ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 07月 24日

4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップ! 中国は伸び悩み

先週、日本政府観光局(JNTO)による「訪日外客数(2017 年6月推計値)」が公表されました。今年上半期(1~6月)の訪日動向が見えてきました。
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訪日外客統計 2017年6月推計値
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/170719_monthly.pdf

すでに3月の時点で見えていたことですが、4年ぶりに中国を抜き、韓国が訪日外客数トップとなっています。

日本を訪れる韓国人観光客が中国客を追い抜く勢いで増えています(2017年03月16日)
http://inbound.exblog.jp/26722251/

しかも、前年の上半期に比べ42.5%も伸びて339万5900人(以下、推計値)。この調子でいくと、年間で700万人近くなりそうです。韓国を訪れる日本人の数は減っているのに、対照的な現象です。

それにしても、なぜ韓国人はこんなに増えたのでしょうか。その理由については、今後関係者に話を聞いていくつもりですが、LCCの増加で関西方面、高速船で移動が安くて早い九州方面に増えていることは確かのようです。これまで多くの韓国人が中国を旅行していたのですは、今年に入って中国が不当な制裁をしてきたことから、韓国の人たちも嫌気がさして、旅先を中国から日本に振り返る動きが起きたのかもしれません。

一方、伸び悩んでいるのが中国です。前年の上半期に比べ6.7%増にすぎないこともそうですが、6月に限ると、前年比わずか0.8%増。ここ数年、毎年倍増ゲームのように訪日客を増やしてきたことを考えると、大きな変化といえます。これほど伸びが縮んだのは震災以来、初めてかもしれません。

では、中国客はなぜ伸び悩んでいるのか。この理由についても、今後調べていくつもりですが、明らかにいえることは、2015年に大幅拡大した中国の地方空港からの日本路線に減便、縮小傾向が見られることです。

実際、黒龍江省の旅行関係者に聞くと「今年の訪日客は昨年より減っている」と言います。やはり、中国経済の減速があり、それは上海や北京などの沿海先進地域ではなく、地方都市に影響しているものと考えられます。

その他、好調なのは香港インドネシアです。香港は上半期ですでに100万人を突破。その背景として、JNTOのレポートでは「昨今の世界情勢を受けて日本に対する安心感が相対的に高まっていることも、訪日旅行を後押ししている」と分析しています。

伸び率が最高なのがインドネシアで、上半期の前年比44.9%。最近、ビジャブを被ったムスリム系ツーリストの姿をよく見かけるようになったことは確かでしょう。ただし、18万4900人(上半期)と、この市場はまだ動き出したばかりです。

アセアン諸国では、さすがに伸び率は落ち着きましたが、タイは53万900人と、このままいくと年間で100万人を突破しそうです。このままいくと、タイに旅行に行く日本人より多くなる日が来るのかもしれません。隔世の感があります。

最後に、母数は小さいですが、ロシアも前年比40.6%と増えています。その理由に、今年1月ロシア人に対するビザ緩和が実施されたことと、4月末から成田・ウラジオストク便が毎日運航になったことなどから、日本を訪れるロシア人が増えてきたことがわかります。ここ数年、資源価格減による経済不振のため、ロシア人の訪日客は低迷していましたが、少し改善の傾向が見られます。

ロシア国民に対するビザ発給要件の緩和(外務省平成28年12月16日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_004069.html

【追記】
後日、韓国のランドオペレーターに、今年韓国客がこれほど増えた理由について話を聞いてみました。

韓国が訪日客数トップになった背景に出国率の著しい上昇がある
http://inbound.exblog.jp/27020112/
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by sanyo-kansatu | 2017-07-24 15:27 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 07月 17日

「民泊は5万件を超えるが、ほとんどがヤミ民泊」と報じられる by朝日新聞

先週、朝日新聞が「民泊の行方」と題する2本の記事を配信しています。前半(上)では、6月に成立した民泊新法を受けた民泊周辺業界の動き、後半(下)では、施行前の現在における民泊の実態について。「民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる」という、身も蓋もない記述も見られます。

こうした問題を抱える民泊の現在形について、コンパクトにまとまっている記事だったので、以下、転載します。

民泊の行方:上 合法化で転機、大手参入(朝日新聞2017年7月14日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S13035500.html

6月下旬、東京都心のオフィスビルの一室に十数人が集まっていた。「新しい民泊物件で出会える! 新法180日対策」と題するセミナーだった。

講師を務める不動産会社の男性が強調した。

「民泊はこれからも有望な投資先であり続ける」

新法とは、6月上旬に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)だ。住宅に旅行者を泊める「民泊」のルールを定めている。来春にも施行され、部屋を民泊用に貸し出せるのは「年180日まで」に規制される。

セミナーは個人投資家向けだった。マンションの一室を購入するか借りるかして民泊用に貸してもうけるのが、いまや人気の投資になっている。講師の男性によると、家賃月7万円が相場の物件でも、民泊で貸せば月40万円近い収入を得られる場合もあるという。

新法施行後は半年ほどしか民泊用に貸せなくなるが、男性は「二毛作で高収益を望める」。残る半年はマンスリーマンションやイベントスペースとして貸し出せばよいのだ、という。

民泊物件の紹介サイトを運営するスペースエージェント(東京)の出光宗一郎社長は「法整備が進んだことで、投資先としての注目度は上がる」と期待する。

増え続ける訪日外国人客を中心に、昨年は国内で少なくとも370万人が民泊を利用したとされる。ただ、関連ビジネスを手がけるのは、米国発の仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」や、部屋の清掃や管理をするベンチャー企業にほぼ限られていた。これまでは有料で人を泊める事業をするには、旅館業法の許可が必要で、許可を得ない「ヤミ民泊」は違法だった。それが新法で合法化されることになり、慎重だった大手企業も動き出した。

京王電鉄は、国家戦略特区で民泊事業が認められている東京都大田区に、民泊専用マンションを開業した。地下1階地上6階建てで、全14室。新法施行後は沿線にも建てていく予定だ。訪日客が沿線の施設を利用すれば、鉄道の乗客増につながる。阪急不動産も、同じグループの阪急・阪神沿線の空き室所有者に民泊事業を働きかける。

一方、楽天は6月末、民泊の仲介サイトを新設すると発表した。約800万件の物件情報を持つ不動産サイトと組み、5万件超を掲載するAirbnbを上回る物件数をめざす。

オランダの「ブッキング・ドットコム」、中国の「途家(トゥージア)」、台湾の「AsiaYo.com(アジアヨードットコム)」……。海外で実績のある外資系の仲介サイトも、日本の物件数を増やそうと動く。米国の「ホームアウェイ」の木村奈津子・日本支社長は「地方の別荘や空き家を民泊物件にしたい」と意気込む。

だが、ビジネスの先行きを不安視する声もある。東京・新宿のマンションを民泊用に貸す20代男性は「大手が入れないようなグレーな商売だから、もうかった。大手が出てきたら勝ち目はない」とこぼす。ピーク時は10室を貸し、月100万~200万円を稼いでいた。それが今では周りの民泊物件との競争激化に加え、清掃やトラブル対応の費用が高くつき、もうけが出にくくなったという。

民泊利用者の宿泊マナーをめぐり、周辺の住民から苦情も相次ぐ。各地のマンションでは管理規約で民泊を禁じるところが増えている。独自の条例をつくって民泊可能な期間を180日より短くしようとしている自治体も少なくない。大手不動産幹部は「違法性のある民泊が難しくなり、物件数は急減するだろう。成長市場だとは思えない」と話す。民泊物件の家具の処分を請け負う「民泊撤退ビジネス」も登場している。


これまでグレーゾーンだらけだった民泊も、新法によって合法化されることから、不動産業界を中心に参入の動きが強まっているようです。彼らにすれば、ホテルであれ、民泊用マンションであれ、投資の中身は問わないからです。

新法を強く意識した民泊支援業者の動きも活発化しています。

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/

一方、記事にもあるように、従来型のやり方ではビジネスチャンスは拡大しないとの専門家の声もあります。

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/

後半(下)では、民泊集中地区のひとつである東京・渋谷のマンションに、実際に記者がAirbnbで予約して泊まっています。

民泊の行方:下 郵便受けに鍵、「禁止」すり抜け(朝日2017年7月15日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S13037547.html

東京・渋谷のスクランブル交差点から歩いて10分。大通りを少し入ったオフィス街に13階建てのこぎれいなマンションがある。6月下旬、民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」で予約し、取材目的で泊まってみた。

「1泊7400円」。立地もよく、約40平方メートルという広さから考えると手頃だログイン前の続き。申し込むと、部屋の貸主から、詳しい住所と4桁の暗証番号を書いたメッセージが携帯電話に届いた。

マンションの入り口にはオートロックがかかり、入れない。メッセージで指示された通り、泊まる部屋の郵便受けの投函(とうかん)口に手を差し込む。指に触れたワイヤを引っぱると、先に南京錠と部屋のカギがついていた。暗証番号で南京錠を外し、カギを使ってオートロックを開ける。

