ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 11月 03日

103 長白山には快適な山岳リゾートホテルがある

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長白山には、2010年頃から国際的な山岳リゾートホテルがいくつもできている。西坡にあるホライズン・リゾート(長白山天域度假酒店)は、館内に温泉施設もあり、快適な滞在が楽しめる。しかも、長白山空港から車で5分、山門まで10分の好ロケーション。(撮影/2012年7月)

※長白山の麓には5つ星の外資系ホテルもいくつかできています。このホテルは中国資本ですが、客室はラグジュアリータイプで申し分ありません。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(長白山編)
http://border-tourism.jp/changbaishan/
Facebook:ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
https://www.facebook.com/bordertourism.jp/
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by sanyo-kansatu | 2017-11-03 12:22 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 03日

中国一の スキーリゾートは吉林にある(松花湖国際スキー場&松花湖プリンスホテル)

北京冬季オリンピックの開催が2022年に決まり、いま中国ではウィンタースポーツが盛り上がり始めている。北京周辺を中心に続々新施設が誕生しているが、やはり雪質など自然環境に恵まれた東北地方のスキーリゾートの評価は群を抜いている。2015 年1月、吉林省吉林市の郊外に開業した松花湖国際スキー場は中国一のレベルを誇っている。白銀のゲレンデに舞う中国人スキーヤーたちの初々しい姿を追った。
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↑松花湖スキーリゾートの展望台『森之舞台』から眺めるゲレンデと氷結する松花湖の絶景

北京冬季五輪の開催決定で
活気づく中国のスキー市場


春節も近い今年2月初旬、吉林市郊外にある松花湖国際スキー場を訪ねると、京劇のような派手な装束をまとった男女が朝から雪の上を踊り舞っていた。

日本のスキー場ではお目にかかれない不思議な光景もあるが、ゲレンデに目を転じると、中国各地から訪れたスキーヤーたちが白銀の世界を心ゆくまで楽しんでいる。

若者のグループや小さな子連れのファミリー客も多い。スノーボーダーもかなりいる。ただ全体をみると、日本に比べ、初心者が多いこともわかる。圧倒的に密集しているのは、リゾートの目の前の傾斜のゆるいゲレンデだからだ。おそらく日本の1970年代前半のスキー場がこんな感じだっただろう。でも、スキーウェアは真新しいブランドもの。中国では、それなりの階層にいる人たちだと思われる。

中国でレジャーとしてのスキーが始まったのは2000年代以降。特にこの数年、スキー市場は活気づいている。背景には、2022年の北京冬季オリンピック開催の決定がある。中国政府は、この年までに中国でのウィンタースポーツ(スキー、スノーボード、スケート等)の愛好者、関連活動(イベント等)参加者、業界関係者などを含む人数を3億人にすると言い出している。これまでのようにエリート育成でメダルを量産するのではなく、スポーツ人口の裾野を広げることの重要性に気づいているからだろう。

「中国スキー産業白書(中国滑雪产业白皮书)」によると、昨シーズンにゲレンデへ足を運んだ国内客は延べ約1500万人(前年比20%増)に達し、全国で646のスキー施設(前年比13・7%増)があるという。愛好者は200万人といわれる。人口規模からいえば、まだ特別な人たちのレジャーであることには違いないけれど、オリンピック会場となる河北省張家口市周辺を中心に莫大な投資が行われ、続々と新しいスキーリゾートが開発されている。なかでも2003年に開業した万龍スキー場や、マレーシア資本で12年開業の崇礼密苑雲頂楽園スキー場、さらにはスイスやイタリアなどの海外資本も呼び込む巨大プロジェクトとなった15年開業の崇礼太舞スキー場は有名だ。

もっとも、スキーの本場は寒冷な気候や雪質など自然環境に恵まれた東北地方である。投資額は北京にはかなわなくても、白書が伝える国内上位施設のランキングでトップなのが松花湖国際スキー場だ。以下、2位長白山スキーリゾート(吉林省)、3位万龍スキー場、4位崇礼密苑雲頂楽園スキー、5位崇礼太舞スキー場、6位ハルビン亜布力スキー場(黒龍江省)と東北勢が上位を占める。いま中国一のスキーリゾートは吉林にあるのだ。
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↑リゾート内に現れた春節の舞い。いかにも中国らしい演出だ
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↑リゾート周辺には高い山がないため、はるかかなたの雪景色が見える
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↑子供連れのファミリーが多く、ゲレンデはおしゃべり声でにぎやかだ 
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↑スキーセンターではスキー用具の貸し出しやリフトチケットなどを販売。日帰りでスキーだけ楽しむ地元の人も多い 
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↑カラフルなスキーウェアに身を包むスキーヤーたち 
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↑4人に1人はスノーボーダー 
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↑子供向けのスキースクールもある。パンダのかわいいビブスを着けてボーゲンで傾斜を滑る 
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↑山頂レストラン『吉林ワン』のテラスからは吉林市内や松花江などが見渡せる 
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↑リフト1日券は5000円。日本と変わらない 
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↑日が沈むとかなり冷え込むが、夕食後のナイトスキーも楽しめる

11月には早くもオープン
松花湖国際スキー場


2015年1月、吉林市から東南約15㎞の山間に、松花湖プリンスホテルと松花湖国際スキー場が開業した。世界大会でも使用される競技用の本格的なコースのほか、ビギナーでも山頂から滑走できる多彩なコースなど28本を完備。レンタルスキーやスクールの予約ができるスキーセンター、おしゃれな山頂レストラン『吉林ワン』、高速ゴンドラや電熱シート装備のリフトなど、世界の最新設備が導入されている。

リゾートの周辺には、中国ディベロッパー最大手の万科グループが開発するショッピングモールや別荘エリアの並ぶ「吉林省松花湖国際リゾート」が広がっている。「プリンス」の名を冠した施設が中国に誕生するのは初めてだが、それには理由があった。日本のスキーリゾートの運営ノウハウを取り入れたい万科の意向で、開発コンサルティングからサービス全般までプリンスグループが担当することになったからだ。

集客は好調で、利用者の95%以上は中国人。地元東北三省や北京、上海、広州からが大半を占める。残りはロシア人と11月のプレシーズンにトレーニングを行う日本の若手選手たちだ。寒冷な気候ゆえ、営業期間が11月中旬から(3月中旬まで)と日本より早く始まるため、約1カ月この地で合宿を行った後、日本各地の大会や海外に転戦していくのだ。

人気の理由は雪質だ。シーズン中はマイナス20度から30度に下がるため、北海道旭川の水準に相当するパウダースノーとなる。

施設も日本と変わらぬラグジュアリータイプで、ホテルの正面玄関を入ると、ロビーからコースが見上げられるという設計上の演出が施されている。レストランは日本料理や中華料理、ブュッフェ式のオールディダイニング、バーもある。インドアプールやSPA、フィットネスクラブも完備。滞在中は快適そのものだ。

テラスカフェのある山頂レストラン『吉林ワン』は、リフトのそばにあり、眺めが最高だ。当初はカフェのみの営業だったため、利用は少なかったそうだが、中国式の手延べ拉麺を導入したとたん、人気上々となった。パフォーマンス効果もあるし、何よりスキーで冷えた身体を熱々の拉麺が温めてくれるからだ。

必ず訪れたいのは、中国の有名建築家・王硕氏が設計した展望台『森之舞台』だろう。山頂近くに忽然と姿を見せる巨大な三角形の建造物だが、中に入ると、美しいゲレンデと氷結する松花湖が見渡せる。

