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2015年 05月 30日

サラリーマンからツーリストへ(新宿区役所前カプセルホテルの客層が変わった理由)

新宿区役所前カプセルホテルに泊まった翌日、同ホテル経営企画室室長の小川周二さんとフロントの川本レダさんにお話をうかがいました。

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた
http://inbound.exblog.jp/24526002/

以下、そのやり取りです(敬称略)。

―昨日は、実際に泊まってみていろんな発見がありましたが、本当に外国客は多いですね。いつ頃からこんなに多く利用するようになったのですか。

小川「やはり増えたのは2年前でしょうね」
川本「でも、外国の方がいらしたのはもっと前からです」

―いつ頃ですか。

川本「震災の前からです。震災後は3か月ほど来ませんでしたが、すぐに回復しました」

―いまは毎日100人近い外国客が泊まっているようですね。

小川「そうですね。曜日にもよります。平日のほうが外国客の比率は高いと思います」

―どこの国の人が多いかなど、国籍に傾向はありますか。

小川「外国客はアジアと欧米半々です。アジアはタイがいちばん多く、マレーシア、シンガポール、最近はインドネシアの方が増えています。欧米は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンなどいろいろです」

―実は、共同スペースでマレーシアから来た7人組の若いグループと話しました。訪日初日からカプセルホテルに泊まっているそうです。

小川「その話を聞いて調べたのですが、あの方たちは、昨年の9月頃予約をされています」

―そんなに前からですか。リードタイム(予約から旅行実施までの期間)が長いですね。つまり、半年以上前から日本旅行を計画していた。でも、初日からカプセルホテル。なるべくお金をかけないで日本を体験したいというアジアの旅行者が増えているのですね。

ところで、外国客はどういう経路で予約して来るのですか。

川本「ExpediaやAgoda、Booking.comなどの海外の予約サイトを通してです。他にもHostelworldやJTBのJapanicanの利用もあります。これらのサイトには『Capsule Hotel』という独立したカテゴリーがあり、リーズナブルな宿を探したい方は簡単に見つけることができます。ありがたいのは、宿泊されたお客さまがご自身のブログやSNSで広めてくれることです」

―みなさん、カプセルホテルについてどんなことを書いているのでしょうか。

小川「スペースシップみたいだとか。あとは欧米の方は身体が大きいので、足がはみ出しちゃうけどOKとか。良かったこと、困ったことなど、いろいろ書き込まれています」

カプセルホテルのどこが外国客に人気なのだろうか?
http://inbound.exblog.jp/24532753/

―そういえば、ロッカールームの脇にポラロイドで撮った外国客の写真がたくさん貼ってありましたね。

小川「あれは4年ほど前、当時の支配人が外国客へのサービスとしてポラロイドで撮った写真を記念に渡していたのです。いまはやっていませんが」
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―外国客の対応のためにどんなことをやっていらっしゃいますか。

小川「フロントには英語を話せるスタッフを常駐させています。最近はアジアのお客さまも多いので、中国語や韓国語、タイ語、フィリピン語を話せるスタッフもいます。館内の英語表示も徹底しています」

―やはり外国語対応は大事なのですね。

小川「実際に予約をしてフロントに来られて、思っていたのとはイメージが違うと感じたのかキャンセルされる外国の方もたまにいます。そんなとき、外国語できちんと対応できれば、やっぱり泊まろうかという気になってもらえるかもしれません。またうちは食べ物の持ち込みOK」

―共同ルームで先ほどのマレーシア人たちはコンビニで買った焼き鳥を食べていました。風呂上りに何か軽くお腹に入れたい。そう思って買い込んでくるのでしょうね。そういうゆるさも、こちらが数あるカプセルホテルの中で外国客の予約件数がナンバーワンとなった理由なのでしょう。

「もうひとつ大きいのは、2年前(2013年7月)に女性フロアをオープンしたことです。それ以後、客層が大きく変わりました。以前は男性客のみでしたから、サラリーマンが大半。そこに女性客や外国客が加わることで、旅行者の比率が増えたからです。一般に女性の方はウォークインで利用されることはありません。地方から旅行で来た方や東京で就活しているという大学生もいます。女性客も外国客も事前に予約されるお客さまだという点で共通しています」
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―確かに、共同ロビーで見かけたのは若い方が多かったです。カプセルホテルでよく見かける酔客という感じの人はいませんでした。実際、外国の女性がたくさんいるような場所では、酔っ払いおじさんも気を抜いていられませんものね。もはやここは、外国人に限らず、旅行者のための宿泊施設になっているのですね。

ところで、もうひとつお聞きしたかったのは、一般に外国の個人客はひとつのホテルに連泊する傾向が高いといわれますが、こちらに連泊される方はいるのでしょうか。

小川「いますよ。2~3日は当たり前。長い人は2週間の連泊もよくあります。実は、ここ数か月連泊している外国人もいます。オランダの方です」

―数か月ですか。もうアパート代わりですね。よほどここが気に入ったのでしょうか。

もっとも、外国客が増えると、これまでになかった問題なども起きたりするのではないでしょうか。

川本「そうですね。カプセルの中でもwi-fiフリーなので、スカイプ電話をかけたり、グループでおしゃべりしたり、他のお客さまに迷惑なことがあります。あとみなさん荷物が大きいので、深夜にその整理をごそごそ始めたり」
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―彼らは海外旅行をしているのですから、それもまた楽しみでしょう。でも、それでは一般の日本のお客さまはたまらない。だから、『Please be quiet!』とあちこちに貼り紙してあるのですね。

小川「あとはタトゥーの方はチェックイン時にお断りしています。これを外国の方に説明するのが難しいですね。刺青のもつ社会的な意味が日本と外国では違うからです。外国の方にとってはおしゃれとしてタトゥーをしてらっしゃるのでしょうが、日本のお客さまにはアレルギーのようなものもあり、これは日本政府観光局でも、どう外国客に説明していくべきか検討していると聞きます」

―今後についてはどうお考えでしょうか。

小川「女性フロアを増やしたいと考えています。現在はワンフロアしかないのですが、おかげさまで予約がいっぱいだからです。またこことは別に女性専門のカプセルホテルもつくりたいですね。スタッフは全員女性です」

小川室長によると、同カプセルホテルの開業は1983年。80年代にこの業界は一気に成長したものの、バブル崩壊以降、斜陽業界と呼ばれてきたといいます。

「多少景気が良くなってきたといっても、これからは日本客相手だけではやっていけません。何より平日の稼働率を稼いでくれる外国客の存在は貴重です。2年前の女性フロアの新設も相乗効果となり、予想以上に外国のお客さまに来てもらえるようになりました。

おかげさまで現在、稼働率は8~9割と高推移していますが、課題は海外サイトによる予約が増えたことで、ウォークインが減り、割安な料金の利用が多くなっていることです。今後の課題はいかに客単価を上げるかです」

海外からのネット予約が増えることで稼働率は上がったものの、収益を上げるためには、客単価を上げる必要があるという状況は、今日のホテル業界に共通しています。国内外の予約サイトや自社サイトなど、売値の異なる複数のチャネルを通じた予約の配分をいかに調整するかは、予約担当者のレベニューマネジメントの腕にかかっています。

「見極めのポイントとなるのは、イベントと天候でしょうか。たとえば、東京マラソンや最近では嵐フェス、東京ドームでの東方神起のコンサート、年末のコミケの当日などは、数か月前から予約がいっぱいになります。また台風が近づいてくると、電車が止まることを予想して予約がどっと入ってくることもあります」

今後この傾向はますます強まり、ホテル経営におけるレベニューマネジメント担当者の責任が大きくなることでしょう。

サラリーマンから国内外の(女性も含めた)ツーリストへ。新宿区役所前カプセルホテルの人気の理由は、こうした客層の変化という市場のニーズに柔軟に対応し、ビジネスモデルの組み替えを無理なく行なってきたことにあるようです。
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by sanyo-kansatu | 2015-05-30 10:17 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 30日

カプセルホテルのどこが外国客に人気なのだろうか?

