)、アウトドア施設「ツリーピクニック アドベンチャー いけだ」(池田町)など、公共交通機関でのアクセスが不便な場所が候補になる。これらの施策によって19年度までに県内の外国人宿泊客数を10万人に増やす計画だ。

富山県を代表する宇奈月温泉。7つの宿泊施設が7月、台湾とタイの大学からインターンシップの受け入れを始めた。

海外の若者の声を接客の改善やSNSでの情報発信に生かして誘客を強化する。「客層が多様化するなか、外国人の『気づき』をサービスに生かしたい」と、宇奈月杉乃井ホテル(富山県黒部市)の後藤倫総支配人は説明する。

富山県の15年の外国人宿泊者数は前年比46%増えた。海外の口コミサイトでは立山黒部アルペンルートが国内観光地ランキングの上位に入った。県は外国人客を呼び込める観光地をさらに増やし、19年に外国人宿泊者数56万人を目指す。

海外メディアの活用に乗り出したのは和倉温泉旅館協同組合(石川県七尾市)。今月23日から、米国で年間3万部を発行する無料の自転車専門誌の記者らを七尾市周辺に招く。レンタサイクルで走行した体験や魅力を年明けの誌面で紹介してもらう。

今年度中に複数設定するサイクリングコースに米国人記者のアドバイスを反映するほか、英語版のコースマップも作製する。欧米への情報発信を強化し、17年度には外国人観光客を3万6000人に引き上げる計画だ。

石川県では外国人客の宿泊が金沢市に集中しがちで、和倉温泉での滞在時間は2~3時間というケースが多い。まず能登地方の自然を短時間で楽しめるサイクリングを知ってもらい「最終的には宿泊客増加につなげる」(同組合の担当者)。


この記事を読む限り、北陸地方はインバウンドの「未開期」あるいは「黎明期」にいることがわかります(一部地域を除く)。それは地域にとって不名誉というような話ではありません。日本海側という海外からのアクセスの不便さが太平洋側に比べて圧倒的な弱みになるがゆえです。インバウンドというのは残酷なもので、アクセスで大きく明暗が分かれるのが常です。さらにいうと、「国内観光地ランキングの上位に入る」立山黒部アルペンルートには観光客が集中しても、その近辺の観光地は素通りされてしまうというのも、インバウンドの残酷性といえます。

では、こうした弱みを抱えた地域の人たちは、どうずれば訪日客を誘致できるのか。上記記事は、そのために地元が考え出した取り組みがいくつも例示されています。ただし、この文面だけでは、それらにどれだけの効果があるのか。「集客へ留学生や海外雑誌活用」「SNSでの情報発信(強化)」「サイクリングコース」などの個々の事例をみる限り、他の地域で5年前くらいに行われた取り組みと変わらない気がしますが、それは北陸が「未開期」にあるゆえといえるかもしれません。むしろ、気になるのは、北陸の強みがどう打ち出されているのか、もうひとつわからないことでしょうか。

最近、岐阜県の観光関係者と知り合い、同県が自分たちの弱みを自覚し、逆に強みを徹底的に調べ上げ、PRにつなげてきたことを知りました。後日、その話を紹介したいと思います。

※先日、日経BPネットにその話を書きました。

知名度がなくアクセスも悪い観光地をどうプロモーションするか
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/122600027/
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by sanyo-kansatu | 2016-12-19 13:55 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 26日

韓国は無視? 東京で日中観光大臣会談の気になる背景

今週、以下の記事が配信されていました。今年9月に中国の武漢で開催される予定だった日中韓3ヵ国の観光大臣会合が中国側の事情で延期になっていましたが、メディアによると「(中国側代表は)米国での観光イベントに出席した帰路、会談のために日本を訪問」(トラベルヴィジョン2016年11月24日)し、日中のみでの会談が実現したようです。

「ぼったくり追放」も合意 日中両国が観光拡大の覚書(産経ニュース2016.11.24)
http://www.sankei.com/world/news/161124/wor1611240041-n1.html

石井啓一国土交通相と中国の李金早国家観光局長は24日、日中観光の活性化について意見交換し、観光交流の拡大や観光サービスの質向上に向けて協力するなどの内容を盛り込んだ覚書に署名した。また、来年の日中国交正常化45周年、翌年の日中平和友好条約締結40周年の節目に合わせ、共同イベントを企画する方向で合意した。

覚書の合意事項は、(1)地方間交流や青少年交流、文化・スポーツ交流の3分野での観光交流促進(2)東アジア域外からの観光客誘致(3)観光サービスの質向上(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化(5)重要事項を定期的に協議するメカニズムの整備-の5点。

会談で、石井氏は中国からの訪日客が10月までに551万人に達したと説明し、「双方向の観光交流を一層拡大することが重要」との認識を示した。


両国の合意事項として挙げられる5点のうち、興味深いのは、(2)東アジア域外からの観光客誘致と(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化でしょうか。これはどういうことを指すのか。

産経の記事は大雑把なので、別の記事を見てみましょう。

中国から国家旅游局長が来日、石井大臣と会談、MOUも(トラベルヴィジョン2016年11月24日)
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=75421

記事の一部を以下、抜粋します。

「東アジア域外からの観光客の誘致」については、15年の3大臣会合で決定した「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」の推進をはかるとともに、20年夏の東京オリンピックと22年冬の北京オリンピックについて情報と経験を共有することで一致。「観光サービスの質の向上」「観光市場の監督と協力の強化」では、観光客にとってより安全で快適な環境を作るため、不合理な格安ツアー、買い物の強制、ぼったくり行為などの減少に向けて連携することを確認した。観光庁は啓発のための新たなポスターを、近日中に制作する予定。

