ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 09月 27日

通訳案内士&ランドオペレーター制度の規制緩和の話より事態はもっと進んでしまっている!

先週終わったツーリズムexpoジャパンですが、22日(金)の業界日にもうひとつのセミナーがありました。

対馬を訪れる韓国客40万人。理由はexpected unfamiliarity(似てるけどどっか違う)という国境特有の体験
http://inbound.exblog.jp/27141258/

訪日外国人の増加にともなう制度変更が懸案となっていた、来年から施行される新しい通訳案内士制度やランドオペレーター登録制度に関する観光庁からの説明です。
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膨大なパワポの資料が提示されたので、面白そうなものだけ挙げてみましょう。

まず「言語別通訳案内士登録者数」です。圧倒的に英語に偏っています。
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次に「都道府県別通訳案内士登録者数」。東京、神奈川などの首都圏の一極集中です。
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その結果、「言語別通訳案内士1人あたりの訪日外国客数」では、中国語、韓国語、タイ語の通訳が著しく少ないことが示されます。
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こうした現状は10年以上前から変わっていないのですが、その対策として「地域限定通訳案内士制度」を立ち上げています。
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そして、今回の規制緩和のキモは、いわゆる「業務独占の廃止」。すなはち、国家資格の通訳案内士でなくても、有償で通訳ガイドの仕事ができるようになったということです。ただし、国家資格を持たない通訳ガイドとの差別化のために「名称独占規制」は存続します。まだ仮称ですが、「全国通訳案内士」と呼ばれることになるそうです。
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この問題については、すでに関係者らの間で何年も議論してきたことですし、市場の大きな変化に対応した規制緩和だといわれれば、そうなんだろうなあという感じしかありません。結局のところ、フリーランスの職業である通訳ガイドの場合、語学能力だけでなく、さまざまな営業能力もあってこそ、続けられるものであるのは、いまも昔も変わりません。

問題なのは、むしろ「ランドオペレータ登録制度」の実効性でしょう。

なぜなら、「訪日旅行の手配構図の例」「ランドオペレーターに関する外国人のクレーム」で観光庁も説明するように、「ブラック免税店」と「闇ガイド」が結託した法外な値段の買い物強要が、外国客のいちばんのクレームとなっているからです。
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で、その解決策について、新制度ではこれまで誰がやっていたかすら把握していなかったランドオペレーターの登録を進め、ツアーパンフに通訳案内士同行の有無を記載することを義務付けることなどが挙げられています。同行の有無は、そのツアーの品質を保証することになるという理屈でしょうけれど、う~ん。
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実態から言えば、この程度のことで問題解決とは気の遠くなるような話です。

しかし、現在における訪日外国人の受け入れに関する問題の焦点はもっと別の次元に移っているというべきでしょう。なぜなら、訪日外国人における団体客の比率はだんだん下がり、個人客に移行しているからです。

では、どこに新たな問題が生まれているかというと、たとえば、中国事情に詳しいライターの高口康太さんが書いた中国の「白タク」の実態です。通訳案内士やランドオペレーター制度の規制緩和の話より、事態はもっと進んでしまっているのです。

日本各地で暗躍する中国版白タク「皇包車」の実態(Wedge2017.9.25)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10613

この問題は本ブログでも何度も指摘していますし、ぼく自身も以下の記事を書いています。

日本人が知らない、中国人観光客受け入れの黒い歴史(Newsweek2017年09月02日)
http://www.newsweekjapan.jp/nippon/season2/2017/09/198804.php

高口さんの記事が面白いのは、彼が実際に羽田空港や成田空港の現場を訪ね、中国の配車アプリサービスを利用して、日本国内で「白タク」に乗ってみるという体験取材をしていることです。利用者の立場に立てば、とても優れたサービスだと彼は書いています。

