ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 02月 08日

アパホテルとデモ騒動、これじゃ中国の為政者に踊らされすぎです

この週末、新宿で例の「アパホテル問題」を発端にしたデモ騒動が起きました。

在日中国人「反アパホテル」デモ 対抗団体も登場、休日の新宿が混乱(産経ニュース2017.2.5)
http://www.sankei.com/affairs/news/170205/afr1702050015-n1.html

ホテルチェーンのアパホテルが「南京大虐殺」などを否定する書籍を客室に備えているとして、中国当局が猛反発している問題で、日本在住の中国人らが5日、東京都新宿区で同ホテルへの抗議デモを実施した。現場周辺にはデモに抗議する団体メンバーも多数詰めかけ、休日の新宿は混乱した。

デモを行ったのは、このデモのために結成された日本で生活している中国人企業経営者、会社員らで作る「中日民間友好委員会」。約300人(主催者発表)の参加者が午後3時から、新宿中央公園から新宿御苑に近い同ホテル周辺まで行進した。「中日友好」「民族の尊厳を守る」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げながら道路を歩いたが、シュプレヒコールを上げることはなかった。

デモには抗議する右翼団体の構成員らが併走。「JAPANが好きだ」と書かれた横断幕を奪い取ろうとしたほか、デモに飛びかかろうとして、警戒に当たっていた警察官に静止される場面が何度も見られた。

デモを主催した来日10年になるという中国人女性は「(周囲の)みなさんにはご迷惑をおかけした。今回声を上げたのは勇気ある中国人だ」などとコメント。年齢や名前などは明らかにしなかった。


騒動の始まりは「ニューヨークに住む米国人女子大学生Katさんと中国人男子大学生Sidさんのコンビ「KatAndSid」が15日夕方に投稿」した「告発」でした。それにしても、アンチデモの連中の暴走のため、まるで中国人のデモ関係者のほうが被害者のように見えてくる始末ですが、彼らもわざわざ垂れ幕に「JAPAN」と書くあたり、なんだか真意がすっきりしませんね。

これらの一連の件について、以前ぼくは中国が日本に限らず対外的に繰り広げてきた「宣伝戦」の一環であると書きました。その目的は、短期的には中国の歴史認識を否定する私企業(標的)に対してなんらかの経営的な打撃を与えることでしょうが、在日中国人まで巻き込んで騒動を拡大することで、結果的に、中国の主張を広く喧伝することでしょう。でも、こういうことはこれまでもしばしばあったことです。

中国SNSでアパホテル炎上 春節はどうなる?(2017年01月17日)
http://inbound.exblog.jp/26563241/

ささやかな記事ですが、BBCが動画付きでこれを報じています。

アパホテルに抗議、在日中国人らが東京でデモ(BBC2017年02月6日)
http://www.bbc.com/japanese/video-38877494

ビジネスホテル大手アパグループが日中戦争時の南京大虐殺を否定する本を客室に置いていることをめぐり、在日中国人らが5日、東京・新宿で抗議デモを行った。

本はアパグループの元谷外志雄代表が執筆したもので、大虐殺は起きていないと主張している。本の客室設置をめぐっては、中国政府が批判したほか、中国国内の予約サイトがアパホテルをボイコットするなどし、反発が広がっていた。


今朝、ネットを見たら、中国専門家の福島香織さんが今回の騒動についてこう書いていました。「結果的には、中国やアンチアパホテル側にとっていい感じの映像や記事が山のように出来上がった」。

「アパホテル問題」はスルーするに限る
中国の「公共外交」に踊らず、日本の魅力を示せ(日系2017年2月8日ビジネス)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/020600087/

まったく同感です。彼女は言います。

「それよりも、南京事件80周年の今年の春節前に、中国の動画サイトや微博で中国人向け投稿を頻繁にしているKat&Sidという米国人女性と中国人男性の二人組が、アパホテルの歴史本の存在を今更のように投稿して、批判し、中国のネットで炎上気味に拡散して、中国政府が旅行代理店や国民にはっきりと、アパホテルを使用するなと通達した一連の流れに、なにかしらの偶然とはいいがたいものを感じる。

もちろん、Kat&Sidが、中国共産党の手先だというつもりは毛頭ない。しかしながら、中国がこれまでとってきた、パブリックディプロマシー(公共外交)や歴史戦、国際世論戦の手法を思い返すと、最初のきっかけが偶然だとしても、中国当局はすぐさま戦略的に有効な展開を考えるものだ。そして、また日本のメディアも活動家も面白いようにそれに呼応してくれる」

さらに彼女は、中国の近年のパブリックディプロマシーの成果として「中国公共外交発展報告(2015)」の内容を紹介しています。その狙いは「安倍晋三の軍国主義復活を喧伝し、日米を離反させ、国際社会で日本を孤立させること」でした。中国出張中、テレビニュースを見ていると、今年に入っても日本に関する報道はそのような内容でほぼ占められていることを知るとき、まったく徹底していると感じます。中国メディアの特徴は、安倍首相が自衛隊といるときの映像を繰り返し使うことです。
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そして、今回の発端に象徴されるように、中国は今後ますますSNSを使った対日世論工作や国際世論形成に力を入れていくことになると指摘しています。

「こういう風に今年、中国が戦略的忍耐でもって、慎重に国際世論戦を展開してくるというなら、日本も慎重に迎え撃つしかない。右翼活動家の罵詈雑言による短絡的なカウンターデモは、はっきり言って、こうした公共外交、国際世論戦にとって日本の足を引っ張る以外の何者でもなかった」

ですから、今回の「カウンターデモ」は、中国の為政者に見事に踊らされてしまったも同然なんです。

最後に、福島さんは書きます。「日本の公共外交は、実のところ中国が歯噛みするほどの底力がある」。

そうなのです。いま多くの中国客が日本を訪れ、美しい風景や食事、サブカルチャーも含めた日本の多様な側面をSNSで広めてくれています。むしろ、こうしたことが中国の為政者に対するカウンターになるはずです。それ自体を目的とするのは本末転倒ですけれど、そのことに自覚的であってもいいと思います。

これからも彼らは私たちの嫌がることをあの手この手で仕かけてくるでしょう。今回は私企業に対する工作でもあり、義憤をおぼえた人も多かったのかもしれませんが、そうだとしたら、相手に乗せられたという話です。次回こうしたことが起きたときは、もう少し頭を冷やして、最も効果のある対応をすべきだと思います。それだけの手持ちは日本には豊富に揃っているのですから。

それからもうひとつ。日中の民間同士がいがみ合うことも、中国の為政者の思うつぼだということを頭に叩き込んでおきたいところです。民意によって選ばれたわけではない中国の為政者と民間人は区別しなければなりません。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-08 07:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 02月 07日

中国団体客が減って困る人、ほくそ笑む人?

今年の春節休み、ぼくは中国黒龍江省ハルビンの氷雪祭りを観に行っていました。LCCのスプリング・ジャパンが成田・ハルビン線を就航し、その初便に乗ることになったからです。この写真は、零下20度以下に冷え込んだハルビン国際空港に着陸し、初就航ということで歓迎垂れ幕が用意されていたときのものです。ピリピリと肌を刺すような寒さでした。
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189人乗りのボーイング737-800機のハルビン線は行きも帰りも満席で、往路の乗客の多くは日本在住の黒龍江省出身者の帰省客で、日本人客は10数名といったところ。もっとも、復路は一部日本ツアーに参加した中国の団体客もいました。
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黒龍江省出身者といえば、都内の在日中国人経営の中国料理店に出稼ぎとして数年単位で働いている中高年の女性たちのイメージが浮かびます。実際、今回乗ったハルビン線には、家族客もいましたが、それ以上に中高年の女性の姿が多く見られました。かつてはなかば出稼ぎ労働者だった彼女たちが、いまやレジャー目的の観光客として日本を訪れるようになったことは、時代の変化を感じさせます。

ところで、メディアは今年の春節休みの中国団体客が減っていると報じています。

春節も続く中国人客減 富士山麓の土産物店など悲鳴「団体客が前年の半分以下に」(産経news2017.2.2)
http://www.sankei.com/life/news/170202/lif1702020024-n1.html

1月27日から始まった中国の旧正月にあたる「春節」休暇は、2日で幕を閉じるが、山梨県の富士北麓エリアでは宿泊施設や土産物店から「客数が激減した」「爆買いがなくなった」と悲鳴が上がっている。県によると、中国人の宿泊者数は昨年10月、前年同月比49%減の3万4640人と3年2カ月ぶりにマイナスに転じ、11月も3万820人(同32%減)と落ち込みが続いている。春節期間中、日帰り客も多い大規模施設では例年並みに集客を確保したものの、“爆買い”を含め、中国人の姿はめっきり減っている。関係者は今後もこの傾向が続くのか、気をもんでいる。

中国人客の減少の影響は春節にも出ている。外国人客が多い河口湖畔のレストランでは、「団体客が前年の半分以下に減った」と嘆く。土産物店を併設する郷土料理店も「理由は分からないが中国人客が減っているのは確実。春節後の見通しはつかない」とため息をついた。

