ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2017年 03月 02日

【自家広告】「ポスト爆買い」時代のインバウンド戦略~日本人が知らない外国人観光客の本音(扶桑社)

今月8日、扶桑社より以下の単行本を上梓します。
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「ポスト爆買い」時代のインバウンド戦略
https://www.amazon.co.jp/dp/4594076238

2016年に日本を訪れた外国人観光客は2400万人。しかも、前年より20%も増えています。それに気を良くしたのか、政府は2020年に4000万人という目標を掲げています。

ところで、日本を訪れる外国人のうち、欧米人の比率は10人に1人にすぎないことをご存知でしょうか。では、アジアの人たちは? なんと85%を占めているんです。全国各地で外国人観光客の姿を見かけるようになりましたが、その全体像についてどこまで我々は把握しているでしょうか。

本書では「なぜこんなに外国人が増えたのか」について以下の8つの理由を挙げています。

①行政主導で始まった地道なPR活動
②オープンスカイ協定による航空自由化
③アジア各国へのビザ緩和施策
④メディアが伝えた「外国人客の消費力」の浸透
⑤東日本大震災がひとつの転機に
⑥アジアのグローバル観光人口の増大
⑦日本の長期デフレが外国人客に与えた割安感
⑧アジアの中間層の成長と富の平準化

それぞれの項目の中身については、本書をご一読いただくとして、このうち①から⑤までは、日本がインバウンド市場の拡大のために実施した成果といえますが、後半の⑥から⑧は、海の向こうで起きていた国際環境の変化がもたらした結果といえます。もしかしたら、日本がどうこうしたからというよりも、海外で起きていた変化が今日の事態をもたらしていると考えたほうがいいのかもしれません。

それにしても、いまあらためて考えなければならないのは、外国人観光客の数だけ増えればいいのだろうか、ということです。最近、我々は彼らの増加がもたらした負の側面も知るようになってきたからです。本書では、こうした日本人にとって不愉快な出来事がなぜ起こるのか、解説しています。

本書は当ブログが日々観察している日本のインバウンド市場の表と裏を、できるかぎりわかりやすく伝えるために書かれたものです。個々の記事だけでは見通しが利かない訪日旅行市場の全体像と個別の事象の因果関係を整理しています。その明暗も含めた日本の近未来に与える意味を、詳細なデータと長期にわたる観察をもとに分析し、彼らの活力をいかに社会に有効に使えるか提言しています。

ぜひご一読いただけるとさいわいです。
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by sanyo-kansatu | 2017-03-02 16:05 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 11月 05日

日本にあふれる「恥ずかしい中国語」をついに中国人に指摘されてしまいました

先日、上海に住む友人に以下のネット記事を教えてもらいました。

日本の中国語翻訳、恥ずかしいショットの数々!中国人にはわからない。これは人の話す言葉なの?
(来自日本的中文翻译,好羞射!中国人表示看不懂,你确定这叫人话?)(北海道指南 2016-11-01)
http://travel.sohu.com/20161101/n472051954.shtml

これは「北海道指南」という北海道旅行に関する情報交換サイトにアップされた記事のようで、日本旅行中に見かけた「恥ずかしい中国語」表示を見て、面白おかしく茶化しています。

たとえば、これ。
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ここではトイレットペーパー(中国語は「手纸」)のことを「論文」という語を充てています。なぜこんな間違いが生まれたのか不明としかいいようがありません。
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これは「静静请看」という、中国語でありながら日本語的な語順の間違いが指摘されています。正しくは「请静静地看」でしょう。
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この中国文も、簡体字と繁体字に分けてあるものの、文字が間違っていたり、文法もおかしい。正しくは「这个厕所是自动沖水」でしょう。「中国文はよくわからないけど、英文があるからなんとかわかる」と笑われています。
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ここはちょっと惜しくて「您(あなた)」の中国語が「悠」になっています。
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外国客が多いことで知られる一蘭ラーメンの店内で見かけた表示のようです。スープ(汤)の中国語が「汁」になっているのは驚きですし、文法もめちゃくちゃです。同店には中国人店員がいるはずですが、なぜこれが通ってしまったのか。彼らは黙って見ているのでしょうか。
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日本語の「お買い忘れありませんか?」の意味のつもりが、すごく日本語的な中国文になっています。翻訳ソフトの影響が感じられます。「有忘买的东西吗?」でいいのではないでしょうか。中国文もそうですが、英語も変ですね。
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最後はこれ。ここでは「ぶっかけ」の中国語訳が「顔射」になっています。これは単なる間違いではなく、悪意を込めた翻訳のように思われます。誰がこれを書いたのでしょうか。店のアルバイトをしている中国人? 店になにか恨みでも? …なんて詮索したくなってしまいます。

それにしても……。

1年半くらい前に本ブログでも、同じ指摘をしています。

これはやばい!? 日本にはおかしな中国語表示があふれている
http://inbound.exblog.jp/24370756/

このとき、日本で見かけたおかしな中国語表示を指摘してくれたのは、台湾人の鄭世彬さんでした。彼の指摘にはどこか日本に対する親しみや愛情にあふれているのですが、中国人が同じことをすると、ちょっとニュアンスが違ってくるようです。

日本人の多言語力の弱みをさらしてしまっているこの「恥ずかしい中国語」問題、中国人から指摘されて不機嫌になる前に、我々は少し手を抜きすぎであることを自覚すべきではないかと思います。店のアルバイトの中国人におまかせ、ではダメですね。留学生ならともかく、飲食関係で働く中国人にはまかせられないかもしれません。プロの翻訳会社に頼まむとコストがかかりすぎるというなら、せめて街場の中国語教室の中国人の先生に書いてもらうとか、最低限度そのくらいのことはしないといけないのでは。

【追記】
ネットをみていたら、こんな記事もありました。

「おかしな中国語訳」が話題に、メルマガ「日中中日翻訳フォーラム」第31号が紹介(日本僑報社のプレスリリース2016年 11月 01日)
http://pressrelease-zero.jp/archives/102621

在日中国人たちからすれば、これも商売になりそうですね。

いっそのこと、誰か中国の方で、ネット上で商店や飲食店、その他の中国語表示の翻訳を格安で請け負うサービスをしたら、けっこう問い合わせが来るのではないでしょうか。だって、翻訳といっても短い文章や表記ばかりですから簡単でしょう。誰かやりませんか? 喜ばれると思いますよ。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-05 11:52 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 10月 22日

ランオペ登録制は一歩前進。ガイドも登録制にできるだろうか

今朝の朝日新聞の一面に以下の記事が掲載されました。

「ランオペ」業者、登録制に 旅行会社に代わってバスなど手配 観光庁方針」(朝日新聞2016年10月22日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12619915.html