ここでは両国の合意事項の中身についてもう少し詳しく書いています。(2)については、2020年夏の東京オリンピックと2022年冬の北京オリンピックの開催が決定していることから、東アジア全体で海外からの旅行者の集客について協力しようということでしょう。
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そして(4)については、以前本ブログでも解説した中国のキックバックスキームに依存する安価なツアーの問題と、そのようなツアーがキックバックを得るために客を連れて行かなければなかった日本国内にある「ブラック免税店問題」を指していると思われます。今日、日本を訪れる中国人観光客は日本人の訪中客よりダブルスコア以上に多いことから、中国側としてはこの問題についての日本側の姿勢を問い正したいと考えていても不思議ではありません。要は、多くの訪日中国客を騙す「ブラック免税店」を日本の監督官庁はきちんと取り締まってほしいということなのでしょう。

中国「新旅游法」は元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

それにしても気になるのは、なぜここに韓国側代表がいないのか? お国の事情がそれどころではないのかもしれませんが、なんだか韓国だけ除け者にされているような感じです。2018年には平昌冬季五輪もあるというのに…。

「日中韓観光大臣会合」は2006年から毎年行われていましたが、尖閣諸島「国有化」で、12年以降、中国側が一方的に開催を拒絶していたものの、15年4月、4年ぶりに第7回目として再開され、冒頭で述べたように今年も9月に開催される予定でした。ところが、今夏の中国、特に内陸部は大雨で被災したことから、延期となっていました。

武漢での日中韓観光大臣会合が延期に、理由は水害(トラベルヴィジョン2016年8月7日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=73790

武漢市各所が豪雨のため冠水、「航海」する車や人々(人民網日本語版2016年06月02日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0602/c94659-9067233.html

当時中国メディアは、被災地の正確な状況や被災者数などを詳しく伝えず、人民解放軍らが復興支援で活躍する様子ばかりをテレビに映すので、知り合いの中国人たちは不安を隠せないと話していました。9月上旬、日本旅行業協会(JATA)の知人から「会合が延期になり、武漢行きがなくなった。どういうことだろう?」と聞かれ、場所が武漢であれば仕方がないと答えたことがあります。この時期、海外メディアには武漢に来てもらいたくないという事情もあったかもしれません。

今年、中国とアメリカは「中米観光年」を迎えていました。両国の観光交流を相互促進しようという年だったのです。

習近平主席が「中米観光年」閉幕式に祝辞(人民網日本語版2016年11月22日)1
http://j.people.com.cn/n3/2016/1122/c94474-9145227.html

米国で開催されたイベントの「帰路」に中国の国家観光局長が日本に立ち寄ったというのは、そういうわけです。

いま中国は香港、台湾のみならず、THAAD配備を決めた韓国に対しても徹底して報復措置を実施しているところですから、お呼びではないということなのかもしれません。日本側もわざわざ声をかけるという気にならなかったということか。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が増えている反面、中国を訪れる外国客は伸び悩んでおり、北京冬季オリンピックに向けて、この方面については日本と協力したいという思惑が彼らの側にはあるのかもしれません。

アジアで珍しく外国客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身
http://inbound.exblog.jp/24475269/

だとしても、ここまで露骨に観光を政治の取引に使う中国との協力を、どこまで本気に進めればいいものか、考えてしまいます。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-26 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 18日

「LIVE JAPAN」ってどうよ? 大丈夫?

今年4月、鳴り物入りでオープンした「LIVE JAPAN」をご存知でしょうか。

LIVE JAPAN
https://livejapan.com/ja/

「海外観光客向けの東京観光名所や体験情報を発信しています! SNSでも話題の誰もが行くべき東京都内近郊のお店情報や観光スポット&イベント、お土産情報を幅広くご紹介しています」というサービスです。

参画企業のラインナップは堂々たるものです。都内の交通機関、空港、エアラインまでが揃っています。

■参画企業(事務局)一覧
・株式会社ぐるなび
・東京急行電鉄株式会社
・東京地下鉄株式会社

■参画企業一覧(50音順)
・エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社
・小田急電鉄株式会社
・京王電鉄株式会社
・京成電鉄株式会社
・京浜急行電鉄株式会社
・西武鉄道株式会社
・全日本空輸株式会社
・東京空港交通株式会社
・東京国際空港ターミナル株式会社
・東京都交通局
・東武鉄道株式会社
・成田国際空港株式会社
・ヤマト運輸株式会社
https://livejapan.com/welcome/

これを仕切るグルメサイトの「ぐるなび」のプレスリリース(2016年2月18日)によると、

「訪日外国人向け観光情報サービス
LIVE JAPAN PERFECT GUIDE TOKYO
4月13日グランドオープン!

東京国際空港ターミナルと京王電鉄が新たに参画し、計16社が空港・バス・鉄道の沿線情報を発信

本サービスは、観光地、飲食店、ショッピングなどの正確かつ詳細な観光情報をリアルタイムに提供します。また、Wi-Fiスポットの検索や経路検索といった旅行中に役立つ便利な機能の充実や、サービスを迷わず利用できるユーザーインターフェイスなど、訪日外国人の利便性を追求したワンストップ観光情報サービスの実現を目指します」とあります。

すでにオープンして半年以上がたちますが、いったいこのサービス、どうなっているのでしょうか。ぼくは副都心線を利用しているので車内広告の動画をよくみるのですが、英語版にもかかわらず、誰に何を伝えようとしているのか、ちょっと意味不明です。

