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2013年 07月 24日

無敵の東京ディズニーリゾートも外国人客比率はわずか3%!?【2013年上半期⑧テーマパーク】

2013年4月15日、東京ディズニーリゾート(TDR)は開業30周年を迎えました。
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「東京ディズニーリゾート 30年とけない魔法」(朝日新聞2013年4月14日)によると、「この3月までの1年は(入場者数)2750万人。過去最多だ。使うお金も前年を越す1万420円(入場券込み)との予想」「よちよち歩きの子どもが親となり、自らの子どもの手を引いて同じ場所でカメラにおさまる。入園者も、使うお金も過去最高だ。『夢と魔法の王国』はデフレにも強い」とその好調ぶりを報じています。

背景には「83年、TDLが開園し、01年には隣にディズニーシーがオープン。30年がたち、大きな強みは3世代で楽しむ人たちが増えていること」だと指摘しています。

読売新聞も3回に分けてTDRの「圧倒的な集客力の秘訣」を次のように解説しています。

「3世代でディズニー 大人のファン着実に獲得」(読売新聞2013年4月16日)

「(日本の人口構造における)ファミリー層の減少はレジャー産業には逆風となる。この課題に対応しようと、TDRを運営するオリエンタルランドは経営手法を変えてきた。07年度から『ディズニーのおとな旅』という周遊プランの販売に力を入れている。(中略)こうした取り組みで、TDRの11年度の入場者に占める40歳以上の割合は19%と、97年度から10ポイントも上昇し、全体の入場者数も右肩上がりで伸びている」

「巨額投資と集客 好循環」(同4月17日)

「TDLとTDSが、何度も訪れるリピーターを引きつける力の源泉は、入場者を飽きさせないためにアトラクションなどに投じる巨額の設備投資だ」「(その額は)この10年間、アトラクションの新設、パレード、イベント、直製ホテルの建設など年平均で約351億円」「例えば、約210億円をかけてTDSに作ったタワー・オブ・テラーが誕生した2006年度の入場者数は前年度から105万人増えた」「巨額の投資を客足の増加に確実につなげる好循環が確立しているのだ」

「おもてなし術 業界に浸透」(同4月18日)

「30年間かけて進化したTDRのきめ細かい接客は、テーマパーク業態全体に広がりつつある」と指摘し、ハウステンボスなどもTDRをお手本に接客研修を始めていることを報じています。

「主要テーマパーク好調」(日経MJ2013年4月29日)によると、TDRに限らず、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)やハウステンボスなど、日本を代表する3つのテーマパークが好調な集客を見せているとのこと。「新アトラクション効果や消費改善」が利いているそうです。その一方で、「大手は好調 中小厳しく 遊園地・テーマパーク」(日経MJ2012年11月14日)との報道もあります。テーマパークの集客にも二極化が起きているようです。

ところで、TDRに外国人客はどのくらい来ているのでしょうか。TDRを運営するオリエンタルランドのHPをみると、入場者の外国人比率は、最新の2011年が震災の影響でわずか1.3%、その年の入園者数が2534万7000人ですから、33万人弱の計算になります。過去6年間で最も比率の高かった2007年で4.2%、外国人客は約107万人になります。以後、若干減少して平均すると、わずか3%前後のようです。

TDR 入園者数データ(オリエンタルランド)
http://www.olc.co.jp/tdr/guest/

【追記】
上記データによると、2014年の外国人比率は5%のようです。

とはいえ実際のところ、この数字が少ないといえるのかどうか、判断する指標はありません。たとえば、2007年の訪日外国人数のトータルは835万人、そのうち107万人がTDRに来たとすると、13%弱ということですから、けっこう高い比率といえるかもしれません。他のアジアのテーマパークを例に出すと、香港ディズニーの2011年度の入場客数は590万人と振るいませんが、韓国のロッテワールドは758万人で、前年度比36.6%増。中国からの観光客が増えた結果、これほどの伸びを見せたそうです。

世界のテーマパーク入場者数報告(Global Attractions Attendance Report)http://10rank.blog.fc2.com/blog-entry-36.html

国内では飛びぬけた存在となったTDRは、今後「日本流の独自色を強く打ち出す」そうです。

「日本流で『祭り』に華 参加型の企画、本家も逆輸入」(日本経済新聞2013年1月8日)

たとえば、「TDS限定のダッフィーのぬいぐるみは今やグッズ販売の稼ぎ頭。11年夏には一緒に写真撮影などができるアトラクションが登場し、今回の正月イベントではミッキーと並ぶ主役に躍り出た。その評判は海を渡り、香港ディズニーランドが導入。米国のディズニーランド・リゾート(カリフォルニア州)やウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(フロリダ州)も『逆輸入』している」。

また夏のイベント「ディズニー夏祭り」は「日本の伝統的な夏祭りをディズニー流に演出したイベントは話題この演奏などに合わせ、キャラクターがダンスを披露。ちょうちんや旗で飾り付けた園内ではお面やうちわなど夏祭りの定番グッズを販売し、お好み焼きやかき氷も用意する」。

「TDLの建設・運営に関し、米ディズニーと基本合意したのは1979年。以来、オリエンタルランド(OLC)は米ディズニーを手本にしてきた。その姿勢を見直し、テーマパーク運営で独自色を打ち出すようになった背景には日本の消費者の変化がある」「参加型の企画」が求められているそうです。

こうして日々独自に進化を続けるTDRは、国内の他のアミューズメント施設のように、入場客の減少を外国人客で補う必要などなさそうです。いまやTDR発の企画が海外に「逆輸入」されるほどなのですから。すごいことですね。

※ちなみに、2013年は国内のテーマパークに多くの東南アジア客が訪れたようです。

テーマパーク、東南アジア客をつかむ
http://inbound.exblog.jp/22017310/

【追記】
この記事は3年前に書かれたものです。最近の報道によると、2015年のTDRの外国人比率は6%になっているそうです。またTDRの入園者数は伸び悩んでいて、代わりに大阪のUSJが好調といいます。

上海では6月中旬、いよいよ上海ディズニーがオープンします。

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

(2016.4.11)
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by sanyo-kansatu | 2013-07-24 17:58 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 22日

大型クルーズ来航で富裕層は本当に立ち寄るのだろうか【2013年上半期⑦クルーズ】

近年、海外からのクルーズ船を誘致する動きが全国各地で見られるようになっています。
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「大型クルーズで観光振興 富裕層立ち寄り期待」(日経MJ2013年2月18日)

「外国船籍の大型クルーズ船による、国内港を発着するクルーズの就航や寄港が相次ぎ決まった。誘致に成功した地元では富裕層が立ち寄ることで観光振興や経済効果に期待が高まっている」として、横浜や京都(舞鶴)、富山(伏木富山)などの誘致事例を紹介しています。

●横浜
2014年4月から10月にかけて米大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」を誘致。北海道、九州など国内15港や韓国、台湾、ロシアなどを巡るクルーズが20回実施される予定。

●京都
2014年春から秋にかけて舞鶴港に前述の「ダイヤモンド・プリンセス」が寄港し、約1万人が同港を訪れる見通し。府は舞鶴や周辺の市町村と連携し、天橋立など日帰りできる観光名所への波及効果を狙う。

●富山
9月10日、米ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(フロリダ州)の大型客船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が伏木富山港に寄港する。ボイジャーは、上海を母港とするアジア最大のクルーズ船で総トン数13万7000トン。定員は乗客3840人、乗務員1176人。天津を9月7日に出発し、伏木富山、室蘭、東京、長崎、釜山を経由して19日に天津に戻る。

今年3月下旬、ぼくは沖縄に寄港する大型クルーズ船の実態(「20回 観光の島、沖縄でいま何が起きているのか?」を取材しましたが、九州や沖縄に寄港する外国の大型クルーズ客船の来航は、街の風景を大きく変えています。
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ただし、そこで紹介した沖縄のカジュアルな台湾クルーズ客の例もそうですが、大型クルーズ客船の乗客が「富裕層」と呼べるかというと、必ずしもそうとはいえません。なぜなら、クルーズ客船には以下の3つのランクがあり、1日当たりの料金も中身もずいぶん違うからです。

●ラグジュアリークラス
1日当たりのクルーズ料金が400ドル以上。1万数トン以下の小型船から、大きくても5万総トン程度が多い。このクラスの客船なら、料金に見合った最高のサービスが提供されます。上級者向け(≒富裕層)のクルーズといえそうです。

●プレミアムクラス
1日当たりのクルーズ料金が200ドル前後。乗客数1200人前後の中型客船が主流だが、最近は10万総トンなど大型化が進んでいます。乗客はシニア世代で、運航エリアはカリブ海、アラスカ、地中海、世界一周など幅広い。前述の「プリンセス・クルーズ」はこのカテゴリといえます。

●スタンダードクラス
1日当たりのクルーズ料金が100ドル前後、またそれ以下の安価なクルーズ。運航エリアは東南アジアやカリブ海など。大型客船も多い。「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」や「コスタ・クルーズ」「スター・クルーズ」などがこのカテゴリ。

