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2017年 06月 02日

民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?

昨日、民泊新法が衆院で可決されました。

「民泊」解禁法案が衆院通過 全国で可能に(日本経済新聞2017/6/1)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H4L_R00C17A6EAF000/

住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案が1日午後の衆院本会議で、与党と民進党、日本維新の会などの賛成多数で可決した。家主に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録をそれぞれ義務付け、誰でも民泊を営めるようにする。参院での審議を経て今国会で成立する見通し。早ければ2018年1月にも施行する。

民泊は急増する訪日外国人の受け皿になっているが、近隣トラブルなどの問題が相次ぎルール作りが課題になっていた。通常は家主が許可を得ずに有料で繰り返し宿泊客を受け入れると旅館業法に違反する。国家戦略特区の制度を使って一部の自治体で旅館業法の適用が除外されているが、これを全国的に解禁する。

法案では営業日数は年間180日以内と定め、自治体が条例で日数を短縮できる規定も盛り込んだ。届け出を怠るなど法令に違反すると業務停止命令や事業廃止命令を受け、従わない場合は6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。


5月下旬に開催されたバケーションレンタルexpoの会場で、存在感を放っていたのは中国企業であったことは、すでに報告したとおりです。日本国内で開かれた商談会なので、正直かなり驚きました。率直に言って、民泊新法が施行された後、彼らはやっていけるのだろうか、と思ったからです。

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?
http://inbound.exblog.jp/26889680/
民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/

今回は、彼ら中国企業の関係者が会場でどんな発言をしていたかについて簡単に報告します。

午前11時から大セミナー会場で行われたのは、中国の大手民泊サイト「途家」役員の杜海COOのスピーチでした。北京清華大学卒でアメリカ留学組らしく、英語によるスピーチを強行する姿には苦笑してしまいましたが(いったい誰に聞かせるつもりだったのだろう?)、途家がExpediaグループの傘下となった背景には、彼のような人物がいたからかもしれません。
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途家
http://content.tujia.com/Japan/Index.htm
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スピーチの中で、彼は途家の右肩上がりの成長を淡々と語ります。2016年末には中国国内と海外の登録物件数が50万件を超えたそうです。日本国内の民泊事業では、市場のニーズが高い東京や大阪、京都、北海道、沖縄に重点を置くとしています。

さらに今年4月、中国富裕層に対する会員制ホテルならぬ、「会員制民泊サービス」(?)のためのプラットフォームVA Shareを立ち上げた話をしていました。会員を集め、国内外の賃貸物件や別荘に投資をし、民泊として使いながら資産運用にも使うということのようです。「所有権をシェアすることでコストを削減」「(会員は)毎年1週間の宿泊権利を獲得」「ホテル予約より50%安い」と話していますが、なんだか日本のバブル期を思い出します。
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以下の中国のネット記事によると「現在、国内外のシェア物件は800に達し、2年以内に6000まで増加する計画」だとか。

途家宣布推出共享度假交换平台VaShare(中国经济新闻网2017-04-17)
http://www.cet.com.cn/itpd/hlw/1916656.shtml
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スピーチが終わると、国内民泊サイトSTAY JAPAN(http://stayjapan.com/)を運営する株式会社百戦錬磨代表取締役社長との対談があり、杜海COOは日本における民泊ビジネスを「合法的に行うこと」をやたらと強調していました。

もうひとりの登壇者は、同じく中国民泊サイト「住百家」の日本法人の夏川峰社長です。彼は20年前に来日したハルビン出身の中国系日本人です。
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住百家 http://www.zhubaijia.com/

彼によると、住百家の設立は2012年で、現在世界70カ国、800都市で38万件の民泊登録物件があるそうです。ところが、彼の話はあまりに抽象的すぎるうえ、日本人でありながら中国語でスピーチしたものを同時通訳するという不可解なスタイルを採用したせいか、何が言いたいのか、よくわかりませんでした。

バケーションレンタルEXPO関係者の発信する記事によると、住百家で海外事業部マネジャーを務めるChoco Zhang氏は「日本には現在2万件ほど物件が登録されており、東京にはマンションが、京都では一軒家などが多く登録されている。住百家上で一番予約が多いのは日本なので、日本市場を重点的に開拓していく」のだそうです。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

同じ記事には、中国系民泊サイト「小猪」の副社長を務めるMichael Sun氏のコメントも載っています。「今日は日本の民泊ホストや民泊運用代行会社、ホールセラーらとより多くのパートナーシップや協力関係を構築するためにやってきた。日本は中国で最も人気がある観光地。我々は日本市場に進出してまだ4ヶ月で物件数も500件だが、今後は5,000件を目指す」とか。

小猪 http://www.xiaozhu.com/

我々の知らないうちに、中国民泊サイトは日本国内の登録物件をこんなに増やしていたのでした。

日経では、中国民泊サイトの成長について、半年以上前のことですが、次のような記事を配信しています。

中国民泊「途家」、エアビーを猛追(日本経済新聞2016/9/7)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX02H23_W6A900C1FFE000/

一般住宅の空室を有料で貸し出す「民泊」の仲介。世界の先頭を走る米エアビーアンドビーの強力な競争相手になりうる中国企業が台頭してきた。途家網(トゥージア)は景気減速下でも衰えない中国人の旅行熱を取り込み、創業から5年で40万を超える物件を抱えるまでに成長した。年1億2千万人を突破した中国人海外旅行客を巡り、アジアでは米中両巨頭のつばぜり合いも始まった。

■物件40万件超

「上海ディズニーに近く、全室テレビとエアコンを完備」。途家のサイトでは観光地やビジネス街の名前から、条件の良さをアピールする物件が簡単に見つかる。上海ディズニーリゾートに近い個人宅は広さ160平方メートルで最大6人が泊まれる。1泊約500元(約8千円)。周辺のホテルで複数の部屋を借りる場合の数分の1で済む。

途家は個人宅のほかにもアパートや古民家、別荘など国内外の宿泊施設を仲介する。2011年の創業で国内外の物件数は43万件。エアビーアンドビーの5分の1の規模だ。中国人の旅行ニーズの多様化に伴い、高級物件にも取り組む。

3月、シンガポールの不動産大手、キャピタランド傘下のアスコットと提携。新ブランド「トゥージア・サマーセット」のアパートを年内に計6棟、2千室を新設する計画で、すでに4月にリゾート地の中国海南島で開業した。世界で高級アパートを運営するアスコットと高品質なサービスを提供し、「中国の中間層を取り込む」と途家の羅軍(ジャスティン・ルオ)共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は力を込める。

急成長を支えるのは、中国人の巨大な旅行需要だ。15年は国内旅行者が40億人、海外旅行者は1億2千万人を突破。国内旅行収入は3兆4200億元(約52兆円)に達する。大人数で旅行する中国人にとって戸建てや集合住宅を貸す民泊は比較的安く、利用しやすい。

■自社管理強み 

中国では近年の不動産ブーム過熱で空き部屋が急増。有効活用先を探すオーナーが増えた。途家は中国の不動産最大手の万科企業と提携するなどして貸主も取り込む。

エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応。「欧米人オーナーは自分で管理できるが、中国人オーナーはそうはいかない」(羅軍CEO)

8月には1日の宿泊予約数が5万6千件と過去最高を記録。国内市場を盤石にした途家が次に狙うのは、中国人の海外旅行客だ。3月にはシンガポール同業で世界30万件の登録物件を持つ「ルーモラマ」と提携し、海外物件を拡充している。

「中国版エアビーアンドビー」と呼ばれるまでになった途家に立ちはだかるのは本家エアビーアンドビーだ。同社シンガポール法人でアジア太平洋地域を管轄するジュリアン・ペルサード地域代表は「16年6月時点で中国人利用者は前年比5倍に増えた」と話す。

同社は昨年、北京拠点を開設。7月からは中国の動画配信サイトを通じ、中国人旅行者の人気旅行先であるパリやバンコク、京都のイメージビデオを放送し始めた。

両社の勝負を左右する可能性があるのが手数料の違いだ。途家は貸主の収入から約12%の手数料を徴収するのに対し、エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収。物件数を増やす上ではエアビーアンドビーが優位に立つ。

中国で盤石の強さを誇る途家と、海外の物件数と知名度で先行するエアビーアンドビー。中国旅行者を巡る競争は熱を帯びていきそうだ。


途家に関する報道は他にもいくつかあります。

中国版AirbnbのTujia(途家)、Ctrip(携程)とQunar(去哪)のホームステイビジネスを買収(The Bridge2016.10.31)
http://thebridge.jp/2016/10/tujia-ctrip-and-qunar

中国の民泊大手「tujia(途家)」が日本の高級旅館700軒を掲載へ、「Relux」と業務提携(トラベルボイス2017年2月1日)
https://www.travelvoice.jp/20170201-82407

これら中国民泊サイトの日本進出や日本法人設立にはどんな背景があるのでしょうか。

その理由を普通に考えれば、来年1月に施行される民泊新法への対応だと思われます。これまでのような違法営業は許されなくなるからです。ところが、彼らの話を聞くかぎり、どうやらそういうことでもなさそうな気がしてきます。

日経の記事で興味深いのは「エアビーアンドビーなど他の民泊サイトは物件管理を貸主に委ねるが、途家は全て自社で管理する。ベッドメークや掃除のほか、備品の破損や盗難などのトラブルにも対応」という部分です。これはどういうこと? 彼らが日本法人を設立したのは、自社で民泊物件の管理をするということなのか?

