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2017年 04月 25日

「澤の屋」に次ぐ都内人気旅館の支配人が語る民泊被害とこれからの宿経営

駅前で偶然見かけた外国人旅行者が縁で、豊島区椎名町のユニークなゲストハウス兼カフェ「シーナと一平」を訪ねた話を前回書きましたが、今度はそこで聞いた「トリップアドバイザーの都内の旅館人気ランキングで老舗の澤の屋に次ぐ2位」という宿をその足で訪ねることになりました。

立ち食いうどん屋の外国人と豊島区椎名町のインバウンドの話
http://inbound.exblog.jp/26812925/

ところで、豊島区椎名町駅周辺は一見なんの変哲もない住宅街ですが、かつて「池袋モンパルナス」と呼ばれたアート関係者が多く住む町でした。豊島区のHPによると「1930年代、豊島区西部旧長崎町を中心に、絵や彫刻を勉強する学生向けにアトリエ付借家群が生まれました。これは、アトリエ村と呼ばれています」とのこと。
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池袋モンパルナス
http://www.city.toshima.lg.jp/brand/montparnasse/index.html

学生時代にある講義を受けて親しくなった先生が椎名町に住んでいて、お宅に呼ばれて食事会をしたことがあったのですが、確かにこの界隈には古い文化住宅がかつては多く残っていました。いまは、実際のところ、区がいうような面影がどれほど残っているかわかりませんが、駅を降りると、東横沿線のような気取った感じのない、温もりのある商店や食堂があって、悪くないんです。

そんな商店街を抜け、静かな住宅街の中にその旅館はあります。「ファミリーイン西向」といいます。

ファミリーイン西向
http://www.familyinnsaiko.com/
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正直なところ、たどりつくのにずいぶん道に迷いました。日本の住所表示は、海外のようなストリート名+番号ではなく、区画(丁・番地)によるため、たとえ規則性があるにせよ、初めてその町を訪れた人にはわかりにくいものです。よくこれで外国人旅行者がここまでたどり着けるものだと思ったほどです。

ようやく見つけたと思ったら、玄関の前に支配人の大野政道さんがいたので、声をかけることにしました。あとで知ったのですが、この旅館にはこれまでメディアの関係者や自分も同じような外国人向け旅館を始めてみたいという人が話を聞きに訪ねてきたので、いきなり声をかけられるのは慣れているのだそう。

たとえば、ネットで以下のような記事が見つかりました。

「日本最強のおもてなし」は池袋近郊にあった
無名の小さなホテルが、外国人に大人気のワケ(東洋経済オンライン2015年05月01日)
http://toyokeizai.net/articles/-/68145

家族経営のぬくもり ファミリーイン西向(毎日新聞経済プレミヤ2015年12月24日)
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20151221/biz/00m/010/020000c

ファミリーイン西向を紹介する記事のポイントは、旅行者による口コミサイトのトリップアドバイザーで無名の旅館が人気上位にあることを知り、その秘密を探りにいくというものです。で、その理由は「池袋まで1駅」という立地と「困ったらすぐ助けてくれるサービス」。ん? これが「日本最強のおもてなし」? 単にそういう話だけではないんじゃないでしょうか。

これらの記事は、日本を訪れる外国客が1年で600万人以上増えた2015年のものでした。この年、45年ぶりに訪日外国人の数が日本人海外旅行者数を越え、大都市を中心にホテルの客室不足が話題となっていました。

大野さんに客室や共同風呂などを見せてもらった後、少し話を聞きました。

現在、同旅館の客室は14室。すべて和室の畳敷き。平均単価は1名7000円ほど。開業は6年前で、昭和40年代に建てた自宅の改装にあたり、何か新しいことを始めてみようと考えた。椎名町界隈には単身者向けのアパートやマンションが多いので、同じことをやってもつまらないし、何よりかつては自宅の前の通りも商店街だったことから、そのにぎわいを残したいという思いが、外国人向け旅館を始めようと思った理由だといいます。日本人相手にこの町で旅館をつくっても仕方がないので、最初から外国人向けをつくるつもりで始めたところ、いきなり東日本大震災が起きて大変だったけれど、すぐに外国客は急増したそうです。

大野さんが最近懸念しているのは、椎名町界隈でも急増している民泊だといいます。近所でも、マンションの一室で民泊を始めたオーナーがいるそうで、客足に影響がないとはいえないといいます。豊島区ではまだはっきりした方向性が出されていないのです。

こんなひどいこともあったそうです。Airbnbに同旅館に似た名前をつけて、マンションの一室を民泊として運営しているオーナーが近所に現れたそう。部屋の写真もよく似ていて、日本をよく知らない外国人ならファミリーイン西向と間違えても仕方がないほどだったといいます。大野さんは繰り返しAirbnb側にクレームを入れたところ、ようやく削除されたそうですが、「彼らはこんなやり方を平気でするんだな」と呆れたとか。

「オリンピックまであと3年で投資を手早く回収してしまおうというような考えなんだろうけど、宿泊業はそんなに簡単じゃない」と大野さんはいいます。多くのホテルや旅館関係者が、安易に民泊を始める関係者に批判的になるのも当然でしょう。

だいたい「訪日外国人は東京オリンピックの2020年までは増える」などという俗説が大手を振っているのがおかしな話です。オリンピックはあくまで日本の都合であって、これまで訪日客が増えてきたのは、オリンピックとはまったく関係ない理由からです。その意味では、国際環境などの外的要因によっては、オリンピック前に失速してしまうかもしれませんし、実際のところは、訪日客の動向は、今後もアップダウンはあるものの、基本的にしばらくは増加基調にあることは変わりません。増えているのは、日本側の事情からではなく、海の向こうで大きな環境の変化が起きているからです。だからといって、政府目標の「2020年までに4000万人」にどれだけ実現性があるのかわかりませんけれど。

2015年当時、客室不足が騒がれた大都市圏の宿泊事情が、昨年夏頃から少し落ち着いてきたという話をよく聞きますが、その理由はズバリ、民泊利用者の急増があると指摘されています。外国人旅行者の中には、安ければ施設はいまいちでもかまわないという人たちは多くいます。訪日客急増とホテル代の高騰で、緊急避難的に民泊に流れた経緯があります。当時、民泊は新しもの好きの流行という面がありました。

その国の住宅事情を反映する日本の民泊のクオリティは、世界的にみると最低ランクの評価であることは否定できません。とにかく日本の物件はワンルームが多く、狭すぎるのです。でも、日本を訪れる外国人観光客のニーズは、むしろ家族や小グループ数名で泊まれる広い物件です。一度目は安さを理由にマンション民泊を選んだカップルたちも、せっかく旅行に来てるのに、こんな部屋で過ごすのはどうなんだろうと思い始めているのです。これから民泊を始めようとする人は、この点をもっと知っておく必要があるでしょう。

実際、こうした低い評価ゆえに民泊離れの動きも出ているようで、まったくインバウンド市場の変化は早すぎるほどです。

これはどんなビジネスでもそうでしょうが、相応のリスクを負い、利用者の声に耳を傾け、不断の品質向上を心がけないようでは、うまくいかないものです。特別に魅力的な物件でもないかぎり、ワンルームマンションの狭い一室を貸し出す家主不在型民泊は、いっときのあだ花みたいなところがあるのです。

バケーションレンタルって何?
http://inbound.exblog.jp/26802073/

だからといって、投資コストを増やすことは簡単ではない以上、できることは、宿泊客が何を望んでいるか、日々接しながら知ろうとする努力でしょう。

フロントの前に数本の国旗があったので、大野さんに尋ねると、「その日、宿泊される方の国旗を歓迎の意味で、置いているんですよ」とのこと。欧米の主要国の人たちはともかく、アフリカや中南米などから来た宿泊客は、大いに感激したそうです。現在、100カ国近い国旗を特注で用意しているとか。
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同旅館の魅力は、このような気取らず、無理のない家族的なサービスにありそうです。そして、椎名町の商店街も魅力でしょう。

ファミリーイン西向では、オリジナルの英語によるこんな周辺地図を用意しています。この地図には、同旅館を訪れる外国人客が知りたい情報がコンパクトにまとめられています。
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同じことは、新宿歌舞伎町にある外国客に人気のデザインホテル「グランベルホテル新宿」でもありました。

自家製地図でわかる外国人ツーリストが知りたいこと(新宿グランベルホテルの例)
http://inbound.exblog.jp/24708078/

ところで、冒頭に書きましたが、この旅館は最寄の駅から10分くらい離れていて、住宅地の中を迷わずたどり着くのが大変だと思われます。にもかかわらず、外国人が訪れるのは、ネットのおかげです。無名であっても、外国客があとを絶たないホテルとしては、台東区池之端にある知る人ぞ知る隠れ家宿のホテルグラフィー根津もそうです。

シェアハウスのホテル化で外客受入に成功=「ゲスト交流型ホテル」とは?
http://inbound.exblog.jp/24596922/

これらの事例をみていると、いまの時代の宿経営のひとつの方向性が見えてくると思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-04-25 12:58 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2017年 04月 25日

