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2015年 09月 27日

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン

9月14日、新宿5丁目に中国団体ツアーバス客向けの居酒屋がオープンしました。

場所は本ブログでもおなじみの中国ツアー客がよく利用する焼肉屋「味仙荘」から東京医大通りに入って100mほどです。新宿御苑通りに路駐する中国のツアーバス客が利用できるよう立地が選ばれたものと思われます。ちなみに以前は日本そば屋で、半年くらい前に閉店していました。

焼肉食べ放題「味仙荘」は今日も中国ツアーバス客であふれていました
http://inbound.exblog.jp/24747719/
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店の名は「金鍋」といいます。感覚的に、これは日本人がつけたネーミングではないな、と思っていたら、やっぱりそうでした。この店は昼間と夜、食事処として中国団体客を受け入れつつ、夜のみ一般の居酒屋としても営業するというのです。いかにも新宿5丁目らしい飲食店のオープンといえます。
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金鍋
新宿区新宿5-10-14
営業時間11:00~15:00 17:00~24:00

そこで、14日の午後5時過ぎに事務所の友人と一緒に「金鍋」を訪ねたところ、なんと我々一行は同店の開業第一号客として迎え入れられたのでした。一般客の営業は夜5時からだったからです。

店内の様子は、そば屋だった当時とさほど変わりませんが、開業祝いの蘭の花がたくさん置かれていました。送り主は同業の在日中国人たちのようです。
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メニューはつまみが300円くらいからとお安く、さすがは中国人経営の店です。この店の自慢料理は、金色の鍋でつくったもつ鍋でした。だから、「金鍋」なんだそうです。

つまみを少し頼んで友人たちと談笑していると、店長らしき中国人が現れ、「みなさんはうちがオープンして最初のお客さんだからサービスしますよ」といって、もつ鍋をふるまってくれました。

話を聞くと、オーナーは山東人で、店員の女の子たちもそうでした。同郷人経営は中国人の商売の基本なのでしょう。

開店して30分ほどすると、一般客が入ってきました。そして、6時20分頃、ついに中国団体客が大挙して入店してきました。たぶん50人近くいたと思います。
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彼らは地下のフロアに案内され、仕出し弁当のような食事を取っていました。

中国から来た添乗員と在日中国人の手配会社の数名は団体客と分かれて、1階の居酒屋スペースで同じ弁当を食べていました。

それはまるで昭和の映画に出てくるドライブインに似た世界でした。

こうして在日中国人たちは、急増する中国からの団体観光客を相手にしたビジネスを始めています。事務所の友人は、彼らの食べる弁当を見ながら、「これは賢い商売だ。ふつうはこの手の店はバイキングだが、あれはけっこう食材に無駄が多い。中国人は食べもしないのに取りすぎるとことがあるからだ。その点、弁当なら人数が最初からわかっていれば、食材のロスも少なくなる」と言いました。

一般に中国客は、日本の冷めた弁当は好まないので、つくりたての料理をバイキングで出すのがいい、といわれているようですが、弁当でもつくりたての料理を出せばいいわけです。店自体は、日本の居酒屋ということで営業しているのですから、弁当が出てきても、そういうものだと受けとめられるというわけです。

店で働いているのは全員中国人だそうです。地下フロアも、見たところ、ちょっと薄暗い感じです。ツアーコストを安く上げるためには仕方がないということでしょうけれど、食事にはなるべくお金をかけない。これが中国団体ツアーの実態でもあるのです。

中国の団体ツアーは、免税店の購入額に応じたキックバックで成り立っています。ですから、食事代の支払いも、免税店での購入にかかっています。日本国内の旅行手配を手がける在日中国人たちは、お金は免税店でまとめて使ってもらうことがいちばんありがたいのです。
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ニンニクとニラがたっぷりのもつ鍋は1人分1200円だそうですが、おいしくいただきました。

はてさて、この店は繁盛するのか…。

新宿5丁目界隈では、日々こんな出来事が起きています。

【追記1】
「金鍋」が開業して約2週間後、久しぶりに店を覗いてみることにしました。商売繁盛してるかな?

夕方6時前に店に入ると、客はほとんどいません。山東省出身の女の子に聞くと、浮かない顔です。どうやら苦戦しているようです。

それでも、6時半が近づくと、一団の中国客が入店して来ました。今日は鍋が出されていました。

しばらくすると、1階にも客が入ってきましたが、中国人のグループです。なかなか日本人は来てくれないようで、みると日本式の居酒屋メニューをやめ、中国語の手書きのメニューに変更しようとしているようでした。
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まあ仕方がないのかなあ…。結局、団体客は内陸出身の人が多いので、上海などの日本食に慣れた客層とは違って、日本式メニューは不評なのかもしれません。難しいものです。

【追記2】
2016年5月現在、「金鍋」では、夜の一般営業はやめてしまいました。中国の団体客は昼にしか来なくなったからです(夜は、団体客が来るときのみ営業)。中国団体客の宿泊するホテルが都内から遠く離れていることから、バスは早めに都内を出なければならない関係で、都心の食事処に立ち寄る時間がないせいでしょう。

それにしても、「金鍋」なんて、まだ開店して1年もたたないのに、市場の変化は早いというべきか。中国ビジネスの難しさを、ここ新宿にいて、実感するしだいです。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-27 13:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 27日

外国客に人気と噂の一蘭ラーメン池袋店に行ってみた

7月上旬に長崎県島原半島を取材で訪ねたとき、ある台湾人一家と知り合いました。彼らは南島原市の農漁家に民泊するツアーに参加していました。

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)
http://inbound.exblog.jp/24747209/

台北で写真館を営業する黄さんはとても陽気な男性で、奥さんとふたりの男の子のパパです。九州に旅行に来ていちばんおいしかったものは? という質問に彼はこう答えました。「いちばんは民泊の家で食べた手料理、2番目は一蘭ラーメンです」。

一蘭ラーメンといえば、わりとよく知られた人気ラーメンチェーン店ですよね。黄さんは博多で食べた一蘭ラーメンがおいしかったそうです。
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天然とんこつラーメン一蘭
http://www.ichiran.co.jp

ネットを調べると、全国にチェーン展開していました。都内にも何軒かあるようです。前回の「外国客で行列のできる」無敵屋のある池袋東口にもありました。無敵屋には入店できなかったので、行ってみることにしました。場所は池袋東口の文芸坐の近くです。
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さいわい、この店には行列はありませんでした。入口の脇に貼られた大きなポスターに同店のとんこつラーメンなどのメニューが紹介されています。わりと普通の九州とんこつラーメン風に見えます。

店内に入ると、自動販売機があり、その隣に中国人店員が立っていました。確かに、都内の飲食店で中国人アルバイトの姿を見かけるのは珍しいことではありませんが、店内で並んで待っている客も半分くらいは外国人でした。

