ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 02月 09日

楽天トラベル vs. Expedia これからが面白いと思いたい(そう思っていたけれど…)

2月8日、お台場のホテル グランパシフィック LE DAIBAで「楽天トラベル新春カンファレンス2016」(首都圏)が開催されました。
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楽天トラベル、宿泊キャンセル料を代行収受へ、3月からカード払いを事前決済に1本化(トラベルボイス2016年2月8日)
http://www.travelvoice.jp/20160208-60705

今年楽天は創業20周年を迎えるそうです。楽天トラベルも2001年から。当時はいまほどインバウンド市場は大きくありませんでしたが、近年エクスペディアなどの海外のホテル予約サイトが続々参入し、訪日客を奪い合う動きが加速するなか、楽天トラベルは今後どうしていこうとしているのでしょうか。その点については、もうひとつ明快な説明はなかったように思いますが、多言語化の取り組みはかなり進んでいるようです。上記のトラベルボイスの記事によると「中国では訪日前に楽天で購入した商品を訪日中に受け取れるサービスをホテルモントレの3施設と試験的に行なっている」そうです。
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興味深いのは、毎年恒例の前年1年間に顕著な実績を収めた宿泊施設に贈る「楽天トラベルアワード2015」(首都圏地区)の発表です。その中に、外国客の予約件数で実績を残した宿泊施設に与えられる「インバウンド賞」があります。今年の首都圏の「インバウンド賞」は以下のとおりです。

ヴィラフォンテーヌ東京汐留 初受賞
三井ガーデンホテル上野 初受賞
レジデンシャルホテル ビーコンテ浅草 初受賞
ドーミーインPREMIUM渋谷神宮前 初受賞

このうち「レジデンシャルホテル ビーコンテ浅草」は知りませんでした。「浅草寺・東京スカイツリー至近のレジデンシャルホテル『ビーコンテ浅草』は、ワンランク上質なキッチン付きホテル」だそうです。

レジデンシャルホテル ビーコンテ浅草
http://www.bconte.com/asakusa/
楽天トラベルでこのホテルの動画が見られますが、なるほどデザイン的にも魅力的なホテルですね。
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/130043/130043.html

それにしても、楽天トラベルを通じた訪日客による予約実績の高いこの4軒。エクスペディアのランキングとはずいぶん違います。なにしろエクスペディアの利用者の3割は新宿のホテルなのですから。

エクスペディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿を選ぶ
http://inbound.exblog.jp/25331847/

インバウンド予約の総件数や国籍比率がわからない以上、単純に比較してもあまり意味はないのですが、楽天トラベルを利用する訪日外客は、台湾などの日本に精通したリピーターが多いと思われます。エクスペディアが初めて訪日する外国人の利用も多いこととは対照的かもしれません。

そもそも全国の予約可能なホテル物件の数では、日本のOTAの王者・楽天トラベルにはエクスペディアは足元にも及ばないはずです。ただし、彼らも訪日客の増加と地方への分散化の急速な流れの中で、これまでの東京、大阪に続き、昨年9月に九州支社、10月に名古屋支社、そして今年2月に沖縄支社を開設しています。

外資の参入によって国内客ではなく、急増する新規市場としての訪日客を奪い合うという構図は、これまで日本ではなかったことだけに目が離せません。その点、楽天は「英語公用語化」で有名ですが、意外にドメスティックな体質があるように思います。

楽天は以前、中国最大OTAのシートリップに出資していました。

楽天、中国旅行サイト「Ctrip.com」に出資、具体的な連携協議へ(トラベルビジョン2004年6月14日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=17406

でも、数年後にあっさり同社株を手放しています。

楽天、保有するCtrip株約664万株を売却へ(ロイター2007年8月7日)
http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-27246320070807

いまではエクスペディア、ブッキングドットコムに並ぶ世界3大OTAと称されるまでに成長したシートリップとの提携がうまくいかなかった背景については、中国メディアも当時いろいろ報じていましたが、要は「お互いのカルチャーが合わなかった」せいでした。

訪日客5千万人時代へ 世界三大OTAの戦略(観光経済新聞 2016年1月1日).
http://www.kankokeizai.com/koudoku/160101/18.pdf

そして、シートリップは2014年5月に日本法人を開設し、拡大する訪日中国市場を貪欲に取り込んでいます。

C-TRIPが日本へ本格進出、中国の地方都市へのビジネス客狙う(NBOnline 2012年3月9日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120309/229645/

観光業界人インタビュー シートリップ・ジャパン社長の梁穎希氏 第2818号(2015年10月24日)
http://www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/tokusyukiji/interview/15_10_24.html

はたして楽天はこの状況をどう乗り越えていくのでしょうか。ドメスティックなやり方が一概に悪いとはいえないとぼくは思います。それぞれ良さ悪さがあるはず。日本の宿泊施設のサービスレベルの向上につながる「朝ごはんフェスティバル」みたいな取り組みは外資にはできないでしょうから。

朝ごはんフェスティバル
http://travel.rakuten.co.jp/special/asafesta/

とはいえ、今後訪日外国人がさらに増えていくのだとしたら、ひとまず彼らにもっと伝わりやすいサイトにしていく必要があるのでしょう。「カルチャー」の違いを乗り越えて、もっと歩み寄らないといけないのだと思います。

今後、訪日旅行市場が成熟していくことも確かでしょうから、そうなると楽天の優位性も出てくるはず。これからが面白いと思いたいです。ちょっと優等生的すぎるコメントでしょうか…。

【追記】
後日、こんな記事が出ました。楽天は本業においても外資に追われているのですね。これは大変だ。

楽天ネット通販、成長鈍化 迫るヤフー・アマゾン(朝日新聞2016年2月13日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ2D3WJ6J2DULFA00M.html

さらに、こんな記事も出ました。

楽天の海外戦略、地域拡大を転換 東南アジアからネット通販撤退(朝日新聞2016年2月26日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12228322.html

楽天は主力のネット通販で東南アジアから撤退するなど海外戦略の見直しに乗り出した。「脱・日本企業」宣言から5年以上たつが、国内依存の収益構造は変わっておらず、自ら海外事業を広げる道筋はまだ描けていない。

楽天は今月末、インドネシアなど3カ国でネット通販の取引を停止し、サイトも近く閉鎖する。タイの通ログイン前の続き販サイト運営会社も売却する方針で、東南アジアの進出先すべてのネット通販から撤退することになる。

2008年の台湾進出を皮切りに、楽天は地元の有力サイトを買収する形で海外展開を進めた。27カ国・地域に進出して流通総額の海外比率を7割にする目標を掲げ、10年には三木谷浩史会長兼社長が「日本企業をやめ、世界企業になる」と宣言。英語の社内公用語化にも乗り出した。

だが、進出先は12カ国・地域にとどまり、台湾以外は苦戦を強いられた。とくに東南アジアはドイツ系企業などに圧倒され、日本で成功した「楽天市場」モデルは歯が立たなかった。

そこで地域拡大路線を転換し、市場が大きい米欧と好調な台湾に経営資源を集中させる。三木谷氏は「戦略に合わないビジネスは修正する」と12日の会見で語り、「選択と集中」を進める考えを示した。


 一筋の光明は、14年秋に約1千億円で買収した米イーベイツの存在だ。提携サイトで買い物をするとキャッシュバックなどがもらえるサービスで、米国を中心に1千万人超の利用者を抱える。知名度のない楽天にも、客を呼び込むチャンスが見込めるわけだ。ただ、12日に発表した20年の業績目標は依然、利益の9割以上を国内のネット通販と金融部門に頼る内容だ。UBS証券の武田純人シニアアナリストは「薄くても幅広い取引に関わることで、いずれ金融など自前のサービスを海外でも売り込む狙いでは」とみる。

