ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 03月 02日

過去最高400万人超えの台湾客はいま日本で何を楽しみたいのか?

昨年の訪日台湾人数は416万7400人。リピーターが多く、全国各地に足を延ばす台湾客は1980年代から日本を訪れている。彼らはどのような人たちで、日本がなぜ好きなのか。そろそろ飽和市場といわれるなか、さらにこの勢いを盛り上げるために何ができるのか、考えたい。
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昨年の訪日台湾人数が過去最高の416万7400人ということは、人口2300万人のうち6人に1人が日本を訪れたことになる。台湾から毎年これだけ多くの人たちが日本を訪れる理由は何だろうか。

それを理解するうえで参考になる映画がある。中国のオムニバス映画『Cities in Love(恋愛する都市)』(2015)の一編として収録されている『Honeymoon(蜜月)』という約20分の短編作品だ。

台湾人監督が描く北海道ハネムーン旅行

『Honeymoon(蜜月)』は、北海道を舞台にした中国人カップルのハネムーン旅行を描いている。台湾人の傅天余監督は1973年生まれの女性で、岩井俊二監督に影響を受けたという。

恋爱中的城市(YOU TUBE)※『蜜月』は1時間2分40秒頃から。
https://www.youtube.com/watch?v=JT6K7HyzAPE

物語はハネムナーのふたりが窓の外の雪景色を見ながら温泉に入るシーンから始まる。部屋に戻ったふたりが床に就くと、新郎の携帯が鳴る。電話の相手は会社のボスで、彼のスマホに北海道産の干物屋の写真を送ってくる。土産に買ってこいというのだ。
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↑亜熱帯に暮らす台湾人にとって、雪見温泉は極上体験

新婦は北海道で行きたいところ、食べたいもの、体験したいことをいくつも計画していたが、翌朝彼らは温泉宿をキャンセルし、干物屋を探しに行くことになった。彼女は大いに不満である。

小樽駅から電車に乗り、ある無人駅で下車。その後、ふたりは路線バスに乗る。バスを降りて、雪道を歩いているうちに大喧嘩を始める。そして、彼を置き去りにして彼女はひとりで歩いていってしまう。
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↑雪に覆われた無人駅はハネムナーにとってはロマンチックな世界。今年初め、この映画を観た中国人観光客が線路に降りて、電車を停めるという報道があった

ついに日が暮れ、大雪の路上でスーツケースに座って途方に暮れていた彼に電話がかかる。彼女からだった。「見つかったのよ」。

彼女はすでに干物屋を見つけ、自宅に招き入れてもらい、部屋で休んでいたのだった。こうしてふたりは老夫婦の暮らす家にホームステイすることになる。囲炉裏を囲んで片言の日本語で会話をしているうちに、喧嘩ばかりしていたふたりが寄り添うところで終幕となる。

台湾客はローカルバスが好き?

ほのぼのとしたラブコメディであり、この作品に見られる日本の老夫婦に対する温かいまなざしは、いかにも台湾人監督らしい。ハネムーンの話ということで、いまの若い台湾人や、おそらく中国人も(同作品はまがりなりにも中国映画である)、日本で体験したいことがもれなく盛り込まれていると解釈していいかもしれない。

この作品には以下のようなシーンが出てくる。

雪景色、温泉、納豆、ローカル線、駅弁、無人駅、ローカルバス、雪道を歩く、日本酒の熱燗、ホームステイ(民泊)、日本人老夫婦との交流

一見なんの変哲もないようだが、これらは台湾の人たちが日本でやってみたくてたまらない体験のラインナップと見ていいのではないだろうか。わざわざローカルバスに乗ることも、最近の日本のテレビ局が低予算ゆえに盛んにつくっている路線バスの旅番組の影響があるかもしれない。台湾では日本のテレビ番組が多く放映されているからだ。
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↑バスの中でふたりの気持ちは離れてしまったよう。「せっかくのハネムーンなのに、自分はどこに連れて行かれているのだろう…」。彼女の気持ちは理解できる

ここには、彼女が当初計画に入れていた和牛の焼肉やタラバガニの食事もそうだし、ドラッグストアや免税店の買い物といった一般の日本人がイメージする訪日中国客の姿は一切出てこない。彼女が「見つけた」と語る日本の老夫婦との和やかな語らいの時間に比べれば、そんな誰でもできるようなことなど、たいした価値はないのである。

自分たちの住む小さな田舎町を訪ねてきたふたりの様子を訝しがりながら、老夫婦は自分たちの新婚旅行先がハワイだったと話す。おそらく1970年代のことだろう。こうしたエピソードを挿入できるのも、昔から日本のことをよく知っている台湾人監督ゆえの味つけだと思われる。
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↑日本酒の熱燗を酌み交わしながら、老夫婦の思い出話を聞くふたり

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー

長崎県の島原半島の南端にある南島原市では、2013年から台湾の団体客を農家民泊させるツアーを受け入れている。ツアー名は「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」。催行しているのは、台北にある名生旅行社だ。
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↑「來去郷下住一晩(田舎に泊まろう)」

名生旅行社:http://www.msttour.com.tw/web/major.asp

このツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産物の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わう。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、毎年多くの台湾客が訪れるようになった。
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↑筆者が同行取材した台北在住の黄さん一家は民泊先のビニールハウスでナスやピーマンを収穫した
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↑民泊先のキッチンで家族と一緒につくった夕食を楽しむ

(参考)台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)
http://inbound.exblog.jp/24747209/

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年から。最初は長崎県の中学生から受け入れを始め、全国の中高生の修学旅行生へと広げていったという。いまでは年間約1万人の民泊を受け入れており、約160の民家が対応している。

民泊ツアーに参加する台湾客について、添乗員の林尚緯さんはこう話す。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まるように、決して安いツアーではない。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などには行き尽くした、日本をよく知るリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。
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↑台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊した(2015年7月)

帰り際に地元の公民館に台湾客が全員集まり、お別れの会をするのだが、感極まって涙を見せる人も多いという。一緒に過ごした1日の時間を思い出すと、お互い言葉がわからなくてもどかしいぶん、ぐっとこみ上げてくるものがあるようだ。まさにウルルンツアーなのである。

日本人と触れあいたいという思い

民泊ツアーの添乗員の林尚緯さんが言うように、台湾客は日本のリピーターが多い。一般に市場が成熟すると、団体から個人へと移行するといわれるが、台湾客は個人比率が高いものの、仲間でわいわい楽しみながら旅行をするのが好きな人たちである。日本の情報も、テレビはもちろん、ネットが普及する前の紙メディアが主流の時代から接していたという意味で、年季の入った日本ファンといえる。

そのため、彼らは日本人の好みや流行、考え方を比較的素直に受け取る傾向が強い。台北で現地情報誌の立ち上げに関わった編集者の鈴木夕未さんによると「台湾人の日本旅行の好みは、ほとんど日本人と一緒。よく外国人目線を大切にというけれど、彼らは日本人目線とそんなに変わらない。日本人がカワイイと思うもの、素敵と思うもの、行ってみたいと思うところもほぼ同じ。日本の女性誌に掲載されているような店を台湾人は好みます」という。

「日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい」という台湾客の思いを理解するうえで参考になるのが、台湾出身の日本薬粧研究家の鄭世彬さんが書いた『爆買いの正体』(飛鳥新社)だろう。彼は日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品の専門家で、すでに台湾、中国で10冊以上の案内書を出版している。同書は台湾人も含めた華人の「爆買い」を経済現象としてみるのではなく、民族的、歴史的な背景をもった文化現象として描いていることが特徴だ。

さらに、台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書でもある。なぜ台湾の人たちがこれほど多く日本を訪れるのか、その理由を熱く語ってくれている。それは、ひとことでいえば、日本人ともっと触れあいたいという思いがあるからなのである。
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↑『爆買いの正体』(飛鳥新社)http://goo.gl/DXhOMa

1980年代から日本を旅行していた台湾客

台湾の人たちが日本に旅行に訪れるようなったのは、1979年以降である。その年、台湾人の海外渡航が自由化されたからだ。

アジア映画ファンなら、台湾映画を代表する候孝賢監督が製作に携わった『多桑 父さん』(呉念眞監督 1994年)という作品に登場する老人のことを知っているかもしれない。彼は日本統治時代に教育を受けた世代で、戦後多くの苦労を重ねたが、夢は日本旅行に行って富士山を見ることだった。結局、老人は夢を果たせなかったことで物語は終わるが、多くの台湾の人たちが自由化後に最初に向かった先は日本だったのだ。

