ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 04月 10日

上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!?

上海出張に行くと、いろんな人に会います。現地に住む日本人もいれば、中国人もいる。中国人といっても、地元生まれの上海人と大学のときから上海に来て働いている「新上海人」では考え方も、行動もずいぶん違います。その違いは旅行の形態にも現れるものです。

さらにいうと、上海でオフィスワーカーをしている人とそうでない人、後者の中には出稼ぎ労働者に近い階層の知り合いもぼくにはいるので、それぞれの人たちとの付き合い方はまったく変わります。ぼくは所詮外国人なので、異なる階層を自由に縦断しながら付き合うことができるのですが、おそらく彼らにはできないことでしょう。なぜなら、中国人というのは、自分の属する階層の中に閉じた社会を生きているからです。

ですから、中国人といっても考え方は人によってずいぶん違います。誰もがそれぞれ自分の立場からモノを言うからですが、それぞれの立場が日本では想像できないほど違っているからです。ですから、知り合いの中国人がこう言ったという話を、さも中国全体の話のようにいうのはたいてい間違いなのです。

そんな階層縦断を日々体験することになる上海出張で拾った話の中から、いくつかの興味深いネタを公開してみようかと思います。

ポイントは、なぜ上海ではこんなに急速に個人旅行化が進んだのか、です。

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?
http://inbound.exblog.jp/25638388/

この点について、上海翼欣旅游咨询有限公司という訪日旅行のプロモーションを手がける会社の代表の袁承杰さんはこんな風に語っています。ちなみに、彼は上海生まれの上海人です。以前、現地で日系旅行会社の日本語ガイドをやっていた人です。

「上海人が団体ツアーで日本に行きたくないのは理由があります。団体だと、確かにツアー代は安いけど、行きたくもない免税店に必ず連れていかれること。帰国して、その場で成り行きで買わされた商品を確かめてみると、決していいものではない。車内販売で中国人ガイドに売られる商品もそう。そんな後悔は2度としたくないんです。こんなことになるなら、渡航費用が高くても個人ビザで日本に行くほうがいいと思っているのです」。

これは健全な市場化の流れを実感する話です。彼は1980年代生まれのいわゆる「80后」世代。彼らの多くはすでに30代になり、結婚し、子供も産まれています。そんな上海人の日本旅行とは。

「私と同世代の上海人は、土日をはさんで4泊5日で日本に行くというのが標準的です。安く行くためには、LCCを使った羽田深夜着便だと航空運賃も相当安い。

私たちの世代の中国人は、日本人のライフスタイルを経験したいんです。日本人が好むような隠れ家レストランに行くとか。団体はありえないんです」。 

彼の話を聞いていると、もはや上海人の日本旅行は台湾人とそんなに変わらないことがわかります。

こうしたことが可能となった理由については、日経BPネット<インバウンドBiz>の以下の記事で説明したように、日本政府のビザ緩和と中国からの日本路線の拡充が大きいのです。

ビザ緩和とLCC日本路線の拡充が日本旅行ブームをもたらした
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/031800009/

とはいうものの、同じ上海の同世代のオフィスワーカーでも、上海戸籍を持たない外地人だと、ビザの条件が少し違っていることを、ある日系広告代理店に勤める女性と話して知りました。

彼女は長江が東シナ海に注ぐ場所にある浙江省寧波出身で、これまで何度も日本に旅行に来ています。でも、彼女の話では、上海戸籍の人たちと違い、日本への個人マルチビザを取得するために、いったん沖縄に入る必要があるというのです。これは日本政府が数年前、3年間有効の個人マルチビザを発給するのに、沖縄と東日本大震災の被災地である東北3県に立ち寄ることを条件にしたからですが(そういうインセンティブを与えて沖縄や被災県への中国客を増やそうとしたわけです)、上海戸籍の人間が個人ビザを取るのに、いまはその必要はありません。彼女が浙江省出身だから、いまでもその条件が適用されるのです。冒頭で、上海人と「新上海人」では、旅行の形態が異なるといったのは、そういうことです。

出身地によってこういう分け隔てすることは、日本社会では差別として糾弾されがちですが、中国ではこのような見えない「区別」はいたるところに散見されます。ビザ発給条件というのは、日本政府が決めたことですが、この点を批判するのは間違っています。中国社会というのは、このようにでもしなければ統制・管理できない世界であることは否定しにくいからです。

実際、2015年1月にビザ緩和が実施されたといっても、個人ビザの発給用件として、その人物の資産がある一定以上であること、場合によっては銀行口座の残高の明細を提出させることは変わりません。日本では個人情報をこのように強制する無茶苦茶な条件など絶対許されないことですが、これも仕方がない面があるのです。

ですから、中国客を誘致したいと考える人たちであれば、こうした事情はある程度知っておくべきでしょう。いまだに団体客の人たちは、ツアー料金のほかに、多額の保証金を旅行会社に預けていることも事実なのです。

さて、こうした日本では考えられない発給「条件」は、当然上海人の旅行形態にも影響を与えることになります。なぜ上海ではこんなに急速に個人旅行化が進んだのかという理由について、ある現地在住の日本人はこう説明してくれました。

「上海人の多くは、団体で行くのは恥ずかしいと思っているんです。なぜなら、個人でないと貧乏人と思われるから。個人ビザが取れないということは、一定以上の資産がないとみなされたも同然だからです」。

この話をしてくれたのは上海の外資系企業で働く日本人です。彼の奥さんは上海人で、中国人に対する理解の深さは一般の日本人とは違います。そんな彼が日常的に接している上海人の言動から、これほど直裁に、個人旅行化が進んだ理由を解説してくれたことに、ぼくは唖然としつつ、なるほどと、うなづくほかありませんでした。

上海人にとって、団体、個人どちらのビザが発給されたかで資産のほどが知られてしまうことを意味するのですから、メンツに大いにかかわることなのです。だから、とても知り合いに「団体で行った」なんて言えないのです。

さて、最後のネタとして、前述した袁承杰さんの開発した面白いアプリを紹介します。

これは、日本に観光に来た中国人向けの音声ガイドのサービスで、「导游说(ガイドトーク)」といいます。
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导游说
http://www.daoyoutalk.com/
https://itunes.apple.com/cn/app/dao-you-shuo/id1062285581?mt=8

彼は以前上海を訪れた日本人観光客のガイドをしていました。いまは訪日中国人向けのサービスやプロモーションを手がけているのですが、彼の書いた企画書がちょっと面白いので、以下紹介させてください。

彼は訪日旅行に団体、個人ともにいろんな問題があることを指摘しています。
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これがこのサービスの概要です。おそらくネットによるサービスが普及している上海人には比較的受け入れやすい内容なのでしょう。この点、日本人のほうがピンとこないかもしれません。
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もしこのサービスに興味がある方がいたら、彼をご紹介しましょう。おそらく若い上海人向けのサービスとなると思うので、彼らの好きな日本アニメなどのカルチャー関連施設や商業施設などで使えるのではないでしょうか。

中国人といえば「爆買い」というイメージだけではもうすまない時代になってきていることを実感します。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-10 19:59 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 04月 08日

2015年の上海の訪日客、個人が団体を逆転 その意味するものとは?

