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2016年 05月 26日

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)

昨年11月に浅草で外国人向けの着物変身スタジオを始めた夢乃屋では、サムライ体験ツアーもやっています。

JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋
http://www.tokyo-samurai.com/

浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25840662/

5月4日、TBSテレビの「あさチャン」で紹介されました。
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TBSテレビ 【あさチャン!】2016/05/04
<あさトク>礼から立ち回りまで!本格サムライ体験・書道体験・作法に憧れる外国人
http://p.jcc.jp/news/10886712/
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以下は、放映された流れです。

外国人からの口コミが多く集まっている新名所候補地をパトリックが調査。
浅草をトリップアドバイザー・菊地加奈子が案内。
靴屋の2階にある夢乃屋-YUMENOYA-浅草伝法院通り店はサムライトレーニングができる店として外国人観光客に大人気。
創作日本舞踊孝藤流・押田幸宏が講師。
パトリックも体験。
サムライトレーニングは夢乃屋とHISが共同運営している。
東京・台東区の「Kanji House」では外国人観光客の名前を漢字で表す書道パフォーマンスが人気。
書道体験もできる。
ヴェニス靴店・井澤日高のコメント。
トリップアドバイザーへの口コミを紹介。

「あさチャン」では、3月にも同じようなテーマで番組をつくっています。

TBSテレビ あさチャン(2015年03月17日)「外国人から女性まで…殺陣ブーム」
http://www.tbs.co.jp/asachan/know/20150317.html

どうやら訪日外国人の間で侍や忍者、お城、着物といった和風エンターテイメント体験が人気というのは本当のようですね。

先日、NBAワシントン・ウィザーズに所属するブラッドリー・ビール(Bradley Beal)さんもお忍びで夢乃屋のサムライ体験をしたそうです。

NBAワシントン・ウィザーズのブラッドリー・ビール選手が来日、都内のイベントに出演(CDジャーナル2016.5.11)
http://www.cdjournal.com/main/news/-/71365

彼がブラッドリー・ビール選手です。
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さすが大きいです。
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講師を務めているのは、創作剣舞橘一刀流の家元の孝藤右近さんです。
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彼の剣舞、殺陣は以下のYoutubeで見ることができます。「花魁道中」や「連獅子」などの動画があります。

孝藤右近 剣舞・殺陣 作品集 Ukon Takafuji Sword battle and Samurai dance performance
https://www.youtube.com/watch?v=DGJ4F9-DGSM

実は、孝藤右近さんは、石川県金沢市で創流された創作日本舞踊孝藤流の二代目です。

創作日本舞踊孝藤流
http://www.takafujiryu.com

角田知弘さんが経営する株式会社バンリーエンターテイメントは、創作日本舞踊孝藤流を母体とした会社で、同派プロデュースの日本文化体験処を各地で運営しています。また「夢乃屋(YUMENOYA- Produced by 孝藤右近-UKON TAKAFUJI)」として、孝藤右近さんを座長とする殺陣・剣舞・日本舞踊などを織り交ぜた侍・花魁ショーの出張公演を国内外で行っています。話を聞いていると、とにかく動きが早い。思い立ったらすぐに動き出すフットワークの良さを感じます。

実は、昨日、都内のあるインバウンドレストランで中国の団体客相手に剣舞を披露している様子を見ることができました。とにかく、中国客の食いつきがすごいです。

その話は次回。

銀座インバウンドレストランのサムライショーは中国客の食いつきがすごい
http://inbound.exblog.jp/25841438/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 10:27 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 26日

浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみた

GW中の某日、浅草でいま大流行という外国人観光客向け変身スタジオを覗いてみました。

なんでも最近、訪日外国人の間で侍や忍者、お城、着物といった和風エンターテイメント体験が人気だそうです。口コミサイトのトリップアドバイザーによると、2015年の外国人に人気の東京の観光スポットの2位に、歌舞伎町に去年秋できたサムライミュージアムがランキングされているほどです。

トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25702798/

訪ねたのは 「JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋」です。
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場所は、仲見世通りを浅草寺に向かって歩き、伝法院通りを右折した少し先です。ここでは外国客が自分の好みの着物を選んで、その場で撮影してくれます。昨年11月にオープンしたそうです。
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JAPAN CULTURE EXPERIENCE TOURS 夢乃屋
http://www.tokyo-samurai.com/

変身スタジオといっても、現状では靴屋の2階の倉庫のような場所にあります。階段を上ると、着物がたくさん置かれた小部屋があり、中を覗くと、アフリカ系の女性ふたりが着物を着て、撮影に興じていました。
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なんでも彼女は、カタール航空のCAさんだそうです。日本へのフライトの休日に浅草に来たとか。南アフリカ出身のポーシャさんです。
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彼女には濃い色の着物が映えますね。ご本人もとても満足だそうです。
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もうひとりの彼女は、モロッコ出身のサラさんです。エキゾチックな顔立ちの女性です。
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どんな風に撮れたか気になりますね。
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この変身スタジオを運営をしているのは、株式会社バンリーエンターテイメントの角田知弘さん。1987年生まれの29歳です。
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実は、浅草にはこのような外国人向けの変身スタジオがたくさんあります。では、どうやって外国客を集客しているのか。

角田さんによると「人力車と提携して、営業してもらっているんです。浅草には、いくつもの人力車会社があって、そのうちの一社と提携し、人力車に乗ったお客さんに声をかけてもらい、そのままスタジオに連れてきてもらい、着物に着替えて、そのまま人力車に乗ることもできます」だそう。

さらに、近所の店舗との相互送客や宿泊施設とのコラボレーション、インバウンド向けメディアへの情報掲載、HISとの提携など、あの手この手で営業しているとのこと。
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なるほど。賢いやり方ですね。今度、原宿や渋谷にも同じような変身スタジオを開設する計画があるそうです。

実は、夢乃屋では、変身スタジオだけでなく、他にも訪日外国人観光客向けのエンタメ体験ツアーを行っています。

最近、テレビで紹介されたり、話題になりつつあるようですよ。

その話は次回。

TBSテレビの「あさチャン」でも紹介されたサムライ体験ツアー(by夢乃屋)
http://inbound.exblog.jp/25840817/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-26 09:34 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 05月 17日

資格不要の有償ガイドを認めるなら、せめて登録制にすべき

今朝、ネットで以下の報道を知りました。ついに政府は資格不要の通訳ガイドを認める方向に動き出すようです。

訪日旅行市場の実態にまったく合わなくなった通訳案内士制度を改正する動きは、すでに何年も前から地ならしが進んでいたのですが、2000万人時代を迎えた今年はひとつの節目といえるのでしょう。

以下、記事を転載します。

人手不足で規制緩和 保育士比率下げ・ガイド通訳資格不要(日本経済新聞2016.5.17)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO02405380X10C16A5MM8000/


 政府は保育や観光の分野で深刻な人手不足の解消に向け、実態に合わなくなった規制の緩和に動く。国家戦略特区の公立保育所で正式な資格を持たない職員を雇いやすくするとともに、非正規で働く保育士の給料を引き上げる。観光では、国家資格がなくても有償で通訳ガイドをできるようにする。人手不足が日本経済の成長を妨げないように、人材確保に本腰を入れる。