とはいえ、80年代当時は年間約40万人、90年代でも約80万人ほどだった。それが一気に増えたのは、2000年代に入ってからである。

引き金になったのは、2005年の愛知万博開催を期に台湾人に対する観光ビザを免除したことだ。さらに、日本への往来を格段に便利にしたのが日本の航空政策である。海外の国々との間で航空便の路線や発着枠、便数を自由化させるオープンスカイ協定の改定や推進で、特に近年の目覚しい路線数の拡充は、米国との協定を締結させた2010年10月以降、続々とアジア各国との同様の協定を進めた。

なかでも地方空港への国際線乗り入れ増加に影響を与えたのは、10年の韓国、11年の台湾、香港、12年の中国との協定締結だろう。台湾と日本のオープンスカイ協定は、11年11月に調印されたが、これにより台湾からの関西国際空港や中部国際空港、そして地方空港への乗り入れは自由化され、就航エアラインやチャーター便の規制も撤廃されたことから、従来のチャイナエアラインやエバー航空に加え、翌年よりマンダリン航空やトランスアジア航空(16年11月解散)の4社が定期便の運航を開始した。

現在、これに加えてLCC(格安航空会社)が日本と台湾を結んでいる。国内系はジェットスターやピーチ・アビエーション、バニラエア。外国系はシンガポールのスクート航空、昨年から仙台や岡山などの地方都市への運航を開始したタイガーエア台湾。もちろん、これに日本航空と全日空が加わる。台湾のエアラインは日本の地方都市にも多く就航していることが特徴で、台湾メディアによれば、「日本と台湾を結ぶ航空便は毎日約100便」(フォーカス台湾2016年5月29日)飛んでいるという。
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↑台湾で開催される旅行博では、日本ブースが最大規模。会場では日本ツアーが大量に販売される

ビザ免除とオープンスカイ協定終結による相乗効果が、昨年台湾からの訪日客が400万人を超えるまでに拡大した最大の理由といえる。

双方向の交流を進め、盛り上げたい

日本政府観光局(JNTO)によると、昨年の1月から10月まで日本は台湾人の海外旅行先トップだったという。数の規模は飛躍的に拡大し、前年からの伸び率も13.3%増と決して低いとはいえないが、一時期の勢いは収まり、市場は飽和状態という声もある。

昨年下半期に若干伸びが落ちた背景には、2015年12月に日本路線の運航を開始したVエアの撤退(16年9月)やトランスアジア航空の解散(11月)などの影響があったと考えられる。

日台間を結ぶ航空便が減れば、当然訪日客数に影響が出る。であれば、航空便の維持のためにも、我々も台湾に出かけるべきではないだろうか。さいわい、日本から台湾を訪れる観光客数はここ数年、わずかではあるが増加傾向にある(2015年で167万2000人)。ただし、台湾から日本を訪れる数に比べると、半分以下だ。双方向の交流こそが、台湾の訪日市場をさらに盛り上げることにつながるはずだ。

台湾が日本からの観光客を待望するのはもうひとつの理由がある。2016年1月の台湾総統選挙の結果、民進党の蔡英文主席が当選したが、それ以後、中国からの観光客が大きく減少しているからだ。

訪日台湾市場を理解するためには、現地をよく知ることが欠かせない。ぜひ多くの日本人が今年は台湾に足を運んでほしい。

※やまとごころ.jp
http://www.yamatogokoro.jp/report/2934/
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by sanyo-kansatu | 2017-03-02 12:19 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2016年 11月 10日

香港、台湾に続き韓国も。中国政府が訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達を出したそうです

昨日、中国黒龍江省から訪れた友人の旅行関係者に会ったのですが、突然こんなことを言い出しました。

「韓国はこれから大変ですね」
「朴大統領の支持率が急落し、デモが起きていること?」
「それもそうですが、11月上旬に政府から訪韓中国人観光客を20%減らすよう通達があったからです」。
「ハルビンからも多くの観光客が韓国に行っているんですか?」
「ええ、そうです。日本に行くより多いです」
「ハルビン・ソウル線も多いのですか」
「はい。でも、こうなると、減便になるかもしれません」

この話は、すでに韓国メディアで報じられていました。

中国政府「韓国に行く中国人観光客20%減らせ…ショッピングも1日1回だけ」(中央日報/中央日報日本語版2016年10月25日)
http://japanese.joins.com/article/987/221987.html

一部を抜粋します。

「中国政府が韓国を訪問する中国人観光客数を昨年より20%以上減らせという指針を各省の一線の旅行会社に出したことが確認された。

在中大使館および各地域総領事館・旅行業界によると、先週、上海・江蘇・浙江・安徽・陝西など現地政府が管轄地域内の旅行会社の幹部を招集したり電話をかけたりしてこうした内容を口頭で伝えた。通知内容の中には▼韓国に送る旅行客を減少させる方法と対策を今月末までに報告▼格安団体観光の販促中止▼韓国現地ショッピングは一日1回に制限▼これを犯した場合は30万中国元(約450万円)の罰金--などの内容がある」。

同じ通達が少し遅れて黒龍江省にも発せられたということでしょう。

このようなお上からの民間企業への通達は、中国ではよく行われるものです。今回は、国家旅游局の省の部局が現地旅行関係者を集め、口頭で伝えたようです。中国では自国民の海外旅行者の名簿は旅游局に提出が義務付けられています。ですから、たとえば今年2000名の訪韓客を扱った旅行会社は来年は上限1600名以上は許可を出さないということです。まったく市場経済とはほど遠い世界ですね。

「なぜいま頃になって急に?」と彼に聞くと、「THAADの影響でしょう」と迷わず答えます。そりゃそうでしょう。中国メディアは連日のように韓国のTHAAD配備決定を批判し続けていたからです。中国の一般国民からすれば、間違いなく報復措置だというのが認識のようです。

それでも、上記記事には「中国当局がなぜこうした決定をしたのかはまだ疑問だ。韓国関連機関・業界は高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の韓国配備決定に対する報復措置である可能性と格安観光の弊害を減らすための対策である可能性を分析中だ。ソ・ヨンチュン韓国観光公社北京支社長は「中国当局が今回の決定を出した理由についてはっきりと説明していない。いかなる理由であれ中国人観光客の減少による打撃が懸念される」と話した」とあります。韓国側は、それを報復措置だとは受け取りたくないのでしょうか。現実から目を背けたいのでしょうね。

もっとも、「通知内容には格安旅行に対する規制が含まれている。格安商品はビラやインターネット・SNSを通じた一切の広告活動ができないようにし、これを犯した場合は30万元の罰金を科して行政監視も強化すると警告した。一部の地域は価格基準を2000元(約3万1200円)と明示したりもした」とあるように、土産の売上からコミッションを得て成立させているようなツアーの弊害を根絶することが狙いという説明もあるようです。

しかし、それは受け入れ側の韓国の問題だけでなく、送り出し側の中国の問題でもあるわけで、結果的には訪韓中国人観光客を減らすことにつながることは変わりありません。

これをうけ、韓国メディアは「韓国のホテルと免税店の打撃は避けられない」と言っています。

中国当局、「遊客」の韓国行きを制限...泣き面に蜂の旅行・流通業(MK NEWS2016-10-27)
http://japan.mk.co.kr/view.php?category=30600004&year=2016&idx=5246

表向き、消費者保護を謳いながら、その実、観光を政治の取引に使うやり口は、台湾や香港ですでに見られたものでした。

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情
http://inbound.exblog.jp/25941821/

いまのところ、日本への中国人観光客の制限は出ていないようです。黒龍江省の彼からすれば、韓国方面が減る以上、タイや日本への送客は増えるだろうといいます。

もっとも、今回の措置、中国側の表向きのロジックは「格安旅行の弊害を減らすための対策」ということですから、いずれ日本国内の「ブラック免税店」問題などを持ち出す日がくるかもしれません。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/

