ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2016年 02月 04日

今年の春節は「思っていたほどでもなかった」?(ツアーバス路駐台数調査 2016年2月)

今年も春節がやって来ました。今年は2月8日(月)です。そのせいか2月に入ると、新宿5丁目界隈には中国団体客を乗せたバスが少し増えてきました。

中国経済がさすがに怪しくなってきて、今年は昨年のような爆発的な数の伸びは期待できない気はしますが、たまに例の専用食堂の前の路上でバスを待っている中国客に話をしてみると、そんな感じはまったくしません。まあ当たり前か、彼らは遊びに来ているのですから。不景気な顔をしているはずもありません。

新宿には団体客ばかりでなく、欧米人も含めた個人客や小グループの若い旅行者の姿もよく見かけます。これは午前中、靖国通りを新宿駅方面に向かって重いスーツケースをガラガラ引いている中華系の若い小グループです。
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彼らのような個人旅行者は東新宿では、ほぼ1日中出くわします。なんでも先ごろ出たホテル予約サイトのエクスぺディアのプレスリリースによると、昨年エクスぺディアで都内のホテルを予約した外国人の3人に1人は新宿に宿泊したそうです。新宿には高級ホテルからカプセルホテル、ゲストハウスまでさまざまな価格帯とカテゴリーの異なる宿泊施設が豊富に揃っているからです。
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欧米のバックパッカーの姿もよく見かけます。

※このカテゴリでは、2011年11月から始めた御苑大通り新宿5丁目付近におけるアジアインバウンドバスの路駐台数(≒中国客の動向)を記録しています。

1日(月)12:20 4台
2日(火)12:10 4台、18:20 5台 
3日(水)17:30 2台
4日(木)11:50 5台
※この日たまたま新宿5丁目の交差点を歩いていたら、ひとりの中国人観光客の女性が道の真ん中でなにやらスマホで写真を撮っていたところ、トラックが左折してきたので、思わず「危险(あぶないよ)」と声をかけたことをきっかけに、彼女と同行の旅行グループの子たちとちょっと立ち話することになりました。

「きみたち、中国人旅行者だよね。中国のどっから来たの?」
「鄭州よ。河南省」
「えっ、ぼく去年の10月に河南省行ったよ。少林寺のあるところだよね」
「知ってるの? 面白かった?」
「少林寺は面白かったよ。河南省は歴史がある見どころがいっぱいあるね」
(ひとしきり、河南省の話をしたあと…)
「ところで、あなた日本人?」
「そうだよ」
「不像(似てない。見えない)」

……確かに、いきなり声をかけてくるおじさんにすぎないぼくは、彼女らから見れば相当怪しいですね。でも、こんなとき、思うのです。昔インドに旅行に行ったとき、まちを歩いていると、暇そうなおじさんからよく声をかけられたものです。「Hello」と言われると、つい振り向いてしまいます。「えっ、何?(あんまりしつこいと、ちょっと声を上げて What do you want?)」と聞くと、ニヤニヤしています。まさか自分がそんなアジアのおじさんみたいになるとは当時は思っていませんでしたが…。でも、せっかくですから彼女たちをパチリ。
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「那我走吧.一路平安!(じゃあぼくは行きます。いい旅を!」
「謝謝」

東新宿の昼下がりには、こんなのどかなひとときがあります。

5日(金)12:20 4台
6日(土)未確認
7日(日)未確認
8日(月)12:30 6台、13:40 4台、18:50 2台
※この日は春節にあたり、昼間多くのバスが訪れていました。でも、夕方は少ないですね。ここ数年の春節の時期としては、バスの台数は決して多いとはいえません。同じ日の午後、お台場に楽天トラベルのカンファレンスがあり、取材に行ったのですが、お台場も少なかったです。ただし、ゆりかもめで新橋に戻り、銀座方面に歩くと、さすがに銀座7~8丁目あたりはラオックスもあるせいか、多くの中国人観光客とバスであふれていました。

9日(火)12:30 0台、19:10 0台
※この日、正午過ぎにバスは1台もいませんでした。ただ、中国団体客専用居酒屋「金鍋」の前には多くの団体客が食事をすませて、バスが来るのを待っている様子でした。去年の春節に比べ、今年はバスの台数が少なく感じます。

10日(水)12:10 4台(ただし、信号を待つ間(2分ほど)、インバウンドバス5台が通り過ぎる)
11日(木)未確認
12日(金)12:20 8台、12:50 6台、19:00 4台
※この日の新宿5丁目はバスラッシュとなりました。次々とバスがやってきて、中国客を降ろしてすぐに移動していきます。例の金鍋にも何台ものバスの客が来店していました。実はぼくも近所の店でランチをすませ、店を出てから明治通りをみると、すでに先ほど停車していたのとは違うバスが停車していました。団体客たちは20分くらいで食事をすませているようです。そんなに急いでこれからどこに行くのでしょうか。
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13日(土)~21日(日) 未確認
22日(月)11:20 4台
※ただし、この日の正午過ぎは「金鍋」や「味仙荘」の前では、中国客が店をあふれて待っていました。

23日(火)11:40 4台
24日(水)11:30 4台、12:20 5台
25日(木)12:40 5台
※この日も食堂の前は中国客であふれていました。
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26日(金)11:40 2台
27日(土)未確認
28日(日)未確認
29日(月)12:20 2台
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by sanyo-kansatu | 2016-02-04 12:41 | 定点観測ツアーバス調査 | Comments(0)
2016年 01月 07日

欧米客が増えて、新宿がちょっと楽しいことになっています

年が改まって2016年、最初の本ブログの記事は、年末に新宿界隈で見かけた欧米人ツーリストたちの様子をさらっと報告しようと思います。

新宿界隈で欧米人が多いスポットといえば、ロボットレストランでしょう。その日、近くを通ると案の定、チケット売り場の前では欧米人の男たちが列をなしていました。
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これはもう見慣れた光景です。以前はカップルも多かったのですが、野郎の比率が妙に高い気もします。まあそういうエンタメであることは確かです。
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歌舞伎町の中の飲食店は、さまざまな外国人ツーリストが利用するようになっています。ラーメン屋の前には英語や中国語のパンフレットや表示が並んでいます。
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新宿といえば、ゴールデン街も外国人の人気エリアのひとつです。以前は区役所方面から入ったすぐ前の外国人向けバーにしか姿を見せなかった彼らが、いまでは路地の奥まで入り、小さなスナックやバーで飲むようになっています。先日も、友人となじみの店で飲んでいたら、突然扉が開いて外国人が入ってきました。店主はいつものことだと「ウエルカム、ウエルカム!」と手招きし、彼らと一緒に日英カラオケ合戦になりました。連中はオーストラリア人でした。
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もっと面白いのは、これまで日本人しかいなかったような渋い居酒屋にも彼らは姿を見せるようになっていることです。
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このカップルがいるのは、おやじ居酒屋として知られる清龍の新宿店です。とにかくこの店は平均年齢が高く、もともと若い子すら見かけなかったのですが、最近ではこのとおり新宿界隈に泊まっている欧米人が現れるようになりました。
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これ、こっそり撮ったのでピンが甘いですが、黒人と金髪のカップルが我がニッポンのおやじたちに囲まれて焼き鳥に食らいついています。

かつてはダサい、ヤバい、コワいの代名詞だった新宿がちょっと楽しいことになっていると思いませんか。

翌朝、東新宿の仕事場に向かう途中、スーツケースをガラガラ引いてホテルに向かう女の子も見かけました。
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これがいまの新宿なのです。
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by sanyo-kansatu | 2016-01-07 14:27 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 12月 30日