久しぶりに、3月中旬に上海出張に行ってきた話の続きです。

今年6月にオープンする上海ディズニーの公式ショップを覗いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579060/

日本より進んでいる中国ECサービス 支えているのは誰か?
http://inbound.exblog.jp/25584174/

(公開されている情報ではないため)出所を明かせませんが、現地の事情通から興味深い情報を入手しました。

昨年(2015)、在上海日本総領事館が発給した訪日観光ビザのおおよその総数とその内訳です。

総数 約155万人
団体ビザ 66.7万人
個人ビザ 71.9万人
※これには上陸許可証で入国してくるクルーズ客は含まれていません。

訪日上海市場において、2015年に初めて団体客の数を個人客が上回ったのです。

在上海日本総領事館が担当している地区は、上海市だけでなく、江蘇省、浙江省、安徽省、江西省が含まれます。これらの省は上海に続く経済先進地域には違いありませんが、やはり旅行市場の成熟度は違いますから、団体客の比率はまだかなり高いと考えられます。つまり、上海市の住民が個人客の数を押し上げていることになります。

2016年1月の統計によると、個人化の勢いはさらに高まり、以下のような数字となっているようです。

2016年1月(在上海日本総領事館で発給した観光ビザ数)
総数 17万3000人
団体ビザ 5万4000人
個人ビザ 10万6000人

もはやダブルスコアで個人のほうが多いのです。上海の旅行関係者の言い方では「もう上海では8割は個人客」となるのも、この数字が物語っていたのです(彼らが上海というとき、江蘇省など上海以外は入っていないからです。実際、上海だけでしぼると、そうなるでしょう)。

これにはぼくもちょっと驚きました。こんなに早いスピードで個人旅行化が進んでいるとは……。

これはある上海の旅行会社の上海発九州行き個人客の手配の告知です。ビザと航空券と初日のホテル予約のみの料金です。これを見たとき、ぼくは1980年代の日本人の海外旅行がこんな感じだったことを思い出しました。実際、ぼくもこの当時、中国旅行に行くとき、ビザ(当時はまだ必要でした)と航空券と初日のホテル予約だけ旅行会社に頼み、あとは自由に旅行していたものです。
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この事実は日本で中国民泊サイトの利用が拡大していることを裏づけています。

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた
http://inbound.exblog.jp/25579904/

もはや上海人は、同じ中華圏の台湾や香港の旅行者とそれほど変わらない旅をするようになったといえそうです(厳密にいうと、まったく同じとは言えませんが)。

1980年代後半、バブル経済に沸く日本へ多くの上海人が就学生となって押し寄せました。日本が「失われた20年」に突入する90年代半ばくらいには、彼らの多くはさっさと帰国してしまいましたが、日本とのつながりは、その後の日本企業の上海進出ラッシュなどもあり、続いていました。その意味で、上海人たちは中国で最も日本をよく知る人たちでした。

ですから、彼らが個人客となって日本を訪れるようになっても、それほど困ることはないのでしょう。内陸都市などから日本に来た中国客が環境の違いに戸惑うのに比べ、いち早く経済成長し、日本の情報も広く流通していた上海人は慌てることはなかったのです。

ただし、上海市場の動向をもって中国を語るのは大きな間違いといえます。訪日旅行市場全体が昨年約500万人だったことから、上海市場は中国の3分の1を占めることもわかりますが、逆をいえば残りの3分の2は上海以外の人たちなのですから。

メディアにあふれる中国人観光客像の多くは、この点に無頓着、あるいは知ってか知らずか、ボカして語ろうとする話が目につきます。

ともあれ、これだけ個人客が増えたのですから、これまでのようなバスで免税店に送り込み、「爆買い」させるというような商法は、少なくとも上海人には通じません。

では、どうやって個人客に売ればいいのか。これはそんなに簡単ではなさそうです。

ある上海在住の事情通はこんなことを話してくれました。

日本の人たちは、ひとりよがりなところがあると思います。

彼らは「中国の富裕層をターゲットにしたい」と言います。もう団体客なんて相手にしない、と。

さらにこうも言います。「富裕層であれば、自分たちのサービスやおもてなしの心を喜んでくれるはず。それだけの自負はある」と。

でも、本当にそうなのでしょうか?

多様化した中国の訪日客のうち、そのような都合のいいターゲットがどれだけいるのでしょうか。

そもそも中国人富裕層って誰のこと? そういうことをわかって言っているのでしょうか……。


確かに、そうですね。中国人富裕層ってよくいうけど、どこにいるのでしょうか?

その点について最も詳しい人物のひとりをぼくは知っています。その話はまた別の機会に。

(上海出張で拾った話)
上海で個人旅行化が進んだ理由は貧乏人だと思われたくないから!?
http://inbound.exblog.jp/25647061/

中国おばさん軍団、日本のホテルロビーで踊り出し、顰蹙を買うとの噂
http://inbound.exblog.jp/25650474/
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by sanyo-kansatu | 2016-04-08 14:44 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 04月 07日

イースターが来ると、1980年代のヨーロッパを思い出す

ここ数年、3月下旬から4月にかけてのイースター(復活祭)休暇の時節になると、多くの外国人ツーリストがまちをにぎわすようになりました。桜の開花も重なり、キリスト教圏以外の人たちも多いです。

ふとこのような光景は、日本列島の歴史が始まって以来のことではないだろうか、などと大げさに思ったりもします。

空気もぬるみ、まちに出かけるのが楽しくなるので、ぼくもつい仕事場を抜け出し、そこらをふらふらと散策してしまいます。

※ここ1、2年のイースターウォッチングの記録。

イースター(復活祭)休暇中の京都、大阪はにぎわってました
http://inbound.exblog.jp/25634021/

イースターも近い原宿では非英語圏の言葉があちこちで聞かれた
http://inbound.exblog.jp/24322287/

イースター休みに渋谷スクランブル交差点に出没した外国人をシューティング
http://inbound.exblog.jp/24348359/

自分の暮らすまちに外国人があふれる光景を見ていると、ぼくはよく1980年代のヨーロッパのことを思い出します。

いまでも鮮明に覚えているのは、1980年代半ばのイースターの頃に訪ねたウィーンの光景です。市の中心部に「リンク」と呼ばれる石畳の広場があり、その背後にはゴシック様式のシュテファン大聖堂の尖塔がそびえていました。

広場にはあふれんばかりの外国人ツーリストの大群衆がいたのです。ぼくもそのひとりでした。

当時は「ペレストロイカ」の時代。米ソ冷戦構造が雪解けを迎え、東側との境界に位置したウィーンには、周辺の国々から人々が集まっていました。

実は、同じ光景は、お隣のハンガリーの首都ブタペストでも見られました。学生だったぼくは、春休みを使って自由化の進む東ヨーロッパの国々を一つひとつ訪ねていたのです。イスタンブールからベルリンまでの旅でした。

ひとつの都市にこんなに大勢の外国人が姿を現わすということがあるものなのか……。

そして、思ったものです。日本にもこのような状況が起きる日は来るのだろうか……。

当時それはまったく考えられないことでした。80年代の東京には、確かにアジア系移民労働者の数が増えていましたが、彼らはツーリストと呼べる存在ではなかったからです。

ですから、2010年代半ばの日本の大都市に見られる状況は、驚きを禁じえないものがあります。

1980年代というのは、日本がグローバル・ツーリズムの大衆化を迎えた時期でした。

いまでは特別なことではありませんが、アルバイトで貯めたわずかなお金で、学生がヨーロッパを数ヶ月かけて旅して回れるようになったのは、この頃からです(それ以前の時代にもヒッピー的な放浪はありましたが、1980年代に起きたのは、大学のクラスの大半が卒業前に同じような旅行をしていたという意味で、大衆化していたわけです)。1985年のプラザ合意による円高が引き金であったことは確かです。