これはまずいのではないでしょうか…。いまエクスペディアでは、東南アジア方面からの訪日予約手配が急増しています。まさに市場が拡大しているこの時期に、その可能性を手放すとは…。

昨年ぼくは楽天トラベルを取材しています。

多言語化に取り組む楽天トラベル。宿泊プランは外国客に支持されるか?
http://inbound.exblog.jp/24671580/

このとき、同社の担当者たちは「グループのシナジーを活かす」という表現を多用していました。もちろん、楽天は旅行事業だけやっているわけではないのですけれど、今回の決定は経営上のゆきづまりが背景にあると思われますが、やはり海の向こうの事情が見えていない経営判断ではないかと思われます。残念というほかありません。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-09 17:44 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 06日

エクスペディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿を選ぶ

ホテル予約サイトのエクスペディアが、1月末に配信したリリースによると、2015年に同サイトを通じて都内のホテルを予約した外国人のうち、新宿を選んだ人は30%を占め、2位銀座(11%)、3位東京駅周辺(8%)、浅草(8%)、5位渋谷(6%)などを大きく引き離しています。外国客の新宿人気は昨年同様変わらないようです。
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新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)2015年5月24日
http://inbound.exblog.jp/24510962/

リリースでは、新宿が人気の理由として「高級ホテルからお手ごろなビジネスホテル、カプセルホテルなど、多様な宿泊施設が揃っていること」「都内各所だけでなく、人気スポットの富士山へもバスでアクセスしやすいこと」が理由に挙げられています。

実際、全国を含めたホテルの宿泊数ランキングでも、以下の5つの新宿のホテルがトップ10に入っています。

1位 ホテルグレイスリー新宿  歌舞伎町のコマ劇場跡地にできたゴジラで有名なホテル。以下参照。

※歌舞伎町ルネッサンス~外国人観光客の来訪増で街は変わるか?
http://inbound.exblog.jp/24740768/
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2位 京王プラザホテル  新宿副都心で最初(1971年開業)の高層ホテル 

3位 ホテルサンルートプラザ新宿  JTB系の外国人ご用達老舗ホテル(1978年開業)

4位 新宿グランベルホテル 歌舞伎町ラブホテル街に2013年開業のデザインホテル。以下参照。

※歌舞伎町に人知れず外客率8割というデザインホテルがある
http://inbound.exblog.jp/24676453/

上記のホテルは、これまで本ブログでも紹介してきた施設ばかりですが、ちょっと意外というか、あまり知られていないホテルのランキング入りとしては、イーホテル東新宿でしょうか。
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8位 イーホテル東新宿 

このホテルは、2008年開業のビジネスホテルで、昨年8月全面リニューアルをすませています。フロントを訪ねたことがありますが、本当にごく普通のビジネスホテルです。人気の理由は、大江戸線東新宿駅前というロケーションと、いまとなってはまったく斬新でもなんでもないのですが、「e Hotel」というネーミングにあるのではないかと思います。特別デジタルリテラシーの高い人ということではなく、むしろエクスペディアを利用するごく一般の外国人ユーザーから見て、日本語のよくわからない地名や世界中どこにでもありそうな「グランド」「シティ」「ロイヤル」「パーク」云々といったネーミングが付けられたホテルに比べると、なんとなくシンプルな印象があり、好感度を上げているのではないか。そんな気がします。自分が海外のホテル予約をするときも、価格やロケーションが同じなら、ちょっとしたネーミングの違いで選びそうな気がするからです。

いうまでもないことですが、エクスペディアのデータは、あくまで同サイトを利用した外国人に限ったもので、訪日外国人全体の傾向をどこまで表しているかについては、なんともいえません。

しかし、もうひとつの面白いデータがあります。

エクスペディアで宿泊予約する訪日外国人のうち、15年最も伸びたのは香港人(前年度比272%)でした。ちなみに、2位韓国、3位タイ、4位インドネシア、5位台湾と続きます。
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もはやエクスペディアもアジア系が多く占める時代になってきているのですね。実際、訪日外国人に占めるアジア系はすでに10人に9人近くになっているはずです。圧倒的に欧米人よりアジア人が多いのですから、当然でしょう。

このリリースには、さらに興味深い指摘があります。なぜ昨年香港人の利用が増えたかという理由について「日本就航2年間で利用客100万人を突破した香港エクスプレスの存在があげられます。2015年の1年間でも、名古屋-香港路線が週9便に増便、新たに広島-香港路線が就航するなど、現在、東京(羽田・成田)や大阪のほか、福岡、名古屋、広島にもフライトが飛んでいます」と説明していることです。

LCCが香港-広島を飛ぶ時代なのですね。関係者によると、広島線を飛ばすことで、福岡や大阪、名古屋などとOJ(オープンジョー:入国地と出国地を変えた往復航空券のこと)が可能となることで利用客のニーズに合わせることができたのだといいます。実際、昨年名古屋を訪れる香港客が相当増えたと聞きます。

それにしても、昨年152万人もの訪日客があったという香港。確か、人口700万人ほどの香港から、そんなに多くの訪日客があったとは驚きです。彼らは個人客が大半なため、日本での動きがつかみにくい存在ですが、ホテルは誰でも利用するわけで、エクスペディアのデータは彼らの動きを知るうえで有効といえます。

台湾人以上に全国各地に足を伸ばし、訪日旅行の最先端のトレンドを先取りしているのが香港人です。もっと彼らのことを知りたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-06 10:20 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 12月 30日

タトゥーが入っていてもOKの日暮里「斉藤湯」でひと風呂浴びてみた

先日のとある午後、タトゥーが入っていても入浴OKで知られる斉藤湯でひと風呂浴びてきました。場所はJR日暮里駅から徒歩3分。住宅街のちょっとわかりにくい場所にあります。80年前の創業だそうですが、今年4月に改装したばかりのきれいな銭湯でした。
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斉藤湯
http://saito-yu.com

なぜこの銭湯がタトゥー客OKだと知ったかというと、以下のネット情報からです。

タトゥー入っててもOKな温泉・銭湯・プールまとめ【関東編】(Find Travel)
http://find-travel.jp/article/18883

訪日外国人の増加で全国の温浴施設やプール、海水浴場でタトゥーを入れた外国人観光客と管理者の間で入店・入場をめぐってトラブルが起きているようです。その問題に関する報道は以前、本ブログでも紹介しています。

入れ墨・タトゥーの外国人の入浴、やっぱり気になりますか?
http://inbound.exblog.jp/25180252/

そんな事情もあり、都内でタトゥーOKをうたう銭湯というのはどんなところなのか、気になっていたのです。

午後2時開店とほぼ同時にぼくは斉藤湯に入りました。すでに2、3人の利用客はいて、その後も続々入店してきます。この銭湯の売りは、高濃度人工炭酸泉と超微細粒気泡がシルクのように身を包む露天風呂です。ぼくはまず通常のお湯風呂に浸かって、常連の誰かにこの銭湯について尋ねることにしました。

しばらくすると、映画『テルマエ・ロマエ』の銭湯シーンで見かけたちょっとふやけたスルメのような(ごめんなさい!)おじいさんが隣に入ってきました。映画を思い出し、笑いをこらえつつ、聞いてみました。

―あのぉ、こちらの常連さんですか。
「そうだよ。でも、最近はたまにだけどね」
―この銭湯、外国人がよく来るんですか?
「そうなの? 俺は知らないね。家族連れはよく来るよ。いろんな風呂があるからね。ここは昔からある銭湯だから」。