黄さんのいうように、一蘭ラーメンも外国客に人気のようです。お土産用の麺も各種用意されています。
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しばらくすると、席が空いたらしく、のれんで隠されていた店内に呼ばれると、カウンターには一人ひとりの席ごとに仕切りがあります。
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しかも、厨房も扉で隠されていて、注文と替え玉をもらうときだけ、扉が開き、店員が声をかけます。でも、店員の顔は見えません。

なんでもこの仕切りはカップルやグループで来たときは、希望すれば外せるのだそうです。まるで個室居酒屋のようですが、カウンターでこの造りは妙な感じです。店内は薄暗く、およそラーメン屋さんという雰囲気ではありません。

この店では、事前に麺の硬さやスープの濃さなどを申告するのですが、ちゃんと中国語繁体字版も用意されていました。
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こういう独特の演出がウケてる理由なのでしょうか。

後日、ある外国人向けの東京観光MAP(中国語繁体字版)に一蘭ラーメンの広告が載っているのを見つけました。
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無敵屋のときにも思いましたが、なぜ特定の店だけが外国客に人気なのだろう……。どうしてこういうことが起きたのか。どんな宣伝方法を取っているのか。これらは今後の課題にしたいと思います。

【追記】
それから1年後、一蘭ラーメンの関係者に話を聞くことができました。

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由
http://inbound.exblog.jp/26363988/
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by sanyo-kansatu | 2015-09-27 12:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 15日

外国客で行列のできるラーメン店「無敵家」

先日知り合いの香港人から池袋にある外国客で行列のできるラーメン店の話を聞きました。彼がいうには、その店は池袋東口にあり、深夜近くまで行列ができていて、その大半は中国語圏やタイ人などの旅行者なんだそうです。

「なんて店ですか?」
「確か、無敵家といいます」
「ムテキヤ?」

自分はラーメン通ではないけれど、どこかで名前を聞いたおぼえがあります。どんな店か知りたくて、その日の夕方、たまたま池袋に行く用もあり、訪ねてみました。場所は明治通り沿いです。
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いましたいました。ずいぶん並んでいますね。近づくと、確かに中国語が聞かれました。ここはとんコク醤油味のラーメン店だそうです。

その日は時間がなくラーメンを食べることができなかったので、数日後のお昼どき、再び訪ねると、またもや行列でした。けっこう長いです。どうやら今日も無理そうです…。
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行列のそばに「歩行者に迷惑かけないように」と書かれた日英中3か国語の看板が立てられていました。
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それにしても、池袋はラーメン激戦区のひとつ。周囲にはいろんなラーメン店が並んでいます。その中で、なぜ無敵家だけに行列ができているのか。そのひみつは、同店のHPをみるとわかりました。トリップアドバイザーの人気ランキングで上位に付けているのです。
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麺創房 無敵家
http://www.mutekiya.com/

無敵屋(トリップアドバイザー)
http://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g1066460-d1686988-Reviews-Mutekiya-Toshima_Tokyo_Tokyo_Prefecture_Kanto.html

なにしろ豊島区のレストランで2612軒中1 位だというんです。

すぐそばに別のラーメン店の大きな宣伝看板をもって客引きしているおばさんがいたので、声をかけてみました。おばさんにとって無敵家はいわば商売敵です。

「行列すごいですね。これいつ頃からなんですか?」
「もう3年くらい前からじゃないかねえ」
「そんなに前からですか。どうしてこの店だけ行列なんでしょうか。ほかにもいろいろラーメン店はあるのにね」
「うまく宣伝しているらしいよ。うちの店の人間も食べにいったことがあるけど、そこまでの味なのか。うちの店のほうがずっとおいしいのにねえ…」
「ボリュームのある角煮風のチャーシューなんですって?」
「ただ中国人が多いから、そのへんにゴミ捨てたり、大変よ。吸殻を下水の穴に入れたり、もう少しお行儀よくしてくれないとねえ」

それから数日後、自分の仕事場のある東新宿に同じ無敵家があることを思い出しました。場所は新宿花園神社のすぐそばです。
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池袋ではとても食べられそうにないので、入ってみました。ところが、ここはまったくの閑古鳥です。
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ひとまずこの店の定番「げんこつ麺」を注文しました。味はまあそうですね。おいしいのではないでしょうか。650円と池袋店より100円安いようです。
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店長に話を聞いてみました。

「池袋の無敵家はいつも行列ですごいですね」
「あっちはHPで宣伝しているからねえ」
「無敵家は都内に何店あるんですか」
「2店です」
「えっ、じゃあここと池袋だけ?」
「そうですよ」

なんだか聞きづらくなったので席に戻って、たったひとりの店員の中国人のおばさんに話しかけてみました。というのも、無敵家新宿店があるのは、ぼくが日々定点観測している新宿5丁目ツアーバス路駐台数調査スポットの明治通りをはさんだ向かいだからです。

定点観測ツアーバス調査
http://inbound.exblog.jp/i17/

「通りの向こうには、毎日ツアーの団体バスがたくさんやって来るので、中国のお客さんを呼び込んでみたらどうでしょうか」
「ダメよ。あれは店と旅行会社が契約しているから」

余計なお世話でした。いくら団体客がたくさんいても、ラーメン店には現われないというわけです。

それにしても、トリップアドバイザーに載ると載らないとでは、同じ看板を掲げた店でも客の入りがこんなに違うんですね。

ちなみに、げんこつ麺の味について、トリップアドバイザーの中国語繁体字版の投稿の中にぼくと同じ感想を書いた人がいました。

「“太咸了...”(とてもしょっぱい)」。

これを書いたのは台湾の若い女性で、「原宿のじゃんがららーめんに比べると、天と地の差があります。それに駅から少し遠い。並んでまで食べる価値があるでしょうか」とあります。手厳しいですね。

これから外国客に人気のラーメン店についてちょっと調べてみようかなと思います。

【追記】
それから1年半後のことですが、外国客で行列のできる店について、いくつか取材してみました。

韓国の若者は日本食が好きらしい。「牛かつ もと村 渋谷店」の行列に並んでみた
http://inbound.exblog.jp/26351443/

行列を体験として楽しむアジア客たち~池袋「無敵家」に並んでみてわかったこと
http://inbound.exblog.jp/26363800/

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由
http://inbound.exblog.jp/26363988/
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by sanyo-kansatu | 2015-09-15 07:57 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 08月 13日

羅先のホテルと娯楽もろもろ~旧ヤマトホテルから香港カジノまで(2014年)

中朝ロ3ヵ国が接する図們デルタ地帯に位置する羅先特別市(北朝鮮)で工場見学をした話を前回書きました。まるで2000年代前半の広東省のように、若いきまじめな女性労働者がそこそこいて頑張っていることはわかりましたが、この環境ではすぐに投資という話にはならなさそうです。

羅先の観光アトラクションといえば工場見学です
http://inbound.exblog.jp/24782964/

とはいえ、経済貿易特区だけあって、平壌を除く他の地方都市とは違い、外国人向けの宿泊施設はいくつかあります。歴史的にみて日本の大陸進出の時代と関係のあるホテルも現存しています。