記事では「政府は、その実態や規模を全く把握できていない」と書かれていますが、実際はそんなことはないでしょう。日本より中国のシェアエコノミーの進化が早いため、対応できないだけのこと。じゃあしょうがない? でも、これじゃ日本のライドシェアをまじめに育てる意欲はなくなってしまいませんか。過疎地域の足など、いろんなニーズがあるはずなのに。

さらにいえば、「経済効果のリーケージ(漏出)」という問題があります。つまり、こんなに外国客が増えても、営業実態だけはあって、日本にお金が落ちず、経済効果を持ち去られてしまう。もちろん、これは規模の問題でもあるのですが、今日シェアエコノミーを軽んじるのは間違いでしょう。

だから、「知らなかった」ではすまないと思うのですが、とぼけてたほうが楽なのか。なんだかこの話、「ブラック免税店」や「闇ガイド」の存在を知りながら、ずっとやり過ごしてきた観光行政の姿勢と似ている気がします。
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by sanyo-kansatu | 2017-09-27 10:00 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 09月 15日

065 国境の町らしく、ロシア語も添えられる

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満洲里市内のシュウマイ店の看板は、漢字がメインだが、上にモンゴル語、そして国境の町らしく、左下にロシア語が添えられている。ちなみに、この店は中国のムスリム、回族の経営で、それとわかるアラビア語もある。(撮影/2016年7月)

※1枚の店の看板にこれだけいろんな言葉を記しておかなければならない国境らしさと多様な民族の雑居性というこの町の日常が感じられます。

ボーダーツーリズム(国境観光)を楽しもう(満洲里編)
http://border-tourism.jp/manzhouli/
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by sanyo-kansatu | 2017-09-15 07:35 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 09月 14日

064  併記でもモンゴル語は脇役?

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満洲里市内の道路表記をみると、漢字がメインでモンゴル語はまるで振り仮名のように漢字の頭に添えられている。モンゴル語は脇役なのか? ちなみに下におかれているのは、中国語の読み。(撮影/2016年7月)

※中国の少数民族自治区の面積は、確か国土の半分近くを占めるはずです。内蒙古自治区といっても、いまでは都市部の住民の半分以上は漢族の移住者たちというのが実態です。

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by sanyo-kansatu | 2017-09-14 08:02 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 09月 13日

063 ケンタッキーのモンゴル語表示とは?

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満洲里で見かけたケンタッキー・フライドチキン。英語、中国語「肯徳基」とともにモンゴル語の表示があった。内蒙古自治区では、漢字とモンゴル語の併記が義務付けられている。(2016年7月)

※モンゴル語では「ケンタッキー」は中国語と同様3文字で表わすらしい。世界には何カ国語くらいの表記があるのでしょうか?

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by sanyo-kansatu | 2017-09-13 09:47 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 08月 23日

043 綏芬河の道路標示は中ロ両国語が併記されている

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ロシア国境の町、綏芬河では道路標識はすべて中ロ両国語が併記されている。それだけ多くのロシア人がこの町を訪れているせいだが、郊外に出ると、さらに朝鮮語も加えた3カ国語が併記される場合もある。(撮影/2014年7月)


※日本でも駅や街の案内標識で英語や中国語、ハングルが併記されるようになっていますが、中ロ国境の町、綏芬河では中国語とその標準語(普通話)の読み方を指すピンインに加え、お隣の国のロシア語が併記されています。この町で商売をしている中国人はロシア語もけっこう話します。いかにも国境の町らしいと感じます。ちなみに郊外に出ると「朝鮮語も加えた3カ国語」が加わるというのは、この地方には朝鮮族が集住する地域が広範囲に点在しているからです。

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by sanyo-kansatu | 2017-08-23 08:37 | ボーダーツーリズム(国境観光) | Comments(0)
2017年 06月 02日

素敵なウエブサイトも自動翻訳任せだとダメージは大きいです

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

以下、記事を転載します。


このブログを始めて気がついたことがあります。おかしな中国語表示というのは、街角だけでなく、ネット上にもあふれていることです。

それは外国向けの情報を発信している企業のウエブサイトなどによく見られます。原因は、自動翻訳任せになっていることです。どんなに素敵なウエブサイトでも、自動翻訳任せの中国語をみると、ほとんど意味をなしていないケースが多いのに、そのまま放置されていることが気になって仕方がありません。