要するに、日本に寄港するアジアからのクルーズ船はスタンダードクラスが多いのです。日本のマスコミが「(海外)富裕層」というとき、どういう定義でそれを使っているのかわかりませんが、一般に船が大型になるほどクルーズ船はカジュアル化することは確かでしょう。

大型客船の寄港といえば、「大型クルーズ船 レインボーブリッジくぐれず 大井水産物埠頭に着岸」(日本経済新聞2013年1月11日)という話もありました。

「東京都は大型クルーズ船の着岸場所として、海産物の荷揚げ用の大井水産物埠頭(東京・大田)を4月から活用する。現在は晴海客船ターミナル(東京・中央)に国内外の客船が寄港しているが、船体の高い大型クルーズ船は晴海に向かう途中にあるレインボーブリッジをくぐることができなかった。都心とシャトルバスも運行し、外国人富裕層の観光誘客体制を整える」

同紙では「晴海客船ターミナルは1991年の完成。2年後にできたレインボーブリッジの橋桁は高さ52m。当時世界最大の『クィーンエリザベス2世号(QE2)』が通過できるように設計したが、QE2を上回る大型クルーズ船が次々と完成し、晴海を使えない例が増えている。受け入れ第1弾となるのは、中国・上海から4月末に初入港するバハマ船籍の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」。全長331m、全幅48m。QE2の2倍、沈没したタイタニックの3倍の大きさを誇る(中略)水面からの高さが63mもあるため、レインボーブリッジをくぐれなかった」と書いています。

ちなみに、2011年の外国船籍のクルーズ船の国内寄港回数は、1位が石垣港(42回)、2位が那覇港(37回)、3位が博多港(26回)。東京港は0回でした。

ともあれ、外国船籍のクルーズ船の来航が増えるにしたがって、入国審査の短縮も受け入れ体制上の課題といえます。次のような報道もあります。

「新時代の入国管理 大型クルーズ船審査急げ」(日本経済新聞2013年6月12日)

「豪華な船旅が楽しめるクルーズ船が人気で、大型船が入稿できる九州の港にも立ち寄るようになった。買い物需要が期待できると地方の誘致熱は高まる。

客の観光上陸(入国)は半日程度。シーズン初めの3月下旬に鹿児島港に入った客船(11万6000トン)は豪州発で乗客1000人。午前8時から30分ごとにバス30台が市内観光に客を運ぶ。出港は午後4時だ。

1分でも長く滞在を楽しんでもらうためには、入国審査時間の短縮がカギを握る。福岡入国管理局鹿児島出張所は福岡から応援部隊を得て18人のチームを編成し審査に臨んだ。未明に集合して乗船すると6階と7階の食堂ラウンジに臨時の審査場を設営した。

午前7時20分、横一列の審査台の前に乗客が並び審査開始。乗客は指紋照合だけ済めば、旅券の写しの表側に仮上陸許可証を貼ってもらい、次々と下船する。乗客誘導など乗員も全面協力し、2時間でほぼ全員が審査場を通過した。

仮上陸許可は審査完了前に入国を認める措置で、クルーズ船に適用した。入国審査官は船内に残り預かった旅券審査にかかる。出国手続きもすませる」

クルーズ客に対する入国審査の合理化、スピードアップは、「観光立国」を目指す日本の国策のひとつというわけです。

※日本のクルーズ振興、とりわけ外客を乗せたクルーズ船の誘致については、下記の国土交通省のまとめた資料に大まかに整理されています。ただし、これが書かれたのは、2012年8月という尖閣事件の直前にあたり、その年の7月までは中国から多くの大型クルーズ客船が九州や沖縄に寄港していた時期のもので、それ以後の状況は一変しています。要するに、中国(上海発がほとんど)からのクルーズ客船は激減しました。それでも、2013年秋頃から、少しずつ上海発クルーズ客船が来航するようにはなってきています。

参考 港湾におけるクルーズ振興を巡る現状と課題(国土交通省資料)(2012年8月)
http://port-of-hakata.city.fukuoka.lg.jp/topic_pdf_2/503f1465d02db7.78882769.pdf
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by sanyo-kansatu | 2013-07-22 16:26 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 21日

アジア系観光客の買い物先が百貨店とアウトレット、量販店だけだとしたら…【2013年上半期⑥小売業】

2013年上半期、日本の宿泊業や飲食サービス、一部の小売業の景況感が回復しているようです。

「宿泊・飲食業 景況感プラス 訪日客が押し上げ 小売業は横ばい」(日経MJ2013年7月3日)

「流通業やサービス業の景況感の改善が進んでいる。日銀がまとめた6月の企業短期経済観測調査(短観)によると企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業・非製造業でプラス12だった。2四半期連続の改善となり、3月調査から6ポイント上昇した。プラス12はリーマン・ショック前の2008年3月調査と同じ水準。宿泊・飲食サービスの回復が目立った」

背景には、訪日外国客の増加の影響があるようです。

「宿泊・飲食サービス業の改善を後押ししているのはこのところの円高修正だ。訪日外国人観光客の増加による押し上げ効果は大きく、京王プラザホテル(東京・新宿)は5~6月の外国人宿泊客の比率が前年同期の50%台から60%台まで上昇。タイやインドネシアなど東南アジアからの旅行客の伸びが目立つという」

※宿泊業の動向については「東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】」を参照。

ところが、外国人観光客の買い物による地域経済への波及効果を期待する声は多いにもかかわらず、実際には「小売業は横ばい」と宿泊や飲食サービスに比べ、景況感の回復は見られないようです。

なぜなのか。ひとことでいえば、外国人客が買い物に訪れる場所は限定的だからです。

たとえば、「百貨店では海外高級ブランドなどの高額品に加え、訪日外国人向けの販売も好調。大丸松坂屋店では6月の免税売上高が2.5倍となった」とのこと。

「百貨店の外客売上120%増」(週刊トラベルジャーナル2013年7月8日)

「日本百貨店協会が発表した5月の外国人観光客の売上高・来客動向によると、調査対象44店舗の総売上高は前年同月比122.7%増の33億1615万円となった。(中略)今年2月以降、拡大基調が続いている。伸び率は、中華圏の旧正月時期に当たった2月(115.2%)を上回った」といいます。

ところが、「所得の本格回復が遅れているため、日常的な買い物が中心のスーパーは苦戦が続く。日本チェーンストア協会がまとめた5月の全国スーパー売上高(既存店ベース)は前年同月比1.2%減」(日経MJ2013年7月3日)だったのです。

つまり、訪日外国人の4分の3以上を占めるアジア系旅行者の増加によって恩恵を受けるのは、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に限定、といえるかもしれないのです。

実際、訪日外国客の増加を背景に、不動産デベロッパーらのアウトレットモール開発の動きは盛んになっています。

「アウトレット2強 訪日外国人に照準」(産経新聞2013年4月20日)

「売れ残ったブランド品などを格安で売るアウトレットモールで、不動産大手2社の競争が激しくなっている。三菱地所が19日、千葉県酒々井町に新たな施設をオープンしたのに対し、ライバルの三井不動産は同県木更津市のアウトレットの増床を決めた。両社とも成田空港を利用する訪日外国人らを主要ターゲットに集客に工夫を凝らす」

同紙によると、両社の主なアウトレットモールの店舗は以下のとおり。

●三菱地所 
御殿場プレミアム・アウトレットと関西空港に近いりんくうプレミアム・アウトレットほか9施設
http://www.mec.co.jp/j/service/shopping/

●三井不動産
三井アウトレットパーク木更津ほか12施設
http://www.mitsuifudosan.co.jp/shopping/

日経MJ2013年5月13日では、今年4月中旬にオープンした「成田の近く 外国人客誘う 酒々井プレミアム・アウトレット」について次のように報じています。
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「三菱地所・サイモン(東京・千代田)が4月19日に開業した酒々井プレミアム・アウトレット(千葉県酒々井町)。成田空港からバスで20分ほどと近いため、外国人客を意識した工夫を凝らした。アウトレット施設の飽和感が指摘される中、リピート客を取り込むためのテナント構成にも気を配るなど他にない特徴を打ち出している」

「通常、アウトレットの主役はアパレル店で、全店舗の5割程度を占めるが、酒々井は5割を切る」「その分、リピート率が高まる雑貨店などのライフスタイル関連の店を充実」「フードコートも集客の目玉だ。アウトレットの中でも最多の800席で飲食テナントは8店が入る」「このほか、国内のアウトレットで初めて外貨両替所を設置。米ドルのほか、中国元やタイバーツといった主要な通貨を扱う」「外国人に親しみやすいテナントも入れた。カジュアル衣料の『ユナイテッドアローズ』やバッグなどのブランド『サマンサタバサ』、時計の『セイコー』『シチズン』は外国人客の評判が良いという」

タイや中国などのアジア系観光客の多くが現状では「弾丸バスツアー」による団体客である以上、百貨店とアウトレットモール、各種量販店に買い物先が限られてしまいがちなのは、ある意味無理もない面があります。ツアー形態が買い物先をある程度固定してしまうからです。最近オープンするアウトレットモールの多くが外国人観光客の一般的なツアーコースの動線に沿った場所に立地しているのもそのためです。