立ち食いうどん屋の外国人旅行者と豊島区椎名町のインバウンドの話

先週、ある用で西武池袋線の池袋からひとつめの駅、椎名町を降りたところ、駅前にある一軒の立ち食いうどん屋の前に旅行バッグを背負った外国人旅行者の3人組がいました。つい彼らにつられて店に入ってしまいました。
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椎名町を訪ねるのは数年ぶりのことです。めったに利用することのない駅を降りると、『孤独のグルメ』のゴローさんのように、よさげな飲食店をつい探したくなるものです。その立ち食いうどん屋の「南天」は、ボリュームたっぷりの肉うどん(430円)が名物だそうです。
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店内にはトリップアドバイザーの貼り紙がありました。なんでも豊島区のレストランで3623軒中67位(2017年4月24日現在)なんだそうです。
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南天本店
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g1066460-d1683449-Reviews-Nanten-Toshima_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html
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これが肉うどんです。肉の量を2倍にしたダブルは510円、ミニ390円もあります。

店長に聞くと、近所に外国人客が泊まれるゲストハウスがあるそうです。なるほど、だから椎名町のような住宅街に彼らが出没していたわけです。

後日、椎名町にあるというゲストハウスをネットで調べたところ、以下の宿が見つかりました。

シーナと一平(豊島区椎名町のカフェと旅館)
http://sheenaandippei.sakura.ne.jp/

そして、昨日のお昼前、ちょこっと覗きにいきました。場所は、椎名町駅の北口を出て西に向かい、サミット通りという名の商店街を歩いていくと、道沿いにあります。
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そこは「とんかつ一平支店」という古い看板のある建物でした。えっ、ここがゲストハウス? そう思いながら、店の前にいた女性に声をかけると、ずいぶん前に閉店したとんかつ屋だった空き家をリノベーションしてゲストハウス兼カフェとして、昨年3月にオープンさせたのだとか。
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せっかく訪ねたので、カフェでお茶をしながら彼女にさらに話を聞いたところ、このゲストハウスは豊島区の「リノベーションまちづくり」事業の一環で開かれたリノベーションスクールに参加した男性が始めたものでした。

いくつかのメディアがすでにこの宿について紹介していました。

カフェと旅館 一体 シーナタウン、豊島区の空き家活用 (日本経済新聞2016/3/17)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO98515690W6A310C1L83000/

まちづくり会社のシーナタウン(東京・豊島)は18日、豊島区の空き家活用プロジェクトの一環で、カフェと旅館が一体となった施設を開業する。同区内の空き家率は15.8%と23区で最も高く、区は空き家の再生で地域の魅力を高める構想を進めている。今回の施設は同構想から誕生した第1号となる。

同社が開業するのは「シーナと一平」。昨年3月に区が開催した「リノベーション(大規模改修)スクール」で再生を検討した案件だ。使われていなかった住宅併設型の元とんかつ店を用途変更し、1階はカフェ、2階は主に訪日客が対象の旅館とした。

カフェは1時間300円で、ミシンを自由に使える「ミシンカフェ」。「ミシンに親しむシニアと子育て世代をつなぐ目的」(同社)という。

旅館は5部屋あり、2人で宿泊する場合、1万5120円からとする。相部屋式のドミトリーも備えた。

西武池袋線椎名町駅前の商店街に立地する。カフェでは近隣の総菜店で買ったものの持ち込みも可能にする予定で、利用者の商店街内の回遊も狙っている。


他にもいろいろあります。宿泊施設内の写真などはこちらを参照してください。

民間主導のプロジェクトで誕生した「シーナと一平」。まちに溶け込む「お宿と喫茶」を目指す
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00345/

とんかつ店をカフェと宿にリノベーションしてまちの“世代をつなぐ”
http://suumo.jp/journal/2016/03/18/108036/

豊島区のリノベーションまちづくり構想の詳細は以下を参照してください。都内一といわれる空家率の背景に、豊島区における30代(子育て世代)の流出があることから、いかに子供を育てやすい環境をつくるかという観点で民間と公共の空き家や空き地を利用したまちづくりを進めていこうとするものです。

豊島区リノベーションまちづくり構想
http://www.city.toshima.lg.jp/310/kuse/shisaku/shisaku/kekaku/008446/documents/toshima_renovkousou.pdf

リノベーションスクール@豊島区
https://www.facebook.com/renovationschool.toshimaku/
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こうした理念を掲げた取り組みが、当の外国人旅行者にどう受けとめられるかは別の話ですが、昭和の古い飲食店をリノベーションして生まれた空間はとてもユニークで、心地よいものです。

靴を脱いで上がるちゃぶ台が置かれたスペースがカフェで、利用代300円の内訳は、お賽銭箱に200円と飲み物代100円。コーヒーやソフトドリンクなど、セルフサービスとなっています。
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柱を背もたれにして、足を伸ばしてアイスコーヒーをいただいていると、近所のママさんが小さなお子さん連れで現れました。なんでも以前は昼間はただのカフェスペースだった1階は、今後近所の商店街のおばさんたちが先生になって洋裁や編み物、料理などを教えてくれる教室になるそうです。
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その名も「長崎二丁目家庭教室」。(月~木のみ。金~日は以前のとおりセルフカフェ)。教室の運営を担当する地元在住、二児の母である藤岡聡子さんにいただいたチラシによると「まちの誰もが暮らしの先生。家庭科に通ずる暮らしの知恵を学んだり、まちなかの福祉についてしることができます」と書かれていました。
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もともと外国人向けのゲストハウスとして立ち上げた「シーナと一平」でしたが、地元に密着したもうひとつの顔があることを知り、なるほどと思いました。
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確かに、椎名町は池袋に近い徒歩圏内でありながら、昔ながらの商店街が(以前に比べると縮小しているのですが)いまだに残っている町です。外食チェーンは駅前にはありますが、個人経営の個性豊かな食堂がまだたくさんありました。外国人観光客にすれば、商店街で焼き鳥を買って、カフェスペースでビールを飲んだりできる。こういうのが、本当は日本らしい町の楽しみ方なのかもしれません。

実は、藤岡さんに椎名町にあるもう一軒の、しかも都内で外国人にダントツ人気の旅館(トリップアドバイザーの都内の旅館人気ランキングで老舗の澤の屋に次ぐ2位だそう)があることを教えてもらったので、その足で訪ねてみることにしました。

その話はまた今度。

「澤の屋」に次ぐ都内人気旅館の支配人が語る民泊被害とこれからの宿経営
http://inbound.exblog.jp/26813108/
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by sanyo-kansatu | 2017-04-25 11:18 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2017年 03月 02日

過去最高400万人超えの台湾客はいま日本で何を楽しみたいのか?

昨年の訪日台湾人数は416万7400人。リピーターが多く、全国各地に足を延ばす台湾客は1980年代から日本を訪れている。彼らはどのような人たちで、日本がなぜ好きなのか。そろそろ飽和市場といわれるなか、さらにこの勢いを盛り上げるために何ができるのか、考えたい。
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昨年の訪日台湾人数が過去最高の416万7400人ということは、人口2300万人のうち6人に1人が日本を訪れたことになる。台湾から毎年これだけ多くの人たちが日本を訪れる理由は何だろうか。

それを理解するうえで参考になる映画がある。中国のオムニバス映画『Cities in Love(恋愛する都市)』(2015)の一編として収録されている『Honeymoon(蜜月)』という約20分の短編作品だ。

台湾人監督が描く北海道ハネムーン旅行

『Honeymoon(蜜月)』は、北海道を舞台にした中国人カップルのハネムーン旅行を描いている。台湾人の傅天余監督は1973年生まれの女性で、岩井俊二監督に影響を受けたという。

恋爱中的城市(YOU TUBE)※『蜜月』は1時間2分40秒頃から。
https://www.youtube.com/watch?v=JT6K7HyzAPE

物語はハネムナーのふたりが窓の外の雪景色を見ながら温泉に入るシーンから始まる。部屋に戻ったふたりが床に就くと、新郎の携帯が鳴る。電話の相手は会社のボスで、彼のスマホに北海道産の干物屋の写真を送ってくる。土産に買ってこいというのだ。
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↑亜熱帯に暮らす台湾人にとって、雪見温泉は極上体験

新婦は北海道で行きたいところ、食べたいもの、体験したいことをいくつも計画していたが、翌朝彼らは温泉宿をキャンセルし、干物屋を探しに行くことになった。彼女は大いに不満である。

小樽駅から電車に乗り、ある無人駅で下車。その後、ふたりは路線バスに乗る。バスを降りて、雪道を歩いているうちに大喧嘩を始める。そして、彼を置き去りにして彼女はひとりで歩いていってしまう。
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↑雪に覆われた無人駅はハネムナーにとってはロマンチックな世界。今年初め、この映画を観た中国人観光客が線路に降りて、電車を停めるという報道があった

ついに日が暮れ、大雪の路上でスーツケースに座って途方に暮れていた彼に電話がかかる。彼女からだった。「見つかったのよ」。

彼女はすでに干物屋を見つけ、自宅に招き入れてもらい、部屋で休んでいたのだった。こうしてふたりは老夫婦の暮らす家にホームステイすることになる。囲炉裏を囲んで片言の日本語で会話をしているうちに、喧嘩ばかりしていたふたりが寄り添うところで終幕となる。

台湾客はローカルバスが好き?