今後、日本を訪れる中国人スキーヤーは、こうした最新リゾートを体験済みであることを知っておかなければならないだろう。
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↑『森之舞台』の中に入ると、左右に広がる絵画のような展望を楽しめる
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↑松花湖プリンスホテルの玄関から見上げると、スキーコースが見渡せる
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↑『吉林ワン』の手延べラーメンは大人気 
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↑最高級グレードの寝室 

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↑バスルームの外は雪景色 
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↑本場の中華料理が味わえる 
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↑ブュッフェ式のダイニングは朝晩とメニューが変わる 
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↑王硕氏が設計した『森之舞台』は「中国最高冷建築」として高い評価を受けている 
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↑日本人選手がサインしたTシャツの展示 
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↑夜になると、幻想的に浮かび上がるホテルの外観

松花湖プリンスホテル(松花湖西武王子大饭店)
吉林省吉林市豊満区青山大街888号
http://www.princehotels.co.jp/syoukako

※『中國紀行CKRM Vol.09 (主婦の友ヒットシリーズ) 』(2017年10月18日発売)に掲載された記事を転載しています。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-03 17:00 | 日本人が知らない21世紀の満洲 | Comments(0)
2017年 09月 14日

サハリンの地方の町のホテルでは意外な出来事がいろいろ

ユジノサハリンスク以外では、ポロナイスクとホルムスクのホテルに泊まりました。どちらも、ユジノと違っていかにもロシアの田舎町のホテルという感じ。客室では一応Wifiが使えるのでそんなに困ることもないのですが、意外な出来事がいくつかあって、少々手間取りました。でも、面白かったです。

快適だったユジノサハリンスクのホテル2軒
http://inbound.exblog.jp/27114586/

まずサハリン東海岸の中央部に位置するポロナイスクの「ホテル・セーヴィル」。ホテルに着いたのは夜11時半過ぎていたので、町は静まり返っていました。
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改装されたばかりで、客室は新しい。ふたりは、それぞれ別のシングルルームに振り分けられました。バスルームはシャワーのみ。面白いのは、佐藤さんの客室を訪ねると、ぼくの客室とは内装が違います。キッチンが付いていたり、付いていなかったり、まちまちなのです。
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1階にはバーがありました。ロシアのバーってこんな感じ…? なかなか味があります。営業はきっかり12時まで。
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朝食は、バーの反対側のレストランにて。スープにサラダ、目玉焼き、パン、コーヒーなどのセットで、ウエイトレスはゲストが席に着くのを見計らって、焼きたての目玉焼きを運んでくれます。
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問題は、その日北緯50度線に行く予定で、フロントのおばさんに筆談で車のチャーターを手配してもらうところまでは良かったのですが、戻ってくるまでスーツケースを預かってくれと頼んだものの、ダメだと断られたことでした。理由は不明ですが、チェックアウトは正午だからと言っているようでした。

サハリン北緯50度線、日ソまぼろしの国境碑跡を訪ねる
http://inbound.exblog.jp/27114498/

その日夜行列車に乗るのは夜11時半過ぎだったので、しかたなく駅に預けることにしたのですが、これがまた大変。鉄道は1日数本しか運行していないため、駅の営業時間が10時~13時、15時~17時、22時半~24時と列車が来る時間帯の前後1時間しかなく、それに合わせて駅に行かなければなりません。さいわいドライバーのニコライさんはこちらの事情をよく理解してくれたので、営業時間に合わせて駅に連れて行ってくれました。その後、時間つぶしのために過ごしたのが、不思議なレストランでした。

ポロナイスクで食べたスモークサーモンと韓国チゲ風ボルシチの不思議な夜
http://inbound.exblog.jp/27110639/

Hotel Sever(Гостиница "Север")
http://gost-sever.ru/
Molodezhnaya Ulitsa 3, Poronaysk, Sakhalin 694240

西海岸南部の町、ホルムスクでは「ホルムスク・ホテル」に泊まりました。外観はかなり老朽化していますが、バスターミナルから徒歩1分と便利です。
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フロントを訪ねると、ロシア人の若い女の子のスタッフがいて、パスポートを渡すと、無言でスマホの英語翻訳の画面をぼくに見せます。
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そこには「What time do you want a breakfast?」とあります。一瞬何のことだろうと思いました。逆にぼくは聞きました。「What time do you open a restaurant?」。

すると、彼女は困ったような顔をして、ロシア語で何事かを話しましたが、よくわかりません。まあいいや、では「8o’clock?」と聞くと、彼女は「7o’clock?」と言い返すので、「OK!」と答えることにしました。このやりとりの意味が何だったのか、その理由は翌朝わかります。

客室は4階でしたが、エレベーターがないので、階段を上らなければなりませんでした。
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でも、客室はリノベーションされ、まずまず清潔です。ツインルームでしたが、ベッドルームはふたつの部屋に分かれていました。
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シャワー室はこんな感じ。
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ホルムスクは美しい港町です。市街地は海に沿って細長く続いています。この日のメインイベントのひとつは、旧真岡王子製紙工場の廃墟探訪でした。

廃墟の中で出会った少年たち~旧真岡王子製紙工場を歩く
http://inbound.exblog.jp/27113113/

翌朝、7時少し前にドアをノックする音がしました。外にはランチボックスを手にしたおばさんが立っていました。

昨日、フロントの彼女が聞いていたのは、朝食を部屋に届ける時間のことだったのです。

このホテルはゲストが少ないせいか、レストランを営業していないようで、その代わりランチボックスを用意してくれるんです。

昨日食材屋さんで買ってきたインスタントコーヒーをいれると、このとおり。しっかりした朝ごはんになりました。
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Kholmsk Hotel
Sovetskaya street60 Kholmsk, Sakhalin 694240
(ウエブサイトは発見できず)
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by sanyo-kansatu | 2017-09-14 15:40 | 日本に一番近いヨーロッパの話 | Comments(0)
2017年 09月 14日

快適だったユジノサハリンスクのホテル2軒

1週間のサハリン旅行のうち、2泊も夜行列車での車中泊という強行スケジュールだったこともあり、相当くたびれましたが、ユジノサハリンスクのホテルは快適でした。

今回宿泊した2軒のホテルを紹介します。

初日と帰国日に利用したのが、空港から車で10分くらいの場所にある「ストロベリーヒルズ」でした。

フロントではふたりの美人スタッフが出迎えてくれました。
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これはフロントのロビーです。
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フロントの隣に軽食喫茶のコーナーがあります。
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客室は今年リノベーションをして、新しくなりました。
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バスタブもあるので、お湯に浸かれます。
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3階に『Evergreen』というラウンジバーがあり、食事もできます。
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地下(グランドフロア)に『Angelo’s Bar』というライブステージもあるバーがあります。有名ミュージシャンのギターコレクションもあるそうで、ハードロック・カフェを意識しているようです。
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同ホテルは、アメリカ人ビジネスマンの利用が多く、英語が使えます。ジムやサウナもあり(水着着用)、朝食はブッフェ式です。ホテルの周辺はコンドミニアムができています。長期滞在の外国人ビジネスマンなどが住んでいます。
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ストロベリーヒルズ
http://strawberryhills.ru/
693000, Yuzhno-Sakhalinsk, Sunlight street,2
+7-4242-45-07-00
hotel@strawberryhills.ru

