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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2011年 11月 26日

外国人記者説明会(トラベルマート2011 その2)

トラベルマートの初日午前には決まって外国人記者を集めた説明会があります。主催者である観光庁が外国メディアに向かって訪日旅行促進のための日本政府の考え方やプロモーション活動について広報する場です。
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今回外国人記者たちが注目していたのは、今年10月観光庁が打ち出した外国人1万人の訪日無料チケットの提供(Fly to Japan事業)に関する詳細でした。日本政府が本当に無料航空券を提供してくれるとなれば、外国人記者たちが「次号のトップページの見出しはこれだな」と期待をこめるのも当然です。

外国人1万人に無料航空券…観光庁11億円予算
ところが、説明会の担当者である観光庁国際交流推進課の課長さんの口は実に重かったのでした。本来であれば、外国人記者の最大の関心事である「無料チケット」情報の発表は、この説明会を成功裏に終えるための格好のアピールポイントだったはずです。ドカーンと鳴り物入りで発表したっていいくらいの大ネタです。

それなのに、担当官氏はその実施時期をめぐって「12月の国会審議が通って、うまくいけば来年4月にプロモーションが始まるだろう」などと内輪の事情を真正直に明かしてしまったのです(そんなこと、外国の皆さんに知らせる必要があったでしょうか)。本来広報とは相手に伝えなければならないメッセージをどこまで明快かつ印象的に伝えられるかが勝負のはずです。

担当官氏の英語力に関しては、同じ日本人として追及するのは控えたいと思いますけど、せめて説明会で想定される質問にどう答えるべきか事前にシュミレーションするなり準備はしてほしいものです。今回呆れたのは、事前に外国人記者から用意してもらった質問を、氏は順番に読み上げ、それに答えるという一人芝居を始めてしまったことです。

なぜその場であらためて質問記入者に声をかけ、質問の意図を披露してもらった後で、それに答えるというようなインタラクティブな演出ができなかったのか。

ここ何年か、外国人記者説明会に出席しているぼくからすると、観光庁側の準備不足が目に余ります。せっかくのPRの場が台無しです。

こんな無味乾燥な説明会がさして問題とならないのは、理由があります。観光庁側のスピーチ担当者は毎年コロコロ変わりますが、来日する外国人記者の半分くらいは常連なので、説明会の中身のなさについては、彼らも想定内だからです。

ぼくはすでに何人かの外国人記者とは顔見知りで、彼らとは冗談を言い合ったりする関係です。ひとりの日本人として、日本のお役人さんの仕事ぶりに情けない思いをしていることを、いつの日か気がついてもらいたいものです。

by sanyo-kansatu | 2011-11-26 18:21 | “参与観察”日誌


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