その結果、北海道や九州などでは、いくらアジア系外国人が大挙して来ても、地元の商店街にはお金がまったく落ちないという声が以前からずっと聞かれています。

これはツアー形態の問題だけではなく、アジアの新興国の場合、中間層以上の人たちの日常的な買い物先が自国の巨大なショッピング施設で行われているという実態からも説明できそうです。彼らはショッピングモールのような空間で買い物をすることに慣れているのです。エアコンの効いた場所でのんびり過ごすというのが、週末レジャーの過ごし方であり、それが便利で気が利いていることだと信じているのです。そういわれると、返す言葉がありません。

こうしてみると、訪日外国人客がいくら増えても、その多くがアジア系の新興国の人たちであるとしたら、地域にまんべんなく経済効果をもたらすというものではないことをそろそろ知るべきかもしれません。この点については、すぐに簡単な解決策はありませんが、考える必要はありそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-21 20:06 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 19日

「訪日韓国人 回復進む 円安ウォン高で拍車」【2013年上半期⑤韓国客】

「韓国からの訪日客が回復している。日本政府観光局の19日の発表によると、1月に日本を訪れた韓国人の数は23万人余りで、前年同月を3割強上回った。進む円安ウォン高の効果もあり、東日本大震災前の水準に迫っている。九州などの観光地は韓国人客でにぎわう光景もみられ、足が遠のいたままの中国人客とは対照的だ」(日本経済新聞2013年2月20日)
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「原発事故の影響で減った韓国人客は、昨年春ごろから回復。李明博韓国大統領の竹島(韓国名・独島)訪問で9月に鈍化したが、その後は増加基調を維持する。特に円安がウォン相場を押し上げた昨年11月以降は拍車がかかった」

同記事では、「九州旅客鉄道(JR九州)が韓国・釜山-長崎県・対馬間で運航する高速船は、1月の利用客が50%増加」「福岡市の商業施設『キャナルシティ博多』では、韓国人を中心に外国人客数が『足元は昨年夏の2倍』(運営する福岡地所)。ハウステンボス(長崎県佐世保市)は1月の韓国人入場者数が前年同月比18%伸びた」と報じています。

その一方で、「韓流ブーム 冬の気配 竹島・円安で観光客急減」(朝日新聞2013年4月16日)と韓国を訪れる日本人は急減しているという対照的な構図が報じられています。

「韓国を訪れる日本人が減っている。竹島問題や『アベノミクス』による円安に加え、『北朝鮮リスク』が追い打ちをかける。10年を迎えた韓流は曲がり角を迎えているのか」

「統計も日本人客の減少を裏づける。韓国観光公社によると、日本の観光客数は昨年1~8月まで全円を上回っていた。ところが、翌9月から急減。安部政権が生まれた昨年12月から、前年を2割前後下回る月が続く。特に韓流ブームを支えたとされる50代以上の女性が3割以上減っている」そうです。

訪日韓国人が増えたのは、円安に加えて、「LCC就航拡大 韓台から若者来やすく」(日本経済新聞2013年6月9日)なったこともありそうです。

「格安航空会社(LCC)の就航拡大により、台湾や韓国の若者が日本に旅行しやすくなっている――。観光庁の調べてこんな傾向がわかった。両国・地域からLCCを利用して来日した観光客の5割近くが30歳未満で、一般の航空会社より若年層の利用が多かった」

日本に発着するLCCは今年2月の時点で韓国が16、台湾が3。「両国・地域から日本への航空運賃は、LCCの方が一般の航空会社より2~3割安い」。そのぶん、「日本滞在中の平均支出額をみると、台湾はLCC利用者が9万3000円と一般の航空会社の利用者に比べ、2割少ない。韓国のLCC利用者も5万8000円と同3割少なかった」そうです。

同じことは「LCC訪日客、出費少なく」(日経MJ2013年6月9日)により具体的に報じられていました。ここでも、韓国のLCC利用者は「大手旅行会社の利用者に比べて運賃は約1万円安く、旅行期間中の1人あたりの支出額についても2万円程度少なかった。買い物をする場所はスーパーやショッピングセンター(SC)、若い女性の個人旅行が目立つ」そうです。

さらに、LCCを利用する韓国の若い女性の訪日旅行者は「来日回数では初めてという人が4割」と、必ずしもリピーターばかりではないことが興味深い結果といえます。一般にLCCは旅慣れた旅行者が賢く利用するというイメージが特にヨーロッパの事例などでは指摘されますが、アジア圏の場合、必ずしもそうではなく、これまで飛行機に乗ったことがなかったような層が利用を始めていることがここでもわかります。この点については、別の回で紹介します。

最後に、韓国人が大勢押し寄せている長崎県・対馬についての報道です。

「国境と歴史の島 長崎県・対馬に住んでみる」(日本経済新聞2013年7月6日)によると、「とにかく韓国の人が多い。対馬市厳原を訪ねた最初の印象だ。旧対馬藩府中(城下町)の小道を歩く。出会う人の大半は、団体や家族連れの韓国人観光客だ。昨年の来島者は約15万人。週末、土産店周辺には観光客があふれる。釜山・対馬間にはJR九州高速船、韓国の未来高速など3つの船会社が就航。厳原まで高速船なら2時間だ。釜山からは1万円弱の日帰りツアーもある。『異国情緒が手軽に味わえ、気分転換になる』(母親と来た女性会社員、30歳)、『歴史に関心がある。自然が豊かで町がきれい』(農業の男性、40歳)。登山も釣りも好まれ、対馬は『安・近・短』な観光地と親しまれる。隣国というより隣町感覚だ」

ただこんな声もあるようです。「韓国人観光客は決まったコース、飲食店、ホテルなどを利用するケースが多く、一般商店や飲食店の売り上げには直接つながらない」「観光客の賑やかさとは裏腹に、島の一部にはどこか冷めた視線がある」

「それでも島の活性化を目指す市は状況打開に知恵を絞る。例えば、観光情報や飲食店のメニュー、値段などを写真付きで見られるスマートフォン用韓国語アプリを長崎県観光連盟と協同で昨年秋に開発。対馬全体で約160の店や観光スポットの紹介を始めている」

いま対馬で起きていることは、日本のような島国の場合であっても、国の中央だけでなく、周縁からグローバル化が進んでいくというわかりやすい事例になっていると思います。こうした外からの人の流れによって、過疎といわれた地方も新たに活況を呈してくる。かつてのような日本と周辺国との圧倒的な経済格差が埋まり、富が平準化することで、日本も海外の人たちが自由に往来する「インバウンド社会」へと少しずつ移行しつつあるということでしょう。これからの国や地域のあり方をもっと考える必要がありそうです。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-19 18:01 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 16日

「東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」【2013年上半期②外客動向】

2013年に入り、新聞各紙は訪日外国人観光客が戻ってきたことを報じています。なかでも東南アジア客の動向に注目が集まっています。

「観光地 戻る外国客」(読売新聞2013年5月2日)はこう報じています。

「東日本大震災の影響で一時減った外国人観光客が戻ってきた。背景には、安部政権の経済政策『アベノミクス』による円安や、原発事故に伴う放射能の風評被害が収まってきたことなどがあるとみられる。商機とみて受け入れ態勢を強化する施設もある」

同記事では「円相場を見て5日前に(訪日を)決めた」という浅草を訪れたタイ人客に話を聞き、「アジアを中心に日本旅行は『お得だ』という感覚が広まっている。数か月前に予約が決まるツアー客中心の欧米も延びてきそうだ」(観光庁国際交流推進課)のコメントを紹介。「富士山河口湖町では4月上旬、英語・中国語表記だったガイドマップのタイ語版を2万4000部作成」したこと、「新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)も、今年1~3月の外国人客数は前年同期から6割増」「海外で広がる日本流ラーメンブームの影響もあるとみられる」と分析しています。

5月下旬になると、訪日客の主役は東南アジア客だとの報道が急増します。

「首都圏観光、東南アが主役」(日本経済新聞2013年5月25日)

「外国人観光客が急増している。日本政府観光局によると4月の訪日客数は92万人となり、単月で初めて90万人台に達した。特に伸びているのが、経済成長で所得の拡大する東南アジア。格安航空会社(LCC)の増便も追い風で、首都圏の観光地はタイなどからの観光客の姿が目立つ。東京スカイツリーや富士山といった名所ばかりでなく、銭湯やラーメンなども人気を集める」

さらに、日本政府観光局による5月の訪日外客数が発表された6月19日の翌日には、各誌が主役の来訪の動向を取り上げています。

2013年5月の訪日外客数(日本政府観光局)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/130619_mothly.pdf

「観光 東南アジア客急増 中間層が拡大 円安も追い風」
(朝日新聞2013年6月20日)
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「東南アジアから日本を訪れる観光客が増えている。日本政府観光局が19日発表した5月の訪日外国人数では、タイ人客が昨年5月より7割近くも増えるなど、各国がのきなみ2ケタの伸びを記録。昨秋の尖閣問題をきっかけに低迷が続く中国人客の分を、カバーする勢いだ」

「円安で外国人客増 5月旅行者最多 百貨店『追い風に』」
(読売新聞2013年6月20日)