ちょうどいま、日本を訪れているアジアのツーリストたちの多くが、当時の日本のような時代の空気を吸って旅しているのだと思います。

ぼくが彼らの姿を写真に収めたり、ウォッチングをしたりしているのは、旅空の下にいる彼らの思いがよくわかる気がするからです。それが懐かしいからでもあるんです。
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by sanyo-kansatu | 2016-04-07 15:19 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 04月 07日

イースター(復活祭)休暇中の京都、大阪はにぎわってました

キリスト教圏に暮らす人たちにとってイースター(復活祭)休暇は、春の訪れを実感し、旅心を満喫させる旅行シーズンです。

今年は3月27日がイースターの日でしたから、3月下旬から4月上旬にかけて、全国各地に欧米の旅行者が出没しました。おそらく1年のうち、彼らがいちばん目につく時節ではないでしょうか。

3月末、ぼくは京都、大阪方面に出張に行く機会がありました。桜は七分咲きといった感じですが、まあどこに行っても欧米のツーリストの姿を見かけました。以下、各地の行楽風景のスナップを紹介します。

まず京都から。これは鴨川の桜です。川向こうに見えるのは、京都を代表するラグジュアリーホテル、ザ・リッツカールトン京都です。
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京都地下鉄も、スーツケースを引いた外国客だらけです。左は西洋の女の子ふたり、右は上海人の女の子グループのようでした。
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京都駅にも欧米の若い小グループがいました。
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京都駅の観光案内所の前には、タイ人の女の子グループがいます。
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観光案内所の中には欧米のバックパッカーたち。
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ここは大阪のUSJ。今年で15周年。入園者の10人に1人は外国人だとか。最近ちょっと入園者が伸び悩んでいるTDLに比べ、大躍進だそうです。
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15周年のUSJ、来場者急増 映画以外も取り込み躍進(朝日新聞2016年3月19日)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3K4JWZJ3KPLFA004.html
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USJで意外に目につくのは、スカーフを頭に巻いたマレー系、インドネシア系と思われる旅行者たちです。
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彼らは東南アジアから来た家族のようですね。
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欧米人のカップルもあちこちで見かけます。背後にいろんな国の人たちがいて、思い思いのポーズを取っているのが面白いですね。ポーズやしぐさによって国や民族の特徴が出ているように思います。
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人目も気にせず、こんな派手なポーズをするのはどこの国の人か? そう中国人です。
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彼女らはこんなモデルポーズも日常です。
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この手のキャップとファッション、おそらく韓国人ですね。
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えっ、スーパーマンのペアルック!?  話し声を聞くと、韓国人のようです。
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イースターと桜の季節が重なり、関西では欧米客だけでなく、アジアの皆さんも日本の春を楽しんでいました。関西国際空港に乗り入れるアジア系エアラインの数は尋常ではないですから、これも当然のことでしょう。

さて、東京に戻ってきて、昨日は久しぶりにいい天気だったので、仕事場に近い新宿御苑に足を運んでみました。すると、入口は大行列。アルコールの持ち込みが禁止なので、入場前に持ち物チェックしています。
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チケット売り場の前もこの混雑。芝生に寝転がって桜を眺めようと思っていたのですが、これではのんびりできそうもありません。入園を諦めました。
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新宿御苑は新宿区を代表するインバウンドスポットだけあり、外国人の姿も多く見られました。ベビーカーを押す子連れのカップルもたくさんいます。
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ここでもスカーフ姿のマレー系とおぼしき家族の姿を見かけました。お土産もずいぶん買っているようです。
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春が来たんですね。にぎやかな春が。

※最近の新宿御苑はこんなことになっています。

ムスリム・ジャンピング・ガール目撃!? ようこそ、21世紀の新宿御苑へ(2015年 10月 23日)
http://inbound.exblog.jp/25020925/
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by sanyo-kansatu | 2016-04-07 10:13 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 03月 27日

都内で民泊をやってる在日中国人の話を聞いてみた

上海から戻ってきた翌週、地下鉄の中吊り広告で目にしたのが、『ウェッジ』(4月号)の「中国民泊」の特集でした。
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特集「訪日外国人を囲い込む中国民泊」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6347

今年に入ってぼくは内陸都市の重慶や成都、そして上海を訪ね、現地の旅行関係者らにヒアリングを続けてきました。そのポイントは、中国では訪日客の個人旅行化のスピードが想像以上に早く進んでいるということでした。

その背景には、日本政府によるビザ緩和の推進があります。詳しくは以下参照。

ビザ緩和とLCC日本路線の拡充が日本旅行ブームをもたらした(日経BPネット2016.3.22)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/031800009/

で、その結果、何が起こるかというと、AirBnBを超える勢いの「中国民泊」市場の拡大だったのです。

同特集をざっと読みました。冒頭のレポート「日本でAirBnBを猛追する中国民泊」を執筆しているのは、現代中国事情の専門家の富坂聡さんです。さすがに情報が早いですね。

同記事は、上海に本社を置く中国最大の海外民泊サイト「自在客」の紹介から始まっています。「同社の提供している部屋は、台湾で21都市、韓国で27都市、中国大陸に46都市、そして日本に40都市、さらにアメリカにも4都市」。なかでも「予約の多い都市として挙げられた10都市のうち6都市が日本」「自在客のホームページで「日本」と入力すると、2090件、1万2760室と表示される」。これは「現在日本で2万6000室を提供しているAirBnBが1年前は1万件にも満たなかったことを勘案するとその存在感は既に甚大だ」といいます。

では、実際に「中国民泊」サイトにはどのようなものがあるのでしょうか。上海の旅行関係者に聞いたところ、海外民泊を扱う代表的なものは以下の3つです。
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自在客 http://www.zizaike.com/
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住百家 http://www.zhubaijia.com/
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途家 http://www.tujia.com/

実は、他にもいろいろあるのですが、以下の2つは中国国内の民泊がメインだそうです。
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游天下 http://www.youtx.com/
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蚂蚁短租 http://www.mayi.com/

いまの中国には数多くの民泊サイトがあります。前述の旅行関係者は「人気の理由は、ホテルより安くて、利用者の個別のニーズに応えられること。ホテルが取りにくいオンシーズンに役に立つサービスです。個人旅行の増加で、特に日本の民泊が大人気になっている」といいます。

では、もう少し「ウエッジ」4月号の記事を見ていきましょう。同誌の記事の一部はネットでも閲覧できます。

日本市場に吹き荒れる「中国民泊」旋風
最大手「自在客」CEO独占インタビュー
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6403

ここでは、同サイトの張CEOによるいくつかの興味深いコメントが載っています。一部抜粋してみます。

― 日本でのサービス開始はいつか? 現在どれぐらいの部屋数を提供しているのか?
張 日本では14年12月にサービスを開始した。現在、約2000人のホストがいて、約1万2000室を提供しているが、日々増加しており、1年後にはまったく違った数字になっているはずだ。

― 日本にいるホストは中国人が多いのか?
張 中国人、日本人、その他の国籍の人が、それぞれ3分の1ずつというイメージだ。以前は中国人ホストが多かったが、最近は日本人ホストが急増している。日本のホストのうち7割程度はAirbnbとの重複登録だと思う。