先日、新宿のカプセルホテルに泊まった話を書きましたが、なぜこれほど外国客に人気なのでしょうか。しかも、新宿に4つあるといわれるカプセルホテル(サウナ)の中で、新宿区役所前に集まってくるのか。

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた
http://inbound.exblog.jp/24526002/

ネット上では、外国客のカプセルホテルに関する声がずいぶん拾えます。

【海外の反応】外国人:日本のカプセルホテルに泊まってみたよ!【雑学】
http://matome.naver.jp/odai/2141014320593335701

カプセルホテルが外国人観光客にウケてるらしい
https://www.youtube.com/watch?v=KU9ks47FgGU

ここには、たとえば、「囚人の部屋」「ハチの巣の中の幼虫になった気分」「映画『エイリアン』の宇宙船の寝床みたい」などなど、外国人の素直な印象が書き込まれています。実際に泊まった人がカプセルに収まった自分の姿を動画で撮っていて、笑えます。自分が初めてカプセルホテルに泊まったときのことを思い出します。
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このネット番組では、新宿区役所前カプセルホテルを取材して、利用法や楽しみ方を詳しく紹介しています。カプセルホテルは1970年代に建築家の黒川紀章が創案したものだという解説も加えられています。

Tokyo Capsule Hotel Experience ★ WAO✦RYU! TV ONLY in JAPAN #26 東京カプセルホテル体験
https://www.youtube.com/watch?v=S0-oNv51j9o

こうしておおむね好評を博していると思われるカプセルホテルですが、たまたま手元にある『lonely planet Tokyo 2004』を見てみると、2004年当時、その評判は必ずしもよろしくないようです。こんな風に書かれています。 

Capsule Hotels (p210)
More private, claustrophobic and coffinsized, the capsule hotel comes with bed, reading light, TV and alarm clock. Despite their size, prices still range from ¥3500 to ¥5000, depending on the area and the facilities (also cash only). Capsule hotels are rarely frequented by foreign guests, most of their business comes from drunken office workers who have missed the last train home. Many have a well-appointed bath area similar to a good local sento(public bath).

「よりプライベートで、閉所恐怖症的で、納棺サイズの空間。カプセルホテルはベッドと室内灯、テレビ、目覚時計からなる。そんなサイズでも、立地と設備のため、料金は3500円から5000円(しかもキャッシュオンリー)。カプセルホテルには外国客は頻繁に現れない。ほとんどの客は、終電に乗り遅れた飲んだくれのオフィスワーカーだ。そこには街場の銭湯(公衆浴場)と同様の設備が整った風呂がある」。

ずいぶんな言いようですね。ただし、この世界で最も普及しているといわれるガイドブックのライターたちは、もともとこういう恣意的な書き方をするのが特徴で、あくまでも欧米人から見た視点が貫かれているところが人気の理由でもありますから、これはこれで逆に興味を持つ読者もいるかもしれません。

なにしろ紹介される宿泊施設には限りがあるのに、新宿区役所前カプセルホテルをわざわざ載せているのですから。新宿のカプセルホテルとして、もうひとつグリーンプラザも載っています。新宿区役所前カプセルホテルに関する記述は以下のようなものです。

SHINJUKU KUYAKUSHO-MAE CAPSULE HOTEL(p178)
Yet another cheap option in Kabukicho. Not quite as nice as the Green Plaza, this spot will nonetheless sate your curiosity about the ergonomic challenge of spending the night in a space where you may not be able to sit up. Only men are admitted.

「グリーンプラザ(歌舞伎町にある別のサウナ)ほど良いとはいえないが、歌舞伎町にある別の安いオプション。このスポットは、にもかかわらず、このスペースで夜を過ごすという人間工学的な挑戦についてのあなたの好奇心を満足させるだろう。男性のみ利用可」。

これは実際に泊まったことのある人でなければよくわからない表現だろうと思います。

やはり、カプセルホテルに外国客が訪れるようになった背景として、動画の力が大きいと思われます。YOU TUBEやSNSで、この奇妙な宿泊施設が拡散されたことで、カプセルホテルに対する外国人の理解が、賛否両論を含めて、広がっていったのでしょう。

実際に泊まってみて面白いと思った人もいれば、体験してみたものの、もういいやと思う人も、当然いるでしょう。日本人だってそうなんですから。

次回は、新宿区役所前カプセルホテルの関係者にお聞きした話を紹介しようと思います。いつ頃から外国客が増えて来たのか。最近はどこの国の人が多いのかなど、いろいろ聞いています。

時代はサラリーマンからツーリストへ(新宿区役所前カプセルホテルの顧客が変わった理由)
http://inbound.exblog.jp/24532781/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-30 10:06 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 28日

外国客に人気と噂の新宿区役所前カプセルホテルに泊まってみた

2014年、エクスペディア経由で最も予約件数の多かった「ホステル・ゲストハウス・旅館」部門の宿泊施設が、新宿区役所前カプセルホテルだったそうです。

カプセルホテルが外国客に人気という話は聞いていましたが、実際の予約件数がトップとなると、これはどういうことなのか知りたくなります。

そこで、今週月曜の夜、泊まってみました。
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カプセルホテルに泊まるだなんて何年ぶりのことだろう…。そう思いながら、夜10時過ぎ同ホテルを訪ねると、いましたいました…3階のフロント周辺は外国客の皆さんばかりです。一般にカプセルホテルは、終電を乗り過ごしたサラリーマンの巣窟というイメージですが、ずいぶん印象が違うのです。フロントでは英語が飛び交っています。
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チェックインをすませると、まずはロッカーに荷物を収めてお風呂に入るのですが、スーツケースがこんなに並んで押し込まれています。外国客の荷物は大きくてロッカーに収まりきらないからです。

実はこの日、外国客比率は39%でした(87名 ※先週末の段階の数字なので、実際はもっといたかもしれません)。

このスーツケースの山を見ると、確かに大勢の外国客がいるのだなと実感します。

共同浴場は、お湯風呂とジャグジー、水風呂、サウナといったごく普通の施設でしたが、10人近い浴客のうち半分は欧米系ツーリストの皆さんです。みんな神妙な面持ちでお湯に浸かっています。よく外国客は裸で共同風呂に入るのが恥かしくて苦手だとか、逆に日本っぽくて珍しいから大人気、などと正反対のことが言われますが(それは両方正しい。つまり、どちらもいるということ)、ここに泊まっている皆さんはわざわざカプセルホテルを選んで宿泊している人たちなので、問題はないようです。
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風呂を出ると、4階の共同スペースでひと休み。ここには大画面テレビにソファ、軽食やバー、自動販売機、ランドリーなどが置かれています。Wi-fiも飛んでいるので、PCやスマホに夢中になっている外国人も多いです。

ここは男女共用なので、外国の女性客の姿も普通に見られます。そう、このカプセルホテルでは2年前から女性フロアを新設したところ、大盛況だそうです。

ちなみに料金はウォークイン(飛び込み)だと泊まりは4500円ですが、ネットで事前予約したので、1泊2800円でした。もっと早く予約すれば最安値は2200円です。

湯上りに生ビールを頼んでぼんやりしていたら、隣に男女7人組の若いアジア系のグループが座ってきました。欧米の人ばかりかと思っていたら、アジアの人もいるんだなあと思って見ていたら、女性たちはコンビニで買ってきたざるそばや焼き鳥を食べ始めます。そうか、ここは持ち込みOKなんだ。

このグループは男性4名女性3名なのですが、女性は全員華人のよう。話すことばは中国語(普通話)ではないものの、南方方言のようでした。アジアの人というのは日本人に比べ間の取り方を気にしないところがあるので、席を開けないで平気で隣に座ってくるものです。そこで、隣の女性にためしに中国語で話しかけみました。「どっから来たの?」

「マレーシア」(あっ、中国語通じた)
「そう、じゃあエアアジアで来たの?」(短絡的ですが、マレーシア人=エアアジアで来るというイメージがあったので)
「そうよ。今日着いたの」
「えっ、じゃあ初日からカプセルホテル?」
「……」

「初日から」うんぬんは余計なお世話でしたね。でも、そういう時代なんですね。KLから来た人たちで、エアアジアで片道5000円、東京に着いたらカプセルホテル1泊2200円。なんて安上がりなのでしょう。

「どのくらい日本にいるの?」
「10日間よ」
「東京だけ?」
「うん、まだ考えてないけど、たぶん箱根や日光にも行くつもり」
「そうなんだ。ところで、みんなはお友達なの? それともファミリー?」
「ファミリーよ」
「あっそう」

一般に欧米ツーリストはひとりかカップルか、子供連れの家族か、少人数で旅行する人がほとんどですが、アジアのツーリストは親戚家族で旅行するのが好きなようです。誰かひとり一度くらい日本に来たことのあるリーダーがいて、みんな彼におまかせで付いてきちゃうのでしょう。それがいちばん安心なのでしょう。

このグループも、兄弟とそのカップルの組み合わせという意味で「ファミリー」のようです。面白いのは、女性は華人だけど、男性は全員マレー系。もしかしたら、女性たちは姉妹なのかもしれません。ですから、女同士で話すときは中国南方方言(あとで聞くと、広東語と言っていましたが、香港人や広東人に比べ相当もったりした話しぶりです。マレーシアには福建華僑が多いと言われているので、福建語なまりかもしれません)を話し、男同士あるいはカップルで話すときは共通語のマレー語を使っています。そこにぼくが割り込むと、男性には英語、女性にはなんとか普通話は通じたので中国語とことばが入り乱れますが、多民族国家のマレーシアというのはそれが普通なのでしょう。

彼らマレーシア国籍の人たちは2013年夏の日本政府による観光ビザの撤廃で、簡単に日本に来られるようになりました。ノービザですから、休みができたらエアアジアの安チケットでふらっと東京に来られるのです。日本人は兄弟とそのカップルで海外旅行なんてあんまりやらない気がしますが、血縁の強いアジアの人らしい旅行スタイルだとあらためて思いました。

