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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2013年 10月 17日

チェンマイはこうして中国人の人気旅行先になった【タイで見かけた中国客 その3】

チェンマイは城壁と堀に囲まれた古都で、タイ第2の都市です。

ここでも多くの中国客を見かけました。バンコクに比べて小さい街だけによく目に付くんです。チェンマイ芸術センターのような観光施設は、どこも中国の団体客でいっぱいです。みんな大声でよくしゃべるので、彼らが現れると一瞬あたりは騒然とします。チェンマイは車こそ多いものの、静かなお寺の街ですから。
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中国本土客を呼び込むための簡体字の表示や看板も街にあふれています。昔はこんなことなかったのに……。久しぶりに来てそう思いました。なにしろ訪タイ外国人数のトップですから、当然のことでしょう。
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中国人だけ1割引というレストランの貼り紙もあったほどです。

中国客急増の背景には、昨年12月12日に中国で公開され、13億元超(約200億円)の大ヒットとなったコメディ映画『Lost in Thailand(人再囧途之泰囧)』の影響があるといわれています。
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Lost in Thailand(人再囧途之泰囧)

タイを舞台にした3人の中国男たちのドタバタ爆笑コメディですが、彼らが外国を自由に移動する姿は、まるでロードムービーです。しかも、中国人の北海道旅行のきっかけとなった中国映画『非誠勿擾』のように、ガイド運転手付きの旅ではありません。主人公たちはタクシーや三輪バイクのトゥクトゥク、そして自らバイクにまたがり、チェンマイの街を疾走していくシーンも出てきます。

非誠勿擾

チェンマイでは同映画のロケ地をめぐるオプショナルツアーも催行されていました。といっても、その内容は、実際のロケ地を訪ねるというものではなく、ゾウのショーを見たり、乗ったりというおなじみのアトラクションに加え、少数民族の村を訪ねたり、竹のいかだに乗って川下りをしたりするというアドベンチャーいっぱいの企画です。わりとよくあるオプショナルツアーですが、映画のイメージに引っかけることで中国客を集めようとしているのでしょう。
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タイとミャンマー、ラオスの3カ国の国境が接するゴールデントライアングルを訪ねるツアーもありました。内容は、タイ最北でミャンマーとの国境ゲイトのあるメーサイや首長族のいる村を訪ねたり、メコン川の遊覧船に乗ったりするものです。
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市内のあちこちにレンタルバイクの店があります。そこには必ず簡体字の説明があります。けっこう事故が起きているのか、その際の対処に関して詳しく書かれています。
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実際、ヘルメットを被ってバイクにまたがるふたり組の中国女性を見かけました。きっと映画に触発されたのでしょう。チェンマイに行ったら、レンタルバイクに乗るものだ、と彼女たちは来る前から決めていたに違いありません。

チェンマイは中国客にとって、ヒット映画が提示してくれたようなちょっとしたアドベンチャーを体験させてくれる海外旅行先となったようです。
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こうしてチェンマイは中国人にとっての新しい人気旅行先になりました。これを旅行業界用語で「デスティネーション」といいます。

デスティネーションというのは、一般の消費者にそこが明確な旅先(目的地)であると広く認知されたときに使われます。無名のうちは、消費者が頭に描く海外旅行地図に存在しないのと同じですが、ひとつのデスティネーションとしてあるイメージが認知されたとき、初めてツアーの候補となるからです。『非誠勿擾』がヒットしたことで、中国の人たちの頭の中にそれまでなかった「北海道」という地名が刻印されたのと同じです。
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『Lost in Thailand』の冒頭で、主人公がタイの空港に降り立ち、タクシーで市内に向かうとき、北京と同じような超渋滞の中、運転手から日本語で話しかけられ、思わず「No,I am Chinese」と英語で否定するシーンがあります。いかにもいまの中国人の心情を表しているようで、「やっぱりなあ」と思ったものです。

by sanyo-kansatu | 2013-10-17 16:53 | “参与観察”日誌


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