今回のような韓国に対する報復につながる通達は、政権上層部から直接出ているというより、中国の場合、各行政機関が政権の意に沿うように自発的に打ち出しているのではないか。政権のおぼえをよくすることは出世につながる。少々訪韓客が減っても、天秤にかければ利は残るという自分都合の発想から出てきたに違いないでしょう。これまでの経緯をみていると、そう思ってしまいます。

でも、こうした中国政府のやり口で影響を受けるのは周辺諸国だけではありません。実際には自国民への不利益をもたらすはずです。なぜなら、中国政府は相手が弱いとみると、容赦なく弱みを突いてくるけれど、そんなことばかりしていては、中国人観光客の受入国は彼らを尊重しようとする意欲を失いかねないからです。「中国人観光客縮小」カード(中央日報)の安易な持ち出しは、周辺諸国から警戒されるだけで、尊敬されることはありません。そんなことに、いつになったら気づくのでしょう。

【追記】
中国政府も、いよいよ日本にも物申してきたようです。北朝鮮に対する防衛のため、THAADの配備を日本が検討し始めたとたん、黙ってはいられないようです。

「慎重な対応を」=日本のTHAAD導入検討で-中国外務省(時事通信2016.11.28)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112800714
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by sanyo-kansatu | 2016-11-10 16:04 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 09月 12日

台湾のバス事故で亡くなったは大連からの旅行者だった(その影響は?)

昨晩、ネットで以下の記事を見つけました。今年7月下旬、台湾で中国遼寧省大連からの団体客を乗せたバスから火災が発生し、乗客や運転手など全員が死亡したニュースの続報です。

なんと、この事故を起こした運転手が「自殺願望」の持ち主だったというのです。なにしろ乗客には6歳の子供までいたそうで、その痛ましさには言葉がありません。
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台湾の観光バス炎上、「自殺願望」の運転手が放火(AFP 2016年09月11日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3100539?cx_part=topstory

【9月11日 AFP】台湾で今年7月、中国からの観光客を乗せたバスの車内で火災が発生し、その後、ガードレールに衝突して、乗客乗員26人が死亡した事故について、捜査当局は10日、「自殺願望」があった運転手が故意に火を付けたことが原因だったと発表した。

今回の発表に先立ち当局は、バスの運転手だった蘇明成(Su Ming-cheng)容疑者が飲酒運転していたと発表していた。

捜査当局によると、中国人観光客を乗せ空港に向かって高速道路を走行していた蘇容疑者は、運転席および出口付近の床にガソリンをまき、ライターで火を付けたという。

地元の検察当局は10日に発表した声明で、「(蘇容疑者は)飲酒運転をしており、ガソリンをまき、火を付けて自殺し、乗客らを死亡させた」と述べた。

捜査では、事件前の数日間、蘇容疑者とその家族らの数十回の通話記録から、自殺を思いとどまるよう同容疑者に訴えていたことが明らかになった。

また、蘇容疑者には飲酒癖があり、飲むと暴力的になっていたという。ツアーガイドとの乱闘騒ぎや、性的暴行でそれぞれ裁判沙汰になったことがあり、捜査当局によれば、そのどちらも酒に酔った状態だった。(c)AFP


事故が起きた7月下旬、ぼくは大連にいました。この話を最初に聞いたのは、大連の親しい旅行関係者からでした。

彼女の知り合いの同業者がこのツアーを催行していたそうで、事故始末に大変なことになっているそうでした。「その会社はもう営業を続けることはできないかもしれない。でも、そこだけではなく、しばらく台湾ツアーは集客できなくなる」とぼやいていました。

あとで知りましたが、このニュースは日本でも報道されていたようですね。

観光バスが衝突・炎上、中国人観光客ら26人死亡 台湾(AFP 2016年07月19日)
http://www.afpbb.com/articles/-/3094460

【7月19日 AFP】台湾で19日午後1時前、中国本土からの観光客らを乗せて台北(Taipei)郊外の台湾桃園国際空港(Taiwan Taoyuan International Airport)に向かっていたツアーバスが衝突事故を起こして炎上し、乗っていた26人が死亡した。台湾内政部(内務省)が明らかにした。

地元メディアの映像では、バスが走行中に高速道路のフェンスに激突して車両の前方から炎が上がり、その後、激しい煙を出しながら炎上して黒こげになったバスの車体が捉えられている。

内政部によれば、バスに乗っていた団体客は、中国北東部遼寧(Liaoning)省大連(Dalian)から訪れた男性8人、女性16人の計24人。また運転手1人とツアーガイド1人も死亡したという。

乗っていた団体客は今月12日に台湾を訪れ、19日午後4時30分発の便で中国へと帰国する予定だった。(c)AFP


BBCの中国語版でも報道されていました。

台湾桃园陆客团旅游大巴失事着火26人死(BBC中文網2016年7月19日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/07/160719_taiwan_coach_fire

同中国語版をみると、今年2月に江蘇省のツアー客も台湾でバス事故に遭っていたようです。

江苏旅游团游览巴士台湾高速公路出车祸(BBC中文網2016年4月25日)
http://www.bbc.com/zhongwen/simp/china/2016/04/160425_taiwan_china_bus_crash

ただでさえ、蔡英文政権になって中国政府は台湾への中国客を減らしていたのに、こんなことが起きると、ますます減りそうです。

大連の旅行関係者はこんなことも話していました。「こういう事故があると、台湾だけでなく、海外旅行市場全体にも影響が出るのが気がかりです。ただでさえ、最近の中国は景気が悪く、以前のような贅沢旅行をする人は減っています。8月はそれでも夏休みなので、ファミリー旅行が盛況でしたが、9月以降は海外旅行者が伸び悩むのではないかと心配しています」

秋からの動向が少し気がかりです。
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by sanyo-kansatu | 2016-09-12 15:57 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 23日

中国政府は相手が気に入らなければ観光客を減らす― 蔡英文当選後の台湾インバウンド事情

今年1月16日、台湾総統選挙が投開票され、民進党の蔡英文主席が当選しました。

数日後、台湾では以下のような報道がありました。中国政府は選挙結果を見て、訪台中国人観光客を減らすと通達してきたのです。

訪台中国人ツアー客3割削減か 、観光産業に打撃 (ys-consulting2016年1月22日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/61660.html

観光業界の対中窓口機関、台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)は、中国人の訪台ツアー客を3月20日から6月30日までの間、3分の1削減するという通知が、総統選後の18日以降、台湾の旅行会社に中国同業から相次いで伝えられていると明らかにした。住民に台湾自由旅行を許可する対象都市も現在の47都市から4都市へと大幅に減らすとみられ、事実となれば台湾の航空会社やホテルなど観光業界が打撃を受けることになる。22日付経済日報が報じた。

2008年に中国人による台湾観光が解禁されて以降、訪台中国人客は同年の延べ約33万人から昨年の430万人へと13倍に増加。うち自由旅行者は130万人だった。馬英九政権が「1992年の共通認識(92共識)」を基盤に中国と経済交流を進めてきた成果と言えるが、92共識を認めない民進党の蔡英文主席が総統選で当選すれば、中国が民進党政権を締め付けるために訪台中国人客を削減するとの観測は早くから浮上していた。

台旅会によると、中国は訪台中国人ツアー客に開放している1日当たり5,000人の割り当て枠を3分の1減らすほか、住民に台湾自由旅行を認める開放都市も北京、上海、広州、アモイの4都市のみとする方針を一方的に決めたとされる。

台旅会上海弁事処の李嘉斌主任は、同会も関連業者も正式な通知は受け取っていないと指摘し、中国側の海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)を通じて確認中だと説明した。

中国では訪台ツアーや自由旅行の割り当て枠は中国国際旅行社など国営の大手旅行会社が握っており、中国や台湾の旅行会社が業務を請け負っている。上海錦江旅遊などは、上海や周辺都市での訪台ツアー客の出境申請は現在正常だが、問題の政策が実施されれば、それに合わせて訪台ツアー客数を調整することになると説明した。

■「過度の動揺は不利」
旅行業界団体、台北市旅行商業同業公会(TATA)の柯牧洲副理事長は、訪台中国人が減少すれば、台湾のホテル、飲食店、ギフトショップなどが比較的大きな打撃を受けると指摘。一方で旅行関連業者に対し、過度の動揺を見せれば蔡新政権が中国人旅客に対する依存度を下げようとする上で不利になるとして、冷静な対応を呼び掛けた。