ほのぼのとしたラブコメディであり、この作品に見られる日本の老夫婦に対する温かいまなざしは、いかにも台湾人監督らしい。ハネムーンの話ということで、いまの若い台湾人や、おそらく中国人も(同作品はまがりなりにも中国映画である)、日本で体験したいことがもれなく盛り込まれていると解釈していいかもしれない。

この作品には以下のようなシーンが出てくる。

雪景色、温泉、納豆、ローカル線、駅弁、無人駅、ローカルバス、雪道を歩く、日本酒の熱燗、ホームステイ(民泊)、日本人老夫婦との交流

一見なんの変哲もないようだが、これらは台湾の人たちが日本でやってみたくてたまらない体験のラインナップと見ていいのではないだろうか。わざわざローカルバスに乗ることも、最近の日本のテレビ局が低予算ゆえに盛んにつくっている路線バスの旅番組の影響があるかもしれない。台湾では日本のテレビ番組が多く放映されているからだ。
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↑バスの中でふたりの気持ちは離れてしまったよう。「せっかくのハネムーンなのに、自分はどこに連れて行かれているのだろう…」。彼女の気持ちは理解できる

ここには、彼女が当初計画に入れていた和牛の焼肉やタラバガニの食事もそうだし、ドラッグストアや免税店の買い物といった一般の日本人がイメージする訪日中国客の姿は一切出てこない。彼女が「見つけた」と語る日本の老夫婦との和やかな語らいの時間に比べれば、そんな誰でもできるようなことなど、たいした価値はないのである。

自分たちの住む小さな田舎町を訪ねてきたふたりの様子を訝しがりながら、老夫婦は自分たちの新婚旅行先がハワイだったと話す。おそらく1970年代のことだろう。こうしたエピソードを挿入できるのも、昔から日本のことをよく知っている台湾人監督ゆえの味つけだと思われる。
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↑日本酒の熱燗を酌み交わしながら、老夫婦の思い出話を聞くふたり

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー

長崎県の島原半島の南端にある南島原市では、2013年から台湾の団体客を農家民泊させるツアーを受け入れている。ツアー名は「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」。催行しているのは、台北にある名生旅行社だ。
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↑「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」

名生旅行社:http://www.msttour.com.tw/web/major.asp

このツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産物の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わう。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、毎年多くの台湾客が訪れるようになった。
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↑筆者が同行取材した台北在住の黄さん一家は民泊先のビニールハウスでナスやピーマンを収穫した
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↑民泊先のキッチンで家族と一緒につくった夕食を楽しむ

(参考)台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)
http://inbound.exblog.jp/24747209/

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年から。最初は長崎県の中学生から受け入れを始め、全国の中高生の修学旅行生へと広げていったという。いまでは年間約1万人の民泊を受け入れており、約160の民家が対応している。

民泊ツアーに参加する台湾客について、添乗員の林尚緯さんはこう話す。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まるように、決して安いツアーではない。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などには行き尽くした、日本をよく知るリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。
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↑台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊した(2015年7月)

帰り際に地元の公民館に台湾客が全員集まり、お別れの会をするのだが、感極まって涙を見せる人も多いという。一緒に過ごした1日の時間を思い出すと、お互い言葉がわからなくてもどかしいぶん、ぐっとこみ上げてくるものがあるようだ。まさにウルルンツアーなのである。

日本人と触れあいたいという思い

民泊ツアーの添乗員の林尚緯さんが言うように、台湾客は日本のリピーターが多い。一般に市場が成熟すると、団体から個人へと移行するといわれるが、台湾客は個人比率が高いものの、仲間でわいわい楽しみながら旅行をするのが好きな人たちである。日本の情報も、テレビはもちろん、ネットが普及する前の紙メディアが主流の時代から接していたという意味で、年季の入った日本ファンといえる。

そのため、彼らは日本人の好みや流行、考え方を比較的素直に受け取る傾向が強い。台北で現地情報誌の立ち上げに関わった編集者の鈴木夕未さんによると「台湾人の日本旅行の好みは、ほとんど日本人と一緒。よく外国人目線を大切にというけれど、彼らは日本人目線とそんなに変わらない。日本人がカワイイと思うもの、素敵と思うもの、行ってみたいと思うところもほぼ同じ。日本の女性誌に掲載されているような店を台湾人は好みます」という。

「日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい」という台湾客の思いを理解するうえで参考になるのが、台湾出身の日本薬粧研究家の鄭世彬さんが書いた『爆買いの正体』(飛鳥新社)だろう。彼は日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品の専門家で、すでに台湾、中国で10冊以上の案内書を出版している。同書は台湾人も含めた華人の「爆買い」を経済現象としてみるのではなく、民族的、歴史的な背景をもった文化現象として描いていることが特徴だ。

さらに、台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書でもある。なぜ台湾の人たちがこれほど多く日本を訪れるのか、その理由を熱く語ってくれている。それは、ひとことでいえば、日本人ともっと触れあいたいという思いがあるからなのである。
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↑『爆買いの正体』(飛鳥新社)http://goo.gl/DXhOMa

1980年代から日本を旅行していた台湾客

台湾の人たちが日本に旅行に訪れるようなったのは、1979年以降である。その年、台湾人の海外渡航が自由化されたからだ。

アジア映画ファンなら、台湾映画を代表する候孝賢監督が製作に携わった『多桑 父さん』(呉念眞監督 1994年)という作品に登場する老人のことを知っているかもしれない。彼は日本統治時代に教育を受けた世代で、戦後多くの苦労を重ねたが、夢は日本旅行に行って富士山を見ることだった。結局、老人は夢を果たせなかったことで物語は終わるが、多くの台湾の人たちが自由化後に最初に向かった先は日本だったのだ。

とはいえ、80年代当時は年間約40万人、90年代でも約80万人ほどだった。それが一気に増えたのは、2000年代に入ってからである。

引き金になったのは、2005年の愛知万博開催を期に台湾人に対する観光ビザを免除したことだ。さらに、日本への往来を格段に便利にしたのが日本の航空政策である。海外の国々との間で航空便の路線や発着枠、便数を自由化させるオープンスカイ協定の改定や推進で、特に近年の目覚しい路線数の拡充は、米国との協定を締結させた2010年10月以降、続々とアジア各国との同様の協定を進めた。

なかでも地方空港への国際線乗り入れ増加に影響を与えたのは、10年の韓国、11年の台湾、香港、12年の中国との協定締結だろう。台湾と日本のオープンスカイ協定は、11年11月に調印されたが、これにより台湾からの関西国際空港や中部国際空港、そして地方空港への乗り入れは自由化され、就航エアラインやチャーター便の規制も撤廃されたことから、従来のチャイナエアラインやエバー航空に加え、翌年よりマンダリン航空やトランスアジア航空(16年11月解散)の4社が定期便の運航を開始した。

現在、これに加えてLCC(格安航空会社)が日本と台湾を結んでいる。国内系はジェットスターやピーチ・アビエーション、バニラエア。外国系はシンガポールのスクート航空、昨年から仙台や岡山などの地方都市への運航を開始したタイガーエア台湾。もちろん、これに日本航空と全日空が加わる。台湾のエアラインは日本の地方都市にも多く就航していることが特徴で、台湾メディアによれば、「日本と台湾を結ぶ航空便は毎日約100便」(フォーカス台湾2016年5月29日)飛んでいるという。
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↑台湾で開催される旅行博では、日本ブースが最大規模。会場では日本ツアーが大量に販売される

ビザ免除とオープンスカイ協定終結による相乗効果が、昨年台湾からの訪日客が400万人を超えるまでに拡大した最大の理由といえる。

双方向の交流を進め、盛り上げたい

日本政府観光局(JNTO)によると、昨年の1月から10月まで日本は台湾人の海外旅行先トップだったという。数の規模は飛躍的に拡大し、前年からの伸び率も13.3%増と決して低いとはいえないが、一時期の勢いは収まり、市場は飽和状態という声もある。

昨年下半期に若干伸びが落ちた背景には、2015年12月に日本路線の運航を開始したVエアの撤退(16年9月)やトランスアジア航空の解散(11月)などの影響があったと考えられる。

日台間を結ぶ航空便が減れば、当然訪日客数に影響が出る。であれば、航空便の維持のためにも、我々も台湾に出かけるべきではないだろうか。さいわい、日本から台湾を訪れる観光客数はここ数年、わずかではあるが増加傾向にある(2015年で167万2000人)。ただし、台湾から日本を訪れる数に比べると、半分以下だ。双方向の交流こそが、台湾の訪日市場をさらに盛り上げることにつながるはずだ。