ある関係者はこう言います。「このサービスは、UI(ユーザー・インターフェイス)が微妙ですし、明確なコンセプト・バリューがわからないです。当然、ユーザーからみても同じで、その結果がエンゲージメント率(ユーザーの反応)の低さにつながっていると思います。
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https://www.similarweb.com/website/livejapan.com#overview

競合調査ツールであるSimilarWeb でみると、Visit数は多いですが、日本からのアクセスの割合が47%と高く、本当に外国人が見ているのかは微妙です。

サイト滞在時間は56秒しかなく、平均で1.55ページ、直帰率も82%です。

これらの数値から、コンテンツの魅力が伝わっていないことが見て取れます。

記事を増やせばVisit数は増えますが、大事なのは、想定するターゲットがきちんと価値を感じて、サイトを回遊しているかでしょう」。

確かに、この種のサイトは本来、日本に来る前に情報収集のためにチェックするのが一般的だからです。

実は、「LIVE JAPAN」のプロモーション展開の資料をみたのですが、彼らがいう「ターゲットの接触タイミングに応じたメディアプラン」によると、「訪日前」「訪日中」「訪日後」に分けて設定すると書かれています。

「訪日前」に認知されることはユーザー獲得に大きく貢献することですから、どんなプロモーションをするのかみると、「世界各地計5箇所でリーフレットの配布」とあり、北京の旅行博800部、上海同6000部、タイ旅行会社1000部、ラスベガスのJapan Kabuki Festival500部」(2016年5月現在)。いまどき紙媒体を配っても海外での認知につながるとは思えません。
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さらに、「訪日中」は、成田空港や東横線各駅の広告パネルや車内動画を配信しているというわけですが、これで外国客の認知が生まれるかというと疑問です。

ぶっちゃけて言うと、ネーミングのような海外旅行者にとってのライブ感が感じられないのです。ただの地図サイトにしか見えないというか、東京を初めて訪れた外国人がこれから何をしよう、どこに行こう、というときのワクワク感もそうですが、道先案内をしてくれるツールというイメージがほとんど伝わらないのです。

ネットで検索すると、以下のような記事がみつかりました。

インバウンド需要を取り込め! ぐるなびの挑戦(日経ビジネス2016年6月9日)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/060800046/?rt=nocnt

これをみると、日本の飲食店向けに「ぐるなび」の存在感を打ち出すことにはつながっていることがわかります。

でも、それって本来の目的としてはどうなのか?

日本の訪日プロモーションやPRのあり方は、どこか根本的に間違っているのではないか。そんなことを最近よく思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-18 14:00 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 18日

外国客を呼びたいなら、中国はFacebookやLineを解禁すべきでは!

昨日、中国海南省の観光セミナーの報告をしましたが、中国でも日本と同様、インバウンドプロモーションをやっていることを知ってもらいたかったからです。

海南島のロゴ「HAINAN」はハワイ「HAWAII」と似ていて笑った話
http://inbound.exblog.jp/25918397/

このところめっきり日本人は中国に旅行に出かけなくなってしまっているのに、なぜ中国の旅行関係者は日本でインバウンドプロモーションをするのでしょう。

なにしろこの夏の日本人の人気海外旅行先のランキングをみても、20位内にすら中国の都市はひとつも入っていないありさまです。

トラベルコちゃん海外ツアー検索で人気の海外旅行先(2016年夏)
http://www.tour.ne.jp/special/world/ranking/index_summer.html

しかし、中国側からみると、そうでもないのです。中国国家旅游局のサイトによると、訪中外国人の国別統計では、2015年の総数は2598万人で、トップ3は1位が韓国(444万人)、2位は日本(249万人)、3位がアメリカ(208万人)なのです。

2015年1-12月入境外国游客人数(中国国家旅游局)
http://www.cnta.gov.cn/zwgk/lysj/201601/t20160118_758409.shtml

それならば、彼らが日本を重点プロモーション国と位置付けるのは、一応筋が通った話といえるでしょう。

もっとも、日本人の場合、多くはビジネス出張者の往来のように思います。レジャー客はそれほどではない。中国は広く、歴史的にもさまざまな文化遺産があり、興味の対象も多いので、個人客もいますが、以前ほど多くはなさそうです。かつては年配の日本人の人気旅行先でしたが、両国関係の悪化とともに失速してしまいました。

いまアジアでは、国際観光市場が拡大しています。そのうち伸び率がいちばん高いのは日本ですが、たいていの国で伸びています。伸び悩んでいるのは、中国と北朝鮮です。

では、なぜ中国を訪れる外国客が伸び悩んでいるのか。それは、PM2.5に象徴される環境汚染もそうですし、習近平政権以降の対外政策が近隣諸国の不興を買っていることもあるでしょう。

しかし、今回の海南島の観光セミナーをみるかぎり、基本的なプロモーションができていないことがあると思います。

これは海南省のような地方政府だけでなく、昨年の今頃行われた首都北京の旅游局のプロモーションもそうでしたから、国全体の問題でしょう。

外国人観光客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身 (2015年 05月 14日 )
http://inbound.exblog.jp/24475269/

要するに、プロモーション手法が旧態依然としていて、対象市場の消費者が何を求めているかというマーケティングがないのです。これは対日本だけでなく、3年前の台湾の旅行博でも同じでした。そもそもやる気が感じられないのです。

台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2) (2013年 10月 30日 )
http://inbound.exblog.jp/21375685/

いま東アジアの人の動きが大きく変動しています。かつての日本を中心に東アジアの国々に向かって人の動きが広がっていた時代(2000年代前半まで)から、いまでは東アジアの国々から日本に向かって人の流れが拡大しています。

昨年4年ぶりに開催された日中韓の観光大臣会合でも、時代の大きな変化の中で共に人的交流を発展させていこうという話でまとまったのですが、なにしろ日本人が以前のように中韓両国に行かなくなってしまったので、話の盛り上がりようがありません。