「最近の円安による割安感から外国人旅行者が増え、百貨店で免税売り上げが伸びるなど、国内経済にもプラス効果が出始めている。5月の百貨店の免税売上高はこれまでの最高水準で、百貨店業界は『業績の追い風にしたい』と期待を寄せている」

「5月の訪日客、31%増 アジアから航空便増、円安も貢献 北海道・九州にも広がる」 (日本経済新聞2013年6月20日)

「日本政府観光局が19日まとめた5月の訪日外国人数は87万5000人と前年同月比で31%増加した。2月から4ヵ月連続のプラスで、5月としては過去最高。円高の修正に加えて航空便の増加が追い風になり、地方のホテルや商業施設でもアジアの観光客が増えている」

各紙のポイントとしては、朝日が東南アジア客の急増で尖閣問題以降の中国客の減少をカバーしたこと。読売が百貨店の免税売上にアジア客が貢献していること。日経が新千歳空港の5月の国際チャーター便の前年同月比2割増や、福岡の商業施設「キャナルシティ博多」を訪れるバスの台数が増えていることなどから、大都市圏だけでなく地方へも訪日客が増えていることを指摘しています。

東南アジア客の急増をふまえ、アセアン3カ国の訪日旅行の背景を分析する記事もあります。

「ASEAN、日本食に関心 旅行先、比較対象1位は韓国」(日経MJ2013年5月1日)

「今年は日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力40周年にあたる。リクルートライフスタイルの調査によるとシンガポール、タイ、マレーシアの3カ国からの訪日旅行のきっかけは車や家電を抑えて日本食が1位だった。四季の景色や古都への満足度も高く、都市化が進むASEANの人々が高い関心を寄せている姿が浮かんだ」

この記事は、リクルートライフスタイルの観光調査研究部門、じゃらんリサーチセンターが過去3年間に訪日経験がある人を対象に実施した調査を解析したもの。その結果は以下のとおりです。

●ASEAN3カ国からの訪日旅行のきっかけ

1位 日本の食事
2位 自然や風景
3位 ライフスタイル
4位 伝統的な文化
5位 製品・電子機器
6位 日本人の気質や人柄
7位 芸術
8位 アニメや漫画
9位 建築
10位 経済・産業

●訪日旅行で同時に検討した国・地域

1位 韓国
2位 中国
3位 台湾
4位 香港・マカオ
5位 シンガポール

●訪日の満足度(非常に満足したという回答)

1位 花見、紅葉、雪景色など季節の風景を見る
2位 日本式旅館に泊まる
3位 農村風景や田園風景を見る
4位 ローカルフードを食べる
5位 海や山などの自然の景色を見る
6位 刺し身、寿司など、生ものの日本食を食べる
7位 和牛や豚肉の料理を食べる
8位 世界遺産に行く
9位 日本の城を見る
10位 アウトドアスポーツ

同記事は、上記の調査を以下の3つのポイントに整理しています。
①ASEANからの訪日旅行のきっかけは「日本製品・電子機器」を抑え「食事」が1位
②訪日旅行で同時に検討した国・地域は3カ国ともに「韓国」が1位
③日本旅行で満足したことは「季節の風景」「日本式旅館」「農村風景や田園風景」が上位

この結果は、もしかすると意外に思われたかもしれません。でも、東南アジア客が増えている背景に、日本の自然や食事、旅館など、飾ることのない素顔の日本的な要素が挙げられていることは、ちょっとうれしく思いませんか。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-16 19:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 16日

東京・大阪のホテル稼働率は震災前を大きく上回る水準に【2013年上半期①ホテル】

2013年に入り、インバウンドを取り巻く状況が変わってきたようです。今年上半期の新聞各紙から興味深い動きをピックアップしていきます。まずはホテルの動向から。
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「都市ホテルの稼働率が一段と上昇している。日本経済新聞社の調査によると、東京では4月の稼働率が9割を超すホテルが続出。円安による外国人客の増加に加え、景気回復基調で国内観光の客足も戻った。大阪でも稼働率は高水準。インターコンチネンタル大阪が5日開業するなど外資系を中心に新規開業が増えており、競争環境は今後激化する見通しだ」(日経MJ2013年6月7日)

同紙では「東京・大阪の主要都市ホテルの稼働率は震災前を大きく上回る水準に」「2013年4月の主要19ホテルの平均客室稼働率は88%と前年同月比5.7ポイント上昇」「ほぼ10年ぶりの高水準となった」「宿泊客に占める外国人比率が4~6割に達する例も目立った」としています。

以下、都内の主なホテルの①客室稼働率と②外国人比率の〔昨年4月→今年4月〕を公表しています。

京王プラザホテル ①86.7→92.8 ②60%台前半→60%台後半
ホテルニューオータニ ①61.8→72.8 ②42.7→40.1
セルリアンタワート東急ホテル ①83.4→91.5 ②53.5→56.9
ホテルオークラ東京 ①66.3→82.6 ②51.8→51.4
品川プリンスホテル ①87.6→90.7 ②21.2→23.5
ホテルメトロポリタン ①91.3→91.8 ②53.1→62.4
八重洲富士屋ホテル ①96.8→99.0 ②16.3→11.7
コートヤード・マリオット銀座東武ホテル ①92.7→95.2 ②71.7→67.8
ホテル日航東京 ①82.6→85.7 ②21.3→10.5
帝国ホテル ①79.7→87.6 ②約4割→約4割

上記のデータから、ホテルによって外国人比率がずいぶん違うこと、どのホテルがインバウンド客への取り組みに積極的かがわかります。ホテルによって欧米系とアジア系の比率が異なる場合もあります。また外国人比率が減っても稼働率は上昇しているホテルも多いことから、景気は回復基調にあるといえそうです。

「外資系高級ホテル、都内に続々 外国人富裕層つかめ」(日本経済新聞2013年6月7日)という記事もあります。

「外資系高級ホテルが東京都心で相次ぎ開業する。港区虎ノ門で建設中の超高層ビルに米ハイアット・ホテルズのブランド『アンダーズ』が日本に初進出する。千代田区大手町のオフィス街にはシンガポールの有名リゾートホテル『アマン東京』が開業する。外国人富裕層のビジネス・観光客の受け皿増加は、東京の国際化を後押しする」

他にもホテルラフォーレ東京(東京・品川)を改装し、13年12月に東京マリオットホテルとして開業予定です。

こうなると「日系ホテル、改装で対抗」となるのは必至で、日系ホテルの取り組み事例を紹介しています。

・ザ・プリンス さくらタワー東京 今秋にリニューアルオープン。ダブルベッド部屋を6割増しに
・京王プラザホテル 4億円を投じ、南館28~33階の客室を改装。Wi-Fi完備

「既存の外資系も集客策続々投入」として、外資系の事例もあります。

・マンダリン オリエンタル 東京 6月フランス料理のシェフとメニューを刷新
・シャングリ・ラ ホテル東京 箱根など近郊への日帰りツアーを拡充
・ザ・ペニンシュラ東京 京都で文化体験できる独自のプログラム

さらに「米ヒルトン 5ホテル改装 外資、日本で攻勢 外国人客増 取り込み狙う」(日本経済新聞2013年7月9日)「2013年からの3年間で100億円超を投じて日本国内のホテルを改装する。東京や大阪など5つのホテルで飲食フロアや客室を刷新する」というヒルトングループの記事もあります。

「ヒルトンは日本で『ヒルトン』ブランドのホテルを9つ展開しており、外資系の都市型高級ホテルでのブランドでは最も多い。そのうち5つの改装に集中投資する」「ヒルトンが日本で過去に例のない集中投資をするのは、外資系を中心に大都市で高級ホテルの開業が相次ぎ、競争が激しくなっているため」です。

同記事では、背景として「タイヤマレーシアのビザ要件緩和などで東南アジアからの観光客の増加が見込める。観光スポットや話題の商業施設の増加で国内各地から日本人旅行者も増えており、大都市の高級ホテルに追い風になっている」と結んでいます。

●日本でこれから開業予定の外資系ホテル

東京マリオットホテル(2013年12月)http://www.tokyo-marriott.com/
アンダーズ(14年夏) http://www.andaz.hyatt.com/ja/andaz.html
アマン東京(14年) http://luxury-collection.jp/
ヒルトン沖縄北谷(14年)
フォーシーズンホテル京都(15年)

最後に、外資系ではないですが、「星野リゾート 東京・大手町に高級旅館」(日経MJ2013年3月18日)の記事を挙げておきます。

「旅館、ホテル運営の星野リゾート(、長野県軽井沢町)は三菱地所と組み、2016年をめどに東京・大手町で高級旅館の運営に乗り出す。84の純和風客室や日本食レストランなどを備え、訪日外国人を中心にビジネスから観光まで幅広い用途の利用客を取り込むほか、日本旅館の運営手法を世界に発信。同社の認知度を高めることで、将来的には海外でのホテルの運営の受託にもつなげる」

「星野リゾート、バリ島進出」(日本経済新聞2013年6月7日)、2014年に「現地企業が建てるホテルの運営を受託」するといいます。こうした精力的な同社の動きが、この時期相次いで報じられていることも注目です。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-16 17:41 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2013年 07月 11日

22回 うれしいことに、日本はタイの海外旅行先人気ナンバーワンだそうです

タイから日本を訪れる観光客が増えています。
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日本政府観光局(JNTO)が6月19日に発表した報道資料によると、2013年5月の訪日タイ人は前年同月比62.8%増を記録。1~5月までの総数では18万1000人と前年度比52.9%増でトップの伸びです。上半期ですでに2012年の総数26万人に迫る勢いです。

タイからの訪日客の旅行手配を行なうアサヒホリディサービスの和田敏男国際旅行部長によると、「タイからの客は今年の2月頃から急増しています。5月も多かったですが、3月の花見シーズンも弊社の取扱数は倍増しました。本来、タイの旅行シーズンは旧正月のソンクラーンのある4月と10月だといわれますが、今年は前倒しで来られた方が多かったようです」(※実際、3月の訪日タイ人は前年度比70.4%増)

こうした動向をふまえ、外務省は6月下旬、タイとマレーシアの訪日観光ビザを7月1日から免除することを発表しました。昨今の円高是正にビザ免除という相乗効果で、さらなるタイ人観光客の増加が期待されています。

タイ国民に対するビザ免除(外務省)2013年6月25日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

ツアーの目玉はカニ食べ放題とショッピング!?