「貸主の収入から約12%の手数料を徴収」(エアビーアンドビーは貸主から3%、借り手から6~12%を徴収)と途家の民泊ホストへの手数料が高いのも、そのせいだというのでしょうか?

疑問は尽きないのですが、今回これらの日本法人の担当者と知り合うことができたので、あらためて話を聞きいてみたいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 13:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 30日

タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと

中国の「越境白タク」の急増の背景には、同国での配車アプリサービスの普及があり、そのまま法を無視して日本国内で運用されている実情があります。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

では、日本ではどうして中国のようにライドシェアが進まないのでしょうか。

先日、タクシーを利用したとき、ライドシェアについて運転手とこんな話をしました。

-今年1月30日から東京23区と一部の地域で初乗り料金410円になりましたね。利用客は増えているのでしょうか。

「初乗り410円」きょうから 都心部のタクシー(朝日デジタル2017年1月30日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1W6G7RK1WUTIL056.html

「どうですかねえ。ちょい乗りができるということで、最寄り駅から自宅へ乗る人が増えたので、我々の仲間は駅で客を拾いたがらなくなった。近距離のお客さんばかりですからね」

-ライドシェアは進んでいるんでしょうか。都内のタクシーでもスマホ向けの配車アプリが導入されていますね。

「いま配車アプリサービスを提供しているのは大手4社がメイン。でも、運転手の間では評判よくないんです。アプリで予約した後、目の前に別のタクシーが来ると、そのまま乗っちゃう人が多いからです。我々が駆けつけたときには、すでにお客さんはいないというわけです。これでは、我々も慎重にならざるを得ない…」

なるほど。そりゃそうですね。なぜそんなことが起きてしまうのか。想像できます。

配車アプリは、スマホの地図上で場所を指定すると、近くを走行中のタクシーを検索し、自動的に指定場所まで配車するサービス。事前に登録をせずに支払いは従来通りに行う方法と、あらかじめ登録を行い、ネット決済を使って支払う方法を選択できます。混雑時にはなかなか配車されないこともありますが、アプリの評判は総じて高く、ビジネスマンを中心に利用者が増えているといいます。問題は、事前登録しないで利用する一般客のドタキャンというわけです。

シェアリング・エコノミーと自動運転技術の発達で、近い将来、タクシーが無人化・無料化することを見据えた取り組みで、外国人観光客の増加で最寄の駅からホテルまでといった短距離需要が拡大しているという追い風もあります。

タクシー大手4社
http://タクシー転職ガイド.com/taxi_4/

日本交通株式会社
大和自動車交通株式会社
帝都自動車交通株式会社
国際自動車株式会社(kmグループ)

最初に始めたのは日本交通株式会社で2011年1月から。スマートフォン向けタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」を提供し、同年12月にはマイクロソフトと共同で「全国タクシー配車」アプリをスタート。17年10月31日以降は、「日本交通タクシー配車」のサービスを終了し、「全国タクシー配車」に統合します。

「全国タクシー」アプリへの統合のお知らせ
https://www.nihon-kotsu.co.jp/taxi/use/iphone/

先ほどの運転手が語ってくれたように、一部のビジネス需要には貢献していると思われる日本の配車アプリサービスですが、中国のように、広く一般の利用が広がっているという実感はありませんし、そもそも運転手が乗り気でなさそう。

なぜそうなるのかといえば、やはり日本ではモバイル決済が中国ほど進んでいないからです。しくみはあっても、運転手が懸念する「ノーショー(予約したのに利用しない)」のケースが出てくるからです。

中国でライドシェアが普及した背景には、WeChatPayやアリペイといったモバイル決済の日常化があります。そのため、客は予約した以上、他の車を利用できなくなり、運転手は取りっぱぐれが起こらないからです。中国の事例に学ぶなら、普及のためには、利用者とドライバー双方にインセンティブが必要だということになります(ここらのやり方は中国のうまいところです)。

もうひとつの理由は、国内に相乗りを日常的に提供するような日本人ドライバーがどれほどいるかという話です。実は、中国でも同じで、白タクの大半はその都市の戸籍を持たない出稼ぎ外地人たちでした。日本で在日中国人が白タクをやるのと似た話です。すでに中国の一部の都市では外地人の白タクは違法となり、摘発も始まっています(ただし、中国では白タク自体は合法)。配車アプリ会社同士のサービス競争で過熱していた数年前のように、市内の至る場所にタクシーと白タクが走り回っていたという状況には、上海ですら再び戻るとは思えません。

日本の一般市民が街角でライドシェアを利用することが普及するには、相当数のドライバーの存在が必要で、時間はかかりそうです。もちろん、便利なサービスですから、今後ゆっくり進んでいくことは間違いないとしても。

そして、結局、日本のライドシェアがいちばん進んでいる領域が、中国の「越境白タク」というわけです。そこにニーズがあるからですが、おかしな話です。

では、日本の国内事情にふさわしいライドシェアのあり方とは何か。

ここでは、国内の日本人が利用するライドシェアのあり方と訪日外国人市場における運用を分けて考えたいと思います。これをごちゃまぜにして議論しようとするのは、現状では賢いとは思えません。

国内向けには、まず地方でのライドシェアを進めることでしょう。迅速に使える利便性を追求するというより、公共の足として普及させる取り組みは、各地で始まっているようです。もちろん、これは過疎地の住民のためだけでなく、地方に出かけたい外国人観光客の利便性を高めることにつながります。大都市圏はモバイル決済の普及を待ちつつ、無理なく進めるしかありません。

過疎地こそ、ライドシェア
http://タクシー転職ガイド.com/kasochi_rideshare/
世界的な配車サービス「ウーバー」は、日本の過疎地を救えるのか? 京都丹後町「ささえ合い交通」を取材した
https://www.travelvoice.jp/20161114-77067
なかとんべつライドシェア(相乗り)事業実証実験
http://www.town.nakatombetsu.hokkaido.jp/docs/2016081800017/

一方、訪日外国人向けのあるべきライドシェアを考えるためには、現状の違法状態を是正することから考えなければなりません。

この問題を、もうかれこれ40年以上見つめてきた人物に、訪日外国人の受け入れを担ってきた国内老舗ランドオペレーターの団体であるAISO(一般社団法人アジアインバウンド観光振興会)の王一仁会長がいます。

王会長は言います。「日本のインバウンド市場にはモグリの業者が多すぎる。なぜそうなるかといえば、日本にはインバウンドに関わる法律がないことだ。香港や中国では当たり前にある外国人観光客受け入れ事業に関する規則を定めた法律が、先進国といわれる日本にはなぜかない。

ルールがはっきりしていないから、グレーゾーンだらけになり、モグリの業者は好き放題に暗躍してしまうのだ。なぜ日本政府はルールをつくろうとしないのか。PRにはあんなにお金をかけるのに、いちばん肝心なことはやろうとしない。これでは本末転倒だし、いったい何のために訪日外国人の促進を進めているのか意味がわからない。これは私に限らず、海外の旅行業者はみんな呆れている。

問題なのは、モグリの業者ばかりのせいで、本来お金が落ちるべきところにお金が落ちてこないので、まじめなインバウンド事業者に正当な利益が回らず、モグリの業者や外国人の中だけでお金が回り、きちんと税金が納められることもない。そのせいで、一般の日本人も外国人観光客の恩恵を知らないでいる。外国人の訪日の恩恵は買い物だけにあるのではない。ルールがないことで、いちばん損しているのは日本社会だ」

日本にも観光立国推進法はありますが、ここには外国人観光客の受け入れを推進する目的や意気込みしか書かれていないといわれても仕方ありません。インバウンドビジネスは国内で行う事業であるにもかかわらず、他の産業界にあるような業界を健全に発展させるための原則やルールがない。だから、不法ガイドや違法民泊、白タクなどの参入を安易に許すことになっているというのが、王会長の主張なのです。

王会長は白タク問題を解消するためのこんな提案をしています。

「これは皮肉な言い方かもしれないが、白タク暗躍で見えてきたのは、中国人観光客の個人化にともなう移動ニーズの実態だ。これを駆逐するためにも、税金を使って彼らのための格安の足の手配を官民が協力して用意することはできないか。

いま地方へ外国人観光客を呼び込むのに最も効果的なのは、交通インフラの改善だ。ひとつの手段として、地方への外国人向けの無料バスを走らせたらどうか。もちろん、国内のバス会社に平等に共同でやらせればいい。こういうことに税金を使うほうが、PRに使うより意味があるのではないか」

「外国人向け無料バス」と聞いて、外国人優遇なんて言わないでください。その費用は、海外へのPR費を削って、相殺すればいいのです。

日本は、中国のように勝手にラインやインスタグラムを禁止するような無法な国ではないので、中国の配車アプリを国内で使えなくさせなくすることはできない以上、彼らの違法営業をやめさせるためには、空港での摘発強化に加え、市場のニーズに対応した代替サービスを提供することが必要になります。原則とルールを決めたら、違反する者をきちんと取り締まる。これが第一歩ですが、それだけでは不十分で、市場を動かすためのインセンティブを考えることを忘れてはいけないのです。