本ブログは特定の企業や個人を中傷するつもりはまったくありませんが、あるホテルのサイトを例に出してみます。

このホテルのウエブサイトは、英語、ハングル、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)の多言語表示ができるのですが、言語を切り替えると、そのページが自動翻訳されるしくみになっています。

トップページの頭にその旨了承してもらえるようにと、以下の中国文が載っていました。

「这个网页是被机器进行翻译的。翻译结果不可能100%正确。望您多理解而利用(このウエブサイトは自動翻訳を使っています。翻訳は100%正確ではありません。どうぞご理解ください)。」

この中国語もちょっと気になりましたが、それはともかく、最も残念だったのは、このホテルが提供する日本の伝統文化と和装の撮影サービスの紹介ページの自動翻訳文でした。

それはこのサービスの魅力を伝える核心部分にあたる以下のキャッチコピーです。

(日本語)「唐津での思い出に着物を着て記念撮影しませんか?」
(中国語)「在在唐津的回忆穿和服,不拍纪念照吗?」
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この中国語を目にしたときに、中国人に与えるダメージについては、これを翻訳ソフトで訳した日本語を見ていただくと、想像できるのではないでしょうか。

「唐津の追憶は和服を着て、たたかないでうつしを紀念しますか?」

「思い出を記念撮影に残す」というのは、中国語では「拍照留念」。こんな中国語で呼びかけるといいのではないでしょうか。

「大家何不穿着和服拍照留念呢?」

すべての文章を中国語にする必要はありません。写真を見れば、日本語がわからなくても、だいたいわかります。そのかわり、いちばん肝心なメッセージだけは、自動翻訳ではなく、中国人に頼んで翻訳してもらうというひと手間があるとないとでは、イメージが大きく違ってくるものなのです。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-02 15:29 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 06月 01日

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!

2017年5月、日本最長老通訳ガイドのジョー岡田さんが書かれた英文ガイドブック『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』が刊行されました。
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日本最長老ガイド、ジョー岡田さんは語る「訪日2000万人の半分は日本人と一言も話をしないで帰国する」
http://inbound.exblog.jp/26890168/
日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

同書は、いまから50年前の1966年に刊行され、12版(1991)も版を重ねた岡田さんの最初の日本案内書『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』を2年がかりで大幅改訂した渾身のニューバージョンです。

本文オールカラー、106ページの中にコンパクトにまとめられた題材は、超簡略日本史から日本の自然や風俗習慣、食文化、宗教、サブカルチャー、社会生活、教育、人生観に至るまでをカバー。ガイド人生55年の岡田さんがこれまで出会った何千何万人という外国人ツーリストとのやりとりの中で何度も聞かれたであろう質問に対する当意即妙な回答が収められています。

先日に続き、お電話で話を聞きました。

―手元に届いた新著を拝見し、20数年前の旧版と比べ読みさせていただきましたが、とても現代的に編集されており、斬新な内容です。今回の改訂のポイントは何でしょうか。

「旧版は、タイトルが『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』であることからわかるように、観光ガイドが知っておかなければならない日本に関する知識をまとめた、半分プロ向けのテキストのような内容だった。改訂版ではむしろ観光客の目から見て、こういうことを知りたいと思うような内容に絞って書きました。もちろん、日本人なら知っておかなければならない内容がたくさんあります」

―だから、タイトルも『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate guide to JAPAN』(観光を超えた究極の日本案内)なんですね。注目はどのページでしょうか。