― 「自在客」以外にも、中国系民泊仲介事業者である「途家」や「住百家」なども日本市場へ参入している。
張 中国系民泊事業者のなかで比較すると、当社が日本でのシェアがもっとも高い。途家は中国国内での民泊に強く、住百家は富裕層に強いという特徴をもっている。当社はFIT(Free Individual Travel、個人手配の自由旅行)に強い。


AirBnBのホストたちの多くも、「自在客」に部屋を提供しているのですね。何人かのホストをしている知人がぼくにもいますが、部屋の回転率を上げたい彼らにすれば、窓口は多ければ多いほどいいということでしょう。実際、AirBnBでも中国本土客の利用が増えているからです。

張CEOはこんなことも言っています。

―― 現行の日本の法律では、特区等を除いて民泊は禁止されている。
張 その点は認識している。だが、中国では既に政府が民泊を許可しているなど、世界各国では合法化の流れがある。それに比べると、日本はやや法整備が遅れている印象をもっている。


この発言には少し違和感があります。確かに、中国では自国民を相手にした民泊ビジネスは盛んなのかもしれませんが、はたして外国人の受入は可能なのでしょうか。なぜなら、中国のホテルに泊まったことのある人なら誰でも知っていると思いますが、この国の宿泊施設では外国人のパスポートコピーを地元の公安に提出する義務があります。それは民泊でも同じはずです。そもそも中国では外国人を泊めていいホテルとそうでないホテルがいまだに存在します。それほど外国人の管理にうるさい国なのです。この状況を知る以上、張CEOの発言はずいぶん都合がよすぎる言い分だと思うからです。

さらに、彼はこうも発言しています。

Airbnbはホストとゲストの両方から手数料を取る仕組みだが、当社はゲストからは一銭も取らず、ホストから手数料10%を取る仕組みだ。中国の旅行者はホテルの仕組みに慣れており、「ゲストが手数料を徴収される」ということに慣れていない(笑)

おいおい、これは民泊本来の相互扶助の精神から逸脱するものではないでしょうか。ホテルと民泊は別物であるという感覚が麻痺しているように感じないではありません。経営者がこんな考え方で大丈夫なのでしょうか…。

そもそもAirBnBが登場する前から国を超えた個人同士が無料で部屋を貸し借りするというSNSは存在していました。カウチサーフィンといいます。
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カウチサーフィン
https://www.couchsurfing.com/
http://find-travel.jp/article/4012

上記サイトは、このサービスについて「直訳するとカウチ(ソファ)でサーフィンの意味。カウチゲスト(旅人)がカウチホスト(宿泊地提供者)を見つけることで旅が手軽になります。お金のやりとりはなく、無料でソファーに寝かせてもらうイメージ」と説明しています。

上海に住む友人のカメラマンもよくこのサービスを利用するといいます。地方出張に行くとき、カウチサーフィンに登録している中国人の家に泊まったり、地方から上海に遊びに来た中国人を部屋に泊めてあげたりするそうです。このサービスは2000年代の早い時期から存在していました。

ところが、AirBnBという金銭の授受を含む民泊サービスが登場してきて以来、状況は変わってきたといえます。

「中国民泊」について気になることは他にもいろいろあります。

上海でC-Tripのホテル予約を担当している関係者に話を聞いたところ、同サイトをよく利用する香港人と中国人ではホテル選びの考え方がまったく違うといいます。香港人は「要求がとても細かい。ロケーションはもちろん、部屋は何平米で、ベッドサイズはどうかなど、いろいろ聞いてくる。料金が少々高くても、自分の好みの部屋を探す傾向がある」のだとか。

一方、中国人が追求するのは安さのみだというのです。

これはひとことでいうと、香港と中国の消費者の成熟度の違いからくるものだといえるでしょう。海外のホテルの利用に慣れている香港人と、自分では慣れているつもりでも、実際はたいしてよくわかっていない中国人との違い。安さしか求めないというのは、残念ながら、それ以外の選択の基準を知らないからなのです。細かいリクエストを伝えることが身についていないわけです。

こうした中国人の消費感覚は、民泊市場の拡大につながっていると考えられます。いま東京や大阪のホテルは予約が取りにくいだけでなく、価格は高騰し、彼らが考える宿泊相場とは乖離が生まれています。だったら、どんな部屋でもかまわないから、安いところを見つけたい。

では、彼らはいくらくらいで泊まっているのか。

知り合いに池袋のマンションを数室借りて「住百家」で民泊ビジネスを始めた在日中国人がいます。彼は昨年、勤めていた会社をやめ、この商売に乗り換えました。彼によると、ワンルームマンション一部屋を1日800元(約1万5000円)相当で提供しているそうです。

ただし、たいてい家族4人、多い場合は6人くらいが1部屋に泊まるそうです。みんなで雑魚寝のイメージですが、かなり安上がりといえます。最低2泊以上を条件にしているようですが、実際、中国人の個人旅行は、カップルというより5~6人の小グループや家族が多いので、民泊は訪日中国市場に合っているという言い方もできそうです。

なにしろ100万人に近い在日中国人がいるので、できれば知人や親戚の家に泊まって安く上げたい、というのが彼らの本音なのです。本来AirBnBなどの民泊サービスは、海外のふつうの家に泊まって、現地で暮らすように滞在を楽しみたいというニーズから市場が拡大したはずですが、大半の中国人のニーズはそういうことではなさそうです。

実際、1泊800元ではホストである彼も、それほどの利益にはなりません。そこで、彼が始めたのは「空港からの送迎」です。家族や小グループで来日した中国個人客は、東京の交通機関に慣れていません。タクシーは片道数万円と法外な高さだし、香港人や台湾人には可能なレンタカーも利用できない。それゆえ、送迎サービスにはそれなりの需要があり、確実に利益も取れるからというわけです。

前述の富坂さんは記事の中で、在日中国人企業家の民泊ビジネスの実態について、「マンション丸ごと買い取るケースが多い」「外国人向けの寮、さらにはシェアハウスを買い取るか借り上げてしまうパターン」があると指摘しています。確かに、薄利とはいえ、今後も数の増加が見込める中国客相手に利益を上げようとすると、そういう発想になって当然かとは思いますが、彼らだって誰もがそんな資本力を持っているとは限りません。C-Tripや春秋国際旅行社などの中国の旅行会社が日本のホテルや宿泊に利用できる施設を買い上げる動きは起きていますが、民泊用に買い上げることがどれほど進むか、ちょっと疑問です。そもそも安く上げたい人向けのサービスだからです。

それに、言うまでもありませんが、民泊の法的規制の問題はまったく解決していないからです。これは日本に限った話ではなく、全世界的にいえることですが、ホテル業界の反発があります。彼らにしてみれば「ホテルに義務付けられる環境・食品衛生・防火安全対策が(民泊のホストらに)免除されているのは不公平」(「ウエッジ」4月号p31 英国のホテル業界のロビー活動の事例)だからです。

もうひとつは、近隣住民へのケアがおざなりなことです。自分の住むマンションの隣の部屋に、数日ごとに見ず知らずの外国人がやって来ることを、誰しも心よく思わないからです。

こうしたこともあり、富坂さんの記事でも、日本における「中国企業不在の民泊ルールづくり」を批判しており、これには大いに同意します。数の上では、いずれAirBnBを追い抜くかもしれない中国民泊の関係者らが、これまで政府の法規制のルールづくりの会合に呼ばれたことはなかったからです。彼らが外国人であったとしても、日本国内で事業を営む以上、本来は関係ないではすまされません。