 政府が19日に開く国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)や規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)で方針を示す。関連法の改正案を早ければ7月の参院選後の臨時国会に出す。

 保育分野では大阪府が認可保育所の設置要件の緩和を求めている。府によると、保育所の職員の3分の2以上は有資格の保育士にしなければならない規定がある。府はこの比率を引き下げれば、公的な資格はなくても経験豊富な保育ママや子育て支援員も活用できるようになるとみている。

 政府は要望を認める代わりに、公立保育所で働く正規職員と非正規職員の待遇格差をできるだけ減らすように府側に促す方向だ。大阪市は非正規保育士の処遇改善を進めてきたが、年齢など条件をそろえると年収ベースで正規保育士の5割にとどまるとの試算もある。

 政府は非正規職員の賃金をめぐり、職種に限らず「正規職員の7~8割に早期に引き上げる」との目標を掲げる方針だ。特区内でもこの水準が目安になるとみられる。

保育士は都市部を中心に人手不足が深刻だ。東京都内では3月の保育士の有効求人倍率が5.45倍だった。大阪府の2014年1月時点の調査では8割の保育園が「5年前より保育士の確保が難しくなった」と答えた。待遇改善で非正規を含め人材を雇いやすくする。

 観光分野では、訪日外国人に観光案内をする通訳ガイドの規制を緩和する。現在は国家資格がないと有償でのガイドはできないが、資格がない人にも認める方針だ。5月末に閣議決定する規制改革実施計画に盛り込む。

 現在、報酬を得る観光案内の通訳は「通訳案内士」の資格を持つ人に限っている。資格がなくても観光ガイドとして報酬を得られるようにする。

 政府は訪日外国人客を20年までに今の2倍の4000万人に増やす目標を掲げる。一方、通訳案内士の数は約1万9000人にとどまり、訪日客のニーズに応えきれていないとの指摘が多い。

 日本に先行して通訳ガイドの規制を撤廃した韓国では、観光客が不当に高額料金を請求されるケースなどが発生している。団体客向けのサービスは資格保有者に限定するなどの規制強化に踏み切った。政府は海外の事例も参考に通訳の質を確保するための具体策の検討を進める。


この記事は、このところ国会でも話題となった保育士問題とからめて観光分野の規制緩和を報じています。通訳案内士の関係者からすれば当然いろんな意見や不満はあるのでしょうが、公平に見て時代の趨勢であり、有資格者たちはこれで職域を奪われるなどとネガティブには考えずに、高い語学力を活かし、現状をふまえた新しい仕事のあり方を模索していくべきだと個人的には思います。能力的にいって、無資格者のできる仕事は限られているからです。訪日市場の急拡大によって、語学力は十分ではなくても外国客を接遇しなければならない場面が増えたのです。本来、有資格者たちが取り組むべき世界は、もっと重要かつ高度な領域なのですから。もはや旅行会社からガイドの仕事をもらうだけの時代ではないのです。

実際、若い世代の通訳案内士たちは、すでに新しい仕事のスタイルを実践しています。

たとえば、以下の通訳案内士ユニットは、東京都内のユニークな建築案内に特化したガイド活動を始めています。

Showcase Tokyo Architecture Tour
http://showcase-tokyo.com
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こうした新しい動きは、主に英語の通訳案内士たちが取り組むケースが多いようです。資格不要の有償ガイドが認められた時代は、有資格者たちはテーマ性や特色のあるガイド内容で自ら仕事を取りにいく動きを進めていくべきでしょう。こういうユニット応援したいと思います。

もうひとつ大事なことは、日本のインバウンドの中身を大きく変えたアジア市場において、これまでグレーゾーンとなっていた、海外からツアー客に同行する添乗員や、国内でツアーに合流する在日アジア系ガイドたちの実態をきちんと把握するためにも、ガイドを登録制にすべきではないでしょうか。

彼らの中には、海外から日本に観光ビザで来て、滞在期間中、ツアーをいくつも請け負い、免税店からのコミッションもそうですが、さまざまな営業活動をしておきながら、確定申告もせず、そのまま帰国してしまう「スルーガイド」もいます。また今後規制緩和される通訳案内士資格の有無はともかく、就労資格のないのにガイドを務める輩もいるからです。

今回の規制緩和は、要するに現状追認にすぎないわけですが、彼らの存在を本当に法的に認めていいのか。せめて登録制にして違反者を減らし、市場の実態をつかむことができなければ、監督官庁としては無責任すぎると思うからです。九州の中国発クルーズ客の上陸観光ガイドの就労資格をめぐる問題はいまだ解決できていないですし。

中国人不法ガイドが摘発された背景にあるものは? 訪日旅行市場に与える影響は?(2016年3月9日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/030800008/

通訳ガイドをめぐる問題については、以下の論考も参考にしてください。

通訳ガイド問題の解決の糸口は?
訪日客が増えて問題続出
http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_23.html

「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」って何?
http://inbound.exblog.jp/24445622/

メディアは「通訳案内士」問題をどう報じてきたか
http://inbound.exblog.jp/24446629/

通訳案内士になるには? 適性は?
http://inbound.exblog.jp/24449064/

通訳ガイドの働き方、海外ではどうなのか?
http://inbound.exblog.jp/24450294/

海外の観光ガイドサービスのモデルを日本に持ち込もう
http://inbound.exblog.jp/24460875/

通訳案内士制度をめぐる議論がかみ合わないのはなぜか
http://inbound.exblog.jp/24463450/

無資格ガイド問題とは何か?
http://inbound.exblog.jp/24472149/

訪日旅行市場最大の中国語通訳案内士の現場は大変なことになっていた
http://inbound.exblog.jp/24486566/

中国語通訳案内士を稼げる職業にするための垂直統合モデル
http://inbound.exblog.jp/24489096/
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by sanyo-kansatu | 2016-05-17 12:55 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 04月 28日

タイ語版の「るるぶ情報版」を入手。これはなんと斬新な日本だろうか

休暇をとって、以前からずっと訪ねてみたかった地方のまちを旅する楽しさというのは、かけがえのないものです。国内旅行ですから、忙しさにかまけ、関心のある見どころ以外の食事や遊びの情報などは、ネットで事前にあれこれ調べる時間がなくても、新幹線駅の書店でその土地の「るるぶ情報版」をとりあえず買っておけば、ひとまず大丈夫。移動中じっくり予習をする時間はあります。

現地に着くと、さっそく地図にここぞとマーキングした見どころやおいしいと評判のお店などを訪ねてみる。すると、いまどきたいていどこでも外国人の小グループをよく見かけます。

「どうして彼らはこの店を知っているのだろう?」

その理由は、前回書いたとおりです。「るるぶ情報版」の多言語版がいまや海外のふつうの書店で売られているからです。

「るるぶ情報版」(中国語版)が上海の本屋で売られていた!(その意味を考えてみる)
http://inbound.exblog.jp/25723467/

しかも、それは中国や台湾、香港などの中華系の人たちだけでなく、タイやマレーシア、インドネシア、シンガポールといった東南アジアの人たちにまでいえることなのです。

昨日、発行元のJTBパブリッシングに確認したところ、2016年3月現在、以下の国・地域で多言語化された「るるぶ情報版」が発行されています。

■中国本土/中国語簡体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■台湾/中国語繁体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■香港/中国語繁体字版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2015年12月

