ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 10月 18日

093 吹雪舞う長白山を訪れる中国登山客

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長白山登山の本格的オープンは、天池の氷が溶ける7月からだが、この時期でも登山客は訪れていた。麓は初夏を迎えているが、展望台は吹雪。厚手のコートは、長白山管理委員会がレンタルしてくれる。(撮影/2008年5月)

※10月もそろそろ下旬に向かい、長白山は同じように雪に覆われていて、登山客もさすがにもう少ないと思われます。シーズンは短いけれど、ひと夏に訪れる登山客は年々増えています。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(長白山編)
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by sanyo-kansatu | 2017-10-18 12:59 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 10月 04日

制裁のさなか、なぜ中国は北朝鮮と結ぶ新しい橋を建設するのか

先日、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉に住む友人から1枚の写真が届きました。
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これは中朝国境の町、図們で対岸の北朝鮮の南陽と結ぶ新しい橋を建設している光景です。写真の左手が日本時代の1941年に造られた図們大橋、右手が現在建設中の新橋です。旧橋が老朽化したのと、トラック1台しか走れない幅なので、もっと物流を増やせるように対面で2台が走れるような大きな橋になるそうです。再来年に完成の予定だとか。

この国境については、いまぼくが連載しているForbesJapanのサイトでささやかなレポートを書いています。

草むらには目を光らす北朝鮮兵、遊覧ボートから見る中朝国境の今(ForbesJapan2017/08/30)
https://forbesjapan.com/articles/detail/17498

実は、1ヵ月前に友人が送ってくれた写真をこのレポートに載せたのですが、最近あらたに撮ったという写真が届いたのです。

これをみると、いろんな発見があります。

まずこの写真は、高い場所から撮られていますが、図們大橋の手前にある国門の上からのものでしょう。そこは展望台になっているんです。

さらに気づくのは、図們江の水量がずいぶん少ないことです。今年北朝鮮は干ばつと聞いていた話がうなづける光景です。

すでに細い橋が朝鮮側とつながっているようですが、あくまで工事用の臨時橋で、その手前が建設中の橋の土台です。

朝鮮側をみると、昨年夏の大水後、急ピッチで建てられた南陽の集合住宅がたくさん見えます。今夏は雨が少なかったこの地域も、昨年は大雨で朝鮮側に限り、多くの人命が失われました。

しかし、被災後の南陽の復旧のスピードは早く、あっという間にこのようなピンク色の団地が建ち、古い町並みを隠してしまったのでした。
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今夏の大雨で北朝鮮・南陽のまちの景観は大きく変わりました (2016年 12月 10日)
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中朝国境は、いまも少しずつですが、変わろうとしています。

写真を送ってくれた友人によると、核実験が行われた9月3日、これまでにない大きな揺れを感じたそうです。また8月中旬に中国商務部からの指示で、中朝国境西側の最大の物流ルートだった琿春・圏河税関で北朝鮮産海産物は輸入禁止となり、業者たちは当分再開はないだろうと話しているそうです。

では、国際社会が制裁を行うさなか、なぜ中国は北朝鮮と結ぶ新しい橋を建設するのでしょうか。

この国境を何度も訪ね、両国に暮らす人たちの様子を眺めてきたぼくがいえるのは「そこが国境だから」というものです。身もふたもない言い方ですが、中国からすれば、いまが非常事態だとはいえ、いずれは収まるもの。この2000年間ずっとそうだったように、隣り合った国との交流はこの先もずっと続くわけですから。

すでに2014年、中国は遼寧省の丹東にこんなに大きな橋を造り、莫大な投資をしているのに、すでにこの3年、放置されたまま、開通していません。投資をまったく回収できていないのです。
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中朝新国境橋が完成しても開通できない理由(2014年 12月 30日)
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しかし、中国側のこうした気の長い意図ですら、現在の頑な北朝鮮のリーダーにとっては、素直に受け取れるものではないのでしょう。むしろ逆効果なのかもしれません。彼は周辺の大国からも畏れられるリーダーとして対等に扱われたいのでしょうから。まるで「裸の王様」ですが、いつまでこんなことが続くとも思えません。図們新橋が完成する再来年には、もうコトが収まっているだろう。中国側は、そんな気構えでいるのではないでしょうか。
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by sanyo-kansatu | 2017-10-04 17:21 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 09月 26日

