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2016年 12月 11日

中国東北のレトロブーム「百年老街」と丹東のテーマパーク「安東老街」

中国東北地方ではここ数年、外国人租界のあった上海や青島、天津などで十数年前に起きていた1920年代を復古するレトロブームの東北版ともいうべき、テーマパーク「百年老街」が各地にオープンしています。

ただし、東北の場合は、南京条約(1842年)や北京条約(1860年)で開港された沿海都市のケースとは違い、ロシアの南進が顕著となった清朝末期の19世紀後半、山東省などから満洲へ移民労働者が大挙して渡り、各地に華人街ができていったという経緯から、「百年老街」と呼ばれているのです。実は、上海レトロブームでも「百年老街」というコピーが街を踊っていました。その便乗なんですね。
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2015年に遼寧省丹東市の駅の西にオープンした「安東老街」もそのひとつです。再開発されたレンガ造りのビルの中に100年前の古い町並みを再現したテーマパークで、同じような施設がハルビン(「老道外中華バロック歴史文化区」と「関東古巷」)にもあります。
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ビルに埋め込まれた中華門をくぐると、中華民国時代の町並みが続き、数多くのレトロなローカルフードの店や茶館などの飲食店が並んでいます。

ぼくが訪ねたのは今年7月下旬で、特にイベントらしきものはやっていなかったのですが、中国版検索サイトの「百度」によると、こう解説されています。

「民俗文化演艺是安东老街项目着力打造的经营特色,人力车、花轿、唱喜牌子、卖烟卷、磨剪子戗菜刀、老警察巡街等民俗行为展示全天不间断;每天11:30-12:30及18:30-20:30期间,阿庆嫂迎宾、朝鲜背夹子、三弦大鼓书、京剧、父女小曲、朝鲜族歌舞等组合在街道的固定地点进行表演;这样就在安东老街的街道上形成了固定与流动,点、线、面结合的全新表演形式,受到了来丹东旅游的游客及丹东市民的一致好评」。

つまり、館内で京劇の舞台や朝鮮族の舞踊、当時の路上芸人の見世物など、にぎやかな歌舞音曲の世界が繰り広げられるというわけです。ただし、常時というわけではなく、春節などの中国の祝日や夏と秋の行楽シーズンに行われ、その時期になると、1万人以上の人でにぎわうそうです。

「百度」には、その様子を収めた写真が掲載されていたので、一部を転載します。
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ところで、丹東に清朝が政府を置いたのは1876年のことです。当時は安東と呼ばれていました。館内には、100年の歴史を解説するパネルが展示されています。

これは清朝末期(1906年)の安東の区画地図で日本人が描いたものです。実のところ、日露戦争に勝利(1905年)した後、日本の勢力がこの地に入り込み始めたことから、この地域は発展していくことになります。当時はまだ鉄道や橋はありません。
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これはちょっと面白い写真です。当時、満洲を牛耳っていた張作霖と戦前の大倉財閥の設立者である大倉喜八郎のツーショット、1913年に撮られたものです。
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当時、安東は長白山系から伐採され、鴨緑江を下ってきた木材の集積地となっていました。張作霖と日本の関係は、この頃まではWinWinだったようです。
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鴨緑江に浮かべられた大量の木材を撮った当時の写真です。
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これが初期の安東の町並みです。
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これは辛亥革命(1911年)後の中華民国期の最も安東が栄えた頃の町並みです。「安東老街」はこの時代を再現したものだと思われます。
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これは張作霖の息子、張学良が1930年に書いた雑誌の題字です。
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その頃の鴨緑江の様子を撮ったものです。
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満洲事変(1931年)後、安東は完全に日本の勢力圏に置かれます。心なしか町並みが、日本の昭和の地方都市のような整然とした雰囲気に見えます。
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満洲国建国後は、多くの日本人がこの地を訪れ、「安東遊覧案内図」なる観光マップもつくられます。
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さて、館内に点在するように置かれていたパネルはだいたいこんなところですが、丹東に再現された「百年老街」の歴史的経緯が比較的まっすぐに伝えられていて、興味深いです。

というのは、同じ丹東にある鴨緑江断橋にも、この100年の歴史を解説するパネルが置かれているのですが、そちらは中国共産党史観そのもので、あまりに対照的だからです。朝鮮戦争時に米軍の爆撃で落とされたというこの橋の来歴からすれば、そうなるのは無理もない気がしますが、「百年老街」に一部ぼんやりと垣間見られる「歴史認識」は、この地域に住む中国の一般の人たちからみると、全国共通の判で押したような共産党史観だけでは語れない、地域固有の歴史があることを感じさせます。

鴨緑江断橋の展示に見られる中国の歴史認識がわかりやすい
http://inbound.exblog.jp/24016035/
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by sanyo-kansatu | 2016-12-11 11:40 | 北東アジア未来形:満洲の今 | Comments(0)
2016年 12月 10日

今夏の大雨で北朝鮮・南陽のまちの景観は大きく変わりました

2016年8月29日~31日にかけて、北朝鮮北東部を襲った台風10号は、中朝国境を流れる豆満江(中国名:図們江)流域に大雨を降らせ、大洪水を引き起こしました。

多くの被災者や住居を失った北朝鮮住民が出たことは、洪水から数日後、北朝鮮の通信社が伝え、政府が「異例」の支援要請をしたことも報じられました。

北朝鮮北東部で「史上最悪」の洪水、4万4000人が避難(AFP2016年09月03日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3099671

北朝鮮で深刻な洪水被害、政府が異例の支援要請(CNN2016.09.13)
http://www.cnn.co.jp/world/35088955.html

もっとも、事態の深刻さは、豆満江の対岸に住む吉林省延辺朝鮮族自治州の住民の目にはすでに明らかでした。とりわけ、北朝鮮との国境ゲートのある図們市からは、川向かいの咸鏡北道・南陽のまちが丸見えだったからです。

実は、北朝鮮北東部を大雨による洪水が襲ったのは、2015年夏に続くことだったのですが、昨年の場合、被災したのは、豆満江流域ではなく、羅先市などの日本海側に面した地域で、中国から見える場所ではありませんでした。今年4月に現地を訪ねた人の話では、中国国境から経済特区の羅先にある羅津港まで結んでいた舗装道路(中国側が羅津港の利用と引き換えに建設した)が、樹木をほとんど伐採してしまったはげ山からの鉄砲水で寸断され、多くの民家が流され、被災者が続出したそうです。それでも、彼の訪ねた8ヵ月後、被災地には仮設住居が建てられていたといいます。

高級車を連ねて経済特区を爆走 中国の観光客と北朝鮮に行ってみた(「週刊東洋経済」2012.9.29号)
http://inbound.exblog.jp/19750680/

今年の洪水後の南陽での復旧作業と住宅建設もまた、かなりのスピードで行われたようです。中国から(つまりは、世界から)丸見えの場所である以上、朝鮮側としては「見られている」ことを意識し、果断な処置を行ったことも考えられます。