■ホテルの供給過剰悪化も
なお交通部観光局が21日発表した統計によると、台湾の観光ホテル全体の昨年の客室稼働率は69.3%で前年比3ポイント下落した。1日1室当たり客室売上高(RevPAR)は2,641台湾元(約9,200円)で、32元の減少となった。減少は10年以降で初めて。経営効率悪化の背景にはホテルの供給過剰がある。昨年の訪台外国人旅行者は前年比1%増加して延べ1,000万人を突破したが、宿泊業の総客室数は昨年末に20万5,000室へと7.3%増えており、増加ペースは供給が需要を大きく上回っている。こうした中で訪台中国人客が減少すれば、ホテルの供給過剰はさらに深刻さを増し、業績への悪影響が懸念される。


まったく身もふたもない話です。相手が気に入らないので観光客を減らし、経済的なダメージを与えてやろうというわけです。

中国人観光客の“台湾離れ”が顕著に、総統選の“報復”か?―台湾紙(レコードチャイナ2016年3月25日)
http://www.recordchina.co.jp/a131693.html

訪台中国人旅行市場の解禁は、国民党政権になった2008年から。この数年で急増し、10年にそれまでトップだった日本を抜き、15年は約400万人になりました。日本に比べ国土の小さい台湾に400万人の中国客が来襲したというのは、受入面でさぞ大変だったことでしょう。
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一般に中国人の台湾旅行は7泊8日をかけて島を一周するそうです。
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これはある台湾の雑誌による少し古いデータ(2011年)ですが、日本客と中国客の台湾での費目別消費額を比較していて、ホテルや食費、交通、娯楽などは日本が多いのに、買い物だけ中国は2倍になっています。
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それゆえ、台湾でも日本と同様、いやそれ以上に徹底した免税店のコミッションに頼る激安ツアーモデルが横行しています。

中国客が増えても大歓迎といえないのは韓国、台湾でも同じらしい
http://inbound.exblog.jp/23872141/

そのせいか、台湾では次のような声も聞かれるそうです。

中国人客減少、ネット世論は大歓迎 (2016年6月17日)
https://www.ys-consulting.com.tw/news/64767.html

蔡英文政権への交代が決まって以降、台北市内の観光スポットでは中国人観光客を目にする機会は明らかに減った。今後夏休みの7~8月には中国人の訪台観光ツアーはさらに大きく減少し、自由旅行客も減ると報道されている。中国寄りの中国時報などのメディアは「ホテルが休業した」「観光バス会社が損失で悲鳴」といった影響を相次いで伝え、危機感をあおっている。

ところが、インターネットでの台湾市民の反応はほぼ歓迎一色だ。関連ニュースへのコメントは「よかった。もう1人も来なくていい」、「やっときれいな阿里山や日月潭に行ける」、「中国人観光客は増える方がよほど迷惑だ」といったものが続々と並ぶ。


台湾では、日本よりはるかに中国に対する政治的な緊張や反感があるでしょうから、そうでも言ってやりたい気持ちはわかります。しかし、今年4月、中国政府はそれまで「事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金」を課したことで、日本での爆買いは下火になりつつあります。これは日本に縁がない話ではないのです。

こうした中国政府の子供じみたふるまいによって被害を受けるのは近隣諸国ですが、実のところ、自国民もそうです。こんなことばかりやっていては、中国客の受入国が彼らを尊重しようとする意欲がなくなってしまうかもしれないからです。なにごとも為政者の面子が優先で、自国民の利益は二の次ですむと考えているからでしょう。

このように日本のインバウンド振興にとって、政治に影響されやすい中国市場は最大の不確定要因といえます。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 11:10 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 02月 12日

本日、鄭世彬さん(日本薬粧研究家)の『爆買いの正体』が発売されます

2月12日(金)、『爆買いの正体』(飛鳥新社)という本が発売になります。
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著者は「爆買いの仕掛け人」と称される台湾人作家の鄭世彬(チェン・スウビン)さんで、ぼくは本文構成を担当しています。

鄭世彬さんの肩書は、日本薬粧研究家です。耳慣れないことばですが、文字どおり日本の薬や化粧品、美容・健康商品の専門家で、すでに台湾、中国で11冊の本を上梓している人物です。念のためにいうと、1980年台南生まれの男性です。

内容はひとことでいえば、昨年新語・流行語大賞を受賞した「爆買い」はどうして起きたのか。その背景を台湾人の目を通して語ってもらうというものです。ここ数年メディアをにぎわせていた「爆買い」ルポとはまったく違う内容となっています。「爆買い」の当事者が語る本質を突いた指摘が次々と出てきます。「爆買い」を経済現象としてみるのではなく、民族的、歴史的な背景をもった文化現象として描いていることが本書の大きな特徴です。

さらに、この本は台湾人によるあふれんばかりの日本愛の告白書でもあります。なぜ台湾の人たちがこれほど日本の製品を愛好してくれるのか、その理由を熱く語ってくれています。

鄭世彬さんとはちょうど1年前、あるきっかけで出会いました。その後、この本をつくるために何度も彼に会い、話し合ったのですが、日本の美点を語るその内容は少々買いかぶりだと思うよ…。そう戸惑いながらも、彼のまっすぐな日本を見つめる姿にほだされてしまいました。ちょっと内向き、排外的な気分の蔓延するこの国で、彼のことばはみんなを心穏やかにしてくれること請け合いです。

鄭さんについては、以下の日経BPネットのぼくの連載(ニッポンのインバウンド舞台裏)の中でもインタビュー記事として簡単に紹介しています。

「爆買いの仕掛け人」に聞く【前編】 元祖「爆買い」は90年代の台湾人
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012900004/

「爆買いの仕掛け人」に聞く【後編】 買いだめは華人の本能。一過性のものではない
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/021200006/

…とまあそんなわけで、ぜひ本書をお買い上げいただきたい。またお知り合い、ご友人にこの本のウワサを広めていただきましたら、望外の喜びです。

『爆買いの正体』(鄭世彬著 飛鳥新社)
2016年2月12日発売

http://goo.gl/DXhOMa

なにとぞよろしくお願いします。

本書のあとがきとして、ぼくも以下の文章を書いています。そこでは、彼との出会いのきっかけについて紹介しています。

鄭世彬さんとの出会い

 2015年2月中旬、私は上海の書店で一冊の奇妙な中国書を目にした。『東京コスメショッピング全書(东京美妆品购物全书)』と題されたオール4色刷のムック本で、旅行書籍のコーナーで異彩を放っていた。海外旅行が解禁されて10数年がたった中国では、世界一周旅行記や欧州でのヒッチハイク体験記など、ちょうど日本の1970年代に似た海外ひとり旅の体験を披露する旅行書が続々と現れていた。だが、日本の医薬品や化粧品のお土産購入指南という特定の消費分野に絞った、いわば80年代型のモノカタログ的なガイド書を見たのは初めてだった。

 私はこれまで経済成長に伴い拡大するアジア各国の海外旅行市場をウォッチングしてきた。編集者として常に気にしていたのが、海外の同業者たちがつくる旅行書だった。それぞれのマーケットの特性や成熟度、嗜好を表すひとつの指標になるからだ。

 帰国後、日本国内では春節で中国人観光客が「爆買い」する報道でにぎわっていた。当然、私はこの本と中国客とのつながりを直感した。あらためて著者プロフィールをみると、「台南人」とある。やはりそうか、この種の本を書けるのは、いまの中国人ではなく、80年代から長く日本の旅行に親しんできた台湾人だったろうと納得した。

 とはいえ、いったいこの本はどんな動機でどのような人物によって書かれたのか。また読者はどのような人たちなのか…。さまざまな問いが頭をめぐり、私はネットで「鄭世彬」という名を検索した。すぐに彼のフェイスブックページが見つかった。そこで、簡単な自己紹介を添えて彼にメッセージを送ることにした。すると、わずか数分後、彼から返信が届いた。

 以上が私と鄭世彬さんの出会いの経緯である。その先も早かった。彼は3月上旬、新刊の取材のために来日するという。フェイスブックで友だち申請してから10日後のことだった。

