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2011年 11月 11日
今回ぼくが国際マンガサミットを視察しようと思ったのは、数年前に北京で知り合った「80后」(1980年代生まれ)の日本アニメファンの女の子(彼女についてはあとで紹介します)に半年前から誘われていたからです。彼女の友人がアニメフェアの運営に関わっている関係で、事前にプログラムを送ってくれたこともあり、その時期北京に行けるなら訪ねてみようと考えていました。 ぼくの中国とマンガにまつわる関心は以下のようなものです(その背景については、当ブログの同じカテゴリの中で少し書いています)。 ①中国における日本マンガやアニメの人気や消費の実態は? ②中国の若い世代の日本マンガ受容の意味をどう考えるか? ③中国市場において日本のコンテンツビジネスの可能性はあるのか? 実は、これらの観点は、2004~08年頃、日本のコンテンツビジネス業界の周辺でさかんに議論されてきたテーマでした。その議論の基調は、海外における日本アニメの受容や人気ぶりに着目し、これだけ支持されているのだから海外進出は可能なはずだ。……ただ、実際にはこうした希望的観測に基づく期待感だけが大いにふくらんだものの、海外における人気や消費の実態、受容の意味、そして何より市場の中身を検討する作業は十分になされてこなかったと思います(国・地域にもよりますが)。 確かに、パリでサンパウロで上海で、コスプレに興じる海外の若者の姿を見たら、みんな日本のアニメに夢中で、ビジネスの可能性は世界に広がっていると多くの日本人が思い込んでしまったのも無理はなかったといえます。 しかし、実際のところ、これもあとで触れますが、日本のアニメ企業の海外売上は2005、6年をピークに減少傾向にあることが知られています。期待値の上昇と売上は反比例していたのが実情なのです。 こうしたことから、さすがに過度な盛り上がりもひと段落。安易な思いつきだけでは思惑どおりにはいかないことを関係者の多くが理解したことまではよかったと思いますが、時代は動いています。電子書籍やスマートフォンの普及によって市場環境が変わりつつあるなか、あらためてなぜうまくいかないのかも含め、中国の事情を冷静に探っていくことは必要だと思います。 ![]() さて、10月22日の朝、ぼくは北京の彼女と待ち合わせ、北京動漫遊戯場を訪ねました。会場はさすがに首都鉄鋼工場跡の巨大な廃墟空間を再利用しているだけあり、迫力満点でした。これだけ意味ありげな舞台が用意された中で、北京のアニメ関係者はどんなサプライズを見せてくれるのか。まずは会場の様子をお見せしましょう。 コミケの風景 ![]() ![]() ![]() コスプレ大会 ![]() 出版社ブース。携帯マンガのブース(中国移動通信)も ![]() ![]() ![]() 来場者たち ![]() ![]() ![]() ![]() 皆さん、どうお感じになったでしょうか。北京のアニメ文化の盛り上がりもなかなかのものではないか。……はたしてそうなのでしょうか。ぼくの正直な感想は、一見にぎわっているようだけど、ずいぶん退屈な世界だな、というものでした。来場しているのは、いわゆる「80后」「90后」の子たちが大半です。男女比率は四六くらいかな。コスプレ率も高く、みんな思い思いのキャラクターに扮して会場を闊歩しています。みんな楽しそうといえば楽しそうなんだけど。これで本当に満足なのかな? 確かに、上海などに比べるともともと北京の若者はサエない印象があります。でも、それは仕方がないというか、別にいいじゃない。そこがかわいいともいえるのだから。ただコミケというのに、アニメ関連グッズやコスプレ関係の出店がほとんどで、同人誌の売買はあまり見られません。もちろん、いまの時代、作品を印刷製本するよりネットにのせるほうが一般的なのでしょうが、せっかく与えられた場を自分たちの手で最大限に活用しようというパッションがあまり感じられないのです。みんな所詮お客さんにすぎないという印象です。 あとこれは中国の国情だから仕方がないのでしょうが、至る場所にやたらと制服姿の公安がいます。人がたくさん集まる場所は政府が管理しなければならないという環境に、コスプレ姿の中国の若者は慣れているのか、あまり気にしていないようです。 ![]() ![]() まあ参加しているみんなが楽しけりゃそれでいいとは思うのですが、関係者はこの状況をどう思っているのでしょうか。北京の彼女の友人で北京国際アニメフェアのコスプレ大会運営責任者である北京出版集団『北京卡通』の張帆さん(30)に話を聞くと、こういう次第でした。 「今回は北京で初めてのアニメフェア。広州や杭州に比べるとまだまだ。国際マンガサミット開催のおかげで政府から支援があったから今回はイベントが実現したのですが、来年も開催できるかどうかまだわからないのです。入場券やコミケ、出版社ブースの収益だけではこれだけの規模のイベントはとても賄えるものではないからです」。 あらら、そういうことだったんですね。コミケの運営資金もすべて政府持ちというのが、北京国際アニメフェアの実情だったのです。 張帆さんは「ぼくもいつか日本のコミケを観にいきたい」と言っていました。中国と日本では運営の仕方がどこが違うのか、ぜひ見てもらうと面白いと思います。 それにしても、なぜ中国ではアニメフェアの運営まで政府がお膳立てしなけりゃならないのか? そもそも国家主導のやり方が、中国におけるアニメ文化と産業の発展の足かせとなっていることに彼らは気づいていないのか? そんな素朴な疑問が出てきますよね。
by sanyo-kansatu
| 2011-11-11 21:53
| 中国の新人類「80后」世代
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