タトゥーが入っていてもOKの日暮里「斉藤湯」でひと風呂浴びてみた

先日のとある午後、タトゥーが入っていても入浴OKで知られる斉藤湯でひと風呂浴びてきました。場所はJR日暮里駅から徒歩3分。住宅街のちょっとわかりにくい場所にあります。80年前の創業だそうですが、今年4月に改装したばかりのきれいな銭湯でした。
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斉藤湯
http://saito-yu.com

なぜこの銭湯がタトゥー客OKだと知ったかというと、以下のネット情報からです。

タトゥー入っててもOKな温泉・銭湯・プールまとめ【関東編】(Find Travel)
http://find-travel.jp/article/18883

訪日外国人の増加で全国の温浴施設やプール、海水浴場でタトゥーを入れた外国人観光客と管理者の間で入店・入場をめぐってトラブルが起きているようです。その問題に関する報道は以前、本ブログでも紹介しています。

入れ墨・タトゥーの外国人の入浴、やっぱり気になりますか?
http://inbound.exblog.jp/25180252/

そんな事情もあり、都内でタトゥーOKをうたう銭湯というのはどんなところなのか、気になっていたのです。

午後2時開店とほぼ同時にぼくは斉藤湯に入りました。すでに2、3人の利用客はいて、その後も続々入店してきます。この銭湯の売りは、高濃度人工炭酸泉と超微細粒気泡がシルクのように身を包む露天風呂です。ぼくはまず通常のお湯風呂に浸かって、常連の誰かにこの銭湯について尋ねることにしました。

しばらくすると、映画『テルマエ・ロマエ』の銭湯シーンで見かけたちょっとふやけたスルメのような(ごめんなさい!)おじいさんが隣に入ってきました。映画を思い出し、笑いをこらえつつ、聞いてみました。

―あのぉ、こちらの常連さんですか。
「そうだよ。でも、最近はたまにだけどね」
―この銭湯、外国人がよく来るんですか?
「そうなの? 俺は知らないね。家族連れはよく来るよ。いろんな風呂があるからね。ここは昔からある銭湯だから」。

あまりご存知ないようです。そこで、次にシルキー風呂に行ってみました。天井には屋根がありますが、露天気分を味わえます。ひとりの若い男性がいたので声をかけてみました。

―この銭湯、外国人が多いんですか?
「どうかなあ。ぼくは週末しか普段は来ないから」
―なんでもタトゥーを入れた外国人さんもこの銭湯は入浴OKだと聞いて、どんなところだろうと思ってきたんです。
「ああその話ね。ここ、改装する前からずっと入れ墨OKでしたよ」
―あっ、そうなんですか。

どうやら日暮里という土地柄で古くから銭湯を営んできたことから、外国人観光客うんぬんとは関係なく、その筋の人も含め、ずっとOKだったようです。実際、ここの客層は中高年のおじさんおばさんを中心に子供連れなど、昔ならではの光景です。たまにその筋の人が見えても、皆さん普通にお風呂に入っているのでしょう。

風呂上りに入浴客のおじさんたちにならってビールを注文し、オーナーの奥さんに話を聞いてみました。

―こちらは外国人のお客さんが多いんですか。
「まあそうね。けっこういらっしゃいますよ。夏休みなんか、家族連れで韓国や中国の人たちが来て、ここはどこなのかしらという感じになります。でも、普段はふつうの銭湯ですよ」
―インターネットでこちらは入れ墨やタトゥーのお客さんの入浴もOKと聞きました。
「ここは下町だから。昔からねえ、そうなんですよ」

奥さんは「中国の人」と言っていますが、たぶん台湾や香港の個人客なのでしょう。彼らが多く宿泊している上野のホテル街に近いことから、彼らも利用しやすいと考えられます。

オーナーの息子さんが英語で紹介する以下の動画をYOU TUBEで発信していることも影響があるに違いありません。

Visiting a japanese bath house
http://saito-yu.com/publicBath.html

いまや日本人のよく知らないラーメン屋がトリップアドバイザーなどで外国人に広まり、行列ができる時代です。この銭湯が外国人であふれるようになってしまうと、地元のお客さんは困ってしまいますが(たぶん、そんなことにまではならないでしょう)、タトゥーうんぬんの問題も、土地柄しだいでクリアできる面もあるのだと思いました。
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by sanyo-kansatu | 2015-12-30 16:50 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 12月 02日

東新宿の新ゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」の宿泊客国籍別トップは台湾人

今日のお昼過ぎ、東新宿の東京医科大通りに先月20日オープンしたばかりのゲストハウス「IMANO TOKYO HOSTEL」のカフェを訪ねてみました。
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IMANO TOKYO HOSTEL
http://imano-tokyo.jp/

同ホステルのサイトには、以下のような紹介文があります。

「東京での滞在をより深く楽しむことができるよう、
館内には東京の文化、日常生活に触れられるようなキッカケが多く詰め込まれており、
施設全体が”トーキョー”のガイドブックとなるホステルです。

1Fには、東京のお酒や料理を提供するカフェ&バーを併設し、
世界中から集まった旅行者との交流を楽しむことが出来ます」。

カプチーノを一杯頼んで、カフェでぼんやりしていたら、宿泊客の白人の若い男の子が現れました。やっぱりこういう子たちが泊まっているのですね。

たまたま同ホステルのオーナーの清水さんがいらっしゃったので、少し話を聞きました。

―先月オープンされたのですね。ぼくは毎日ここを通っているので、面白そうだなあと思って眺めていたんです。

「今日でオープン12日目です。PRはネット以外に特にしていませんが、外国のお客様がいらっしゃっています。国籍でみると、最も多いのは台湾人で、次がタイ人、シンガポール人、その次くらいから欧米人。日本人もけっこういますよ。就活のために地方から出てきた女の子が何泊もし、面接に行ってきたりするそうです」。

―このホステルは全室ドミトリーだそうですね。

「ええ、でも4人くらいの個室もあり、そこはグループ客が利用しています」。

―アジア客は小グループが多いですからね。歌舞伎町のカプセルホテルもそんな感じでしたよ。東新宿はいまや外国人ツーリストだらけですね。

「うちがここにオープンしたのもそのためです。いま都内にゲストハウスが次々誕生しています。昼間はカフェですが、夜はバーになり、外国人だらけで雰囲気もずいぶん変わりますよ。今度いらしてください」。

―ええ、ぜひうかがいます。

カフェが併設されたロビーには、この種の外国人宿がどこでもそうであるように、チャックアウトした客のスーツケースやザックが置かれていました。昼間は街に散策に出かけているのでしょう。
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ささやかながら、宿泊客のインスタントカメラ写真が貼られていたりしました。
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このカフェはwifiフリーなので、ときどきPC持ってお茶しにこようと思います。
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東新宿は外国人宿が多いことで知られますが、実はAirbnbのオーナーも多いようです。ぼくの仕事場の近所の民家から、ザックを担いだ若い欧米人の女の子ふたりが出てきて、住人のご夫婦に見送られているなんて光景もよく見かけます。

またこのゲストハウスのはす向かいに9月にオープンした中国人団体客専用の中華料理店もあります。

新宿5丁目に中国客向けインバウンド居酒屋がオープン
http://inbound.exblog.jp/24938094/

この界隈がインバウンド先端エリアだというのは、そういうわけなのです。
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by sanyo-kansatu | 2015-12-02 13:44 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 10月 05日

株価暴落は中国の訪日旅行市場にどんな影響を与えるか(前編)AISO王会長、大いに語る

一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)の王一仁会長は、日本で訪日外国人旅行市場がひそかに動き出した1980年代の黎明期から大盛況を迎えた今日に至るまでのすべてを知り尽くした人物です。

一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)
http://shadanaiso.net/index.html