中国民泊の話は今月初旬、九州で逮捕された中国人不法ガイドの問題と重なってきます。これほど訪日中国市場が拡大しているのに、団体ツアーの国内手配を実際に手がけている在日中国人関係者らは、日本の旅行業界の蚊帳の外、アンタッチャブルな存在として放置されてきたからです。だから、彼らは気兼ねなく中国式ビジネスを日本国内で続けてこれたわけです。

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?
http://inbound.exblog.jp/25461430/

もっとも、民泊に関してはAirBnBのホストの多くが日本人でもあるように、ガイド問題とは少し事情が違うのも確かです。市場が拡大し、儲かるとわかっていて、在日中国人らがこのビジネスに手を出さないわけがありませんが、それは日本人も同じなのですから。

いずれにせよ、訪日旅行市場の拡大をうまく仕かけたわりには、この領域に関する日本政府の法制度の整備を進める態度は、あまりに初心でおっかなびっくりという印象がぬぐえません。確かに、年間2000万人の外国人が訪れるということは、日本列島の歴史上初めてのことでしょうから、前例がなく、適正かつ果断な判断が難しいという面はあると思います。でも、これだけ外国人観光客を呼び込むことに成功した以上、それを日本社会の利益になるよう運営していかなければ、何のためにやってるの? という話になりかねません。AISOの王会長ら、外国人関係者ほど、この問題に関する政府の姿勢に首をかしげています。

お役所任せではもうどうにもならないのが、いまの日本なのかもしれせん。だとしたら、残念なことです。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-27 14:40 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 03月 10日

「コミッションに頼らない個性的な旅をつくりたい」(by中国旅行業界の若手有志)

ここ何回か、2月中旬に訪ねた中国内陸都市の重慶や成都(四川省)の訪日旅行市場について書いてきました。

「重慶・東京5400円から」「日本旅行5泊6日6万3000円」~重慶、成都の街角にて
http://inbound.exblog.jp/25425180/

中国内陸都市でも若い世代を中心に個人旅行化の機運が起きている
http://inbound.exblog.jp/25481978/

成都のイトーヨーカドーと伊勢丹は気軽に旅行に行けるようになった日本のイメージと重なって見える
http://inbound.exblog.jp/25483824/

スプリングジャパンの成田・重慶線の就航で、この地域の人たちも気軽に日本に来られるようになったこと。そして、驚くほどの安値で東京・大阪ゴールデンルートのツアーが販売されていることがわかりました。

もっとも、こうした安値のツアーが成り立つ背景に、先日福岡で摘発された中国人不法ガイドと免税店の存在があることは、中国側の関係者は誰でも知っています。

中国人不法ガイドの摘発は全国に波及するのか。訪日旅行市場に与える影響は?
http://inbound.exblog.jp/25461430/

そして、こうした健全とはいえない団体ツアーについて、中国側の旅行関係者らの間ではこれまで「必要悪」とする見方もあったようですが、一部の良識ある人たちは、市場が荒廃していくだけの愚かなビジネスだと主張し始めています。その点については、いまぼくが連載している日経BPネットで記事化したばかりです。

中国人不法ガイドが摘発された背景にあるものは? 訪日旅行市場に与える影響は?
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/IB-BU/030800008/

とはいえ、一部の有志がそう思ったところで、そう簡単に変わらないのも事実です。ツアー代金を安くすることで、これほど多くの中国人が日本旅行に行けるのだから、文句を言う筋合いではないだろう。そうした見方は、中国側だけでなく、日本側にもあるでしょう。

だからといって、ここで話を終わらせてはつまらない。なぜなら、重慶や成都といった内陸都市にも「コミッションに頼らない個性的な旅をつくりたい」と考えている若い旅行関係者らがいるからです。

そんな有志たちの話を聞いてみたいと思います。

まず中国旅行社総社重慶支社の日本市場担当、魯東さんの話から。彼は四川外国語学院日本語学科出身、1973年生まれの重慶人です。
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-春秋航空も成田に就航し、重慶ではこれから日本旅行がますます盛んになるのでしょうね。
 
「そうだと思います。でも、はっきり言って、いまの中国の旅行業は悪循環に陥っていると思います」

-悪循環というのはどういうこと?

「赤字覚悟の安い料金でツアー客を集め、お土産店から得たコミッションで埋め合わせをするという悪循環です。これではツアーの質は下がる一方。でも、団体ツアーに参加する大半の人たちは初来日なので、それを受け入れているんです」。

彼の話を聞いていると、このモデルは日本の旅行会社の催行する中国ツアーでも採用されていたことがわかってきました。

中国旅行社総社重慶支社では、中国西部地区を訪れる日本客の手配を担当してきました。かつて四川省を代表する名勝である九塞溝に年間1万5000人の日本人旅行者が訪れた時期もあり、2007年がそのピークでした。しかし、それ以後、めっきり減ってしまいました。

「それでも、ある日本の大手旅行会社が今度、赤字覚悟のツアーを出してくるそうです。これでは仕事を受けてもこちらは赤字。四川省は翡翠が有名で、お土産販売のコミッションに頼る構造は、実はいま日本で起きていることと変わりません。我々も困っているんです」。

つまり、福岡で摘発された不法ガイドの問題は、日中で共通して起きていることだったのです。ツアー客を集客するために、見かけのツアー代金を下げて、その埋め合わせをお土産販売に頼るという構造です。

一般にメーカーが販売店に売り上げに応じた報奨金を出すことはよくあることだと思いますし、航空会社でも航空券の販売に応じた「キックバック」を旅行会社に支払うことは、ある時期まで普通のことでした。ですから、お土産販売にコミッションが発生することが問題というより、その比率や後先考えないその場限りの販売手法が見直されるべきなのでしょう。

「もうこんなことをいつまでも続けていても意味がない…」。

中国側の旅行会社の若手有志がそう考えるのも当然でしょう。

では、現状を少しでも変えていくためには何ができるのか。

「特色のあるツアーをつくっていくしかない。たとえば、海釣り体験はどうでしょう。長江のほとりに暮らす重慶人は釣り好きが多い。ただし、川釣りしか経験がないため、海釣りをしてみたい人は多いんです。

ただし、重慶には初めて日本に行く人がほとんど。だから、東京・大阪・富士山ははずせないんです。それら定番+特色。これでいくしかありません」。

重慶・成都地区の若い旅行関係者の多くは、九塞溝ツアーのガイド出身が多いことが特徴です。彼らは日本客の特性をよく知っています。

成都海外旅游公司の劉柯さんは言います。「世界のいろんな国のツアー客のガイドを経験したが、日本のお客さんがいちばん。礼儀が正しく、やさしい」。
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1977年成都生まれの劉柯さんは、2000年四川外国語学院日本語学科を卒業後、現地大手旅行会社に勤め、主に九塞溝のガイドを担当しました。ところが、前述したように、その後日本人客が激減し、失職の憂き目をみることになったのでした。

ちょうど同じころ、成都でも少しずつ海外旅行市場が動き始めていました。そこで、彼は個人客をメインとした個性的な日本の自由旅行の手配をする会社「HACHI TOUR(哈奇观光)」を立ち上げました。「HACHI 」というのは、渋谷のハチ公から取ったそうです。

実は、この会社は彼がいまもガイドとして在籍している団体ツアー専門の成都海外旅游公司の中にオフィスを置いています。

「資本力のない自分としては、このやり方が現実的でした。営業ツールは微信(We Chat)です。自分は日本語ができるので、さまざまな日本の情報をネットを通じて集めることができます。これを日々発信することで、日本に対する特定のテーマや関心をもつ人たちをグループ化することができます。こうしたグループごとに面白いツアーを企画していきたいと考えています」

