タグ:中国 ( 405 ) タグの人気記事


2016年 09月 30日

夏と秋の狭間で東新宿は比較的静かでしたが、発見もいろいろ(ツアーバス路駐台数調査 2016年9月)

9月は雨続きでした。新宿5丁目を訪れる中国ツアーバス客はかなり控えめになりました。

そのぶん、いろんな変化や発見がありました。

ひとつは、例の在日華人が運営する「民泊+車の送迎」サービスを利用する若い中国個人客の姿をちらほらこの界隈でも見かけるようになったことです。

とにかく、新宿は民泊が多い。以前は、欧米客を多く泊めていた、ぼくの仕事場の向かいの2階建て一軒家でも、最近は香港あるいは台湾系と思われる若いアジア客が出入りしている光景を見かけます。そこは、ホストファミリーがいる家なのですが、近所のマンションでも、「これはおそらく民泊利用者だろう」と思われる若い中国客の姿を見かけるようになりました。

一方、ツアーバスの台数は今月中旬くらいまではそこそこ来ていましたが、国慶節休みの近づく下旬になっても、それほど増えている様子は見られません。昨年のいまごろは、もう少し現れていたように思います。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(木)12:20 4台
2日(金)11:50 3台、19:00 2台
3日(土)12:30 4台
4日(日)未確認
5日(月)12:50 3台
6日(火)未確認
7日(水)11:40 4台、18:30 2台
8日(木)12:20 2台
9日(金)11:50 8台、18:40 2台 
10日(土)12:20 4台
11日(日)未確認
12日(月)11:50 3台
13日(火)12:10 4台
14日(水)13:20 2台
15日(木)未確認
16日(金)11:50 6台
17日(土)12:30 4台
18日(日)11:50 3台
19日(月)未確認
20日(火)未確認
21日(水)未確認
22日(木)12:20 3台
23日(金)未確認
24日(土)12:20 4台
25日(日)未確認
26日(月)11:40 3台
27日(火)未確認
28日(水)12:20 3台
29日(木)未確認
30日(金)12:10 4台、18:00 2台

以下は、9月30日の正午頃、いつものように新宿3丁目から仕事場に向かう道中で見かけた光景です。
b0235153_12192897.jpg
靖国通りの交差点で若い中国の個人客のグループがいました。
b0235153_12203775.jpg
小さな女の子連れの中国ファミリー客を見つけて、写真を撮らせてほしいと言ったのは白人の女の子のツーリストでした。もしかして、彼女は日本人と勘違いしているのかもしれません。
b0235153_12254482.jpg
東京医大通りのゲストハウスは、いまの季節は欧米客が多いようです。
b0235153_1225566.jpg
中国ツアー客専用食堂「金鍋」はその日の昼もお客でにぎわっていました。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-09-30 18:17 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 09月 13日

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?

中国人観光客の「爆買い」が終わったと多くのメディアは指摘している。本当にそうなのだろうか。では、その理由は何なのか。探っていくと、そこには3つの理由があることがわかった。
b0235153_17345589.jpg

7月上旬、中国南方航空の成田・ハルビン線の機内の大半は中国客だった。彼らは日本人に比べればずいぶん多くの買い物をしているようだが、昨年までのように炊飯器を5つも6つもまとめ買いするような人は見かけなかった。

現地到着後、預け入れ荷物を受け取った中国客の多くは、X線検査装置にそれを通さなければならない。そのため、買い物を手控えているのだろうか。少なくとも、その光景を見る限り、「爆買いが終わった」というのは本当のようだった。
b0235153_17352723.jpg

■電化製品やカメラの購入額が減少

いくつかの経済指標がそれを裏付けている。

たとえば、2016年7月の全国百貨店売上高概況によると、免税品売上高が前年同月比で21.0%減少。購買客数は継続して拡大しているが、購買単価の下落によるものだ。

全国百貨店売上高概況(2016年7月)
http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list

中国人観光客ご用達免税店ともいえるラオックスの7月の売上高も、前年同月比44%と大きく減少。前年度比マイナスは今年2月から続いている。

ラオックス月次状況報告(2016年7月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201607_jp.pdf

観光庁が四半期ごとに実施している訪日外国人消費動向調査(2016年4−6月期)では「訪日外国人旅行消費額は9533億円で、前年同期比7.2%増加。ただし、1人当たりの旅行支出は15万9930円で、9.9%減」と報告している。
b0235153_17363573.jpg
国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額と構成比(2016年4-6月期)観光庁プレスリリース(2016年7月20日)より

なかでも中国の1人当たり支出は21万9996円で22.9%減。トップは中国を抜いたベトナムの23万8000円だった。観光客数が多いぶん、国別の消費額のシェアは中国がトップで37.0%を占めるが、比率は前年の40.3%から下がっている。

「爆買い」の主人公と目される中国人観光客の消費は、明らかに昨年に比べ減退していることがわかる。

さらに報告書では、消費される費目について「“電気製品”や“化粧品・香水”では中国、“医薬品・健康グッズ・トイレタリー”では台湾と中国の購入率が高い」と指摘する。

だが、中国客の「電気製品」の購入者単価は前年同期の6万2316円から3万6630円へ、「医薬品・健康グッズ・トイレッタリー」も4万1225円から3万3479円へと減少。

特に「カメラ・ビデオカメラ・時計」は10万3920円から6万246円に大きく減少した。

訪日外国人消費動向調査(観光庁)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

こうした具体的な費目の調査からも、中国客の日本での消費シーンが様変わりしていることがうかがえる。

※購入率(その費目を購入した人の割合)、購入者単価(その費目を購入した人における当該費目の1 人当たり平均支出)を指す。

■「爆買い」が終わった3つの理由

その一方で、訪日中国客数は相変わらず伸びている。日本政府観光局(JNTO)の8月17日付プレスリリースによると、今年7月の訪日中国客数は前年同月比26.8%増の73万1400人。

単月として過去最高を記録している。

こうした客観情勢をふまえ、「爆買い」が終わった理由を検証してみたい。

以下の3つの理由があると筆者は考えている。

①中国の景気低迷による消費者心理の変化
②メディアが誘導した愛国的反発心
③転売できなければ「爆買い」なし


まず①「中国の景気低迷による消費者心理の変化」について。

筆者は7月上旬から約1ヵ月間、中国の地方都市(東北三省や内蒙古自治区)を視察する機会を得たが、各地で聞かれるのは「景気がよくない」という声ばかりだった。

特に地方都市では、急ピッチで進む高速鉄道網の拡充に代表される政府のインフラ投資が盛んに見られたが、民間経済の押し上げには必ずしもつながっていないようだった。

一方、深圳や上海、北京などの経済先進都市で特徴的なのは、政府の規制緩和策により再び始まった不動産価格の高騰とEC市場の拡大だ。ECについては明らかに日本より各種のサービス面で進んでいる点も多い。

だが、それは手放しで喜べる話でもないようだ。

不動産価格の高騰は一部の利得者に恩恵を与えるとしても、国民生活にもたらす影響が懸念される。また、「いまの中国人はショッピングモールで洋服の試着はするけれど、実際に買うのはネット。そのほうが安いから。でも、これは中国の経済全体にいい影響を与えていない」という声もある。