総合ワールドトラベルとAISOのこと(トラベルマート2011 その6)
http://inbound.exblog.jp/17150936/

ぼくは年に何度か王会長の話を聞きにいくことにしています。

今回(9月中旬)どうしても王会長に尋ねてみたかったのは「株価暴落は中国の訪日旅行マーケットにどんな影響を与えるだろうか」という質問でした。

7月の訪日客の伸び率減速は正常に戻ったとみるべき

それに対する王会長の答えは以下のようなものでした。

「日本のメディアが騒ぐほど、中国の人たちは株価暴落後の世界をそれほど心配していないようだ。確かに、個人投資家の多くは資産をいくぶん目減りさせたとはいうものの、株価は去年の今頃の水準に戻ったようなもの。不動産バブルについても、一年前に政府が投資用のマンションの購入を事実上禁止したことから、すでに景気の後退は実感していたと思う。それでも、訪日旅行は増える一方だった」。

―つまり、影響は少ないということでしょうか。

「その前にふまえておくべきことがある。今年上半期の中国の訪日旅行市場はご存知のように異常な伸びでした。それは円安もあるが、それ以上にMERSの影響で、韓国から日本へ旅行先を変える中国人が増えたことが大きい。夏以降、若干訪日客の伸び率が減っているのは、株価暴落のためというより、韓国にも7月下旬頃から人が戻りつつあることで、いまはむしろ正常に戻ったと理解すべき」。

―確かに、今年7月の中国の訪日客数は前年同月比105.1%増と6月に比べて伸び率が落ちています。でも、総数は57万6900人と単月で60万人近い過去最高を記録。会長は上半期までが異常だっただけで、下半期に入ると、正常に戻るだろうという認識なんですね。

7月の訪日外客数、単月過去最高192万人を記録(JNTO)
http://www.jnto.go.jp/jpn/news/data_info_listing/pdf/150819_monthly.pdf
※ところが、8月は前年同月比133.%増の59万1500人と伸び率を増やしています。話をお聞きしたときはまだ発表前だったので、7月の伸び率の低下をみて王会長は「正常に戻った」と指摘しているものと思われます。

「だいたい今年1月頃は、訪日中国客が初めて単月で30万人超えたと騒いでいたのですよ。それがいまは60万人近い。大化けといっていい。実際のところ、日本のホテルやバスなどの受け入れ側は、正常に戻って(訪日中国客の伸びが減速して)かえって良かったと思っているのではないか。上半期は海外からの集客を断ってばかりだったのだから」。

人民元切り下げは関係ない

「9月に入ると、訪日客の勢いはだいぶ落ち着いたと思う。もともと9月は夏休みと国慶節のはざまのオフシーズン。だが、今年の中秋の名月は9月27日。国慶節より少し前倒しで中華圏からの予約が入っている。いま中国の長期休暇は、旧正月と国慶節の大きくふたつ。以前は5月の労働節もそうだったが、3つもいらないということで、政府が5月の長期休暇は取りやめにした。今年の国慶節は10日以上の連休を取る中国人も多いと聞いている。今年の国慶節は例年並みだと思う」。

―人民元の切り下げもありましたが、どうですか。

「切り下げたといっても4%程度。すでにこの数年間で30%以上円安になっているので、中国人にとっては大した影響はない」。

―では、“爆買い”には影響なさそうですね。

「いま中国では、自国で買い物をするように働きかける施策が打たれている。6月にまず一部の輸入品の関税を下げた。そして、8月には深圳に海南島と同じような免税店をつくったという報道もあった。そこでは香港と同じ価格で輸入品を購入できるそうだ」。

爆買いを見るにみかねた中国政府は輸入品の関税を引き下げるもよう
http://inbound.exblog.jp/24564700/

「実は、いま香港の景気は良くないようだ。昨年以来の反中デモや今年2月に起きた中国の運び屋に対する市民の反発もあり、中国政府は中国人の香港訪問を週に1回に制限するなどしたことから、かえって香港経済は影響を受けている。おそらく今後香港の不動産価格は下落に向かうだろう。もちろん、これまで高すぎたことが是正されるともいえるが、これまで好調だった香港の訪日客に影響が出るかもしれない」。

“爆買い”が減るとツアー代が上がるという連鎖

―なるほど。株価暴落以外に中国の国内外の事情が与える影響も考える必要がありそうですね。

「こういう言い方ができるかもしれない。確かに、株価暴落で少し懐具合が寂しくなると以前に比べて一人当たりの中国客の“爆買い”量が減ることは考えられる。それは中国団体客が日本国内の免税店に支払うキックバックが減ることを意味する。そうなると、在日中国人を中心とした国内のランドオペレーターは中国客のホテルやバスの手配をカバーできなくなる。すると何が起きるかというと、これまでのような安いツアーを中国の旅行会社が提供できなくなる。つまり、ツアー代金が値上がりする。そうなると、これまでのようにお客が集まるとは限らない」。

―う~む。そういう連鎖でいずれ訪日中国客の伸びが鈍化する可能性もあるということですか。まさにインバウンドの裏表を知り尽くした王会長らしい指摘ですね。その兆しは見えているのでしょうか。

「実際、大阪などの大都市圏ではホテル料金が高騰していて、国内のランドオペレーターはホテルの確保に窮している。だから、いまは噴火の影響で観光客が減った箱根のホテルが穴場だという話も出てくる。訪日客の動向は、日本側の受入事情によるところも大きいといえる」。

今後は個人客の動きに注目すべき

「訪日中国旅行市場を考えるうえでもうひとつのポイントは、C-Tripに代表されるオンライン旅行社の勢いだ。いまや中国ではオンライン旅行社による予約が浸透していて、C-Tripの関係者によると、訪日市場の伸びは前年比で7倍増らしい。上海市場においてはすでに半分、北京で30%をオンライン旅行社が占めるという。彼らの多くは個人旅行者なので、これまでの中国団体客とはまったく違う動きをするため、これからは目が離せない」。
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C-Trip
http://www.ctrip.com/

―いよいよ中国も個人旅行者の時代になろうとしているのですね。もちろん、内陸からの日本路線も急増しており、おなじみの団体客も減ることはないのでしょうが、これからは訪日中国人マーケットは二極化した実態に対応しなければならないということですね。

※以下の記事は2年前に書いたものですが、いよいよ彼らが日本に上陸する時代を迎えたといえるでしょう。

日本の1980年代を思い起こさせる中国のバックパッカーブーム
http://inbound.exblog.jp/20348104/

「もっとも、不安要因もある。中国の日本路線は激増している。特に10月以降、羽田への日本路線は1日約20便になると聞いている。はたしてそれだけ増やして席が埋まるのか。ちょっと疑問もある」。

そんなに飛んでくるの!?  ちょっと驚いてしまいますが、今後の市場がどう動いていくのか。要注目です。

バブル崩壊後も海外旅行者の増えた日本と同じ道を進む!?