これらに対し、富士急ハイランド(富士吉田市)では中国人観光客向けの恒例の「春節イベント」を開催中。富士急行は「春節の来場者数は過去3年、横ばいで推移しており、今年も前年並みでは」と見込む。

外国人客が宿泊者総数の9割近くを占める富士河口湖町のホテルのフロント担当者は、「中国人団体客が前年同期と比べ約2割減。その分は個人客を増やして補った」と苦労を明かした。

ただ、同ホテルも昨年11月以降、中国人客を中心に宿泊客数の減少が前年比1割強の水準で続いた。「春節後は以前の状況に戻ると思う」と懸念する。

富士河口湖町観光連盟は「団体から個人へのシフトは昨年の春節から続く傾向だ。店舗でも“爆買い”が見られなくなっている」と指摘する。

山梨県観光企画課は「中国経済低迷による旅行離れや静岡空港の中国路線の大幅縮小などが影響している」と分析。「要因は複合している。過去のような伸びを期待するのは難しい」と今後を厳しく見通している。


富士河口湖町といえば、中国団体ツアーのゴールデンルート上に位置し、富士山観光の拠点のひとつとなる温泉郷でした。もう7~8年前ですが、中国団体客向けの温泉ホテルを始めた経営者に話を聞きにいったことがあります。当時から河口湖温泉では一部のホテルや旅館しか中国団体客の受入れをしていませんでした。むしろ山梨県では石和温泉郷が中国団体客の受け皿として知られています。こちらの入りはどうだったのでしょうか。

こんな記事もあります。この筆者は毎回興味深い上海事情を報告してくれますが、今回に関しては若干煽り気味に感じます。

宿泊業界大混乱、中国の団体旅行客はどこへ消えた?
キャパ拡大の設備投資は完全に裏目(JBPRESS2017.2.7)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49099

記事にはこうあります。「東京~富士山~大阪を結ぶ「ゴールデンルート」といえば、訪日客が最も集中する行程だ。ここでも異変が起きていた」。

「現地のホテルに問い合わせてみたところ、次のような回答が返ってきた。「今年の春節は、中国の個人客は何組かいらっしゃいますが、団体のお客様はいないのです」 過去には30~40名ほどの中国からの団体客を扱ったこともあると言うが、「なぜか今年の春節は来ない」のだという」。

そりゃあそうでしょう。中国の訪日客の客層が団体から個人へ移行する動きはすでに2015年から始まっていました。

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは? (2016年04月08日)
http://inbound.exblog.jp/25638388/

上海市場に限れば、すでに2015年に初めて団体客の数を個人客が上回っていたのです。そうなった背景には、15年1月の日本政府による個人マルチビザ取得要件の緩和がありますが、それをさらに加速させたのは、以下のような、いかにも中国的な事情がありました。

上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!? (2016年04月10日)
http://inbound.exblog.jp/25647061/

そして、個人化への流れはすでに半年遅れくらいで、地方の主要都市でも始まっていました。

中国内陸都市でも若い世代を中心に個人旅行化の機運が起きている(2016年03月09日)
http://inbound.exblog.jp/25481978/

その意味では、今年の春節休みの中国団体客の減少はすでに予測されていたものだったのです。

同記事は、その最も顕著な例として、静岡空港の中国路線が16年秋以降、一気に減ったことを挙げています。

「2014年7月末に3路線13便だった中国路線は、2015年7月末には13路線47便にまで拡大した。静岡空港における国際線の搭乗者数は40万人目前に迫った。ところが2016年は一転して減少し、約28万人にとどまった。減少の理由はほかでもない、中国からの団体客が減ったためである。

静岡県文化・観光部が行った調査によれば、2015年に静岡空港を利用した中国人客は97%が団体ツアーの客だったという。だが、そうした団体ツアーの利用客がめっきり減ってしまった。

その結果、2016年は中国からの旅客機の運休が相次いだ。結局、静岡空港では、13あった中国路線が上海経由武漢、寧波、杭州、南京の4路線だけに縮小してしまっている」

この点については、本ブログでも、ちょうど1年前に報告していました。ぼくは静岡空港を訪ね、関係者に話を聞いていましたが、彼らも当時はこれほど急増したことに疑心暗鬼のところもありました。ですから、16年に入って急減したことも、あり得ることとある程度予測していたと思います。

静岡空港行きの中国路線はなぜ1年でこんなに増えたのか? (2016年01月25日)
http://inbound.exblog.jp/25298380/

富士山静岡空港
http://www.mtfuji-shizuokaairport.jp/

同記事では「富士山静岡空港もその1つで、「急激に増えた中国人客により、手荷物検査や税関などで対応に苦慮した」(同観光部)という。そこで昨年11月より、ターミナルビルの増改築に乗り出している」「しかし、その目論見は早くも頓挫している。中国人の団体客が姿を消した今、「投資を回収できるのかという深刻な問題に直面している」(前出のホテル経営者)」と、中国団体客急増に備えて投資をした一部のホテルや同空港の「目論見は早くも頓挫」したと決めつけています。

まったく訪日中国旅行市場というのは、急に増えたり減ったり、人騒がせなところがあります。でも、こうしたアップダウンは、11年の東日本大震災、13年の「尖閣諸島国有化」への反発などで、これまでも数年おきに起きていたことです。ですから、いまさら「目論見は頓挫」というのはどうでしょう。

それにしても、2015年に中国の地方都市から一気に日本路線が拡充したものの、その後運休が相次いだ理由には、やはり中国の地方経済の問題がありそうです。要するに、地方都市では思ったほど団体客が集められないのでしょう。

さらにいうと、いまの中国の旅行会社も、特色もなく安いだけの、しかもキックバックモデルに依存した団体ツアーをいくらやっても儲からないので、以前のようなやる気を失っていることも考えられます。個人化とオンライン化が進んでいることが背景にあります。

こうして中国団体客が減ることで困る人たちも大勢いると思いますが、その一方でほくそ笑んでいる人たちもいるように思います。たとえば、不法ガイドやブラック免税店への対処を問われている監督官庁の関係者。要するに、これらの問題は団体客が多いから発生しているわけで、それが減れば問題も勝手に沈静化していくかもしれないからです。そう簡単にはいかないと思いますけれど。

それはともかく、今年の春節休みに中国客はどのくらい日本に来たのでしょうか。中国の海外旅行市場の専門家によると、今年の冬もPM2.5は猛威を振るっており、海外逃避旅行は増えると言っていました。方面としては、台湾、香港、韓国は政治的な理由で減少する一方、タイや日本が増えるとのことでした。

今年の春節休みも「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのだろうか? (2017年01月13日)
http://inbound.exblog.jp/26552082/

実際のところ、どうなのでしょう。今月中旬に、日本政府観光局(JNTO)が1月分の各国別訪日数を公表しますので、それを待つことにしましょう。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-07 11:17 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 26日

だから嫌われる!? 今年の春節も観光を政治の取引に使う中国にうんざり

まもなく春節休みに入りますが、ロイター通信が以下の記事を配信しています。

中国旧正月休暇の観光客渡航先、外交関係が影響も(ロイター2017.1.23)
http://jp.reuters.com/article/lunar-newyear-china-tourism-idJPKBN1570NQ

[上海/北京 22日 ロイター] - 中国は1月27日から2月2日まで旧正月の長期休暇に入り、連休中に海外を訪れる中国人観光客は600万人に上ると予想されている。台湾の旅行会社を経営するLi Chi-yueh氏にとって、旧正月は非常に重要な時期となる。

同氏の会社は売り上げの3分の1を中国本土の観光客から得ているが、今年は大きな期待は寄せていない。昨年5月に台湾で蔡英文政権が発足して以降、本土からの観光客は36%減少した。

同氏は「中国は観光客を外交面での武器として使っている」とし、「現状が改善しなければこの業界は生き残れないという懸念は強い」と述べた。

昨年8月に韓国を訪問した中国人観光客は前年同月比70.2%増、9月は22.8%増だったが、11月には増加率がわずか1.8%に急減。これは中東呼吸器症候群(MERS)の流行を受けて32%減となった2015年8月以来、最悪の数字となる。

米国は昨年11月、THAADが8-10カ月以内に韓国に配備される予定だと明らかにした。

<フィリピンやマレーシアでは急増>

対照的に、フィリピンとマレーシアについては、渡航勧告の解除やビザ規制の緩和を背景に中国人観光客の伸びが顕著だ。両国はいずれも過去数カ月間で中国との外交関係が緊密化している。

昨年3─12月にマレーシアを訪れた中国人観光客は前年同期比83%増加した。

マレーシアのナジブ首相は昨年11月に訪中し、約340億ドル相当の契約を締結した。

南シナ海の領有権をめぐって中国と対立してきたフィリピンでは、ドゥテルテ大統領が米国と距離を置く一方、中国に近づく姿勢を示している。昨年1─10月の中国からフィリピンへの観光客は前年同期比40%増となった。