その復旧の様子は、朝日新聞瀋陽支局の記者が定期的にウォッチングしていました。

(@図們)北朝鮮の洪水被災地はいま(朝日新聞2016年10月29日)
http://www.asahi.com/articles/ASJBT5W3MJBTUHBI029.html

この記事では、被災前の今年3月10日の南陽の写真から、大雨で豆満江があふれんばかりに増水している8月末、被災直後の9月10日、集合住宅の建設が進む9月24日の写真が掲載されていて、興味深いです。

北朝鮮、過酷な「200日戦闘」手作業で集合住宅建設(朝日新聞2016年11月1日)
http://www.asahi.com/articles/ASJBX7WZQJBXUHBI04Y.html

百年に一度といわれた洪水で被災した南陽は、11月中旬に入ると、約2カ月半の復旧作業によって、この写真のように、集合住宅の並ぶ町並みに一変しました。この写真は、現地在住の知り合いが送ってくれたものです。
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ちなみに、こちらは10月中旬の写真です。この時期には、まだ住宅の工事が続いていました。
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これらの写真を見て、ぼくはかなり驚きました。というのは、今年7月中旬、図們を訪ねていたからです。そのとき、撮った南陽の写真がこれです。
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大水によって荒々しく削り取られた川沿いも、1ヵ月半前はこのように緑で覆われていたのです。

以下、南陽のまちが見渡せる小高い丘から撮った当時の写真を並べてみましょう。
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集落の中に学校が見えます。
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高校生くらいの男子生徒がサッカーをして遊んでいます。
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中朝を結ぶ鉄道国境の朝鮮側です。
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撮影したのは、日光山森林公園の展望台です。
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同じ場所には、2014年夏にも訪ねていて、そのとき撮った写真はここにアップしていますが、今夏までとはほぼ変わっていませんでした。

図們から対岸の南陽(北朝鮮)の町を眺める(2014年夏)
http://inbound.exblog.jp/23906840/

しかも、1ヵ月半後には大水となる豆満江を遊覧ボートに乗って、今回ものんきに中朝国境体験を楽しんだりしていたのでした。

図們江で遊覧ボート乗船。草むらからこちらを覗く北朝鮮兵にドキリ
http://inbound.exblog.jp/23907143/

こうしてのどかなまちの景観は、大雨による洪水で大きく変わってしまいました。もうすぐ豆満江も氷結することでしょう。

【追記】
この記事をアップした3日後、前述の朝日新聞瀋陽支局の記者が図們を訪ね、南陽の写真を配信しました。延辺の友人が送ってくれた写真が撮られてから半月後(12月1日撮影)の様子といえます。

洪水被災地、50日でアパート群完成 北朝鮮、ほぼ手作業で(朝日新聞2016年12月13日)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12702547.html

今夏に台風被害を受けた北朝鮮の咸鏡北道南陽で、新たに建設されていたアパート群が完成した。北朝鮮の朝鮮中央通信によると、咸鏡北道の被災地では先月11日までに、約1万1900戸分の住宅の建設が終わったという。

国連人道問題調整事務所によると、北朝鮮北東部を8月末から9月初めにかけて襲った台風による洪水被害の死者・不明者は500人を超え、約6万9千人が住まいを失った。南陽でも軍部隊や住民が動員され、5階建てアパートなどの建設が始まった。毎日早朝から深夜までほぼ手作業で建設にあたり、50日ほどで完成させた。

中朝国境を流れる図們江(北朝鮮名・豆満江)の対岸にある中国・吉林省延辺朝鮮族自治州図們の高台からは、入居したとみられる住民の姿が確認できた。図們の住民は「電気が不足しているのか、部屋の明かりは少ない」と話した。

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by sanyo-kansatu | 2016-12-10 09:35 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2016年 12月 09日

じわじわ増えている医療観光だが、盲点を突くあの手この手の不正も明らかに

ここ1、2年で、海外、特に中国からの医療観光がじわじわ増えてきているのを実感します。以前は、観光の合間にPET検診などを組み込む検診ツアーが多かったのですが、最近では、中国での治療を諦めていた重度のがん患者が日本の医療機関を利用するというケースも出てきています。「検診」から「治療」への切実なニーズの変化です。

医療の現場の国際化が叫ばれて久しいなか、高額な治療費の支払いをいとわない富裕層が訪日するのは、自然の流れだと思っていたのですが、いいことばかりでもないようです。いろんなことが起きています。

こんな記事がありました。

来日中国人が日本の医療費を不正受給している…国民健康保険に加入できる「経営・管理ビザ」を悪用!?(日刊SPA!2016.12.09)
http://nikkan-spa.jp/1246002

国民医療費が40兆円を突破し、日本の財政は危機的な状態にある。こうしたなか、一部の来日中国人が日本の医療制度に“タダ乗り”しようとしている。噂を聞いて取材を開始したところ、とんでもない実態が浮かび上がった!

■治療目的で来日して、国保に加入で恩恵享受!

中国人 爆買いが収束に向かうなか、安倍政権が見据える新成長戦略が医療ツーリズムだ。日本政策投資銀行は、’20年の潜在的市場規模を5500億円と見積もっている。

今や日本の医療の信頼性は世界の知るところとなり、日本での検診や治療を希望する外国人も増えている。しかし中には招かれざる客も紛れているようだ。

中国・広東省出身の40代の中国人女性Wさんは、3年前から患っているC型肝炎の治療のため、2か月前に夫を伴って日本にやってきたばかりだ。

「中国で1年ほどインターフェロン投与による治療を続け、一旦は治ったように見えたのですが、半年後に再発。そんななか、ほぼ完治するという特効薬・ハーボニーの存在を医者から聞いた。ただ、その薬は中国国内では承認されておらず、海外の医療機関で治療する必要があるとのことでした」

興味を持ったWさんは、海外への医療ツアーを斡旋する複数の業者に接触した。ちなみに中国のC型肝炎患者数は約4000万人以上おり、国民病だ。こうした事情を受け、海外でハーボニーによる肝炎治療を仲介する業者は数多く存在するという。ただ、欧米での投与は完治までの滞在費を含め1000万円近くかかる。上位中間層に属するWさんにとっても、即断できる金額ではなかった。

「後発薬が使用されているインドや東南アジアなら100万円以下で済むらしいのですが、不安で踏み切れなかった。そんなとき、ある業者が日本での治療という選択肢を提案してきた」(Wさん)

問題は彼女が支払う費用だ。

「医療費に業者への費用、滞在費をあわせて200万円ほどです」

国が定めるハーボニーの薬価は5万5000円で投薬期間は12週間。完治までには薬代だけで最低465万円がかかる計算となる。

「国民健康保険のおかげです。薬代は月に1万円までしか取られないですから」(同)

