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2016年 11月 26日

韓国は無視? 東京で日中観光大臣会談の気になる背景

今週、以下の記事が配信されていました。今年9月に中国の武漢で開催される予定だった日中韓3ヵ国の観光大臣会合が中国側の事情で延期になっていましたが、メディアによると「(中国側代表は)米国での観光イベントに出席した帰路、会談のために日本を訪問」(トラベルヴィジョン2016年11月24日)し、日中のみでの会談が実現したようです。

「ぼったくり追放」も合意 日中両国が観光拡大の覚書(産経ニュース2016.11.24)
http://www.sankei.com/world/news/161124/wor1611240041-n1.html

石井啓一国土交通相と中国の李金早国家観光局長は24日、日中観光の活性化について意見交換し、観光交流の拡大や観光サービスの質向上に向けて協力するなどの内容を盛り込んだ覚書に署名した。また、来年の日中国交正常化45周年、翌年の日中平和友好条約締結40周年の節目に合わせ、共同イベントを企画する方向で合意した。

覚書の合意事項は、(1)地方間交流や青少年交流、文化・スポーツ交流の3分野での観光交流促進(2)東アジア域外からの観光客誘致(3)観光サービスの質向上(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化(5)重要事項を定期的に協議するメカニズムの整備-の5点。

会談で、石井氏は中国からの訪日客が10月までに551万人に達したと説明し、「双方向の観光交流を一層拡大することが重要」との認識を示した。


両国の合意事項として挙げられる5点のうち、興味深いのは、(2)東アジア域外からの観光客誘致と(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化でしょうか。これはどういうことを指すのか。

産経の記事は大雑把なので、別の記事を見てみましょう。

中国から国家旅游局長が来日、石井大臣と会談、MOUも(トラベルヴィジョン2016年11月24日)
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=75421

記事の一部を以下、抜粋します。

「東アジア域外からの観光客の誘致」については、15年の3大臣会合で決定した「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」の推進をはかるとともに、20年夏の東京オリンピックと22年冬の北京オリンピックについて情報と経験を共有することで一致。「観光サービスの質の向上」「観光市場の監督と協力の強化」では、観光客にとってより安全で快適な環境を作るため、不合理な格安ツアー、買い物の強制、ぼったくり行為などの減少に向けて連携することを確認した。観光庁は啓発のための新たなポスターを、近日中に制作する予定。

ここでは両国の合意事項の中身についてもう少し詳しく書いています。(2)については、2020年夏の東京オリンピックと2022年冬の北京オリンピックの開催が決定していることから、東アジア全体で海外からの旅行者の集客について協力しようということでしょう。
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そして(4)については、以前本ブログでも解説した中国のキックバックスキームに依存する安価なツアーの問題と、そのようなツアーがキックバックを得るために客を連れて行かなければなかった日本国内にある「ブラック免税店問題」を指していると思われます。今日、日本を訪れる中国人観光客は日本人の訪中客よりダブルスコア以上に多いことから、中国側としてはこの問題についての日本側の姿勢を問い正したいと考えていても不思議ではありません。要は、多くの訪日中国客を騙す「ブラック免税店」を日本の監督官庁はきちんと取り締まってほしいということなのでしょう。

中国「新旅游法」は元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

それにしても気になるのは、なぜここに韓国側代表がいないのか? お国の事情がそれどころではないのかもしれませんが、なんだか韓国だけ除け者にされているような感じです。2018年には平昌冬季五輪もあるというのに…。

「日中韓観光大臣会合」は2006年から毎年行われていましたが、尖閣諸島「国有化」で、12年以降、中国側が一方的に開催を拒絶していたものの、15年4月、4年ぶりに第7回目として再開され、冒頭で述べたように今年も9月に開催される予定でした。ところが、今夏の中国、特に内陸部は大雨で被災したことから、延期となっていました。

武漢での日中韓観光大臣会合が延期に、理由は水害(トラベルヴィジョン2016年8月7日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=73790

武漢市各所が豪雨のため冠水、「航海」する車や人々(人民網日本語版2016年06月02日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0602/c94659-9067233.html

当時中国メディアは、被災地の正確な状況や被災者数などを詳しく伝えず、人民解放軍らが復興支援で活躍する様子ばかりをテレビに映すので、知り合いの中国人たちは不安を隠せないと話していました。9月上旬、日本旅行業協会(JATA)の知人から「会合が延期になり、武漢行きがなくなった。どういうことだろう?」と聞かれ、場所が武漢であれば仕方がないと答えたことがあります。この時期、海外メディアには武漢に来てもらいたくないという事情もあったかもしれません。

今年、中国とアメリカは「中米観光年」を迎えていました。両国の観光交流を相互促進しようという年だったのです。

習近平主席が「中米観光年」閉幕式に祝辞(人民網日本語版2016年11月22日)1
http://j.people.com.cn/n3/2016/1122/c94474-9145227.html

米国で開催されたイベントの「帰路」に中国の国家観光局長が日本に立ち寄ったというのは、そういうわけです。

いま中国は香港、台湾のみならず、THAAD配備を決めた韓国に対しても徹底して報復措置を実施しているところですから、お呼びではないということなのかもしれません。日本側もわざわざ声をかけるという気にならなかったということか。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が増えている反面、中国を訪れる外国客は伸び悩んでおり、北京冬季オリンピックに向けて、この方面については日本と協力したいという思惑が彼らの側にはあるのかもしれません。

アジアで珍しく外国客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身
http://inbound.exblog.jp/24475269/

だとしても、ここまで露骨に観光を政治の取引に使う中国との協力を、どこまで本気に進めればいいものか、考えてしまいます。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-26 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 19日

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)

