ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 02月 23日

100年前、日本は欧州から外客誘致のイロハをこうして学んだ

1912(明治45)年、日本はジャパン・ツーリスト・ビューローを創立し、国家として外客誘致を企図するのですが、当時の日本には西欧の国々から訪れる外国人を心地よく受け入れるためのインフラが、ハード、ソフトの両面でほとんど整備されていませんでした。

そのため、ツーリスト誌においても、外客誘致のために何が必要なのかについて啓蒙するため、西洋諸国をはじめ海外の事情の紹介に努めています。とりわけ創刊号から10号くらいにかけては毎回、外客誘致のための広報機関や宣伝方法、案内所の運営、ツーリスト業者の組合組織のあり方などが提言されています。

それらの海外レポートの多くを執筆しているのは、ジャパン・ツーリスト・ビューロー幹事の生野圑六です。生野は鉄道省の役人で、のちに京浜電気鉄道社長になる人物ですが、1912年夏、ヨーロッパ諸国を視察し、各国の外客誘致の現状について報告しています。彼は日本のインバウンド黎明期に最も積極的に啓蒙活動に取り組んだ論客といえそうです。
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以下、ツーリスト創刊号(1913年6月)「欧州各国に於ける外客誘致に関する施設」という生野の報告を紹介します。これを読むと、今日日本では当たり前になっている外客誘致のための施設や諸施策の導入に向けた取り組みが100年前にようやく始まろうとしていたことがわかります。ニッポンのインバウンドはこの時期、ヨーロッパをモデルに一から形成されていったことが生々しく伝わってきます。

生田圑六がシベリア鉄道経由でヨーロッパ視察に出かけたのは、1912年6月末から9月末にかけてです。ベルリンで開催された国際旅客交通会議に出席するためでした。その目的について、彼はこう記しています。

「欧州に於ける一般鉄道の視察旁々、漫遊外客誘致待遇に関する機関、組織、方法の研究、玆に現場における実況を視察致しましたのでありますが、可也廣くと思ひまして、各国に旅行して、漫遊客の集合するところを出来る丈見物しました。七月上旬には、丁度ストックホルムにオリンピック、ゲームが開会されるので、世界各国の人々が集合して、混雑致すところを見るのには、何よりの好機会と思ひまして、其地に出掛けました」。

その年のオリンピックには日本人選手はわずか2名しか参加していなかったそうですが、オリンピック開催都市となったストックホルムについて彼はこう書いています。

「兎に角、数万人の外国人が入り込んでいるに関はらず、市内秩序整然としているのには感心しました。特にホテル、商店、其他外人が接するのは、待遇上大に注意を払っておりました。日本などではかかる場合、動もすれば目前の利益のみを事として、永遠の利害を打算せず、暴利を貪ると云ふやうなことがあるやうでありますが、之は大に注意しなければならぬことと思ひます」。

生野はそのときスウェーデンのツーリスト・ビューロー本部を訪問し、「スカンジナビア半島では、夏季には外客を誘致することに大に力めて居ることを承知」したといいます。また、コペンハーゲンのチボリパークを訪ね、そこには「各種の音楽、遊戯、カフェ、レストラン等が多数ありまして、夕刻より夜半まで、非常に賑はつて」いること、「概して欧米人は夕食後散歩するとか、音楽を聴くとか、芝居を見るとか云ふような習慣があるので、欧米の遊覧地、海水浴場、其他のリゾートには必ずさう云ふものがあり、又一方にはローンテニス、ゴルフ、其他遊戯、運動の設備」があり、「此點は今後日本でも相当に考慮を要することと思ひます」と述べています。帰国後、彼はツーリスト誌上において、外客誘致のため、日本に西洋的な遊覧地を開発するよう呼びかけますが、このときの見聞がベースになっているものと考えられます。

その後、彼はいったんベルリンに戻り、7月下旬から約1か月間をかけてウィーン、ブダペスト、インスブルック、ベニス、フィレンツェ、ローマ、ポンペイ、そこで折り返してスイスに向かってしばらく滞在し、ニース、モンテカルロ、リオン、パリ、ロンドン、そして再びベルリンに戻り、シベリア鉄道で帰途についています。これはまさに20世紀初頭のヨーロッパに誕生しつつあったモダンツーリズムの最前線をくまなく訪ね歩いたという意味で、ニッポンのインバウンドの歴史にとって記念碑的な出来事といえるでしょう。

この視察で、生野は多くのことに「驚き」「感心」しています。以下、書き出してみます。

・当時のスイスはすでに外客受入態勢が完備していたこと。

「瑞西は何度参りましても實に心地善い處であります。外客に対する遊覧設備の完備せること、案内上の用意の行届いていること、廣告印刷物等の豊富なること、山水風光明媚なると共に、隅々まで清潔なること、停車場などに長さ数間の大写真などが掲げてあること、ホテルの空室の有無を停車場内に掲示する設備などもあること」。

・フランスのエビアンからニースまでモンブラン山脈付近を横断する約700㎞の自動車専用道路が作られていたこと。

「近時欧米に於ける自動車の発達は非常なもので、従て自動車で自国内のみならず、外国に旅行に出掛ける者は甚だ多いのであります。此道路の如きもツーリストを招致するのが目的であります。鉄道会社も夏期は乗合自動車を運転して、一定の賃金を以て旅客の需に応じております。吾国に於いても将来或地方には、自動車道路を設けることなども一の問題であろうと思ひます」。

日本では戦後を待たなくてはならなかった本格的なモータリゼーションによる観光市場の促進が、ヨーロッパではすでに戦前期から始まっていたことがわかります。

・パリには観光客を惹きつけるハードのインフラが充実していたこと。

「巴里には其近郊に風光明媚なる處や、名所旧蹟が沢山ありますが、外客を惹付けるには寧ろ人工的設備、或は人為的方法が興つて力あることと思ひます。即美術博物館の完備せる、公園の大規模なる、市内交通機関の便利なる、市街の美観を保つが為に用意周到なる、皆之であります。暇令ば、公設建造物、廣場、凱旋門、スタチュー、橋梁等一として美術的ならざるはなく、電柱などは一本もなく、電車も高架式は許されて居ません。ホテルの設備は完全にして、而も比較的低廉である。劇場には国立竝に準国立とも称すべきものも四ヶ所を始め、多数あり、名優少なからず、他の諸国に於いては夏時は大劇場は休業する例なるに、巴里は無休で、料理や葡萄酒は廉価にして、而も美味である。尚巴里人はコスモポリタンで、外国人を外国人扱ひせず、吾々の如き異人種でも、白人同様に扱ふ等、其他外国人の為に特に利便を計っていることは、列挙すれば沢山あることと思ひます。之等のことは必ずしも吾国に於いて総て模倣すべきでもないが、又中には大に学ぶべきことがあると思ひます」。

ほとんど手放しの称賛ぶりですが、これが100年前の日本人の正直な実感だったと思われます。

・ヨーロッパでは新聞広告による外客誘致が広く行われていたこと。

「(ヨーロッパ各地で発行される英国のデーリーメール新聞は)英米人の大陸旅行者に中々よく読まるるのでありますが、此新聞社は倫敦竝に巴里の中心に、立派なる案内所を持っておりまして、欧州のみならず世界各国の鉄道、汽船、ツーリスト・ビューロー、ホテル等は固より、静養地、遊覧地、シーズン、遊覧設備、自動車旅行、飛行、学校、貸家、貸別荘等に関する報告を與ふること」。

外客誘致のために、宣伝媒体(メディア)がいかに効果的であるかを生野は知ったのでした。

生野はこうして外客誘致のためのハード面、ソフト面でのインフラ整備やメディア活用のイロハを学んで帰国するのですが、一点のみ、イタリアでの「不快な」体験を反面教師的にこう指摘しています。

「伊太利では一方に流石美術国のこととて、絵画と云はず、彫刻と云はず、建築と云はず、其立派にして豊富なることに驚きましたが、一方には軽微なること乍ら、随分不快なる念を與へられたことがありました。夫は下級鉄道員の吾々に対する態度、行為、或は寺院其他にて付き纏ふ案内者のうるさきこと、馬車の御者の不正直なること等でありましたが、夫に付けて思ひ浮んだのは、我日本の現在漫遊外人に対する関係であります。直接外人に接するものの中には、随分不正直、不親切なるものがあるやう耳にします。是等は日本に於いてツーリストが風景其他より折角得た美威を傷けることがありはせぬか、是に対して吾がツーリスト、ビューローとしても大に注意して、相当の方法を講じなければなりませぬ」。

当時日本ではこういうことが多々あったろうと思います。なにしろ、ときは激動の明治がようやく終わったばかりで、訪日外客数は年間わずか2万人。日露戦争になんとか勝利したものの、まだまだ日本は貧しく、生野の啓蒙する中身が実現できるまでには、相当な時間が必要と考えられていたはずです。

さらにいうと、彼が訪れたわずか2年後、あれほど先進的で華やかに見えたヨーロッパが第一次大戦の戦火に包まれたという事実は、国際観光の歴史を考えるうえで無視できないことです。生野は、のちに「時局と外客誘致策」その他の論説で、当時の国際情勢とインバウンドの関係についてさまざまな提言をしていますが、それはあとで紹介します。

※「歴史から学ぶインバウンド」参照。http://inbound.exblog.jp/i38

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by sanyo-kansatu | 2014-02-23 16:36 | 歴史から学ぶインバウンド | Comments(0)
2013年 12月 30日

HISのグローバル戦略の最前線がバンコクである理由

今年8月、タイのインターナショナル・トラベル・フェア(TITF2013)の視察の折、HISバンコク統括支店長の話を聞くことができました。今年、タイからの訪日客が増えた背景に、ビザ緩和や円高是正があったことは確かですが、民間企業の精力的な取り組みが大きく貢献していると思います。

なぜ同社のグローバル戦略の拠点はタイなのか。日本と同様、市内交通機関の中はスマホを手にした乗客であふれるバンコクで、あえて旅行店舗の出店を加速する意外な理由について。以下、今月中旬に刊行された産学社刊「産業と会社研究シリーズ トラベル・航空2015年版」に掲載したインタビュー記事を採録します。
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日本を取り巻くグローバルな観光マーケットが急成長するなか、日本の旅行業はどこに向かうべきか。ひとつのカギは「ツーウェイツーリズム」にある。それを地道に実践しているのがHISだ。

2013年8月中旬、タイの首都バンコクで開催されたタイ・インターナショナル・トラベル・フェア(TITF)の会場で、同社のグローバル戦略の現在について中村謙志バンコク統括支店長に話をうかがった。

この国では我々の知名度はない

中村さんがバンコクに赴任し、タイのローカル市場に取り組んで13年で4年目。その手始めが、国内外の旅行会社が集まる展示即売会のトラベルフェアへの出展だった。「この国では我々の知名度はない。HISといってもタイ人は誰も何の会社か知らない。ゼロからのスタートでした」という。
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初年度は小さなブースで、扱ったのは航空券とJRパスだけ。その後、本格的にツアーを造成し、ブースもだんだん大きくした。今回の展示即売の目玉商品は、就航したばかりのチャーター航空会社アジア アトランティック エアラインズ(AAA)を利用した大阪・東京ゴールデンルート。「4泊6日・29999バーツ(約9万3000円)という破格の料金で売り出したところ、1000名が完売でした」。
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旗艦店となるトラベルワンダーランドで年間通じて売れているのは、航空券+ホテル(+JRパス)。自由旅行の商品だ。一方ソンクラーン(タイの旧正月)の4月とスクールホリデー(夏休み)の10月の年2回のピークシーズンは、添乗員同行の団体ツアーが人気だ。

売れ筋は、東京、富士山、箱根の5日間、東京・大阪ゴールデンルート、大阪・京都5日間、北海道(道南)の順。最近、北海道でレンタカーを利用するタイの個人客も現れたという。「タイ人は普段から日本車に乗り、左側車線の国ですからね」。