中国の株価暴落と訪日旅行市場の関係については、個人的に思うところがあります。日本がバブル崩壊を迎えた1990年代初頭、日本人の海外旅行者数は約1000万人でした。では、バブル崩壊で日本人の海外旅行者数は減ったのでしょうか。実は違います。その後10年にわたって伸び続け、頭打ちとなったのは2001年の米国同時多発テロの年でした。それ以降は1600万人前後で伸びは止まっています(そうこうしているうちに、今年は45年ぶりに訪日外国人が出国日本人を逆転しそうです)。

つまり、中国で仮にバブルが崩壊したのだとしても、海外旅行者数はしばらくは増え続けるのではないか。ただし、やみくもに増えるというのではなく、「安近短」のアジア方面への渡航が拡大するのだろうと思うのです。

これから中国でも日本と同じようなことが起こるのではないか…。そう思っていたところ、最近こんな記事が東洋経済オンラインに出ていたので、一部抜粋しておきます。

株価下落でも「中国爆買い団」が減らないワケ(東洋経済オンライン2015年10月2日)
欧米旅行は急減し、日本に人気が集中
http://toyokeizai.net/articles/-/86559

「中国での海外旅行需要が縮小しつつあることから、日本のインバウンド業界にもなんらかの影響を及ぼす可能性は否めない。ところがフォワードキーズは、「欧米など遠くに行くのをやめ、日本や台湾などの近場に行こうとする需要は堅調」と分析している。

たとえば、11月の国際線航空券販売数の予想を見ると、欧州行きが前年と比べて11%、南北アメリカが50%も落ち込んでいるにもかかわらず、アジア太平洋行きは35%増加と引き続き高い伸びを示している。つまり「中国で株価下落が起きたものの、当面は日本への爆買いの波は止まらない」と見るべきだろう」。

やっぱり一度バブルの味を知った国民は、すぐにはやめられないのです。ただし、そう遠くには行けないので、近場を目指す。その恰好の旅行先のひとつが日本であることは間違いないようです。

次回は、王会長の日本のインバウンド業界に対する辛口の指摘を紹介したいと思います。

ニッポンのインバウンドはここがおかしい!?(後編)AISO王会長、大いに語る
http://inbound.exblog.jp/24974742/
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by sanyo-kansatu | 2015-10-05 12:13 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 10月 01日

外国客の国内ドライブ旅行、本格始動中!~先行する沖縄、北海道の事例と予約サイトの動向から

羽田空港国際線ターミナルの到着フロアは、いつも多くの外国客でにぎわっている。レンタカーを予約した外国客が最初に向かうのは、ゲイトに向かって右側にあるカウンターだ。

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羽田空港国際ターミナルのレンタカーカウンター

リムジンバスの発券所の隣に、ニッポンレンタカーやオリックスレンタカー、トヨタレンタカー、Hertz、日産レンタカー、Times Car RENTAL、Europcarの合同カウンターがある。ここで予約の照会をすませると、1階の「乗車レーン」まで歩き、レンタカー会社の用意した車に乗せられ、各社の営業所に向かう。

羽田空港の外客レンタカー利用が増えている

ニッポンレンタカー羽田営業所の佐藤大助サブマネージャーによると「外国客の利用が目立って増えてきたのは、2014年3月30日の国際線の増便の頃から。最近では香港や韓国を中心に毎月70組以上の利用があり、特に1~2月の旧正月のシーズンは香港客が多く、直近ではタイ客も増えている」という。

外国客がレンタカー利用の手続きをする際、パスポートと国際免許証の写しが必要だ。「手続きは10分程度で国内客と変わらない。ただし、外国客は羽田で乗って成田や関空などで乗り捨てるケースも多いので、返却の日時と場所を確認する。乗車前に事故の場合の連絡先や営業所の近くのガソリンスタンドのMAPなどをお渡しする」(佐藤サブマネージャー)。

外国客に対する接客では、日本での運転のポイントや注意事項を伝えることは欠かせない。同社では、日本の交通規則や標識の解説、給油の方法、事故が起きたときの対応、保険補償の限度額、駐車違反の注意などを細かく説明した「ご利用ガイド」(英)を用意している。

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ニッポンレンタカーの外国客向け「ご利用ガイド」(英語版)  
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ガソリンの給油の間違いは要注意ポイント

ニッポンレンタカーサービス販売促進部国際営業課の白井祐子主任は「外客向けのサービスには、24時間対応のカウンター通訳サービス(英中韓タイ語)や多言語化カーナビ(英中韓)、ETCカードのレンタルがある。なかでも重要なのがカーナビの多言語化だ。この2年で急速に普及した。新車を発注する際も必須になっている」と説明する。

同社の国籍別の利用状況は、1位香港、2位韓国、3位台湾、4位タイ、5位アメリカまたはオーストラリアの順。対前年度比で約2倍増の勢いだ。件数でいうと沖縄県と北海道が多いが、最近では首都圏をはじめ関西や中部地区からの利用も1.5倍に増えているという。

外国客の利用期間は平均約4日、単価も約4万円と国内客より長くて高い。平日利用が多いのも特徴だ。人気の車種は「家族やグループ旅行が多いため、ワゴン車だ。プリウスなどのハイブリッド車やアイサイトの使えるスバル車など、日本オリジナルの車種を選ぶ傾向がある」(白井主任)そうだ。

首都圏における国内客のレンタカー利用は圧倒的にビジネス利用だが、外国客はレジャー利用が中心。最近の若い世代の免許証取得比率の減少で国内市場が縮小していくなか、レンタカー各社は外国客の取り込みを強化している。

利用件数全国一は沖縄県

外国客のレンタカー利用件数が全国一なのが沖縄県だ。一般社団法人沖縄県レンタカー協会によると、過去2年の県内の外国客のレンタカー利用件数は以下のとおりだ。

2013年度(13年4月~14年3月)
 3万6919件(台湾1万1138件、韓国1万1937件、香港1万1670件ほか)
2014年度(14年4月~15年3月)
 8万5323件(台湾2万8096件、韓国2万7764件、香港2万3463件ほか)

この1年で2.3倍増の勢いで増えており、国籍別比率は、台湾(33%)、韓国(33%)、香港(27%)で全体の9割を占める。協会関係者によると、この急激な伸びは「沖縄県を訪れる外国客の急増にあり、円安や台湾、韓国、香港などの近隣諸国からのLCCをはじめとした新規就航や増便が相次いだことにある」という。

※沖縄県の統計によると、2014年度に沖縄を訪れた外国客は98万6000人と過去最高で、前年度比57.2%増と全国平均を超えている。国内客も含めた観光客総数が716万9900人(これも過去最高)で、外客比率は約14%と他県に比べて高い。

OTSレンタカーを運営する沖縄ツーリストの中村靖常務取締役は「外国客のレンタカー利用が顕著になったのは11年頃から。今年は前年度比で1.6倍の勢いだ。沖縄は台湾からのフライトが1時間、ソウルから約2時間、香港から2時間半という好位置にあることが大きい」という。
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OTSレンタカー(中文版)
http://www.otsinternational.jp/otsrentacar/cn/

同社の外国客に対するレンタカー利用促進の取り組みは早かった。06年台北事務所を設立し、将来の需要を見越してレンタカー予約の受付を開始。

その後、予約サイトの多言語化を進めると、台湾や香港から繁体字版サイト経由で予約が入るようになった。07年には臨空豊崎営業所に4か国語対応のドライブシュミレーションを設置し、09年には全国初の4か国語対応のカーナビを導入している。

もっとも、外国客のレンタカー利用の急増にともない、県内での事故や渋滞が指摘され始めている。琉球新報2015年6月13日は「2014年度の事故件数は2901件で、事故率は3・4%」(「外国人増で対策強化 県レンタカー協、事故防止へ注意喚起」)と報じている。沖縄タイムス2015年6月16日は、事故の背景に海外と日本の交通ルールの違いがある(「標識読めない、慣習違い…外国客のレンタカー高い事故率」)と指摘する。

中村取締役は「これだけ利用が増えると事故が増えることは予測される。ミラーを擦ったり、交差点で左折や右折のルールを間違えたりといったケースが多い。今後は防止策に力を入れていく必要がある。ただし、外国客がもし事故を起こしても、自動車保険は国内客同様、手厚い安心パックに入っているし、JAFのサポートも充実している」と話す。

前述の琉球新報の記事も「(県レンタカー)協会では本年度から、英語版に加え、繁体字と韓国語版のドライブマップを新たに作製、運転上の注意点や県内の事故多発交差点などを紹介し、注意喚起を図っている」と事故防止の取り組みを紹介している。また外国客の運転する車を一目で判断できるようにステッカーも導入された(沖縄タイムス2015年8月8日)。
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外国人運転用ステッカー(沖縄県)