■タイ/タイ語版
 タイトル 京都、九州
 発売 2015年2月より随時

■シンガポール/英語版
 タイトル 九州
 2016年3月

■マレーシア/英語版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2016年3月

■インドネシア/インドネシア語版
 タイトル 北海道、東京、京都、九州、沖縄
 発売 2016年3月

驚いたことに、タイ語やインドネシア語版まで発行されているんです。実際、タイの出版社のサイトをみると、「new araival」のコーナーに確かに「るるぶ情報版 九州」が見つかりました(右から2番目の本)。タイ語版としては、京都もあります。
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Jamsai(タイの出版社)
http://www.jamsai.com/

JTBパブリッシングさんからタイ語版の「るるぶ京都」をいただきました。この表紙、えらくインパクトがありますね。派手な色使いもそうですが、ふだん見慣れぬタイ語がからむと、いったいここはどこなんじゃ? という気がしてきます。なにしろかの国のお寺はキンキラ金に輝いていますから、このくらいインパクトがあってこそ、彼らの旅心を刺激するということなのかもしれません。
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中もめくってみましょうか。

これは金閣寺のページです。
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これは祇園。
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こちらはグルメページで、京懐石でしょうか。
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最後のこれはお土産ページ。京小物のコーナーです。
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金閣寺や祇園、京料理の写真の合間をはうように綴られるタイ語がなんとも新鮮です。

2015年、約80万人のタイ人観光客が日本を訪れました。すごい勢いで増えています。タイは2013年以降、日本の観光ビザが免除されていますから、多くの場合、個人旅行でやって来ます。特に若い世代の大半はそうで、最近では全国各地で彼らの姿を見かけます。

これは3月末、京都駅で見かけたタイ人の若い女の子の小グループでした。彼女らの誰かひとりくらいは「るるぶ情報版」を手にしているかもしれません。
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タイ人というのは、男の子も女の子もシャイで控えめなところがあり、好感度が高いです。見ていてかわいいので、ぼくは電車の中でタイ人に隣り合わせると、つい声をかけてしまいます。「これからどこ行くの?」「明治神宮」「じゃああと4つめの駅だよ」……。そんなささやかな会話だけでも、ほっこり気分にさせてくれる人たちです。

そんな彼ら彼女たちが、いまや日本人と同じ内容が書かれた「るるぶ情報版」を手にしている、つまり同じ情報源をもとに旅しているのだとしたら、これからもいろんな場所で彼らと出会う機会は増えることになりそうです。

ひとつ気がかりなのは、先般の熊本の地震です。当時そこそこ多くのタイ人が熊本に個人旅行していたようです。タイ人の知り合いに聞くと、「本当に怖かった」「もう2度と日本には来たくない」とトラウマになってしまった人もいるそうです。

無理もありません。生まれてこのかた、彼らはあのように大地が激しく震える体験などしたことがないからです。

である以上、今後はただ「来てくれ」というメッセージだけでなく、もっと地震に対する外国人の心のケアを考えた情報発信に努めていく必要がありそうです。安全情報の出し方も、「もう大丈夫」といくら日本人が言っても、彼らは素直に受け取る気持ちにはなれないかもしれません。彼らにすれば、「あななたち(日本人)はなぜそんなに平気なの?」と、かえって不信感を募らせてしまうかもしれないからです。東日本大震災後の被災者の冷静なふるまいが世界的に賞賛されたのは事実ですが、それを外国人に求めるのはコクというものです。

外客向けの情報提供において、非常時の対策や心のケアをもっと充実して行かなければならないと思いました。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-28 12:23 | “参与観察”日誌 | Comments(2)
2016年 04月 28日

「るるぶ情報版」(中国語版)が上海の本屋で売られていた!(その意味を考えてみる)

先月、上海出張に行った折、現地の本屋で中国語版の「るるぶ情報版」が売られているのを見つけました。

そういうと、それ海賊版じゃないの? つっこみが入りそうですが、正真正銘、現地の出版社から発行されたものでした。中国旅游出版社は、数多くの旅行書を手がけている大手出版社です。
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中国旅游出版社
http://www.cttp.net.cn/
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同書を見つけたのは、地下鉄中山公園駅のそばにある新華書店です。そんなに大きな店ではありませんが、1階に旅行書籍のコーナーがあり、平積みにされていたのは「京都」「九州」「北海道」です。
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このシリーズは、訪日中国客のために、もともと日本の読者向けにつくられたガイドブックをそのまま翻訳したものなのです。

3月中旬のことで、その書店では「春の旅行コーナー」というささやかなディスプレイがあり、いくつかのセレクトした旅行書を壁に並べています。そのなかに「るるぶ九州」や他の現地出版社がつくった東京ガイド書が2冊もあります。いま上海でいかに日本旅行がブームになっているか、よくわかる光景です。
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もともと「るるぶ情報版」は「見る」「食べる」「遊ぶ」を重視したガイドブックとして、1984年に誕生したものです。読者ターゲットは、当時最も積極的に旅を楽しんでいた20代後半から30代の女性。国内、海外のシリーズ版が続々発行され、2000年代以降は「練馬区」「港区」といったローカル版、「萌えるるぶ」というようなテーマ性の高い巻まで、さまざまな旅行ニーズを商品化してきました。いわばこの30年間の日本の若い女性の旅のトレンドを牽引してきた媒体といえるでしょう。2010年には「発行点数世界最多の旅行ガイドシリーズ」(Longest book series-travel guides)としてギネス世界記録™にも認定されています。

何より興味深いのは、創刊以来ターゲットとしてきた日本の若い女性向けの国内旅行のバイブルが、いまや中国の読者の手にも渡り、日本を旅する時代になってきたことを意味することです。

帰国後以下のリリースを見つけました。

るるぶ『OMOTENASHI Travel Guide』「北海道」「東京」「京都」「九州」「沖縄」
中国全土主要都市で12月15日より順次発売開始!
http://www.jtbpublishing.com/newsrelease/20151216255.pdf

これによると、「まずは12月15日に中国全土の主要都市にて「北海道」「東京」「京都」「九州」「沖縄」の5タイトルを発売」「同じく12月15日に台湾で「東京」「北海道」、12月28日に「京都」・「沖縄」を発売」しているそうです。

「るるぶ情報版」のような旅行メディアは、基本的に個人客向けのものです。団体ツアーでは、この本に載っているようなお店を自由に訪ねまわることは難しいからです。昨年中国から訪日する個人客がぐっと増えた時代にうまくはまった企画といえそうです。

