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2017年 04月 20日

バケーションレンタルって何?

昨晩のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)で、バケーションレンタルの世界最大手HomeAwayの日本進出が報じられました。

出張の会社員向けも… ユニークな民泊ビジネスが続々(2017/04/19)
http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/wbs/newsl/post_130526

きょうから日本市場への本格参入を発表した、米・民泊仲介大手ホームアウェイ。都心を中心に少人数向けの物件が多い、同じく業界大手のエアビーアンドビーに対し、ホームアウェイは大人数向けに地方の一棟貸しをするのが最大の特徴です。リピーターが6割という訪日観光客が地方へと足を伸ばしているのに合わせ、民泊解禁と共に需要取り込みに期待を寄せます。3月から始まった民泊予約サイト「トリップビズ」は、審査を通過した企業だけが利用できるビジネスマンの出張に特化した仲介サービスで、約20社が契約しています。インバウンドの増加などでホテルの予約が取りにくい中、手ごろな料金で泊まれると言います。「トリップビズ」を展開するのはメガネチェーン大手のオンデーズ。自社の社員の出張が多かったため、宿泊施設確保の時間や費用を削減するため作りました。


昨日午後、都内のHomeAway日本支社で以下の記者会見もありました。
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世界最大級のバケーションレンタル会社 X 日本最大級のDMO HomeAwayとせとうちDMO、インバウンド観光推進で業務提携~歴史的な資源を活用した広域インバウンド誘致を目指す~(記者会見リリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000024333.html

この記者会見のポイントは、HomeAwayが瀬戸内海に面した7県の観光地経営推進組織「せとうちDMO」と提携して、この地域の古民家を外国人観光客にPRを始めるという話です。ワールドサテライトでも「地方の古民家丸ごと貸し出す!? 世界最大級の“民泊会社”が日本に」と報じていました。

提携したのは以下の両者です。
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HomeAway(日本語版)
https://www.homeaway.jp/
せとうちDMO
https://www.setouchi-bc.co.jp/setouchi-dmo

この記者会見は短時間でよくポイントがよくまとめられたものでした。その内容を紹介する前に、そもそもバケーションレンタルって何? という話から始めたいと思います。

解説してくれるのは、HomeAway日本支社の木村奈津子社長です。

彼女はバケーションレンタルを「オーナーが部屋を使用しない期間、物件を旅行者等へ短期間貸出するレンタルサービス」だといいます。ゲストハウスやシェアハウス、ホームステイなどの「個室」を扱う民泊はバケーションレンタルの一部にすぎないとも。そして、同社が注力するのは、「個室」ではなく、一軒家や別荘、古民家、マンション、ヴィラ、ロッジなどの「貸切り」だといいます。
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背景には、訪日外国人が利用する宿泊施設のニースの多様化があります。このデータはどこまで信憑性があるのかわかりませんが、訪日客の60%がリピーターであることから、新しいタイプの宿泊施設が求められているとも。
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ここで彼女は今日の宿泊施設を「サービスの充実度」と「ホストとの交流/プライベートへの志向」というふたつの軸で以下のようにマッピングします。もちろん、これはバケーションレンタルをメインにすえたものですから、ホテルや旅館といった既存の施設の多様性には触れません。興味深いのは、同社ではサービスの充実度よりセルフサービス寄り、ホストとの交流よりプライベートな空間を求める「ペンション、ヴィラ(1~3名)」「町屋、古民家(2~10名)」「家主不在型民泊 マンション(1~6名)」「家主不在型民泊 一軒家(2~20名」を重視していることです。
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これらの説明は、ここ数年民泊市場を席巻してきたAirBnBとの差別化を強く意識したものと思われます。彼女は両者の違いについてこのように説明しています。

         HomeAway     AirBnB
利用者の年齢層  中年層が中心    若年層が中心
宿泊人数      家族・グループ    一人旅
物件の立地     地方・リゾート地   都市部
予約単価・日数   平均1032$・6日間 平均584$・4日間
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つまり、都市部を中心に少人数向けの物件を提供するAirBnBに対し、大人数向けに地方の物件を一棟丸ごと貸し出すのがHomeAwayというわけです。

ここで示されるターゲット層や利用の状況については、アメリカで放映されているHomeAwayのCMをみるとよくわかります。
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Get HomeAway from it all(Home Away CM)
https://www.youtube.com/watch?v=G19cDebTd2s

このCMに見られるのは、おなかの出た中年のお父さんがパンツ一丁で登場するような、徹底的な大衆性です。家族がプライベートな空間を気取らず楽しむイメージであふれています。これでは到底若い世代にはウケませんが、それでいいのです。

今年に入って訪日外国人数は増えてはいるものの、その伸びが鈍化していることもあり、そもそも問題の多い「家主不在型民泊」で市場を席巻してきたAirBnBが伸び悩んでいると聞きます。

訪日外客数(2017 年3 月推計値)
◇ 3 月 : 前年同月比9.8%増の220 万6 千人(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/170419_monthly.pdf

訪日客の大半を占めるアジアからの旅行者の団体から個人への移行が進むなか、彼らの多くは一人旅やカップルというより、家族や小グループでの旅行を好むため、都市部のワンルームマンションのような狭い物件は使いづらくなっていることが考えられます。訪日客のニーズの変化とAirBnBが主に提供する物件のミスマッチングが起きているのです。

3月上旬、上海で現地の旅行関係者からこんな話も聞きました。「昨年まで中国の個人客は、安く上げられることを理由に民泊に夢中でしたが、日本のマンションは狭すぎるので、もう利用したくないというんです」。

だからこそ、民泊ではなく、これからはバケーションレンタルでしょう。そう同社は訴えているのです。

こうした動きに乗ったのが、日本のインバウンド市場では後発だった瀬戸内海周辺の関係者でした。

今回の記者会見でも、せとうちDMOはHomeAwayとの提携の経緯について語っていましたが、そのひとつの理由が、全国に150万軒あるという江戸後期から近現代にかけての古民家の保存・再利用をきっかけにした地域振興でした。なんでも瀬戸内には30万軒もの古民家があり、その大半は朽ち果てていくのを待つばかりの状況だそうです。

今回の提携に基づく最初の取り組みとして、愛媛県の古民家を再生した宿のHomeAwayによる海外市場へのPRが始まります。
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記者会見会場には、けっこう多くの取材陣が集まっていました。昨年メディアで論議が盛り上がった民泊の次のステージを告げるバケーションレンタルに対する関心の高さからでしょうか。
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質疑応答のとき、週刊朝日の記者がいい質問をしていました。「古民家のオーナーたちはどれだけコストを負担する必要があるのか」。

せとうちDMOの関係者によると、理想的には行政からの補助なども含め、オーナーのコスト負担はなしを原則にしたいが、実際にはオーナーが物件の所有者なのか事業者となるかなど、ケースによって異なるとのこと。そして、以下のような目標も掲げていました。

HomeAwayとせとうちDMOが提携、21年までに年間5.5万人泊(Travel Vision2017年4月19日)
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=77361

ここ数年、HomeAwayの親会社であるexpediaをはじめとした海外の宿泊予約サイトの日本市場参入によって、インバウンド宿泊市場は活性化してきました。どんな無名の宿泊施設でも、サイト上でうまくPRすれば外国客が押し寄せるという状況が生まれていたのです。その意味では、今後インバウンドのメインステージとなる地方でバケーションレンタルという新機軸を掲げるHomeAwayの展開には期待が持てます。

その一方で、どれだけ有望な施設を提供できるのか。せとうちDMO関係者の話では、新施設を開業させるのはそんなにたやすい話でもなさそうです。

実をいえば、すでに多くのマッチングサイトがこの市場に参入しています。バケーションレンタルというのは、そんなに新しいものではなく、日本人も以前からハワイでコテージなどを貸し別荘として利用するなどしていました。同じことを国内で外国人向けに始めようという話です。HomeAwayでも、たとえば、愛媛県のページをみると、すでにいくつかの物件が紹介されています。
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はたして日本のインバウンド向けバケーションレンタル市場は今後どう動いていくのでしょうか。

来月下旬には、バケーションレンタルのイベントもあるようです。巻き返しを図るべくということなのか、AirBnBも出展するとか。

バケーションレンタルEXPO
http://minpaku-expo.com/visitor/
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by sanyo-kansatu | 2017-04-20 12:17 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2017年 02月 10日