 都内の宿泊先に近い小さな喫茶店で話を聞いた。最初に私はこの本の執筆動機について尋ねた。すでに著書のある専門家にする質問である以上、出版の内容とその狙いを問うビジネストークのつもりだったが、彼は意外にも自分の少年時代の日本語との出会いを話し始めた。

 話を聞きながら、どうやら彼はマーケティングとかコンサルティングという領域の人ではなく、作家性をもった人物であると思った。数日後、幕張メッセで開かれていた日本ドラッグストアショーを視察する彼に同行した。すでに彼は多くの日本の医薬品メーカー関係者の知己を得ており、貴重な情報収集の場だったことを知った。彼の取材に協力を惜しまなかった日本家庭薬協会のブースを訪ねると、レトロな家庭常備薬のパッケージが並ぶ展示の片隅に、彼が昨年1月に台湾で出版した『日本家庭藥』が置かれていた。そのとき、彼は自分がいちばん出したかったのはこの本だったと語った。

 同書は日本の家庭薬がこれほど人々の生活に根づき、今日のドラックストアに見られるように文化として花開いた背景に、100年以上続く老舗企業の存在があり、その歴史を日本の医薬品を愛好してやまない台湾の読者向けに紹介する内容だった。これを聞いて、少々大げさかもしれないが、彼はこれからの日本にとって大切な人になるだろうと私は確信した。

 鄭世彬さんは、日本の医薬品や化粧品、美容・健康商品の専門家であると同時に、自ら「爆買い」する消費者であり、日本における「爆買い」の現場をよく知るフィールドワーカーでもある。何より驚くべきは、彼の発信する情報が10数億という人口を抱える中華圏に広まり、「爆買い」客を誘引したことだ。

 そんな彼が本書で語る「爆買い」に関する認識は我々に多くの知見を与えてくれる。華人にとって「爆買い」は本能である。面子、関係(グァンシー)、血縁を大切にする文化的背景に加え、根っからの商売人気質ゆえに誰もが転売業者のような買い方をする。それがネットとSNSによって想像を超えた拡散効果と購買の連携を生み、中華圏のみならず、東南アジアへと伝播する可能性も示唆している。

 台湾人の中国観や日本に対する熱い思いも正直に語ってくれた。彼と出会ってこの1年、この本をつくるために何度も会い、話し合った時間はとても有意義なものだった。うれしいことをずいぶん言ってくれるけど、少々買いかぶりすぎじゃないか…。このところ自信をなくしかけていた多くの日本人はそう感じるかもしれない。だが、東日本大震災のときに彼がこぼしたという涙に私もほろりとさせられた。この心優しき台湾人作家の日本に対する信認を知るとき、我々はもっとしっかりしなくちゃと思うのである。
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上海の書店に置かれていた鄭世彬さんの『东京美妆品购物全书』
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by sanyo-kansatu | 2016-02-12 08:02 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 07日

北海道は外客レンタカー受入の全国の先駆けです

外国人観光客のレンタカー利用件数で、沖縄県に次いで多いのが北海道です。我々日本人が北海道を旅行する際、レンタカーなしで移動というのは考えられないわけですから、外国客にとっても事情は同じなのです。

一般社団法人 札幌レンタカー協会によると、北海道における外国客のレンタカー利用件数は、2014年度(14年4月~15年3月)で2万4243件、前年度比●%増となっています。

国籍別にみると、トップが香港で9579件(全体の約40%)を占め、次いで台湾4497件、シンガポール1948件、韓国1892件、タイ1395件、オーストラリア1052件、ヨーロッパ1051件、アメリカ814件と続きます。沖縄県と比べると、総件数は3分の1以下ですが、台湾、香港、韓国が全体の9割を占める沖縄に対し、シンガポールやタイ、欧米系の利用も多く、多国籍化が見られます。

一般社団法人 札幌レンタカー協会事務局
http://sapporo-renta.com/

同協会事務局の下山久美事務局長によると、「2015年度に入っても伸びは前年比180%と好調」とのこと。

沖縄県同様、こうした伸びの背景には、訪日外国人来道者数の拡大があります。

北海道経済部観光局が15年8月に報告した「北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)」によると、2014年度の訪日外国人来道者巣は、154万1300人と過去最高で、前年度比33.7%増となっています。

北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/toukei/H26_irikomi_honpen.pdf

国・地域別にみると、トップが台湾47万2700人(30.7%)で、次いで中国34万人(22.1%)、韓国20万1100人(13.0%)、タイ12万8300人(8.3%)、香港12万200人(12.0%)となっています。この数字をみると、来道した約12万人の香港人のレンタカー利用が約1万件。実際にはファミリー利用が多いことを考えると、香港人の北海道でのレンタカー利用率はかなり高いことがわかります。

数のうえでは沖縄県に比べると見劣りのする北海道ですが、外客の受入態勢の構築のプロセスをみると、全国に先駆けた取り組みを続けてきたことで豊富なノウハウを有しています。

北海道では香港人を中心に早い時期からレンタカー利用が見られていましたが、広範囲に観光地が広がっている地域の特性上、旅慣れた外国人観光客にとってレンタカーは不可欠の足でした。

北海道の本格的な取り組みは2007年9月から台湾人の国内での運転が可能となったことから始まります。

同年4月に北海道外国人観光客ドライブ観光促進連絡協議会が設立されますが、実はその前年の06年12月、喜茂別町で外国人ドライバーの交通死亡事故が発生しています。冬場の凍てついた道路を運転することにアジア客が慣れていないのは当然ともいえますが、外客の利用促進のためには、冬道の安全運転の啓発は欠かせません。こうした事情から、外国客に安全・安心してドライブ旅行を楽しんでもらいための受入態勢の構築のための調査やノウハウの啓蒙が進んだと考えられます。

たとえば、2009年には国土交通省北海道開発局が以下の外国人向けのドライブハンドブックを作成しています。
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「北海道ドライブまるわかりハンドブック」5カ国語(日本語、English、中文・繁体字、中文・简体字、한국어)対応
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/handbook.html

その目次を以下記します。北海道でドライブするとき、起こりうるトラブルをわかりやすく解説しています。

 はじめに ~外国人観光客の皆様へ~
  北海道ドライブ観光へ出発するまで
 第1章.北海道でドライブをしよう!
  1-1.北海道の広さ
  1-2.北海道、四季の魅力
  1-3.北海道、各地の魅力
  1-4.快適ドライブのまめ知識
  1-5.ルールとマナーは必ず守ろう!
 第2章.レンタカーを予約しよう!
  2-1.レンタカーサービスの基本情報
  2-2.カーナビの使い方
 第3章.知っておきたい交通ルールとワンポイントアドバイス
  3-1.北海道をドライブするその前に
  3-2.これだけは知っておこう!日本の交通ルール
  3-3.高速道路を利用しよう!
  3-4.ガソリンスタンドの利用法
  3-5.冬道ドライブは慎重に!
 第4章.こんな時はどうするの?
  4-1.もしも、交通事故や違反のトラブルが起きたら
  4-2.もしも、ケガや病気のトラブルが発生したら
  4-3.もしも、天気によるトラブルに見舞われたら
  4-4.もしも、車が故障したら
  4-5.もしも、野生動物にぶつかったら
 資料編
  <その1>いざという時のための指差し会話集
  <その2>関係機関の連絡先とwebサイト一覧
  <その3>お役立ち資料

さらには、地域が外国人ドライバーを受け入れるための基本的な認識やノウハウをまとめた解説集も作成しています。

外国人ドライブ観光客 誘致・受入事例解説集
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/yuuchi.html

はじめに 
 第1章.主な外国人ドライブ観光客の特性等について
 第2章.外国人観光客が、北海道でドライブ観光を行う際(事前/滞在中)に必要としている情報や対応について
 第3章.各地域の取組の事例
 第4章.本道関係各機関における既往の取組について~発信情報の内容や多言語対応の状況~
 最後に

この解説集には、北海道の主要なレンタカー利用客である台湾、韓国、香港、シンガポールの来道目的や移動形態の傾向、運転週間の違いなどを以下のように説明しています。

たとえば、台湾の項には「日本の「止まれ」の標識は国際基準と異なり、理解されにくい。台湾では、制度上は一時停止の義務はあるものの、見通しがよい場合は一時停止をする車はほとんどいない(踏み切りについても同様。台湾の高速道路では、走行車線・追越車線の区別がない。矢印信号は台湾にはないため、とまどってしまう)とあります。