観光庁は、旅行業者に代わってツアーバスやガイドの手配などをしている仲介業者の規制に乗り出す方針を決めた。仲介業者は「ランドオペレーター(ランオペ)」と呼ばれ、全国に少なくとも864社あるが、安すぎる運賃でバスを手配したり、不適切なガイドを派遣したりするトラブルが相次いでいた。旅行業法の規制の対象外ログイン前の続きだったが、登録制を導入して指導・監督する。来年の法改正を目指す。

■訪日客、トラブルも

ランオペは、旅行業法で登録されている旅行会社の依頼を受けて、バスやホテル、ガイドを手配する業者。自前の調達能力に乏しい中小の旅行業者にとって、欠かせない存在だ。旅行客と直接契約を交わさないことから、旅行業法の規制の枠外とされてきた。国や自治体への登録も必要なく、観光庁も実態を把握できていなかった。
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今年1月、長野県軽井沢町で15人が死亡したスキーバス事故も、ランオペがツアー会社とバス会社を仲介していた。バス会社は道路運送法に基づき、安全な運行に最低限必要な下限運賃を国に申請している。事故を起こしたバスは、それより安い料金で手配されていたが、規制対象外のため、観光庁はランオペには行政処分を科すことができなかった。

観光庁はランオペの実態を探ろうと6月以降、国内の旅行業者やバス、宿泊業者など約1万社に、ランオペとの取引状況を尋ねた。その結果、少なくとも全国で864社のランオペが営業していることがわかった。そのうち、業務範囲について調査に応じたランオペ223社は、訪日外国人旅行の専業が68社(30・5%)、日本人国内旅行専業が57社(25・6%)、両方が98社(43・9%)だった。

ランオペが絡むトラブルについては、旅行業者812社のうち46業者が「キックバックを前提とした特定の土産店などへの連れ回しへのクレームがあった」と回答。宿泊施設やバスなどの関連事業者186社への問いでは、43社が「直前でのキャンセルがあった」と答え、32社が「バス事業者への最低価格割れ料金での手配があった」、18社が「料金未払いがあった」と回答した。

訪日外国人からは、ランオペが手配したとみられるガイドに対し「酵素や納豆を不当に高い価格で薦められた」「熱心に薬を薦められたが偽物だった」などの苦情が相次いでいた。

2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、近年、日本を訪れる外国人観光客が増えている。悪質な業者を野放しにしてツアーの質が落ちれば、好調な誘客に水を差すとの懸念も指摘されていた。

観光庁はランオペを登録制にすることで、不正が起きないように監督、指導していく方針。具体的な監督や指導の手法は固まっていないが、旅行中の安全確保などランオペの責任を明文化し、違反した場合にペナルティーを科すことなどを検討している。年内に取りまとめて、ツアーの質や、バス運行の安全性向上につなげる意向だ。(伊藤嘉孝)


9月下旬には、読売新聞が「ニッポン観光の影」という全6回の連載をしていましたが、メディアがいわゆる「外国客の消費力による経済効果」ばかりを報じていた去年までと違い、訪日外国人旅行者の増加にともなう負の側面を伝えるようになったことを歓迎したいと思います。

この記事では、「旅行業者に代わってツアーバスやガイドの手配などをしている仲介業者」である「ランドオペレーター(ランオペ)」が全国に少なくとも864社あることを観光庁が調査し、今後は「登録制を導入して指導・監督」すると報じています。

ランドオペレーターは「旅行業法で登録されている旅行会社の依頼を受けて、バスやホテル、ガイドを手配する業者」であり、「旅行客と直接契約を交わさないことから、旅行業法の規制の枠外とされてきた」とあります。

これはどういうことかというと、訪日ツアーの場合、ここでいう「旅行会社」は海外の旅行会社のことで、彼らが集客した海外のお客さんの日本国内の旅行手配業務をランドオペレーターが請け負うことになるわけです。そのため、ランドオペレーターはお客さんとは直接契約を交わしていないことから、消費者保護をうたう旅行業法には抵触しない存在だったということです。これまで観光庁は、海外のお客さんの消費者保護については、彼らが契約を交わした海外の旅行会社の責任で、ランドオペレーターの業務を管理監督する立場にはないという(少々言いすぎかもしれませんけれど)のが言い分でした。

しかし、今年1月に軽井沢で起きたスキーツアーバス事故(これは海外の旅行会社は無関係)などが再発したことや本ブログでも扱った「日本のブラック免税店」とランドオペレーターの関係などが明るみに出たことから、「観光庁はランオペを登録制にすることで、不正が起きないように監督、指導していく方針」となったようです。

日本のブラック免税店が中国客を陥れる!?
http://inbound.exblog.jp/25875503/
「中国客を陥れる日本のブラック免税店」の隠れた舞台裏(日経BPネット2016.07.13)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/071200017/

記事では全国にランドオペレーターが「864社」あったと書かれていますが、実際のところ、これを調べるのは大変なことだったと想像します。でも、海外の旅行客に直接サービスを提供する存在であるランドオペレーターが誰だかよくわからなかったというのは、考えてみれば、困ったことでした。

これで一歩前進。ただし、この先もっと大変なことが待ち構えています。ランドオペレーターから仕事を請け負うツアーのガイドとは誰なのか。その実態を調べていくことが次の段階でしょう。つまり、ランオペの次は、ガイドの登録制に向けた取り組みです。

ランオペ経由で調べていくことになるのでしょうが、これは簡単なこととは思えません。しかし、これをやらないと、観光ビザで来日し、滞在有効日数内にガイド業務を繰り返し、そのまま所得申告もしないで帰国する外国籍のガイド、いわゆる「スルーガイド」問題の解決には至りません。

もっとも、それをどこまでやるかのさじ加減も問われるところがありそうです。現在のアジアの多くの国々から訪れる団体ツアーのビジネスモデルの根幹に関わることだからです。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-22 09:28 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 04日

中国客向けフリーペーパーはもう時代遅れな気がします

中国の建国記念日(国慶節)に当たる10月1日の正午過ぎ、銀座中央通りを歩いた話をしましたが、その続き。ホコテンを抜けると、中央通りと交差する首都高の下にショッピング施設「銀座ナイン」があります。その周辺は中国人ツアー客を乗せたバスの停車スポットになっています。
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2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影を興じていた
http://inbound.exblog.jp/26247961/

なぜなら、この周辺は、銀座7丁目のラオックスが近いこともありますが、同じく量販店のドンキホーテや中国団体客向けショーのある日本料理店「どすこい相撲茶屋」があるからです。
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銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/

銀座のドンキ、LAOXに徹底対抗!価格以外でも負けません!?
http://inbound.exblog.jp/25347932/

さらにいうと、「どすこい相撲茶屋」の向かいに永山免税店もあります。
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永山免税店 ステファニー銀座店
http://japan.eisan.jp/store-ginza/

もっというと、少しはずれに「銀座百薬粧」という名の免税店もあります。明らかに日本語の使い方ではない店名ですね。
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銀座百薬粧
http://www.taxfreeshops.jp/ja/shop/21646