現地関係者によると、現在羅先にはホテルが21軒あり、そのうち日本人を含めた外国人向けに対外開放されているホテルは以下の6軒です。

①羅津ホテル
②南山旅館
③琵琶閣(琵琶旅館)
④琵琶観光ホテル
⑤東明山ホテル
⑥エンペラーホテル&カジノ

以下、簡単に紹介しましょう。

①羅津ホテル
羅先で客室数の最も多いシティホテルです。中国やロシアのビジネスマンなどが多く利用しています。館内にはビジネスフロアもあり、対外貿易を行う事務所なども入っています。現地関係者は「中国人ツアー客が利用するようになって質が落ちた」と話しています。
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ホテルのそばに2013年にオープンしたボンソノカジノがあります。中国資本で建てられたカジノですが、2014年夏現在、営業状態は最悪のようです。
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②南山旅館
羅津市内の中心部の広場に位置する老舗ホテル。1939年に満鉄が建てた旧羅津ヤマトホテルです。外観は当時の時代らしく昭和のシンプルな建築スタイルの2階建てビルです。羅津に港や鉄道が設置されたのは1930年代半ばからですから、当時はこのまちの顔だったでしょう。
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ロビーは中国東北地方各都市にある旧ヤマトホテル系に似ています。客室は老朽化していますが、それなりの風格はあります。
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実は、以前このまちに住んでいたというおばあさんにお話を聞いたことがあります。当時羅津高女という女学校があり、そこで終戦を迎え、引き上げてこられた方なのですが、女学生のころ、羅津ヤマトホテルのレストランで食事をしたことがあるそうです。なんでもある休日、音楽の担当教師に誘われ、クラスの女子2名と一緒に行ったのだとか。当時は女学生がホテルのレストランに行くなんてことはまずなかったそうで、自分が大人になったような気分になったそうです。その思い出の舞台がここです。
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※この話を聞いていたので、ホテルに入ってこっそりレストランの写真を撮ったところ、あとで問題になりました。外国人らしき人物がホテルの中に潜入したと誰かに密告されてしまったのです。ほんの数分単独行動をしただけでこれです。参ります。

③琵琶閣(琵琶旅館)
日本海を見渡す高台の上にあるホテルで、かつて金日成主席らが別荘として使ったことがあります。2012年にここに泊まりました。

金日成の別荘(琵琶旅館)と旧羅津ヤマトホテル(南山旅館)
http://inbound.exblog.jp/20191274/

④琵琶観光ホテル
琵琶旅館の隣にあるホテルで、客室数が多いぶん、かなり質が落ちます。日本人が来ると、ビジネスマンなら別ですが、他の外国客と隔離したいのか、羅津ホテルではなく、こちらに泊めさせられることが多いようです。
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⑤東明山ホテル
今回泊まった羅先で最も設備の整った新しいホテルです。
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客室も快適です。中国の4・5線級都市にある、まちいちばんのホテルといった感じです。1泊50ドル以上取ります。
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フィットネスジムやプール、サウナもあります。中長期滞在向けのビジネス仕様ですが、中国人ツアー客もいました。
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ただし、サウナの利用は20ドルと高額で、覗いてみると、稼働していませんでした。まあ無理もないかもしれません。一時に比べ、中ロのビジネスマンも多いとは言えないからです。
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⑥エンペラーホテル&カジノ
1990年代後半にできた香港資本のカジノです。一時中国の役人の公金使用問題などで営業停止になったり、いろいろありましたが、いまはなんとか営業しています。一泊300ドル近く取るそうです。カジノの最低換金額は500ドル(実際にはそこまで厳密ではないという話もあります)。館内にはほとんど人気はありません。館内の様子は、下記ページを参照してください。
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2013年の春、中朝国境にある羅先(北朝鮮)にカジノが3つもできました
http://inbound.exblog.jp/20191710/

さて、このまちに来て娯楽を求めても仕方がないところはありますが、最近ではロシアレストランが2軒、中国料理店が2軒、チェコ式のビヤホールがあります。

このロシアレストラン「ノーヴィーミル」のオーナーはロシア人だそうですが、料理は限りなく朝鮮風で、がっかりでした。客はほとんどいません。
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2014年版 北朝鮮のグルメ5泊6日のすべて【前編】
http://inbound.exblog.jp/23948946/

ビヤホールは海浜公園の中にあります。羅津ホテルにも近いです。生ビール1杯15元。2013年のオープン当時はにぎわったそうですが、いまは閑散としています。
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2014年版 北朝鮮のグルメ5泊6日のすべて【後編】
http://inbound.exblog.jp/23951727/

このまちでの娯楽といえば、マッサージがあります。場所は市街地から少しはずれた場所にありますが、マッサージ師は女性で、平壌医科大学出身でした。なぜそれがわかるかというと、3年前に訪ねたことのある羅先の貿易展覧会で同大学の医薬品を販売していた女性スタッフたちだったからです。これは珍しいことではありません。外貨獲得のために、この国の女性は東奔西走しているからです。

またこれは娯楽ではありませんが、海浜公園では子供たちがローラースケートを練習している様子を見ることができます。1時間3元でレンタルできるそうです。第一主席肝いりのローラースケート場は金剛山のふもとでも建設されていましたが、羅先特別都市にもあります。
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最後に、このまちで外貨両替のできる銀行はいくつかあります。

<北朝鮮>外国投資銀行法を10年ぶりに修正補充(アジアプレス2012年2月9日)
http://www.asiapress.org/apn/archives/2012/02/09192516.php

以下の4つは中国系です。

図們江銀行
羅先開発銀行
中華商業銀行
東大銀行
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また図們デルタ地帯の開発のために設立されたゴールデントライアングルバンクがこれ。
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日本時代の建物を流用しているのが朝鮮銀行羅先支店です。
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ただし、このまちでは人民元がふつうに使われているため、両替の必要はなさそうです。市場などでも売り場のおばさんたちは人民元を手にして商売している様子だからです。

羅先には最近タクシーも増えています。中国の中古タクシーです。ただし、現地在住のビジネスマンでもない限り、外国人が勝手に乗り回ることはほぼ考えられません。
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高台から羅先(羅津)の市街地を撮りました。
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朝鮮民家がびっしり並ぶ中に、一部マンション建設が始まっています。
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確かに、羅先特別市は清津などの地方都市に比べると、中国のさまざまな影響が感じられるまちです。

ちなみに、これは1940年代初頭の羅津市街地図です。当時から羅津港には3つの埠頭があり、羅津駅と直結していたことがわかります。羅津駅からまっすぐ伸びるまちいちばんの昭和通り(当時)に沿って朝鮮銀行や大和ホテルがあります。この構造が頭に入っていると、車であちこち運ばれても、自分がどこにいるかある程度わかると思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-13 14:12 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2015年 08月 11日

海七宝の海水浴場と遊覧ボートとにぎやかな食事風景

外七宝の展望台から見下ろしていた海岸線に下りてきました。このあたりは「海七宝」と呼ばれ、北は漁郎端から南は舞水端に至る約60kmにかけての断崖絶壁や荒波で削られた奇岩などからなる海浜景勝地です。
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※2014年7月上旬、北朝鮮咸鏡北道の七宝山を訪ねた話をしています。