共通するのは、もはやGDP2桁成長が続いた2000年代の中国ではないという認識だ。

もうひとつ別の観点を付け加えれば、日本の百貨店の免税売上の購買単価が下がり、高額商品の売れ行きが落ちた背景には、習近平政権が推し進める「反汚職キャンペーン」の影響も考えられる。汚職に対する社会の目が厳しくなったことから、役人への贈り物や接待需要が激減したからだ。これが経済へのマイナス影響を与えているとの指摘も多い。

こうしたことから、中国の消費者心理は以前に比べ変わらざるを得ない。特に団体ツアー客を多く送り出している地方都市ほどその影響は大きそうだ。

■日中炊飯器論争と愛国

次に②「メディアが誘導した愛国的反発心」だが、これを象徴する事例がある。昨年春頃に始まった「日中炊飯器論争」だ。

論争を仕掛けたのは国営大手メディアだった。日本製と中国製の炊飯器で炊いた米の味の比較実験を始めたのである。

中日両国の炊飯器の性能を徹底比較 勝つのはどっち?(人民網日本語版2015年3月2日)
http://j.people.com.cn/n/2015/0302/c94476-8855374.html

ここでは大真面目に「中日の炊飯器で炊いた米の味を比較」した結果、「中国製の炊飯器で炊いた米の方が美味しいと答えた人は5人、日本製の方が美味しいと答えた人は3人、「ほとんど同じ」と答えた人は2人だった」と票決している。

これはテレビの比較広告ではない。比較の対象は企業ではなく、国家である。

その後も日中炊飯器論争は続くのだが、さすがにこれではあからさますぎると思ったのか、自国の製造業の問題をいかに克服するかという議論に移っていく。

全人代代表、製造業めぐり熱い議論 炊飯器が出発点(人民網日本語版2016年3月10日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0310/c94476-9028195.html

「日本の電気炊飯器現象」が中国家電企業に刺激、家電大手が新たな展開(人民網日本語版2016年3月14日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0314/c94476-9029652.html

こうした奇妙な論争が起こる背景には、従来の投資に頼る経済から消費主導の社会に転換していかなければならないという中国の大命題がある。

自国の製造業が発展すれば、なにも海外で炊飯器を買う必要はない。そう訴えかけることで、海外で買い物ばかりしている自国民に警鐘を鳴らしたのだ。

中国政府は近々、自国の製造業の品質を向上するために「消費品標準・質量向上計画」なる施策を公表するようだ(朝日新聞2016年8月30日)。

こうした一連の動きから、海外での「爆買い」によって消費が国外に逃げることを政府がいかに問題視しているかわかる。その意味でも、中国メディアは巧みにナショナリズムを利用して国民の意識を誘導したのだといえる。

そして、この議論に余計な刺激を与えたのが、日本での中国人観光客「爆買い」報道だった。

筆者はこれまで多くの日本をよく知る中国人と「爆買い」について話をしたが、決まって彼らはこう言う。

「爆買い、爆買いって、なんだか私たち、バカにされている気がする。中国にだっていいものはあるわ」。

ほんの数年前まで中国では、なにかにつけて「日本商品不買運動」を提唱する声がネット上にあふれたものだが、さすがに消費社会化が進むと、その無意味さに多くの国民が気づくようになる。だが、今回に限っては、日本の報道が彼らの自尊心を刺激し、反発心を引き起こした面もあるようだ。
b0235153_1738235.jpg
中国人はこんな光景はもう観たくない!?

■「爆買い」とは何だったのか
 
こうしてみると、一部のメディアが報じた中国人観光客の旅行支出が「モノからコトへ」と変わるという説明はいかにも単純すぎるだろう。

ここであらためて「爆買い」とは何だったのかについて確認したい。

その問いに明快に答えてくれるのは、台湾出身の日本薬粧研究家の鄭世彬氏だ。彼が今春上梓した日本での初の著書『爆買いの正体』(飛鳥新社)によると、「爆買い」の背景には以下の3つのポイントがある。

①華人にとって買いだめは本能
②面子や血縁を大切にする文化的特質
③誰もが転売業者のような買い方をする


b0235153_1738511.jpg
『爆買いの正体』(飛鳥新社)は、中国人の買い物の特徴について詳しく解説している。同書を読むと、彼らが「爆買い」した理由がよくわかると同時に、急ブレーキがかかってしまった理由も見えてくる。

鄭氏によると、歴史的に変動の大きな社会を生きてきた中華圏の人たちは買いだめが本能だという。つまり、買えるときにたくさん買っておきたいという消費心理が身についているというのだ。

旅行に行くと、お土産を広く配る習慣が残っているのは、人間関係を重視する社会ゆえだ。

さらに、根っからの商売人気質ゆえに、誰もが転売業者のような買い方をする。それがネットやSNSによって想像を超えた拡散効果と購買の連鎖を生んだのが「爆買い」の正体だった。

この指摘が興味深いのは、日本のメディアを通じて我々が思い描いていた「爆買い」に対する理解は、少し的外れだったかもしれないことに気づかされるからだ。

中国人観光客の多くは「富裕層」などではなく、自分のためだけにお土産を買っていたのではなかった。

直接代償としての金銭を受け取るかどうかはともかく、帰国後、購入した商品が多くの人の手に広く渡っていくことが前提だったのである。だからあれほど大量に、転売業者のような買い方をしたのだった。

さらに、観光客以外にも多くの「爆買い」の担い手がいたことは知られている。

それは日本に住む中国系の人たちの代購(代理購入)業者だった。

一部の企業にとって観光客の買い物より代購による売上が大きかったとの指摘もある。

あるトイレタリー企業の関係者も「売上のピークは2015年10月。その多くは代購によるものだった」と証言している。

この点について、ある中国の旅行関係者もためらうことなく、こう話す。

「日本では中国人が「爆買い」をしなくなったと言っているようだが、その理由をひと言でいえば、代購が難しくなったからだ」。

背景には、海外の輸入商品が街場のショップより安く買えるというふれこみで広がった中国の越境ECの普及がある。所詮ブローカーにすぎない代購業者たちは、それ以降、もう利益が見込めないとみてあっさり商売替えしてしまったのだ。これは日本に限らず、欧米諸国でも同様に起きていたことなのである。
b0235153_17391193.jpg
「出勤中に買って、出社時に受け取る。その日に届き、その日に使える」。購入手続きの簡便さと早さをうたう中国越境ECサイトの「T-mall(天猫)」の地下鉄広告(上海)


■とどめを刺した荷物の開封検査

こうしたなか、今年に入って「爆買い」にとどめを刺したのが、4月6日付け文書で7日交付、8日には執行と、日本ではあり得ないスピードで着手された中国の税関による海外旅行者への荷物の開封検査の強化だった。 
b0235153_17395855.jpg

海关总署公告2016年第25号(关于《中华人民共和国进境物品归类表》和《中华人民共和国进境物品完税价格表》的公告)
http://www.customs.gov.cn/publish/portal0/tab65598/info793342.htm