075 長白山、南坡からの天池の眺め

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長白山の中国側からの登山道は、北坡、西坡、南坡の3つのコースがあるが、最近整備されたのが南坡。北朝鮮領に近い場所からの天池の見え方は、北坡からののように絶壁の下にあるのではなく、手前にゆるやかな勾配が広がっている。ところが、2015年頃より、南坡の登山道は閉鎖されてしまった。中朝関係の影響もある。(2014年7月)

※かつては自由に登れた長白山も、吉林省政府による管理が進んでいる。環境保護の観点からすれば悪いことではないと思うけれど、南坡の場合、立派な山門や山頂までの自動車道も造ったのにどうしたことか。だが、南坡は北朝鮮との国境最前線でもあるのだ。


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by sanyo-kansatu | 2017-09-26 08:17 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 09月 25日

074 長白山の麓にあるエメラルドグリーンの湖沼

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長白山の北坡には、エメラルドグリーンの湖沼も点在している。そのうち最も大きいのが、緑淵潭と呼ばれるもので、白樺並木の遊歩道を歩いていくと、高さ26mの滝も見える。(撮影/2014年7月)

※中国の沿海経済先進地の大都市圏に暮らす人たちにとって新鮮な空気やきれいな水に触れられる長白山は数少ない国内の山岳リゾートです。山登りの好きな韓国の人たちも、自分たちの民族的ルーツにつながる場所として、昨年までは多く訪れていました。


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by sanyo-kansatu | 2017-09-25 09:20 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 09月 03日

「港湾使用料200万円」の滞納と核実験! 世界はまったく不条理です

今日の午後、北朝鮮の新たな核実験のニュースが報じられました。

北朝鮮、6回目核実験=「ICBM用水爆」成功と発表-過去最大の爆発規模(時事通信2017/09/03) 
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090300253&g=prk

ついにその日が来たかと思った人も多かったでしょう。

ところで、その前日深夜に以下の報道もありました。

ロシアに入港拒否され運航停止(FNN2017/09/03)
https://www.fnn-news.com/…/headl…/articles/CONN00369230.html

北朝鮮の羅先(ラソン)とロシアのウラジオストクを結ぶ、北朝鮮の貨客船「万景峰(マンギョンボン)号」が、港湾使用料の未払いを理由に、ロシアの港湾当局に入港を拒否され、運航を停止していることがわかった。

ロシアの運航会社によると、万景峰号は8月24日、ウラジオストクに入港する際、200万円近い港湾使用料の滞納があるとして、ロシアの港湾当局が入港を拒否した。

万景峰号は現在、羅先に停泊していて、運航再開のめどはたっていない。

万景峰号は、5月の航路開設以降、羅先とウラジオストクを週1回往復しているが、運航会社は、「経済制裁なども影響し、採算性が厳しい」とコメントしている。

対北朝鮮制裁の抜け穴になるとの懸念もあったが、今後、定期航路が廃止される可能性もある。


時系列としては、核実験前のニュースです。FNNがいうには、万景峰号のロシア入港拒否の理由は「200万円近い港湾使用料」の滞納のためとか。もちろん、万景峰号はロシアの運航会社が運営しているため、実際に支払えなかったのはロシア側なのですが、ほとんど乗客のいない状況で利益が出るはずはありません。

こうしたなか、この人騒がせな核実験! なんと世界は不条理なのでしょう。

これまで現地関係者の情報を頼りに、この定期航路が存続するものなのか、実際の人の移動の観点から探ってきました。

万景峰号の羅津(北朝鮮)からウラジオストク(ロシア)の運賃は片道9800円から (2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886405/
ロシア・北朝鮮間を結ぶ「万景峰号」の乗客はわずか10名足らず。定期航路化は難しい? (2017年05月28日)
http://inbound.exblog.jp/26886620/
「ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!? (2017年07月08日)
http://inbound.exblog.jp/26975951/

結論からいえば、採算が合わないため、いずれ定期運航は断念せざるを得ないだろうというのが当初の予測でした。

それがちょうど核実験の時期と重なってしまったのでした。

高校時代の友人がある県の防災課長をしていて、日々この騒ぎに忙殺されているようです。しょっちゅう東京出張に来て、県民の避難ををどうするか協議の日々とか。地元テレビ局の会見にも毎日のように出ているそうです。

