タグ:レストラン・グルメ ( 66 ) タグの人気記事


2014年 04月 09日

日本の良いものを世界のムスリムへ―ハラル食品をオンライン販売

東南アジアを中心に日本を訪れる観光客が増えるなか、日本と異なる宗教的戒律をもつムスリム客へのおもてなしのあり方が関心を呼んでいます。イスラム教徒向け食材を提供する専門商社の日本アセラル商事は「日本の良いものを世界のムスリムへ」を合言葉に、4月初旬、オンラインショップ「ハラルストア」を開設しました。その狙いや今後の展望は? 代表取締役社長の千葉弘樹氏にお話をうかがいました。

コンテンツ:
ハラルストアとは
日本製ハラル食品について
日本のハラルを取り巻く現状
ハラル・ジャパン協会について
まずはインバウンド客にアプローチ


―ハラルストアとはどんなサイトですか?

ハラルストアは、日本製ハラル商品に加え、ハラル認証を取得していないものの、豚由来の成分が入っていない、またアルコールが添加されていないNPNA(ノンポーク・ノンアルコール)食品を販売する日本初の専門サイトです。日本語版と英語版を設け、国内及び海外で販売を始めたばかりです。

ハラルストア
http://www.halal-store.net/

ハラール(HALAL)とは、イスラムの教え(シャリーア法とイスラム原理)で許された「健全な商品や活動」のことの全般を意味します。東南アジアを中心に日本を訪れる観光客が増えるなか、彼らに聞くと、日本食が大好きで、寿司やてんぷら、ラーメン、焼肉を食べたいといいます。ところが、そのネックとなっているのが、ハラルです。

イスラム教徒は世界人口の4分の1にあたる約19億人、食品市場だけで60兆円ともいわれますが、日本製の食品は現地でほとんど流通していません。こうしたなか、海外に日本製のハラル食品を輸出したいと考える企業も増えてきました。

日本製ハラル商品の専門商社である弊社は、昨年6月から国内在住のムスリムや訪日客の受け入れを行うホテルやレストランなどに卸販売を手がけてきました。ハラルストアは、そのオンラインショップといえます。「日本の良いものを世界のムスリムへ」を合言葉に、国内だけでなく、インドネシアやマレーシア、シンガポール、ドバイへの海外配送も行います。

―日本製のハラル食品にはどんなものがありますか?

日本にもマレーシアハラルコーポレーション(東京)など、認証および関連団体はいくつかあります。

現在、日本のハラル認証商品は約50〜60品目。醤油やカレー粉などの調味料、日本茶やゆずドリンクなどの飲料です。ただし、実際には認証がないと売れないのではなく、前述したように、豚由来の成分が入っていない、またアルコールが添加されていないNPNA(ノンポーク・ノンアルコール)食品であれば問題がないと考えるムスリムの方も多いため、ハラルストアでも約300点のNPNA商品を扱っています。
b0235153_1330273.jpg

b0235153_13303662.jpg

NPNA商品には、ミソやソースなどの調味料から、おかきやせんべいなどのお菓子類、そばやうどんなどの麺類、日本食のレトルト食品などいろいろあります。

―日本のハラルをめぐる現状をどうお感じですか?

この1年で急速にハラルに対する理解が広がっています。キーワードは、「尖閣」「竹島」でしょうか。政治的リスクを回避するため、アセアンと中東へ目を向けようという機運が国内で一気に盛り上がりました。2012年秋のことです。さらに、昨年7月東南アジア各国に対する観光ビザの緩和が相次いで行われ、9月には2020年東京オリンピック招致決定、12月には和食の世界無形文化遺産登録と、数ヵ月おきにハラルブームを後押しする出来事が起こりました。

その結果、物珍しさから日本製ハラル食品はメディアに取り上げられる機会も増えましたが、話題先行気味です。現実とのギャップが大きい。いくら話題になっても、商品が実際に売れなければ意味がありません。

―理事をされているハラル・ジャパン協会について教えてください。

設立は2012年10月1日。ハラルに関する啓蒙活動や市場調査、各企業が自社商品のハラル認証を取得するためのアドバイス、ハラル商品の販売支援、インバウンド支援などを行っています。
b0235153_13313324.jpg

毎月「ハラルビジネス講座」を開催しています。2日間でハラルの基礎からマーケティングまで学んでいただく。都内のモスクや在日ムスリムの経営するハラルショップなどを見学し、理解を深めます。モスクでは、イスラムの教えを直接うかがいます。

2008年頃、イスラム教徒向け食材市場の存在を知り、仲間と勉強会を始めたのが最初です。2010年、マレーシアに視察に行くと、「なぜ日本人は食材を売りにこないのか?」といわれました。ただし、現地で日本食品を販売するためにはハラル認証が必要なことを知りました。帰国して、在日ムスリム関係者に会い、彼らの協力のもとに国内の市場調査などを進めました。

現在、同協会の主な会員は、食品や化粧品メーカー、ホテル、商社などが多いです。

―ハラルに関心のあるインバウンド業界の方たちにアドバイスをいただけますか。

現在、インドネシアやマレーシアなど東南アジアはもちろん、南アジアのインドやパキスタン、バングラディッシュ、中東のサウジアラビアやUAE、トルコ、アフリカなどからも日本に観光やビジネスで多くのムスリム客が訪れています。ですから、我々もまずインバウンド客への取り組みを通して海外での販売につなげていきたいと考えています。ハラルビジネスは、インバウンドの周辺から動くはずだと。

ムスリム客対応としていきなりハラル対応を行うことは非常に困難です。まずは第一歩として、ホテルやレストランに必要なのは、ノンポーク&アルコール料理のメニューを用意することでしょう。また近隣のモスクやハラルレストランの情報を提供すること。客室にマットやキブラシール(メッカの方向を示すマーク)、コーランというお祈りグッズを貸し出すことも大切です。弊社では、ハラル商品の卸販売だけでなく、お祈り用マットやキブラシールの販売も行っています。またムスリム客対応のためのスタッフ教育として認証団体や講師の斡旋など、トータル的にサポートしています。
b0235153_1332188.jpg

旅行会社に対しては、「ハラルデリ」というハラル対応のお弁当の宅配サービスを行っていますので、ご利用いただけるとよろしいかと思います。観光やビジネスで訪れたムスリムのお客様の接待やツアーバスでの食事提供など、さまざまなシーンでご利用いただいています。

まずは、毎月1回開催している「ハラルビジネス講座」にご参加いただき、ムスリム対応の基礎を学んでいただくことをおすすめします。
b0235153_13364018.jpg

株式会社日本アセラル商事
東京都台東区上野2-12-18
http://aselal.jp
一般社団法人ハラル・ジャパン協会
東京都豊島区南池袋2-49-7 池袋パークビル1F
http://halal.or.jp

<取材後記>
にわかに盛り上がったハラルブームですが、イスラムの戒律と聞くと、厳しくて難しそうという印象がつきまといます。ハラルのわかりにくさは、イスラムの教理が基本的に寛容であることによるのだそうです。もともと個別のモスク周辺に暮らす住民に対してローカルの宗教指導者が地元に合った食のルールを伝えたのが始まり。「これで安心だよ」という地元のみで通用するお墨付きのようなもので、戒律が寛容というのはそういうことだとか。その結果、ハラルのルールは、宗派はもちろん、国や地域によって内容が相当違う。そのため、一律の基準を決めるということ自体に無理があり、個別のケースごとに異なる対応を迫られるため、日本人には難しく感じられるのです。

たとえば、中国のように国内に当たり前にムスリム(回民、ウイグル族)が生活するような社会であれば、ハラルは日常生活の中に根付いています。最近、日本の大学でもムスリム留学生向けにハラル食を出す学食もでてきていますが、中国の大学では、回民食のコーナーは以前から当たり前に存在していました。

日本の社会にこれまで存在しなかった異文化のルールを採り入れるというのはそう簡単なことではありません。しかし、関係者の話を聞く限り、求められているのは、必ずしも厳格なものばかりではなさそうです。そういう意味でも、我々がムスリム客に対してできるおもてなしは、“ムスリム・フレンドリー”な対応でしょう。「私たちはあなたがたを心より歓迎しています」というメッセージを込めたおもてなしということです。そのためには、ハラルの基本を頭に入れておくことは欠かせないといえます。

※やまとごころ.jpの取材です。
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/index03.html
[PR]

by sanyo-kansatu | 2014-04-09 13:35 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 12月 24日

池袋の「文革レストラン」再訪。紅衛兵コスプレ美女に会う

昨晩、仕事仲間と池袋の文革レストラン「東方紅」で忘年会をやりました。その日集った皆さんは中国通が多く、先日ぼくが文革レストランを訪ねた話をしたところ、すぐに食いついてきたので、お連れしたというわけです(大学で東洋史を専攻した皆さんばかりです。専門的に中国史や中国語を学んだことがないのは自分だけ。恐縮します)。
b0235153_10421251.jpg