「最大の問題は、日本人が中韓両国に行かなくなったこと」なのだろうか?(第7回 日中韓観光大臣会合) (2015年 04月 16日)
http://inbound.exblog.jp/24367145/

そんなわけですから、中国の旅行関係者も、日本に向けたインバウンドプロモーションのやり方を改善しようという意欲がわいてこないのも当然かもしれませんね。

ところで、日本人はともかく、外国人全般の中国への旅行が伸び悩んでいる理由について、個人的に思うことがあります。

それは、中国ではFacebookやLine、Googleが使えないことです。

いまの時代、海外旅行にとってSNSは欠かせないアイテムです。中国人も世界中を訪ね、旅先で撮った写真や動画を微信で送りまくっています。

自分たちが海外でいちばん楽しんでいることを、自国では外国人にやらせないのでは、誰も足を運びたがらなくなるのは当然ではないでしょうか。外国人は中国に来ることを歓迎されていないのだとみなされても仕方がありません。

LINEとGmailが使えない中国ってどうよ (2014年 07月 29日 )
http://inbound.exblog.jp/23696725/

中国全土が無理なら、せめて海南島だけでもFBやLineを使えるようにすればいいのに! それが最大のプロモーションじゃないんですか。

そんなひとりごとをぶつぶつ言いながら、セミナー会場をあとにしました。 
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2014年5月頃、上海の人民広場駅の構内にはLINEの立体広告が置かれていました。その2ヵ月後、中国でLINEは使用不能となったのです。

【追記】
もちろん、中国でFacebookやTwitterを使うことが絶対できないわけではありません。ネットを見ていたら、あるIT関係の専門家が初めて上海に行き、「グレートファイアウォール」を体験した話を書いていました。

上海でグレートファイアウォールにぶつかった話(IT Mediaエンタープライズ2016年06月28日)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1606/28/news058.html

筆者は「香港でプリペイドSIMカードを購入し、ローミングという形で通信を行っ」たそうです。一般に海外旅行で使われるレンタルWi-Fiルーターでは、中国の通信事業者のネットワークを使うため、グレートファイアウォールに捕まってしまうからです。

香港で買える「海外用プリペイドSIM」完全ガイド2015年編――海外プリペイドSIM導入マニュアル(IT Mediaエンタープライズ2015年01月28日)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1501/28/news125.html

筆者によると「丸3日間の滞在だったので、写真はたくさん投稿するものの、1.5Gバイトもあれば安心」とはいうものの、「たったの3日間かあ」と思わないではありません。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-18 08:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 16日

海南島のロゴ「HAINAN」はハワイ「HAWAII」と似ていて笑った話

先日、仕事仲間から以下の招待状が転送されました。中国海南省の観光セミナーのお誘いです。

海南省観光セミナーのご案内

時下、皆様ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて、この度、海南省旅游発展委員会より孙颖委員長をはじめとする代表団20名が来日し、6月15日にヒルトン東京お台場にて海南省観光セミナーを開催することとなりました。

海南省は中華人民共和国最南部の省で海南島と付属の島嶼からなり、省都は海口市です。中国で唯一熱帯にある海島の省で、まばゆい陽光、清々しい空気、白い砂浜、全島に広がる緑と花の彩り、揺れる椰子の木、そしてその大自然に育まれた豊富且つ多彩な天然資源があります。豊かな自然環境は人々を魅了し、観光、農業、不動産業などの分野を中心に経済発展してまいりました。

中国随一のリゾート地として躍進的な発展を遂げてきたこの省は、さらに上質のインターナショナル・リゾートアイランドを目指し、観光政策やインフラ整備を行ってまいります。

今回のセミナーでは、現地旅行社等より最新の観光情報について御案内する他、DVD映像の放映、抽選会も行います。ご多忙中とは存じますが、是非ともご出席賜りますようご案内申し上げます。ご出席頂ける場合は6月13日までに別紙の返答用紙にご記入の上、メールまたはFAXにてご返送いただきますようお願い申し上げます。

【日 時】 2016年6月15日(水)17:30~20:00(受付17:00より) 
【内 容】 第一部 セミナー 17:30~18:40
      第二部 懇親会  18:45~20:00
【場 所】 ヒルトン東京お台場 1階 APOLLON 東京都港区台場1-9-1
【アクセス】ゆりかもめ線 台場駅に直結
【電 話】 Tel:03-5500-5500
お問い合わせ:中国駐日本観光代表処
E-mail:cnta.tokyo@gmail.com
TEL:03‐3591‐8686   FAX:03‐3591‐6886

海南省といえば、中国を代表するリゾートアイランドです。以前、中国在住の日本の旅行関係者から「この島では、中国人がいまやりたい旅行のすべてが見られるので、一度見ておいたほうがいい」とアドバイスされたことがあります。でも、残念ながらその機会がなかったので、足を運んでみることにしました。
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会場はお台場のヒルトンです。広い宴会場には、約130名の関係者が集まっていました。セミナーの後は、ビュッフェとはいえ、懇親会まで用意されています。
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セミナーでは、まず海南省政府旅游局から海南島の紹介がありました。海南島が位置する北緯18度は、ハワイやカリブ海の島々と同じ緯度で熱帯気候、パワポで紹介される写真をみるかぎり、すでに開発の進んだ、中国というより東南アジアのビーチリゾートでした。水上ジェットやパラセーリングなどのビーチアクティビティやゴルフコース、海鮮グルメ、豪華なリゾートホテルなどの写真を次々に見せられます。