かつて「日本は北の問題で騒ぎすぎ」と発言した論客もいましたが、メディアは確かにそうだとしても、自治体の人たちは地震や津波の対策と同じように、この問題から逃れることはできないのです。

個人的に北朝鮮の羅津港に停泊していた万景峰号を見たこともありますし、ウラジオストクの港にも行ったことがあります。

現地の友人のメールでは、ロシア側でも地震があったそうです。

来週はウラジオストクで東方経済フォーラムが開催され、安倍プーチン会談があります。それもあって、さすがのロシアも北よりとの批判を避けるため、運航をストップさせたのでは、というのが現地の声です。
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by sanyo-kansatu | 2017-09-03 18:07 | 日本に一番近いヨーロッパ 極東 | Comments(0)
2017年 08月 20日

040 延吉、柳京飯店の北朝鮮ガールズ

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中国吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉にある柳京飯店というホテルには、北朝鮮から出稼ぎに来た女性たちがいて、毎夜歌謡ショーが繰り広げられている。(撮影/2008年5月)

※最近、北朝鮮への経済制裁の観点からでしょうか、彼女らの存在も制裁の対象にすべきという論調すら一部のメディアに見られます。でも、そこまで言ってしまうと、もう何も自分の頭で考えるなと言われているような気がします。彼女らは朝鮮社会においてそれなりの階層で、さまざまな役割を担っていることも確かなので、「民間交流」などと安易にいうのは正しくないかもしれません。だとしても、彼女らの演奏する楽曲やダンスの振り付けなどを見ているだけでも、いろいろうかがえることもあり、興味深い存在です。数年後にはいずれ帰国する人たちですし、彼女らの海外での見聞がもたらす朝鮮社会への影響は見逃せないと思います。


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by sanyo-kansatu | 2017-08-20 15:06 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 08月 13日

034 ネオンが照らす夜の鴨緑江断橋

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中国遼寧省丹東市は、中朝国境最大の町。かつて日本が建設した鉄道用の鉄橋は、朝鮮戦争時に米軍によって爆撃されたが、いまは観光用の鴨緑江断橋として残されている。中国側に比べ、対岸の北朝鮮の町は明かりは少なく、夜闇にネオンが照らされた断橋だけがぼんやりと川面に浮かんでいる。(2010年5月)

※日本のメディアでもアメリカの北朝鮮への経済制裁がさかんに報じられていますが、丹東はまさにその中心地です。この町の中国系銀行が北朝鮮との送金ルートにされているとのことから、北朝鮮企業への金融取引の停止や口座凍結などのかなり具体的な制裁が実施されています。一方、メディアはそれらの制裁が効いていないともいっています。 写真の橋は、米軍によって落とされたものですが、朝鮮戦争の休戦協定から70年近くたって、時代は同じことを繰り返そうとしているのでしょうか。


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by sanyo-kansatu | 2017-08-13 06:15 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 08月 12日

033 中朝国境に架かる図們大橋

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中国吉林省の東部に位置する延辺朝鮮族自治州の図們市は、北朝鮮との国境の町。両国を隔てて流れる図們江に架かる図們大橋には、時おり物資を載せたトラックが往来している。橋の真ん中が国境線だ。写真は、中国側の橋のたもとにある展望台の上から撮影したもの。(撮影/2012年6月)

※今年に入って北朝鮮の挑発がエスカレートしていますが、同国と国境を接する中国吉林省や遼寧省の人たちはいまどんなことを考えているのでしょうか。約1300kmに及ぶ中朝国境の中でも、朝鮮側の様子がほぼ丸見えといってもいいのが、図們から図們江越しに見える南陽の町です。中国側には対岸を眺める展望台などもあり、観光地としてにぎわっています。最前線であるここは、国際社会の喧騒も忘れてしまうほどのどかなのです。


ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(中朝国境(中国吉林省・北朝鮮)編)
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by sanyo-kansatu | 2017-08-12 12:22 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 08月 09日

