ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2015年 06月 17日

シェアハウスのホテル化で外客受入に成功=「ゲスト交流型ホテル」とは?

台東区池之端にあるホテルグラフィー根津は、知る人ぞ知る隠れ家ホテルです。開業は2013年3月で、いまや外国客が90%以上を占めるといいます。
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ホテルグラフィー根津
http://www.hotel-graphy.com

海外ホテル予約サイトのエクスペディアを通じて2014年に予約件数の多かったホテルが表彰される「エクスペディアアワード2015」でベストパートナー部門を受賞しています(http://www.travelvoice.jp/20150325-39644)。

このホテルのコンセプトは「ゲスト交流型ホテル」です。運営しているのは、ソーシャルアパートメント(シェアハウスの進化系)という新種の賃貸住宅を手がけてきた株式会社グローバル・エージェンツという会社です。

株式会社グローバルエージェンツ
http://www.global-agents.co.jp/

シェアハウスの発想で運営されている「ゲスト交流型ホテル」が、なぜ外国客に人気なのか。株式会社グローバルエージェンツの山崎剛代表取締役社長に話を聞くことができました。以下、そのやり取りです。

―こちらを初めて訪ねたとき、地下鉄千代田線根津駅から狭い路地を抜けていくと、突然ホテルが現れたという印象でした。こんな住宅街の中にどうしてホテルがあるのだろうと。もともとこの建物は何だったのですか?

「築40年の旅館をリノベーションしたものです。客室数は64室。旅の醍醐味は、地元の人との交流にある、というのが私の考えです。ですから、ここにはホテルの宿泊客だけでなく、日本人のレジデンスも住んでいます」

―ホテルでありながら住人もいる。ゲストとレジデンスが同じ空間を過ごすということが「ゲスト交流型ホテル」ということなのですね。

「『ゲスト交流型ホテル』を説明するためには、もともと弊社が手がけている『ソーシャルアパートメント』について話す必要があるでしょう。

これは、従来のマンションと違い、プライバシーがしっかり確保されたワンルームに加えて、入居者同士が集まれるラグジュアリーな共用ラウンジが備えられている賃貸物件です。

ワンルーム+αという発想です。家の中でもなく外でもない共用ラウンジというセミパブリックなスペースで行われる多様な入居者間のコミュニケーションこそが、ソーシャルアパートメントの一番の醍醐味。多様な世代、属性、国籍の人たちが住み、共用ラウンジでの日常的なコミュニケーションを通しえ、想像を超える気づきや可能性の発見に出会うことができ、自分の世界が数倍に広がるはずです」。
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世界が広がる隣人交流型マンション『SOCIAL APARTMENT』
http://social-apartment.com/

―住人同士のコミュニケーションにこそ価値がある住まい方ということでしょうか。その発想の先にあるのは、宿泊客同士がコミュニケーションできる空間を備えたホテルということなんですね。こういうスタイルは外国客に好まれるものなのでしょうか。実際の宿泊客の国籍はどうですか。

「欧米客とアジア客は半々。最近、アジア客が増えています。実際には、宿泊客のうちどれくらいの方がこのコンセプトを理解しているかはわかりません。それでも、海外を旅したことのある人ならたいていゲストハウスの世界を知っているので、ゲスト同士のコミュニケーションの場があることは喜んでもらえると思っていました。ただし、ホテルを開業する以上、多くの外国客に来てもらえるように、具体的には以下のことを考えました。

まず価格設定を都内のビジネスホテルの価格帯に合わせました。これは海外FITのボリュームゾーンにも見合っています。その代わり、フロントオペレーションを簡素化し、客室の内線電話も外しています。いわゆる“おもてなし”はやらない。サービスを売りにしない。国内のホテルがよくやる宿泊プランも一切なし。

そのぶんリノベーションで力を入れたのはデザインのクオリティです。外国客は海外の予約サイトの写真を見ながらホテル選びをする。価格以上の価値を感じさせるデザイン性、ここで勝負すればいい。むしろこれが外国客にはわかりやすく、選びやすいのです」。
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実際の宿泊客の様子を知りたくて、荒島浩二支配人にも話を聞きました。

―外国客はやはり海外のホテル予約サイトを通して予約されるのですか。

「expediaとBooking.com から予約が入るのがほとんどです。一般に外国客は、エリアと価格帯でホテルを選びます。うちは上野エリアとして検索されます」

―上野は成田空港からのゲートウエイですから、初めて日本を訪れる旅行者にとってホテルのロケーションとしては最適に映るでしょうね。

「でも実際には、上野駅からのアクセスはあまりよくありません。歩くと15分以上かかるので、タクシーでワンメーターと伝えるようにしています」

―確かに、住宅街の中にあり、外国客が歩いて探すのは大変だと思われます。しかし、山崎社長が話していたようにデザイン性と価格帯にそれ以上の価値を見出すことで選ばれているということなのでしょうか。

「そうだと思います。そこに価値を感じる方が選んでくれていると思います」
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―ロビーのカフェや共同スペースで見かけるのは、多国籍の方たちですが、やはり若い世代が多いように見受けられます。

「はい、若い世代の宿泊客が多いと思います。最近、日本にもデザイン性を売りにしたホテルが開業していますが、古い施設をリノベーションしたタイプが増えています。その先駆けが目黒にあるCLASKAというホテルで、若い旅行者に人気です」。

CLASKA
http://www.claska.com/

―いまでもレジデンスの方はいらっしゃるのですか。ゲストの方と一緒に共同キッチンを使ったりするのですね。

「ええ、そうです。開業して2年たちましたが、最初はレジデンスの方の比率も高かったのですが、だんだんゲストが増えてきました。現在では約8割がホテルゲストです」。

―外国客はどんな過ごし方をしているのでしょう。

「アジア客と欧米客ではずいぶん違います。アジア客は連泊といっても、2~3泊がふつう。滞在中の細かいすきのないスケジュールを組んでいて、ショッピングを中心に都内を散策しているようです。ですから、フロントに聞かれる質問も、たいてい『ここに行くにはどうすればいい?』というようなものです。やりたいことは決まっていて、そのための具体的な方法を知りたいのです。
 
一方、欧米客は1~2週間滞在する方が多い。予定もそんなに決まっていなくて、前の晩になって明日富士山に行く、日光に行くなんて言っている。聞かれるのは、『今日ヒマなんだけど、どうすればいい?』というような質問です」。

―なるほど、アジア客と欧米客では行動パターンがずいぶん異なるのですね。

今後、外国客向けに何か新しい取り組みはお考えですか。

「実は、うちのホテルには個室だけでなく、ドミトリー6人部屋があるのですが、先日50代のフランス人男性4人組が1週間滞在されました。欧米客にはそれぞれ自分のスタイルがあり、細かいことは気にしない。それでも、今度ふたつの客室をぶち抜いてスイートルームをつくる予定です。いろんなタイプのゲストがいらっしゃれるようになると思います。

課題に感じているのは、地元の谷根千の面白さをゲストの多くが知らないでいることです。上野に近い、価格帯、デザイン性の観点でうちを選んでくれるのはわかりましたが、せっかくホテルの周辺は面白いエリアなのに、そこを通り過ぎて行ってしまってはつまらない。ですから、今後はホテルを起点とした地元ツアーをやりたいと考えています」。

同社は今年8月、沖縄にホテルエスティネーション那覇を開業する予定です。こちらはホテルゲストのみの施設ですが、地元那覇の人たちも利用できるよう1階にバーを設け、レジとホテルのフロントを一体化しているそうです。 

ホテルエスティネーション那覇
http://hotel-estination.com/

こうした従来のホテル業界の既存概念にとらわれない自在な発想やオペレーションも「100室未満の規模だから可能」といえるのかもしれませんが、大学時代に起業したという若いベンチャー企業家(山崎社長)にとって、今日の訪日外客の増加というトレンドは自らの考える新しいビジネスの可能性を賭けるうえで追い風になっていることがよくわかります。

いまの時代、自分たちが考えるべきことは「多様なインバウンドのニーズのどこにニッチを見つけるか」(荒島支配人)だというのです。こうして新しいスタイルの宿泊施設が生まれていくのだとしたら、いい話だと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-17 14:58 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 06月 12日

6月に入り、政府発の訪日旅行拡大効果を伝える強気の発表続く

6月に入り、訪日外国客増加の統計を背景にした政府発の強気の発表が連日のように続いています。

ニッポン、観光で稼ぐ 消費倍増年4兆円・雇用40万人増 政府新目標(朝日新聞2015年6月6日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11793788.html