島内には5つ星ホテルがすでに82軒あるそうで、ドバイにあるド派手な超高級リゾートホテル「アトランティス・ザ・パーム」と同じ系列のアトランティスホテルが来年海南島にオープンするそうです。

アトランティス・ザ・パーム
https://www.atlantisthepalm.com/
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唯一興味を引いたのは、ここは熱帯雨林の島で、黎(リー)族という少数民族が暮らしていたことです。民族村のような観光施設もたくさんできているそうです。

しかし、正直なところ、すべてがこれまで東南アジアのビーチゾートのどこかで見てきたイメージの寄せ集めにしか見えません。もしオリジナリティがあるとしたら、島を一周する高速鉄道が今春開通したことでしょうか。一周3時間半かかるそうです。

まあそれも仕方がないのかもしれません。中国のリゾート開発は、東南アジアに比べ20年以上遅れて始まったものだからです。東南アジアでは、すでに1980年代にはいまあるビーチリゾートの姿をしていましたが、中国で開発が始まったのは、21世紀に入ってからです。彼らはいつもこの調子で、後発ゆえの利点をいかして、各地から急ピッチでさまざまなリゾートの要素を取り寄せることができたのです。

実は、10年くらい前までは年間4~5万人の日本人がこの島を訪れていたそうです。ただし、日本から直接というよりも、その多くは中国に駐在する日本人とその家族でした。

海南島は、いわば中国人のプレ海外旅行先だったといえます。ところが、いまでは中国人もどんどん海外旅行に出かけています。海外を知った中国人は、以前のように海南島に来てくれるだろうか。さらには、「日本人をはじめ、外国人が訪れなくなったことも心配」と、現地の旅行会社の中国人スピーカーも話していました。

こうしたなか、2015年3月より関西空港と海南島(海口)を結ぶ広州経由便の運航が始まりました。これを機会に、日本人を再び呼び寄せたいということなのでしょう。

※現在では、関空とは海南島のもうひとつの玄関口である三亜と海口に毎日運航(週14便)しています。さらに、羽田(週14便)や中部(週7便)、福岡(週2便)の広州便があり、海南島をつないでいます。ただし、この路線の8割強が中国人だそうです。結局、訪日路線であるのが現状のようです。

なんでもこの便で三亜に入国した日本人は、21日間ノービザ扱いになるそうです(一般には中国入国のノービザ期間は15日間)。そんなに長く滞在する日本人がいるとは思えませんが、優遇措置というわけです。

はたしてこれで日本人は海南島に行くのでしょうか?

あまり知られていない海南島についての情報を得ることができたのは収穫でしたが、この根本的な問題については、白々とした気分でセミナーを聞いているほかないというのが実感です。ところが、来賓として来ていたJATA(日本旅行業協会)の人は「2015年は海外旅行復活の年。その最重要国が中国」などと調子のいいスピーチをするので、ちょっとめまいがしそうになりました。いまどこの旅行会社で中国のパンフレットを置いているというのでしょう。
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それでも、ほんの少しばかり、この場を和ませてくれたのが、海南島のロゴ「HAINAN」です。これはパッと見、「HAWAII」に見えてしまいます。確かに、地元じゃ「中国のハワイ」と呼んでいるわけですが、相変わらずやりますねえ。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-16 18:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 01日

あなたは日本の文化や歴史を外国人に説明できますか?

前回、オーストラリア出身のラジオDJで、サムライと日本のお城が大好きというクリス・グレンさんを紹介しました。
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なぜサムライは外国人の心を惹きつけるのか?
http://inbound.exblog.jp/25864895/

彼はそんな素朴な問いに対して「サムライやお城は日本にしかない独自の文化だから面白いのです」と明快に答えてくれます。

彼はいま「インバウンド観光アドバイザー」としても活躍しています。日本の観光PRをするうえで、いちばん大事なのが「外国人の視点を理解すること」だといいます。

これはどういうことでしょうか。

前回に引き続き、クリス・グレンさんへの一問一答です。

―まさかですが、いまでも日本にサムライがいると思っている外国人はいるものでしょうか? 

「もちろん、います。日本の人たちは「外国人」と一括りにしますが、外国人といっても多種多様です。欧米人だけが、外国人ではありません…。

子供たちの中には「サムライがいる」「忍者がいる」と思っている子もたくさんいると思います」

―クリスさんは日本の観光PRをするうえで、「外国人の視点」が大切と言っていますが、日本人の視点といちばん違うところはどこでしょう? 

「それは以下のポイントです。

日本に関する知識
当然のことですが、日本に関する知識は雲泥の差です。そのため、日本人の知識ベースで書かれた、観光施設などの紹介文を翻訳しただけでは、通じないことも多々あります。その視点が、完全に抜け落ちています。

曖昧さを嫌う
観光パンフレットなどでもそうですが、日本人は「曖昧」な表現や美しい言葉を並べることで、なんとなく良さげに体裁を整えるのが得意です。

なんとなく雰囲気で良さそうなことはわかるけど、どこがどうイイのかハッキリ伝えていないという文章が多いです。それを翻訳するときには本当に困ります。そのまま翻訳すると「ハッキリ、何が言いたいの?」と言いたくなるような文章になり、外国人にとっては、まったく魅力的ではないものになってしまいます。外国人を相手にするならば、もっとストレートな表現で伝える必要があります。

そのほか、当然のことながら、色、ビジュアル(写真)なども、国によって好みが変わりますので、そのあたりも意識をする必要があります」

実は、4月上旬、クリスさんが制作を担当した名古屋城本丸御殿英語版WEBサイトが立ち上がりました。このサイトも、外国人の知識や好みを考えた上で制作されたそうです。
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名古屋城本丸御殿
http://www.nagoya-info.jp/en/hommaru/