あまりご存知ないようです。そこで、次にシルキー風呂に行ってみました。天井には屋根がありますが、露天気分を味わえます。ひとりの若い男性がいたので声をかけてみました。

―この銭湯、外国人が多いんですか?
「どうかなあ。ぼくは週末しか普段は来ないから」
―なんでもタトゥーを入れた外国人さんもこの銭湯は入浴OKだと聞いて、どんなところだろうと思ってきたんです。
「ああその話ね。ここ、改装する前からずっと入れ墨OKでしたよ」
―あっ、そうなんですか。

どうやら日暮里という土地柄で古くから銭湯を営んできたことから、外国人観光客うんぬんとは関係なく、その筋の人も含め、ずっとOKだったようです。実際、ここの客層は中高年のおじさんおばさんを中心に子供連れなど、昔ならではの光景です。たまにその筋の人が見えても、皆さん普通にお風呂に入っているのでしょう。

風呂上りに入浴客のおじさんたちにならってビールを注文し、オーナーの奥さんに話を聞いてみました。

―こちらは外国人のお客さんが多いんですか。
「まあそうね。けっこういらっしゃいますよ。夏休みなんか、家族連れで韓国や中国の人たちが来て、ここはどこなのかしらという感じになります。でも、普段はふつうの銭湯ですよ」
―インターネットでこちらは入れ墨やタトゥーのお客さんの入浴もOKと聞きました。
「ここは下町だから。昔からねえ、そうなんですよ」

奥さんは「中国の人」と言っていますが、たぶん台湾や香港の個人客なのでしょう。彼らが多く宿泊している上野のホテル街に近いことから、彼らも利用しやすいと考えられます。

オーナーの息子さんが英語で紹介する以下の動画をYOU TUBEで発信していることも影響があるに違いありません。

Visiting a japanese bath house
http://saito-yu.com/publicBath.html

いまや日本人のよく知らないラーメン屋がトリップアドバイザーなどで外国人に広まり、行列ができる時代です。この銭湯が外国人であふれるようになってしまうと、地元のお客さんは困ってしまいますが(たぶん、そんなことにまではならないでしょう)、タトゥーうんぬんの問題も、土地柄しだいでクリアできる面もあるのだと思いました。
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by sanyo-kansatu | 2015-12-30 16:50 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 12月 15日

入れ墨・タトゥーの外国人の入浴、やっぱり気になりますか?

最近、訪日外国客の受け入れをめぐる報道が増えてきたと感じます。昨年くらいまで日本のメディアが好んで扱うのは「外国人の消費による経済効果」の話ばかりだったことを思えば、いいことだと思います。それだけ一般の日本人も訪日外国客と日常的に接触する場面が増えており、ただ経済効果の話として説明するだけではすまない社会の変化が生まれているからでしょう(実際、一部の小売店を除けば、経済効果なんてぴんとこない話ですから)。

今日の朝日新聞の朝刊で報じられたのが、「入れ墨・タトゥーの外国人の入浴」をめぐる話題です。以下、転載します。

入れ墨お断り、見直す動き 外国人増え「隠せばOK」も(朝日新聞2015年12月14日)
http://www.asahi.com/articles/ASHD346LTHD3UTIL014.html

入れ墨・タトゥーの方の利用はお断りします――。公衆浴場や旅館で、こうした表示を見直す動きが出ている。風習やおしゃれで彫る外国人や若者が増えているからだ。観光庁も海外の風習を周知する考えだ。

「タトゥーのある方の利用を試験中」。さいたま市の温浴施設「おふろcafe utatane」は入り口に貼り紙を出した。フロントで200円のシール(約13×18センチ)を買い、入れ墨に貼って隠せば入浴できるようにし、8月から月10人前後の利用がある。

広報担当の野村謙次さんは「日本人と外国人観光客が半々。2020年の東京五輪を前に、若者のファッションや外国人の文化としてのタトゥーを受け入れる必要がある」と話す。

高級旅館を運営する星野リゾートも10月、一部の温泉旅館で同様の試みを始めた。「タトゥーに抵抗感があるお客様に安心してもらう狙い。半年間試行して続けるか決める」という。

対応に悩む施設もある。河口湖温泉(山梨県)の観光案内には年9万人近くの外国人が訪れるが、ホテルや旅館は入れ墨禁止。「何でだめなの」との問答も時にある。河口湖温泉旅館協同組合の功刀(くぬぎ)忠臣事務局長は「タトゥーを認めなければ時代に追いつかないが、クレームもある。行政がルールを示して欲しい」。

一方、北海道恵庭市の温泉施設は、あごに入れ墨をしたニュージーランドの先住民族の女性の入浴を一昨年断り、「時代遅れ」と抗議を受けたが、今も同じ対応だ。「国際化も大切だが常連客を犠牲にできない」と話す。

入れ墨はいつから嫌われるようになったのか。

関東弁護士会連合会が昨年出した冊子によると、入れ墨は江戸時代まで黙認されたが、明治時代に禁止された。軽犯罪法の前身の「警察犯処罰令」に規定され、1948年の同令廃止まで規制された。

一般社団法人・日本温泉協会によると、公衆浴場法に入れ墨に関する規定はないが、禁止する施設は「衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない」の条文を踏まえている。

約500万円かけて全身に蛇などの図柄を彫った元暴力団員の40代男性は「入れ墨の男がいれば周りは怖いと思う。時間帯によってはOKにするといったやり方もあるんじゃないか」。

東京を観光していたポーランド人のクジェストフ・ベプフアさん(34)も両腕や背中にタトゥーがびっしり。来日後、温泉の入れ墨禁止を聞いてがっかりした。「日本の文化を尊重しルールは守る。でも、タトゥーは子どもの誕生記念や親への思いをこめたものでもある」と訴えた。

3度目の来日というイタリア人古物商エミリアーノ・ロレンツィさん(38)も左腕の手首近くまでタトゥーがある。「最初は温泉に入れず戸惑ったが、今は入れ墨と日本のマフィアの関係が深いことも理解している」。松山市の道後温泉に行く前にネットで入浴できる施設を調べるという。(岩崎生之助、後藤遼太)

日本政府観光局によると、昨年の訪日外国人は10年前の約2倍の1341万人。観光庁の1~3月の外国人への調査で「最も期待していたこと」は日本食、ショッピングに次いで温泉入浴が3位だった。

観光庁は6月、温泉や旅館など3768施設にアンケートし、581施設が回答。入れ墨がある人に対し、325施設(56%)は入浴を断り、178施設(31%)は受け入れていた。シールで隠すなど条件付き許可は75施設(13%)だった。

断る経緯について59%が「風紀・衛生面で自主的に」、13%は「業界・地元事業者で申し合わせた」と答えた。入れ墨をした人の入浴でトラブルがあったと回答したのは19%だった。

田村明比古長官は「観光立国を目指す中、一律お断りがいいのか。それぞれの事情に配慮があってもいい」と述べた。同庁は今後、業界団体と連携し、タトゥーはファッションや宗教的慣習の一つと周知する方針だ。(中田絢子)

〈著書「いれずみの文化誌」がある皮膚科医の小野友道さんの話〉 反社会的とみなされてきた入れ墨と、ファッションや文化としてのタトゥーが混在し、線引きが難しい。シールのように大きさで区別するのは一つの手だ。東京五輪を控えて外国人が増える中、温かい目で見る必要がある。「入浴お断り」ではなく「お断りすることもあります」と表現を変えるだけで印象が違う。