バンコクの出店を加速する理由

ネット予約の普及などビジネス環境の変化で、日本では旅行店舗の整理縮小が進んでいるが、バンコクで出店を加速するのはなぜか。そこには意外な理由があった。

「ローカルを取り込む戦略の軸は店舗展開です。なぜなのか。広告効果が大きいからです。場所はスカイトレインの駅構内やショッピングセンターなど、消費者に目につきやすい場所限定です。実は、バンコクでは一等地に広告を出すのと家賃にかかるコストはたいして変わらない。であれば、店舗を出そう。ただし、常駐スタッフは1、2名の『KIOSK店舗』。それを量産することで、我々の存在を知ってもらう」。
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店舗ではHISの海外旅行商品のパンフレットを大量に用意している。タイでは、日本のようなセールスカウンターのある旅行店舗は少なく、パンフレットは流通していない。誰もがスマホを手にする時代でも、細かく旅行日程が書かれた紙のパンフレットはタイ人に好評だという。

一方、タイには旅行業法や約款が存在しない。キャンセルチャージも個々の旅行会社の裁量に任されている。「震災のような有事にガイドラインがないと困るが、HISは日本の会社だから信用できるといってくださるお客様が増えている。タイにはメイド・イン・ジャパンへの信認がある」と中村さんはいう。

ローカル客を取り込むためには、タイ人を理解することが不可欠だ。

「タイのお客様がどんな旅を望んでいるか、日本人の私はどんなに勉強してもわからない。だから、添乗にもよく同行します。お客様が何を喜んでいるのか、おいしいと思うのか、どの風景をバックで写真を撮りたいのか。勘が鈍るのはいちばんまずい」。

いくつかわかってきたことがある。「タイ人はタバコが嫌い。ほとんどの人が吸いません。ところが、日本のホテルはタバコ臭い。ですから、ホテルの手配は禁煙ルームが絶対条件です。タバコを吸えるレストランも選びません。タイのお客様は日本食好きで、滞在中すべて日本食でもいいのですが、気をつけないといけないのは生もの。タイで出回っているお寿司のネタは限られています。お店が気を利かしたつもりで珍しいネタを出しても、生ダコなどは気持ち悪がって決して食べようとしない。全員残すこともよくある。もし本当にタイのお客様を受け入れたいと思うなら、タイ人を理解して細かい気配りが必要です」

タイでは旅番組の影響が大きいこともわかった。「いい例が、いまタイ人が多く訪れている白川郷や高山、富良野のラベンダー、岩国の錦帯橋、瀬戸内のしまなみ街道、指宿温泉の砂蒸し風呂など」。「ある日、局地的な人気が起こる」だけに、訪日プロモーションはテレビを活用するのが効果的だという。

なぜタイが拠点として選ばれたのか

では、HISの海外戦略においてなぜバンコクが最前線の拠点として選ばれたのか。中村さんはこう即答する。「タイには大きなコンペティターがいないからです」。

重要拠点を選ぶ条件は、これから伸びる市場。しかも、インバウンドからアウトバウンドに旅行マーケットが移り変わる時期で、大手エージェントが不在の国。それがタイ、インドネシア、ベトナムだという。 

日本の旅行業界は一見国際的なイメージがありながら、実はドメスティックな体質が残っている。早くから海外で売上を生み出してきた製造業に比べ、海外営業所がありながら、売上に貢献してはいなかった。

「海外拠点をつくり、日本のお客様をきちんとご案内する。これが第一ステップ。でも、その役目だけで終わらせてはもったいない。企業のグローバル化はローカルに根付かなければ意味がない。それぞれの国でHISを発展させる。私はタイを任されていますが、インドネシアやベトナムに赴任した同僚もそう思っている。いまではHISジャカルタ支店で集客したインドネシア客をバンコク支店がインバウンド業務として受ける。またシンガポール支店とも、という日本をまったく介さないビジネスも始まっています」。

これはもはやツーウェイではない。マルチウェイツーリズムとでもいえばいいのか。いまHISバンコク支店で起きている仕事の現場を通じて、新しい旅行業の未来が見えてくる。


中村謙志(なかむら・けんじ)
1996年入社。いくつかの国内支店を勤めた後、「グローバル化戦略の一期生」として2009年、トラベルワンダーランド立ち上げのためにバンコク赴任。初めての海外駐在だった。支店長として現在にいたる。「目標は、タイでナンバーワンのトラベルエージェンシーになることです」。 

※産学社刊「産業と会社研究シリーズ トラベル・航空2015年版」p70~P73より抜粋http://sangakusha.jp/ISBN978-4-7825-3376-5.html
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by sanyo-kansatu | 2013-12-30 09:23 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 26日

26回 祝!訪日外客1000万人達成。その理由と来年の展望は?

12月20日、成田空港で訪日外国人旅行者1000万人の達成を記念するセレモニーがありました。太田昭宏国土交通省大臣は「東日本大震災もあり、政府目標だった2010年から3年遅れたが、東京オリンピックの開催される2020年には、さらなる高みの2000万人を目指したい」とコメント。インバウンド関係者のこれまでの努力が報われる日が来たことを心から喜びたいと思います。
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1000万人目となったのは、タイから来たパッタラプラーシットご夫妻。「今年来日するのは3回目。ニューヨークに留学した娘と日本で合流し、北海道でスキーをする予定です」とのこと。タイ人観光客の存在感が目立ったこの1年でした。
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今年は、富士山のユネスコ文化遺産登録やオリンピック開催決定、また今月に入り「和食」の無形文化遺産登録も決まり、訪日外客数の統計も毎月のように過去最高を更新。関係者を大いに勇気づけました。.

ポスト訪日外客1000万人時代を迎えたいま、2013年の総括とともに、今後の課題や展望について整理してみたいと思います。

1000万人達成、観光庁の公式見解は

まず今年の総括です。11月27日~29日、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で開かれた「Visit Japan Travel Mart 2013」の報告から始めましょう。トラベルマートは、海外の旅行会社やメディアを招聘して行う観光庁主催のB2B商談会です。

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トラベルマート2013開会式

主催者発表によると、今回海外から304社(21カ国・地域)の日本旅行を企画販売している「バイヤー」が来日。彼らに日本を売り込む国内の観光業者や自治体などの312社・団体が出展したそうです。

トラベルマートでは、毎回恒例の外国人記者を集めた会見があります。この日の報告は、観光庁参事官による「日本のインバウンドツーリズム促進のための対応措置」というものでした。

そこでは、今年訪日客が過去最高となった理由として以下の4つの点を挙げています。

①アセアン諸国を対象としたビザ緩和
②円高是正
③オープンスカイにともなう国際線フライトの増加
④日本の景気回復(Japan is back!)
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オープンスカイ協定によって羽田や成田の航空供給量が大幅に増加した

このうち①②はすでに指摘されているとおりですが、③については、特に台湾、香港、そして東南アジア諸国からの新規フライトが大幅に増えたことが大きかったといえます。島国である日本では航空供給量が拡大しなければ訪日客を増やすことはできないからです。それを後押ししたのが、台湾など近隣諸国と結んだオープンスカイ協定でした。

④については、その評価をめぐって議論はありますが、結局のところ、①②③の相乗効果によって、これまで敷居の高いと見られていた日本が行きやすい国になったというイメージがアジア各国に広く伝わったことが大きかったと思います。そのイメージを実感させる円安やビザ緩和が効果的に結びついたといえそうです。
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実は、「Visit Japan Travel Mart」は今年で最後の単独開催でした。来年からは、元海外旅行博の「JATA旅博」と国内旅行博にあたる「旅フェア日本」が統合され、「ツーリズムEXPOジャパン」(2014年9月25日~28日/東京ビッグサイト)となり、これにB2B商談会の「Visit Japan Travel Mart」も同時開催として加わることになるそうです。

ツーリズムEXPOジャパン
http://www.t-expo.jp

開会式の質疑応答で、観光庁長官はこれら3つの旅行イベントをひとつに統合する理由について「世界を代表する旅行博覧会であるITBベルリンやWTMロンドンに負けないよう、アウト/イン/ドメスティックの日本の旅行市場のさらなる発信力アップを図りたい」とコメントしています。

※トラベルマートについての詳細は、中村の個人blog「「普遍的な日本の魅力」って何だろう?(トラベルマート2013報告 その1)」、「実際、商談はどれほど進んでいるのか?(トラベルマート2013報告 その2)」を参照。

流れが大きく変わったアジアインバウンド市場

トラベルマート会期中の11月28日の夜、一般社団法人ASIO(アジアインバウンド観光振興会)の総会がありました。AISOはアジアからの訪日客の手配を担当するランドオペレーターを中心にしたインバウンド業者が加盟する団体です。

一般社団法人ASIO(アジアインバウンド観光振興会)
http://www.shadanaiso.net/

官の公式見解に対して、民間事業者は今年をどう振り返っているのでしょうか。AISO理事長である日本ワールドエンタープライズ株式会社の王一仁社長は最初にこう挨拶しました。

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王一仁AISO理事長

「AISO創立から今年で7年目。震災から2年たち、今年はアジアインバウンドの流れが大きく変わった年といえるでしょう。円安効果も大きいですが、東京オリンピック開催決定や富士山の世界文化遺産登録など、さまざまな追い風が吹いています。

AISOの加盟団体は現在約160社。半分はランドオペレーターで、残りはホテルやテーマパーク、レストラン、運輸業者などの方々です。お互い協力して日本のインバウンドを盛り上げていきましょう」。

次に株式会社ジェイテックの石井一夫常務理事による今年のアジアインバウンド市場に関する報告がありました。

「今年のアジアインバウンドに弾みをつけたのは、やはり7月のアセアン諸国に対するビザ緩和の影響が大きかったといえます。なかでも大きな伸びを見せたのは、台湾やタイといった親日国だったように思います。

それでも、現状でいえば、訪日外客の6割を占めるのは、韓国、台湾、中国本土です。韓国はいったん回復してきたかに見えましたが、秋口から伸び悩んでいます。一方、中国市場は概ね回復基調にあると思います。

今後は、アジアの個人客向けの商品、特に来日してから各自が参加する『着地型』のツアー商品の開発などに力を入れていくべきでしょう。ここにいらっしゃる関係者の皆様には、ぜひ我々ランドオペレーターに新しいコンテンツをご提案いただきたいと思います。それを海外の旅行会社につなげていくのが我々の仕事ですから」。

報告を聞きながら、今年は「アジアインバウンドの流れが変わった」ことをあらためて実感しました。何より一時期、中国本土に過度に集中していた訪日旅行市場の取り組みが世界各地に分散化してきたことは基本的にいい流れだと思います。逆にいま、その反動で中国離れが進んでいることは、ムードに流されやすい日本人の問題だと思いますけれど、いずれバランスを取り戻す動きも出てくるでしょう。

今年は台湾や香港、タイなどアセアンの国々のように、日本の文化的、経済的影響力の強い地域からの訪日客増加が顕著であった一方、中国や韓国という「近くて遠い」大市場は政治的な理由で萎縮してしまいました。その意味でも、日本の影響力が強くない国々の訪日旅行市場をいかに活性化すべきか、という課題が印象付けられた年でもあったと思います。さらに、インドやロシアといった未知の市場に対してどう取り組むか。来年に向けて新しいチャレンジが必要ではないかと思った次第です。AISOの関係者は、すでにこうした新規市場に対する開拓を始めており、心強い限りです。

※AISO総会でのアジア各国の市場動向については、中村の個人blog「流れが大きく変わった今年のアジアインバウンド市場(トラベルマート2013報告 その3)」を参照。

VJC10年の総括と課題

2003年に始まったビジットジャパンキャンペーン(VJC)は、昨年10年目を迎えています。平成25年版「観光白書」では、この10年間を総括し、いくつかの課題を挙げています。

平成25年版「観光白書」http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000183.html

「第3節 過去10年の国際観光振興政策の総括と課題」からその一部を抜粋して検討してみましょう。

「平成15年のVJの開始前後で訪日外国人旅行者数の推移を比較すると、近年は外的要因の影響を受けて増減の振幅が大きいものの、VJ開始後は、開始前と比べて目に見えて大幅な増加傾向を示している」「この10年の間に、国内の観光関係者の間のみならず、各地域でインバウンドへの取組の必要性についての意識が広まり、インバウンドが今後の日本の成長産業の一つであるという認識が国内で相当程度広がっている」とVJCの果たした役割を評価しています。