台湾が日本からの観光客を待望するのはもうひとつの理由がある。2016年1月の台湾総統選挙の結果、民進党の蔡英文主席が当選したが、それ以後、中国からの観光客が大きく減少しているからだ。

訪日台湾市場を理解するためには、現地をよく知ることが欠かせない。ぜひ多くの日本人が今年は台湾に足を運んでほしい。

※やまとごころ.jp
http://www.yamatogokoro.jp/report/2934/
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by sanyo-kansatu | 2017-03-02 12:19 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2017年 02月 08日

アパホテルとデモ騒動、これじゃ中国の為政者に踊らされすぎです

この週末、新宿で例の「アパホテル問題」を発端にしたデモ騒動が起きました。

在日中国人「反アパホテル」デモ 対抗団体も登場、休日の新宿が混乱(産経ニュース2017.2.5)
http://www.sankei.com/affairs/news/170205/afr1702050015-n1.html

ホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えているとして、中国当局が猛反発している問題で、日本在住の中国人らが5日、東京都新宿区で同ホテルへの抗議デモを実施した。現場周辺にはデモに抗議する団体メンバーも多数詰めかけ、休日の新宿は混乱した。

デモを行ったのは、このデモのために結成された日本で生活している中国人企業経営者、会社員らで作る「中日民間友好委員会」。約300人(主催者発表)の参加者が午後3時から、新宿中央公園から新宿御苑に近い同ホテル周辺まで行進した。「中日友好」「民族の尊厳を守る」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げながら道路を歩いたが、シュプレヒコールを上げることはなかった。

デモには抗議する右翼団体の構成員らが併走。「JAPANが好きだ」と書かれた横断幕を奪い取ろうとしたほか、デモに飛びかかろうとして、警戒に当たっていた警察官に静止される場面が何度も見られた。

デモを主催した来日10年になるという中国人女性は「(周囲の)みなさんにはご迷惑をおかけした。今回声を上げたのは勇気ある中国人だ」などとコメント。年齢や名前などは明らかにしなかった。


騒動の始まりは「ニューヨークに住む米国人女子大学生Katさんと中国人男子大学生Sidさんのコンビ「KatAndSid」が15日夕方に投稿」した「告発」でした。それにしても、アンチデモの連中の暴走のため、まるで中国人のデモ関係者のほうが被害者のように見えてくる始末ですが、彼らもわざわざ垂れ幕に「JAPAN」と書くあたり、なんだか真意がすっきりしませんね。

これらの一連の件について、以前ぼくは中国が日本に限らず対外的に繰り広げてきた「宣伝戦」の一環であると書きました。その目的は、短期的には中国の歴史認識を否定する私企業(標的)に対してなんらかの経営的な打撃を与えることでしょうが、在日中国人まで巻き込んで騒動を拡大することで、結果的に、中国の主張を広く喧伝することでしょう。でも、こういうことはこれまでもしばしばあったことです。

中国SNSでアパホテル炎上 春節はどうなる?(2017年01月17日)
http://inbound.exblog.jp/26563241/

ささやかな記事ですが、BBCが動画付きでこれを報じています。

アパホテルに抗議、在日中国人らが東京でデモ(BBC2017年02月6日)
http://www.bbc.com/japanese/video-38877494

ビジネスホテル大手アパグループが日中戦争時の南京大虐殺を否定する本を客室に置いていることをめぐり、在日中国人らが5日、東京・新宿で抗議デモを行った。

本はアパグループの元谷外志雄代表が執筆したもので、大虐殺は起きていないと主張している。本の客室設置をめぐっては、中国政府が批判したほか、中国国内の予約サイトがアパホテルをボイコットするなどし、反発が広がっていた。


今朝、ネットを見たら、中国専門家の福島香織さんが今回の騒動についてこう書いていました。「結果的には、中国やアンチアパホテル側にとっていい感じの映像や記事が山のように出来上がった」。

「アパホテル問題」はスルーするに限る
中国の「公共外交」に踊らず、日本の魅力を示せ(日系2017年2月8日ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/020600087/

まったく同感です。彼女は言います。

「それよりも、南京事件80周年の今年の春節前に、中国の動画サイトや微博で中国人向け投稿を頻繁にしているKat&Sidという米国人女性と中国人男性の二人組が、アパホテルの歴史本の存在を今更のように投稿して、批判し、中国のネットで炎上気味に拡散して、中国政府が旅行代理店や国民にはっきりと、アパホテルを使用するなと通達した一連の流れに、なにかしらの偶然とはいいがたいものを感じる。

もちろん、Kat&Sidが、中国共産党の手先だというつもりは毛頭ない。しかしながら、中国がこれまでとってきた、パブリックディプロマシー(公共外交)や歴史戦、国際世論戦の手法を思い返すと、最初のきっかけが偶然だとしても、中国当局はすぐさま戦略的に有効な展開を考えるものだ。そして、また日本のメディアも活動家も面白いようにそれに呼応してくれる」

さらに彼女は、中国の近年のパブリックディプロマシーの成果として「中国公共外交発展報告(2015)」の内容を紹介しています。その狙いは「安倍晋三の軍国主義復活を喧伝し、日米を離反させ、国際社会で日本を孤立させること」でした。中国出張中、テレビニュースを見ていると、今年に入っても日本に関する報道はそのような内容でほぼ占められていることを知るとき、まったく徹底していると感じます。中国メディアの特徴は、安倍首相が自衛隊といるときの映像を繰り返し使うことです。
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そして、今回の発端に象徴されるように、中国は今後ますますSNSを使った対日世論工作や国際世論形成に力を入れていくことになると指摘しています。

「こういう風に今年、中国が戦略的忍耐でもって、慎重に国際世論戦を展開してくるというなら、日本も慎重に迎え撃つしかない。右翼活動家の罵詈雑言による短絡的なカウンターデモは、はっきり言って、こうした公共外交、国際世論戦にとって日本の足を引っ張る以外の何者でもなかった」

ですから、今回の「カウンターデモ」は、中国の為政者に見事に踊らされてしまったも同然なんです。

最後に、福島さんは書きます。「日本の公共外交は、実のところ中国が歯噛みするほどの底力がある」。

そうなのです。いま多くの中国客が日本を訪れ、美しい風景や食事、サブカルチャーも含めた日本の多様な側面をSNSで広めてくれています。むしろ、こうしたことが中国の為政者に対するカウンターになるはずです。それ自体を目的とするのは本末転倒ですけれど、そのことに自覚的であってもいいと思います。

これからも彼らは私たちの嫌がることをあの手この手で仕かけてくるでしょう。今回は私企業に対する工作でもあり、義憤をおぼえた人も多かったのかもしれませんが、そうだとしたら、相手に乗せられたという話です。次回こうしたことが起きたときは、もう少し頭を冷やして、最も効果のある対応をすべきだと思います。それだけの手持ちは日本には豊富に揃っているのですから。

それからもうひとつ。日中の民間同士がいがみ合うことも、中国の為政者の思うつぼだということを頭に叩き込んでおきたいところです。民意によって選ばれたわけではない中国の為政者と民間人は区別しなければなりません。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-08 07:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 17日

中国SNSでアパホテル炎上 春節はどうなる?

ネットで嫌なニュースを見つけてしまいました。

「アパホテル」中国のSNSで“炎上”「南京大虐殺を否定するCEOの著書が客室に」 
告発動画「微博」で6800万再生(ITmediaニュース2017年01月17日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1701/17/news088.html

日本のホテルチェーン・アパホテルが、中国のSNS「微博」で炎上状態になっている。「アパホテルCEOが執筆した、南京大虐殺を否定する内容を含む書籍が全客室に置かれている。中国人はこの事実を知った上で宿泊するかどうか決めるべき」と、米国人の学生が「微博」に動画を投稿して告発。この動画が2日で6800万再生を超え、中国ネットユーザーの批判を浴びている。

動画は、米ニューヨークに住む米国人女子大学生Katさんと中国人男子大学生Sidさんのコンビ「KatAndSid」が15日夕方に投稿したもの。2人は1月、東京に旅行に行った際、アパホテルに宿泊し、部屋にあった書籍を読んでショックを受けたという。

書籍は、アパグループ代表の元谷外志雄さんが「藤誠志」のペンネームで執筆した「理論近現代史学II」(英題は「THEORETICAL MODERN HISTORY II」)で、「南京大虐殺はねつ造だ」「従軍慰安婦の強制連行はなかった」などと主張している。

動画では、Katさんがアパホテルのフロントで書籍を購入し、ページを開いて英語版の内容を紹介。南京大虐殺を否定している部分などを読み上げ、「彼には、自分の本をホテルに置いたり自分が言いたいことを言う権利はあるが、彼の政治的思想を知らない中国人・韓国人客からお金を取っているのは不誠実だ。このホテルに支払ったお金は、CEOのこのような政治的思想をサポートすることになる」と話す。