この通達の添付資料には、食料品(15%)から酒(60%)、電気製品(30%)、化粧品・医薬品(30~60%)など、中国人が好んで買いそうな、さまざまな商品に関する免税枠と関税率が事細かに記されている。

ある中国の訪日ツアーの担当者によると、関税率自体は2012年に出されたものと大きく変わっておらず、要はこれまでスルーされていた旅行者の荷物の開封検査を税関が抜き打ち的に始めたことが事態を大きく変えたのだという。

まさに中国式のショック療法である。

これでは、海外での買い物に対する事実上の課税と受け取られても無理はない。

その後、旅行客の反発から、検査は少しゆるくなってきたとも聞くが、せっかく日本で安く買っても、帰国時に高率の関税をかけられてしまうのであれば、安値で転売することができない。同じことは個人輸入の託送便でも実施されたため、代購の意味もほぼなくなった。

「転売できなければ「爆買い」なし」とはこのことだ。

中国側は、2014年10月に日本が実施した外国客に対する免税枠の拡大とは真逆の手を打ち、「爆買い」を沈静化しようとしたのである。

その効果はてきめん。

中国の人たちにとって人より安くモノを入手できるということは賞賛に値することで、そこにケチをつけられたようなもの。こうして中国人観光客は「爆買い」する意欲を急速に失っていったと考えられる。

■今後どうなるのか

では、今後はどうなるのか。

注目すべきは、中国客の影に隠れて見えにくい存在であった台湾客の存在だろう。

彼らはいまでも無理なく「爆買い」を楽しんでいる。繰り返していうが、「爆買い」は「富裕層」の専売特許ではない。華人ならではの購買の連鎖が生んだものだ。それは本来、彼らにとって景気のいい、喜ばしき体験なのである。

台湾の人たちは長く日本の商品に親しみ、その価値を知っている。だから、彼らが選ぶ商品は、中国の消費者の先取りをしている。彼らは日本の魅力の雄弁な語り手なのである。

実は、そこが中国の消費者とのいちばんの違いだ。

中国人観光客の多くは、これまで実際に日本の商品を手にしていたわけでも、正確な商品知識を持っていたわけでもなく、ただSNSや口コミを頼りに購入していただけだった。

特定の商品だけが大量に売れるという事態が起きたのはそのためだ。

前述したように、今日の中国にはいくつもの相反する事態が同時進行で起きている。大都市圏の不動産価格は高騰し、ECに誘発されて消費市場が活性化しているかに見える一方、民間経済の低迷を懸念する声は強い。政府があの手この手で「爆買い」のストップをかけようとしたのも、そのためだ。

こうした将来に対する不透明な情勢は、日本のバブル崩壊以降に起きたことと同様に、中国の消費者の成熟化をもたらすと考えられる。

消費者に確実に支持された商品だけが売れるという日本では当たり前の状況にだんだん近づいていくはずだ。

特に、中国の若い世代は生まれた頃から消費社会を知っており、自分の目で価値判断ができる人たちだ。すでに彼らは団体ツアーではなく、個人客として訪日するのが普通になっている。

今後はこうした個人客に向けた取り組みが求められるが、そうなるとこれまでのやり方では足りない部分が出てくるだろう。

その点については、別の機会にあらためて検討したい。

※やまとごこと特集レポート
前編 http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_27.html
後編 http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_28.html
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-09-13 17:47 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2016年 09月 12日

台湾のバス事故で亡くなったは大連からの旅行者だった(その影響は?)

昨晩、ネットで以下の記事を見つけました。今年7月下旬、台湾で中国遼寧省大連からの団体客を乗せたバスから火災が発生し、乗客や運転手など全員が死亡したニュースの続報です。

なんと、この事故を起こした運転手が「自殺願望」の持ち主だったというのです。なにしろ乗客には6歳の子供までいたそうで、その痛ましさには言葉がありません。
b0235153_13472273.jpg

台湾の観光バス炎上、「自殺願望」の運転手が放火(AFP 2016年09月11日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3100539?cx_part=topstory

【9月11日 AFP】台湾で今年7月、中国からの観光客を乗せたバスの車内で火災が発生し、その後、ガードレールに衝突して、乗客乗員26人が死亡した事故について、捜査当局は10日、「自殺願望」があった運転手が故意に火を付けたことが原因だったと発表した。

今回の発表に先立ち当局は、バスの運転手だった蘇明成(Su Ming-cheng)容疑者が飲酒運転していたと発表していた。

捜査当局によると、中国人観光客を乗せ空港に向かって高速道路を走行していた蘇容疑者は、運転席および出口付近の床にガソリンをまき、ライターで火を付けたという。

地元の検察当局は10日に発表した声明で、「(蘇容疑者は)飲酒運転をしており、ガソリンをまき、火を付けて自殺し、乗客らを死亡させた」と述べた。

捜査では、事件前の数日間、蘇容疑者とその家族らの数十回の通話記録から、自殺を思いとどまるよう同容疑者に訴えていたことが明らかになった。

また、蘇容疑者には飲酒癖があり、飲むと暴力的になっていたという。ツアーガイドとの乱闘騒ぎや、性的暴行でそれぞれ裁判沙汰になったことがあり、捜査当局によれば、そのどちらも酒に酔った状態だった。(c)AFP


事故が起きた7月下旬、ぼくは大連にいました。この話を最初に聞いたのは、大連の親しい旅行関係者からでした。

彼女の知り合いの同業者がこのツアーを催行していたそうで、事故始末に大変なことになっているそうでした。「その会社はもう営業を続けることはできないかもしれない。でも、そこだけではなく、しばらく台湾ツアーは集客できなくなる」とぼやいていました。

あとで知りましたが、このニュースは日本でも報道されていたようですね。

観光バスが衝突・炎上、中国人観光客ら26人死亡 台湾(AFP 2016年07月19日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3094460

【7月19日 AFP】台湾で19日午後1時前、中国本土からの観光客らを乗せて台北(Taipei)郊外の台湾桃園国際空港(Taiwan Taoyuan International Airport)に向かっていたツアーバスが衝突事故を起こして炎上し、乗っていた26人が死亡した。台湾内政部(内務省)が明らかにした。

地元メディアの映像では、バスが走行中に高速道路のフェンスに激突して車両の前方から炎が上がり、その後、激しい煙を出しながら炎上して黒こげになったバスの車体が捉えられている。

内政部によれば、バスに乗っていた団体客は、中国北東部遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)から訪れた男性8人、女性16人の計24人。また運転手1人とツアーガイド1人も死亡したという。

乗っていた団体客は今月12日に台湾を訪れ、19日午後4時30分発の便で中国へと帰国する予定だった。(c)AFP


BBCの中国語版でも報道されていました。

台湾桃园陆客团旅游大巴失事着火26人死(BBC中文網2016年7月19日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/07/160719_taiwan_coach_fire

同中国語版をみると、今年2月に江蘇省のツアー客も台湾でバス事故に遭っていたようです。

江苏旅游团游览巴士台湾高速公路出车祸(BBC中文網2016年4月25日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/04/160425_taiwan_china_bus_crash