全国に先駆けて外国客のレンタカー利用が進む沖縄県だけにさまざまな課題も出てくるが、その解決にあたる官民の取り組みは、これから全国で受入態勢を整備していくうえでのひな型になるだろう。

中村取締役は、今後レンタカー事業者が取り組むべき方向性についてこう語る。「これからはただ車を貸すだけでなく、お客様に地元で喜んでお金を落としてもらうしくみをつくらなければならない。当社ではカウンターでWifiルーターの貸出や県内の主要観光施設のチケットの販売を行っている。

また『沖縄もっとトリップ 北部東海岸エリア編』(英中韓)というドライブマップを作成し、国道58号線の走る西海岸だけでなく、東海岸にも足を伸ばしてもらうよう働きかけている。最近では、これまで少なかった外国客が東海岸の泡瀬漁港(沖縄市)の海鮮食堂にさしみを食べに行く話などをよく聞くようになった」。
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『沖縄もっとトリップ 北部東海岸エリア編』

レンタカーという二次交通の利用促進は、これまで外国客が訪れることのなかった場所への新たな動線を敷くうえで直接的な効果を生んでいるようだ。

利用の多国籍化が進む北海道

沖縄県に次いで外国客のレンタカー利用件数の多いのが北海道だ。観光スポットが広域に点在する北海道では、国内客同様、外国客にとってもレンタカーは不可欠な移動の足になりつつある。

一般社団法人札幌レンタカー協会によると、北海道における外国客のレンタカー利用件数は、2014年度(14年4月~15年3月)で2万4243件。15年度は毎月約80%増と伸びており、国籍別にみると、トップが香港で9579件(全体の約40%)を占め、次いで台湾4497件、シンガポール1948件、韓国1892件、タイ1395件、オーストラリア1052件、ヨーロッパ1051件、アメリカ814件と続く。

沖縄県と比べると、総件数は3分の1以下だが、シンガポールやタイ、欧米系の利用も多く、多国籍化が見られるのが特徴だ。

北海道における外国客のレンタカー利用促進のための本格的な取り組みは、07年9月台湾客の国内での運転が可能となった頃から始まっている。

同年4月に北海道外国人観光客ドライブ観光促進連絡協議会が設立されたが、実はその前年の06年12月、喜茂別町で外国人ドライバーの交通死亡事故が発生している。冬場の凍てついた道路を運転することにアジア客が慣れていないのは当然で、雪道の安全運転の啓発は欠かせない。こうした北海道特有の事情から、外国客に安心・安全にドライブ旅行を楽しんでもらうための道独自の調査やノウハウの啓蒙が進んでいる。

その成果のひとつが、2009年国土交通省北海道開発局が作成した「北海道ドライブまるわかりハンドブック」(日英中(繁・簡)韓)だ。日本の交通ルールや北海道で起こりうるトラブルとその対応をわかりやすく解説している。
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「北海道ドライブまるわかりハンドブック」
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/handbook.html

さらには、事業者向けに北海道の主要なレンタカー利用客である台湾、韓国、香港、シンガポールの来道目的や運転習慣の違いなどを分析している「外国人ドライブ観光客 誘致・受入事例解説集」もある。

外国人ドライブ観光客 誘致・受入事例解説集
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/yuuchi.html

たとえば、同解説集の台湾の項には「日本の「止まれ」の標識は国際基準と異なり、理解されにくい。台湾では、制度上は一時停止の義務はあるものの、見通しがよい場合は一時停止をする車はほとんどいない(踏み切りについても同様。台湾の高速道路では、走行車線・追越車線の区別がない。矢印信号は台湾にはないため、とまどってしまう)」とある。一方、香港の項には「日本と同じ左側通行であるが、赤信号でも左折フリーの国である。横断舗装以外では「歩行者優先」というルールはなく、車が優先される。一般道路の最高時速が70㎞であるためか、北海道をドライブして「スピードが遅すぎる」と感じるドライバーもいる」。この知識を頭に入れておくと、外国客を送り出すときに、ひとことアドバイスを添えることができるだろう。

こうした北海道の取り組みは、今後外国客のレンタカー利用が増えるであろう全国各地の関係者にとって貴重な情報源となるはずだ。

レンタカーのネット予約は富裕層が多い

今日、訪日外国客によるエクスペディアやBooking.comなどの海外ホテル予約サイトの利用が普及しているが、同じことはレンタカー予約の世界でも起きている。国内の各レンタカー会社は、それぞれ自社サイトの多言語化を進めているが、やはり各事業者の情報を横断的に閲覧でき、利用者のニーズに直結したサービスを迅速に提供する予約サイトが重宝されるのは当然だろう。

なかでも先行しているのが、レンタカー予約サイトのTocoo!である。
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Tocoo!(中文版)
http://www2.tocoo.jp/cn

同サイトを運営しているのは、有料会員制の宿泊予約サイトを手がけるクーコム株式会社だ。同社は2000年代の早い時期から海外向けのレンタカー予約サービスを始めている。

同社の牛田隆夫取締役によると「外国客のレンタカー予約が増えてきたのは08年くらいから。11年の震災の前には海外が国内を逆転していた。国籍でいうと、東南アジアがほとんど。香港、台湾、韓国、シンガポール、タイなどだ。売上は前年比88%増で、60カ国・地域の利用者のうち、半分以上が中国語圏。07年9月に台湾客の運転が可能になったことを機に中文版を立ち上げ、その後すぐにハングル版を始めたことが奏功した」という。

利用エリアは、全体の3割は北海道だが、最近は関西国際空港や中部国際空港からの利用も多い。雪を見るために、名古屋から高山や白川郷に向かう人が増えているという。「アジアの交通事情は一般の日本人には厳しく、まず運転できないと思うが、逆に彼らにすれば日本の運転は楽勝」(牛田取締役)なのだという。

外国客の利用状況は国内客とは大きく違う。「1回あたりのレンタル料金は国内客の3倍近い。外国客は国内客より利用日数が長く、乗り捨てが多い。なかには札幌で借りて大阪で返す人もいる」(牛田取締役)。

客層は圧倒的に旅慣れた富裕層だ。顧客アンケートによると、年収1億円以上も多く、約半数が年収1000万円以上という。「だから、単価が高い。彼らは車のグレードがよければ喜んで利用する。アルファード(トヨタの大型ミニバン高級車)とエルグランド(日産のワンボックス型ミニバン)があれば、確実にアルファードを選ぶ。当社の海外利用客の7割はリピーターだ」(牛田取締役)。

牛田取締役はレンタカー利用促進の意義をこう語る。「いま大都市圏には外国客は多いが、伊豆半島や房総の先にはまだ来ていない。東京のホテルは潤っているが、伊豆半島はそうではない。我々の役目は、そこにお客さんを送ることだ」。

業界の動きを先導する同社の取り組みは要注目だ。

「インバウンドの実験室」香港

外国客のレンタカー利用が急増する背景には、継続的に続けられるプロモーションの成果もある。日本政府観光局(JNTO)香港事務所では、すでに2012年から香港市場に特化したレンタカーと鉄道利用促進のためのプロモーション『a different Japan-Rail & Drive』を始めている。

前香港事務所長の平田真幸(現海外プロモーション事業部)担当部長は、『a different Japan-Rail & Drive』が生まれた事情をこう語る。「私が香港に赴任した12年、震災後の訪日客の落ち込みをリカバーするための施策が求められていた。リピーター8割、訪日10回以上が20%超という成熟市場の香港で、韓国や台湾、タイ、シンガポールなどの競合国と差別化して何ができるか。そこで、新しい観光魅力として打ち出したのが、ご当地グルメやショッピングシーンを盛り込みながら、シーズンごとに日本ならではの自由気ままな旅行スタイルを体験してもらう全国各地のドライブ旅行と観光列車のPRと商品化の支援だった」。