「なぜロシア人は北朝鮮ツアーに行くのか」一緒に考えてみた

先日、ネットでこんな記事を見つけました。アメリカが同国人の北朝鮮への渡航を禁止したのと真逆の対応を見せるロシアの言い分もそうですが、彼らが実際に北朝鮮を訪ねるときに感じる本音もうかがえて、面白いです。以下、転載します。

なぜロシア人は北朝鮮ツアーに行くのか(ロシアNOW2017年7月14日)
https://jp.rbth.com/travel/2017/07/14/802820

ラトビアに拠点を置くロシア語オンラインマガジン「メドゥーザ(クラゲ)」が、ロシア極東の住民たちの北朝鮮旅行についてリポートしている。最近、同国で休暇を過ごす人が増えているというのだ。ロシアNOWは、その記事を要約して紹介する。北朝鮮ツアーでは何が期待できるか、どのくらいの費用がかかるか――。 

ハバロフスク(モスクワ東方8500キロ)のマーケティングマネージャー、アレクサンドル・ゴロフコさんは、北朝鮮を訪れて、この国の実態を自分の目で確かめることに決心。そして、有頂天で帰ってきた。「メドゥーザ」誌のダリア・ミコライチュク記者が、彼の言葉をこう伝えている。「別の惑星にいるようだ。そこには携帯電話がなくて、人々はいつも幸せ」

ゴロフコさんも、それが物事の一面にすぎないことをよく承知しているが、次の休暇では、2014年に開業した、北朝鮮の馬息嶺(マシンニョン)スキー場で過ごす予定だという。世界の他のスキーリゾートと競合できると、北朝鮮は主張しており、10の滑走コースと60のスポーツ施設を備えている。1日の費用は約100ドル(約110円)で、観光客はあまり来ていない。

全体主義へのツアー

北朝鮮ツアーを販売している会社のマネージャー、エレーナさんによれば、月に5人ほどがマシンニョン・スキー場へのツアーを購入するとのこと。スキーに加えて、ゴルフツアー、登山、結婚式、ハンティングなどを提供している。しかし人々は、北朝鮮旅行はまだ危険だと考えている。

例えば、ジャーナリストのナジェージダ・アルセーニエワさんは、こんなケースがあったことを指摘する。彼女の同僚が、列車の窓からカメラで外をのぞいたところ、国境警備員がライフルを向けたというのだ。

北朝鮮のガイドは、観光客の行くところならどこへでもついてきて、見るべきではないものを撮影したり、地元の人々と触れ合ったりすることを禁じている。しかしそれでも北朝鮮は、極東諸国の観光の一中心地になろうとしている。韓国の消息筋によると、彼らの北のパートナーは、2017年には100万人に、2020年には200万人にまで観光客を増やしたいとしている。

とはいうものの、その同じ報告によれば、2012年に北朝鮮を訪れた外国人はわずか4500人、2014年はその3分の1にすぎなかった。しかし、隣国のロシアに対しては、他国よりも低い料金が設定されている。

赤い天国

ナタリア・コチュゴワ沿海地方広報担当によると、北朝鮮での休暇は、ロシア共産党員の間で人気があり、共産主義者のための特別なホテルさえある。北朝鮮は、イデオロギーの“真の力”を目の当たりにできる国なのだ。 「あそこの人たちは本当に指導者を信じていますからね」

「もし、ろくでなしみたいに振る舞い、規則に従わないのでないかぎり」、北朝鮮の安全に問題はない、と同氏は確信している。彼女はまた、最近死亡したアメリカ人学生のオットー・ワームビアさんも、許可されているものとされていないものを事前に教えられていたはずだという。

大人だけが北朝鮮を訪れるわけではない。毎年、ロシアの児童のグループは、サマーキャンプ(松涛園〈ソンドウォン〉国際少年団野営所)に行く。 2週間のツアーの価格は約4万ルーブル(約8万円)。

ロシアの少女、エヴァさんも、このツアーに参加した。彼女によると、ロシアの子供たちは北朝鮮の児童から隔離されていたが、夕方には一緒に踊ることが許された。また、両国の子供は、通訳者を通して、メモ書きを交換した。多くの北朝鮮児童は、休暇を取らずに寄宿学校で勉強していたという。エヴァさんは、彼らの育てられ方が気に入ったとのこと。