また韓国の項には「日本とはハンドルが逆ではあるが、標識や交通ルールは似通っている。見通しのよい踏み切りなどではつい一時停止を怠りがちである。韓国では一般道でも時速80kmまで出せる道路もあり、高速道路の最高時速は110㎞。「止まれ」「徐行」の標識の意味がわかりにくい」。

香港の項には「日本と同じ左側通行であるが、赤信号でも左折フリーの国である。横断舗装以外では「歩行者優先」というルールはなく、車が優先される。一般道路の最高時速が70㎞であるためか、北海道をドライブして「スピードが遅すぎる」と感じるドライバーもいる」。

これは実際の外国客にヒアリングしてまとめたものですが、それぞれお国事情が違うため、日本でのドライブは勝手が違うところがありそうです。こうしたバックグランドの異なる外国客が日本でドライブするわけですから、関係者はこれらの違いを認識しておく必要があるでしょう。

このマニュアルを作成するために北海道では以下の調査を行っています。

北海道における外国人ドライブ観光の推進方策検討調査(概要版 平成20年)
www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/03.pdf

こうした全国に先駆けた調査は、今後レンタカー利用が増えるであろう全国各地の関係者にとって貴重な情報提供となっています。

札幌レンタカー協会では、冬場の事故防止のため、外国客向けにチラシを作成しています

今後は、全国で北海道の事例を学べ、という機運が高まっていくだろうと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-07 12:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 02日

「香港はインバウンドの実験室」:世界に先駆けレンタカー旅行をPR

訪日外国人の増加にともない、レンタカーの外客利用が増えていますが、なかでも香港人の利用は早い時期から始まっています。
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外国人ツーリストのレンタカー利用が増えています(ニッポンレンタカーに聞く)
http://inbound.exblog.jp/24799845/

今年1~7月の香港からの訪日客数は85万300人で、前年同期比66.0%増。中国本土客(275万5500人 前年同期比113.8%増)に次いで高い伸びを見せています。

なぜこれだけ増えているのか。日本政府観光局香港事務所の資料によると、以下の3つの理由を挙げています。

①親日的な素地:世界最大の日本産農水産物の輸出先
②好調な香港経済と物価上昇:円安も相まって、日本は「お買い得」
③LCCを中心とした座席供給量増加:ヘビーリピーターの存在
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さらに、香港の訪日市場の特徴は以下のとおりです。

・2014年の訪日香港人旅行者数:92万5975人(24.1%増)
・国・地域別訪日外客数:5位(2013年)→4位(14年) ※米国を抜く
・人口に占める訪日客数の比率」10人に1人(13年)→7.8人に1人(14年)
・日本国内滞在先の「西高東低」傾向の深化 ※首都圏に偏る国が大半の中、香港のユニークさが光る。
・香港物価高騰、円安継続→買い物の魅力向上による訪日旅行意欲の高まり
・訪日市場に対する「占中(民主化デモ)」の影響はなし

上記の点は、以下のデータから理解することができます。

まず「関西、九州、沖縄のシェアの拡大」。日本のインバウンドがいま最も必要としている「訪問先の分散化(多様化)」が見られます。
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次にリピーターとFIT(個人旅行)比率の高さです。訪日10回以上が21.4%、過半数が4回以上です。FITも75.2%。韓国に次いで高い比率です。

こうしたことから、香港は訪日旅行の最先端市場といえます。日本を訪れる外国客の中で、台湾と並んで最もアクティブかつ成熟した旅行を楽しんでいる人たちなのです。

そんな香港人の日本旅行の必須アイテムとなりつつあるのが、レンタカーというわけです。日本政府観光局(JNTO)香港事務所では、2012年からレンタカー利用促進のプロモーションを始めています。これは世界を先駆けての取り組みです。

香港のレンタカー利用促進を手がけてこられた前香港事務所長の平田真幸さんに話を聞きました。

―2012年度に開始した取り組みについて教えてください。
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「『Rail & Drive』と名付けた香港市場に特化したプロモーションです。香港の旅行会社は早い時期からレンタカー付きの宿泊ツアーを催行していましたが、私が香港に赴任した当時は、震災後の訪日客の落ち込みをリカバーするための施策が求められていました。リピーター8割、訪日10回以上が20%超という成熟市場の香港で、他国・地域(韓国、台湾、タイ、シンガポール)との差別化として何ができるか。

ひとつは鉄道旅行。ただし、新幹線ではなく、観光列車。香港市場へのアンケートによると、「日本を鉄道旅行したい」93%、「自然風景が楽しめる列車に乗りたい」83%、「ジャパン・レールパス利用経験なし」61%というデータがあったからです。

もうひとつがドライブ旅行。これも同じアンケートで「日本でドライブ旅行をしたい」67%、「好きな場所に旅行できる」75%というデータがあった。しかも、香港の免許所持者は約200万人。自家用車台数約52万台。とはいえ、あの狭い都市では、免許と車があっても自由気ままにドライブ旅行を楽しむことは難しい。だったら、日本で楽しんでもらえばいい」。

―こうして開始したのが『Rail & Drive』プロモーションだったわけですね。
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「競合国との差別化も込めて『a different Japan Rail & Drive』というキャッチフレーズで今年度まで続けられています。香港からの訪日客は増えていますが、乗り入れ空港は主要7空港のみです。成熟した香港客の訪問地をさらに多様化させるためには2次交通がどうしても必要です。そこで、香港市場のニーズに合わせてご当地グルメやショッピングシーンも盛り込みながら、シーズンごとに全国各地のドライブ旅行と観光列車のビジュアルイメージを打ち出しました。

香港はまさにインバウンドの実験室。新しい訪日旅行シーンは香港から生まれているのです」。

日本政府観光局(JNTO)香港事務所
http://www.welcome2japan.hk/

2015年は四国、中部・北陸を重点ディスティネーションに設定したPRを実施しています。
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こうしたプロモーションの結果、香港人のレンタカー利用は増えています。現状では、沖縄県と北海道での利用が圧倒的なシェアを占めるようですが、今後は首都圏、中部、関西圏、福岡などの大都市圏を中心に利用が広がっていくものを思われます。

香港の皆さんには、もっとレンタカーを利用して、日本のさらなる奥地へと旅立ってもらいたいものです。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-02 13:21 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 08月 18日

台湾のドラッグストア研究家の鄭世彬さんがWBSに出演しました

今年の春先、ある台湾の作家に出会いました。鄭世彬さんという日本の医薬品やコスメの研究家で、台湾で多くの関連書籍を上梓しています。彼の経歴やこれまでの活動については、以下のエントリーで紹介しています。

台湾のドラッグストア研究家、鄭世彬さんと知り合う(2015年2月27日)
http://inbound.exblog.jp/24182824/
台湾で売れてる日本のドラッグストア購入ガイドが面白い(2015年4月1日)
http://inbound.exblog.jp/24310398/
台湾で日本のクスリと美容商品が人気の理由(2015年4月2日)
http://inbound.exblog.jp/24314372/
日本ドラッグストアショーは面白くてタメになるイベントでした(2015年4月3日)
http://inbound.exblog.jp/24318021/
これはやばい!? 日本にはおかしな中国語表示があふれている(2015年4月17日)
http://inbound.exblog.jp/24370756/

仕掛け人が激白!「爆買い商品はこうつくれ」(プレジデント2015.6.1)
http://inbound.exblog.jp/24486630/

その鄭世彬さんが8月10日のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」に出演しました。
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爆買いの新定番“神薬”
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_95333

「今、中国人観光客に一番人気の土産物が「神薬=かみやく」。日本で一般的に売られる市販薬がこう呼ばれています。ブームのきっかけは、日本のドラッグストアで販売している化粧品や薬を紹介したガイドブック。中国では日本で絶対に買うべき薬として「12神薬」が紹介されています。福岡にある免税ドラッグストアでは、連日中国人観光客が市販薬を「爆買い」していきます。小林製薬は、「神薬」効果で、液体絆創膏「サカムケア」が去年の5倍以上売れていて、インバウンド需要への対応を強化しています。「神薬」ブームの火付け役は、台湾のドラッグストア研究家・鄭世彬さん。来日した鄭さんは10社の日本企業や自治体などと面会しました。外国人ならではの目線で、中国や台湾の観光客の好む商品の販売方法などを提案。今後も、著書などで日本の優れた商品が誤用されないように伝えたいとしています」。