実は彼女の在留資格は、医療滞在ビザではなく、会社経営のために滞在する場合に発給される経営・管理ビザなのだという。留学ビザや経営・管理ビザ、就労ビザなどで日本に3か月以上合法的に在留するすべての外国人は、国民健康保険(会社員なら社会保険)への加入が義務づけられている。同時に、日本人加入者と同様の恩恵を受けることができる。ハーボニーは肝炎医療費助成制度の対象となっており、国保もしくは社保の加入者は、所得によって自己負担限度額が月額1万円もしくは月額2万円までに制限される。つまり薬価ベースでは465万円かかる投与が、最低3万円で受けられるのだ。さらにハーボニーの薬代以外の診察料や各種検査費用なども、国保なので「3割負担」で済む。Wさんが依頼した業者は、この制度に目をつけ、格安でC型肝炎治療を受けられる方法を彼女に売り込んでいたのだ。

ちなみに医療滞在ビザで来日し、ハーボニー投与を受けた場合、滞在費を含めて600万円以上になると業者から言われたという。

薬価と患者の負担額の差額は、保険料と税金によって賄われていることは言うまでもない。Wさんは「保険料はきっちり払っている」と強調するが、前年に日本で所得のない彼女の保険料は、最低額の月4000円程度だ。

多くの日本人は、健康状態にかかわらず国保や社保の保険料を一生支払い続けなければいけない。治療目的で来日して国保に加入し、支払った保険料を大きく超えるような医療サービスを受けるというのは、公正とはいえない。

ちなみにWさんのビザ申請は「業者任せなのでわからない」と言う。どういうわけか。中国人ジャーナリストの周来友氏が明かす。

「経営・管理ビザは、資本金500万円以上の会社を設立し、その代表取締役になる場合に申請できる在留資格で、まず1年間滞在することができる。500万円の“見せ金”を用意できれば、割と簡単に発給されるため、日本でマンションを爆買いして移住する中国人にも人気のビザです。ビザ申請のためのペーパーカンパニーまで用意してくれる行政書士もいる」

■薬の新薬オプジーボも1回約6万円で済む

国保への加入を目当てにしているのはC型肝炎患者だけではない。北京市出身の50代のFさんは、都内で親族が経営する貿易会社に就労ビザのスポンサーとなってもらい、3か月前に来日した。しかし、Fさんに勤務の実態はない。来日前からステージ3の肺がんを患うFさんは、通院と療養の日々を過ごしているのだ。

Fさんが難病を押して来日したのも、がん免疫薬のオプジーボと、日本の国保の手厚さを知ったのがきっかけだ。

夢の新薬とも言われるオプジーボだが、薬価は100mgで約73万円(来年2月以降に半額になる)。1回の投与では、体重1kgに対して3mgを点滴するため、体重60kgの人であれば約131万円分のオプジーボが必要となる。2~3週間に1回のペースで回復が見られるまで投与する。

「中国でも並行輸入されたオプジーボを1回40万円ほどで投与してもらえる。しかし、どのくらいで治るか見当がつかない。そこで、がん医療が発達しており、中国よりも医療費の安い日本で治療を受けることにしました」(Fさん)

オプジーボの投与には、ハーボニーのような医療費助成制度はない。しかし国保には、一定以上の医療費支払いが免除される高額療養費制度がある。東京都港区国保年金課に問い合わせしたところ「来日したばかりの外国人で、前年度の所得がない場合、高額療養費制度により限度額は月に5万7600円になる」とのことだった。

保険適用を巡り、薬価の高額さゆえ「亡国の劇薬」とも揶揄されたオプジーボ。2か月前にやってきたばかりのFさんは現在、保険適用によるオプジーボ投与の前提となる診察や治療を受けている途中だという。

一部とはいえ、こうした来日中国人の行いは言語道断だろう。

<医療費を圧迫!狙われる高額薬剤と手術>

●オプジーボ…点滴静注100㎎72万9849円
小野薬品工業のがん免疫薬。来年に半額になるが、それでも高額なことには変わりない

●ハーボニー(1錠)…5万5000円
米ギリヤド社が開発したC型肝炎治療薬。3週間の投薬による治癒率は90%以上とも

●副鼻腔炎手術…100万~150万円
蓄膿症を改善するための手術。一般的に2時間未満で終わり、日帰りも可能なため人気だ

●冠動脈バイパス術…200万~400万円
狭心症・心筋梗塞の治療を目的とした手術。天皇が受けたことで、中国でも有名になった

●脊椎固定術…100万~200万円
脊椎の問題部分を固定する、腰痛治療のための外科手術。中国では東洋医学的治療が主流


日本の国民健康保険ほどありがたいものは、世界を探してもそうあるものではありません。こんなにお得な制度をちゃっかり悪用することに躊躇がないところは、免税店からのマージンをもらっても確定申告もせず、帰国してしまうスルーガイドと同じでしょう。いずれも、彼らの存在を知っていながら、それを利用している日本人がいるところも共通しています。彼らがいる以上、今後もこうした「言語道断」はなくなりそうにありません。

こういう報道もありました。

中国人に処方箋薬を横流し容疑、業者・医師逮捕(読売新聞2016年8月26日)
https://news.biglobe.ne.jp/domestic/0826/ym_160826_1404838657.html

中国人観光客向けに処方箋が必要な医療用医薬品を横流ししたとして、警視庁が、医薬品卸売会社「美健ファーマシー」(東京都千代田区)の社長や医師の男ら計4人を、医薬品医療機器法違反容疑で逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。

中国人ブローカーの自宅からは2万6000点を超える医薬品が押収されており、同庁は、同社が大量の薬品を組織的に横流ししていたとみている。

捜査関係者によると、逮捕されたのは同社社長の財間英信容疑者(49)のほか、40歳代の社員と60歳代の仲介役、40歳代の医師のいずれも男計3人。社員の男が、インターネットの掲示板を通じて中国人ブローカーと知り合い、財間容疑者に紹介したのがきっかけだったという。


この件については、同じ読売新聞で今年9月下旬、連載された特集「ニッポン観光の影」でも報じられていました。

処方薬 広がる横流し(読売新聞2016年9月26日)
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同記事では「訪日観光で爆発的に拡大した日中間の人の流れは、医薬品の『闇ルート』まで広げてしまった。厚生労働省の担当者は言う。『非正規の市場が広がると、偽薬の要綱などによる健康被害にもつながりかねない。不正流通の監視強化も検討しなければならない』」と述べています。

治療代640万 払わず帰国(読売新聞2016年9月28日)
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この記事によると「飛行機で脳卒中を起こしたベトナム系米国人の女性」が成田空港から緊急医療センターに運ばれ命を取り留めたものの、旅行保険に入っていなかったため、約800万円の治療費のうち、160万円分をクレジットカードで支払った後、帰国し、残りの640万円を踏み倒してしまったそうです。

同記事は「訪日観光の急拡大は、国内の医療態勢やサービス、交通網などに想定外の負荷をかけつつある」と指摘しています。

これからもいろんなことが起こるでしょう。情報の共有と態勢づくりがますます必要になってきました。
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by sanyo-kansatu | 2016-12-09 15:08 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 12月 09日

昨年に比べると、バスは少ないようです(ツアーバス路駐台数調査 2016年12月)