ガラス張りの1階エントランスを入ると、目に飛び込んできたのが「民泊禁止」の貼り紙だ。マンションの管理会社に聞くと、全室で民泊を禁じているという。しかし、Airbnbにはほかにこのマンションの4室が掲載されていた。Airbnb日本法人は「希望があれば掲載するのが基本で、許可の有無は確認していない」(広報担当者)。

予約時に宿泊代と別に清掃代の約8千円を支払い済みだ。だが、部屋の床には髪の毛が落ち、タオルはかび臭い。民泊用の部屋の管理は主にベンチャー企業や小さな不動産会社が引き受けているが、「SNS上で学生や主婦を集めて掃除させる業者も多い」と業界関係者はいう。

6月に成立した民泊新法(住宅宿泊事業法)は来春施行の見込みだ。それまでは、お金をとって繰り返し人を泊めるには、衛生面などの基準を満たしたうえで、都道府県などから旅館業法の許可を得る必要がある。記者が泊まった部屋は無許可だった。宿泊者が罰せられることはないが、泊めた側は違法な「ヤミ民泊」として処罰の対象になる。民泊は全国で5万件を超えるが、そのほとんどがヤミ民泊とされる。

6月下旬、ヤミ民泊の多さで知られた東京・代々木のあるマンションを訪ねた。約800室のうち、一時は50~100室がヤミ民泊に使われていたとされる。1室を借りて民泊用に2年間、又貸ししていた20代男性は「月10万円の家賃を払っていたが、50万円の収入があった」と明かす。

騒音やゴミ出しなどのトラブルが相次いだため、このマンションの管理組合は昨年4月、規約で民泊を禁止した。しかし今も5部屋以上の民泊が残り、大きなスーツケースを持った外国人が出入りする。

ある管理会社の社長はあきれ顔だ。「ヤミ民泊だとばれないような受け答えや、保健所の職員が来たときの対策を指南するマニュアルが出回っている」

自治体も対策に頭を悩ます。情報を得ても、マンションのどの部屋がヤミ民泊で使われているかを特定するのが難しいからだ。ヤミ民泊の情報を受け付けるウェブサイト「民泊ポリス」には連日、問い合わせが相次ぐ。運営する中込元伸さんは「海外の普段の暮らしを体験し、文化に触れるという本来の民泊の姿からは遠くなっている」と嘆く。

こうした民泊のあり方に不満を漏らす訪日客も出ている。「『民泊禁止』の貼り紙を見て歓迎されていないと不快になった」「ゴミや悪臭のひどい部屋で、ひどい経験だった」……。Airbnbの利用者の感想コメントには、こんな書き込みがある。

新法は、民泊用の部屋を提供する貸主に都道府県などへの届け出を義務づける。違反した場合、100万円以下の罰金や1年以下の懲役を科す。

ヤミ民泊は新法で一掃され、健全なビジネスに生まれ変われるのか。取り締まる側、される側とも、重い責任を負うことになる。(森田岳穂)


ヤミ民泊の急拡大によって、宿泊業界は大きな影響を受けています。2015年頃、ホテルの客室不足が話題となりましたが、状況は一変しており、特に訪日客を多く受け入れていたホテルでは、以前のように客室が埋まらない事態にまで至っているからです。理由は、米国系Airbnbだけでなく、中国系民泊サイトの利用者が急拡大したためです。

「夜に消える? 訪日客」。背景には民泊による宿泊相場の価格破壊がある
http://inbound.exblog.jp/26877980/

記事の最後にあるように、新法によって民泊は健全なビジネスに生まれ変わることができるのか。これから半年の動きに注目したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-07-17 11:32 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 06月 02日

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?

昨日、民泊新法が衆院で可決されました。

「民泊」解禁法案が衆院通過 全国で可能に(日本経済新聞2017/6/1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H4L_R00C17A6EAF000/

住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案が1日午後の衆院本会議で、与党と民進党、日本維新の会などの賛成多数で可決した。家主に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録をそれぞれ義務付け、誰でも民泊を営めるようにする。参院での審議を経て今国会で成立する見通し。早ければ2018年1月にも施行する。

民泊は急増する訪日外国人の受け皿になっているが、近隣トラブルなどの問題が相次ぎルール作りが課題になっていた。通常は家主が許可を得ずに有料で繰り返し宿泊客を受け入れると旅館業法に違反する。国家戦略特区の制度を使って一部の自治体で旅館業法の適用が除外されているが、これを全国的に解禁する。

法案では営業日数は年間180日以内と定め、自治体が条例で日数を短縮できる規定も盛り込んだ。届け出を怠るなど法令に違反すると業務停止命令や事業廃止命令を受け、従わない場合は6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。


5月下旬に開催されたバケーションレンタルexpoの会場で、存在感を放っていたのは中国企業であったことは、すでに報告したとおりです。日本国内で開かれた商談会なので、正直かなり驚きました。率直に言って、民泊新法が施行された後、彼らはやっていけるのだろうか、と思ったからです。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

今回は、彼ら中国企業の関係者が会場でどんな発言をしていたかについて簡単に報告します。

午前11時から大セミナー会場で行われたのは、中国の大手民泊サイト「途家」役員の杜海COOのスピーチでした。北京清華大学卒でアメリカ留学組らしく、英語によるスピーチを強行する姿には苦笑してしまいましたが(いったい誰に聞かせるつもりだったのだろう?)、途家がExpediaグループの傘下となった背景には、彼のような人物がいたからかもしれません。
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途家
http://content.tujia.com/Japan/Index.htm
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スピーチの中で、彼は途家の右肩上がりの成長を淡々と語ります。2016年末には中国国内と海外の登録物件数が50万件を超えたそうです。日本国内の民泊事業では、市場のニーズが高い東京や大阪、京都、北海道、沖縄に重点を置くとしています。

さらに今年4月、中国富裕層に対する会員制ホテルならぬ、「会員制民泊サービス」(?)のためのプラットフォームVA Shareを立ち上げた話をしていました。会員を集め、国内外の賃貸物件や別荘に投資をし、民泊として使いながら資産運用にも使うということのようです。「所有権をシェアすることでコストを削減」「(会員は)毎年1週間の宿泊権利を獲得」「ホテル予約より50%安い」と話していますが、なんだか日本のバブル期を思い出します。
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以下の中国のネット記事によると「現在、国内外のシェア物件は800に達し、2年以内に6000まで増加する計画」だとか。

途家宣布推出共享度假交换平台VaShare(中国经济新闻网2017-04-17)
http://www.cet.com.cn/itpd/hlw/1916656.shtml
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スピーチが終わると、国内民泊サイトSTAY JAPAN(http://stayjapan.com/)を運営する株式会社百戦錬磨代表取締役社長との対談があり、杜海COOは日本における民泊ビジネスを「合法的に行うこと」をやたらと強調していました。

もうひとりの登壇者は、同じく中国民泊サイト「住百家」の日本法人の夏川峰社長です。彼は20年前に来日したハルビン出身の中国系日本人です。
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住百家 http://www.zhubaijia.com/

彼によると、住百家の設立は2012年で、現在世界70カ国、800都市で38万件の民泊登録物件があるそうです。ところが、彼の話はあまりに抽象的すぎるうえ、日本人でありながら中国語でスピーチしたものを同時通訳するという不可解なスタイルを採用したせいか、何が言いたいのか、よくわかりませんでした。

バケーションレンタルEXPO関係者の発信する記事によると、住百家で海外事業部マネジャーを務めるChoco Zhang氏は「日本には現在2万件ほど物件が登録されており、東京にはマンションが、京都では一軒家などが多く登録されている。住百家上で一番予約が多いのは日本なので、日本市場を重点的に開拓していく」のだそうです。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

同じ記事には、中国系民泊サイト「小猪」の副社長を務めるMichael Sun氏のコメントも載っています。「今日は日本の民泊ホストや民泊運用代行会社、ホールセラーらとより多くのパートナーシップや協力関係を構築するためにやってきた。日本は中国で最も人気がある観光地。我々は日本市場に進出してまだ4ヶ月で物件数も500件だが、今後は5,000件を目指す」とか。

小猪 http://www.xiaozhu.com/

我々の知らないうちに、中国民泊サイトは日本国内の登録物件をこんなに増やしていたのでした。

日経では、中国民泊サイトの成長について、半年以上前のことですが、次のような記事を配信しています。

中国民泊「途家」、エアビーを猛追(日本経済新聞2016/9/7)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX02H23_W6A900C1FFE000/

一般住宅の空室を有料で貸し出す「民泊」の仲介。世界の先頭を走る米エアビーアンドビーの強力な競争相手になりうる中国企業が台頭してきた。途家網(トゥージア)は景気減速下でも衰えない中国人の旅行熱を取り込み、創業から5年で40万を超える物件を抱えるまでに成長した。年1億2千万人を突破した中国人海外旅行客を巡り、アジアでは米中両巨頭のつばぜり合いも始まった。