エレベータの扉が開くと、最初に目に入るのが、毛沢東の大ポスター。皆さん、そこで「おぉー、これがそうか」と軽く反応しつつ、店内に入ると、文革ポスターやら標語の数々を物色しながら、席についたのでした。

席まで案内してくれた紅衛兵のコスプレ店員は、中国のネットに写真が出ていた例の彼女でした。大連出身の王さんといいます。お笑い芸人の青木さやか似の美女、といっておきましょう。明るくていねいな接客で好感度が高いです。
b0235153_10424128.jpg

在日中国人、池袋に文革レストランを開店
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-11/05/content_30500644.htm

店内には、若い中国人のグループが何組かと、今回初めて日本人のグループを2組見かけました。この手の中華料理屋にはよくいそうな年配の男性3人組(きっと中国の夜のお仕事の女性に連れてこられたのでしょう)と、ちょっと意外だったのは、若い女性の4人組でした。だんだん日本人客も増えているんですね。

中華料理はやはり大勢で行くのが楽しいものです。今回5名で行ったので、いろんな料理が注文できました。中国通の皆さんですから、それぞれお好みの料理があるようでしたが、「念のため言いますけど、ここは中国東北料理の店ですから」と、ぼくがひとこと付け加えると、では「酸菜の鍋にしましょう」と、Hさんがメニューを見ながら応じてくれました。
b0235153_10431464.jpg

これが酸菜カキ鍋です。酸菜は中国東北地方の名物の白菜の酢漬け。簡単にいうと、トウガラシ抜きのキムチのようなもので、ちょっと酸っぱいんです。それにこの季節旬のカキを入れて白湯風のスープにした鍋です。美味でしたよ。
b0235153_10433175.jpg

せっかくですから、コスプレ店員の王さんにおすすめを聞いてみると、面白い料理が出てきました。文革時代をイメージ化したアルミの弁当箱のようなものに入ってでてきた豚肉と野菜の田舎風煮込みです。野菜にはカボチャやトウモロコシも入っています。クミンやハッカクなども使われていて、いかにも東北料理らしい味付けでした。
b0235153_10434317.jpg

これは東北料理というわけではありませんが、インゲンの四川風辛味炒めです。日本人の口に合いますね。

他にもいろいろ頼んだのですが、皆さんの評価は、「この店で頼むべきは、東北料理。他の地方料理はちょっと予想した味付けと違う気がする」というところでまとまりました。こういうことって、中国でもよくあります。いまの時代、都市部ではいろんな地方料理レストランがあるのですが、たいてい地元の好みの味に変えられていて、本場の味を知る人からすると、「あれっ、ちょっと違う」となるものです。東北人が四川料理をつくると違った味になるという話で、池袋でもそれがいえるわけです。

とはいえ、ふだんは口の悪いことで知られるHさんから「こんな本場の料理が日本で食べられるとは、うれしいことですね」と言われたので、ぼくはほっと胸をなでおろしたのでした。そして、「そりゃそうですよ。本場の東北人がつくってるんですから」と応じたものです。
b0235153_10442875.jpg
b0235153_10443594.jpg

中国語のわかる皆さんですから、店内にたくさん貼られたポスターや標語が気になるようです。たとえば、トイレの前に貼ってある「同志们,无论大小,记得冲(皆さん、大でも小でも流すことをお忘れなく)」や、厨房に入る従業員出口の「闲人免进(関係者以外立ち入り禁止)」は、当時のプロパガンダポスターから図柄を拝借し、言い回しを変えてパロディー化したものです。
b0235153_10445351.jpg

これは、2000年代半ば中国で一斉風靡したテレビのオーディション番組の人気投票でデビューした李宇春さんというアイドル歌手の新曲のタイトル「再不疯狂我们就老了」を拝借して、当時のポスターにはめ込んだもののようです。
b0235153_1045822.jpg

またこれは逆のパターンで、文革当時、毛沢東が紅衛兵に呼びかけた「战无不胜的,毛泽东思想胜利万岁」というメッセージ入りのプロパガンダポスターの、紅衛兵たちが高く掲げる(おそらく)毛沢東語録(だと思いますが)の代わりに米国アップル社のロゴをはめ込んでいます。

中国共产党第九次全国代表大会主席团秘书处新闻公报(1969年4月24日)
http://cpc.people.com.cn/GB/64162/64168/64561/4429452.html

これらに見られるように、「文革レストラン」に散りばめられた一見政治的かつノスタルジックな文化的意匠は、実のところ、当時への郷愁ではなく、むしろ2000年代の中国の都市部に多く現れた文化雑貨屋で売られていた他愛のない流行商品やキャラクターグッズのたぐいと変わらないものです。パロディーといっても、そこは用意周到毒抜きされています。

※これらのグッズについては「中国の文革系サブカル雑貨は日本の1970年風?」を参照。 

とはいえ、今月26日が毛沢東生誕120年にあたることを意識して書かれたと思われる今朝の朝日新聞の国際記事「文革 封印の過ち語る 毛沢東生誕120年 回顧の風潮に危機感」(2013年12月24日)が指摘するように、中国では「文革レストラン」という存在自体、単なる飲食施設ではなく、悲惨な歴史の記憶の回顧化、あるいは忘却化に貢献するものだという見方もあるようです。なんにしろ、そんなに遠い時代の話ではないからでしょう。同記事の中では、自分が密告したことで、母親が銃殺刑にされた弁護士の話がでてきます。中国の現代史のタブーを突いてにわかに出現したかのような「文革レストラン」には、まだまだ尾ひれの付く話が出てきそうです。

※そういう意味では、最近中国で文革時の蛮行を懺悔する元紅衛兵たちが現れていることに注目したいと思います。「文革時の蛮行をザンゲする元紅衛兵たち」 参照のこと。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-12-24 10:45 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2013年 11月 21日

ラオスの北朝鮮レストランはわりとゆるくてオープンな店だった

ビエンチャン滞在中、つい北朝鮮レストランに足を運んでしまいました。べつにぼくは「北レス」マニアでもないつもりですけど、今年5月、北朝鮮からの脱北者がラオスで身柄を拘束され、強制送還されたという報道もあり、遠く離れたこの2国が中国を介して複雑な関係にあることを知ったばかりでしたから、興味本位にすぎませんが、行ってみようかということになったのです。
b0235153_9362390.jpg

ラオス、脱北者9人を北朝鮮に強制送還 異例の措置の見方(CNN)2013.06.01
http://www.cnn.co.jp/world/35032834.html

さて、ビエンチャンの北朝鮮レストラン「朝鮮平壌飯店」は、市内中心部から北東の方角にある黄金の仏塔「タートルアン」の近くにあります。
b0235153_9371444.jpg

朝鮮平壌飯店(Korea Pyongyang Restaurant)
Unit19,Nongbone, Xaysettha District, Vientiane
Tel:021-263118 kpr.lao@gmail.com

トゥクトゥクに乗って店の前で降りると、白頭山の天池の大きな写真の飾られたレストランがありました。その日は雨が降っていて周辺の通りは暗く、うまく写真が撮れませんでしたが、事情通の人なら一目で北朝鮮レストランとわかります。
b0235153_9373839.jpg

店内には、朝鮮の美人画や風景画が飾られています。カラオケ用のテレビもありました。

客は、中国の中高年の男女6人組(といっても女性はひとり)や韓国系の男性ふたり、北欧系のツーリストのカップルでした。あとで奥の個室からぞろぞろ男たちが5~6名出てきたのですが、おそらく彼らはラオス在住の北朝鮮の関係者でしょう。
b0235153_9375664.jpg
b0235153_9381299.jpg

メニューはこんな感じです。ドリンクは地元ラオビヤーやカールスベルグ、ペプシなど、料理は冷麺やビビンバ、プルコギなど定番朝鮮料理が並びます。その日ぼくが頼んだのは、特製豆乳スープ冷麺(コングッス)で40000kip(約400円)。
b0235153_9382790.jpg

これは中国客のテーブルです。席が空いているのは、いよいよ北朝鮮の歌謡ショーが始まるということで、彼らは総立ちになり、席を離れたからです。
b0235153_9385942.jpg

8時を過ぎるとショータイムがスタートします。海金剛と呼ばれる北朝鮮の名勝、金剛山の岩の柱の大きな写真を背景に、ピンクのチマチョゴリ姿の4人の北朝鮮ガールズがおなじみの「ようこそ共和国へ」を歌い始めました。この曲の妙に浮かれたリズムやアレンジ、彼女たちの甲高い歌声は、北朝鮮のこわばったイメージを腰砕けにさせるような脱力感を外国客に与えるのが特徴です。しかも、曲調の単純さから一度聴いたら耳を離れないわかりやすさがある。この曲が流れると、気分がはしゃいでくるような暗示効果が仕込まれているようで、まったくクセモノです。
b0235153_9392182.jpg
b0235153_9392748.jpg