中国人観光客は海外での支出額が最も大きく、ユーロモニターのデータによると、今年の支出額は2100億ドルに達する見通し。中国企業による2016年の海外企業合併・買収(M&A)総額の2倍となる。

<観光業は外交の一部>

中国本土の旅行会社はロイターに対し、一部の国への観光客の数が変わってきていることは認めたものの、特定の旅行先への訪問を控えさせるよう政府から指示があったかどうかについてはコメントしなかった。

国営旅行会社大手の中青旅(CYTS)の最高ブランド責任者は、「観光客は、訪れても歓迎されない可能性のある国は避ける」と述べ、「観光業は多くの面で外交の一部であることから政治・外交上の問題も影響する」と指摘。ただその上で、「パッケージ旅行を企画する際に基本となるのは旅行者の需要だ」と述べた。

春秋航空(601021.SS)の親会社である上海春秋国際旅行社はロイターに対し、台湾ツアーの運行頻度は減り規模も縮小したと明らかにした。韓国への団体ツアーは20%減少したという。「よく知られている」理由から、中国人観光客が「より友好的な他の旅行先を選びつつある」との見方を示した。

中国国際航空(エア・チャイナ)(601111.SS) (0753.HK)によると、欧州や東南アジアへの旅行者は増加している。同社のマーケティング責任者は「市場の需要に基づき運航路線を調整している」と説明した。


これまで本ブログで何度も指摘してきた話です。中国の旅行関係者から「観光客は、訪れても歓迎されない可能性のある国は避ける」というもっともらしいコメントを引き出していますが、上からの通達で彼らがそうしていることはすでに知られています。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/
フィリピンでも「爆買い」!?  それは中国が観光を政治の取引に使ったという話にすぎない
http://inbound.exblog.jp/26418629/

いまの中国において相手が「友好的」な国かどうかを判断するのは国民ではなく政府です。「観光は外交の一部」という言葉じりだけとれば、そのとおりなのかもしれませんが、本来、民間レベルの国際親善や異文化交流など、さまざまな意義のある観光をここまで露骨に政治の取引に使ってばかりいると、逆に多くの国々の人たちが旅行先として中国を選ばなくなるだろうということです。ここ数年の統計をみるかぎり、中国を訪れる外国人の数は伸び悩んでいることがそれを証明しています。

【追記】
先日、中国の旅行関係者から聞いた話では、今年中国から韓国へのチャーター便を利用したツアーはすべて禁止するよう当局からの通達があったそうです。航空機の座席を丸ごと旅行会社が買い取り、集客を図るチャーター便は大量送客の最も有効なビジネスモデルです。それを政府が民間企業に禁じるお国柄であることを知っておくべきでしょう。

そんなこともあって、いま韓国の旅行業者は日本客の誘致に力を入れようとしています。なかなか難しいのではないでしょうか。(2017.2.5)

【追記その2】
こんな記事も出ました。訪台中国人数が初の前年割れしたようです。

台湾に2016年、中国から訪れた旅行客の数が前年より約16%減少した。08年に中国人客の旅行が解禁されて以来、前年割れは初めて。一方、日本や韓国などからの訪問は増加し、海外から台湾を訪れた旅行客全体は1千万人を超えて、過去最高を記録した。

台湾の行政院(内閣)が今月、統計をまとめた。中国は昨年1月に当選した台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統に対して、台湾は中国の一部であるという「一つの中国」原則を認めるよう圧力を強めている。中国側の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の報道官は先月、「台湾当局の政策変更により、両岸(中台)の交流の雰囲気が悪化し、台湾に向かう民衆の意欲に影響している」などと述べていた。

統計によると、昨年の旅行客は1069万人(前年比2・4%増)。最多は中国からの351万人(同16・1%減)で、減少したとはいえ全体では最大の3割以上を占める。日本は2番目の190万人(同16・5%増)、3番目の韓国は88万人(同34・3%増)だった。

蔡氏は9日、自身のツイッターで全体数の記録更新を報告。英語や中国で使われている簡体字、日本語、ハングルなどで、「ありがとうございました!」とつぶやいた


台湾への中国人客、初の前年割れ 全旅行客では過去最高(朝日新聞2017年2月9日)
http://www.asahi.com/articles/ASK2944RHK29UHBI00T.html
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by sanyo-kansatu | 2017-01-26 03:07 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 23日

ついにVPN規制!? 外国人にSNSを使わせないようでは、誰も中国に行かなくなるぞ

中国では、LINEやFacebook、InstagramなどのSNSはもちろんのこと、GmailやYOU TUBE、ユーストリーム、ニコニコ動画をはじめ、YahooやExciteのブログなども閲覧不可です。

LINEやGmailが急に使えなくなったのは、2014年7月頃からでした。

LINEとGmailが使えない中国ってどうよ
http://inbound.exblog.jp/23696725/

いまの時代、海外旅行にとってSNSは欠かせないアイテムです。中国人も世界中を訪ね、旅先で撮った写真や動画を微信(WeChat)で送りまくっています。

自分たちが海外でいちばん楽しんでいることを、自国では外国人にやらせないのでは、誰も中国に足を運びたがらなくなるのではないでしょうか。こんなことでは、外国人は中国に来ることを歓迎されていないのだとみなされても仕方がありません。

外国客を呼びたいなら、中国はFacebookやLineを解禁すべきでは!
http://inbound.exblog.jp/25920704/

それでも、これまで中国でFacebookやTwitterを使うことが絶対できないわけではありませんでした。VPN(ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク)を通すことで、中国在住の日本人や日本語のわかる中国人はFacebookを利用してきたのです。

ところが、今日、以下のニュースを知りました。

ネット規制、さらに強化=VPNを許可制に-中国(時事通信2017.1.23)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012300741&g=int

【北京時事】中国工業・情報化省は22日、当局の許可なくインターネットの仮想プライベートネットワーク(VPN)の提供を禁じる通知を出した。VPNは当局の検閲規制を乗り越えるもの。中国では、グーグルなどの規制対象サイトはVPNを通じて閲覧されてきたが、接続が一層困難となりそうだ。

中国では、当局に不都合な情報を規制する「グレート・ファイアウオール」という検閲システムが使われている。フェイスブック、ツイッターのほか、体制批判の記事を掲載する海外サイトなどの接続にVPNが利用されている。

今回の通知は、ネット情報の安全管理強化を名目に、来年3月末まで不正取り締まりを行うと定めている。

中国当局は海外からの情報流入に神経をとがらせ、これまでもVPNが機能しない状態になることがあった。今回の通知は、習近平指導部の2期目の人事を決める5年に1度の共産党大会を秋に控えた言論統制強化の一環とみられる。


先ごろ、中国の習近平国家主席はスイスのダボス会議で「保護主義」や「反グローバル化」を批判したそうです。

習近平、ダボス会議で主役 ――「鬼」のいぬ間に(Newsweek2017年1月18日)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/post-6748.php

「当局に不都合な情報」があっても、それを受けとめるのが為政者というもの。たかが海外のSNSを自国民や外国人が利用することすら警戒するなんて「保護主義」の極みではないか。どの口が言うのだろうか、と呆れてしまいますが、こういうことが平気で言えるわけですから、臆面もなくVPN規制を進めていくのでしょう。

これでは、外国人はますます中国に行かなくなってしまいますね。2022年には北京冬期五輪もあるのに、どうするつもりなのでしょう? 

中国の為政者というのは、きっと批判に打たれ弱いんでしょうね。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-23 20:34 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 20日

世界でいちばん複雑な東京の交通網を前にして(ツアーバス路駐台数調査 2017年1月)

2017年になりました。昨年の訪日外国人旅行者数が2403万人になったことが報じられたばかりですが、新宿5丁目に現れるバスの台数は例年に比べると、かなり減っているようです。

背景には、中国客の団体旅行から個人旅行への移行が進んだこともありますが、先日ある方に聞いた話では、いま八王子周辺のホテルに中国の団体客が集中しているそうです。もちろん、八王子だけでなく、千葉県の木更津や茨城県、埼玉県など、周辺に分散化が進んでいるため、都心の新宿に現れるバスが減ってきたことも考えられます。

ところで、先日大江戸線東新宿駅の改札の前で、東京の地下鉄路線図を見ながらああだこうだと言っている外国客を見かけました。会話を聞くと、中国南方方言です。東京の交通網の複雑さは世界一といってもかまわないでしょうから、外国客にとっては大変なことでしょう。
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※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(日)未確認
2日(月)未確認
3日(火)未確認
4日(水)未確認
5日(木)18:20 2台
6日(金)12:10 1台
7日(土)未確認
8日(日)未確認
9日(月)12:10 2台、17:50 1台
10日(火)未確認
11日(水)12:30 2台
12日(木)未確認
13日(金)12:40 2台
14日(土)未確認
15日(日)未確認
16日(月)未確認
17日(火)11:50 1台
18日(水)12:10 2台
19日(木)13:20 1台
20日(金)13:10 1台
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※この日も、中国客向け食堂「金鍋」の前には中国団体客がたむろしていました。

21日(土)未確認
22日(日)未確認
23日(月)11:40 5台
※春節休みが近づいてきて、さすがにバスの数が増えてきました。「金鍋」の店内はいつにもまして大勢の中国客が食事をしていました。

24日(火)11:50 5台
25日(水)12:20 4台
26日(木)12:40 4台
27日(金)11:30 5台
28日(土)12:20 4台
29日(日)未確認
30日(月)未確認
31日(火)未確認
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by sanyo-kansatu | 2017-01-20 14:58 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2017年 01月 17日

中国SNSでアパホテル炎上 春節はどうなる?