中国客の『君の名は。』聖地巡礼が起きたのも、岐阜県の地道な取り組みが実を結んだ結果

先日、ネットに岐阜県が舞台の『君の名は。』聖地巡礼の話が出ていました。実は、そろそろこの話が出てくる頃だろうと友人と話していました。

ここは岐阜県飛騨市、JR高山本線の飛騨古川駅だ。昨年8月に公開されて大ヒットを記録した映画『君の名は。』のヒロイン・三葉が住む山里のモチーフのひとつになったことで、「聖地巡礼」(アニメの舞台となった土地をファンが実際に訪ねる旅行)の観光客が増加している。

作中で主人公が利用した図書館のモチーフになった飛騨市図書館も「巡礼地」のひとつだ。飛騨市によると、『君の名は。』展示がおこなわれている同図書館内で写真撮影を申請した人数は、昨年8月26日から12月31日までの約4ヶ月間で3万6200人に達した。

そのなかに少なからず含まれているのが、台湾・香港・中国など東アジア各国からのファンである。特に昨年12月に中国で作品公開がはじまり、同国の日本アニメ映画興行記録の歴代1位となる大ヒットを記録したことで、中国大陸から飛騨古川を訪れる人も増えた。


『君の名は。』聖地に“リア充”中国人集団が殺到中(文春オンライン2017/02/08)
http://bunshun.jp/articles/-/1325

この記事によると「春節期間前後の中の1月25日から2月3日まで、市内の『まちなか観光案内所』を訪れた外国人客の合計は566人」。内訳は以下のとおり。

台湾人……218人
中国人……134人
香港人……134人
シンガポール人……28人
タイ人…‥25人
韓国人……15人
マレーシア人……12人

やっぱり、台湾客がいちばん多かったのですね。映画の公開が早かったこともあるでしょうけれど、この種の話題にいち早く食いつくのは、台湾の人たちです。

興味深いのは「食堂のノートに残された正しき「巡礼」の足跡」という話です。

「市内の食堂に置かれたメッセージノートのページをめくると、英語や中国語・韓国語・広東語の書き込みも目立つ。自作のイラストを描いている人もおり、正しき「聖地巡礼」の姿を感じさせた」

そして、実際の書き込みの写真が載っています。中国のネット上にはこの種の書き込みはあふれていますが、生書き込みを見ることは少ないので、面白いです。

記事はこう結ばれています。

「爆買い現象が一段落し、さらに今年の春節では中国人ツアー客の大幅な減少を伝える報道も出ている。そんななか、地方のインバウンド誘致の新しいパターンとして、飛騨古川の事例はなかなか興味深い話と言ってよいのではないだろうか」

全体にちょっとはしゃぎすぎのようにも思えますが、いま日本各地で起きていることをわかりやすく伝えています。

というのも、この種の中国客の「聖地巡礼」の話題は、これまでも『スラムダンク』の鎌倉高校とか前例はいろいろあるからです。

「スラムダンク」の舞台『鎌倉高校前駅』―中国・台湾観光客のやりすぎ記念撮影(JCASTテレビウォッチ2015/8/12)
http://www.j-cast.com/tv/2015/08/12242532.html

先月、本ブログで紹介した台湾人監督による短編映画がきっかけで、北海道の無人駅を訪ねる中国客が現れて、ちょっと困っているという一件も、「聖地巡礼」系の話でしょう。

北海道のローカル駅の線路に入る「危ない訪日客」が出没する理由がわかってしまいました (2017年 01月 14日)
http://inbound.exblog.jp/26555234/

さて、アニメヒット作のおかけで、にわかに岐阜県の注目度がアップしているように思われた方もいるかもしれませんが、実はそれだけではなかったという話を簡単にしておきたいと思います。

岐阜県のインバウンド誘致の取り組みには、以前から定評があったんです。背景には、岐阜県の弱みがありました。端的にいうと、国際線が乗り入れている空港がなく、都市部から時間がかかるというアクセスの悪さです。その一方、飛騨高山の古い街並みとそこに住む人々、世界遺産の白川郷のような他にはない強みがありました。

大事なのは、その弱みを逆手にとって、自分なりのやり方でプロモーションをしようと考える人材が岐阜県にはいたことです。その方が始めたのは、地元が十分受け入れ可能で、本当に来てほしい層を呼び込むのに有効なSTPマーケティング(セグメント、ターゲティング、ポジショニングを設定した手法)の具体的な実践でした。

その一連の話をぼくは最近書いた日経BPネットの以下の連載で紹介しています。

知名度がなくアクセスも悪い観光地をどうプロモーションするか(日経BPネット2016年12月27日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/122600027/
知名度がなくても始められる「旅行体験共有会」という手法(日経BPネット2017年01月30日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700028/
個人旅行の時代には口コミの核になるファンを集めよう(日経BPネット2017年01月31日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/012700029/

記事では、岐阜県が2010年頃から地道な取り組みをしていたことを紹介しています。岐阜県の担当者と二人三脚でプロモーションに取り組んだ上海側のPR会社の日本人がどういうことをやってきたか。ぜひ目を通していただけるとさいわいです。

こういう下地があってこそ、今回の話につながったのだと思います。

いま岐阜県が、このテーマで記事に出てくる「旅行体験共有会」をやったら盛り上がりそうですね。
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by sanyo-kansatu | 2017-02-10 07:42 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 19日

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)

最近、都内でも中国本土の個人客が増えてきたことを実感します。こんな記事がありました。

中国人訪日観光客の買物は次第に理性的に(人民網日本語版 2016年10月05日)
http://j.people.com.cn/n3/2016/1005/c94473-9123124.html

ビザ制度の緩和、交通の整備、日本のサービス業や商品の良い評判にともない、近年日本を訪れる中国人観光客は過去最多を更新し続けている。今年の状況を見ると、中国人訪日観光客の買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている。新華社が伝えた。

2015年に中国人の海外旅行者数は延べ1億2000万人で、うち499万人が日本を訪れた。中国国家観光局駐日代表処の羅玉泉首席代表は取材に「今年、中国人訪日観光客は依然として比較的高い伸びを維持し、8月まですでに延べ450万人に達した。年間では延べ700万人近くになる見通しだ」と述べた。

目薬から便座まで、カメラから腕時計まで、中国人訪日観光客は元々たくさん買い物をすることで有名で、日本語にはこうした買物を専門に指す新語「爆買い」まで生まれた。だが、今年中国人訪日観光客の平均消費額は減少した。羅氏は、円高や中国人の買物がより理性的になっていることと関係があると考える。

2015年の中国人訪日観光客の1人当たり旅行支出は28万4000円近くで、うち買物の支出は16万円を超えた。一方、訪日外国人の平均買物支出は約7万4000円だった。だが今年上半期、中国人訪日観光客の1人当たり買物支出はすでに約12万4000円にまで減少した。

羅氏によると、中国人訪日観光客の変化はこれだけではない。観光客の居住地を見ると、以前は上海、北京、広東省が中心だったが、現在は江蘇省、浙江省、天津市、四川省、重慶市、遼寧省在住の観光客が増えてきている。2015年、上海、北京、広東省在住の観光客の割合は48.8%にまで下がった。

もう1つの大きな変化は自由旅行者の割合が次第に増加していることだ。2011年には自由旅行者の割合は4分の1に過ぎなかったが、2012年には30%に近づき、2013、2014年には40%に近づき、2015年には44%に達し、今年上半期は54%まで増加した。

また、中国人観光客の訪日目的も多様化してきている。伝統的な日本の風情と文化だけでなく、より日常生活に近い体験も望んでいる。新浪微博(ウェイボー)上の「日本で何をしたいか」に関する調査では、「買物」「日本料理を食べる」「温泉に入る」以外に、和服を着ての写真撮影、花見、スキー、民宿への宿泊などが挙がった。美容、そば作り体験、AKB48の握手会などへの参加を希望する若者も多かった。


この記事では、中国客の「買物は次第に理性的になり、以前のような「爆買い」ではなくなっている」としれっと書いているところに苦笑してしまいます。あの手この手で「爆買い」を「強制終了」させたのは、誰だったのでしょう? 