ただし、ちょっと気になることもあります。「るるぶ情報版」のような「情報誌」は、きわめて日本に特有のメディアでもあるからです。1980年代にいっせいに花開いた「情報誌」は、いうまでもないことですが、「ネット以前」に生まれたものです。その特徴は、限られた誌面に写真とテキストを魅力的かつ、なるべくたくさん、しかも器用に詰め込むもので、日本人好みの職人芸といっていいほどの完成度です。日本の幕の内弁当的な世界観が見事なまでに体現された世界といってもいいでしょう。
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しかし、今日の大半のアジアの旅行者たちは、「ネット以後」に海外旅行を体験するようになった人たちです。情報は紙ではなく、ネットで得るというのが日常です。ゆえに、日本の「情報誌」を読み、活用することがどれほどできるかについては、疑問がないわけではありません。

こういっても、ピンとこないかもしれません。日本人は「ネット以前」から「以後」にいたる今日まで、情報誌を活用しながら、その後はネットも使うという両刀遣いで消費生活を送ってきたからです。しかし、彼らは情報はネットで取るというスタイルから始まっているために、読み方を知らないかもしれないのです。彼らにすれば、なぜ1ページにこんなにたくさんの情報がごちゃごちゃと詰め込まれなければならないのか、その理由が理解できません。文字が小さすぎて、見にくいと思う人もいるでしょう。

またネット情報では、特定の店の住所や地図がクリックひとつでわかりますが、紙媒体の場合、店と地図はたいてい別のページにあるため、探すのが面倒というだけでなく、そもそも探し方を知らない可能性があります。たとえば、日本人であれば、「MAP p●●-3C」という表記が「●●ページの地図の格子で分けられた3Cの位置にある」ことを理解していると思いますが、情報誌を未体験の人たちにとっては、そんな約束事を知らないかもしれないのです。

その意味で、上記リリースの冒頭の以下の文面を読んだとき、なるほどと思ったものです。

「るるぶ『OMOTENASHI Travel Guide』は、「九州日本」を2015年3月24日に台湾・香港・マレーシア・シンガポールで発売し、11月に台湾・香港では増刷するなど、ベストセラーを続けています」。

そう、この多言語版シリーズの第一弾は、いち早く昨年3月に台湾や香港などで発売されていたのです。実は、これらの地域は、早い時期から角川グループなどの日本の「情報誌」メディアが進出していました。この地域の人たちは情報誌を体験済みなのです。先行的にこの地域で発売するというのは利にかなっています。

では、中国本土で発売された「るるぶ情報版」の売れ行きはどうなのでしょうか?

実は、昨日発行元であるJTBパブリッシングの担当者に取材することができました。

その話は、別の媒体で記事化することが決まっています。同媒体の多言語版発行の狙いや現地における読者ターゲット、制作にあたっての苦労などについては、あらためてお伝えしたいと思います。

※日経BPネット
「るるぶ」多言語版がアジアで人気、日本人と同じ旅行書を手に日本を旅する(2016年5月11日)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/051100012/
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by sanyo-kansatu | 2016-04-28 11:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 04月 23日

原宿竹下通りは外国人の撮影スポットとなっていた

昨日の午後、原宿に行く用があったので、竹下通りを訪ねたところ、外国人の撮影スポットになっていました。このおふたり、すごく本格的ですね。竹下通りの入り口で動画を撮っているようです。
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※これも昨日の話。
トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25702798/

1年前に渋谷スクランブル交差点が彼らの撮影スポットになっていたことを書きました。

イースター休みに渋谷スクランブル交差点に出没した外国人をシューティング
http://inbound.exblog.jp/24348359/

それがいまや原宿竹下通りも注目のスポットのようです。彼らはここが1970年代からの日本のポップカルチャーの発信地であることをガイドブックかネットかなにかで知ったのでしょうか。それとも、渋谷と同様、狭い通りを人がぶつかることもなく、歩いていく光景を面白がっているのか。店先に並ぶたくさんの商品が、店員がそばにいなくても盗まれることもない、平穏な世界。ここでも、日本独特の“秩序”感覚が珍しがられているのかもしれません。
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もっとも、その種の本格派だけでなく、自撮りにいそしむ人たちも多そうです。
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通りの中でも彼らはカメラを構えています。何を撮っているんでしょうか。まあ人それぞれ、自由に面白いと思うものを見つけて、これらの写真がネットで拡散されていく。いまはそんな時代です。
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そして、竹下通りは人種のるつぼです。
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この全員がGAPで買い物した女性グループは中国系の人たちのようです。みんなで仲良く同じ店で買い物をする。こういう光景はかつては日本人のイメージでした。でも、いまは違います。
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だんだん東京が1980年代のヨーロッパの都市みたいになってきたと思います。

イースターが来ると、1980年代のヨーロッパを思い出す
http://inbound.exblog.jp/25634913/

イースターも近い原宿では非英語圏の言葉があちこちで聞かれた
http://inbound.exblog.jp/24322287/
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by sanyo-kansatu | 2016-04-23 13:47 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 04月 23日

トリップアドバイザーで人気のサムライミュージアムとふくろうカフェを覗いてみた

3月末に配信されたトリップアドバイザーの人気観光地ランキングをみると、日本人と外国人では人気スポットがずいぶん違って面白いです。

2015年にトリップアドバイザーの日本の観光地に寄せられた口コミを分析(2016.3.31)
http://tg.tripadvisor.jp/news/wp-content/uploads/2016/03/20160331_TripAdvisorPressRelease.pdf

ランキングは、日本全体だけでなく、東京、北海道、京都、大阪、沖縄、神奈川、広島、福岡、兵庫、千葉、長野など、各地ごとに集計しています。なかでも東京の人気ランキングがこれです。
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堂々の1位は新宿御苑。4月上旬、仕事をさぼって新宿御苑に行って芝生にごろりとしようと思ったら、桜が満開だったせいか、すごい人出でチケット売り場も列をなしています。外国人も大勢いて見ているだけでも面白かったのですが、とてものんびりできそうになかったので、入園は断念しました。
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マレー系と思われる頭にスカーフを巻いたツーリストも多く見かけました。
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ムスリム・ジャンピング・ガール目撃!? ようこそ、21世紀の新宿御苑へ
http://inbound.exblog.jp/25020925/

2位は新宿歌舞伎町にあるサムライミュージアムです。
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サムライミュージアム
http://www.samuraimuseum.jp

2015年7月にオープンしたばかりの施設で、館内には日本刀や鎧兜の展示があり、鎧兜を身につけて撮影できるスタジオがあります。実は、ある媒体でここを取材させてもらおうと電話したことがあるのですが、基本的に外国語媒体以外は受け付けていないそうで、断られてしまいました。

そこで、昨晩友人のカメラマンと一緒に客を装い、訪ねてみました。玄関を入ると、たくさんの甲冑が並んでいました。スタッフに聞くと「98%が外国人」といいます。思うに、展示もあれこれ揃えるより、外国人が好む鎧兜と日本刀に絞っているところがわかりやすいうえ、撮影もできるというわけで、彼らのやりたいことがお手軽に実現できるという点が人気の理由なのではないでしょうか。ちなみに入場料は大人1800円です。