その後、香港の訪日旅行市場は急ピッチで回復し、2014年は92万5975人(前年比24.1%増)と国別でも4位となった。レンタカー付きのツアー商品を手がける旅行会社も増え、観光列車も目玉ツアーになっている。関西や九州、沖縄などの「訪問先の分散化(多様化)」も他の国・地域に先駆けて実現されている。「香港はインバウンドの実験室。新しい訪日旅行シーンは香港から生まれる」(平田部長)といわれるのはそのためで、市場の先導役として常に期待されているのである。
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『a different Japan-Rail & Drive』のキャンペーンイメージ

外国客のレンタカー利用は、縮小する国内市場を補うことで事業者にとっての期待となるだけではない。訪日客の地方への分散化を促進し、全国に張り巡らされた道路インフラの維持を図り、さらには未来のユニバーサルな交通システムへの転換を進めるうえでの重要なステップでもある。今後、先行する沖縄県や北海道を追う、さらなる動きが各地で起こることを期待したい。

※本稿において今年訪日外国人数のトップを走る中国本土客について触れていないのは、現在国内でのレンタカー利用はできないためだ。日本で運転できる国際免許証の条件として1949年のジュネーブ条約に基づき発行された形式でなければならないからである。なお同様に、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、スロベニア、モナコ、台湾も同条約に基づく国際免許証を発行していないが、これらの国は自国の免許証と日本語翻訳文の同時提示で運転が可能になる。

やまとごころ http://www.yamatogokoro.jp/report/2015/report_17/page_05.html
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by sanyo-kansatu | 2015-10-01 00:19 | やまとごころ.jp コラム | Comments(0)
2015年 09月 27日

外国客に人気と噂の一蘭ラーメン池袋店に行ってみた

7月上旬に長崎県島原半島を取材で訪ねたとき、ある台湾人一家と知り合いました。彼らは南島原市の農漁家に民泊するツアーに参加していました。

台湾版「田舎に泊まろう」ウルルンツアー密着レポート(長崎県南島原市)
http://inbound.exblog.jp/24747209/

台北で写真館を営業する黄さんはとても陽気な男性で、奥さんとふたりの男の子のパパです。九州に旅行に来ていちばんおいしかったものは? という質問に彼はこう答えました。「いちばんは民泊の家で食べた手料理、2番目は一蘭ラーメンです」。

一蘭ラーメンといえば、わりとよく知られた人気ラーメンチェーン店ですよね。黄さんは博多で食べた一蘭ラーメンがおいしかったそうです。
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天然とんこつラーメン一蘭
http://www.ichiran.co.jp

ネットを調べると、全国にチェーン展開していました。都内にも何軒かあるようです。前回の「外国客で行列のできる」無敵屋のある池袋東口にもありました。無敵屋には入店できなかったので、行ってみることにしました。場所は池袋東口の文芸坐の近くです。
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さいわい、この店には行列はありませんでした。入口の脇に貼られた大きなポスターに同店のとんこつラーメンなどのメニューが紹介されています。わりと普通の九州とんこつラーメン風に見えます。

店内に入ると、自動販売機があり、その隣に中国人店員が立っていました。確かに、都内の飲食店で中国人アルバイトの姿を見かけるのは珍しいことではありませんが、店内で並んで待っている客も半分くらいは外国人でした。

黄さんのいうように、一蘭ラーメンも外国客に人気のようです。お土産用の麺も各種用意されています。
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しばらくすると、席が空いたらしく、のれんで隠されていた店内に呼ばれると、カウンターには一人ひとりの席ごとに仕切りがあります。
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しかも、厨房も扉で隠されていて、注文と替え玉をもらうときだけ、扉が開き、店員が声をかけます。でも、店員の顔は見えません。

なんでもこの仕切りはカップルやグループで来たときは、希望すれば外せるのだそうです。まるで個室居酒屋のようですが、カウンターでこの造りは妙な感じです。店内は薄暗く、およそラーメン屋さんという雰囲気ではありません。

この店では、事前に麺の硬さやスープの濃さなどを申告するのですが、ちゃんと中国語繁体字版も用意されていました。
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こういう独特の演出がウケてる理由なのでしょうか。

後日、ある外国人向けの東京観光MAP(中国語繁体字版)に一蘭ラーメンの広告が載っているのを見つけました。
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無敵屋のときにも思いましたが、なぜ特定の店だけが外国客に人気なのだろう……。どうしてこういうことが起きたのか。どんな宣伝方法を取っているのか。これらは今後の課題にしたいと思います。

【追記】
それから1年後、一蘭ラーメンの関係者に話を聞くことができました。

一蘭ラーメンに外国客の行列ができる3つの理由
http://inbound.exblog.jp/26363988/
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by sanyo-kansatu | 2015-09-27 12:42 | 東京インバウンド・スポット | Comments(0)
2015年 09月 09日

日本全国、ホテル業界大異変~訪日外国人はラブホがお好き?(プレジデント2015.8.31)

ビジネス誌「プレジデント」205年8月31日号に書いた記事が、ネットに転載されています。これまでブログで紹介した訪日外国人のお宿に関する取材をまとめたものです。実際、外国客が増えることで、単にホテルの予約がとりにくくなったり、料金アップしただけでなく、いろんなことが起きています。

訪日外国人はラブホやカプセルホテルがお好き!? 日本全国、ホテル業界大異変
http://president.jp/articles/-/16082

http://president.jp/articles/-/16083
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by sanyo-kansatu | 2015-09-09 17:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 07日

北海道は外客レンタカー受入の全国の先駆けです

外国人観光客のレンタカー利用件数で、沖縄県に次いで多いのが北海道です。我々日本人が北海道を旅行する際、レンタカーなしで移動というのは考えられないわけですから、外国客にとっても事情は同じなのです。

一般社団法人 札幌レンタカー協会によると、北海道における外国客のレンタカー利用件数は、2014年度(14年4月~15年3月)で2万4243件、前年度比●%増となっています。

国籍別にみると、トップが香港で9579件(全体の約40%)を占め、次いで台湾4497件、シンガポール1948件、韓国1892件、タイ1395件、オーストラリア1052件、ヨーロッパ1051件、アメリカ814件と続きます。沖縄県と比べると、総件数は3分の1以下ですが、台湾、香港、韓国が全体の9割を占める沖縄に対し、シンガポールやタイ、欧米系の利用も多く、多国籍化が見られます。

一般社団法人 札幌レンタカー協会事務局
http://sapporo-renta.com/

同協会事務局の下山久美事務局長によると、「2015年度に入っても伸びは前年比180%と好調」とのこと。

沖縄県同様、こうした伸びの背景には、訪日外国人来道者数の拡大があります。

北海道経済部観光局が15年8月に報告した「北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)」によると、2014年度の訪日外国人来道者巣は、154万1300人と過去最高で、前年度比33.7%増となっています。

北海道観光入込客数調査報告書(平成26年度)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/toukei/H26_irikomi_honpen.pdf

国・地域別にみると、トップが台湾47万2700人(30.7%)で、次いで中国34万人(22.1%)、韓国20万1100人(13.0%)、タイ12万8300人(8.3%)、香港12万200人(12.0%)となっています。この数字をみると、来道した約12万人の香港人のレンタカー利用が約1万件。実際にはファミリー利用が多いことを考えると、香港人の北海道でのレンタカー利用率はかなり高いことがわかります。

数のうえでは沖縄県に比べると見劣りのする北海道ですが、外客の受入態勢の構築のプロセスをみると、全国に先駆けた取り組みを続けてきたことで豊富なノウハウを有しています。

北海道では香港人を中心に早い時期からレンタカー利用が見られていましたが、広範囲に観光地が広がっている地域の特性上、旅慣れた外国人観光客にとってレンタカーは不可欠の足でした。