七宝山(チルボサン)は金剛山とは似て非なる朝鮮の名峰
http://inbound.exblog.jp/24765755/

車は海水浴場にやってきました。きれいな海です。子供たちが海水浴を楽しんでいます。
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ボートが近づいてきました。これから遊覧ボートに乗るんだそうです。
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海が碧いです。さすがに汚染されていない海の色です。
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これから海七宝の珍しい岩場を見に行くのかと思ったら、ボートはすぐに折り返し、砂浜の見える海岸線を北に向かって走り出しました。あれあれ。

漁民を乗せたボートと海水浴客のための施設も見えます。
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海鳥たちのコロニーのそばを抜け、あっという間の遊覧でした。
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ガイドたちは地元の海水浴客たちに近づかないよう注意するので、海の上から軽い望遠で撮ってみました。漁村の写真も撮るなとうるさいのです。彼らにとって朝鮮の漁村は遅れていて、外国人に見せたくない場所のようです。
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なんとも拍子抜けの海七宝遊覧でしたが、にぎやかな昼食が待っていました。
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食事の場所は、海水浴客のための施設の中でした。テーブルに揚げ魚やスケソウダラの煮付けなど、咸鏡北道の地元海産料理が並んでいました。

追加で地元の海で採れたというウニや貝類を選んで注文できます。ただし、ウニはあまり新鮮ではなさそうです。
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彼女たちがウニを割ってくれます。彼女たちは地元の子のようです。
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具の中身はかなりさびしいものがあります。ガイドによると、このあたりの海でもウニの採り過ぎで、身のぎっしりつまった上物は海深く潜水しないとなかなか採れないそうです。実は、清津から七宝山にかけての海は昔からウニが有名でした。戦前の旅行ガイドなどに必ず書かれているのが、清津に来たら必ずこれを食すべし、として紹介されるウニのおかゆです。
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このおじさんは羅先朝鮮国際旅行社の部長さんです。とにかく酒好きで、それが理由で我々一行についてきたんじゃないかと思われるほど、昼も夜も酒をガンガン飲んでいました。もちろん、支払いはこちらもちです。たまったもんじゃないのですが、いかにも人のいい田舎のおじさんという感じで、このときも、食事を用意してくれた近くの民宿ホテルの女性スタッフの肩を抱いてじゃれまわっています。平壌にいるきまじめな日本語ガイドに比べると、よほど気が休まるともいえます。
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施設の中にはシャワー室やレンタル浮き輪のカウンター、そして外にはビーチバレーのコートがありました。
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元山の海水浴場でもそうでしたが、朝鮮の東海岸は海がきれいで、環境を保護しながらきちんと無理なく開発することができれば、周辺国から行楽客も訪れる国際観光地になれる素地はありそうです。そのためには、投資を呼び込み、アクセスのための交通を整備することが不可欠ですが、現状では、やることなすこと中途半端なので、簡単ではないだろうというのが率直な印象です。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-11 15:16 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2015年 08月 01日

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)

7月上旬、某PR誌の仕事で長崎県南島原市に行ってきました。

南島原市というのは、島原半島の南端に位置する人口約5万人のまちです。今回訪ねた理由は、このまちが2013年から台湾の一般客を農家民泊させるツアーの受入を始めているからでした。

南島原ひまわり観光協会
http://himawari-kankou.jp/

この民泊ツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産品の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わいます。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、年間約800人の台湾客が訪れています。

実はこの話、以前ぼくのblogでも紹介したことがあります。2013年10月、台北で開催された台北国際旅行博(ITF)の会場でぼくはある現地旅行会社の女性社員に会いました。彼女は元日本留学生で、自分が日本で体験した民泊の感動を多くの人に味わってもらいたいとの思いで旅行商品として実現させたのが、この農家民泊ツアーでした。

台湾発日本行き「ウルルン滞在記」ツアーはこうして生まれた
http://inbound.exblog.jp/21429440

そんなわけで、機会があれば、そのツアーの様子を見てみたいとずっと思っていました。それが今回実現できたのです。

以下、台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポートです。

その日、台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊します。
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午後3時、台湾客を乗せたバス到着。民泊先の家族が総出でお出迎えします。
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台湾では7月に入るとすぐ夏休みだそうで、子供連れの家族がたくさんいます。
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ホスト家族との対面を「入村式」と呼んでいます。会場は市の武道館。あらかじめそれぞれの家族のホスト農家は決められていて、テーブルごとに分かれます。
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観光協会の担当者から南島原の紹介があります。
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台湾ガイドの林尚緯さんです。
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入村式の最後は、ホスト家族とゲストが握手します。
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その後、流しそうめんで親睦を深めるのが恒例になっているそうです。
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なにしろ南島原市はそうめん生産量全国2位。みんな大喜びです。
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そして、ホストの車に乗ってそれぞれの農家に移動します。
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ここから先はガイドがついていかないので、明日の朝までお互い言葉が通じません。
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さて、ぼくはある農家とそこに民泊する台湾の家族に密着することができました。

これがホストの園田義文さんのお宅です。
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茶の間でしばらく休みながら、ゲストの黄振穎さん一家の話を聞きました。黄さんは台北で写真館を経営する撮影師です。CANONの一眼レフを手にし、写真を撮りまくっています。奥さまと中学生のお兄ちゃん(柄越くん)と小学生の弟(柄升くん)の4人家族です。

1時間後、園田家のビニールハウスで今日の夕飯のおかずとなるナスとピーマンを収穫に行くことになりました。

ひょうきんなお父さん。黄さんは明るい人です。
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ピースしているのは園田家のお母さんです。この日大活躍です。
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長男の柄越くんがナスを採っています。
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こんなに採れました。
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ビニールハウスの外には、少し前までイチゴを植えていた畑があります。春先に来ると、イチゴ狩りができるそうです。
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収穫のあとはみんなで一緒に食事をつくります。

先ほど採ったピーマンを肉詰めにします。
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子供たちはヒマを持て余してゲームで遊んでいます。弟の柄升くんは中学生のお兄ちゃんが持っているスマホが欲しくてたまらないそうです。
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お母さん同士はキッチンでずっと料理をつくっています。この家の嫁でもないのに、なんかいい雰囲気ですね。
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しばらくして観光協会の担当者とガイドの林さんが様子を見に来ました。手前に一緒に写っているお母さんと女の子は、今回ぼくの取材に協力してくれた観光協会の別の担当者の奥さまと娘さんです。
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先ほどまでゲームで遊んでいた柄升くんがお母さんの料理を手伝いにやって来ました。
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はい、出来上がり。長崎名物のちゃんぽんと鶏の唐揚げ、ナスの煮びたし、ゴーヤと肉の炒めもの。家庭料理ですね。
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「いただきます」。子供たちは自分で採った野菜を食べるのは初めての体験だったそうです。
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密着はここまでで、ぼくは園田家を後にしました。