実際、10年前と比べると、インバウンド振興に対する認識が国内で広く共有されてきたことを実感します。北京オリンピックの開催された2008年がひとつのメルクマールとなり、中国をはじめアジア地域が訪日旅行の発地国として広く認知されたことが大きかったと思います。その一方で、「我が国は、“観光後進国”からようやく“観光新興国”になったに過ぎないのが現状である」とも白書は述べています。これはどういう意味でしょうか。その理由についてこう指摘します。

「外国人旅行者受入数について見ると、過去最高である861万人を記録した平成22年においても、日本は世界で30位、アジアで8位に過ぎない。また、同じく平成22年の国際観光収入を比較しても、日本は世界で19位、アジアで8位と低位に甘んじている」。

これはマスコミも好んで触れる外客数の国際比較の現状です。日本の総合的な経済力からみて、訪日外客数が近隣アジア諸国と比べても少ないことから、あえて「観光新興国」といった表現を採用したのかもしれません。

こうした「総括」をふまえ、白書は5つの「課題」を挙げています。

①訪日ブランドの構築
②外的要因の影響を受けにくい訪日外客構造の構築と戦略的なプロモーションの展開
③MICE分野の国際競争力の強化
④訪日外国人旅行者の受入環境の整備
⑤オールジャパン体制の更なる強化

ここで指摘された「課題」は、プロモーションに関するものと、受入環境の整備に関するものに大きく分けられます。

まずプロモーションに関する課題を簡単に見ていきましょう。①(訪日ブランドの構築)では「それぞれの関係者がばらばらに情報を発信することが多かったため、日本全体としてのイメージの訴求ができていなかった」「そのようなブランド確立がなされないまま、目先のプロモーションだけに力を注いでいる例が少なからず見られる」と指摘しています。

これは、本コラムで何回か紹介した海外のトラベルマートの現状からも感じられることです。各自治体・企業がそれぞれ自己の魅力をアピールするのは当然としても、「日本全体としてのイメージの訴求ができていなかった」としたら、世界の競合国の中から日本を選んではもらえない。国としての戦略があいまいだったという反省です。また、日本国内では有名でも、海外から見てブランドとしての認知のないまま「目先のプロモーション」に懸命になっても、集客につなげるのは難しいという現実があります。

②(外的要因の影響を受けにくい訪日外客構造の構築と戦略的なプロモーションの展開)では、前述の石井一夫AISO常務理事も指摘したように、今年いくらアセアン各国からの訪日客が増えたといっても、「東アジア4か国(韓国、中国、台湾、香港)で約65%」を占めるという訪日旅行市場の偏りは変わらないことを指摘しています。近年、一部の近隣諸国との政治的不和による訪日客の落ち込みから、「特定の市場に依存した訪日外客構造の脆弱性を身を以て学んだ」と白書は述べています。これまで多くの日本人は、国際理解や親善につながるはずの観光がこれほど政治の影響を受けるとは考えていなかったと思いますが、それが現実のものとなった今日、より高い戦略性が求められています。
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日本の訪日旅行市場は中韓台に偏重している

そうした「脆弱性」を克服する手立てとして挙げられるのが、市場の分散化に加え、政治的な影響を受けにくいFIT客への対応といえます。.

「近年、世界的に個人旅行が主流になりつつあり、多様な個人のニーズを的確に把握することが不可欠となりつつある。我が国の主要な市場である韓国、台湾、香港はもちろん、今後は、中国やタイも個人旅行が主流になることが見込まれる中、きめ細かなマーケティングがより一層欠かせなくなる。

プロモーションについても、そうした傾向を受け、これまで以上にきめ細かさが必要となってくる。市場類型や国・地域ごとに訴求対象を明確化した上で、より効果的な媒体を的確に活用しながら、個人旅行者に向けてはSNSを活用するなど、常に新しい手法を取り入れ、工夫していく必要がある」。

さらに、③(MICE分野の国際競争力の強化)や⑤(オールジャパン体制の更なる強化)が必要なことは言うまでもありませんが、東京オリンピック開催が決まったことで、④(訪日外国人旅行者の受入環境の整備)も喫緊の課題となっています。

JNTO(日本政府観光局)が実施した「訪日外国人個人旅行者が日本旅行中に感じた不便・不満調査」(平成21年)の結果は以下の図表のとおりです。
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訪日外国人旅行者が旅行中に感じた不便・不満(出典:平成25年版「観光白書」)

ここでは指摘されていませんが、昨今外客から不満の声として筆頭に挙げられるのが、Wi-Fi(無線LAN)整備の遅れです。今年ぼくは東南アジアを何度か訪ねましたが、海外に比べて日本の普及の遅れはウィークポイントであることを、身をもって感じました。それはこれまで訪日外客数が他国に比べ相対的に少なかったことに起因していると考えられます。そういう意味では、訪日客の増加は、日本の通信インフラの整備と進化を後押ししてくれると前向きに考えるべきだと思います。

期待したい民間の新しい取り組み

こうした「課題」をふまえ、国土交通省は「観光立国」に向けたアクション・プログラムに取り組んでいます。

「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」の取組状況について(2013年9月20日)
http://www.mlit.go.jp/common/001015986.pdf

東南アジア諸国における集中プロモーションや、欧州、ブラジル、トルコなどへの日本の認知度向上に向けた取り組みを行う「戦略的訪日拡大プラン」、大型クルーズ客船や空港における「出入国手続きの迅速化・円滑化」に加え、なかでも来年10月から実施される予定の「外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し」が注目されています。

外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000197.html

受入環境の整備は官の役割だとしても、実際にはインバウンドの推進役は民間です。

全国各地で日本のインバウンド市場を活性化する動きが起きています。

最初に挙げたいのが、FIT(個人旅行者)向けの旅行商品です。

たとえば、先日「やまとごころインタビュー」で紹介したクラブツーリズムの国内バスツアーは注目です。

いま海外のFIT客は航空券とホテルの予約はネットで入れるのが常識です。とはいえ、相当日本通のリピーターでもない限り、言葉がわからない外国人が日本でどれほど豊かな体験ができるでしょう? 多様化した外客のニーズに応えるFIT向け旅行商品やサービスが求められています。

もともと国内客向けに造成されたクラブツーリズムのバスツアーは、海外、とりわけアジアFIT客のニーズに直結したようです。いまや日本の国内客とアジアのFIT客が一緒にバスツアーに出かける時代になっています。

※FIT向けは、やまとごころインタビュー「アジアのFIT客が国内バスツアーに乗る時代になった」を参照。

外国人旅行者が集まる草の根スポットも各地に生まれています。面白いのは、必ずしも外客を意識していたわけでなかったのに、ピタリと彼らのツボにはまってしまうケースがあります。それが新宿歌舞伎町のロボットレストランでした。この少々ぶっ飛んだショーレストランは、結果的に、日本にまだ少ない外客向けナイトエンターテインメントのニーズを満たすことになったようです。

その一方で、これまでなかったタイプの宿泊施設をオープンさせる動きもあります。バックパッカー向けホステルの「カオサン東京」です。オーナーは豊富な海外旅行の経験をもとに、海外からの若いバジェット旅行者のニーズをくみ取り、低コストのサービスを提供しています。それが国際水準のもてなしといえるのは、外国人向け英字フリーペーパーでの高い評価からもうかがえます。

Khaosan World Asakusa Ryokan & Hostel
http://www.timeout.jp/en/tokyo/venue/23091/Khaosan-World-Asakusa-Ryokan-Hostel

※草の根スポットとしては、やまとごころインタビュー「歌舞伎町のロボットレストランになぜ外国客があふれているのか」、「ライバルはバンコクやクアラルンプール 世界水準のバックパッカー宿目指し」を参照。

さらに、新しい動きとして注目されるのが、富裕層旅行というこれまで認識されていなかったセグメントへの取り組みです。今年3月、京都で日本で初の富裕層旅行に特化した商談会「ILTM Japan」が開催され、この市場に対する関心が高まっています。

富裕層旅行は、実際には極めてクローズドで小さな市場なのですが、海外のVIPを日本のシンパにすることは、訪日旅行のスタイルに新しいインパクトを与える可能性があります。彼らが発見した日本の魅力が、世界の旅行トレンドに与える影響は大きいからです。海外の富裕層旅行者は、いわば広告塔となりうる存在なのです。ただし、我々はまだその誘致や受入ノウハウを十分に身に付けているとはいえません。このジャンルでも、新しいチャレンジが必要でしょう。

今後、訪日客が増えていくことで、このマーケットが持つ面白さや可能性がもっと理解されていくに違いありません。外国人観光客といっても、国籍や階層、年代によって求めるものは全く違いますから、個別のニーズごとにそれぞれを得意とする事業者の参入を呼び、多様なサービスを生み出すことになれば、市場は活気づくことでしょう。ポスト訪日外客1000万時代における日本ならではの新しいアイデア商品や旅行サービスが生まれていくことを期待したいと思います。

※ILTM Japanについては、やまとごころイベントレポート「ジャパン・ラグジュアリー・トラベル・フォーラム 2013 セミナー~今、富裕層旅行市場を捉えるためには~」 、中村の個人blog「京都で日本初のラグジュアリー・トラベル商談会「ILTM JAPAN2013」開催」を参照。

※やまとごころ.jp http://www.yamatogokoro.jp/column/2013/column_146.html
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by sanyo-kansatu | 2013-12-26 12:34 | 最新インバウンド・レポート | Comments(0)
2013年 12月 20日

今日、訪日外国人旅行者1000万人を達成しました

2013年12月20日、訪日外国人旅行者が史上初の1000万人を達成したようです。
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その日の夕刻5時半、成田空港第一ターミナルの出発ロビーで記念セレモニーがあったので、見物に行ってきました。ニッポンのインバウンドに関心を持つ人間のひとりとして、その場でどんなことが起こるのか見てみたかったのです。

概要はこちらで(トラベルビジョン12月22日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=60020

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セレモニーは、それほど特別なこともなく、30分ほどで終了。まず太田昭宏国土交通省大臣による達成宣言ののち、くす玉割りが行われました。そして、1000万人目の訪日客というタイ人のパッタラプラーシットご夫妻が登場し、観光庁長官らから記念品の贈呈がありました。
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今年7月、観光ビザが免除され、訪日客数の伸び率が最も高かったタイ人がこの場に登場するであろうことは、関係者も予想していたことでしたが、ご主人のパッタラプラーシットさんのスピーチがちょっと面白かったです。なんでも今年の来日はすでに3回目で、ニューヨークに留学しているお嬢さんと東京で落ち合い、親子3人で明日から北海道にスキーに行くそうです。アジアの富裕層の日本の旅というのは、こんな感じなのでしょうか。団体ツアーで百貨店や量販店に押しかけ、買い物している層とは明らかに違います。
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12月11日に行われた観光庁の記者会見で、1000万人の達成は可能の見込みという話は聞いていましたが、(1000万人達成の)Xデイはいつなのか。関係者らは気にしていたようです。1~11月までの累計が約950万人だったことから、もっと早いんじゃないか、と思う人が多かったようです。

当初は19日がその日だという情報がぼくにも届き、成田に駆けつける準備をしていたのですが、結局1日延期。セレモニーの会場が成田空港のどこなのかというのも、前日の夜になってようやく伝えられました。
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セレモニーのあと、大臣を囲んで、いわゆる「ぶら下がり」記者会見がわずかな時間ですが、ありました。そこではとりたてて新しい話はなかったのですが、少しだけ印象に残ったことがありました。まず、大臣は日本のインバウンドの弱点としてのWi-Fi整備の遅れを口にしていたこと(よくご存知ですね、といったら失礼でしょうか。でも、こういうインフラ整備はぜひ早急に進めてもらいたいです)。