豪華なビーチリゾート

北朝鮮には、フェリーで行く方法もある。万景峰号(マン・ギョンボン)92号が、ウラジオストクから北朝鮮に乗客を運んでいる。マリーナ・オグネワさんは、このフェリーで、羅津(ラジン)のリゾートへ旅行した。3万ルーブル(約6万円)で、7日間のオールインクルーシブのビーチツアーだった。彼女はツアーにご満悦で、現在、ビデオブログ「北朝鮮に行こう」を運営している。

「私はあそこの人たちは飢えていると聞いていたけど、食事はとても良かった。政治的宣伝についてもいろいろ聞いていたが、私たちは普通に休暇を過ごした。みんな人も良かったしね」

旅行会社「Fregat Aero」は、北朝鮮での行動規則に関するパンフレットを、客に提供している。それによると、観光客は、現地のガイドに贈物をすべきである。女性には香水や化粧品、男性にはアルコールとタバコ(ただしアメリカ製でないもの)がいい。軍人の写真を撮ることは禁止。宗教について話すのもご法度。ロシアのほうが生活が楽だと言うのもいけない。

「私たちはどんな国に行くのか分かっていたから、ツアーのガイダンスを慎重に聞き、指導者たちの記念碑にはお辞儀をし、10ユーロ分の花束を献花したけど、ツアーの最後のほうになると、イライラしてきた」

マリアさん(極東連邦大学大学院生)は、北朝鮮のビーチで休暇を過ごした。無人の浜辺で日焼けし、安価な魚介類を食べていたという。携帯電話サービスはないし、近くには工場もない。休暇には理想的な所だと思われた。ただ、ガイドはいつも観光客に目を光らしており、時々は観光客たちとおしゃべりすることもあったが、スーツをビシッと着ていて、身体を焼くことも泳ぐこともなかったという。

「私たちはどこを旅しているのかわきまえていた。そこには自由がないことも。でも何が禁止されているのか、それを常に探していた」とマリアさんは言う。彼女はあるとき、北朝鮮の少年がビーチにいるのを見て、キャンディーを贈りたいと思ったが、彼にとって危険だと分かっていた。そこで彼女は、彼の近くを何気なく通り過ぎ、キャンディーを入れた袋を地面に置いていった。彼女は、少年がすぐにそれを取って逃げたのを見た。

シルベスター・スタローンとの関係を疑われる

マリアさんが北朝鮮を出国する際、彼女の携帯電話は、国境警備員によって慎重にチェックされた。警備員の一人が、シルベスター・スタローンのミームを発見。スタローンは滑稽なヘアスタイルで、「スタローンがもしロシアに住んでいたらどうだろう?」と書いていた。警備員は、スタローンについて尋ね、マリアさんが彼を知っているかどうか、アメリカの映画を持っているか聞いた。警備員は彼女の携帯で米映画を探し、スタローンとの関係について調べるのに40分を費やした。しばらくして、全員に列車に乗ることを許可した後、警備員は彼らのコンパートメントに入ってきて、ロシア語で尋ねた。「君たち、アメリカ映画を持ってないかなあ?僕はすごく見たいんだけど」


この記事を読んで、どうお感じになったでしょうか。

いくつか気になった点を指摘したいと思います。

まずこの記事では、北朝鮮旅行を「全体主義のツアー」と呼び、「別の惑星にいるようだ。そこには携帯電話がなくて、人々はいつも幸せ」などと冒頭でうそぶきながら、だんだん本音をもらしていきます。

「北朝鮮のガイドは、観光客の行くところならどこへでもついてきて、見るべきではないものを撮影したり、地元の人々と触れ合ったりすることを禁じている」

「ガイドはいつも観光客に目を光らしており、時々は観光客たちとおしゃべりすることもあったが、スーツをビシッと着ていて、身体を焼くことも泳ぐこともなかった」

「私たちはどこを旅しているのかわきまえていた。そこには自由がないことも。でも何が禁止されているのか、それを常に探していた」

その一方で、

「北朝鮮は、イデオロギーの“真の力”を目の当たりにできる国なのだ。『あそこの人たちは本当に指導者を信じていますからね』

『もし、ろくでなしみたいに振る舞い、規則に従わないのでないかぎり』、北朝鮮の安全に問題はない」

などと、先ごろ訪朝後、拘束され死亡した米国人へのあてこすりみたいなことも書いています。

そして、興味深いのは「2012年に北朝鮮を訪れた外国人はわずか4500人、2014年はその3分の1にすぎなかった。しかし、隣国のロシアに対しては、他国よりも低い料金が設定されている」。