昨年はこの時期、もっと多くのバスが見られたことを思うと、今年の東新宿は比較的静かです。

それでも、昼下がりになると、中国人団体客が道端で記念撮影をしていたりするので、「どっから来たの?」と声をかけると、四川省だったり、黒龍江省だったり、地方色豊かです。
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※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)12:10 3台
2日(金)13:20 2台
3日(土)未確認
4日(日)未確認
5日(月)12:10 2台
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※この日は、ヒルトン新宿で、福建省の観光PRセミナーがありました。彼らは相変わらず、やる気がなさそうで、会場の9割以上は在日福建人たち。同郷会の様相を呈していて、本来の目的のはずの日本市場向けPRは、中身がないも同然でした。話によると、先週同じヒルトン新宿で、南京市の観光PRセミナーがあったそうで、そちらは少しましだったようです。ただし、南京虐殺紀念館のことは一切触れられることはなかったそうです。昨年くらいから中国の各省や大都市の観光PR団が来日するようになりました。もう少し我々日本のメディアのことを勉強してほしいものです。せっかく大挙してやって来ても、PRにも何もなっていないからです。

6日(火)11:50 3台
7日(水)18:20 2台
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※この日は夕方、歌舞伎町の前を歩いていたら、中国客をはじめ、相変わらずいろんな国の人たちが歩いていました。

8日(木)11:20 2台、17:30 3台
9日(金)12:20 2台、19:30 2台
10日(土)未確認
11日(日)未確認
12日(月)17:20 3台
13日(火)12:20 2台、17:20 2台
14日(水)11:20 3台、17:20 2台
15日(木)12:20 4台
16日(金)12:50 2台、18:20 2台
17日(土)未確認
18日(日)未確認
19日(月)12:30 2台
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by sanyo-kansatu | 2016-12-09 15:04 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 11月 30日

タイでも「ゼロドルツアー」摘発! キックバックに頼る中国人ツアーは万国共通

こんな記事をネットで見つけました。タイのインバウンド市場に関するニュースです。

タイ、12~2月の観光ビザ申請無料に(newsclip.be2016年11月23日)
http://www.newsclip.be/article/2016/11/23/31278.html

2016年11月22日、タイ国軍事政権は2016年12月1日から2017年2月28日までの3ヵ月間、観光ビザの申請料1000バーツを免除し、到着時ビザの申請料を2000バーツから1000バーツに引き下げることを閣議で承認した。

タイは例年、乾期の11月~2月が観光のピークだが、今年は中国人向けツアーの取り締まりや、プミポン国王死去にともなう自粛ムードなどから、観光者が減少してしまうことが懸念されている。今回の施策はそんな中で旅行者誘致が狙いとみられる。

タイは乾期の11~2月ごろが観光の書き入れ時だが、今年は中国人向け「ゼロドルツアー」の取り締まり、10月のプミポン国王死去にともなう自粛ムードなどで、客足が鈍ることが懸念されている。


えっ、「ゼロドルツアー」って何? 記事は以下のように説明します。

「ゼロドルツアー」はタイでの宿泊費、食費、ツアー費などが全て無料とうたった中国人向けツアー。ツアー参加者がタイ滞在中に宝石店、皮革製品店、絹製品店などに連れて行かれ、高値で商品を買わされるなどトラブルが多く、軍政が取り締まりを進めている。取り締まりの影響で、一部の観光地で中国人旅行者が激減したという報道がある。

なるほど。要するに、日本で行われているような免税店で購入した土産物の売上からキックバックをもらい、ホテルやバス代、食事代などのコストを切り盛りする中国人ツアーがタイでも行われているということです。

ネットで調べると、今年9月、タイでこの種のツアーを扱うランドオペレーターが摘発されたことがわかりました。

中国人向け「ゼロドルツアー」運営会社を摘発(グローバルニュースアジア2016年9月18日)
http://www.globalnewsasia.com/article.php?id=3756&&country=2&&p=2

2016年9月13日、タイ警察は資金洗浄取締法、旅行業法などの違反容疑でバンコクの大手旅行会社OAトランスポートの会長であるタイ人女性(61)と、その息子(26)で取締役の2人を逮捕した。

この逮捕に先立ち、タイ資金洗浄取締局(AMLO)は9日、OAトランスポートが所有する大型バス2000台以上、計90億バーツ相当の他、銀行預金、現金など42億バーツを差し押さえた。

OAトランスポートは「ゼロドルツアー」と呼ばれる、タイでの宿泊費、食費、ツアー費など全て無料とする中国人向けツアーを、中国の旅行会社と組んで運営し、巨額の利益をあげていた。

「ゼロドルツアー」に関しては、ツアー参加者がタイ滞在中に宝石店、皮革製品店、絹製品店などに連れて行かれて、高値で商品を買わされるケースが頻発し、タイ軍事政権が取り締まりを指示していた。


さらに検索すると、以下のブログの記事も見つかりました。

そのブログ「タイ字新聞、タイ語の記事をとりあえず日本語に」(http://taigoshinbum.blog79.fc2.com/blog-entry-1550.html)によると、

摘発されたのは「大手のゼロ・ドル・ビジネスを行っている会社、フーアン社、シンユアン社」の2社。「2社とも、違法にタイのIDカードを用いてツアー会社を設立し、秘密結社法に違反していた。資金洗浄取締局の財産没収罪となる。その後の拡大捜査で、広範なネットワークを持つ大手のオーエー・サーンサポート社に捜査が及び、ツアーバスが押収された」。

「5日間の飛行機代、車代、滞在費と食費を入れて、だいたい2,000~5,000バーツだ。ツアーの主催者はツアー料金があまりに安すぎると考えるが、中国人のツアー客を毎晩引き連れて買い物させ、商品価格の35-50%をサービス料として割り増している」と解説しています。

気になるのは、「フーアン社、シンユアン社」の実態です。あとでタイの知人に聞いてみたいと思います。

さて、これは日本に限らず、香港、台湾、韓国、オーストラリアなどのアジア太平洋地区、そして欧米諸国でも、万国共通で当たり前に行われていることですから、いまさら驚く話ではありませんが、「ゼロドルツアー」というネーミングがいかにもタイらしいというべきか。

結局、こうしたことは、中国国内のビジネス慣行を海外にもそのまま持ち出し、在外華人らと結託することから起きてしまうことですが、摘発による影響で中国人観光客が減少したことから、今度は観光ビザ代の申請料免除で、各国の旅行者を呼び込もうというわけでしょう(日本人はもとからビザ不要なので関係なし)。大挙して来れば問題を起こすし、来ないとなれば困る。それは周辺国の抱えるジレンマです。難しいものですね。

この人騒がせな中国人ツアーをめぐる各国の対応と攻防はこれからも続くことでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-30 14:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 30日

フィリピンでも「爆買い」!?  それは中国が観光を政治の取引に使ったという話にすぎない

昨日、ネットで以下の記事を見つけました。フィリピンを訪れる中国人観光客が増えているのだそうです。

ドゥテルテ訪中効果?中国人観光客増で”爆買い”期待(WEDGE2016年11月29日)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8321