また、これは冒頭のスピーチでの話ですが、「東京オリンピック開催の2020年に2000万人達成というさらなる高みを目指したい」という政府目標のお約束コメントのあとに、小さな声で「そうできたらいいなあと思う」といった控えめかつ素直な言葉をぽろっとこぼしていたことです。2000万人という数字が、そんなにたやすいものではないことを、大臣はご存知のようです。

何はともあれ、1000万人達成はひとつの弾みになることは間違いないでしょう。さて、来年はどうなることやら……。実際のところ、2000万人達成のためには、中国と韓国という近隣の巨大市場からの訪日客を換算に入れないことには、とてもじゃないけれど難しいことは、関係者はみんな知っているわけですけれど、こればかりは相手あってのこと。
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そういえば、成田空港のエレベーターに、“観光立国ナビゲーター”の肩書きをもつ嵐の「Thanks for visiting Japan!」のポスターが貼られていました。ネットなどで記事を見ていたのですが、意外に小さくて地味な感じでした。
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by sanyo-kansatu | 2013-12-20 23:50 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 20日

富裕層旅行には先進国型と新興国型の2種類ある(ILTM2013 セミナー報告)

11月22日、青山学院大学IVY HALL「バンケットルーム・サフラン」で観光庁主催の「ジャパン・ラグジュアリー・トラベル・フォーラム 2013 セミナー~今、富裕層旅行市場を捉えるためには~」がありました。やまとごころの取材で、セミナーに出席し、関係者の話を聞くことができたので、報告します。

やまとごころ http://www.yamatogokoro.jp/event_report/index12.html

今年3月、日本初の富裕層旅行に特化した商談会「ジャパン・ラグジュアリー・トラベルマーケット(ILTM Japan)」が京都で開催されました。会場のザ・ソウドウ東山では、日本の富裕層旅行マーケットの開拓を目指し、国内外のバイヤーと出展者が商談を繰り広げました。次期開催は、2014年3月17日~19日に決定しています。では、富裕層旅行とはどのようなものなのか。今回は、国内外の有識者による富裕層旅行セミナーを報告します。

※京都で日本初のラグジュアリー・トラベル商談会「ILTM JAPAN2013」開催
http://inbound.exblog.jp/21590385/

目次
セミナー報告
講演「富裕層旅行市場の現状と今後の動向」
講師:Alison Gilmore(Reed Travel Exhibitions社)
「アジアにおける富裕層旅行市場の中の日本」
講師:Stephen Junca(Seactet Retreat社)
パネルディスカッション「日本の地域性から見る富裕層旅行市場への取組み」
パネリスト:Alison Gilmore(Reed Travel Exhibitions社)
       Stephen Junca(Seactet Retreat社)
       遠藤 由理子(JTBグローバルマーケティング&トラベル ブティックJTB事業室長)
      Jens Moesker(シャングリ・ラ ホテル東京総支配人)
モデレーター:福永 浩貴(株式会社アール・プロジェクト・インコーポレイテッド)
Alison Gilmore 氏インタビュー
ILTM Japan 2014概要
<編集後記>


セミナー報告
「富裕層旅行市場の現状と今後の動向」 (Alison Gilmore/Reed Travel Exhibitions社)他
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今日の世界の富裕層が好むのは、必ずしもプライベートジェットやクルーズ客船、ファイブスターホテルのスタイリッシュな客室などにイメージされる豪華な旅というわけではありません。では、「ラグジュアリー旅行」の定義とは何でしょうか。

「ラグジュアリー旅行」には、クラシックモデルとニューモデルの2つのタイプがあります。以下、それぞれのキーワードを書き出してみます。

●クラシックモデル
High level of comfort(ハイレベルの快適性)
Status symbol(ステイタスシンボル)
The best service(ベストなサービス)
Privacy Guaranteed(プライバシーの確保)
Exclusive location(独占的なロケーション)

これは従来型の「ラグジュアリー旅行」のイメージです。一方、今日主流となっているのは以下のようなものです。

●ニューモデル
Experiential travel(体験旅行)
Authentic experiences(“本物”の体験)
Ecotourism(エコツーリズム)
Voluntourism(ボランティア旅行)
Sustainability(持続可能性)
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両者を比較すると、以下のようなキーワードで対比できます。

クラシック   vs ニューモデル
Product(製品)   Experience(体験)
Place(場所) Everyplace(どこでも)
Price(価格)     Exchange(交換)
Promotion(プロモーション)Evangelism(福音主義)

今日の富裕層が求めているのは、“本物”の体験です。インドやブラジル、中国といった新興国ではまだクラシックモデルが一般的かもしれませんが、日本をはじめとした先進国ではニューモデルの旅が求められています。

日本には“本物”があります。日本のラグジュアリーのDNAと私が呼ぶキーワードは以下のようなものです。

Heritage(遺産)
Culture(文化)
Craftsmanship(熟練した職人の技能)
Service(サービス)
Prestige(信望)
Privacy(プライバシー)
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こうしたDNAをすべて兼ね備えた日本には、富裕層旅行マーケットとしての大きな可能性があります。でもまだ海外ではよく知られていません。ILTM Japanは、こうした日本の魅力を世界にアピールする場となるはずです。
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“本物”の体験の重要性については、Seactet Retreat社のStephen Junca氏も「アジアにおける富裕層旅行市場の中の日本」と題された講演の中でも指摘されました。

パネルディスカッション「日本の地域性から見る富裕層旅行市場への取組み」の中で、JTBグローバルマーケティング&トラベル ブティックJTB事業室長の遠藤由理子氏は、同社の富裕層旅行者の受け入れ実績を通じて、彼らが求めるのは日本の文化や歴史に関する“本物”の体験であること。すべて顧客一人ひとりのリクエストに応じたテーラーメイドな旅程が組まれていること。今後重要となるのは、富裕層に“本物”の体験を提供してくれる日本各地の多様なサプライヤーとのネットワークであると述べています。


Alison Gilmore 氏インタビュー
「文化や伝統に富んだ日本は魅力的なディスティネーション」

ILTM Japanエキジビション・ディレクターのAlison Gilmore 氏は、過去20年間、富裕層旅行マーケットの現場で経験を積んできました。Gilmore 氏に話を聞きました。

――日本の富裕層旅行マーケットをどう捉えていますか。
「日本のポテンシャルはとても大きい。世界の富裕層旅行マーケットの潮流は、かつてのような豪華さを追求するだけでなく、本物志向の体験を大事にする旅行に変わりつつあります。文化や伝統に富んだ日本は魅力的なディスティネーションです」。

――日本では大手の旅行会社でも富裕層というセグメントを意識した顧客の取り込みを手がけたのは最近のことです。ヨーロッパでは富裕層旅行にも歴史がありますね。
「ヨーロッパでは19世紀にすでにグランドツーリズと呼ばれる富裕層旅行の歴史があります。富裕層旅行はもともとクローズドなマーケットなので、海外でも実際に手がけているのは、プライベート・コンシェルジュと呼ばれる、特定の顧客を持った小さなエージェントが多いです。ILTMはそうしたバイヤーたちが出会うプラットフォームを提供しているのです」。

――日本の富裕層旅行マーケットの現状についてどうお感じですか。
「日本の知名度はまだ低いと感じています。これまであまりインバウンドのプロモーションをしてこなかったこと。国内旅行客へのアピールが中心で、海外に対する情報発信ができていなかったと思います。しかし、世界の富裕層旅行のトレンドが豪華型から体験型に変わってきたため、日本の魅力が注目されています」。

――今春、日本でILTM Japanを開催した目的、経緯は?
「世界の富裕層旅行を扱うエージェントの多くが日本に興味を持っているのに、なかなか入っていくのが難しいマーケットと考えられていました。今回、京都市がとても協力的で、実現にたどりつけました」。

――手ごたえはどうでしたか。
「大成功だったと思います。今回参加いただいた海外のバイヤーの多くがすでにお客さまを日本に送っていただいています。何より彼らが日本について知ることができたのが大きいです。やはり、彼らに実際に日本を見てもらうことが重要です」。

――アジアからのバイヤーもいましたね。
「シンガポールや中国などですね。今回は初の開催でしたから、日本に近いアジアの国々のバイヤーが多かったですが、次回からは欧米諸国などもっとバランスをとることができると思います」。

――海外の富裕層は日本のどこに興味を持っているのでしょうか。
「やはり日本の文化や伝統です。海外から見て、日本は神秘的な国です。もっと誇っていいと思います」。

――海外に向けてプロモーションをするうえでのポイントは?
「言語は障害ではありません。日本は旅行のインフラも整っています。簡単に旅行できる国であることをもっとPRすべきでしょう。富裕層というとお金持ち相手というイメージが強いですが、ただ単にお金持ちをターゲットにしているわけではありません。日本には魅力的な素材がたくさんあるので、もっと映像やイメージを使って海外に情報発信すべきです。これ以上、なにか新しいものをつくるというのではなく、既存のものをアピールすることです」。

――商談会に参加するにあたって何か基準はあるのでしょうか。
「ILTMには独自の審査基準があって、それを満たした方のみご参加いただけます。それはこれまでの弊社の経験からその商品が富裕層にアピールするかどうかを判断するというものです。自分たちの商品に誇りをもってお話いただければ、ご相談に乗ります。私たちも商談に参加していただけるにふさわしいサプライヤーを独自で探しています」。

――来年のILTMについて教えてください。
「商談会の会場は今年と同じザ・ソウドウ東山ですが、パーティは来年2月にオープンするザ・リッツカールトン京都で開く予定です。もしこれから富裕層マーケットを手がけたいと考えていらっしゃる方は、ぜひ参加していただきたいです」。

ILTM Japan 2014概要

日時 2014年3月17日~19日
会場 ザ・ソウドウ東山(京都市)

ILTM Japanは、富裕層旅行の知識やネットワーク、ビジネスなどを国内外のバイヤーと出展者に対し提供する、日本で唯一のイベントです。来年で2回目の開催となります。

ILTM Japan日本事務局(株)アールプロジェクト内 
http://www.iltm.net/japan

※ILTMについて
International Luxury Travel Market (ILTM)は、毎年カンヌ(12月)と上海(6月)で開催され、主催者によって厳選された、世界の富裕層旅行のバイヤーやサプライヤーが一堂に会する商談会です。カンヌでは1300社以上の出展者と1300名のバイヤーが参加、上海でも500社以上の企業と500名のバイヤーが集います。出展者は高級ホテル、レストラン、リゾート、プライベートジェット、リムジン、クルーズ、カジノなど極上のラグジュアリー体験を提供できる上質なサプライヤーが選ばれています。

<編集後記>
これまで日本の旅行業界はマスツーリズムに傾注し、クローズドな富裕層旅行マーケットについてはPRも含め、経験不足だったことは否めません。こうしたなか、観光庁やILTM Japan関係者らが富裕層旅行マーケットの促進に取り組むのは、外国人富裕層がもたらす経済効果はもちろんですが、世界の旅行トレンドを先取りする富裕層の影響力に期待しているからでしょう。

日本人はどうも自分たちの魅力をよくわかっていないところがあるようです。価格に捉われず“本物”を追求する富裕層旅行者への取り組みは、日本のよさを再認識するいい機会にもなると思います。ILTM Japan事務局の福永浩貴氏によると、来年の開催に向けて、旅行会社やホテルだけでなく、伝統工芸の関係者からの問い合わせも増えているそうです。

今回のセミナーはかなりコンセプチュアルで啓蒙的な内容でしたが、今後は実際に富裕層の受け入れを行っている関係者の生の声を聞いてみたいと思いました。そういった方々こそ、海外の富裕層に喜ばれるポイントをいちばんご存知だと思うからです。
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by sanyo-kansatu | 2013-12-20 07:41 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 05日

大きな伸びを見せたのは、台湾やタイといった親日国(トラベルマート2013報告 その3)

