2013年 03月 25日
東京国際アニメフェア2013に行ってきました。毎年時間を見つけて足を運んでいるのですが、今年は例年に比べ出展ブースが少ない印象でした。去年まで多数出展していた中国のアニメ制作会社のブースがなかったことも影響しているかもしれません。ビジネスデーの2日目(3/22)の午前中ということで、会場は少し閑散としていましたが、目についたのは外国人で、商談以外にも若い人たちがたくさんいて、楽しそうに回遊していました。 東京国際アニメフェア2013 http://www.tokyoanime.jp/ja/ 個人的には、「テレビアニメ50年の軌跡」という展示コーナーが面白かったです。1963年以降のテレビアニメを年代別に書き出して、当時のキャラクター商品をちょろっと展示しているだけのブースなのですが、1970年代に少年期を過ごした世代としては懐かしかったです。なにしろぼくは「鉄腕アトム」の放映された年に生まれた人間なのですから(まいっちゃいますね)。 「Tokyo Otaku Mode」というブースも目を引きました。海外アニメビジネスの可能性を探るシンポジウムもあるようでした。 報道によると、東京国際アニメフェア実行委員会の発表する来場者数は、21日、22日のビジネスデーは伸び悩んだものの、パブリックデーで大きく取り返し、昨年大幅に減少した9万8923人(前年比24.5%減)から当初目標の10万人を超えたそうです。 ビジネスデーは、ビジネス関係者と学生のみを対象としている日ですが、やはり今年は少し元気がなかったのですね。対してパブリックデーは、子供や家族、アニメファンのための日で、『ドラえもん』や『名探偵コナン』「プリキュアシリーズ」などの人気作品が動員の牽引力になったようです。 ぼくはアニメ業界の人間ではないので、一般の来場者とはそもそも観点が違うのかもしれませんが、たまたま会場で「アニメと、メディア・商業・観光の世界展開」(第1期の成果と第2期展開への期待を背景に、アニメ&キャラクターコンテンツの、国際的な放送やオンライン・モバイルのメディア展開によって生み出される二次利用商品や観光などグローバルな波及効果について、メディア、商業、観光の立場の方とアニメ製作者が語り合う)というパネルディスカッションをやっていたので、途中からでしたが話を聞くことにしました。 出版社や通信会社、ショッピングモールの関係者などと並び、JTBコーポレートセールス事業開発部 地域×メディアマーケティング室の古関和典室長という方も登壇者のひとりで、アニメの「聖地」巡礼で観光を盛り上げようという話をされていました。 旅行会社として、いかに地域やメディアと関わり、アニメのコンテンツを活用した観光誘致や地域振興を行うかという話です。大ヒットした映画『テルマエ・ロマエ』と全国の温泉地を結びつけた特集企画を旅情報誌の「るるぶ」で展開したことや、中国人観光客向けに、昨年上海でアニメ「聖地」巡礼をアピールするイベントをした報告もありました。ただし、日中関係の悪化で、ツアーの催行には至ってないそうです。 ぼくも2年ほど前、北京の大学の日本語学科卒業生のみなさん相手に、同じような話(アニメ王国ニッポンを旅しよう!)をしたことがありますけど、この手のイベント、その場はそれなりに盛り上がるのですが、だからといって日本に旅行に行こう、という動きにはすぐにはつながるものでもないようです。 ちょっと面白かったのは、日本動画協会の松本悟さんという方が、アニメに出てくる食事シーンを観光プロモーションに結び付けようという話をされていたことです。ご当地アニメをつくって、登場人物たちに地元料理を食べさせることで、視聴者にも食べてみたい、行ってみたいという気にさせるということでしょうか。 最近、地方を舞台にしたアニメ作品が増えているのは、製作者側が地域と連動した動きを始めているからでしょう。確かに、自分の街が作品の舞台になるのって、ちょっと楽しいことかもしれません。 実際、今回の出展者には、自治体もいくつかありました。個人的にたまたま縁があったのは、埼玉県羽生市です。ある大学の学生さんと一緒に羽生のまち歩きマップの制作をしたことがあるのですが、なんでも昨年11月、「ゆるキャラさみっとin羽生」というイベントがあって、全国のゆるキャラのコンテストをやったんだそうです。 ちなみに羽生には「ムジナもん」と「いがまんちゃん」というゆるキャラがいます。よその土地の人にはなんだかよくわからないと思うのですが、「ゆるキャラさみっとin羽生」のパンフレットをみると、全国265のゆるキャラが勢ぞろいしたそうです。こういう最近のブームって悪ノリすぎではないのか、そもそも地元のアピール効果が本当にあるのか疑問ですが、なんだか世の中すごいことになっているなと思ってしまいました。 もうひとつが「まんが王国とっとり」のブースです。昨年世界マンガサミットをやったばかりですが、どうやら鳥取県では本気でマンガを地元の産業振興につなげていきたいと考えているようです。 鳥取県は、水木しげる、「名探偵コナン」の青山剛昌、谷口ジローという3人の日本のマンガ界を代表する作家を輩出しています。ただ中国の例をここに持ち出すのもどうかと思いますけど、お役所主導の文化産業振興はなかなかうまくいかないものです。応援したい気持ちはあるのですが、いったいどう進めていくのか。注目していきたいと思っています。 最後に会場で見かけた中国人関係者たち。視察という名目で来場しているのだと思われますが、みなさんそれほどアニメに関心があるようには見えないところが不思議というか。今年から一斉に消えた中国関連ブースも尖閣の影響なのかよくわかりませんが、会場には他にもたくさんの外国人がいるなか、ちょっと異質な存在感を見せているグループでした。
by sanyo-kansatu
| 2013-03-25 11:41
| 中国の新人類「80后」世代
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