それにしても、ここには酔客が見当たりません。およそこれまで経験したカプセルホテルとは雰囲気が違います。

1時近くになったので「よい旅を!」と言って、7階にあるカプセルルームに向かいました。

エレベータを降りると、まあごく普通のカプセルホテルです。
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ちょっとよそとは違うのは、「Please be quiet」のような英語表示が目につくことでしょうか。
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それから、ここではカプセルの中でもWi-fiが使えて便利でした。

実をいうと、久しぶりのカプセルホテルであまりよく寝つけませんでした。それでも朝7時になったので、眠い目をこすり、お風呂に入ることにしました。けっこう外国の人も朝風呂しています。

風呂上りに共同ルームに行くと、ここにも外国客がたくさんたむろしていました。ぼくは200円のカプチーノを自販機で買い、しばらくぼんやりしていました。
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昨晩は見かけなかった日本の女の子がけっこういます。彼女たちはぼくのようにだらしない館内着姿ではなく、着替えを済ませ、サンドイッチを頬張りながらPCに向かっていて、レジャー客っぽさはありません。

しばらくすると、昨日のマレー人の男性にも会いました。日本人もそうだし、外国客も若い人が多いように思いました。ここは酔客とは無縁のカプセルホテルなんですね。

そろそろチェックアウトしようかとロッカーに戻って着替えようとしたら、壁に外国客のポラロイド写真が貼られていました。みんな自分の寝起きしたカプセルの中でこちらを向いて笑顔を振りまいています。笑えますね。でも楽しそうです。
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その脇には、海外で報じられたこのカプセルホテルの英文記事が紹介されていました。いろいろ細かい施設の説明や利用の仕方、周辺の歌舞伎町の紹介など、これを見て外国客はやって来るのでしょう。
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着替えを済ませ、チェックアウトしようとフロントに向かうと、大きなザックを背負ったバックパッカーの若者が出て行こうとしていました。

その姿を見たとき、急に懐かしさがこみあげてきました。

そういえば、自分も学生の頃は同じようなことをしていたな。当時日本から中国に行く最も安い交通手段だった定期航路「鑑真号」で大阪から上海に向かう前日、ぼくは彼と同じような大きなザックを背負って、梅田のカプセルホテルに泊まったことを思い出しました。あれから何年たったんだっけ…。

当時は、朝起きてから1日中歩き通しでも、夜は寝床さえあれば、ちっともかまわなかった。とにかく好奇心の赴くまま外国のまちを歩いてばかりいました。それが面白くてたまらなかったのです。

若い旅行者にとって、カプセルホテルはまったく問題ないはずです。海外の安宿の2段ベッドが並ぶタコ部屋みたいなドミトリーに比べれば、ここは超快適、機能的、衛生的な巨大ドミトリー空間のようなものですから。閉所恐怖症の人だけはNGかもしれませんけれど。
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久しぶりにカプセルホテルに泊まって、外国のツーリストと話をして、つかの間の旅人気分を味わえたのでした。

新宿区役所前カプセルホテル http://capsuleinn.com/shinjuku/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-28 12:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 28日

東新宿のビジネスホテルにはロシアや東欧の旅行者が多いらしい

2年前、本ブログで東新宿のビジネスホテルに多くの外国客が訪れていることを紹介したことがあります。

東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります(2013年7月2日)
http://inbound.exblog.jp/20672715/
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そのとき、東新宿のビジネスホテルをいくつか訪ね、事情を聞いてまわりました。それ以降、この地区には外国客をあてこんだ新しいホテルが続々と誕生しています。最近はアパホテルなど、全国規模のチェーン系が増えています。

訪日客増加で客室も足りない!? 多様化する宿泊ニーズに対応した新サービスや業態転換はどこまで進むか
http://inbound.exblog.jp/24291533/

その後も東新宿には外国客の姿がますます増えていて、こうしたビジネスホテルは花園神社の明治通りをはさんだ反対側(東方面)に延びる医大通り周辺に集中しています。そこで今回、東新宿を代表する外国人宿、東京ビジネスホテルの橋本太乙代表取締役に話を聞きました。以下、そのやり取りです。

―いつ頃から外国客が来るようになったのですか。

「1995、6年頃からでしょうか。当時はフランスやドイツ、デンマークなど、ヨーロッパの人が多かったです」。

―ずいぶん早くからですね。その人たちはどうしてこちらを知ったのでしょうか。

「当時、東京のエコノミータイプのホテルを紹介した英語のパンフレットを政府観光局がつくっていたようで、うちを載せてくれていたんです。成田空港で置いてあるものです。広告費を出したわけじゃないんですけど。うちは都心にあって安かったからでしょう」

―本格的に外国客を誘致するようになったのは?

「2005年からです。その年、中国出身の20代の女性が支配人になりました。彼女が精力的に外国客の誘致を始めたのです。とはいえ、当時はHPもなく、実際にやったのは、お泊りになった外国の宿泊客全員に英文でお礼状を出すことからでした。もちろん、ネットでやり取りしている方にはメールを出しました。それから一気に増えました」。

―お礼状ですか。しかも指揮官は中国人。他にはどんなことをしましたか?

「彼女は2011年まで支配人で、いまは帰国していますが、とても優秀な人材でした。他には、まず館内を英語表示にしたこと。それからスタッフは英語を話せる人にした。これは徹底して取り組んだことです」。

―現在、外国客の宿泊比率はどれくらいですか。

「全体の2割ほどです。客室は178室。いろんなタイプの部屋があります」。

―国籍は?

「今日泊まっている外国客の国籍は、リトアニアやキルギスタン、フランスなどです。ロシア人も多いですよ。最近は東欧からの旅行者が多いです。うちにはロシア語を話すスタッフがひとりしかいないのですが、たいていグループのリーダーが英語を話すので、なんとかなっています」。

―ロシア語を話すスタッフがいるんですか?

「はい、でも基本は英語です。

東欧の方が来るようになったのは、4、5年前から。10年くらい前までは、フランスやドイツ、スウェーデンからが多かった。アフリカから来る人もいました。パスポートを見ても初めて見る国の名前ということもよくありました。

アメリカやオーストラリアからももちろん来ます。でも、東欧の方は10人以上のグループで10泊以上するのが特徴です。ベトナムや台湾などアジア系もいるけれど、彼らはたいてい3、4泊と滞在が短いので目立たない。

アメリカの方でうちに来るのは軍関係が多い。横須賀港に着いて六本木に遊びに来る人たちですが、最近は少ないです」。

―なるほど。医大通りを歩いていると、さまざまな旅人の姿を見かけますが、これほど多彩な国籍の人たちが宿泊していたからなのですね。そして、このホテルは彼らに見合った価格帯だということもいえるのでしょうね。

「1990年代は、フランスやスイスなどのバックパッカーが多かった。うちのように住宅街の中にあっても、安いとわかると地図を見ながら訪ね歩いてくるようなタイプの旅行者たちでした」。

―いまは浅草方面にそういう層が泊まるバックパッカー宿がたくさんできましたからね。

「そう、当時はなかったから。でもね、その時代から宿泊してくれるのは面白い方が多いですよ。あるスイス人の男性は日本に来るとき、毎回うちに泊まってくれるのですが、最初はひとりで来て、2年後彼女と来て、その後お母さんと来て、最近は子供連れで来ました。なんかうれしいですよね。またある台湾の貿易商の方は、最初は独身で、何度も来るうちに、だんだんお金持ちになってくるのが見ていてわかるんです。うちの部屋は狭いし、『あなたは本当はセンチュリーハイアットとかに泊まれるはずなのに、どうしてうちに来るの?』と聞いたら、『ぼくはここの精神を忘れない。一生懸命がんばっていた自分の原点の場所だから。ここが好きなんです』と言うんです」。

―客層が見えてくるお話です。外国客はずいぶん連泊するようですね。

「基本連泊が多いです。アジア方面とかいろんな国の方がいますから、平均すると3~4日になりますが、2週間以上のグループが実は多いです。このホテルを拠点に京都や日光に行く人も多い。一泊4100円から。1か月いても12万円。電気ガス使い放題ですから。

荷物を置いたまま、日光でも箱根でも行く。いまキルギス人のグループは京都に行っています。一つの部屋のみ残して、全員の荷物を置いている。昨日の夜、急に決まって出かけるというんです。予約はキャンセルですが、京都でも宿泊代がかかるでしょうからと、キャンセル料は取りません」。

―外国客を受け入れるために必要なことは?