まさに中国団体客向け免税店の集積地である銀座8丁目周辺は、いま深刻な状況に見舞われています。

中国客が以前のように積極的に買い物をしなくなったからです。

今年8月のラオックスグループの売上が、前年同月比マイナス53%だったという衝撃の報告もあります。

ラオックス月次報告(2016年8月)
http://www.laox.co.jp/ir/upload_file/library_05/getsuji_201608_jp.pdf

そんな折、この日そこで見たのは、バスから降りる中国客に在日中国人のアルバイトが銀座のショッピングスポットを紹介するフリーペーパーを配る姿でした。
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それはどう考えても、時代遅れな光景といっていいでしょう。もはや中国ではフリーペーパーの時代は終わり、割引クーポン等をアプリで入手するのが一般的です。

彼女らが配っていたのは、ダイヤモンド・ビッグ社が発行する「東京・大阪名品淘」と「尚Life Japan」の2誌でした。後者は在日華人が発行しています。
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尚Life Japan
http://www.lifejapan.info/

だからでしょうか、「尚Life Japan」では、誌面に掲載されている店舗(銀座の有名ブランドショップやMIKIMOTOなどの宝飾店)のQRコードをスマホで読み取れば、店舗情報やGPSで地図を表示してくれるしくみになっています。「東京・大阪名品淘」にも一応同じしくみはあります。これを見て、いまのフリーペーパーは中国の実情がよくわかっているといえなくもないのですが、結局のところ、これらの情報を日本に来てから入手していたのでは、使いこなせないのが実情ではないでしょうか。やはり、日本に旅行に来る前に入手させないと意味がないと思います。

いよいよ中国客向けのフリーペーパーは潮時という気がしてなりません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 18:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 06月 06日

通訳案内士の新しい動きに注目! 東京建築案内ユニットShowcase

前回、紹介した東京建築ツアーを催行している「Showcase」のメンバーは、英語通訳案内士の吉田優香さんや木原佳弓妃さん、松原智佳子さんたちで、結成は2014年末。現在、11人のメンバーが登録しています。「Showcase」は「Sense Harajuku Omotesando by Walking Come and See」の頭文字をとったのだそうです。
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銀座と表参道をめぐる東京建築ツアー(英語)が面白い
http://inbound.exblog.jp/25882521/

ところで、Showcaseでは、どういう経緯で東京建築ツアーを企画することになったのか。

木原佳弓妃さんによると「これまで外国人向け体験ツアーというと、すし握り体験のようなフードツアーや相撲部屋を訪ねるツアーが知られていたが、建築をテーマにしたツアーはなかった。代表の吉田優香が2012年春に表参道で始まったTokyo Grand Shopping Weekの事務局に関わったこともあり、表参道で外国人向けのウォーキングツアーができないかと考えていたところ、この街には魅力的な建築が点在していて、実際に外国人を案内すると反応が良かったことからコースを考えた」そうです。

さらに、「表参道周辺には、近代建築だけでなく、一般住居や団地もあり、多様な建築を歩きながら一度に見せることができる。目立たないディティールであっても、そこにデザイナーのこだわりや地域の歴史などのストーリーが込められている。その意味では、専門家ではない私たちでも、建築を通して日本文化のある側面を説明できると思う」と言います。

Showcaseのメンバーには、インテリアコーディネイターや商社勤務、書道家など、通訳案内士の有資格者でありながら、多彩な趣味や才能を持つ人たちが集まっているそうです。共通点は、建築好きであること。

今後は、表参道だけでなく、都内の別のエリアも加えたコースを増やしたいと考えており、そのトライ企画のひとつが、今回の銀座と表参道のツアーだったのでした。

彼女らが催行する東京建築ツアーには、3つの新しい特徴があると思います。

まず、日本ではまだ数少ない東京の現代的な側面を紹介する知的なカルチャーツアーであること。

たとえば、日本の大手旅行会社などが催行する外国人向けツアーをざっと見てもらうとわかると思いますが、これらにはないオリジナルな内容です。

JTB Sunrise Tour
http://www.jtb-sunrisetours.jp/
はとバス(外国語)ツアー
https://www.hatobus.com/
HIS go Japan
http://www.hisgo.com/n1/Contents

通訳案内士を多数登録しているユニークなインバウンド専門旅行会社もあります。でも、こちらは侍や忍者、書道、着物、お茶体験など日本の伝統文化に特化したツアー内容となっています。

日本文化体験交流塾
http://www.ijcee.com/

大手各社には当然のことながら、集客とコストの問題があり、コンテンツの専門性より大衆性を選ばざるをえない面があります。でも、伝統的なコンテンツだけでなく、もっと現代的なものを求める外国客もいるはず。だからといって、秋葉原に連れていけばいいのか。クールジャパンをもち出さずとも、東京の現代的な魅力をわかりやすく伝えられるツアーがもっとあっていいはずなのです。彼女らはそれにチャレンジしています。

ふたつめとして、一般の東京の外国人向け観光地の多くが東部(お台場、銀座、皇居、上野、浅草など)に偏るなか、表参道や青山といった西部地区の街歩きの新しいモデルをつくろうとしていること。これまでの東京のウォーキングツアーは、谷中や浅草方面の江戸情緒を味わうというものが多かった気がします。それはそれでいいのですが、東部(銀座)と西部(表参道)を銀座線という公共交通でつなぐウォーキングツアーであることも、ひとつのチャレンジだと思います。

3つめとしては、通訳案内士という語学のプロらが結成したユニットであり、自ら世界の旅行マーケットプレイスに名乗りを上げ、外国人からダイレクトブッキングを受けてツアーを催行していることです。
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Showcase Tokyo Architecture Tour(東京建築ツアー)
http://showcase-tokyo.com

これまで日本の通訳案内士たちは、旅行会社や通訳案内士団体から外国人ツアーのガイドを仕事として受けることが多く、営業は受身でした。しかし、今日世界には以下のようなツアーを扱うマーケットプレイスが存在し、直接外国客とガイドがマッチングできるプラットフォームがあります。

viator (世界最大の現地ツアーを扱う。最近、トリップアドバイザーの傘下に入る)
http://tourguides.viator.com/
Voyagin (2012年にサービス開始した日本発の旅行体験予約サイト。15年、楽天の傘下に)
https://www.govoyagin.com/?lang=ja
Triplelights (2013年にサービス開始した通訳案内士と外国客のマッチングサイト)
https://triplelights.com/

それぞれのサイトには特徴があり、得意分野も微妙に異なるようですが、訪日旅行市場の拡大にともない、通訳案内士自らこれらのプラットフォームに登録し、自己プレゼンテーションすることでガイディングの仕事を得られる時代になっているのです。Showcaseでも、自らのサイトに加え、Voyaginに登録して、集客しているそうです。