「いまからページを言うからメモしてくださいね。25、26、43、50、55、72、94…」

―p25は「Beef or Veggies?」(ビーフor野菜?※岡田さんはアメリカ帰りですから、当然アメリカンイングリッシュです)。これは旧版でも書いてらっしゃいますが、日本の松坂牛と神戸牛のうまさと誕生秘話を紹介する内容ですね。ニューバージョンでは、これに精進料理の説明も加え、Beef or Veggies? とした。p26は「Kampai to The World」。

「世界のことばで『乾杯』は何と言うか。これは大事ですよ」

―p43は岡田さんお得意の「It’s a Joke!」、p50は旧版にもあった日本の近海の魚マップ、p55は旅行者のための10の掟。これらは岡田さんのオリジナル創作で、面白いですね。

※実は、新著が手元に届いた日(5月30日)、テレビ朝日で放映された『日本テッパン遺産』<あなたの町の爆笑名人大賞>に岡田さんは出演していました。番組では岡田さんが外国客をガイドするときの“テッパン”ジョークがいくつか披露されていて、そのうちのひとつが「Ohayo(おはよう)」と「Ohio(オハイオ)」を間違えるというくだり。p43に載っています。
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もうひとつがp26の「Kampai to The World」の応用編で「乾杯(Kmpai)しすぎて支払うお金がないよ(can’t pay)」。
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「俺は冗談ばかり言ってるわけじゃないんだよ。注目してほしいのは、p72の禅に関する解説。ツーリストからしょっちゅう聞かれるのが禅や仏教、神道に関する質問なのだが、これだけの短いフレーズに禅の奥義をまとめたというのは素晴らしい。これを書いた京都大仙院の尾関宗園閑栖は、50年前からの知り合いなんじゃ」

Each day in life is training
Training for myself
Though failure is possible
Living each moment
Equal to anything
Ready for everything
I am alive-I am this moment
My future is here and now
For if I cannot endure today
When and where will I? by Soen Ozeki

―う~ん。こんなことまで書かれているとは…。最後のp94は十二支の解説ですね。

「これは外国人みんな喜ぶよ。自分は何年生まれだから、どんな運勢、性格なのか。欧米人でも、当たっているみたいだなあ」

―他にも「Loveless, Sexless and Aging(日本人のセックスレスや少子高齢化問題)」や「Mascots for Everything(日本のキャラクター文化)」「Working in Japan(日本の労働問題)」など、現代日本社会をちょっぴり風刺的に考察する内容、ウォシュレットの使い方を解説するページもありました。

「いまでこそ、日本のトイレは世界でいちばんきれいということになっているが、50年前、私が外国人と一緒に東海道をバスで案内したとき、ドライブインのトイレは男女共用だった。そりゃもう評判が悪かったものだ」

―なるほど。この半世紀で、日本は大きく変わったんですね。日本がバブル経済に向かった頃、岡田さんはガイドの仕事をおやめになっていた。しかし、21世紀になって世界と日本を取り巻く環境が変わり、東日本大震災後に再びガイドを始められた。そして、この本も新たに蘇ったんですね。

「前回まではほぼ私が書いていましたが、今回は、私以外の執筆者も何人か加わっていて、多くの皆さんから印刷代を援助していただいて出来上がったんです。ぜひ多くのみなさんに読んでもらいたいと思っていますよ」

岡田さんの本は、旧版の頃から日本全国の通訳ガイドにとってのネタ帳として使われてきただけでなく、外国人ツーリストにも好評で、すでに12万部を売り上げています。

旧版までは、国内の有名ホテルのブックショップに置かれていたそうですが、洋書の取次会社が倒産したことから、今回は納品が難しいそうです。だとしても、めげずに多くの外国人ツーリストの手に届けたいものです。なにかいいアイデアはないでしょうか。

もうひとつ思うことがあります。この本の中国語版は出せないものだろうか。なにしろ昨年日本を訪れた2400万人の外国人のうち、2人に1人以上は中国語圏の人たちだったのですから。