訪日タイ人客の旅行手配を扱うランドオペレーターの関係者は「日本はタイの海外旅行先人気ナンバーワン」と口を揃えて言います。うれしいではありませんか。彼らの2大関心事は「食事とショッピング」だそうです。

では、いったいタイ人観光客はどんな訪日旅行を楽しんでいるのでしょうか。

タイの海外旅行市場が活況を呈してきたのは2008年頃からだそうで、まだ5年しかたっていません。海外旅行ブームの初期には、どこの国でも微笑ましい珍現象が見られることがあります。タイ人の日本ツアーでも、日本人の目から見るとちょっと意外なアトラクションが目玉となっています。「富士山のふもとの温泉旅館でカニ食べ放題」です。

たとえば、タイの旅行雑誌「TRAVEL GUIDE Magazine」2012年8月号に掲載された現地の旅行会社COMPAXWORLD社のツアー募集広告にふたつのプロモーション商品が紹介されています。それぞれ3つの目玉ポイントが書かれていますが、共通するのは「温泉旅館でカニ食べ放題」と「ショッピング」です。
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①Tokyo Promotion! 4泊6日(タイ航空利用) 37900バーツ(約12万円)
■東京で満足4泊6日、ホテルは4つ星以上
■お楽しみフリーショッピング2日間(オプショナルツアーもあり)
■温泉旅館泊とカニ食べ放題

②Yokoso Hi-light 東京―京都4泊7日(タイ航空利用) 52900 バーツ(約17万円)
■東京観光とフリーショッピング1日間
■世界遺産の京都、金閣寺、清水寺観光
■温泉旅館泊とカニ食べ放題

タイから日本へのフライトは約6時間かかるので、飛行中夜をまたぐため4泊6日が基本。東京滞在型のツアー①では、都内観光は1日、2日間は自由行動なので、ショッピングがたっぷり楽しめる内容です。東京ディズニーランドに行きたい人は、オプショナルツアーで参加できます。残りの1日は、富士山観光のあと河口湖などの温泉旅館に泊まり、カニの食べ放題が付くというものです。いわゆるゴールデンルートの②でも、それは同様です。
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アサヒホリディサービス国際旅行部のタイ人スタッフ、カウィワット氏によると、「タイ人は富士山のふもとの温泉旅館に泊まって温泉にゆっくりつかり、カニの食べ放題を楽しむというのが、日本旅行の醍醐味。これだけは欠かせないと思っているんです。旅行会社のツアーパンフレットにも、よく富士山とカニが合成されているイメージ写真が多いです」。

※タイ人の訪日旅行の2大関心事の詳細は、中村の個人blog「タイ人ツアーの目玉は、温泉旅館でカニ食べ放題とショッピング!?」を参照。

タイ人が日本食を好む理由

タイ人の日本食に対するこだわりはカニだけではありません。タイには約2000軒の日本料理店があり、普段から日本食に親しんでいるからです。

「タイ人の食は保守的です。珍しいものを食べたいという欲求より、普段食べているもので、もっとおいしいものが食べたいと考えています」と語るのは、タイの事情に詳しい旅行作家の下川裕治氏です。

「だから、日本食が人気なのです。バンコクには日本食屋があふれています。吉野家はもちろん、大戸屋、やよい軒、牛角、ココイチ、王将、丸亀製麺、フィンガーハット……その多くは日本でもおなじみの外食チェーン系。もうなんでもあるといってもいい。

タイ人に『日本で何食べたい?』と聞くと、『ラーメン』と答えたりします。その意味は、タイで食べたことのあるラーメンを日本に行って食べてみたい。そのほうがずっとおいしいに決まっているから。彼らはそう考えているのです」。

タイ人の日本のフルーツ好きも、関係者の間ではよく知られています。なかでも日本の大粒のイチゴは大好物です。よくタイ人客は、デパ地下でカットフルーツを買ってきてホテルの客室で食べているそうです。

※タイ人の日本食好きの背景は、中村の個人blog「タイ人はイチゴが大好き!? 旅行作家・下川裕治さんが語る『タイ人客はドーンと受け入れてあげるといい』」を参照。

タイ人客には焼肉にしゃぶしゃぶ、寿司、天ぷら、ラーメンという和食の基本アイテムが断然好まれるそうです。日本の味覚をそのまま提供して喜んでくれるのですから、なんてありがたいお客さんでしょう。

タイ人客がよく訪れる都内のレストランとして有名なのが、西新宿にある焼肉料理店「六歌仙」です。同店はタイのインラック首相もおしのびで何度も訪れており、訪日タイ人に広く知られています。人気メニューは6500円の焼肉食べ放題コースだそうです。
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※「六歌仙」については、中村の個人blog「タイ人観光客に西新宿の焼き肉店『六歌仙』が人気の理由」を参照。

現地メディアが訪日を後押し

今年に入って急増する訪日タイ客の背景について、日本政府観光局(JNTO)は次のように分析しています。

「3月末からの増便やチャーター便による座席供給量の拡大、また円高の是正に加えて、VJ事業だけでなく地方自治体による積極的な観光誘致策が露出拡大につながり、タイからの観光客の増加の要因となっている。またタイのメディアでは、訪日旅行がブームとして複数取り上げられ、日本への旅行の機運を後押ししている」(JNTOプレスリリース/2013年6月19日)

訪日タイ客急増に、タイのメディアの影響があるというのです。

タイを中心とした海外向けマーケティングを手がける株式会社Relation(http://www.relation-inc.jp)の加藤英代表取締役によると、「タイでは日本のテレビ番組が大量に放映されています。日本のテレビ局から版権を買って深夜枠でグルメ番組や旅行番組を毎日のように流しているからです。街にあふれる日本食レストランもそうですが、タイには生活の中に普段着の日本があります。だから、彼らは日本に安心、安全のイメージを持っています。日本では人は優しく、楽しく旅行できると思っているのです」

日本の番組がそのまま流れることも多いですが、自前の番組も制作されています。たとえば、タイのアイドルTikの出演する海外旅行バラエティ番組「Say Hi」は、チャンネル3(http://www.thaitv3.com/)で毎週金曜00:10より放映されています。彼女は世界各地を訪ね、買い物や食べ歩きを楽しみます。日本の温泉旅館でカニの食べ放題を体験するシーンも以前あったそうです。
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こうした事情は、テレビ番組を政府が規制管理する中国とはまったく違います。タイ人にとって日本はとても身近な国となっているのです。

タイで発行されている旅行雑誌でも、日本は多く取り上げられています。
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たとえば、タイの雑誌社Check Tourが発行する「Check Tour magazine」は、テーマ性の強い充実した特集記事が売りの月刊誌です。2012年は、札幌(1月号)、東京ディズニーランド(11月号)など、4回の日本特集を組んでいて、日本への関心の高さを感じます。

バンコク週報というタイの日本語新聞を発行する出版社が制作している現地のグルメ情報誌「Gozzo(ごっつぉ)」もユニークです。
Gozzo(http://www.facebook.com/GozzoThailand
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同誌は、バンコクにある日本食レストランのタイ人向けフリーペーパーです。日本食と旅行の雑誌と銘打たれていて、特に日本の食文化を詳しく紹介しているのが特徴です。

たとえば、2013年7月号では、焼肉特集が組まれています。焼肉の種類や細かい牛肉の部位の解説もしています。もともと宗教的な理由でタイ人の中には牛肉を食べない人も多いと聞きますが、最近は「和牛」ブームだそうです。こうしたきめの細かい現地での情報提供がタイ人の日本食に対する理解を深めているのでしょう。

このように、タイでは日本の情報が偏りなく、比較的まっすぐに紹介されていることがわかります。タイ人が素直に日本旅行を楽しんでくれる背景には、こうした現地での自由な情報流通があるのです。