さて、翌朝です。朝8時半、台湾客たちは武道館に戻ってきます。

そして、全員で記念撮影。垂れ幕には「南島原にまた来てくださいね!」と書かれています。
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各々の家族同士、みんな名残惜しそうにしています。
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南島原名物のそうめんがお土産です。
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黄さん一家もいます。昨晩はよく眠れたでしょうか。
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さて、退村式が始まりました。その様子をちょこっと動画に撮りました。特別なことは何もありません。
https://youtu.be/o3hdb6NoGLI

さあ、お別れです。すると、感極まって目頭を押さえてしまうホストのお母さんもいます。お互い言葉が通じないぶん、気持ちが高ぶってしまうのでしょう。
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そして、台湾客はバスに乗り込み、お別れです。
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なんて絵に描いたような美しい世界なのでしょう。参りました。誰かがあざとい演出をしているわけでもないし、まあ進行上こうすればこうなるということは頭ではわかっているんですが、人間というのは面白いものですね。異国の人と触れあうとき、普段とは違う何かを感じてしまうのですね。

どうやらぼくの涙腺はツボにはまってしまったようです。傍で見ているのにすぎないのに、うるうるしてくるのですから。でも、きっとこういうのは台湾の人も好きに違いありません。

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年からだそうです。といっても、最初は長崎県の中学生などから受け入れを始め、徐々に全国の中高生の修学旅行生へと広げていきました。そして、いまではなんと年間約1万人の民泊を受け入れています。そういう意味では、ホストの皆さんも、ベテランです。この美しい世界も、経験豊富なホスト家族がいてこそ実現できるのだと思います。南島原には160家が民泊を受け入れているそうです。

あと今回は触れませんでしたが、南島原は漁港もあるので、農家だけではなく、漁家の民泊もできます。今回台湾から来たある家族は漁船に乗せてもらって、そのとき釣ったタコを夕食でいただいたそうです。

冒頭で紹介した台湾の名生旅行社の女性社員は郭さん(日本名はYUKIさん)といいます。彼女はこうした南島原の民泊の評判を知り、同市観光協会を視察に訪れたことから、この農家民泊ツアーが始まっています。

実は、台湾客の帰国後、ぼくはゲスト一家のお父さんの黄さんとラインでやりとりしました。

―南島原での民泊はどうでしたか?

「すごく良かったですよ。日本人は親切で温かかった。私たち家族も本当に幸せでした。園田さんに感謝の思いを伝えてください。そして、ぜひ今度は台湾に遊びに来てください。歓迎します」

―今回は九州5泊6日のツアーだったそうですね。どうでしたか。

「九州は自然が豊かでとても純朴な土地でした。今度九州に来るときは、レンタカーを借りてドライブしたいです。そして、日本の風景をもっと深く見てみたいです。また今回は園田さんのお宅に泊めていただいて、日本の農家の生活を知ることができました。子供たちも喜んでいました」

ガイドの林さんともこんな話をしました。彼はガイド歴25年のベテランで、南島原の民泊ツアーにはすでに5回添乗しているそうです。

―こういう農家民泊ツアーは日本以外の国でありますか。お客さんたちはどんな感想を話していますか。

「日本しかありません。やはり民泊ツアーの魅力は心の交流ですね。こういう体験はなかなかできるものではない。日本の農村を初めて訪ねたが、食の安全・安心な理由がわかったという声もありました」。

―民泊ツアーに参加されるお客さんというのはどういう方たちなんでしょう。わざわざ民泊のツアーを選んで来られた方たちですね。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まります。そんなに安いツアーではありません。民泊は1日のみですが、やっぱり体験してみたいのです。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などは行き尽くした、ある程度日本のことを知っているリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。そういう気持ちを持っているように思います。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。

台湾の人と話していると、日本のことを実力以上に評価してくれているような気恥しい気分になることがよくあります。ただ近隣諸国を見渡すと、このように言ってくれる人たちは残念ながら少数派なわけで……。なんとかその評価に応えていかなければと思ってしまいます。

ところで、長崎県は来年、南島原市にある原城(島原の乱で天草四郎が立てこもった場所)を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産のひとつとして世界遺産登録に向けて申請するそうです。キリスト教文化の繁栄、宗教対立、そして弾圧という歴史の現場であったということが理由です。これはユネスコ好みのストーリーのように思います。

今回、原城跡や地元の歴史博物館を訪ねることができたのですが、とても面白いですね。来年はこのまちもいろんな話題を呼びそうで、楽しみです。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-01 14:53 | “参与観察”日誌 | Comments(1)
2015年 08月 01日

焼肉食べ放題「味仙荘」は今日も中国ツアーバス客であふれていました

新宿5丁目の中国団体ツアーバスの路駐スポットにある焼肉屋「味仙荘」は、中国ツアーバス客ご用達の食事処です。

新宿5丁目の中国団体ツアーバス路駐スポット調査
http://inbound.exblog.jp/i17

隣にある中国料理屋「林園」が中国団体客専門で、一般客を受け入れていないのに対し、「味仙荘」は一般客も入っています。ネットでみると、焼肉食べ放題の店として知られているようです。

ランチタイムと夕方には、周辺に路駐した大型バスから降りてきた中国人団体客が入店していく様子が見られます。最近は日中とても暑いので、入店できずに歩道で待っている中国客も多く、とても気の毒に感じていました。
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ある日の夕方、仕事帰りに「味仙荘」を覗いてみると、中国客が来ていました。ふとどんな店か入ってみようかなと思い、ドアを開けると、さいわい二人掛けのテーブルがひとつ空いていて、入店することができました。
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店には吉林省から来た旅行客がいました。ここは基本食べ放題の店らしく、おのおのが各種肉を取りに行き、自分で焼いて食べます。キムチとごはんとスープ付き。料金は、食べ放題で2699円、それに飲み放題が付くと3999円。さすがに食べ放題はムリと思っていたのですが、注文を取りに来た男の子が「カルビ定食が1500円、食べ放題が2699円。生ビールを2杯以上飲むなら、食べ・飲み放題がいちばんお得ですよ」。

う~ん、そうか。個人的には食べ放題より飲み放題がありがたい。ということで、飲み・食べ放題を頼んだのですが、最初に出てきた皿のカルビとタンの量がものすごいボリュームでビックリです。
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中国客が多く、バイキング形式ということですから、店の雰囲気は限りなく中国、という感じです。中国の人たちは、結局、このスタイルがいちばんラクなのでしょう。ただし、皆さんそんなにお酒を飲んでいる風ではなく、大騒ぎしている感じではありません。こう毎日暑いと、バスの移動で疲れちゃったのかもしれません。
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実は、この店、奥にもスペースがあって、そちらにも中国団体客がいました。どこから来たの? と聞くと、「揚州」といいます。最近、ツアーバス客たちの話している言葉が上海方言に近いグループが多いなと感じていましたが、やっぱりそうですか。