何よりこの本の面白さは、外国人の日本に対する関心や目線のありかを、扱われるテーマや題材を通して気づかせてくれることです。読んでいくうちに、なるほど、外国人は日本のことをこのように見ているんだなと理解できるのです。彼らが繰り出しそうな素朴な質問に対してどう答えるかについても、多くのヒントがあります。英語で外国人と会話するためのネタ集といえます。通訳ガイドのようなプロだけでなく、いまの時代を生きる一般の日本人にとっても必携の書といえるのではないでしょうか。

『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』の購入は、岡田さんのご好意により、定価1500円のところ、「通訳ガイド諸氏に限り3冊3000円の特価(送料込み)」でお求めいただけます。通常は1冊1500円+送料200円となります。

購入をご希望の方は samurai_joeokada@yahoo.co.jp までメールにてお申し込みください。

ちなみに、これが旧版の『THIS IS YOUR GUIDE SPEAKING』です。
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1ドル=360円時代、前の東京オリンピック開催のしばらく後に刊行された表紙のデザインからは、戦前から通じる昭和のモダニズムが感じられます。特に裏表紙の折り返しを4つ折にして、東海道から近畿、中国、九州に至るゴールデンルートをイラストマップにした装丁は、断然イカしています。ニューバージョン同様、外国人の目線のありかをよく理解した多彩なコンテンツが詰め込まれており、ニッポンのインバウンドのルーツを垣間見る思いです。

さらなる新情報があります。ジョー岡田さんは、かつて『日本の音と民謡』というソノシート付きの本を外国人向けにつくったことがあるそうです、ソノシートには、当時の京都の舞妓の話し声や梵鐘などを収録してあるとか。近日入手予定なので、今度紹介したいと思います。
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by sanyo-kansatu | 2017-06-01 16:30 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

日本最長老ガイド、ジョー岡田さんは語る「訪日2000万人の半分は日本人と一言も話をしないで帰国する」

先週、国会で改正通訳案内士法が成立したことを受け、どうしても話を聞いてみたい方がいました。

通訳案内士法改正は一歩前進だが、現状では海外から評価されない(無資格を合法にするなら登録制にすべき)
http://inbound.exblog.jp/26889249/
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それは、御年88歳という日本最長老通訳ガイドであるジョー岡田さんです。

日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました
http://inbound.exblog.jp/25849969/

今日の午後、岡田さんの携帯に久しぶりにお電話しました。以前と変わらず、お元気そうな声です。

-ついに国会で改正通訳案内士法が成立しましたが、何をお感じになりましたか。

「これで、通訳案内士を守るバリアーがなくなった。研修制度を設け、ガイドのスキルアップをすると言っているが、50年以上ガイドをやってるワシでも、十分な説明ができないときがある。十人十色の外国人相手にガイドをするのは、生半可な気持ちではできない」

-年間2000万人を超える外国人が日本を訪れるようになり、通訳案内士を取り巻く状況も大きく変わりましたね。

「いま2000万人以上の外国人が日本に来るが、半分の1000万人は日本人と一言も話をしないで帰国すると言われている。日本はただのハコモノで、心の交流がない。とても残念なことだ」

岡田さんのことばの重さが身に染みます。いまや85%がアジアからの旅行者です。彼らのほとんどは、ホテルのフロントや飲食店で、片言の英語で事務的な会話をすることはあっても、生身の日本人と心を開いてじっくりおしゃべりする機会はほとんどありません。岡田さんはそれを50年以上続けてきました。ところが、今日どんなに多くの外国人観光客が日本に来ても、その大半は外国語を操る通訳案内士とはまったく接点がなく、日本のことをよく知らない外国人の自称ガイドに案内されているのが実態です。

団体から個人へ旅行形態が変わっても、それは変わりません。そもそも大半の外国人観光客は、日本の通訳案内士制度について知らないでしょう。なぜなら、彼らの旅行手配は日本人ではなく、外国人が手がけているからです。