―では、「外国人の視点」を理解するために、日本人はどんなことに気をつければいいでしょうか。

「外国人視点を理解するためには、以下のことをトライしてみてください。

逆を考える
自分が海外に行った時に「困ること」「見たいモノ・コト」「事前に知りたい情報」「欲しいもの」「体験したいこと」「食べたいもの」を考えてみれば、日本に来た(来る)外国人が何を欲しがるかが理解できると思います。

外国人に聞いてみる
外国人のために作るWEBサイト、パンフレットなどの制作に、外国人が一人も携わっていない、外国人にリサーチもしない状態でつくられていることが多いということに本当に驚きます。

アドバイザーとして外国人の視点で、いろいろと足らない部分を指摘すると「目から、ウロコでした!」と言われることが多いです。でも、実はものすごく当たり前のことしか言っていません。それくらい、日本人と外国人のニーズは違うということです。

もっと外国人と話して、リアルな声を聞いて、ニーズをつかむという作業をすることをオススメします。そうすれば、もっと上手に情報発信をすることができるようになると思います」

クリスさんの提言を聞いていて、ふと思ったのは、彼からこう問われているような気がしたことです。

「あなたは日本の文化や歴史を外国人に説明できますか?」

たとえば、徳川家康って誰? どうして日本のお城には石垣があるの?

残念ながら、いまのぼくには、それをコンパクトにポイントを整理して、事情を何も知らない外国人相手にわかりやすく伝える自信はありません。これは語学力以前の問題です。そういうことを普段考えたことがなかったからです。でも、観光PRのキモとはこういうことなのですね。

こうした日本の文化や歴史の基本的な知識は、実は、通訳案内士試験で問われます。これらも含めて一般常識の試験もあるからです。通訳ガイドは、日々このような外国人の素朴な疑問に向き合っているのです。

やっぱりこの手のことは、専門家にまかせるしかない…!?

いえいえ、こういうのはちょっとした頭の体操として自分の地元を説明することから始めてみるといいのかもしれません。

クリス・グレンさんのインタビュー記事をネットで見つけました。よくまとめられた記事なので、こちらも参照してみてください。

オーストラリア人が提案する
世界目線の「NAGOYA」観光
https://digjapan.travel/blog/id=10531
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by sanyo-kansatu | 2016-06-01 17:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 01日

なぜサムライは外国人の心を惹きつけるのか?

本ブログでは、このところサムライがらみのネタをいくつも書いています。訪日外国人の間でサムライや忍者、お城、着物変身スタジオなどの和風エンターテインメント体験が人気らしく、その理由を探るべく、ちょこちょこ取材していたからです。

トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25702798/
浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25840662/
TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)
http://inbound.exblog.jp/25840817/
銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/
HISが都内各地で訪日外客向けエンタメツアーを収集・開発・販売しています
http://inbound.exblog.jp/25841804/
日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

では、なぜこれらサムライがらみのスポットやエンタメは人気なのでしょうか。

世界最大の旅行口コミサイトのトリップアドバイザーに聞いたところ、和風エンターテインメントについての外国人の書き込みには「ショーとして面白い」「見る価値のあるエンタテイメント」「日本の文化を体験できて興味深い」などが多いそうです。

これらのコメントは月並みすぎる気もしますが、同サイトの外国人による東京都の人気観光地ランキングをみると、サムライミュージアムは2位で、以下3位は浅草、5位は明治神宮、6位は両国国技館、7位に東京都江戸東京博物館、8位は八芳園、9位はホテルニューオータニ庭園といった具合に、ほぼ和のスポットが選ばれていることがわかります。彼らにとって「日本の文化を体験」することが最重要関心事であることが見えてきます。

トリップアドバイザーで和風エンターテインメントが人気の理由
http://inbound.exblog.jp/25864340/

とはいえ、一般の日本人の感覚からすると、こういうのってちょっとベタすぎて、ホントに面白いんだろうか? そんな疑心暗鬼がないではありません。もっとクールで、エキサイティングで、アメージングなことじゃなくて、いいのかしら?

でも、どうやらそういうことではないようです。「サムライやお城は日本にしかない独自の文化だから面白いのです」。

そう明快に答えてくれた外国の方を最近、知りました。

その人は、名古屋のFMラジオ局ZIP-FMのミュージックナビゲーターで、オーストラリアのアデレード出身のクリス・グレンさんです。とにかく日本のお城や甲冑が大好きで、名古屋城の外国人向けHPを制作したり、ときどき侍に扮して、地元の観光PRもするそうです。

名古屋といえば、同地にゆかりのある武将6人と、陣笠隊の4人で結成された「名古屋おもてなし武将隊」も有名ですね。

名古屋おもてなし武将隊公式ウェブサイト
http://busho-tai.jp/

最近は、こんなニュースもありました。どうやら名古屋では、サムライや忍者が盛り上がっていそうですね。

日本初! 月給18万円で愛知県庁に雇われた“アメリカ人忍者”のニッポン愛とは
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/05/29/65870/

さて、正式なクリス・グレンさんのプロフィールを紹介します。

1968年生まれ。85年、ロータリー交換留学生として初来日し、翌年帰国。86年、弱冠18歳にしてプロラジオDJデビュー。7年間オーストラリアでラジオDJ・コピーライターとして活躍したのち、92年に再来日。93年、名古屋のFMラジオ局ZIP-FMミュージックナビゲーターとしてデビュー。現在は、日曜朝9時〜13時「RADIO ORBIT」を担当中。