最近、都内でも中国本土の個人客が増えてきたことを実感します。こんな記事がありました。

中国人訪日観光客の買物は次第に理性的に(人民網日本語版 2016年10月05日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/1005/c94473-9123124.html

ビザ制度の緩和、交通の整備、日本のサービス業や商品の良い評判にともない、近年日本を訪れる中国人観光客は過去最多を更新し続けている。今年の状況を見ると、中国人訪日観光客の買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている。新華社が伝えた。

2015年に中国人の海外旅行者数は延べ1億2000万人で、うち499万人が日本を訪れた。中国国家観光局駐日代表処の羅玉泉首席代表は取材に「今年、中国人訪日観光客は依然として比較的高い伸びを維持し、8月まですでに延べ450万人に達した。年間では延べ700万人近くになる見通しだ」と述べた。

目薬から便座まで、カメラから腕時計まで、中国人訪日観光客は元々たくさん買い物をすることで有名で、日本語にはこうした買物を専門に指す新語「爆買い」まで生まれた。だが、今年中国人訪日観光客の平均消費額は減少した。羅氏は、円高や中国人の買物がより理性的になっていることと関係があると考える。

2015年の中国人訪日観光客の1人当たり旅行支出は28万4000円近くで、うち買物の支出は16万円を超えた。一方、訪日外国人の平均買物支出は約7万4000円だった。だが今年上半期、中国人訪日観光客の1人当たり買物支出はすでに約12万4000円にまで減少した。

羅氏によると、中国人訪日観光客の変化はこれだけではない。観光客の居住地を見ると、以前は上海、北京、広東省が中心だったが、現在は江蘇省、浙江省、天津市、四川省、重慶市、遼寧省在住の観光客が増えてきている。2015年、上海、北京、広東省在住の観光客の割合は48.8%にまで下がった。

もう1つの大きな変化は自由旅行者の割合が次第に増加していることだ。2011年には自由旅行者の割合は4分の1に過ぎなかったが、2012年には30%に近づき、2013、2014年には40%に近づき、2015年には44%に達し、今年上半期は54%まで増加した。

また、中国人観光客の訪日目的も多様化してきている。伝統的な日本の風情と文化だけでなく、より日常生活に近い体験も望んでいる。新浪微博(ウェイボー)上の「日本で何をしたいか」に関する調査では、「買物」「日本料理を食べる」「温泉に入る」以外に、和服を着ての写真撮影、花見、スキー、民宿への宿泊などが挙がった。美容、そば作り体験、AKB48の握手会などへの参加を希望する若者も多かった。


この記事では、中国客の「買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている」としれっと書いているところに苦笑してしまいます。あの手この手で「爆買い」を「強制終了」させたのは、誰だったのでしょう? 

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?
http://inbound.exblog.jp/26190593/

「爆買い」騒ぎで、海外から驚きと呆れ交じりのまなざしを向けられていた中国客でしたが、それは彼らの本能のようなもの。そうなる理由もいろいろあったはずです。でも、中国メディアはそれを非「理性的」だと否定的に捉えていたのです。

では、その後彼らが買い物をしなくなったかというと、そうでもないようです。

先日も中国から友人が東京に来ていましたが、ホテルの部屋に届け物をしに訪ねると、超ビッグなスーツケースを持ってきていて、「いろいろ頼まれるので、買い物が大変」と話していました。建前上、関税がかからないようにするためには、5000元(約8万円)以内に土産代を収めなければならないのですが、そういうわけにもいかないそうで、粉ミルクやもろもろ頼まれたものは、すでに郵便局から送ったそうです。

「訪日目的も多様化」していると記事にあるように、だんだん台湾や香港、タイの人たちに交じって中国本土客もこれまでとは違うスポットに出没していくのでしょう。中国メディアは、すでに全体の54%は個人ビザ客だといっています。

それはそれで心配です。その結果、何が起きているかというと、他の国々の観光客とは違い、街中で独特の異質感を漂わせる中国客の姿が目につくようになるからです。

正直なところ、香港や台湾の人たちは日本の社会に溶け込んでいるので、なかなか外国客だと気がつかなくなっているのですが、中国客は彼ら特有のどこか挙動不審の顔つきや荒っぽい話し方、洗練からはほど遠いふるまいから、すぐにそれとわかってしまうところがあります。単に言葉の問題ではなく、台湾や香港、タイの人なら、電車の座席の隣に座って「どっから来たの?」と話しかけても、ごく普通にお互いの意思や好意が伝わり、物腰の柔らかさを感じるのですが、中国の人相手では会話もこわばり、なかなかそうならない印象があります(日本に住んでいたり、日本語を話せる中国人は別ですけれど)。

台湾人やタイ人なら、日本を楽しんでいる感じが伝わってくるのです。ところが、中国客の場合、いったいこの人たち誰? 何しに来ているの? なんとも場違いな印象を周囲に与えてしまう。そのくせ、自撮りのときだけ、派手なポージングを見せるものだから、引いてしまう。結局、「爆買い」も、いろんな人から頼まれ、たくさん買わなきゃならないという理由はわかるとしても、なぜそこまでするのか。およそ外国人からすれば、理解不能に見えたことでしょう。

もともと外国人とのコミュニケーションに慣れていないところはありそうです。中国は多民族国家ですが、少数民族は「外国人」ではないので、本当の意味での異文化に慣れていないのが実情です。中国メディアも、海外との違いをごまかしがちです。しかし、問題は彼らがそもそも外国を訪ねておきながら、内輪で固まり、その国の人たちとコミュニケーションを取ろうとしている風に見えないところでしょうか。

このままでは、彼らはますます日本社会に誤解を与えてしまいそうです。こういう自らの異質性に気づいて、中国客のふるまいや態度を一般の国並みに変えるよう勧告することこそ、中国メディアに求められるのではないでしょうか。余計なお世話かもしれないけれど、やっぱり心配です。

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感
http://inbound.exblog.jp/26380202/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-19 18:20 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 16日

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?