〈暴力団に詳しいフリージャーナリストの鈴木智彦氏の話〉 暴力団員のうち入れ墨持ちは7割くらいの印象。近年は減少傾向だ。現役でも入れ墨が無ければ公衆浴場に入れるし、逆に暴力団から足を洗っても入れ墨持ちだと入れないなど、一律入浴禁止のルールは現実的でない面もある。入れ墨を背にした暴力団員が威嚇していた過去は覚えておくべきだが、彼らにいつまで我慢させるのだろうか。

ちょっとLGBT(性的少数者)をめぐる議論と似ているようにも感じるこの話題を朝日新聞が取り上げたのは、記事中にもありますが、観光庁が今年10月に公表した以下の宿泊施設に対する調査結果を受けてのものだと思われます。

入れ墨客の入浴、56%が拒否=外国人増で宿泊施設調査-観光庁(時事通信2015/10/21)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102100737&g=eco

観光庁は21日、温泉や大浴場への入れ墨(タトゥー)客の入浴を認めるかについて、全国の宿泊施設を対象としたアンケート調査の結果を公表した。外国人観光客が入浴を断られるケースがあるためで、56%の施設が拒否していることが分かった。一方で、31%が許可、13%が入れ墨をシールで隠すなどの条件付きで認めていた。

近年はファッション感覚で入れ墨をする外国人が増えているほか、民族の慣習で入れる場合もあるという。観光客の入浴を一律に断ることについては議論があり、実態を調べていた。

アンケートはホテルや旅館など3768施設を対象に実施し、回答率は15.4%だった。入れ墨客の入浴に関するトラブルは19%の施設で発生。また、一般客から入れ墨に関する苦情を受けたことがある施設は47%だった。同庁は実態をより詳しく把握し、今後の対応を検討する。

「入れ墨・タトゥーの外国人の入浴」をめぐる議論は、実はずいぶん前から国内の宿泊&温浴施設関係者らの間で起きていました。

今年5月、外国客に人気の新宿区役所前カプセルホテルの小川周二経営企画室室長に話をうかがったときも、当然のようにこの話題が出てきました。小川室長はこの件について、以下のようにお答えになっていました。

「タトゥーの方はチェックイン時にお断りしています。これを外国の方に説明するのが難しいですね。刺青のもつ社会的な意味が日本と外国では違うからです。外国の方にとってはおしゃれとしてタトゥーをしてらっしゃるのでしょうが、日本のお客さまにはアレルギーのようなものもあり、これは日本政府観光局でも、どう外国客に説明していくべきか検討していると聞きます」

※いまどきの都心のカプセルホテルがどんなことになっているかについては、以下をご参照ください。

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた
http://inbound.exblog.jp/24526002/
カプセルホテルのどこが外国客に人気なのだろうか?
http://inbound.exblog.jp/24532753/
時代はサラリーマンからツーリストへ(新宿区役所前カプセルホテルの顧客が変わった理由)
http://inbound.exblog.jp/24532781/

同じ問題は、ホステル系の宿泊施設だけではなく、高級温泉旅館でも起きていたことを知ったのは、最近トマムリゾートを買収した中国の投資会社トップが失踪したことで話題となった星野リゾートの以下の取り組みでした。

温泉旅館ブランド「界」では タトゥーカバーシールの試験運用を開始いたします(星野リゾート ニュースリリース2015年4月15日)
http://www.hoshinoresort.com/information/release/2015/04/9362.html

2015年10月1日より、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の全施設で、タトゥーカバーシールを試験的に使用することにいたしました。

日本では社会通念として、タトゥーのある方が大浴場を利用することを制限しているケースが多いのが現状です。しかし、国内外の若い世代では、ファッションとしての小さなタトゥーが容認されてきており、温泉旅館の大浴場をご利用になったお客様から、タトゥーのある方と一緒に入浴することへのご不満をいただくこともあります。

このような状況から、一つの試みとして8cm✕10cmのシール1枚でタトゥーをカバー出来る場合に限り、入浴を可能とすることを10月より行い、今後の方針を考えていく契機にいたします。タトゥーカバーシールは、ご希望の方に無料で配布いたします。

海外顧客の増加に伴い、ニュージーランドのマオリの方々のような事例にあるように、民族文化としてタトゥーのある方が温泉入浴を希望されるケースが増えてきております。今回の試みが契機となり、このような方々にも日本の温泉文化を楽しんでいただける、新しいルールの模索に発展して行くことを願っております。


この取り組みについては、朝日新聞もすでに報道していました。

小さなタトゥー、隠せば入浴OK 星野リゾートの旅館(朝日新聞2015年4月16日)
http://www.asahi.com/articles/ASH4H51JPH4HULFA01K.html

小さな入れ墨(タトゥー)ならシールで隠せばお風呂に入れます――。高級旅館チェーンの星野リゾートは15日、自社で運営している13の温泉旅館で、小さな入れ墨がある人の大浴場への入浴を試験的に認めると発表した。

静岡県の熱海などにある高級温泉旅館「界」で、10月から6カ月間試行する。旅館が用意する白色の8センチ×10センチのシールで隠れる大きさなら入浴を認める。

「暴力団関係者のシンボルで、ほかの客に恐怖心を与える」などとして、日本では多くの宿泊施設や公衆浴場で入れ墨がある人の入浴を禁止している。ただ、若者の間でタトゥーがファッションとして広がり、民族や文化的な理由で入れている外国人も多い。星野佳路(よしはる)代表は「旅館や観光庁、温泉ファンも含め、ルールのあり方を考える契機にしたい」と話す。(土居新平)

さらには、産経新聞も埼玉県の温浴施設でのタトゥーシール導入の取り組みをすでに報じていました。

タトゥー隠せば入浴OK さいたまの浴場、11月まで試験運用 海外客増、認識も進む(産経新聞2015.9.15)
http://www.sankei.com/region/news/150915/rgn1509150025-n1.html

入浴施設の大半が「タトゥー(入れ墨)お断り」を掲げる中、さいたま市北区の温浴施設「おふろcafe utatane」で、小さなタトゥーならシールを貼って隠すことで入浴を受け入れる取り組みが始まっている。8月1日から1カ月間の試験的な運用だったが、「新しい層の来客があり、既存利用者の方からの批判的な意見もない」として11月末まで期間を延長した。県は「全国的にも珍しい取り組み」として注目している。

同店を運営する温泉道場(ときがわ町玉川)は、「おふろから文化を発信する」をモットーに県内3カ所で温浴施設を運営。中でも約2年前にオープンした同店は、宿泊施設を備えて駅に近いため、若者や外国人の利用が多いという。

シール導入の背景には、若い世代に小さなタトゥーがファッションとして認識されつつあることや、文化としてタトゥーを施す外国人旅行客の増加がある。大手宿泊事業会社「星野リゾート」が10月からの導入を決めたことも後押しし、「今まで店を利用したことのない人にも楽しんでもらおう」とスタートした。

シールは縦12・8センチ、横18・2センチのB6サイズで、申し出を受けるか、スタッフがタトゥーを見つけた際に声をかけ、1枚200円で販売。1枚以内で隠しきることが条件で、数カ所にタトゥーがあってもシールを切り分けて隠せれば問題ない。利用者には男女それぞれのスタッフが脱衣所まで同行し、シールからタトゥーがはみ出していないかをチェック。隠しきれない場合は入浴を断っている。

1カ月間で利用者は20人ほどだったが、「20年ぶりに大衆浴場に入れてうれしい」など好意的な意見が多かったほか、「術後の傷を隠せてありがたい」と想定外の利用者もいたという。