そういう事態を野放しにしてきたのは、日本の監督官庁です。外国人観光客を増やすことばかりに注力し、受け入れ態勢についてどこまでまじめに考えていたのか。その結果が、今回のなし崩し的な法改正です。古びた法を改正するのは当然のことだと思いますが、いったいそれで何が改善されるのでしょうか。

そのこと自体を岡田さんはいまさらどうこう言う考えはなさそうです。すでに我々とは次元の違う境地にいらっしゃるからでしょう。

毎週、京都で行うThe Last and Only Samurai Showを精力的にこなす日々。88歳というお歳とはとても思えない奮闘ぶりに、ただただ感服してしまいます。
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残念ながら、日本のプロ通訳ガイドは、大きくうねる訪日旅行市場の蚊帳の外に置かれています。もはや違法とはいえませんが、日本のことをよく知らない外国人の無資格ガイドが跋扈しているのが実情です。

本当にこんなことでいいのでしょうか。

それは、日本の大切な価値を粗末に扱うのと同じではないか。

確かに、一般の日本人にとって外国語を操る彼らは縁のない存在でしょう。でも、どんな人物が日本の価値を外国人に伝えようとしているか。こういう肝心なことに、もっと関心を持っていただきたいと思います。

実は、ジョー岡田さんは先ごろ、英文の日本案内書を上梓されました。

タイトルは『Beyond sightseeing the Ultimate-Guide to Japan(観光を超えた究極の日本案内)』です。

近日中に入手する予定なので、あらためて紹介します。

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!
http://inbound.exblog.jp/26896088/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 23:16 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 05月 29日

通訳案内士法改正は一歩前進だが、現状では海外から評価されない(無資格を合法にするなら登録制にすべき)

先週、ついに改正通訳案内士法が成立しました。

本ブログでも、詳しく扱ってきた問題です。

http://inbound.exblog.jp/tags/通訳・多言語化

これまでは議論ばかりで、状況は変わらないどころか、ますます悪化していくばかりだったことを考えれば、インバウンド市場にとって欠かせないルールづくりのひとつとして一歩前進と評価できます。でも、依然問題は山積みです。

通訳ガイド、無資格でも 外国客急増で 質低下の懸念も(朝日デジタル2017年5月29日)
http://www.asahi.com/articles/ASK5C03BBK5BUTIL04F.html

「通訳案内士」の国家資格を持つ人にだけ認められてきた外国人旅行者への有償の通訳ガイドが、無資格者でも担えるようになる。外国人旅行者の急増を受け、改正通訳案内士法が国会で26日に成立した。1949年に制度ができて以来初めての大幅な規制緩和。観光業界は新たなガイドへの期待と、質の低下への懸念とが交錯している。

訪日外国人は昨年約2403万9千人で、4年連続で過去最多を更新。そのガイドを担い、正しく日本の歴史や地理を伝えるのが通訳案内士で「民間外交官」とも呼ばれる。試験は毎年1回あり、外国語に加え、地理や歴史、政治などの筆記テストと口述テストがある。専門言語は10カ国語で、昨年度の試験では2404人が合格した。合格率は21・3%だった。

昨年4月時点で約2万人が登録されているが、その約7割は「英語」が専門。旅行者は中国からが最多で約630万人(約26%)、次いで韓国の約500万人(約21%)。東アジアと東南アジアで全体の8割超を占め、ミスマッチが課題となっていた。さらに、有資格者の4分の3は首都圏や関西圏に住み、地方に外国人を呼び込みたい自治体や業界の思惑ともずれが生じていた。

そこで政府は、無資格者にも有償ガイドを解禁することにした。ただ国家資格は残し、より質の高い案内士として活用する方針。また、地域限定で活動する「地域通訳案内士制度」も新設し、地方の人材不足に対応できるようにする。

しかし法改正には、「悪質ガイドにお墨付きを与えるようなもの」と質の低下を懸念する声もある。日本観光通訳協会の木脇祐香理副会長は「外国語能力だけでは不十分。ガイドで日本の印象が決まる。下見など入念に準備して歴史、文化や魅力を紹介し、満足度を上げてリピーターになってもらうことが大切」と指摘する。「優秀なガイドを育て、質を保つための国の新たなサポートも必要になると思う」と話している。