北京やロンドンにある英国系旅行会社の関係者に直接聞いた話では、実際にはもっと多くの外国人が北朝鮮を訪れていることから、この数字は間違っていると思われますが、ロシア人には低価格のツアーが用意されているようです。

確かに、記事でも「万景峰号(マン・ギョンボン)92号が、ウラジオストクから北朝鮮に乗客を運んでいる。マリーナ・オグネワさんは、このフェリーで、羅津(ラジン)のリゾートへ旅行した。3万ルーブル(約6万円)で、7日間のオールインクルーシブのビーチツアー」と書いています。

これは本ブログでもすでに指摘したとおり、本当です。ウラジオストクにある旅行会社のツアー募集をみると、万景峰号の往復運賃も含め、約3万ルーブルでした(船が週1回のため、7日間のツアーになる)。

ウラジオストクから万景峰号で行く北朝鮮(羅先)6泊7日」ツアーも始まり、定期運航は続く!?
http://inbound.exblog.jp/26975951/

要するに、ロシア人に対しては(中国人に対するのと同様)、他の外国人より低価格でツアーを受け入れているんですね。

この記事で出てくる北朝鮮の観光地としては、2014年にできた「馬息嶺(マシンニョン)スキー場」や元山にある「松涛園〈ソンドウォン〉国際少年団野営所」、「金剛山リゾート」、そして前述の万景峰号に乗って行く羅先特別市ツアーなど、朝鮮東海岸に偏っています。実際、北朝鮮は元山と金剛山を国際観光地区に指定し、外国客を呼び込もうとしています。この記事が、どこまで本気で北朝鮮側の意向に応えようとしているのかはわかりませんが、まさにそこに訪れているのはロシア人であるわけです。

実際に、北朝鮮を訪れるロシア人の大半は、極東ロシアの住民だと思われます。わざわざモスクワから来ることは考えにくい。彼らにとってビーチリゾートといえば、タイや中近東ですから。

極東ロシアでもウラジオストクあたりであれば、夏の一時期、海水浴を楽しめるのですが、それでもやはり水は冷たいようで、肌を焼いても積極的に海で泳ぐ人は多くなさそうです。それが元山あたりまで来ると、海水浴は存分に楽しめます。彼らが北朝鮮に旅行に来るのは、なにしろ安いし、実際に海で泳いだりできることが大きいと考えられます。

最後に記事はこんなことも書いています。

(ロシアの旅行会社は自国のツアー客に対して)「観光客は、現地のガイドに贈物をすべきである。女性には香水や化粧品、男性にはアルコールとタバコ(ただしアメリカ製でないもの)がいい」と伝えているそうです。

これは日本人の北朝鮮ツアーでも同様なので、ロシア人もわざわざ土産を用意しなければならないのかと思いましたが、こういう習慣が当然のようになっているというのはどうなんでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2017-08-09 15:56 | 朝鮮観光のしおり | Comments(0)
2017年 07月 16日

006 中朝国境にある長白山(白頭山)のカルデラ湖「天池」の絶景

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中朝国境に位置する長白山(白頭山)は休火山で、「天池」と呼ばれる美しいカルデラ湖で知られる。撮影は中国領の北坂の天文峰展望台からで、写真正面から右にかけては中国領、左手が北朝鮮領。(撮影/2014年7月)


ボーダーツーリズム(国境観光)をテーマにした以下のサイトを立ち上げました。同サイトの一コーナー「北東アジア《ボーダーNOW》 」では、北東アジアに広がる国境地域で出会った人や文化、街の風景を、佐藤憲一の写真を中心に紹介しています。

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※現在、同サイトは鋭意コンテンツを積み増し中で、エリア名のみ記載されているものの、コンテンツが用意されていないページが多くあり、お見苦しいことをお詫びします。少しずつ時間をかけて構築していくつもりなので、ご理解ください。
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by sanyo-kansatu | 2017-07-16 09:03 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)