トラベルマート会期中の11月28日の夜、一般社団法人ASIO(アジアインバウンド観光振興会)の総会がありました。

一般社団法人ASIO(アジアインバウンド観光振興会)
http://www.shadanaiso.net/index.html

そこでは恒例のセミナーがあります。アジア各国・地域にそれぞれ強いランドオペレーター関係者による「アジアインバウンドの最新動向」の報告です。

※今年6月上旬のセミナーについては「今年の夏、日本はアジア客でにぎわいそうです(社団法人AISO第1回総会報告)」)を参照。
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まず理事長の日本ワールドエンタープライズ株式会社の王一仁社長による開会の挨拶から始まりました。

「AISO創立から今年で7年目。震災から2年たち、今年はアジアインバウンドの流れが大きく変わった年といえるでしょう。円安効果も大きいですが、東京オリンピック開催決定や富士山の世界文化遺産登録など、さまざまな追い風が吹いています。

AISOの加盟企業は現在約160社。半分はランドオペレーターで、残りはホテルやテーマパーク、レストラン、運輸業者などの方々です。お互い協力して日本のインバウンドを盛り上げていきましょう」。

次に株式会社ジェイテックの石井一夫常務理事による今年の総括です。

「今年のアジアインバウンドに弾みをつけたのは、7月のアセアン諸国に対するビザ緩和が大きかったといえます。このままいけば、今年は初の訪日外客1000万人を達成することでしょう。なかでも大きな伸びを見せたのは、台湾やタイといった親日国だったように思います。

それでも、訪日外客の6割を占めるのは、韓国、台湾、中国本土です。韓国はいったん回復してきたかに見えましたが、秋口から伸び悩んでいます。一方、中国市場は概ね回復基調にあると思います。

今後は、アジアの個人客向けの商品、特に来日してから各自が参加する「着地型」のツアー商品の開発などに力を入れていくべきでしょう。ここにいらっしゃる関係者の皆様には、ぜひ我々ランドオペレーターに新しいコンテンツをご提案いただきたいと思います。それを海外の旅行会社につなげていくのが我々の仕事ですから」。

株式会社トライアングルの河村弘之常務理事からは、以下の3つの話題提供がありました。
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①ツアーオペレーター品質認証制度について

同制度は、「事業者(ツアーオペレーター)の品質を保証することにより、訪日旅行の品質向上と、訪日旅行者が安全、安心で良質な旅行を楽しんで頂くことを目的として作られ国からも推奨された品質認証制度」です。

ツアーオペレーター品質認証制度 http://www.tour-quality.jp/

株式会社トライアングルは最近、同制度の認証登録をすませたばかりですが、河村理事によると、中小企業の多いインバウンド業者にはかなりハードルが高いのが実感だといいます。認証の条件として、①旅行業登録していること、はともかく、②訪日ツアーにインバウンド旅行保険をかけること、そして何より③プライバシーマークの取得済み(1年以内に取得予定であること)が経営にとって大きな負担となるからです。

※プライバシーマーク(Pマーク)は、個人情報保護に関して一定の要件を満たした事業者(基本的には法人単位。ただし、医療関連については病院ごとなど例外あり)に対し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会 (JIPDEC) により使用を認められる登録商標。

プライバシーマーク制度
http://privacymark.jp/

現在、AISO加盟企業の中で、認証登録をすませているのは、農協観光とアサヒホリディサービスの3社だそうです。

②タイからの訪日客の動向

「今年のタイ市場は、北海道が人気。ビザ免除で市場は活気づいています。ただし、募集ツアーは今後価格競争が激しくなることが予想されます。ですから、弊社はタイではインセンティブツアーを専門に営業しています。企業の社員旅行としての訪日ツアーの取り込みです。現在、タイに進出している日系企業は約3000社。そのうち、従業員数100名以上の企業は約半数。みなさん、現地の日本企業に営業に行かれたことはありますか。旅行博に行くのもいいですが、タイの場合、インセンティブ市場が大きいことを知っていただきたいと思います」。

※JETROによると、タイに進出した日系企業数:1,458社(2013年4月現在のバンコク日本人商工会議所会員数)ですが、実際は約3000社といわれます。

③シンガポールからの訪日客の動向

「震災後に韓国に次いで訪日客の戻りが遅かったシンガポール市場ですが、今年は北海道行きが7割を占めるほどの人気でした。もっと行きたいが、エアが取れないという話です。シンガポールの旅行業者は、中国などとは違い、日本のランドオペレーターとの関係を大切にしてくれます。シンガポール市場に商材を売りたいなら、AISOのランドオペレーターにまず声をかけていただきたいと思います。それが早道です」。

アメガジャパン株式会社の清水和彦理事からは、中国本土市場の話がありました。

「今年の弊社の中国本土客の取扱は、1~3月が前年比マイナス60%、4~6月がマイナス30%、7~9月でほぼ前年度の水準に戻り、9月はおそらく新旅游法の駆け込み需要で過去最高になりました。10月以降は、去年が尖閣問題でボロボロでしたから、前年度比ではプラスになると思います。そういう意味では、団体ツアーはほぼ回復したと考えています。

中国の訪日市場の動向は地域によって一様ではありません。広東省はすでに回復し、北京でもだいぶ戻ってきたようですが、最大のマーケットである上海の遅れが目立ちます。

新旅游法の背景には、中国の原価割れしたツアー商品の横行があります。オプショナルツアーや土産物店への連れ込み、ホテルの変更はすべてNGとなりました。その結果、弊社が多く扱う広東省の旅行会社のツアー料金の推移を見ていると、韓国や台湾、タイなどが軒並み2~3倍にアップしている一方、日本ツアーの価格上昇はそれほどでもないため、日本の割安感が出てきたと感じます。来年の春節がどうなるか、大いに期待したいと思いますが、依然日中間の政治問題が解決していないのが気がかりです」。

株式会社アサヒホリディサービスの和田敏男理事からは、マレーシア市場の話がありました。

「マレーシアの旅行業界は、タイなどと違い、大手数社が独占しているという市場です。東南アジアの中では訪日旅行市場は後発ですが、LCCも今後ますます就航するという話ですから、期待の持てるマーケットだと思います。最近、小グループの団体が増えてきました。以前なら30~40名の団体が多かったのですが、6~8名くらいのプライベートなツアーが多いのです。求められているのは、すでに定番のツアーコースではなく、個性的な旅です。

イスラム国ですから、ハラルを気にする方が多いと思いますが、一部の方を除くと、そこまで厳格に考えることはまだないのではと感じています。最近、六本木にハラル専門レストランができたと聞きますし、また東京大学にはハラル専門の学生食堂があるそうです。ハラル認証を取得するための協会も国内にいくつかできていますので、そこで研修を受けられることをおすすめします」。

最後に再び王理事長による香港とフィリピンの話がありました。

「今年は香港や台湾からの訪日客が激増しました。香港客の大半はリピーターです。航空券さえ安いものが出れば、必ず日本を訪れます。日本人のアジア旅行と一緒です。11月から香港エクスプレスの羽田便がデイリーとなりました。片道1万円と安いので、これからのクリスマスシーズン、たくさんの香港客が東京を訪れることと思います。
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フィリピンからの訪日客も増えてきています。12月からフィリピン航空が大幅に増便します。どうしてこんなに増便するのかというと、最近のフィリピンの台風被災地に対する日本の支援も影響があると思います。フィリピンから日本の自衛隊の視察ツアーもあると聞いています。フィリピンの人口は9000万人です。これからがチャンスです」

※フィリピン航空(PR)は12月15日から、成田発着のマニラ線とセブ線を増便。マニラ線は現在1日1便だが、これを1日3便に変更。セブ線は週6便のPR433便/434便に月曜日を加えてデイリー運航にした上で、さらに1日1便を追加しています。

関係者のみなさんの報告を聞きながら、今年は「アジアインバウンドの流れが変わった」ことをあらためて実感しました。何より市場の分散化が進んでいることがいい流れだと思います。

その一方で、こうした手放しの喜びようで、はたして来年本当にアジアインバウンドは順調に進展するのだろうか。中国政府の不穏な動きが続くなか、ひとたび何か起こればすべて吹き飛んでしまうのではないか、というあやうさもはらんでいるように思えてなりません。

また、今年は台湾やタイほかの東南アジアの国々のように、日本の文化的影響力が強い国々からの訪日客増加に大いに救われたところがありましたが、そうでない国々に対してどう訪日旅行をPRするべきか、という課題が印象付けられた年でもあったと思います。たとえば、インドやロシアといった未知の大市場に対してどう取り組むか。来年に向けて新しいチャレンジが必要ではないかと思った次第です。
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トラベルマート会場から桜木町駅に向かうみなろみらいの夜景はとてもきれいでした。
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by sanyo-kansatu | 2013-12-05 10:58 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 04日

実際、商談はどれほど進んでいるのか?(トラベルマート2013報告 その2)

トラベルマートの会場は、日本の出展ブースが海外バイヤーのテーブルを取り囲むような構図で配置されています。B2Cのイベントではないため、出展ブース自体は地味なので、天井が高いぶん、ちょっと殺風景に見えなくもありません。
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それでも海外から招致した304社の内訳をみると、タイ20社、ベトナム30社、フィリピン29社など東南アジアの旅行会社が多く、参加国も21カ国とバラエティ豊かです。会場にはひと目でそれとわかるアジア系の人たちと商談を進める日本の関係者の姿があちこちで見られます。
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今回ぼくはアジアFIT向けの商材として面白いものはないかという観点で日本側のブースを見て回りました。海外の旅行博に出展するのはハードルが高くても、トラベルマートなら比較的低コストで参加できますから、まだ見たことのないどんな新しい出展者がいるか、興味があったのです。会場で拾った話をいくつか紹介します。

面白かったのが、「フェリーさんふらわあ」の関西と九州を結ぶナイトクルーズです。これは大阪⇔別府、大阪⇔鹿児島(志布志)、神戸⇔大分間を最安1万円で往復できる格安プランで、現地0泊、船中2泊でリーズナブルに旅行が楽しめることから、「弾丸フェリー」として知られています。
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フェリーさんふらわあ
http://www.ferry-sunflower.co.jp/

同社の営業担当者によると、2007年~08年頃、韓国で関西&九州周遊ツアーがヒットしたことから、外客利用は当時がピークで、今年は中国客の利用も減り、国内客がメインになっているそうです。しかし、最近は海外のバックパッカーの利用も見られるようになったとか。近隣国に比べ国内移動が割高な日本ですが、これからは海外のFITにもっと利用してほしいものです。ナイトクルーズでは見ることのできない瀬戸内海の美しさを知ってもらうためには、昼間の航路でも外客向けの格安料金を打ち出す必要があるかもしれません。

もうひとつは、六本木にある大型和風ニューハーフショーレストランの「香和」です。先日、新宿歌舞伎町の「ロボットレストラン」を訪ねて以来、東京にはもっと外客向けのナイト・エンターテインメントが必要とされていると感じていました。
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香和
http://www.kaguwa.com/

同社の営業担当者によると、「香和」のコンセプトは「歌舞伎ほど高尚でなく、気軽に和風エンターテインメントを楽しめるショーレストラン」だそうです。外客の来店は1割程度で、半数ははとバスの東京ツアーなどで来店する国内のおばさま族だとか。「東京は世界一ナイトライフの種類があふれる街だと思いますが、これまで外国人に対しては閉鎖的でした。言葉の壁が大きかったのでしょう。まだまだ海外のお客さんを楽しませることのできるスポットは少ないと思います」。

その担当者も欧米客であふれる「ロボットレストラン」の評判を知っていて、なんとかしたいと考えているようですが、どうやって外客にPRすべきか、まだ妙案は見つかっていないとのこと。トラベルマートへの出展は今年で4回目だそうです。外国人にとって、日本の何がウケるのか。やはりそれは「Japan is amaging!」ということではないかとぼくは思っていますが、では何がamagingなのか。もう少し考えてみる必要がありそうです。

自治体のブースでは、島根県隠岐観光協会が目を引いていました。というのも、PRスタッフが2名の外国人女性だったからです。
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隠岐観光協会Facebook
https://www.facebook.com/okikan