2人は日本で素晴らしい時間を過ごしたといい、「日本の人達はとても親切で礼儀正しい」と称賛。アパホテルの書籍を批判する動画を公開するかは迷ったが、「このホテルにお金を払う人は真実を知るべき」と考え、公開に踏み切ったという。「これはこのホテルだけの問題で、この国やこの国の人々には関係ない。日本をディスるつもりはない」としている。

動画は17日午前11時半までに6800万再生を超えた。シェアは60万以上、「いいね」は32万以上、コメントは2万9000以上投稿されており、「客観的なリポートをありがとう」「このホテルには泊まらない」などの声が寄せられている。

中国共産党の機関誌「人民日報」国際版の「GlobalTimes」もこの問題を報道。記事によると、中国の旅行会社・黄光グループは、この問題を受けてアパホテルの予約受け付けを停止したという。アパホテルの公式サイトは17日午前10時現在、つながりづらい状態になっている。


この記事では、悪名高い中国のタブロイド紙「環球時報」の英語版でもこの問題を取り上げていることや、海外向けにはYOU TUBEも活用されていることを紹介しています。

Chinese outraged over books at Japanese hotels that deny Nanjing Massacre(南京虐殺を否定する日本のホテルの本に中国人は憤慨する) (Global Times Published: 2017/1/16)
http://www.globaltimes.cn/content/1029025.shtml

RIGHT-WING NATIONALIST HOTELS IN JAPAN 每个人都应该知道的事实(日本の右翼・国家主義者のホテル)(YOU TUBE)
https://www.youtube.com/watch?v=rmoTcP-G8r8

このように中国は、いつでも対日宣伝戦を用意しているんですね。たまたま今日配信されていたJBPressの以下の記事がそのテーマを扱っていたので、やっぱりなあという感じです。

無から有を創り出す中国のプロパガンダ戦略
『孫子』はいまも生き続けている(JBPress2017.1.17)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48918

今月1月28日は中国の旧正月(春節)ですから、この時期にこの一件を問題にしたのは、中国客の訪問を待つ日本のホテル業界をはじめとするインバウンド関係者とその背後にある世論に対する揺さぶりのためでしょう。もしこれで中国客のキャンセルが続出という事態にまで至るとしたら、「悪いのはアパグループだ」と責任を押しつけることで、同グループの評判を落とし、日本国内での立場を貶め、結果的に、自らの主張を認めさせることを迫るというわけです。そこまで波及することはなくても、アパグループに対して中国客の予約キャンセルを集中的に浴びせるよう自国民を誘導することで、同じ成果を手にすることを目的にしているのです。

※アパグループの客室稼働率は好調で、外国人利用比率も高いことで知られています。国籍的には必ずしも中国客の利用だけでなく、多国籍化が見られるようですが、地方都市では中国の団体客の利用も多そうです。

アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定
http://inbound.exblog.jp/24543248/
今年4月、アパホテルの宿泊客の4人に1人が外国人だったことの意味
http://inbound.exblog.jp/24687702/
「ホテルは立地産業。五輪前のいまは攻めどころ」(元谷外志雄アパグループ会長)
http://inbound.exblog.jp/24688926/

中国の宣伝戦の特徴は、まず標的を決め、標的とそれ以外の民衆との間に敵対関係を演出し、お互いをいがみ合わせることにあります。最初にアメリカで火をつけ、中国国内に還流させるというやり方もよく計算されたものでしょう。

昨秋、中国政府は香港や台湾に続き、THAAD配備を決めた韓国への観光客を減らす通達を出したばかりです。その狙いは、これらの国々の経済に打撃を与え、中国の意向に従わないことは不利益をもたらすと悟らせることです。中国政府にとって観光は政治の取引に使う道具でもあるのです。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

さすがに、この並びに日本を加えてしまうと、中国客を送る有望な海外旅行先が減ってしまい、困るのは中国の旅行産業ではないかという事情もありそうですが、中国政府としては、日本に対しても「いつでも観光客を減らすことはできるんだぞ」という脅しの意味はありそうです。

それでも、PM2.5苦にあえぐ中国都市部の中間層は、春節休みを使って海外逃避を図ろうとする動きは強いようです。その人気先は、タイと日本だそうです。

今年の春節休みも「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのだろうか?
http://inbound.exblog.jp/26552082/

さあ、これからどんな展開になるのか。

今回は特定の企業を標的にしましたが、こうしたことは対象を変えて今後も起こりうることでしょう。

それにしても、こんなことして、世界中に争いの種をふりまいてばかりでどうするのでしょう。わかりやすい敵を設定し、民衆同士を盲目的に対立させ、諍いの火を投げ込み、双方を怒りや憎しみで火だるまにすることで、自らへの批判が向かわないようにするというのは、中国の為政者の常套手段です。自国内で散々繰り返されてきた民衆間の対立を煽る「工作」を、彼らは国際社会に持ち込みます。でも、これを仕掛けられたら、文革のときに苦しめられた中国の人たちと同じように、海外の人たちも中国の為政者をますます警戒するようになってしまいますよね。少なくとも、アジアにおいては、逆効果を生み始めているように思います。

【追記】
翌日、中国からアパホテルのネット予約ができなくなりました。これで政府が関与していることがはっきりしましたね。

アパホテル、ネット予約できず=南京事件否定の書籍批判-中国(時事通信2017/01/18)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011800833&g=soc

【北京時事】中国の複数の大手インターネット旅行代理店で18日、客室に旧日本軍による「南京事件」を否定する内容の書籍が置かれているとして、批判が出ているアパホテルの予約ができなくなった。中国は27日から春節(旧正月)の大型連休に入る。日本も人気の旅行先だが、影響が長引く可能性もある。

このうち、予約サイトの「携程(シートリップ)網」では、18日には検索しても同ホテルが表示されなくなった。

問い合わせ先の担当者は「南京大虐殺を否定するような書籍が置かれているため。国内の多くのサイトでも予約できない」と語った。

書籍はアパグループの元谷外志雄代表の著作で、中国が犠牲者30万人と主張する「いわゆる南京虐殺事件がでっち上げであり、存在しなかったことは明らか」と記述している。同グループは「事実に基づき本当の歴史を知ることを目的としている」として、客室から撤去しない方針を示している。

日本国内のアパホテルは155カ所。アパホテルの公式サイトがつながらない状態になっており、アパグループは「詳細は調査中だが、サイバー攻撃と思われる異常なアクセスが継続している」と指摘した。


【追記その2】
朝日新聞でもこの問題を取り上げています。

南京事件に否定的な本、中国でホテル批判(朝日デジタル2017年1月19日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12754217.html

この記事によると、(ホテルに)「何を置くかは自由」という識者の声がある一方、訪日外国客の受入れを担うインバウンド関係者の以下のようなコメントを載せています。

中国人観光客を受け入れる旅行会社(福岡市)の役員は「日本国内に歴史修正主義的な議論があることは中国人はよく知っている。『またか』と受け止めるのでは」。一方、ある大手旅行会社幹部は「中国の人たちが日本全体のおもてなし業界に不信感を持つことが心配だ」と話す。

記事に客観性を持たせるために、異なる意見を併記するということなのでしょうが、中国側の主張を直接受けとめざるを得ないのがインバウンド関係者であることから、こうしたコメントを引き出すこと自体、中国政府の狙いどおりともいえます。

こんな記事も出てきました。

アパホテルの南京大虐殺否定本に対抗、中国のホテルが「ラーベの日記」を客室に―中国メディア(2017年1月19日レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/a161256.html

(一部抜粋)2017年1月19日、澎湃新聞によると、日本のビジネスホテル大手のアパホテルが客室内に南京大虐殺を否定する本を置いた問題で、中国浙江省台州市のホテルがこのほど、旧日本軍から南京市民を救ったとされるドイツ人、ジョン・ラーベの日記を客室に置くと発表した。

こういうお調子ノリが中国ではすぐ出てくるんですよね。これなど「わかりやすい敵を設定し、民衆同士を盲目的に対立」させる政府の狙いを忖度し、同調する動きといえるでしょう。

【追記その3】
ついに中国政府は表に立ってアパホテルの利用中止を国内業者に強制し始めました。ここまで騒ぎ立てなければ気がすまないやり口をみる限り、特定の企業を標的にした「対日宣伝戦」という見立てどおりでしたね。

アパホテルの利用中止要求 中国政府、国内旅行業者に(朝日新聞2017年1月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1S5FTNK1SUHBI01G.html

要するに、中国政府は今回の仕掛けによって、毎度のことですが、中国の民衆が日本の「右翼」の「歴史認識」について怒りを持っているというメッセージを広く日本の一般国民に印象付けることが目的だったのです。結果、アパホテルの中国客の利用が減れば、それもまたなおよし。日本国内に波紋をもたらし、自国民の批判の矛先を回避させるというふたつの目的を一挙に達成できる。両国民の関係を険悪にさせることは、いまの中国の為政者にとっては好都合なのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-17 14:59 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 12月 23日