中国客の「爆買い」はこうして終わった で、今後はどうなる?
http://inbound.exblog.jp/26190593/

「爆買い」騒ぎで、海外から驚きと呆れ交じりのまなざしを向けられていた中国客でしたが、それは彼らの本能のようなもの。そうなる理由もいろいろあったはずです。でも、中国メディアはそれを非「理性的」だと否定的に捉えていたのです。

では、その後彼らが買い物をしなくなったかというと、そうでもないようです。

先日も中国から友人が東京に来ていましたが、ホテルの部屋に届け物をしに訪ねると、超ビッグなスーツケースを持ってきていて、「いろいろ頼まれるので、買い物が大変」と話していました。建前上、関税がかからないようにするためには、5000元(約8万円)以内に土産代を収めなければならないのですが、そういうわけにもいかないそうで、粉ミルクやもろもろ頼まれたものは、すでに郵便局から送ったそうです。

「訪日目的も多様化」していると記事にあるように、だんだん台湾や香港、タイの人たちに交じって中国本土客もこれまでとは違うスポットに出没していくのでしょう。中国メディアは、すでに全体の54%は個人ビザ客だといっています。

それはそれで心配です。その結果、何が起きているかというと、他の国々の観光客とは違い、街中で独特の異質感を漂わせる中国客の姿が目につくようになるからです。

正直なところ、香港や台湾の人たちは日本の社会に溶け込んでいるので、なかなか外国客だと気がつかなくなっているのですが、中国客は彼ら特有のどこか挙動不審の顔つきや荒っぽい話し方、洗練からはほど遠いふるまいから、すぐにそれとわかってしまうところがあります。単に言葉の問題ではなく、台湾や香港、タイの人なら、電車の座席の隣に座って「どっから来たの?」と話しかけても、ごく普通にお互いの意思や好意が伝わり、物腰の柔らかさを感じるのですが、中国の人相手では会話もこわばり、なかなかそうならない印象があります(日本に住んでいたり、日本語を話せる中国人は別ですけれど)。

台湾人やタイ人なら、日本を楽しんでいる感じが伝わってくるのです。ところが、中国客の場合、いったいこの人たち誰? 何しに来ているの? なんとも場違いな印象を周囲に与えてしまう。そのくせ、自撮りのときだけ、派手なポージングを見せるものだから、引いてしまう。結局、「爆買い」も、いろんな人から頼まれ、たくさん買わなきゃならないという理由はわかるとしても、なぜそこまでするのか。およそ外国人からすれば、理解不能に見えたことでしょう。

もともと外国人とのコミュニケーションに慣れていないところはありそうです。中国は多民族国家ですが、少数民族は「外国人」ではないので、本当の意味での異文化に慣れていないのが実情です。中国メディアも、海外との違いをごまかしがちです。しかし、問題は彼らがそもそも外国を訪ねておきながら、内輪で固まり、その国の人たちとコミュニケーションを取ろうとしている風に見えないところでしょうか。

このままでは、彼らはますます日本社会に誤解を与えてしまいそうです。こういう自らの異質性に気づいて、中国客のふるまいや態度を一般の国並みに変えるよう勧告することこそ、中国メディアに求められるのではないでしょうか。余計なお世話かもしれないけれど、やっぱり心配です。

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感
http://inbound.exblog.jp/26380202/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-19 18:20 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 11月 15日

中国個人客の増加で電車内でのトラブルが増える予感

昨日の午後、丸の内線に乗っていたとき、決して目にはしたくはないと思っていた光景をついに目撃してしまいました。

赤坂見附から中国人のファミリー旅行者が乗ってきたときのことです。

彼らは子供連れの5人組の家族でした。おじいさんと思われる老人もいて、彼は空席を見つけると、なんと無頓着なことに、デイパックを背負ったまま狭い席に無理やり腰掛けようとし、さらには隣に座る若い会社員の男性に寄りかかり、手を伸ばして座席の手すり棒を握り続けるのです。無言のままで。

その後、しばらくして娘が近寄り、デイパックを外させ、おなかに抱えるようにしたのですが、反対側にいた中高年のビジネスマン氏は、そのおじいさんが何度も身体にぶつけてくるので、それはもう不快な表情を浮かべ、このままではいきなり怒鳴り出すのではないかという一触即発的な状況になっていました。

向かいに座っていたぼくは、もう見てみぬふりはできないほど心配していたのですが、幸いなことに、目の前に腕を差し出された若い会社員は涼しい顔をして無視していたので、事なきを得たのでした。

ぼくが何を心配しているかというと、中国の個人客が増えることで、都内の交通機関を利用する機会が増え、日本でのマナーや作法を知らない彼らと日本の乗客の間でトラブルが起こることです。なぜなら、中国の地下鉄に乗ったことのある人はわかると思いますが、基本的に彼らは日本人のように、他人のことを気にしません。もちろん、公序良俗に違反するふるまいは許しませんが、特に老人や子供の粗相については大甘なのが中国社会の特徴です。

一方、日本はいうまでもなく、他人を気にする社会。人と人の許容する距離感も違います。狭い席にわざわざ腰掛けてくるような、ずうずうしいおばさんもたまにはいるけれど、無言で何度も身体をぶつけてくるようなふるまいは普通の日本人にはできません。でも、中国人は一般的にそういう身体接触は気になりません。

さらにいえば、この世代の中国人は、人生の大半を、狭い車両に人を詰め込むだけ詰め込んで走る鉄道の時代を生きてきた人ですから、隣の人に少々肘鉄を食わしても、足を踏んでも、なんとも思わないのです。もちろん、いまの若い都会の中国人はそのようなことはしませんが、こういう老人が普通に社会にいることは承知しているので、大目に見る習慣が身についています。

問題は、そういう違いを大半の日本人は知らないことです。知らないどころか、想像もつかないのは当然なのですが、中国人の側もそれを日本人が不快に感じ、ときに許さないことを知りません。ゆえに、一触即発なところがあるのです。

この種の経験は中国ではよくあるので、そういうとき、ぼくははっきりと「不行(ダメですよ)」と言葉をかけ、手を振りほどかせるようにします。自分が不快であれば、内に溜め込まず、意思表示をすることは中国では欠かせませんし、それを責める人はまずいません。でも、同じことが日本で起きたとき、ぼくは同じように中国人に向かってできるかというと、自信がありません。中国人相手にそれは必要なことだとわかっていても、日本人客が見ている前ですることにためらいを覚えるからです。そこまでしなければならないことが日本人の世界ではまずないからです。

先月、大阪の南海電車で外国の乗客をめぐる以下のような事件が起きていますが、背景には日本人と外国人の間のマナー問題の認識とともに、人と人の身体的な接触の距離感や公共の場での自由に対する許容度の違いもあったのではないかと思われます。違いについていえば、最近はさすがに減りましたが、かつて車内で化粧をする若い女性が多かったことに象徴されるように、ある特定の方面では日本にもすこぶる自由な空間が現出していた時期もあるくらいですから、どちらがどうとは一概にいえませんけれど。

「外国人多くご不便を」とアナウンスした車掌さん 訪日客急増で日本人はストレスをためてる?
http://inbound.exblog.jp/26268458/

これから暮れに近づくにつれて、ぼくは心配が尽きません。昨年、JR山手線で「これはやばいなあ」と思われる光景をすでに目撃していたからです。

クリスマスの山手線で見かけたアジア系ツーリスト、いい話と気になる話
http://inbound.exblog.jp/25211756/

詳しくは、上記の記事を読んでいただくとわかりますが、要するに、中国では地下鉄などの公共交通機関で駅の停車中に乗り降りする際、どんなに混雑していても、扉の近くにいる人がいったん降りて、降車に協力するという習慣が身についていません。そのため、大混雑する状況でも、扉の近くに中国の個人客が立っていると、当然降りて道を空けると思っている日本人客と衝突が起こるというわけです。

なぜ中国ではこうなるかというと、それは社会の特質の問題でしょう。ひとことでいえば、「引いたら負け」という社会なのです。混雑時に乗り降りが円滑になるようにスペースを譲ると、残念なことに、そこに入り込んでくる人が必ずいる社会なのです。

上記記事には、もうひとつのエピソードとして、若いアジア客が日本の老夫婦に席を譲る光景を見た話も書いています。それはとてもすがすがしい情景でした。一般にアジアの人たちは、日本人に比べ、老人に席を譲る習慣が身についています(もちろん、日本の場合、譲られる側の意識の問題があり、どちらがいいとか悪いとかいう話ではありません)。

今後、日本政府観光局(JNTO)をはじめとしたPR機関は、プロモーションだけでなく、日本での公共空間や交通機関のマナー、作法について、中国当局と協力して告知していく必要があるのではないか、と強く思います。そうでないと、個人客が増えたいま、不愉快なことが起こるような予感がしてなりません。