おふたりは隠岐在住のオーストラリアとニュージーランド出身の現地観光職員で、ニュージーランドの方は地元の日本人男性と結婚されているそうです。隠岐では「島ガール旅」という若い女性向けの観光キャンペーンを繰り広げていることを今回初めて知りました。やはり、PRに外国人を起用するといった意外性は有効ですね。取材していたのは、ユネスコの支援する「日本ジオパーク」のひとつに選ばれた隠岐の活動を紹介するために来たNHKの地元局だったそうです。

隠岐スタイル☆島ガール旅
http://www.kankou-shimane.com/mag/12/09/geo.html

あと気になったのは、福島県のブースでした。「Welcome to Fukushima!」という英語の大きなメッセージが印象的でした。今年、東北の国内旅行はほぼ回復されたとされるなか、外国客はまだ戻っていないといわれています。
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では、どうやって外国人観光客を呼び込めばいいのか。これは地元の人たちがただちに望むことではないのかもしれませんが、日本の事情を知らない外客相手には、正攻法の観光PRではなく、海外でも多くの事例のある「被災地ツーリズム」の手法を開発しなければならないのではないかと思います。

その点に関して、評論家の東浩紀さんの提唱する「ダークツーリズム」は参考になると思います。

福島原発事故、観光でイメージ回復を-東浩紀・石川和男対談
http://blogos.com/article/70569/

さらに、東氏は「福島第一原発観光地化計画」なるプロジェクトも推進しようとしています。実に興味深い動きです。

福島第一原発観光地化計画
http://ch.nicovideo.jp/fukuichikankoproject

さて、前回紹介したキム記者から聞いた最近の韓国のインバウンド市場の話も興味深いものでした。話を聞き出すには、相手を持ち上げるのもひとつの手ですから、キム記者にぼくはこう切り出しました。

――日本からみれば韓国はインバウンド先進国。日本は韓国から学ばなければならないことがたくさんあります。今年は中国からの訪韓客が450万人になりそうだとか。すごいですね。

「でもね、10月から施行された新旅游法の影響が徐々に出ていますよ。韓国の土産店は次々に倒産しています。同法では、ツアー客の土産店への連れ込みを禁止しているのですから。中国客を専門にしていたランドオペレーターも倒産しています。もちろん、中国のツアーが正常化していくのはいいことですが、韓国政府もジレンマに陥っています。

特にひどいのが済州島です。あそこは中国人のビザを免除している関係で、ツアー客も多いですが、中国からの投資で土産物店などもたくさんつくられ、結局、地元にはお金が落ちないんですから」

――日本も同じようなものですよ。それはともかく、日韓の観光客の往来もともに減少していますね。

「これは社会心理による影響が大きいと思いますよ。私も韓国から日本へお客さんをもっと送るため、あの手この手を考えていますから、日本からも韓国へ送客してくださいよ。やはりギブ&テイクでしょう。そうでないと、このままでは先行きが見えません。韓国の観光業者も頭を痛めていますよ」

こういう本音がもっと率直かつオープンに語られるべきだと思いますが、キム記者によると、最近韓国観光公社のある幹部が日本寄りだとの理由で降格されたといいます。こういうのは本当にくだらないですね。

さて、トラベルマートは、外客を呼び込みたい日本の関係者と日本に送客したい海外の旅行会社の、いわば“集団お見合い”ともいえるイベントです。実際のところ、どれほど商談が進んでいるのでしょうか?

実は、来年開催予定の「ツーリズムEXPOジャパン」に統合されることになったトラベルマートの今後についてこんな声がありました。

そもそも旅行博との一体化は、商談会の出展者にとって有益なのか、疑問だというのです。

ある出展者は言います。「現行のトラベルマートのブース出展料は5万円。だから、これまで出展してきたが、一体化によって料金が高くなるなら出展は難しい」。

国際的な旅行博としてグレードアップしたい主催者側の思惑はともかく、出展者にとって、これまでトラベルマートは商談会としてどれほどの収穫があったのか。これを機に、検討し直す動きが出るかもしれないというのです。このあたりの認識は民間事業者と自治体では当然違うでしょうが、より本格的な商談会として機能させていくためには何が必要か。あらためて議論することは意味があると思いました。
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by sanyo-kansatu | 2013-12-04 10:45 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 03日

「普遍的な日本の魅力」って何だろう?(トラベルマート2013報告 その1)

11月27日~29日、みなとみらいのパシフィコ横浜で「Visit Japan Travel Mart 2013」が開かれました。海外の旅行会社やメディアを招聘して行う観光庁主催のトラベルマート(B2B商談会)です。

観光庁の資料によると、今回海外から304社(21カ国・地域)のいわゆる「バイヤー」が来日。彼らに日本を売り込む国内の観光業者や自治体などの312社・団体が出展したそうです。

※2011年のトラベルマートについては、「インバウンド商談会って何?(トラベルマート2011 その1)」
他を参照。
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28日の9時半から開会式がありました。今年8月に就任したばかりの久保成人観光庁長官やJNTO理事長、横浜市長、海外からの来賓がスピーチし、東京オリンピック開催決定や訪日客が今年初めて1000万人を達成しそうだと報告しました。

ちなみに久保成人観光庁長官はこの方です。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/about/message.html

開会を告げるテープカットの後、質疑応答がありました。まず、日本人記者が来年、開催される「ツーリズムEXPOジャパン」の狙いについて質問しました。

実は、「Visit Japan Travel Mart」は今年で最後の単独開催だったのです。来年からは、元海外旅行博の「JATA旅博」と国内旅行博にあたる「旅フェア日本」が統合され、「ツーリズムEXPOジャパン」(2014年9月25日~28日/東京ビッグサイト)となり、これにB2B商談会の「Visit Japan Travel Mart」も同時開催として加わることになるそうです。

ツーリズムEXPOジャパン
http://www.t-expo.jp

観光庁長官は、これら3つの旅行イベントをひとつに統合する理由について「世界を代表する旅行博覧会であるITBベルリンやWTMロンドンに負けないよう、アウト/イン/ドメスティックの日本の旅行市場のさらなる発信力アップを図りたい」とコメントしています。

もうひとつの質問は、韓国のキム記者です。彼は毎年トラベルマートに招聘されているベテラン記者です。彼は尋ねました。「来年4月、再来年と日本では消費増税が続きますが、外客への免税措置など、どんな優遇対応を考えているか」というものです。いい質問ですね。

長官のコメントは、現在検討中で、すでに決めた化粧品などに加え、免税品目の枠を広げるよう観光庁も政府に要求しているとのこと。

この点については、本ブログでも以前書いた「韓国政府は来年から外国客のホテル増値税10%を返還するそうです」からもわかるように、韓国の外客に対する免税措置は徹底しており、日本より進んでいるといえます。あとでキム記者に聞いたのですが、ホテル増値税の返還はこれまで韓国では何度かやってきたことで、来年の施策も期間限定だと思うという話でした。

さて、10時20分からは場所を移して外国人記者会見です。まず観光庁参事官から「日本のインバウンドツーリズム促進のための対応」という報告がありました。
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そこでは、2020年の東京オリンピック開催が日本の観光立国の推進に追い風となるという話から始まり、今年10月の段階で訪日外客数が過去最高だった2010年を超えたこと。今年、訪日客が増加した理由として以下の4つを挙げました。
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①ASEAN諸国を対象としたビザ緩和
②円高是正
③オープンスカイにともなう国際線フライトの増加
④日本の景気回復

さらに、観光立国を実現するための4つのアクション・プログラムとして以下を挙げています。

①日本ブランドの作り上げと発信
②ビザ要件の緩和等による訪日旅行の促進
③外国人旅行者の受入の改善
④国際会議等(MICE)の誘致や投資の促進
詳しくは、http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankorikkoku/dai2/siryou1.pdf

そして、最後がビジットジャパンキャンペーン10周年を機に、海外プロモーションの抜本的転換を図るとして展開された「DISCOVER the SPIRIT of JAPAN」の紹介でした。詳しくは、観光庁の以下のリリースを参照していただくとわかりますが、要するに、日本の新しい売り方に対するひとつの方向性を観光庁が打ち出したということでしょう。

「震災から2年、ビジット・ジャパン事業10周年の新展開『DISCOVER the SPIRIT of JAPAN』」
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000163.html

そこには「6カ国8人の外国人を含む11人の委員で構成する『普遍的な日本の魅力の再構築・発信に関する検討会』がまとめた、『訪日観光3つの価値』を踏まえ、PR映像、ウェブサイト、ガイドブックについて、震災時に世界から称賛を浴びた『日本人』を切り口に一新した」と書かれています。ここでいう「3つの価値」とは、Character、Creation、Common lifeだそうです。

日本の魅力とは何か。外国人も含む有識者の委員会で話し合ったところ、「それは日本人そのものだろう」というわけです。委員会というのは、「「普遍的な日本の魅力」の再構築・発信に関する検討会」(座長:西村幸男東京大学副学長)というもので、そこに出席した委員や議論については、以下、簡単にまとめられています。
http://www.mlit.go.jp/common/000991842.pdf

これらの議論を経た成果として、新設された160本以上の動画を配信するサイト「DISCOVER the SPIRIT of JAPAN」がこれです。
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DISCOVER the SPIRIT of JAPAN
http://www.visitjapan.jp

次に、JNTO海外マーケティング部長による「2014年、日本のツーリズムのトピックス」という報告がありました。そこでは現在、今年の訪日プロモーションのラストスパートの段階にあり、その目玉として、12月1日~2月28日まで開催される「ジャパン・ショッピング・フェスティバル」の概要が話されました。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000187.html
「ジャパン・ショッピング・フェスティバル」公式Facebook
https://www.facebook.com/pages/Meet-The-New-JAPAN/422616404469024

また、外客による写真コンテストやSNSを活用したキャンペーンの強化、ムスリム客対応の新たな取り組み、今年年末から来年にかけて世界的なブランド力を持つホテルが次々に開業する話もありました(関連する話題として「東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】」)。

質疑応答では、前述の韓国キム記者が「今年、ASEAN客が増加した理由は?」「韓国FITにも人気のある白川郷へのアクセスをもっと便利にできないか」と質問しています。

それに対し、観光庁参事官は「今年、『東南アジア横断プロモーション』がスタートし、ビザ緩和が進んだため」「国内観光地のアクセス向上に今後も努める」と回答。

またカナダ記者から「『DISCOVER the SPIRIT of JAPAN』というが、日本ブランドをどうプロモーションするのか? カナダマーケットへの取り組みは?」という素朴な質問がありました。彼ら外国人記者の立場としては、当然の疑問だと思われます。そもそもネット配信と連動したどんな取り組みがあるのか、これだけではよくわからないからです。

ロシア記者からは「ロシア人にとって日本ビザの取得は大きな障害。東京よりNYのほうが行きやすい」という指摘もありました。

気持ちはよくわかりますが、こればかりは日露両国が相互に緩和していく必要があると思います。この記者はそのあたりの事情をどの程度理解しているのでしょうか。実際、日本人にとっても、ロシアはビザ取得のために宿泊先のバウチャーを必要とするなど、自由旅行をするのはとても面倒な国のひとつです。

とはいえ、ロシア人の海外旅行市場は想像する以上に規模が大きいことから、今後訪日旅行のターゲットとして重要になっていくと思います。相互理解を深めたいものです。
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さて、開会式と外国人記者会見の概要はざっとこんなところですが、いくつか気になったことを書き出します。まず、相変わらずの開会式の登壇者のうつ向きがちの英語スピーチ。これもう少しなんとかならないでしょうか。せっかくの開会式がお通夜のようだ、とまではいいませんけど、まったく盛り上がらないのです。これは毎回そうです。

韓国キム記者が質問した外客に対する消費税対応が今後どこまで進展していくか、というのも気になります。海外で我々も経験することですが、免税分の払い戻し手続きというのは面倒です。このあたり、韓国はけっこううまくやっているように思いますが、日本でこれを円滑かつシステマティックに進めていくのは、そんなに簡単ではない気がします。きっとキム記者からみると、日本の外客受入の整備はあらゆる面でまだまだと感じられるのでしょうね。