場所はちょうど空港と市内の中間くらいの郊外にあり、市内へもホテルのすぐ前の停留所からバスで約15分です。約10分おきにバスがあるので、それほど不便はしません。それでも、観光や食事には市内のホテルのほうが便利なので、夜遅めに着く初日と帰国日にここに泊まり、午前中は近所のショッピングモール『シティモール』でお土産でも買ってから、正午前にゆっくり空港に向かうのがいいかもしれません。
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ユジノサハリンスクで泊まったもう一軒は「ベルカホテル」です。ロシア正教会やサハリン州立郷土博物館にも近く、観光に便利です。駅からも徒歩10分くらいですが、荷物がある場合はタクシーで200RBくらい。
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ホテルの外観やロビー、客室は北欧風を意識しているようです。
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フロントにサハリン大学日本語学科のマリアさんという女性がいて、日本語を話します(ただし、期間限定の学生バイトだそう)。他のスタッフは英語が通じます。
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客室は温もりのある落ち着いた感じで、バスルームはシャワーのみ。
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朝食は地下の食堂でブッフェ式。雰囲気は悪くありません。
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ベルカホテル
http://www.belka-hotel.ru/
29b,Khabarovskaya str,Yuzhno-Sakhalinsk, Russia 693010
+7-4242-461-761
reception@belka-hotel.com
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by sanyo-kansatu | 2017-09-14 13:59 | 日本に一番近いヨーロッパの話 | Comments(0)
2017年 09月 11日

民泊の時代に日本の宿はどうあるべきか ~若き宿経営者たちの模索

訪日外国人の数は増えているのに、宿泊者数が伸び悩んでいる。なぜなのか。日本のホテルはすでに供給過剰なのだろうか。議論は分かれるが、民泊の影響も否定できない。民泊新法が施行される来春をふまえ、日本の宿はどうあるべきなのか考えたい。

「訪日外国人の数は増えているのに、外国人宿泊者数が伸び悩んでいる。なぜ?」

これは、昨年からすでにインバウンド関係者の間でささやかれていた話である。

3年後に迫った東京五輪、政府が掲げる訪日外国人客数4,000万人の目標から、ホテル不足解消のためにさまざまなタイプの宿泊施設の開業が、いま最盛期を迎えている。最近まで老朽化していたビルがビジネスホテルやカプセルホテルに転換するケースもよく目にする。

にもかかわらず、これはどういうことなのだろうか。

宿泊統計のリアルな実態 

観光庁が集計する宿泊旅行統計調査(2016年版)によると、東日本大震災の翌年の2012年以降、好調に推移していた外国人の延べ宿泊者数の伸び率が、15年(46.4%)から16年(8.0%)にかけて大きく落ちているのだ。16年の訪日外客数の前年比は21.8%増にもかかわらず、である。

さらに、同年の国別訪日客数トップ5の伸び率と延べ宿泊者数の前年比は以下のとおりである。

1位 中国    27.6%増   3.3%増
2位 韓国    27.2%増   15.7%増
3位 台湾    13.3%増   1.3%増
4位 香港    20.7%増   8.2%増
5位 アメリカ  20.3%増   14.3%増
(左:訪日客数、右:延べ宿泊者数)

どの国も訪日客の伸びに比べ延べ宿泊者数の伸びは心もとない。とりわけ中国の乖離は大きいようだ。

だから、15年頃まで外国客の利用比率が高かった大都市圏のホテルほど、客室を埋めるのに苦心するという事態が起きている。むしろ、これらのホテルでは宿泊料金の「高止まり」ではなく、ディスカウント合戦が始まっていると聞く。

こうした実態について、今年5月下旬、朝日新聞は以下の興味深い記事を配信している。

「ユー、夜はどこに? 訪日客は増加でも宿泊者は伸び悩み」(朝日新聞デジタル2017年5月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5R55GBK5RULFA01M.html

記事では、なぜこうしたことが起きたのか、その背景についてさまざまな観点から検討している。訪日外国人の多くが、もし一般の宿泊施設以外の場所を利用しているのだとしたら、それはどこなのか ――。

いまやLCCを使えば、近隣アジアの国々から片道5,000円で日本を訪れることができる時代。なるべくお金をかけずに日本旅行を楽しみたいというニーズは高まるばかりである。
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↑羽田空港国際ターミナルは、深夜便を利用する外国客でにぎわっている。彼らはベンチが仮の寝床というわけだ

記事で挙げられているのは、外国客が利用する「深夜の成田空港のロビー」「都内の(宿泊可能な)温浴施設」「深夜に走る高速バス」などだ。

日本のホテルは供給過剰?

こうしたことから、早くもインバウンド業界からもれ聞こえてくるのは「ホテルは供給過剰では?」という声だ。

観光庁は民泊の影響だけではないというが、日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計」と同庁の「宿泊旅行統計調査」の今年の推移を見比べると、その影響はやはり大きいのではないかと考えざるを得ない。

というのも、今年2月、訪日外客総数が前年比15.7%の増加に対して、延べ宿泊者数の前年比は4.5%のマイナスだったからだ。伸び悩むどころか減っているのである。

なかでも中国客は前年同月比で17.0%も増えているのに、延べ宿泊者数は-14.1%。この数字の開きは相当大きい。いくら中国客に占めるクルーズ客が多いからといって、それはずいぶん前からこと。その後、3~5月にかけても中国客の延べ宿泊者数だけが前年を割り続けているのだ。

2017年3月  中国客数 +12.0%   延べ宿泊者数  -13.4%
2017年4月  中国客数 +9.6%    延べ宿泊者数  -15.6%
2017年5月  中国客数 +8.0%    延べ宿泊者数  -7.0%

中国人の日本旅行の内実は大きく変化した。2000~10年は上海や北京などの沿海先進地域の大都市圏中心の団体旅行の時代、10年から個人旅行が始まり、14年以降は内陸の地方都市からの団体客が急増。

ところが、昨年秋頃より内陸客は伸び悩み、大都市圏からの個人客やリピーターなど「安近短」組が過半を占めるように構造変化している。団体客が減り、「安近短」の客が増えれば、トータルの日本の滞在日数(延べ宿泊者数)は減少するのも道理だろう。

昨年は国内で少なくとも370万人が民泊を利用したとされる米国発の仲介サイトAirbnb(エアービーアンドビー)は、現在5万件超の民泊物件を掲載している。

これに急迫する勢いで、途家・自在客・住百家といった中国発の民泊サイトが成長している。彼らは日本での実績を公開していないが、今年に入って相次いで日本法人を設立している。来春に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)への対応と考えられる。

日本の宿は外国人観光客のニーズとミスマッチング?

では、なぜこれほどの勢いで外国人観光客の宿泊先の民泊への移行が進むのか。

考えられるのは、日本の宿と今日の外国客のニーズのミスマッチングが顕在化している、ということだ。

最近、観光庁は国内の旅館に対して部屋料金と食事料金を別建てとする「泊食分離」の導入を促していく方針を明らかにした。日本の旅館は「1泊2食付き」が主流だが、日本の多彩な食文化を楽しみたい長期滞在の外国客のニーズに合っていないためだ。

旅館業界「泊食分離」導入を=長期滞在客対応、モデル地区指定へ-観光庁(時事通信2017年8月16日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081600733&g=eco

似たようなことが、都市部のシティホテルやビジネスホテルについてもいえるのではないか。

団体から個人へと移行したアジアからの観光客は、家族連れや小グループで日本を訪れることが多いといわれる。これは欧米客も同じである。たとえば、彼らは夫婦と子供2人でシティホテルに泊まろうとすると、たいてい2室を予約しなければならない。

一方、民泊の場合、部屋がたとえ狭くても、家族一緒に利用すれば、ホテルの客室を複数室利用するのに比べると割安になるだろう。

日本では家族水いらずで利用できる宿泊施設は、行楽地に限られることが多い。日本人の場合、家族で連泊するニーズはリゾートホテルや旅館にしかないからだろう。

だが、外国客は行楽地でも都市部でも家族やグループと一緒に旅をしている。

日本の都市部には、リーズナブルな価格帯で家族やグループ旅行の連泊に適した宿泊施設が少ないといえるかもしれない。これが民泊に流れるもうひとつの理由ではないだろうか。

こうした市場の急変が、宿泊施設の経営者にも影響を与えている。民泊は明らかに日本の宿泊相場を押し下げる要因となり始めているからだ。

なかでも、いまや全国に1,000を超えるといわれている、若い外国人観光客向けにリーズナブルな価格帯の宿を提供するホステルやゲストハウスの経営者たちは、これまでにない逆風にさらされ始めている。

若いオーナーたちが目指す新しい日本の宿

◆古民家を改装したゲストハウス:toco.