【動画】ラオスの北朝鮮レストランの踊りと歌(2013年8月)

その後、彼女たちは客層を意識して、朝鮮の歌だけでなく、中国の歌を歌ったり、ちょっとした踊りを披露したりしていました。4人のうち、ふたりはふくよかな美人です。
b0235153_9394557.jpg
b0235153_9395238.jpg

そのうち、席を立った中国おやじ5人組は、ビデオやカメラで彼女たちのショーの撮影に本格着手し始めました。とってもうれしそうです。
b0235153_940842.jpg

ショーが終わると、カラオケタイム。ひとりの中国おじさんは、お気に入りの彼女の手を取り、デュエットを始めました。彼は最後まで彼女の手を放そうとしません。

でも、曲が終わると、さっと彼女は奥に消えてしまいます。

これまで中国各地の北朝鮮レストランをいくつか覗いてみましたが、ここラオスの店は、わりとゆるくてオープンな印象です。北朝鮮ガールズたちも、北京あたりだと、どこかツンケンしていますが、ここでは物腰もやわらかいのです。やはり、平壌から距離が離れるほど、彼女たちもゆるくなるのか。それともラオスという土地柄ゆえ、中国客の強引さがまかり通りやすくてこうなってしまうのか。いずれにせよ、いいことじゃないでしょうかね。

この場でちょっと浮いていたのが、北欧系のカップルとぼくでした。その感じが伝わったのか、彼らに目くばせすると、ニコッと微笑んでいました。なにしろ娯楽の少ないビエンチャンですから、コリアン・ショー・レストランを観るのは、外国人旅行者にとってちょっとしたイベントかもしれません。
b0235153_9404513.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-21 09:41 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2013年 11月 20日

ラオスの朝市に癒される(ビエンチャン編)

今年8月、ラオスを訪ねたのですが、癒されたのがビエンチャンの朝市でした。
b0235153_901483.jpg

b0235153_911263.jpg

早朝、ゲストハウスでレンタル自転車を借りて、トンカンカム市場という朝市を訪ねました。市場の周りは、トゥクトゥクやバイクが並んでいます。
b0235153_915134.jpg

自転車を停めて中に入ると、さまざまな食料品や日用雑貨の売られる市場が広がっていました。外から差し込む光が、ふとめまいのような感覚を引き起こします。ああこの感じ、いいです。激しい売り声が飛び交うこともなく、東南アジアの市場ならではのやさしい空気感に包まれます。
b0235153_921697.jpg
b0235153_922265.jpg
b0235153_923171.jpg

野菜や卵、パイナップル、バナナなどが並んでいます。
b0235153_93733.jpg
b0235153_931332.jpg

お惣菜も売っています。漬物や日本でいうと粕漬けのような魚もありました。
b0235153_933131.jpg

肉団子売りの女の子はカメラを向けても、きょとんとした感じでこちらを見ています。
b0235153_935134.jpg

インスタントラーメンはたぶんタイ製かな。
b0235153_943893.jpg

市場の周囲は、ぎっしりバイクが並んでいます。「HONDA」のロゴが見えます。
b0235153_94527.jpg

面白いのは、フランスパンが売られていることです。仏領だった時代の名残でしょう。ベトナムと同じですね。
b0235153_95815.jpg
b0235153_951693.jpg

うれしいのは、フランスパンに地元の食材をはさんだサンドイッチをつくってくれることです。野菜やひき肉などがたっぷり入って、味付けはちょっとカレー風味のピリ辛です。パリっとしたバケットの食感とエスニックな具材の異色なマッチングがたまりません。ここがインドシナであることを再認識させてくれます。
b0235153_953881.jpg

市場といえば、屋台が付き物です。みなさん仲良く並んで、静かに朝ごはんを食べていました。
b0235153_961749.jpg

お粥や麺類が食べられます。このこがしニンニク入りのお粥は絶品でした。こちらで会った日本人が話していましたが、ラオスの食事は東南アジアでも随一、日本人の口に合うそうです。ラオスは海のない国ですが、山の幸が豊富で、スパイシーさもほどほどなのがいいのでしょう。
b0235153_963225.jpg
b0235153_964186.jpg

お客には地元のおばあちゃんもいて、フランスパンのサンドイッチを袋に入れて持って帰るみたいです。この男の子も、かわいいですね。
b0235153_965915.jpg

帰り際、バナナ売りの女の子が座っていたので、カメラを向けるとぎこちなく笑顔をつくってくれました。
b0235153_973617.jpg

特に身構えるでもなく、自然体のままじっとこちらを見ているので、かえってこっちも緊張してしまいます。こういう瞬間、彼女は何を考えているのでしょうか。しかしその彼女を撮ろうとするぼくも、いったい何をしようとしているのやら。すべてを見透かされているような妙な感覚……なんて思いながら、アップでぱちり。

アジアの市場は活気がみなぎっているというのが、特に華人の多く住む場所では相場でしょう。でも、ラオスの市場は穏やかで静謐な時間が流れています。こういう他愛のない時間を久しぶりに過ごすことができ、感謝したい気分になりました。

なにしろビエンチャンは、首都といっても人口80万人。東南アジアでは、地方都市の規模です。ですから、ビエンチャン市民の胃袋を満たす朝市もささやかな大きさで十分なのでしょう。

急ピッチで発展を続ける東南アジアの中で、まるで置き去りにされたかように見えるラオス。首都ビエンチャンの都市景観は、高層ビルの立ち並ぶアセアン主要国と比べると、一時代以上昔のものであり、それゆえ外国人旅行者にとって好ましい存在となっています。いまのアジアはどこもかしこも“アゲアゲ”感がみなぎっていて、うんざりだからです。そんな熱気にあんまり引きずられても、いいことばかりとは限らないのでは。そういう皮肉な見方は、一部のラオスの人たちには不本意かもしれませんが、今回久しぶりに訪ねてみて、その思いを強くしました。

【追記】
実際には、ラオスの2000年代以降の経済成長率は平均して6~8%と高く、ビエンチャンも最近では不動産投機の動きが起きているそうです。これは東南アジアではどこでも起きてきたことですが、いい意味でマイペースであってほしいと思うのは、身勝手でしょうか。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-20 09:08 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2013年 11月 17日

これが本場中国の「文革レストラン」です

東京・池袋に10月下旬、オープンした「文革レストラン」を訪ねたことを前回報告したので、今回は本場中国の「文革レストラン」を紹介することにしましょう。
b0235153_10162247.jpg

とはいっても、前回説明したように、そもそも中国における「文革レストラン」の流行はすでに終わっており、閉店した店も多いのです。最盛期は、場所にもよりますが、北京や上海で2000年代前半、地方に行くと2000年代後半だったと思います。

今回紹介するのは、大連にかつてあった『東方紅風味酒楼』です。2007年12月にオープンしましたが、現在は閉店しています。ぼくがその店を訪ねたのは、08年5月下旬のことです。何よりそこで観た「文革歌謡ショー」が印象に残っています。以下、レストランの内装や一連のショーをお見せしようと思います。

写真は佐藤憲一さんです。
b0235153_10171336.jpg

まずレストランの外観はこんな感じです。場所は、大連市中山区中山広場万達大廈の西側にありました。
b0235153_10173510.jpg

店内です。客は中高年がほとんど。白酒とノスタルジーがこの店の売りです。
b0235153_10175114.jpg

壁には文革時代のポスターがたくさん貼られています。
b0235153_1018741.jpg

厨房も一部公開していて、そこには東北地方の料理(東北菜)が並んでいます。煮物が多いです。
b0235153_10182224.jpg

毛沢東の好物だった紅焼肉もあります。
b0235153_10183920.jpg

料理はざっとこんな感じ。おそらく当時はこんなにふんだんに肉を使った料理なんて口にできなかったのでしょうが、中国も飽食の時代です。いまこうして豊かさを手にしているのですから、当時はどんなに貧しくても、それは思い出というものです。
b0235153_10185888.jpg

彼はこれから観る「文革歌謡ショー」の広報係です。日本人が来店したというので、ちょっと緊張した面持ちです。きびきびとした動きで、当時の紅衛兵を演じているのでしょうが、もちろんその時代に彼は生まれていません。
b0235153_10192524.jpg

さて、ショーが始まりました。舞台の中央には毛沢東の肖像画が飾られています。
b0235153_1019438.jpg
b0235153_10195998.jpg

前半は、歌と舞踊のショーです。いまや懐かしい紅衛兵の姿に扮した劇団員たちは、大音量のスピーカーから流れる当時の流行歌に合わせて熱唱します。

※【動画あり】中国文革レストラン(大連)のショーにて(歌と踊りと文革世代の観客たち 2008年5月
b0235153_10202247.jpg

ドラムやシンセサイザー、そして横笛や胡弓の演奏者もいます。
b0235153_1021777.jpg

客にマイクを向けて一緒に歌おうとステージを降りて、呼びかけます。
b0235153_10204295.jpg

大きな紅旗を翻しながら、派手なパフォーマンスを繰り広げます。
b0235153_10213483.jpg
b0235153_10214534.jpg

前半のショーが終了すると、劇団員たちは観客の座るテーブルを周回し始めます。客の中には、劇団員に握手を求める人もいます。当時を知らない若者がこのように演じていることに対して、中高年の観客たちはどんな思いを抱いているのか。それとも、今日ではまったく否定されてしまった文革時代にこうして光を当ててくれたことに感激しているとでもいうのか。
b0235153_1022455.jpg
b0235153_10221284.jpg