ネットで嫌なニュースを見つけてしまいました。

「アパホテル」中国のSNSで“炎上”「南京大虐殺を否定するCEOの著書が客室に」 
告発動画「微博」で6800万再生(ITmediaニュース2017年01月17日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1701/17/news088.html

日本のホテルチェーン・アパホテルが、中国のSNS「微博」で炎上状態になっている。「アパホテルCEOが執筆した、南京大虐殺を否定する内容を含む書籍が全客室に置かれている。中国人はこの事実を知った上で宿泊するかどうか決めるべき」と、米国人の学生が「微博」に動画を投稿して告発。この動画が2日で6800万再生を超え、中国ネットユーザーの批判を浴びている。

動画は、米ニューヨークに住む米国人女子大学生Katさんと中国人男子大学生Sidさんのコンビ「KatAndSid」が15日夕方に投稿したもの。2人は1月、東京に旅行に行った際、アパホテルに宿泊し、部屋にあった書籍を読んでショックを受けたという。

書籍は、アパグループ代表の元谷外志雄さんが「藤誠志」のペンネームで執筆した「理論近現代史学II」(英題は「THEORETICAL MODERN HISTORY II」)で、「南京大虐殺はねつ造だ」「従軍慰安婦の強制連行はなかった」などと主張している。

動画では、Katさんがアパホテルのフロントで書籍を購入し、ページを開いて英語版の内容を紹介。南京大虐殺を否定している部分などを読み上げ、「彼には、自分の本をホテルに置いたり自分が言いたいことを言う権利はあるが、彼の政治的思想を知らない中国人・韓国人客からお金を取っているのは不誠実だ。このホテルに支払ったお金は、CEOのこのような政治的思想をサポートすることになる」と話す。

2人は日本で素晴らしい時間を過ごしたといい、「日本の人達はとても親切で礼儀正しい」と称賛。アパホテルの書籍を批判する動画を公開するかは迷ったが、「このホテルにお金を払う人は真実を知るべき」と考え、公開に踏み切ったという。「これはこのホテルだけの問題で、この国やこの国の人々には関係ない。日本をディスるつもりはない」としている。

動画は17日午前11時半までに6800万再生を超えた。シェアは60万以上、「いいね」は32万以上、コメントは2万9000以上投稿されており、「客観的なリポートをありがとう」「このホテルには泊まらない」などの声が寄せられている。

中国共産党の機関誌「人民日報」国際版の「GlobalTimes」もこの問題を報道。記事によると、中国の旅行会社・黄光グループは、この問題を受けてアパホテルの予約受け付けを停止したという。アパホテルの公式サイトは17日午前10時現在、つながりづらい状態になっている。


この記事では、悪名高い中国のタブロイド紙「環球時報」の英語版でもこの問題を取り上げていることや、海外向けにはYOU TUBEも活用されていることを紹介しています。

Chinese outraged over books at Japanese hotels that deny Nanjing Massacre(南京虐殺を否定する日本のホテルの本に中国人は憤慨する) (Global Times Published: 2017/1/16)
http://www.globaltimes.cn/content/1029025.shtml

RIGHT-WING NATIONALIST HOTELS IN JAPAN 每个人都应该知道的事实(日本の右翼・国家主義者のホテル)(YOU TUBE)
https://www.youtube.com/watch?v=rmoTcP-G8r8

このように中国は、いつでも対日宣伝戦を用意しているんですね。たまたま今日配信されていたJBPressの以下の記事がそのテーマを扱っていたので、やっぱりなあという感じです。

無から有を創り出す中国のプロパガンダ戦略
『孫子』はいまも生き続けている(JBPress2017.1.17)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48918

今月1月28日は中国の旧正月(春節)ですから、この時期にこの一件を問題にしたのは、中国客の訪問を待つ日本のホテル業界をはじめとするインバウンド関係者とその背後にある世論に対する揺さぶりのためでしょう。もしこれで中国客のキャンセルが続出という事態にまで至るとしたら、「悪いのはアパグループだ」と責任を押しつけることで、同グループの評判を落とし、日本国内での立場を貶め、結果的に、自らの主張を認めさせることを迫るというわけです。そこまで波及することはなくても、アパグループに対して中国客の予約キャンセルを集中的に浴びせるよう自国民を誘導することで、同じ成果を手にすることを目的にしているのです。

※アパグループの客室稼働率は好調で、外国人利用比率も高いことで知られています。国籍的には必ずしも中国客の利用だけでなく、多国籍化が見られるようですが、地方都市では中国の団体客の利用も多そうです。

アパグループの都心出店攻勢は驚異的。今年も続々開業予定
http://inbound.exblog.jp/24543248/
今年4月、アパホテルの宿泊客の4人に1人が外国人だったことの意味
http://inbound.exblog.jp/24687702/
「ホテルは立地産業。五輪前のいまは攻めどころ」(元谷外志雄アパグループ会長)
http://inbound.exblog.jp/24688926/

中国の宣伝戦の特徴は、まず標的を決め、標的とそれ以外の民衆との間に敵対関係を演出し、お互いをいがみ合わせることにあります。最初にアメリカで火をつけ、中国国内に還流させるというやり方もよく計算されたものでしょう。

昨秋、中国政府は香港や台湾に続き、THAAD配備を決めた韓国への観光客を減らす通達を出したばかりです。その狙いは、これらの国々の経済に打撃を与え、中国の意向に従わないことは不利益をもたらすと悟らせることです。中国政府にとって観光は政治の取引に使う道具でもあるのです。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

さすがに、この並びに日本を加えてしまうと、中国客を送る有望な海外旅行先が減ってしまい、困るのは中国の旅行産業ではないかという事情もありそうですが、中国政府としては、日本に対しても「いつでも観光客を減らすことはできるんだぞ」という脅しの意味はありそうです。

それでも、PM2.5苦にあえぐ中国都市部の中間層は、春節休みを使って海外逃避を図ろうとする動きは強いようです。その人気先は、タイと日本だそうです。

今年の春節休みも「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのだろうか?
http://inbound.exblog.jp/26552082/

さあ、これからどんな展開になるのか。

今回は特定の企業を標的にしましたが、こうしたことは対象を変えて今後も起こりうることでしょう。

それにしても、こんなことして、世界中に争いの種をふりまいてばかりでどうするのでしょう。わかりやすい敵を設定し、民衆同士を盲目的に対立させ、諍いの火を投げ込み、双方を怒りや憎しみで火だるまにすることで、自らへの批判が向かわないようにするというのは、中国の為政者の常套手段です。自国内で散々繰り返されてきた民衆間の対立を煽る「工作」を、彼らは国際社会に持ち込みます。でも、これを仕掛けられたら、文革のときに苦しめられた中国の人たちと同じように、海外の人たちも中国の為政者をますます警戒するようになってしまいますよね。少なくとも、アジアにおいては、逆効果を生み始めているように思います。

【追記】
翌日、中国からアパホテルのネット予約ができなくなりました。これで政府が関与していることがはっきりしましたね。

アパホテル、ネット予約できず=南京事件否定の書籍批判-中国(時事通信2017/01/18)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011800833&g=soc

【北京時事】中国の複数の大手インターネット旅行代理店で18日、客室に旧日本軍による「南京事件」を否定する内容の書籍が置かれているとして、批判が出ているアパホテルの予約ができなくなった。中国は27日から春節(旧正月)の大型連休に入る。日本も人気の旅行先だが、影響が長引く可能性もある。

このうち、予約サイトの「携程(シートリップ)網」では、18日には検索しても同ホテルが表示されなくなった。

問い合わせ先の担当者は「南京大虐殺を否定するような書籍が置かれているため。国内の多くのサイトでも予約できない」と語った。

書籍はアパグループの元谷外志雄代表の著作で、中国が犠牲者30万人と主張する「いわゆる南京虐殺事件がでっち上げであり、存在しなかったことは明らか」と記述している。同グループは「事実に基づき本当の歴史を知ることを目的としている」として、客室から撤去しない方針を示している。

日本国内のアパホテルは155カ所。アパホテルの公式サイトがつながらない状態になっており、アパグループは「詳細は調査中だが、サイバー攻撃と思われる異常なアクセスが継続している」と指摘した。