こうした取り組みは、これからもっと地域発のオリジナルで魅力的なツアーが生まれる可能性を示しています。一般に地元で企画されたツアーを「着地型ツアー」といいますが、ネットによるプラットフォームのない時代はそれを国内外の発地や旅行者に直接売り込むことができませんでした。しかし、いまは違います。今後は、全国でこういう動きが広がっていくことを期待したいと思います。

外国客に「娯楽サービス」は足りている?
http://inbound.exblog.jp/25886445/
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by sanyo-kansatu | 2016-06-06 14:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 06月 06日

銀座と表参道をめぐる東京建築ツアー(英語)が面白い

ぼくの仕事場は東新宿にあります。先ごろ、2015年に都内を訪れた外国人旅行者が初めて1000万人を超えたと報じられましたが、東新宿はおそらく都内でも浅草に次ぐか、あるいはそれ以上の外国人出没エリアだと思われます。

都内訪問 外国人客1000万人超す(朝日新聞2016年5月30日)
http://www.asahi.com/articles/CMTW1605301300004.html

※2015年に都内を訪れた外国人旅行者が前年比34%増の1189万人。13年から3年連続で過去最多を更新。

エクスペディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿を選ぶ
http://inbound.exblog.jp/25331847/
東新宿は新しい外国客向けホテル地区になりつつあります
http://inbound.exblog.jp/20672715/

理由は、日本観光のハイライトである富士山と箱根のゲートウェイであること。ゆえに、高級ホテルからビジネスホテル、ホステルまで(ついでにいうと、AirBnBの登録物件の多さも都内1、2を争う)、さまざまな層の旅行者のニーズに合わせた多彩な宿泊施設が集まっているからです。

仕事場への行き帰りやランチでオフィスの外に出るとき、通りは欧米系からアジア系まで外国人だらけです。個人やカップル、小グループが大半ですが、何を隠そう中国団体客を乗せたツアーバス専用食堂も数軒あるため、昼どきは中国人があふれているという多国籍的な様相を見せているのです。明治通りに近い場所に一軒のゲストハウスが昨年冬にできて以来、窓越しに見えるロビーのカフェにはいつも若い外国客がたむろしていて、ぼくもたまにお茶することがあります。

そんな彼らを日々眺めながら、ふと思うことがあります。

彼らはみんな、東京に来て何やって時間を過ごしているのだろう。本当に満足しているのだろうか?

もちろん、浅草に行けば、日本情緒を味わいに来ている彼らを大勢見かけますし、新宿でも伊勢丹などの商業施設に行けば、買い物にいそしむアジア系の人たちがわんさかいます。最近では、サムライや忍者といった日本の歴史文化をわかりやすく体験させるスポットも増えていて、人気を呼んでいます。

なぜサムライは外国人の心を惹きつけるのか?
http://inbound.exblog.jp/25864895/

訪日客が増えると、次々に新しいエンタメやアトラクションが生まれるのは自然の流れでしょう。これらはこれで面白いと思うのですが、もう少し知的で現代的な東京体験をしたいというニーズもあるのでは。自分がパリやニューヨークを訪ねるときは、そんなに小難しくなくていいけど、カルチャー系スポットに足を運びたくなります。それにやっぱり旅ですから、街歩きも楽しみたい。では、伝統系以外で、東京ではどんなカルチャー体験が楽しめるのか。それを誰がナビゲーションしてくれるのか……。

最近、知り合ったShowcaseという通訳ガイドのユニットは、都内のユニークな建築案内に特化したツアーを始めています。

Showcase Tokyo Architecture Tour(東京建築ツアー)
http://showcase-tokyo.com

4月中旬、ぼくはオランダで建築を学ぶ学生さんたちが参加したウォーキングツアーに同行しました。銀座と表参道にあるユニークな建築群を約5時間かけて歩くというものです。以下、その実況を報告します。

待ち合わせは、お昼12時に銀座の歌舞伎座にて。ツアーに参加するのは、オランダ・ユトレヒト大学(Institute of Building Engineering)の 学生19名と引率の教師2名の皆さんです。 今回は人数が多いので、2グループに分かれて前半2時間で銀座界隈を回り、休憩後、表参道へ移動して2時間ほど歩き、17時にゴール地点の明治神宮の第一鳥居前の広場で合流して解散という流れです。
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12時少し前に歌舞伎町に行くと、学生さんたちが待っていました。近くのコンビニで買ったのか、地べたに腰かけ、お寿司を食べている男子学生もいます。

オランダ人らしく、さすがに身長が高い人が多いです。女子学生も数名いますし、留学生らしいアジア系の学生もいました。
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このツアーでは5時間かけて20数ヵ所の個性的な建築を訪ねるのですが、以下印象に残ったスポットを紹介しましょう。

ぼくが同行したグループは、まず歌舞伎座の中に入ります。5階に歌舞伎座の歴史を解説するギャラリーと野外庭園があります。
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歌舞伎座
http://www.kabuki-za.co.jp/

これは銀座8丁目にある中銀カプセルタワーです。黒川紀章が設計した世界初の実用化されたカプセル型集合住宅です。
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銀座中央通りを歩いています。
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スウォッチ・グループ・ジャパンの本社「ニコラス・G・ハイエックセンター(NICOLAS G. HAYEK CENTER)も面白いですが、ビルの合間の路地裏に潜む豊岩稲荷神社へ向かう道はちょっとした冒険です。
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NICOLAS G. HAYEK CENTER
http://www.swatchgroup.jp/boutique/nicolas-g-hayek-center/
豊岩稲荷神社
http://www.tesshow.jp/chuo/shrine_ginza_toyoiwa.html
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ソニービルの隣の銀座エルメス本店に立ち寄り、今年3月末にオープンしたばかりの銀座東急プラザでひと休み。

銀座東急プラザ
http://ginza.tokyu-plaza.com/

屋上のキリコテラスから銀座を眺めると、松坂屋の後にできる建設中の観世能楽堂(今年11月完成予定)をはじめ、あちこちに建設クレーンが見られます。訪日旅行市場の拡大によって新たな国内投資が生まれている象徴的な光景といえるでしょう。
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【銀座】松坂屋跡地に東京最大級の商業施設と観世能楽堂ができる
http://matome.naver.jp/odai/2138726263386134701

さて、銀座線で表参道へ。表参道は知る人ぞ知る、街ごと建築博物館です。個別に触れているときりがないので、詳しくは以下のサイトなどを参照してください。

東京の観光公式サイト<GO TOKYO>おすすめ建築スポット
https://www.gotokyo.org/jp/tourists/attractions/attraction/art/harajuku.html
まるで「建築」博物館!表参道青山ショップをデザイン散歩
https://haveagood.holiday/plans/1426
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最後に、明治神宮の鳥居前で解散です。個人的にも、初めて知ったスポットも多く、とても面白かったです。今度海外から友人が来たとき、いろいろ案内したくなりますね。
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とはいえ、見ず知らずの外国人旅行者を相手にこれだけのスポットを案内するのは、素人にはとても無理。当然、さまざまな質問が飛び交うことになるでしょうから、彼らを納得させる説明を外国語でするのは、プロでなければ務まりません。

だから、いまこそ通訳案内士の出番なのです。次回は、このツアーを企画催行している通訳ガイドのユニット「Showcase」の皆さんに話を聞きたいと思います。

通訳案内士の新しい動きに注目! 東京建築案内ユニットShowcase
http://inbound.exblog.jp/25883449/
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by sanyo-kansatu | 2016-06-06 11:33 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 06月 01日

あなたは日本の文化や歴史を外国人に説明できますか?