幕間には、中国絵画のオークションなども行われます。50元払って花輪を買って、劇団員の首にかけるのもお約束です。
b0235153_10223352.jpg

後半は、いわゆる「抗日」寸劇です。抗日ドラマでおなじみの日本軍兵士(左)と漢奸=売国奴(右)が登場します。日本兵はちょびひげと丸眼鏡というのもお約束です。
b0235153_10224765.jpg

その後、人民解放軍の活躍で漢奸は取り押さえられ、日本兵はつるし上げられます。ひたすら滑稽に演じてみせるのも日本兵の役割です。

※【動画あり】中国文革レストラン(大連)のショーにて(日本兵を成敗するシーン 2008年5月)
b0235153_102332.jpg

最後は、勝利の歌でしめくくられます。

一連のショーを観ながらいろんなことを感じたものですが、舞台の迫力はなかなかのもので、いま中国で「文革歌謡ショー」を演じることの意味は何か? という文脈を無視すれば、いかにも中国らしいエンターテインメントだと思ったものです。そこには、一種の様式美すらあります。劇団員の青年、女子の皆さんに対して、聞いてみたいことは山ほどありましたが、あの場で話を聞いてもしかたがないと考えて、店をあとにしました。

最初に書いたように、この店は現在存在しません。このショーに出演していた青年たちは、いまどうしていて、何を考えているのか。反日デモのとき、毛沢東の肖像画を掲げた一連のグループとはなんらかの精神的なつながりがあるのか?

上海のある文化研究者によると、2000年代前半に中国各地の都市部にオープンした「文革レストラン(当時は「北大荒菜館」とも呼ばれました)」は、所詮消費社会の中のひとつの流行現象にすぎないとの見立てです。一般に中国の研究者は、こういうすました言い方を好んでしますが、そう簡単に割り切れる話なのか、ぼくにはちょっと疑問です。

突如池袋に出現した「文革レストラン」の話題はともかく、中国における昨今の「毛沢東」現象について考えてみるのは面白いと思います。

【追記】
なぜ中国の東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)に「文革レストラン」(実際には、文革のイメージというより、1970年代の中国の社会風俗をノスタルジー化したレストランであるのがほとんど)が多く開店したかについては、こんな推測も成り立ちます。

新中国成立以降、満州国の近代インフラを有する東北三省は、最も先進的な工業地域でした。ですから、建国後の混乱も収まる1950年代以降、東北三省の人たちは先進地域に住む住民としてのそれなりの自負を持っていたはずです。それが変わったのは、80年代の改革開放以降です。広東省を中心にした華南地方に集中的に投資が進むことで、東北三省は地盤沈下していきます。とくに90年代は失業者のあふれる後進地域となってしまいます。

つまり、大連などの「文革レストラン」に足を運んだ中高年世代の人たちは、文革という悲惨な時代とともに、東北三省の栄光の時代を懐かしんでいるのかもしれないのです。2000年代に入り、中国政府の東北振興策で、再び発展モードに転換した東北三省の人たちが“古きよき時代”の思い出を手軽に体験できる「文革レストラン」を愛好したたのも、わかる気がしないではありません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-17 10:25 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2013年 11月 16日

池袋にできた「文革レストラン」に行ってきました

池袋にできた話題の店、「東方紅」に行ってきました。
b0235153_12223133.jpg

10月26日にオープンしたばかりの、いわゆる「文革レストラン」です。1960~70年代の文化大革命時代の文化的意匠で内装を統一したレストランで、そんな店が日本でオープンしたことがちょっとした話題を呼んでいるのです。老板(オーナー)は中国黒龍江省ハルピン出身。場所は西池袋の繁華街にある「ロサ会館」の西側のビルの8階です。
b0235153_12225615.jpg
b0235153_12232071.jpg

エレベータの扉が開くと、まず目に入ってくるのが、冒頭の毛沢東の大きなポスターです。

店内には、文革時代のプロパガンダの標語やポスターがあちこちに貼られ、天井からトウガラシなどがいくつもぶら下げられています。これは確かに「文革レストラン」の定番ディスプレイといえます。
b0235153_12235878.jpg
b0235153_12242455.jpg
b0235153_12254311.jpg
b0235153_1226850.jpg
b0235153_12264090.jpg

b0235153_1173655.jpg

メニューの表紙が「毛沢東語録」風というのも定番です。メニューを広げると、東北菜(中国の東北料理)が並び、彼の語録がデザイン化されて書き込まれています(メニュー写真のいちばん下にあるのが毛沢東の好物だったという紅焼肉)。
b0235153_720287.jpg

b0235153_10311898.jpg

とまあそんな趣向の店ですが、あくまで商業的な狙いだと思われます。少し前に中国で流行った「文革スタイル」の店を日本で出せば、もしかしたらウケるんじゃないか、といったあたりか。オーナーには思想的な背景などないでしょう。近年、首都圏には東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)から来た在日中国人が急増していますから、東北菜を出す店という意味では、市場に合わせているといえるかもしれません。

開店祝いで、ドリンクも半額でした。個人的にぼくの好きな家常豆腐を注文しました。ふつうにおいしかったです。
b0235153_10331933.jpg

店内には、留学生のグループらしき若者とおじさん3人組、おじさんと若い女姓のカップルがいて、すべて中国客でした。

例の中国のネット上に飛び交った紅衛兵の衣装にコスプレした女の子の服務員(中国語のウエイトレス)はいませんでしたが、ふたりのコスプレ服務員がいました。
b0235153_12443947.jpg

b0235153_10373165.jpg
b0235153_1055397.jpg
b0235153_10371441.jpg

b0235153_10381947.jpg

話を聞くと、ふたりはともに瀋陽出身。茶髪の紅衛兵というのもいまの子らしくて面白いです。ネットに出た子は大連出身で、今日は休みだそうです。ふたりはとても丁寧な接客で感心しました。しかも、手がすくと、空いたテーブルのメニューをきっちり揃えたり、休む間もなく働いています。

池袋の「文革レストラン」は、内装を除けば、都内によくあるごくふつうの中華料理店でした。雑な日本語を話すおばさんが店を切り盛りしているような古い在日華人の店ではありません。経営者はおそらくニューカマーで、いまの中国の都市部によくあるレストランと変わらないといっていいと思います。ただし、服務員は注文の受け答えくらいはできますが、日本語は少しあやしい。在日華人が経営する店というのは、いまどきそんなものです。

ところが、池袋の知り合いの中国人の経営するバーで「東方紅」の評判を聞いたら、「味はまずい。一回行ったらもう行かないと思う。来年はもうなくなっているんじゃないかな?」という厳しい評価でした。

中国人というのは、知り合いでなければ、同胞につれないですね。

「池袋 东方红」でネットを検索すると、中国側の反応がいろいろ出てきます。

日本东京华人聚集地开设“东方红”餐厅 2013年11月4日
http://news.xinhuanet.com/world/2013-11/04/c_125649535.htm
http://www.mnw.cn/photo/baitai/692081.html

中国ネット民「頭おかしい…」 池袋の“文化大革命レストラン”に批判集まる
http://newsphere.jp/entertainment/20131111-1/

中国ではわりと批判的なコメントが多いようです。もともと「文革レストラン」は、2000年代前半にまず北京や上海でオープンし、それから何年か遅れて特に東北三省にたくさんできました。ぼくは大連や長春にあった店に行ったことがあります。大連の店では、紅衛兵の衣装をつけた劇団員によるショーもあったんです。客層は、当時を知る中高年の世代でした。確かに、ひどい時代でしたが、それでも自分の青春を過ごした時代を懐かしむという気分はあるものです。いまではそのほとんどのお店が閉店してしまいました。要するに、一種のブームにすぎなかったのです。そんな10年前に中国で流行った店をいまごろ日本でやるのかよ、という感じ方もあるかもしれません。日本人よりむしろ、中国のネット世代のほうが違和感を感じているところが面白いです。

日本ではいまのところ、特に反響はないようです。「チャイナタウン」騒動のあった池袋だけに、いろいろ言いたがる人が出てくるのかもしれませんけど、大半の日本人にとって「文革レストラン」といわれても、ピンとこない話でしょうから。