中国客が挙動不審に見えてしまう理由(すでに個人比率54%というけれど)
http://inbound.exblog.jp/26390881/
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by sanyo-kansatu | 2016-11-15 15:26 | “参与観察”日誌 | Comments(2)
2016年 11月 09日

行列を体験として楽しむアジア客たち~池袋「無敵家」に並んでみてわかったこと

都内に外国客で行列のできる飲食店があることを知ったのは、1年以上前のことでした。最初に知ったのは、池袋東口にあるラーメン店「無敵家」です。

外国客で行列のできるラーメン店「無敵家」
http://inbound.exblog.jp/24900048/

この店にはいまでも、いつ行っても行列ができています。先月のとある日、訪ねると、やはり行列ができていましたが、今度は思い切って並んでみることにしました。並ばなければ、この店のラーメンを味わうことができないからです。
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行列に並んでみてわかったことがいくつかありました。

その日は、午前11時頃に店を訪ねたところ、さすがに食事時としては早すぎるせいか、列は少なめでした。ざっと見た感じ、日本の男性客がほとんどだったのです。おそらく彼らの多くは常連客で、お昼が近づくとこの店は行列が長くなり、すぐには食事にありつけないと知っていて、早めにやって来ているのではないかと思いました。

そこで、向かいのジュンク堂で少し時間をつぶすことにしました。わざわざ行列に並ぶことに決めた以上、お昼時まで待とうと思ったからです。

11時50分頃、再び店の前に来ると、先ほどとは行列する人たちの感じが変わっていました。明らかに外国客と思われる人たちばかりになっていたのです。
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若いカップルや女同士、小グループ客などいろいろいましたが、皆さんアジア系の人たちです。
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列に並ぶと、店の横脇に英語、中国語(繁体字)、タイ語で、列を並ぶ際の注意事項などが書かれていました。
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アジアの子たちは相変わらず自撮りが好きですね。
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たまたまぼくの前にいたのが、キャリーケースを引いたおじさんでした。行列客としてはちょっと違和感のあるタイプで、見た感じ中国人だと思ったので中国語で声をかけてみました。

「どちらからいらしたんですか? この店をご存知でしたか?」

すると、中国語がわかる相手がいたことに喜んだ彼は、「北京から来た」と答えました。一般に外国人にどこから来たかと聞いて、北京や上海など誰でも知っているような大都市を挙げるとき、必ずしもそこではなく、その周辺の地方都市の人である確率はけっこう高いです。外国人は自分の住んでいるような地方都市を知るはずもないから、そう答えておけばいいという気になるものだからです。このおじさんも、そんな印象です。

「ひとりで日本に来ているんですか?」
「そうだよ」
「ホテルはどこに泊まっているんですか?」
「池袋に知り合いが住んでいるので、そこにね」

在日中国人の親戚か知人か誰かがいて、そこにごやっかいになっているのか、それとも最近流行の民泊か……。とにかく安く上げたい、安けりゃどんな宿でもかまわないという彼らですから、民泊利用者も相当増えているに違いありません。

あんまり素性を問い続けるのもどうかと思ったので、話を変えました。「この店、どうして知っているんですか? やはり微信(WeChat)で知ったの?」

すると彼は「行列ができているのを見たからね。こういう店はうまいに違いないと思ったんだ」というのです。どうやらSNS情報で知ったのではなさそうです。少し意外だったのは、かつて中国の人たちは、日本人のように行列までして食事をすることはなかったからです。

確かに最近では中国の人気レストランでは、行列まではしなくても、店の1階が待ち合いスペースになっていて、お茶やソフトドリンク、お菓子などを提供して、客を待たせているような店も増えています。「うまい店=行列ができる」という理解が一般化してきているのでしょう。
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無敵家では、店を早く回転させるために、行列客にメニューを渡して入店前に注文を取っています。そこで、ぼくは彼のために中国語のメニューを取り寄せてあげました。彼が何を注文するのか気になったからです。彼が選んだのは「のうこく麺(780円)」でした。ぼくも同じものを頼むことにしました。
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そうこうするうちに、入店が近づいてきました。並んでから20分以上たっていました。入り口近くには、外国語併記で列を並んでもらうことへの店側のお詫びやトリップアドバイザーのグルメ豊島区ランキングで同店が堂々1位(2015年)になった受賞証が貼られています。
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そして、入店。カウンター17席と広くはありません。空いてる席がそこしかなかったので、中国のおじさんと隣り合って座ることになりました。

カウンターの前には、英中韓タイ4ヵ国語のメニューが用意されているプレートが置かれていました。
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しばらくすると、のうこく麺が出てきました。海苔に白地で英語と中国語で「welcome」と書かれていました。
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濃厚なスープだったので、ためしにおじさんに「ビールでも飲む?」と聞いてみたところ、彼は「俺はいらない。でもあんたがほしいなら、おごるよ」と言ってくれました。入店前にいろいろ世話を焼いたせいか、感謝したかったからのようです。こういうときは、それを受け入れるのが、彼の面子を立てることになるので、ぼくは店員にビールを頼み、グラスを2つ用意してもらいました。もちろん、払いは彼です。おごってもらいました。

「どう、おいしい?」と彼に聞くと、「还可以(悪くない)」と答えます。それにしても、こののうこく麺、まるでポタージュスープのような舌触りでした。日本のラーメンは実際、多種多彩なので、食べ歩きラーメン通が多いのもわかる気がします。

外国客に行列のできる店には、それなりのサービス体制が出来上がっていることがよくわかりました。多言語化されたメニューもそうですが、行列によってご近所に迷惑がかからないようにするための告知もそうですし、店員がメニューで注文を取りにくるときに、チェックしているに違いありません。一方、外国客の皆さんも、自撮りもそうですが、行列を体験として楽しんでいる印象です。それは、彼らがすでにSNSなどを通じて、この店は行列するものだとあらかじめ知っているからで、それも含めて「無敵家行ってきたぞ」とSNSで自分の追体験を報告できることもひとつの楽しみだからです。

それにしても、このキャリーケースおじさん、本当に行列を見てこの店に来たのか? 

支払いをすませ、ちゃんとビール代を払ってくれた後、彼は池袋駅方面にとぼとぼ歩いていきました。いったい彼はこの後、どこに行くのでしょう?
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by sanyo-kansatu | 2016-11-09 09:00 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 11月 08日

韓国の若者は日本食が好きらしい。「牛かつ もと村 渋谷店」の行列に並んでみた

先週の水曜の午後、友人の案内で渋谷の牛かつ店に行きました。なんでも外国人観光客の行列ができていることで有名なんだそうです。

午後1時、JR渋谷駅東口から明治通りに沿って恵比寿方面に向かってすぐを右手に曲がると、30人近い行列ができていました。ざっと見た感じ、確かに外国客が多いようでした。

そこは「牛かつ もと村」という店です。
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牛かつ もと村渋谷店(食べログ)
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13153853/
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牛かつというのは、豚カツ同様に牛肉を衣に包んで揚げた料理で、ぼくはよく知らなかったのですが、ネットをみると、ここ以外にもいろいろあるんですね。
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この店はわずか9席しかないので、結局、1時間半も並んでしまいました。これは誰かと一緒でないときついですね。その日は休日だったので、日本人も多かったけど、店員さんに聞くと、ふだんは半分以上が外国人だそうです。特に多いのが韓国人だとか。その日の列には東南アジア系の人たちもいました。
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たまたまぼくの列の後ろに韓国人の若いカップルがいたので、「どうしてこの店知ってるの?」と聞くと、韓国の旅行サイトで評判なんだそうです。彼女がスマホで実際にみせてくれたのが、以下のサイトです。
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naver
http://section.blog.naver.com/

ソウル在住のフォトライターの堀田奈穂 さんによると「naverは韓国で最も多く利用されているまとめサイトです。naver blogについては、IDを持っているとさらに詳しく見たり、コメントのやりとりが出来たり」するそうです。

韓国からもブロガーたちが日本を訪れ、情報発信しているんですね。

別の韓国在住の日本人は言います。「日本旅行を専門にするブロガーもいますが、最近ではテレビ番組で海外のグルメ旅行が流行っています。海外グルメ旅行が主なコンテンツとするこんなサイトもあります」。