ラジオDJとして活躍するほか、日本の魅力を語る外国人として、テレビ朝日「ワイドスクランブル」、毎日放送「知っとこ」などテレビ出演も多数。甲冑師に弟子入りして制作したMy甲冑を着用し、国内外に向け日本の歴史、文化の魅力を伝えるため、イベントやテレビなどに出演するなど勢力的に活動をしている。

趣味は、戦国時代の歴史研究、甲冑武具の研究、城めぐりなど。現在までに巡った城の数は、日本全国400カ所にも及ぶ。近年は、自身が案内役をつとめる歴史ツアーを企画するほか、自治体や観光施設に対しインバウンド観光アドバイスなども行う。また「外国人から見た日本」「外国人の喜ぶ、おもてなし」をテーマにした講演でも人気を博している。

著書に「The Battle of Sekigahara:The Greatest Samurai Battle in History」(英語版)、「豪州人歴史愛好家、名城を行く」(宝島社)がある。三重県桑名市ブランド推進委員、あいち観光戦略検討委員、関ヶ原グランドデザイン策定委員、「昇龍道」磨きあげ検討委員、関ヶ原観光大使。
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クリス・グレンオフィシャルサイト
http://www.chris-glenn.com/

こういう方がいらっしゃるんですね。興味深々です。名古屋在住ということで、今回は直接話を聞くことができなかったのですが、クリスさんには、メールで質問させていただきました。以下、その一問一答です。

-クリスさんが地元で関わっているインバウンドに関する組織(あいち観光戦略検討委員、関ヶ原グランドデザイン策定委員、「昇龍道」磨きあげ検討委員、関ヶ原観光大使)での活動を教えてください。

●各種委員について

上記記載の委員については、有識者会議の位置づけで各地方自治体に設置されているものです。日本の歴史文化に造詣が深く、20年以上前から、日本、そして東海エリアの魅力を国内外に向けて発信し続けてきたという実績、外国人の目線で「日本」や「地域」を見られるということ、外国人のニーズや日本人と外国人との意識や興味の違いを理解していることから、各委員に任命されています。

●インバウンドのお仕事

オーストラリア、そして日本で、ラジオDJ、コピーライター、タレントとして活動してきたキャリアをいかし、上記委員などのほか、WEB、パンフレットなどの英文ライティング(翻訳ではなく、英文での書き下ろし)、キャッチコピーの制作、観光動画の監修、アドバイザー、シナリオ制作、ナレーション、インバウンドに関する講演、観光施設や宿泊施設などへのコンサルティング、インセンティブツアーでの講師(ガイド)、インセンティブツアー企画・プロデュース・キャスティングなど、活動は多岐に渡ります。

-サイトによると、日本甲冑武具研究保存会に所属しているようですが、クリスさんはどんな活動をしているのですか。

甲冑武具の研究について、先輩の皆様からご指導いただき、勉強をさせていただいています。日本甲冑武具研究保存会・名古屋支部は、独自に甲冑隊を結成し、各地域で開催されております歴史イベントに甲冑武者として参加するなどといったこともしておりましたので数年前までは、そういったイベントにも多数参加していました。
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-クリスさんは日本の歴史で戦国時代がいちばん好きだそうですが、なぜなのか。

・「サムライ」「武士の精神」が、一番リアルに存在していた時代であったから。
・政治的、戦略的な面でも面白みがある。
・信長、秀吉、家康といった英雄たちが、さまざまな意味で、現在の日本の礎を築いた時代であったから。
・乱世の時代に生きたサムライたちの生き様に、興味深いストーリーが多くあるから。
・甲冑、武具、城など、戦うためのものでありながら、機能性に優れているだけではなく、どれも美しく、日本の技術力や日本人の美学を感じられるから。

-最後にズバリ、サムライの魅力は何なのか。サムライに関する映画や小説などの影響はありますか。

サムライは、自分の国の歴史や文化の中には存在しない、日本独自の文化であるがゆえに魅力的なのだと思います。

甲冑、日本刀、城など、深い知識がなくても、サムライを象徴するようなものについても、なんとなく「カッコいい」という印象を持つ外国人も多いと思いますし、日本に来ないと見られないものですから、ぜひとも見ておきたいと思うのは当然だと思います(オーストラリアに行ったら、コアラを抱っこする。アボリジニの聖地エアーズロックに行くのと同じです)。

『七人の侍』など黒澤映画からサムライ文化に興味を持った人は多いと思います。そのほか『SHOGUN』『ラストサムライ』などを見て好きになった人もいるでしょうし、本では『MUSASHI』(吉川英治)『47 RONIN』などを読んで興味を持った人もいると思います。

札幌に留学していた高校時代に「MUSASHI」を読んで、サムライというものに、より深く興味を持ちました。サムライ関係の黒澤映画は全部見ています。子供の頃は、オーストラリアで日本のテレビ時代劇『隠密剣士』を見て、カッコいいなと思った記憶もあります。
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※『隠密剣士』は、1962年から65年までTBS系で毎週日曜、全128話に渡って放映された大瀬康一主演の連続テレビ時代劇。忍者ブームの火付け役だそうです。すいません。日本人ですけど、ぼくは知りませんでした。

隠密剣士の歌(ひばり児童合唱団)
https://www.youtube.com/watch?v=z_i1_0SPd-g

日本文化に精通したクリスさんの話は、言われてみると、なるほどそうかとあらためて気づかされることばかりです。彼ほど詳しくない一般の外国人にとってのサムライがらみのスポットの人気も「日本にしかない独自の文化だから見たいのだ」という理由が大きいのですね。