【追記その2】
朝日新聞でもこの問題を取り上げています。

南京事件に否定的な本、中国でホテル批判(朝日デジタル2017年1月19日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12754217.html

この記事によると、(ホテルに)「何を置くかは自由」という識者の声がある一方、訪日外国客の受入れを担うインバウンド関係者の以下のようなコメントを載せています。

中国人観光客を受け入れる旅行会社(福岡市)の役員は「日本国内に歴史修正主義的な議論があることは中国人はよく知っている。『またか』と受け止めるのでは」。一方、ある大手旅行会社幹部は「中国の人たちが日本全体のおもてなし業界に不信感を持つことが心配だ」と話す。

記事に客観性を持たせるために、異なる意見を併記するということなのでしょうが、中国側の主張を直接受けとめざるを得ないのがインバウンド関係者であることから、こうしたコメントを引き出すこと自体、中国政府の狙いどおりともいえます。

こんな記事も出てきました。

アパホテルの南京大虐殺否定本に対抗、中国のホテルが「ラーベの日記」を客室に―中国メディア(2017年1月19日レコードチャイナ)
http://www.recordchina.co.jp/a161256.html

(一部抜粋)2017年1月19日、澎湃新聞によると、日本のビジネスホテル大手のアパホテルが客室内に南京大虐殺を否定する本を置いた問題で、中国浙江省台州市のホテルがこのほど、旧日本軍から南京市民を救ったとされるドイツ人、ジョン・ラーベの日記を客室に置くと発表した。

こういうお調子ノリが中国ではすぐ出てくるんですよね。これなど「わかりやすい敵を設定し、民衆同士を盲目的に対立」させる政府の狙いを忖度し、同調する動きといえるでしょう。

【追記その3】
ついに中国政府は表に立ってアパホテルの利用中止を国内業者に強制し始めました。ここまで騒ぎ立てなければ気がすまないやり口をみる限り、特定の企業を標的にした「対日宣伝戦」という見立てどおりでしたね。

アパホテルの利用中止要求 中国政府、国内旅行業者に(朝日新聞2017年1月24日)
http://www.asahi.com/articles/ASK1S5FTNK1SUHBI01G.html

要するに、中国政府は今回の仕掛けによって、毎度のことですが、中国の民衆が日本の「右翼」の「歴史認識」について怒りを持っているというメッセージを広く日本の一般国民に印象付けることが目的だったのです。結果、アパホテルの中国客の利用が減れば、それもまたなおよし。日本国内に波紋をもたらし、自国民の批判の矛先を回避させるというふたつの目的を一挙に達成できる。両国民の関係を険悪にさせることは、いまの中国の為政者にとっては好都合なのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-17 14:59 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 14日

北海道のローカル駅の線路に入る「危ない訪日客」が出没する理由がわかってしまいました

今朝、ネットで地方新聞のこんな記事を読みました。

線路から撮影 危ない訪日客 JR朝里駅へ映画ロケ地巡り(北海道新聞2017.1.13)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0357425-s.html

【小樽】JR函館線朝里駅(小樽市朝里)の周辺で、線路に入って写真を撮る外国人観光客が相次いでいる。昨年12月から列車の急停止や発車の遅れが6件発生。朝里でロケをした映画が中国と韓国で上映されたことを契機に、無人駅の同駅を訪れ、記念写真を撮る外国人観光客が増えていることが背景にあるようだ。JR北海道は朝里駅や小樽駅に注意を呼び掛けるポスターを張って再発防止に努めている。

朝里駅を所管する小樽駅によると、線路内に入る外国人観光客が最初に確認されたのは昨年12月4日。遮断機が下りている同駅近くの踏切内にいた外国人を普通列車の運転士が発見。同駅を出発するのが5分遅れた。その後も1月12日までに外国人が線路内に入ったり、踏切内に入ったりして列車が急停止や遅れた事例が5件続いた。列車の乗客も含めけが人はなかった。

朝里駅は2015年1月、新婚夫婦がハネムーン先の小樽で繰り広げる人間模様を描いた台湾の監督の短編映画のロケ地となり、同8月に中国で公開された。また、韓国では1995年に日本で公開され、99年に韓国で大ヒットした映画「Love Letter(ラブレター)」が昨年1月に再上映された。ラブレターは小樽市朝里の中学校がロケ地の一つで、短編映画とラブレターの再上映によって、中国人や韓国人の間で朝里の人気が高まっているという。


このところ連日出てくる“人騒がせな外国人観光客”の新ネタがまた登場したかと思いながら読んだのですが、記事に出てくる2015年夏に中国で公開されたという「台湾の監督の短編映画」とはどんな作品なのか気になったので、ネットで調べてみました。

なんでも5人の若手監督によるラブストーリーを集めた中国のオムニバス映画『Cities in Love(恋愛する都市)』の一編として、台湾人監督の傅天余さんが撮った『蜜月』という作品だそうです。傅さんは1973年台中生まれの女性で、『Love Letter』の岩井俊二監督に影響を受けたといいます。岩井監督はこの映画の監修も務めています。

【参考】
恋爱中的城市 (2015)
https://movie.douban.com/subject/26263443/
傅天余 Fu Tien-yu
https://movie.douban.com/celebrity/1320962/
台湾の監督が小樽ロケ!(2015年1月に行われたロケの経緯について)
http://kitanoeizou.net/blog/?p=9740
中国映画のロケ撮影が茨木家中出張番屋でありました   
http://tanage.jp/info/?c=1&s=16491

いったいこの作品はどんなストーリーなのでしょうか。中国のネットで調べてみると、北海道を舞台にした中国人カップルのハネムーン旅行を描いた20分ほどの短編作品ということです。

(参考)
最爱北海道蜜月之行的那个故事
https://movie.douban.com/review/7594646/
《恋爱中的城市》北海道特辑 江一燕张孝全蜜月(人民網2015年07月31日)
http://ent.people.com.cn/n/2015/0731/c1012-27393427.html
《恋爱中的城市》曝特辑 江一燕张孝全“滚床单”
https://m.sohu.com/n/417908331/

実際に映画を観ることにしました。YOU TUBEで誰でも観ることができます。
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恋爱中的城市(YOU TUBE)※『蜜月』は1時間2分40秒頃から。
https://www.youtube.com/watch?v=JT6K7HyzAPE

とてもほのぼのしたいい映画でした。この作品に見られる日本人に対する温かいまなざしは、いかにも台湾人監督らしいと感じました。ハネムーンの話ということで、いまの若い台湾人や、おそらく中国人も、日本で体験したいことがすべて盛り込まれているような印象です。

本当はこんなネタバレ許されないことなのですが、いま彼らが日本でどんな旅行をしたいのかを理解するという観点から、作品のいくつかのシーンをストーリーに沿って紹介しようと思います。
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ふたりが窓の外の雪景色を見ながら温泉に入るシーンから始まります。
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部屋に戻ったふたりがそろそろ床に就こうとしていると、新郎の携帯が鳴ります。電話の相手は彼の会社のボスで、彼のスマホに北海道産のある干物屋の写真を送ってきます。要するに、土産に買ってこいというわけです。
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「磯松屋」とあります。

翌朝の朝食シーンです。少々抵抗を覚えつつ、納豆を食べてみるというのは中国人の日本旅行の定番シーンです。
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新婦は北海道で行きたいこと、食べたいもの、体験したいことを時間刻みにいっぱい計画していて、そんな話ばかりしています。ところが、彼は浮かない顔。その理由は、昨晩のボスからの電話で頼まれた「磯松屋」の干物を土産に買ってこなければならないことを彼女に告げなければならないからです。
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結局、そのためふたりはその日の温泉宿をキャンセルし、住所しかわからない「磯松屋」を訪ねることになります。