前回、オーストラリア出身のラジオDJで、サムライと日本のお城が大好きというクリス・グレンさんを紹介しました。
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なぜサムライは外国人の心を惹きつけるのか?
http://inbound.exblog.jp/25864895/

彼はそんな素朴な問いに対して「サムライやお城は日本にしかない独自の文化だから面白いのです」と明快に答えてくれます。

彼はいま「インバウンド観光アドバイザー」としても活躍しています。日本の観光PRをするうえで、いちばん大事なのが「外国人の視点を理解すること」だといいます。

これはどういうことでしょうか。

前回に引き続き、クリス・グレンさんへの一問一答です。

―まさかですが、いまでも日本にサムライがいると思っている外国人はいるものでしょうか? 

「もちろん、います。日本の人たちは「外国人」と一括りにしますが、外国人といっても多種多様です。欧米人だけが、外国人ではありません…。

子供たちの中には「サムライがいる」「忍者がいる」と思っている子もたくさんいると思います」

―クリスさんは日本の観光PRをするうえで、「外国人の視点」が大切と言っていますが、日本人の視点といちばん違うところはどこでしょう? 

「それは以下のポイントです。

日本に関する知識
当然のことですが、日本に関する知識は雲泥の差です。そのため、日本人の知識ベースで書かれた、観光施設などの紹介文を翻訳しただけでは、通じないことも多々あります。その視点が、完全に抜け落ちています。

曖昧さを嫌う
観光パンフレットなどでもそうですが、日本人は「曖昧」な表現や美しい言葉を並べることで、なんとなく良さげに体裁を整えるのが得意です。

なんとなく雰囲気で良さそうなことはわかるけど、どこがどうイイのかハッキリ伝えていないという文章が多いです。それを翻訳するときには本当に困ります。そのまま翻訳すると「ハッキリ、何が言いたいの?」と言いたくなるような文章になり、外国人にとっては、まったく魅力的ではないものになってしまいます。外国人を相手にするならば、もっとストレートな表現で伝える必要があります。

そのほか、当然のことながら、色、ビジュアル(写真)なども、国によって好みが変わりますので、そのあたりも意識をする必要があります」

実は、4月上旬、クリスさんが制作を担当した名古屋城本丸御殿英語版WEBサイトが立ち上がりました。このサイトも、外国人の知識や好みを考えた上で制作されたそうです。
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名古屋城本丸御殿
http://www.nagoya-info.jp/en/hommaru/

―では、「外国人の視点」を理解するために、日本人はどんなことに気をつければいいでしょうか。

「外国人視点を理解するためには、以下のことをトライしてみてください。

逆を考える
自分が海外に行った時に「困ること」「見たいモノ・コト」「事前に知りたい情報」「欲しいもの」「体験したいこと」「食べたいもの」を考えてみれば、日本に来た(来る)外国人が何を欲しがるかが理解できると思います。

外国人に聞いてみる
外国人のために作るWEBサイト、パンフレットなどの制作に、外国人が一人も携わっていない、外国人にリサーチもしない状態でつくられていることが多いということに本当に驚きます。

アドバイザーとして外国人の視点で、いろいろと足らない部分を指摘すると「目から、ウロコでした!」と言われることが多いです。でも、実はものすごく当たり前のことしか言っていません。それくらい、日本人と外国人のニーズは違うということです。

もっと外国人と話して、リアルな声を聞いて、ニーズをつかむという作業をすることをオススメします。そうすれば、もっと上手に情報発信をすることができるようになると思います」

クリスさんの提言を聞いていて、ふと思ったのは、彼からこう問われているような気がしたことです。

「あなたは日本の文化や歴史を外国人に説明できますか?」

たとえば、徳川家康って誰? どうして日本のお城には石垣があるの?

残念ながら、いまのぼくには、それをコンパクトにポイントを整理して、事情を何も知らない外国人相手にわかりやすく伝える自信はありません。これは語学力以前の問題です。そういうことを普段考えたことがなかったからです。でも、観光PRのキモとはこういうことなのですね。

こうした日本の文化や歴史の基本的な知識は、実は、通訳案内士試験で問われます。これらも含めて一般常識の試験もあるからです。通訳ガイドは、日々このような外国人の素朴な疑問に向き合っているのです。

やっぱりこの手のことは、専門家にまかせるしかない…!?

いえいえ、こういうのはちょっとした頭の体操として自分の地元を説明することから始めてみるといいのかもしれません。

クリス・グレンさんのインタビュー記事をネットで見つけました。よくまとめられた記事なので、こちらも参照してみてください。

オーストラリア人が提案する
世界目線の「NAGOYA」観光
https://digjapan.travel/blog/id=10531
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by sanyo-kansatu | 2016-06-01 17:34 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 05月 28日

日本最高齢の通訳ガイド、「ラストサムライ」ことジョー岡田さんに話を聞きました

通訳案内士制度の規制緩和の動きが進んでいるようです。同制度の設立は1949(昭和24)年。さすがに、時代は大きく変わり、通訳ガイドを取り巻く環境も当時とは相当違っていることでしょう。

今回紹介するのは、通訳案内士暦54年という異色の英語通訳ガイド、ジョー岡田さんです。現役では日本最高齢だそうです。

この方の型破りなガイディング作法は、海外から訪れた多くの観光客を魅了してきました。

岡田さんがガイドを始めたのは1962年。1ドル=360円の時代です。その後、90年代に入り、一時ガイドを休業されていたこともあるそうです。しかし、21世紀に入って状況は変わりました。訪日外国人が急増し、岡田さんは東日本大震災の翌年の2012年5月、ガイド業を再開します。20年ぶりのことでした。

なにしろ昨年(2015年)は、45年ぶり(1970年以来)に訪日外国人の数が出国日本人を超えた年でした。時代は再びジョー岡田のガイディングを必要としたのです。

御年87歳の岡田さんは、毎週土曜日、京都で外国客相手にユニークなウォーキングツアーを行っています。何がユニークかというと、そのいでたちとコースの中身。自らサムライに扮し、腰に日本刀を差し、京都の商店街や寺院を練り歩きます。そして、最後に「空中りんご斬り」をはじめとしたサムライショーを披露するというのです。