玄関の脇にショップがあり、日本刀のレプリカや扇子、ミニ甲冑などが販売されています。人気は7000円~3万円くらいの日本刀のレプリカだそうです。これは戦国武将のストラップです。
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歌舞伎町には、おなじみのロボットレストランがありますが、相変わらず欧米系ツーリストが多く押し寄せているようです。ちょうど1年近く前に行ったのが最後ですが、入場料8000円と値上がりしていて、その強気ぶりに驚きます。
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ロボットレストラン、まだまだ進化中(2015年 06月07日)
http://inbound.exblog.jp/24562884/

向かいにチケット売り場があり、客引きも多国籍軍団の様相を呈しています。最近、中国語のフリーペーパーなどにも「机器人餐厅(ロボットレストラン)」の広告がよく入っているようなので、中国系の人たちも訪れているのでしょうか。
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原宿界隈で配られていたタブロイド版の英字観光案内紙を見ると、赤ちゃんや子供連れの欧米客の写真まで入っていて、客層をいかに広げるかに苦心しているものと思われます。でも、あのクレイジーなショーに海外のお子様たちを連れていくというのはどういうものでしょう? 気にならないではいられません。ロボットレストランの終わることのない試行錯誤は続いているようです。隣にサムライミュージアムの広告もありますが、映画「ラストサムライ」のトム・クルーズらしき武将姿もあり、著作権どころではなさそうです。かつて20世紀の香港で、こんな感じのあやしげな広告があふれていたことを思い出します。
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最後は、変り種のスポットです。4位に秋葉原の「アキバフクロウ」というカフェがランキングされています。すでに猫カフェは広く知られていますが、その「ふくろう」版です。ネットで調べると、都内にずいぶんの数のふくろうカフェがあるようです。

昨日は午後に原宿に行く用があったので、竹下通りに近い「武蔵野カフェ&バー ふくろうの里(原宿店)」を覗いてみました。
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武蔵野カフェ&バー ふくろうの里(原宿店)
http://owlvillage.jp/harajuku/

当初は、このようなスポットが外国人に人気だとは半信半疑だったのですが、同店のある雑居ビルの4Fにエレベーターで上がると、店の前には3人の欧米客が待っていました。店内を覗くと、確かにふくろうとたわむれる外国客だらけでした。
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店の方に話を聞きました。吉祥寺店と原宿店があるそうで、それぞれ昨年2月、7月のオープンだそうです。基本的に60分の入れ替え制ですが、30分のお試しコースもあります。リピーターも多そうで、事前のネット予約をすすめられました。なんでもふくろうは音に敏感なため、電話は受け付けていないそうです。

ここがどのような世界なのかについては、同店のサイトに以下の動画があります。

ふくろうの里(動画)
http://owlvillage.jp/movies.html

店長によると、この種のカフェは海外にはないそうで、外国人観光客の間でひそかに人気を呼んでいるのだそうです。

訪日外国客が増えることで、都内に不思議なスポットが生まれ、にぎわっています。もっとも、すべてが当たるとは限りません。当たるかどうかは、チャレンジしてみなければわからない。その分かれ目はどこにあるのか。今後もこの種のスポットを探し歩いてみようと思います。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-23 12:22 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2016年 04月 10日

上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!?

上海出張に行くと、いろんな人に会います。現地に住む日本人もいれば、中国人もいる。中国人といっても、地元生まれの上海人と大学のときから上海に来て働いている「新上海人」では考え方も、行動もずいぶん違います。その違いは旅行の形態にも現れるものです。

さらにいうと、上海でオフィスワーカーをしている人とそうでない人、後者の中には出稼ぎ労働者に近い階層の知り合いもぼくにはいるので、それぞれの人たちとの付き合い方はまったく変わります。ぼくは所詮外国人なので、異なる階層を自由に縦断しながら付き合うことができるのですが、おそらく彼らにはできないことでしょう。なぜなら、中国人というのは、自分の属する階層の中に閉じた社会を生きているからです。

ですから、中国人といっても考え方は人によってずいぶん違います。誰もがそれぞれ自分の立場からモノを言うからですが、それぞれの立場が日本では想像できないほど違っているからです。ですから、知り合いの中国人がこう言ったという話を、さも中国全体の話のようにいうのはたいてい間違いなのです。

そんな階層縦断を日々体験することになる上海出張で拾った話の中から、いくつかの興味深いネタを公開してみようかと思います。

ポイントは、なぜ上海ではこんなに急速に個人旅行化が進んだのか、です。

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?
http://inbound.exblog.jp/25638388/

この点について、上海翼欣旅游咨询有限公司という訪日旅行のプロモーションを手がける会社の代表の袁承杰さんはこんな風に語っています。ちなみに、彼は上海生まれの上海人です。以前、現地で日系旅行会社の日本語ガイドをやっていた人です。

「上海人が団体ツアーで日本に行きたくないのは理由があります。団体だと、確かにツアー代は安いけど、行きたくもない免税店に必ず連れていかれること。帰国して、その場で成り行きで買わされた商品を確かめてみると、決していいものではない。車内販売で中国人ガイドに売られる商品もそう。そんな後悔は2度としたくないんです。こんなことになるなら、渡航費用が高くても個人ビザで日本に行くほうがいいと思っているのです」。

これは健全な市場化の流れを実感する話です。彼は1980年代生まれのいわゆる「80后」世代。彼らの多くはすでに30代になり、結婚し、子供も産まれています。そんな上海人の日本旅行とは。

「私と同世代の上海人は、土日をはさんで4泊5日で日本に行くというのが標準的です。安く行くためには、LCCを使った羽田深夜着便だと航空運賃も相当安い。

私たちの世代の中国人は、日本人のライフスタイルを経験したいんです。日本人が好むような隠れ家レストランに行くとか。団体はありえないんです」。 

彼の話を聞いていると、もはや上海人の日本旅行は台湾人とそんなに変わらないことがわかります。

こうしたことが可能となった理由については、日経BPネット<インバウンドBiz>の以下の記事で説明したように、日本政府のビザ緩和と中国からの日本路線の拡充が大きいのです。

ビザ緩和とLCC日本路線の拡充が日本旅行ブームをもたらした
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/031800009/

とはいうものの、同じ上海の同世代のオフィスワーカーでも、上海戸籍を持たない外地人だと、ビザの条件が少し違っていることを、ある日系広告代理店に勤める女性と話して知りました。

彼女は長江が東シナ海に注ぐ場所にある浙江省寧波出身で、これまで何度も日本に旅行に来ています。でも、彼女の話では、上海戸籍の人たちと違い、日本への個人マルチビザを取得するために、いったん沖縄に入る必要があるというのです。これは日本政府が数年前、3年間有効の個人マルチビザを発給するのに、沖縄と東日本大震災の被災地である東北3県に立ち寄ることを条件にしたからですが(そういうインセンティブを与えて沖縄や被災県への中国客を増やそうとしたわけです)、上海戸籍の人間が個人ビザを取るのに、いまはその必要はありません。彼女が浙江省出身だから、いまでもその条件が適用されるのです。冒頭で、上海人と「新上海人」では、旅行の形態が異なるといったのは、そういうことです。