北海道の本格的な取り組みは2007年9月から台湾人の国内での運転が可能となったことから始まります。

同年4月に北海道外国人観光客ドライブ観光促進連絡協議会が設立されますが、実はその前年の06年12月、喜茂別町で外国人ドライバーの交通死亡事故が発生しています。冬場の凍てついた道路を運転することにアジア客が慣れていないのは当然ともいえますが、外客の利用促進のためには、冬道の安全運転の啓発は欠かせません。こうした事情から、外国客に安全・安心してドライブ旅行を楽しんでもらいための受入態勢の構築のための調査やノウハウの啓蒙が進んだと考えられます。

たとえば、2009年には国土交通省北海道開発局が以下の外国人向けのドライブハンドブックを作成しています。
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「北海道ドライブまるわかりハンドブック」5カ国語(日本語、English、中文・繁体字、中文・简体字、한국어)対応
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/handbook.html

その目次を以下記します。北海道でドライブするとき、起こりうるトラブルをわかりやすく解説しています。

 はじめに ~外国人観光客の皆様へ~
  北海道ドライブ観光へ出発するまで
 第1章.北海道でドライブをしよう!
  1-1.北海道の広さ
  1-2.北海道、四季の魅力
  1-3.北海道、各地の魅力
  1-4.快適ドライブのまめ知識
  1-5.ルールとマナーは必ず守ろう!
 第2章.レンタカーを予約しよう!
  2-1.レンタカーサービスの基本情報
  2-2.カーナビの使い方
 第3章.知っておきたい交通ルールとワンポイントアドバイス
  3-1.北海道をドライブするその前に
  3-2.これだけは知っておこう!日本の交通ルール
  3-3.高速道路を利用しよう!
  3-4.ガソリンスタンドの利用法
  3-5.冬道ドライブは慎重に!
 第4章.こんな時はどうするの?
  4-1.もしも、交通事故や違反のトラブルが起きたら
  4-2.もしも、ケガや病気のトラブルが発生したら
  4-3.もしも、天気によるトラブルに見舞われたら
  4-4.もしも、車が故障したら
  4-5.もしも、野生動物にぶつかったら
 資料編
  <その1>いざという時のための指差し会話集
  <その2>関係機関の連絡先とwebサイト一覧
  <その3>お役立ち資料

さらには、地域が外国人ドライバーを受け入れるための基本的な認識やノウハウをまとめた解説集も作成しています。

外国人ドライブ観光客 誘致・受入事例解説集
http://www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/yuuchi.html

はじめに 
 第1章.主な外国人ドライブ観光客の特性等について
 第2章.外国人観光客が、北海道でドライブ観光を行う際(事前/滞在中)に必要としている情報や対応について
 第3章.各地域の取組の事例
 第4章.本道関係各機関における既往の取組について~発信情報の内容や多言語対応の状況~
 最後に

この解説集には、北海道の主要なレンタカー利用客である台湾、韓国、香港、シンガポールの来道目的や移動形態の傾向、運転週間の違いなどを以下のように説明しています。

たとえば、台湾の項には「日本の「止まれ」の標識は国際基準と異なり、理解されにくい。台湾では、制度上は一時停止の義務はあるものの、見通しがよい場合は一時停止をする車はほとんどいない(踏み切りについても同様。台湾の高速道路では、走行車線・追越車線の区別がない。矢印信号は台湾にはないため、とまどってしまう)とあります。

また韓国の項には「日本とはハンドルが逆ではあるが、標識や交通ルールは似通っている。見通しのよい踏み切りなどではつい一時停止を怠りがちである。韓国では一般道でも時速80kmまで出せる道路もあり、高速道路の最高時速は110㎞。「止まれ」「徐行」の標識の意味がわかりにくい」。

香港の項には「日本と同じ左側通行であるが、赤信号でも左折フリーの国である。横断舗装以外では「歩行者優先」というルールはなく、車が優先される。一般道路の最高時速が70㎞であるためか、北海道をドライブして「スピードが遅すぎる」と感じるドライバーもいる」。

これは実際の外国客にヒアリングしてまとめたものですが、それぞれお国事情が違うため、日本でのドライブは勝手が違うところがありそうです。こうしたバックグランドの異なる外国客が日本でドライブするわけですから、関係者はこれらの違いを認識しておく必要があるでしょう。

このマニュアルを作成するために北海道では以下の調査を行っています。

北海道における外国人ドライブ観光の推進方策検討調査(概要版 平成20年)
www.hkd.mlit.go.jp/topics/toukei/chousa/h20keikaku/03.pdf

こうした全国に先駆けた調査は、今後レンタカー利用が増えるであろう全国各地の関係者にとって貴重な情報提供となっています。

札幌レンタカー協会では、冬場の事故防止のため、外国客向けにチラシを作成しています

今後は、全国で北海道の事例を学べ、という機運が高まっていくだろうと思います。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-07 12:01 | “参与観察”日誌 | Comments(0)
2015年 09月 06日

海外客がTocoo!でレンタカーを予約する理由

海外個人客のホテル予約は、エクスペディアやBooking.comなどの海外ホテル予約サイトの利用が普及していますが、同じことはレンタカー予約でも起きていました。

個人客が航空券とホテルを手配した後、日本での移動の手段としてレンタカーを利用する動きは、これまで見てきたように、香港や台湾、韓国、タイ、シンガポールなどのアジアを中心とした訪日旅行者の間で急速に進んでいます。

外国人ツーリストのレンタカー利用が増えています(ニッポンレンタカーに聞く)
http://inbound.exblog.jp/24799845/

国内のレンタカー事業者は、それぞれ予約サイトの多言語化を進めていますが、やはり各事業者の情報を横断的に閲覧でき、利用者の細かいニーズに対応したサービスを提供する予約サイトが重宝されるのは当然でしょう。

その第一人者が、レンタカー予約サイトのTocoo!です。
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Tocoo!(中文版)
http://www2.tocoo.jp/cn

同サイトを運営しているのは、1997年創業のクーコム株式会社で、もともと有料会員制の宿泊予約サイトでした。同社は2000年代の早い時期から海外客向けのレンタカー予約サービスを開始しています。同社の牛田隆夫取締役に話を聞きました。

―いつ頃から海外客向けサービスを始めたのですか。

「2003年頃からです。弊社にアメリカ留学体験者がいて、早い時期から海外のお客様を日本に呼び込むインバウンド事業に取り組もうという考えはありました。そのときから、ホテルだけでなく、レンタカーもやろうかと思っていました。

当時宿の世界は保守的で、外国人を泊めるなんて、という声が多かった。レンタカー業界も同じで、当時レンタカー会社に海外客の予約サイトを立ち上げる話をしたとき、外国人なんかには貸せないよ、という感じでした。

なぜですか? とこちらは思うわけです。では、外国人が国際免許証を持ってカウンターを訪ねたとき、あなたたちは貸さないのですか? と聞くと、いや、そんなことはないと答えました。だったら、始めてみよう。こうしてなかば強引にスタートさせたのです。

ネットの社会というのは、世界中から見られるのです。言語を日本語から英語にすれば、日本に来るお客様もレンタカーを使う可能性がある。当時はまだ「観光立国」という言葉が使われ始めたばかりでしたが、私は今後絶対そうなると思っていた。

すでに2001年から国内客のレンタカーの予約サイトを始めていました。それ相応の取引があったので、レンタカー会社も当社をおろそかにはできない。まずはサイトの英語化から始めました。

誰かが強引に走り出さないと日本の社会は動かないんです。とはいえ、急に利用者が増えるというわけではないから、細々と始めることにしました」。

―2003年当時の予約状況はどうでしたか。

「当初は月に数台程度。予約が入るたびに、電話で確認したことを覚えています。

海外で認知度がなければ、そもそもサイトを見つけてもらえないわけですから。その後、実際に日本で利用した外国客がブログで紹介してくれたりして、徐々に利用が増えてきました。