ただでさえ、蔡英文政権になって中国政府は台湾への中国客を減らしていたのに、こんなことが起きると、ますます減りそうです。

大連の旅行関係者はこんなことも話していました。「こういう事故があると、台湾だけでなく、海外旅行市場全体にも影響が出るのが気がかりです。ただでさえ、最近の中国は景気が悪く、以前のような贅沢旅行をする人は減っています。8月はそれでも夏休みなので、ファミリー旅行が盛況でしたが、9月以降は海外旅行者が伸び悩むのではないかと心配しています」

秋からの動向が少し気がかりです。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-09-12 15:57 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 08月 31日

夏休みだけに中国のファミリー旅行者が目立ちました(ツアーバス路駐台数調査 2016年8月)

8月3日に約1ヵ月間の中国出張から戻りましたが、とにかく東京は蒸し暑いです。とても日中外出する勇気がありません。実際、この出張の成果をまとめないといけないこともあり、8月はほぼ仕事場にこもりっきりでした。それはもう土日もお盆もない感じで(愚痴ですね)、今月は自ら「労働月間」とみなし、仕事場に通い続けていました。

で、新宿5丁目に現れる中国ツアー客の状況ですが、ひとことでいえば、夏休みだけにファミリー旅行者が目立ちました。中国人団体客専用食堂「金鍋」のある東京医科大通りは、昼どきになると、中国団体客が行列をなして歩いています。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

4日(木)11:30 5台
5日(金)12:20 4台
6日(土)18:20 3台
※この日、友人が上京してきたので、表参道の建築を案内したり、明治神宮の宝物殿を訪ねたりし、夜は新宿グランベルホテルのオープンテラスバーで夜景を見ました。帰り際、歌舞伎町のロボットレストランの通りを抜けていこうとしたら、相変わらず欧米客でにぎわっていました。驚いたのは、入場料が8000円に値上がりしていたことです。3年前のオープン時は確か4000円くらいだったのに、すごい人気ですね。

b0235153_9254211.jpg

b0235153_9255488.jpg

b0235153_9261455.jpg

7日(日)未確認
8日(月)12:20 5台、16:50 2台
9日(火)12:20 6台 
10日(水)12:30 5台
11日(木)11:50 4台
12日(金)11:20 3台
13日(土)12:20 4台
14日(日)11:50 3台
15日(月)12:40 6台
16日(火)11:30 7台
※この日は、バスが多く、新宿5丁目には大勢の中国ツアー客がいました。みなさん、暑いので、日陰に身を寄せてバスを待っているのが、ちょっと気の毒です。
b0235153_9262792.jpg

これらの群集は「金鍋」で昼食をすませた人たちです。この頃が8月のピークだったかもしれません。
b0235153_9263984.jpg

b0235153_9265325.jpg

17日(水)11:50 5台
18日(木)12:20 4台
19日(金)11:50 3台
20日(土)12:20 4台
21日(日)12:40 5台
22日(月)11:50 2台
23日(火)12:00 3台
24日(水)11:40 5台
25日(木)12:40 2台
26日(金)12:20 3台
27日(土)未確認
28日(日)未確認
29日(月)11:50 4台
30日(火)12:10 4台、18:30 2台
31日(水)11:50 5台
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-08-31 09:23 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 07月 05日

中国の夏休みが始まりました(ツアーバス路駐台数調査 2016年7月)

今年は空梅雨のようで、耐え切れない暑さが続いています。7月は、中国では夏休みです。一足早く、家族連れの中国客が増えそうです。

※中国の学校は9月入学の2学期制で,1~2月(春節期間)に約4週間の冬休み,7~8月に約7週間の夏休みがあります。

実は、今月は6日から長期の中国出張に行ってしまうため、ほぼこの調査はお休みとなります。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(金)17:50 3台
2日(土)17:20 1台
3日(日)未確認
4日(月)12:40 5台、18:00 3台
5日(火)12:40 3台
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-07-05 10:24 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 06月 24日

上海の「極楽湯」はありがたい存在だけど、料金は「日本の3倍」の意味するもの

この10年で地下鉄網が拡大し、市内の移動が格段に便利になった上海ですが、そのぶん行動半径がどこまでも広がってしまうので、1日を終えると、これまで以上に旅の疲れがたまりがちです。特に冬場はけっこう冷えるので、空気の悪さも加わり、身体にこたえるのが、最近の上海出張です。
b0235153_941379.jpg

そんなお疲れ気味のぼくを見て、上海の友人が連れていってくれたのが、なんと日本でもおなじみのスーパー銭湯「極楽湯」でした。3月のことです。
b0235153_9411951.jpg

地下鉄13号線「祁连山南路」駅下車。地上に出ると、かなたに巨大な「極楽湯」御殿が見えました。思わず「おお」と、うなってしまいました。
b0235153_9414968.jpg

「極楽湯」と書かれた、まばゆいばかりの提灯が並ぶ玄関に、胸が高まります。

館内は広く、日本の「極楽湯」より相当ゴージャスでした。この店の売りは、日本と同じ露天の岩風呂があること。館内には12種類の風呂があり、なかでも「美肌の湯」として知られるシルキー風呂が人気だとか。さらに、驚いたのは、7種類もの異なるストーンを敷き詰めた岩盤浴があることです。ずいぶんお金がかかっていそうです。

リクライナーチェア付きの休憩所は広くてくつろげるし、雑魚寝できるスペースもあります。そして、日本のコミックも揃っています。 
b0235153_9423776.jpg

日本食を中心に200種類の料理やドリンクが味わえるレストランもあります。また8種類から選べる和風柄の館内着が用意されています。
b0235153_943949.jpg

そのせいか、これまで中国ではこの種の温浴施設では少なかった地元のOLや若いカップルの姿が多いようです。 

上海には、現在2軒の「極楽湯」があり、ここは2015年オープンの2号店(金沙江温泉館)です。1号店は浦東に13年にオープンしたそうで、この夏には3号店もできるそうです。

ただし、入館料は138元(約2300円)。実は、ぼくの住む都内の地元に「極楽湯」があり、たまに行くのですが、平日は750円くらいなので、実に日本の3倍です。あと気になったのは、露天風呂のお湯からつーんとする塩素の臭いがしたことです。

そうだとしても、異国の地で日本風の露天風呂に浸かると、癒されます。

ところで、なぜ急に上海の「極楽湯」のことを思い出したかというと、今朝ほど日経ビジネスオンラインで以下の記事を見たからです。

上海で入館2時間待ちのスーパー銭湯
「極楽湯」中国攻略の極意(その1)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/061300009/061300001/

同記事は4回の連載で、なぜ上海の「極楽湯」が好調なのかについて解説しています。ポイントは、地元の女性の集客に成功したことがあるようです。上海の水道水を調べた段階で「これは徹底した浄化と軟水化をしないとダメだ」と判断したという話も紹介されていて、なるほど塩素の臭いの理由もうなずけました。

筆者がなぜ上海に数ある題材の中から「極楽湯」を選んで記事を起こしたかについては、以下のような見立てがあるといいます。

「経済指標と街中のギャップの背景には、中国経済の減速と同時進行で起きている大きな構造変化がある、というのが筆者の見立て。製造業からサービス業への、成長エンジンの主役交代が加速しているのだ」

