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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 05月 09日

ぼくの好きな北京のブックカフェ

ここ数年で北京にはしゃれたブックカフェがいくつもできています。いまの中国の都市に暮らす人たちの考え方や気分について知るためには、西単の北京図書大廈のような大型書店だけでなく、限られたスペースの中によくセレクトされた書籍や雑誌の並ぶブックカフェに行くと、いろんなことに気づかされます。

以下、北京でぼくがよく立ち寄る6つのブックカフェを紹介します。

①Timezone 8 Art Books
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798大山子芸術区の中にあるアート系の専門書店です。ここ数年、798の変容ぶりを定点観測しているのですが、アート作品に映し出される中国の社会意識の変化を知るうえで参考になる資料を買い揃えるのにけっこう役立ちます。以前は中国と欧米の2つの部屋に分かれていましたが、4月に訪ねたとき、書棚のスペースが縮小されているように感じました。いまや観光地化してしまった798ですが、この書店は貴重な存在だと思うので、なんとか維持してほしいと思います。
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Timezone 8 Art Books (现代书店北京艺术书屋)
朝阳区酒仙桥路4号798大山子艺术区
www.timezone8.com/

※2014年1月上旬、798を訪ねたところ、このブックショップは閉店していました。ここ数年訪ねるたびに798芸術区の疲弊を感じていましたが、その影響は大きいようです。習近平政権になって中国の独立系文化が元気を失いつつあることを実感します。

②360店
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この書店も798にあります。生活デザイン系の書籍や雑貨、洋服などが置かれています。佐藤可士和の仕事集や「無印良品」の本など、日本の翻訳書も目につきます。中国のクリエイティブな人たちがいかに日本を参考にしているかよくわかります。外国人の多いTimezone 8と比べると、若い中国の女の子が多い店です。
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360店
朝阳区酒仙桥路4号798艺术区陶瓷三街
www.design360.cn

③Kubrick(库布里克)
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香河園路にある「当代MOMA」というモダンな建築群の一角にあるブックカフェです。この建築群は、アメリカの建築家スティーヴン・ホールの作品で「リンクト・ハイブリッド」と呼ばれています。近くに当代MOMA百老匯電影中心という映画館もあります。
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書籍の売り場とつながっているカフェでは、毎週のようにカルチャー系のイベントがあるようです。昨年7月、ここで中国版「女の子のひとり旅講座」とでもいうべきイベントに偶然出くわしたことがあります。「独立女生旅行分享会」という集まりでした。
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Kubrick(库布里克)
东直门香河园路1号当代MOMA北区T2座一层
http://site.douban.com/kubrick-bj/

④单向街(One Way Street)
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もともとこのブックカフェは朝陽公園近くの藍色港湾というショッピングモールにあったのですが、4月に訪ねたとき、地下鉄6号線青年路駅前の大悦城というショッピングモールに移転していました。
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ここでも毎週のように新刊を出した作家やエッセイストなどを呼ぶイベントがあります。知り合いの中国独立系の映画監督、徐童さんも3月下旬にここで講演会をやったそうです。
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单向街(One Way Street)
朝阳区朝阳北路101号朝阳大悦城4F-54号
http://www.onewaystreet.cn/

⑤字里行间
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北京市内にいくつか支店がありますが、ぼくがよく行くのは地下鉄10号線三元橋駅にある鳳凰匯ショッピングセンター内にある店です。
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字里行间
朝阳区三元桥东北凤凰商街凤凰汇购物中心B1层115号(地铁10号线三元桥B口出)
http://site.douban.com/bookfun/

⑥PAGE ONE三里屯店

三里屯ヴィレッジ南区にある書店で、雑貨なども置かれています。外国の書籍の翻訳モノが充実しています。
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PAGE ONE三里屯店
Units S2-14a-b, 1-2F, Sanlitun Village,
No.19 Sanlitun Road, Chaoyang District
http://www.pageonegroup.com/

これらのブックカフェに置かれている書籍や雑誌は、いまの中国の選良たちの嗜好に合ったハイセンスで高踏的なテーマを扱う内容のものが多く、日本の1980年代の西武百貨店にあったアールヴィヴァンを思い起こさせます。北京・上海・広州などの大都市では、すでに文化雑貨が商品となりうる時代を迎えていることを実感します(天津や瀋陽、大連といった地方都市になると、こういう消費文化がまったくないとはいいませんが、まだ少し時間がかかりそうです)。

ただ、北京図書大廈や王府井の新華書店のように、いつでも客でごった返しているというわけでもないので、経営はどうなのでしょうか。もともと中国では本の値段が安く、隣接したカフェで飲むカフェオレ1杯と単行本の値段が変わらないのですから。そういえば、地下鉄1号線大望路駅の現代城SOHOに以前、光合作用書房(五道口にもありました)というおしゃれ系の書店があってよく通ったのですが、数年前に倒産してしまいました。

それでも、いまの中国の独立系の文化を支えるうえで、ブックカフェはとても重要な存在だと思います。

by sanyo-kansatu | 2013-05-09 09:13 | のんしゃらん中国論


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