牛かつ もと村渋谷店を紹介するページ 
http://choys0723.blog.me/220802039236

外観から店内、料理まで細かに写真がアップされています。特にこの店の特徴であるレアなカツの断面を見せたり、石板でレア面を焼いているカットなど、ここで体験できるほぼすべてのことが写真で公開されています。これを見ると、自分も行ってみたい、やってみたいという気になるのではないでしょうか。いったん揚げたカツを自分の好みに合わせてさらに焼くというひと手間が、他の店では体験できないことかもしれません。
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それにしても、韓国の人はそんなに日本料理が好きだったのでしょうか? 中華圏にはよく行くわりには韓国にはトランジットを除くと20年近く足を運んでいないため、そのへんがぼくにはよくわかりません。

前述の堀田さんは言います。「韓国では日本食は単なるブームというよりは、定着に近い気がしますね。うどん、ラーメン、ハンバーグ、焼き鳥、いろいろあります。日本のビールもコンビニで手軽に買えます。ブログ全般について言えることは、お金をもらって書くパワーブロガーが書いたものとは違う、完全に個人の経験によるブログを見て、飲食店や旅行先の情報収集を得るのが最近の主流のようです」。

なるほど。韓国では日本食は定着しているのですね。台湾人の鄭世彬さんも言っていましたが、宣伝臭の漂うプロのブロガーではなく、一般の個人客の体験を載せたブログのほうが韓国でも好感度が高いようです。それだけ韓国でも日本への個人旅行化が進んでいるのでしょう。

韓国における日本食の定着ぶりについては、コリアン・フード・コラムニストの八田靖史さんが今春上梓した『食の日韓論』(三五館)に詳しく書かれています。いま韓国では、日本の外食チェーンが驚くほど出店しているようです。

八田靖史さん「韓食生活」
http://www.kansyoku-life.com/

また同書によると、韓国では昔から豚カツも人気なんだそうです。

しかし、素朴な疑問があります。日本を団体旅行する韓国人を乗せたバスの運転手さんに聞くと、韓国の人はトウガラシを持参して日本に来るといいます。日本の料理は刺激がないからだそうです。ぼく自身は、韓国料理はトウガラシが多く使われるところがよくもあり、また苦手でもあるという感じ。韓国で日本食が定着したという理由がいまひとつよくわからないのです。トウガラシがなくても彼らはおいしいと感じているのでしょうか。それとも世代の差もあり、若い人ほどそうなのでしょうか。

堀田さんはこう答えてくれました。「ご存じとは思いますが、トウガラシを朝鮮半島に広めたのは日本であり、元々辛い物ばかり食べていたわけでは決してないんですよね。とんかつ、おでん、うどんなどは日本の統治時代からの流れでしょう。近年では、諸外国の食べ物が東京のようにソウルや都心部で食べられるようになり、留学や渡航経験のある若者の影響などもあってか、本当にいろいろなものを食べていますよ。テレビ番組やインターネットの情報も大きいでしょう。

いまやデパ地下も東京のデパ地下と遜色ないですね。私の見解ですが、韓国人の大好きなチャジャン麺は辛くないですし、そのあたりは日本人と同様で、辛い物は辛い物として食べるし、辛くないものはそのまま食べる、という感じだと思います。トウガラシを持って海外へ行くのも全員ではないでしょうし、他国の食文化を楽しむ傾向にあると思います。日本人も昔は今よりも醤油を持って渡航した人は多いのではないでしょうか」(以下、「 」は堀田さん)。

なるほど。確かに、我々は外国人だから韓国料理=トウガラシというイメージを持っているけれど、韓国でも日本同様、食の多様化が進み、「辛い物は辛い物として食べるし、辛くないものはそのまま食べる」ということなんですね。

「昔は外国の情報もほとんどなかったですし、どんな料理かも、食べ方も何も知らなかっただけでしょう。日本人も何でも醤油をかけるわけではないですしね。逆に、あらゆるものにタバスコをかけるという日本人をFBで見かけました。そうなると、単に個人の趣向になるのでしょうかね?(笑) タイでも辛い物が苦手な若い世代もいると数年前から言われていますよね。沖縄でも泡盛離れがあると聞きます」

確かに、中国でも上海などの経済先進都市では、日本食のチェーンがたくさんあります。ラーメンも一風堂、丸亀製麺、ココイチもサイゼリアもあります。やはり若い世代を中心にアジアの都市では食の多様化が進んでいるといってよさそうですね。

あともうひとつ思ったのは、外国客で行列のできる「牛かつもと村」や「一蘭ラーメン」の共通点として、一品しかメニューがないことです。肉の量やトッピングだけしか選択肢がない専門店。韓国の事情はよくわからないのですが、中国やタイでは一般にこの種の店は流行りません。いろいろ食べられることが大事で、味せんラーメンでもココイチでも、冷奴や焼きとり、ししゃもまでメニューにあります。レストランには家族や友人などで行くことが多く、カレーを食べたい人もいればパスタを食べたい人もいるというわけで、専門店は避けられてしまうのです。でも、韓国は日本と同じで専門店があるようですね。

「韓国は昔と違って個食が広がっています。昔、日本のチェーン店(吉野家など)が失敗したのは、個食文化がほぼないことを軽視した点もあったでしょう。今は核家族化も進み、時代が変わりました。今は諸外国を受け入れる(特に美味しいものは)段階に入っています。あっという間に日本と同じようなレベルになったのは、この国の持つ何に対してでも速いスピードからだと思います」。

個食文化はまさに上海でもそうです。若いOLがひとりで外食チェーンで食事をするという光景は普通に見られるようになり、日本と同じ定食メニューの店も増えています。

堀田さん、ありがとうございました。あなたとのチャットで、個食も含めたアジアの食の多様化が見えてきました。外国客、特にアジア客で行列のできる店の背景には、当然のこととしてSNSの存在があるとともに、各国都市での食の多様化があるといえそうです。

きっと彼らは自分の国にはまだ出店していない外食チェーンや日本食の流行を見つけて面白がっているのに違いありません。そういや、すでにソウルには牛かつ店はあるそうです。韓国は、台湾同様、日本食の浸透が進んでいるのですね。
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by sanyo-kansatu | 2016-11-08 10:56 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 10月 12日

これ、嫌なニュースだな。ゲストハウスでバイトした旅行者を逮捕

これも、最近ちょっと増えてきたインバウンドがらみの報道のひとつ。嫌なニュースですね。

宿泊料代わりに働いた疑い 外国人観光客2人逮捕 札幌(朝日新聞2016年10月11日)
http://www.asahi.com/articles/ASJBC5W6YJBCIIPE02G.html

札幌市内のホステル(宿泊施設)で働く代わりに無料で宿泊したとして、北海道警は11日、観光客のマレーシア人の女(30)と中国人の女(19)を出入国管理法違反(資格外活動)の疑いで現行犯逮捕した。また、女2人に不法就労させたとして、道警は、ホステルの運営会社「万両」(東京都台東区)の社長の男(45)やホステル責任者の女(34)ら3人を同法違反(不法就労助長)の疑いで逮捕する方針。

道警によると、2人は11日午前、同市中央区の「カオサン札幌ファミリーホステル」で宿泊料2千円をそれぞれ免除される代わりに、無資格で館内の清掃やベッドメイキングなどをした疑いがある。2人は容疑を認め、「観光ビザで働けないと分かっていたが、現金をもらっておらず大丈夫だと思った」などと供述しているという。

同社は主に外国人向けのホステルやゲストハウスを東京や大阪など6都道府県で計13店展開。ホームページに「就労資格がなくても清掃などに従事すれば無料で宿泊できる」との内容を英語で掲載しており、道警は組織的な犯行とみている。

札幌市によると、昨年度に市内で宿泊した外国人は191万8千人で、過去最多を記録。中国、台湾、韓国などアジアの客が多くを占める。北海道労働局によると、今年8月のホテル従業員らの有効求人倍率は2・63倍と全体の1・07倍を大きく上回り、人手不足の状態となっている。


この報道をネットで知って、最初に思ったのは、誰がふたりをチクったのだろうか、ということです。

すごく不愉快な感じがします。だって、これを不法就労などと言い出せば(まあ実際はそうなのかもしれませんけれど)、もっと悪質な不法就労をこれだけほっておいて、弱いものいじめはやめろよ、と言いたくなります。