出身地によってこういう分け隔てすることは、日本社会では差別として糾弾されがちですが、中国ではこのような見えない「区別」はいたるところに散見されます。ビザ発給条件というのは、日本政府が決めたことですが、この点を批判するのは間違っています。中国社会というのは、このようにでもしなければ統制・管理できない世界であることは否定しにくいからです。

実際、2015年1月にビザ緩和が実施されたといっても、個人ビザの発給用件として、その人物の資産がある一定以上であること、場合によっては銀行口座の残高の明細を提出させることは変わりません。日本では個人情報をこのように強制する無茶苦茶な条件など絶対許されないことですが、これも仕方がない面があるのです。

ですから、中国客を誘致したいと考える人たちであれば、こうした事情はある程度知っておくべきでしょう。いまだに団体客の人たちは、ツアー料金のほかに、多額の保証金を旅行会社に預けていることも事実なのです。

さて、こうした日本では考えられない発給「条件」は、当然上海人の旅行形態にも影響を与えることになります。なぜ上海ではこんなに急速に個人旅行化が進んだのかという理由について、ある現地在住の日本人はこう説明してくれました。

「上海人の多くは、団体で行くのは恥ずかしいと思っているんです。なぜなら、個人でないと貧乏人と思われるから。個人ビザが取れないということは、一定以上の資産がないとみなされたも同然だからです」。

この話をしてくれたのは上海の外資系企業で働く日本人です。彼の奥さんは上海人で、中国人に対する理解の深さは一般の日本人とは違います。そんな彼が日常的に接している上海人の言動から、これほど直裁に、個人旅行化が進んだ理由を解説してくれたことに、ぼくは唖然としつつ、なるほどと、うなづくほかありませんでした。

上海人にとって、団体、個人どちらのビザが発給されたかで資産のほどが知られてしまうことを意味するのですから、メンツに大いにかかわることなのです。だから、とても知り合いに「団体で行った」なんて言えないのです。

さて、最後のネタとして、前述した袁承杰さんの開発した面白いアプリを紹介します。

これは、日本に観光に来た中国人向けの音声ガイドのサービスで、「导游说(ガイドトーク)」といいます。
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导游说
http://www.daoyoutalk.com/
https://itunes.apple.com/cn/app/dao-you-shuo/id1062285581?mt=8

彼は以前上海を訪れた日本人観光客のガイドをしていました。いまは訪日中国人向けのサービスやプロモーションを手がけているのですが、彼の書いた企画書がちょっと面白いので、以下紹介させてください。

彼は訪日旅行に団体、個人ともにいろんな問題があることを指摘しています。
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これがこのサービスの概要です。おそらくネットによるサービスが普及している上海人には比較的受け入れやすい内容なのでしょう。この点、日本人のほうがピンとこないかもしれません。
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もしこのサービスに興味がある方がいたら、彼をご紹介しましょう。おそらく若い上海人向けのサービスとなると思うので、彼らの好きな日本アニメなどのカルチャー関連施設や商業施設などで使えるのではないでしょうか。

中国人といえば「爆買い」というイメージだけではもうすまない時代になってきていることを実感します。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-10 19:59 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 04月 09日

訪日客が増えて問題続出  通訳ガイド問題の解決の糸口は? 

3月末からのイースター(復活祭)休暇中、外国人観光客、特にキリスト教圏から来た欧米客が全国各地に多くの姿を見せた。桜の開花とも重なり、日本の春を楽しんだことだろう。

日本政府観光局(JNTO)によると、今年も訪日客数は前年比43.7%(1~2月の集計)の伸びを見せている。基本的に数が増えるのはいいことには違いないが、訪日客が増えると、当然問題も起こる。

大都市圏のホテル不足は国内のビジネス出張者を大いに悩ませていることから広く知られているが、それ以外にも国民が知らない多くの場所で、外国人観光客たちはさまざまな問題に直面している。

たとえば、空港で入国審査をするとき、外国人の長い列を見たことがないだろうか。混雑で出入国審査に時間がかかりすぎることは、訪日客の不満になっている。また不慮のケガや病気になったときの外国人向けの医療機関の情報提供が不十分なこともよく指摘される。

これらは比較的想像しやすいが、我々日本人がサービスの受益者でないため、その内実があまり知られていないのが、「通訳ガイド問題」である。
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中国語の通訳ガイドはわずか12%

3月上旬、中国発クルーズ客船が多数寄港する福岡市で、ツアー客の上陸観光のガイドとしてバスに同乗し、免税店を案内するかたわら、売り上げに応じたコミッションを得ていた中国人不法ガイドが摘発された。

報道によると、逮捕された中国人は「就労資格のないビザで日本に滞在し、買い物をする中国人観光客らをボランティア名目で案内。その見返りとして案内先の免税店から計約7500万円の報酬を受け取っていた」(日本経済新聞2016年3月4日付)とされる。そのため、彼らにコミッションを渡していた免税店や業務を委託した旅行会社の関係者も「不法就労助長」容疑で書類送検されている。

なぜこのようなことが起きたのだろうか? 背景には、日本の通訳ガイドを取り巻く特殊な状況がある。

そこで、まず日本の通訳ガイドをめぐる実情を整理しておきたい。

通訳ガイドは、訪日外国人に引率し、外国語を使って観光地の説明や広い意味でのガイディングを有償で行う職業のことだが、これには「通訳案内士」という国家資格の取得が法的に義務づけられている(通訳案内士法第2条、第3条、第18条及び第36条)。日本の文化や歴史を正しく外国人に伝えるには、語学力はもちろん、それ相応の知識を有していることが条件とされるからだ。通訳案内士は「日本文化の発信者」としての重要な役割を担っているのだ。

観光庁では、2008年から関係者を集めて「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」を続けている。なにしろ通訳案内士制度が創設されたのは1949年(昭和24年)。すでに60年以上が経過しており、訪日客の急増やニーズの多様化に応じた新たなあり方を検討するためだ。

同検討会では、今日における「通訳案内士制度の課題」として、「語学の偏在」「地理的偏在」「ガイドニーズの多様化」を挙げる。
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通訳案内士制度の課題(「通訳案内士を巡る状況及び今後の対応について」観光庁 2015年12月24日資料3より)

「語学の偏在」とは、10カ国の言語に分かれる通訳案内士のうち英語が67.8%と3分の2を占め、訪日客数トップの中国や台湾、香港らの中国語は12.0%しかいないことを指す。

「地理的偏在」は東京や神奈川など4分の3が都市部の在住者が占めること。地方にある観光地も、遠く離れた都市在住の通訳案内士が対応している現状を指す。

「ガイドニーズの多様化」は、訪日客の多様化に即した専門的な知識がこれまで以上に求められる現実に対し、現行のフルアテンドを前提とした通訳案内士資格でどこまでニーズをカバーしきれているかを問うものだ。

さらに、ここでは触れられていないが、観光庁の数年前の調査では、通訳案内士の資格を持ちながら実際の職業にしているのは、全体の4分の1に過ぎないこと。人材の高齢化が進み、若い世代が圧倒的に不足していることも課題といえる。