フィリピンを訪れる中国人観光客が急増している。比中関係は2012年4月以降、南シナ海における領有権争いの問題で長らく冷え込んでいたが、ドゥテルテ大統領による10月半ばの訪中で関係が回復した。また、中国当局がフィリピンへの渡航自粛勧告を解除したことも追い風になり、今後はさらなる増加が予想されている。

フィリピン観光省の統計によると、今年1~8月の中国人観光客数は約48万4500人に上り、韓国人(約97万6400人)、米国人(約58万4100人)に次いで3番目に多かった。

フィリピンへの外国人観光客数は昨年まで、上位3カ国は韓国、米国、日本の順で長らく変わることはなかった。日本と僅差で4位につけた中国は今年、現段階で4位の日本(約36万7100人)を大きく引き離しているため、通年で中国が3位にランクインするのはほぼ確実な情勢だ。中国人観光客の前年同期比の伸び率は50%と突出して高く、2位の米国をも抜く勢いで増え続けている。

フィリピン観光省によると、中国人観光客が急増している背景には、数年前からチャーター便を利用した団体客が増えたことが大きい。300人程度の団体客が、北京や上海など、中国各地の大都市からフィリピンの有名リゾート地であるボラカイ島やセブ島へ大挙して押し寄せているという。

3泊4日のツアーで客層は中年が多く、1日当たりの出費額はホテル代込みで80ドルに上る。日本で一時期話題になった「爆買い」には及ばないが、この勢いを受けて昨年、フィリピンと中国を結ぶ便数も増え、観光客増に拍車を掛けることになった。

ドゥテルテ大統領が今回の訪中で取り付けた中国からの経済協力は240億ドル(約2兆5000億円)という莫大な額だ。この影響で中国からの観光客増はさらに見込まれるが、観光省の担当者は「これまで通りボラカイ、セブ両島だけでなく、他の魅力ある島への誘致も進めたい」と意気込む。

ただし、昨年末にはボラカイ島のホテルで中国人観光客のグループ約30人が乱闘騒ぎを起こして警察に拘束される事件が起きており、マナーという点で懸念も残されている。


この話、どう思いますか? ぼくはこれを聞いて、呆れてしまいました。なぜなら、香港、台湾、韓国でいま中国政府が何をやっているかと思うと、あからさますぎるからです。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/
韓国は無視? 東京で日中観光大臣会談の気になる背景
http://inbound.exblog.jp/26408250/

中国政府は、自分の気に入らない国には観光客を送るのをブレーキをかけさせ、ドゥテルテ大統領の登場で対中関係を表向き改善したフィリピンには、観光客を送るよう仕向けているわけです。

この記事では、フィリピンでも「爆買い」か!? と面白がっているのかもしれませんが、 それは中国が観光を政治の取引に使ったという話にすぎません。まったくシラけた話です。

それに、増えているのは中国の団体客です。要するに、来るのはキックバックモデルの安いツアーばかり。それを成り立たせるために、土産の大量買いが起こるのでしょうが、数年もすれば、他のアジアの国々と同じように問題も出てくることは必至です。

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい
http://inbound.exblog.jp/23872141/

フィリピンを訪れる外国人数で、昨年まで韓国、米国に次ぐ3位だった日本は、今年中国に抜かれるそうです。もっとも、昨年フィリピンを訪れた日本人は37万人相当だったようなので、今年は日本を訪れるフィリピン人の数と変わらなくなるかもしれません(2016年1~10月の訪日フィリピン人数は前年比30.9%増の27万6500人)。

こちらは時代の変化を感じさせる話です。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-30 14:31 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 26日

韓国は無視? 東京で日中観光大臣会談の気になる背景

今週、以下の記事が配信されていました。今年9月に中国の武漢で開催される予定だった日中韓3ヵ国の観光大臣会合が中国側の事情で延期になっていましたが、メディアによると「(中国側代表は)米国での観光イベントに出席した帰路、会談のために日本を訪問」(トラベルヴィジョン2016年11月24日)し、日中のみでの会談が実現したようです。

「ぼったくり追放」も合意 日中両国が観光拡大の覚書(産経ニュース2016.11.24)
http://www.sankei.com/world/news/161124/wor1611240041-n1.html

石井啓一国土交通相と中国の李金早国家観光局長は24日、日中観光の活性化について意見交換し、観光交流の拡大や観光サービスの質向上に向けて協力するなどの内容を盛り込んだ覚書に署名した。また、来年の日中国交正常化45周年、翌年の日中平和友好条約締結40周年の節目に合わせ、共同イベントを企画する方向で合意した。

覚書の合意事項は、(1)地方間交流や青少年交流、文化・スポーツ交流の3分野での観光交流促進(2)東アジア域外からの観光客誘致(3)観光サービスの質向上(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化(5)重要事項を定期的に協議するメカニズムの整備-の5点。

会談で、石井氏は中国からの訪日客が10月までに551万人に達したと説明し、「双方向の観光交流を一層拡大することが重要」との認識を示した。


両国の合意事項として挙げられる5点のうち、興味深いのは、(2)東アジア域外からの観光客誘致と(4)「ぼったくりツアー」といった違法行為の是正など観光市場の監督と協力の強化でしょうか。これはどういうことを指すのか。

産経の記事は大雑把なので、別の記事を見てみましょう。

中国から国家旅游局長が来日、石井大臣と会談、MOUも(トラベルヴィジョン2016年11月24日)
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=75421

記事の一部を以下、抜粋します。

「東アジア域外からの観光客の誘致」については、15年の3大臣会合で決定した「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」の推進をはかるとともに、20年夏の東京オリンピックと22年冬の北京オリンピックについて情報と経験を共有することで一致。「観光サービスの質の向上」「観光市場の監督と協力の強化」では、観光客にとってより安全で快適な環境を作るため、不合理な格安ツアー、買い物の強制、ぼったくり行為などの減少に向けて連携することを確認した。観光庁は啓発のための新たなポスターを、近日中に制作する予定。

ここでは両国の合意事項の中身についてもう少し詳しく書いています。(2)については、2020年夏の東京オリンピックと2022年冬の北京オリンピックの開催が決定していることから、東アジア全体で海外からの旅行者の集客について協力しようということでしょう。
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そして(4)については、以前本ブログでも解説した中国のキックバックスキームに依存する安価なツアーの問題と、そのようなツアーがキックバックを得るために客を連れて行かなければなかった日本国内にある「ブラック免税店問題」を指していると思われます。今日、日本を訪れる中国人観光客は日本人の訪中客よりダブルスコア以上に多いことから、中国側としてはこの問題についての日本側の姿勢を問い正したいと考えていても不思議ではありません。要は、多くの訪日中国客を騙す「ブラック免税店」を日本の監督官庁はきちんと取り締まってほしいということなのでしょう。

中国「新旅游法」は元の木阿弥―キックバックを原資としたツアー造成変わらず
http://inbound.exblog.jp/24166349/

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

それにしても気になるのは、なぜここに韓国側代表がいないのか? お国の事情がそれどころではないのかもしれませんが、なんだか韓国だけ除け者にされているような感じです。2018年には平昌冬季五輪もあるというのに…。