■物件40万件超

「上海ディズニーに近く、全室テレビとエアコンを完備」。途家のサイトでは観光地やビジネス街の名前から、条件の良さをアピールする物件が簡単に見つかる。上海ディズニーリゾートに近い個人宅は広さ160平方メートルで最大6人が泊まれる。1泊約500元(約8千円)。周辺のホテルで複数の部屋を借りる場合の数分の1で済む。

途家は個人宅のほかにもアパートや古民家、別荘など国内外の宿泊施設を仲介する。2011年の創業で国内外の物件数は43万件。エアビーアンドビーの5分の1の規模だ。中国人の旅行ニーズの多様化に伴い、高級物件にも取り組む。

3月、シンガポールの不動産大手、キャピタランド傘下のアスコットと提携。新ブランド「トゥージア・サマーセット」のアパートを年内に計6棟、2千室を新設する計画で、すでに4月にリゾート地の中国海南島で開業した。世界で高級アパートを運営するアスコットと高品質なサービスを提供し、「中国の中間層を取り込む」と途家の羅軍(ジャスティン・ルオ)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は力を込める。

急成長を支えるのは、中国人の巨大な旅行需要だ。15年は国内旅行者が40億人、海外旅行者は1億2千万人を突破。国内旅行収入は3兆4200億元(約52兆円)に達する。大人数で旅行する中国人にとって戸建てや集合住宅を貸す民泊は比較的安く、利用しやすい。

■自社管理強み 

中国では近年の不動産ブーム過熱で空き部屋が急増。有効活用先を探すオーナーが増えた。途家は中国の不動産最大手の万科企業と提携するなどして貸主も取り込む。

エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応。「欧米人オーナーは自分で管理できるが、中国人オーナーはそうはいかない」(羅軍CEO)

8月には1日の宿泊予約数が5万6千件と過去最高を記録。国内市場を盤石にした途家が次に狙うのは、中国人の海外旅行客だ。3月にはシンガポール同業で世界30万件の登録物件を持つ「ルーモラマ」と提携し、海外物件を拡充している。

「中国版エアビーアンドビー」と呼ばれるまでになった途家に立ちはだかるのは本家エアビーアンドビーだ。同社シンガポール法人でアジア太平洋地域を管轄するジュリアン・ペルサード地域代表は「16年6月時点で中国人利用者は前年比5倍に増えた」と話す。

同社は昨年、北京拠点を開設。7月からは中国の動画配信サイトを通じ、中国人旅行者の人気旅行先であるパリやバンコク、京都のイメージビデオを放送し始めた。

両社の勝負を左右する可能性があるのが手数料の違いだ。途家は貸主の収入から約12%の手数料を徴収するのに対し、エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収。物件数を増やす上ではエアビーアンドビーが優位に立つ。

中国で盤石の強さを誇る途家と、海外の物件数と知名度で先行するエアビーアンドビー。中国旅行者を巡る競争は熱を帯びていきそうだ。


途家に関する報道は他にもいくつかあります。

中国版AirbnbのTujia(途家)、Ctrip(携程)とQunar(去哪)のホームステイビジネスを買収(The Bridge2016.10.31)
http://thebridge.jp/2016/10/tujia-ctrip-and-qunar

中国の民泊大手「tujia(途家)」が日本の高級旅館700軒を掲載へ、「Relux」と業務提携(トラベルボイス2017年2月1日)
https://www.travelvoice.jp/20170201-82407

これら中国民泊サイトの日本進出や日本法人設立にはどんな背景があるのでしょうか。

その理由を普通に考えれば、来年1月に施行される民泊新法への対応だと思われます。これまでのような違法営業は許されなくなるからです。ところが、彼らの話を聞くかぎり、どうやらそういうことでもなさそうな気がしてきます。

日経の記事で興味深いのは「エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応」という部分です。これはどういうこと? 彼らが日本法人を設立したのは、自社で民泊物件の管理をするということなのか?

「貸主の収入から約12%の手数料を徴収」(エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収)と途家の民泊ホストへの手数料が高いのも、そのせいだというのでしょうか?

疑問は尽きないのですが、今回これらの日本法人の担当者と知り合うことができたので、あらためて話を聞きいてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 13:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 31日

「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」by行政書士の戸川大冊氏

5月27日に開かれた「バケーションレンタルEXPO」では、民泊に関わる関係者による大中小3つの会場で合わせて25本ものセミナーが繰り広げられました。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/

なかでも大盛況だったのが、民泊許可業務の第一人者である特定行政書士の戸川大冊氏のセミナーでした。少々民泊ビジネスを煽りぎみの出展者らが多いなか、実際のところ、法的に見てどうなのか。民泊新法施行後に、状況はどう変わるのか、知りたいと考える人が多かったからでしょう。

そんな疑問に応えるべく、セミナーのタイトルは以下のようなものでした。

「住宅宿泊事業法」を正しく理解し、合法的に運営する
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戸川氏は、テレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』4月30日放送で、旅館業許可を取らないで営業している「ヤミ民泊」の問題点や罰則規定について解説しました。また、「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)の立法趣旨や、旅館業の「許可」と民泊新法の「届出」に関する法的性質、特区民泊との違いにも触れています。

この日のセミナーも、まさにこのテーマを番組より詳しく解説した内容でした。以下、戸川氏の運営する「民泊許可.com」などの資料を参考にさせていただきながら、民泊新法の中身を中心に紹介します。

戸川氏の運営するサイト「民泊許可.com」
https://民泊許可.com/

開口一番、彼は言います。「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」。新法成立後は、これまでのような民泊ビジネスはできなくなるとして、近年増えている「ヤミ民泊」摘発事例を挙げます。

2016年7月 旅館業の営業許可を得ずに、無許可で「ヤミ民泊」営業をしたとして、不動産関連会社「ハイブリッド・ファシリティーズ」(東京都港区)と親会社「ピクセルカンパニーズ」が摘発

2016年6月 民泊代行業者(ハイブリッド・ファシリティーズ)が捜索・差押を受け民泊運営支援事業を廃止

2016年4月 大阪府警は大阪市生野区の韓国籍の飲食業の女(71)、中国籍のレンタルビデオ店経営の夫(37)と韓国籍の妻(55)を、旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検

2015年11月 京都市右京区の賃貸マンションの44室中34室で、旅館業法の許可を得ずに観光客約300人を有料で宿泊させ、旅館業を営んだ疑いで書類送検

2014年5月 木造3階建ての自宅の1~2階部分にある3室(24.9m2)を1泊1人2,500~5,000円程度で旅行者に提供していた英国人男性(28)が旅館業法違反で逮捕、略式命令(罰金3万円)

ヤミ民泊の認知件数は以下のとおりです。

平成25年度 62件
平成26年度 131件
平成27年度 994件
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この認知件数は、保健所などが把握した件数にすぎませんが、最近は近隣住民によるチクリが急増しているそうです。

また自治体の摘発強化も進んでいます。

2016年5月 京都市、無許可民泊148件に営業停止を指導 http://airstair.jp/kyoto-148/
2016年7月 京都市、「民泊通報・相談窓口」開設 http://min-paku.biz/news/kyoto-minpaku-tsuihou-soudan-20160713.html
2016年10月 大阪市 、民泊専従チームを組織 http://mainichi.jp/articles/20161010/k00/00m/010/017000c
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そもそも「民泊」という事象は、①国家戦略特区の特例(特区民泊=外国人旅客の滞在に適した施設)と②旅館業(旅館か簡易宿所)、そして③今回の民泊新法(住宅宿泊事業法)で生まれる住宅宿泊の集合体というべきで、それぞれ営業するためには異なる要件があります。

戸川氏は言います。「民泊の許可を出すのは、大家ではなく自治体です。ですから、よく不動産会社が『民泊許可物件』などと表示していますが、このようなものは存在しません」

さらに、昨年6月、ヤミ民泊ホストに対してマンション管理組合からの差し止めが認められました(その後、今年に入り、損害賠償も認められたようです)。

2016.05.24 大阪地裁、初のマンション「民泊」差し止め
http://min-paku.biz/news/osakachisai-minpaku-sashitome.html

賃貸マンションを民泊に使うオーナーが増えているなか、こうした判決が出たのは、民法の「所有権」に関する規定とマンション標準管理規約の「用法の制限」(もっぱら住宅として使用する)をふまえ、区分所有法がいう「区分所有者の権利義務」「共同の利益に反する行為の停止の請求」が認められたものといえます。つまり、マンションのオーナーにとって「他人にとやかく言われる筋合いはない」という主張は間違いだということです。
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最近、外国人による都内のマンション購入が進み、民泊を始めているケースが知られていますが、もし彼らが住民の声を無視して民泊の営業中止を受け入れようとしなかったとしても、マンション管理組合からの訴えは有効だといえます。