ある中国の旅行関係者にこんな話を聞いたことがあります。近年、パリのルイヴィトン本店に中国客がわんさか押しかけているのですが、問題は買い物をしたあと、VAT(ヨーロッパの付加価値税)払い戻しの手続きをするため、大勢の中国客が店内で大行列をなし、なかには床や階段に座って、ついにはおやつを食べ始めてしまうので問題になっているそうです。払い戻しのためのスタッフが2名しかいなくて、時間がかかるせいだとか。その様子が、中国のテレビニュースで流され、「こんなみっともないことはやめよう」と国民に対する啓蒙として報じられたそうです。

この悪夢のような光景は、日本でも起こる可能性がないとはいえません。

さて、今回の外国人記者会見は、以前に比べ、わかりやすくなったと思いました。なにしろ訪日旅行市場は好調ですし、ポイントも絞られていたからでしょう。ただし、ここは観光庁の業績をアピールする場といえなくもありません。どれだけ外国人記者にメッセージが届いたかについては少し疑問ですが、会見終了後、今回の参事官は会見場に長く留まり、記者たちと交流していた姿が印象的でした。

いろいろ考えさせられたのが、観光庁の新しいプロモーションのテーマである「DISCOVER the SPIRIT of JAPAN」です。観光庁が制作したプロモーションDVD「DISCOVER the SPIRIT of JAPAN 感受日本之心 领略东瀛之美」にはこんなメッセージが書かれています。

「日本観光の魅力とは『日本人』そのものではないでしょうか。
そのしぐさにこめた心配りに、
作品の細部に宿る職人の技に。
ささやかなこと『a little thing』のなかにある楽しみに。
『日本人』という切り口で眺めると
これまで観光資源になるとは思いもしなかった日常が
幾千もの魅力を持った、美しい輝きを纏うものであることに気付きます」

そもそも「普遍的な日本の魅力」って何だろう? そのひとつの回答として「日本の魅力は日本人そのものにある」というのは、同じ日本人として悪い気はしないのですが、はたして外国の人たちにそれがまっすぐ伝わるものだろうか、と思ってしまいます。日本に長く暮らしてきた在日外国人の方々が日本人に好感を持っていただけているというのはうれしいことですが、海外の日本を知らない人たちに同じレベルの理解を期待することはとても難しいと思うからです。ちょっと先走り気味という気がしないではありません。

少々皮肉めいていうと、昨今これだけ近隣諸国による日本に対する国際的なネガティブキャンペーンが続くと、「日本の魅力」を正当に評価してもらいたくなる気分はわからないではない。日本人は自分の良さをアピールするのが苦手だとさんざん言われてきたわけですし。

ただし、VJC事業10周年にともなう海外プロモーションの抜本的転換というわりには、この話、今年の春に始まったようですが、国内外でどこまで知られているのでしょうか。これはけっこう気がかりです。
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by sanyo-kansatu | 2013-12-03 12:42 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 11月 21日

25回 過去最高200万人超えなるか!? 今年の訪日5人に1人が台湾客となった理由

8月のタイのトラベルフェア(Thai International Travel Fair #13)に続き、10月は台北国際旅行博(ITF2013)に行ってきました。日程は、10 月18 日(金)~21日(月)です。
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台北国際旅行博(ただし、サイトの内容はすでに来年の告知に更新)
http://www.taipeiitf.org.tw/

JNTOが10月23日に発表した訪日外客数統計によると、2013年1月~9月の訪日台湾人は前年比52.3%増の166万9900人。伸び率でみればタイ59.2%増、ベトナム49.8%増、香港49.5%増と並んで見えますが、母数が違います。台湾は香港の3倍、タイの6倍近い規模です。訪日外客全体の5人に1人(21%)を台湾が占めていることからも、今年いかに多くの台湾客が訪日旅行したかを物語っています。

【追記】
昨日(11月20日)、JNTOから10月の訪日外客統計が発表されました。それによると、台湾からの訪日客数は21万3500人と前年同月比58.0%増、1~10月の総計はすでに188万3400人となり、200万人超えは確実と思われます。

台湾からの訪日旅行者の大幅な増加の背景に何があるのでしょうか。その答えを探るべく、旅行博の会場に入ってみることにしましょう。

ツアーの叩き売りのような展示即売ブース

台北国際旅行博(ITF)は毎年10月に開かれます。1987年から始まり、今年で27回目。会場は、台湾を代表する超高層ビル「台北101」(高さ509.2m、地上101階)に隣接する台北世界貿易センター1号館と3号館です。午前10時から開門されるのですが、1時間前から行列ができるほどの盛況ぶり。主催者発表によると、今回の来場者数は31万5240人と過去最高になったそうです。

台湾滞在中に見たテレビニュースや新聞でも、ITFのことは報道されていました。台湾の年間出国者数は1000万人相当で、総人口2300万人の約40%にあたる高い出国率が知られています(日本は13%)。それだけに台湾の人たちにとって旅行博は、日本では想像できないほど話題性の高いビッグイベントなのです。
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広い会場の中で、活況を呈しているのは、やはり地元の旅行会社のツアー即売会でしょう。タイでもそうでしたが、台湾でも旅行博ではスペシャルプライスのツアー商品が多数販売されます。各旅行会社の担当者は、マイクを片手にステージに上がり、びっしり貼り出された会期中限定の商品を販売します。ツアーの叩き売りといってしまうと、少し言い過ぎかもしれませんが、日本ではちょっと見ることのない光景です。売れ行きを見ながら、スタッフはその場でチラシも書き直します。ブース内にはPC端末がいくつも用意されていて、来場者はスタッフの説明を聞きながら商品を検討しています。

※ITF会場についての詳細は、中村の個人blog「来場者数が過去最高となった台北国際旅行博(台北ITF報告その1)」を参照。

広域連携化と豊富なFIT向け商品

今回、日本の出展ゾーンのにぎわいはひときわ目立っていました。展示ブースの間の通りは、人ごみで身動き取れないほどでした。
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地方自治体のブースは、北は北海道から南は沖縄まで勢ぞろい。興味深いのは、各県単位のバラバラな出展ではなく、広域連携化が進んでいたことです。

なかでも注目は、中部広域観光推進協議会でしょうか。中部北陸9県を巻き込んだ「昇龍道」プロジェクトを展開していたからです。
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「昇龍道」プロジェクト
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kikaku/syoryudo/index.html

関係者によると、「アルペンルートで人気を呼んだ富山県も、単独では集客に限界があるので石川県、福井県と横で連携し、さらに長野県、岐阜県、愛知県などとも縦で結び、『昇龍道』というネーミングをつけて一つのルートとして魅力付けした。日本は島国で、外国客は空から入ってくるしかないのだから、まず定期便の発着する空港同士を結ぶモデルコースをつくることが重要」とのこと。その点、台湾からは日本各地にフライトが多数就航しているぶん、モデルルートのバリエーションの可能性が広がっています。

自治体ブースがPR主体であるのに対し、企業グループはどれだけ旅行商品が販売できるかが勝負です。ITFでは、他の国の旅行博ではあまり見られない独特の販売スタイルとして、現地の旅行会社を自治体のブースの中に招き入れて、各地域のPRとツアー商品の販売を同時に行っています。これだけ競合相手がいると、価格競争が熾烈になるのは無理もなさそうです。

企業ブースで目に付いたのは、豊富なFIT向け商品が揃っていたことです。

なかでも近畿鉄道グループの中にある国内メディア販売大手のクラブツーリズムがFIT向けに販売しているバスツアーです。
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はとバスなどが催行する外国人向けバスツアーは、英語圏の利用者の比率が高いとされますが、クラブツーリズムの催行するツアーは、アジア客に好評です。最も人気があるのは富士山とフルーツ狩りを組み合わせたツアーだそうです。日本人向けと基本的に同じツアー内容で、最近では、日本人客とアジア客を混載する商品もあるといいます。

世界でいちばん目が肥えているといわれる日本の消費者を相手に長年練り上げられてきたクラブツーリズムのバスツアーが、アジアのFIT層にも受け入れられているというのです。日本人とアジア客が混載するバスツアーというのは、これからの新しい国内旅行のかたちを先取りしているといえるかもしれません。

ところで、異色のブースが日本の出版大手の角川書店です。同社では現地法人の台湾国際角川股份有限公司がローカル向け情報誌『台北ウォーカー』を発行していて、同誌の付録に日本旅行のための冊子『Japan Walker』があります。
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台湾国際角川股份有限公司 
http://www.kadokawa.com.tw/

近年、インバウンドビジネスにさまざまなメディア企業が参画していますが、長く現地に根付いて日本のコミックやライトノベルズ、情報誌などを発行してきた角川書店は、台湾の訪日旅行市場の下支えに大きく貢献してきたといえるでしょう。

※日本の出展ゾーンについては、中村の個人blog「地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)」、「FIT向け商品が続出する台湾市場(台北ITF報告その4)」を参照。

訪日客増加の背景にはオープンスカイがある

さて、そろそろ台湾からの訪日旅行者の大幅な増加の背景について、タネ明かししましょう。

それは、台湾と日本の間で結ばれた航空協定(オープンスカイ)です。

台湾と日本の航空協定は、2011年11月10日に調印されました。それによってチャイナエアライン(CI)とエバー航空(BR)の2社に加え、翌12年3月以降、マンダリン航空(AE)とトランスアジア航空(GE)を加えた4社が定期便を就航させています。

これに昨年以降、LCCが日本と台湾を結んでいます。日本のジェットスター・アジア(3K)やピーチ・アビエーション(MM)、そして元エアアジアのバニラエア(JW)、シンガポールのスクート航空(TZ)です。もちろん、これに日本航空と全日空が加わります。しかも、台湾のエアラインは日本の地方都市とも多く就航していることが特徴です。

台湾の訪日旅行は団体ツアーとFITが半々の割合だといいます。今回、台湾では、いわゆるスケルトン型といわれる航空券+ホテルのみの安いツアーが大量に販売されていることがよくわかりました。旅行会社はもちろんですが、エアラインも独自にツアーを販売しています。
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たとえば、今年9月に成田に就航したばかりのトランスアジア航空では、東京5日間のツアーが16900台湾ドル(約56000円)、大阪はなんと10999台湾ドル(約37000円)です。これなら軽い気持ちで日本に遊びにいこうと思えるでしょう。なにしろ台湾は2005年以降ビザが免除されていますから、前日でも予約できてしまうのです。

もちろん、日本側のプロモーションの成果も忘れてはいけないでしょう。もともと日台間には国交がないため、日本観光協会などが中心となって1990年代から細々と訪日PRを続けてきたそうですが、ビジットジャパンキャンペーンのスタートした2003年から本格的なプロモーションが始まっています。

関係者によると、台湾では新聞やテレビ、雑誌などあらゆるメディアを使った通常のプロモーションはすべて行っていますが、特に有効なのはFacebookだそうです。人口2300万人の台湾で1400万人がFacebookを利用しているからです。
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観光庁もFacebookのアカウントを持っていて、ブロガーの意見を載せたり、おすすめコースを紹介したり、新しいデスティネーションのショートムービーをつくって公開したりと、いろいろやっているようです。

日本政府観光局(台湾)公式サイト 
http://www.welcome2japan.tw/
日本旅遊活動 VISIT JAPAN NOW(Facebook) 
https://www.facebook.com/VisitJapanNow

現地で会った日本の関係者は台湾での訪日旅行プロモーションについてこう語ってくれました。「台湾というのはありがたいことに、何かやると必ず反応が返ってくるんです。レスポンスがすごくいい。やりたいことはだいたいできている。もともと台湾の人たちは日本に行く気があるので、うまく押してあげるといいんです」

では、この恵まれた台湾でのプロモーションは今後どうあるべきでしょうか。

「台湾の訪日旅行市場は多様化し、成熟化しているので、特定な地域を売ることも大事ですが、スポーツやグルメなど、新しい切り口を提案しながら呼び込むことではないでしょうか。たとえば、台湾国内ではマラソン大会が100近くあります。サイクリングも人気です。日本で走りたい人も多い。各種スポーツ団体と連携しながら、誘客を進めていくと面白いですね」