そんな岡田さんのツアーは地元でこう呼ばれています。

「京都観光に旋風を巻き起こす!ラストサムライショー」。
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いったいどんなツアーなのか。昨日、ジョー岡田さんに電話でお話を聞きました。

―ウォーキングツアーというのはどんな内容ですか。

「わしのやっている「クール京都ウオーキングツアー」では、有名どころはあんまり行かない。毎週土曜の9時45分に京都市役所に集合し、商店街やお寺を約4km、5時間かけて歩く。商店街で軽い食事もする」

※ツアーの概要については、岡田さんの公式HP「ジョー岡田のさむらい人生」を参照のこと。

ジョー岡田のさむらい人生
http://samurai-okada.com

Cool Kyoto Walking Tour

日 時:毎週土曜10時~15時
参加料: 3000円(軽いランチ付・12歳以下は無料)
定 員:21人(最少催行5人)
集 合:9:45 京都市役所前広場

主なスケジュール:
 京都御所を散策(土曜日特別公開の捨翠亭を見学)
 庶民の台所・出町商店街で交流(各店で試食を楽しみ、盛り上がりましょう)
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※ネットで見つけたウォーキングツアーの実例がこれ。

【寺町通】 ラストサムライといく、京都御苑から寺町通名店めぐり
~九条家の茶室・拾翠亭から商店街、サムライショーまで~(2013年5月7日)
http://www.maimai-kyoto.jp/program/machiaruki/13sp134/

この日のコースは以下のとおり。

地下鉄「丸太町」 → 1.拾翠亭 → 2.厳島神社 → 3.下御霊神社 → 4.行願寺(革堂) → 5.寺町通(丸太町~二条) → 6.サムライショー → 7.カフェでお茶(解散)

※数年前、ある報道番組が岡田さんのツアーの同行取材をしていました。これを見ると、どんな内容かよくわかります。

Joe OKADA 京都でジョー 岡田さん(84歳)が外国人をガイドする
https://www.youtube.com/watch?v=UAznHJPfjx4

岡田さんは京都府舞鶴市在住。毎週土曜は朝6時起床で、特急まいづるに乗って京都に来ます。京都市役所に着くのが9時頃なので、隣のホテルオークラの地下の喫茶店でモーニング(380円)を食べながら、ツアー開始時刻を待つそうです。

―外国客に人気の理由はどこにあると思いますか。みなさん、どんなところを楽しまれているのでしょうか。

「まあわしが落語しながら歩いてるみたいなツアーだからね。お客さんはずっと笑っていますよ。もう50年以上ガイドをやってるから、笑いのつぼはたいてい定型化されていて…、まあそういうもの」

-やはり圧巻は、サムライショーでしょうか。

「あれは38年前(1977年)、伏見桃山城で始まった。わしは当時、ガイドとして独立し、外国客相手に日本文化ショーを企画した。空手や忍者、居合い、お茶、お華、歌舞伎、京舞などの師匠を呼び集めた。90分間でひとり6000円取った。当時としても、けっこう高いでしょう。でも、城の天守閣を借りると、2時間で5万円かかった。これを13年間で1700回やった」
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-そこで岡田さんは居合いを見せたのですか。

「いや、わしは司会進行担当だった。ところが、ある日、居合いの先生が誤って自分の手を切ってしまった。そりゃ大変な騒ぎだった。以来、わしが居合いをするようになった」

-その師匠に教わったのですか。

「最初は、見よう見まねでね。でも、1700回やったから」

-えっ、そうなんですか。

「まあこれも人生の裏話」

岡田さんに「なぜ外国客にサムライショーはウケるのでしょうか」と素朴な疑問をぶつけたところ、一瞬、う~んとうなり、「そりゃ、日本人がアメリカに行ったら、ピストル手にして射撃したくなるのと同じじゃないの」と答えてくれました。確かに、これは愚問かもしれません。外国客がサムライや日本刀に惹かれる理由をもっともらしく説明することに意味はなさそうです。自国にない文化だから、面白いのですから。

―ところで、いつ頃から通訳ガイドをなさっているのですか。

「前の東京オリンピックの2年前だから、1962年。最初は旅行会社で専属ガイドをしていた。その後独立し、伏見桃山城でさっき言ったショーを始めた」

ジョー岡田こと、岡田逸雄さんは1929(昭和4)年、大阪生まれ。5歳のときに、父に連れられ、満洲国の奉天(現・瀋陽)に渡ったが、数年後に帰国。中学生のときに、学徒動員で尼崎市住友工場でゼロ戦戦闘機のプロペラ製造工となるが、B29の爆撃で全滅。半年後、敗戦を迎える。

中学卒業後は、米軍キャンプの雑役や消防士などで食いつなぐ。その後、来日中のアメリカ人農場主夫妻の運転手を務め、その農場主に招かれて渡米し、運転手として働きながら夜学で英語を習得。帰国後、3度目の挑戦で通訳案内士試験に合格した。そのとき32歳。最初の客の名前がジョーだったことから、「ジョー岡田」を名乗ることに。しばらく藤田観光の専属ガイドを務めたが、40代で独立した。

-どうして通訳ガイドになろうと思ったのですか。

「京都でね、通訳ガイドをやっている先輩の姿がかっこよくてねえ。自分もあんな風になりたいと思った。いまは亡くなられたけど、高橋さん。ずっとお付き合いしていましたよ」

-当時といまでは、通訳ガイドをめぐる状況は何が違いますか。

「インターネットが世界を変えた。当時の仕事の受注先は、旅行会社が40%、外国人のツアコン30%、国内の観光ガイド30%という比率だったが、いまでは予約はたいていインターネット(実際、ぼくは岡田さんとメールでやりとりしています)。

お客さんも変わった。40年前は、アメリカ3分の1、英語圏3分の1、その他ヨーロッパと東南アジアが3分の1。いまでは、70%がその他ヨーロッパと東南アジア。中国は団体ツアーが多いので、ほとんどない。わしは英語のガイドだからね」

― 一時期、ガイドを休業なさっていたそうですが、なぜ再開なさることにしたのですか。

「90年代に入り、円高で1ドル80円になった。これではもう続けられない。その間、土方でもなんでもやりましたよ。しかし、こうして再び外国客が増える時代になった。90歳まで続けようと思っていたら、2020年に東京オリンピックがあるというから、91歳までやることにした」

10年前(2006年)に岡田さんが知人に送った年賀状(サムライ現状報告)には、「以下の記録を更新するべく、その日暮らしです」と書いてあったそうです。

1.日本一最年長・現役土木作業員(年100日以上)
2.日本一最年長・現役通訳案内業
3.1988年・日本商工会議所商業英語Aクラス合格
4.ギネス世界記録第2回挑戦大会実施
  岡田流居合い道舞鶴青空道場・アメリカ支部より弟子8名参加・空中リンゴ斬り60秒で18個=第2位。1位は支部長のブラットの21個。
5.国内テレビ51回、海外14回出演
6.外人女性の腹上でスイカ斬り2000個(世界一)※手書きで「2016年には3500人となる」と書き足しあり。
7.海外に日本刀を書類なしで7回持ち出し ※おいおい
8.毎晩4時間飲食・ニッカウィスキー年130本・45年間
9.舞鶴市市民生涯教育・英会話講師(4年目)※手書きで「今年で16年目」と書き足しあり。