ハルビンの「中華バロック」文化街が面白い

近年中国東北地方では、外国人租界のあった上海や青島、天津などで十数年前に起きていた1920年代を復古するレトロブームの東北版ともいうべき「百年老街」が各地に生まれています。その多くは、かつての旧市街の一画を再開発した観光地区や当時の町並みを再現したテーマパークです。

中国東北のレトロブーム「百年老街」と丹東のテーマパーク「安東老街」
http://inbound.exblog.jp/26446671/

黒龍江省の省都ハルビンの老道外中華バロック歴史文化区も「百年老街」のひとつ。20世紀初頭、ロシアが建設した東清鉄道は満州里から東南に向かって延び、松花江を渡って市内に入り、ハルビン駅に至るのですが、当時、その鉄路(現在の濱州線)の西側はロシア人を中心にした外国人居留地となり、東側の「道外」と呼ばれた地区に中国人が住んでいました。

その後、この「道外」地区に西洋のバロック建築と中国の伝統的な様式が奇妙に融合した「中華バロック」と呼ばれる折衷建築群が生まれました。その特徴は以下のとおり。

「外観は、一見すると西洋古典系建築と、とくにバロック建築に似ていながら、その細部をよく見ると本来の西洋建築とは大きく異なる。また、建物の内部は伝統的な中国の都市建築、すなわち、一階を店舗として、二階から上を住宅にしたり、あるいは、一階の店舗の部分の中央を二階までの吹き抜けとして、建物の奥に住居部分を加えている。また、通路を通って奥に行けば中庭が広がり、それを取り囲んで長屋のような住宅が建てられていることもある。いずれにしても、道路に面した一階部分は商店や飲食店であることがほとんどである」(『「満洲」都市物語 ハルビン・大連・瀋陽・長春』(西澤泰彦著 河出書房新社 1996年))
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こうした構造上の特徴もそうですが、たとえば、最も代表的とされる元同義慶百貨店(現・順化医院)の場合、過剰な装飾性を特色とする西洋バロック建築に似せて、中国の植物などをモチーフとした彫刻を建築の表面に飾り立てていることでしょう。西洋建築では、古代ギリシャ以降、モチーフとして装飾によく使われたのは、聖なる植物とされた地中海産のアカンサスの葉ですが、ここではまったくの別物です。
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日本で最初にハルビンの「中華バロック」建築を紹介した建築学者の西澤泰彦さんの前述の著書には、建物の正面の柱頭部分の装飾について「西洋建築本来のアカンサスの葉を載せたコリント式の柱頭からはほど遠く、よく見れば白菜に似ている」と書かれていますが、本当にそうですね。
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こちらは、順化医院の通りをはさんだ向かい側の建物です。現在は金を扱う金行です。この建物の壁面の装飾も面白いです。
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これが外観は西洋建築でありながら、近づいてよく見ると、東洋的な印象を与える理由でしょう。当時の中国の職人が見様見真似で西洋建築らしく見えるように急ごしらえした事情もあると思われますが、結果的に、世にも不思議な風合いを持つ世界が現出しているのです。

これは20世紀初頭の道外の写真です。
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その特色ある建築群は長い間放置され、老朽化していました。それでも、2000年代半ば頃から少しずつ補修作業が始まりました。それが老道外中華バロック歴史文化区として全面的に再開発され、多くの飲食店が老舗の看板を掲げ、観光スポットとなってきたのは、2010年代になってからです。
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このポスターは、北京の代表的な老街である后海の名を挙げて、ハルビンの老道外も悪くないだろうと訴えています。
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地区には、創業から100年近い歴史をもつ肉まん屋の「張包舗」のような飲食店もあります。
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また東北地方の古い演芸「二人転」などの劇場もあります。
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二人転
http://www.china7.jp/bbs/board.php?bo_table=2_7&wr_id=31

レンガ造りの老建築のレトロな感覚を活かしたゲストハウスやカフェもでき、国内各地から若い旅行者が訪れるようになっています。
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ところで、東北地方で「百年老街」という場合、南京条約(1842年)や北京条約(1860年)で開港された上海などの沿海都市のケースとは違い、ロシアの南進が顕著となった清朝末期の19世紀半ば頃より、山東省などから満洲へ移民労働者が大挙して渡り、各地に華人街ができたという経緯から、そう呼ばれています。あくまで主人公は当時もいまも、外国人ではなく、華人というわけです。

ハルビン老道外中華バロック歴史文化区
http://laodaowai-baroque.com/
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by sanyo-kansatu | 2016-12-23 10:41 | 北東アジア未来形:満洲の今 | Comments(0)
2016年 12月 01日

トリップアドバイザーにまつわる数字と日本のインバウンドの話

先日、恵比寿ガーデンプレイスの34Fにあるトリップアドバイザー日本法人オフィスで開かれた同社のメディアラウンドテーブルに出席しました。今年9月に着任した牧野友衛代表取締役の紹介も兼ねたものでした。
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トリップアドバイザーは、世界最大の旅行コミュニティサイトとして知られています。今回のメディアラウンドテーブルの内容は、同サイトが旅行業界にもたらすプラスの効果をはじめ、インバウンドビジネスのトレンド、さらに国内ユーザーに向けた取り組みなどの紹介でした。そのあたりの話は、他に出席していた記者の方々がいたので、おまかせします。ぼくはあくまで日本のインバウンドに関する話題だけを以下、紹介します。

トリップアドバイザー
www.tripadvisor.jp

まず牧野代表取締役の紹介がありました。AOLジャパンやGoogle、Twitter Japanなどの多国籍IT企業を転々としてこられた方のようです。
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そして、トリップアドバイザーにまつわる数字が次々挙げられました。パワポの数字は、若干古いものだそうで、たとえば、サービスを展開する国の数が48カ国とされていますが、最近、ポルトガルが加わり、49カ国になったとか。まあとてつもない数字が並びます。

旅行者からの口コミ情報数 4億3500万件以上
月間利用者数 3億9000万人以上
旅行者からの写真投稿数 8000万件以上
登録施設数(ホテル、レストラン、観光施設) 680万軒以上
49の国と28言語で展開
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本社は東海岸のボストンにあるそうです。日本語でのサービス開始は2008年10月。開設が訪日旅行市場が急拡大する時期と重なったこともあり、外国人が日本を旅行するときに利用する情報サイトとしての存在感を得ていったと思われます。

では、どこの国の人が日本の情報をよく見ているのか。
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トップは米国で17.1%、2位は中国10.9%、以下、台湾10.2%、香港8.0%、オーストラリア7.0%という順です。トップ5で、全体の50%以上を占めるようです。米国発のサービスだけに、米国がトップなのはもちろん、韓国を除くと、訪日旅行者数トップ5が入っているのは当然です。台湾や香港、韓国などは、トリップアドバイザー以外の自国の情報サイトやコミュニティが充実していそうですから、こんなものでしょう。

これはぼくの想像ですが、アジアのユーザーはトリップアドバイザーに北米ユーザーが多いことは承知でしょうから、普段利用している自国サイトとは別の観点からの情報を得たり、参考にする場合に利用するという感じではないでしょうか。また中国人の場合、日本語のわかるコミュニティの人たちではなく、大学で英語を学んだり、外資系に勤めているような人たちがトリップアドバイザーを利用している気がします。

次の円グラフはちょっとわかりにくいのですが、アジア太平洋地区の国々に絞って、どの国がよく見られているかを集計したものですが、左の図は全世界からみた割合で、右はアジア太平洋地区の国々からみた割合です。ともに日本がトップです。以下はインドやオーストラリア、タイなどです。
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ところが、米国ユーザーに絞ってどの国をみているかとなると、日本は大きくダウンします。全体のわずか2%でしかありません。メキシコや欧州の国々が上位に入るのは、まあ当然でしょう。
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一方、中国ユーザーの場合は、トップがタイと日本でともに13%です。
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そんなわけですから、トリップアドバイザーによる世界の人気観光都市ランキングでは、東京は21位といったところです。
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これらの数字は、やはりトリップアドバイザーのメインユーザーが北米であることに起因していると思われます。

ところで、日本のホテルやレストラン、観光施設などの登録物件は現在、70万件だそうです。そのうち、日本語による口コミは全体の92%を占めるそうです。
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トリップアドバイザーは多言語化が進んでいるので、これらの日本語の口コミも海外では自動翻訳されて読むことができます(すべての国・地域ではない)。

さて、この数字をインバウンドの観点からみると、トリップアドバイザーの日本の物件に関する外国人の口コミは全体の8%にすぎないともいえます。同サイトはよく「外国人に人気」の観光スポットやレストランといったプレスリリースを発信していますが、これも8%の口コミの中から集計したものです。

ぼくは、すでに国内にはさまざまな旅行情報サイトやコミュニティがあるため、トリップアドバイザーは日本人が海外に行くときの口コミをチェックするためのサイトかとずっと思っていたのですが、国内物件に関しても日本語の口コミが大半を占めるんですね。