この見解について、ぼくはおおむね同意しながらも、若干の疑問もあります。なぜなら、上海の話と中国全体の話は別に考えなければならないと思うからです。確かに、上海を中心とした華東地区では、サービス業や飲食などの消費活動が経済を牽引していることは間違いないと思うのですが、地方に行くほど、不動産投資の後始末が深刻に見えるからです。

また、日本と同様なサービスに対して3倍ものコストがかかることの意味も考えてしまいます。彼らは高速鉄道をつくるのは日本より低いコストでできるのかもしれませんが、温浴施設のようなサービスは高コストになるのです。

もっとも、これだけ多くの中国人が日本に旅行に来るのも、中国に比べるとはるかに安いコストである水準のサービスを享受できることを知ってしまったからでしょう。「極楽湯」で見かけた若い女性や家族連れは、おそらく日本を旅行したことがあるに違いありません。

今後、「極楽湯」は中国国内に100店舗を目指すそうです。

極楽湯 金沙江温泉館
上海市普陀区祁連山南路398号
10:00 ~翌1:00 
大人=138元 子供=68元
http://www.gokurakuyu.cn
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-06-24 09:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 23日

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情

今年1月16日、台湾総統選挙が投開票され、民進党の蔡英文主席が当選しました。

数日後、台湾では以下のような報道がありました。中国政府は選挙結果を見て、訪台中国人観光客を減らすと通達してきたのです。

訪台中国人ツアー客3割削減か 、観光産業に打撃 (ys-consulting2016年1月22日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/61660.html

観光業界の対中窓口機関、台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)は、中国人の訪台ツアー客を3月20日から6月30日までの間、3分の1削減するという通知が、総統選後の18日以降、台湾の旅行会社に中国同業から相次いで伝えられていると明らかにした。住民に台湾自由旅行を許可する対象都市も現在の47都市から4都市へと大幅に減らすとみられ、事実となれば台湾の航空会社やホテルなど観光業界が打撃を受けることになる。22日付経済日報が報じた。

2008年に中国人による台湾観光が解禁されて以降、訪台中国人客は同年の延べ約33万人から昨年の430万人へと13倍に増加。うち自由旅行者は130万人だった。馬英九政権が「1992年の共通認識(92共識)」を基盤に中国と経済交流を進めてきた成果と言えるが、92共識を認めない民進党の蔡英文主席が総統選で当選すれば、中国が民進党政権を締め付けるために訪台中国人客を削減するとの観測は早くから浮上していた。

台旅会によると、中国は訪台中国人ツアー客に開放している1日当たり5,000人の割り当て枠を3分の1減らすほか、住民に台湾自由旅行を認める開放都市も北京、上海、広州、アモイの4都市のみとする方針を一方的に決めたとされる。

台旅会上海弁事処の李嘉斌主任は、同会も関連業者も正式な通知は受け取っていないと指摘し、中国側の海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)を通じて確認中だと説明した。

中国では訪台ツアーや自由旅行の割り当て枠は中国国際旅行社など国営の大手旅行会社が握っており、中国や台湾の旅行会社が業務を請け負っている。上海錦江旅遊などは、上海や周辺都市での訪台ツアー客の出境申請は現在正常だが、問題の政策が実施されれば、それに合わせて訪台ツアー客数を調整することになると説明した。

■「過度の動揺は不利」
旅行業界団体、台北市旅行商業同業公会(TATA)の柯牧洲副理事長は、訪台中国人が減少すれば、台湾のホテル、飲食店、ギフトショップなどが比較的大きな打撃を受けると指摘。一方で旅行関連業者に対し、過度の動揺を見せれば蔡新政権が中国人旅客に対する依存度を下げようとする上で不利になるとして、冷静な対応を呼び掛けた。

■ホテルの供給過剰悪化も
なお交通部観光局が21日発表した統計によると、台湾の観光ホテル全体の昨年の客室稼働率は69.3%で前年比3ポイント下落した。1日1室当たり客室売上高(RevPAR)は2,641台湾元(約9,200円)で、32元の減少となった。減少は10年以降で初めて。経営効率悪化の背景にはホテルの供給過剰がある。昨年の訪台外国人旅行者は前年比1%増加して延べ1,000万人を突破したが、宿泊業の総客室数は昨年末に20万5,000室へと7.3%増えており、増加ペースは供給が需要を大きく上回っている。こうした中で訪台中国人客が減少すれば、ホテルの供給過剰はさらに深刻さを増し、業績への悪影響が懸念される。


まったく身もふたもない話です。相手が気に入らないので観光客を減らし、経済的なダメージを与えてやろうというわけです。

中国人観光客の“台湾離れ”が顕著に、総統選の“報復”か?―台湾紙(レコードチャイナ2016年3月25日)
http://www.recordchina.co.jp/a131693.html

訪台中国人旅行市場の解禁は、国民党政権になった2008年から。この数年で急増し、10年にそれまでトップだった日本を抜き、15年は約400万人になりました。日本に比べ国土の小さい台湾に400万人の中国客が来襲したというのは、受入面でさぞ大変だったことでしょう。
b0235153_13374040.jpg

一般に中国人の台湾旅行は7泊8日をかけて島を一周するそうです。
b0235153_13375190.jpg

これはある台湾の雑誌による少し古いデータ(2011年)ですが、日本客と中国客の台湾での費目別消費額を比較していて、ホテルや食費、交通、娯楽などは日本が多いのに、買い物だけ中国は2倍になっています。
b0235153_13424559.jpg

それゆえ、台湾でも日本と同様、いやそれ以上に徹底した免税店のコミッションに頼る激安ツアーモデルが横行しています。

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい
http://inbound.exblog.jp/23872141/

そのせいか、台湾では次のような声も聞かれるそうです。

中国人客減少、ネット世論は大歓迎 (2016年6月17日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/64767.html

蔡英文政権への交代が決まって以降、台北市内の観光スポットでは中国人観光客を目にする機会は明らかに減った。今後夏休みの7~8月には中国人の訪台観光ツアーはさらに大きく減少し、自由旅行客も減ると報道されている。中国寄りの中国時報などのメディアは「ホテルが休業した」「観光バス会社が損失で悲鳴」といった影響を相次いで伝え、危機感をあおっている。

ところが、インターネットでの台湾市民の反応はほぼ歓迎一色だ。関連ニュースへのコメントは「よかった。もう1人も来なくていい」、「やっときれいな阿里山や日月潭に行ける」、「中国人観光客は増える方がよほど迷惑だ」といったものが続々と並ぶ。


台湾では、日本よりはるかに中国に対する政治的な緊張や反感があるでしょうから、そうでも言ってやりたい気持ちはわかります。しかし、今年4月、中国政府はそれまで「事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金」を課したことで、日本での爆買いは下火になりつつあります。これは日本に縁がない話ではないのです。

こうした中国政府の子供じみたふるまいによって被害を受けるのは近隣諸国ですが、実のところ、自国民もそうです。こんなことばかりやっていては、中国客の受入国が彼らを尊重しようとする意欲がなくなってしまうかもしれないからです。なにごとも為政者の面子が優先で、自国民の利益は二の次ですむと考えているからでしょう。