民泊を合法的に行う場所を決めるうえで、もう一点考えなければならないことがあります。それは、各自治体による「上乗せ条例」です。たとえば、新宿区や渋谷区、台東区、京都市、大阪市では、それぞれ認可の条件が加えられます。これは民泊新法施行後も変わらないため、他の地域に比べ、ハードルが高いといえます。これらはすべて民泊人気集中地区で、摘発が強化されていることはすでに述べたとおりです。
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さて、ネガティブな話ばかりをしてきましたが、今年の通常国会で成立の見通しとされる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」とはどのような内容なのか。
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ポイントは、「180日以下の運営」であることです。戸川氏は、その理由について「今回の新法は、あくまで住宅を一定の要件で他人の宿泊サービスに提供するものであり、1年の半分以上の期間を超えてしまうと、それは住宅とはいえないから」と説明。法的な見地からみて、今後民泊をこれまでのようにビジネスと考えるのはおすすめできない、というのが戸川氏の一貫したアドバイスといえます。
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さらに、民泊新法では、民泊事業者の「都道府県知事への届出」、特に「家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託すること」が義務付けられます。住宅宿泊仲介業(民泊仲介サイト)に対する規制も加わり、観光庁長官への登録が義務付けられます。これによって、airbnbなどが違法なヤミ民泊をあっせんすることは、施行後は不可能になります。加えて、観光庁で「民泊」苦情窓口を新設するようです。

こうしたことから、戸川氏は「もし民泊を年間を通じて合法的にやるなら、旅館業の営業許可を取るべきだ」と指摘します。民泊新法と同時に審議が進んでいる旅館業法の改正で規制緩和が進むことがわかっているからです。ここでのポイントは、客室数や寝具の種類、トイレ、最低床面積などの構造設置基準の緩和。これで旅館営業に以前より参入しやすくなるのは確かです。他方、無許可営業に対する罰金が3万円から100万円に引き上げるなど、ヤミ民泊の取り締まりは強化されます。
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冒頭で、戸川氏が「民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ!」と言ったのは、180日間以内の営業では儲かるとは思えないからです。「民泊新法がビジネスに不向きであることは決定的」「よって合法的な民泊を事業として開始しようと考えている事業者は、民泊新法の成立を待たずに簡易宿所型民泊か特区民泊ですぐ事業を開始すべき」といいうのは、そのためです。

※特区外の簡易宿所型民泊や特区民泊の合法的な始め方については、民泊許可.com参照。

この図は、新法施行後の民泊の姿です。
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このセミナーを聞くかぎり、これまで自覚の有無はともかく「ヤミ民泊」に手を染めていた人たちは、訴訟や罰金を食らう恐れが増大することでしょう。airbnbなど民泊サイトへの影響も大きそうです。

ともあれ、ルールづくりは大事です。そのうえで、おかしなところは改正していけばいいのです。新法施行以降、これまでの「安かろう悪かろう」の日本の民泊イメージが大きく変わっていくことを期待します。

「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-31 13:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

通訳案内士法改正は一歩前進だが、現状では海外から評価されない(無資格を合法にするなら登録制にすべき)

先週、ついに改正通訳案内士法が成立しました。

本ブログでも、詳しく扱ってきた問題です。

http://inbound.exblog.jp/tags/通訳・多言語化

これまでは議論ばかりで、状況は変わらないどころか、ますます悪化していくばかりだったことを考えれば、インバウンド市場にとって欠かせないルールづくりのひとつとして一歩前進と評価できます。でも、依然問題は山積みです。

通訳ガイド、無資格でも 外国客急増で 質低下の懸念も(朝日デジタル2017年5月29日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5C03BBK5BUTIL04F.html

「通訳案内士」の国家資格を持つ人にだけ認められてきた外国人旅行者への有償の通訳ガイドが、無資格者でも担えるようになる。外国人旅行者の急増を受け、改正通訳案内士法が国会で26日に成立した。1949年に制度ができて以来初めての大幅な規制緩和。観光業界は新たなガイドへの期待と、質の低下への懸念とが交錯している。

訪日外国人は昨年約2403万9千人で、4年連続で過去最多を更新。そのガイドを担い、正しく日本の歴史や地理を伝えるのが通訳案内士で「民間外交官」とも呼ばれる。試験は毎年1回あり、外国語に加え、地理や歴史、政治などの筆記テストと口述テストがある。専門言語は10カ国語で、昨年度の試験では2404人が合格した。合格率は21・3%だった。

昨年4月時点で約2万人が登録されているが、その約7割は「英語」が専門。旅行者は中国からが最多で約630万人(約26%)、次いで韓国の約500万人(約21%)。東アジアと東南アジアで全体の8割超を占め、ミスマッチが課題となっていた。さらに、有資格者の4分の3は首都圏や関西圏に住み、地方に外国人を呼び込みたい自治体や業界の思惑ともずれが生じていた。

そこで政府は、無資格者にも有償ガイドを解禁することにした。ただ国家資格は残し、より質の高い案内士として活用する方針。また、地域限定で活動する「地域通訳案内士制度」も新設し、地方の人材不足に対応できるようにする。

しかし法改正には、「悪質ガイドにお墨付きを与えるようなもの」と質の低下を懸念する声もある。日本観光通訳協会の木脇祐香理副会長は「外国語能力だけでは不十分。ガイドで日本の印象が決まる。下見など入念に準備して歴史、文化や魅力を紹介し、満足度を上げてリピーターになってもらうことが大切」と指摘する。「優秀なガイドを育て、質を保つための国の新たなサポートも必要になると思う」と話している。

観光庁はガイドをあっせんする仲介業者「ランドオペレーター(ランオペ)」を登録制として指導を強めるなどして、質の低下を防ぎたいとしている。

政府は東京五輪・パラリンピックがある2020年までに訪日客を4千万人まで増やす目標を掲げる。大手旅行会社幹部は「規制緩和が、人材の充実につながれば」と期待している。(伊藤嘉孝)

■通訳ガイドのルールはこう変わる
・有償ガイドを無資格者に解禁
・「地域通訳案内士」の資格を創設
・手配業者を登録制に。悪質業者に罰則も


正直なところ、改正法成立の報を聞いて最初に思ったのは「これで中国人の白タクドライバーによるガイド行為は合法になるんだな」ということでした。これまで「無資格ガイド」と呼んでいた対象、それはたとえば、中国の団体客相手のボッタクリガイドなども皆、資格の有無が問題でなくなるわけです。

もっとも、朝日報道にもあるように、これほど外国人が増えているのに、70年近く前にできた古いルールのままでいいはずはありません。通訳案内士団体など反対派の主張はとてもまじめで、あるべき理想の姿を示したものでしたが、一般国民からすれば、大勢からみて説得力がないとみなされても仕方がないものでした。

通訳案内士法の改正に関する要望書
http://www.ijcee.com/hiroba/guideinsti/demand01_100622.pdf

ただし、今回の改正は、とてつもなく時代錯誤だった大きなタテマエ(有資格者でなければ、有償通訳ガイドをするのは違法)を崩しただけにすぎません。より現実的な通訳ガイドのあり方のために決めたルールである以上、すでに指摘されている多くの懸念や問題を解消していく必要があります。

問題は、訪日外国人を対象とした通訳ガイドの周辺で起きている多くの違法状態について、広く一般国民に理解されていないことです。通訳案内サービスを受けるのはあくまで外国人であって、日本の一般国民ではないため、ピンとこないのは当然です。それでも、これだけ外国人が増えた以上、有資格者でなければ有償ガイドができないことを法で縛るのはどうかという一般社会の常識的は判断から、今回の改正に遅まきながら至ったのだと思います。

通訳案内士法改正は一歩前進だと考えますが、「誰がガイドをするのがふさわしいか」について、もっと議論が必要です。これまで多くの日本人がほとんど考えてこなかったことですが、外国人相手なら外国人がガイドするのがもっともだ、というような誤解をなくしていかなければなりません。

そうでないと、「悪質ガイドにお墨付きを与える」ことにしかならないからです。これまでボッタクガイドやブラック免税店の存在を批判していた中国をはじめとした海外の国々からも、今回の改正だけでは評価されないでしょう。問題の解決にはつながらないからです。通訳ガイドサービスは、海外の人たちから評価されてこそ、意味があるのです。

通訳案内士法改正とともに進んでいる旅行業法の改正案では、これまで規制の対象外だったランドオペレーターに観光庁への登録を義務付けるといいます。悪質な訪日ツアーの増加をふまえ、海外旅行客の安全や旅行の質の確保など、業務の適正化を目指すためのもので、ランドオペレーターには管理者の選任、業務に関する契約書面の作成などを求めることになっています。

ボッタクリツアーの温床となっていた中国系のランドオペレーターを登録制にすることは、ルールづくりの第一歩ですが、結局のところ、これらの問題はランドとガイドの連携で成り立っていた以上、せめて団体客が相手の場合、ガイドも登録制にすることが必要ではないでしょうか。いまは、白タクをはじめ、個人客相手の無資格ガイドが跋扈する時代だからです。

今後は在日中国人をはじめとした外国人のガイドに、研修や登録を義務付けるしくみを新たに加えていくことが求められると考えます。はたしてその外国人が日本を案内するのにふさわしい人物であるか、それを見極めるのは、我々の責任です。自国をガイドする外国人にライセンスを与えるのは、海外では常識ですが、これまで日本だけがなおざりにしてきたのです。無資格ガイドを合法とする以上、これは当然ではないでしょうか。

ランオペ登録制は一歩前進。ガイドも登録制にできるだろうか
http://inbound.exblog.jp/26296114/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 15:56 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 26日

中国の流行語をうまく使った翻訳なんだけど……ちょっと微妙かも?