昨年の外国人旅行者による国内の消費額が2兆円超えをしたことから、倍増を目指すというものです。

「4兆円は、旅行中の宿泊費や買い物代、食事代などを合計した金額。14年から倍増させる目標だ。目標に据える4兆円は、日本の鉄鋼製品の輸出額(14年)に匹敵する。観光庁の試算では、消費額が2兆円増えることで、地方を中心に40万人の新しい雇用が生まれる。

この目標を実現するため、消費税が免除になる「免税店」を、東京・大阪・名古屋の3大都市圏以外で20年までに今の3倍の2万店に増やす。

売り込む商品も工夫をする。外国人におすすめの商品を認定して、地域ごとの「ブランドマーク」を付ける。

政府は、外国人旅行者を20年に2千万人に増やす目標を立てているが、数年前倒しで達成できるとみている。今後も、今月中旬にブラジル、モンゴルも早期にビザの要件を緩めるなど、外国人旅行者が入国しやすくする方針だ」(一部抜粋)。

さらに興味深い報道は、訪日外国人効果がGDP成長に寄与しているというものです。その要因として、設備投資が増えたことにあり、背景のひとつに「訪日外国人の増加でホテルの改修」があったことに触れています。

GDP、設備投資増え上方修正 年率換算3.9%増に(朝日新聞2015年6月8日)
http://digital.asahi.com/articles/ASH677TH7H67ULFA008.html

「内閣府が8日発表した2015年1~3月期の国内総生産(GDP)の2次速報は、物価の変動をのぞいた実質成長率が、前期(14年10~12月)より1・0%増だった。年率換算では3・9%増。5月20日発表の1次速報では年率2・4%増だったが、企業の設備投資がこのときの想定より大きく伸びたことから、大幅な上方修正となった。プラス成長は2四半期連続。

上方修正の最大の要因は、設備投資が1次速報の前期比0・4%増から、2・7%増へと大きく修正されたことだ。1次速報の後に発表された「法人企業統計」などをもとに推計し直した結果、自動車関連向けの生産能力を上げた電気機械や、物流センターの建設があった卸売業、訪日外国人の増加でホテルの改修があったサービス業などで投資が伸びていた」(一部抜粋)。

最近、ぼくは訪日客の増加で日本のホテルシーンがどう変わってきたかというテーマで取材を続けています。ここ数年、特に都内のホテルの新規開業ラッシュやリノベーションによる新種の宿泊施設が次々に生まれている事情を知っていたので、なるほどと思いました。いまの時代、マンションよりホテル投資が有望だと考えられているのです。

そして政府は6月9日、2015年版観光白書を公開しました。

「平成26年度観光の状況」及び「平成27年度観光施策」(観光白書)について
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000252.html

あるネットメディアは、国内の宿泊旅行の状況についてこう報じています。

観光白書2015、宿泊施設の客室稼働率が過去最高、国内旅行は減少も外国人増加で宿泊者数はプラス (トラベルボイス2015年6月10日)
http://www.travelvoice.jp/20150610-44369

「2014年の国内旅行で日帰り旅行が前年比1.8%減の3億449万人、宿泊旅行が4.0%減の3億771万人に減少。2011年から続いていたプラス推移はマイナスに転じた。この要因として観光白書では、消費増税や物価上昇、天候不順等の影響を上げている。

ただし、延べ宿泊者数は1.4%増の4億7232万人泊と増加。日本人の減少(1.1%減の4億2750万人)を外国人(9.5%増の4480万人)が補っており、2014年の国内旅行市場の成長はインバウンドが牽引したことが明らかとなった。

全国の客室稼働率も58.4%と調査開始以来過去最高を記録。特に東京都は2011年の68.0%から81.5%、大阪府は68.2%から81.4%と8割を超えた。その一方で47都道府県の稼働率の標準偏差は7.7%から10.2%に拡大し、地域差が広がったことを指摘している」(一部抜粋)。
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これらの統計からいえるのは、いまや国内の宿泊者の10人に1人は外国客であること。東京や大阪などの大都市圏での客室稼働率が過去最高になっていることです。地方都市も稼働率は上がっているものの、そのぶん大都市圏との格差があることもわかります。

2015年版観光白書では、他にも外国客による消費の実情について詳しく解説しています。

その内容については、またいつか検討してみようと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-12 11:20 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 06月 06日

上野には新しいタイプの外客人気ホテルが生まれている

雨上がりの爽やかな空気の中、今日は朝から上野方面に行く用事があり、仕事のあと、外国客に人気のホテルを訪ねてみました。

最初に訪ねたのは、台東区池之端にあるホテルグラフィー根津です。このホテルは、2014年海外ホテル予約サイトのエクスペディアを通じて予約件数の多かったホテルが表彰される「エクスペディアアワード2015」でベストパートナー部門を受賞しています(http://www.travelvoice.jp/20150325-39644)。

ホテルグラフィー根津
http://www.hotel-graphy.com
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地下鉄千代田線根津駅を降りると、そこは「谷根千(谷中・根津・千駄木)」と呼ばれる神社仏閣や古い家並みの残るまちが広がります。地図を見ながら、細い路地を抜け、住宅街の一角にそのホテルはありました。
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ロビーはしゃれていて、フロントの隣にたたみの間のショースペースがあります。
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1Fにはカフェレストランがあります。ここでは多くの外国のゲストが朝食をとっていました。
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関係者の話によると、この4階建ての建物はもともと築40年以上の旅館で、それを買い取りリノベーションして2013年3月に開業したものだそうです。屋上からは東京スカイツリーや上野の森も見えます。周囲は静かな住宅街です。
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全64室で、シングルやツイン、ドミトリー(6人部屋)もあります。ゲストの90%以上は外国客で、アジア系と欧米は半々くらい。香港や台湾、韓国人が多いそうですが、最近はタイ人も増えてきているそうです。
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エクスペディアではアジア各国からの訪日ホテル予約が急増している
http://inbound.exblog.jp/24509107/

なにしろ1泊7000円からと都内のビジネスホテルと同じ価格帯のうえ、部屋はとてもおしゃれなので、エクスペディアやブッキングドットコムを利用した海外からの予約が圧倒的に多いそうです。

ところで、このホテルのいちばんの特徴は「ゲスト交流型ホテル」というコンセプトです。実は、このホテルを運営しているのは、ソーシャルアパートメント(シェアハウスの進化系)というスタイルの賃貸住宅を手がけてきた株式会社グローバル・エージェンツという会社で、このホテルにも現在、レジデンス(賃貸契約している住人)がいるんです。

最近は訪日客の増加に伴い、外国客のゲストが大半だそうですが、開業以来日本人レジデンスも住んでいて、外国客と館内で交流しているというのです。

そのための共有スペースがこのキッチン付きの広い食堂とラウンジです。
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ここでは、レジデンスとゲストが一緒にキッチンを利用したり、食事をしたり、ラウンジでくつろいだりするわけです。
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以前、蔵前にある外客に人気のゲストハウス「Nui. Hostel & Bar」を訪ねた話をしましたが、ホテルグラフィー根津は価格帯こそビジネスホテルに近いものの、旅行者と住人が交流できるという意味で、よく似たコンセプトの宿だといえます。

バックパッカーのまち、蔵前で見つけたもの
http://inbound.exblog.jp/24098909/

Nui. Hostel & Bar
http://backpackersjapan.co.jp/nui/

なぜこのようなホテルをつくったかについては、関係者に話を聞いたので、後日お伝えしようと思います。

さて、次に訪ねたのは、ゲストハウスわさびです。高速バスのVIPライナーでおなじみの株式会社平成エンタープライズが運営していることがメディアでも報じられていたので、足を運んでみました。
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日暮里からJR常磐線に乗ってひとつめの三河島駅のホームの上から大きな看板が見えました。

アポなしでフロントを訪ねると、浴衣を着た若い女性スタッフがいて、部屋を見せてくれました。ドミトリー(2800円~)と個室(4800円~)があります。
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このちょっと薄暗い部屋がドミトリーで2段ベッドが並んでいます。カプセルホテルに近い雰囲気です。同じフロアに共同浴場があります。
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お風呂の入り方や注意事項が書かれていますが、タイ語でも書かれていました。フロントの女性に聞くと、圧倒的にアジアからの旅行者が多いとのことです。
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トリップアドバイザーにコメント書いてね、というお願いの貼り紙ですが、やはりネットによる口コミで外国客がやってくることがわかります。
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面白いのは、館内に浴衣を着たマネキンがたくさん並んでいて、どうやらゲストに貸しているそうです。ロビーには下駄も置かれていて、外国客は浴衣に着替えて谷根千方面まで散策するといいます。