このように日本のインバウンド振興にとって、政治に影響されやすい中国市場は最大の不確定要因といえます。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-06-23 11:10 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 20日

中国独立映画の世界を知ると、心からリスペクトの感情がわきあがる

2年に1度、東京で開催される中国インディペンデント映画祭で上映される独立映画の世界を、朝日新聞の平賀拓哉記者が今日の朝刊で紹介しています。

中国インディペンデント映画祭2015
http://cifft.net/

「リアル」描く独立電影 検閲通さず制作、中国で圧力も(朝日新聞2016年6月20日)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6B55TLJ6BUHBI01K.html

中国の映画界に、自由な表現を求めて政府の検閲を通さずに制作される「独立電影(映画)」と呼ばれるジャンルがある。中国社会の現実を鋭く描いた作品も多く、国内各地で専門の映画祭も開かれていたが、当局は中止に追い込むなど警戒を強めている。

4月9日、北京市郊外の非営利団体「栗憲庭電影基金」のホールに20人ほどが集まった。上映されたのは、中国で1957年に始まった知識人弾圧「反右派闘争」をテーマにした「癡(チー)」。右派と認定されて20年以上も矯正施設に収容された男性へのインタビューと、証言に基づく再現ドラマで構成されている。

共産党との内戦で敗れた国民党の幹部だった父親がいたことで当局にマークされ、ささいな言動がもとで逮捕されて妻子と生き別れに……。男性のそんな悲劇を描いたのは四川省出身の邱炯炯監督(39)。男性に関する書物を読んで衝撃を受け、撮影を決めた。邱監督は「同じことを繰り返さないよう、実際に起こったことを伝えたかった」と話す。

作品はスイスのロカルノ国際映画祭など外国でも上映されたが、中国では公開できない。映画産業を管理する国家新聞出版広電総局の検閲を受けていないためだ。

中国では検閲を通さず、小規模の人員と予算でつくられる作品は「独立映画」と呼ばれる。明確な定義はないが、映画関係者の間では「政府の統制を受けないリベラルな作品」というニュアンスで使われる。

かつて中国の映画は国営の撮影所で制作され、政府の宣伝色が強い作品も多かった。90年代ごろから作品を自主制作し、外国で発表する監督が現れた。2000年代に入ると、デジタルビデオカメラの普及などで制作が容易になり、多くの若手監督が取り組むようになった。

貧困や一人っ子政策、同性愛といった社会問題、反右派闘争や文化大革命などの現代史。独立映画には政治的に敏感なテーマを扱った作品が少なくない。中国社会をリアルに描いているとして外国で高い評価を受けることもあるが、中国の一般市民にはほとんど知られていない。

それでも00年ごろから、外国で発表された独立映画が逆輸入される形で中国内に持ち込まれ、小規模な自主上映会などを通じて知識人や芸術関係者の間で広まった。北京や江蘇省南京などでは500~1千人規模の映画祭も開かれるようになった。

独立映画の制作を支援する団体も現れた。「癡」の上映会を開いた栗憲庭電影基金は、芸術評論家の栗憲庭氏が寄付を集めて06年に設立。映像資料の収集なども行っている。

■当局が干渉、映画祭中止も
政府当局は近年、独立映画に対する干渉を強めている。栗憲庭電影基金は14年8月、それまで毎年開催してきた大規模な映画祭「北京独立映像展」の中止を余儀なくされた。

その年の映画祭初日、会場の周辺を警察官や「地元住民」という男たちが取り囲み、参加者の会場入りを阻んだ。当局は基金事務所を捜索し、約1500本の映画とパソコンをすべて押収。中心メンバーは深夜まで取り調べを受けた。

栗憲庭電影基金は昨年も地元当局の要請を受けて映画祭開催を断念した。基金関係者は「当局は作品の内容だけでなく、多くの人が集まることも警戒しているようだ」と話す。

江蘇省南京で03年から毎年秋に開かれていた映画祭「中国独立影像年度展」も、昨年は南京での開催を断念。会場を別の都市に移して規模を縮小した。関係者は「南京では1千人を超える観客が集まったが、地元政府が開催を喜んでいなかった」。映画関係者によると、雲南省昆明や重慶市でも大規模な映画祭が開催されなくなったという。

当局が締め付けを強める背景には、経済成長が減速し、官僚の腐敗や貧富の格差といった社会のひずみが顕在化するなか、独立映画を通じて体制批判が強まることへの懸念があるとみられる。ある映画関係者は「締め付けで、敏感なテーマを避けた作品も増えている」と明かす。

それでも、社会派の独立映画はなお生まれている。14年に栗憲庭電影基金の映画祭が中止に追い込まれた経緯も、「A Filmless Festival(映画のない映画祭)」というドキュメンタリーになり、インターネットの動画サイトで公開されている。ただし、中国国内では見ることができない。(北京=平賀拓哉)

実は、栗憲庭電影基金の映画祭が中止になる前年の2013年8月にぼくは当地を訪ねています。もうすでにこのときから当局による圧力や嫌がらせがあったようで、公開HPなども閉鎖し、北京郊外の宋庄にある栗憲庭電影基金の事務所の建物とその隣りの小さなスペースでひっそりと作品を上映していました。
b0235153_15513535.jpg

その前年の2012年の映画祭については、中国インディペンデント映画祭を主催している中山大樹さんが以下のレポートを書いています。

北京発/北京独立影像展の報告 text 中山大樹
http://webneo.org/archives/9854
b0235153_155371.jpg

栗憲庭電影基金の事務所のある宋庄は、北京市内から東に向かって車で40分くらいの場所にある芸術区です。

中国インディペンデント映画関係者が集まる「宋庄」とは
http://inbound.exblog.jp/20165045/

それにしても、なぜ中国政府はこのような映画祭すら許すことができないのでしょう…。

彼らは反政府的な姿勢を持つ人たちではありません。むしろ、きわめて良識を持った人たちです。実は、この中庭の写真には、映画祭の主催者で、中国を代表する美術評論家の栗憲庭さんがちょこっと写っているのですが、この方など、世代的には紅衛兵と同世代で、中国にずっと住んでいたというのに、いつも発言は理性的かつ明晰。西側の知識人と言っていることは変わらず、すべてを見通しているかのようで、驚かされます。
b0235153_15524738.jpg

中国で開催できなくなった映画祭も、前述の中山大樹さんの尽力で、東京では開催され続けています。中国に特別関心のない人でも、あるいは反中国的な考えの持ち主であっても、彼らの考え方や作品を撮る姿勢を知れば、きちんと評価に値する人たちだと思うことでしょう。

ただし、現状では、当事者の彼らを不用意に表に出すことは、リスクにさらすことになりかねないこともあり、難しいところがあります。所詮、自分たちは日本という安全地帯にいることに気づかされます。

それでも、このような世界が中国にあることを初めて知ったとき、とても興奮したことを思い出します。その後、ひとりの北京在住の独立系の監督と親しくなったのですが、彼の作品を通じて提示される中国社会に対するまなざしに大いに共感しました。日本ではあらゆることがあまりに自由であるために、いまなすべきことが見えなくなることが多いせいかもしれません。彼らの仕事ぶりに、心からリスペクトの感情がわきあがってくるのです。

※リアルチャイナ:中国独立電影
http://inbound.exblog.jp/i29/
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-06-20 16:02 | リアルチャイナ:中国独立電影 | Comments(0)
2016年 06月 19日

日本の「爆買い」報道は中国人の自尊心を傷つけた!?