「日中韓観光大臣会合」は2006年から毎年行われていましたが、尖閣諸島「国有化」で、12年以降、中国側が一方的に開催を拒絶していたものの、15年4月、4年ぶりに第7回目として再開され、冒頭で述べたように今年も9月に開催される予定でした。ところが、今夏の中国、特に内陸部は大雨で被災したことから、延期となっていました。

武漢での日中韓観光大臣会合が延期に、理由は水害(トラベルヴィジョン2016年8月7日)
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=73790

武漢市各所が豪雨のため冠水、「航海」する車や人々(人民網日本語版2016年06月02日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0602/c94659-9067233.html

当時中国メディアは、被災地の正確な状況や被災者数などを詳しく伝えず、人民解放軍らが復興支援で活躍する様子ばかりをテレビに映すので、知り合いの中国人たちは不安を隠せないと話していました。9月上旬、日本旅行業協会(JATA)の知人から「会合が延期になり、武漢行きがなくなった。どういうことだろう?」と聞かれ、場所が武漢であれば仕方がないと答えたことがあります。この時期、海外メディアには武漢に来てもらいたくないという事情もあったかもしれません。

今年、中国とアメリカは「中米観光年」を迎えていました。両国の観光交流を相互促進しようという年だったのです。

習近平主席が「中米観光年」閉幕式に祝辞(人民網日本語版2016年11月22日)1
http://j.people.com.cn/n3/2016/1122/c94474-9145227.html

米国で開催されたイベントの「帰路」に中国の国家観光局長が日本に立ち寄ったというのは、そういうわけです。

いま中国は香港、台湾のみならず、THAAD配備を決めた韓国に対しても徹底して報復措置を実施しているところですから、お呼びではないということなのかもしれません。日本側もわざわざ声をかけるという気にならなかったということか。

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです
http://inbound.exblog.jp/26367228/

ここ数年、日本を訪れる外国人観光客が増えている反面、中国を訪れる外国客は伸び悩んでおり、北京冬季オリンピックに向けて、この方面については日本と協力したいという思惑が彼らの側にはあるのかもしれません。

アジアで珍しく外国客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身
http://inbound.exblog.jp/24475269/

だとしても、ここまで露骨に観光を政治の取引に使う中国との協力を、どこまで本気に進めればいいものか、考えてしまいます。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-26 14:14 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 19日

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)

最近、都内でも中国本土の個人客が増えてきたことを実感します。こんな記事がありました。

中国人訪日観光客の買物は次第に理性的に(人民網日本語版 2016年10月05日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/1005/c94473-9123124.html

ビザ制度の緩和、交通の整備、日本のサービス業や商品の良い評判にともない、近年日本を訪れる中国人観光客は過去最多を更新し続けている。今年の状況を見ると、中国人訪日観光客の買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている。新華社が伝えた。

2015年に中国人の海外旅行者数は延べ1億2000万人で、うち499万人が日本を訪れた。中国国家観光局駐日代表処の羅玉泉首席代表は取材に「今年、中国人訪日観光客は依然として比較的高い伸びを維持し、8月まですでに延べ450万人に達した。年間では延べ700万人近くになる見通しだ」と述べた。

目薬から便座まで、カメラから腕時計まで、中国人訪日観光客は元々たくさん買い物をすることで有名で、日本語にはこうした買物を専門に指す新語「爆買い」まで生まれた。だが、今年中国人訪日観光客の平均消費額は減少した。羅氏は、円高や中国人の買物がより理性的になっていることと関係があると考える。

2015年の中国人訪日観光客の1人当たり旅行支出は28万4000円近くで、うち買物の支出は16万円を超えた。一方、訪日外国人の平均買物支出は約7万4000円だった。だが今年上半期、中国人訪日観光客の1人当たり買物支出はすでに約12万4000円にまで減少した。

羅氏によると、中国人訪日観光客の変化はこれだけではない。観光客の居住地を見ると、以前は上海、北京、広東省が中心だったが、現在は江蘇省、浙江省、天津市、四川省、重慶市、遼寧省在住の観光客が増えてきている。2015年、上海、北京、広東省在住の観光客の割合は48.8%にまで下がった。

もう1つの大きな変化は自由旅行者の割合が次第に増加していることだ。2011年には自由旅行者の割合は4分の1に過ぎなかったが、2012年には30%に近づき、2013、2014年には40%に近づき、2015年には44%に達し、今年上半期は54%まで増加した。

また、中国人観光客の訪日目的も多様化してきている。伝統的な日本の風情と文化だけでなく、より日常生活に近い体験も望んでいる。新浪微博(ウェイボー)上の「日本で何をしたいか」に関する調査では、「買物」「日本料理を食べる」「温泉に入る」以外に、和服を着ての写真撮影、花見、スキー、民宿への宿泊などが挙がった。美容、そば作り体験、AKB48の握手会などへの参加を希望する若者も多かった。


この記事では、中国客の「買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている」としれっと書いているところに苦笑してしまいます。あの手この手で「爆買い」を「強制終了」させたのは、誰だったのでしょう? 

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?
http://inbound.exblog.jp/26190593/

「爆買い」騒ぎで、海外から驚きと呆れ交じりのまなざしを向けられていた中国客でしたが、それは彼らの本能のようなもの。そうなる理由もいろいろあったはずです。でも、中国メディアはそれを非「理性的」だと否定的に捉えていたのです。

では、その後彼らが買い物をしなくなったかというと、そうでもないようです。

先日も中国から友人が東京に来ていましたが、ホテルの部屋に届け物をしに訪ねると、超ビッグなスーツケースを持ってきていて、「いろいろ頼まれるので、買い物が大変」と話していました。建前上、関税がかからないようにするためには、5000元(約8万円)以内に土産代を収めなければならないのですが、そういうわけにもいかないそうで、粉ミルクやもろもろ頼まれたものは、すでに郵便局から送ったそうです。

「訪日目的も多様化」していると記事にあるように、だんだん台湾や香港、タイの人たちに交じって中国本土客もこれまでとは違うスポットに出没していくのでしょう。中国メディアは、すでに全体の54%は個人ビザ客だといっています。

それはそれで心配です。その結果、何が起きているかというと、他の国々の観光客とは違い、街中で独特の異質感を漂わせる中国客の姿が目につくようになるからです。

正直なところ、香港や台湾の人たちは日本の社会に溶け込んでいるので、なかなか外国客だと気がつかなくなっているのですが、中国客は彼ら特有のどこか挙動不審の顔つきや荒っぽい話し方、洗練からはほど遠いふるまいから、すぐにそれとわかってしまうところがあります。単に言葉の問題ではなく、台湾や香港、タイの人なら、電車の座席の隣に座って「どっから来たの?」と話しかけても、ごく普通にお互いの意思や好意が伝わり、物腰の柔らかさを感じるのですが、中国の人相手では会話もこわばり、なかなかそうならない印象があります(日本に住んでいたり、日本語を話せる中国人は別ですけれど)。