「まずは外国語表示ですが、実はそれだけ。あとは話をじっくり聞いてあげること。たとえその人がスペイン人で、英語がまったく話せないとしても、彼はなんとか自分の意思を伝えようとしてくる。明日日光に行きたい、浅草に行きたい。どう行けばいいかという場合もそうですし、部屋のバスタオルがほしいという場合も、ホテルスタッフに伝わるまで何度も手段を変えて伝えようとする。伝わらないとわかると、最後には絵を描いてくる。これがほしいと。なんだ、バスタオルか。それを手渡すと笑っている。

地名などの案内はすべてローマ字で書いて渡します。彼らはそのメモ書きを持って、どこにでも行き、その場でいろんな日本人に見せている。現地でいろんな人の世話になっているのだなあと思いますが、朝出て行って、夜には帰ってくる。

あるとき、台湾人のグループが日帰りで高野山に行くと言い出しました。えっ、そんなことできるの? 日本人はふつう思いつかないスケジュールです。でも、彼ら外国人はJRレイルパスを持っているので、新幹線も安く利用できる。だから、日帰りで行ってこようと考える。実際、彼らは朝6時の新幹線で新大阪に行ったそうです。そこから御堂筋線で難波まで行って、南海電車で高野山へ。おそらく山に登った時間は短かったのでしょうが、深夜になって戻ってきた。 

『どうでした? 行けた?』と聞くと、『行けた。でも疲れた』と言うんです。こちらも、ホントに日帰りできるんだとびっくりしました。これも土地勘がないからできるんでしょうね。でも、彼らはすごく喜んでいましたよ」。

―なるほど。そういう旅をしているんですね。でも、楽しそうですね。

「でも、それが旅行ですから」。

―確かに。一般にシティホテルでは、旅行カウンターがあって、新幹線やフライト、ホテルの手配、オプショナルツアーなど申し込んでくれます。こちらでも旅行の手配をしてあげるのですか。

「京都のホテルでもなんでも頼まれれば取ってあげます。どこそこの行き方を聞かれても、その場でインターネットで調べて教えてあげる。別にお金を取りませんが、できることは何でもするのが仕事だと思っています。

ただ、ヨーロッパの人はすべて予約済みで旅行するのでは面白くない。自分だけのアドベンチャーがしたい。そういう人が多いです。少々うまくいかないことがあっても、それが楽しいという。

パスポートや携帯を紛失した場合でも、日本人は駅員から周りの乗客たちまで一生懸命助けてくれる。日本は車両に置き忘れた携帯が戻ってくる国です。実際に、駅員さんからホテルに電話がかかってきますから。彼らはそういう日本人の姿に感動するみたいです」。

―そのときは、駅ではなくフロントに紛失したことを言ってきたのですね。

「はい、それで駅の紛失係に電話を入れました」。

―大変そうですが、面白そうですね。

「実際、いろんなことが起きます。先日もお酒を飲みすぎて、警察官に補導されてきたお客さんがいました。ろれつが回らず、とにかく休ませて、翌日に旅行会社の人と通訳ガイドが来てもらいました。こんなことは初めてでした」。

―それはご苦労様でした。新宿は飲む場所に困りませんものね。彼らは旅空の下にいるのですから、そういう羽目を外すこともあるのは無理もないと思います。そんな人ばかりだと困るでしょうけれど。
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―ところで、ロビーでPCを見ながら旅行計画を立てている外国客がいますね。館内はWi-fiフリーなのですか。

「Wi-fiフリーはロビーだけで、客室の場合はパスワードを渡しています。国によってはフリーズさせられ、全員が使えなくなることがあるからです」。
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―外国客の方の予約はどういう経路が多いのですか。

「Booking.comやexpediaなどの海外ホテル予約サイト経由です。ただこちら経由で予約した方がリピーターになることは少ないようです。というのは、予約サイトを使うと、手数料が上乗せされるので割高になるからです。実際のリピーターは、自社サイトの英語ページで予約すれば安いことを知っています。

実は、うちは6割以上がリピーターなのです。これは国内海外含めてですが、よく不思議がられます。でも、理由は簡単。長く泊まると割安になるからです。要は、そういう連泊するタイプの旅行者が多いということです。

もし1泊しか利用しないのなら、少し高くても駅に近いなど便利な場所がいい。でも10泊するなら、安い方がいいし、少々駅から遠くても、歩いているうちにおいしいレストランを見つけるなど、楽しみもある。うちには、学生寮みたいに共同トイレ・浴場という安いカテゴリーの部屋もある。でも、これはこれでいいんです」。

―海外予約サイトの登録以外に、何か特別なPRは?

「昔から何もしてないです。

基本的にわかっていることは、いま泊まっているお客さんにちゃんとすること。それが最大のPRにつながると思う。うちがリピーターが多い理由は、お客さんが友だちを呼んでくれているということです。

知り合いに『今度東京に行くんだけど、どこに泊まればいい?』と聞かれたとき、自分の知ってるところを誰でも紹介するものでしょう。これはヨーロッパ人でも誰でも同じなんだと思う。うちに来られるのは、そういうつながりで来た方だと思うんです。

泊まってみて問題なければ、いやなことがなければ、友だちを紹介してくれる。その人がちゃんとした人なら、その友だちも決して問題を起こさない。

手を広げる必要はないんです。たくさん来たところで『満室です』とお断りするようなことになるなら、意味がないですから」。 

―今後についてはどうお考えですか?

「実はうちには外国客とは別に、長逗留している日本の年配の方がいます。地方在住の方で、毎月東京に出てきて1週間10日と滞在される。もと新宿に住んでいた方が伊豆や八王子の老人ホームに移り住んだものの、友達は訪ねてくれない。そこで東京に出てきて、友だちに会ったり、コンサートに行ったりして過ごしていらっしゃる。出張客も減っているいま、将来は元気な老人を相手にする宿泊施設になるのではと思っています。

ホテルは本来、人を集める場所です。ささやかですが、そのために美術のイベントや英語のイベントをやっています。『ひらがなタイムズ』という在日外国人向けの雑誌が主催する英語の交流パーティが毎週金曜の夜にあります。宿泊客は無料なので、参加する人もいます」。

―いろんなことをやってらっしゃるんですね。

「ええ、なんでもやります。実はテレビドラマの撮影も多いんです。ネットで『ロケ地 東京ビジネスホテル』と検索すると、たくさん出てきますよ。

できることは何でもしてしまう。外国のお客さんに対するのと一緒で、私は来るもの拒まず。何でも受け入れるタイプなんです」。 

ちょうどこの話をしていたとき、埼玉が震源地の地震発生。館内もずいぶん揺れました。ロビーにいたフランス人家族が慌ててホテルを飛び出そうとしたので、橋本さんはスタッフを呼びつけ、彼らに「中にいるほうが安全ですよ」と伝えさせました。

―びっくりしたでしょうね。

「地震のない国の人たちからすると、大地が揺れるというのは本当に恐怖だそうですよ」。

そして、橋本さんはそばにいた外国人スタッフに「部屋にいる人に大丈夫と言ってあげて」と伝えました。そのスタッフはベルギー人だそうです。このホテルには、中国系、韓国系など、アルバイトも含めて多くの多国籍スタッフがいます。

東京ビジネスホテルの開業は昭和48(1973)年。もともと地方からの出張客のためのビジネスホテルだったといいます。新宿のビジネスホテル開業のはしりで、当時は京王プラザができたばかり、新宿プリンスホテルはまだなかった時代です。

橋本さんは言います。

「この界隈でも廃れていく旅館が増えているが、いまの時代、個人経営の宿泊施設が生き残るには、浅草でもやっているように、オーナーが英語を話す。小グループの外国客を受入るというやり方しかなかった。これはうちも1990年代からやって来たこと。それしか手がなかったと思う」。

これまでぼくは海外で個人経営のホテルやゲストハウスにずいぶんお世話になってきましたが、橋本さんの話を聞いていると、その世界とよく似ているなと思いました。リピーターのスイス人や台湾人の話がまさにそうです。世界中で起きていることと同じことが、東新宿でも起きていることがわかります。そして、気のおけない宿というのは、オーナーのキャラクターによるところが大きいのは万国共通でしょう。

―訪日客が増えると、いろんなタイプの外国客がやって来る。そのぶん多様なニーズが生まれるけれど、お話を聞いていると、自らがどの層に見合った施設かをしっかり理解していれば、それ相応のやり方で対応できるということなんですね。
 
「たまにお客さんのスケジュールノートを見せてもらうと、ぎっしり書き込んである。それをこなす自分が好き。冒険している気分になれる。まったくことばが通じなくても、どこでも行ける。うちはそういうスタイルの旅人のための宿なんでしょうね」。

東京ビジネスホテル http://tbh.co.jp/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-28 11:55 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 24日

都心の外資系ラグジュアリーホテルはまるで時代の先祖返りのよう

近年、都心で本格化しているのが、外資系を含む大型高級ホテルの新規開業です。先日、東京駅周辺に集中している外資系ラグジュアリーホテルを訪ねて歩いてみました。

一般に富裕層が顧客とされるこれらのホテルの宿泊料金は、最低でも一泊約5万円から。いや、客室不足の昨今はもっと上がっているとも聞きます。こうなると、もはや誰でも気軽に宿泊できる価格帯ではないですが、東京五輪の開催が決定し、新たな開業ラッシュが始まっているのです。