為替が円高に振れ始めたと思ったら、メディアは中国客の「爆買い」にも影響が出てきたと報じ始めました。

「爆買い」に急ブレーキ インバウンド 変わる風景(日本経済新聞2016/6/18)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03780060Y6A610C1SHA000/

5月の大型連休明け。家電量販店のヤマダ電機はJR新橋駅前(東京・港)の店舗をひっそりと閉めた。不採算60店を一斉閉店する一方、新たな「戦略店」として2015年春に開いた免税専門店だった。

■1年で見切り
「インバウンドは経営の核にならない」。山田昇会長は1年あまりで見切りをつけた。1台10万円近い炊飯器を何台もまとめ買いする中国人客。一本調子で増えてきたこんな「爆買い」にブレーキがかかった。

中国は経済成長が鈍り、15年夏には上海株が急落。円高・人民元安が進み、この1年で日本の商品の“お得感”は2割近くも失われた。ただ、爆買いがしぼむ理由をこれだけで片付けることはできない。

訪日観光ビザの4割を発給する上海の日本総領事館では1~4月の発給件数が前年同期比15%増。日本への旅行熱が冷める気配はない。沿岸部中心に給与水準は上昇。2桁成長が続く中国の消費市場では依然、日本製の人気は高い。実際、16年1~3月期に訪日中国人客の旅行消費額は客数の伸びが寄与し、前年同期を4割強上回った。ただ、1人当たりに換算すると、12%近くも減っている。

「税制が変わってコストが合わない」。九州に住む中国人の主婦、高園園さん(29)が話す。ドラッグストアなどで買い付けた商品を本国の客に販売してきた代購(代理購入)。いわゆるブローカーだ。

中国政府は4月、越境EC(電子商取引)に関する税制を変更した。事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金が課される。税制の抜け道を使って荒稼ぎするブローカーを締め出し、正規の貿易業者の不公平感をなくすことが狙いとみられる。人海戦術で商品を調達してきた代講は関税引き上げと円高でうまみがなくなった。

日本百貨店協会がまとめた4月の全国の百貨店のインバウンド向け売上高は3年3カ月ぶりに前年割れとなった。客数は7%以上増えたにもかかわらず、単価が16%近く落ち込んだ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「ブローカーが減った」とみる。

■大きな振れ幅
免税店大手のラオックスは5月まで全店売上高が4カ月連続で前年割れとなった。店舗数は増やしても単価下落が補えない。8月をめどに日本行きのクルーズ船が発着する上海港に展示場を設ける。家電や化粧品など1000点超をそろえて、訪日前に予約販売。日本の店舗で手渡す。クルーズ旅行の富裕層を店舗に呼び込む苦肉の策だ。

免税販売は想定ほど伸びない。家電量販店のビックカメラは16年8月期の連結売上高を下方修正した。宮嶋宏幸社長は「インバウンドは1割程度が適切」と強調する。単体売上高に占める免税販売の比率は15年12月~16年2月期ですでに11%程度となっている。

15年には3兆4000億円に達し、百貨店や家電量販店を潤したインバウンド消費。振れ幅の大きさはリスク要因となりかねない。


この記事の興味深いところは、中国政府が「越境EC(電子商取引)に関する税制を変更」したことで、「爆買い」のもうひとりの重要なプレイヤーだったブローカーたちが「人海戦術で商品を調達してきた代講は関税引き上げと円高でうまみがなくなった」と指摘していることです。同様に、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長も「ブローカーが減った」とみていること。なんだ、これは観光客の話ではないじゃないですか、とつっこみを入れたくなります。

しかし、中国団体客ご用達免税店のラオックスが「5月まで全店売上高が4カ月連続で前年割れ」であるとしたら、中国客の買い物手控えは、すでに春節頃から始まっていたことがわかります。

昨年から中国政府があの手この手で中国客の「爆買い」阻止に動いていたことは知られています。決定的となったのは「事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金」が課されたことでしょう。

これでは、以前のように、知人友人親族のために、あるいは自らの面子のために、炊飯器を6つも7つも買って帰るなんて、したくてもできません。高い関税がかけられたのでは、中国で購入するのと変わらなくなりますし、周囲に自分は「こんなに安く買ってきたのだ」と得意げに言い張ることができません。海外から帰国した中国人が周囲に土産物をばらまくときに見せる、あのご満悦の表情にケチをつけたのは、中国政府です。内需を拡大することが至上命題である中国の深刻な事情を知ってか知らずか、どこか浮かれた気分だった自国民に冷水を浴びせたというべきではないでしょうか。

気になるのは、中国の旅行会社から訪日客を預けられる在日中国人のガイドたちです。これまでのように売上がたたなければ、免税店から十分なコミッションをもらえないわけですから、ホテルやバス、食事の支払いに窮することになると一大事でしょう。仕事を放りだす人たちが出てくるかもしれません。

それでも、訪日中国客は増え続けています(16年1~5月の中国客はすでに249万人。前年度比45.3%増)。熊本地震も、いまのところ影響はないようです。

今年2月、四川省を訪ねたとき、現地の若い中国人たちが口をそろえてこう言っていたことを思い出します。「日本ではさかんに中国人の爆買いを報道しているようだけど、なんかバカにされている気がする」。

「べつにバカにしてるんじゃなくて、驚いているんだよ。だって、日本人はそんな買い方をしたことがないので、見ていて面白いし、商売人も売上アップでうれしい。盛り上がらないわけがないでしょう」

そうぼくが言うと「べつに日本で買わなくても…。これじゃ中国に買うものがないみたいじゃないですか」と答えるのです。

みんながそうだとはいいませんが、一部の中国人は、日本の「爆買い」報道で自尊心が傷ついた面があるようなのです。

確かに、日本の「爆買い」報道に一種のあざけりのようなニュアンスが含まれていなかったかといえば、ウソになるでしょう。長期デフレに沈む多くの日本人にとって、景気よく買い物をする中国客の姿を見るのは面白くない、という感情もあるはずです。これは上海に在住する日本人の友人がよく言うのですが、「日本のメディアの中国報道には、妬みが入っている」と。そうかもしれませんね。

一方、ネットでこんな記事もありました。

「日本製」買う中国人に、悩む中国人 「同じ物作れるのに」=中国メディア(サーチナ2015-12-10)
http://news.searchina.net/id/1596727

中国人が海外で「爆買い」する背景には「自国製品への不信」があることは、当の本人たちは自覚しています。しかし、それは自国の面子を失わせることでもある。そんなことをわざわざ外国人に言われたくない…。

彼らの複雑な心理を知ると、ちょっと気の毒に思えてくるところがあります。彼らには、買い物が単なる個人の楽しみとしての消費行動にはならないところがあるのです。中国政府もメディアを使って、そのようにうまく誘導してきたと思います。

