人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

inbound.exblog.jp
ブログトップ
2013年 10月 31日

地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)

台北国際旅行博(ITF2013)では、出展規模が最大だったジャパンゾーンのにぎわいがひときわ目立っていたのは確かです。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1154273.jpg

台湾人の渡航先は中国が1位で日本は2位ですが、海外旅行の人気先のトップは間違いなく日本です。しかし、それをいまさら強調することよりもっと大事なことがあります。アジアで最も成熟した旅行市場のひとつである台湾に対して、いかに効果的なプロモーションを進めるか、その手法を進化させることでしょう。

ざっとどんな団体が出展していたか見ていきましょう。

まずジャパンゾーンを統括する観光庁のVJゾーン。関係者によると、「テーマは特にないが、強いて言えば『日本で遊びまわろう』」。展示スペースと特設ステージが設置されていて、1日中イベントを繰り広げていました。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1155325.jpg

たとえば、小林正典さんという2010年の「第4回全日本アニソングランプリ」で審査員特別賞を受賞したアニソン歌手のステージもありました。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11551922.jpg

地方自治体のブースは、北は北海道から南は沖縄まで勢ぞろいです。興味深いのは、各県単位の出展ではなく、広域連携化がずいぶん進んでいたことです。

目についたブースを北から眺めていきましょう。まず台湾と多くの航空路線で結ばれている北海道。写真は、なぜかここだけジャパンゾーンの外にあった小樽と函館、道南地区のブースです。2013年3月に道内各地で撮影された台湾のトレンディードラマ『(邦題)ラブ・ラブ・ラブ』が、8月から放送を開始したことをふまえたPRのようでした。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11553546.jpg

北海道マガジンの記事
http://pucchi.net/hokkaido/moviedrama/ftviuui.php

東北ブロック広域観光振興事業推進協議会です。東日本大震災後、国内客は戻って来たものの、唯一外客の戻りが遅いとされる東北だけに、台湾の人たちにはぜひ訪ねてほしいものです。今回のテーマは雪で、蔵王の樹氷が人気のあることから、統一したイメージで売り出そうとしています。ただし、海外では東北は紅葉が有名。雪はむしろ北海道やアルペンルートのほうが知名度が高く、競合してしまうところが気になります。海外の人たちは、やはりその国でいちばん有名な場所に行きたいと思うものだからです。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11555818.jpg

もっとも、関係者によると、今年の秋は台湾から東北へのチャーター便が計画されているそうです。実際、福島を除くと東北には少しずつですが、台湾客が戻っていると聞きます。

関東ブロック広域観光振興事業推進協議会です。とかく東京一極集中しがちな外客の流れを分散させるべく、首都圏周辺の各県がそれぞれの魅力をPRしています。ただし、外国人の目から見ると、内容がいろいろありすぎて、テーマを絞りにくい印象があります。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11561669.jpg

ほかにも、山陰山陽観光推進協議会、四国ブロック広域観光振興事業推進協議会、九州観光推進機構などの広域連携ブースがありました。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11565259.jpg
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1157094.jpg
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1157798.jpg

なかでも注目は、中部広域観光推進協議会でしょうか。中部北陸9県を巻き込んだ「昇龍道」プロジェクトを展開していたからです。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11572571.jpg

日本 中部北陸の旅「昇龍道」プロジェクト
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kikaku/syoryudo/index.html

関係者によると、「アルペンルートで人気を呼んだ富山県も、単独では集客に限界があるので石川県、福井県と横で連携し、さらに長野県、岐阜県、愛知県などとも縦で結び、『昇龍道』というネーミングをつけて一つのルートとして魅力付けした。日本は島国で、外国客は空から入ってくるしかないのだから、まず定期便の発着する空港同士を結ぶモデルコースをつくることが重要」とのこと。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11575045.jpg

その点、台湾からは日本各地にフライトが多数就航しているぶん、モデルルートのバリエーションの可能性が広がっています。同じ航空会社の就航地同士でないと、割引が利かないためツアーはつくりづらくなるので、当然制約はあります。

今回強く感じたのは、これだけ広域連携化が進むと、単独県での出展は来場客の目を引かないということです。地域固有の事情からではなく、外国客の視点や利便に合わせて用意周到練り上げられた広域連携が仕掛けられていくと面白いと思います。

最後に、旅行博ならでは、いかにも日本的だと思える雑多でのほのぼの&おとぼけシーンをいくつか。

彼女たちは「知多娘。」というご当地アイドルです。なんでも「知多半島の活性化」と「若者の就職支援」のために結成されたグループだそうです。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11592390.jpg

知多娘。
http://www.chita-musume.com/

JRレイルパスのパンフレットを配っている台湾人のコスプレ案内嬢もいました。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_11595650.jpg

「徳川家康開運の旅」は中部国際空港を受け皿にした中部各県連携の企画のようです。
http://www.iyeyasu-mikawa.asia/ja/
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1204610.jpg

鳥取県は単独のブースはありませんが、21世紀梨と松葉ガニのパネルをつくって会場を歩かせていました。こういう手もあるんですね。
地方自治体の広域連携化で活気づくジャパンゾーン(台北ITF報告その3)_b0235153_1211240.jpg


by sanyo-kansatu | 2013-10-31 12:01 | “参与観察”日誌


<< FIT向け商品が続出する台湾市...      タイ人の中にはビザ免除がこのま... >>