小樽駅で駅員に降りるべき駅を聞いているシーンです。
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そして、ふたりは朝8時7分発の長万部行きに乗り込みます。
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自分の立てていた計画をすっかり変更させられたことで、彼女は電車の中でそっぽを向いています。
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駅弁シーンも盛り込まれています。「本当は焼肉を食べるはずだったのに…」と彼女は不満げです。
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そして、ふたりが降りたのが問題のJR函館本線の朝里駅です。小樽駅から札幌方面に向かう2つめの駅です。
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この映画を観た中国客たちが「危ない訪日客」となってしまうのです。ここは無人駅です。彼らからすると、映画のようにふたりだけの世界になれる無人駅ほど気分を盛り上げてくれるスポットもないのだろうと思われます。だいたい無人駅だなんて中国では考えられないでしょうし。
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面白いのは、その後ふたりは路線バスに乗ることです。中国の人たちというより、特に台湾の人たちが、こういうことを体験したくてたまらないのでしょう。日本のテレビ局が予算をかけずに作れることから盛んに放映している路線バスの旅番組の影響もあるのかもしれません。バスの中ではふたりの気持ちはとうとう離れてしまったようです。「せっかくのハネムーンなのに、自分はどこに連れて行かれているのだろう…」。彼女の気持ちは理解できます。
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バスを降りて、雪道をどこにあるのかもわからない干物屋を探して歩いているうちに、ふたりは大喧嘩を始めてしまいます。そして、ついに彼女は彼を置き去りにして、ひとりで歩いていってしまいます。
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そして、日が暮れます。ところが、なぜか日本家屋の中で横たわっている彼女のシーンに変わります。隣の部屋では老夫婦が睦まじく食事をしています。奥さんがご主人の茶碗にたくわんを入れてあげようとしているところなど、実に演出が細かいというべきか。
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一方、彼は大雪の人通りのない路上でスーツケースの上に座って途方に暮れています。すると、先ほどやけになって雪の中に投げ込んだ携帯が鳴ります。彼は慌てて雪の中から携帯を取り出します。彼はその電話の相手をボスだと思いこんでいます。というのも、昨晩からうるさいくらい何度も掛かってきていたからです。
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ところが、相手は彼女でした。そして、彼女は言います。「本当に見つかったのよ(我真的找到了)」。この台詞がいいですね。でも、彼は最初、その意味がわかりません。
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そして、次に映し出されるのが干物の入った「磯松屋」の木のケースでした。詳しい経緯は語られませんが、彼女はすでに干物屋を見つけていて、家の中で休ませてもらっていたのです。
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「磯松屋」の老夫婦は不思議そうにふたりを見つめます。「新婚旅行?」「こんなところに?」「若い人たちが考えることはわからないわねえ」。
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そして、彼らは自分たちが新婚旅行でハワイに行った話を始めます。ご主人はその費用を会社の社長に借りて、返すまでに2年もかかったという話をします。
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もちろん、ふたりはそんな日本語がわかるはずもないのですが、熱燗を酌み交わします。
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この日、喧嘩ばかりしていたふたりが寄り添うところで終幕です。

さて、この作品には、以下のようなシーンが出てきます。

雪景色、温泉、納豆、ローカル線、駅弁、無人駅、ローカルバス、雪道を歩くこと、日本酒、ホームステイ(民泊)

一見なんの変哲もないシーンのようですが、これらはすべていまの若い中国人が日本で体験したいことのラインナップ(もちろん、一例ですけれど)だと解釈できるのではないかと思いました。

ここには、彼女が計画に入れていた和牛の焼肉やタラバガニの食事もそうですし、ドラッグストアや免税店の買い物といった一般の日本人がイメージする訪日中国客が日本でやってることは一切出てきません。彼女が「見つけた」ものの価値に比べれば、そんな誰でもできるようなものなんて、たいしたことではないのです。

(とはいいつつも、実際には、帰国の前日、彼らは札幌市内のドラッグストアと免税店に必ず行くことになるとは思いますけれど….。それじゃ物語が台無しですものね)。

最初にも書きましたが、日本人老夫婦のキャラ設定やその描き方は、台湾人監督ならではで、地方に住む日本人の雰囲気をよく理解していると思いました。この世代の老夫婦の新婚旅行先がハワイだった(おそらく1970年代)という台詞も、昔から日本のことをよく知っている台湾人だからわかる話で、最近になって海外旅行に行き始めたばかりの中国人にはちょっと想像がつかないことでしょう。

「危ない訪日客」はこの作品を観た人たちだったのです。まずこれを確認しておきましょう。

だからといって、線路に降りたり、踏切内に入ってしまうことは問題です。

では、どうやって彼らにそれをやめさせるか。そのための告知をどうするか。北海道新聞の記事にあるように、駅に外国語表示を付けるだけでは十分ではなさそうです。やはり、こういう場合は、日本にある中国国家観光局に申し入れをして、中国側にメディアなどを通じて伝えてもらうことではないでしょうか。

せっかくのいい映画なので、これが元でお互いが険悪になるのだけは避けたいものです。

ところで、オムニバス映画『Cities in Love(恋愛する都市)』の残りの4つの作品の舞台は、プラハ、パリ、上海、フィレンツェです。それぞれ監督も違い、作風もまちまちですが、『蜜月』ほど旅を誘ってくれる作品はないと思います。

【追記】
この北海道を舞台にしたラブコメ映画は、2008年に中国で公開された 『非誠勿擾』(馮小剛監督)と比べてみると、いろんな意味で、この間の時代の変化を感じさせます。

非誠勿擾公式サイト
http://feichengwurao.sina.com.cn/
非誠勿擾 (YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=F1MOIhEVluI

この作品については、すでに多くの解説が行われているので、詳しくは触れませんが、ひとことで言えば、「中国人が北海道を発見」するきっかけとなる映画でした。普段は「日本といえばニッポン兵」とばかりに抗日ドラマばかりを見せられていた彼らにとって、映像で目にした北海道の風景は日本のイメージを大きく変えたといわれています。

当時、中国人に対する個人ビザが解禁されていませんでしたから、カップルが自由に車で移動しながら北海道を旅行するということは、一般中国国民にはできないことであり、それゆえ大ヒットとなったのです。当時は、「団体ではなく、個人で日本を旅行する」ということが憧れだったのです。

※主人公の男性が「海亀」(海外で働いた後、帰国した中国人)という設定だから、この時期、個人旅行できたといえます。商務ビザで日本を訪ねる人たちと同じです。

その後、北海道は中国人の人気観光地になり、大挙して訪れたことは周知のとおりです。

そして、『蜜月』が公開された2015年、すでに多くの個人客が日本を訪れるようになっていました。特にこの年1月の個人マルチビザの緩和は訪日中国客を倍増させました(14年:240万人→15年:499万人)。

監督が台湾人であることを大きく差し引かなければならないとは思いますが、『Cities in Love(恋愛する都市)』はまがりなりにも中国映画ですから、いまの中国人の日本旅行のニーズを先取りし、体現しようとしているところはあると思います。『蜜月』のカップルは、当たり前のように、個人ビザで北海道を訪れ、雪景色の温泉旅館に泊まっています。でも、それだけでは普通すぎる。この作品では、ふたりが新郎の会社のボスの与えた難題に応えなければならなかったため、結果的に、ローカル鉄道や路線バスに乗り、知らない町で日本人夫婦と交流することになるのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-14 14:12 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 13日

今年の春節休みも「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのだろうか?

この冬も中国のPM2.5は猛威をふるっているようです。

北京の街が白く…PM2.5で大気汚染深刻(日テレNEWS24 2016年12月20日)
http://www.news24.jp/articles/2016/12/20/10349524.html

今年の春節は1月28日ですが、こんなニュースも届いています。

中国で「肺洗浄の旅」が人気 大気汚染まん延で需要増加(Forbes Japan2017.1.12)
http://forbesjapan.com/articles/detail/14845

中国は、2017年の始まりを、濃霧に対するものとしては同国史上初となる最高レベルの「赤色警報」と共に迎えた。1月4日には、濃霧によって視界が50メートル以下に悪化。航空便や地上交通に大きな混乱が生じた。

ハルビンから広州、成都から杭州にいたるまでの各都市ではスモッグに警戒を呼び掛ける「赤色警報」やその1段階下の「オレンジ警報」が発令され、私用車の交通が半分に制限された他、大気汚染の原因となっている工場の多くが操業停止を強いられた。

こうした中、中国のインターネット検索エンジンでは、大気汚染に関連する検索数が過去最多を記録。「どこに行くべきか」「洗肺(肺の洗浄)」「森」といった検索が相次いだ。また中国最大の旅行サイト、シートリップ(携程)は、「避霾(スモッグ回避)旅行」のトレンドに関する報告書を公開している。

同報告書によると、「避霾旅行」は近年、冬の観光において定番化している。2016年12月には15万人以上の中国人が大気汚染を逃れるため海外に渡航しており、新鮮な空気に対する欲求が中国の海外旅行需要の拡大における大きな要素となっていることを示しているという。

エール大学が毎年まとめる「環境パフォーマンス指数(EPI)」によると、空気の質が良い上位10か国は上からセーシェル、トリニダード・トバゴ、モルディブ、アイスランド、オーストラリア、ガイアナ、ニュージーランド、キューバ、モーリシャス諸島、ベリーズだった。

シートリップによると、新鮮な空気を求める中国人の旅行先として人気の上位10か国はタイ、日本、インドネシア、オーストラリア、モルディブ、ニュージーランド、米国、カナダ、モーリシャス諸島、セーシェルで、うち5か国はEPIのランキングでも上位10位内に入っていた。

日本を訪れる中国人観光客は、澄んだ空気を求めて北海道や九州、沖縄などの小さな村々を訪れているという。またオーストラリアとニュージーランドは夏冬が逆転する気候が、カナダは美しく広大な国立公園が人気となっている。

シートリップは、大気汚染レベルの上昇と旅行需要の増加には明確な相関性があると指摘している。避霾旅行が人気の都市には、大気汚染が特に深刻な北京と天津に加え、上海、成都、広州、深セン、重慶、西安、武漢、済南が上位10位に入った。また近年大気汚染レベルが上昇傾向にある長江デルタ地帯の江蘇省や浙江省でも、避霾旅行の需要が高まっているという。