実は、FBにこの話を書いたら、知り合いの旅フリークのひとりが「クチコミ1件で100マイル(月間400マイルまで)をもらえていた時は、地元の情報を含め国内のクチコミをたくさん書きました。今は、ほとんどもらえないので書いていません」なんて教えてくれました。そうか、開設当初はとにかく登録物件数を増やせということで、キャンペーンをやっていたのですね。

この点に関して、ぼくはまったく勘違いをしていました。トリップアドバイザーに登録されている物件に口コミ件数が載っていますが、これは日本語と外国語を合わせたものなのですね。であれば、各都道府県別や地区別のランキングも、日本人と外国人の口コミを合わせた件数で、その比率まではわからないということです。

えっ、そんなの当然だって? そりゃそうか。外国人に限る集計は、トリップアドバイザー内部でしかできないわけで、そうなると貴重です。実際、同サイトのプレスリリースのリストをみていると、なかなか興味深いものが多いです。

たとえば、これなんか面白いですね。

トリップアドバイザー『旅行者物価指数(トリップインデックス)2016』を発表(2016.7.20)
https://tg.tripadvisor.jp/news/wp-content/uploads/2016/07/00da71d62a5a3bd076514bf66c0c1903.pdf

これは世界20都市における旅行費用のランキングです。トップはニューヨークで、2位は東京だそう。最も安いのはハノイです。

またこんなのもありました。

中国人旅行客向けにレストランのモバイルクーポンサービスを開始(2016.11.26)
https://tg.tripadvisor.jp/news/wp-content/uploads/2016/11/20161125_TripAdvisorPressRelease.pdf

これはトリップアドバイザーの中国版「マオトゥイン(猫途鹰)」のモバイルサイトやアプリから利用できるそうです。モバイルサイトや店舗のオフラインQRコードからスペシャルクーポンをダウンロードし、それを提示することで割引や無料のサービスなどを受けられるとか。

リリースによると「中国版「マオトゥイン(猫途鹰)」にて中国人旅行者が検索できる日本国内のレストランは600,000軒以上で、そのうちの約88,000軒が東京のレストランとなります。現在、同サービスは東京のレストランを中心に展開をしており、引き続きサービスを提供するレストラン店舗の拡大を目指して参ります」とあります。

トリップアドバイザーはぐるなびと提携しているそうなので、こういうサービスが実現できるのでしょう。でも、中国人からいきなりスマホを見せられて対応できる飲食店はどれほどあるのでしょうか。そんなことが気にならないではありません。

ところで、3年前のことですが、トリップアドバイザーの別の関係者の話を聞いたことがあります。

台湾でいまホットな話題は「シニア旅行」と「自由旅行」(台北ITF報告その6)
http://inbound.exblog.jp/21417412/

台北で開かれていた旅行博のフォーラムに登壇したトリップアドバイザーアジア太平洋地区副総裁(当時)のCindy Tanさんで、「他の類似サイトの追随を許していないことから、世界のFITの支持を勝ち得ている。年間書き込まれる1億件のコメントのうち、51%はホテルに関するもの。膨大な口コミ情報をフィードバックできることが、弊社のホテル業界に対するマーケティング・ビジネスを支えている」とコメントしていました。

3年前の口コミ数は1億件だったようなので、いまは4倍以上に増えているのですね。それと、このサービスの収益の大半は、ホテル業界との関係によるものだと彼女も話していましたが、牧野社長も同様の話をしていました。要は「ホテル予約の際のクリック型広告による」ものだそうです。Booking.comと提携しているとか。ホテル予約サイトとは立ち位置が違うところが、このサービスの面白いところだと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-12-01 13:09 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 17日

都内に続々生まれるゲストハウスの世界~ムック『東京ゲストハウス』を手にして

ぼくの仕事場のある東新宿は、外国人観光客の泊まるリーズナブルなビジネスホテルやゲストハウス、そして「民泊」の集積地になっています。

毎日通る道すがらに、昨年11月にオープンした「IMANO TOKYO HOSTEL」があり、ときどきお茶しに行くことがあります。

ここは1階がフロント兼カフェになっているので、昨日もちょっと足を運んでみました。遅めのランチを取るために。

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人 (2015年12月02日)
http://inbound.exblog.jp/25142528/

お店を出ようとしたとき、入口のそばにこんなムックが置かれていました。
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ムック『東京ゲストハウス』
http://guesthousepress.jp/tokyo_guesthouse_mook/

ここ数年、東京都内に生まれた外国人向けのゲストハウスを紹介する内容です。どの宿も写真をかっこよく撮っているので、眺めているだけでも楽しいムックです。「IMANO TOKYO HOSTEL」も紹介されていました。ドミトリーの中はこんな風になっているのか。初めて知りました。

他にも十数軒載っていて、いくつかはぼくも訪ねたことがありました。

訪ねたことはあるけれど、都内に住んでいるぼくはこれらのゲストハウスには泊まったことがありません。

「IMANO TOKYO HOSTEL」のスタッフの女の子に聞くと、基本的に外国客が多く、国籍はシーズンによっていろいろ変わるそうですが、ときどき就活で地方から上京してきた学生さんなども泊まることがあるそうです。

同じようなことは、歌舞伎町のカプセルホテルでも聞きました。やはり、こちらにも就活の女子学生さんが1週間くらい滞在することもあるそう。

ぼく自身は、ゲストハウスでたむろしているみなさんとは世代的に少し離れていますが、若い頃はよく海外のゲストハウスを利用していたものなんだぜ、なんて話をスタッフの女の子にしてみたくなるような、ならないような……(まだしてません)。

でも、最近は、地方出張に行くとき、わざわざゲストハウスに泊まることも増えています。

なぜそんなことをするかって? そりゃ最近、ホテル料金が高騰してたまらないってのもあるけれど、やっぱりゲストハウスにいるみなさんの様子を見ているのが楽しいからです。

彼らは旅空の下にいるからです。

そんな境遇を少しうらやましがりながら、日々の仕事の合間にひと息つくのが、最近の楽しみになっているのです。

ここ数年の東新宿については、以下を参照ください。

東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります(2013年07月02日)
http://inbound.exblog.jp/20672715/

東新宿のビジネスホテルにはロシアや東欧の旅行者が多いらしい (2015年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/24525927/

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)(2015年05月24日)
http://inbound.exblog.jp/24510962/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-17 15:17 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 10月 12日

これ、嫌なニュースだな。ゲストハウスでバイトした旅行者を逮捕

これも、最近ちょっと増えてきたインバウンドがらみの報道のひとつ。嫌なニュースですね。

宿泊料代わりに働いた疑い 外国人観光客2人逮捕 札幌(朝日新聞2016年10月11日)
http://www.asahi.com/articles/ASJBC5W6YJBCIIPE02G.html

札幌市内のホステル(宿泊施設)で働く代わりに無料で宿泊したとして、北海道警は11日、観光客のマレーシア人の女(30)と中国人の女(19)を出入国管理法違反(資格外活動)の疑いで現行犯逮捕した。また、女2人に不法就労させたとして、道警は、ホステルの運営会社「万両」(東京都台東区)の社長の男(45)やホステル責任者の女(34)ら3人を同法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕する方針。

道警によると、2人は11日午前、同市中央区の「カオサン札幌ファミリーホステル」で宿泊料2千円をそれぞれ免除される代わりに、無資格で館内の清掃やベッドメイキングなどをした疑いがある。2人は容疑を認め、「観光ビザで働けないと分かっていたが、現金をもらっておらず大丈夫だと思った」などと供述しているという。

同社は主に外国人向けのホステルやゲストハウスを東京や大阪など6都道府県で計13店展開。ホームページに「就労資格がなくても清掃などに従事すれば無料で宿泊できる」との内容を英語で掲載しており、道警は組織的な犯行とみている。

札幌市によると、昨年度に市内で宿泊した外国人は191万8千人で、過去最多を記録。中国、台湾、韓国などアジアの客が多くを占める。北海道労働局によると、今年8月のホテル従業員らの有効求人倍率は2・63倍と全体の1・07倍を大きく上回り、人手不足の状態となっている。


この報道をネットで知って、最初に思ったのは、誰がふたりをチクったのだろうか、ということです。

すごく不愉快な感じがします。だって、これを不法就労などと言い出せば(まあ実際はそうなのかもしれませんけれど)、もっと悪質な不法就労をこれだけほっておいて、弱いものいじめはやめろよ、と言いたくなります。

例の免税店から中国人観光客の買い物の売上に応じてもらったマージンを所得申告しなかった不法ガイド(最近は国税局も調べ始めているようで、年間数千万円という人もいます)なんて、もう数え切れないほどいるのに、そちらは「実態を把握できていない」と頬かむりをしておいて、わずか1日2000円のドミトリー代金(1部屋にベッドがいくつも並んでいる部屋の料金)のことで不法就労とは……。