店を利用した同市の女性(41)は「タトゥーが見えないなら入っていても気にならない。外国人が利用できるのはいいかも」と理解を示した。一方、母親(68)は「やっぱりタトゥーには怖い印象がある。これも時代の流れなのかな」と話していた。

県生活衛生課などによると、県内の銭湯や公衆浴場は26年度で666カ所(暫定値)。多くの施設でタトゥーがある人の入浴を禁止しているが、県の条例や公衆浴場法では規制する法令はなく、あくまで浴場運営業者の判断という。

温泉施設は減少傾向にあるが、「これまでの利用者も納得できて、新たなニーズを取り入れようという工夫は応援したい」と同課。同店は「取り組みの過程でタトゥーに対するイメージや感覚が変わってくる可能性もある。試験の結果次第では本格的な導入も検討したい」と話している。(川峯千尋)

外国人に入浴してもらうために、タトゥーをシールで隠しちゃおうというこのアイデア。このシールをめぐっては、「縦12・8センチ、横18・2センチでは小さすぎる(からすべてを隠せない)」とかいろいろ議論があるそうです。関係者らが大真面目に考えたことだと思うので、笑っちゃいけないのかもしれないけれど、外国人がシールを貼ってお風呂に入っている様子を想像すると……。

だいたい彼らも、日本人客の気持ちを理解して、こころよくシール貼ってくれるものなのでしょうか。自分が貼る側だとしたら、面倒くさい気がします。それ以上に、なぜ日本人がタトゥーを好まないかについて個別の外国人一人ひとりに理解させることはそんなに簡単なことではないのでは。この問題は日本人の感情だけでなく、外国人の気持ちも考えたうえでの相互理解が必要なように思えます。つまり、どう周知させるかについても双方に対して丁寧に行う必要がありそうです。

ところが、ネットでこの種の議論の意識調査をすると、このとおり。ネットの特性がもろに出てしまいますね。「ここは日本なんだから、郷に入れば郷に従え」。そう言いたくなる人の気持ちもわからないではありませんが…。

Yahoo!意識調査
「タトゥー・入れ墨のある外国人を入浴拒否」どう思う?

現在の総投票数252,462,630票(2015年12月15日現在)
http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/domestic/17462/result

日本人も外国人も入浴拒否にすべき 59.9% 232,099票
日本人も外国人も入浴拒否にすべきではない 18.6% 72,221票
外国人については許可すべき 17.0% 65,981票
どちらでもない/わからない 4.5% 16,975票

それでも、世の中にはいろんな情報が発信されているようです。

タトゥー入っててもOKな温泉・銭湯・プールまとめ【関東編】(Find Travel)
http://find-travel.jp/article/18883

このサイトの記事では、関東のタトゥーOKな温泉・銭湯・プールのうち以下の8軒を紹介しています。

日暮里 斉藤湯
成田の命泉 大和の湯
伊香保石段の湯
ふくの湯
元町公園プール
千歳温水プール
本牧市民プール
目黒区民センタープール

実際、どんな感じなのか見てみたいものですね。

こんなサイトもありました。

Tatto Spot
http://tattoo-spot.jp/

「タトゥースポットは、近年厳しくなってきている"刺青お断り"ではないお店を掲載しているサイトです。タトゥーや刺青が入っていてもお店に入ることができ、各種施設を使うことができる店舗のみが全国のタトゥーユーザー達から投稿されるサイトです。

タトゥースポットでは、全国のタトゥーユーザーや、海外からの旅行者の方などが各店舗様のルールにのっとってご利用できるよう常に情報提供をお待ちしております」。

訪日外国客の増加は、我々の社会に、たとえば共同風呂に入るというような、きわめて個人的な生活の一場面の中で、外国人との相互理解をはかる必要を迫られることも意味しています。あんまり優等生的な発言はしたくないのですが(誰だって目の前に大きなタトゥーが現れたらびっくりしますから!)、なるべくこのような場面に出くわしても、穏健に対処する心構えというか、心の弾力性を身につけておきたいものだと思います。

もしそういう場面に出くわしたときは、映画『テルマエ・ロマエ』で阿部寛が扮するルシウス・モデストゥスが見せた爆笑お風呂シーンを思い起こして、気を紛らせてみたりすることは有効ではないでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2015-12-15 07:53 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 12月 02日

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人

今日のお昼過ぎ、東新宿の東京医科大通りに先月20日オープンしたばかりのゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」のカフェを訪ねてみました。
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IMANO TOKYO HOSTEL
http://imano-tokyo.jp/

同ホステルのサイトには、以下のような紹介文があります。

「東京での滞在をより深く楽しむことができるよう、
館内には東京の文化、日常生活に触れられるようなキッカケが多く詰め込まれており、
施設全体が”トーキョー”のガイドブックとなるホステルです。

1Fには、東京のお酒や料理を提供するカフェ&バーを併設し、
世界中から集まった旅行者との交流を楽しむことが出来ます」。

カプチーノを一杯頼んで、カフェでぼんやりしていたら、宿泊客の白人の若い男の子が現れました。やっぱりこういう子たちが泊まっているのですね。

たまたま同ホステルのオーナーの清水さんがいらっしゃったので、少し話を聞きました。

―先月オープンされたのですね。ぼくは毎日ここを通っているので、面白そうだなあと思って眺めていたんです。

「今日でオープン12日目です。PRはネット以外に特にしていませんが、外国のお客様がいらっしゃっています。国籍でみると、最も多いのは台湾人で、次がタイ人、シンガポール人、その次くらいから欧米人。日本人もけっこういますよ。就活のために地方から出てきた女の子が何泊もし、面接に行ってきたりするそうです」。

―このホステルは全室ドミトリーだそうですね。

「ええ、でも4人くらいの個室もあり、そこはグループ客が利用しています」。

―アジア客は小グループが多いですからね。歌舞伎町のカプセルホテルもそんな感じでしたよ。東新宿はいまや外国人ツーリストだらけですね。

「うちがここにオープンしたのもそのためです。いま都内にゲストハウスが次々誕生しています。昼間はカフェですが、夜はバーになり、外国人だらけで雰囲気もずいぶん変わりますよ。今度いらしてください」。

―ええ、ぜひうかがいます。

カフェが併設されたロビーには、この種の外国人宿がどこでもそうであるように、チャックアウトした客のスーツケースやザックが置かれていました。昼間は街に散策に出かけているのでしょう。
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ささやかながら、宿泊客のインスタントカメラ写真が貼られていたりしました。
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このカフェはwifiフリーなので、ときどきPC持ってお茶しにこようと思います。
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東新宿は外国人宿が多いことで知られますが、実はAirbnbのオーナーも多いようです。ぼくの仕事場の近所の民家から、ザックを担いだ若い欧米人の女の子ふたりが出てきて、住人のご夫婦に見送られているなんて光景もよく見かけます。

またこのゲストハウスのはす向かいに9月にオープンした中国人団体客専用の中華料理店もあります。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

この界隈がインバウンド先端エリアだというのは、そういうわけなのです。
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by sanyo-kansatu | 2015-12-02 13:44 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 09日

日本全国、ホテル業界大異変~訪日外国人はラブホがお好き?(プレジデント2015.8.31)

ビジネス誌「プレジデント」205年8月31日号に書いた記事が、ネットに転載されています。これまでブログで紹介した訪日外国人のお宿に関する取材をまとめたものです。実際、外国客が増えることで、単にホテルの予約がとりにくくなったり、料金アップしただけでなく、いろんなことが起きています。

訪日外国人はラブホやカプセルホテルがお好き!? 日本全国、ホテル業界大異変
http://president.jp/articles/-/16082

http://president.jp/articles/-/16083
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by sanyo-kansatu | 2015-09-09 17:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 07日

ついに中国金融トップが「バブルはじけた」と口にした!?