今冬は、北欧でのオーロラ鑑賞ツアーの予約数が4倍に急増。また、「世界最後の浄土」である南極を訪れるツアーも、費用が高額にもかかわらず中国人の間で人気となっている。より経済的な旅行先としては、韓国の済州(チェジュ)島、タイのプーケット、インドネシアのバリ島、フィリピンのボラカイ島などが人気だという。

シートリップが集めたデータによると、旅行者の多くは旅行先を選ぶ際、まず空気の質と気候で絞り込み、その次に出発地からの距離や乗り継ぎの便利さなどを考慮していた。パッケージツアーもそうした需要に合わせて名前を変え、「きれいな空気と酸素で肺洗浄」や「乗り継ぎなし、スモッグなしの暖かい冬」といった宣伝文句で売り出しているのだという。


なかなか深刻ですね。この記事では「シートリップによると、新鮮な空気を求める中国人の旅行先として人気の上位10か国はタイ、日本、インドネシア」と伝えています。だとすれば、今月末に始まる春節で「肺を洗う旅」の中国客はどっと来るのでしょうか。

この記事を書いているドイツ人のWolfgang Georg Arlt氏は、2004年に自ら設立したCOTRI(中国出境旅游研究所)の代表として、中国の海外旅行市場に関する精力的で継続的な調査研究を行っている研究者です。

Wolfgang Georg Arlt
http://forbesjapan.com/author/detail/643
COTRI(China Outbound Tourism Research Institute)
http://china-outbound.com/
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数年前、ぼくは北京で彼の話を聞いたことがありますが、彼は中国の海外旅行市場の隆盛を国際社会に伝える第一人者です。

2012年、中国は米独を抜いて世界一の海外旅行大国になった(COTTM2013報告 その2)
http://inbound.exblog.jp/20499744/

さて、ここに出てくる「洗肺(肺の洗浄)」の旅については、いまから3年前のこの時期、中国のメディアで盛んに取り上げられ、流行語になっていました。中華網(www.china.com)によると、こういう意味だそうです。

「洗肺游」は、空気がきれいな場所へ旅行し、肺をきれいにすること。2013年の冬、中国では多く地域が深刻なスモッグに見舞われ、空気がきれいな場所へ行く「洗肺游」が観光市場の新しいトレンドになった。国内の多くの旅行社と観光ウェブサイトでは、この「洗肺游」を企画、販売している。人気の「洗肺」地は、国内は三亜、アモイ、麗江、桂林、昆明、長白山、シーサンパンナ、貴陽、大理、黄山など。海外では、プーケット、バリ島、モーリシャス、チェジュ(済州)島、モルジブなどが人気である。

中国の新人類は日本の青空に魅せられている
http://inbound.exblog.jp/24302307/

昨年末、大雪による欠航で新千歳空港で夜明かしした「中国客」がゲートに乱入した騒動がありました。

「「大雪欠航」でゲートに乱入、新千歳空港で中国人観光客大暴れ」の背景を考える
http://inbound.exblog.jp/26507044/

実は年末年始にも、今度はPM2.5のために多くの中国の空港が濃霧に覆われ、離発着ができないため羽田空港で夜明かしした中国客が出たことも伝えられたばかりでした。

大晦日に帰国予定の中国人観光客、スモッグ酷く羽田で年越し 快晴の初富士まで拝む羽目に・・・ (サーチナ2017-01-05)
http://news.searchina.net/id/1626473

年末年始も激しいスモッグに見舞われた中国国内では、航空便の欠航や大幅な遅延が相次いだ。東京の羽田空港では、大みそかに帰国するはずだった多くの中国人観光客が空港内で「越年」する事態となった。
「1月2日午前3時半、私が乗った飛行機は濃いスモッグが立ち込めた天津浜海国際空港に停止した。キャビンのドアが空いた瞬間、大半の乗客が激しい咳をし始めた」

中国メディア・斉魯晩報は4日、「スモッグのせいで東京に閉じ込められて越年 2度の遅延で帰国」とする記事を掲載した。記事は、年末に日本を訪れ旅行していた記者が昨年12月31日夜のオッケー航空(奥凱航空)便で羽田から天津に戻ろうとしていたところ、激しいスモッグにより遅延となり、出発が翌1月1日の午後以降にずれ込む見込みであるとの情報を得たと紹介。「乗客たちは空港で年越しの夜を過ごし、さらにその半日後にようやく帰国の途に就くこととなった」とした。

そして、スモッグにより遅延が発生したフライトはこの便だけではなく、羽田空港内の至る場所で中国北部地方へ向かう中国人観光客が充満していたことを伝えている。さらに、1月1日午前には「さらに残念な情報が国内から伝わってきた」とし、中国北部地域のスモッグが消えるどころかさらに酷くなり、目的地である天津などの空港では視界が50メートルにまで低下したと紹介した。

結局記者が乗る予定だった航空便はほぼ丸1日遅れて日本時間2日未明に出発、北京時間同午前3時半に天津に到着した。記事は最後に「天津から山東省の済南に向かう高速鉄道に乗った際、空はすでに明るくなっていたが、窓の外に見る華北平原は依然として濃い蒼白な色に覆われていた」とまさに「五里霧中」の状況であったことを伝えている。

冒頭に紹介した到着時の実況が、スモッグの激しさをリアルに物語っている。記事はまた「空気を吸っただけで帰って来たって分かったよ」と語った中年男性の話を「天津人特有のユーモアである」と紹介しているが、彼らに取ってみれば「ユーモアで済まされるレベルではない」といったところだろう。

皮肉なことに1月1日の東京は見事な快晴で、羽田空港からは富士山をはじめとする山々がはっきりと見えたという。運悪くして「めでたい風景」を拝むこととなった中国人観光客の心中は、さぞや複雑だったことだろう。


実は、ぼくも数年前に北京空港がPM2.5による濃霧に覆われ、帰国便が欠航になり、足止めを食ったことが2度あります。いつぞやこの国のリーダーは、国際会議の数週間前から北京周辺の工場の稼働を強制的に止めた挙句、記者会見場で「APEC Blue」などとうそぶいていたことを思い出します。本人はジョークのつもりだったようですが、会場の外国人を大いに引かせたことに気づいていないのが辛いところです。

中国政府は香港、台湾、韓国に対して自国の旅行客の渡航を制限する通達を出しています。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

そうしたことから、この3ヵ国・地域を外したタイや日本、インドネシアなどが旅行先に選ばれることになりそうです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-13 07:17 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 01月 10日

中国の最果ての地、満州里からロシアへの日帰りボーダーツーリズム

満州里は中国内蒙古自治州フルンボイル市の西端に位置するロシアとの国境の町です。1901年に東清鉄道の駅を開業したのが町の始まりで、日本がこの地に満洲国を建国するまでは、モスクワとウラジオストクを最短で結ぶ鉄路の要衝でした。

※「満州里(Маньчжурия)」はロシア語で「満洲(Manchuria)」 を意味します。
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数年前まではロシアからの木材の集積地として発展していましたが、中国およびロシア経済の減速によって木材バブルが崩壊し、経済的には厳しいと地元の人は話しています。

それでも、市内には一時期の名残のように、高層ビルもいくつか建っています。

これは満州里駅です。市内には車も多いです。1990年代までは、北京からシベリア鉄道に乗ってモスクワへ向かう1週間の鉄道の旅に参加する人たちが、日本人に限らず、けっこういました。いまでは、短い夏の間、フルンボイル草原を観光する国内客のための拠点の町のひとつとしてそれなりににぎわっています。
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満州里のもうひとつの観光テーマがロシアへのボーダーツーリズムです。以前、黒龍江省の黒河のボーダーツーリズム事情について書きましたが、同じような日帰りツアーが満洲里にもあるようです。

黒龍江省北辺の町、黒河のボート遊覧とロシアへの日帰り観光
http://inbound.exblog.jp/26537280/

残念ながら、このツアーに参加するためには、黒河の場合と同様に、ロシア側の国境の町であるザバイカリスクを入国地として記載したロシア観光ビザを東京のロシア大使館で取っておく必要があります。

そのため、以下の情報は現地の旅行会社で入手したツアーパンフレットや、ネット上で見つけた中国人が実際に参加したツアーを報告したブログの記事からの内容を取りまとめたものです。

まず、これが満州里とお隣のロシアの町、ザバイカリスクの位置です。
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もう少し詳しくGoogleMapでみると、こうなります。ちなみに、中国人のボーダーツアーに登場する3つの町は以下のとおりです。
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ザバイカリスク(后贝加尔斯克 Забайкальск)
クラスノ カメンスク(克拉斯诺卡缅斯克(中国名:红石市) Краснокаменск)
ボルジャ(博尔贾 Борзя) ※地図外(左上)