おそらく上海市内の人間はもう団体ツアーで来ることはほとんどなくなったかわりに(彼らは個人ビザを取ってくるようになったため)、その周辺の浙江省や江蘇省、湖北省あたりの人たちが圧倒的に多いのだと思われます。湖北省の省都の武漢からは春秋航空が関空へ飛んでいます。内陸部の人たちがゴールデンルートを旅行する時代になっているのです。

ひとつ気になったのは、この揚州から来たお父さんは、自分の中学生くらいの娘の靴を履かせてやっていたこと。一人っ子の国の親がたいそう子供を甘やかしている話はよく聞くし、中国でもそういう光景をよく見ますが、おいおい、そこまでやるか…。娘は娘で当たり前でしょ、といった表情です。最近の中国人親の子どもに対する甘やかしの光景を見ると、いつもゾッとします。

さて、中国客以外のこの店の客層はというと、壁にいまはなき「東京ウォーカー」の焼き肉特集でこの店を紹介した記事のコピーが出ていたことからも、お肉を安く腹いっぱい食べたいという若い世代が中心のようです。揚州の人たちが帰ったあと、やって来たのは、専門学校生の団体のようでした。
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「団体の中国客」と「日本の専門学校生」が集う店というわけです。なるほど。きっと中国の皆さんはお金がないわけではないのでしょうけれど、ツアーに組み込まれてしまっていることから、ここに連れてこられるのでしょう。

というわけですから、味については聞かないでください。しかし、ボリュームだけはすごくて、どーんと出された皿の肉はとても食べきれませんでした。

さて、そろそろお勘定しようかと思っていたら、欧米人ツーリストの4人家族が入店してきました。東新宿周辺のビジネスホテルを宿にしている人たちだと思われます。英語圏の人たちではありません。
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そうか、ここは「団体中国客」と「専門学校生」プラス「東新宿に宿を取る欧米人エコノミーツーリスト」の集う店でもあるんですね。さすがは東新宿FITゾーンならではの世界です。

ところで、例の「東京ウォーカー」のコピーをよく見ると、なんとこの記事、2001年のものでした。おいおい、これどうなの?

この店の経営者はオールドカマーの在日中国人です。オールドかまーというのは、1980~90年代に日本に留学して、永住権を取った人たちという意味です。以前は韓国人経営でしたが、隣の「林園」を利用する中国客が増えたことから、少しずつ「味仙荘」にも来るようになり、経営権を買ったのだと思います。急増する訪日中国客相手にひと儲けしようと考えるのは、結局、同じ中国人というわけです。

やっぱりこういう世界ってあるんですね。LAOXにもつながる世界といえるでしょう。
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※この夏、味仙荘を訪れた中国客についてちょっとした調査を行いました。中国のどの地方から来た人たちが多いか調べたものです。その結果は以下のエントリーを参照。

中国内陸客の増加がもたらす意味を覚悟しておくべき
http://inbound.exblog.jp/24845817/
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by sanyo-kansatu | 2015-08-01 10:09 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 06月 16日

新大久保はハラルの町、エスニック度が上昇しています

この週末、久しぶりに新大久保を訪ねたら、以前と比べてちょっと様相が変わって見えました。街を歩く人たちのエスニック度がこれまでに増して上昇しているのです。

コリアン街として知られる新大久保のJR山手線の内側には、多くの韓国料理店や韓流グッズ、化粧品、食材などの店が並んでいます。ハングルのネオンがきらめく都内でもユニークな移民街ですが、人通りは少なくなったとまではいえないものの、数年前ほどのにぎわいは感じられません。通りに面した一部のレストランの中を覗くと、まったく客の姿が見当たらない店もけっこうあります。

一方、山手線の外側に位置する一角には、独特のにぎわいがあります。そこには東南アジアから西アジアにかけての濃い顔をした人たちが往来しているのです。ここ数年で彼らの数はぐっと増えたように思われます。

朝日新聞2015年5月10日~12日の東京版には、以下の新大久保訪問ルポが書かれていました。

イスラム横丁へようこそ! 新大久保に根付くムスリムのコミュニティー(朝日新聞2015年05月21日)http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2015051500003.html

「そこは「イスラム横丁」と呼ばれる。

JR山手線の新大久保駅(新宿区)の西側。目抜き通りを北に折れて40メートル進んだ丁字路に、ムスリム(イスラム教徒)向けの店が並ぶ。駅東の「コリアンタウン」とは風景も行き交う人もまるで違う。

金曜の昼過ぎ。インド人が営む食材店、バングラデシュ人の香辛料店、トルコ人のケバブ店……。店が次々に閉まる。店内や路上にいた人々が、古びた雑居ビルへと吸い込まれていく」(一部抜粋)
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「新大久保 心つながるムスリム」「モスクで礼拝200人 視線を気にせず没頭」「厳格と寛容、教えを守り日本に根」「思い込みで身構えすぎていた」「違い 知ること、知ろうとすることが大事」「『心のグローバル化を』重く響いた」……といったこの種のルポにありがちな記事のメッセージは、月並みすぎて正直あんまり感心しませんでしたが、同記事を読んで興味深かったのは、この地でハラル食材店を経営し、「ビッグブラザー」と呼ばれるインド人長老の語る夢として「学校とホテル、多国籍ハラルレストランが併設されたムスリム施設の建設」を挙げていることでした。
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この写真(上)の店がインド人長老の経営するハラル食材店です。中に入ると、ハラル処理された肉や香辛料、インスタントラーメン、ドリンク類などが売られていますが、客層は多国籍です。面白いのは、共通語として片言の日本語が使われています。声をかけてみると、必ずしも在住者ではなく、観光で来日した東南アジア系の人たちが多いことです。
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そうなんです。新大久保に訪日外国人が多く訪れるようになっているのです。必ずしもアジア系だけでなく、大久保界隈の安いホステル系の宿に泊まる欧米人の子供連れのファミリーもいたりします。

インド人長老が夢として「学校とホテル、多国籍ハラルレストランが併設されたムスリム施設の建設」を語った背景には、新大久保を訪れるアジア系旅行者が増えていることがあるのだと思います。

これには、当然ここ数年のアジア各国へのビザ緩和の影響があるはずです。ハラルフードの食材店やレストランが多いことも、外国客を引き寄せる理由になっているのでしょう。

別のハラルショップでは、食材以外にも格安航空券やスマホ、PC、SIMカードなどを販売していました。
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新大久保は今後、在住ムスリムだけでなく、訪日外客も含めた新しい多国籍エスニック街に変わっていくのかもしれません。
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【追記】
欧米系を含めた訪日外国人旅行者の姿は、新大久保の延辺料理店(中国の朝鮮族の地方料理の店)などでも見かけます。ちょっと意外な気がしたのですが、ではなぜ韓国料理店にはあまり入っていないのだろうと考えたところ、これはあくまで推論にすぎませんけれど、日本を訪れた外国客がハングル表記の店にわざわざ入ることはあまり考えないからだろうと思われます(好み以前の話です。ここは韓国ではないのですから)。