先ごろ(9月4日)、トルコのアンカラで開催された主要20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議で、中国人民銀行の周小川総裁が、6月中旬から4割近く株価が下落したことを受け、「バブルはじけたような動き」(朝日新聞2015年9月6日)と表現したそうですね。

ついに中国金融トップが「バブル」の崩壊を口にしたということなのか。

昨年夏、大連を訪ねたとき、絵に描いたようにバブリーなホテルに泊めてもらったことを思い出しました。

それがキャッスルホテル ラグジュアリーコレクションホテル大連(大連城堡豪华精选酒店)でした。場所は星海広場を一望にできる晩霞山の山腹に建っています。
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大連城堡豪华精选酒店
http://www.starwoodhotels.com/luxury/property/area/index.html?propertyID=3557&language=zh_CN

ご覧のような中世の古城の巨大なレプリカのような外観で、2014年9月に開業しました。ぼくはプレオープン時に泊めてもらいました。トリップアドバイザーをみると、実際の宿泊客の感想が書き込まれていますが、ロビーから客室、レストランの個室に至るまで、呆れるほどバブリーな造りです。
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実際の宿泊客のコメント(トリップアドバイザー)
http://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g297452-d5483653-Reviews-The_Castle_Hotel_A_Luxury_Collection_Hotel_Dalian-Dalian_Liaoning.html

ここまではホテルの広報写真ですが、以下はぼくが手持ちのカメラで撮ったものです。
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ラグジュアリーコレクションが買収する前、この建物は大連貝殻博物館でした。大連海洋漁業グループの張毅理事長(故人)が集めたコレクションを展示していたそうです。
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ホスピタリティに難があるといわれる中国国内の他のホテルとは一線を画すべく、スタッフたちは笑顔を常に絶やさず、客をもてなす姿が印象的でした。ただし、慣れないことをちょっと無理している感じがして、窮屈な印象もあります。
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申し訳ないですけど、あらゆるものがレプリカでしかない安っぽさが気になったのも確かです。せめてTDR的なストーリーがあれば、所詮ファンタジーとして受けとめられるのですが、マジっぽいところがかえっていただけません。
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ホテルの目の前にある洋館風の建物はマンションです。星海湾を橋でつなごうとしていますが、地元大連の人たちも景観が壊れるのでやめてほしいと話していました。
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エクスペディアで調べると、このオーシャンビューのデラックスルームで1泊2万5000円相当でした。スターウッドグループの高級カテゴリーであるラグジュアリーコレクションでこれほど安い価格帯はありえないのではないでしょうか。でも、ここまで下げないと客室が埋まらないのでは、と思われます。

膨れ上がった資産価格と人々の日々の消費活動が不釣合いとしか思えなかった中国。今後それが徐々に調整されていくのであれば、結果的には庶民にとっては悪い話ではないと思うのですが、はたしてそんな悠長な話なのか。いったいこれから何が起こるのでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-07 15:21 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2015年 08月 13日

羅先のホテルと娯楽もろもろ~旧ヤマトホテルから香港カジノまで(2014年)

中朝ロ3ヵ国が接する図們デルタ地帯に位置する羅先特別市(北朝鮮)で工場見学をした話を前回書きました。まるで2000年代前半の広東省のように、若いきまじめな女性労働者がそこそこいて頑張っていることはわかりましたが、この環境ではすぐに投資という話にはならなさそうです。

羅先の観光アトラクションといえば工場見学です
http://inbound.exblog.jp/24782964/

とはいえ、経済貿易特区だけあって、平壌を除く他の地方都市とは違い、外国人向けの宿泊施設はいくつかあります。歴史的にみて日本の大陸進出の時代と関係のあるホテルも現存しています。

現地関係者によると、現在羅先にはホテルが21軒あり、そのうち日本人を含めた外国人向けに対外開放されているホテルは以下の6軒です。

①羅津ホテル
②南山旅館
③琵琶閣(琵琶旅館)
④琵琶観光ホテル
⑤東明山ホテル
⑥エンペラーホテル&カジノ

以下、簡単に紹介しましょう。

①羅津ホテル
羅先で客室数の最も多いシティホテルです。中国やロシアのビジネスマンなどが多く利用しています。館内にはビジネスフロアもあり、対外貿易を行う事務所なども入っています。現地関係者は「中国人ツアー客が利用するようになって質が落ちた」と話しています。
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ホテルのそばに2013年にオープンしたボンソノカジノがあります。中国資本で建てられたカジノですが、2014年夏現在、営業状態は最悪のようです。
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②南山旅館
羅津市内の中心部の広場に位置する老舗ホテル。1939年に満鉄が建てた旧羅津ヤマトホテルです。外観は当時の時代らしく昭和のシンプルな建築スタイルの2階建てビルです。羅津に港や鉄道が設置されたのは1930年代半ばからですから、当時はこのまちの顔だったでしょう。
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ロビーは中国東北地方各都市にある旧ヤマトホテル系に似ています。客室は老朽化していますが、それなりの風格はあります。
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実は、以前このまちに住んでいたというおばあさんにお話を聞いたことがあります。当時羅津高女という女学校があり、そこで終戦を迎え、引き上げてこられた方なのですが、女学生のころ、羅津ヤマトホテルのレストランで食事をしたことがあるそうです。なんでもある休日、音楽の担当教師に誘われ、クラスの女子2名と一緒に行ったのだとか。当時は女学生がホテルのレストランに行くなんてことはまずなかったそうで、自分が大人になったような気分になったそうです。その思い出の舞台がここです。
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※この話を聞いていたので、ホテルに入ってこっそりレストランの写真を撮ったところ、あとで問題になりました。外国人らしき人物がホテルの中に潜入したと誰かに密告されてしまったのです。ほんの数分単独行動をしただけでこれです。参ります。

③琵琶閣(琵琶旅館)
日本海を見渡す高台の上にあるホテルで、かつて金日成主席らが別荘として使ったことがあります。2012年にここに泊まりました。

金日成の別荘(琵琶旅館)と旧羅津ヤマトホテル(南山旅館)
http://inbound.exblog.jp/20191274/

④琵琶観光ホテル
琵琶旅館の隣にあるホテルで、客室数が多いぶん、かなり質が落ちます。日本人が来ると、ビジネスマンなら別ですが、他の外国客と隔離したいのか、羅津ホテルではなく、こちらに泊めさせられることが多いようです。
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⑤東明山ホテル
今回泊まった羅先で最も設備の整った新しいホテルです。
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客室も快適です。中国の4・5線級都市にある、まちいちばんのホテルといった感じです。1泊50ドル以上取ります。
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フィットネスジムやプール、サウナもあります。中長期滞在向けのビジネス仕様ですが、中国人ツアー客もいました。
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ただし、サウナの利用は20ドルと高額で、覗いてみると、稼働していませんでした。まあ無理もないかもしれません。一時に比べ、中ロのビジネスマンも多いとは言えないからです。
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⑥エンペラーホテル&カジノ
1990年代後半にできた香港資本のカジノです。一時中国の役人の公金使用問題などで営業停止になったり、いろいろありましたが、いまはなんとか営業しています。一泊300ドル近く取るそうです。カジノの最低換金額は500ドル(実際にはそこまで厳密ではないという話もあります)。館内にはほとんど人気はありません。館内の様子は、下記ページを参照してください。
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2013年の春、中朝国境にある羅先(北朝鮮)にカジノが3つもできました
http://inbound.exblog.jp/20191710/