例の免税店から中国人観光客の買い物の売上に応じてもらったマージンを所得申告しなかった不法ガイド(最近は国税局も調べ始めているようで、年間数千万円という人もいます)なんて、もう数え切れないほどいるのに、そちらは「実態を把握できていない」と頬かむりをしておいて、わずか1日2000円のドミトリー代金(1部屋にベッドがいくつも並んでいる部屋の料金)のことで不法就労とは……。

金額の問題ではないと言う人もいるでしょうが、このふたりが2000円を現金で支給されていたわけでもなければ、そもそもお金に困っていたとは思えません。彼らはかつて1990年代にいた不法就労者とは違い、いわばレジャー消費者なのです。いまどき不法就労する外国人は、ゲストハウスになんかいません。なんと時代の変化に鈍感すぎることか。やはり法の使い方が間違っている、いや下手すぎるのではないでしょうか。

マレーシア人は2013年7月以降、3ヵ月以内の滞在に限り、観光ビザが免除されています。また中国人には、2010年以降、個人観光ビザが発給されるようになり、昨年1月よりビザの種類によって15日から90日間の滞在が認められています。

マレーシア国民に対するビザ免除(外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_000362.html
中国団体観光・個人観光ビザ (外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/topics/china.html

詳しい事情は知らないのでこれ以上本当は何も言えないのですが、今回いきなり逮捕の前に、いくつかの段階をふんで執行に至ったのかもしれません。執行に至る前に不法就労に当たることを口頭で知らせ、やめさせればすむことだったのに、そうならなかった理由があるのでは(そう信じたいです)。その理由いかんかとは思いますが(たとえばの話ですが、このゲストハウス経営者が警察に対してやたらと反抗的な態度を取り続けたとか。で、くだらない警察の面子が適正な判断より優先された? ちょっとテレビドラマの観すぎかな)、もしそうでないのなら、ここまでやる必要はなかったでしょう。それとも、やっぱりこのゲストハウスの存在を快く思わない誰かが密告した?

昔、友人の作家、岡崎大五さんがトルコのイスタンブールの絨毯屋兼ゲストハウスで、住み込みアルバイトをしていたことを思い出します。もちろん、彼は就労ビザなど持っていたはずがありません(こんなところで話を持ち出してすいませんねえ)。

1980年代の「第三世界(当時、アジアやアフリカ、中南米のことはそう呼ばれていました)」ことで、今日の世界情勢とはまったく違うのんきな話をしても仕方がないかもしれませんが、いつの時代も、ゲストハウスで繰り広げられるような浮世離れした世界があっていいとぼくは思います。彼らは旅空の下にいるのです。一生そんなことをするつもりもないのです。もちろん、若い人はときに羽目をはずすこともあるでしょう。でも、そんなことは、程度問題で、若い頃に同じような経験をしたはずの大人がどこかで判断を示せばいいはずです。いまの大人はそういう意味での判断力が低下している気がします。

同記事では、まるでエクスキューズのように、札幌のホテル業界の人材不足について触れていますが、どこまでこの件に関係があるのでしょうか。言外に、今回の逮捕はやりすぎと言いたいのでしょうか。

この問題を「今日の日本社会の寛容さの欠如」などといった一般論でどうこう言いたくはありませんが、ゲストハウスのような世界がいまの社会でどう受けとめられているのか、そして、どういう事情でこんなことが起きたのか知りたく思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-12 08:53 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 10月 04日

2016年の国慶節の日、銀座ホコテンは多国籍ツーリストが記念撮影に興じていた

10月1日は中国の建国記念日(国慶節)に当たります。この時期は、中国のゴールデンウィークに相当し、海外に限らず多くの中国人が旅行に出かけます。昨年までは、圧倒的に中国客の存在感が目立っていたのですが、正午過ぎ、銀座を訪ねてみたところ、実にさまざまな国籍のツーリストの姿を見かけました。“中国人だらけ”という感じでもなかったのです。

土曜日だったので、銀座中央通りは正午から歩行者天国になります。銀座4丁目の和光のはす向かいには、9月24日にオープンしたばかりの新しいランドマーク、銀座プレイスが見えます。
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ここから中央通りのホコテンを銀座8丁目の交差点まで歩いてみました。以下、その後の10分間くらい歩いて見かけた人たちのスナップです。
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銀座プレイスの1F には、日産のショールームがあり、にぎわっています。

銀座プレイス http://ginzaplace.jp/

そこらかしこでポーズを取って記念撮影に興じる人たちがいます。
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これは最近銀座にできたオウルカフェ(フクロウがいるカフェ)の客引きの子でした。ぼくも原宿の店に行ったことがありますが、外国人にウケるんだそうです。
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ファミリー旅行者も多いです。
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この双子は韓国人でした。
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銀座7丁目のラオックスです。ホコテンのせいで店の前までバスが停車できないためだけではもうないのでしょう。多くの中国客は、この店がどんなしくみで成り立っているか、よく知っています。できるだけ、避けたいとの思いが働くのでしょう。店内は閑散としています。
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カップルの自撮りはともかく、地べたに座り込んでの女優気取りのポーズなど、中華圏の人たちはまったくこういうのが好きですね。
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7丁目あたりから、中国やアジア系だけでなく、欧米系、それもどちらかといえば、ロシアや東欧方面から来たと思われる人たちの姿を見かけました。まだ日本に少ない彼らは、団体で旅行に来ることが多いので、集中的に目撃してしまうのかもしれません。
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この日、銀座のホコテンは圧倒的に外国客の姿が目につき、日本の人たちは歩道をそそくさと足早に歩いていくという感じでした。まあここは、日本を代表するおのぼりさんの天国です。言ってみれば、パリのシャンゼリゼ、ウィーンのシュテファン大聖堂に向かって広がるノイヤーマルクト広場(かなり言いすぎ!?)みたいな場所ではあるのです。おそらくイースターの頃は銀座ももっと多くの外国客が見られることでしょうが、国慶節ではこんなものかもしれません。
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by sanyo-kansatu | 2016-10-04 10:46 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 07月 05日

ついに報道された中国系「民泊」の実態~でも、正式解禁がアダとなりそうな気配も……

このところ、日経の古山和弘記者が「民泊」をめぐる実態を精力的に報道しています。今朝のネット記事では、ついに中国系「民泊」の実態が明かされました。

本ブログでも、この動きを身近な知り合いを通じて観察していました。中国ではすでにさまざまな「民泊」サイトが存在し、日本に中国客を送り込んでいることがうかがわれていました。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

この記事を読むと、東京や大阪の一部エリアでは「民泊」が一気に拡がっていることがわかります。以下、転載します。

「ヤミ民泊」中国系が荒稼ぎ 新宿・心斎橋を侵食
インバウンド裏街道を行く (日本経済新聞20160704)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03920240S6A620C1000000/?n_cid=MELMG002

一般住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」。訪日外国人(インバウンド)の急増でホテルが足りず、政府は民泊を解禁する方針だが、すでにフライング気味の「ヤミ民泊」は全国で急増している。最近目立ってきたのは中国人や台湾人などのアジア勢だ。泊まる側ではない。貸す側として、もうかる「民泊ビジネス」に押し寄せているのだ。その過熱ぶりにバブルを懸念する声も上がり始めた。

■新築マンションに観光客ゾロゾロ

「またや、まちごうて入ってきたで」。大阪市中央区の町工場「東洋タイマー製作所」の社長、北村久雄は事務所のドアを開けて入ってこようとする外国人の姿を見て声を上げた。工場のすぐ隣に新しい賃貸マンションができたのは昨年の秋だ。同時に近所でスーツケースをゴロゴロと引っ張りながら歩く外国人旅行者が増え始めた。いまでは毎週、1~2組の旅行者が間違えて事務所に入ってくるようになったという。

「大阪の台所」とされる「黒門市場」は事務所の目と鼻の先だ。外国人に人気の観光スポットは格好の民泊エリアでもある。民泊の仲介サイトで示されたマンションの場所をみてみると、確かに事務所と同じ場所に誤表示されていた。「マンションで民泊をしとるからや」。北村はため息をつくと、けげんな顔でドアの前に立っている来訪者に説明を始めた。

このマンションは全室が賃貸であるため、入居者が観光客を有料で泊めているとしたら「転貸」に当たる。賃貸契約上問題はないのか。管理会社に取材すると、「実際、マンションで民泊が行われていた」と認めた。どういう風に部屋を利用しているのか、入居者に確認を取っているという。