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

そのブログの記事から転載します。

これまで街で見かけた中国語表記の間違いを探してばかりいましたが、なかには「これは中国人が翻訳しているな」と思わせる名作もあります。

それは「訪日外国人向けワンストップ観光情報サイト」のライブジャパンの中国人向けポスターの文面です。東京メトロのホームに貼られていました。
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ライブジャパン
https://livejapan.com/

そこにはこう書かれています。

「东京观光哪里详
导遍日本数我强」
(東京観光はどこが詳しい
ライブジャパンがナンバーワン」

これを見た中国人観光客の多くは、思わずニヤっとしたことでしょう。この中国語のコピーには元ネタがあるからです。

それは、中国山東省にある有名な工業専門学校の以下の宣伝コピーです。

「挖掘机技术哪家强,
山东技校找蓝翔」
( ショベルカーの技術はどこが優れている
 山東技校で探せばいい)

文章のリズムもそうですし、文末に韻をふんでいて、いかにも中国的なのです。その意味では、とても優れた翻訳例といえると思います。

ではなぜ中国人の多くがこのコピーを見てニヤっとしたかというと、この正式名称「山東藍翔高級技工学校」という工業専門学校のテレビCMはもうだいぶ前から、いろんな意味で評判になっていたからです。

そのCMの一例はYOU TUBEでも見ることができます。
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中国山东找蓝翔 #恐怖蓝翔
https://www.youtube.com/watch?v=YqmbLYWAki4

ご覧のとおり、このド派手な学校案内のためのプロモーションビデオの中で、何度も繰り返されるのが、先ほどの「挖掘机技术哪家强,山东技校找蓝翔」という掛け声です。そして、この仰々しいコピーは、いまどきの若い世代の中国人にとってほとんど流行語のように耳になじんでいるのです。

ただし、それは決して気が利いたコピーというわけではありません。この学校はこのCMで全国的に有名になったことは確かですが、所詮地方の専門学校、日本では信じられないくらい厳しい学歴社会の中国では、大学に行けない連中のための学校にすぎないからです。日本にいる留学生のような恵まれた中国人からすれば、専門学校生なんて、自分とは生きる世界がまったく違う人たちなのです。

ですから、このコピーをチャカしたラップ風のパロディー動画なんかもつくられています。

【蓝翔洗脑广告】挖掘机技术哪家强?中国山东找蓝翔!
https://www.youtube.com/watch?v=AAiZJNhGE0s

このCMは「洗脳広告」だというわけです。

こうしたことを考え合わせると、中国人の若い世代の耳に慣れ親しんだフレーズを元ネタにしたコピーというのは、実際にはかなり微妙といえなくもないのです。

ある中国人留学生はこう言います。「だって、本来東京はCool Japanで売りたいわけでしょう。それが全然coolじゃない山東技校の広告のフレーズに重ねられるなんて、どうなんでしょう?」
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by sanyo-kansatu | 2017-05-26 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 24日

「夜に消える? 訪日客」。背景には民泊による宿泊相場の価格破壊がある

今日の朝日の朝刊を見て、ついにこの話が出たなと思いました。

「訪日外国人数は増えているのに、宿泊者数が伸び悩んでいる」

インバウンド関係者の間では、昨年からすでに大きな問題となっていたからです。

東日本大震災の翌年の2012年以降、好調に推移していた外国人の宿泊者数の伸び率が、15年(46.4%)から16年(8.0%)にかけてガクンと減ったのです。「外国人延べ宿泊者数は、7,088万人泊となり、調査開始以来の最高値」であるにもかかわらずです。
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宿泊旅行統計調査(平成28年・年間値(速報値))
http://www.mlit.go.jp/common/001174513.pdf

記事では、なぜこうしたことが起きたのか、その背景についてさまざまな観点から検討しています。

ユー、夜はどこに? 訪日客は増加でも宿泊者は伸び悩み(朝日新聞デジタル2017年5月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5R55GBK5RULFA01M.html

日本を訪れる外国人客は増え続けているのに、国内での外国人の延べ宿泊者数が伸び悩んでいる。ホテルや旅館に泊まらないのだろうか。「夜に消える訪日客」の実態をつかみあぐね、観光立国をめざす政府は困惑している。

4月中旬、深夜の成田空港のロビー。欧米系の外国人10人ほどがソファに寝転び、上着やタオルを顔にかけてまどろんでいた。

フランス人の玩具デザイナー、レマル・アモリさん(31)は、この日はここで朝まで過ごすと決めた。「日本のホテルは狭いのに宿泊代が高すぎる」。7日間の日本滞在中、夜はインターネットカフェや友人の家に身を寄せるつもりだ。

関西空港の24時間営業ラウンジでも、朝まで過ごす訪日客が目立つ。個室状のブースは連日満席。空港も仮眠用に無料で毛布を貸し出している。

観光庁によると、今年の訪日外国人客数は13日に1千万人を突破。過去最速のペースだ。1~3月の累計は653万人で前年同期より約14%増えている。ところが、同じ期間の国内の外国人延べ宿泊者数は累計1803万人で、約2%増どまり。訪日客の日本の平均滞在日数は9・5日。前年同期(10・2日)から大きく減っているわけでもない。

背景にあるのは集計方法の違いだ。客数は法務省の入国管理統計から日本に住む人を除いて出すが、宿泊者数は1・5万軒前後のホテル・旅館へのアンケートをもとに推計する。空港やネットカフェは対象外だ。

観光庁は当初、住宅に泊まる「民泊」と、船内に泊まれるクルーズ船の利用増の影響が大きいとみていた。民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」の昨年の延べ利用者数は、前年の2・7倍の370万人超に達した。昨年のクルーズ船による訪日客は199万人で、前年より8割増えている。

だが、最近は「それだけではなさそうだ」(観光戦略課)という。都市部でのホテル不足から宿泊料金が高止まりし、訪日客が「宿代わり」になる安価な施設を探しているという。ネット上での情報交換も盛んになっている。

夜通し営業する東京・新宿の温浴施設「テルマー湯」は今年、外国人客が前年より10~15%増えているという。観光庁が「宿泊主体ではない」と調査対象外にしているラブホテルも、低価格で日本独特の宿泊先として訪日客に人気だ。

移動で深夜に走る高速バスを利用するケースも増えている。高速バス大手のウィラーエクスプレスジャパン(大阪市)では、昨年に専用サイトから申し込んだ外国人客が前年比4割増の14万人だった。

訪日客向けビジネスを支援する「やまとごころ」(東京)の村山慶輔社長は「個人のリピーターや中所得層の訪日客が増え、旅の仕方が多様化しているのに、統計は実態をとらえきれていない」と話す。

政府は2020年までに、年間訪日客数を16年実績の約7割増の4千万人にするほか、地方での外国人延べ宿泊者数を同約2・5倍の7千万人にする目標も掲げる。国土交通省幹部は「政策の効果を確かめるためにも、統計の精度をもっと上げないといけない」。(森田岳穂、石山英明)


この記事では、訪日客数の伸びに見合わない宿泊者数の背景に「住宅に泊まる「民泊」と、船内に泊まれるクルーズ船の利用増の影響が大きいとみていた」が「それだけではなさそうだ」(観光庁)と考えるようになったとあります。

その例として、国際空港のラウンジで仮眠したり、都内の温浴施設に寝泊りする外国人の増加、ラブホテルや深夜バスの利用などを挙げています。ちなみに風営法扱いでこの統計には入らないラブホテルや温浴施設とは違い、外国人利用の多いカプセルホテルは「簡易宿所」にあたり、統計に含まれているため、記事には触れられてはいません。
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羽田空港国際ターミナル午前0時半(2017年3月上旬)
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確かに、羽田空港国際ターミナルの深夜便利用客は想像以上にいて、ロビーのソファで横になる外国人の多さに驚いたことがあります。また羽田空港に近い蒲田などのスーパー銭湯を利用する羽田深夜着や早朝便利用の外国人が多いことも知られています。同じような話は、関空や中部空港などの大都市空港の周辺にもあります。