その点、台湾の人たちは、実におおらかに「爆買い」を楽しんでいます。今年2月、日本薬粧研究家の鄭世彬さんと一緒に『爆買いの正体』(飛鳥新社)という本をつくったときも、彼は日本でたくさんの買い物をすることが自尊心に関わる問題だなどとは想像もつかないことのようでした。

『爆買いの正体』という本は、昨年新語・流行語大賞を受賞した「爆買い」はどうして起きたのか。その背景を台湾人の目を通して語ってもらうというもので、「爆買い」の当事者である華人自身が語る本質を突いた指摘があふれています。要するに、華人にとって「爆買い」は本能だというのです。

さらに、この本は台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書です。なぜ台湾の人たちがこれほど日本の製品を愛好してくれるのか、その理由を熱く語ってくれています。
b0235153_18583224.jpg
http://goo.gl/DXhOMa

やはり、台湾人と中国人はまったく違うのですね。

とはいえ、「爆買い」が本能であるのは、中国人も同じ。本当は彼らにも気持ちよく買わせてあげたいものですが、一度ケチがついたら、これはけっこう長引くかもしれません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-06-19 18:59 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 18日

外国客を呼びたいなら、中国はFacebookやLineを解禁すべきでは!

昨日、中国海南省の観光セミナーの報告をしましたが、中国でも日本と同様、インバウンドプロモーションをやっていることを知ってもらいたかったからです。

海南島のロゴ「HAINAN」はハワイ「HAWAII」と似ていて笑った話
http://inbound.exblog.jp/25918397/

このところめっきり日本人は中国に旅行に出かけなくなってしまっているのに、なぜ中国の旅行関係者は日本でインバウンドプロモーションをするのでしょう。

なにしろこの夏の日本人の人気海外旅行先のランキングをみても、20位内にすら中国の都市はひとつも入っていないありさまです。

トラベルコちゃん海外ツアー検索で人気の海外旅行先(2016年夏)
http://www.tour.ne.jp/special/world/ranking/index_summer.html

しかし、中国側からみると、そうでもないのです。中国国家旅游局のサイトによると、訪中外国人の国別統計では、2015年の総数は2598万人で、トップ3は1位が韓国(444万人)、2位は日本(249万人)、3位がアメリカ(208万人)なのです。

2015年1-12月入境外国游客人数(中国国家旅游局)
http://www.cnta.gov.cn/zwgk/lysj/201601/t20160118_758409.shtml

それならば、彼らが日本を重点プロモーション国と位置付けるのは、一応筋が通った話といえるでしょう。

もっとも、日本人の場合、多くはビジネス出張者の往来のように思います。レジャー客はそれほどではない。中国は広く、歴史的にもさまざまな文化遺産があり、興味の対象も多いので、個人客もいますが、以前ほど多くはなさそうです。かつては年配の日本人の人気旅行先でしたが、両国関係の悪化とともに失速してしまいました。

いまアジアでは、国際観光市場が拡大しています。そのうち伸び率がいちばん高いのは日本ですが、たいていの国で伸びています。伸び悩んでいるのは、中国と北朝鮮です。

では、なぜ中国を訪れる外国客が伸び悩んでいるのか。それは、PM2.5に象徴される環境汚染もそうですし、習近平政権以降の対外政策が近隣諸国の不興を買っていることもあるでしょう。

しかし、今回の海南島の観光セミナーをみるかぎり、基本的なプロモーションができていないことがあると思います。

これは海南省のような地方政府だけでなく、昨年の今頃行われた首都北京の旅游局のプロモーションもそうでしたから、国全体の問題でしょう。

外国人観光客数が伸び悩む中国の観光PRのお寒い中身 (2015年 05月 14日 )
http://inbound.exblog.jp/24475269/

要するに、プロモーション手法が旧態依然としていて、対象市場の消費者が何を求めているかというマーケティングがないのです。これは対日本だけでなく、3年前の台湾の旅行博でも同じでした。そもそもやる気が感じられないのです。

台湾で中国本土ブースが不人気な理由(台北ITF報告その2) (2013年 10月 30日 )
http://inbound.exblog.jp/21375685/

いま東アジアの人の動きが大きく変動しています。かつての日本を中心に東アジアの国々に向かって人の動きが広がっていた時代(2000年代前半まで)から、いまでは東アジアの国々から日本に向かって人の流れが拡大しています。

昨年4年ぶりに開催された日中韓の観光大臣会合でも、時代の大きな変化の中で共に人的交流を発展させていこうという話でまとまったのですが、なにしろ日本人が以前のように中韓両国に行かなくなってしまったので、話の盛り上がりようがありません。

「最大の問題は、日本人が中韓両国に行かなくなったこと」なのだろうか?(第7回 日中韓観光大臣会合) (2015年 04月 16日)
http://inbound.exblog.jp/24367145/

そんなわけですから、中国の旅行関係者も、日本に向けたインバウンドプロモーションのやり方を改善しようという意欲がわいてこないのも当然かもしれませんね。

ところで、日本人はともかく、外国人全般の中国への旅行が伸び悩んでいる理由について、個人的に思うことがあります。

それは、中国ではFacebookやLine、Googleが使えないことです。

いまの時代、海外旅行にとってSNSは欠かせないアイテムです。中国人も世界中を訪ね、旅先で撮った写真や動画を微信で送りまくっています。

自分たちが海外でいちばん楽しんでいることを、自国では外国人にやらせないのでは、誰も足を運びたがらなくなるのは当然ではないでしょうか。外国人は中国に来ることを歓迎されていないのだとみなされても仕方がありません。

LINEとGmailが使えない中国ってどうよ (2014年 07月 29日 )
http://inbound.exblog.jp/23696725/

中国全土が無理なら、せめて海南島だけでもFBやLineを使えるようにすればいいのに! それが最大のプロモーションじゃないんですか。

そんなひとりごとをぶつぶつ言いながら、セミナー会場をあとにしました。 
b0235153_10182292.jpg

2014年5月頃、上海の人民広場駅の構内にはLINEの立体広告が置かれていました。その2ヵ月後、中国でLINEは使用不能となったのです。

【追記】
もちろん、中国でFacebookやTwitterを使うことが絶対できないわけではありません。ネットを見ていたら、あるIT関係の専門家が初めて上海に行き、「グレートファイアウォール」を体験した話を書いていました。

上海でグレートファイアウォールにぶつかった話(IT Mediaエンタープライズ2016年06月28日)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1606/28/news058.html

筆者は「香港でプリペイドSIMカードを購入し、ローミングという形で通信を行っ」たそうです。一般に海外旅行で使われるレンタルWi-Fiルーターでは、中国の通信事業者のネットワークを使うため、グレートファイアウォールに捕まってしまうからです。

香港で買える「海外用プリペイドSIM」完全ガイド2015年編――海外プリペイドSIM導入マニュアル(IT Mediaエンタープライズ2015年01月28日)
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1501/28/news125.html

筆者によると「丸3日間の滞在だったので、写真はたくさん投稿するものの、1.5Gバイトもあれば安心」とはいうものの、「たったの3日間かあ」と思わないではありません。
[PR]

by sanyo-kansatu | 2016-06-18 08:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)