さて、このまちに来て娯楽を求めても仕方がないところはありますが、最近ではロシアレストランが2軒、中国料理店が2軒、チェコ式のビヤホールがあります。

このロシアレストラン「ノーヴィーミル」のオーナーはロシア人だそうですが、料理は限りなく朝鮮風で、がっかりでした。客はほとんどいません。
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2014年版 北朝鮮のグルメ5泊6日のすべて【前編】
http://inbound.exblog.jp/23948946/

ビヤホールは海浜公園の中にあります。羅津ホテルにも近いです。生ビール1杯15元。2013年のオープン当時はにぎわったそうですが、いまは閑散としています。
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2014年版 北朝鮮のグルメ5泊6日のすべて【後編】
http://inbound.exblog.jp/23951727/

このまちでの娯楽といえば、マッサージがあります。場所は市街地から少しはずれた場所にありますが、マッサージ師は女性で、平壌医科大学出身でした。なぜそれがわかるかというと、3年前に訪ねたことのある羅先の貿易展覧会で同大学の医薬品を販売していた女性スタッフたちだったからです。これは珍しいことではありません。外貨獲得のために、この国の女性は東奔西走しているからです。

またこれは娯楽ではありませんが、海浜公園では子供たちがローラースケートを練習している様子を見ることができます。1時間3元でレンタルできるそうです。第一主席肝いりのローラースケート場は金剛山のふもとでも建設されていましたが、羅先特別都市にもあります。
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最後に、このまちで外貨両替のできる銀行はいくつかあります。

<北朝鮮>外国投資銀行法を10年ぶりに修正補充(アジアプレス2012年2月9日)
http://www.asiapress.org/apn/archives/2012/02/09192516.php

以下の4つは中国系です。

図們江銀行
羅先開発銀行
中華商業銀行
東大銀行
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また図們デルタ地帯の開発のために設立されたゴールデントライアングルバンクがこれ。
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日本時代の建物を流用しているのが朝鮮銀行羅先支店です。
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ただし、このまちでは人民元がふつうに使われているため、両替の必要はなさそうです。市場などでも売り場のおばさんたちは人民元を手にして商売している様子だからです。

羅先には最近タクシーも増えています。中国の中古タクシーです。ただし、現地在住のビジネスマンでもない限り、外国人が勝手に乗り回ることはほぼ考えられません。
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高台から羅先(羅津)の市街地を撮りました。
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朝鮮民家がびっしり並ぶ中に、一部マンション建設が始まっています。
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確かに、羅先特別市は清津などの地方都市に比べると、中国のさまざまな影響が感じられるまちです。

ちなみに、これは1940年代初頭の羅津市街地図です。当時から羅津港には3つの埠頭があり、羅津駅と直結していたことがわかります。羅津駅からまっすぐ伸びるまちいちばんの昭和通り(当時)に沿って朝鮮銀行や大和ホテルがあります。この構造が頭に入っていると、車であちこち運ばれても、自分がどこにいるかある程度わかると思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-13 14:12 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2015年 08月 11日

朝鮮でホームステイ その奇妙な世界

海水浴場での昼食が終わった後、案内されたのがとても奇妙な場所でした。
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※2014年7月上旬、北朝鮮咸鏡北道の七宝山を訪ねた話をしています。

七宝山(チルボサン)は金剛山とは似て非なる朝鮮の名峰
http://inbound.exblog.jp/24765755/

そこは「海七宝民泊宿所」と呼ばれる2004年にできた民泊施設です。まるで住宅展示場のように朝鮮式の一戸建て民家が並んでいます。なんでも外国人向けのホームステイのための施設だそうで、それぞれ住人も住んでいるというのです。

一軒の家に案内されました。1階は住人の生活する場所で、2階に外国人を泊めるのだそうです。

応接間にはテレビや冷蔵庫が揃っています。
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厨房を覗くと、きれいに食器が並んでいます。
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お約束の金日成・正日親子の肖像写真が飾られています。
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2階の客室です。
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ベランダもあります。
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トイレです。
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このご夫婦が住人です。
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もう一軒を訪ねました。
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この家には母親と小さな娘が住んでいました。
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男性ふたりはガイドです。金親子の肖像画や娘の写真などが貼られています。
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これらの光景を目の前にしながら、そして促されるまま写真を撮っているときに、平壌の高層マンションに住む模範市民の家庭を金正恩第一書記が訪問したというニュース映像を思い出しました。たぶん、ここも同じような場所ではないか。このさびれた漁村の周辺で電化製品に囲まれた文化生活を送る人たちがいるということ自体、おかしなことだからです。
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このあどけない娘の笑顔には癒されますが、この国の人たちはこの奇妙な世界をどう受け止めているのでしょうか。また住人本人もどう考えているのか。単に外国客の接遇役という職務に従事しているだけなのかもしれませんが。

3軒目に訪ねたのが洋風一戸建て住宅でした。
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2階の客間はベッドがあります。欧米客向けなのでしょう。
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ここには全部で20の民家があり、そのうち西洋式は6軒、朝鮮式が14軒です。ガイドがこんなことを言います。「ここには中国人やヨーロッパ人が泊まっています。現在、あなたがた日本人とアメリカ人は泊まることは許されていません。でも、近いうち日本人も泊まれるようになるでしょう」。
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面白いのは、各民家の前には必ず畑があり、裏手には暖をとるための薪木があり、鶏が飼われています。するめを干している人もいます。確かに、ここは生活の場でもあるようです。
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逆にいえば、こうした電化製品と畑と薪木と鶏に囲まれた生活というものこそ、いまの朝鮮の人たちにとって誰もが思い浮かべる理想の生活なのではないでしょうか。それは外国人に見せても決して恥ずかしいものではないと彼らは考えているのでしょう。接遇役として選ばれたこの宿所の住人も、平壌の模範市民に近い存在として自分の役割を受けとめているのかもしれません。

ガイドに「次回来たときはここに泊まるといい」と言われたものの、苦笑するしかありませんでしたが、これはこれでこの国でこれまで大真面目に行われてきた国際交流のひとつの形態なのかもしれません。彼らが外国人に理解してもらいたい自らの自画像こそ、このような恵まれた暮らしを送る人民の姿ということなのでしょう。

この施設の中にはレストランもあります。海水浴場の食事を用意してくれたのは、ここのレストランのスタッフでした。このあたりには、外国客を受け入れられる施設はここしかなさそうです。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-11 16:39 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2015年 08月 01日

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)

7月上旬、某PR誌の仕事で長崎県南島原市に行ってきました。

南島原市というのは、島原半島の南端に位置する人口約5万人のまちです。今回訪ねた理由は、このまちが2013年から台湾の一般客を農家民泊させるツアーの受入を始めているからでした。

南島原ひまわり観光協会
http://himawari-kankou.jp/

この民泊ツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産品の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わいます。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、年間約800人の台湾客が訪れています。

実はこの話、以前ぼくのblogでも紹介したことがあります。2013年10月、台北で開催された台北国際旅行博(ITF)の会場でぼくはある現地旅行会社の女性社員に会いました。彼女は元日本留学生で、自分が日本で体験した民泊の感動を多くの人に味わってもらいたいとの思いで旅行商品として実現させたのが、この農家民泊ツアーでした。