いま、世界で最も注目されている民泊エリアが大阪市中央区だ。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーは「2016年に訪れるべき16の地域」の第1位に大阪市中央区を選び、世界中のゲスト(宿泊者)に滞在を薦めている。心斎橋や道頓堀といった、「ディープ大阪」を体感できる人気スポットが多いためか、現地はものすごい数の外国人観光客であふれかえっていた。道行く外国人に声をかけたら2人目で民泊の利用者が見つかった。

「オーサカの民泊は快適だったよ」。6月16日、台湾から彼女と来日した大学院生の林(25)は心斎橋のアーケード街にあるロブスターロール専門店の前で取材に応じた。1週間の日本滞在のうち、大阪市内のマンションに民泊で3泊した。エアビーアンドビーのサイトで予約。ワンルームの部屋は狭かったが、宿泊料は2人で1泊6000円。京都や神戸で泊まったホテルに比べると3分の1の安さだ。「学生だから安いほうが助かる」

■中国版エアビーアンドビー

年間2000万人規模の外国人が日本を訪れるようになり、東京や大阪などの都市部ではホテル不足が深刻だ。稼働率の上昇による宿泊料の値上がりも懸念されている。こうした事態を打開しようと浮上したのが民泊の活用だ。ただし、現在の法律のもとでは民泊は旅館業法に基づいた許可を受ける必要がある。民泊の仲介サイトに登録されている物件の多くは、許可を受けていない「ヤミ民泊」とされている。ただ仲介サイトの登録物件には許可を得ずに自宅やマンションを登録しているケースが目立つ。

民泊の仲介サイトは米エアビーアンドビーが有名だが、同じようなサイトは中国企業も運営している。そのひとつが「自在客(じざいけ)」だ。日本版サイトには1万4000室を超える物件が載っている。日本人だけでなく、外国人も登録しているようだ。その多くが中国人という。ほかにもいくつかの中国系サイトが日本に展開している。実際にどのような人物が登録しているのだろうか。あるサイトに掲載されている物件の住所をたよりに現地を訪ねてみた。

物件の住所が示していたのは東京都新宿区。JR山手線の駅から歩いて10分ほどのところにあるマンションだ。築40年という建物は、にぎやかな駅前とはうって変わって静かな場所にあった。目的の部屋にたどり着いてインターホンを鳴らすと若い日本人男性が出てきた。驚いた様子の男性に事情を話すと、この部屋で民泊をやっているのは同居している中国人男性で、「彼はいま、大学で授業を受けている」と教えてくれた。

連絡先を残して帰ったところ後日、男性(25)が電話をかけてきてくれ、会って話をきくことができた。男性は都内の大学に在籍する留学生だ。日本人2人と2LDKのマンションにシェアハウスで住んでおり、1部屋を民泊に使っている。物件は自在客とエアビーアンドビーに掲載している。新宿という場所柄、中国からの旅行者が利用するという。「多い月で25日くらい埋まり、家賃を差し引いて5万円程度の利益が出る」と話す。

■「双方が得ならいいじゃないか」

部屋は賃貸物件だという。賃貸で借りた部屋を民泊として貸している。「部屋のオーナーからOKもらっている」と説明するが、法的な問題について聞くと、「日本人は繊細だね。貸し手と借り手の双方にメリットがあるからいいのではないか」という答えが返ってきた。

いくつかの民泊仲介サイトをみると、賃貸物件を使っているケースが多くみられる。それらは部屋の大家であるオーナーから了解を得てから使っている場合もあるが、不動産会社と契約を交わす際に第三者に貸し出す契約を結んでいるとは限らない。なかには不動産会社にも大家にも無断で民泊として使っている物件も少なくない。そのため、「もし見つかったらすぐに退去させられる」(都内の不動産会社)というリスクを伴っている。

日本の大手企業で働く都内の台湾人男性(36)が副業として手がける民泊ビジネスも賃貸物件だ。昨年に東京の赤坂と新宿で民泊用にマンションを賃貸で借りた。めざましい稼働率をみせているのが新宿の物件で、家賃が月13万5000円のマンションは広さが2LDK。これを1人あたり1泊3000~4000円で貸している。外国人が多いエリアのため、多いときには月の9割ほどは埋まっている。5~7万円が利益として入ってくる計算だ。男性は「“利回り”は30%以上だ」と胸を張る。

オーナーから民泊で使うことの了解は得ているというが、「法律上はグレーということは知っている。でも、法律に合わせるとビジネスが成立しない」と男性は言う。今月には京都市内に4件の物件を見つけた。

なぜ京都かと聞くと、「もう東京は価格競争になっているし、バブルでしょう。京都はそこまでじゃない」と話した。その後も物件をもっと増やしたいと男性は語った。「日本はアジアの中でもマネーが集まりやすいし、東京オリンピックなど投資の条件がそろっている。民泊ビジネスやるなら、今がチャンスだ」

■分譲マンションにも波及

はたして賃貸物件を民泊として使うことは可能なのか。大阪市の心斎橋駅に近い不動産会社の担当者によると、「普通はNGですよ」と即答した。民泊と知っていて貸す不動産会社はほとんどないという。「客の話を聞いて怪しい場合に『民泊ですか』と聞くと、ズバリだったりする」。それでも不動産業界で今、引く手あまたなのが「民泊可能物件」だという。

「民泊可能物件を紹介してほしい」。大阪市内の不動産会社には同業他社からこうした問い合わせの電話が時々、かかってくる。電話の主は「賃料20万円でも30万円の物件でも借りたい。外国人旅行者の多い難波や梅田で民泊物件を出したら明日にでも契約が取れる」と持ちかけてくるという。それだけ民泊をやりたい人が多いということだ。仲介する不動産会社にとっては家賃が入ってきさえすれば、賃貸収入なのか民泊収入なのかは問わないようだ。

「民泊目的で分譲マンションを購入する外国人は増えていると思う」。大阪市内で不動産の仲介や販売を手がけるユーシン(大阪市)の高橋宏知は昨年に扱ったある物件のことをよく覚えている。それは築30年の1LDKだった。リフォームして1600万円でフィリピン人女性に販売した。その後、エアビーアンドビーにその物件が載っていると知らされ、サイトを見て驚いた。「最初から民泊目的で買うたんや」

日本の不動産を「爆買い」する外国人投資家。その勢いは衰えていない。不動産投資の多くは購入したマンションや一軒家を貸し出して賃貸収入を得ている。ところが、いま彼らの狙いは「民泊」に移っている。「チンタイよりもうかる」。そう信じているのだ。

「ここは駅から近くていいですよ」。中国人との取引がほとんどという都内の不動産会社社長は5月、上海から来た投資家の男性をJR山手線の駅に近い中古のワンルームマンションに案内した。最寄りの駅から徒歩10分という立地を気に入った投資家は築15年の物件を1800万円で購入した。「民泊でやりたい」と話していたという。

「10%は欲しい」。民泊を考えている中国人投資家が求めてくる利回りだ。年間の賃貸収入を購入価格で割った数字のことで、物件がどのくらいもうかるかを示している。都内では中古の場合「賃貸だと5~8%」(不動産会社社長)とみられ、10%の水準が高い要求ということがわかる。

■ホテル・旅館から規制の声

都市部ではバブルの声が上がり始めている民泊ビジネス。政府は民泊を全面的に解禁する方針で、これが追い風になると思いきや、民泊への熱気が一気にしぼみかねない「制限」が検討されている。観光庁と厚生労働省が設置した「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は6月20日に最終報告書をまとめた。そこでは年間の提供日数に180日の上限が設けられている。これは単純に年間の稼働率が50%に制限されることを意味しており、民泊サービスの事業者からは「これでは利益が出ない」と悲鳴の声が出始めている。

一方、ホテルや旅館などの業界団体はさらに厳しい「年間30日」の制限を設けるべきだと主張している。既存の宿泊施設にとっては、お客を奪い合う存在と映っている民泊ビジネス。だが、ホテルや旅館などの宿泊施設を予約する旅行サイトの世界では、もはや両社を区別するのが難しくなっている実態があった。

たとえば、大手サイトの「エクスペディア」。宿泊施設を選ぶジャンルにホテルや旅館と一緒に「アパートメント」という項目がある。これをクリックすると、「○○アパート」「△△マンション」などの物件がずらりと並ぶ。写真ではマンションの外観や部屋がみられ、多くの物件の紹介ページで「この施設にはフロントデスクがありません」と表記してある。まさに民泊そのものといえる。