この種のリアルなニーズに即したサービスは、宣伝しなくてもSNSであっという間に海外に広まっていくことが考えられます。中国系の人たちは、利用者のインセンティブを直接引き出すやり方をよく知っています。我々も、もう少しそれに学ぶ必要がありそうです。

たとえば、中国配車アプリで定番となっている成田や羽田からの都心部へのワゴン車による送迎サービスで、現行に近い価格帯を実現させることはできないでしょうか(ちなみに、DingTAXI日本包車旅遊の場合、成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円)。

ただし、摘発を同時に進めない限り、配車アプリサービスは個人ドライバーのすることですから、利用客へのキャッシュバックなどで割引するなど、取り込みのための策は続くでしょう。そういう駆け引きをするのが中国人です。その一方で、中国では何事も当局は問答無用で摘発をするのが常ですから、彼らはそういう仕打ちに慣れています。もちろん、中国と同じようにやれという意味ではないですけれど。

乱暴に思えるかもしれませんが、こうしたことは長く外国人観光客を受け入れてきた欧米やアジアの国では常識です。日本人がまだ状況に慣れていないだけなのです。

※ところで、「越境白タク」といえば、その本家はuberといえます。本来はまずuberについて考えるべきところですが、実のところ、国内でどの程度の市場規模になっているのか、よくわかりません。

とはいえ、中国客に限らず、重いスーツケースを持ち、家族や子連れ、小グループで旅する多くの外国客にとって、uberは重宝するに違いないことは理解できます。土地勘がなくても使えるからです。今後の宿題にさせてください。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-30 11:31 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

中国系民泊サイトが続々出展「バケーションレンタルEXPO」って何?

先週土曜(5月27日)、新宿NSビルで「バケーションレンタルEXPO」が開催されました。
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バケーションレンタルEXPO
http://minpaku-expo.com/visitor/
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民泊事業を行っている、あるいはこれから行う個人事業者や法人を主なターゲットとした商談会です。主催者によると「3000名を超える人々が来場」「民泊仲介サイトや民泊運用代行会社、清掃代行会社、不動産会社、スマートロック、民泊IoT、民泊支援アプリなど民泊に関わる業種の事業者54社が出展」したといいます。
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同イベントを主催したのは、民泊に関わるあらゆる事業を手がけるメトロエンジン株式会社と株式会社オックスコンサルティングで、両社は情報サイトも運営しています。

メトロエンジン株式会社
http://airstair.jp/
株式会社オックスコンサルティング
http://min-paku.biz/
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確かに、会場は多くの人であふれていました。これだけ多くの外国人が日本を旅行する時代になり、彼らを泊めて趣味と実益を兼ねたビジネスができたら面白そう、と考える人たちの気持ちはよく理解できます。いまブームの民泊をこれから始めてみようという若いカップルやアパート経営に代わる資産運営を考えていそうな中高年の方たち、そしてそこかしこで中国語が聞かれたように、会場の中国人比率はかなり高い印象もありました。

イベントの概要は、主催者発表の以下の記事を参照していただくとして、会場で見たこと、感じたことを以下、思いつくまま報告します。

来場者3,000名超「バケーションレンタルEXPO」民泊事業者ら一堂に会する(MINPAKU.Biz ニュース編集部2017.05.29)
http://min-paku.biz/news/vr-expo.html

まずいちばん感じたのは、出展者をみると、いわゆるプラットフォーム系(マッチングサイト)に関しては、日本勢は惨敗で、中国系の民泊サイトの途家、自在客、住百家、小猪、AsiaYoが勢ぞろいしていたことです。会場の入口正面のメインブースの大半を占めていたのは、まぎれもなく彼らだったからです。
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途家 http://www.tujia.com/
自在客 http://www.zizaike.com/
住百家 http://www.zhubaijia.com/
小猪 http://www.xiaozhu.com/
AsiaYo  https://asiayo.com/

※これら中国系民泊サイトについては以下参照。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

中国系以外はエクスペディア傘下のHomeAwayとホテル予約サイトのAgodaというわけで、日本勢は出展すらしていなかったのです。
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※HomeAwayについては、以下参照。
バケーションレンタルって何?
http://inbound.exblog.jp/26802073/

では、日本企業はどのような業種が出展していたかというと、民泊運用代行会社や清掃代行会社、行政書士などの皆さんです。
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↑民泊用の不動産を提供する「部屋バル」 http://ta-japan.com/
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↑民泊用の清掃を代行する「ハウスケア」 https://housecare.tokyo/
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↑民泊メディアを運営し、支援も行う「メトロエンジン株式会社」では、外国人ゲストとの多言語化サービスも行うhttp://airstair.jp/

昨年、Airbnbは370万件ものマッチングを発表したように、いま国内の民泊を支援するビジネスが必要とされていることはわかるのですが、日本勢は脇役ばかりという印象もぬぐえません。

いったい日本の民泊はどうなっているのか。今年施行されるという民泊新法によって、この市場はどう変わっていくのか。次回以降、探っていきたいと思います。

民泊新法でビジネスチャンスが拡大は大ウソ! by行政書士の戸川大冊氏
http://inbound.exblog.jp/26893431/
「180日ルール」の新法をふまえた「合法」的な民泊としての「マンスリー+民泊」って?
http://inbound.exblog.jp/26893756/
民泊新法、衆院可決。中国民泊サイトは「合法」「ホテルより安い」「物件は自社管理」と言うけど、大丈夫?
http://inbound.exblog.jp/26898006/
ゲストとの鍵の受け渡しが不要となるスマートロックとは?
http://inbound.exblog.jp/26898163/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 20:12 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 28日

ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は無理?

国際社会が注視するなか、今月18日、万景峰号の北朝鮮の羅津港とロシアのウラジオストク港間の定期運航が始まりました。そして、今週25日(木)、2度目のウラジオストク入港がありました。
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しかし、乗客はほんのわずかな人たちだったようです。
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現地関係者によると「羅津港から乗船したロシア客に話を聞いたところ、船内ではレストランやショップが営業していたが、乗客は10名ほどだった」とのこと。
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翌26日(金)夜の羅津港に向けた出港時も「乗客は7~8名で、中国の旅行会社の関係者と若い個人旅行者1名、ロシア人3名、朝鮮人2名ほど。ただでさえウラジオストク港の入管手続きは遅いが、数名の外国人に対して1時間半もかかり、予定では20時発が、結局は21時30分に出港した」といいます。
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↑万景峰号の背後にウラジオストク港に架かる金角橋のネオンが見えます
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↑ウラジオストクを出港する万景峰号

こんなに少ない乗客では、とても定期運航どころではないのではないか。それが率直な印象です。

ところで、前回、中国で万景峰号を利用したロシア・北朝鮮の周遊ツアーが販売されていると書きました。

現地関係者から入手した同ツアーのパンフレットを紹介します。
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「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」です。

これが日程です。
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初日朝7時に延吉集合。バスでロシア国境の町・琿春へ。ロシアのイミグレーションを抜け、一路ウラジオストクへ。翌日は、市内観光。3日目も夕方まで市内観光で、2012年のAPEC会場になったルースキー島などを訪ね、8時に万景峰号乗船。翌朝6時に北朝鮮の羅津港に到着。北朝鮮の経済貿易特区である羅先を市内観光し、午後には中国へ出国。夕方までにはバスで延吉に戻るというものです。

ちなみにツアー料金は、万景峰号の船室のランクによって違います。5月発については、以下のとおり(上段/下段は2段ベッドのこと)。

8人部屋 上段 1880元 下段1930元
6人部屋 上段 1980元 下段2030元
4人部屋 上段 2080元 下段2130元
ツイン 2230元
シングル 2330元

みやげ物店からの売上に対するキックバックで費用を補填するおなじみの中国式ビジネス慣行により、驚くほど安価なツアーになっています。そのため、参加費用は3万円からと安いのに、オプションは別料金で、ウラジオストク港の1時間のボートクルーズ代400元(6500円)、ロシア民族舞踊のディナーショー500元(8200円)、ロシアのタラバガニ料理500元(8200円)など、暴利をむさぼるしくみです。

※ちなみにウラジオストク港のボートクルーズの料金は、個人で行けば1時間700ルーブル(1400円)です。いかに中国の旅行会社がボッタクリしているかわかるでしょう。
http://urajio.com/item/0559

この料金表からわかるのは、このツアーのコストの内訳です。前回、万景峰号の片道運賃は「600元から750元」であることを伝えましたが、この運賃額を差し引いた金額は、これまで中国東北三省の旅行会社が催行してきたウラジオストク2泊3日ツアー料金の1200元相当します。つまり、「万景峰号に乗る中国発ロシア・北朝鮮3ヵ国周遊3泊4日の旅」は、従来のウラジオ2泊3日に万景峰号クルーズと朝鮮観光を加えたものだといえます。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から
http://inbound.exblog.jp/26886405/
b0235153_11531410.jpg

ツアーパンフレットには、旅行会社がツアーコストの原資を得るために立ち寄る免税店が記載されています。ウラジオストク市内にあるロシア産の紫金の宝飾店、ロシア産のチョコレートやウォッカ、タバコをなどを売る免税店、万景峰号が入港する国際ターミナルの免税店の3つです。2013年に施行された新旅游法により、中国ではツアーで立ち寄る免税店についてはパンフレットに情報公開することが義務付けられています。