東方紅
東京都豊島区西池袋1-38-3 b-toos池袋8F
tel 03-6907-1237
微信号:dongfanghong1618

※あとで、中国で少し前に流行った「文革レストラン」(「これが本場中国の「文革レストラン」です」)について紹介しようと思います。

【動画あり】中国文革レストラン(大連)のショーにて(歌と踊りと文革世代の観客たち 2008年5月)
中国文革レストラン(大連)のショーにて(日本兵を成敗するシーン 2008年5月)

2か月後、この店を再訪した話も書きました。そこでは店内の文化的意匠について、簡単に解説しました。「池袋の「文革レストラン」再訪。紅衛兵コスプレ美女に会う」http://inbound.exblog.jp/21710468/

さらに、この店の文化的意匠が2000年代の中国の風景といかに重なっているかについては「中国の文革系サブカル雑貨は日本の1970年風?」を参照のこと。

また、その一方で文革時の蛮行を懺悔する元紅衛兵たちが現れていることについても注目すべきでしょう。「文革時の蛮行をザンゲする元紅衛兵たち」 を参照のこと。

【追記】
実は、この店、その後(2015年夏ごろから)営業スタイルを変えて現在に至っています。要は、「文革レストラン」を廃業し、ふつうの中国東北地方料理店になっています。池袋北口周辺は以前、ミニ中華街的な様相を呈していた時期(2010年くらいまで)がありましたが、いまやその勢いは下火になり、この店の経営はもうひとつのようです。実際、客層の大半は在日中国人で、日本人が来てくれないのがオーナーの悩みだそうです。

今年(2016年)は、文革50周年ですが、2年半前にこのエントリーを書いた当時の様子は見られないことを、あらかじめお伝えしておきたいと思います。(2016 .5.20)
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-16 12:30 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2013年 11月 16日

【続編】「ロボットレストラン」はなぜ欧米客に人気なのか?

新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」はなぜ欧米客に人気なのでしょうか。「やまとごころ.jp」のインタビュー記事で書ききれなかったこぼれ話を紹介します。

まず、『女戦~ジョセン~』のダンスショーの内容と構成について、もう少し詳しく見せちゃいましょう。ショーは2013年11月現在、以下の5部構成です。ダンサー兼社長の大澤奈美恵さんも語っているように、ショーの内容は随時リニューアルされているそうです。

①女性ダンサーによる和太鼓演奏
b0235153_228442.jpg

和太鼓から始まるショーって悪くないですね。ジャパネスクな感じで、カッコいいと思います。

②「バーレスク」のショー
b0235153_2282482.jpg

これもなかなかステキです。なぜか大澤さんがポールダンスを披露しているところが面白いです。

③「太古の森」を舞台にしたロボット対戦(森の住人と宇宙から来たロボット軍団との戦い)
b0235153_2284385.jpg

この設定はかなり唐突ですが、女の子がロボットを叩きのめすシーンは爽快です。欧米の女性客の皆さんも一斉にカメラを向けています。女の子が闘う姿は単純にいいですね。

④女性型ロボット「ロボコ」と女性ダンサーの共演
b0235153_2292057.jpg

b0235153_2331504.jpg

これが圧巻のダンサーとロボットのダンス共演です。高さ3m超の巨大女性アンドロイド「ロボコ」の腕に抱かれ、踊り狂うダンサーたちの姿に、ぼくはしばし恍惚としてしまいました。

⑤フィナーレ「戦争パレード」:戦闘機と戦車に女の子が乗って踊る
b0235153_229433.jpg
b0235153_2294964.jpg
b0235153_2295754.jpg

昔、『タンクガール』という映画がありましたが、そこから生まれたイメージを表現したもののようです。戦闘機の羽にぶら下がるダンサーの子が目の前を通り過ぎる瞬間、ぼくは思わずウォーと雄叫びを上げたくなりました(えーと、ちょっと欧米客のノリが伝染したのかもしれません)。

今回の取材に同行した「やまとごころ.jp」の此松武彦さんも話していましたが、この空間はいわゆる「芝居小屋」に近いと思います。一見派手なパフォーマンスが繰り広げられてるようで、どこか日本の小劇場的な空間が現出しているんです。加えていうと、AKB的な、なんともいえないゆるさもあります。ダンサーの女の子たちは、みんなどこか庶民的な親しみがあって、彼女たちがロボットと一緒にはじけている光景は、まるで近未来の“祭り”のようです。実は、それがロボットレストランの最大の魅力ではないか、とぼくは思います。

さらに、大澤さんも語っていますが、とにかく欧米客の素直な盛り上がりぶりは好感度が高いです。観客には、カップルの姿が目立ちます。親子連れもいます。
b0235153_22142534.jpg
b0235153_22143199.jpg

4番目の演目が終わったあとに、記念撮影タイムが設定されています。欧米客の皆さんはロボットたちと記念撮影に興じます。いかにもオタクっぽい人もいます。
b0235153_2214417.jpg
b0235153_22144838.jpg
b0235153_22145756.jpg

ちなみにお弁当の中身はこんな感じです。東京には欧米のようにショーを観ながら食事を楽しめるエンターテイメントレストランがあまりありません。
b0235153_22152174.jpg

以下は、ロボットレストランの営業担当者が教えてくれた都内のショーレストランですが、ぼくにはどれもそれほど斬新な感じがしませんでした。なぜでしょう。実際に観なくてもだいたい中身がわかってしまうような気がするからです(本当はそうではないかもしれませんけれど)。

六本木香和
http://www.kaguwa.com/
明治時代の遊郭をイメージしたショー

六本木金魚
http://www.kingyo.co.jp/
いわゆるニューハーフショー

ロボットレストランの面白さは、ショーの内容だけでなく、店内の内装の奇抜さにあります。実は、隣接するガールズバー「ギラギラガールズ」に限りなく近い世界があるのも確かです。この界隈にいる客引きに話を聞くと、「ロボットレストランは評価が2つに分かれる」とのこと。きっとガールズバーのお楽しみを期待した客は、ロボットレストランでは裏切られたという感じを持つからでしょうね。

ショーである以上、客は見る側、ダンサーは見せる側。彼女たちとの交流は基本的にないわけですから。しかし、そういう男心をくすぐる期待感も含め、エロとパッションが渾然一体とした歌舞伎町らしさこそ、面白い。見てください。この奇態な空間に白人の女の子が紛れ込んでいる姿はなかなか絵になると思いませんか。
b0235153_22161476.jpg
b0235153_22162261.jpg
b0235153_22163071.jpg

ギラギラガールズ
http://giragiragirls.com/pc/

ショーの前後で楽しめる待合室もなかなかおかしくていいです。猫耳のウエイトレスも悪くありませんが、注目は給仕を担当するロボットです。
b0235153_22185731.jpg
b0235153_2219546.jpg

さて、話は変わりますが、インタビューの中で大澤さんは、オープン時に「日本のメディアより先に海外のメディアが取材に来た」と語っています。欧米メディアは「ロボットレストラン」をどんな風に報じているのでしょうか。以下、ネットで読めるものを紹介しましょう。なにはともあれ、彼らが報じたから、この店は欧米客であふれているのですから。

“Peer into Japan’s raunchy robot restaurant”
(Smart Planet(アメリカ) 1 August 2012)
http://www.smartplanet.com/blog/smart-takes/peer-into-japans-raunchy-robot-restaurant/28069

“The Robot Restaurant in Tokyo”
Nippon News(東京にある外国向け通信社)20 November 2012
http://www.nipponnews.net/en/bizarre/the-robot-restaurant-in-tokyo/

“Japan's raunchy restaurant uses 'fembots' instead of woman to dance for customers – and to watch them perform costs just £25”
Mail Online(イギリス)18 February 2013
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2280465/Japans-raunchy-restaurant-uses-fembots-instead-woman-dance-customers--watch-perform-costs-just-25.html#%E2%80%A6

“Toyko: Food. Fun. Fashion.”
Hollywood on The Potomac(アメリカ) 24 June 2013
http://hollywoodonthepotomac.com/?p=31772

「セクシーアンドロイドが踊る、ロボットレストランは東京のパラダイス―米国記者レポート」
International Business Times(アメリカ) 2013年10月14日
http://jp.ibtimes.com/articles/50152/20131014/335992.htm?utm_source=twitter&utm_medium=official&utm_campaign=jpibtimes

ざっと読んでみて、「ひわい」「みだら」「セックスアトラクション」といった一見ネガティブな評価が目につきます。基本的に、日本の伝統的なイメージ「フジヤマ、ゲイシャ」的な好奇心がベースにあることがうかがわれます。まあいいんじゃないでしょうか。

実際、今年10月に来たというアメリカのWired.comの取材陣は、ショーを観た後、「女性の露出度が激しいのでは? 嫌がるお客様もいるのではありませんか。欧米人から見ると下品と観られるかもしれませんよ」だなんて、ロボットレストランの広報担当者に言ったそうです。確かに、彼女たちの露出度は高いですからね。
b0235153_22303944.jpg