まだ彼と知り合って半年もたたないのですが、どんどん活躍の場を広げていく様子がとてもうれしいです。こういう方には、もっと日本のためにもがんばってもらいたいし、こちらもできる限り応援したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-18 14:25 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2015年 08月 18日

外国人ツーリストのレンタカー利用が増えています(ニッポンレンタカーに聞く)

訪日外国客の増加にともない、外国人ツーリストのレンタカー利用が増えています。
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ぼくも、昔ハワイでレンタカーを運転したことがあります。ふだん乗らないアメ車に左ハンドル。地元の車に囲まれながら、どこまで行っても初めての道を走るという緊張感の中、ホノルル郊外のハイウェイを乗り継ぎ、ノースショアの海岸線が見えてきた頃には、運転にも慣れ、気分はサイコ―でした。

最初はちょっと緊張するけど、やってみたらたまらない海外でのレンタカー運転。同じことは、日本を訪れる外国人ツーリストだってやってみたいに決まっています。

そこで、これからしばらく外国客のレンタカー利用事情について取材しようと思います。最初に話をお聞きしたのが、ニッポンレンタカーサービス販売促進部国際営業課の白井祐子さんです。

―外国客がレンタカーを利用するようになったのはいつ頃からですか?

「増えて来たなと感じるようになったのは、2013年頃からでしょうか。実際には、北海道では2000年代から外国客のレンタカー利用促進のための取り組みは始まっていましたし、沖縄でも早くから進んでいました」。

―確かに、北海道と沖縄では外国客のレンタカー利用が進んでいる印象がありますね。それ以外の地域や国籍別の利用状況はいかがでしょうか。

「まず国籍別の利用状況は、弊社の場合、1位は香港、2位は韓国または台湾、4位タイ、5位アメリカまたはオーストラリアといった感じでしょうか。外国客利用は対前年度比で約200%増です。ただし、全体の外客比率はまだ5%というところでしょうか。

沖縄と北海道の利用数が多いことは確かですが、最近では関西国際空港や中部国際空港からの利用も前年度の2.5倍の勢いで増えています」。

※外国客のレンタカー利用がダントツに多い沖縄と北海道の利用件数(両県のレンタカー協会調べ)は以下のとおり。

沖縄 8万5323件(前年度比2.3倍 2014年4月~15年3月)
北海道 2万1318件(前年度比33%増 2013年12月~14年11月)

―国内客と外国客ではレンタカー利用状況の違いはありますか。

「一般にいえることは、外国客は平均約4日、単価も4万円。日本人より利用日数が長く、単価も高いという特徴があります。平日利用も外国客が多いです」。

―車の好みの違いなどありますか。

「外国客の方は、家族やグループ旅行も多いため、ワゴン車の利用が多いです。またプリウスなどのハイブリッド車やアイサイトの使えるスバル車など、日本オリジナルの車種に人気があります」。

スバル アイサイト総合サイト
http://www.subaru.jp/eyesight/

―やはり空港のカウンターから利用されるケースが多いのですか。

「確かにそうですが、最近では都内のレンタカー店での利用も増えています。特にホテルの多い地区、浅草などから利用される場合もあります」。

―ところで、外国客がレンタカーを利用する際、必要なのはなんですか。

「パスポートと国際免許証です。空港のレンタカーカウンターで直接申し込まれる方もいますが、基本的には事前予約が多いです。現在、弊社では日本語と英語のサイトしかないのですが、TOCOO!という英中韓3カ国対応のレンタカー予約サイト経由の申し込みも増えています」

TOCOO!(レンタカー 中国語ページ)
http://www2.tocoo.jp/cn

―レンタカーを利用した外国客からはどんな声が寄せられていますか。

「カウンターの現場からは、日本の運転はとてもラク。みんなルールを守っているし、安全だという声が多いです。ただし、国籍によって、日本と同じ右ハンドルを採用している香港やタイの方と、左ハンドルの台湾や韓国の方では少し感じ方が違うかもしれません。

香港やシンガポールの方からは「北海道のまっすぐの道をガンガン走りたい」という声も多いです」。

―あの狭くて高層ビルの林立する国で暮らしているわけですから、その気持ちはよくわかりますね。でも、実際に日本で運転するとなると、慣れないことも多いと思われます。事故が増えているということはないですか。

「利用者の増加にともない、接触事故などの事例は増えています。ただし、外国客の事故率が日本人より高いということはありません。

弊社では英語版の利用ガイドを用意しています。そこでは、日本の交通規則や標識の解説、給油のやり方や事故が起きたときの対応、保険補償の限度額、駐車違反の注意などこまかく説明しています。
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たまにあるのが、軽自動車を利用された方が間違って軽油を給油されてしまうケースです。軽油を入れると、車が動かなくなってしまうんです」。
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―かなり詳しく書かれていますが、これをすべて読んでから運転というのでは大変ですね。外国客向けのサポートサービスはありますか。

「弊社の外客向けのサービスとしては、24時間対応のカウンター通訳サービス(英中韓タイ語)や多言語化カーナビ(英中韓)、ECカードのレンタルなどがあります。なかでも重要なのが、カーナビです。この2年で急速に普及してきました。新車を発注する際も、必須になっています。また今年から申込書も多言語化に対応しています(英中韓)」。

―今後も、外国客の利用を促進していきたいとお考えですか。

「昨年11月、初めて台北のITF(旅行博覧会)にブースを出展し、PRをしました。今後は他のアジアの国の出展も検討しています。

また国内のトラベルマートなどの商談会にも参加しています。これを機会にこれまで知り合うことのなかった異業種の方とお会いする機会がぐっと増えたのですが、地方自治体の方など、レンタカーに期待する声が強いことを知りました」。

―どういうことですか。

「大都市圏からの交通が不便な地方では、レンタカーで地元を訪れる外国客が増えることを期待しているからです。たとえば、今年、山陰の各県では香港向けにレンタカー利用の旅行プランを企画しています。こうした動きにレンタカー会社も協力していきたいと考えています」。

レンタカーの世界でもいろんなことが起きているようです。今度、白井さんのご案内で羽田空港のレンタカーカウンターを訪ねることになりました。

またこのインタビューを通じて、さまざまな話題、観点が見えてきました。今後はこれらを少しずつ深堀りしていきたいと思います。

外客のレンタカー利用件数日本一の沖縄でいま起きていること
http://inbound.exblog.jp/24858193/

北海道は外客レンタカー受入の全国の先駆けです
http://inbound.exblog.jp/24864160/

中国本土の観光客は現状、日本でレンタカーの運転はできません
http://inbound.exblog.jp/24859203/

「香港はインバウンドの実験室」:世界に先駆けレンタカー旅行をPR
http://inbound.exblog.jp/24848866/

海外客がTocoo!でレンタカーを予約する理由
http://inbound.exblog.jp/24860932/

外国客の国内ドライブ旅行、本格始動中!~先行する沖縄、北海道の事例と予約サイトの動向から
http://inbound.exblog.jp/24950113/
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by sanyo-kansatu | 2015-08-18 11:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 08月 01日

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)

7月上旬、某PR誌の仕事で長崎県南島原市に行ってきました。

南島原市というのは、島原半島の南端に位置する人口約5万人のまちです。今回訪ねた理由は、このまちが2013年から台湾の一般客を農家民泊させるツアーの受入を始めているからでした。

南島原ひまわり観光協会
http://himawari-kankou.jp/

この民泊ツアーで、台湾客たちは民泊先の畑で地元の農産品の収穫をした後、ホスト家族と一緒に料理をし、夕食を味わいます。その心温まる体験は、台湾メディアに報じられたことで人気を呼び、年間約800人の台湾客が訪れています。

実はこの話、以前ぼくのblogでも紹介したことがあります。2013年10月、台北で開催された台北国際旅行博(ITF)の会場でぼくはある現地旅行会社の女性社員に会いました。彼女は元日本留学生で、自分が日本で体験した民泊の感動を多くの人に味わってもらいたいとの思いで旅行商品として実現させたのが、この農家民泊ツアーでした。