ゲストハウスわさび
http://guesthousejp.com/

最後は、上野に戻り、こちらは楽天トラベルアワード2014のインバウンド賞を受賞したその名もズバリ「ノンスモーカーズホテル」です。上野駅から首都高速1号上野線が頭上を走る高架の下の通りを南に徒歩5分ほどの場所にあります。ホテルが軒を並べている地区の並びにあります。

楽天トラベルアワード2014のインバウンド賞
http://travel.rakuten.co.jp/award/2014/metropolitan.html
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ノンスモーカーズホテル
http://www.nonsmokers.jp/

HPのトップにこのホテルのコンセプトが以下のように記されています。

「喫煙してはいけないという禁止ではなく、喫煙者がいないという安心へ」
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こういう明確なコンセプトを打ち出す姿勢を外国客は評価するのだと思います。

上野は成田からのゲートウエイで、初めて日本を訪れる外国客がエクスペディアなどの予約サイトでホテルを探す際、まず最初に選ばれるエリアだといわれています。彼らは土地勘がない以上、そういうものなのです。

外国客が増えることで、上野にはこれまでなかったような新しいタイプのホテルやサービスが生まれていることをあらためて実感しました。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-06 17:44 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 06月 02日

アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定

宿泊特化型ホテルチェーンのアパホテルがここ数年、都心に続々出店しています。

特にぼくの仕事場のある東新宿では、2012年11月開業の「アパホテル東新宿駅前」(122室)を皮切りに、14年7月の「AH新宿御苑前」(411室)、14年12月の「AH東新宿 歌舞伎町」(165室)とすでに3軒が開業していますが、今年9月には同グループの東京旗艦店となる28階建ての「AH新宿 歌舞伎町タワー」(620室)が開業予定です。また先ごろ17年2月に「AH東新宿 歌舞伎町Ⅱ」(129室)の計画も発表されました。東新宿だけで5軒のグループホテルが営業することになるわけです。

同グループが攻勢をかけているのは、新宿だけではありません。以下の「アパグループ 東京都心ホテルMAP(2015年5月16日現在)」によると、すでに都心に30軒のホテルが営業中で、直近では今月24日の「AH浅草橋駅北」(161室)開業をはじめ、東京オリンピック開催の2020年までに14軒の開業が予定されているといいます。
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このMAPをみると、新宿、東京・銀座、上野といった東京のホテル地区に集中的に出店すると同時に、外国客に人気の観光地に近い東部地区により多く展開されていることがわかります。

こうした出店攻勢は、2010年に同グループが発表した中期5か年計画「SUMMIT 5-Ⅱ(第二次頂上戦略)」の中で描かれていたものです。

「SUMMIT 5-Ⅱ(第二次頂上戦略)」
http://apa.co.jp/apa_cms/?p=1152

同計画では、以下のような目標が設定されています。

●東京23区内「アパホテル」客室数10,446室(建築・設計・計画中)。
●日本最大2,400室規模アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉計画。
●マンション「Premiere」シリーズ。東京や大阪の都心部では「CONOE」
●訪日外国人の受入強化として館内サインやホームページ等の多言語化。

●ホテル部門数値目標
①客室数10万室(自社48000室、FC24000室、パートナー28000室)
②2020年度ホテル部門売上高1,200億円
③アパカード会員1,500万人
④訪日外国人の集客強化(2020年年間宿泊者数250万人)

これをみると、アパグループが驚異的ともいうべきスピードで都心に出店攻勢をかける理由のひとつに、急増する訪日外国人マーケットがあることがわかります。またその受け入れ態勢も進めていることがうかがえます。

観光庁の宿泊旅行統計(2014)によると、全国の宿泊者(延べ)に占める外国人は前年比33.8%増の4482万人で、9.5%になるそうです。

宿泊旅行統計(2014)
http://www.mlit.go.jp/common/001084394.pdf

つまり、日本国内のホテルを利用する10人に1人は外国人という時代になっているのです。1990年代初頭のバブル崩壊以降、右肩下がりで減少を続けてきたホテル宿泊数を外国人の伸びがカバーしていることがわかります。特に、東京や大阪などの大都市圏のホテル利用が圧倒的に伸びていて、春や秋の旅行シーズンには客室不足が叫ばれるほどです。

こうした時代の流れを先読みした出店攻勢が見事に奏功しているアパグループですが、代表の元谷外志氏は独自の成長戦略についてあるネットメディアで次のように語っています(以下は簡約したもの)。

アパグループ 元谷外志雄代表に長期成長戦略を聞く
http://sogyotecho.jp/motoya-interview/

●アパグループのホテルは高級感、利便性、使い勝手の良い設備とサービスを兼ね備えた「新都市型ホテル」と呼ぶべきもの。

●企業には以下の「三段階成長論」がある。

第1段階:信用累積型経営 信用金庫で全国初の長期住宅ローン制度「頭金10万円で家が建つ」。注文住宅→建売住宅→マンション→ホテル

第2段階:資産拡大

第3段階:自己増殖 2010年から始めた「アパの頂上戦略」(5年間で東京都心部においてホテル所有数No.1・マンション供給数No.1という目標を掲げ、それに向かって事業を進めているアクションプラン)。4年半で東京の一等地に56件の物件を買い、ホテルとマンションに。減価償却で節税し、償却費と税引き後の利益を集めて次のホテルを作るので、借金があまり増えず、収益力の高いホテルを着実に建てられる。

従来のシティホテルに付きものだった料飲部門をそぎ落とし、客室の付加価値を追求する「宿泊特化」業態は、コンパクトなスペースながら満足度を高める客室設計とIT化を進めることが特徴です。アパグループはまさにこの特徴を活かして出店を伸ばしてきたといえますが、実はこれは日本国内の利用者はもちろんのこと、外国客のニーズに沿ったものだったといえます。さらに、前述のMAPからも立地の見極めが絶妙だったことは明らかです。

実は、先日あるビジネス誌の取材で元谷外志会長にインタビューする機会がありました。そこでは相次ぐ新宿地区への出店の狙いや外国客の集客に関する独自の取り組み、実際の宿泊客の国籍や利用状況などについてうかがっています。その話はあらためて別の機会にさせてもらいます。
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2014年7月の開業以来、連日満室状態が続くというアパホテル新宿御苑前店
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by sanyo-kansatu | 2015-06-02 08:48 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 05月 30日

サラリーマンからツーリストへ(新宿区役所前カプセルホテルの客層が変わった理由)

新宿区役所前カプセルホテルに泊まった翌日、同ホテル経営企画室室長の小川周二さんとフロントの川本レダさんにお話をうかがいました。

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた
http://inbound.exblog.jp/24526002/

以下、そのやり取りです(敬称略)。

―昨日は、実際に泊まってみていろんな発見がありましたが、本当に外国客は多いですね。いつ頃からこんなに多く利用するようになったのですか。

小川「やはり増えたのは2年前でしょうね」
川本「でも、外国の方がいらしたのはもっと前からです」

―いつ頃ですか。

川本「震災の前からです。震災後は3か月ほど来ませんでしたが、すぐに回復しました」

―いまは毎日100人近い外国客が泊まっているようですね。

小川「そうですね。曜日にもよります。平日のほうが外国客の比率は高いと思います」

―どこの国の人が多いかなど、国籍に傾向はありますか。

小川「外国客はアジアと欧米半々です。アジアはタイがいちばん多く、マレーシア、シンガポール、最近はインドネシアの方が増えています。欧米は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンなどいろいろです」

―実は、共同スペースでマレーシアから来た7人組の若いグループと話しました。訪日初日からカプセルホテルに泊まっているそうです。

小川「その話を聞いて調べたのですが、あの方たちは、昨年の9月頃予約をされています」

―そんなに前からですか。リードタイム(予約から旅行実施までの期間)が長いですね。つまり、半年以上前から日本旅行を計画していた。でも、初日からカプセルホテル。なるべくお金をかけないで日本を体験したいというアジアの旅行者が増えているのですね。

ところで、外国客はどういう経路で予約して来るのですか。

川本「ExpediaやAgoda、Booking.comなどの海外の予約サイトを通してです。他にもHostelworldやJTBのJapanicanの利用もあります。これらのサイトには『Capsule Hotel』という独立したカテゴリーがあり、リーズナブルな宿を探したい方は簡単に見つけることができます。ありがたいのは、宿泊されたお客さまがご自身のブログやSNSで広めてくれることです」