台湾人やタイ人なら、日本を楽しんでいる感じが伝わってくるのです。ところが、中国客の場合、いったいこの人たち誰? 何しに来ているの? なんとも場違いな印象を周囲に与えてしまう。そのくせ、自撮りのときだけ、派手なポージングを見せるものだから、引いてしまう。結局、「爆買い」も、いろんな人から頼まれ、たくさん買わなきゃならないという理由はわかるとしても、なぜそこまでするのか。およそ外国人からすれば、理解不能に見えたことでしょう。

もともと外国人とのコミュニケーションに慣れていないところはありそうです。中国は多民族国家ですが、少数民族は「外国人」ではないので、本当の意味での異文化に慣れていないのが実情です。中国メディアも、海外との違いをごまかしがちです。しかし、問題は彼らがそもそも外国を訪ねておきながら、内輪で固まり、その国の人たちとコミュニケーションを取ろうとしている風に見えないところでしょうか。

このままでは、彼らはますます日本社会に誤解を与えてしまいそうです。こういう自らの異質性に気づいて、中国客のふるまいや態度を一般の国並みに変えるよう勧告することこそ、中国メディアに求められるのではないでしょうか。余計なお世話かもしれないけれど、やっぱり心配です。

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感
http://inbound.exblog.jp/26380202/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-19 18:20 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 16日

〔TBS・Nスタ〕中国人観光客はなぜ民家に侵入して自撮りをするのか?

昨日の夕方にTBSを視ていたら、やれやれ……。中国人観光客のマナー違反を伝える特集が組まれていました。

世界遺産に大量1円玉 外国人客マナーに困惑(TBS Nスタ ニュースアイ2016年11月15日)
http://www.tbs.co.jp/n-st/

最近、この種の番組が多いのは、時代の流れだろうと思います。ただし、番組の作り手があまりに何も知らないため、視聴者をミスリードする傾向が強いことが気になります。

番組では、まず民家の庭で自撮りする迷惑な中国人観光客たちが映し出されます。番組のディレクターは彼らを隠し撮りをします。それでも、ゾロゾロ彼らがやって来るのは(番組では触れられていませんが)、理由があります。

この特集の舞台である山梨県の忍野八海は、東京・大阪ゴールデンルートの定番立ち寄り地です。一般に中国に限らず、アジアからの団体ツアーは、富士山五合目までバスで登る前後に忍野八海に立ち寄ります。

忍野八海は「天然記念物である「忍野八海」は、富士山の伏流水に水源を発する湧水池です。富士信仰の古跡霊場や富士道者の禊ぎの場の歴史や伝説、 富士山域を背景とした風致の優れた水景を保有する「忍野八海」は、世界遺産富士山の構成資産の一部として認定」されています。

忍野八海
http://www.vill.oshino.yamanashi.jp/8lake.html

中国大陸ではめったに見られない美しい湧水池は、彼らにとって観光的にも価値が高いといえますし、東京に向かう途中にあるので、バスで立ち寄りやすいことが、彼らの訪れる理由なのです。東京発の外国人向けはとバス富士山日帰りツアーでも立ち寄り地になっています。

それはともかく、なぜ彼らは民家に侵入して自撮りをしたがるのか?

最初に言っておきますが、ぼくは彼らを弁護しようとしているのではありません。しかし、この番組を視て、ただやみくもに腹を立てる前に、彼らの無作法なふるまいの背景を知っておくことは、同じような問題が他の場所で起こったときの解決や予防に役立つのでは、と思うからです。なんだか言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、まあ聞いてください。

彼らが民家に侵入してしまうのは、以下の3つの理由があります。

①手入れの行き届いた日本の庭が魅力的に見える
②マンション暮らししか知らない中国人の一戸建てへの憧れ
③門番のいる住宅環境ゆえに、侵入の意識がない

まず①ですが、日本では個人宅でも庭に手を入れることを趣味にする人が多く、中国の庭のコンセプトとはまったく違うことから、彼らにとって新鮮で魅力的に見えることです。中国の代表的な庭園といえば、たとえば上海の豫園に見られるような中国江南的な世界です。

豫園
http://www.yuyuantm.com.cn/yuyuan/Jp/Index/

②は彼らの住環境に由来することです。一般に日本に旅行に来られるようなお金にゆとりのある中国人は、都市部に暮らす中間層以上の人たちですが、たとえどれだけ金融資産を持っていても、人口密度の高さと政策的な理由から高層マンション暮らしが当たり前。都市に暮らす彼らのほとんどは、一軒家に住めることは一生かけてもまず手が届かない憧れです。番組の中で、ある中国人観光客が口にしていたように、地方の民家でも、一軒家に住めるのはさぞ金持ちに違いないと彼らは考えるのです。そのため、彼らはつい自撮りしてみたくなるのです。こういう方面に限っては、彼らはすごく子供っぽいところがあります。

もう7~8年前ですが、ぼくは中国語ガイド付きの富士山日帰りはとバスツアーに取材で乗ったことがあります。そのとき、隣の席にいた若い中国の女の子と道中いろいろ話をしたのですが、忍野八海に来たとき、やはり彼女は一般の民家にとても興味を持ち、写真を撮りたがったことを思い出します。彼女は、TBSの特集に出てきた中国人観光客の男性とほぼ同じことを言っていました。「一戸建てだなんて、きっとこのお家の人はお金持ちに違いない」と。

だからといって、勝手に民家に侵入する言い訳にはなりませんが、③の彼らがなぜ民家に入り込んでしまうのかについても、彼らの住環境と関係があります。

中国の都市では、どんな古い決して豊かとはいえない地区の団地でも、門と門番がいます。外部からの侵入者を自由に入れない構造になっているのです。これは中国の歴史文化と関係があります。北方民族による侵略に耐えかねてきた彼らは、決して日本のようなオープンな構造の住居は考えられないのです。しかも、田舎では家に鍵をかけないなんて、彼らには信じられません。オフィスのデスクでも、引き出しでも、基本的に鍵がつけるのが、中国人の常識です。常に誰かが自分のものを盗むこと、侵入するかもしれないことを想定した社会といえばいいでしょうか。彼らに言わせれば、鍵をしないほうが悪いというわけです。

ところが、日本には、相当な高級住宅でもない限り、門番のいるような民家はほとんどない。門番がいない以上、彼らは入ってもかまわないのではないかと思ってしまうのです。そう思うこと自体、おかしいんじゃないかと思いますが、彼らは旅空の下にいて「旅の恥は掻き捨て」ではないですけれど、つい普段はそこまでやらないことをやってしまうところがあります(中国では、彼らも民家に勝手に侵入したりはしません)。

誰も禁止していない以上、見つからなければかまわないだろうという中国人特有の感覚もあります。彼らは常に政府から監視され、干渉され、地下鉄に乗るにも荷物をX線を通さなければならないような社会を生きています。ですから、日本をはじめとした外国では、中国のようにいつでもどこでも監視、施錠ということがないので、好きにやってしまっていいと勘違いするのです。