LCCを使えば片道5000円で日本を訪れることができる時代です。なるべくお金をかけずに日本旅行を楽しみたいというニーズは高まるばかりで、こうした宿泊形態の多様化が進むのはもっともな話でしょう。

そのため、2015年頃まで外国客の利用比率が高かった都内のホテルほど、去年は客室を埋めるのに苦心するという事態が起きていました。記事には「都市部でのホテル不足から宿泊料金が高止まり」とありますが、むしろこれらのホテルでは宿泊料金のディスカウント合戦が始まっています。問題は日本のホテル料金にあるというより、やはり民泊による宿泊相場の価格破壊が起きたと考えるべきでしょう。「それだけではない」のは確かですが、影響は大きいのです。

先日も海外在住の知人が帰国し、東京に立ち寄る際、試しにAirbnbで民泊を探したところ、最安値は2000円だったそうです。1泊しかしないので、話のタネにと泊まったところ、そこは五反田にある賃貸マンションの1室で、ワンルームに2段ベッドが6つ置かれており、若い外国人が何人も泊まっていたそうです。

不特定多数の外国人を1室に押し込むドミトリー式の民泊の話を聞き、まるでウォン・カーウェイ 監督の『恋する惑星』の舞台だった重慶マンションではないかと思ったものです。五反田のケースはフロントもなければ、スタッフもいないわけですから、もっと劣悪な環境だといわざるを得ません。「これでは盗難が起きても誰にも訴えられない。二度と泊まる気にはなれなかった」と話してくれました。

団体から個人へと移行したアジアからの観光客の多くは、家族や小グループで日本を訪れます。彼らはどんなに狭くても、民泊でマンション1室にグループごと雑魚寝して泊まれば、ホテルの客室を複数利用するのに比べると、はるかに割安です。これも宿泊相場の価格破壊をもたらした大きな理由だと考えられます。

(このような物件ばかりではないという反論はあるでしょうが)結局のところ、民泊の実態はこういうものでしょう。

そうである以上、監督官庁は「それだけではない」などと逃げないで、明らかに問題のある民泊の存在をこのまま許すかどうか、そろそろ判断しなければなりません。記事にあるように、「統計の精度」は実態の把握のために必要ですが、はっきり言って、この種の違法営業はなにも宿泊関連だけでなく、無資格ガイドや違法バス、白タク、ブラック免税店などの問題も含めて決して最近の話ではなく、広く知られていなかっただけで、10年以上前からずっと起きていたことだからです。背後に存在するモグリの事業者たちがやることは、いまも昔も変わりません。

ちなみに、2016年の国別訪日客数と延べ宿泊者数のトップ5の伸び率を以下に挙げてみます。(左:訪日客数、右:延べ宿泊者数)

中国 27.6%増  3.3%増
韓国 27.2 %増 15.7%増
台湾 13.3 %増 1.3%増
香港 20.7%増 8.2%増
アメリカ 20.3%増 14.3%増

これをみるかぎり、すべての国で訪日客数より延べ宿泊者数の伸び率が低いのですが、特に数の開きが大きいのが中国です。中国の伸び率の開きは、九州を訪れるクルーズ船の増加の影響もあるのですが、やはりここには「途家」などに代表される中国系民泊の影響が感じられます。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

AISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)の王一仁会長は「昨年、Airbnbの国内の利用者が前年比2.7倍の370万人超になったというが、『途家』などの中国系民泊の利用も、同じように増えている。彼らは統計を公開していないが、それがホテル市場に与えた影響は想像以上に大きいといわねばならない」と話しています。

確かに、民泊市場の拡大分は、昨年の訪日外国人の伸び分を超えて、呑み込んでしまっていることが考えられます。一部のホテルに空きが出てきたのはそのためではないかというのです。

世界でいちばん安さにこだわる彼らですから、民泊がホテルより安いとわかれば、そちらに移るのは自然の流れです。なにしろ日本には民泊を経営する中国人も多いからです。

【追記】
2017年5月下旬、民泊ならぬ「バケーションレンタル」の商談会が都内で開かれました。民泊関係者が集結しており、非常に面白いイベントだったので紹介します。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-24 11:50 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 19日

日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?

5月18日の日本テレビの情報番組『エブリィ』が違法営業と報じた中国配車アプリ「皇包車」とはどんなサービスなのでしょうか?

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/

それはひとことでいえば、2009年中国の大ヒット正月映画『非誠勿擾』のドラマの主人公のように海外をドライバー付きで自由に旅することの実現といえます。

非誠勿擾
http://www.okhotsk.org/news/tyuugoku3.html

これが「皇包車」です。
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皇包車(HI GUIDES)
https://m.huangbaoche.com/app/index.html

このサービスのキャッチコピーはこうです。

「华人导游开车带你玩(中国人ガイドがあなたを乗せてドライブします)」

ここでいう中国人ガイドって誰のこと?

その下に都市名と契約したドライバー数が載っていますが、おそらくこのドライバーこそが「中国人ガイド」というわけでしょう。

東京1659名 台北1643名 大阪1172名 ニューヨーク698名 パリ786名 バリ島101名

このサービスは日本国内のみならず、海外でも展開されているのです。「越境EC」ならぬ、「越境白タク」とでも呼べばいいのでしょうか。

もう少しサービスの中身を知るために、サイトを覗いていきましょう。

これは東京のページです。
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皇包車 東京
https://www.huangbaoche.com/app/lineList.html

このページには、東京発のさまざまなドライブコースが表示されています。たとえば、いちばん頭にあるのが、以下の富士山ドライブコース。1名489人民元とあります。

富士山河口湖→五合目→忍野八海→山中湖温泉 包车一日游,东京往返 ¥489

実は、同様の中国系配車アプリがもうひとつあります。こちらも海外各地で展開していますが、日本のページを見てみましょう。
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DingTAXI日本包車旅遊
https://www.dingtaxi.com/zh_CN/c/japan

トップページには以下のようなコースと料金が記されています。

東京包车一日游(東京1日チャーター)最低 ¥23000JPY
大阪包车一日游(大阪1日チャーター) 最低 ¥25500 JPY
(东京出发) 富士山箱根包车一日游(東京発富士山・箱根1日チャーター) 最低 ¥36000JPY ほか

成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円。一般のタクシーに比べると半額です。

次に「東京1日チャーター」のページをみると、23人のドライバーと自家用車の写真が載っています。それぞれ1日の運行時間と料金に加え、深夜便利用客のニーズに合わせた深夜料金なども書かれています。
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中国客たちは、ドライバーの写真や車種、料金、条件などを比べて選ぶことになります。

それにしても、彼らとアプリ会社との契約はどうなっているのか。一部のドライバーは写真を載せていますが、顔が割れてしまっても大丈夫なのでしょうか…。

琉球新報は、こうした配車アプリを使った白タクサービスが3年前から始まったと報じています。いったい沖縄でどんなことが起きているのか。以下の記事を読むとよくわかります。

中国客も「白タク」利用 沖縄観光、アプリで配車 運転手は県内に100人超(琉球新報2017年5月14日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-495441.html

台湾人クルーズ客を相手にした白タク行為が沖縄県内で横行する中、中国人客を対象にした「白タク」行為も広がっている。世界各地で事業展開する中国の運転手付き自動車配車サービスアプリを使う手法で、同アプリで手配する運転手は旅客を運送する際に必要な第2種運転免許を持っていない例が多いとみられる。旅客自動車運送事業の許認可を受けないレンタカーや自家用車を使用している。

13日現在、同アプリに登録し、沖縄で操業できる中国人運転手は100人を超える。急増する外国人観光客への多言語対応など、県内の受け入れ態勢の不備が白タクの横行を招いている側面もある。

中国人客は台湾人客と異なり旅行業者を介して白タクを手配するのではなく、スマートフォンがあれば気軽に白タクを手配できるアプリを利用するのが一般的だという。利用者は、飛行機で来沖する中国人客が多くを占める。

県内旅行関係者によると、中国の配車サービスアプリの利用は3年前から始まり、来沖する中国人客の増加につれ、利用件数も急増している。

別の旅行関係者によると、同アプリで販売する4人乗りの車を使った県内1日(10時間)ツアーが平均3万5千円なのに対し、第2種免許を持つ日本人運転手付きのタクシーは平均3万円。「中国語でサービスを提供しているため、日本人運転手の料金よりも高い」という。運転手はサービスを提供する前、乗客とSNSや電話でやりとりし、宿泊先のホテルなどで客を乗せる。

県内旅行関係者は「乗客は配車アプリを通して料金を運転手に支払っているため、現金でのやりとりがなく、(警察などの)摘発は難しい」と現状を述べ「きちんと税金を支払っているわれわれに公平な競争環境を返してほしい」と訴えた。


琉球新報の同記事には、中国客が日本で配車アプリサービスを使えるしくみをわかりやすく図にしてくれています。
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要するに、中国客は日本を訪れる前に、同サービスに対して支払いをすませており、日本でドライバーへ金銭を支払うことはありません。つまり、事業者は日本国内には存在せず、金銭のやりとりもない(おそらくアプリ会社からドライバーへの支払いは、中国の電子決済システムによるのでしょう。ドライバーは日本在住者でありながら、在外華人なので、必要であれば、なんらかの日本円への換金手段があると思われます)。そして、顧客へのドライブサービス活動の実態だけが、日本国内で行われるのです。

問題は、このドライバーたちのほとんどが第2種免許を持っていないであろうこともそうですが、個人営業者として確定申告をしているのかどうか。もしそうでないのであれば、いくら中国人観光客が日本を訪れても、日本にお金が落ちないしくみになっていると言わざるを得ません。

次回以降は、なぜこれほど多くの中国人観光客が日本国内で白タクを利用するようになったのか。中国でライドシェアが一気に普及した背景について説明します。

中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/

(参考)
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
http://inbound.exblog.jp/26891045/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-19 16:12 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(1)
2017年 05月 19日

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?