※訪日客増加の背景についての詳細は、中村の個人blog「過去最高200万人超えなるか!台湾客急増の背景にはオープンスカイがある(台北ITF報告その5)」を参照。

心温まる魅力いっぱいの訪日ツアーも続々

会場でお会いした現地の旅行関係者の話からも、台湾の訪日旅行市場の成熟ぶりを肌で実感できました。台湾の日本ツアーは実に多様化しています。以下、2つの例を紹介しましょう。

まず「日本輕井澤悠閒鐵馬泡湯自由行5日(軽井沢でのんびりサイクリングと温泉の旅)」です。長野県軽井沢で開催される「グランフォンド軽井沢」というサイクリング大会に参加し、温泉に浸かって過ごす4泊5日のツアーです。催行しているのは、台北の上順旅行社です。

上順旅行社 
http://www.fantasy-tours.com/
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このツアーを企画運営している海外個人旅遊部(FIT担当)の高世軒さんによると、「このサイクリングツアーは2011年夏から始めています。台湾ではサイクリングが盛んで、国内でも大会は多く開かれていますが、海外のスポーツ大会に参加したいと思っている人がたくさんいます。私自身もスポーツが大好きで、軽井沢で毎年5月末に開催されている『グランフォンド軽井沢』を最初のツアー先として選びました。軽井沢の新緑の一本道をサイクリングするのは最高の気分です。マイ自転車を日本に運んで走る人もいますよ。もちろん、温泉やショッピングもツアーに組み込まれています。うちのような専門の旅行会社が企画しているので、お客様も安心して参加できるんです」。

もうひとつのツアーは「田舎に泊まろう(來去郷下住一晩)」です。日本の農家に民泊(ホームステイ)するツアーです。舞台となるのは山形県飯豊町。特に観光名所があるわけではない、ごくふつうの日本の山村です。そこを訪ねた台湾客たちは民泊する農家の仕事を手伝ったり、家族と一緒に食事をしたりして、一晩過ごします。2010年春からスタートし、東日本大震災後に一時休止しましたが、12年に再開。年間200名以上の台湾客がツアーに参加しているそうです。

山形県飯豊町観光協会(ようこそThe日本の田舎へ)
http://samidare.jp/iikanjini/note?p=log&lid=310581

ツアーを企画したYUKIさんこと、名生旅行社の女性社員に話を聞きました。ちなみに彼女は元日本留学生です。

名生旅行社(トップページに同ツアーのミニ動画があります)
http://www.msttour.com.tw/web/major.asp

――「田舎に泊まろう(來去郷下住一晩)」について教えてください――

「ツアーは4泊5日か5泊6日の2パターンがあります。前者の場合、台北から仙台空港に飛んで、初日は山形県の上山温泉に泊まり、2日目は蔵王などをめぐります。午後に飯豊町の農家にホームステイし、翌日午前10時には家族とお別れになります。その日は銀山温泉に泊まり、最終日は松島などを観光して仙台空港から帰国します。

ホームステイの翌朝、車でお客さんを迎えにいくと、皆さん必ず涙を流して別れを惜しむんです。台湾のお客さんだけでなく、民家の方も泣いてしまう。一晩一緒に過ごしただけなのに、感動で涙があふれてくるんです」

――このツアーはどのようにして企画されたのですか?――

「数年前から台湾では日本のバラエティ番組の『田舎に泊まろう』が人気でした。こういうツアーが実現できたらいいなと思ったのが2009年。それから1年かけて弊社の会長と一緒に全国を訪ね、民泊にふさわしい農村を探したところ、飯豊町がいいということになりました。飯豊町では、もともと学生のホームステイを受け入れていたこともあり、観光協会に話をしたところ、快く受け入れてくれました」
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同ツアーは、2012年に台湾観光協会から優れたツアーとして金賞(金質旅游奨)が授与されています。実は、彼女が日本留学していたとき、TBSの『世界ウルルン滞在記』をよく観ていたそうで、それがこのツアー企画の原点だったそうです。まさに台湾発日本行き「世界ウルルン滞在記」のツアー版といえるでしょう。

これらのツアーに共通するのは、小規模の専門旅行社が催行していること。初めから数で稼ぐことは考えていないこと。そして、何より日本と縁があり、ベースとなる感動体験の持ち主である台湾サイドのキーパーソンが企画運営していることでしょう。加えて、日本の受け入れ側の鷹揚でかつ、きめの細かい対応が鍵だといえそうです。

こうした心温まる魅力いっぱいの訪日ツアーが台湾の旅行関係者自らの手によって生まれています。こういう話を聞いていると、うれしくなってしまいますね。逆に我々日本サイドは台湾に対してどんな新しい提案ができるのか、あらためて考えてみなければならないと感じました。

※本稿で紹介した2つのツアーの詳細は、中村の個人blog「台湾だから実現できた軽井沢サイクリングツアー(台北ITF報告その7)」、「台湾発日本行き『ウルルン滞在記』ツアーはこうして生まれた(台北ITF報告その8)」を参照。また本稿では触れなかった台湾の訪日旅行市場の最新動向については、「台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2)」、「台湾でいまホットな話題は『シニア旅行』と『自由旅行』(台北ITF報告その6)」を参照。

※やまとごころ.jp http://www.yamatogokoro.jp/column/2013/column_143.html
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by sanyo-kansatu | 2013-11-21 10:07 | 最新インバウンド・レポート | Comments(0)
2013年 11月 15日

歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか?

10月中旬、インバウンド(訪日外国人旅行)サイト「やまとごころ.jp」の仕事で、新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」を取材しました。とても面白いスポットだったので、以下その記事を採録します。

やまとごころ.jp「ロボットレストラン」インタビュー
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/2013/index06.html
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新宿歌舞伎町に、毎夜外国客であふれる秘密のレストランがある。キュートなニッポン女子ダンサーチーム《女戦~ジョセン~》と巨大アンドロイドによるダンスショーが楽しめる「ロボットレストラン」だ。2013年9月現在、延べ6万9000人の来場者の多くは欧米からの観光客。なぜこの異次元アミューズメントレストランにこれほど多くの外国客が夜毎足を運ぶのか。ダンサーでもある社長の大澤奈美恵氏に話を聞いた。

――ロボットレストランのショーのコンセプトを教えてください。

巨大ロボットと女性ダンサーによる、世界でもオンリーワンのダンスショーをお楽しみいただけます。当レストランにはふたつの顔があります。ひとつはロボットで、高さ3.4mの巨大女性アンドロイド=通称『ロボコ』や、アメリカからやってきたロボット『KING ROBOTA』、小型のロボットダンサーなどがいます。もうひとつが総勢30名のダンサーチーム『女戦~ジョセン~』です。彼女たちは和太鼓を打ち鳴らし、異次元空間を行き交いながら、戦車や戦闘機に乗ってロボットと一緒にダンスパフォーマンスを繰り広げます。
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日本人のみならず、海外からも多くのお客様が訪れています。著名人では、『バットマン』のティム・バートン監督や『スター・トレック』のJ.Jエイブラムス監督、『パシフィック・リム』のギレルモ・デルトロ監督らがご来店いただいています。2013年9月現在、来店者数は延べ6万9000人になりました。
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ショーの構成や演出は、私自身で担当しています。「日本一の歓楽街であるはずの歌舞伎町もいまやシャッター通りになってしまった。強くて美しい女性が世界を元気にしなくては!」というのがコンセプトです。そこになぜロボットかというと、近未来のイメージを打ち出したかったからです。女性ダンサーと一緒にロボットが踊って見せたら面白いじゃないですか。世界中探しても「ここだけにしかないもの」を創りたいと考えていたのです。
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約1時間のショーにお弁当とソフトドリンク付きで料金は5000円です。アルコールなどのドリンクは追加注文できます。ショーは1日3回。その前後は、ロボットや女の子のウエイトレスのいる待合室でおくつろぎになれます。店内の装飾は、スタッフ自らがおもしろいというものを海外で見つけて買い付けました。店内のメンテナンスや営業、広報もすべて自社で行っています。
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――お客さんの反応、楽しみ方はどうですか?

ショーがはじまると、みなさんノリノリです。海外のお客様は比率でいうと欧米の方が多く、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアの方たちがメインですが、盛り上がり方がアジアのお客様と全然違います。それに便乗して日本人も盛り上がってくれます。日本人のお客様は都内の方が多いように思います。
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東京のナイトライフにはこういうショーが楽しめる場は少ないのかもしれません。大型アミューズメントショーレストランとしては、六本木に明治時代の遊郭をイメージした『香和』やニューハーフショーの『金魚』がありますが、うちとはコンセプトが少し違います。

――外国人客はいつごろからどうやって来るようになったのですか?

オープンは2012年7月18日ですが、実は海外のお客様はわりとすぐにいらっしゃいました。正直なところ、海外の方がこんなにたくさん来るとは、まったく想定していませんでした。

日本のメディアより先に海外のメディアが大勢取材にいらっしゃったんです。最初に来たのは、ドイツやアメリカ、イギリスのメディアでした。オープン当初は日本の雑誌にも紹介されたのですが、来店してきたのは、むしろ欧米のお客様だったんです。

欧米メディアの一部はネットでも読めますが、「ブレードランナー」とか「オースティン・パワーズ(007シリーズのパロディ)」のfembotsのようにハリウッドSF映画のキャラクターにうちのショーのイメージを重ねたものや、ダンサーのセクシーさを強調するものなどいろいろです。

外国のお客様はたいてい口コミでうちを知るようです。おそらくメディアの記事やネットを見て、ホテルのコンシェルジュに場所を聞いてご来店されるのでしょう。弊社では女性ロボットの『ロボコ』をトラックに載せて都内を走らせ宣伝しているのですが、そのトラックを見て「なんだろう?」と思われて、あとを付いてきて来店されたというお客様もいました。

ありがたいのは、来店されたお客様の多くがFacebookに書き込んだり、トリップアドバイザーに載せてくださったりして、知らず知らずに知名度が広がっていったことです。いまは空港や観光案内所などに置かれている英語のフリーペーパーに広告を出して、それを手に取られたお客様が……、といった流れでご来店いただいています。
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昨年11月、うちに来店された観光庁の方から新宿のPRビデオの制作のお仕事をいただき、ワンシーンで当レストランを紹介させていただいたこともあります。
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JAPAN VIDEOS Shinjuku
http://www.visitjapan.jp/en/m/player/?video=72

――今後の展望はどうお考えですか?

すべてが“後付け”なんです(笑)。オープン前には外国人向けのPRをするなんて考えていませんでしたから。

今後の展望ということですが、リピーターのお客様に喜んでもらえるよう、ショーの内容を不定期ですが、新しいロボットを登場させたり、ワイヤーアクションを取り入れたりと、どんどん進化させていくつもりです。

このショーを国内外に関わらず、どこかに出店させたり、輸出したりという考えはありません。実は、海外で出店しないかという話を持ちかけられたことはあります。でも、「絶対ここ(歌舞伎町)でしかやらない。支店もいっさい出す考えはない」とはっきりお断りしています。私たちの自慢は「ここだけにしかないもの」をやるということだからです。

自信を持っていいたいのですが、今日ショーをご覧になったら、絶対お友達に紹介したくなると思いますよ。

「ロボットレストラン」
東京都新宿区歌舞伎町1‐7‐1 新宿ロボットビルB2F
TEL:03-3200-5500 営業:18:00〜23:00(予約9:00〜22:00)
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php
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他にも興味深いエピソードが盛りだくさんの「ロボットレストラン」。ここで触れられなかったこぼれ話は次回紹介します。

※この1年後、ロボットレストランを再訪しました。その様子は、以下のレポートで。

1年ぶりに再訪。ロボットレストランの客層が変わった!?
http://inbound.exblog.jp/23664029/
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by sanyo-kansatu | 2013-11-15 15:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)