なかでも最近の目玉は、14年12月、丸の内に一部営業を開始した個性派ラグジュアリーリゾートチェーンのアマンリゾーツによる「アマン東京」でしょうか。客室数を絞り込んだ極上のリゾートホテルチェーンとして国際的に評価の高い同グループが手がける初の都市型ホテルというふれこみで、巨大な和紙で覆われたガーデンレセプションなど日本の伝統素材が使われた館内の優雅な意匠の数々は、海外からも注目されています。
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アマン東京 http://www.amanresorts.com/amantokyo
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場所は大手町タワー(千代田区)にあります。地下鉄丸ノ内線「大手町」を降りると、大手町タワーにつながっていますが、ホテルの玄関は「隠れ家リゾート」らしく、見えにくい場所にあります
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大手町タワーからJR東京駅方面に向かって歩くと、日本橋口にホテルメトロポリタン丸の内が見えますが、その向かって左手奥にこっそりとシャングリ・ラ東京の玄関が見えます。シャングリ・ラ東京は2009年3月に東京駅に隣接する丸の内トラストタワー本館27~37階に開業した中国系のラグジュアリーチェーンです。上海浦東地区の外灘に面した最も眺望のいい場所に立地しているシャングリ・ラ上海は国際的にも有名です。
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そこから八重洲口に向かって歩いていくと、有楽町方面にフォーシーズン丸の内が入ったパシフィックセンチュリープレイスが見えます。フォーシーズン丸の内の開業は2002年10月です。これを皮切りに、グランドハイアット東京(2003年4月 六本木)、コンラッド東京(2005年10月 浜松町)、マンダリンオリエンタル東京(2005年12月 日本橋)、ザ・リッツ・カールトン東京(2007年3月 六本木)、ザ・ペニンシュラ東京(2007年9月 有楽町)、そして前述のシャングリ・ラ東京と、2000年代の都心の外資ラグジュアリーホテルの開業が続きました。
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そして、2010年代に入り、新たな開業ラッシュを迎えています。

そのうちのひとつが、14年4月に開業したコートヤード・バイ・マリオット東京ステーションです。八重洲口から京橋方面に歩くとあります。
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コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション http://www.cytokyo.com/

東京駅周辺には、丸の内口に東京ステーションホテルもあります。東京駅周辺は、いまや東京を代表する最高級ホテル地区へと変貌しているのです。
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これまで東京では、1990年代(パークハイアット東京、ウェスティン東京など)、2000年代(グランドハイアット東京、コンラッド東京、マンダリンオリエンタル東京、ザ・リッツ・カールトン東京、ザ・ペニンシュラ東京など)と外資系の進出が散発的に続いていましたが、五輪を控えた10年代はその第3期に入ったといえそうです。

一般に海外の富裕層は安心できる宿泊先として国際的に知られるホテルチェーンを選ぶ傾向があるといいます。どんなに日本国内で有名なホテルや高級旅館でも、宿泊先として選ばれるまでのハードルは高いものです。むしろ知名度の高い外資系ほど、東京五輪は商機といわれるのはそのためです。

しかし、こうした外資の相次ぐ進出で、日本の老舗高級ホテルは生まれ変わりを迫られています。たとえば、「御三家」のひとつ、ホテルオークラ東京は現在、本館の建て替えに着手しています。前回の東京五輪の2年前(1962年)に開業した同ホテルは老朽化が長く課題となっていましたが、約1000億円を投じて高さ200mと80mの2棟のビルを新設するようです。地上38階建ての高層棟をホテルとオフィスの複合施設にする計画です。
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旧赤坂プリンスホテル跡地でも再開発計画が進行中で、新たな高級ホテルが誕生します。アマン東京が進出したばかりの大手町では、「都市型(温泉)旅館」という日本ならではのカテゴリーを掲げる「星のや東京」も進出予定です。天然温泉を完備して外資との差別化を図るそうです。これらの連動した動きは、多様な外国客のニーズに応えることで、日本のホテルシーンの活性化をもたらすものと思われます。

2010年代の都内の主な大型ホテル開発

14年4月 コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション
14年6月 アンダーズ東京 
14年12月 アマン東京 
15年4月 ホテルグレイスリー新宿
16年夏 旧赤坂プリンスホテル
16年中 星のや東京
19年春 ホテルオークラ東京リニューアル
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虎の門ヒルズに入居しているアンダーズ東京は昨年4月に開業

一般に外資系ラグジュアリーチェーンは、ホテル物件を所有せず、運営に特化する経営スタイルや、都心の再開発地区の超高層複合ビルの上層階に入居していること、そして客室数を極力絞り込んでいることが特徴です。アマン東京は84室、アンダーズ東京は164室。客室数だけみれば一般のビジネスホテル並みです。

ところで、外資系ラグジュアリーホテルなんて格差社会の象徴、自分には関係ない話と思ってしまうところがないとはいえませんが、ふとこんなことも思います。

いま起きていることは、時代の先祖返りなのではないだろうか。

前回の東京五輪(1964年)が開催された昭和のある時期まで、外資に限らず日本のホテルは一般庶民が足を踏み入れることのない世界でした。だって、当時の庶民は「駅前旅館」を利用していたのです。ビジネスホテルだって生まれてなかったのですから。

その後、かつて高嶺の花だったホテルで供されたサービスや食が大衆化され、特に1970年代以降、日本の社会に普及していきます。帝国ホテルで昭和30年代に始まったバイキングなんてのもそのひとつです。

こうした大衆化こそ、いまアジア客の“爆買い”の対象となっている日本の衣食住に関わるさまざまな消費財やサービスが生まれた原点だったといえるのではないか。昭和の時代の“ラグジュアリー”施設の代表だったホテルで提供されたコンテンツとその発展形が、今日多くのアジア客をひきつけるベースとなっているのだと思うのです。

これから東京にはどんな新しいホテルシーンが生まれていくのでしょう。かつてと同様、外資系ラグジュアリーホテルには、未来を先取りする役割を果たしてくれることを期待したいものです。

はたしていまの日本にそれをかつてのように大衆化させるだけの活力が残されているだろうか、そう否定的に見る向きもあるかもしれません。でも、そこに日本らしさがあると信じたい気がします。

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by sanyo-kansatu | 2015-05-24 10:35 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 24日

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)

エクスペディアでは、今年3月下旬、訪日外国人の集客に成功したホテルを表彰する「エクスペディアアワード2015」を発表しています。国内の外国客に人気のホテルや日本政府観光局(JNTO)などを招いて表彰式を行なったそうです。

2014年、エクスペディア経由で外国人旅行者に予約された件数のランキングでトップとなったのは、ホテル部門で「ホテルサンルートプラザ新宿」、ホステル・ゲストハウス・旅館部門で「新宿区役所前カプセルホテル」でした。以下、10位までのランキングです。

1位 ホテルサンルートプラザ新宿(南新宿)
2位 新宿グランベルホテル(東新宿/歌舞伎町)
3位 新宿ワシントンホテル(西新宿)
4位 京王プラザホテル(西新宿)
5位 ホテルモントレ グラスミア大阪
6位 ホテル日航成田
7位 新宿プリンスホテル(東新宿)
8位 品川プリンスホテル(品川)
9位 新宿区役所カプセルホテル(東新宿/歌舞伎町)
10位 ホテル日航関西空港

エクスペディアのリリースによると、ホテル部門トップの「ホテルサンルートプラザ新宿」が人気の理由は、自社サイトのクチコミ返信を行なうなど、ネットを有効活用していること。ホステル・旅館部門の「新宿区役所前カプセルホテル」では女性専用フロアの設置や海外メディアの積極的な対応で、訪日外国人の関心を引き、差別化につながったといいます。

このランキングをみて興味深いのは、都内のホテルとしてランキングされた7軒中、6軒が新宿に立地していることです。

エクスペディアでは、主要8カ国・地域の都内の予約件数の多いエリアをランキングしています。これをみても、欧米(アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス)、アジア(韓国、香港、タイ、台湾)すべてにおいて新宿がトップになっています。
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一方、2位以下は欧米系は銀座や東京駅周辺、アジア系や池袋や上野と、人気のエリアが分かれています。また2014年に前年対比で伸びているのが上野(247%)、浅草(246%)、池袋(186%)であることから、アジア系の利用者が増えていることもうかがえます。

リリースでは、以下のような「国別人気宿泊エリアマップ」を作成しています。
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これをみても、東京の南半分(東京駅周辺、銀座、赤坂、渋谷)は欧米系に人気で、北半分(新宿、池袋、上野、浅草)はアジア系に人気であることがわかります。新宿は国を問わず外国人旅行者に人気です。

エクスペディアの利用者は、あくまで海外の個人旅行者(FIT)であることから、中国本土から来た団体客などは含まれていません。ですから、これだけで訪日外国人旅行者のホテル利用の実態をすべて説明することはできませんが、こうした都内のホテル地区の可視化は、ますます色濃くなっていくものと思われます。