昨日の夕方にTBSを視ていたら、やれやれ……。中国人観光客のマナー違反を伝える特集が組まれていました。

世界遺産に大量1円玉 外国人客マナーに困惑(TBS Nスタ ニュースアイ2016年11月15日)
http://www.tbs.co.jp/n-st/

最近、この種の番組が多いのは、時代の流れだろうと思います。ただし、番組の作り手があまりに何も知らないため、視聴者をミスリードする傾向が強いことが気になります。

番組では、まず民家の庭で自撮りする迷惑な中国人観光客たちが映し出されます。番組のディレクターは彼らを隠し撮りをします。それでも、ゾロゾロ彼らがやって来るのは(番組では触れられていませんが)、理由があります。

この特集の舞台である山梨県の忍野八海は、東京・大阪ゴールデンルートの定番立ち寄り地です。一般に中国に限らず、アジアからの団体ツアーは、富士山五合目までバスで登る前後に忍野八海に立ち寄ります。

忍野八海は「天然記念物である「忍野八海」は、富士山の伏流水に水源を発する湧水池です。富士信仰の古跡霊場や富士道者の禊ぎの場の歴史や伝説、 富士山域を背景とした風致の優れた水景を保有する「忍野八海」は、世界遺産富士山の構成資産の一部として認定」されています。

忍野八海
http://www.vill.oshino.yamanashi.jp/8lake.html

中国大陸ではめったに見られない美しい湧水池は、彼らにとって観光的にも価値が高いといえますし、東京に向かう途中にあるので、バスで立ち寄りやすいことが、彼らの訪れる理由なのです。東京発の外国人向けはとバス富士山日帰りツアーでも立ち寄り地になっています。

それはともかく、なぜ彼らは民家に侵入して自撮りをしたがるのか?

最初に言っておきますが、ぼくは彼らを弁護しようとしているのではありません。しかし、この番組を視て、ただやみくもに腹を立てる前に、彼らの無作法なふるまいの背景を知っておくことは、同じような問題が他の場所で起こったときの解決や予防に役立つのでは、と思うからです。なんだか言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、まあ聞いてください。

彼らが民家に侵入してしまうのは、以下の3つの理由があります。

①手入れの行き届いた日本の庭が魅力的に見える
②マンション暮らししか知らない中国人の一戸建てへの憧れ
③門番のいる住宅環境ゆえに、侵入の意識がない

まず①ですが、日本では個人宅でも庭に手を入れることを趣味にする人が多く、中国の庭のコンセプトとはまったく違うことから、彼らにとって新鮮で魅力的に見えることです。中国の代表的な庭園といえば、たとえば上海の豫園に見られるような中国江南的な世界です。

豫園
http://www.yuyuantm.com.cn/yuyuan/Jp/Index/

②は彼らの住環境に由来することです。一般に日本に旅行に来られるようなお金にゆとりのある中国人は、都市部に暮らす中間層以上の人たちですが、たとえどれだけ金融資産を持っていても、人口密度の高さと政策的な理由から高層マンション暮らしが当たり前。都市に暮らす彼らのほとんどは、一軒家に住めることは一生かけてもまず手が届かない憧れです。番組の中で、ある中国人観光客が口にしていたように、地方の民家でも、一軒家に住めるのはさぞ金持ちに違いないと彼らは考えるのです。そのため、彼らはつい自撮りしてみたくなるのです。こういう方面に限っては、彼らはすごく子供っぽいところがあります。

もう7~8年前ですが、ぼくは中国語ガイド付きの富士山日帰りはとバスツアーに取材で乗ったことがあります。そのとき、隣の席にいた若い中国の女の子と道中いろいろ話をしたのですが、忍野八海に来たとき、やはり彼女は一般の民家にとても興味を持ち、写真を撮りたがったことを思い出します。彼女は、TBSの特集に出てきた中国人観光客の男性とほぼ同じことを言っていました。「一戸建てだなんて、きっとこのお家の人はお金持ちに違いない」と。

だからといって、勝手に民家に侵入する言い訳にはなりませんが、③の彼らがなぜ民家に入り込んでしまうのかについても、彼らの住環境と関係があります。

中国の都市では、どんな古い決して豊かとはいえない地区の団地でも、門と門番がいます。外部からの侵入者を自由に入れない構造になっているのです。これは中国の歴史文化と関係があります。北方民族による侵略に耐えかねてきた彼らは、決して日本のようなオープンな構造の住居は考えられないのです。しかも、田舎では家に鍵をかけないなんて、彼らには信じられません。オフィスのデスクでも、引き出しでも、基本的に鍵がつけるのが、中国人の常識です。常に誰かが自分のものを盗むこと、侵入するかもしれないことを想定した社会といえばいいでしょうか。彼らに言わせれば、鍵をしないほうが悪いというわけです。

ところが、日本には、相当な高級住宅でもない限り、門番のいるような民家はほとんどない。門番がいない以上、彼らは入ってもかまわないのではないかと思ってしまうのです。そう思うこと自体、おかしいんじゃないかと思いますが、彼らは旅空の下にいて「旅の恥は掻き捨て」ではないですけれど、つい普段はそこまでやらないことをやってしまうところがあります(中国では、彼らも民家に勝手に侵入したりはしません)。

誰も禁止していない以上、見つからなければかまわないだろうという中国人特有の感覚もあります。彼らは常に政府から監視され、干渉され、地下鉄に乗るにも荷物をX線を通さなければならないような社会を生きています。ですから、日本をはじめとした外国では、中国のようにいつでもどこでも監視、施錠ということがないので、好きにやってしまっていいと勘違いするのです。