※タイの旅行雑誌についての詳細は、中村の個人blog「タイの旅行雑誌には日本がこんな風に紹介されています」を参照。

ツアー代金は中国人ツアーの2倍近い

では、タイ人の日本ツアーはどんなコースが催行されているのでしょうか。現状では、以下の3コースが主流だそうです。

①東京・大阪ゴールデンルート4泊6日
②東京滞在(+富士山)3泊5日/4泊6日
③北海道周遊(札幌、小樽、登別、富良野など)4泊6日

すでに①と②は定着しており、この夏は③の北海道周遊が急増しそうとのこと。昨年10月に新規就航したタイ国際航空のバンコク・新千歳線は現在週4便ですが、秋から毎日運航になるそうですから、今年の冬は北海道を訪れるタイ人観光客がさらに増えそうです。

他にも、九州周遊(福岡、別府、阿蘇、熊本、長崎など)4泊6日も動き出しています。主流ではないけれど、東京・大阪ゴールデンルートの別バージョンとして、大阪か名古屋inで北陸や信州を周遊、東京outのコースも好評といいます。沖縄に行くツアーもあります。

次に、ツアーの価格帯について見ていきましょう。ツアー料金は日程やコースによって当然違います。以下、「Check Tour」2013年6月号に掲載された現地旅行会社のツアー募集広告から平均的な料金(7~8月出発のコース)をいくつか挙げてみましょう。

・東京・大阪ゴールデンルート4泊7日 50900バーツ(約16万5000円)
・北海道3泊5日 43900バーツ(約14万円)
・東京滞在(+富士山)3泊5日 39900 バーツ(約13万円)
・沖縄3泊5日 33900バーツ(約11万円)

前述のカウィワット氏によると、「タイ人の日本ツアーの価格帯は1日換算で約1万バーツ(約3万2000円)が目安」だそうです。

以前、本連載「18回 春にはちょっぴり中国客が戻ってきそうな気配ですが……。中国の旅行会社のHPを読み解く」の中で、北京、上海、広東の旅行会社のツアー料金を比較したことがありますが、この夏の中国本土発の平均的な日本ツアーの価格帯が1日換算で約1000元(1万6000円)が目安であるのに比べると、タイ人のツアーは2倍近いといえます(最近の円安で、円換算では価格差は以前より縮まっているようですが)。

ツアー行程を比較しても、当然とはいえ、中国人ツアーの内容はタイ人のツアーに比べ見劣りします。宿泊ホテルも観光や買い物には不便な場所にあったり、観光地もなるべく費用のかからない場所を選んだりと、「安かろう悪かろう」を地でいくケースが多いです。

とりわけ食事にかける費用が違います。広東省の南湖国旅(http://www.nanhutravel.com/)のHPには、「昼食代1000円、夕食代1500円」とはっきり書かれていますが、タイのツアー客はこんなに安い食事では満足しないでしょう。カウィワット氏は言います。

「タイ人は食事にこだわるので、とくに夕食は5000円以上かけるのがざらです。西新宿の『六歌仙』が人気なのもそのためです。弊社では、タイにある日本企業の関係者のインセンティブツアーの企画をよく担当するのですが、とにかく食事の要望は細かいです。ご案内しようとしているレストランのメニューを用意して、具体的にどんな料理が食べられるのか、タイのクライアントのツアー担当者にプレゼンテーションすることもあるほどです」

「タイ人は中国人に比べて日本旅行に対する思い入れが強い」というのは、タイ人客を扱うランドオペレーターに共通する声です。タイ人は「せっかく日本に行くのだから、いろんな体験をし、お金をかけてもおいしいものを食べたい」と素直に期待をふくらませているといいます。だから、食に限らずツアーの中身に対する関心が高いのです。そうした日本に対する期待値の高さが、中国人ツアーに比べてタイ人ツアーが比較的高い価格帯を維持している理由になっていると思われます。

※タイ人の日本ツアーの価格帯については、中村の個人blog「タイ人の日本ツアーの料金は中国人ツアーの2倍近いです」を参照。

今後の展望とツアー料金値崩れの懸念

これまでずいぶんいいことずくめの話をしてきましたが、訪日タイ客急増にはもっと大きな背景、すなわち近年の日本企業の東南アジアシフトがある、と前述の加藤英代表取締役は指摘します。

「2015年のアセアンの市場統合(ASEAN自由貿易地域<AFTA>)をにらんでインフラ整備の進むタイに日本企業の進出が加速し、タイ人社員の研修や視察のための日本へのインセンティブツアーの需要が大きくなっています。同じ東南アジアでもシンガポールやマレーシアに比べてタイがダントツの伸びを見せているのには、日本企業の存在があります」

実際、日本のランドオペレーターが受注するタイの団体客は、日本企業のインセンティブツアーであることが多いようです。それは現地の旅行会社が一般募集するパッケージツアーとは違って、個別のクライアントの要望に応じてツアーの中身を組み立てる手配旅行です。クライアントが日本企業なので、比較的安定した取引が可能といえます。

ところが、今回のビザ免除による客層の拡大で市場が荒れるのでは、という現場の懸念の声はすでにあります。

社団法人アジアインバウンド観光振興会理事で、訪日タイ人客のランドオペレーターでもある株式会社トライアングルの河村弘之代表取締役は、タイの旅行業界の現状をふまえた以下の点を指摘しています。

「タイ人は純粋でおとなしい、とてもいいお客さまなのですが、少々ワガママなところがある。ツアーの立ち寄り先だけでなく、来日後の宿泊ホテルやレストランの変更もしばしば。タイのガイドはお客さまの言いなりになりがちで、現場が混乱するケースも多い。

タイは海外旅行マーケットが動き出してまだ5年という国。旅行業界のルールも整備されていません。本来であれば、彼らはもっと海外の現状を知って、業務のマニュアル化を考えるべきなのだが、まだすぐには対応できないでしょう。

これから訪日タイ客が増えると、ガイド不足も顕在化するはずです。タイの日本ツアーはほぼスルーガイド、つまり現地タイ人が担っており、通訳案内士制度は機能していません。

さらに、今後いちばん懸念するのは『中国プライス』問題です。ここ数年、中国の旅行エージェントが日本の一部のホテルなど観光関連企業との間で結んだ過度に安い中国向けの仕入れ値を東南アジアの市場に持ち込もうとしています。せっかく定着している東南アジア発の日本ツアーの値崩れが起こるおそれがあります」

中国の訪日旅行市場で起きたのと同じ道を東南アジア市場でも繰り返すことになるとしたら、これは大きな問題です。それは避けねばなりません。誰のためにもならないからです。

もうひとつの懸念材料は、ビザ免除をめぐってタイではこれを歓迎するどころか、おかしな反応があることです。

日本の観光ビザ免除、タイ外相が不法就労者増に懸念(バンコク週報2013年6月14日)
http://www.bangkokshuho.com/article_detail.php?id=2207

以前、ニュージーランドがタイ人の観光ビザ免除を実施したところ、観光で入国した後、失踪者が続出したため、免除が取り消された前例があったそうです。タイの外相は同じことが起こらないようにと国民に訴えたというのです。日本でも同じことが起きるのでしょうか?

※ビザ免除をめぐるタイ側の反応については、中村の個人blog「タイのビザ免除で、むしろタイ政府側に不法就労再発の懸念があるらしい」を参照。

もっとも、いまの段階でこうした懸念を言い出したらキリがありません。物事はすべてがきれいごとで進むはずもないのですから、今後の行方を見守っていくほかないでしょう。

最後にあらためて、タイ人の訪日旅行を盛り上げる話を書いておこうと思います。

それは、日本には確実にタイ人に喜んでもらえる自然の魅力があるということです。

タイと日本の風土や気候の違いが、来日する彼らを魅了しています。四季があることが、彼らをリピーターにするのを強く後押ししてくれるのです。たとえば、3~4月は桜、6~7月はラベンダー、秋は紅葉、冬は雪景色と、1年を通じてタイ人の目を喜ばせるのは、季節による風景の変化があるからです。実際、タイの旅行雑誌やパンフレットに描かれる日本にはあでやかな色味があふれています。我々は熱帯の国タイのほうが日本よりずっとカラフルだと思いがちですが、彼らにすれば日本は自分たちの知らない美しい色彩にあふれる国なのです。

常夏の国からわざわざ訪ねてくれるタイ人に対して、四季という1年を通して訴求できる日本の強みを生かさない手はないといえるでしょう。訪日タイ客の増加で、ニッポンのインバウンドに新しい風を吹かせることを期待したいと思います。

※すでにタイ側でも訪日旅行に積極的に取り組む動きは起きています。詳しくは、中村の個人blog「HISタイの訪日旅行の取り組みは要注目です」を参照。

やまとごころ.jp http://www.yamatogokoro.jp/column/2013/column_132.html
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by sanyo-kansatu | 2013-07-11 16:33 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2013年 07月 10日

1934(昭和9)年初秋、72歳ベテラン編集者の「北鮮の旅」

坪谷水哉(つぼやすいさい 1862-1949)という明治、大正、昭和前期にわたって活躍した編集者がいます。当時の大手出版社である博文館で編集主幹を務めた人で、日本初の総合雑誌「太陽」の創刊時の編集長でした。