一方、羅先には、いわゆる免税店はありませんが、こちらでも北朝鮮産の海産物などを法外な価格で売る店に連れていかれます。なぜなら、先ほどのツアー料金からみると、中国の旅行会社は朝鮮側に支払うコストに見合う金額を旅行客からもらっていないと考えられるからです。金を払わない代わりに、中国客にみやげ物を買わせて、その上がりで1日のバス代と観光手配は朝鮮側に請け負わせているわけです。

これは中国では定番ともいうべきボッタクリツアーです。残念ながら、このようなやり方でしか、客を集められないのが現状なのです。これは中国人の日本ツアーやクルーズでも同じです。

このツアーを催行しているのは、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉にある延辺中鉄国際旅行社です。現在、予定されている6月までのツアー出発日は、5月24日、31日、6月7日、14日、21日、28日です。

延边中铁国际旅行社有限公司(※ただし、同社のウエブサイトには掲載されていません)
https://ztlx1.package.qunar.com/

とはいえ、東南アジアのゴールデントライアングル(タイ、ラオス、ミャンマー)と同じく、中国、ロシア、北朝鮮の3ヵ国が接する国境地帯を周遊できるという、この斬新かつ魅力的なツアーも、これまで述べた客観状況や現状の乗客数をみるかぎり、今後参加者が現れるかどうかはかなり疑問です。

もうひとつの中朝国境の町、遼寧省丹東の旅行関係者によると「これまで両国往来の旅を楽しんできた中朝国境沿いの住民も、昨年の核実験以降、さすがに北朝鮮に対する国民感情は悪化している」とのこと。新義州への日帰りツアーも昨年に比べ、半減以下に落ち込んでいるといいます。

※2016年9月9日に実施された北朝鮮による5度目の核実験は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州と国境を接する咸鏡北道吉州郡豊渓里付近だったことから、中国側でも地震が観測されています。

さて、この中国発の周遊ツアーが催行されないとなると、万景峰号の定期運航にも影響を与えることになりそうです。

ある中国メディアは、今回万景峰号の定期運航を企画したロシア側の関係者の「(初運航の際に乗船した)中国の旅行会社7名は船内のレストランや施設を視察した。今後運航を続けられるかは、中国客が乗船するかどうかで決める」とのコメントを紹介しているからです。

中国旅行社测试从朝鲜到俄远东的海上路线(2017年05月18日)
http://sputniknews.cn/china/201705181022655579/

(一部抜粋)「赫梅利还表示:"本次航行是测试,因此船上没有游客,也没有货物。船上只有7名中国旅行社的代表,他们为了保险起见决定亲自考察路线,评估船上的饮食和设施。虽然有中国游客希望乘坐,但是决定先不搭载游客」

先ごろウラジオストクを訪れた現地通によると、「現在ロシア沿海地方には約8000人の北朝鮮労働者がいる。彼らは主に建設現場や水産加工工場などで働いており、北朝鮮への帰省は、鉄道を利用する場合が多く、割高な万景峰号をわざわざ利用することはない」とのこと。一方、「北朝鮮旅行に行くロシア人もいないことはないが、少ない以上、万景峰号の定期運航は中国客にかかっている。しかし、中国人の多くは安かろう悪かろうで、免税店に連れまわされるボッタクリツアーに嫌気が差しているので、どれだけ参加者がいるだろうか」と疑問を呈しています。

中国側でこのツアーを企画しているのは、延辺朝鮮族自治州・延吉の旅行会社です。中国政府は万景峰号に中国客が乗ることについて、朝鮮族による民族交流の一環であるなどとして、制裁違反との批判に対して一定の言い訳ができると考えていると思われます。

現在のウラジオストクには、北朝鮮人労働者のみならず、中国や韓国の観光客が多く訪れています。つまり、北朝鮮を訪れることのできない韓国国民も、この町に行けば、好むと好まないにかかわらず、北朝鮮国民と普通に話を交わすことができるのです。またモンゴル人や彼らと同じ顔をしたブリヤート系ロシア人もいるなど、ウラジオストクは、今日の北東アジアを象徴する国際都市といえます。

日本のメディアは、国連による対北制裁とロシアの思惑という大がかりな視点から万景峰号の動向を理解しがちですが、こうした現地のローカル事情をふまえると、まったく別の視点も見えてきます。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-28 11:58 | ノービザ解禁間近!極東ロシア | Comments(0)
2017年 05月 26日

中国の流行語をうまく使った翻訳なんだけど……ちょっと微妙かも?

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

そのブログの記事から転載します。

これまで街で見かけた中国語表記の間違いを探してばかりいましたが、なかには「これは中国人が翻訳しているな」と思わせる名作もあります。

それは「訪日外国人向けワンストップ観光情報サイト」のライブジャパンの中国人向けポスターの文面です。東京メトロのホームに貼られていました。
b0235153_15444335.jpg

ライブジャパン
https://livejapan.com/

そこにはこう書かれています。

「东京观光哪里详
导遍日本数我强」
(東京観光はどこが詳しい
ライブジャパンがナンバーワン」

これを見た中国人観光客の多くは、思わずニヤっとしたことでしょう。この中国語のコピーには元ネタがあるからです。

それは、中国山東省にある有名な工業専門学校の以下の宣伝コピーです。

「挖掘机技术哪家强,
山东技校找蓝翔」
( ショベルカーの技術はどこが優れている
 山東技校で探せばいい)

文章のリズムもそうですし、文末に韻をふんでいて、いかにも中国的なのです。その意味では、とても優れた翻訳例といえると思います。

ではなぜ中国人の多くがこのコピーを見てニヤっとしたかというと、この正式名称「山東藍翔高級技工学校」という工業専門学校のテレビCMはもうだいぶ前から、いろんな意味で評判になっていたからです。

そのCMの一例はYOU TUBEでも見ることができます。
b0235153_15454168.jpg

中国山东找蓝翔 #恐怖蓝翔
https://www.youtube.com/watch?v=YqmbLYWAki4

ご覧のとおり、このド派手な学校案内のためのプロモーションビデオの中で、何度も繰り返されるのが、先ほどの「挖掘机技术哪家强,山东技校找蓝翔」という掛け声です。そして、この仰々しいコピーは、いまどきの若い世代の中国人にとってほとんど流行語のように耳になじんでいるのです。

ただし、それは決して気が利いたコピーというわけではありません。この学校はこのCMで全国的に有名になったことは確かですが、所詮地方の専門学校、日本では信じられないくらい厳しい学歴社会の中国では、大学に行けない連中のための学校にすぎないからです。日本にいる留学生のような恵まれた中国人からすれば、専門学校生なんて、自分とは生きる世界がまったく違う人たちなのです。

ですから、このコピーをチャカしたラップ風のパロディー動画なんかもつくられています。

【蓝翔洗脑广告】挖掘机技术哪家强?中国山东找蓝翔!
https://www.youtube.com/watch?v=AAiZJNhGE0s

このCMは「洗脳広告」だというわけです。

こうしたことを考え合わせると、中国人の若い世代の耳に慣れ親しんだフレーズを元ネタにしたコピーというのは、実際にはかなり微妙といえなくもないのです。

ある中国人留学生はこう言います。「だって、本来東京はCool Japanで売りたいわけでしょう。それが全然coolじゃない山東技校の広告のフレーズに重ねられるなんて、どうなんでしょう?」
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by sanyo-kansatu | 2017-05-26 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 25日

なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?

ここ数日、日本国内で急増している中国の「越境白タク」の実態を見てきました。それにしても、この問題のみならず、なぜ彼らの周辺では次々と違法問題が起きてしまうのでしょうか。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/

これまで本ブログで何度も指摘してきたように、無資格ガイドや違法民泊、ブラック免税店問題など、すべてとはいいませんが、その大半は中国人観光客の周辺で起きています。その理由について、少し考えてみたいと思います。

その前に、不用意に話を進めると偏見を助長しかねない、この問題を考えるうえでの、今日の中国と中国人に対する公平な理解の前提となる2つのポイントを挙げておきたいと思います。

よく「中国人は遵法意識がない」と言われます。この点について、良識ある中国人はそれを否定しません。なぜなら、彼らには、日本や欧米のような民主的な社会を生き、法によって人権が守られているという認識はありません。法は民ではなく、万事為政者が勝手に決めるものですから、常に上から降りかかる、むしろ災厄のようなもの。法の網をかいくぐり、利益を得た人間が賢いと評価される社会です。このような国に生きる人たちを、我々と同じ基準でジャッジしてしまうと、彼らのふるまいの背後にある真意を見間違いがちです。

もうひとつは、少しメンドウな話なのですが、中国が急速に経済力をつけ、ECやモバイル決済、そして配車アプリの普及など、明らかに日本の社会より利便性の進んでいる分野が次々と生まれてきたことから、「最先端のサービスを利用する自分たちがなぜ悪い? むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理が彼らの中に芽生えていることです。

この種の心理は、かつて(欧米社会に対するものとして)日本人にもあった気がしますから、やんわり受け流せばすむ話。とはいえ、国民感情として、言うは安しと感じる方も多いかもしれません。よく「中国人は傲慢だ」と言う人もいますが、あまりに単純固定化して彼らの言動を受けとめるのは思慮が欠けているといわざるを得ません。彼らがそう見えるのは、そうなる背景や理由があるからで、それをある程度頭に入れておけば、理解できない話ではないことは知っておいたほうがいいでしょう。我々とはあらゆる面で価値観が違うのも、そのためなのです。