では、忍野八海の湧水に中国人観光客が1円コインを投げ入れるのはなぜか。

番組の中で中国人ガイドが「コインを入れるとハッピーになれる」と言ったという話になり、ディレクターが問い詰めるシーンもありました。

実際、中国ではこの種の観光地の水のあるスポットはどこでもコインだらけです。

番組では触れられていませんでしたが、ここで問題にすべきは、中国の無資格ガイドの存在でしょう。彼らの大半は日本の文化やマナーを知らないまま、ガイドをしている在日中国人です。おそらくTBSのスタッフはそういう基本的なことを知らないのではないでしょうか。

この種の番組の作り手たちが本来考えなければならないのは、ただ中国人観光客のマナー違反を指摘するだけでは十分ではないということです。それでは偏見を助長し、固定化することにしかなりません。では何をすればよかったのか。この際、観光庁に取材をすべきでしょう。なぜ忍野八海の湧水にコインを入れるとハッピーになれるというような、間違った案内をする中国人ガイドがいるのか。もし、本気でこのテーマに取り組むつもりなら、なぜ彼らの存在を許しているのかと、監督官庁に問いただすべきではないでしょうか。

監督官庁の側も、国内にある中国の国家観光局と協力して、日本滞在中に中国人が間違えそうなマナー違反を調べ上げ、事前にトラブルが起こらないよう中国向けの周知・指導を促すよう働きかけるべきではないか。この番組を視ながら、そう思った次第です。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-16 20:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 15日

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感

昨日の午後、丸の内線に乗っていたとき、決して目にはしたくはないと思っていた光景をついに目撃してしまいました。

赤坂見附から中国人のファミリー旅行者が乗ってきたときのことです。

彼らは子供連れの5人組の家族でした。おじいさんと思われる老人もいて、彼は空席を見つけると、なんと無頓着なことに、デイパックを背負ったまま狭い席に無理やり腰掛けようとし、さらには隣に座る若い会社員の男性に寄りかかり、手を伸ばして座席の手すり棒を握り続けるのです。無言のままで。
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その後、しばらくして娘が近寄り、デイパックを外させ、おなかに抱えるようにしたのですが、反対側にいた中高年のビジネスマン氏は、そのおじいさんが何度も身体にぶつけてくるので、それはもう不快な表情を浮かべ、このままではいきなり怒鳴り出すのではないかという一触即発的な状況になっていました。

向かいに座っていたぼくは、もう見てみぬふりはできないほど心配していたのですが、幸いなことに、目の前に腕を差し出された若い会社員は涼しい顔をして無視していたので、事なきを得たのでした。

ぼくが何を心配しているかというと、中国の個人客が増えることで、都内の交通機関を利用する機会が増え、日本でのマナーや作法を知らない彼らと日本の乗客の間でトラブルが起こることです。なぜなら、中国の地下鉄に乗ったことのある人はわかると思いますが、基本的に彼らは日本人のように、他人のことを気にしません。もちろん、公序良俗に違反するふるまいは許しませんが、特に老人や子供の粗相については大甘なのが中国社会の特徴です。

一方、日本はいうまでもなく、他人を気にする社会。人と人の許容する距離感も違います。狭い席にわざわざ腰掛けてくるような、ずうずうしいおばさんもたまにはいるけれど、無言で何度も身体をぶつけてくるようなふるまいは普通の日本人にはできません。でも、中国人は一般的にそういう身体接触は気になりません。

さらにいえば、この世代の中国人は、人生の大半を、狭い車両に人を詰め込むだけ詰め込んで走る鉄道の時代を生きてきた人ですから、隣の人に少々肘鉄を食わしても、足を踏んでも、なんとも思わないのです。もちろん、いまの若い都会の中国人はそのようなことはしませんが、こういう老人が普通に社会にいることは承知しているので、大目に見る習慣が身についています。

問題は、そういう違いを大半の日本人は知らないことです。知らないどころか、想像もつかないのは当然なのですが、中国人の側もそれを日本人が不快に感じ、ときに許さないことを知りません。ゆえに、一触即発なところがあるのです。

この種の経験は中国ではよくあるので、そういうとき、ぼくははっきりと「不行(ダメですよ)」と言葉をかけ、手を振りほどかせるようにします。自分が不快であれば、内に溜め込まず、意思表示をすることは中国では欠かせませんし、それを責める人はまずいません。でも、同じことが日本で起きたとき、ぼくは同じように中国人に向かってできるかというと、自信がありません。中国人相手にそれは必要なことだとわかっていても、日本人客が見ている前ですることにためらいを覚えるからです。そこまでしなければならないことが日本人の世界ではまずないからです。

先月、大阪の南海電車で外国の乗客をめぐる以下のような事件が起きていますが、背景には日本人と外国人の間のマナー問題の認識とともに、人と人の身体的な接触の距離感や公共の場での自由に対する許容度の違いもあったのではないかと思われます。違いについていえば、最近はさすがに減りましたが、かつて車内で化粧をする若い女性が多かったことに象徴されるように、ある特定の方面では日本にもすこぶる自由な空間が現出していた時期もあるくらいですから、どちらがどうとは一概にいえませんけれど。

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる?
http://inbound.exblog.jp/26268458/

これから暮れに近づくにつれて、ぼくは心配が尽きません。昨年、JR山手線で「これはやばいなあ」と思われる光景をすでに目撃していたからです。

クリスマスの山手線で見かけたアジア系ツーリスト、いい話と気になる話
http://inbound.exblog.jp/25211756/

詳しくは、上記の記事を読んでいただくとわかりますが、要するに、中国では地下鉄などの公共交通機関で駅の停車中に乗り降りする際、どんなに混雑していても、扉の近くにいる人がいったん降りて、降車に協力するという習慣が身についていません。そのため、大混雑する状況でも、扉の近くに中国の個人客が立っていると、当然降りて道を空けると思っている日本人客と衝突が起こるというわけです。