―みなさん、カプセルホテルについてどんなことを書いているのでしょうか。

小川「スペースシップみたいだとか。あとは欧米の方は身体が大きいので、足がはみ出しちゃうけどOKとか。良かったこと、困ったことなど、いろいろ書き込まれています」

カプセルホテルのどこが外国客に人気なのだろうか?
http://inbound.exblog.jp/24532753/

―そういえば、ロッカールームの脇にポラロイドで撮った外国客の写真がたくさん貼ってありましたね。

小川「あれは4年ほど前、当時の支配人が外国客へのサービスとしてポラロイドで撮った写真を記念に渡していたのです。いまはやっていませんが」
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―外国客の対応のためにどんなことをやっていらっしゃいますか。

小川「フロントには英語を話せるスタッフを常駐させています。最近はアジアのお客さまも多いので、中国語や韓国語、タイ語、フィリピン語を話せるスタッフもいます。館内の英語表示も徹底しています」

―やはり外国語対応は大事なのですね。

小川「実際に予約をしてフロントに来られて、思っていたのとはイメージが違うと感じたのかキャンセルされる外国の方もたまにいます。そんなとき、外国語できちんと対応できれば、やっぱり泊まろうかという気になってもらえるかもしれません。またうちは食べ物の持ち込みOK」

―共同ルームで先ほどのマレーシア人たちはコンビニで買った焼き鳥を食べていました。風呂上りに何か軽くお腹に入れたい。そう思って買い込んでくるのでしょうね。そういうゆるさも、こちらが数あるカプセルホテルの中で外国客の予約件数がナンバーワンとなった理由なのでしょう。

「もうひとつ大きいのは、2年前(2013年7月)に女性フロアをオープンしたことです。それ以後、客層が大きく変わりました。以前は男性客のみでしたから、サラリーマンが大半。そこに女性客や外国客が加わることで、旅行者の比率が増えたからです。一般に女性の方はウォークインで利用されることはありません。地方から旅行で来た方や東京で就活しているという大学生もいます。女性客も外国客も事前に予約されるお客さまだという点で共通しています」
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―確かに、共同ロビーで見かけたのは若い方が多かったです。カプセルホテルでよく見かける酔客という感じの人はいませんでした。実際、外国の女性がたくさんいるような場所では、酔っ払いおじさんも気を抜いていられませんものね。もはやここは、外国人に限らず、旅行者のための宿泊施設になっているのですね。

ところで、もうひとつお聞きしたかったのは、一般に外国の個人客はひとつのホテルに連泊する傾向が高いといわれますが、こちらに連泊される方はいるのでしょうか。

小川「いますよ。2~3日は当たり前。長い人は2週間の連泊もよくあります。実は、ここ数か月連泊している外国人もいます。オランダの方です」

―数か月ですか。もうアパート代わりですね。よほどここが気に入ったのでしょうか。

もっとも、外国客が増えると、これまでになかった問題なども起きたりするのではないでしょうか。

川本「そうですね。カプセルの中でもwi-fiフリーなので、スカイプ電話をかけたり、グループでおしゃべりしたり、他のお客さまに迷惑なことがあります。あとみなさん荷物が大きいので、深夜にその整理をごそごそ始めたり」
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―彼らは海外旅行をしているのですから、それもまた楽しみでしょう。でも、それでは一般の日本のお客さまはたまらない。だから、『Please be quiet!』とあちこちに貼り紙してあるのですね。

小川「あとはタトゥーの方はチェックイン時にお断りしています。これを外国の方に説明するのが難しいですね。刺青のもつ社会的な意味が日本と外国では違うからです。外国の方にとってはおしゃれとしてタトゥーをしてらっしゃるのでしょうが、日本のお客さまにはアレルギーのようなものもあり、これは日本政府観光局でも、どう外国客に説明していくべきか検討していると聞きます」

―今後についてはどうお考えでしょうか。

小川「女性フロアを増やしたいと考えています。現在はワンフロアしかないのですが、おかげさまで予約がいっぱいだからです。またこことは別に女性専門のカプセルホテルもつくりたいですね。スタッフは全員女性です」

小川室長によると、同カプセルホテルの開業は1983年。80年代にこの業界は一気に成長したものの、バブル崩壊以降、斜陽業界と呼ばれてきたといいます。

「多少景気が良くなってきたといっても、これからは日本客相手だけではやっていけません。何より平日の稼働率を稼いでくれる外国客の存在は貴重です。2年前の女性フロアの新設も相乗効果となり、予想以上に外国のお客さまに来てもらえるようになりました。

おかげさまで現在、稼働率は8~9割と高推移していますが、課題は海外サイトによる予約が増えたことで、ウォークインが減り、割安な料金の利用が多くなっていることです。今後の課題はいかに客単価を上げるかです」

海外からのネット予約が増えることで稼働率は上がったものの、収益を上げるためには、客単価を上げる必要があるという状況は、今日のホテル業界に共通しています。国内外の予約サイトや自社サイトなど、売値の異なる複数のチャネルを通じた予約の配分をいかに調整するかは、予約担当者のレベニューマネジメントの腕にかかっています。

「見極めのポイントとなるのは、イベントと天候でしょうか。たとえば、東京マラソンや最近では嵐フェス、東京ドームでの東方神起のコンサート、年末のコミケの当日などは、数か月前から予約がいっぱいになります。また台風が近づいてくると、電車が止まることを予想して予約がどっと入ってくることもあります」

今後この傾向はますます強まり、ホテル経営におけるレベニューマネジメント担当者の責任が大きくなることでしょう。

サラリーマンから国内外の(女性も含めた)ツーリストへ。新宿区役所前カプセルホテルの人気の理由は、こうした客層の変化という市場のニーズに柔軟に対応し、ビジネスモデルの組み替えを無理なく行なってきたことにあるようです。
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by sanyo-kansatu | 2015-05-30 10:17 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 30日

カプセルホテルのどこが外国客に人気なのだろうか?

先日、新宿のカプセルホテルに泊まった話を書きましたが、なぜこれほど外国客に人気なのでしょうか。しかも、新宿に4つあるといわれるカプセルホテル(サウナ)の中で、新宿区役所前に集まってくるのか。

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた
http://inbound.exblog.jp/24526002/

ネット上では、外国客のカプセルホテルに関する声がずいぶん拾えます。

【海外の反応】外国人:日本のカプセルホテルに泊まってみたよ!【雑学】
http://matome.naver.jp/odai/2141014320593335701

カプセルホテルが外国人観光客にウケてるらしい
https://www.youtube.com/watch?v=KU9ks47FgGU

ここには、たとえば、「囚人の部屋」「ハチの巣の中の幼虫になった気分」「映画『エイリアン』の宇宙船の寝床みたい」などなど、外国人の素直な印象が書き込まれています。実際に泊まった人がカプセルに収まった自分の姿を動画で撮っていて、笑えます。自分が初めてカプセルホテルに泊まったときのことを思い出します。
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このネット番組では、新宿区役所前カプセルホテルを取材して、利用法や楽しみ方を詳しく紹介しています。カプセルホテルは1970年代に建築家の黒川紀章が創案したものだという解説も加えられています。

Tokyo Capsule Hotel Experience ★ WAO✦RYU! TV ONLY in JAPAN #26 東京カプセルホテル体験
https://www.youtube.com/watch?v=S0-oNv51j9o

こうしておおむね好評を博していると思われるカプセルホテルですが、たまたま手元にある『lonely planet Tokyo 2004』を見てみると、2004年当時、その評判は必ずしもよろしくないようです。こんな風に書かれています。 

Capsule Hotels (p210)
More private, claustrophobic and coffinsized, the capsule hotel comes with bed, reading light, TV and alarm clock. Despite their size, prices still range from ¥3500 to ¥5000, depending on the area and the facilities (also cash only). Capsule hotels are rarely frequented by foreign guests, most of their business comes from drunken office workers who have missed the last train home. Many have a well-appointed bath area similar to a good local sento(public bath).

「よりプライベートで、閉所恐怖症的で、納棺サイズの空間。カプセルホテルはベッドと室内灯、テレビ、目覚時計からなる。そんなサイズでも、立地と設備のため、料金は3500円から5000円(しかもキャッシュオンリー)。カプセルホテルには外国客は頻繁に現れない。ほとんどの客は、終電に乗り遅れた飲んだくれのオフィスワーカーだ。そこには街場の銭湯(公衆浴場)と同様の設備が整った風呂がある」。

ずいぶんな言いようですね。ただし、この世界で最も普及しているといわれるガイドブックのライターたちは、もともとこういう恣意的な書き方をするのが特徴で、あくまでも欧米人から見た視点が貫かれているところが人気の理由でもありますから、これはこれで逆に興味を持つ読者もいるかもしれません。

なにしろ紹介される宿泊施設には限りがあるのに、新宿区役所前カプセルホテルをわざわざ載せているのですから。新宿のカプセルホテルとして、もうひとつグリーンプラザも載っています。新宿区役所前カプセルホテルに関する記述は以下のようなものです。

SHINJUKU KUYAKUSHO-MAE CAPSULE HOTEL(p178)
Yet another cheap option in Kabukicho. Not quite as nice as the Green Plaza, this spot will nonetheless sate your curiosity about the ergonomic challenge of spending the night in a space where you may not be able to sit up. Only men are admitted.