この2点をふまえたうえで、考えなければならないのは次のことです。

我々の側に、観光客として彼らを受け入れるうえでの原則やルールがあるかどうか。それを彼らにもわかりやすく説明し、理解させているか。それが問われているのです。

しかし、実際にはそのような原則やルールを日本の社会は用意しているとは思えません。そんなことはまるで考えてもいないかのよう。せいぜい観光客がお金を落としてくれるんだから、日本が得意の「おもてなし」をしましょう…。たいていの場合、これだけです。

つまり、結論を先に言ってしまうと、中国人観光客の周辺で起こる違法問題の根本的な原因は、彼らの側だけにあるのではなく、むしろ我々が彼らを賢く受け入れるためのルールづくりをなおざりにしてきたからだ、というべきなのです。

もう半年以上前のことですが、昨年10月、NHKのクローズアップ現代で、中国人観光客の周辺で起こる違法問題を題材にした番組を放映していました。

「「爆買い」から「爆ツアー」へ。いま中国人観光客が目指すのは、都心の百貨店や家電量販店よりも、地方の観光都市。そこは「無資格ガイド」や「白タク」などが暗躍する、無法地帯となりつつある。番組はその実態を探るために潜入取材。その結果明らかになったのは、日本の旅行業法の不備をついて不当に利益を上げる、闇業者の存在だった。急増する中国人観光客がらみのトラブルと、どう向き合えばいいのか。お隣の韓国で成果を上げる、目からウロコの処方箋も紹介!」(同番組HPより)

この番組の詳しい内容は以下のウエブサイトをみてもらえればわかりますが、NHKの取材陣が潜入したという「中国人爆ツアー」の現場のルポと識者らの解説にはいくつかの興味深い指摘がありました。と同時に、つっこみどころもけっこうあったので、解説します。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/

ルポの冒頭の舞台は沖縄です。沖縄はいま全国でいちばん白タク問題で悩んでいるからです。

NHKの中国人スタッフが観光客を装って接触を試みた白タク運転手は20代の中国人。聞けば留学生上がりで、在学中からやっていたといいます。もちろん、彼は通訳案内士の資格もなく、第2種運転免許もありません。明らかな違法営業です。

なぜこんな違法営業がまかり通るかについて、ランドオペレーターのひとりにこう言わせています。「しっかり監督をする組織が、部分がないですから、それが原因で白タクとか不法の民泊に、いま氾濫されている。一番大きいのは税金関係。税金みんな払ってない。資本金も何も必要なく、やり放題。これはおいしい、いっぱいおいしい利益をとるだけ」

そう、そのとおり。監督官庁の存在がまるで不明で、ルールづくりがおざなりにされてきたことが、無法状態の根源だというのです。

こうなってしまった理由として、立教大学の高井典子教授はこう説明します。

「まず前提として、これまでの日本の旅行業界というのは“日本人の、日本人による、日本人のため”の旅行を扱ってきた。

つまり「BtoC」、旅行会社から最終消費者である旅行者、ツーリストに向けてのビジネスに関して旅行業法という法律で管理してきたわけなんですね。

ところが、この数年、急激にアジアの市場が伸びてきていて、これが想定外の成長をしてしまい、いわば真空地帯だった所に新たに登場したのが、今、出てきました、多くの新しいランドオペレーターということになります」。

この指摘は基本的に間違いではないですが、「想定外の成長」「真空地帯」という説明を聞くと、ちょっとつっこみたくなります。というのは、訪日中国人団体客の受け入れは2000年に始まっており、「想定外」などというには時間がたちすぎています。時間は十分あったのに、やるべきことをやってこなかったというべきだからです。「真空地帯」というのも、そうなったのは、急増していくアジア系観光客の受け入れを本来担うべきだった国内業者が、彼らに対する国内の旅行手配や通訳ガイドによる接遇も含めた「おもてなし」をコストに見合わないという理由で投げ出してしまったというのが真相に近い。

とはいえ、言葉も地理もわからない外国人の団体を街に放り出すわけにはいきません。誰かが彼らの接遇を担わなければならなかったのに、国内業者がやろうとしない以上、その役割を買って出たのが在日アジア系の人たちだったのです。彼らは自分たちがそれを担った以上、自分たちなりのやり方でやろうとするのはある意味当然です。観光客の側にとっても、そのほうがわかりやすい。こうなると、日本のビジネス慣行やルールではなく、アジア的なスタイルで運営されていくことになる。それを国内業者は「触らぬ神に祟りなし」と、見てみぬふりをするほかなかった…。これが真相というべきです。

これは日本の家電メーカーがこの20年で中国や韓国の企業に市場を奪われていったケースと基本的に同じだと思います。コストが見合わないという理由で、新しい市場への取り組みを投げ出していった結果という意味で、決して飛躍した話ではありません。コスト以外にもさまざまな理由があったことも確かですが、当時の経営陣は先が読めなかったということでは同じです。

中国人観光客の周辺の違法問題を考えるとき、この視点を忘れてはならないと思います。そうでないと、結局、この番組の後半の流れのような、あたりさわりなく聞き流せばすむ議論で終わってしまうからです。

実際、番組では外国人観光客のマナー問題に話を移し、「ルールやマナーを知らない外国人と気持ちのいい関係をどう築いていくのか」と問いかけます。これからの時代は日本人もそれを受け入れていく(乗り越えていく?)気持ちを持たなければという精神論に向かっていきます。

その際、例に挙げられたのが、忍野八海の湧水にコインを投げ入れる中国人観光客の話でした。こういうことがなぜ起こるかについては、以前本ブログで説明していますが、ひとことでいえば、日本に関する知識のない無資格ガイドが案内しているから起こるというべきで、これも監督官庁の野放しが生んだ問題なのです。

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?
http://inbound.exblog.jp/26383490/

ところで、番組にひとりの中国人コンサルタントが登場します。この人の存在がなかなか微妙です。彼は白タクや違法民泊問題についても「シェアリング・エコノミーは世界的な流れ。その点では中国の方が進んでいます。日本人の日常生活を味わうのは大きな魅力です」という主旨の話をするのですが、前述したような、最近の中国人によく見られる「むしろ、遅れている日本の方が問題では」という心理がうかがえないではありません。これを聞くと、そういう風に話を丸め込まれてはたまらないと感じる視聴者も多かったのではないでしょうか。なぜなら、違法問題を引き起こしている当の本人が言い訳しているようにも聞こえるからです。

これらの問題を解決するための「目からウロコの処方箋」として、韓国の観光警察隊が紹介されますが、これも問題のすりかえに見えます。現状、外国人にマナーを問う前に日本社会がすべきことがあるからです。いま起きていることの多くは、外国客を受け入れるための原則やルールをつくってこなかった日本の監督官庁の姿勢にあるからです。アジア客の接遇を在日アジア系の人たちに投げ渡してしまったことで、彼らは自分たちのやりたいようにやるほかなかったのです。

いろいろつっこみを入れましたが、番組のウエブサイトでは、違法問題の背景について以下の解説を試みています。

なぜ、悪質なランドオペレーターを取り締まれないの?

取り締まるための法律がなかったからです。1952年に制定された旅行業法は、消費者となる旅行者を保護するために旅行会社を監督する目的で作られました。旅行会社から依頼を受け、バスやホテル・ガイドを手配するランドオペレーターは、旅行会社との取引になるため、旅行業法の規制の対象外になります。中国人観光客の数はこの3年で5倍近く増加し、ランドオペレーターの需要が急拡大する中、法の目が届きにくい現在の法制度の隙間をつく形で、次々と悪質業者が生まれきたと見られています。番組で取り上げたバス会社やレストランへの「突然キャンセル」だけではなく、旅行客を物販店に連れ回し不当に高額な商品を買わせる「ぼったくりツアー」で大きな利益を手にする業者もあります。さらに昨今、団体ツアーから個人旅行にシフトする中で、小回りのきく移動手段として「白タク」(営業届けをしないまま乗客を車に乗せ、運賃を受け取る車)や格安の宿泊場所として「無届け民泊」を手配するなど、悪質行為を行う業者も出てきています。

国はどのような対策を取ろうとしているの?

今年になって、国はようやくランドオペレーターの実態調査に乗り出し、全国で800以上の業者があることをつきとめました。現在、旅行業法を改正して、悪質なランドオペレーターを管理監督出来る仕組み作りを進めています。しかし、その一方で、他の業種では規制緩和を進めています。たとえば、これまで外国人を有償でガイドするためには「通訳案内士」という国家資格が必要でしたが、今後は「無資格」でもガイドすることを可能にする方針を打ち出しています。また、「民泊」もこれまで禁止されていた住宅街での開設を解禁する方向です。「2020年に訪日外国人観光客4,000万人」という目標を掲げる中、入国を許可するビザの発給要件の緩和も続ける日本。様々な規制緩和の中で、いかに悪質業者の横行を防いでいくようなルールやチェック体制が出来るかが、今後の課題となっています。


このように番組では、こうした違法営業が大手を振るっているにもかかわらず、政府の方針は「通訳ガイドは無資格でも可能」「民泊は住宅街でもOK」「ビザの緩和」「悪質業者を監督できる法改正を検討」と、規制を緩める方向にあることに疑問を呈しています。

その指摘自体は間違いないのですが、あたりさわりなく終わってしまう精神論や経済効果の話だけではなく、また安易に偏見を助長する結果を生みがちな表層的な実態のルポだけでもない、本質的な議論をしていかなければと感じます。

たとえば、ここでは「悪質業者」という言い方をしていますが、中国人の場合、そもそも法人ではなく、個人で白タクを始めているケースが多いのです。それを「越境配車アプリ」が束ねているのです。この越境性をどう捉えるかがこれからの課題なのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-05-25 09:58 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 23日

中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?