それに、今の新大久保の韓国料理店の外観は、日本の韓流ファン向けのテイストのデザインが多く、料理の値段も決して安くありません。旅行者の気持ちになって考えてみれば、日本に来てわざわざコリアンタウンで韓国料理、という流れにはなりにくいだろうと思われます。
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by sanyo-kansatu | 2015-06-16 17:32 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 04月 29日

日本人の知らない餃子の話―大連のイカスミ餃子は見た目よりずっと美味しい

旅に出ると、なるべくその土地でしか味わえない珍しいものをちょっと無理してでも食べに行こう、ついでに写真も撮ってしまおう。そういう食へのアプローチが仕事柄、すっかり身についてしまっているのですが、皿数を並べた豪勢な食卓よりも、その土地の人たちの日常食を口にすることのほうが好みです。

日常食という意味では、中国の華北および東北地方の代表は餃子でしょう。一方、戦後に中国帰りの人たちが全国各地で普及し、味も日本化したことで、もうすっかり日本人にとって日常食になっているのも餃子です。

日本の餃子は焼き餃子が主流ですが、本場中国東北地方では水餃子が一般的であることはわりと知られていると思います。最近開店した華人経営の中華料理店は、経営者に東北出身者が多いことから、水餃子がメインですが、日本人の口に合わせて焼き餃子を出すところも多いです。

ではその違いは何か。ひとくちでいうと、皮の厚みです。日本の焼き餃子は、皮の薄さがポイント。中の具を包んで、肉汁がこぼれ出さないようにするのが皮のメインの役割で、食感はそれほど求められない。要は、ご飯と一緒に食べられるような餃子なのです。

一方、中国の餃子は少し厚みのあるもちもちした皮が特徴です。そして、餃子はご飯とは一緒に食べません。それ自体が主食という位置づけだからです。たいていの中国人は「このぷるぷるした皮がおいしいでしょう」と言います。

そもそも位置づけが違うため、両国の餃子は皮の厚みが異なり、その結果、主流は焼き餃子か水餃子かに分かれているのだと思われます(南に行くと、上海あたりだと焼き小龍包などが主流になってきますが、ここはあくまで華北と東北の話なので)。

昨年、大連に展開していた「餃子の王将」チェーンが撤退したことが報じられました。ぼくも何度か店舗を見たことがありますが(さすがにわざわざ中国に行って入る気にはなれなかった)、苦戦している様がうかがえたので、さもありなんと思ったものです。

餃子の王将、中国から撤退 「日本の味受け入れられず」(2014.11.1)
http://www.asahi.com/articles/ASGB05WQZGB0PLFA00D.html

報じられなかった「餃子の王将、中国撤退」本当の理由
http://hbol.jp/13707

「餃子の王将」、なぜ本場中国で失敗したのか
http://toyokeizai.net/articles/-/52547

はたしてこれらのネットの記事がいうように、味が受け入れられなかったといえるのでしょうか。ひとことにしてしまえばそうなるのかもしれませんが、より実情に即していうと、一部記事でも解説されているように、味やサービスがどうこうというより、件の位置づけの違いを大連市民の皆さんに伝えること(あるいは、納得させること)ができなかったためではないかと思われます。というのも、たいていの中国人にこの件について話を聞くと、「餃子と一緒にご飯を食べるというスタイルが受けつけられなかった」と答えるケースが大半です。味そのものではなく、イメージあるいは固定観念の違いからくる違和感をぬぐえなかったということでしょう。

たとえば、カリフォルニアロール自体はおいしそうだけど、日本の寿司屋で出されたら、あまり口にしたくない気になる、納得できない感じがすると我々が思うようなことに近いのではないか。実際、ぼくの地元の私鉄沿線のまちには、3軒の華人経営の中華料理店があるのですが、2軒が黒龍江省出身、1軒は大連出身の店です。前者の2軒では水餃子と焼き餃子を出すのですが、大連の店では本場中国の味にこだわり、水餃子しか出しません。当然というべきか、いつもにぎわっているのは黒龍江省の店です。住宅街に出店し、大半は日本人客が占めるのですから、当たり前のことでしょう。

(実をいうと、この撤退話、そうした文化習慣的なコンテクスト上の違和といったことだけではなくて、昨年の同チェーン社長の射殺事件とからめて事件の真相を探るレポートが出版され、いろいろ詮索されてもいるようです。ここでは触れません)。

それはさておき、大連にはさまざまなタイプの餃子屋さんがあります。まだまだ我々日本人の知らない餃子の世界があるのです。

昨年7月、大連市内の魚介専門餃子店の「船歌魚水餃」というレストランに行ったとき、そのことにあらためて気づかされました。その店の餃子のメインの具は肉ではなく、海鮮素材なのです(一応肉の餃子も出しますが)。

これがその店で注文した餃子2種です。
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黄色いのが、黄魚という黄海でとれた魚の具の入ったもの。日本でいうイシモチだそうで、外見は本当に黄色をしています。上海あたりでもよく食べられている魚です。
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そして真っ黒なのがイカスミ餃子です。接写するとなかなかグロテスクですね。
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でも、中身を開いてみると、イカと豚肉を合わせた具が入っています。皮が黒いのはイカの墨が皮に練り込まれているからです。見た目のインパクトはなかなかですが、意外にさっぱりとして美味です。中国餃子特有の厚みのある皮の歯ごたえも口の中で具となじんでいい感じです。イカスミスパゲティのように口の中が真っ黒になるというようなこともありません。
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他にも、アワビとかサザエなどの貝類を入れた餃子もあります。これら海鮮餃子は肉入り餃子に比べると、肉汁パワーがないぶん、かえって上品な味わいともいえます。でも、餃子には肉汁パワーがほしいと思う人も多そうなので、意見は分かれるかもしれません。これも食のイメージや固定観念がもたらすものでしょう。

そもそも餃子の中に何を入れようが自由なのです。文革期など、中国が貧しかった時代に肉の代用として安い魚介が使われたという面もあるようですが、まあ地元料理とはそういうものでしょう。海に近い大連という土地だからこそで、内陸の瀋陽や長春ではほとんどこの手の店はないでしょうし、あってもたぶんあまり人気はなさそうです。

お店の中では、こうやっておばさんたちがイカの墨を皮に練り込んで、具を包んでいます。
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店内では魚を選んで、一品料理として調理してくれます。手前左の「大黄花」と書かれているのが黄魚でしょう。
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貝類もいろいろあります。
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日本の演歌みたいな店名の「船歌魚水餃」は大連市内に2軒あり、ぼくが行った店は、人民広場に近い唐山街26号にあります。
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by sanyo-kansatu | 2015-04-29 10:34 | 北東アジア未来形:満洲の今 | Comments(0)
2015年 04月 26日

日本初のハラール中華料理店「東京ムスリム飯店」に行ってみた

今年1月中旬、新年会に誘われて亀戸の中華料理店「東京大排档」に行ったとき、店員さんからあるレストランの開店チラシをもらいました。この「東京大排档」という店自体が老舗キャバレーを改装したという場末モードたっぷりの時代がかったレストランで、とても面白かったのですが、その店も同じオーナーによる経営のようでした。