なぜ中国ではこうなるかというと、それは社会の特質の問題でしょう。ひとことでいえば、「引いたら負け」という社会なのです。混雑時に乗り降りが円滑になるようにスペースを譲ると、残念なことに、そこに入り込んでくる人が必ずいる社会なのです。

上記記事には、もうひとつのエピソードとして、若いアジア客が日本の老夫婦に席を譲る光景を見た話も書いています。それはとてもすがすがしい情景でした。一般にアジアの人たちは、日本人に比べ、老人に席を譲る習慣が身についています(もちろん、日本の場合、譲られる側の意識の問題があり、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません)。

今後、日本政府観光局(JNTO)をはじめとしたPR機関は、プロモーションだけでなく、日本での公共空間や交通機関のマナー、作法について、中国当局と協力して告知していく必要があるのではないか、と強く思います。そうでないと、個人客が増えたいま、不愉快なことが起こるような予感がしてなりません。

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)
http://inbound.exblog.jp/26390881/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-15 15:26 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 10日

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです

昨日、中国黒龍江省から訪れた友人の旅行関係者に会ったのですが、突然こんなことを言い出しました。

「韓国はこれから大変ですね」
「朴大統領の支持率が急落し、デモが起きていること?」
「それもそうですが、11月上旬に政府から訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達があったからです」。
「ハルビンからも多くの観光客が韓国に行っているんですか?」
「ええ、そうです。日本に行くより多いです」
「ハルビン・ソウル線も多いのですか」
「はい。でも、こうなると、減便になるかもしれません」

この話は、すでに韓国メディアで報じられていました。

中国政府「韓国に行く中国人観光客20%減らせ…ショッピングも1日1回だけ」(中央日報/中央日報日本語版2016年10月25日)
http://japanese.joins.com/article/987/221987.html

一部を抜粋します。

「中国政府が韓国を訪問する中国人観光客数を昨年より20%以上減らせという指針を各省の一線の旅行会社に出したことが確認された。

在中大使館および各地域総領事館・旅行業界によると、先週、上海・江蘇・浙江・安徽・陝西など現地政府が管轄地域内の旅行会社の幹部を招集したり電話をかけたりしてこうした内容を口頭で伝えた。通知内容の中には▼韓国に送る旅行客を減少させる方法と対策を今月末までに報告▼格安団体観光の販促中止▼韓国現地ショッピングは一日1回に制限▼これを犯した場合は30万中国元(約450万円)の罰金--などの内容がある」。

同じ通達が少し遅れて黒龍江省にも発せられたということでしょう。

このようなお上からの民間企業への通達は、中国ではよく行われるものです。今回は、国家旅游局の省の部局が現地旅行関係者を集め、口頭で伝えたようです。中国では自国民の海外旅行者の名簿は旅游局に提出が義務付けられています。ですから、たとえば今年2000名の訪韓客を扱った旅行会社は来年は上限1600名以上は許可を出さないということです。まったく市場経済とはほど遠い世界ですね。

「なぜいま頃になって急に?」と彼に聞くと、「THAADの影響でしょう」と迷わず答えます。そりゃそうでしょう。中国メディアは連日のように韓国のTHAAD配備決定を批判し続けていたからです。中国の一般国民からすれば、間違いなく報復措置だというのが認識のようです。

それでも、上記記事には「中国当局がなぜこうした決定をしたのかはまだ疑問だ。韓国関連機関・業界は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の韓国配備決定に対する報復措置である可能性と格安観光の弊害を減らすための対策である可能性を分析中だ。ソ・ヨンチュン韓国観光公社北京支社長は「中国当局が今回の決定を出した理由についてはっきりと説明していない。いかなる理由であれ中国人観光客の減少による打撃が懸念される」と話した」とあります。韓国側は、それを報復措置だとは受け取りたくないのでしょうか。現実から目を背けたいのでしょうね。

もっとも、「通知内容には格安旅行に対する規制が含まれている。格安商品はビラやインターネット・SNSを通じた一切の広告活動ができないようにし、これを犯した場合は30万元の罰金を科して行政監視も強化すると警告した。一部の地域は価格基準を2000元(約3万1200円)と明示したりもした」とあるように、土産の売上からコミッションを得て成立させているようなツアーの弊害を根絶することが狙いという説明もあるようです。

しかし、それは受け入れ側の韓国の問題だけでなく、送り出し側の中国の問題でもあるわけで、結果的には訪韓中国人観光客を減らすことにつながることは変わりありません。

これをうけ、韓国メディアは「韓国のホテルと免税店の打撃は避けられない」と言っています。

中国当局、「遊客」の韓国行きを制限...泣き面に蜂の旅行・流通業(MK NEWS2016-10-27)
http://japan.mk.co.kr/view.php?category=30600004&year=2016&idx=5246

表向き、消費者保護を謳いながら、その実、観光を政治の取引に使うやり口は、台湾や香港ですでに見られたものでした。

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情
http://inbound.exblog.jp/25941821/

いまのところ、日本への中国人観光客の制限は出ていないようです。黒龍江省の彼からすれば、韓国方面が減る以上、タイや日本への送客は増えるだろうといいます。

もっとも、今回の措置、中国側の表向きのロジックは「格安旅行の弊害を減らすための対策」ということですから、いずれ日本国内の「ブラック免税店」問題などを持ち出す日がくるかもしれません。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

今回のような韓国に対する報復につながる通達は、政権上層部から直接出ているというより、中国の場合、各行政機関が政権の意に沿うように自発的に打ち出しているのではないか。政権のおぼえをよくすることは出世につながる。少々訪韓客が減っても、天秤にかければ利は残るという自分都合の発想から出てきたに違いないでしょう。これまでの経緯をみていると、そう思ってしまいます。