1934(昭和9)年9月下旬、坪谷水哉は京城発4泊5日の北鮮方面への鉄道旅行に出かけています。ここでいう「北鮮(ほくせん)」とは現在の北朝鮮ではなく、日本に併合された朝鮮半島の満州国と国境を接する北東部の辺域(現在の咸鏡北道)を意味しています。

彼の紀行文は、1935(昭和10)年2月に発行された某雑誌に「北鮮の旅」として掲載されています(この資料を入手したのはずいぶん前のことで、誌名を記録し忘れていました。機会をみつけて調べたいと思います)。
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昨年夏、ぼくは北朝鮮の羅先貿易特区を訪ねました。中国吉林省延辺朝鮮族自治州の豆満江(中国では図們江)沿いも何度か訪ねていますが、国境を隔てながらも坪谷が約80年前に訪ねた地域と重なります。当時そこはどんな状況だったのか。とても興味深いです。

ざっと坪谷の4泊5日の行程を書き出してみます。坪谷が鉄道を降りて歩いた場所だけでなく、行程上出てくる鉄道の通過駅も入れてみました。

1日 1934年9月20日
   17:25 京城(ソウル)駅発急行乗車。朝鮮総督府線を北上
   日暮れ 鐵原駅(金剛山鉄道分岐点)
   以後、元山駅、咸興駅、新北青駅
2日 9月21日
   城津駅、朱乙駅(以後、普通列車になる)、羅南駅
   8:51 輸城駅着(総督府線の終点)。満鉄「北鮮線」に乗り換え会寧へ
   (「約四時間を費やし」と本文にあるが?)会寧駅着(満洲国側対岸は三合鎮)
   以後、豆満江沿いを列車は走る
   11:49 上三峰駅(対岸は開山屯)着。「咸北線」に乗り換え。
   以後、高陽駅(現在の南陽。対岸は図們)、穏城駅、訓戒駅、四会駅
   17:15 雄基駅着(大和旅館に宿泊)
3日 9月22日
   8:00 朝一番の乗合自動車で清津へ(約四時間半)。富居という駐車場で休憩
   12:30 清津着(再びバスで郊外の朱乙温泉へ向かい、温泉旅館泊)
4日 9月23日
   正午 バスで清津に戻り、雞林館泊。清津市内散策
   20:15 清津駅発急行乗車
5日 9月24日
   正午過ぎ 京城駅着

今回登場する場所に関する坪谷の記述を抜き書きしてみます。

●輸城から会寧に向かう車窓の描写(輸城は総統府線の終点かつターミナル駅。清津へは別線で9km)
「輸城以西の鉄路の両側は、連山近く迫って、人煙稀疎なる山峡を、紆余曲折して走るに、眼に入る風物はすべて原始的で、車窓はるかに白頭連山の支脈が灰色をした雲の漂ふ間に隠見するのみだ」

※朝鮮側から白頭山(長白山)がどのように見えるのか、見てみたいものです。

●会寧(対岸は三合鎮)について
「(会寧は)豆満江の右岸なる国境の一都会で、対岸の間島から、以前は屡しば匪賊に襲われた土地で、国防の最前線ゆえ、今は歩兵一連隊、工兵一大隊、その他の兵営も多く、人口も今は二萬五千余で其内に内地人が四千余人居る相だ」

※写真は現在の会寧。中国側から撮影したものです。当時日本人が4000人もいたことが書かれています。
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※現在の姿については「過去のにぎわいを忘れたふたつの国境―開山屯と三合鎮【中朝国境シリーズ その9】」http://inbound.exblog.jp/20466441/

●会寧から上三峰に至る豆満江沿い(中朝国境)の描写
「対岸に満洲を眺めつつ走るに、此邊の豆満江は、水色青く、流れ急に、時々筏を流し下すが、渡津場の外には船の上下は見えぬ。金生、高嶺鎮、鶴浦、新田、間坪などといふ諸駅を過ぐる間、何所までも流れに添ひ、朝鮮川には護岸工事も備はり、開修せられたる路傍に、アカシヤも茂って居るのは我が併合以来の功績らしい」

※この鉄路は、中国側から図們江越しに眺めたことがあります。東ベルリンの地下鉄車両が転用されて走っているのを見ました。

●上三峰駅(対岸は開山屯)について
「此所は北満への連絡地点で、豆満江を鉄橋で渡り、新京に通じて居る」

※写真は現在の上三峰の鉄橋を中国側から撮影したものです。
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●高陽駅(現在の南陽。対岸は図們)について
「高陽は現今雄基から満洲の新京へ直通する主要駅で、鉄橋を越えれば対岸は間島の図們駅だ。聞けば図們から百九十キロの敦化までは従来狭軌の敦図線があったのを、新たに広軌に改めて吉林まで延長し、一方には豆満江に架橋して、北鮮鉄道の高陽と連絡せしめたので、此新京図們間の線を京図線と称し、延長五百二十八キロだ。されば高陽駅は今工事中で、純満洲風の壮大なる建築を頻りに急いで居る」

※写真は現在の南陽の鉄橋で、中国側から撮影したものです。当時は国際ターミナル駅だったことを思うと、さびれてしまったなあと思わずにはいられません。
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※現在の姿については「高速で素通りされ、さびれゆく図們【中朝国境シリーズ その10】」http://inbound.exblog.jp/20498623/

●高陽から雄基までの描写
「豆満江も此邊まで下ると間島の諸流を併せて次第に大きくなり、洋々として緩く流れ、船も時々上下して、流石に朝鮮五大河の一と首肯せらる。高陽から二三駅を過ぎ穏城駅から、今まで東に流れた豆満江は急角度に東へ方向を転じ、其れにしたがって鉄道線路も東へ屈曲し、やがて訓戒といふが、かなりの巨駅で、サイダー、牛乳、キャラメルなどと呼んで売って居る。私が隣の某氏に、対岸に露西亜領はまだ見えませんかと尋ねると、まだです。モウ二時間も経つと、四会といふ駅から見えますとて、更に十ばかり駅を過ぎて、四会駅で、向こふに見える山が露西亜ですと教えて呉れた。此邊の豆満江は河幅一里もあるべく、其間に島があったり、岸には湖水があったりして、鉄道も江岸を漸く離れた」

※写真は現在の穏城大橋を中国側から撮影したものです。断橋となって途中で折れています。朝鮮側に当時の鉄道らしき鉄路が見えますが、現在ほとんど運行されていないようです。
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※現在の姿については「図們江、野ざらしにされた断橋の風景【中朝国境シリーズ その8】」http://inbound.exblog.jp/20457456/

●雄基(現在の先峰)について
「今は咸北線の終端なる雄基湾は、鮮満連絡の咽喉で、最近に非常なる躍進を続け、日露戦役当時は僅かに十数戸の漁村だった相だが既に五千戸二萬五千人に激増し、三方に山を負うて一方は海に臨み、港の東に龍水湖が、近く海と連なりて、市街は尚も日々に広がりつつある。当初北満洲の貨客呑口を、何所に定めんかと決せざるとき、北鮮の三港といふ城津、清津、雄基の間で盛んに競争したのが、やがて城津は落伍して、最近まで清津と雄基の競争となったが、結局は雄基より南へ四里の羅津と定まり、今は雄基から羅津まで頻りに鉄道工事を急ぎ、来年八月には竣工の予定」

※写真は現在の雄基線の鉄路。北朝鮮領内の雄基と羅津の間で撮ったものです。この状況では鉄道は運行は難しいと思われます。
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●羅津について
「東北西の三方に山をめぐらし、開けたる南方に大草、小艸の二島が防波堤の如くに横たはり、湾内広く、陸上に市街となすべき平地も多い。成程将来北満の咽喉と決定せられたのも道理である。最近に決定したといふ此地の都市計画によれば、第一期設備として、土地六十萬坪に、人口五六萬を収容し、満鉄埠頭も直ちに着手し、羅津停車場敷地地均し工事と憲兵隊兵営は、請負入札が大倉組に落札したが、停車場建築工事は、何人の手に帰するか未定といふ。但し其等の工事請負や、土地の売買や、利権の探索に、多数の人が入り込み、定住人口二萬の外に、旅客の数は分らぬが、一日に家屋が何十戸づつ建つとか言うて、市街は混雑を極めて居る」

※写真は現在の羅津駅と羅津港。坪谷が訪ねたころにはまだ駅も港もできていませんでした。しかし、羅津の開発のため多くの日本人がこの地にいたことがわかります。
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※現在の姿については「羅先(北朝鮮)はかつての「日満最短ルート」の玄関口」http://inbound.exblog.jp/19752579/

●雄基から清津に向かう道路事情
「道路は東側に日本海を眺めつつ丘陵起伏の間を走るに、仲々よく改修せられて居る」

●清津について
「さて清津を見物する方法はと聞くと、高抹山に上って、清津神社の背後から、港と市街を一と目眺めなさいと教へられ、其の高抹山に上る。成程清津市街は巴の如き高抹山の半島に依り湾内に擁せられ、北端の高抹山と南端の天馬山との間に、夕実の如くに連なる市街で、近年約一千萬円の巨費を投じた防波堤が、湾の左右より出て、岸壁には、四五千トンの船が数隻繋がる相で、折しもそこへ上がってきた高等普通学校、内地ならば中学校の生徒を呼んで説明を聞くと、天馬山腹が無線電信局、その隣りが僕等の学校で、其のしたの茶色の洋館が近頃出来た国際ホテル、今防波堤の外へ出て行く汽船は大阪商船会社の船(中略)。(人口は)昭和七年に二萬五千が今年は四萬人に上ったといふ」