2010年10月に台東区下谷の築90年の古民家を改装したゲストハウスtoco.を開業したBackpackers’ Japanの宮嶌智子さんも「民泊の影響は必ず出てくるだろう」と話す。 

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https://backpackersjapan.co.jp/toco/

大学時代の友人4人で設立した同社では、都内に3軒と京都に1軒の個性的な宿を運営している。

宮嶌さんは1号店のtoco.を開業する前に3ヵ月かけて海外のゲストハウスの調査の旅に出ている。印象に残っているのは、ブルガリアの首都ソフィアのホステルだそうで「マネージャーやスタッフのゲストに対する声かけが心地よかった」という。ホステル経営で大事なのは「ゲストに安心感を与えること」と彼女は語る。

同社の宿のゲストの8割は外国客だという。海外のゲストハウスと同様に、複数の見ず知らずのゲストが寝起きを共にする2段ベッドが並ぶドミトリー式の部屋と個室の2タイプがある。

だが、最も特徴的なのは、単なる宿泊施設ではなく、さまざまなイベントを通してゲストと日本人が交流できる共有スペースを有していることだ。

◆バーが併設、生演奏も聞ける宿:CITAN

今年3月に東日本橋に開業したホステルCITAN(シタン) では、地下1階をバーとして運営し、ライブ演奏などのイベントを定期的に行っている。
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↑背中に大きなバックパックを背負った欧米の若い女性がチェックインする都心の宿だ

CITAN
https://backpackersjapan.co.jp/citan/

7月末の週末の午後、ハーモニカ奏者によるライブがあった。そこでは、ゲストではない日本人客とともに、同ホステルのゲストである若い欧米客も演奏に耳を傾けていた。若いオーナーらによる、これまで日本になかったタイプの新しい宿が生まれているのだ。
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↑地下1階のカフェで開催された「八木のぶお ハーモニカライブ」。エントランスフリーなので、誰でも気軽に参加できる

◆次の目的地が決められる宿:Planetyze Hostel

今年2月、同じく東日本橋に開業したホステルPlanetyze Hostel(プラネタイズホテル)もユニークな志向性と理念を掲げた宿だ。支配人の橋本直明さんによると、この宿の特色は「次の目的地が決められる宿」であること。どういう意味だろうか。

Planetyze Hostel
https://planetyzehostel.com/ja

Planetyze Hostelのターゲットは欧米のバックパッカー。彼らの日本の滞在日数は平均2週間から6週間と長く、じっくり日本を旅してくれる人たちだ。ところが、彼らの多くは日本のどこを訪れるのか、ノープランのケースも多い。日本に来てから、面白い場所を探して旅に出かけるという人が多い。

そこで、オンライン旅行ガイドブック『Planetyze.com』をベースに、日本中の観光地の動画を作成。それをホテル内のモニターを使ってみることができる。ここで自分の行きたい旅先を決めてもらえるようになっているのが、最大の特徴だ。
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↑「Planetyze.com」に掲載されている観光スポットの映像が、フロント正面にある42型のモニターを4面接続した巨大なモニターに映し出される

橋本さんが代表取締役を務める株式会社トラベリエンスは、2013年に通訳案内士と外国客のマッチングサイトである「Triplelights.com」(トリプルライツ)を立ち上げている。

同サイトでは、外国客が自分に合った通訳ガイドを選択できるように、登録ガイドの紹介動画を用意し、それぞれのガイドは趣向を凝らしたオリジナルなツアーをサイト上に紹介。そのツアーに興味を持ってくれた外国人からサイト経由でメールの問い合わせが届くと、日程を調整し、仕事を受けることになる。

たとえば、スノーモンキー(野生のサルが露天風呂に入ることで有名な長野県下高井郡山ノ内町の地獄谷温泉)のような外国人には訪れずらい場所でも、いったん広く知られると、どっと彼らは訪れる。

このことからわかるように、アクセスは問題ではない。どうやって彼らにそれを見つけてもらうか、そのための情報をきちんと届かせるためのチャネルとなることが、ホステルを開業した目的だったとのこと。

同ホステルでは、英語と日本語に堪能な外国人スタッフが宿泊客の旅程相談に乗ってくれるという。同じ若い世代同士、ゲストのニーズに合った日本全国の観光スポットを紹介してくれるというわけだ。
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↑スタッフは橋本さんを除くと全員若い外国人。国籍はタイ、台湾、ブラジル、アメリカの4名

空き家活用プロジェクトで生まれたゲストハウス

◆とんかつ屋がゲストハウスに⁉:シーナと一平

豊島区椎名町の商店街に昨年3月に開業したゲストハウス『シーナと一平』も、長く空き家だった元とんかつ屋をリノベーションしてゲストハウス兼カフェとして開業させたというから、相当ユニークな宿だ。
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↑一見ゲストハウスには見えない元とんかつ屋のゲストハウス

シーナと一平
http://sheenaandippei.com/

豊島区の空き家率は15.8%と23区で最も高く、区は空き家の再生で地域の魅力を高める構想を進めている。同ゲストハウスは、豊島区の「リノベーションまちづくり」事業の一環で開かれたリノベーションスクールに参加した男性が始めたものだ。

面白いのは、2階は外国客向けの宿泊施設なのだが、1階をカフェとして利用していることだ。カフェの活動を担当する藤岡聡子さんによると「都内一といわれる空家率の背景に、豊島区における30代(子育て世代)の流出がある。いかに子供を育てやすい環境をつくるかという観点も、この施設の運営にとって大切」という。
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↑カフェで休んでいると、近所のママさんが小さなお子さん連れで現れた。近所の商店街のおばさんたちが先生になって若い地元の女性相手に洋裁や編み物、料理などを教えてくれる教室として使われている

椎名町は池袋に近い徒歩圏内でありながら、昔ながらの商店街が(以前に比べると縮小しているが)いまだに残っている。個人経営の食堂も多い。「うちに泊まった外国のゲストが、近所の商店街で焼き鳥を買って、カフェスペースでビールを飲んだりできる。そんな宿にしていきたい」(藤岡さん)

こういう滞在のあり方が本当は日本らしい町の楽しみ方なのかもしれない。

地域ぐるみで彼らを支援できないか

『CITAN(シタン)』のライブを観るため、週末の東日本橋を訪ねたとき、そこが無人の街と化していたことに驚いた。平日はそんなことはないだろうが、通りを歩いているのは外国人観光客だけなのだ。ここは本当に東京なのだろうかと思ったほどだった。だが、これが東京東部の下町と呼ばれた地域の実態なのである。