でも、こうした中国政府のやり口で影響を受けるのは周辺諸国だけではありません。実際には自国民への不利益をもたらすはずです。なぜなら、中国政府は相手が弱いとみると、容赦なく弱みを突いてくるけれど、そんなことばかりしていては、中国人観光客の受入国は彼らを尊重しようとする意欲を失いかねないからです。「中国人観光客縮小」カード(中央日報)の安易な持ち出しは、周辺諸国から警戒されるだけで、尊敬されることはありません。そんなことに、いつになったら気づくのでしょう。

【追記】
中国政府も、いよいよ日本にも物申してきたようです。北朝鮮に対する防衛のため、THAADの配備を日本が検討し始めたとたん、黙ってはいられないようです。

「慎重な対応を」=日本のTHAAD導入検討で-中国外務省(時事通信2016.11.28)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112800714
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by sanyo-kansatu | 2016-11-10 16:04 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 09日

この時期は毎年少ないですが、今月はついに減ってしまうのか(ツアーバス路駐台数調査 2016年11月)

先月発表された2016年9月の中国人観光客数の伸びが前年月比で6.3%増の一桁になったということを指して、中国客の減速を喧伝する輩が世間にはいるようですが、それでも伸びているだけよしとしなければならないと思います。

はたして今月は彼らは現れるのか。もちろん、現れてはいます。
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さあどうなるか。観察を続けていきましょう。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(火)12:20 3台
2日(水)11:40 5台
3日(木)未確認
4日(金)12:10 6台、17:30 2台
5日(土)未確認
6日(日)未確認
7日(月)18:50 2台
8日(火)11:40 3台、18:30 2台
9日(水)12:00 3台、18:20 2台
10日(木)13:10 2台
11日(金)12:20 3台
12日(土)12:30 5台、18:10 3台
13日(日)未確認
14日(月)18:20 2台
15日(火)未確認
16日(水)12:20 3台
17日(木)12:00 4台
18日(金)未確認
19日(土)未確認
20日(日)未確認
21日(月)未確認
22日(火)11:40 5台
23日(水)未確認
24日(木)12:40 3台
25日(金)11:50 2台、18:20 2台
26日(土)未確認
27日(日)未確認
28日(月)12:30 3台
29日(火)13:20 2台
30日(水)11:40 3台、18:20 3台

 
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by sanyo-kansatu | 2016-11-09 08:42 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 11月 05日

日本にあふれる「恥ずかしい中国語」をついに中国人に指摘されてしまいました

先日、上海に住む友人に以下のネット記事を教えてもらいました。

日本の中国語翻訳、恥ずかしいショットの数々!中国人にはわからない。これは人の話す言葉なの?
(来自日本的中文翻译,好羞射!中国人表示看不懂,你确定这叫人话?)(北海道指南 2016-11-01)
http://travel.sohu.com/20161101/n472051954.shtml

これは「北海道指南」という北海道旅行に関する情報交換サイトにアップされた記事のようで、日本旅行中に見かけた「恥ずかしい中国語」表示を見て、面白おかしく茶化しています。

たとえば、これ。
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ここではトイレットペーパー(中国語は「手纸」)のことを「論文」という語を充てています。なぜこんな間違いが生まれたのか不明としかいいようがありません。
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これは「静静请看」という、中国語でありながら日本語的な語順の間違いが指摘されています。正しくは「请静静地看」でしょう。
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この中国文も、簡体字と繁体字に分けてあるものの、文字が間違っていたり、文法もおかしい。正しくは「这个厕所是自动沖水」でしょう。「中国文はよくわからないけど、英文があるからなんとかわかる」と笑われています。
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ここはちょっと惜しくて「您(あなた)」の中国語が「悠」になっています。
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外国客が多いことで知られる一蘭ラーメンの店内で見かけた表示のようです。スープ(汤)の中国語が「汁」になっているのは驚きですし、文法もめちゃくちゃです。同店には中国人店員がいるはずですが、なぜこれが通ってしまったのか。彼らは黙って見ているのでしょうか。
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日本語の「お買い忘れありませんか?」の意味のつもりが、すごく日本語的な中国文になっています。翻訳ソフトの影響が感じられます。「有忘买的东西吗?」でいいのではないでしょうか。中国文もそうですが、英語も変ですね。
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最後はこれ。ここでは「ぶっかけ」の中国語訳が「顔射」になっています。これは単なる間違いではなく、悪意を込めた翻訳のように思われます。誰がこれを書いたのでしょうか。店のアルバイトをしている中国人? 店になにか恨みでも? …なんて詮索したくなってしまいます。

それにしても……。

1年半くらい前に本ブログでも、同じ指摘をしています。

これはやばい!? 日本にはおかしな中国語表示があふれている
http://inbound.exblog.jp/24370756/

このとき、日本で見かけたおかしな中国語表示を指摘してくれたのは、台湾人の鄭世彬さんでした。彼の指摘にはどこか日本に対する親しみや愛情にあふれているのですが、中国人が同じことをすると、ちょっとニュアンスが違ってくるようです。

日本人の多言語力の弱みをさらしてしまっているこの「恥ずかしい中国語」問題、中国人から指摘されて不機嫌になる前に、我々は少し手を抜きすぎであることを自覚すべきではないかと思います。店のアルバイトの中国人におまかせ、ではダメですね。留学生ならともかく、飲食関係で働く中国人にはまかせられないかもしれません。プロの翻訳会社に頼まむとコストがかかりすぎるというなら、せめて街場の中国語教室の中国人の先生に書いてもらうとか、最低限度そのくらいのことはしないといけないのでは。