こういう当たり前のことに、意外と我々は気づいていないようです。

クリスさんの所属するパスト・プレゼント・フューチャーの加藤由佳さんは、以下のように彼のサムライ好きの理由を説明してくれました。

「彼が日本文化に興味を持ったのは、日本びいきだった祖父の影響が大きいようです。祖父から聞く日本の話や祖父の家にあった民芸品、伝統工芸品を見て育ったことをきっかけに、日本に興味を持つようになり、16歳で日本に留学。以来、日本の歴史文化を積極的に勉強し、知識を深めています。このときに、先生からもらった吉川英治の『宮本武蔵』を読み、サムライの世界に引き込まれています。城への興味も、元々はサムライから入っています。サムライたちが生きた場所、戦った場所であること、また軍事施設でありながら、美しさもあるという点、城の建築美、建築技術、軍事施設としての機能性など、さまざまな点で興味深いようです」。

パスト・プレゼント・フューチャー
http://www.ppfppf.com/

彼は、いったい日本びいきのおじいさんからどんな影響を受けたのだろう。おじいさんが日本でどんな経験をし、彼にどんな話として聞かせてくれたのか。また、彼の来日直後に起きた甲冑師の先生との運命的な出会いとはどのようなものだったのか……。

これらの話は、昨年刊行されたクリスさんの著書『豪州人歴史愛好家、名城を行く』(宝島社)に書かれています。
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次回は、いまや「インバウンド観光アドバイザー」として活躍するクリスさんの日本の観光PRに関する提言を紹介したいと思います。ポイントは、外国人の視点を理解することの大切さだそうです。

あなたは日本の文化や歴史を外国人に説明できますか?
http://inbound.exblog.jp/25865610/
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by sanyo-kansatu | 2016-06-01 13:19 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 05月 22日

インド人観光客が増えると、日本のインバウンドはどう変わるだろう?

今朝、ネットで以下の報道を知りました。

観光局、インド事務所開設へ=12億人市場で訪日客誘致(時事通信2016/05/21)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016052100174&g=eco

訪日外国人旅行者の増加に取り組む日本政府観光局(JNTO)が今年度中にインド事務所を開設することが21日、分かった。高度経済発展を続けるインドでは近年、中間所得層が急増。人口12億5000万人を抱え、今後も海外への旅行者が増え続けるとみられるインドを「重点市場」と位置付け、日本の魅力をアピールして観光客誘致に力を入れる。

インド観光省によると、2014年に海外を訪問したインド人旅行者は約1800万人で、10年前の3倍近くに増加。最も多い訪問先としては、サウジアラビアやタイ、シンガポール、米国が90~100万人で上位を争う。

一方、14年に日本を訪れたのは約8万8000人にとどまった。中国(13年で約67万人)や韓国(同約12万人)と比べても「かなり少ない」(日印外交筋)。

日印両国は政治、経済両面で結び付きを強めつつある。その半面、日本へのインド人留学生は15年5月時点で約880人で、訪日観光客と並んで低調だ。外交筋は「両国関係の緊密さに比べ、人的交流は後れを取っている。今後は相互交流を活発化させることがさらなる関係強化につながる」と話す。

以前、インドの旅行会社の人に話を聞いたことがあります。ムンバイの人です。

インド人の日本旅行の訪問地が東京・大阪プラス広島の理由(アセアン・インドトラベルマート2014その2) (2014年6月9日)
http://inbound.exblog.jp/22757002/

彼によると、日本旅行のゴールデンルートは東京、大阪、広島で、東アジアの人たちと比べ、日本に対する認識もずいぶん違うようです。教育もあるのでしょうが、広島の原爆ドーム訪問はたいていツアーコースに入っているそうです。

ちなみに、2015年の訪日インド人は約10万3000人でした。これまで訪日インド客が少なかった背景には、日本への航空運賃の高さがありました。彼らはヨーロッパや東南アジアにはよく旅行に出かけていますが、それは航空運賃が安いからです。

もう6、7年前のことですが、観光庁の主催するトラベルマート(訪日旅行促進のために各国からエージェントを呼んで行う商談会)の海外メディアを集めた記者会見でのある出来事を思い出しました。

※トラベルマートの記者会見とはこういう世界です。以下の話とは関係ありません。
外国人記者説明会(トラベルマート2011 その2)(2011.11.26)
http://inbound.exblog.jp/17093532/

まだ尖閣諸島沖漁船衝突事件(2010年)の起こる前のことで、当時から観光庁は中国市場に大きな期待をかけていました。そこで打ち出されたのは、「中国集中プロモーション」というものでした。

会見場にいたぼくはちょっとびっくりしました。なぜなら、そこには世界各国の記者がいたからです。大きなポテンシャルを持つ中国市場に期待するのは理解できますが、あくまで内輪の話にすべき。中国向けプロモーションに注力するというような話は、なにもそこでするのではなく、中国の関係者だけどこかに集めてすればいいものを……。

実際、記者会見の質疑応答のとき、インドから来た女性記者は「中国の話はわかったが、インドにはどんなプロモーションを考えているのか」と質問していました。彼女がそう思うのも、無理はありません。日本側は「今後いずれ」というような回答でした。

でも、あれから何年もたち、ようやくインドに日本の政府観光局ができるようです。当然、インドの海外旅行市場の調査や研究も始まっていくことでしょう。

インド客が増えると、日本のインバウンドもずいぶん変わっていくことと思います。基本的に英語圏の人たちなので、多言語化の問題はなさそうですが、彼らの文化や習慣など、なかなか独特ですから、最初はいろんな戸惑いもあるでしょう。でも、日本に対する感情は概ね良好な人たちですから、中国や韓国の訪日客に対するような疑心暗鬼や複雑な感情を引き起こすことは比較的少ないと思われます。
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by sanyo-kansatu | 2016-05-22 10:18 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)