「グリーンプラザ(歌舞伎町にある別のサウナ)ほど良いとはいえないが、歌舞伎町にある別の安いオプション。このスポットは、にもかかわらず、このスペースで夜を過ごすという人間工学的な挑戦についてのあなたの好奇心を満足させるだろう。男性のみ利用可」。

これは実際に泊まったことのある人でなければよくわからない表現だろうと思います。

やはり、カプセルホテルに外国客が訪れるようになった背景として、動画の力が大きいと思われます。YOU TUBEやSNSで、この奇妙な宿泊施設が拡散されたことで、カプセルホテルに対する外国人の理解が、賛否両論を含めて、広がっていったのでしょう。

実際に泊まってみて面白いと思った人もいれば、体験してみたものの、もういいやと思う人も、当然いるでしょう。日本人だってそうなんですから。

次回は、新宿区役所前カプセルホテルの関係者にお聞きした話を紹介しようと思います。いつ頃から外国客が増えて来たのか。最近はどこの国の人が多いのかなど、いろいろ聞いています。

時代はサラリーマンからツーリストへ(新宿区役所前カプセルホテルの顧客が変わった理由)
http://inbound.exblog.jp/24532781/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-30 10:06 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 28日

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた

2014年、エクスペディア経由で最も予約件数の多かった「ホステル・ゲストハウス・旅館」部門の宿泊施設が、新宿区役所前カプセルホテルだったそうです。

カプセルホテルが外国客に人気という話は聞いていましたが、実際の予約件数がトップとなると、これはどういうことなのか知りたくなります。

そこで、今週月曜の夜、泊まってみました。
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カプセルホテルに泊まるだなんて何年ぶりのことだろう…。そう思いながら、夜10時過ぎ同ホテルを訪ねると、いましたいました…3階のフロント周辺は外国客の皆さんばかりです。一般にカプセルホテルは、終電を乗り過ごしたサラリーマンの巣窟というイメージですが、ずいぶん印象が違うのです。フロントでは英語が飛び交っています。
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チェックインをすませると、まずはロッカーに荷物を収めてお風呂に入るのですが、スーツケースがこんなに並んで押し込まれています。外国客の荷物は大きくてロッカーに収まりきらないからです。

実はこの日、外国客比率は39%でした(87名 ※先週末の段階の数字なので、実際はもっといたかもしれません)。

このスーツケースの山を見ると、確かに大勢の外国客がいるのだなと実感します。

共同浴場は、お湯風呂とジャグジー、水風呂、サウナといったごく普通の施設でしたが、10人近い浴客のうち半分は欧米系ツーリストの皆さんです。みんな神妙な面持ちでお湯に浸かっています。よく外国客は裸で共同風呂に入るのが恥かしくて苦手だとか、逆に日本っぽくて珍しいから大人気、などと正反対のことが言われますが(それは両方正しい。つまり、どちらもいるということ)、ここに泊まっている皆さんはわざわざカプセルホテルを選んで宿泊している人たちなので、問題はないようです。
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風呂を出ると、4階の共同スペースでひと休み。ここには大画面テレビにソファ、軽食やバー、自動販売機、ランドリーなどが置かれています。Wi-fiも飛んでいるので、PCやスマホに夢中になっている外国人も多いです。

ここは男女共用なので、外国の女性客の姿も普通に見られます。そう、このカプセルホテルでは2年前から女性フロアを新設したところ、大盛況だそうです。

ちなみに料金はウォークイン(飛び込み)だと泊まりは4500円ですが、ネットで事前予約したので、1泊2800円でした。もっと早く予約すれば最安値は2200円です。

湯上りに生ビールを頼んでぼんやりしていたら、隣に男女7人組の若いアジア系のグループが座ってきました。欧米の人ばかりかと思っていたら、アジアの人もいるんだなあと思って見ていたら、女性たちはコンビニで買ってきたざるそばや焼き鳥を食べ始めます。そうか、ここは持ち込みOKなんだ。

このグループは男性4名女性3名なのですが、女性は全員華人のよう。話すことばは中国語(普通話)ではないものの、南方方言のようでした。アジアの人というのは日本人に比べ間の取り方を気にしないところがあるので、席を開けないで平気で隣に座ってくるものです。そこで、隣の女性にためしに中国語で話しかけみました。「どっから来たの?」

「マレーシア」(あっ、中国語通じた)
「そう、じゃあエアアジアで来たの?」(短絡的ですが、マレーシア人=エアアジアで来るというイメージがあったので)
「そうよ。今日着いたの」
「えっ、じゃあ初日からカプセルホテル?」
「……」

「初日から」うんぬんは余計なお世話でしたね。でも、そういう時代なんですね。KLから来た人たちで、エアアジアで片道5000円、東京に着いたらカプセルホテル1泊2200円。なんて安上がりなのでしょう。

「どのくらい日本にいるの?」
「10日間よ」
「東京だけ?」
「うん、まだ考えてないけど、たぶん箱根や日光にも行くつもり」
「そうなんだ。ところで、みんなはお友達なの? それともファミリー?」
「ファミリーよ」
「あっそう」

一般に欧米ツーリストはひとりかカップルか、子供連れの家族か、少人数で旅行する人がほとんどですが、アジアのツーリストは親戚家族で旅行するのが好きなようです。誰かひとり一度くらい日本に来たことのあるリーダーがいて、みんな彼におまかせで付いてきちゃうのでしょう。それがいちばん安心なのでしょう。

このグループも、兄弟とそのカップルの組み合わせという意味で「ファミリー」のようです。面白いのは、女性は華人だけど、男性は全員マレー系。もしかしたら、女性たちは姉妹なのかもしれません。ですから、女同士で話すときは中国南方方言(あとで聞くと、広東語と言っていましたが、香港人や広東人に比べ相当もったりした話しぶりです。マレーシアには福建華僑が多いと言われているので、福建語なまりかもしれません)を話し、男同士あるいはカップルで話すときは共通語のマレー語を使っています。そこにぼくが割り込むと、男性には英語、女性にはなんとか普通話は通じたので中国語とことばが入り乱れますが、多民族国家のマレーシアというのはそれが普通なのでしょう。

彼らマレーシア国籍の人たちは2013年夏の日本政府による観光ビザの撤廃で、簡単に日本に来られるようになりました。ノービザですから、休みができたらエアアジアの安チケットでふらっと東京に来られるのです。日本人は兄弟とそのカップルで海外旅行なんてあんまりやらない気がしますが、血縁の強いアジアの人らしい旅行スタイルだとあらためて思いました。

それにしても、ここには酔客が見当たりません。およそこれまで経験したカプセルホテルとは雰囲気が違います。

1時近くになったので「よい旅を!」と言って、7階にあるカプセルルームに向かいました。

エレベータを降りると、まあごく普通のカプセルホテルです。
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ちょっとよそとは違うのは、「Please be quiet」のような英語表示が目につくことでしょうか。
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それから、ここではカプセルの中でもWi-fiが使えて便利でした。

実をいうと、久しぶりのカプセルホテルであまりよく寝つけませんでした。それでも朝7時になったので、眠い目をこすり、お風呂に入ることにしました。けっこう外国の人も朝風呂しています。

風呂上りに共同ルームに行くと、ここにも外国客がたくさんたむろしていました。ぼくは200円のカプチーノを自販機で買い、しばらくぼんやりしていました。
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昨晩は見かけなかった日本の女の子がけっこういます。彼女たちはぼくのようにだらしない館内着姿ではなく、着替えを済ませ、サンドイッチを頬張りながらPCに向かっていて、レジャー客っぽさはありません。