なんだよ、優等生ぶるなよ、とぼくは思いましたね。白人メディアのにわかピューリタン的なスタンスって感じ悪いですよね。でも、その広報担当者ははっきり答えたそうです。「私たちは自分たちのやり方を変えるつもりはありません」と。なんだか頼もしく思ったものです。

もちろん彼らはそれだけの話に終わらせるつもりはありません。基本的には面白がっているからでしょう。『ブレードランナー』や『オースティンパワーズ』『トランスフォーマー』などの自前のハリウッドSF映画を持ち出して、ロボットレストランのショーの魅力を一生懸命解説しようと努めてくれています。『オースティンパワーズ』といえば、おっぱいから機関銃が飛び出すセクシーな女性アンドロイドのfembotsが有名です。そういうバカバカしさの延長線上でロボットレストランを解釈しようとしながらも、ロボットという意匠が放つ「ハイテク・ジャパン」という近未来のイメージと交錯もする。でもやっぱり露出度の高いお色気ダンサーのかわいさもあいまって、とにかくこんなイカした(イカれた?)空間は日本にしかないと観念するというような書きぶりでした。なかには「島国日本の古来からの儀式に思いをはせた」というコメントもあり、これはなかなか鋭いと思いましたね。

英語の記事でいうと、日本で発行されている「WAttension」というフリーペーパーの記事が詳しかったです。きっと海外から来た先入観たっぷりの記者ではなく、日本に住んである程度日本の文化状況に詳しい記者が書いたからではないでしょうか。

WAttension
http://www.wattention.com/

唯一、香港の記事もありましたが、正直いってつまらない内容ですね。もちろん、アジアにもオタクはいるのは確かですが、かの国々のメディアの人たちは、戦後いやというほどアメリカンカルチャーを吸収しつくして開花した日本のポップカルチャーに対する理解、そもそもの現代日本の文化的背景について、まだまだ認識が足りない気がします。きっとまじめすぎるんですね。

「另類日本遊」
壹週刊(香港)2013年10月3日
http://hk.next.nextmedia.com/article/1230/17068490

とはいえこれをもって、ロボットレストランに対する海外メディアの反応は「Cool Japan」だなんて、言っちゃダメだと思います。いえ、まあ言いたきゃ言ってもいいけど、最近このことばがとてもカッコ悪く聞こえるからです。

自己陶酔的なものを感じ、ちょっと引いてしまうのです。だって、もし誰かから「キミ、クールだね」って言われたとしても、そんなのスカして無視するのがフツーでしょう。「ボクってクールでしょ」なんて自分から言うのは、断然カッコ悪いと思う。

ショーが終わったあと、ある西洋人のカップルの若い男性が思わず興奮気味に上げた声が印象的でした。「なんてcrazyなんだ!」。そうです。そういう率直な感想でいいんです。

実は、昨年7月、ロボットレストランがオープンした直後、日本の雑誌メディアもずいぶん取材に来たそうです。その内容については、公式サイトで見ることができますが、ざっと見た感じ、単なるキワモノ扱いなんですね。そういう見方しかできなかったため、日本人の来店は少なかったのではないでしょうか。

ロボットレストラン公式サイト
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php

ロボットレストランの広報担当者によると、「日本のテレビの地方局に出させていただいこともありましたが、日本ではまだうちの認知度が低いと感じた」そうです。

でもこの日本のメディアの不感症な感じ、よくわかるんです。ロボットレストランの面白さをどう理解していいかわからなかったのでしょう。

それは彼らが外国を旅する人の気持ちを理解していなかったからだと思います。

それはこういうことです。アジアのナイトライフには、バンコクやマニラにあるようなお色気たっぷり、乱痴気騒ぎが付き物です。その世界は、欧米メディアの記者だってよくご存知のはず。しかし、いまの東京にはそういう見世物的な空間が意外に少なかった(外国人が気軽にアクセスできる場所という意味です)。

旅に出ると、人は非日常に惹かれます。だから、ふだんはそんないかがわしい場所に行かないような人でもゴーゴーバーに繰り出すものです。

ロボットレストランはまさにそんな非日常の世界でしたから、欧米客は一斉に足を運んだのです。確かに露出は激しいけど、ニッポンの女の子はどこか幼さも感じられて、セクシーさもきつくない。カップルで訪れた欧米の女性もなんだか許せる気がしたのではないでしょうか。

大澤さんは言います。「なぜ歌舞伎町にオープンしたかというと、日本の疲れたサラリーマンを私たちのダンスで元気づけよう」と。でも、ちょっと内容がぶっ飛び過ぎていたのです。だから、サラリーマンにはウケなかったものの、非日常を求めていた欧米客にウケたのです。

店の外では、欧米客がチケット売り場に並ぶ姿が見られますが、まるでバンコクのパッポン通りのようではないですか。
b0235153_22274666.jpg
b0235153_22275477.jpg
b0235153_2228370.jpg

今回、ロボットレストランを訪ねて思ったのは、西新宿の焼肉屋『六歌仙』と似ているなあということです。タイ人観光客に大人気の店です。似ているというのは、この店もまったく外国人受けを考えておらず、自らの正しいと信じる道を歩んでいて、それを評価した外国客の口コミで人気となったことです。

訪日外客の誘致も、このあたりにひとつのヒントがあるのかもしれません。

最後に、ロボットレストランの宣伝カーを紹介しましょう。ぼくも新宿3丁目界隈で、この宣伝カーを何度も目撃していました。今では都内のけっこういろんな場所で見られるそうです。2体の「ロボコ」が街を凱旋するきてれつぶりがいいですね。
b0235153_2229378.jpg

b0235153_22294072.jpg

そして、㈱ジョセンミュージアム取締役社長兼ダンスチーム女戦(josen)のリーダーで、ショーの演出・構成を手がける大澤奈美恵さんのここだけの個人情報。出身は埼玉県で、前職はアパレルショップで働いていたそうです。とても可憐なニッポン女子です。
b0235153_2230813.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-16 11:32 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 11月 15日

歌舞伎町の「ロボットレストラン」はなぜ外国客であふれているのか?

10月中旬、インバウンド(訪日外国人旅行)サイト「やまとごころ.jp」の仕事で、新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」を取材しました。とても面白いスポットだったので、以下その記事を採録します。

やまとごころ.jp「ロボットレストラン」インタビュー
http://www.yamatogokoro.jp/inbound-interview/2013/index06.html
b0235153_15195224.jpg

新宿歌舞伎町に、毎夜外国客であふれる秘密のレストランがある。キュートなニッポン女子ダンサーチーム《女戦~ジョセン~》と巨大アンドロイドによるダンスショーが楽しめる「ロボットレストラン」だ。2013年9月現在、延べ6万9000人の来場者の多くは欧米からの観光客。なぜこの異次元アミューズメントレストランにこれほど多くの外国客が夜毎足を運ぶのか。ダンサーでもある社長の大澤奈美恵氏に話を聞いた。

――ロボットレストランのショーのコンセプトを教えてください。

巨大ロボットと女性ダンサーによる、世界でもオンリーワンのダンスショーをお楽しみいただけます。当レストランにはふたつの顔があります。ひとつはロボットで、高さ3.4mの巨大女性アンドロイド=通称『ロボコ』や、アメリカからやってきたロボット『KING ROBOTA』、小型のロボットダンサーなどがいます。もうひとつが総勢30名のダンサーチーム『女戦~ジョセン~』です。彼女たちは和太鼓を打ち鳴らし、異次元空間を行き交いながら、戦車や戦闘機に乗ってロボットと一緒にダンスパフォーマンスを繰り広げます。
b0235153_15243653.jpg
b0235153_1524171.jpg

日本人のみならず、海外からも多くのお客様が訪れています。著名人では、『バットマン』のティム・バートン監督や『スター・トレック』のJ.Jエイブラムス監督、『パシフィック・リム』のギレルモ・デルトロ監督らがご来店いただいています。2013年9月現在、来店者数は延べ6万9000人になりました。
b0235153_15211186.jpg

ショーの構成や演出は、私自身で担当しています。「日本一の歓楽街であるはずの歌舞伎町もいまやシャッター通りになってしまった。強くて美しい女性が世界を元気にしなくては!」というのがコンセプトです。そこになぜロボットかというと、近未来のイメージを打ち出したかったからです。女性ダンサーと一緒にロボットが踊って見せたら面白いじゃないですか。世界中探しても「ここだけにしかないもの」を創りたいと考えていたのです。
b0235153_15212599.jpg

約1時間のショーにお弁当とソフトドリンク付きで料金は5000円です。アルコールなどのドリンクは追加注文できます。ショーは1日3回。その前後は、ロボットや女の子のウエイトレスのいる待合室でおくつろぎになれます。店内の装飾は、スタッフ自らがおもしろいというものを海外で見つけて買い付けました。店内のメンテナンスや営業、広報もすべて自社で行っています。
b0235153_15214655.jpg

――お客さんの反応、楽しみ方はどうですか?