これは中国のオンライン旅行会社大手のCTripのサイトで募集していた日帰りツアーの情報です。現地の旅行会社に聞いたときは、日帰りツアーは500元と言われましたが、ネット上では390元で販売しているようです。

俄罗斯红石一日游(ロシア紅石日帰りツアー)
http://you.ctrip.com/dangdiren/service/18821.html

ここでいう「紅石」というのはどの町を指すのか最初はよくわからなかったのですが、中国のネットを見て回っているうちに、クラスノ カメンスク(克拉斯诺卡缅斯克(中国名:红石市) Краснокаменск)であることがわかりました。

ツアーパンフレットによると、1日のスケジュールは以下のとおりです。

朝6時集合。国際バスで国境ゲートを抜け、ザバイカリスクへ。この間は18kmです。1904年に開業したザバイカリスク駅舎を訪ね、そこから約140km離れたクラスノ カメンスク(克拉斯诺卡缅斯克(红石市)へ向かいます。この町は1968年に建市されたばかりの新しい町で、人口は約8万人。この地域では大きな町のようです。都市施設も比較的整っているようで、訪問先として記されるのが以下のスポットです。

パブロフ広場
東方正教会
レーニン像
第二次世界大戦記念広場
第二次世界大戦英雄戦車

まるで中国国内でかつて一斉風靡した毛沢東と共産党のゆかりの地を訪ねる「紅色観光」のようです。

共産党の歴史や思想がコンセプト、「紅色観光」がブームに―中国
http://www.recordchina.co.jp/a50318.html

もっとも、参加する中国客の関心は、ロシア人の住む町を訪ね、地元料理を食べたりすることにあるようです。詳しいツアーの様子は、実際にこのツアーに参加したふたりの中国人のブログをみると、よくわかります。はっきり言って、シベリアの辺境の鄙びた田舎町を訪ねているのにすぎないのですが、地元のロシア人の結婚式風景に出合ったり、スーパーでロシア食材を購入したり、ほのぼのとしたロシア旅情を味わっている様子です。

俄罗斯红石市--- 一座活在记忆里的城市
http://mozhiyu6.blog.163.com/blog/static/1404415202013710102944554/

俄罗斯猎奇----神秘的克拉斯诺卡缅斯克(红石市)
http://blog.sina.com.cn/s/blog_91658d830102vrzo.html

こちらは、ロシア国境の町のザバイカリスクと日帰りツアーで訪ねるクラスノ カメンスクに加え、ボルジャという町を周遊する2泊3日のツアーです。

满洲里出境-俄罗斯红石、博尔贾、后贝加尔斯克三市两日民俗游(2泊3日ツアー)
http://www.cncn.com/xianlu/649044287354
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以下は、満州里発ボーダーツーリズムの関連スポットです。

これが鉄道のロシア国境です。2年前までは、国門旅游区として中国側の国境塔に外国人も登ることができたのですが、2016年夏に訪ねたときは、外国人はNGになっていました。
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これは前述の日帰りツアーのバスが出る満州里の国境ゲートです。
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ロシアから来た旅行者が荷物をいっぱい車に積み込んでいます。
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これはツアーではなく、中ロの一般旅客が利用する国際バスターミナルです。
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ここでバスチケットを買います。満州里からザバイカリスクまでが92元、ボルジャまでは102元(なぜか復路は132元)です。
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陸路の国境に囲まれた中国の人たちがお隣の国へのボーダーツーリズムを気軽に楽しんでいることがわかります。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-10 16:14 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(1)
2017年 01月 07日

黒龍江省北辺の町、黒河のボート遊覧とロシアへの日帰り観光

極東ロシア人たちが国境を越えてお隣の中国旅行を楽しんでいる話を以前しましたが、もちろん中国の人たちもロシアへのボーダーツーリズム(国境観光)を盛んにやっています。

ロシア最果ての地の人たちは中国でどんな旅行を楽しんでいるのか(黒河編)
http://inbound.exblog.jp/26503104/
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たとえば、黒龍江省北辺の黒河では、黒龍江(アムール河)のボート遊覧が楽しめますし、対岸のロシア・アムール州の州都ブラゴベシチェンスクへの日帰りや1泊2日のツアーも催行されています。
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シベリアのかなたから黒土を運んでくる黒龍江の河の色は、近くで見ると泥色をしているのですが、夏になると晴れ渡った空の青みを映し出して、まるで海のようです。さすがにここまでは北京のPM2.5は届いてこないため、空気も澄んでいて、避暑を過ごすには気持ちがいい町です。この町の人たちは、約1kmほど離れた対岸のロシアの町を眺めながら暮らしています。この雰囲気は、タイやラオス、ミャンマーが国境を接するゴールデントライアングルで暮らす人たちの様子ととても似ています。

インドシナ3カ国が接するゴールデントライアングル最新国境風景
http://inbound.exblog.jp/22434567/

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冬になると、河は氷結します。この写真は春になって氷が溶け出している時期のものですが、黒龍江から押し出された氷の流れ着く先が、北海道網走の流氷というわけです。
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さて、この辺境の地を訪れた中国の人たちが必ず乗るのが黒龍江の遊覧ボートです。河沿いがずっと公園になっているのですが、その西端にボートの発着場があります。夏の間は、朝8時過ぎから1日6~7回、つまり1時間に1本くらいの間隔でボートは出ます。時間は決まっていなくて、客が数十人くらい集まった頃合いにのんびり船出します。料金は40元でした。所要30分くらいのショートボートトリップです。
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ふと見ると、河で泳いでいる人たちがいます。
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さて、ボートは下流に向かって走り出します。乗客は対岸のロシアをじっと眺めています。
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しばらくすると、対岸が近づいてきました。マンションが見えます。実は、ぼくが初めて黒河を訪ねたのは1990年のことです。その当時は、まだロシアにはこんな高いビルはなく、町並みもくすんでいました。中国側の黒河も同様で、満洲国時代の建物も数多く残っていて、町で「仁丹」と書かれた広告のペイントすら残っていたことを思い出します。もちろん、いまはまったく別の町のようです。
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河沿いでは、ロシア人たちが水浴びを楽しんでいます。
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観覧車も見えます。
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ライフセーバーの監視員もいます。
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以前、ウラジオストクに行ったときも、ロシアの人たちはこの時期(7月)、海水浴を楽しんでいました。おそらくシベリアの果ての極東ロシアで水浴びができるのは、7月から8月上旬くらいまででしょう。短い夏を楽しんでいる様子がうかがえます。

短い夏を満喫。ウラジオストクで海水浴
http://inbound.exblog.jp/20112110/
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サングラス姿の若いママさんもいました。
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ロシアの町だけあって、町並みはきれいです。中国側に量産されているなんちゃってロシア風建築とはモノが違います。
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さらに、下流に向かうと、コンテナ埠頭や中国との国境ボートの発着する港も見えてきました。
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乗客たちはこうしたロシア人の様子を望遠鏡でじっと眺めています。まさにボーダーツーリズムを楽しんでいるのです。
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ブラゴベシチェンスクの町外れあたりでボートは中国側に向かって折り返します。
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途中、ロシア人を乗せた遊覧ボートが近づいてきました。
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彼らもまたボーダーツーリズムを楽しんでいました。
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さて、ここまでは第三国人であるぼくも気軽に参加できるのですが、お互いの国へのビザなし日帰り観光ができるのが両国民の特権です。もちろん、日本人でも東京のロシア大使館で入国地をブラゴベシチェンスクと記載を入れたビザを取れば、中国人と一緒にツアーに参加できるそうですが、まあ面倒です。日露平和条約が結ばれたあかつきには、北方四島で同じことが実現されることになるのでしょうか。
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市内にはいくつかの旅行会社があります。黒河からはロシアの3つの都市へのツアーが催行されているようです。「布市」がブラゴベシチェンスク、「海参威」がウラジオストク、「哈吧」がハバロフスクです。ブラゴベシチェンスク行きは日帰りだけでなく、1泊2日、2泊3日もあるようです。
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日本人が訪ねてくることなどまずないので、珍しがられてロシア日帰りツアーの話をいろいろ教えてもらいました。
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これがブラゴベシチェンスク行きの日帰りと1泊2日のツアーパンフです。日程は、早朝7時に黒河口岸(イミグレーション)に集合。夏は船で、冬は氷結した河上をバスで渡ります。
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主な訪問地は、この写真にあるように、レーニン広場や凱旋門、シベリア鉄道駅、州政府ビルなどの古いロシア建築や教会をめぐり、ロシア料理の昼食を取る。午後は自由行動で、日帰りなら夕方には黒河に戻るというもの。1泊2日は、市内のホテルに宿泊し、ロシア人宅への家庭訪問などのメニューもあります。

ツアー料金は安く、日帰りで450元、1泊2日で750元が相場だそう。

実は、1年後に東京でロシアビザを取って黒河からブラゴベシチェンスクに渡り、シベリア鉄道でハバロフスクまで行き、中国に再び戻ってくる取材を計画しているところです。
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by sanyo-kansatu | 2017-01-07 10:44 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)