背景には、通訳ガイドの職業としての不安定さ、フリーランスとして生計を立てていかなければならない難しさがあると考えられる。

だが、それ以上に、政府が「観光立国」を掲げた2003年以降の時代の大きな変化に、制度が合わなくなってしまったことがある。市場と制度のギャップを埋め合わせる見直しが求められているのだ。

「業務独占」をめぐる議論

市場と制度のギャップを指摘する意見は、有識者を集めた観光庁の「検討会」の資料でも詳細に記されている(「規制改革会議の検討状況について」観光庁 2016年2月29日 資料2)。

代表的な意見を挙げると「資格や研修で得られる画一的な知識・体験では、食べ歩き、スポーツ大会時の周辺観光等、個人が有している生のユニークな知識・経験を有償でガイドしたい個人のニーズ及びこうしたユニークな体験をしたいという多様な旅行者のニーズに対応できない」「マッチングサイトを通じた口コミ情報などにより、質の悪いサービスは市場から淘汰されるので、国家資格による一定の品質確保に対するニーズに対応するには、名称独占で対応可能」というものだ。2020年の東京五輪開催やSNSによる情報収集が普及した時代のニーズを意識した内容となっている。

規制改革会議の検討状況について
http://www.mlit.go.jp/common/001122871.pdf

ここで議論となっているのが、通訳案内士の「業務独占」をめぐる問題だ。

日本における国家資格制度には、有資格者以外に業務の従事を禁じる「業務独占」、有資格者以外は名称の使用を禁じる「名称独占」、事業者に公的資格を有する者の配置を義務づける「必置」の3つがある。

通訳案内士は、これまで弁護士らと同じ「業務独占」資格とされてきた。外国人を有償でガイドするには、国家資格を必要とするのはそのためだ。だが、昨年の訪日中国客が約500万人だったのに対し、中国語の通訳案内士は約2000名しかいないという現実に象徴されるように、訪日客が激増した今日、(通訳案内士制度の理念や目的からすると)有資格者の数がまったく足りないという事態となった。

業務独占のあり方について
http://www.mlit.go.jp/common/001122872.pdf

この議論をめぐって、当事者である通訳案内士団体からの反論がある。

「中国語や韓国語のガイドが無資格者に市場独占されているためで、数が足りないという意見は正しくない」「ガイドの質を担保するためには業務独占は必要」「訪日客に対する詐欺行為等を取り締まる観光警察を創設すべき」というものだ。

ただでさえさまざまな課題を抱えた通訳案内士のよりどころでもある「業務独占」を「規制改革」という錦の御旗を掲げ、断罪されるのは耐え難いという反発もあるだろう。彼らには高い語学能力を必要とする国家資格が担保する職業意識とプライドもあるからだ。

もっとも、市場の激変を最もよく知る中国語の通訳案内士は、これらの議論についてこう指摘する。

「業務独占廃止問題は、ボランティアガイドや欧米客の事情しか知らない関係者と、アジアのインバウンド市場をよく知る者の意見が衝突している。欧米客のみを相手にしてきた関係者は、業務独占が廃止されても構わないと考えているかもしれないが、アジアを知る者は、これをなくせば、福岡の不法ガイドのような問題が野放しにされ、外国人の資格外活動が常態化すると思われる。この懸念をどう考えるかという視点が議論に欠けている」。

在日中国人ガイドのマッチングサイトも登場

だが、通訳ガイドをめぐる新たな状況を知るとき、制度の迅速な見直しは迫られていると筆者は考える。

なぜなら、このままずるずると見直しを先延ばしにしておくと、さらに厄介な状況が起きることが心配されるからである。

たとえば、日本でも通訳案内士と外国人をネット上でマッチングさせる「トラベリエンス」のようなサービスも始まっているが、同じことは、在日中国人らがすでに始めているからだ。

トラベリエンス
http://www.travelience.com/

仙貝旅行は、留学生や若い在日中国人らが中国本土の訪日客のガイドを有償で請け負うマッチングサイトである。
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仙貝旅行
http://www.xianbei.cc
仙貝旅行のガイドたち
http://www.xianbei.cc/guide/list

問題は、このサイトに登録しているガイドが通訳案内士の資格を有しているとは思われないことだ。

こうした中国発のマッチングサービスの登場は、この1、2年法的規制をめぐって盛んに議論されている民泊市場において、本家と考えられていた米国系のAirBnBを凌駕する勢いで、中国系の民泊サイトを利用する中国の個人客が増えている動きとも軌を一にしている。

※中国の民泊サイトについては、中村の個人Blog「都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた」 参照。

今日の中国では、日本よりはるかに速いスピードでオンライン旅行化が進んでおり、さまざまなECサービスが次々と現れている。こうした中国市場の動きに対して、日本の監督官庁の対応は常に後手に回ってきたというのがこれまでの経緯だった。

いや、現実に即していうと、無為無策で状況を見過ごしてきたと指摘されても仕方がない面がある。

冒頭で述べた中国人不法ガイドの一件も、留学生という立場で就労資格がないことが直接の逮捕の理由とされるが、結局のところ、数年間で何倍にも急増したクルーズ客の上陸観光に充てる有資格ガイドを日本側が用意することができなかったこと。それを知りながら、当局がそのままスルーしてしまったために、事態が際限なく進んだのである。
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「違法・不当な旅行案内について」(「通訳案内士を巡る状況及び今後の対応について」観光庁 平成27年12月24日資料3より)

その意味でも、仙貝旅行のようなサービスの登場は、通訳案内士制度をさらに形骸化させる懸念を感じざるを得ないのだ。

実情に即したルールを設定し、随時修正していく

だからといって、「取締りを強化せよ」とだけいうのは見当違いだろう。

仙貝旅行は、中国の個人旅行化がようやく始まり、団体ではなく、自分の足で日本を旅してみたいという若い世代を中心にした新しい層が生まれている事実を反映しているからだ。

日本語を話せず、日本に知り合いがいなくても、このマッチングサービスを通じて知り合った同胞に日本を案内してもらいたいというニーズがあるのは理解できる。そこに金銭の授受があるとしたら、そこを当局が見逃さなければすむだけの話といえなくもない。

しかし、通訳案内士が業務独占資格である限り、それではすまない話である。有資格者しか有償でガイドをしてはいけないという法的な縛りがあるからだ。

ここで考えたいのは、市場の論理でもなく、事業者の保護のためだけでもなく、もっと長期的な視点に基づき、訪日旅行市場をより健全化するための制度の見直しの進め方である。

そのためには、中国に代表されるアジア市場と英語圏の市場の制度設計は、もはや分けて考えるべきではないか。そもそも1948年(昭和23年)に創設された通訳案内士制度は、英語圏の旅行者のために設計されたものといっていい。一方、アジア市場の歴史は浅く、内実も異なっている。まず、それぞれの市場ごとに現実に即した最適なルールを設定し、問題が起これば随時修正していくという臨機応変なスタンスが必要ではなかろうか。

ただし、ルール設定においては、あるべき理想の姿を追うのではなく、あってはならない最悪の事態を想定するという融通無碍な考え方が、特にアジア市場を対象にした制度設計には必要だろう。観光庁も指摘する「違法・不当な旅行案内」の常態化は、海外の旅行関係者からも不信を招いていることは自覚したほうがいい。