※エクスペディアが配信する海外からの訪日ホテル予約の多い国などのリリースは以下参照のこと。

エクスペディアではアジア各国からの訪日ホテル予約が急増している
http://inbound.exblog.jp/24509107/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-24 10:25 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 05月 23日

エクスペディアではアジア各国からの訪日ホテル予約が急増している

世界最大のオンライン旅行会社であるエクスペディアは2006年11月に日本法人を開設し、日本の消費者向けに海外ホテル予約サービスをスタートしています。

エクスペディア
http://www.expedia.co.jp/

もともと日本の旅行マーケットを対象に参入してきたエクスペディアですが、ここ数年海外からの外国人旅行者の国内ホテル予約が増えています。エクスペディアはマイクロソフトの旅行部門として設立された会社ですから、アメリカ市場の収益が最大で、訪日市場も現状ではアメリカ人の送客が大きいようですが、この2、3年でアジアからの送客もすごい勢いで増えているようです。

2015年3月24日付けの同社のニュースリリースによると、2014年のアジア各国の訪日ホテル手配件数の前年度比の数字は以下のような驚異的なものです。

1位 香港 740%
2位 タイ 416%
3位 マレーシア 288%
4位 台湾 281%
5位 フィリピン 253%

特に前年対比7倍以上となった香港、4倍以上のタイが注目されます。2014年の訪日外国人旅行者数の1位が台湾、5位香港、6位タイとくれば、その理由もわかるというものです。

現在、エクスペディアは日本やインド、オーストラリアなどの先行グループに加え、同上の国々などアジア11カ国に販売拠点を開設しています。その多くの国で2012~13年にかけて現地法人が設立されたため、アジアからの訪日予約が一気に増えたことが考えられます。

韓国、香港、台湾、タイのエクスペディアによる2014年の海外ホテル予約件数のランキングはすべて日本がトップです。
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またこの4カ国の人気海外都市(ホテル予約件数)のランキングも、台湾とタイで東京が1位、韓国と台湾で大阪が2位と上位を占めています。また他にも京都や沖縄、福岡などが10位までのランキングに入っており、地方都市への予約も動き出していることがわかります。

ちなみに2014年の日本の人気都市ランキング(ホテル予約件数)は以下のとおりです。

1位 東京
2位 大阪
3位 沖縄
4位 京都
5位 福岡
6位 札幌
7位 名古屋
8位 神戸
9位 長崎
10位 函館

言うまでもなく、エクスペディアを利用するアジア客は個人旅行者(FIT)です。彼らは格安なLCCなどを利用して訪日するリピーター層でもあります。前年対比でいうと、金沢(718%)、沖縄(515%)、長崎(462%)、名古屋(447%)、小樽/富良野/網走(436%)、高山(426%)、奈良(424%)、長野(362 %)、岐阜/富山(361%)、札幌(337%)などの地方都市が伸びているようです。

これからはアジア系の旅行者もどんどん地方都市へ個人旅行する時代になりそうです。ツアーバスで押し寄せる団体客とは違い、英語を話し、洗練されたアジア系個人旅行者が地方に増えると、外国客に対するイメージも変わっていくのではないでしょうか。

※エクスペディアが配信する都心の人気ホテルや地区については以下を参照のこと。

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)
http://inbound.exblog.jp/24510962/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-23 20:27 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 05月 23日

外国客は日本のお宿に満足しているか?(海外予約サイト参入と日本のホテルシーン)

訪日外国人数が昨年(2014年)1300万人を超え、全国の観光地や都市部で多くの外国人旅行者の姿を見かけるようになりました。では、いったい彼らはどこに泊まって、旅の荷をほどき、休んでいるのでしょうか。

こうした素朴な疑問にすっきり答えるのは意外に難しいところがあります。なぜなら、外客全体の5人のうち4人を占めるアジア系、すでにFIT(個人旅行)化している成熟市場の欧米系、富裕層や訪日客のボリュームゾーンであるミドルクラス層、さらにはお金をなるべくかけずに長期旅行を楽しむバジェットトラベラー層に至るまで、我々が一般に想像する以上に、さまざまな国籍や階層からなる訪日外国客の宿泊実態は多様化しているからです。
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2014年6月虎の門に開業したアンダーズ東京
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開業以来100%近い客室稼働率を誇るというアパホテル新宿御苑店
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海外FITに人気のサクラホテル(池袋)

はたして外国客は、日本のお宿に満足しているのでしょうか? 

こうした多様な外国客と宿泊施設を直接結びつけているのが、ホテル予約サイトです。ホテル関係者によると、訪日客の増加にともない、海外からのサイト経由の予約が増えているといいます。

その認識は外資系ラグジュアリーホテルからゲストハウスの経営者に至るまで変わりません。ホテル予約サイトは、宿泊施設の特性やポジショニングに見合った顧客を選び出し、マッチングさせるしくみだからです。しかも世界中至るところにいる人たちに存在を伝えてくれるのです。

どんなに無名の宿泊施設でも、予約サイトのプラットフォームの上では、見せ方次第で外国客の目に留まる可能性があります。近年、外国客が多く宿泊するエリアとなっている東新宿の老舗ビジネスホテル「ホテルたてしな」の担当者も「昔は国内客がメインだったが、いまでは閑散期は外国客のほうが多くなる。海外からの予約はExpediaなどを使ったネット予約が大半だ」と語っています。

ここ数年で、海外の主要なホテル予約サイトはほぼ日本に参入してきたといえます。外国客が利用している主な海外ホテル予約サイトは以下のとおりです。

Expedia http://www.expedia.co.jp/
Agoda http://www.agoda.com/ja-jp
Booking.com http://www.booking.com/index.ja.html
Hotelbeds http://www.hotelbeds.com
HRS https://hotelservice.hrs.com/portal/
Ctrip http://jp.ctrip.com/

世界の3大ホテル予約サイトといえば、「Expedia」「Agoda」「Booking.com」でしょう。そのうち欧米系の利用者が多いのは「Expedia」、アジア系は「Agoda」、「Booking.com」はまんべんなくといった特性があるようです。宿泊施設によって顧客層が異なるので一概にいえませんが、客室単価は「Agoda」が高く、「Expedia」は低い傾向にあるといわれます。

ただし、これらの海外ホテル予約サイトはそれぞれ会員特性やサービスが微妙に異なるため、宿泊施設側もどこと契約すべきか、検討が必要です。

ホテル予約サイトの普及によって、宿泊施設側は需要が見込めない閑散期には価格を下げ、繁忙期には上げるなど、収益の最大化を図るレベニューマネジメントの導入や多言語対応が必須となっています。訪日客がますます多様化するなか、予約担当者はこれまで以上に市場の動きを読み解く知見が求められるようになっています。

また外国客の利用が増えれば、ホテル側も新しい施設やサービスを提供していくことでしょう。Wi-fiの導入が進んでいるのもそのためです。

海外ホテル予約サイトが日本のホテルシーンをどう変えていくのか。要注目です。

※エクスペディアが訪日客のホテル予約状況について、以下の興味深いリリースを配信しています。

エクスペディアではアジア各国からの訪日ホテル予約が急増している
http://inbound.exblog.jp/24509107/

新宿は都内で外国客に最も人気なホテル地区(エクスペディア調べ)
http://inbound.exblog.jp/24510962/
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by sanyo-kansatu | 2015-05-23 12:15 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 05月 06日

「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」って何?

前回、通訳案内士の実態について観光庁の報告書を頼りに簡単に解説してみました。

NHK報道をめぐり思う。通訳案内士って何だろう?
http://inbound.exblog.jp/24442716/

そこでは、4月22日のNHKの報道に対する若干の疑問も指摘しました。ある関係者も次のように語ってくれました。

「2020年の東京五輪に向けて、あるいは地方創生の一環として、通訳案内のできるガイドの数を増やしたい、そのために簡易な形のガイドの制度を作って普及させたいというのは、観光庁と地方自治体との共通認識だと思います。旅行業界も同調しているように思えます。その意味で、「地域限定」ガイドの新設は、確かに観光庁の検討会でもほぼその方向で合意に向けて動いているのは事実ですので誤報ではありませんが、法改正や新制度の法的対応には立法措置が必要な場合も多いので、そこまで具体化していない時点でここまで報道してしまうのはどうかと思いますし、既定路線で改革を進めたがっている政府当局の意思と焦りのようなもの感じます」。

NHKはこうした見方があることをどこまで承知のうえで報じたのかな? そうぼくも感じました。というのは、自分も数回ではありますが、観光庁の検討会を傍聴したことがあるからです。

ところで、ここでいう「有識者や旅行関係者などで作る会議で制度の改善を検討する会合(検討会)」とは何のことでしょうか。

観光庁のHPによると、その正式名称は「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」といいます。

「我が国に通訳案内士制度が創設されて60年以上が経過している中、訪日外国人旅行者数の増加及びニーズの多様化に的確に対応できるよう、中長期的な視野から、新たな通訳案内士制度を構築するための具体的な方策について検討を行うため、「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を設置しました」。

http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/tsuyaku.html

「検討会」の主なメンバーは以下のような人たちです。

通訳案内士団体
旅行業者
ホテル業者
地方公共団体
ボランティアガイド団体
日本政府観光局(JNTO)