しばらくすると、昨日のマレー人の男性にも会いました。日本人もそうだし、外国客も若い人が多いように思いました。ここは酔客とは無縁のカプセルホテルなんですね。

そろそろチェックアウトしようかとロッカーに戻って着替えようとしたら、壁に外国客のポラロイド写真が貼られていました。みんな自分の寝起きしたカプセルの中でこちらを向いて笑顔を振りまいています。笑えますね。でも楽しそうです。
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その脇には、海外で報じられたこのカプセルホテルの英文記事が紹介されていました。いろいろ細かい施設の説明や利用の仕方、周辺の歌舞伎町の紹介など、これを見て外国客はやって来るのでしょう。
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着替えを済ませ、チェックアウトしようとフロントに向かうと、大きなザックを背負ったバックパッカーの若者が出て行こうとしていました。

その姿を見たとき、急に懐かしさがこみあげてきました。

そういえば、自分も学生の頃は同じようなことをしていたな。当時日本から中国に行く最も安い交通手段だった定期航路「鑑真号」で大阪から上海に向かう前日、ぼくは彼と同じような大きなザックを背負って、梅田のカプセルホテルに泊まったことを思い出しました。あれから何年たったんだっけ…。

当時は、朝起きてから1日中歩き通しでも、夜は寝床さえあれば、ちっともかまわなかった。とにかく好奇心の赴くまま外国のまちを歩いてばかりいました。それが面白くてたまらなかったのです。

若い旅行者にとって、カプセルホテルはまったく問題ないはずです。海外の安宿の2段ベッドが並ぶタコ部屋みたいなドミトリーに比べれば、ここは超快適、機能的、衛生的な巨大ドミトリー空間のようなものですから。閉所恐怖症の人だけはNGかもしれませんけれど。
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久しぶりにカプセルホテルに泊まって、外国のツーリストと話をして、つかの間の旅人気分を味わえたのでした。

新宿区役所前カプセルホテル http://capsuleinn.com/shinjuku/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-28 12:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 28日

東新宿のビジネスホテルにはロシアや東欧の旅行者が多いらしい

2年前、本ブログで東新宿のビジネスホテルに多くの外国客が訪れていることを紹介したことがあります。

東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります(2013年7月2日)
http://inbound.exblog.jp/20672715/
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そのとき、東新宿のビジネスホテルをいくつか訪ね、事情を聞いてまわりました。それ以降、この地区には外国客をあてこんだ新しいホテルが続々と誕生しています。最近はアパホテルなど、全国規模のチェーン系が増えています。

訪日客増加で客室も足りない!? 多様化する宿泊ニーズに対応した新サービスや業態転換はどこまで進むか
http://inbound.exblog.jp/24291533/

その後も東新宿には外国客の姿がますます増えていて、こうしたビジネスホテルは花園神社の明治通りをはさんだ反対側(東方面)に延びる医大通り周辺に集中しています。そこで今回、東新宿を代表する外国人宿、東京ビジネスホテルの橋本太乙代表取締役に話を聞きました。以下、そのやり取りです。

―いつ頃から外国客が来るようになったのですか。

「1995、6年頃からでしょうか。当時はフランスやドイツ、デンマークなど、ヨーロッパの人が多かったです」。

―ずいぶん早くからですね。その人たちはどうしてこちらを知ったのでしょうか。

「当時、東京のエコノミータイプのホテルを紹介した英語のパンフレットを政府観光局がつくっていたようで、うちを載せてくれていたんです。成田空港で置いてあるものです。広告費を出したわけじゃないんですけど。うちは都心にあって安かったからでしょう」

―本格的に外国客を誘致するようになったのは?

「2005年からです。その年、中国出身の20代の女性が支配人になりました。彼女が精力的に外国客の誘致を始めたのです。とはいえ、当時はHPもなく、実際にやったのは、お泊りになった外国の宿泊客全員に英文でお礼状を出すことからでした。もちろん、ネットでやり取りしている方にはメールを出しました。それから一気に増えました」。

―お礼状ですか。しかも指揮官は中国人。他にはどんなことをしましたか?

「彼女は2011年まで支配人で、いまは帰国していますが、とても優秀な人材でした。他には、まず館内を英語表示にしたこと。それからスタッフは英語を話せる人にした。これは徹底して取り組んだことです」。

―現在、外国客の宿泊比率はどれくらいですか。

「全体の2割ほどです。客室は178室。いろんなタイプの部屋があります」。

―国籍は?

「今日泊まっている外国客の国籍は、リトアニアやキルギスタン、フランスなどです。ロシア人も多いですよ。最近は東欧からの旅行者が多いです。うちにはロシア語を話すスタッフがひとりしかいないのですが、たいていグループのリーダーが英語を話すので、なんとかなっています」。

―ロシア語を話すスタッフがいるんですか?

「はい、でも基本は英語です。

東欧の方が来るようになったのは、4、5年前から。10年くらい前までは、フランスやドイツ、スウェーデンからが多かった。アフリカから来る人もいました。パスポートを見ても初めて見る国の名前ということもよくありました。

アメリカやオーストラリアからももちろん来ます。でも、東欧の方は10人以上のグループで10泊以上するのが特徴です。ベトナムや台湾などアジア系もいるけれど、彼らはたいてい3、4泊と滞在が短いので目立たない。

アメリカの方でうちに来るのは軍関係が多い。横須賀港に着いて六本木に遊びに来る人たちですが、最近は少ないです」。

―なるほど。医大通りを歩いていると、さまざまな旅人の姿を見かけますが、これほど多彩な国籍の人たちが宿泊していたからなのですね。そして、このホテルは彼らに見合った価格帯だということもいえるのでしょうね。

「1990年代は、フランスやスイスなどのバックパッカーが多かった。うちのように住宅街の中にあっても、安いとわかると地図を見ながら訪ね歩いてくるようなタイプの旅行者たちでした」。

―いまは浅草方面にそういう層が泊まるバックパッカー宿がたくさんできましたからね。

「そう、当時はなかったから。でもね、その時代から宿泊してくれるのは面白い方が多いですよ。あるスイス人の男性は日本に来るとき、毎回うちに泊まってくれるのですが、最初はひとりで来て、2年後彼女と来て、その後お母さんと来て、最近は子供連れで来ました。なんかうれしいですよね。またある台湾の貿易商の方は、最初は独身で、何度も来るうちに、だんだんお金持ちになってくるのが見ていてわかるんです。うちの部屋は狭いし、『あなたは本当はセンチュリーハイアットとかに泊まれるはずなのに、どうしてうちに来るの?』と聞いたら、『ぼくはここの精神を忘れない。一生懸命がんばっていた自分の原点の場所だから。ここが好きなんです』と言うんです」。

―客層が見えてくるお話です。外国客はずいぶん連泊するようですね。

「基本連泊が多いです。アジア方面とかいろんな国の方がいますから、平均すると3~4日になりますが、2週間以上のグループが実は多いです。このホテルを拠点に京都や日光に行く人も多い。一泊4100円から。1か月いても12万円。電気ガス使い放題ですから。

荷物を置いたまま、日光でも箱根でも行く。いまキルギス人のグループは京都に行っています。一つの部屋のみ残して、全員の荷物を置いている。昨日の夜、急に決まって出かけるというんです。予約はキャンセルですが、京都でも宿泊代がかかるでしょうからと、キャンセル料は取りません」。

―外国客を受け入れるために必要なことは?

「まずは外国語表示ですが、実はそれだけ。あとは話をじっくり聞いてあげること。たとえその人がスペイン人で、英語がまったく話せないとしても、彼はなんとか自分の意思を伝えようとしてくる。明日日光に行きたい、浅草に行きたい。どう行けばいいかという場合もそうですし、部屋のバスタオルがほしいという場合も、ホテルスタッフに伝わるまで何度も手段を変えて伝えようとする。伝わらないとわかると、最後には絵を描いてくる。これがほしいと。なんだ、バスタオルか。それを手渡すと笑っている。

地名などの案内はすべてローマ字で書いて渡します。彼らはそのメモ書きを持って、どこにでも行き、その場でいろんな日本人に見せている。現地でいろんな人の世話になっているのだなあと思いますが、朝出て行って、夜には帰ってくる。

あるとき、台湾人のグループが日帰りで高野山に行くと言い出しました。えっ、そんなことできるの? 日本人はふつう思いつかないスケジュールです。でも、彼ら外国人はJRレイルパスを持っているので、新幹線も安く利用できる。だから、日帰りで行ってこようと考える。実際、彼らは朝6時の新幹線で新大阪に行ったそうです。そこから御堂筋線で難波まで行って、南海電車で高野山へ。おそらく山に登った時間は短かったのでしょうが、深夜になって戻ってきた。 

『どうでした? 行けた?』と聞くと、『行けた。でも疲れた』と言うんです。こちらも、ホントに日帰りできるんだとびっくりしました。これも土地勘がないからできるんでしょうね。でも、彼らはすごく喜んでいましたよ」。