【追記】
ネットをみていたら、こんな記事もありました。

「おかしな中国語訳」が話題に、メルマガ「日中中日翻訳フォーラム」第31号が紹介(日本僑報社のプレスリリース2016年 11月 01日)
http://pressrelease-zero.jp/archives/102621

在日中国人たちからすれば、これも商売になりそうですね。

いっそのこと、誰か中国の方で、ネット上で商店や飲食店、その他の中国語表示の翻訳を格安で請け負うサービスをしたら、けっこう問い合わせが来るのではないでしょうか。だって、翻訳といっても短い文章や表記ばかりですから簡単でしょう。誰かやりませんか? 喜ばれると思いますよ。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-05 11:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 10月 31日

国慶節休みなのに、今月は平常運転(ツアーバス路駐台数調査 2016年10月)

今月始めは中国の国慶節休みで、彼らのレジャーシーズン真っ盛り。どれだけバスが来るかなと思っていたら、先月とそう変わらない数でした。国慶節休みなのに、平常運転という感じです。

10月1日に銀座に行くと、午後から中央通りが歩行者天国で、外国人観光客だらけでした。みなさん、思い思いのポーズで記念撮影に興じています。中国系はもちろん多いのですが、欧米客も多く、多国籍の様相を見せています。まあこのほうがいいですね。
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ラオックスには、もちろん中国客の姿はありますが、店内はわりと閑散としています。相変わらず厳しい状況のようです。
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ネットでは、こんな記事も配信されました。やっとオープンしたばかりの三越免税店が悲惨なことになっているようです。

三越銀座店、鳴り物入り免税店の悲しい現状(東洋経済オンライン2016年10月08日)
http://toyokeizai.net/articles/-/139498

まったく中国市場というのは読めないところがあります。バスの数を見る限り、そんなに減っても増えてもいないのに、買い物はしなくなったんですね。まあその理由ははっきりしているわけですが。

中国客の「爆買い」が“強制終了”した3つの理由
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/101800023/

「爆買い」終了で、訪日プロモーションの目的や中身を変える必要あり
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/102500024/

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。
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1日(土)18:20 3台
2日(日)未確認
3日(月)12:10 4台
4日(火)13:10 3台
5日(水)11:40 4台
6日(木)12:40 5台
7日(金)12:10 7台
8日(土)未確認
9日(日)未確認 
10日(月)未確認
11日(火)12:30 3台
12日(水)未確認
13日(木)11:50 5台
14日(金)12:20 3台
15日(土)未確認
16日(日)未確認
17日(月)未確認
18日(火)11:50 7台
19日(水)12:20 3台
20日(木)未確認
21日(金)12:50 4台
22日(土)未確認
23日(日)未確認
24日(月)12:40 3台
25日(火)13:20 2台
26日(水)12:40 7台
27日(木)11:50 3台
28日(金)12:40 4台
29日(土)未確認
30日(日)未確認
31日(月)12:20 5台
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歌舞伎町を歩いていたら、例のゴジラヘッドホテルで夜8時(昼12時もそう)になると、ゴジラが大音響で吼え、口から蒸気を出すパフォーマンスがあり、それを欧米人の若いカップルが撮影していました。これは昼と夜、毎日見られる光景です。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-31 13:50 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 10月 04日

中国客向けフリーペーパーはもう時代遅れな気がします

中国の建国記念日(国慶節)に当たる10月1日の正午過ぎ、銀座中央通りを歩いた話をしましたが、その続き。ホコテンを抜けると、中央通りと交差する首都高の下にショッピング施設「銀座ナイン」があります。その周辺は中国人ツアー客を乗せたバスの停車スポットになっています。
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2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影を興じていた
http://inbound.exblog.jp/26247961/

なぜなら、この周辺は、銀座7丁目のラオックスが近いこともありますが、同じく量販店のドンキホーテや中国団体客向けショーのある日本料理店「どすこい相撲茶屋」があるからです。
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銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

さらにいうと、「どすこい相撲茶屋」の向かいに永山免税店もあります。
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永山免税店 ステファニー銀座店
http://japan.eisan.jp/store-ginza/

もっというと、少しはずれに「銀座百薬粧」という名の免税店もあります。明らかに日本語の使い方ではない店名ですね。
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銀座百薬粧
http://www.taxfreeshops.jp/ja/shop/21646

まさに中国団体客向け免税店の集積地である銀座8丁目周辺は、いま深刻な状況に見舞われています。

中国客が以前のように積極的に買い物をしなくなったからです。

今年8月のラオックスグループの売上が、前年同月比マイナス53%だったという衝撃の報告もあります。

ラオックス月次報告(2016年8月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201608_jp.pdf

そんな折、この日そこで見たのは、バスから降りる中国客に在日中国人のアルバイトが銀座のショッピングスポットを紹介するフリーペーパーを配る姿でした。
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それはどう考えても、時代遅れな光景といっていいでしょう。もはや中国ではフリーペーパーの時代は終わり、割引クーポン等をアプリで入手するのが一般的です。

彼女らが配っていたのは、ダイヤモンド・ビッグ社が発行する「東京・大阪名品淘」と「尚Life Japan」の2誌でした。後者は在日華人が発行しています。
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尚Life Japan
http://www.lifejapan.info/

だからでしょうか、「尚Life Japan」では、誌面に掲載されている店舗(銀座の有名ブランドショップやMIKIMOTOなどの宝飾店)のQRコードをスマホで読み取れば、店舗情報やGPSで地図を表示してくれるしくみになっています。「東京・大阪名品淘」にも一応同じしくみはあります。これを見て、いまのフリーペーパーは中国の実情がよくわかっているといえなくもないのですが、結局のところ、これらの情報を日本に来てから入手していたのでは、使いこなせないのが実情ではないでしょうか。やはり、日本に旅行に来る前に入手させないと意味がないと思います。