一般の日本人が知らないうちに、これほど広範囲に中国人観光客を乗せた「越境白タク」が広がっていた。では、この何が問題だと考えるべきでしょうか。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/

日本の近隣諸国の国際空港に比べ、成田空港から都心部へのアクセスは極端なコスト高といえます。京急やバス会社など民間による格安な交通手段も登場し、LCC客などを中心に利用者は増えていますが、タクシーで2000~3000円も出せば市内に行ける中国をはじめとしたアジアからの観光客にすれば、10倍近いことにまず驚くでしょう。

最近のアジアからの旅行者は、家族や小グループが多い。1台のタクシーでは乗り切れず、ワゴンタイプの車が最適。こうしたなか、海外からスマホアプリで簡単に予約できて、適度な価格帯で利用できるワゴン車が支持されるのは、顧客のニーズに正対するという意味でも、当然のことだったのです。

そもそも成田空港は、日本人が利用する白タクの温床としても知られていました。こんな記事がネットにあります。

[成田空港アクセス2010]白タクの温床!?
https://response.jp/article/2010/01/11/134609.html

記事によると、

成田空港の白タクドライバーの逮捕事例は、年に数回ある程度。地元警察は「空港周辺に白タクが存在することは認めているが、通報や苦情がない限りは警察も動けない」ともらす。

成田空港で客を待つタクシー運転手は彼らを見て「白タクは今も多い。客引き自体が違反なのに堂々とやっていて、我々の仕事にも影響受ける。万が一事故にあっても何の保障もない。最後に損害こうむるのは客」「東京方面への客がほとんどだから、1人乗せれば確実に2万円が入る。終電を逃した人たちを乗せる白タクと違い、空港が動いている時間帯すべてが“営業時間”となる」という。


ここであらためて、なぜ白タクは違法となるのか整理しておきましょう。

ある法律事務所のサイトに、こんな説明があったので紹介します。

「白タク」はなぜ法律で禁止されてきたのか? 解禁のメリットとデメリットとは(シェアしたくなる法律相談所2015年11月20日)
https://lmedia.jp/2015/11/20/68379/

ポイントは以下のとおりです。

・タクシー事業の許可を受けた場合、緑地に白のナンバーを付けて運送するが、許可がない場合、一般の白地ナンバーを付けてタクシー営業をすることになるため、「白タク」という。

・白タクが違法である法令上の根拠は「道路運送法」にある。国土交通大臣の許可なくタクシー事業を行うと、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」。

・この規制にはメリットとデメリットがある。メリットは、許可制により運転手に高い技能が求められることや過当競争が抑制され、一定のサービスレベルが確保されること。

・一方、規制をなくすことで、タクシー事業が行き届いていない過疎地域でサービスが供給されたり、従前よりも安価にサービスが提供される可能性が高い。

こうしたことから、昨年春、安倍首相は「白タク解禁」の意向を表明。ただし「過疎地での観光客の交通手段に、自家用車の活用を拡大する」との趣旨だといいます。一方、これを受けて、タクシー業界は「安全性に問題がある」とすかさず反対しました。

「ライドシェア」 “白タク合法化”に業界猛反発(テレ朝news2016/03/08)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000069848.html

とはいえ、過疎地の交通問題などを抱える日本では、ライドシェアの推進に対する期待もあります。その代表格のひとり、UberJapan社長はこう訴えます。

Uber、日本でも攻勢へ ライドシェア(相乗り)で地域を変える
髙橋 正巳(Uber Japan 執行役員社長)
https://www.projectdesign.jp/201602/logistics/002681.php

(以下、記事の一部抜粋)「白タクは運転手の素性が不明で、料金も不透明な営業形態で、何かあっても連絡先がわからない。きちんとした保険に入っているかも不明で、大変危険なもの。一方でUberは、ドライバーのバックグラウンド・チェックや評価システムが存在し、リアルタイムで走行データを記録しています。過去に問題があるドライバーは参加できませんし、ユーザーは事前にドライバーを知り、評価が低いときは乗車をやめることもできます。リアルタイムで運行を管理しているので、万が一の事故やクレームにも対応でき、保険も完備しています」

ポイントとなるのは、Uberのようなライドシェアは「白タク」とは別物という主張です。ただし、これは民泊のAirbnbと同様、ホストやドライバーとマッチング会社の関係性や社会的位置付けをどう了解するかによって見方が変わるでしょう。

あるシェアリングエコノミーの研究機関は、次のようなまとめ記事を配信しています。

【まとめ】ライドシェアリング事業は違法の「白タク行為」にあたるのか?
http://sharing-economy-lab.jp/share-ride-illigal-white-taxi

(以下、記事の一部抜粋)「素人ドライバーのマッチングサービスが日本で実現するようになると、地方の人口減少により公共交通機関の確保が難しくなった市町村では、住民にとって買い物や通院など日常を支える移動手段となり、新たな収入を得る場にもなり得ると言われています。また交通手段がないために、これまでたどり着くのが難しかったような場所も観光スポットになる、というような利用方法も期待されています」

こちらのポイントは、「素人ドライバーマッチングサービス」の可能性をどう評価できるかでしょうか。

政府による「白タク解禁」表明も、規制緩和に向けて、これらの意見をふまえたものだといえるでしょう。確かに、過疎が進む地方では地元住民の足の問題があるのに加え、たとえ魅力的な観光地があっても、交通機関が圧倒的に不足しているため、外国人観光客を送り込みたくても、できない現状があるのですから。

さて、ここらで冒頭の問いに戻りましょう。

中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?

それは、結局、こういうことではないでしょうか。

いま日本国内でライドシェアをめぐる議論や推進に向けた各方面の取り組みが進んでいます。ところが、これらの地道な努力を一切無視して、中国の「越境白タク」は増殖しています。このあまりに無頓着なフライングを見過していては、日本の社会にとって有用なライドシェアの実現をぶち壊しにしてしまうのではないか…。

たとえば、「過疎地での観光客の交通手段に、自家用車の活用を拡大」「人口減少により公共交通機関の確保が難しくなった市町村では、住民にとって買い物や通院など日常を支える移動手段」といった日本のライドシェア推進者たちの主張は、中国配車アプリサービスではほぼ省みられることなく、東京など大都市圏のど真ん中で運用されています。そこに中国客のニーズが集中しているからなのですが、この実態をまったく知らないことにしてまともな議論が進められるものでしょうか。

確かに、中国配車アプリでは、大都市圏から地方の観光地への中国客を乗せたドライブサービスも展開しています。リストに載っている観光地はニーズの多い有名観光地ばかりですが、個別のニーズでは、あまり多くの外国人観光客が訪れていない場所へのドライブサービスもありうるでしょう。外国客を地方へ分散させる足となっていることは否定できない面もあります。彼らが市場のニーズに直結したサービスを提供しているのは間違いないのです。

団体から個人へと移行した外国人観光客の移動のニーズを捕捉することはそんなに簡単ではありません。それゆえ、我々は外国客のニーズに即応したサービスを提供できずにいる。しかし、すでに自国で定着したシステムを持つ中国の配車サービスは、日本でこそ優位性を発揮し、好んで利用されているのです。

日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/

すでに触れたように、中国配車アプリのドライバーたちの大半は日本在住の中国人で、営業に必要な第2種運転免許を取得しているとは思えませんが、ライドシェアが解禁されると、、「素人ドライバー」自体は違法でなくなります。タクシー業界からの反発が強いのはそのためですが、現状の「越境白タク」は追認されてしまうことになります。

シェアリングエコノミーの信奉者の中には、こうした違法をものともしない果敢な中国のビジネス手法を評価する人もいそうですが、それは中国の特殊な国内事情をよく知らないからではないでしょうか。中国で配車サービスが普及した背景には、同国のそれまでの恵まれない交通事情、さらにアプリ会社の猛烈な競争があり、利用のためのインセンティブが強く働いていたことがあります。日本のIT企業がそこまでのサービス合戦に投資ができるとは思えません。それに、仮に白タクが合法化されたとして、国内にそれを正業にするような日本人がどれほどいるでしょう。

日本と中国では制度や環境があまりに違い、人々のニーズも異なる以上、どんなに優れたサービスでも、その国に合った運用法を見つけるしかないのです。

中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/

中国の「越境白タク」の問題は、すでに書いたように、このサービスを仕切る事業者は日本国内には存在せず、金銭のやりとりもない。おそらくドライバーへの支払いは、中国の電子決済システムによるのでしょう。ドライバーは日本在住者でありながら、在外華人なので、必要であれば、なんらかの日本円への換金手段があると思われます。そして、顧客へのドライブサービス活動の実態だけが、日本国内で行われる(実際には在日中国人らがすでに事業化しているという話もありますから、実態は別のステージに移りつつあるかもしれません)。この事態を黙認していいかどうか、という判断になるのだと思います。

(参考)
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
http://inbound.exblog.jp/26891045/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-23 16:23 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 22日

中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由

なぜこれほど多くの中国人観光客が(こともあろうか!)日本国内で白タクを利用するようになったのか?