これまでぼくは中国各地の旅行関係者らにヒアリングをしてきましたが、訪日旅行ビジネスの問題点として、日本語や日本のわかるスタッフが業務を担当しているわけではないという現状があります。日本語のできるスタッフは日本人客の手配を担当してきたインバウンド市場が激減し、多くは失職。北京や上海ではアウトバウンド担当に業務転換している人もいるのですが、多くの場合、日本の商慣行や日本人のメンタリティを理解している人たちが訪日ツアーを担当していないため、さまざまな問題が現れてしまっているように思います。日本を知らないから、客を送って日本側にお任せでも、気にならないのでしょう。

こうした状況はすぐに改善するとは思えませんが、中国の若い世代が団体ツアーではなく、個人による自由旅行を圧倒的に志向しているという現実は新しい可能性といえそうです。

ジャパンホリデートラベル(日本东瀛假日公司)成都事務所の文倩さんと廖欣さんは言います。ふたりもやはり四川外国語学院卒業生です。
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「成都で訪日旅行が始まったのは、東日本大震災後の2011年秋ころから。最初は団体ツアーだけでしたが、20~30代の若者は個人で自由旅行したい人が多いんです」。

中国における訪日個人旅行に火がついたのは、2015年1月の日本政府によるビザ緩和によるところが大きいといえます。これ以降、両親に一定の資産があれば子供の個人ビザ取得も可能になったからです。

四川大地探検旅行社の鄭磊さんも「いまの中国の若い世代が日本でしたいことは、観光地に行くことではない。買い物でもない。30代以上の人たちは最初は買い物が目的だけど、彼らもだんだん変わる。同じ趣味の友だちとゆっくり日本を旅してみたいとか、ホテルや飲食店での日本らしいサービスを体験してみたいとか、目的はいろいろです。若い人は間違いなく、個人旅行を選ぶ時代になっています」

その結果、中国の若い世代に日本を知ってもらうチャンスが増えるのだとしたら、悪くない話です。ぼくが中国旅行業界の若い有志たちをサポートしていきたいと思うようになったのは、そのためです。

これは前述の文倩さんが教えてくれたのですが、最近では以下のような在日中国人らの運営する個人旅行サービスも始まっているようです。

仙貝旅行
http://xianbei.cc/index.html
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by sanyo-kansatu | 2016-03-10 13:12 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 03月 09日

中国内陸都市でも若い世代を中心に個人旅行化の機運が起きている

2月中旬、中国の内陸都市である重慶や成都(四川省の省都)を訪ねたのですが、そこでいちばん感じたことは、上海や北京などの沿海先進経済地域に遅れて訪日旅行市場が動き出したばかりのこの地域でも、若い世代を中心に個人旅行化の機運が起きていることでした。

たとえば、重慶や成都の書店に行くと、個人旅行者を対象とした旅行ガイドが並んでいます。
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中国は国土が広いので、上海や北京に比べると数年遅れの内容からなるラインナップという気がしますが、東京や大阪だけでなく、沖縄や中部北陸地方限定のシリーズ書も並んでいます。
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中国人に比べはるかに日本旅行に精通した韓国人や台湾人による紀行エッセイなども多数発売されており、情報源となっていることがうかがえます。
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ネットによるさまざまな情報があふれる中国ですが、これらの情報は真偽のあやしい噂話も多いといえます。ぼくは微信(WeChat)で「日本特色深度游(日本の特色あるディープ旅行)」や「日本自由行(日本自由旅行)」といったグループに入って日々彼らがアップする情報を眺めていますが、そこには日本に関するさまざまな情報があふれてはいるものの、断片的なネタが多く、人によって本来目的の異なっているはずの滞在中の行動の充実度を高めるための戦略的かつ鳥瞰図的(とでもいいましょうか)な都市の構造のコンパクトな把握を行うための最も基本的な見取り図を提示することにおいては、現段階では、旅行書籍のほうがネット情報より秀でていると思います。

要するに、それが中国の旅行書のタイトルによく使われる「攻略」ということですが、これが頭に入っていないと、だた点と点をつないであてどなく移動していくほかないからです。要は、ネット情報は必ずしも「使える」とはいえないものも、多いのです。

ぼくはふだんからよく思うのですが、ネットの情報というのは、本当はよくわかってもいないのに、わかった気にさせてしまう面があるという自覚が利用する側に必要とされるメディアだということです。特に旅行情報については、その悪しき影響が強いと思います。

さて、海外旅行市場もかなり成熟してきた沿海地方とは違い、重慶や成都あたりでは、街場の旅行会社の店舗などにこうした旅行商品のリストを手書きにしたボードがよく置かれていました。
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最初の看板は中国青年旅行社のもので団体ツアーの情報ですが、下のボードは、国内外の手配旅行の情報です。いま中国の人たちは、お仕着せの団体ツアーではなく、自分の足でどこでも訪ねてみたい、そういう思いでいっぱいのようです。
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先ごろ成田・重慶線を就航させたばかりのスプリング・ジャパンの親会社にあたる春秋国際旅行社では、以下のようなチラシを配っていました。
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「日本自由行」とあるのは、先日本ブログでも紹介した重慶の街角の電子広告にもあった個人旅行の手配をうたうものです。

「重慶・東京5400円から」「日本旅行5泊6日6万3000円」~重慶、成都の街角にて
http://inbound.exblog.jp/25425180/

チラシの裏面を見ると、細かな料金表が載っていました。その内容は、「(日本までの往復)航空券」「ホテル(希望宿泊分)」「ビザ(団体ではなく個人ビザ)」「WiFi(日本でスマホを使うためのアプリ購入代金)」の組み合わせでした。
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これはあくまで個人ビザを取得した人たち対象のサービスですが、これを見てわかるのは、いまの中国人がどんな日本旅行をし始めたかということです。

最も割安な「航空券+ホテル1泊」(4泊5日 2799元)とは、往復の航空券と初日のホテル1泊分のみのサービスで、これを購入する人は、すでに個人のマルチビザを所有しているため、あらたにビザ申請する必要がなく、成田に到着したその日の夜だけ成田周辺か都内に1泊ホテルを予約するだけを旅行会社に依頼しているわけです。

このような「自由行」のスタイルは、日本では1980年代から一般化していたもので、ちょっと懐かしい気がします。ぼくも、20代のころ、往復航空券と初日のホテルのみ予約して海外に遊びによく行っていたものだからです。日本人の場合は、たいていどこに行くのもビザが不要だったので、中国人の場合のように、ビザ代行を旅行会社に依頼する必要もありませんでした。

ところで、彼らは初日だけホテルを予約して、残りの日の滞在はどうしているのか? 自分でネット予約しているのです。中国の最大手オンライン旅行会社のCTripを使ってもいいでしょうし、最近では中国版AirBnBである「住百家」という民泊サイトを利用する人も増えています。

住百家 http://www.zhubaijia.com/

このサイトは、在日中国人らが運営する民泊サービスです。法的にグレーゾーンとされるこのサービスの実態については、今後あらためて紹介したいと思います。

何はともあれ、我々が想像する以上の速さで、中国の個人旅行化は進みつつあり、今後訪日旅行市場にも影響していくことが予想されます。
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by sanyo-kansatu | 2016-03-09 08:31 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2016年 02月 11日