―なるほど。そういう旅をしているんですね。でも、楽しそうですね。

「でも、それが旅行ですから」。

―確かに。一般にシティホテルでは、旅行カウンターがあって、新幹線やフライト、ホテルの手配、オプショナルツアーなど申し込んでくれます。こちらでも旅行の手配をしてあげるのですか。

「京都のホテルでもなんでも頼まれれば取ってあげます。どこそこの行き方を聞かれても、その場でインターネットで調べて教えてあげる。別にお金を取りませんが、できることは何でもするのが仕事だと思っています。

ただ、ヨーロッパの人はすべて予約済みで旅行するのでは面白くない。自分だけのアドベンチャーがしたい。そういう人が多いです。少々うまくいかないことがあっても、それが楽しいという。

パスポートや携帯を紛失した場合でも、日本人は駅員から周りの乗客たちまで一生懸命助けてくれる。日本は車両に置き忘れた携帯が戻ってくる国です。実際に、駅員さんからホテルに電話がかかってきますから。彼らはそういう日本人の姿に感動するみたいです」。

―そのときは、駅ではなくフロントに紛失したことを言ってきたのですね。

「はい、それで駅の紛失係に電話を入れました」。

―大変そうですが、面白そうですね。

「実際、いろんなことが起きます。先日もお酒を飲みすぎて、警察官に補導されてきたお客さんがいました。ろれつが回らず、とにかく休ませて、翌日に旅行会社の人と通訳ガイドが来てもらいました。こんなことは初めてでした」。

―それはご苦労様でした。新宿は飲む場所に困りませんものね。彼らは旅空の下にいるのですから、そういう羽目を外すこともあるのは無理もないと思います。そんな人ばかりだと困るでしょうけれど。
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―ところで、ロビーでPCを見ながら旅行計画を立てている外国客がいますね。館内はWi-fiフリーなのですか。

「Wi-fiフリーはロビーだけで、客室の場合はパスワードを渡しています。国によってはフリーズさせられ、全員が使えなくなることがあるからです」。
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―外国客の方の予約はどういう経路が多いのですか。

「Booking.comやexpediaなどの海外ホテル予約サイト経由です。ただこちら経由で予約した方がリピーターになることは少ないようです。というのは、予約サイトを使うと、手数料が上乗せされるので割高になるからです。実際のリピーターは、自社サイトの英語ページで予約すれば安いことを知っています。

実は、うちは6割以上がリピーターなのです。これは国内海外含めてですが、よく不思議がられます。でも、理由は簡単。長く泊まると割安になるからです。要は、そういう連泊するタイプの旅行者が多いということです。

もし1泊しか利用しないのなら、少し高くても駅に近いなど便利な場所がいい。でも10泊するなら、安い方がいいし、少々駅から遠くても、歩いているうちにおいしいレストランを見つけるなど、楽しみもある。うちには、学生寮みたいに共同トイレ・浴場という安いカテゴリーの部屋もある。でも、これはこれでいいんです」。

―海外予約サイトの登録以外に、何か特別なPRは?

「昔から何もしてないです。

基本的にわかっていることは、いま泊まっているお客さんにちゃんとすること。それが最大のPRにつながると思う。うちがリピーターが多い理由は、お客さんが友だちを呼んでくれているということです。

知り合いに『今度東京に行くんだけど、どこに泊まればいい?』と聞かれたとき、自分の知ってるところを誰でも紹介するものでしょう。これはヨーロッパ人でも誰でも同じなんだと思う。うちに来られるのは、そういうつながりで来た方だと思うんです。

泊まってみて問題なければ、いやなことがなければ、友だちを紹介してくれる。その人がちゃんとした人なら、その友だちも決して問題を起こさない。

手を広げる必要はないんです。たくさん来たところで『満室です』とお断りするようなことになるなら、意味がないですから」。 

―今後についてはどうお考えですか?

「実はうちには外国客とは別に、長逗留している日本の年配の方がいます。地方在住の方で、毎月東京に出てきて1週間10日と滞在される。もと新宿に住んでいた方が伊豆や八王子の老人ホームに移り住んだものの、友達は訪ねてくれない。そこで東京に出てきて、友だちに会ったり、コンサートに行ったりして過ごしていらっしゃる。出張客も減っているいま、将来は元気な老人を相手にする宿泊施設になるのではと思っています。

ホテルは本来、人を集める場所です。ささやかですが、そのために美術のイベントや英語のイベントをやっています。『ひらがなタイムズ』という在日外国人向けの雑誌が主催する英語の交流パーティが毎週金曜の夜にあります。宿泊客は無料なので、参加する人もいます」。

―いろんなことをやってらっしゃるんですね。

「ええ、なんでもやります。実はテレビドラマの撮影も多いんです。ネットで『ロケ地 東京ビジネスホテル』と検索すると、たくさん出てきますよ。

できることは何でもしてしまう。外国のお客さんに対するのと一緒で、私は来るもの拒まず。何でも受け入れるタイプなんです」。 

ちょうどこの話をしていたとき、埼玉が震源地の地震発生。館内もずいぶん揺れました。ロビーにいたフランス人家族が慌ててホテルを飛び出そうとしたので、橋本さんはスタッフを呼びつけ、彼らに「中にいるほうが安全ですよ」と伝えさせました。

―びっくりしたでしょうね。

「地震のない国の人たちからすると、大地が揺れるというのは本当に恐怖だそうですよ」。

そして、橋本さんはそばにいた外国人スタッフに「部屋にいる人に大丈夫と言ってあげて」と伝えました。そのスタッフはベルギー人だそうです。このホテルには、中国系、韓国系など、アルバイトも含めて多くの多国籍スタッフがいます。

東京ビジネスホテルの開業は昭和48(1973)年。もともと地方からの出張客のためのビジネスホテルだったといいます。新宿のビジネスホテル開業のはしりで、当時は京王プラザができたばかり、新宿プリンスホテルはまだなかった時代です。

橋本さんは言います。

「この界隈でも廃れていく旅館が増えているが、いまの時代、個人経営の宿泊施設が生き残るには、浅草でもやっているように、オーナーが英語を話す。小グループの外国客を受入るというやり方しかなかった。これはうちも1990年代からやって来たこと。それしか手がなかったと思う」。

これまでぼくは海外で個人経営のホテルやゲストハウスにずいぶんお世話になってきましたが、橋本さんの話を聞いていると、その世界とよく似ているなと思いました。リピーターのスイス人や台湾人の話がまさにそうです。世界中で起きていることと同じことが、東新宿でも起きていることがわかります。そして、気のおけない宿というのは、オーナーのキャラクターによるところが大きいのは万国共通でしょう。

―訪日客が増えると、いろんなタイプの外国客がやって来る。そのぶん多様なニーズが生まれるけれど、お話を聞いていると、自らがどの層に見合った施設かをしっかり理解していれば、それ相応のやり方で対応できるということなんですね。
 
「たまにお客さんのスケジュールノートを見せてもらうと、ぎっしり書き込んである。それをこなす自分が好き。冒険している気分になれる。まったくことばが通じなくても、どこでも行ける。うちはそういうスタイルの旅人のための宿なんでしょうね」。

東京ビジネスホテル http://tbh.co.jp/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-28 11:55 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 24日

都心の外資系ラグジュアリーホテルはまるで時代の先祖返りのよう

近年、都心で本格化しているのが、外資系を含む大型高級ホテルの新規開業です。先日、東京駅周辺に集中している外資系ラグジュアリーホテルを訪ねて歩いてみました。

一般に富裕層が顧客とされるこれらのホテルの宿泊料金は、最低でも一泊約5万円から。いや、客室不足の昨今はもっと上がっているとも聞きます。こうなると、もはや誰でも気軽に宿泊できる価格帯ではないですが、東京五輪の開催が決定し、新たな開業ラッシュが始まっているのです。