民泊の運営代行サービスを手がけるオックスコンサルティング(東京・品川)社長の原康雄は「利用者にとっては泊まる場所がホテルなのか、民泊なのかはあまり意味がない。旅行サイトに民泊の物件が出ていたり、民泊の仲介サイトに旅館が出ていたりする」と説明する。ホテル側にとっても民泊サイトに載せることで、稼働率を上げられるメリットがあるという。もちろん民泊にとっても同じだ。

中国の仲介サイト「自在客」に掲載している京都市内の老舗旅館は「『楽天』や『じゃらん』と同じつもりで載せている。旅行者を紹介してくれるサイトなので違和感はない」(旅館の経営者)と話す。旅館組合から抗議されたこともないという。

政府は2020年に訪日旅行者数を4000万人に引き上げる計画で、さらに6000万人超えも視野に入れる。東京オリンピックに向けて過熱しつつある民泊サービス。アジア勢の投資熱が入り交じり、ホテルや旅館、民泊事業者らの様々な思惑にも翻弄されている。=敬称略(古山和弘)

この記事のポイントはいくつかあります。まず利用者側の事情。「いま、世界で最も注目されている民泊エリアが大阪市中央区だ。民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーは「2016年に訪れるべき16の地域」の第1位に大阪市中央区を選び、世界中のゲスト(宿泊者)に滞在を薦めている」。実際の利用者に聞くと「ワンルームの部屋は狭かったが、宿泊料は2人で1泊6000円。京都や神戸で泊まったホテルに比べると3分の1の安さだ。「学生だから安いほうが助かる」」というわけです。

若い世代の旅行者にとっては当然そうでしょう。リーズナブルな価格帯の宿泊施設として、ゲストハウスなどのホステル系宿も増えていますが、多くの旅行者との共同部屋では落ち着かないという人もいそうです。カップルの場合は、特にそうでしょう。

一方、供給する側の動きとして「民泊目的で分譲マンションを購入する外国人は増えている」こと。結局、在日外国人は自国から来た旅行者の受け入れが当て込めるぶん、ビジネスになるのでしょう。

だから、外国人投資家が民泊用のマンションを次々と購入する動きが起きているのです。

「日本の不動産を「爆買い」する外国人投資家。その勢いは衰えていない。不動産投資の多くは購入したマンションや一軒家を貸し出して賃貸収入を得ている。ところが、いま彼らの狙いは「民泊」に移っている。「チンタイよりもうかる」。そう信じているのだ」。

もっとも、皮肉なことに、政府が正式に「民泊」を解禁したとたん、野放図なまま増殖してきた「民泊」ビジネスが一気にしぼむ可能性があるというのです。

「都市部ではバブルの声が上がり始めている民泊ビジネス。政府は民泊を全面的に解禁する方針で、これが追い風になると思いきや、民泊への熱気が一気にしぼみかねない「制限」が検討されている。観光庁と厚生労働省が設置した「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」は6月20日に最終報告書をまとめた。そこでは年間の提供日数に180日の上限が設けられている。これは単純に年間の稼働率が50%に制限されることを意味しており、民泊サービスの事業者からは「これでは利益が出ない」と悲鳴の声が出始めている」。

なんだか笑ってしまいますね。この記事には、周辺住民の声などについては一部しか触れていませんが、今後はこのあたりの問題もクローズアップされていくことでしょう。
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by sanyo-kansatu | 2016-07-05 10:29 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 06月 23日

東新宿、半径500m圏内で出合うインバウンドな光景

ぼくの仕事場は東新宿の明治通りの東側にある比較的閑静な住宅街にあります。でも、周辺は外国人だらけです。

仕事の行き帰りもそうですが、たまにお昼のランチどきに気分転換を兼ねて近所を散策することがあります。そこらかしこでインバウンドな光景に出合います。
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たとえば、昨日は丸の内線の新宿御苑前を降りて、新宿1丁目あたりを歩いていたら、台湾人か中国人と思われる女の子4人組が一軒のラーメン屋の前で写真を撮っています。

「麺や 庄の gotsubo」という店でした。

麺や 庄の gotsubo
http://menya-shono.com/gotsubo/

彼女たちはどうしてこの店を知っているのだろう。丸の内線から少し離れた靖国通りに近い場所にあり、スマホのGPSでたどりついたのかもしれないけれど、仕事場に戻ってトリップアドバイザーをみると、新宿区のレストランで 8,076 軒中 1,751 位という、評価の微妙なラーメン店でした。看板メニューは夜のみ提供の「ベジつけめん(990円)」。オリジナルラーメンの店として知られているそうです。

結局、昨日の仕事明けに行ってしまいました。なぜかベジつけめんが気になってしまったのです。
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店内は席数も少なく、おしゃれな内装でしたが、主人は少々強面のおっさんです。でも、ベジつけめんはパスタ風で女性好みの盛り付けでした。つけ汁はえびとトマト風味(もうひとつは鶏と生姜風味で選べる)でかなり濃厚。この種の凝ったラーメンに着目するあたり、昼間の彼女たちは台湾の人たちではないかと思いました。

先週は事務所の友人と一杯やり、彼がどうしてもラーメンを食べたいというので、歌舞伎町の中の博多天神に行きました。ここはとんこつラーメンが500円とお手ごろ価格です。
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8時過ぎたばかりでしたが、ざっと見たところ、店内に日本人はぼくらふたりだけのようでした。さすがは歌舞伎町。アジア系の人たちばかりですが、彼らはとんこつスープが好きなんですね。
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テーブル席に小さな子連れのカップルがいて、なにげに声をかけると、上海人でした。個人ビザで来たようです。
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店内には「中国人爆買いツアー客も殺到!」などと、事情を知ってか知らずかテキトーなこと(だってツアー客はこの手の店には来ないから)を書いたサンデー毎日の記事のコピーがありました。

東新宿になぜこんなに外国客が多いかというと、彼らのニーズに合ったホテルが多く集中しているからです。先日も仕事を終えて、新大久保方面に向かって歩いていると、歌舞伎町の一角でホテルが新しい棟を増築していました。
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2013年12月に開業した新宿グランベルホテルです。歌舞伎町のラブホテル街というディープな環境のなか、ひときわ目につく17階建て、客室総数380室というホテルですが、客室の個性的なデザインとリーズナブルな価格で外国客の人気を呼んでいます。みると、開業1年半で増築が決まったようです。
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歌舞伎町に人知れず外客率8割というデザインホテルがある
http://inbound.exblog.jp/24676453/

このホテルは、あまり一般的な知名度はないかもしれませんが、エクスペディアで予約される全国のホテルの予約件数で第4位というから驚きです。

エクスペディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿を選ぶ
http://inbound.exblog.jp/25331847/
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そのまま歌舞伎町を抜け、職安通りを渡り、新大久保駅に向かって歩くと、韓流ブームの凋落で人ごみが減っていた大久保通りににぎわいが少し戻っていました。
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新宿区議会選に出馬した「歌舞伎町の案内人」こと、李小牧さんの選挙ポスターがいまでも貼ってあるのが新大久保らしいです。
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山手線ガード下も多国籍の風景です。この界隈の住人も多いのでしょうが、アジア系のツーリストが増えていると思われます。
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最後にいつも立ち寄るのが、新大久保駅に近い山手線内側にあるイスラム横丁。ハラルな食材屋が並ぶ一角でPC関連グッズを売っていました。

さらにいえば、半径500m圏内では、こんなことも起きています。

中国メディアが名指しした新宿のブラック免税店を見に行ってみた
http://inbound.exblog.jp/25890462/

まったく見ていて飽きません。

【追記】
今朝ほど自宅でこの記事をアップして、仕事場に向かうと、去年の11月にできたゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」のカフェで小さな洋服の展示会をやっていました。
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話を聞くと、この春デビューしたばかりの二人のデザイナーのブランドだそうです。

RUCA TOKYO/ルカトウキョウ
www.rucatokyo.com

IMANO TOKYO HOSTEL
http://imano-tokyo.jp/ja/

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人
http://inbound.exblog.jp/25142528/

このゲストハウスには、若い欧米の女性客も多いので、企画してみたのかもしれません。もちろん、アジア客もいます。彼女らは台湾や香港、韓国などの子たちなので、日本のファッションに関心はあるでしょう。

アジア色に染まって見える東新宿ですが、こんなことも起きています。
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by sanyo-kansatu | 2016-06-23 08:22 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)