2016年は名古屋のインバウンド躍進に要注目

名古屋というのは、日本の主な大都市の中で、これまでドメスティックなイメージがつきまとっていました。インバウンド市場が盛り上がるなか、これも首都圏と関西圏にはさまれたせいなのか、いまいちぱっとしませんでした。中部地区を売り込むため、中部国際空港をゲートウエイにした「昇龍道」という観光ルートを立ち上げて、ここ数年海外に向けてPRしてきましたが、もうひとつピンとこず、白川郷のような一部の世界遺産のようなスポットを除くと、他の地区の後塵を拝してきた印象は否めません。

そんな名古屋のインバウンドの躍進がようやく注目され始めています。

エクスペディアの国内都市別ランキングでは、名古屋は7位です。しかし、東京や大阪より伸び率は上がってきました。
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エクスペディアの名古屋支社は、昨年10月以下のリリースを配信しています。
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地方都市、札幌や福岡に比べた名古屋におけるアジアからの注目度

「上記の「主要都市における訪問客の構成」を比較してみると、アジア人の割合に差があることがわかります。韓国、香港、タイ、台湾というアジアの主要地域が占める構成比を見てみると、札幌の訪問客の72%、福岡の訪問客の83%をアジア人が占めていますが、名古屋はまだ60%とアジアからの注目度が低いことがわかります。これはアジアにおいて影響力の大きいLCCの便数がまだ名古屋では少ないことが要因のひとつと考えられるため、今後のLCCの就航により市場が成長していくことが予想されます」

名古屋が最も好きな訪日外国人は「香港人」で全体の約4割!

「名古屋に来ている訪日外国人を国別で比較してみると、香港からの旅行客が半数に近い42%も占めていることがわかります。

また名古屋における訪日香港人の2014年1-9月と15年の1-9月の予約件数を比べてみると、572%と急激に伸びており、香港における名古屋の注目度が高いことがうかがえます。

2014年9月に香港エクスプレスが名古屋・香港線を就航したことが要因のひとつであり、今後エアアジアやジェットスターが新たに名古屋と台北を結ぶ便の就航を予定していることから、台湾からの訪日が増え、アジアからの注目度が伸びることが予想されます」


中部国際空港における台湾便LCCの就航
・ジェットスター・ジャパン 2015年12月12日新規就航(週7便)
・Vエア 2015年12月15日新規就航(週4便)
・タイガーエア台湾 2016年1月29日より就航予定(週7便)
・エアアジア・ジャパン 2016年春就航予定

そんな期待の高まる中部国際空港でしたが、エアアジア・ジャパンの名古屋便が延期になることが昨日、発表されました。

エアアジア、中部空港就航先送りへ (日本経済新聞2016/2/10)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO97116790Z00C16A2L91000/

その背景については、以下のレポートを参照ください。

エアアジア・ジャパン就航への課題とは - CEO交代の裏で起きていたこと
http://news.mynavi.jp/articles/2016/01/22/airasia/

もっとも、中部国際空港へ運航する国際線は確実に増えています。背景には関空の入国手続きや大阪府内の宿泊施設はすでに「キャパオーバー」の兆候があり、中国系エアラインなどの新規就航が中部国際空港へとシフトする傾向も見られるからです。

実際、中部国際空港の中国路線は、すでに以下の24都市に就航しています。

北京、上海、長春、長沙、常州、大連、福州、杭州、貴陽、ハルビン、合肥、フフホト、昆明、南通、寧波、青島、瀋陽、石家荘、太原、天津、武漢、西安、煙台、銀川

中部国際空港フライトスケジュール(2016年2月1日~2016年2月29日)より
http://www.centrair.jp/airport/flight_info/monthly/1198613_1744.html

中国の地方都市からの路線は団体客が大半のため、エクスペディアを利用する層ではありません。しかし、訪日客の最大シェアである中国客の増加は名古屋のインバウンドに大きなインパクトを与えていることでしょう。また常に日本旅行の最先端を駆け抜けてきた香港人を乗せた香港エクスプレスの就航の意味は大きいと思います。中部国際空港からレンタカーを利用して「昇龍道」を走るというような動きが起こることも考えられます。

昇龍道
http://go-centraljapan.jp/ja/special/shoryudo/index.html
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by sanyo-kansatu | 2016-02-11 17:54 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 02月 11日

訪日客の沖縄、札幌、福岡のエクスペディア予約件数が伸びている

訪日外国人旅行者数の拡大に伴い、ホテル予約サイトのエクスペディアで地方都市の宿泊施設を予約する件数が増えています。

2015年の国内都市別の予約総数のランキングは以下の通り。
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東京、大阪、京都が圧倒的に多いですが、前年度からの伸び率でいうと、上記右上トップ5、特に熊本のような地方都市でも予約が増えています。なんでも「くまもん」人気で香港人の熊本訪問が増えたことも理由だそうです。もっとも、上記右上5都市はもともと母数が少なかったため、伸び率が大きく見えますが、全体でみると以下の5都市の伸びが要注目です。

沖縄 230%
札幌 203%
福岡 201%
名古屋 175%
大阪 172%

海外FITの地方への分散化にエクスペディアが貢献していることがわかります。同社はさらに地方の宿泊施設の取り込みを進めるため、昨年9月に九州支社、10月に名古屋支社、そして今年2月に沖縄支社を開設しています。

エクスペディアでは、各都市の外客の傾向についてリリースを配信していて、とても興味深い結果が現れています。

まず沖縄から。今年2月のリリースによると、以下のとおりです。
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「香港」と「韓国」からの訪日外国人が全体の約7割超え!

「エクスペディアの海外サイト経由で沖縄に来ている訪日外国人を国別で比較してみると、香港から38%、韓国から35%と、両国からの訪日客が全体の7割を超えていることがわかりました。

また沖縄における訪日外国人の予約件数を2012年から比較すると、14年から15年にかけて大きく伸びていることがわかります。その背景は、円安により日本に旅行がしやすくなったこと、そしてLCCの新規就航が挙げられます。2015年だけでも、ピーチのソウル・沖縄線、タイガーエア台湾の台北・沖縄線、春秋航空の上海・沖縄線が就航しました」


月別の訪日客の推移も出ています。
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「香港」は6月、「韓国」は12月が沖縄訪問のピーク

「月別に国ごとの訪問数を比較してみると、香港からの訪問は6月がピーク、韓国においては12月がピークということがわかります。香港においては6月に大型連休があること、韓国では12月の寒い時期に沖縄に来てゴルフをする方が多いことが要因になっています。

日本人が沖縄に旅行する際は、7~8月がピークになります。日本人が少ない4~6月に香港人、冬季に韓国人の旅行客が来ることによって、沖縄への旅行需要を年間を通して高めることにつながっているといえます」

もっとも、上記はエクスペディア出ホテル予約をした件数をもとにしたデータで、実際に沖縄を訪れる外国人のうち、最も数が多いのは台湾客です。
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平成27年入域観光客統計概況(平成28年1月21日発表)
http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/statistics/tourists/h27-c-tourists.html

ただし、台湾客の多い背景には、クルーズ客船による2泊3日のツアーが盛況なことがあります。彼らは客船内に泊まるため、ホテルを利用しません。エクスペディアの予約件数では韓国や香港より少なくなっているのはそのためです。

【前編】台湾発クルーズ客船、那覇寄港の1日ドキュメント
http://inbound.exblog.jp/20363867/

札幌のリリースはまだ出ていないようなので、福岡のエクスペディア利用者の動向を見てみましょう。
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福岡が最も好きな訪日外国人は「韓国人」で全体の約4割!