なかでも最近の目玉は、14年12月、丸の内に一部営業を開始した個性派ラグジュアリーリゾートチェーンのアマンリゾーツによる「アマン東京」でしょうか。客室数を絞り込んだ極上のリゾートホテルチェーンとして国際的に評価の高い同グループが手がける初の都市型ホテルというふれこみで、巨大な和紙で覆われたガーデンレセプションなど日本の伝統素材が使われた館内の優雅な意匠の数々は、海外からも注目されています。
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アマン東京 http://www.amanresorts.com/amantokyo
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場所は大手町タワー(千代田区)にあります。地下鉄丸ノ内線「大手町」を降りると、大手町タワーにつながっていますが、ホテルの玄関は「隠れ家リゾート」らしく、見えにくい場所にあります
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大手町タワーからJR東京駅方面に向かって歩くと、日本橋口にホテルメトロポリタン丸の内が見えますが、その向かって左手奥にこっそりとシャングリ・ラ東京の玄関が見えます。シャングリ・ラ東京は2009年3月に東京駅に隣接する丸の内トラストタワー本館27~37階に開業した中国系のラグジュアリーチェーンです。上海浦東地区の外灘に面した最も眺望のいい場所に立地しているシャングリ・ラ上海は国際的にも有名です。
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そこから八重洲口に向かって歩いていくと、有楽町方面にフォーシーズン丸の内が入ったパシフィックセンチュリープレイスが見えます。フォーシーズン丸の内の開業は2002年10月です。これを皮切りに、グランドハイアット東京(2003年4月 六本木)、コンラッド東京(2005年10月 浜松町)、マンダリンオリエンタル東京(2005年12月 日本橋)、ザ・リッツ・カールトン東京(2007年3月 六本木)、ザ・ペニンシュラ東京(2007年9月 有楽町)、そして前述のシャングリ・ラ東京と、2000年代の都心の外資ラグジュアリーホテルの開業が続きました。
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そして、2010年代に入り、新たな開業ラッシュを迎えています。

そのうちのひとつが、14年4月に開業したコートヤード・バイ・マリオット東京ステーションです。八重洲口から京橋方面に歩くとあります。
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コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション http://www.cytokyo.com/

東京駅周辺には、丸の内口に東京ステーションホテルもあります。東京駅周辺は、いまや東京を代表する最高級ホテル地区へと変貌しているのです。
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これまで東京では、1990年代(パークハイアット東京、ウェスティン東京など)、2000年代(グランドハイアット東京、コンラッド東京、マンダリンオリエンタル東京、ザ・リッツ・カールトン東京、ザ・ペニンシュラ東京など)と外資系の進出が散発的に続いていましたが、五輪を控えた10年代はその第3期に入ったといえそうです。

一般に海外の富裕層は安心できる宿泊先として国際的に知られるホテルチェーンを選ぶ傾向があるといいます。どんなに日本国内で有名なホテルや高級旅館でも、宿泊先として選ばれるまでのハードルは高いものです。むしろ知名度の高い外資系ほど、東京五輪は商機といわれるのはそのためです。

しかし、こうした外資の相次ぐ進出で、日本の老舗高級ホテルは生まれ変わりを迫られています。たとえば、「御三家」のひとつ、ホテルオークラ東京は現在、本館の建て替えに着手しています。前回の東京五輪の2年前(1962年)に開業した同ホテルは老朽化が長く課題となっていましたが、約1000億円を投じて高さ200mと80mの2棟のビルを新設するようです。地上38階建ての高層棟をホテルとオフィスの複合施設にする計画です。
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旧赤坂プリンスホテル跡地でも再開発計画が進行中で、新たな高級ホテルが誕生します。アマン東京が進出したばかりの大手町では、「都市型(温泉)旅館」という日本ならではのカテゴリーを掲げる「星のや東京」も進出予定です。天然温泉を完備して外資との差別化を図るそうです。これらの連動した動きは、多様な外国客のニーズに応えることで、日本のホテルシーンの活性化をもたらすものと思われます。

2010年代の都内の主な大型ホテル開発

14年4月 コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション
14年6月 アンダーズ東京 
14年12月 アマン東京 
15年4月 ホテルグレイスリー新宿
16年夏 旧赤坂プリンスホテル
16年中 星のや東京
19年春 ホテルオークラ東京リニューアル
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虎の門ヒルズに入居しているアンダーズ東京は昨年4月に開業

一般に外資系ラグジュアリーチェーンは、ホテル物件を所有せず、運営に特化する経営スタイルや、都心の再開発地区の超高層複合ビルの上層階に入居していること、そして客室数を極力絞り込んでいることが特徴です。アマン東京は84室、アンダーズ東京は164室。客室数だけみれば一般のビジネスホテル並みです。

ところで、外資系ラグジュアリーホテルなんて格差社会の象徴、自分には関係ない話と思ってしまうところがないとはいえませんが、ふとこんなことも思います。

いま起きていることは、時代の先祖返りなのではないだろうか。

前回の東京五輪(1964年)が開催された昭和のある時期まで、外資に限らず日本のホテルは一般庶民が足を踏み入れることのない世界でした。だって、当時の庶民は「駅前旅館」を利用していたのです。ビジネスホテルだって生まれてなかったのですから。

その後、かつて高嶺の花だったホテルで供されたサービスや食が大衆化され、特に1970年代以降、日本の社会に普及していきます。帝国ホテルで昭和30年代に始まったバイキングなんてのもそのひとつです。

こうした大衆化こそ、いまアジア客の“爆買い”の対象となっている日本の衣食住に関わるさまざまな消費財やサービスが生まれた原点だったといえるのではないか。昭和の時代の“ラグジュアリー”施設の代表だったホテルで提供されたコンテンツとその発展形が、今日多くのアジア客をひきつけるベースとなっているのだと思うのです。

これから東京にはどんな新しいホテルシーンが生まれていくのでしょう。かつてと同様、外資系ラグジュアリーホテルには、未来を先取りする役割を果たしてくれることを期待したいものです。

はたしていまの日本にそれをかつてのように大衆化させるだけの活力が残されているだろうか、そう否定的に見る向きもあるかもしれません。でも、そこに日本らしさがあると信じたい気がします。

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by sanyo-kansatu | 2015-05-24 10:35 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 24日

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)

エクスペディアでは、今年3月下旬、訪日外国人の集客に成功したホテルを表彰する「エクスペディアアワード2015」を発表しています。国内の外国客に人気のホテルや日本政府観光局(JNTO)などを招いて表彰式を行なったそうです。

2014年、エクスペディア経由で外国人旅行者に予約された件数のランキングでトップとなったのは、ホテル部門で「ホテルサンルートプラザ新宿」、ホステル・ゲストハウス・旅館部門で「新宿区役所前カプセルホテル」でした。以下、10位までのランキングです。

1位 ホテルサンルートプラザ新宿(南新宿)
2位 新宿グランベルホテル(東新宿/歌舞伎町)
3位 新宿ワシントンホテル(西新宿)
4位 京王プラザホテル(西新宿)
5位 ホテルモントレ グラスミア大阪
6位 ホテル日航成田
7位 新宿プリンスホテル(東新宿)
8位 品川プリンスホテル(品川)
9位 新宿区役所カプセルホテル(東新宿/歌舞伎町)
10位 ホテル日航関西空港

エクスペディアのリリースによると、ホテル部門トップの「ホテルサンルートプラザ新宿」が人気の理由は、自社サイトのクチコミ返信を行なうなど、ネットを有効活用していること。ホステル・旅館部門の「新宿区役所前カプセルホテル」では女性専用フロアの設置や海外メディアの積極的な対応で、訪日外国人の関心を引き、差別化につながったといいます。

このランキングをみて興味深いのは、都内のホテルとしてランキングされた7軒中、6軒が新宿に立地していることです。

エクスペディアでは、主要8カ国・地域の都内の予約件数の多いエリアをランキングしています。これをみても、欧米(アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)、アジア(韓国、香港、タイ、台湾)すべてにおいて新宿がトップになっています。
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一方、2位以下は欧米系は銀座や東京駅周辺、アジア系や池袋や上野と、人気のエリアが分かれています。また2014年に前年対比で伸びているのが上野(247%)、浅草(246%)、池袋(186%)であることから、アジア系の利用者が増えていることもうかがえます。

リリースでは、以下のような「国別人気宿泊エリアマップ」を作成しています。
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これをみても、東京の南半分(東京駅周辺、銀座、赤坂、渋谷)は欧米系に人気で、北半分(新宿、池袋、上野、浅草)はアジア系に人気であることがわかります。新宿は国を問わず外国人旅行者に人気です。

エクスペディアの利用者は、あくまで海外の個人旅行者(FIT)であることから、中国本土から来た団体客などは含まれていません。ですから、これだけで訪日外国人旅行者のホテル利用の実態をすべて説明することはできませんが、こうした都内のホテル地区の可視化は、ますます色濃くなっていくものと思われます。

※エクスペディアが配信する海外からの訪日ホテル予約の多い国などのリリースは以下参照のこと。

エクスペディアではアジア各国からの訪日ホテル予約が急増している
http://inbound.exblog.jp/24509107/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-24 10:25 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)