ショーがはじまると、みなさんノリノリです。海外のお客様は比率でいうと欧米の方が多く、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアの方たちがメインですが、盛り上がり方がアジアのお客様と全然違います。それに便乗して日本人も盛り上がってくれます。日本人のお客様は都内の方が多いように思います。
b0235153_1522673.jpg
b0235153_15224662.jpg

東京のナイトライフにはこういうショーが楽しめる場は少ないのかもしれません。大型アミューズメントショーレストランとしては、六本木に明治時代の遊郭をイメージした『香和』やニューハーフショーの『金魚』がありますが、うちとはコンセプトが少し違います。

――外国人客はいつごろからどうやって来るようになったのですか?

オープンは2012年7月18日ですが、実は海外のお客様はわりとすぐにいらっしゃいました。正直なところ、海外の方がこんなにたくさん来るとは、まったく想定していませんでした。

日本のメディアより先に海外のメディアが大勢取材にいらっしゃったんです。最初に来たのは、ドイツやアメリカ、イギリスのメディアでした。オープン当初は日本の雑誌にも紹介されたのですが、来店してきたのは、むしろ欧米のお客様だったんです。

欧米メディアの一部はネットでも読めますが、「ブレードランナー」とか「オースティン・パワーズ(007シリーズのパロディ)」のfembotsのようにハリウッドSF映画のキャラクターにうちのショーのイメージを重ねたものや、ダンサーのセクシーさを強調するものなどいろいろです。

外国のお客様はたいてい口コミでうちを知るようです。おそらくメディアの記事やネットを見て、ホテルのコンシェルジュに場所を聞いてご来店されるのでしょう。弊社では女性ロボットの『ロボコ』をトラックに載せて都内を走らせ宣伝しているのですが、そのトラックを見て「なんだろう?」と思われて、あとを付いてきて来店されたというお客様もいました。

ありがたいのは、来店されたお客様の多くがFacebookに書き込んだり、トリップアドバイザーに載せてくださったりして、知らず知らずに知名度が広がっていったことです。いまは空港や観光案内所などに置かれている英語のフリーペーパーに広告を出して、それを手に取られたお客様が……、といった流れでご来店いただいています。
b0235153_15231378.jpg

昨年11月、うちに来店された観光庁の方から新宿のPRビデオの制作のお仕事をいただき、ワンシーンで当レストランを紹介させていただいたこともあります。
.
JAPAN VIDEOS Shinjuku
http://www.visitjapan.jp/en/m/player/?video=72

――今後の展望はどうお考えですか?

すべてが“後付け”なんです(笑)。オープン前には外国人向けのPRをするなんて考えていませんでしたから。

今後の展望ということですが、リピーターのお客様に喜んでもらえるよう、ショーの内容を不定期ですが、新しいロボットを登場させたり、ワイヤーアクションを取り入れたりと、どんどん進化させていくつもりです。

このショーを国内外に関わらず、どこかに出店させたり、輸出したりという考えはありません。実は、海外で出店しないかという話を持ちかけられたことはあります。でも、「絶対ここ(歌舞伎町)でしかやらない。支店もいっさい出す考えはない」とはっきりお断りしています。私たちの自慢は「ここだけにしかないもの」をやるということだからです。

自信を持っていいたいのですが、今日ショーをご覧になったら、絶対お友達に紹介したくなると思いますよ。

「ロボットレストラン」
東京都新宿区歌舞伎町1‐7‐1 新宿ロボットビルB2F
TEL:03-3200-5500 営業:18:00〜23:00(予約9:00〜22:00)
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top.php
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

他にも興味深いエピソードが盛りだくさんの「ロボットレストラン」。ここで触れられなかったこぼれ話は次回紹介します。

※この1年後、ロボットレストランを再訪しました。その様子は、以下のレポートで。

1年ぶりに再訪。ロボットレストランの客層が変わった!?
http://inbound.exblog.jp/23664029/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-11-15 15:24 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2013年 10月 17日

【ホテル・飲食関係者必読】タイ人客はタバコがNGです

8月にタイの国際トラベルフェア(TITF)を視察した話を以前書きましたが、そのときぼくはHISバンコクの支店長にインタビューしています。

その内容については、後日刊行される書籍の中で記事にしている関係で、まだブログには出せないのですが、同社の企業戦略に関わらない、タイの消費者の特性に関する部分については、興味深い指摘が多く含まれていたので、ここに公開したいと思います。

お話いただいたのは、中村謙志支店長です。日々ローカル客と向き合いながら営業活動に取り組んでいる方の貴重な提言です。
b0235153_9141887.jpg

b0235153_9144459.jpg

――先日、バンコクの旗艦店であるトラベルワンダーランドを訪ねましたが、日本と同じような店舗で、旅行商品のパンフレットがたくさん置かれていましたね。

「タイでは、日本のような旅行パンフレットやチラシはそれほど流通していません。しかし、タイ人はパンフレットを読むのが大好きです」

――市内を走る高架鉄道のBTSでも地下鉄でも、東京と同じように乗客はみんなスマホに夢中。いまさら紙のパンフレットなんですか。

「確かに、いまの時代、電子化すべきだと思いがちですが、やはり紙は有効なんです。日本と違ってタイは海外旅行の情報が紙の時代を経ずに、いきなり電子化から始まった。だから、ツアーの内容がぎっしり書き込まれたパンフレットをみると、手に取りたくなるところがあるようです。なにしろこちらでつくるツアーパンフレットのアイテナリー(旅行日程の説明)はすごく細かい。日本のパンフレットより詳しいくらいです」

――どんなことが書かれているのですか。

「どこに行って、何を観て、何を食べて、すべて書いてあります。観光地についても、バスを降りて歩くのか、車窓から眺めるだけなのか。とくに食事の内容は重要です。どんな料理が食べられるのか、詳しく書かないとタイのお客さまは納得しないんです」
b0235153_9174188.jpg
b0235153_9174784.jpg

この話を聞きながら、紙に書かれた内容を信用せず、口コミに頼ろうとする中国の消費者との違いにあらためて気が付きました。中国の消費者は、いまや過去となった社会主義時代の経験からくるのか、もともと他人を信じない社会なのか、紙に書かれたものは最初から疑ってかかるところがあります(出版物は基本的にお上が検閲したもので、情報管理されている社会だったからです。これが彼らの著作権意識の低さにもつながっています)。

だから、日本の旅行会社がつくりあげてきたパッケージツアーを軸としたビジネスモデル(そのベースは年2回改訂され、新商品が掲載されるパンフレットです)がまったく通用しません。紙(情報誌)の時代を経ずに、いきなりネット時代に突入したところは、タイも中国も同じですが、基本的に(いい意味で)パンフレットに書かれた内容を疑うことを知らない(考えてもみない)のが、日本とタイの消費者に共通するところだといえそうです。だから、タイではビジネスがやりやすいといわれるのでしょう。

――タイのお客さんは日本旅行に何を望んでいるのでしょうか?

「これについては、私は日本人ですから、どんなに話を聞いても本当のところはわかりません。所詮推測にすぎない。だから、実際のツアーにもなるべく同行するようにしています。タイのお客さまが日本に来て、何を観て喜んでいるのか。何をおいしいというのか。どんな景色をバックに写真を撮りたがるのか……。勘が鈍るのがいちばんまずい。お客さまにも自分のことを明かすんです。お客さまもトップの人間が一緒だということで、安心なさるみたいです」

――ツアー客の方とどんなお話をされるのですか。

「何か感じたこと、困ったことがあったら話してくださいね、というと、これがよかった。これが気に入らない。けっこう話してくださいます。

なかでも、日本の関係者にいちばんわかってほしいのは、タイ人はタバコが嫌いということです。意外に知られていないことかもしれませんが、彼らは基本的にタバコを吸いません。一部の上流階級が吸うことはありますが。ところが、日本のホテルの部屋はとにかくタバコ臭い。タイ人はそう感じています。

だから、ホテルのアサイン(予約手配)は禁煙ルームがmustです。タバコが吸えるレストランも選びません。隣にいる日本人にタバコを吸われるのが嫌でしょうがない。お酒もあまり飲みません。夕食でビールを飲む人も、そんなにいません。皆さん、おとなしく食事をする。大声を出したりしない。中国や韓国の人たちとは違うんです。海外に出かけてまで、飲んで騒いでコミュニケーションするということはないんです。

日本人はアジア人ということで、一括りしてしまいがちですが、もしタイのマーケットを本格的にやりたいなら、それを知って対応していただきたいですね。タバコの問題は、タイ人の受け入れにとってとても大切なことです」

――それは知りませんでした。確かに、タイのレストランでタバコを吸っている人を見ることはほとんどありませんね。

「彼らは世界における自分たちの国や立場のことをよく自覚しています。世界の中心だなんて思っていない。控えめなんです。しかし、だからといって物事にあまりこだわらない(いい意味で鷹揚な)中国客と同じように扱われると傷つきます。