こうなると、少子高齢化の影響は、もはや都心も地方も変わらないのではないかと思えてくる。

こうした状況の中で、街のにぎわいを取り戻すことに貢献できるのは、ホテルなのではないか。

民泊の運営の中には、どこか刹那的で短期間に利益を回収するのが目的というような打算が動機という側面もあるように感じる。

ホテルのような人的なホスピタリティは不要と考え、むしろ「かまわないでほしい」という人たちが一定数おり、そのニーズとマッチしたことが、民泊市場拡大の要因の一つではないかと思う。

旅の楽しみは人との交流にあると思うのだが、これもひとつの好みであり、スタイルなのである以上、いたしかたないところがある。

一方、今回登場した若いホステルやゲストハウスのオーナーたちは、収益のためだけではなく、自分たちの暮らす地域を活性化するために何ができるかを問いながら、あるべき日本の近未来の宿の姿を模索しているように見える。

このような動きをもっと広げられないだろうか。地域ぐるみで若い宿泊施設のオーナーたちを支援できないだろうかと思う次第である。 

※やまとごころインバウンドレポート http://www.yamatogokoro.jp/report/6951/


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by sanyo-kansatu | 2017-09-11 17:16 | 最新インバウンド・レポート | Comments(0)
2017年 09月 10日

インバウンドの動きは地域によってタイムラグがあるのは自然なこと(鳥取でもゲストハウスラッシュ!)

先日、広島のゲストハウスに泊まった話を書きましたが、日本でおそらく最後に外国人が訪れるようになった中国地方では、ここ1、2年で鳥取のような小さな県でもインバウンドの動きが起きています。

広島のゲストハウスに泊まってみたら、なかなか楽しかった話(2017年09月08日)
http://inbound.exblog.jp/27102436/

それを感じたのは、鳥取にも昨年頃から外国人向けの安宿が数軒できたことです。

鳥取港に車で向かう途中、偶然見かけたのが「シャン亭」。インド好きの千石さんという30代前半の女性が昨年夏開業した宿なんですが、市内中心部から遠く、駅からバスで40分、しかも1時間1本というロケーション。鳥取砂丘も近ければいいんだけど、意外にそうでもないようで、本人も「私って経営のこととかよくわかんなくて…」。そう正直に語る彼女をみていると、少し心配になるのですが、部屋を覗かせてもらうと、スイス人の青年がパンツ一丁で歩いていたり、よくここを探し当てたなあという驚きも。サイクリストの人なんかもよく泊まりに来るとか。
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しゃん亭
http://shanti.guesthouse-tottori.com
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↑宿の看板の右に描かれた飾り傘は、鳥取の夏祭り「しゃんしゃん祭り」で使われるもの。地元愛が感じられます。

彼女の話では、駅の近くにはいま風のカフェバー付ゲストハウスもできているそう。

Y Pub&Hostel TOTTORI
http://y-tottori.com/

ネットで「鳥取 ゲストハウス」を検索すると、こんな地元発のサイトの記事がありました。

鳥取のゲストハウス一覧【2017年1月 更新】
http://tottorizumu.com/2016/03/02/tottori-guesthouse-matome/#Y-Pub-Hostel-TOTTOR-8211

これによると、今年1月現在、鳥取県には10軒のゲストハウスがあるようです。「しゃん亭」も紹介されています。

全国的にみると10年遅れかもしれませんが、鳥取県でも安宿ラッシュが起きているようです。

遅れて始まったからといって、なにも卑下するようなことはありません。インバウンドの動きは地域によってタイムラグがあるのは自然なことだからです。

観光庁などの統計によると、鳥取県を訪れる外国客の数は全国37位、宿泊者数は39位だそうです。しかもWifi登録件数は47位。コンサル系の人たちはこういう数字を見せて、地元を煽るのでしょうが、2000年代に始まった国レベルの訪日外国人の誘客キャンペーンがようやく鳥取のような日本海側の小さな地方都市にも及ぶようになっただけの話です。

それに合わせて行政も動き出そうとしていますが、当然課題はあります。10年前に比べれば、お金をかけずにプロモーションする手立てはいくつも開発されているので、新しい動きに行政ももっと敏感になってほしいと思います。

鳥取市の外国人向け大阪行きバス1000円は賢い施策だが、宣伝できていなくて残念 (2017年09月09日)
http://inbound.exblog.jp/27103837/

鳥取市は大阪からの高速バス外国人向け1000円キャンペーンを、これらのゲストハウスのサイトなどで宣伝してもらえばいのではないでしょうか。客層がマッチしている気がします。

ゲストハウスに泊まるような若い外国客は、なるべくお金をかけずに、日本の地方都市をのんびり旅しようとする、いわば日本旅行の先導者です。ささやかな地元の人たちとの交流が想い出となって、その後、結婚し、経済力を身につけた年代になったら、また訪ねてみようということはよくある話ですし、いまの時代、SNSで自国の友人たちに広めてくれます。

さらに、こういう話題で火がつけば、面白いことになるかもしれません。

まるでウユニ塩湖 鳥取砂丘で撮影された「奇跡の一枚」(朝日新聞2017年9月10日)
http://www.asahi.com/articles/ASK8Z7FXVK8ZPUUB00Q.html

鳥取砂丘(鳥取市)で撮影された「奇跡の一枚」と呼ばれる写真がネット上で話題になっている。波が引いた砂浜が「鏡」のようになり、空や人の姿を映し出す――。撮影に成功するには気象条件などがそろう必要があるが、同じような写真を撮ろうと訪れる人が増えている。

写真を撮影したのは、砂丘周辺で自転車ツアーを企画、運営する「TRAIL ON(トレイルオン)」(鳥取県湯梨浜町)代表の小椋宣洋さん(46)。ツアーは国などの許可を得ており、ファットバイクという通常よりタイヤの幅が広い自転車に乗って砂丘を走るもの。

昨年10月、ツアー客の思い出にとスマホで撮影。写真をフェイスブックに掲載したところ、旅行サイトで紹介された。SNSなどでも、空や人の姿が湖面に映される光景で知られる南米ボリビアのウユニ塩湖みたいと話題となった。県外客だけでなく、県民も砂丘の知らなかった一面に驚き、「同じような写真を撮りたい」とツアーに参加している。

8月25日午前の部に参加した10~20代の男女3人も、ネットに掲載された小椋さんの写真を見て興味を持ったという。ただ、「奇跡の一枚」はいつも撮れるわけではない。小椋さんによると、風や波、日光の差し具合などの条件が整う必要があるという。

この日、小椋さんはタイミングを見て、3人に波打ち際を走り抜けるよう指示。小椋さんは「今日のコンディションではこれが限界」と撮った写真を見せたが、ツアー客は「かっこいい」と声を弾ませた。奈良県の高校2年の岩井康洋さん(17)は「ウユニ塩湖っぽい写真が撮影できた。LINEのプロフィル画像にします」と満足げだった。

小椋さんは最近「写真だけが独り歩きしている」とも感じている。期待を込めて訪れた客がうまく撮影できず残念な思いをすることを心配する。「砂丘にはほかにも写真映えする場所があるので、砂丘の自然をもっと満喫してほしい」

ツアーは1回2時間程度で予約制。身長150センチ以上で、料金は1人5千円。不定休。問い合わせは(080・1649・1796)。

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by sanyo-kansatu | 2017-09-10 10:38 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 09月 08日