では、忍野八海の湧水に中国人観光客が1円コインを投げ入れるのはなぜか。

番組の中で中国人ガイドが「コインを入れるとハッピーになれる」と言ったという話になり、ディレクターが問い詰めるシーンもありました。

実際、中国ではこの種の観光地の水のあるスポットはどこでもコインだらけです。

番組では触れられていませんでしたが、ここで問題にすべきは、中国の無資格ガイドの存在でしょう。彼らの大半は日本の文化やマナーを知らないまま、ガイドをしている在日中国人です。おそらくTBSのスタッフはそういう基本的なことを知らないのではないでしょうか。

この種の番組の作り手たちが本来考えなければならないのは、ただ中国人観光客のマナー違反を指摘するだけでは十分ではないということです。それでは偏見を助長し、固定化することにしかなりません。では何をすればよかったのか。この際、観光庁に取材をすべきでしょう。なぜ忍野八海の湧水にコインを入れるとハッピーになれるというような、間違った案内をする中国人ガイドがいるのか。もし、本気でこのテーマに取り組むつもりなら、なぜ彼らの存在を許しているのかと、監督官庁に問いただすべきではないでしょうか。

監督官庁の側も、国内にある中国の国家観光局と協力して、日本滞在中に中国人が間違えそうなマナー違反を調べ上げ、事前にトラブルが起こらないよう中国向けの周知・指導を促すよう働きかけるべきではないか。この番組を視ながら、そう思った次第です。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-16 20:51 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 15日

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感

昨日の午後、丸の内線に乗っていたとき、決して目にはしたくはないと思っていた光景をついに目撃してしまいました。

赤坂見附から中国人のファミリー旅行者が乗ってきたときのことです。

彼らは子供連れの5人組の家族でした。おじいさんと思われる老人もいて、彼は空席を見つけると、なんと無頓着なことに、デイパックを背負ったまま狭い席に無理やり腰掛けようとし、さらには隣に座る若い会社員の男性に寄りかかり、手を伸ばして座席の手すり棒を握り続けるのです。無言のままで。

その後、しばらくして娘が近寄り、デイパックを外させ、おなかに抱えるようにしたのですが、反対側にいた中高年のビジネスマン氏は、そのおじいさんが何度も身体にぶつけてくるので、それはもう不快な表情を浮かべ、このままではいきなり怒鳴り出すのではないかという一触即発的な状況になっていました。

向かいに座っていたぼくは、もう見てみぬふりはできないほど心配していたのですが、幸いなことに、目の前に腕を差し出された若い会社員は涼しい顔をして無視していたので、事なきを得たのでした。

ぼくが何を心配しているかというと、中国の個人客が増えることで、都内の交通機関を利用する機会が増え、日本でのマナーや作法を知らない彼らと日本の乗客の間でトラブルが起こることです。なぜなら、中国の地下鉄に乗ったことのある人はわかると思いますが、基本的に彼らは日本人のように、他人のことを気にしません。もちろん、公序良俗に違反するふるまいは許しませんが、特に老人や子供の粗相については大甘なのが中国社会の特徴です。

一方、日本はいうまでもなく、他人を気にする社会。人と人の許容する距離感も違います。狭い席にわざわざ腰掛けてくるような、ずうずうしいおばさんもたまにはいるけれど、無言で何度も身体をぶつけてくるようなふるまいは普通の日本人にはできません。でも、中国人は一般的にそういう身体接触は気になりません。

さらにいえば、この世代の中国人は、人生の大半を、狭い車両に人を詰め込むだけ詰め込んで走る鉄道の時代を生きてきた人ですから、隣の人に少々肘鉄を食わしても、足を踏んでも、なんとも思わないのです。もちろん、いまの若い都会の中国人はそのようなことはしませんが、こういう老人が普通に社会にいることは承知しているので、大目に見る習慣が身についています。

問題は、そういう違いを大半の日本人は知らないことです。知らないどころか、想像もつかないのは当然なのですが、中国人の側もそれを日本人が不快に感じ、ときに許さないことを知りません。ゆえに、一触即発なところがあるのです。

この種の経験は中国ではよくあるので、そういうとき、ぼくははっきりと「不行(ダメですよ)」と言葉をかけ、手を振りほどかせるようにします。自分が不快であれば、内に溜め込まず、意思表示をすることは中国では欠かせませんし、それを責める人はまずいません。でも、同じことが日本で起きたとき、ぼくは同じように中国人に向かってできるかというと、自信がありません。中国人相手にそれは必要なことだとわかっていても、日本人客が見ている前ですることにためらいを覚えるからです。そこまでしなければならないことが日本人の世界ではまずないからです。

先月、大阪の南海電車で外国の乗客をめぐる以下のような事件が起きていますが、背景には日本人と外国人の間のマナー問題の認識とともに、人と人の身体的な接触の距離感や公共の場での自由に対する許容度の違いもあったのではないかと思われます。違いについていえば、最近はさすがに減りましたが、かつて車内で化粧をする若い女性が多かったことに象徴されるように、ある特定の方面では日本にもすこぶる自由な空間が現出していた時期もあるくらいですから、どちらがどうとは一概にいえませんけれど。

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる?
http://inbound.exblog.jp/26268458/

これから暮れに近づくにつれて、ぼくは心配が尽きません。昨年、JR山手線で「これはやばいなあ」と思われる光景をすでに目撃していたからです。

クリスマスの山手線で見かけたアジア系ツーリスト、いい話と気になる話
http://inbound.exblog.jp/25211756/

詳しくは、上記の記事を読んでいただくとわかりますが、要するに、中国では地下鉄などの公共交通機関で駅の停車中に乗り降りする際、どんなに混雑していても、扉の近くにいる人がいったん降りて、降車に協力するという習慣が身についていません。そのため、大混雑する状況でも、扉の近くに中国の個人客が立っていると、当然降りて道を空けると思っている日本人客と衝突が起こるというわけです。

なぜ中国ではこうなるかというと、それは社会の特質の問題でしょう。ひとことでいえば、「引いたら負け」という社会なのです。混雑時に乗り降りが円滑になるようにスペースを譲ると、残念なことに、そこに入り込んでくる人が必ずいる社会なのです。

上記記事には、もうひとつのエピソードとして、若いアジア客が日本の老夫婦に席を譲る光景を見た話も書いています。それはとてもすがすがしい情景でした。一般にアジアの人たちは、日本人に比べ、老人に席を譲る習慣が身についています(もちろん、日本の場合、譲られる側の意識の問題があり、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません)。

今後、日本政府観光局(JNTO)をはじめとしたPR機関は、プロモーションだけでなく、日本での公共空間や交通機関のマナー、作法について、中国当局と協力して告知していく必要があるのではないか、と強く思います。そうでないと、個人客が増えたいま、不愉快なことが起こるような予感がしてなりません。

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)
http://inbound.exblog.jp/26390881/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-15 15:26 | “参与観察”日誌 | Comments(2)