以下のテレビみてくださいね。
2006年1月9日 日本テレビ「イッテQ」の暗闇剣道「内村、インパルスvs.ジョー岡田」
     2月3日 テレビ東京「所さんの学校では教えてくれないそこんところ」

まいりました。さすがは昭和ひとケタ生まれというべきか。時代を無頼に、コミカルに駆け抜けた人生が伝わってきます。

そんな岡田さんですが、ふと電話口で「自分は体感的な人間でね」ともらします。そんなにあれこれ難しく考えて生きてきたわけじゃないとも。

でも、モットーは「わしの人生にはプライバシーはない」「他の人のできないことをやる」だそう。

「今度、京都に行く機会があったら、ぜひウォーキングツアーに外国人に混じって参加したいのですが…」と聞くと、「いいですよ。日本人はだいたい1%」。

岡田さんは、いまある本の出版を計画中です。実は、1965年、ご自身がつくった『This is your guide speaking』(同書はその後、版を重ね、91年の12版まで改訂され、12万部に至る)という通訳ガイドが話す日本案内(英語)の本を27年ぶりに再販したいのだそうです。

今度、その原本を送ってくださるそうなので、とても楽しみにしています。
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【追記】
2017年5月、日本最長老通訳ガイドのジョー岡田さんが書かれた英文ガイドブック『BEYOND SIGHTSEEING-The Ultimate Guide to JAPAN』が刊行されました。

ガイド人生55年の集大成、ジョー岡田が案内する日本ガイドブック、ついに刊行!
http://inbound.exblog.jp/26896088/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-28 09:56 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 05月 17日

資格不要の有償ガイドを認めるなら、せめて登録制にすべき

今朝、ネットで以下の報道を知りました。ついに政府は資格不要の通訳ガイドを認める方向に動き出すようです。

訪日旅行市場の実態にまったく合わなくなった通訳案内士制度を改正する動きは、すでに何年も前から地ならしが進んでいたのですが、2000万人時代を迎えた今年はひとつの節目といえるのでしょう。

以下、記事を転載します。

人手不足で規制緩和 保育士比率下げ・ガイド通訳資格不要(日本経済新聞2016.5.17)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02405380X10C16A5MM8000/


 政府は保育や観光の分野で深刻な人手不足の解消に向け、実態に合わなくなった規制の緩和に動く。国家戦略特区の公立保育所で正式な資格を持たない職員を雇いやすくするとともに、非正規で働く保育士の給料を引き上げる。観光では、国家資格がなくても有償で通訳ガイドをできるようにする。人手不足が日本経済の成長を妨げないように、人材確保に本腰を入れる。

 政府が19日に開く国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)や規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)で方針を示す。関連法の改正案を早ければ7月の参院選後の臨時国会に出す。

 保育分野では大阪府が認可保育所の設置要件の緩和を求めている。府によると、保育所の職員の3分の2以上は有資格の保育士にしなければならない規定がある。府はこの比率を引き下げれば、公的な資格はなくても経験豊富な保育ママや子育て支援員も活用できるようになるとみている。

 政府は要望を認める代わりに、公立保育所で働く正規職員と非正規職員の待遇格差をできるだけ減らすように府側に促す方向だ。大阪市は非正規保育士の処遇改善を進めてきたが、年齢など条件をそろえると年収ベースで正規保育士の5割にとどまるとの試算もある。

 政府は非正規職員の賃金をめぐり、職種に限らず「正規職員の7~8割に早期に引き上げる」との目標を掲げる方針だ。特区内でもこの水準が目安になるとみられる。

保育士は都市部を中心に人手不足が深刻だ。東京都内では3月の保育士の有効求人倍率が5.45倍だった。大阪府の2014年1月時点の調査では8割の保育園が「5年前より保育士の確保が難しくなった」と答えた。待遇改善で非正規を含め人材を雇いやすくする。

 観光分野では、訪日外国人に観光案内をする通訳ガイドの規制を緩和する。現在は国家資格がないと有償でのガイドはできないが、資格がない人にも認める方針だ。5月末に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込む。

 現在、報酬を得る観光案内の通訳は「通訳案内士」の資格を持つ人に限っている。資格がなくても観光ガイドとして報酬を得られるようにする。

 政府は訪日外国人客を20年までに今の2倍の4000万人に増やす目標を掲げる。一方、通訳案内士の数は約1万9000人にとどまり、訪日客のニーズに応えきれていないとの指摘が多い。

 日本に先行して通訳ガイドの規制を撤廃した韓国では、観光客が不当に高額料金を請求されるケースなどが発生している。団体客向けのサービスは資格保有者に限定するなどの規制強化に踏み切った。政府は海外の事例も参考に通訳の質を確保するための具体策の検討を進める。


この記事は、このところ国会でも話題となった保育士問題とからめて観光分野の規制緩和を報じています。通訳案内士の関係者からすれば当然いろんな意見や不満はあるのでしょうが、公平に見て時代の趨勢であり、有資格者たちはこれで職域を奪われるなどとネガティブには考えずに、高い語学力を活かし、現状をふまえた新しい仕事のあり方を模索していくべきだと個人的には思います。能力的にいって、無資格者のできる仕事は限られているからです。訪日市場の急拡大によって、語学力は十分ではなくても外国客を接遇しなければならない場面が増えたのです。本来、有資格者たちが取り組むべき世界は、もっと重要かつ高度な領域なのですから。もはや旅行会社からガイドの仕事をもらうだけの時代ではないのです。

実際、若い世代の通訳案内士たちは、すでに新しい仕事のスタイルを実践しています。

たとえば、以下の通訳案内士ユニットは、東京都内のユニークな建築案内に特化したガイド活動を始めています。

Showcase Tokyo Architecture Tour
http://showcase-tokyo.com
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こうした新しい動きは、主に英語の通訳案内士たちが取り組むケースが多いようです。資格不要の有償ガイドが認められた時代は、有資格者たちはテーマ性や特色のあるガイド内容で自ら仕事を取りにいく動きを進めていくべきでしょう。こういうユニット応援したいと思います。

もうひとつ大事なことは、日本のインバウンドの中身を大きく変えたアジア市場において、これまでグレーゾーンとなっていた、海外からツアー客に同行する添乗員や、国内でツアーに合流する在日アジア系ガイドたちの実態をきちんと把握するためにも、ガイドを登録制にすべきではないでしょうか。