彼らが利用しているのは、「越境EC」ならぬ、「越境白タク」とでも呼ぶべきサービスです。つまり、自国内で普及している配車アプリサービスを、海外の法を無視して勝手に運用しているわけです。それが可能となったのは、中国でいち早く配車アプリが普及し、身近なサービスとして定着したこと。そしてこれが決定的なことですが、サービスの担い手である在外華人が多くの国々で暮らし、ドライバーをしているからです。

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/
日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/

日本ではUberに代表されるライドシェアサービスはそれほど普及していませんが、今日の中国では日常的に利用されています。なぜ中国で配車アプリサービスが普及したのか。その理由を理解するために、ここ数年の中国におけるライドシェアの流れについて、以下簡単に説明します。

アメリカ発ライドシェアのマッチングサイト、Uberがサービスを開始したのは2009年。早くも3年後の2012年には、かつて中国2大配車アプリサービスだった「滴滴打車」と「快的打車」が事業を始めています。

配車アプリサービスは、それまでの問題の多かった中国の交通事情にとって待望のサービスでした。

もともと中国のタクシーの評判はよくありませんでしたし、渋滞の原因になることから、大都市への人口集中がどれだけ進んでも、台数はそれほど増えていませんでした。地下鉄などの公共交通機関はこの10年で著しく整備されていきましたが、自家用車の普及が進み、都市生活の移動のスピードが速くなればなるほど、以前のように路線バスに長い時間待たされることなく、すばやく車を乗り継いでいくようなニーズが求められるようになったのです。

この切実さは都市交通に恵まれた日本人には理解しにくいかもしれません。車の台数が増加し、日に日に渋滞が激しくなるばかりの都市に暮らす中国の人たちにとって、モバイル上で自分の位置する場所に最も近いタクシーを捜してコンタクトを取り合うことができるというUberのサービスは画期的なものでした。

それまで中国では、白タクはボッタクリの代名詞で、「黒車」と呼ばれていました。それが飛躍的にイメージチェンジしたのは、配車アプリで身元が割れることから、ドライバーは乗客に対してあくどい商売ができなくなったこと。モバイル決済によって、現金のやりとりをする必要がないという利便性からでした。小遣い稼ぎに自家用車を走らせる「黒車」のドライバーにとっても、きわめて合理的な商売となったのです。こうして利用者とドライバーの両者にとってメリットが大きかったことが、配車アプリが中国で急速に普及した理由といえるでしょう。

中国は国土が広いので、その後、地域ごとに多くの配車アプリ事業を行う企業が生まれたのですが、それも徐々に淘汰されていきます。

その理由は、「滴滴打車」が中国版SNSのWeChat(微信)を運営するテンセント系であり、「快的打車」がアリババ系であることから、それぞれWeChatPay(微信支付)、アリペイ(支付宝)という中国における最強の資本力を持つモバイル決済と連動していることが圧倒的な優位性を持ったからです。

安くて快適な「白タク」配車サービス(Newsweek2015年12月07日)
http://www.newsweekjapan.jp/marukawa/2015/12/post-5.php

こうして上海や北京などの経済先進都市では、いまどきタクシーの支払いを現金でするのは外国人くらいで、地元の人たちはモバイル決済が普通です。ECの普及は明らかに日本よりも進んでいて、キャッシュレス社会といってもいいほどです。

こうした中国の先進性を伝える話題は、数年前から日本でも報道されていましたが、2015年頃からさらに配車アプリ市場は変化していきます。

まず2015年2月、ライバル関係にあった「滴滴打車」と「快的打車」が経営統合することが発表され、中国の配車アプリは事実上の「滴滴打車」一強支配となります。
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滴滴打車
http://www.xiaojukeji.com

この当時、ぼくのような配車アプリを使えない外国人が上海でタクシーを拾うのは至難の業でした。合併する前の2大中国配車アプリにUberの現地法人としてスタートした「優歩」も加わり、各社は激しいサービス競争を繰り広げていたためです。

ここでいうサービスには、利用者からみた値下げ競争もありましたが、それ以上に有効だったのはドライバーに対するものでした。配車アプリ利用客の場合、運賃とは別にアプリ会社からチップがもらえたからです。こうなると、アプリ予約でない路上の客を乗せたがらなくなるのは当然です。あの頃、どれだけタクシーを乗車拒否されたことか…。

こんなにお得で便利なサービスなのに、外国人には使えないのは困ったことです。もし配車アプリを利用しようとしたら、現地に銀行口座を持ち、WeChatPayかアリペイをスマホで使えるようにしておかなければならないからです。中国出張に年中来るような人ならともかく、スマホを中国仕様に変換するか、中国用のスマホを購入しなければならないなんてメンドウな話です。以下の記事は、中国出張者が利用する方法を紹介しています。

「中国版Uber」の「快的」「滴滴」は中国出張に使えるか試してみた
https://c-study.net/2016/04/didi-dache-taxi/

その後、2016年3月には、白タクのネット配車を政府が容認する方針を示します。かつてのボッタクリの代名詞だった白タクは、配車アプリを使う場合に限り、合法的な存在となったのです。

中国 「白タク」のネット配車を容認へ(NHK2016.3.14)
http://archive.fo/46Bvu

さらに、同年8月、本家アメリカの配車アプリUberは、「滴滴打車」との激しいサービス合戦による消耗戦に耐えられず、撤退します。

なぜ米Uberは中国市場から事実上の撤退を余儀なくされたのか?(ハーバードレビュー2016年09月06日)
https://hbol.jp/108305

こうして中国で白タク黄金時代が到来したかに思えたのですが、その後、中国政府は意外にも、その流れに逆行するような規制を始めます。

10月、中国政府は配車アプリのドライバーを地元の戸籍を持つ者に限定するなどと言い出したのです。

7.5兆円市場、中国「配車アプリ」に急ブレーキ 壊滅的規制案の行方(フォーブス2016/10/14)
https://forbesjapan.com/articles/detail/13922

この記事には以下のように書かれています。

「上海では41万人の滴滴ドライバーがいるが、上海の戸籍を持つ者は3%以下だ。現在登録されている車両の8割以上は新規制に適合しない」と滴滴の女性広報担当者は語る。配車アプリ市場に詳しいリサーチ会社iiMediaは地元戸籍のドライバーは北京では3.6%、杭州市では10.8%とリポートしている」

もともと大都市圏のタクシーや白タクのドライバーは、地元出身ではなく外地から出稼ぎに来た人たちが多いのは周知のことでした。それなのに、なぜこのような理不尽な規制を始めたのでしょうか。

そして、上海ではその規制の実施を伝える以下のような報道もありました。

上海、「白タク」1100台を摘発(大紀元2016/10/21)
http://www.epochtimes.jp/2016/10/26291.html

※これは根拠のない余談ですが、こうした政府の手のひらを返したような規制は、過熱気味だった配車サービスの適正化のためとも考えられますが、アリババ系の「快的打車」が競争に敗れ、テンセント系の「滴滴打車」の一強となるに至ったいま、双方のバックにいる政治グループの関係性(テンセント系=共産党青年団、アリババ系=習政権)が影響しているのではないかと思わないではありません。

今年3月、上海を訪ねたとき、去年に比べ、タクシーが簡単に拾えるようになっていました。その理由について、上海の友人はこう説明してくれました。

「私はもう以前のように配車アプリはあまり使わなくなった。去年までのサービス合戦が終わり、必ずしも白タクが安いわけではなくなったから。やっぱりタクシーのほうが安心だもの」

要するに、タクシーのドライバーたちはげんきんなもので、アプリ会社からのチップなどのインセンティブがなくなったため、これまでどおり路上の客を乗せるようになったのです。こうして過熱していた白タク市場も以前に比べ、沈静化していったといえます。

とはいえ、結果的に、中国では配車アプリサービスというモバイル決済と連動した交通インフラが定着したことは確かです。合法かどうかなどは気にせず、猛烈な投資合戦が始まったこともそうですし、サービスの担い手と利用者がともにインセンティブを得られるしくみをプロセスの中に巧みに導入していくことで、一気に普及させていったというのは、いかにも中国的といえます。コンプライアンスを守るなんて、中国では意味がないのです。
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この種の便利なインフラを定着させるやり方としては、昨年秋頃から中国各地で始まったシェア自転車サービス「共享単車」もそうです。GPSですべての自転車の位置情報が管理され、市内どこでも乗り降り自由というのですから、これは斬新すぎます。

次回は、このように中国においては優れたサービスである配車アプリをそのまま日本に持ち込まれると、どんな問題が起こるのか考えてみたいと思います。

中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
http://inbound.exblog.jp/26891045/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-22 18:32 | のんしゃらん中国論 | Comments(0)
2017年 05月 19日

日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?

5月18日の日本テレビの情報番組『エブリィ』が違法営業と報じた中国配車アプリ「皇包車」とはどんなサービスなのでしょうか?

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?
http://inbound.exblog.jp/26867015/

それはひとことでいえば、2009年中国の大ヒット正月映画『非誠勿擾』で多くの中国人が夢見た、ドラマの主人公のように海外をドライバー付きで自由に旅することの実現といえます。

非誠勿擾
http://www.okhotsk.org/news/tyuugoku3.html

これが「皇包車」です。
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皇包車(HI GUIDES)
https://m.huangbaoche.com/app/index.html

このサービスのキャッチコピーはこうです。

「华人导游开车带你玩(中国人ガイドがあなたを乗せてドライブします)」

ここでいう中国人ガイドって誰のこと?