広島のゲストハウスに泊まってみたら、なかなか楽しかった 話

前回広島に行った話を書きましたが、なるべく自分も外国人観光客になったつもりで旅してみることにしました。

2つも世界遺産がある広島県には欧米客が多く、インド人ツアーもいた
http://inbound.exblog.jp/27102301/
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そういうわけで、原爆ドームから徒歩5分の場所にあるジェイホッパーズ広島というゲストハウスに宿泊。なんと1泊2500円です。2006年11月開業といいますから、老舗のゲストハウスといえそうです。ゲストの8割は外国人だそうです。
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ジェイホッパーズ広島 ゲストハウス
http://hiroshima.j-hoppers.com/j_index.html
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元旅館を改装したものらしく、男女共用ドミトリーでは外国の女の子やイギリス人の青年と相部屋でした。実は、女の子と相部屋だったなんて知らなかったのですが、朝洗面台で歯磨きしているアジア系の女の子がいたので、最初は日本人かと思って声をかけたら、マレーシアから来たというんです。

午前中は宮島に行ってきたので、午後まで荷物を預かってもらっていたのですが、宿に戻るとちょうど部屋の掃除の最中。ここではスタッフの女の子たちが各部屋のシーツを取り替えたり、掃除機をかけたりしています。気さくで感じのいい子たちです。

ゲストたちはみな観光に出かけており、1階の共有スペースには誰もいなかったので、あちこち見せてもらいました。

これが共用のキッチンです。シェアハウスのようですね。
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冷蔵庫には自分の食べ物を入れてもいいけど、きちんと名前を書けだとか、分別ゴミの徹底だとか、周辺のお好み焼き屋さんの地図が置いてあったりとか…。ここに泊まっているゲストたちの過ごし方がうかがえて面白いです。
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この地図に書いてあった近所のお好み焼き屋さんに行ってみました。たまたま客はぼくひとりしかいなかったので、おばさんはいろんな話を聞かせてくれました。
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Jホッパーズのゲストもよくここに来るそうです。なかにはお好み焼きを注文しないで、ビールばかり飲む若い外国人がいて困ったとか、ある日突然知らないフランス人が店に入ってきたかと思うと、自分の写真をスマホで見せられてビックリしたとか。数年前にこの店に来たフランス人がおばさんの写真を撮っていて、友人に送ったのだそう。外国人もお好み焼きはいけるようですね。このおばさんの焼くのはもちろん広島風です。
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Jホッパーズは原爆ドームにも近いですが、宮島口行きの広電の土橋の停留所もすぐそばなので、とても便利です。

スタッフの子に宮島にもゲストハウスはあるかと聞いたら、宮島口にあるとのこと。朝食を食べ忘れていたので、覗きに行くと、ちょうどロビーにブッフェ式朝食が用意されていたので、いただくことにしました。
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すでに10時近くでしたが、ごそごそ起きてきた外国のゲストたちが自分でトーストを焼き、コーヒーを入れて、寝ぼけ眼で朝食を取っていたのがおかしかったです。
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バックパッカーズ宮島
http://www.backpackers-miyajima.com/

後日ネットで調べると、広島にはいくつものゲストハウスがあるようですね。やはり欧米客が多いと、ゲストハウスも続々できるんですね。

格安旅にもってこい!広島のおしゃれゲストハウス15選
https://retrip.jp/articles/44924/
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by sanyo-kansatu | 2017-09-08 17:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 09月 08日

北海道の女性失踪事件からわかる中国人のまったく新しい日本旅行の姿

先月末、北海道でとても残念なニュースがありました。
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釧路の海岸に女性遺体 先月から不明の中国人教師か(TV Asahi2017/08/27 17:30)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000108641.html

北海道釧路市の海岸で27日朝、女性の遺体が発見されました。この女性は先月から行方不明になっている中国人の危秋潔さん(26)の可能性があります。危さんは先月、北海道の札幌市や阿寒湖温泉を訪れました。その後、JR釧路駅の近くで危さんとみられる女性が確認されたのを最後に行方が分かっていませんでした。

午前6時ごろ、釧路市の砂浜で女性の遺体が打ち上げられているのを近くを歩いていた男性が発見しました。警察は遺体の衣服の特徴から、先月に北海道内を観光中に行方が分からなくなった中国人女性の危さんの可能性があるとみて、身元の確認を急いでいます。

遺体を発見した男性:「(Q.遺体はどこにあったか?)ここに寝てる状態だった。女の子だとすぐ分かった、服装を見て。若い服装だった。びっくりした」

危さんは先月22日に札幌市内のゲストハウスを出た後、阿寒湖温泉のホテルに泊まり、先月23日の正午すぎ、JR釧路駅の近くの防犯カメラに危さんとみられる姿が映っていたのを最後に足取りが分からなくなっていました。


テレビのワイドショーでも報じられたこのニュース。番組を見ながら、以下のような疑問をおぼえた人もいるかもしれません。

なぜ中国の若い女性がひとり旅? 
卒業旅行? なぜ7月? 26歳で卒業? 
彼女はゲストハウスに泊まっていた? 
そもそもなぜ彼女は北海道に行ったのか? 

これらの問いを通じて見えてくるのは、中国人の日本旅行が以前とはまったく変わったものになりつつあるということです。

そうなんです。以前のようなバスに乗って団体で免税店を押し寄せるというような弾丸旅行はもう過去のものになりつつあるということです。

もちろん、中国の地方都市から来る団体ツアーはなくなったわけではありませんから、一部従来型の旅行を残しながら、全体的にみると、個人化、リピーター化が進んでいるということです。福建省出身の彼女は、新しい中国人の日本旅行のスタイルそのものだったのです。

では、先ほどの問いに答えていきましょう。

なぜ中国の若い女性がひとり旅? 

実はもうこれは5~6年以上前から中国では起きているブームのひとつなんです。以下の記事は4年前に書いたものですが、ぼくが北京のブックカフェで偶然見かけた「独立女生旅行分享会(女の子のひとり旅オフ会)」という集まりについて書いた一文です。

日本の1980年代を思い起こさせる中国のバックパッカーブーム(2013年04月27日)
http://inbound.exblog.jp/20348104/

その集まりでは、大学を1年間休学して北欧をヒッチハイクしながらひとり旅した22歳の女性の書いた紀行本『我就是想停下来,看看这个世界 』の著者である陈宇欣さんと、自らも70リットルのザックを担いで旅するカルチャー雑誌『OUT』の女性編集者の座談会がありました。

なにしろ中国のこの世代はほぼ一人っ子ですから、若い女性がひとりで旅に出るというのは自然のことだったのです。といっても、日本をひとり旅できるような若者は、大都市部の恵まれた階層に限られることは確かです。

今回の彼女の旅行が卒業旅行だったというけれど、なぜ7月? 26歳で卒業?