通訳案内士は基本的にフリーランスの個人事業者ですが、通訳ガイドの仕事は、上に挙げたさまざまな業界との関係の中で成り立っています。仕事を発注してくれるのは、たいてい旅行業者やホテル業者、場合によっては地方公共団体のこともあるでしょう。また通訳案内士試験の運営をしているのは、日本政府観光局(JNTO)です。通訳案内士制度がどうあるべきかについては、彼ら自身がどう考えるかだけではなく、関係者らとさまざまな課題について協議していく必要があるわけです。

ちなみに、通訳案内士団体については、観光庁のHPにこう説明されています。「通訳案内士法において「通訳案内士の品位の保持及び資質の向上を図り、併せて通訳案内に関する業務の進歩改善を図ることを目的とする団体は、観光庁長官に対して、国土交通省令で定める事項を届け出なければならない。(通訳案内士法第35条)」。実際には、社団法人や協同組合、NPO法人などさまざまな運営主体となっていますが、通訳案内士自身による業界団体です。

主な通訳案内士団体(観光庁HPより)
http://www.mlit.go.jp/common/001067295.pdf

さて、この「検討会」の立ち上げは、観光庁が設立された2008年の秋にまでさかのぼります(最初は「懇談会」として始まっています)。

以後の経緯については、観光庁のHPに詳しく掲載されています。関係者らの発言や主張は閲覧できますが、あまりに膨大な内容であるため、ひとまず昨年12月に観光庁がまとめた報告書「通訳案内士の現状及び制度見直しの検討経緯」の中から「過去の検討会の開催状況」という資料を紹介しましょう。
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これを見ると、昨年12月から最近まで実施されていた「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」以前にも、4つの「検討会」があったことがわかります。正直なところ、これほど多くの関係者の声を集め、東日本大震災後などに一時中断はあったものの、7年近く続けられてきた「検討会」であることに驚きすらおぼえます。

では、そこでどのような内容が議論されたのでしょうか。これについても、前述の報告書から「過去の検討会等における主な意見」の記述を紹介することにしましょう。

意見①通訳案内士に求められる役割
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ここでは、3つの役割が期待されていることがわかります。すなはち、「語学力・豊富な知識」「ホスピタリティ」「旅行者の旅程管理」です。これらをすべて兼ね備えるというのは、そんなに簡単なことではないように思います。

意見②通訳案内士の試験
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ここではふたつの若干対立して見える意見に分かれているようです。ガイドの質に関わる問題だけに、当事者も含め、関係者にとっても意見の分かれるところなのでしょう。

意見③通訳案内士の研修
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訪日外国人旅行者の急増にともない、通訳ガイドに求められるニーズも多様化しており、試験合格後にもさまざまな研修が必要とされている実態がよくわかります。

意見④通訳案内士の地域・言語面での偏在
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前回述べた「都市」と「英語」への偏在が、訪日旅行市場の現場でどんな支障をきたしているのか、見えてきます。

意見⑤地域限定通訳案内士・特例ガイド
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2008年頃から進めてきた地域限定通訳案内士・特例ガイドの育成が思ったようには進展していないことがわかります。一般国民からみると、通訳案内士の実態すらよく見えない現状において、新設された通訳ガイドの存在とそれをめぐる議論の内容は、どこに落としどころがあるのか、よくわからないというのが正直な印象です。

意見⑥通訳ガイド料金、ボランティアの活用
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ここでは前回触れた通訳案内士の就業実態の背景を物語る意見が見られます。たとえば「ガイド料金の価格破壊」「旅行者が急増しているアジア諸国」などに関するものです。ボランティアの問題についても、現場からは厳しい声が聞こえてくるようです。

意見⑦無資格ガイド・悪質ガイドへの対応
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これが日本のインバウンドにとって実に悩ましい海外の「無資格ガイド・悪質ガイド」問題です。この件については、別の機会で実態も含め述べるつもりです。

意見⑧通訳案内士の活動機会の拡大 等
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ここでは外国人旅行者と通訳案内士をマッチングするシステムの構築や制度そのものに対する疑問などが触れられています。

これまでメディアは急増する外国人旅行者がもたらす「消費」や「経済効果」について多く報じてきました。ところが、現場の関係者の認識はそれほど単純なものではないことが、通訳案内士をめぐる「検討会」を通じて見えてきます。実際に、訪日外国人に接して旅行の案内をしている彼らだからこそ、抱えざるを得ない問題があるのです。

またこの問題は、それぞれの関係者ごとに見え方も違っているようです。これらの意見を集約して、新制度を立ち上げていくことは確かに簡単ではないでしょう。

ひとまずできることは、一般国民には見えにくい通訳案内士の現場をめぐる状況を広く知ってもらうことだと考えています。ここに至っては、関係者だけで解決できる問題ばかりではないことも多くの人にわかってもらうことが大事かと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-05-06 11:49 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 04月 30日

白頭山(長白山)の国際観光化の行方はいかに?

最近、北朝鮮が外貨獲得のために外国人観光客を呼び込もうとする動きを再開したことがいくつか報じられています。

北朝鮮 白頭山のふもとに国際観光特区を設置 【ソウル聯合ニュース(2015.4.23)】

「北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、中朝国境地帯にある白頭山のふもとの両江道三池淵郡に「国際観光特区」を設置したと報じた。特区指定に関する最高人民会議常任委員会の政令が22日に発表されたという。

北朝鮮による国際観光特区の指定は南東部の景勝地・金剛山(2011年)に続き2例目となる。金剛山と併せて白頭山観光を本格的に活性化し、外貨稼ぎに力を入れるとみられる。

政令によると、三池淵郡の茂峰労働者区の一部地域が「茂峰国際観光特区」に指定された。

茂峰労働者区は標高1220メートルの位置にあり、北朝鮮は2000年代初めから同地に宿泊施設や浴場などを建設し、「山中の休養所」と宣伝してきた。空港も近く、北朝鮮内の他地域に比べ観光産業の育成に必要なインフラが整っている」。

平壌・上海間に定期便=26日に就航-中国メディア【上海時事(2015.4.25)】

「中国のニュースサイト澎湃は25日までに、北朝鮮国営高麗航空の平壌-上海間の定期直行便が26日に就航すると報じた。これまで同路線はチャーター便だけだった。北朝鮮は最近、観光に力を入れており、中国人観光客の取り込みを狙ったとみられる。

直行便は毎週日曜と木曜に平壌から上海へ飛び、月曜と金曜に平壌へ戻るという。北朝鮮と中国を結ぶ定期便は現在、平壌-北京と平壌-瀋陽の2路線。上海からは夏季に観光用のチャーター便が出ていた。

北朝鮮は今回の定期便就航に合わせて、旅行商品の価格を下げたという」。

北朝鮮の高麗航空が中国河南省の鄭州と平壌を結ぶチャーター路線を開設【Daily NK 2015年04月27日】
http://dailynk.jp/archives/40394

「北朝鮮の高麗航空が中国河南省の鄭州と平壌を結ぶチャーター路線を開設したと、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が22日、中国人民日報の記事を引用して報道した。

報じられたチャーター便は、19日に鄭州空港を離陸し、2時間20分後に平壌空港に着陸した。平壌に到着した140人の中国人観光客は平壌市内、開城、金剛山、板門店などを巡る4泊5日のツアーに参加している。

高麗航空が直行便を開設した中国の都市はこれで6つ目。これまでにも上海、延吉、瀋陽、西安などに直行チャーター便を飛ばした実績がある。

平壌ー上海便は昨年7月から10月まで運行され、上海発は木曜日、平壌発は日曜日に運行されていた。

北朝鮮はエボラウイルス流入を遮断するために外国人観光客の入国を禁止していたが、解除されて以降は中国人観光客が増えており、今回のチャーター便就航もその流れによるものだ。

一方、中国の吉林新聞はも延吉ー平壌間のチャーター便が6月に運行を再開すると伝えている。高麗航空の関係者は同路線を10月まで運航し、搭乗率によっては定期路線化も視野に入れていると語った。

さらに、中国の人民網は、ハルビン空港の関係者がハルビン平壌路線の復活について高麗航空の関係者と協議していると伝えた。

高麗航空の路線拡大、サービス改善は飛行機好きの金正恩氏の意思でもある。韓国の中央日報によると、2012年5月に高麗航空機に搭乗した金正恩氏は「機内食の質を高めて乗務員の衣装も洗練されたものにせよ」との指示を出した。

それに伴い、CAの制服は新しいものになり、高麗航空名物とまで言われた機内食のハンバーガーも一般的な機内食に変わった。また、EUや中国政府に域内飛行禁止を言い渡された旧型機種に変わるツポレフ204-300、アントノフ148の導入、平壌空港新ターミナル建設など国を上げての努力を行ってきた。