観光庁はガイドをあっせんする仲介業者「ランドオペレーター(ランオペ)」を登録制として指導を強めるなどして、質の低下を防ぎたいとしている。

政府は東京五輪・パラリンピックがある2020年までに訪日客を4千万人まで増やす目標を掲げる。大手旅行会社幹部は「規制緩和が、人材の充実につながれば」と期待している。(伊藤嘉孝)

■通訳ガイドのルールはこう変わる
・有償ガイドを無資格者に解禁
・「地域通訳案内士」の資格を創設
・手配業者を登録制に。悪質業者に罰則も


正直なところ、改正法成立の報を聞いて最初に思ったのは「これで中国人の白タクドライバーによるガイド行為は合法になるんだな」ということでした。これまで「無資格ガイド」と呼んでいた対象、それはたとえば、中国の団体客相手のボッタクリガイドなども皆、資格の有無が問題でなくなるわけです。

もっとも、朝日報道にもあるように、これほど外国人が増えているのに、70年近く前にできた古いルールのままでいいはずはありません。通訳案内士団体など反対派の主張はとてもまじめで、あるべき理想の姿を示したものでしたが、一般国民からすれば、大勢からみて説得力がないとみなされても仕方がないものでした。

通訳案内士法の改正に関する要望書
http://www.ijcee.com/hiroba/guideinsti/demand01_100622.pdf

ただし、今回の改正は、とてつもなく時代錯誤だった大きなタテマエ(有資格者でなければ、有償通訳ガイドをするのは違法)を崩しただけにすぎません。より現実的な通訳ガイドのあり方のために決めたルールである以上、すでに指摘されている多くの懸念や問題を解消していく必要があります。

問題は、訪日外国人を対象とした通訳ガイドの周辺で起きている多くの違法状態について、広く一般国民に理解されていないことです。通訳案内サービスを受けるのはあくまで外国人であって、日本の一般国民ではないため、ピンとこないのは当然です。それでも、これだけ外国人が増えた以上、有資格者でなければ有償ガイドができないことを法で縛るのはどうかという一般社会の常識的は判断から、今回の改正に遅まきながら至ったのだと思います。

通訳案内士法改正は一歩前進だと考えますが、「誰がガイドをするのがふさわしいか」について、もっと議論が必要です。これまで多くの日本人がほとんど考えてこなかったことですが、外国人相手なら外国人がガイドするのがもっともだ、というような誤解をなくしていかなければなりません。

そうでないと、「悪質ガイドにお墨付きを与える」ことにしかならないからです。これまでボッタクガイドやブラック免税店の存在を批判していた中国をはじめとした海外の国々からも、今回の改正だけでは評価されないでしょう。問題の解決にはつながらないからです。通訳ガイドサービスは、海外の人たちから評価されてこそ、意味があるのです。

通訳案内士法改正とともに進んでいる旅行業法の改正案では、これまで規制の対象外だったランドオペレーターに観光庁への登録を義務付けるといいます。悪質な訪日ツアーの増加をふまえ、海外旅行客の安全や旅行の質の確保など、業務の適正化を目指すためのもので、ランドオペレーターには管理者の選任、業務に関する契約書面の作成などを求めることになっています。

ボッタクリツアーの温床となっていた中国系のランドオペレーターを登録制にすることは、ルールづくりの第一歩ですが、結局のところ、これらの問題はランドとガイドの連携で成り立っていた以上、せめて団体客が相手の場合、ガイドも登録制にすることが必要ではないでしょうか。いまは、白タクをはじめ、個人客相手の無資格ガイドが跋扈する時代だからです。

今後は在日中国人をはじめとした外国人のガイドに、研修や登録を義務付けるしくみを新たに加えていくことが求められると考えます。はたしてその外国人が日本を案内するのにふさわしい人物であるか、それを見極めるのは、我々の責任です。自国をガイドする外国人にライセンスを与えるのは、海外では常識ですが、これまで日本だけがなおざりにしてきたのです。無資格ガイドを合法とする以上、これは当然ではないでしょうか。

ランオペ登録制は一歩前進。ガイドも登録制にできるだろうか
http://inbound.exblog.jp/26296114/
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by sanyo-kansatu | 2017-05-29 15:56 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2017年 05月 26日

中国の流行語をうまく使った翻訳なんだけど……ちょっと微妙かも?