これについては、中国の卒業シーズンは6月で、7月~8月は夏休みだからです。

そして、彼女は大学院まで修了した高学歴の女性です。今日の中国では大卒の半分くらいしか就職できないという日本では信じられない状況で、恵まれた家庭の子弟は、よりよい就職先を目指して大学院まで進みます。彼女は卒業後、教師になるはずでした。

以下の中国のネット記事は、今年中国で卒業旅行が大きな話題になっているというものです。

2017毕业旅行报告发布:高中生更愿意与家人出游(人民網2017年06月15日)
http://yuqing.people.com.cn/n1/2017/0615/c394872-29341564.html

なにしろ85.6%もの卒業生が旅行に出かける計画があるというのですから。

この記事は「蚂蜂窝」という中国の若者に人気のオンライン旅行サイト大手の調査によるもので、旅行日数は7~9日というのが最大だとか、1人あたりの予算は2000~4000元が一般的だが、なかには8000元(約13万円)以上という人も15.6%いるとか、いろいろ報告しています。
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旅行の内容も、かつてのビンボー旅行スタイルから、個性的な旅を志向する傾向が強まり、民泊を利用し、数名で泊まるのが最も人気で、一般のホテルやゲストハウスを利用するより多いのだそうです。

前述の質問に戻ると、ではなぜ彼女はゲストハウスに泊まっていたか? ということですが、卒業生の大半が旅行に出かけるといっても、クラスの誰もが海外旅行を選べるというわけではありません。日本旅行の場合も、なるべく宿泊コストを抑えるために、彼女はゲストハウスを利用していたのだと考えられます。

なぜなら、中国国内ではゲストハウスはすでに若者の宿として一般化しているからです。たいていの都市、特に雲南省や四川省などの観光地に恵まれた都市にはたくさんのゲストハウスができています。ぼくもいくつか利用したことがありますが、基本的にこの世界は万国共通です。

ハルビンの「中華バロック」文化街が面白い(2016年12月23日)
http://inbound.exblog.jp/26496822/

女性のひとり旅もそうですが、中国では2000年代初め頃から若者の間でバックパッカーブームが起きていたのです。その頃は、まだ海外に行く人は少なくて、中国国内のバックパッカー旅が主流でした。中国にはチベットや雲南省、シルクロードなど、冒険心あふれる若者が旅立ちたくなる場所がたくさんあるからです。

2010年に中国人の日本への個人旅行が解禁され、15年1月にビザが大きく緩和されたことから、中国の若い世代がバックパッカーとして日本を旅行に訪れるようになっていたのです。

すでにアジア系のバックパッカーとしては、台湾や香港、タイ、マレーシア、シンガポールなどの人たちがいたので、ちょっと遅れて中国の若者もその流れに加わったのでした。

さて、最後の質問。なぜ彼女は北海道に旅立ったのか? 

それは一部メディアでも指摘していましたが、2008年の中国の大ヒット映画『非誠勿擾』の舞台が北海道で、彼女はその風景に惹かれて旅先を決めたようです。

とても痛ましい結末を迎えた事件でしたが、彼女の存在は、ひとりで日本を旅している中国の若い女性が増えていることを私たちに教えてくれます。

最後に、危秋潔さんとそのご家族のみなさまに、心よりお悔やみ申し上げます。

【参考】
中国の新人類は日本の青空に魅せられている
http://inbound.exblog.jp/24302307/

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by sanyo-kansatu | 2017-09-08 08:57 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 08月 20日

中国客だけ数が増えても延べ宿泊者数が減少するのは民泊の影響と考えるべき

今年に入って訪日中国客が伸び悩んでいることはすでに報告しましたが、観光庁が集計する「宿泊旅行統計調査」や日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客統計」のデータを見比べると、奇妙なことに気づきます。

2017年7月、訪日客トップは中国が返り咲き。でも、中国客の伸びの減速は明らか (2017年08月18日)
http://inbound.exblog.jp/27057304/

調査国すべてが訪日客が増加するのとほぼ比例して延べ宿泊者数を伸ばしているのに対し、中国客だけが数は増えているのに、2月以降、ずっと延べ宿泊者数が前年度比マイナスなのです。

宿泊旅行統計調査(観光庁)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/shukuhakutoukei.html
訪日外客統計(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/

以下、今年の月別の訪日外客数と中国客数の伸びと同じく延べ宿泊者数の伸びの前年同月比較を書き出してみます。

2017年1月
訪日外客数 +24.0%  延べ宿泊者数 +11.0%
中国客数 +32.7%   延べ宿泊者数 +14.9%
2017年2月
訪日外客数 +15.7%  延べ宿泊者数 -4.5%
中国客数 +17.0%   延べ宿泊者数 -14.1%
2017年3月
訪日外客数 +13.6%  延べ宿泊者数 +3.0%
中国客数 +12.0%   延べ宿泊者数 -13.4%
2017年4月
訪日外客数 +16.4%  延べ宿泊者数 +15.5%
中国客数 +9.6%   延べ宿泊者数 -15.6%
2017年5月
訪日外客数 +17.3%  延べ宿泊者数 +16.3%
中国客数 +8.0%   延べ宿泊者数 -7.0%

2月に関しては、訪日外客総数の伸びに対して延べ宿泊者数がマイナスになっていますが、なかでも中国客は前年同月比で17.0%も増えているのに、延べ宿泊者数は-14.1%。この開きは相当大きいといわざるを得ません。

これはいったいどういうことでしょう。

いかにも訪日中国市場の特殊性を感じさせるデータですが、理由としてひとつ考えられるのは、今年に入って中国内陸部の地方都市からの団体客が伸び悩み、沿海経済先進地域からの個人客が増えていることから、「安近短」志向の旅行者の比率が高まっているということです。そうなると、当然1人当たりの滞在日数は短くなります。

訪日中国客にはもともと九州に大量寄港する中国からのクルーズ客が多く含まれており、彼らは船上に泊まっているため、いくら数が増えても延べ宿泊者数を押し上げることがありません。そのぶん、他国と比べる際、差し引いて考えるべきなのですが、だからといって伸び率がマイナスになる理由にはならないでしょう。

今年5月下旬、朝日新聞が興味深い以下の記事を配信しました。

ユー、夜はどこに? 訪日客は増加でも宿泊者は伸び悩み(朝日新聞デジタル2017年5月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5R55GBK5RULFA01M.html

この記事について、ぼくも以下の分析を試みましたが、今回あらためて中国客の延べ宿泊者数のデータをみる限り、民泊の影響がとりわけ中国市場に強いことを確信しました。

「夜に消える? 訪日客」。背景には民泊による宿泊相場の価格破壊がある(2017年05月24日)
http://inbound.exblog.jp/26877980/

流行りものに弱い中国客ですから、来年のいま頃はまったく違う話になっている可能性もありますが、他の国々の人たちと比べても、ホテルから民泊への流れが強まっていることを実感します。どおりで中国系民泊サイトが次々と日本法人を設立しているわけです。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何? (2017年05月29日)
http://inbound.exblog.jp/26889680/
  
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by sanyo-kansatu | 2017-08-20 20:01 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(2)
2017年 07月 17日

「民泊は5万件を超えるが、ほとんどがヤミ民泊」と報じられる by朝日新聞

先週、朝日新聞が「民泊の行方」と題する2本の記事を配信しています。前半(上)では、6月に成立した民泊新法を受けた民泊周辺業界の動き、後半(下)では、施行前の現在における民泊の実態について。「民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる」という、身も蓋もない記述も見られます。

こうした問題を抱える民泊の現在形について、コンパクトにまとまっている記事だったので、以下、転載します。

民泊の行方:上 合法化で転機、大手参入(朝日新聞2017年7月14日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13035500.html

6月下旬、東京都心のオフィスビルの一室に十数人が集まっていた。「新しい民泊物件で出会える! 新法180日対策」と題するセミナーだった。

講師を務める不動産会社の男性が強調した。

「民泊はこれからも有望な投資先であり続ける」

新法とは、6月上旬に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)だ。住宅に旅行者を泊める「民泊」のルールを定めている。来春にも施行され、部屋を民泊用に貸し出せるのは「年180日まで」に規制される。

セミナーは個人投資家向けだった。マンションの一室を購入するか借りるかして民泊用に貸してもうけるのが、いまや人気の投資になっている。講師の男性によると、家賃月7万円が相場の物件でも、民泊で貸せば月40万円近い収入を得られる場合もあるという。