ところがそんな努力のかいもなく、英スカイトラックス社が毎年発表している航空会社のランキングで4年連続最下位レベルの1つ星を記録してしまった。680あまりの調査対象で1つ星を授与されたのは高麗航空だけ。不名誉な記録に金正恩氏はたいそうお冠だろう」。

さて、聯合ニュースが伝えるように、北朝鮮は中朝両国の国境地帯となっている白頭山(長白山)を国際観光特区として開放し、現在活況を呈している中国側だけでなく、北朝鮮側にも国内外の観光客を招き入れたいと考えているようです。しかし、このアイデアはもう10年前から言われていたことで、2000年代半ばの核開発などをきっかけに悪化した中朝関係もあってか、まったく実現には至っていません。その間に、中国側は着々とインフラ開発を進め、今日では中国国内でも稀に見る美しい現代的な山岳リゾートエリアに様変わりしています。その様子は本ブログでもすでに何回か報告しています。ぼく自身は、2000年代以降、長白山には4回足を運んでいます。

いま中国で人気の山岳リゾート、長白山
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長白山(白頭山)は5つ星クラスの高原リゾート開発でにぎわっています
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中国側にはすでに5つ星クラスの山岳リゾートホテルができているというのに、北朝鮮側では、表向き宿泊施設はあるとはいっているものの、実際の宿泊客を長期にわたって滞在させることは難しいようです。確かに週1便の平壌・三池淵(白頭山の最寄空港)線のフライトは運航されていると聞きますが、日帰り客のみのようですから。

これだけ両国の観光インフラに差がついてしまうと、中国側から北朝鮮側に足を運んだ観光客は両国の発展の違いを強く印象づけられることでしょう。かつて金剛山では韓国による同胞としての温情的な投資で現代的なホテルや温泉施設などが建設されましたが、同じことを期待するのであれば、中国側の要求に対してそれ相応の譲歩をしなければならないでしょう。はたして北朝鮮はそれを受け入れられるのか。現状がずっと硬直して動かないのは、むしろ北朝鮮側の覚悟が足りないからのように見えます。先日(4月18日)白頭山を視察したという金正恩第1書記は何を考えているのか。

さらに、両国の間には、国力の圧倒的な違いだけでなく、歴史認識問題もあります。白頭山を朝鮮民族の聖山とみなす北朝鮮側と、もともと中国の領土だった長白山の一部を朝鮮にくれてやったとする中国側の認識には大きな隔たりがあるのです。

長白山(白頭山)が中韓対立の舞台となっている理由(「東北工程」とは何か)
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とはいうものの、もし本当に長白山(白頭山)の国際観光化が実現し、徒歩で両国を往来できるようになるのだとしたら、海外からも注目されることでしょう。開発の遅れたおかげで残されている北朝鮮側の原生林や高原植物は類まれな美しさでしょうし、これまで平壌経由でしか見ることのできなかった北朝鮮側から天池を眺めることもできるでしょう。

さて、前ふりがずいぶん長くなってしまいましたが、今回ぼくが書きたかったのは、いまはなき長白山のユニークな温泉旅館の話です。
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それは1998年に中日合資で建設された長白山国際観光ホテル(当時)です。開業当時は、長白瀑布から徒歩15分という好ロケーションにある唯一の現代的なホテルで、源泉から引いた温泉やサウナもあり、長白山で山岳リゾートライフを楽しむには最適の宿でした。
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露天風呂もあって、春先はまだ雪も残る長白山登山で冷えた身体を温めてくれました。
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客室も広く快適で、2000年代初頭の中国の山岳地域ではこれだけの設備を伴う宿泊施設は少なかったと思います。

このホテルを開発したのは在日朝鮮人のP氏でした。1992年の中韓国交正常化以降、多くの韓国人観光客が長白山を訪ねるようになったこともあり、栃木県の運輸業者だったP氏はこの地に投資したのです。

ぼく自身はこのホテルを2回訪ねています。ある年の5月、北朝鮮から招聘した服務員たちの歓待を受けたことがあります。
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そうなんです。中朝国境に近い山岳地帯で北朝鮮の美少女楽団による演奏会と食事でもてなされたのです。

これがそのときの写真です。よくもまあこんな山奥でこれだけの皆さんを揃えられたものです。
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演奏後もかいがいしく働く彼女たちの様子をカメラマンは撮り続けています。ちょっと想像してみてください。我々はまるで浦島太郎になって竜宮城にでも来たような気分になっていたのです。
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今思えば、こういうもてなし方というのは、朝鮮の伝統的な手法といえるでしょう。我々はまんまとそのお膳立てに乗せられてしまったのかもしれません。朝鮮側の宣伝戦の一端を担わされたといえなくもないからです。

もっとも、その引き換えとして我々が提供できたのは、このホテルの紹介記事をある旅行ガイドブックに載せただけのことです。実際には、たいした宣伝効果はなかったわけですが、それを見た中国側の理解は若干違ったかもしれません。

2008年頃から、すでにこのホテルは吉林省政府がこの地域の観光開発を主導するために設立した長白山管理委員会から買い上げを迫られていました。長白山の観光利権を海外資本に与えることなく、中国側がすべてを握ろうとしていたのです。

その後、このホテルは12年に完全に閉鎖されてしまいました。14年夏に訪れたときは、跡形もなく取り壊されていました。
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これが取り壊し前の長白山国際観光ホテルの外観です。ご覧のとおり、平壌によくある朝鮮風の建築でした。中国側からすると、これも問題とみなされたかもしれません。ここは中国なのだから、というわけです。そうでなければ、取り壊しまでする必要はないではありませんか。

こうしたもろもろの背景があったにせよ、このホテルの野趣あふれる露天風呂は素晴らしかったと言っておきたいと思います。

今、長白山周辺には国際的なリゾートホテルが続々建設されています。その一軒にぼくは泊まったことがありますが、施設は立派に設計されているものの、肝心の温泉の運用に問題がありました。お湯がぬるすぎるのです。泉質については、さすがに悪くはないのでしょうが、お湯の温度調節ができていないのです。おそらく現地スタッフはこうしたことに慣れていないのでしょう。

その点、長白山国際観光ホテルの露天風呂はまさに源泉かけ流しそのもので、湯加減もサイコ―でした。在日の方とはいえ、日本の温泉文化をよく知る人物が設計していたからでしょう。

【追記1】
5月末になって以下のニュースが報じられました。

金正恩体制の聖地「白頭山」へ向かう観光鉄道工事再開(Daily NK 2015年5月30日)
http://dailynk.jp/archives/44934

その一部を抜粋します。

「白頭山観光鉄道(三池淵線)」は、朝鮮の霊山であり、金正恩体制の聖地「白頭山」と麓を結ぶ鉄道だ。両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)と鯉明水(リミョンス)を結ぶ森林鉄道として日本植民地時代に開通したが、1948年に一般鉄道に転換。これまで革命史蹟訪問に利用されてきたが、1994年に大洪水で路盤が流出した。(中略)

今回の工事において、北朝鮮当局は始発駅を渭淵(ウィヨン)駅から数キロ内陸に入った大五川(テオチョン)駅に変更、線路を付け替えて路線を新設した。

再開した理由だが、金正恩体制の正当性の柱「白頭の血統」をより強調するためにも復旧すべきという判断があったと見られる。金正恩氏は、白頭山観光鉄道の新設路線の測量結果を受け取り、2015年4月から復旧工事を再開せよと指示を下したという。

しかし、故日成氏の誕生や人民軍創設記念日などの準備に忙殺されたが、5月25日になって、ようやく工事が始まった。両江道の内部情報筋によると、2万人にも及ぶ人々が特別列車に乗って現地に到着したという。また、工事用の機械や資材を載せた列車も続々と到着している。

しかし、今回動員されたのは通常の「6.18突撃隊」ではなく、各道で選抜された人員からなる「白頭山観光鉄道突撃隊」という。

当初は、3万人が動員され「2020年の完成」を目指したが、完成目標が来年の10月10日に労働党創建日に前倒しとなった。また、前回の工事中断後「高山果樹農場」の建設に投入されていた「6.18突撃隊」も今後は再合流して、合計7万人という大規模動員を投入する予定という。

今のところ、「労働者用の宿舎を建設している段階」(内部情報筋)だが、目標に間に合わせるために「速度戦」、つまり杜撰で手抜きだらけの突貫工事になる可能性が高い。

※朝鮮に対する批判的な姿勢はお約束事の「突貫工事になる可能性が高い」で結ばれている記事ですが、朝鮮側に白頭山を観光地化したいという意向があることはうかがえます。それが実現できるかどうかはまた別の話です。

【追記2】
さらに、7月には中国発白頭山行きのバスツアーが始まったようです。

今年7月から中国発白頭山(北朝鮮)ツアーが始まったそうです
http://inbound.exblog.jp/24763312/
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by sanyo-kansatu | 2015-04-30 09:19 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)