昨日(5月18日)、中国のSNS「微信(WeChat)」上に、ひとりの日本に住む中国人と思われる人物から、中国系白タクの利用に注意を促す以下のメッセージが発せられました。
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新闻不报道还不知道国内有个叫“皇包车”的软件(2017-05-18)
http://www.sohu.com/a/141506227_559312

メッセージの中身は、その日夕方5時50分過ぎの日本テレビの情報番組『エブリィ』で放映されたニュースに触れたもので、成田空港や羽田空港に急増している中国の配車アプリ「皇包車」を使った白タクが、今後摘発の対象になると言っています。

さらに、中国で広く普及している同アプリによる配車サービスは、日本では合法ではないこと。万一事故に遭ったとき、補償がないことを知るべきだと呼びかけています。

ぼくはこの番組を観ていないのですが、そのメッセージにはニュース映像のカットが2点載っていて、「白タクは普通の自家用車で違法営業」との文面が見られます。同番組のサイトでは、いまのところ、このニュースはアップされていないようです。

日本テレビ『エブリィ』
http://www.ntv.co.jp/every/

中国系白タクの急増が問題になっていることは、関係者の間では数年前から広く知られていました。NHKのクローズアップ現代でも昨年10月下旬、中国人観光客をめぐるさまざまな問題のひとつとして白タクに触れています(このニュースに関しては、あらためて別の機会に解説します)。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

今年3月、羽田空港から深夜便で上海に行ったのですが、国際ターミナルの周辺にワゴンタイプの白タクと思われる自家用車が何台も中国客を降ろしているのを見ています。
b0235153_14305192.jpg

跋扈する中国系白タク問題にいちばん頭を痛めているのが沖縄県です。今月に入って、沖縄のメディアはこの問題を繰り返し報じています。

沖縄では中国系白タクをめぐるふたつのケースが存在します。ひとつは、台湾からのクルーズ客が上陸観光をする際にレンタカーと第2種運転免許をもたないドライバーをセットで利用するケース。もうひとつが、中国客が配車アプリによる営業許可のない自家用車とドライバーを使うケースで、共通するのはドライバーの多くが県内在住の中国人であることです。

台湾人向け「白タク」中国系運転手がクルーズ客送迎 総合事務局「違法行為」(琉球新法2017年5月1日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-488190.html
中国客も「白タク」利用 沖縄観光、アプリで配車 運転手は県内に100人超(琉球新報2017年5月14日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-495441.html

背景には、琉球新報の記事にもあるように「急増する外国人観光客への多言語対応など、県内の受け入れ態勢の不備が白タクの横行を招いている側面」があるわけですが、だからといって営業許可も取らないで、好き勝手に課税逃れの商売をやることは許されません。なんでも「同アプリに登録し、沖縄で操業できる中国人運転手は100人を超える」そうですから、さすがの沖縄メディアも黙認はできないと判断したのでしょう。そのぶん、沖縄県民のドライバーの仕事が奪われてしまっているわけですから。

はたして日本テレビの報道のように、今後成田空港や羽田空港での白タク摘発は始まるのでしょうか?

次回は、この中国系配車サービスアプリについて説明しようと思います。

日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/

(参考)
中国本土の観光客は日本でレンタカーの運転はできません
http://inbound.exblog.jp/24859203/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
http://inbound.exblog.jp/26891045/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-19 14:33 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 18日

「学生の中国離れ」の背景には何があるんだろう?

先日、あるネットメディアに以下の記事が配信されていました。

タダでも中国には行きません 深刻な学生の中国離れ
一方通行の学生交流、このままでは情報格差が広がるばかり(JBPress2017.5.2)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49861

同記事によると「日本の大学生の中国への関心がどんどん低下している」そうです。

ある大学の学生に「なぜ中国に関心を向けないのか」と問いかけてみたところ、出てくるキーワードは「領土問題」「海洋進出」「反日」など。ある女子学生は、トイレなど衛生面の不安を挙げたといいます。

日本の若者が海外に行かなくなったとよく言われますが、2016年の日本人のパスポート取得数(外務省)を調べてみると、20代は2年連続で増加しているようで、若者の場合、「海外離れ」ではなく「中国離れ」が顕著だといえそうです。記事によると、海外には行きたいが、「中国となると“話は別”」なのだそう。

その理由として「おそらく中国という国に魅力を感じたり、憧れたり尊敬したりする人がいないんじゃないでしょうか。大金を投じてまで行く価値があるとは、周りの友人たちは思っていないのだと思います」という回答があったとか。ここまでぴしゃりと言われてしまうと言葉を返しようがありません。

同記事は最後に「(日中間が)「双方向の交流になっていない」という問題が生まれつつある。このまま行くと、「実際に日本を訪れて日本の理解が進む中国人」と「中国についてウェブ上の情報しか持たない日本人」との間で、情報格差が広まるばかりだ」と危惧しています。

もっとも、日中間の旅行市場のアンバランスについては、若い世代に限った話ではありません。2016年の中国からの訪日旅行者数637万人に対して、日本からの訪中旅行者258万人(中国国家観光局)とダブルスコア以上に離れています。

では、こうなる背景には何があるのか。以下の3つの理由があるとぼくは考えます。

①いまの中国に若い日本人からみた魅力や行ってみたいと思わせるスポットが少ないこと(それにはもろもろの事情がある)
②ネットを中心に中国のネガティブな情報しか見当たらないこと
③ラインやインスタグラムなどの日本人にとっての日常的なSNSが使えないこと

まず①から説明します。

中国は歴史の国で、本来そこに魅力があるはずです。ところが、たとえばエジプトやローマなどを訪ねたときと比べるとわかるのですが、経済発展のおかげで多くの歴史建造物が現代的に修復されたぶん、歴史を強く感じさせるスポットが以前に比べ少なくなった気がします。さらに、都市の現代化の結果、全国どこも一緒で、地域性の違いが見えにくくなっています。これは日本の1970年代に似た建設ラッシュによって都市空間が均一化していく時代にある中国特有の過渡的な状況なのかもしれません。

ところが、同じ時代を通ってきたはずの日本では、外国人からみて現代都市と伝統文化が共存し、そこかしこに散見されるように感じられるといわれるのに、中国はそうではなさそうです。その理由はわりとはっきりしています。文革時に多くの封建的とされた宗教建築や民間風俗、少数民族に関わる施設などを葬り去ってしまったことの影響が大きいのです。いま中国の都市には再建された「老街」があふれていますが、テーマパークのようで、味わいがありません。

さらに、政府の規制が強すぎるせいか、好奇心旺盛で元気いっぱいの若い中国人がたくさん生まれているというのに、現代的なソフトパワーの魅力が発揮されにくい。数年前までは、唯一の自由空間としてネット上で繰り広げられていた、いかにも中国的なポップカルチャーのにぎわいも、現政権以降、文化面に対する統制が強まり、かつての活力が見られなくなっています。

そもそも中国は自らの魅力を海外にPRするのが苦手のようです。以前、北京から来た観光団のセミナーに出席したことがあるのですが、そこで説明されたのは、北京とその郊外の有名スポットの写真をただ順番に見せたありきたりの解説だけ。30年前にはなかったオリンピックスタジアムや劇場、スキー場などを見せたいのかもしれませんが、いまどき海外の誰が魅力を感じることでしょう。彼らには相手のニーズが見えていないのです。

外国人観光客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身 (2015年05月14日)
http://inbound.exblog.jp/24475269/

きっと今日の中国人ほど、かくありたい自画像と現実とのギャップに悩んでいる人たちもいないのでしょう。彼らのふるまいを見ていると、よくそう思います。

こうした客観的情勢があるうえ、日本では②「ネットを中心に中国のネガティブな情報しか見当たらない」状況が進んでいます。

確かに、そうなってしまう事情はあると思います。

一般に今日の日本人の「嫌中」「反中」は、2000年代以降に中国人があからさまに見せた「反日」暴動などのふるまいや中国政府によるあまりに非礼な言動に対するリアクションから生まれた国民感情といっていいと思います。よく「日本の書店に行くと、嫌中本ばかりが並んでいる」などとメディアは批判しますが、これも総じていえば、民意の反映といえなくもない。