金額の問題ではないと言う人もいるでしょうが、このふたりが2000円を現金で支給されていたわけでもなければ、そもそもお金に困っていたとは思えません。彼らはかつて1990年代にいた不法就労者とは違い、いわばレジャー消費者なのです。いまどき不法就労する外国人は、ゲストハウスになんかいません。なんと時代の変化に鈍感すぎることか。やはり法の使い方が間違っている、いや下手すぎるのではないでしょうか。

マレーシア人は2013年7月以降、3ヵ月以内の滞在に限り、観光ビザが免除されています。また中国人には、2010年以降、個人観光ビザが発給されるようになり、昨年1月よりビザの種類によって15日から90日間の滞在が認められています。

マレーシア国民に対するビザ免除(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000362.html
中国団体観光・個人観光ビザ (外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/topics/china.html

詳しい事情は知らないのでこれ以上本当は何も言えないのですが、今回いきなり逮捕の前に、いくつかの段階をふんで執行に至ったのかもしれません。執行に至る前に不法就労に当たることを口頭で知らせ、やめさせればすむことだったのに、そうならなかった理由があるのでは(そう信じたいです)。その理由いかんかとは思いますが(たとえばの話ですが、このゲストハウス経営者が警察に対してやたらと反抗的な態度を取り続けたとか。で、くだらない警察の面子が適正な判断より優先された? ちょっとテレビドラマの観すぎかな)、もしそうでないのなら、ここまでやる必要はなかったでしょう。それとも、やっぱりこのゲストハウスの存在を快く思わない誰かが密告した?

昔、友人の作家、岡崎大五さんがトルコのイスタンブールの絨毯屋兼ゲストハウスで、住み込みアルバイトをしていたことを思い出します。もちろん、彼は就労ビザなど持っていたはずがありません(こんなところで話を持ち出してすいませんねえ)。

1980年代の「第三世界(当時、アジアやアフリカ、中南米のことはそう呼ばれていました)」ことで、今日の世界情勢とはまったく違うのんきな話をしても仕方がないかもしれませんが、いつの時代も、ゲストハウスで繰り広げられるような浮世離れした世界があっていいとぼくは思います。彼らは旅空の下にいるのです。一生そんなことをするつもりもないのです。もちろん、若い人はときに羽目をはずすこともあるでしょう。でも、そんなことは、程度問題で、若い頃に同じような経験をしたはずの大人がどこかで判断を示せばいいはずです。いまの大人はそういう意味での判断力が低下している気がします。

同記事では、まるでエクスキューズのように、札幌のホテル業界の人材不足について触れていますが、どこまでこの件に関係があるのでしょうか。言外に、今回の逮捕はやりすぎと言いたいのでしょうか。

この問題を「今日の日本社会の寛容さの欠如」などといった一般論でどうこう言いたくはありませんが、ゲストハウスのような世界がいまの社会でどう受けとめられているのか、そして、どういう事情でこんなことが起きたのか知りたく思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-12 08:53 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 10日

ラブホ支援は施設改修より人材育成が課題

今朝、ネットで以下の報道を知りました。訪日客の増加で大都市圏の宿泊施設が不足しているため、ラブホテルの事業者向けに政府が支援するそうです。
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ラブホテル改装で訪日客受け入れ 政府が条件付きで後押し(サンケイBiz2016.6.10)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160609/mca1606090500019-n1.htm

政府は9日、訪日外国人旅行客の急増に伴うホテル不足の解消を目指し、比較的稼働率に余裕があるラブホテルの事業者が観光客向けの一般ホテルに改装する場合、条件付きで後押しする方針を固めた。改装のための融資が受けやすくなるよう政府系金融機関の対応を進める。一般住宅に有料で観光客らを泊める民泊の規制緩和とも併せ、受け入れ態勢整備を進める。

事業者が改装のための融資を受けやすいよう、ホテルや旅館業の受け皿となる日本政策金融公庫に対し、厚生労働省が4月、「資金に関する相談に特に配慮するよう」通達した。政府系金融機関は公序良俗に反する業者は融資対象外だが、「(観光立国に資する)一般ホテルへの改装という条件なら、一般ホテルへの融資に該当する」(厚労省)としている。

観光庁の調査では、訪日客増加などで、ビジネスホテルやシティホテルの平均稼働率は4月も7、8割で推移するが、日本中小ホテル旅館協同組合によると、全国で約1万2000店ともされるラブホテルの平均稼働率は平日で約4割。風俗営業法の規定で、利用客が従業員と面接せずに鍵が受け渡せる一方で、18歳未満の利用が禁じられるなどの営業規制を受ける。

訪日客の増加を受け、業者からは一般ホテルへの転換を模索する動きも出ている。ただ風営法の営業規制を外すにはフロントや客室の改装が必要だが、中小事業者も多く、改装資金の調達が課題となっていた。

政府の観光ビジョンでは2020年に訪日客数を4000万人とする目標を掲げているが、都市部を中心に宿泊施設の需給逼迫(ひっぱく)が課題となっている。民間の調査機関は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた今後のホテル開業計画を加味しても、同年には全国の客室数が1万室以上不足すると試算している。


全国にラブホテルは1万2000店もあるのですね。実は、この動き、ちょうど1年半前に取材していて、ビジネス誌の「プレジデント」で、ぼくは以下のような記事を書いています。

訪日外国人はラブホやカプセルホテルがお好き!? 日本全国、ホテル業界大異変(プレジデントオンライン2015年8月31日号)
http://president.jp/articles/-/16082
http://president.jp/articles/-/16083

タイトルだけみると、ラブホテルの外客利用の話だけのように見えますが、記事全体としては、外国客の利用の多いビジネスホテルチェーンや最新デザインホテル、カプセルホテルやゲストハウスなどのエコノミータイプまで、さまざまなタイプの宿泊施設の新しい動向を紹介しています。

さて、ラブホがらみでいうと、プレジデントの取材の際、実際に訪ねたのが、大阪のレジャーホテルチェーン「ホテルファイン」でした。

ラブホテル? いえ、レジャーホテルで、いま外客の取り込みひそかに進行中 (2015年 07月15日)
http://inbound.exblog.jp/24691630/

このとき、ホテルファインの会長に話を聞いていますが、ラブホテルやレジャーホテルが外国客を受け入れていくには、施設改装コストだけではすまない、さまざまな課題があることを指摘し、以下のようにコメントしています。

「一般のラブホテルやレジャーホテルで外客受入ができるのは一部に限られるだろう。この業界は大半が個人企業。受入には初期コストがかかるし、社員教育が大変。宿泊客が病気になって、病院の手配をしなければならないとき、フロントで外国語対応ができるか。外国客はフロントにいろいろ聞いてくる。近くにおいしいレストランはないか。松坂牛の食べられる店はどこか…。そういうコンシェルジュ機能も求められる」。

―大阪市からラブホテル業界で外国客の受入ができないか相談があったそうですね。

「うちにも大阪観光局の人が来た。そのとき、私はこう説明した。ラブホテルやレジャーホテル業界の経営は、1室月額いくらの売上で組み立ている。それには1日2回転させることも計算に入れている。これらのホテルは初期投資がビジネスホテルより圧倒的にかかる。部屋の広さやお風呂、エンターテインメントの設備などが充実しているからだ。ビジネスホテルの売上額ではとうてい成り立たない。いくら市が施設投資に補助金を出したところで赤字になる。

しかも、うちがいまやっているような運営ができるラブホテルがどれだけあるか。社員教育はどうするのか。外客受入を始めるとなると、館内案内も多言語化のため全部新しく揃えなければならない。うちもあらゆる表示物を英語と中国語に多言語化した。「トイレは紙を流してください」といったこれまで必要のなかった表示も用意した。食事の問題もある。ベジタリアンやハラル対応だ。外国客は食に対するリクエストが多い。そこで、食事メニューも変更した。うちでは24時間ルームサービスをやっているし、宿泊客には朝食がつく。メニューの種類を増やすことになった。

24時間電話の通訳サービスも始めた。通訳と3者通話ができるシステムだ。フロントにはタブレットも用意した。

外客受入のためには、我々自身が変わらなければならない。経営者が率先して受入態勢をつくっていかないと。海外からお客様がどんどん来るから、なんでもいいから客を取るではいずれしっぺ返しが来る」。

館内の多言語化や通訳サービスなどの新規コストもそうですが、会長は何より人材育成の問題を指摘しています。ホテルファインでそれが可能となっているのは、チェーンの規模が大きいことから、予約システムの構築も一括でき、外国客の接遇を行うスタッフ教育などにも対応できるからだそうです。

個人経営者の多いラブホテル業界では、経営者の高齢化もそうですし、多言語化ひとつとっても、なかなか難しい面がありそうです。問題は、旅館業界と似ています。

とはいえ、、ラブホテルの客室はエンターテインメント性の高さがポイントだと思うので、外国客にウケる要素はあると思います。他のシティホテルに比べコストパフォーマンスはいいですし。先入観のない外国客にとっては、賢い選択肢と映るようです。

今後はホテルファインのような先行事例もあることから、チェーン化が進むかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-10 09:23 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)