彼らの中には、海外から日本に観光ビザで来て、滞在期間中、ツアーをいくつも請け負い、免税店からのコミッションもそうですが、さまざまな営業活動をしておきながら、確定申告もせず、そのまま帰国してしまう「スルーガイド」もいます。また今後規制緩和される通訳案内士資格の有無はともかく、就労資格のないのにガイドを務める輩もいるからです。

今回の規制緩和は、要するに現状追認にすぎないわけですが、彼らの存在を本当に法的に認めていいのか。せめて登録制にして違反者を減らし、市場の実態をつかむことができなければ、監督官庁としては無責任すぎると思うからです。九州の中国発クルーズ客の上陸観光ガイドの就労資格をめぐる問題はいまだ解決できていないですし。

中国人不法ガイドが摘発された背景にあるものは? 訪日旅行市場に与える影響は?(2016年3月9日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/030800008/

通訳ガイドをめぐる問題については、以下の論考も参考にしてください。

通訳ガイド問題の解決の糸口は?
訪日客が増えて問題続出
http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_23.html

「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」って何?
http://inbound.exblog.jp/24445622/

メディアは「通訳案内士」問題をどう報じてきたか
http://inbound.exblog.jp/24446629/

通訳案内士になるには? 適性は?
http://inbound.exblog.jp/24449064/

通訳ガイドの働き方、海外ではどうなのか?
http://inbound.exblog.jp/24450294/

海外の観光ガイドサービスのモデルを日本に持ち込もう
http://inbound.exblog.jp/24460875/

通訳案内士制度をめぐる議論がかみ合わないのはなぜか
http://inbound.exblog.jp/24463450/

無資格ガイド問題とは何か?
http://inbound.exblog.jp/24472149/

訪日旅行市場最大の中国語通訳案内士の現場は大変なことになっていた
http://inbound.exblog.jp/24486566/

中国語通訳案内士を稼げる職業にするための垂直統合モデル
http://inbound.exblog.jp/24489096/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-17 12:55 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 04月 28日

タイ語版の「るるぶ情報版」を入手。これはなんと斬新な日本だろうか

休暇をとって、以前からずっと訪ねてみたかった地方のまちを旅する楽しさというのは、かけがえのないものです。国内旅行ですから、忙しさにかまけ、関心のある見どころ以外の食事や遊びの情報などは、ネットで事前にあれこれ調べる時間がなくても、新幹線駅の書店でその土地の「るるぶ情報版」をとりあえず買っておけば、ひとまず大丈夫。移動中じっくり予習をする時間はあります。

現地に着くと、さっそく地図にここぞとマーキングした見どころやおいしいと評判のお店などを訪ねてみる。すると、いまどきたいていどこでも外国人の小グループをよく見かけます。

「どうして彼らはこの店を知っているのだろう?」

その理由は、前回書いたとおりです。「るるぶ情報版」の多言語版がいまや海外のふつうの書店で売られているからです。

「るるぶ情報版」(中国語版)が上海の本屋で売られていた!(その意味を考えてみる)
http://inbound.exblog.jp/25723467/

しかも、それは中国や台湾、香港などの中華系の人たちだけでなく、タイやマレーシア、インドネシア、シンガポールといった東南アジアの人たちにまでいえることなのです。

昨日、発行元のJTBパブリッシングに確認したところ、2016年3月現在、以下の国・地域で多言語化された「るるぶ情報版」が発行されています。

■中国本土/中国語簡体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■台湾/中国語繁体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■香港/中国語繁体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■タイ/タイ語版
 タイトル 京都、九州
 発売 2015年2月より随時

■シンガポール/英語版
 タイトル 九州
 2016年3月

■マレーシア/英語版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2016年3月

■インドネシア/インドネシア語版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2016年3月

驚いたことに、タイ語やインドネシア語版まで発行されているんです。実際、タイの出版社のサイトをみると、「new araival」のコーナーに確かに「るるぶ情報版 九州」が見つかりました(右から2番目の本)。タイ語版としては、京都もあります。
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Jamsai(タイの出版社)
http://www.jamsai.com/

JTBパブリッシングさんからタイ語版の「るるぶ京都」をいただきました。この表紙、えらくインパクトがありますね。派手な色使いもそうですが、ふだん見慣れぬタイ語がからむと、いったいここはどこなんじゃ? という気がしてきます。なにしろかの国のお寺はキンキラ金に輝いていますから、このくらいインパクトがあってこそ、彼らの旅心を刺激するということなのかもしれません。
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中もめくってみましょうか。

これは金閣寺のページです。
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これは祇園。
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こちらはグルメページで、京懐石でしょうか。
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最後のこれはお土産ページ。京小物のコーナーです。
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金閣寺や祇園、京料理の写真の合間をはうように綴られるタイ語がなんとも新鮮です。

2015年、約80万人のタイ人観光客が日本を訪れました。すごい勢いで増えています。タイは2013年以降、日本の観光ビザが免除されていますから、多くの場合、個人旅行でやって来ます。特に若い世代の大半はそうで、最近では全国各地で彼らの姿を見かけます。

これは3月末、京都駅で見かけたタイ人の若い女の子の小グループでした。彼女らの誰かひとりくらいは「るるぶ情報版」を手にしているかもしれません。
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タイ人というのは、男の子も女の子もシャイで控えめなところがあり、好感度が高いです。見ていてかわいいので、ぼくは電車の中でタイ人に隣り合わせると、つい声をかけてしまいます。「これからどこ行くの?」「明治神宮」「じゃああと4つめの駅だよ」……。そんなささやかな会話だけでも、ほっこり気分にさせてくれる人たちです。

そんな彼ら彼女たちが、いまや日本人と同じ内容が書かれた「るるぶ情報版」を手にしている、つまり同じ情報源をもとに旅しているのだとしたら、これからもいろんな場所で彼らと出会う機会は増えることになりそうです。

ひとつ気がかりなのは、先般の熊本の地震です。当時そこそこ多くのタイ人が熊本に個人旅行していたようです。タイ人の知り合いに聞くと、「本当に怖かった」「もう2度と日本には来たくない」とトラウマになってしまった人もいるそうです。

無理もありません。生まれてこのかた、彼らはあのように大地が激しく震える体験などしたことがないからです。

である以上、今後はただ「来てくれ」というメッセージだけでなく、もっと地震に対する外国人の心のケアを考えた情報発信に努めていく必要がありそうです。安全情報の出し方も、「もう大丈夫」といくら日本人が言っても、彼らは素直に受け取る気持ちにはなれないかもしれません。彼らにすれば、「あななたち(日本人)はなぜそんなに平気なの?」と、かえって不信感を募らせてしまうかもしれないからです。東日本大震災後の被災者の冷静なふるまいが世界的に賞賛されたのは事実ですが、それを外国人に求めるのはコクというものです。

外客向けの情報提供において、非常時の対策や心のケアをもっと充実して行かなければならないと思いました。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-28 12:23 | “参与観察”日誌 | Comments(2)