特に最近の中国政府の台湾や韓国に対する嫌がらせは許しがたいことで、観光を政治利用するような国には行きたくないと思うことを誰が批判できるでしょうか。

だから嫌われる!? 今年の春節も観光を政治の取引に使う中国にうんざり
http://inbound.exblog.jp/26584101/

嫌われる要因をつくり出しているのは、残念ながら、中国側なのです。

よく「日本のメディアが中国のネガティブな報道しかしないせいだ」という人がいます。日本に住む中国人もそう感じている人が多そうです。でも、本当にそうでしょうか。中国における硬直した日本報道をみる限り、とてもじゃないけれど、中国人がそれを言っても始まらないと思いますし、メディアといっても実際はいろいろで、一般に日本の新聞やテレビの「報道」分野においては、むしろ公平中立を重んじるあまり、中国に対するつっこみが甘いと感じさせる内容が多い気がします。

今日の朝日の朝刊にこんな記事がありました。

中国政商の「腐敗暴露」衝撃 習氏右腕の親族ら名指し(朝日新聞2017年5月18日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12942655.html

中国高官の汚職を暴露した在米中国人のインタビュー番組が「中国側の圧力」で突然打ち切りになったそうです。この告発は、今秋の全人代に大きな影響が考えられる以上、政治的な判断があったと考えて不思議はありません。

アメリカでさえ、こういうことが起きる以上、従来どおりの「公平中立」をうたう報道では、読者の多くが疑念をおぼえるのは無理もありませんし、報道の限界は見透かされています。これは世界的に共通する現象なのでしょけれど、多くの人たちが今日の報道を信用していないのです。

問題は、そうした不満があふれ出てくる場として、テレビのバラエティ化した情報番組やネット上の中国ネガティブ情報ばかりがまかり通ってしまう、いまの状況です。「学生の中国離れ」の背景にあるのは、報道のせいというより、こちらの影響でしょう。

率直にいって、相手を貶める話題にしか関心を持てないというのは、哀れというほかありません(同じことは中国人の側にもいえます)。その一方で、多くの日本人にとって今日の中国人のふるまいは得体の知れない理解不能なものにしか見えないであろうことは、ぼくにも理解できます。こういうと、よく友人からも「(中国によく行くくせに)あなたも反中なんですね」と皮肉まじりに言われることがありますが、その種のレッテル貼りは単にその人の中国理解の欠如からくるものなので、やれやれと思うほかありません。人は自分の知らない話をされると、レッテルを貼ることで、無意識のうちに自分を肯定しようとするのでしょう。

日本のネット上の中国ネガティブ情報の増殖は、特に日本の年配世代の心情に起因していると思われます。なんだかんだいって、彼らはそれなりの情報通で、発信者の多数派を占めるからです。彼らはかつて日本の経済力が中国の10倍以上もあった頃(1990年代初め)を知っています。それがこの20数年で追い抜かれ、いまでは日本の2.5倍にまで差を広げられたという現実を、まっすぐ受けとめられない。誰しも自分に落ち度があったと認めたくないからです。そのやむにやまれぬ、自分ではいかんともしがたい不愉快な感情というものは、彼らの立場になれば、理解できなくはないと思います。

ただ彼らはその感情をきちんと言語化したいとは思っていないように見えます。この20数年間に何が起きたのかもよくわかっていたとは思えない。とにかく面白くない。でも、誰にどう文句を言っていいのかわからないので、嫌中本でも読んで、憂さを晴らすしかないわけです。少しは救われた気がするのでしょう。

1980年代にアメリカの自動車産業の労働者たちが日本車をハンマーでぶち壊すという、ある種爽快なパフォーマンスを行ったことがありますが、日本人というのは、そのようなストレートな表現を好まないぶん、ネガティブな感情を内に込めてしまいがちです。

一方、若い世代にすれば、中国政府の容赦のない日本批判を聞いて、自分たちの世代には関係ない時代の、いわれのない中傷と上から目線の言いぶりに反発をおぼえるのも無理はないと思います。

こうした老いも若きもが抱える国民感情が、ネットに蔓延しているのだと思います。

さて、「学生の中国離れ」の3つめの理由として③「ラインやインスタグラムなどの日本人にとっての日常的なSNSが使えないこと」。これは単純すぎるようですが、大きいと思います。いま世界を旅する人たちが当たり前に楽しんでいるエンタメツールであるSNSを使えないのは、世界広しといっても中国だけなのですから(あとは北朝鮮くらい?)。

外国客を呼びたいなら、中国はFacebookやLineを解禁すべきでは!
http://inbound.exblog.jp/25920704/

特に若い世代にとって、日常生活に欠かせないスマホやネットを日本と同じように使えない国があること自体、驚きでしょうし、そんな国に旅行に行こうという気は起こらない気がします。

これだけの幾層もの巨大なハードルがそびえるなか、いまの学生が中国に旅行に行くというのは並大抵のことではなさそうです。わかりやすい動機が見えてこないし、あるとしたら相当の思い入れや覚悟がなければ、わざわざ行くことにはなりそうもない……。

それでも、実際に上海に行ってみようと思う若い子たちがいることも確かです。

今年3月に上海出張に行ったとき、羽田・上海の深夜便を初めて利用したのですが、たまたまそのとき、一緒に乗り合わせたのが、昨年大学を卒業したばかりというふたりのOLさんでした。

帰国後、ふたりの上海“弾丸”旅行の話を聞きました。

彼女らは午前2時発のピーチに乗り、滞在2日間のうち、初日は市内観光と変身写真館でのチャイナドレスのコスプレ撮影、翌日は早朝から上海ディズニーで遊んで、夜便の春秋航空で深夜1時に帰国。羽田からタクシーで自宅に戻り、翌朝出社したそうです。

ふたりは初めての中国旅行で、昨年一緒に台湾に行ったら楽しかったので、今度はディズニーのある上海に行ってみようという話になったとか。それでも、ネット上には中国そのものに対してもそうですが、上海ディズニーに関するネガティブ情報が多く、本当にそうなのだろうか、といぶかしく思っていたそうです。

で、実際に行ってみたら、週末なので東京ディズニーより入場料金は高かったけれど、そんなに混んでないぶん、たくさんのアトラクションに乗れてよかったと話していました。またネットでいうほど極端な環境だとは思えなかったとも。そりゃそうでしょう。

実際、ネット上にはさまざまなネガティブ情報があふれています。たとえば、これ。「上海ディズニーランドはハード面では東京ディズニーランドと遜色ないとしながらも、キャストの態度やサービスは圧倒的な差がある」のだそう。

上海ディズニーと東京ディズニーの最大の違い、それは…=中国報道(サーチナ2017-05-17)
http://news.searchina.net/id/1635848

中国情報専門サイトのサーチナは、以前は中国のポジティブな側面も盛んに発信していたのですが、数年前にYahoo!の記事配信もストップし、最近ではどちらかといえば、世間に迎合的な中国人の日本礼賛話が多い気がします。ネット上ではそのようなどこか卑屈な姿勢にならなければやっていけないのでしょうか。

この記事について、ふたりに聞くと「まあ、そうかもしれないけど…」と苦笑していました。彼女らが上海旅行で体験した楽しいこと、辛かったこと、笑ったことに比べたら、たいしたことには思えないからでしょう。

確かに、上海では地下鉄にトイレがないことが多いし(深夜便利用だと体調管理が大変!)、空気が悪くてマスクが茶色になったとか、困った体験も数々あったそうです。こうした日本では考えられない珍体験も含めて「たった2日では何もわからなかった。おいしいものもほとんど食べられなかったけど、また行ってみたいと思ったし、そういう旅がしたいといつも思っている」とふたりは話しています。

結局のところ、彼女らと話していて思うのは、旅行に行くのに、妙な思い込みや覚悟なんていらないのです。

ぼくは中国の旅行書をつくっている人間なので、「学生の中国離れ」をビジネスの当事者として受けとめざるを得ないところがあります。ですから、前半に書いたような、こうなる客観的な事情をふまえて物事を考えなければならないことを承知しているのですけれど、それとはまったく切り離して考える自由もあります。なにしろ中国は広く、いろいろ面白いことがたくさんあるのは本当です。こればかりは、そう思える人と思えない人がいるのは理解できますから、強制するつもりなどありません。

でも、逆にこれだけネガティブな話題が満載の国に行ってみようというのもありではないか。ネット情報ばかりに感化されてしまうのはシャクじゃないですか?

最近、ぼくがつくった旅行サイトを紹介したいと思います。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう
http://border-tourism.jp/

このサイトは中国だけでなく、ロシアやモンゴル、朝鮮半島を含めた北東アジアの旅を誘う内容です。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-18 17:10 | のんしゃらん中国論 | Comments(1)