2013年 07月 16日
2013年に入り、インバウンドを取り巻く状況が変わってきたようです。今年上半期の新聞各紙から興味深い動きをピックアップしていきます。まずはホテルの動向から。 「都市ホテルの稼働率が一段と上昇している。日本経済新聞社の調査によると、東京では4月の稼働率が9割を超すホテルが続出。円安による外国人客の増加に加え、景気回復基調で国内観光の客足も戻った。大阪でも稼働率は高水準。インターコンチネンタル大阪が5日開業するなど外資系を中心に新規開業が増えており、競争環境は今後激化する見通しだ」(日経MJ2013年6月7日) 同紙では「東京・大阪の主要都市ホテルの稼働率は震災前を大きく上回る水準に」「2013年4月の主要19ホテルの平均客室稼働率は88%と前年同月比5.7ポイント上昇」「ほぼ10年ぶりの高水準となった」「宿泊客に占める外国人比率が4~6割に達する例も目立った」としています。 以下、都内の主なホテルの①客室稼働率と②外国人比率の〔昨年4月→今年4月〕を公表しています。 京王プラザホテル ①86.7→92.8 ②60%台前半→60%台後半 ホテルニューオータニ ①61.8→72.8 ②42.7→40.1 セルリアンタワート東急ホテル ①83.4→91.5 ②53.5→56.9 ホテルオークラ東京 ①66.3→82.6 ②51.8→51.4 品川プリンスホテル ①87.6→90.7 ②21.2→23.5 ホテルメトロポリタン ①91.3→91.8 ②53.1→62.4 八重洲富士屋ホテル ①96.8→99.0 ②16.3→11.7 コートヤード・マリオット銀座東武ホテル ①92.7→95.2 ②71.7→67.8 ホテル日航東京 ①82.6→85.7 ②21.3→10.5 帝国ホテル ①79.7→87.6 ②約4割→約4割 上記のデータから、ホテルによって外国人比率がずいぶん違うこと、どのホテルがインバウンド客への取り組みに積極的かがわかります。ホテルによって欧米系とアジア系の比率が異なる場合もあります。また外国人比率が減っても稼働率は上昇しているホテルも多いことから、景気は回復基調にあるといえそうです。 「外資系高級ホテル、都内に続々 外国人富裕層つかめ」(日本経済新聞2013年6月7日)という記事もあります。 「外資系高級ホテルが東京都心で相次ぎ開業する。港区虎ノ門で建設中の超高層ビルに米ハイアット・ホテルズのブランド『アンダーズ』が日本に初進出する。千代田区大手町のオフィス街にはシンガポールの有名リゾートホテル『アマン東京』が開業する。外国人富裕層のビジネス・観光客の受け皿増加は、東京の国際化を後押しする」 他にもホテルラフォーレ東京(東京・品川)を改装し、13年12月に東京マリオットホテルとして開業予定です。 こうなると「日系ホテル、改装で対抗」となるのは必至で、日系ホテルの取り組み事例を紹介しています。 ・ザ・プリンス さくらタワー東京 今秋にリニューアルオープン。ダブルベッド部屋を6割増しに ・京王プラザホテル 4億円を投じ、南館28~33階の客室を改装。Wi-Fi完備 「既存の外資系も集客策続々投入」として、外資系の事例もあります。 ・マンダリン オリエンタル 東京 6月フランス料理のシェフとメニューを刷新 ・シャングリ・ラ ホテル東京 箱根など近郊への日帰りツアーを拡充 ・ザ・ペニンシュラ東京 京都で文化体験できる独自のプログラム さらに「米ヒルトン 5ホテル改装 外資、日本で攻勢 外国人客増 取り込み狙う」(日本経済新聞2013年7月9日)「2013年からの3年間で100億円超を投じて日本国内のホテルを改装する。東京や大阪など5つのホテルで飲食フロアや客室を刷新する」というヒルトングループの記事もあります。 「ヒルトンは日本で『ヒルトン』ブランドのホテルを9つ展開しており、外資系の都市型高級ホテルでのブランドでは最も多い。そのうち5つの改装に集中投資する」「ヒルトンが日本で過去に例のない集中投資をするのは、外資系を中心に大都市で高級ホテルの開業が相次ぎ、競争が激しくなっているため」です。 同記事では、背景として「タイヤマレーシアのビザ要件緩和などで東南アジアからの観光客の増加が見込める。観光スポットや話題の商業施設の増加で国内各地から日本人旅行者も増えており、大都市の高級ホテルに追い風になっている」と結んでいます。 ●日本でこれから開業予定の外資系ホテル 東京マリオットホテル(2013年12月)http://www.tokyo-marriott.com/ アンダーズ(14年夏) http://www.andaz.hyatt.com/ja/andaz.html アマン東京(14年) http://luxury-collection.jp/ ヒルトン沖縄北谷(14年) フォーシーズンホテル京都(15年) 最後に、外資系ではないですが、「星野リゾート 東京・大手町に高級旅館」(日経MJ2013年3月18日)の記事を挙げておきます。 「旅館、ホテル運営の星野リゾート(、長野県軽井沢町)は三菱地所と組み、2016年をめどに東京・大手町で高級旅館の運営に乗り出す。84の純和風客室や日本食レストランなどを備え、訪日外国人を中心にビジネスから観光まで幅広い用途の利用客を取り込むほか、日本旅館の運営手法を世界に発信。同社の認知度を高めることで、将来的には海外でのホテルの運営の受託にもつなげる」 「星野リゾート、バリ島進出」(日本経済新聞2013年6月7日)、2014年に「現地企業が建てるホテルの運営を受託」するといいます。こうした精力的な同社の動きが、この時期相次いで報じられていることも注目です。
by sanyo-kansatu
| 2013-07-16 17:41
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