台湾発日本行き「ウルルン滞在記」ツアーはこうして生まれた
http://inbound.exblog.jp/21429440

そんなわけで、機会があれば、そのツアーの様子を見てみたいとずっと思っていました。それが今回実現できたのです。

以下、台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポートです。

その日、台湾から来た8家族(33名)がそれぞれの受入先の農家に分かれて民泊します。
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午後3時、台湾客を乗せたバス到着。民泊先の家族が総出でお出迎えします。
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台湾では7月に入るとすぐ夏休みだそうで、子供連れの家族がたくさんいます。
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ホスト家族との対面を「入村式」と呼んでいます。会場は市の武道館。あらかじめそれぞれの家族のホスト農家は決められていて、テーブルごとに分かれます。
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観光協会の担当者から南島原の紹介があります。
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台湾ガイドの林尚緯さんです。
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入村式の最後は、ホスト家族とゲストが握手します。
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その後、流しそうめんで親睦を深めるのが恒例になっているそうです。
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なにしろ南島原市はそうめん生産量全国2位。みんな大喜びです。
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そして、ホストの車に乗ってそれぞれの農家に移動します。
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ここから先はガイドがついていかないので、明日の朝までお互い言葉が通じません。
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さて、ぼくはある農家とそこに民泊する台湾の家族に密着することができました。

これがホストの園田義文さんのお宅です。
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茶の間でしばらく休みながら、ゲストの黄振穎さん一家の話を聞きました。黄さんは台北で写真館を経営する撮影師です。CANONの一眼レフを手にし、写真を撮りまくっています。奥さまと中学生のお兄ちゃん(柄越くん)と小学生の弟(柄升くん)の4人家族です。

1時間後、園田家のビニールハウスで今日の夕飯のおかずとなるナスとピーマンを収穫に行くことになりました。

ひょうきんなお父さん。黄さんは明るい人です。
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ピースしているのは園田家のお母さんです。この日大活躍です。
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長男の柄越くんがナスを採っています。
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こんなに採れました。
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ビニールハウスの外には、少し前までイチゴを植えていた畑があります。春先に来ると、イチゴ狩りができるそうです。
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収穫のあとはみんなで一緒に食事をつくります。

先ほど採ったピーマンを肉詰めにします。
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子供たちはヒマを持て余してゲームで遊んでいます。弟の柄升くんは中学生のお兄ちゃんが持っているスマホが欲しくてたまらないそうです。
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お母さん同士はキッチンでずっと料理をつくっています。この家の嫁でもないのに、なんかいい雰囲気ですね。
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しばらくして観光協会の担当者とガイドの林さんが様子を見に来ました。手前に一緒に写っているお母さんと女の子は、今回ぼくの取材に協力してくれた観光協会の別の担当者の奥さまと娘さんです。
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先ほどまでゲームで遊んでいた柄升くんがお母さんの料理を手伝いにやって来ました。
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はい、出来上がり。長崎名物のちゃんぽんと鶏の唐揚げ、ナスの煮びたし、ゴーヤと肉の炒めもの。家庭料理ですね。
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「いただきます」。子供たちは自分で採った野菜を食べるのは初めての体験だったそうです。
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密着はここまでで、ぼくは園田家を後にしました。

さて、翌朝です。朝8時半、台湾客たちは武道館に戻ってきます。

そして、全員で記念撮影。垂れ幕には「南島原にまた来てくださいね!」と書かれています。
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各々の家族同士、みんな名残惜しそうにしています。
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南島原名物のそうめんがお土産です。
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黄さん一家もいます。昨晩はよく眠れたでしょうか。
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さて、退村式が始まりました。その様子をちょこっと動画に撮りました。特別なことは何もありません。
https://youtu.be/o3hdb6NoGLI

さあ、お別れです。すると、感極まって目頭を押さえてしまうホストのお母さんもいます。お互い言葉が通じないぶん、気持ちが高ぶってしまうのでしょう。
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そして、台湾客はバスに乗り込み、お別れです。
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なんて絵に描いたような美しい世界なのでしょう。参りました。誰かがあざとい演出をしているわけでもないし、まあ進行上こうすればこうなるということは頭ではわかっているんですが、人間というのは面白いものですね。異国の人と触れあうとき、普段とは違う何かを感じてしまうのですね。

どうやらぼくの涙腺はツボにはまってしまったようです。傍で見ているのにすぎないのに、うるうるしてくるのですから。でも、きっとこういうのは台湾の人も好きに違いありません。

南島原市が農家民泊事業を始めたのは2009年からだそうです。といっても、最初は長崎県の中学生などから受け入れを始め、徐々に全国の中高生の修学旅行生へと広げていきました。そして、いまではなんと年間約1万人の民泊を受け入れています。そういう意味では、ホストの皆さんも、ベテランです。この美しい世界も、経験豊富なホスト家族がいてこそ実現できるのだと思います。南島原には160家が民泊を受け入れているそうです。

あと今回は触れませんでしたが、南島原は漁港もあるので、農家だけではなく、漁家の民泊もできます。今回台湾から来たある家族は漁船に乗せてもらって、そのとき釣ったタコを夕食でいただいたそうです。

冒頭で紹介した台湾の名生旅行社の女性社員は郭さん(日本名はYUKIさん)といいます。彼女はこうした南島原の民泊の評判を知り、同市観光協会を視察に訪れたことから、この農家民泊ツアーが始まっています。

実は、台湾客の帰国後、ぼくはゲスト一家のお父さんの黄さんとラインでやりとりしました。

―南島原での民泊はどうでしたか?

「すごく良かったですよ。日本人は親切で温かかった。私たち家族も本当に幸せでした。園田さんに感謝の思いを伝えてください。そして、ぜひ今度は台湾に遊びに来てください。歓迎します」

―今回は九州5泊6日のツアーだったそうですね。どうでしたか。

「九州は自然が豊かでとても純朴な土地でした。今度九州に来るときは、レンタカーを借りてドライブしたいです。そして、日本の風景をもっと深く見てみたいです。また今回は園田さんのお宅に泊めていただいて、日本の農家の生活を知ることができました。子供たちも喜んでいました」

ガイドの林さんともこんな話をしました。彼はガイド歴25年のベテランで、南島原の民泊ツアーにはすでに5回添乗しているそうです。

―こういう農家民泊ツアーは日本以外の国でありますか。お客さんたちはどんな感想を話していますか。

「日本しかありません。やはり民泊ツアーの魅力は心の交流ですね。こういう体験はなかなかできるものではない。日本の農村を初めて訪ねたが、食の安全・安心な理由がわかったという声もありました」。

―民泊ツアーに参加されるお客さんというのはどういう方たちなんでしょう。わざわざ民泊のツアーを選んで来られた方たちですね。

「このツアーでは、福岡や壱岐島、湯布院、長崎などを訪ねます。福岡ではグランドハイアット、湯布院では有名な温泉旅館に泊まります。そんなに安いツアーではありません。民泊は1日のみですが、やっぱり体験してみたいのです。お客さんの多くは、すでに東京や大阪、北海道などは行き尽くした、ある程度日本のことを知っているリピーターです。日本が好きになって、もっと奥まで日本のことを知りたい。そういう気持ちを持っているように思います。今回、南島原の民泊は2回目というリピーターのお客さんもいました。帰国後、アンケートを取ると、ほとんどの方が民泊がいちばん良かったと回答しています」。

台湾の人と話していると、日本のことを実力以上に評価してくれているような気恥しい気分になることがよくあります。ただ近隣諸国を見渡すと、このように言ってくれる人たちは残念ながら少数派なわけで……。なんとかその評価に応えていかなければと思ってしまいます。

ところで、長崎県は来年、南島原市にある原城(島原の乱で天草四郎が立てこもった場所)を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産のひとつとして世界遺産登録に向けて申請するそうです。キリスト教文化の繁栄、宗教対立、そして弾圧という歴史の現場であったということが理由です。これはユネスコ好みのストーリーのように思います。

今回、原城跡や地元の歴史博物館を訪ねることができたのですが、とても面白いですね。来年はこのまちもいろんな話題を呼びそうで、楽しみです。
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by sanyo-kansatu | 2015-08-01 14:53 | “参与観察”日誌 | Comments(1)