その下に都市名と契約したドライバー数が載っていますが、おそらくこのドライバーこそが「中国人ガイド」というわけでしょう。

東京1659名 台北1643名 大阪1172名 ニューヨーク698名 パリ786名 バリ島101名

このサービスは日本国内のみならず、海外でも展開されているのです。「越境EC」ならぬ、「越境白タク」とでも呼べばいいのでしょうか。

もう少しサービスの中身を知るために、サイトを覗いていきましょう。

これは東京のページです。
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皇包車 東京
https://www.huangbaoche.com/app/lineList.html

このページには、東京発のさまざまなドライブコースが表示されています。たとえば、いちばん頭にあるのが、以下の富士山ドライブコース。1名489人民元とあります。

富士山河口湖→五合目→忍野八海→山中湖温泉 包车一日游,东京往返 ¥489

実は、同様の中国系配車アプリがもうひとつあります。こちらも海外各地で展開していますが、日本のページを見てみましょう。
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DingTAXI日本包車旅遊
https://www.dingtaxi.com/zh_CN/c/japan

トップページには以下のようなコースと料金が記されています。

東京包车一日游(東京1日チャーター)最低 ¥23000JPY
大阪包车一日游(大阪1日チャーター) 最低 ¥25500 JPY
(东京出发) 富士山箱根包车一日游(東京発富士山・箱根1日チャーター) 最低 ¥36000JPY ほか

成田空港から都内へは16500円、羽田からは9500円。一般のタクシーに比べると半額です。

次に「東京1日チャーター」のページをみると、23人のドライバーと自家用車の写真が載っています。それぞれ1日の運行時間と料金に加え、深夜便利用客のニーズに合わせた深夜料金なども書かれています。
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中国客たちは、ドライバーの写真や車種、料金、条件などを比べて選ぶことになります。

それにしても、彼らとアプリ会社との契約はどうなっているのか。一部のドライバーは写真を載せていますが、顔が割れてしまっても大丈夫なのでしょうか…。

琉球新報は、こうした配車アプリを使った白タクサービスが3年前から始まったと報じています。いったい沖縄でどんなことが起きているのか。以下の記事を読むとよくわかります。

中国客も「白タク」利用 沖縄観光、アプリで配車 運転手は県内に100人超(琉球新報2017年5月14日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-495441.html

台湾人クルーズ客を相手にした白タク行為が沖縄県内で横行する中、中国人客を対象にした「白タク」行為も広がっている。世界各地で事業展開する中国の運転手付き自動車配車サービスアプリを使う手法で、同アプリで手配する運転手は旅客を運送する際に必要な第2種運転免許を持っていない例が多いとみられる。旅客自動車運送事業の許認可を受けないレンタカーや自家用車を使用している。

13日現在、同アプリに登録し、沖縄で操業できる中国人運転手は100人を超える。急増する外国人観光客への多言語対応など、県内の受け入れ態勢の不備が白タクの横行を招いている側面もある。

中国人客は台湾人客と異なり旅行業者を介して白タクを手配するのではなく、スマートフォンがあれば気軽に白タクを手配できるアプリを利用するのが一般的だという。利用者は、飛行機で来沖する中国人客が多くを占める。

県内旅行関係者によると、中国の配車サービスアプリの利用は3年前から始まり、来沖する中国人客の増加につれ、利用件数も急増している。

別の旅行関係者によると、同アプリで販売する4人乗りの車を使った県内1日(10時間)ツアーが平均3万5千円なのに対し、第2種免許を持つ日本人運転手付きのタクシーは平均3万円。「中国語でサービスを提供しているため、日本人運転手の料金よりも高い」という。運転手はサービスを提供する前、乗客とSNSや電話でやりとりし、宿泊先のホテルなどで客を乗せる。

県内旅行関係者は「乗客は配車アプリを通して料金を運転手に支払っているため、現金でのやりとりがなく、(警察などの)摘発は難しい」と現状を述べ「きちんと税金を支払っているわれわれに公平な競争環境を返してほしい」と訴えた。


琉球新報の同記事には、中国客が日本で配車アプリサービスを使えるしくみをわかりやすく図にしてくれています。
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要するに、中国客は日本を訪れる前に、同サービスに対して支払いをすませており、日本でドライバーへ金銭を支払うことはありません。つまり、事業者は日本国内には存在せず、金銭のやりとりもない(おそらくアプリ会社からドライバーへの支払いは、中国の電子決済システムによるのでしょう。ドライバーは日本在住者でありながら、在外華人なので、必要であれば、なんらかの日本円への換金手段があると思われます)。そして、顧客へのドライブサービス活動の実態だけが、日本国内で行われるのです。

問題は、このドライバーたちのほとんどが第2種免許を持っていないであろうこともそうですが、個人営業者として確定申告をしているのかどうか。もしそうでないのであれば、いくら中国人観光客が日本を訪れても、日本にお金が落ちないしくみになっていると言わざるを得ません。

次回以降は、なぜこれほど多くの中国人観光客が日本国内で白タクを利用するようになったのか。中国でライドシェアが一気に普及した背景について説明します。

中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/

(参考)
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
http://inbound.exblog.jp/26891045/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-19 16:12 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 19日

成田空港で中国系白タクの摘発が始まる!?

昨日(5月18日)、中国のSNS「微信(WeChat)」上に、ひとりの日本に住む中国人と思われる人物から、中国系白タクの利用に注意を促す以下のメッセージが発せられました。
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新闻不报道还不知道国内有个叫“皇包车”的软件(2017-05-18)
http://www.sohu.com/a/141506227_559312

メッセージの中身は、その日夕方5時50分過ぎの日本テレビの情報番組『エブリィ』で放映されたニュースに触れたもので、成田空港や羽田空港に急増している中国の配車アプリ「皇包車」を使った白タクが、今後摘発の対象になると言っています。

さらに、中国で広く普及している同アプリによる配車サービスは、日本では合法ではないこと。万一事故に遭ったとき、補償がないことを知るべきだと呼びかけています。

ぼくはこの番組を観ていないのですが、そのメッセージにはニュース映像のカットが2点載っていて、「白タクは普通の自家用車で違法営業」との文面が見られます。同番組のサイトでは、いまのところ、このニュースはアップされていないようです。

日本テレビ『エブリィ』
http://www.ntv.co.jp/every/

中国系白タクの急増が問題になっていることは、関係者の間では数年前から広く知られていました。NHKのクローズアップ現代でも昨年10月下旬、中国人観光客をめぐるさまざまな問題のひとつとして白タクに触れています(このニュースに関しては、あらためて別の機会に解説します)。

潜入!中国人 “爆ツアー”の無法現場(NHKクローズアップ現代+2016/10/23)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3879/
なぜ次々と中国人観光客の周辺で違法問題が起こるのか?
http://inbound.exblog.jp/26880001/

今年3月、羽田空港から深夜便で上海に行ったのですが、国際ターミナルの周辺にワゴンタイプの白タクと思われる自家用車が何台も中国客を降ろしているのを見ています。
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跋扈する中国系白タク問題にいちばん頭を痛めているのが沖縄県です。今月に入って、沖縄のメディアはこの問題を繰り返し報じています。

沖縄では中国系白タクをめぐるふたつのケースが存在します。ひとつは、台湾からのクルーズ客が上陸観光をする際にレンタカーと第2種運転免許をもたないドライバーをセットで利用するケース。もうひとつが、中国客が配車アプリによる営業許可のない自家用車とドライバーを使うケースで、共通するのはドライバーの多くが県内在住の中国人であることです。

台湾人向け「白タク」中国系運転手がクルーズ客送迎 総合事務局「違法行為」(琉球新法2017年5月1日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-488190.html
中国客も「白タク」利用 沖縄観光、アプリで配車 運転手は県内に100人超(琉球新報2017年5月14日)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-495441.html

背景には、琉球新報の記事にもあるように「急増する外国人観光客への多言語対応など、県内の受け入れ態勢の不備が白タクの横行を招いている側面」があるわけですが、だからといって営業許可も取らないで、好き勝手に課税逃れの商売をやることは許されません。なんでも「同アプリに登録し、沖縄で操業できる中国人運転手は100人を超える」そうですから、さすがの沖縄メディアも黙認はできないと判断したのでしょう。そのぶん、沖縄県民のドライバーの仕事が奪われてしまっているわけですから。

はたして日本テレビの報道のように、今後成田空港や羽田空港での白タク摘発は始まるのでしょうか?

次回は、この中国系配車サービスアプリについて説明しようと思います。

日本国内で増殖している中国の配車アプリとはどんなサービスなのか?
http://inbound.exblog.jp/26867237/

(参考)
中国本土の観光客は日本でレンタカーの運転はできません
http://inbound.exblog.jp/24859203/
中国配車アプリを利用した「越境白タク」の何が問題なのか?
http://inbound.exblog.jp/26876191/
中国でライドシェア(配車アプリサービス)が一気に普及した理由
http://inbound.exblog.jp/26874125/
タクシー運転手に聞く「日本のライドシェアが進まない理由」と今後すべきこと
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by sanyo-kansatu | 2017-05-19 14:33 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)