店の名は「東京穆斯林(ムスリム)飯店」。「(2014年)11月20日新規開店」「日本初ハラール中華料理店を錦糸町でオープン」と書かれています。

ハラール中華料理店? そのときは、あまりぴんことず、「最近インドネシアやマレーシアの観光客が増えていることを当て込んで、在日華人がムスリム向けのレストランをオープンしたのだな。ハラール認証とはいうけれど、彼らのことだから、どこまで厳密なのだろう。あやしいものだな」などと思ったものの、しばらく忘れていました。山手線の西半分を日常の活動域にしている人間にとって、錦糸町はめったに足を運ぶことがないからです。

先日、千葉在住の年長の友人から会食に誘われました。都心に出ていただくのは申し訳ないことから、お互いの中間地点で会いましょうかという話になり、その人が「錦糸町あたりはどう?」と言ったので、ぼくははっとして「そうだ。例のハラルレストランに行ってみよう」と思い立ったというのが、今回同店を訪ねることになった経緯でした。
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店はJR錦糸町駅南口から西に向かって飲み屋街を歩いて3分ほどの場所にありました。
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東京スカイツリーが間近に見えるロケーションにあります。
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入口にはイスラミックブルーの吹き流しとモスクの尖塔を模した目を引くデザインが施されています。

少し早い時間だったので、客は我々を除くと、ブリヤート系ロシア人か、あるいは新疆ウイグル系だろうかと思われるエキゾチックな風貌のカップルのみでした。おかげで、調子に乗って店内をバシャバシャ撮ってしまいました。
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アラビア文字で書かれたらしいコーランのことばを記した布地や書が飾られています。
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ハラール認証の表示もあります。
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これがメニューです。豚肉料理はもちろんありませんが、ぱっと見た感じ、羊肉料理が多いことを除けば、牛肉や鶏肉料理は豊富で、中華料理屋さんのラインナップとさほど変わらない印象です。

そのうえ、アルコールもあります。日本の焼酎のボトルが1本1800~2200円とはお安いですね。

ひとまず羊肉串といんげんのひき肉炒めを注文しました。これはうまいです。トウガラシの辛みも利いていて、味がしっかりしていながら、意外にさっぱりしている。都内には数多くの華人経営の中国家常菜(家庭料理)をうたう店がありますが、調理人が中国東北地方出身である場合が多いせいか、味付けも調理法もかなり雑なため、期待はずれな店が多い。でも、ここはちょっと違います。
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しばらくすると、客が続々入店してきました。中国人の若い女性ふたり組は、この店の特色菜(看板料理)の「直火烤羊排(羊のスペアリブ)小1980円」と「羊蝎子锅(特製骨付き羊肉の麻辣鍋)1800円」を豪勢に注文しています。さすがは食に金を惜しまない中国人らしいです。
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そのうち店には関取さんもやって来ました。確かに、錦糸町は両国の隣駅ですものね。

そして、ついに真打登場。イスラムスカーフを身に付けたムスリム女性とその家族がやって来ました。
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赤いイスラム帽をかぶった女性はこの店の老板(店長)です。

彼女に少し話を聞くことにしました。「その帽子からすると、あなたは回民ですか? ご出身はどこ?」

「回族です。瀋陽から来ました」
「えっ、そうなんですか…。だとしたら、ご実家は回民街に近い?」
「そうですよ。よく知ってますね」

ぼくは中国遼寧省の省都である瀋陽に仕事でときどき行くのですが、決まって回民街に足を運んでいました。回民街は、中国の少数民族でイスラム教徒の人たちが暮らす地区です。瀋陽の回民街は、市内の中心部の一角にあり、500mくらいの通りに羊肉の屋台や清真レストランがぎっしり並んでいます。

都市化が進み、高層ビルばかりが林立する今の瀋陽では、昔ながらの中国ののどかな雰囲気が味わえる数少ないスポットなんです。

東京ムスリム飯店の人たちの故郷である瀋陽の回民街の様子はこちらをどうぞ。
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中国瀋陽の回民街(イスラム通り)に行くと、和んでしまう
http://inbound.exblog.jp/24406266/

「ぼくは中国の回民街の屋台に行くのが好きなんです。もしかしてお家は近いの?」
「私の家は、あの近くですよ」

自分のよく知る外国の土地から来た人たちだとわかると、親しみを覚えるものです。

「今日は初めてこちらに来ましたが、本場の味でおいしいですね。調理しているのはやはり回族の人ですか?」
「そうです。私と同じ瀋陽出身の回族です」

帰り際、ぶしつけに厨房を覗くと、白い帽子をかぶった調理人がいたので、思わず声をかけたくなりました。

「あなたも瀋陽の人?」
「そうです。瀋陽ですよ」

そして、写真を撮らせてくれました。
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日本人から見ると、彼が漢族なのか回族なのか、聞いてみないとわからないものです。

中国には、当たり前に彼らのようなムスリム系の少数民族(回族、ウイグル族など)が住んでいます。であれば、ハラールが日常生活の中に根付いていて当然でしょう。最近、日本の大学にもムスリム系留学生のために、ハラール料理を学食で出すところがあるそうですが、中国の大学ではもとより回民食のコーナーはありました。昨今のムスリム系観光客の訪日ブームの中で、彼らが都内にハラール料理の店を出そうと考えるのは、とても自然なことだったのです。

老板に「このお店には東南アジアのお客さんもよく来るんですか?」と聞くと、「よく来ますよ。桜のころは、インドネシアやマレーシアからいっぱい団体客が来ました」と話してくれました。

ぼく自身はハラールに関しては勉強中で、まだまだわからないことだらけですが、以前一般社団法人ハラル・ジャパン協会の関係者に日本企業のムスリム市場に対する取り組みについて話を聞いたことがあります。ハラール対応については、ムスリム系在日中国人に限らず、国内でもいろんな動きが起きているようです。

日本の良いものを世界のムスリムへ―ハラル食品をオンラインで販売
http://inbound.exblog.jp/22415316/

※日本観光振興会でも、ムスリム観光客向けのこんな情報提供をしています。

ムスリム観光客おもてなしガイドブック
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/committees/report/event/20141104.html

【追記】
実は、今年(16年)になって2度ほどこのレストランに行く機会があったのですが、1年前に比べると味が落ちている印象がありました。どうしたことだろうと思って、厨房を覗いてみたのですが、以前いた回族の調理師はひとりいたものの、どうも調理が雑になっている気がします。ですから、この記事を書いた当時のように、このレストランを積極的におすすめする気になれなくなっていることを、念のため、告白しておきます。一般に在日中国人の経営するレストランにはこの傾向があります。味が長続きしないのです。回族経営のハラルレストランという意味では珍しいのですが、ちょっと残念です(2016年3月27日)
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by sanyo-kansatu | 2015-04-26 15:54 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)