いよいよ中国客向けのフリーペーパーは潮時という気がしてなりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 18:34 | Comments(0)
2016年 10月 03日

中ロ貿易は縮小中だが、農産品、特にロシア産アイスクリームが中国で人気だとか

新潟県にある公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)のメルマガ「北東アジアウォッチ」は、一般の日本のメディアではまず扱われることのない、中国東北地方、ロシア、モンゴルの現況、そして日本海側各県と対岸の同地域との交流の様子を伝えてくれるユニークなメディアです。

その最新号(2016年9月30日発行)にこんな記事がありました。7月に中国東北地方を1ヵ月かけて視察してきたぼくにとって、このささやかなニュースは現地で見た実感を納得させてくれるものでした。
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これはロシア国境の町、黒龍江省綏芬河にあるマキシム・レストランという西洋料理店のデザートとコーヒーです。

中国を席巻しつつあるロシア産アイスクリーム

2週間前、プーチン大統領は杭州市のG20に出席した際、習近平国家主席にロシア産アイスクリームをひと箱、贈呈した。「貴国のものは良い乳脂肪を使っているから、特に美味しい。非常に気に入っている」と習主席は説明した。

中国人はこの2年間、熱心にロシア産食品を試してきた。彼らが特に惚れ込んだのがロシア産アイスクリームだ。2015年には、アムール州が初めて、中国に食品を供給し始めた。その逆ではない。長年の間で初めて、ブラゴベシチェンスクから黒河へ、ハチミツ、チョコレート、クッキー・ビスケット類、アイスクリーム、粉類、ヒマワリ油、炭酸水を積んだトラックがアムール川の氷を渡った。その結果、アムール州は、何トンもの中国製品の購入が慣例だった地域から、本格的な対中国輸出地域へと変貌した。

概して、中国とロシアの貿易高は昨年、金額では680億ドルに縮小した(28.6%減)。しかし、ロシアから中国への農産品輸出は拡大した。例えば、2015年の結果から、油脂製品の輸出量は9.4倍、油糧種子・果実は4.9倍に拡大した。穀物、豆類、野菜の輸出も増えている。最後に、ロシア産アイスクリームの中国への輸出量は昨年、118%拡大した。

ロシア産アイスクリームの対中国輸出の急成長は今年も続いている。ロシア産アイスは既に、中国の国境の都市、特に綏芬河、満洲里で幅広く認知された。この夏には、ロシア産アイスは市内で最もポピュラーな輸入品となった。今年上半期、綏芬河の国境回廊経由で出荷されたロシア産アイスの量は昨年比で206%拡大した。

プーチンとソ連の継承国・ロシアへの敬愛以外に、当然ながら、経済的要素が大きな役割を演じている。ここ2年のうちに、中国側はロシアの国境地域でロシア産の食品やアイスクリームをより一層、買うようになった。それは、彼らにとってそれらが安くなったからだ。一方、欧州あるいはアメリカの商品は現地通貨の下落によってかなり値上がりした。

これまで、ロシア産アイスの輸出は保存に必要なインフラの欠如によって制約されてきたが、今ではこのような不備は是正された。例えば、2015年下半期、綏芬河に広さ3000平方メートル余りの冷凍食品取扱用複合物流施設が建設された。保管量は日量2000トンとなっている。これが直ちに、ロシア産アイスの輸出量の急成長につながったのだ。(ヴズグリャド9月19日)


記事にもあるように、ロシア経済の不振により中ロ両国の貿易は縮小傾向にあります。2年前はあれほど多くのロシア人が黒龍江省の国境都市(満州里や黒河、綏芬河など)に姿を見せていたものの、2016年の夏は相当少なくなっていました。中国の経済減速もかなり著しいものがあるため、輸入が減っていることも大きいでしょう。

ところが、2015年から中国はロシアの農産品の輸入を拡大してきたようです。これまでであれば、圧倒的に中国からロシアへの貿易量が多かったはずの農産品ですが、これも中ロ関係を重視する現政権の志向と関係がありそうです。
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実際、中ロ国境都市では、習近平主席とプーチン大統領が強く手を握る宣伝ポスターのたぐいをいたるところで見かけます。面白いのは、どちらかといえば、習主席が積極的な姿勢で前に出て、プーチン大統領は控えめなスタンスに見えることでしょうか。このポスターもそうですが、圧倒的に習主席の存在感が大きく見えます。

そんなわけで、中ロ国境都市では街中にロシア産品が売られています。
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以下は、黒河市内にある「ロシア商品街」という通りで売られる主な産品です。
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よく見かけるのが、前述の記事にもある「ハチミツ、チョコレート、クッキー・ビスケット類」です。
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これは何でしょう。ロシア製のミキサーでしょうか。

アイスクリームは、こうした一般の雑貨店で売られるというより、レストランのデザートとして供されることが多そうです。
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もともと以前からこの地域で売られていたロシア産品は、この看板にもあるように「マトリョーシカ、腕時計、推奨、琥珀、金製品、香水、銅器、錫器、望遠鏡、首飾り、各種ロシア工芸品」、さらには「チョコレート、コーヒー、ミルク、ワイン、ウォッカ」などの嗜好品でした。
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最近は、両国合弁のロシア製品も増えているようです。ですから、一見ロシア産品でも、製品表示をよく見ると、中国の投資によって生産されるロシア食品も多いのです。
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実は、このロシア製ビールの多くも、一部中国との合弁企業で作られているようでした。
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両国の経済力の格差が中ロ貿易の中身にも影響を与えているように思います。共に経済の減速が進んでいることも背景にあり、木材や資源系物資ではなく、これらの嗜好品が街を彩るようになっているのです。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-03 12:06 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)