※ぼくは清津にまで行くことはできませんでしたが、当時多くの日本人が住んでいたことがわかります。ここで書かれている高抹山からの日本海と清津市街地の眺めは素晴らしいものだったようです。

ここに描かれる世界が1930年代半ばの“躍進著しい”北鮮でした。現在の姿と比べると、この80年間の停滞ぶりは何だったのだろうか。なぜそうなってしまったのか。そう思わざるをえません。

当時、坪谷がこの地域を視察した理由について、冒頭ではこう書かれています。

「『朝鮮と支那の境の鴨緑江』と所謂鴨緑江ぶしで歌ふ鴨緑江は何人も知るが、反対の国境なる、満洲の間島や、露西亜とも境を接する、豆満江及其沿岸を走る北鮮鉄道は余り知られて居ない。然るに今は北満洲から朝鮮の北方に通じて、鉄道線は頭を日本海の岸に出し、其所に第二の大連港を建設せんとして、着々工事を進めて居り、現に北鮮の雄基からも清津からも、新京まで直通列車が往来して居る。私は最近に其の北鮮の鉄道全線を巡った故、いかに略ぼ之を紹介しようと思ふ」

日本と大陸をつなぐルートとして大連や安東(現在は丹東)のことは知られていたものの、日本海ルートは当時もまだマイナーだったことがわかります。その開発が着手されていよいよこれからというときに敗戦を迎えてしまったわけです。

その年、坪谷は72歳でした。戦前を代表する総合雑誌「太陽」の編集長を経て、その後海外をずいぶん訪ね歩いた坪谷は「世界漫遊案内」(1919)など、明治人らしく海外雄飛を説く多数の著書もあるベテラン編集者ですが、老いてもなお意気軒昂だったようですね。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-10 18:16 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2013年 07月 01日

タイのビザ免除で、むしろタイ政府側に不法就労再発の懸念があるらしい

本日7月1日より、タイとマレーシアの訪日観光ビザが免除されることになりました。

タイ国民に対するビザ免除(外務省)2013年6月25日
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000361.html

ところが、タイではこれを歓迎するどころか、おかしな反応があります。

日本の観光ビザ免除、タイ外相が不法就労者増に懸念
http://www.bangkokshuho.com/article_detail.php?id=2207

以前、ニュージーランドがタイ人の観光ビザ免除を実施したところ、観光で入国した後、失踪者が続出したため、免除が取り消された前例があったからです。タイの外相は同じことが起こらないようにと国民に訴えたというのです。

通常、ビザ免除協定は両国の交渉の中で進められるものではないかと思うのですが、タイ側からこうした反応が出るのはどうしたことか。

もしかしてタイのビザ免除は少々勇み足ではなかったか? そんな疑問も出てきます。

一般のタイ人も、1980年代以降の不法就労問題で、日本はビザの厳しい国だという認識が定着していただけに、逆に驚いている様子です。もちろん、これでタイの観光客は増えるでしょうが、それだけの話に終わるかどうか、少し気がかりといえなくもありません。

先日、旅行作家の下川裕治さんに会いました(→「タイ人はイチゴが大好き!? 旅行作家・下川裕治さんが語る『タイ人客はドーンと受け入れてあげるといい』」)。下川さんは1990年代当時、不法就労のタイ人を支援する活動を個人的に続けていました。そこで、今回のビザ免除について尋ねたところ、もちろん基本的には歓迎すべきこととしながらも、「今回のことで、タイ人がたくさん来日すると、また警察から電話がかかってきたり、いろいろ大変になるんじゃないか」と苦笑交じりで話していました。仮に大変になったとしても、これまでどおり受けとめていこうという、いかにも下川さんらしいコメントでした。

そのトークイベントには下川さんの古いタイの友人の女性もいました。興味深いことに、タイ人である彼女も不法就労問題の再発を懸念していました。彼女は1990年代当時のことをよく知っている在留タイ人のひとりです。イベントには、タイの事情に詳しい関係者も多くいて、タイ側ではすでに若い女性を日本に送ろうとするブローカーがいるらしいことも話していました。

一方で、日本の宿泊施設はデフレが進みすぎて、タイ人の感覚でも安いと感じるはずだという声もありました。たとえば、タイの王室保養地であるファヒンのビーチリゾートに一泊すると食事なしで4000B(約1万2000円)はするのに、熱海は2食付の温泉旅館一泊8000円がざら。これならタイ人は日本に行くほうが安いと思うだろうと。

またノービザとなることで、草の根レベルの商務渡航が増えるだろうという指摘もありました。航空券を買うだけで、2週間日本に自由に滞在できるというのは、これまで考えられなかったことなので、タイのビジネスマンが喜んで来日するだろうというのです。

ところで、これは個人的な見解にすぎませんが、今回のタイ人のビザ免除の背景には、尖閣問題以降の中国人観光客の減少をカバーしようとしたことが表向きの理由でしょうが、安部政権の東南アジアシフト政策の一環として後押しされたことも確かでしょう。

ただし、それは中国軽視という外交姿勢上のメッセージを中国側に与えただろうことが想像されます。

なぜなら、いまの中国人ほど、ビザ問題に敏感な国民はいないからです。端的にいうと、彼らは世界から差別されているという認識を強く持っています。中国が不法移民大国であることは間違いないので、そのジレンマを抱える彼らを尻目に、タイやマレーシアが先にビザ免除されたことは、中国側からすると、あてつけ的な施策に映るのではないかと思われます。

中国人のビザをめぐる不満に関しては、以下参照。
http://inbound.exblog.jp/20514969/

ビザという外国人流入の調整弁をどうコントロールするかについては、立場によって見解が異なるのは言うまでもありません。

いずれにせよ、ビザ免除によってタイからの渡航者は増えることでしょう。すべてがきれいごとで進むはずもないのですから、今後の行方を見守っていくほかありません。タイ人客の増加で、ニッポンのインバウンドに新しい風が吹くことを期待したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2013-07-01 15:07 | “参与観察”日誌 | Comments(4)
2013年 05月 20日

京都で日本初のラグジュアリー・トラベル商談会「ILTM JAPAN2013」開催

3月上旬、京都で日本初のラグジュアリー・トラベル商談会「ILTM JAPAN2013」開催されたので、視察に行ってきました。以下は、「月刊宝島」2013年6月号に寄稿したレポートです。


3月11日~13日、京都市で日本初の富裕層向け旅行の商談会「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット・ジャパン(以下、ILTMジャパン)が開催された。

ILTMは毎年カンヌで開催され、世界各国から1300社以上の観光業者が集まる商談会だ。2007年からアジアでは上海でも開催されている。世界の富裕層旅行市場の重心が欧米からアジアに移行するなか、世界で二番目に富裕層が多く、観光資源に恵まれた日本がILTMを誘致した背景には、「富裕層旅行者の取り込みを強化したい」観光庁と、日本を代表する世界遺産都市・京都の連携があった。

ILTMジャパンには、国内外のラグジュアリーホテルや高級旅館などの出展者と、バイヤーである旅行会社の約120社が集い、海外と日本それぞれの富裕層旅行者獲得のための商談会が繰り広げられた。
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会場は、出展者でもあるコンサルティング会社のプラン・ドゥ・シーが運営するThe SODOH Higashiyama Kyoto。京都画壇を代表する竹内栖鳳の旧邸宅を改装した高級結婚式場だ。

初日に観光庁主催で外国人富裕層受入に関心のある宿泊・観光業者を対象としたセミナーが開かれたが、テーマは「富裕層旅行とは何か」。俗に個人資産100万ドル、年収30万ドルで、プライベートジェットを乗りこなすといわれる富裕層旅行について、ILTMジャパン日本地区代表の福永浩貴氏は「『本物』の価値を理解し、さらなる豊かさを追い求める人たち」と定義する。彼らが求めているのは「一生に一度の体験」という。

ILTMディレクターのアリソン・ギルモア氏は「日本にはポテンシャルがある。しかし、世界に知られていない」と指摘する。

相変わらず「アピール下手」とされる日本だが、海外バイヤー30社中、中国7社、シンガポール4社など、中華系が半数を占めるように、日本の高品質の旅行資源に対する近隣諸国の関心は高い。マスを対象としない富裕層旅行市場だが、米国帰りの中国人富裕層の婚活ラブコメ映画『非誠勿擾』のヒットが中国客の北海道旅行を急増させたように、新たなビジネストレンドを生み出す起爆剤となる。商談会を通じて多くの関係者が語っていたように、日本をどうアピールするか、今問われている。

ILTM Japan日本事務局
http://www.iltm.net
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初日夜に建仁寺で開催されたオープニングパーティ。中央の着物姿の女性はILTMディレクター、アリソン・ギルモア氏
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by sanyo-kansatu | 2013-05-20 12:56 | “参与観察”日誌 | Comments(0)