友人と始めた以下のブログで、日本に住む中国人や中国から来た観光客が街角で見つけたおかしな中国語表示を紹介しつつ、日本人が苦手とする多言語表記の問題の改善のための啓発活動を進めています。

街で見かけた 《お恥ずかしい》 中国語表示
http://ramei.exblog.jp
http://inbound.exblog.jp/26776127/

そのブログの記事から転載します。

これまで街で見かけた中国語表記の間違いを探してばかりいましたが、なかには「これは中国人が翻訳しているな」と思わせる名作もあります。

それは「訪日外国人向けワンストップ観光情報サイト」のライブジャパンの中国人向けポスターの文面です。東京メトロのホームに貼られていました。
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ライブジャパン
https://livejapan.com/

そこにはこう書かれています。

「东京观光哪里详
导遍日本数我强」
(東京観光はどこが詳しい
ライブジャパンがナンバーワン」

これを見た中国人観光客の多くは、思わずニヤっとしたことでしょう。この中国語のコピーには元ネタがあるからです。

それは、中国山東省にある有名な工業専門学校の以下の宣伝コピーです。

「挖掘机技术哪家强,
山东技校找蓝翔」
( ショベルカーの技術はどこが優れている
 山東技校で探せばいい)

文章のリズムもそうですし、文末に韻をふんでいて、いかにも中国的なのです。その意味では、とても優れた翻訳例といえると思います。

ではなぜ中国人の多くがこのコピーを見てニヤっとしたかというと、この正式名称「山東藍翔高級技工学校」という工業専門学校のテレビCMはもうだいぶ前から、いろんな意味で評判になっていたからです。

そのCMの一例はYOU TUBEでも見ることができます。
b0235153_15454168.jpg

中国山东找蓝翔 #恐怖蓝翔
https://www.youtube.com/watch?v=YqmbLYWAki4

ご覧のとおり、このド派手な学校案内のためのプロモーションビデオの中で、何度も繰り返されるのが、先ほどの「挖掘机技术哪家强,山东技校找蓝翔」という掛け声です。そして、この仰々しいコピーは、いまどきの若い世代の中国人にとってほとんど流行語のように耳になじんでいるのです。

ただし、それは決して気が利いたコピーというわけではありません。この学校はこのCMで全国的に有名になったことは確かですが、所詮地方の専門学校、日本では信じられないくらい厳しい学歴社会の中国では、大学に行けない連中のための学校にすぎないからです。日本にいる留学生のような恵まれた中国人からすれば、専門学校生なんて、自分とは生きる世界がまったく違う人たちなのです。

ですから、このコピーをチャカしたラップ風のパロディー動画なんかもつくられています。

【蓝翔洗脑广告】挖掘机技术哪家强?中国山东找蓝翔!
https://www.youtube.com/watch?v=AAiZJNhGE0s

このCMは「洗脳広告」だというわけです。

こうしたことを考え合わせると、中国人の若い世代の耳に慣れ親しんだフレーズを元ネタにしたコピーというのは、実際にはかなり微妙といえなくもないのです。

ある中国人留学生はこう言います。「だって、本来東京はCool Japanで売りたいわけでしょう。それが全然coolじゃない山東技校の広告のフレーズに重ねられるなんて、どうなんでしょう?」
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by sanyo-kansatu | 2017-05-26 15:46 | “参与観察”日誌 | Comments(0)