VIPに絞った企業化の取り組み

アジア市場の制度設計を考えるうえで、ひとつの先例といえるのが、中国語通訳案内士の水谷浩氏が率いる彩里旅遊株式会社の取り組みだ。

同社は2014年4月に設立された中華圏のVIP旅客を対象とした受注型旅行や手配旅行、募集型旅行の企画、販売を行う旅行会社だ。

彩里旅遊株式会社
http://www.ayasato.co.jp/

これまで通訳案内士自身が起業し、集客から旅行の企画、販売まで行う事例は多いとはいえなかった。これが可能となったのも、水谷氏の中国における広い人脈にある。

1980年代、北京と上海に留学した経験のある彼の顧客リストには、日本人ならメディアを通じて誰でも知っているような大企業の幹部も含まれる。2010年、日本政府が中国の個人ビザを解禁したことで、VIP層がお忍びで日本を訪れるようになり、中国語ガイドとして抜擢されたのだ。中国事情をよく知る彼は、中国のVIP層に信任され、口コミでその存在が知られるようになった。

水谷氏は、中国のVIP層についてこう語る。

「彼らは創業者世代が多く、とてもパワフルな人たちだが、日本に対する深い関心も持っている。だが、その中身は欧米客とは少し異なるようだ。彼らの関心のありかを深く洞察することが欠かせない」。

なぜ彼が選ばれたのか。顧客がVIP層だからこそ、生半可な知識しかない在日中国人では物足らず、水谷氏のような中国語のできる日本人に日本を案内してもらいたいからなのだ。

水谷氏は、若い中国語通訳案内士の育成にも力を入れている。企業化という道を選んだのも、後進の育成がこれからのインバウンドアジア市場にとって不可欠だと考えたからだ。

これまで通訳案内士は、旅行会社などのクライアントから仕事を発注してもらうというのが一般的だったかもしれない。だが、英語圏の市場ではそれが可能でも、現状の混沌としたアジア市場では、待っていても仕事が来るとは限らない。ならば自らで集客し、同業の志とのネットワークを活用し、事業化していくまでだ。

通訳案内士の新しいスタイルを切り拓く水谷氏の今後に注目したい。

※やまとごころ.jp
http://www.yamatogokoro.jp/report/2016/report_23.html
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by sanyo-kansatu | 2016-04-09 22:19 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2016年 04月 08日

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?

久しぶりに、3月中旬に上海出張に行ってきた話の続きです。

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

(公開されている情報ではないため)出所を明かせませんが、現地の事情通から興味深い情報を入手しました。

昨年(2015)、在上海日本総領事館が発給した訪日観光ビザのおおよその総数とその内訳です。

総数 約155万人
団体ビザ 66.7万人
個人ビザ 71.9万人
※これには上陸許可証で入国してくるクルーズ客は含まれていません。

訪日上海市場において、2015年に初めて団体客の数を個人客が上回ったのです。

在上海日本総領事館が担当している地区は、上海市だけでなく、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省が含まれます。これらの省は上海に続く経済先進地域には違いありませんが、やはり旅行市場の成熟度は違いますから、団体客の比率はまだかなり高いと考えられます。つまり、上海市の住民が個人客の数を押し上げていることになります。

2016年1月の統計によると、個人化の勢いはさらに高まり、以下のような数字となっているようです。

2016年1月(在上海日本総領事館で発給した観光ビザ数)
総数 17万3000人
団体ビザ 5万4000人
個人ビザ 10万6000人

もはやダブルスコアで個人のほうが多いのです。上海の旅行関係者の言い方では「もう上海では8割は個人客」となるのも、この数字が物語っていたのです(彼らが上海というとき、江蘇省など上海以外は入っていないからです。実際、上海だけでしぼると、そうなるでしょう)。

これにはぼくもちょっと驚きました。こんなに早いスピードで個人旅行化が進んでいるとは……。

これはある上海の旅行会社の上海発九州行き個人客の手配の告知です。ビザと航空券と初日のホテル予約のみの料金です。これを見たとき、ぼくは1980年代の日本人の海外旅行がこんな感じだったことを思い出しました。実際、ぼくもこの当時、中国旅行に行くとき、ビザ(当時はまだ必要でした)と航空券と初日のホテル予約だけ旅行会社に頼み、あとは自由に旅行していたものです。
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この事実は日本で中国民泊サイトの利用が拡大していることを裏づけています。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

もはや上海人は、同じ中華圏の台湾や香港の旅行者とそれほど変わらない旅をするようになったといえそうです(厳密にいうと、まったく同じとは言えませんが)。

1980年代後半、バブル経済に沸く日本へ多くの上海人が就学生となって押し寄せました。日本が「失われた20年」に突入する90年代半ばくらいには、彼らの多くはさっさと帰国してしまいましたが、日本とのつながりは、その後の日本企業の上海進出ラッシュなどもあり、続いていました。その意味で、上海人たちは中国で最も日本をよく知る人たちでした。

ですから、彼らが個人客となって日本を訪れるようになっても、それほど困ることはないのでしょう。内陸都市などから日本に来た中国客が環境の違いに戸惑うのに比べ、いち早く経済成長し、日本の情報も広く流通していた上海人は慌てることはなかったのです。

ただし、上海市場の動向をもって中国を語るのは大きな間違いといえます。訪日旅行市場全体が昨年約500万人だったことから、上海市場は中国の3分の1を占めることもわかりますが、逆をいえば残りの3分の2は上海以外の人たちなのですから。

メディアにあふれる中国人観光客像の多くは、この点に無頓着、あるいは知ってか知らずか、ボカして語ろうとする話が目につきます。

ともあれ、これだけ個人客が増えたのですから、これまでのようなバスで免税店に送り込み、「爆買い」させるというような商法は、少なくとも上海人には通じません。

では、どうやって個人客に売ればいいのか。これはそんなに簡単ではなさそうです。

ある上海在住の事情通はこんなことを話してくれました。

日本の人たちは、ひとりよがりなところがあると思います。

彼らは「中国の富裕層をターゲットにしたい」と言います。もう団体客なんて相手にしない、と。

さらにこうも言います。「富裕層であれば、自分たちのサービスやおもてなしの心を喜んでくれるはず。それだけの自負はある」と。

でも、本当にそうなのでしょうか?

多様化した中国の訪日客のうち、そのような都合のいいターゲットがどれだけいるのでしょうか。

そもそも中国人富裕層って誰のこと? そういうことをわかって言っているのでしょうか……。


確かに、そうですね。中国人富裕層ってよくいうけど、どこにいるのでしょうか?

その点について最も詳しい人物のひとりをぼくは知っています。その話はまた別の機会に。

(上海出張で拾った話)
上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!?
http://inbound.exblog.jp/25647061/

中国おばさん軍団、日本のホテルロビーで踊り出し、顰蹙を買うとの噂
http://inbound.exblog.jp/25650474/
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by sanyo-kansatu | 2016-04-08 14:44 | “参与観察”日誌 | Comments(0)