温泉旅館に泊まりたいというリクエストが多いですが、タイ人はシャイなので、人前で裸になりたがりません。最近は、慣れてきて共同浴場に裸で入る人も増えてきましたが、基本はバス付の部屋を好みます。共同風呂は足だけちょこっと浸かるか、人がいない時間を見計らってこっそり入るとか。タイは中国や韓国のようなサウナがある社会ではないんです」

――タイの人たちはとても繊細なんですね。食事についてはどうですか。

「これがいちばん重要です。タイ人は日本食が大好きで、滞在中すべて日本食でも構いません。よく日本人の海外ツアーだと日本食を入れたりしますが、タイ料理店に案内することはまずありません。

気をつけないといけないのは、生ものです。タイにも日本の寿司屋は増えていますが、出回っているネタは限られています。せいぜいサーモンやマグロ、イカ、しめ鯖。それ以外の、たとえば生だこや白身の魚は食べたがりません。初めて日本ツアーに参加したグループなどでは、おすしのランチのほとんどを残すということもありました。こちらがいいと思って高級なネタを出しても、それがいいとは限らない」

――だとしたら、事前に食事の中身はレストランと密に打ち合わせておかないと、お互い嫌な気分になってしまいますね。

「それからタイ人の中には牛肉はダメだという人がまだ多い。タイでは水牛が耕作に使われ、食べるものではないという観念があるようです。そのせいか、おいしい牛肉は市場に出回っていません。ところが、最近『和牛』はおいしい、ということになってきた。ビーフと『和牛』は別物なんです(笑)」

――観光地ではどんな様子なんですか?

「とにかく写真を撮るのが好きですね。お寺と神社の違いがどこまでわかっているのかわかりませんが、日本は自分たちと同じ仏教の国だと思っているので、熱心にお参りしています。タイの仏像は黄金色で日本とはまったく違いますが、法隆寺のような古い寺院に行くと、歴史の重みを感じるようです。アユタヤやスコタイに比べると、法隆寺はずっと古いことに気づかされますからね。

そして、周辺のお土産屋さんでいろいろ買いまくります。お菓子だけではなく、記念品のようなものも買っていかれます」
b0235153_9151099.jpg

――同じ仏教の国ということで、鎌倉や奈良などが定番の訪問地になるのは理解できますが、それ以外にはどんなところに行きたいのでしょうか。

「テレビの旅番組の影響が大きいと思います。いい例が、白川郷や高山です。あと富良野のラベンダー、岩国の錦帯橋、瀬戸内海のしまなみ街道、指宿温泉の砂蒸し風呂。これらはすべて旅番組で火がつきました。いきなり局地的な人気が起こるんです」

――だとすれば、タイ人の誘客にとってメディア戦略は有効ですね。ビザも不要となったことで、今後は個人旅行者も増えていくのでしょうね。

「確かに、個人客は増えるでしょう。ただし、ビザの障害がないから好きなところに行けるといっても、自分たちはタイ語しかわからないという人も多いので、ツアー客も増えていくと思います。団体ツアーの需要は、母国語の強い(=英語が通じない)国には残ります。日本はまさにそうですから」

タイの訪日旅行市場について、これまでぼくは多くの方に話を聞いてきましたが、ローカルの消費者にいちばん近い場所にいる方でなければわからないことはたくさんあります。それにしても、タバコの話は盲点でした。

ちなみに、HISタイについては、以下を参照。

「HISタイの訪日旅行の取り組みは要注目です」
「HIS、世界企業へ離陸 東南アジアで消費者開拓」【2013年上半期④HIS】
b0235153_919593.jpg

[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-10-17 20:18 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2013年 10月 14日

2013年版 北朝鮮のグルメ~5泊6日食事14回のすべて【後編】

北朝鮮5泊6日、計14回の食事の内容の続きです(→前編)。

8)4日目の朝食(金剛山ホテルレストラン)
金剛山ホテルの朝食はブッフェではなく、すべての料理がテーブルに運ばれてきます。鶏肉料理もそうですし、とぐろを巻いたマントウがあるところなど、いかにも中国風の朝食です。雑穀のお粥もありました。
b0235153_0134489.jpg

9)4日目の昼食(金剛山の麓のモンラン館)
この日は朝早く起き、金剛山登山に出かけたので、下山した頃にはすっかりお腹が空いていました。料理は焼き肉です。牛と豚と鴨肉から選べます。ブルーの制服を着た女の子が肉を焼いてくれました。渓流を眺めながらの食事は気分がいいです。最後にビビンバが出てくるところなど、かつて韓国客が多くこの地を訪れた名残でしょうか。今回朝鮮でビビンバを食べたのはこのときだけでした。
b0235153_0141152.jpg
b0235153_0142217.jpg
b0235153_0145180.jpg
b0235153_015463.jpg
b0235153_0151456.jpg

10)4日目の夕食(外金剛ホテル中華レストラン)
韓国が投資した現代的な外金剛ホテルの中華料理店での夕食。中国東北料理風の野菜の和え物の前菜、豚肉&鶏肉料理、ホタテのグラタン風、チャーハンなど、中朝洋折衷とでもいえばいいのか。あるいは、中韓洋折衷なのか。ヨーロッパ人客たちを少し意識したメニューなのかもしれません。
b0235153_0153681.jpg
b0235153_0154517.jpg
b0235153_0155551.jpg
b0235153_016540.jpg

11)5日目の朝食(金剛山ホテルレストラン)
前日とだいたい同じでした。ポテトをパイのように焼き上げた、ちょっと凝った西洋風の一品もありました。
b0235153_0164870.jpg
b0235153_029467.jpg

b0235153_0192559.jpg

12)5日目の昼食(高麗ホテルレストラン)
バスで長時間かけて平壌に戻り、少し遅めの昼食です。おなじみのニシンの煮つけや鶏団子、野菜炒めなど。
b0235153_0194415.jpg

13)5日目の夕食(万寿台創作社の経営するレストラン)
この日の夕食は、北朝鮮が海外向けに朝鮮絵画や陶器などの美術品を制作販売している万寿台創作社(→「北京の朝鮮万寿台創作社美術館のアーティストたち」)の経営するレストランへ。
b0235153_020323.jpg

料理は最後の日ということで、刺身の舟盛りが出てきました。朝鮮名物というジャガイモの皮の黒い餃子もあります。見た目はいちばん豪華でした。ただ刺身は冷凍もので、口の中でしゃりしゃりしました。これは日本人客だけのサービスだったとあとで聞きました。朝鮮産の瓶詰マッコリもあり、1本10元相当でした。
b0235153_0204828.jpg

店の前にはチマチョゴリの美人さんもいて、美女軍団の歌のショーもありました。
b0235153_0211441.jpg
b0235153_0212352.jpg

b0235153_0332442.jpg

【動画】平壌万寿台創作社レストランのショー(2013年8月)

14))6日目の朝食(高麗ホテルレストラン)
おなじみのブッフェです。朝鮮では中国でほとんど見かけない揚げ物がけっこう出てきます。炒めものの調理法も、中華より日本食に近い気がします。もちろん、中華料理もたくさん出てくるのですが、基本的に中国とは調理法や味の好みが違うように思います。
b0235153_0215779.jpg

今回、朝鮮でいろんな料理を供されたわけですが、その味の水準はともかく、内容の中朝洋折衷ぶりは、もしかしたら参加者の国籍比率と微妙にシンクロしているのかもしれないと、こうして写真を並べてみて思いました。参加者の人数のうち、7割5分が中国本土、2割が欧米系、5分が日本人でした。これは実際の北朝鮮を訪問する外国人観光客の比率とほぼ近いといえそうです。料理の内容も、その比率に合わせるのは、外国客へのもてなしという観点でみれば、ごく自然なことでしょう。

一点、残念だったことがあります。以前このブログで北朝鮮の発行する旅行ガイドブックの20年間の内容の変遷について書いたことがありますが(→「2012年版北朝鮮旅行ガイドは20年前に比べこんなに変わっていた」 )、その最新版には平壌市内の21軒のレストランが紹介してありました。なかにはイタリア人経営の本場イタリアンがあると書いてあったので(実際、現地ガイドの話では平壌にはイタリアンが3軒あるそうです)、ぜひ行きたいと思ってリクエストしたのですが、予定に入っていないという理由で却下されてしまいました。

なんでもヨーロッパの多くの国が大使館を置く平壌では、各国の外交官たちが数少ない西洋レストランを利用したがるため、直前ではなかなか予約が入らないそうです。少なくともガイドからはそう言い訳されました。専用のピザの焼き釜もあるそうですから、一度は平壌でワインとピザを味わってみたいものです。

※その他、いまどきの北朝鮮事情については「朝鮮観光のしおり」をご覧ください。

なお、2014年版 北朝鮮のグルメ5泊6日のすべて【前編】をアップしました。
http://inbound.exblog.jp/23948946/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2013-10-14 00:22 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)