新法施行後は半年ほどしか民泊用に貸せなくなるが、男性は「二毛作で高収益を望める」。残る半年はマンスリーマンションやイベントスペースとして貸し出せばよいのだ、という。

民泊物件の紹介サイトを運営するスペースエージェント(東京)の出光宗一郎社長は「法整備が進んだことで、投資先としての注目度は上がる」と期待する。

増え続ける訪日外国人客を中心に、昨年は国内で少なくとも370万人が民泊を利用したとされる。ただ、関連ビジネスを手がけるのは、米国発の仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」や、部屋の清掃や管理をするベンチャー企業にほぼ限られていた。これまでは有料で人を泊める事業をするには、旅館業法の許可が必要で、許可を得ない「ヤミ民泊」は違法だった。それが新法で合法化されることになり、慎重だった大手企業も動き出した。

京王電鉄は、国家戦略特区で民泊事業が認められている東京都大田区に、民泊専用マンションを開業した。地下1階地上6階建てで、全14室。新法施行後は沿線にも建てていく予定だ。訪日客が沿線の施設を利用すれば、鉄道の乗客増につながる。阪急不動産も、同じグループの阪急・阪神沿線の空き室所有者に民泊事業を働きかける。

一方、楽天は6月末、民泊の仲介サイトを新設すると発表した。約800万件の物件情報を持つ不動産サイトと組み、5万件超を掲載するAirbnbを上回る物件数をめざす。

オランダの「ブッキング・ドットコム」、中国の「途家(トゥージア)」、台湾の「AsiaYo.com(アジアヨードットコム)」……。海外で実績のある外資系の仲介サイトも、日本の物件数を増やそうと動く。米国の「ホームアウェイ」の木村奈津子・日本支社長は「地方の別荘や空き家を民泊物件にしたい」と意気込む。

だが、ビジネスの先行きを不安視する声もある。東京・新宿のマンションを民泊用に貸す20代男性は「大手が入れないようなグレーな商売だから、もうかった。大手が出てきたら勝ち目はない」とこぼす。ピーク時は10室を貸し、月100万~200万円を稼いでいた。それが今では周りの民泊物件との競争激化に加え、清掃やトラブル対応の費用が高くつき、もうけが出にくくなったという。

民泊利用者の宿泊マナーをめぐり、周辺の住民から苦情も相次ぐ。各地のマンションでは管理規約で民泊を禁じるところが増えている。独自の条例をつくって民泊可能な期間を180日より短くしようとしている自治体も少なくない。大手不動産幹部は「違法性のある民泊が難しくなり、物件数は急減するだろう。成長市場だとは思えない」と話す。民泊物件の家具の処分を請け負う「民泊撤退ビジネス」も登場している。


これまでグレーゾーンだらけだった民泊も、新法によって合法化されることから、不動産業界を中心に参入の動きが強まっているようです。彼らにすれば、ホテルであれ、民泊用マンションであれ、投資の中身は問わないからです。

新法を強く意識した民泊支援業者の動きも活発化しています。

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/

一方、記事にもあるように、従来型のやり方ではビジネスチャンスは拡大しないとの専門家の声もあります。

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/

後半(下)では、民泊集中地区のひとつである東京・渋谷のマンションに、実際に記者がAirbnbで予約して泊まっています。

民泊の行方:下 郵便受けに鍵、「禁止」すり抜け(朝日2017年7月15日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13037547.html

東京・渋谷のスクランブル交差点から歩いて10分。大通りを少し入ったオフィス街に13階建てのこぎれいなマンションがある。6月下旬、民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」で予約し、取材目的で泊まってみた。

「1泊7400円」。立地もよく、約40平方メートルという広さから考えると手頃だログイン前の続き。申し込むと、部屋の貸主から、詳しい住所と4桁の暗証番号を書いたメッセージが携帯電話に届いた。

マンションの入り口にはオートロックがかかり、入れない。メッセージで指示された通り、泊まる部屋の郵便受けの投函(とうかん)口に手を差し込む。指に触れたワイヤを引っぱると、先に南京錠と部屋のカギがついていた。暗証番号で南京錠を外し、カギを使ってオートロックを開ける。

ガラス張りの1階エントランスを入ると、目に飛び込んできたのが「民泊禁止」の貼り紙だ。マンションの管理会社に聞くと、全室で民泊を禁じているという。しかし、Airbnbにはほかにこのマンションの4室が掲載されていた。Airbnb日本法人は「希望があれば掲載するのが基本で、許可の有無は確認していない」(広報担当者)。

予約時に宿泊代と別に清掃代の約8千円を支払い済みだ。だが、部屋の床には髪の毛が落ち、タオルはかび臭い。民泊用の部屋の管理は主にベンチャー企業や小さな不動産会社が引き受けているが、「SNS上で学生や主婦を集めて掃除させる業者も多い」と業界関係者はいう。

6月に成立した民泊新法(住宅宿泊事業法)は来春施行の見込みだ。それまでは、お金をとって繰り返し人を泊めるには、衛生面などの基準を満たしたうえで、都道府県などから旅館業法の許可を得る必要がある。記者が泊まった部屋は無許可だった。宿泊者が罰せられることはないが、泊めた側は違法な「ヤミ民泊」として処罰の対象になる。民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる。

6月下旬、ヤミ民泊の多さで知られた東京・代々木のあるマンションを訪ねた。約800室のうち、一時は50~100室がヤミ民泊に使われていたとされる。1室を借りて民泊用に2年間、又貸ししていた20代男性は「月10万円の家賃を払っていたが、50万円の収入があった」と明かす。

騒音やゴミ出しなどのトラブルが相次いだため、このマンションの管理組合は昨年4月、規約で民泊を禁止した。しかし今も5部屋以上の民泊が残り、大きなスーツケースを持った外国人が出入りする。

ある管理会社の社長はあきれ顔だ。「ヤミ民泊だとばれないような受け答えや、保健所の職員が来たときの対策を指南するマニュアルが出回っている」

自治体も対策に頭を悩ます。情報を得ても、マンションのどの部屋がヤミ民泊で使われているかを特定するのが難しいからだ。ヤミ民泊の情報を受け付けるウェブサイト「民泊ポリス」には連日、問い合わせが相次ぐ。運営する中込元伸さんは「海外の普段の暮らしを体験し、文化に触れるという本来の民泊の姿からは遠くなっている」と嘆く。

こうした民泊のあり方に不満を漏らす訪日客も出ている。「『民泊禁止』の貼り紙を見て歓迎されていないと不快になった」「ゴミや悪臭のひどい部屋で、ひどい経験だった」……。Airbnbの利用者の感想コメントには、こんな書き込みがある。

新法は、民泊用の部屋を提供する貸主に都道府県などへの届け出を義務づける。違反した場合、100万円以下の罰金や1年以下の懲役を科す。

ヤミ民泊は新法で一掃され、健全なビジネスに生まれ変われるのか。取り締まる側、される側とも、重い責任を負うことになる。(森田岳穂)


ヤミ民泊の急拡大によって、宿泊業界は大きな影響を受けています。2015年頃、ホテルの客室不足が話題となりましたが、状況は一変しており、特に訪日客を多く受け入れていたホテルでは、以前のように客室が埋まらない事態にまで至っているからです。理由は、米国系Airbnbだけでなく、中国系民泊サイトの利用者が急拡大したためです。

「夜に消える? 訪日客」。背景には民泊による宿泊相場の価格破壊がある
http://inbound.exblog.jp/26877980/

記事の最後にあるように、新法によって民泊は健全なビジネスに生まれ変わることができるのか。これから半年の動きに注目したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-07-17 11:32 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)