「福岡に来ている訪日外国人を国別でみると、韓国人が半数に近い41%、そして全体ではアジア人が81%を占めていることがわかります。

また福岡における訪日外国人の予約件数を2012年から比較すると、14年から15年にかけて大きく伸びていることがわかります。その背景は円安により日本に旅行がしやすくなったこと、そしてLCCの新規就航が挙げられます。特に韓国と香港においては、チェジュ航空が2015年4月より福岡・釜山線、14年4月より福岡・香港線を就航している香港エクスプレスが15年10月から増便させています」


福岡でも、昨年約260回クルーズ客船が寄港し、中国客を中心に多くの外国人が上陸しましたが、沖縄の台湾客同様、彼らもホテルを利用しないため、エクスペディアの統計には入ってきません。また多くの台湾客が福岡を訪れていますが、彼らはFITではなく、ツアーに参加する比率が高いため、エクスペディアの予約件数は、タイより少なくなっています。

東シナ海クルーズラッシュの背景:博多港にいつ頃から現れていたのか?
http://inbound.exblog.jp/24665654/

沖縄や九州方面に海外の個人客が増えるのはとてもいい傾向だと思います。ここでも中国のFITの動向がよくわかりませんので、シートリップへのヒアリングが必要ですね。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-11 16:53 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)
2016年 02月 11日

アジアの旅行者は東京より大阪が好き?(エクスペディア調べ)

「いま日本で最もインバウンドが熱い場所はどこなのか? それは大阪です」

先月末、ぼくは以下の記事でそう書きました。

大阪と東京のインバウンドの特徴の違いを外国人の視点で考えてみる
http://inbound.exblog.jp/25315756/

昨年の大阪の訪日外国人数の伸び率は東京より大きかったこと。関空のLCC比率の高さ。東京に比べてコンパクトなぶん、外国人にとって親しみを感じやすいのではないか、などとその理由を説明しました。

先日、エクスペディアのPR会社の人に会い、昨年8月大阪支社が配信したリリースを見せてもらったところ、彼らも同様の指摘をしていることを知りました。

2015年にエクスペディアで予約した件数によるアジア訪日主要国(韓国、台湾、香港、タイ)の人気都市ランキングが以下のとおりです。
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台湾、香港、タイでは大阪は東京には及びませんが、上位3位にすべて入っています。韓国は大阪が東京を抜き1位。総数では、東京は多いですが、大阪の人気ぶりは注目です。

興味深いのは、次の指摘です。※ただし、これは2015年上半期のデータを元にしています。

欧米人は東京・京都、アジア人は大阪を選ぶ傾向にあり そのワケは?
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「東京と大阪で、エクスペディア経由の外国人旅行客の比率を調べてみると、東京にはアメリカ人が30%と一番大きな割合を占めているのに対し、大阪では12%という結果になりました。

また東京では韓国・香港の人達の割合が合わせて20%に対して、大阪では46%と約半数を占めています。東京と大阪で集客層が大きく違うことがわかります。

一方で、東京と京都とを比較すると、傾向が非常に似ています。同じ関西でも、アジアが多い大阪に対し、京都には欧米の人達が多く集まっています。

これらの結果は、欧米の人達とアジアの人達とで、日本への旅行目的が違うからといえます。

上記の日本観光協会の「訪日旅行前の期待」に関する調査でアメリカ人は「歴史的・伝統的な景観、旧跡」や「日本人の生活・日本人との交流」を挙げているのに対し、香港人や韓国人は「ショッピング」メインに訪れていることがわかります。

「伝統」を好むアメリカをはじめとした欧米の人達は、関東近辺でも、箱根や日光といった場所を好みます。そして東京に来る際には、合わせて新幹線で京都を訪れることが多いです。その際、目的は京都なので、大阪に寄ることはほとんどありません。一方、アジアの人達は、1つの旅行で1都市に寄ります。「ショッピング」をメインとしているため、大阪に訪問した際には大阪観光が中心になります。

上記の理由から、大阪においてアジア比率が高くなり、また東京と京都が似た傾向になります」

この分析は、大阪観光局の担当者に聞いた以下の指摘と共通しています。

「関西を訪れる外国客の特徴は、買い物を好む東アジアや東南アジアからの観光客が多いこと。なにしろ関空に乗り入れるLCC比率は全体の30%超と全国一。LCCを利用して賢く旅する外国人旅行者のことを「関西バジェットトラベラー」と呼んでいます。一般に東京には出張や公費で訪れる旅客も多いのに対し、関西は「自分のお金で楽しみたい人が訪れる」といわれ、リピーター比率も東京より高いことも指摘されています」。

エクスペディアのリリースは「なぜアジア人に大阪は人気なの?」と題して以下の理由を挙げています。

①東京より物価が安い
②東京よりも料理の味が濃く、アジア人の舌に合う
③商店街の多さがアジア人には魅力的
④大阪城が人気
⑤「京都」や「神戸」などの観光スポットが近い

①については、日本薬粧研究家の鄭世彬さんも同様のことを話していたので、そうなのでしょう。ただし②はそうなのでしょうか。一般に関西のほうが味が薄口という印象があるのですが、どんな料理を指しているのかな。たとえば、串かつとかお好み焼きのソースのことでしょうか。

③の指摘も面白いですね。ぼくもそうだと思うのですが、なぜアジアの人は商店街が好きなのでしょう。知りたいですね。もしそうなら、圧倒的な大阪の強みでしょう。

④大阪城の日本的でユニークなシルエットもきっと人気なのでしょう。⑤も、大阪を基点にすれば便利ということだと思います。アジアの人たちにとって「ショッピング」が主要関心事だとすれば、大阪をベースに動くというのが合理的です。

エクスペディアでは、さらに面白い分析をしています。

欧米人とアジア人でみる関西観光の流れ

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「大阪ではどのエリアが人気かをエクスペディアの予約数を元に国籍別で調べてみたところ、国籍を問わず、難波が人気ということが明らかになりました。

しかしその中でも欧米人は、難波と梅田の宿泊率が約30%とほぼ同じであるのに対して、アジア人は約半数以上が難波に宿泊していることがわかります。

この結果から、欧米人が大阪に来る際には、東京・京都という新幹線ルートの流れで入り、そのまま梅田に宿泊して新幹線で東京に帰るか、難波に宿泊して関西空港から帰っていることがうかがえます。

一方でアジア人は、関空から大阪に入り、大阪を周遊するため、アクセスのいい難波へ宿泊する率が集中するようです」


なるほど、関西観光もアジア人と欧米人ではこんなに違うんですね。確かに、欧米人の多くは東京を基点に箱根や富士山、関西、広島などに行って、また戻ってくるというのは、都内のホテル関係者からよく聞く話です。

また難波人気という話も、大阪観光局の人から言われました。「難波への偏りがひどく、もっと分散化させたい」というのが悩みだそうです。

エクスペディアを利用しているのは、海外のFITです。ツアー客と違い、個人で旅する彼らの動態はつかみにくいだけに、エクスペディアのデータは貴重です。

ただし、訪日旅行者数で最大シェアとなった中国人のFITは一般にシートリップを利用しているといわれます。同社でもこのようなリリースを出してもらえると面白いと思います。近いうちに取材をしてみたいです。
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by sanyo-kansatu | 2016-02-11 12:37 | 気まぐれインバウンドNews | Comments(0)