これまでPRにお金を使ったことはほとんどないんです。唯一かけたのが、米国版のYahoo!のデイレクトリーに載せるため。当時は「Japan car Rental」にエントリーされているサイトがひとつもなかったんです。そこに載せるのに2万円かかりました。それだけです」。

―いつ頃から海外客の予約が増えてきたと感じましたか。

「2007、8年くらいから。この頃から月100台を超えるようになりました。11年の震災の前には、海外が国内を逆転する勢いになっていました。いまでは国内予約より海外予約のほうが圧倒的に多い。震災直後は半年分の予約99%がキャンセルとなったので、東電は保証してくれました」。

―最近の予約状況はいかがですか。

「国籍でいうと、ほとんど東南アジア。香港、台湾、韓国、シンガポール、タイなど。売り上げは前年比90%増です。国数でいうと60カ国がすでに利用していますが、半分以上が中国語圏。2007年9月に台湾人のドライブが可能となったことを機に中文版を立ち上げ、その後すぐにハングル版も始めました」。

―国内のどのエリアの利用が多いですか。

「全体の3割は北海道。でも、最近は関空や中部国際空港利用も多い。雪を見るために、名古屋から高山や白川郷に向かう人が増えています」。

―大阪のレジャーホテルの話では、ロードサイド店に関空からレンタカーで直接来てチェックウインするそうです

「そうでしょう。その場合はうちのサイトを利用されている方が多いと思います」。

―海外客の実際の利用状況はどうですか。国内客との違いはありますか。

「まず一回あたりのレンタル料金が国内客の3倍近い。利用日数の平均は、国内は2.5日で海外は5日。海外客の特徴は、ワンボックス車が人気で、乗り捨て利用が多いこと。なかには札幌で借りて大阪で返す人もいる。中華系が多いのでファミリー利用が多い。レンタル料金の単価が上がるのは、乗り捨てが多いからでもある。

当社ではETCを貸し出ししています。カードは空港のカウンターか初日に泊まるホテルに送ります。回収用の封筒を付けて戻してもらうのですが、回収率は100%。問題はありません。

ETCを貸し出すことで、海外のお客様がどんなルートを走っているか解析できます。たとえば、御殿場や河口湖で高速を乗り降りする人が多いとか。こうしたデータを持っているのはおそらくうちだけですが、海外客は首都高速も平気で乗っているし、日本各地を普通に運転されていることがわかります。

ご存知のように、アジアの交通事情はめちゃくちゃで、一般の日本人はまず運転できません。でも、日本には無茶な運転をする人はほとんどいないので、彼らにすれば楽勝なんです」。

―車はたいてい空港で借りるんでしょうか。

「いやいや、そうでもない。空港からダウンタウンに来てホテルで一泊して、翌日にホテルの近くで借りるのが40%。空港は39%で残りの2割は駅など」。

―客層はどうですか。

「海外客でレンタカーを借りる人は圧倒的に富裕層ですね。アンケートをすると、年収は1億円以上もたくさんいます。約50%が年収1000万円以上。だから、単価が高い。車のグレードがよければ喜んで利用される。アルファード(トヨタの大型ミニバン高級車)とエルグランド(日産のワンボックス型ミニバン)があれば、確実にアルファードを選ぶ。海外客はキャンセルチャージも100%回収している。はっきり言って、金払いは海外客のほうがいい。

実際、国内客の場合は安くしないと売れないので、海外客のほうが儲かります。レンタカー料金も20万~30万使う人はたくさんいる。しかも、当社の海外利用客の7割はリピーターです」。

―海外客からはどんな要望がありますか。

「クレームとして多いのは「日本のカーナビは古い」という声です。日本では一般にカーナビは3年で交換する。そんなに新しい道路がどんどんできるわけではないのになぜ? と思って調べたら、いろんなことがわかってきた。一般に日本のカーナビは施設の電話番号で目的地が登録されている。その場合、温泉旅館は問題ないが、最近アジア客に人気のフルーツ狩り農園や漁港などは見つからないことが多い。日本人なら電話番号がダメなら、施設名や住所で探せるが、アイウエオがわからない海外客はお手上げになる。実は、もうひとつの検索手段として、緯度経度でコード化されるマップコードで探す方法がある。だだし、このサービスは多言語化しておらず、海外のお客様は調べられない。そこで、我々は有料でマップコードを教えるサービスをやっています。

もうひとつはホテルへの配車サービス。都内の高級外資ホテルの宿泊客は富裕層だから、予約のついでに配車してほしいという声がある。だが、残念ながらレンタカー会社の中にはこうしたサービスに対応できないケースが多い。

だったら、手数料をとって配車したらどうか。ホテルの玄関で車と鍵を渡すだけのこと。料金は事前決済なのだから。富裕層相手に配車手数料2000円は全然問題ない。今後、レンタカー会社とホテル側と協議して進めたい。

一般に日本のレンタカー会社が用意しているのは、国内市場に合わせたコンパクトカーが多い。富裕層はこの種の車にはまず乗らない。2000ccクラスの車をもっと用意すべきではないか」。

―海外客のニーズやマーケットの動向を詳しく知る立場にある御社としては、今後どんな展開を考えておられますか。

「これからますます海外客が増えると思う。政府が外客誘致を進めているわけだから、増えるにきまっている。いまから30年前、ハワイに日本の農協などの団体がどんどんツアーで行っていたが、いまは団体で行く人はいない。同じように、訪日旅行もリピーターが増えていくと、同じことが起きる。

今後は海外個人客の足をどうするかがいちばんの問題になる。いまは大都市圏には海外客は多いが、伊豆半島や房総の先にはまだ来ていない。東京のホテルは潤っているが、伊豆半島はそうではない。我々の役目は、そこにお客さんを送ることだと考えている。

やはり二次交通が重要なのです。いくら地元をPRしても足がなければお客さんは行けないのだから。

いま団体ツアーのバス不足問題が起きています。この問題はしばらく続くと思う。訪日外国人全体の7割はエージェント経由。団体でバス利用が多いから不足が起こるのだが、今後はエージェント経由で個人もレンタカーという時代になるでしょう。そこで、いま海外のエージェントにBtoBで我々を利用してもらうよう話を進めています。

実は、すでに海外のエージェントからも予約が入っています。当社のようなサイトを使ってエージェントが代理予約しているケースが見られるのです。であれば、門戸を広げると、もっと使いやすくなるのではと考えています」。

―レンタカー予約の次は何を考えておられますか。

「これから外客向けの宿泊予約サービスを始める予定です。現在、一部の日本の旅行会社は海外サイトに客室を供給し、販売してもらっているようだが、それはまずいと思う。結局、販売力のある者だけが生き残るのだから。エクスペディアやBooking.comに日本側から対抗する動きがないとおかしい。我々は小さいながらそれに取り組む考えです。

もともと当社は国内向けの会員宿泊予約サイトをやっていました。ですから、まずはリピーターの海外のレンタカー利用客にホテルも予約してもらうという流れです。我々の強みは、ただホテルを紹介するだけでなく、足も提供できること。そうやって、地方の旅館に外客を送り込めるようにしたい。それが本来我々のやるべきことだと思う。

旅館側も、外国人なんて、と言っている時代ではない。どんどん取り込むべきです。

今後は外国人の消費を増やさないとしょうがない。いかに彼らに気持ちよくお金を使わせるか。その際、安売りすべきではない。おもてなしをしつつ、きっちりお金を取るべきです」。

レンタカー市場の内実をいちばんリアルに理解しているからこそ、次の手が打てる。Tocoo! の今後の展開は要注目です。
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by sanyo-kansatu | 2015-09-06 12:08 | “参与観察”日誌 | Comments(0)