台湾発日本行き「ウルルン滞在記」ツアーはこうして生まれた
http://inbound.exblog.jp/21429440

そんなわけで、機会があれば、そのツアーの様子を見てみたいとずっと思っていました。それが今回実現できたのです。

以下、台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポートです。

その日、台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊します。
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午後3時、台湾客を乗せたバス到着。民泊先の家族が総出でお出迎えします。
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台湾では7月に入るとすぐ夏休みだそうで、子供連れの家族がたくさんいます。
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ホスト家族との対面を「入村式」と呼んでいます。会場は市の武道館。あらかじめそれぞれの家族のホスト農家は決められていて、テーブルごとに分かれます。
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観光協会の担当者から南島原の紹介があります。
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台湾ガイドの林尚緯さんです。
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入村式の最後は、ホスト家族とゲストが握手します。
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その後、流しそうめんで親睦を深めるのが恒例になっているそうです。
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なにしろ南島原市はそうめん生産量全国2位。みんな大喜びです。
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そして、ホストの車に乗ってそれぞれの農家に移動します。
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ここから先はガイドがついていかないので、明日の朝までお互い言葉が通じません。
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さて、ぼくはある農家とそこに民泊する台湾の家族に密着することができました。

これがホストの園田義文さんのお宅です。
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茶の間でしばらく休みながら、ゲストの黄振穎さん一家の話を聞きました。黄さんは台北で写真館を経営する撮影師です。CANONの一眼レフを手にし、写真を撮りまくっています。奥さまと中学生のお兄ちゃん(柄越くん)と小学生の弟(柄升くん)の4人家族です。

1時間後、園田家のビニールハウスで今日の夕飯のおかずとなるナスとピーマンを収穫に行くことになりました。

ひょうきんなお父さん。黄さんは明るい人です。
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ピースしているのは園田家のお母さんです。この日大活躍です。
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長男の柄越くんがナスを採っています。
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こんなに採れました。
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ビニールハウスの外には、少し前までイチゴを植えていた畑があります。春先に来ると、イチゴ狩りができるそうです。
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収穫のあとはみんなで一緒に食事をつくります。

先ほど採ったピーマンを肉詰めにします。
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子供たちはヒマを持て余してゲームで遊んでいます。弟の柄升くんは中学生のお兄ちゃんが持っているスマホが欲しくてたまらないそうです。
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お母さん同士はキッチンでずっと料理をつくっています。この家の嫁でもないのに、なんかいい雰囲気ですね。
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しばらくして観光協会の担当者とガイドの林さんが様子を見に来ました。手前に一緒に写っているお母さんと女の子は、今回ぼくの取材に協力してくれた観光協会の別の担当者の奥さまと娘さんです。
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先ほどまでゲームで遊んでいた柄升くんがお母さんの料理を手伝いにやって来ました。
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はい、出来上がり。長崎名物のちゃんぽんと鶏の唐揚げ、ナスの煮びたし、ゴーヤと肉の炒めもの。家庭料理ですね。
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「いただきます」。子供たちは自分で採った野菜を食べるのは初めての体験だったそうです。
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密着はここまでで、ぼくは園田家を後にしました。

さて、翌朝です。朝8時半、台湾客たちは武道館に戻ってきます。

そして、全員で記念撮影。垂れ幕には「南島原にまた来てくださいね!」と書かれています。
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各々の家族同士、みんな名残惜しそうにしています。
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南島原名物のそうめんがお土産です。
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黄さん一家もいます。昨晩はよく眠れたでしょうか。
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さて、退村式が始まりました。その様子をちょこっと動画に撮りました。特別なことは何もありません。
https://youtu.be/o3hdb6NoGLI

さあ、お別れです。すると、感極まって目頭を押さえてしまうホストのお母さんもいます。お互い言葉が通じないぶん、気持ちが高ぶってしまうのでしょう。
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そして、台湾客はバスに乗り込み、お別れです。
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なんて絵に描いたような美しい世界なのでしょう。参りました。誰かがあざとい演出をしているわけでもないし、まあ進行上こうすればこうなるということは頭ではわかっているんですが、人間というのは面白いものですね。異国の人と触れあうとき、普段とは違う何かを感じてしまうのですね。

どうやらぼくの涙腺はツボにはまってしまったようです。傍で見ているのにすぎないのに、うるうるしてくるのですから。でも、きっとこういうのは台湾の人も好きに違いありません。

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年からだそうです。といっても、最初は長崎県の中学生などから受け入れを始め、徐々に全国の中高生の修学旅行生へと広げていきました。そして、いまではなんと年間約1万人の民泊を受け入れています。そういう意味では、ホストの皆さんも、ベテランです。この美しい世界も、経験豊富なホスト家族がいてこそ実現できるのだと思います。南島原には160家が民泊を受け入れているそうです。

あと今回は触れませんでしたが、南島原は漁港もあるので、農家だけではなく、漁家の民泊もできます。今回台湾から来たある家族は漁船に乗せてもらって、そのとき釣ったタコを夕食でいただいたそうです。

冒頭で紹介した台湾の名生旅行社の女性社員は郭さん(日本名はYUKIさん)といいます。彼女はこうした南島原の民泊の評判を知り、同市観光協会を視察に訪れたことから、この農家民泊ツアーが始まっています。

実は、台湾客の帰国後、ぼくはゲスト一家のお父さんの黄さんとラインでやりとりしました。

―南島原での民泊はどうでしたか?

「すごく良かったですよ。日本人は親切で温かかった。私たち家族も本当に幸せでした。園田さんに感謝の思いを伝えてください。そして、ぜひ今度は台湾に遊びに来てください。歓迎します」

―今回は九州5泊6日のツアーだったそうですね。どうでしたか。

「九州は自然が豊かでとても純朴な土地でした。今度九州に来るときは、レンタカーを借りてドライブしたいです。そして、日本の風景をもっと深く見てみたいです。また今回は園田さんのお宅に泊めていただいて、日本の農家の生活を知ることができました。子供たちも喜んでいました」

ガイドの林さんともこんな話をしました。彼はガイド歴25年のベテランで、南島原の民泊ツアーにはすでに5回添乗しているそうです。

―こういう農家民泊ツアーは日本以外の国でありますか。お客さんたちはどんな感想を話していますか。

「日本しかありません。やはり民泊ツアーの魅力は心の交流ですね。こういう体験はなかなかできるものではない。日本の農村を初めて訪ねたが、食の安全・安心な理由がわかったという声もありました」。

―民泊ツアーに参加されるお客さんというのはどういう方たちなんでしょう。わざわざ民泊のツアーを選んで来られた方たちですね。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まります。そんなに安いツアーではありません。民泊は1日のみですが、やっぱり体験してみたいのです。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などは行き尽くした、ある程度日本のことを知っているリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。そういう気持ちを持っているように思います。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。

台湾の人と話していると、日本のことを実力以上に評価してくれているような気恥しい気分になることがよくあります。ただ近隣諸国を見渡すと、このように言ってくれる人たちは残念ながら少数派なわけで……。なんとかその評価に応えていかなければと思ってしまいます。

ところで、長崎県は来年、南島原市にある原城(島原の乱で天草四郎が立てこもった場所)を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産のひとつとして世界遺産登録に向けて申請するそうです。キリスト教文化の繁栄、宗教対立、そして弾圧という歴史の現場であったということが理由です。これはユネスコ好みのストーリーのように思います。

今回、原城跡や地元の歴史博物館を訪ねることができたのですが、とても面白いですね。来年はこのまちもいろんな話題を呼びそうで、楽しみです。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-01 14:53 | “参与観察”日誌 | Comments(1)