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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 02月 04日

致命的な東京都内のホテルのWi-Fi整備の遅れ

東京ガスが発行する「MY DEAR」というホテル経営者向け冊子の仕事で、先日東京観光財団を取材しました。担当編集者の方から与えられたお題は「東京“インバウンド”事情 その実態は?」。2020年オリンピック開催決定で注目される東京都における外国人旅行者の実態や受け入れの課題について話を聞くことができました。
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以下、東京観光財団観光事業部アジアプロモーション担当課長の田所明人さんへのインタビューをまとめています。

――東京を訪れる外国人の数はどのくらいいるのですか。

「日本を訪れる外国人観光客のうち、70%が東京都を訪れています。昨年は訪日外国人数が過去最高でしたが、それは同時に東京を訪問した外国人数も最高だったことを意味しています。つまり、訪日外客の七掛けが大まかに東京を訪れる外国人数と考えていいと思います(※だとすれば、2013年に東京都を訪れた外国人は約700万人)」。

――東京都を訪れた外国人はどこを訪れ、どこに泊まっているのですか。

「東京都が実施した国別外国人旅行者行動特性調査によると、訪問先のトップは渋谷。スクランブル交差点はもはや定番観光スポットです。宿泊エリアのトップは新宿。買い物もでき、歌舞伎町などのナイトスポットも充実。交通の便がよく、比較的低価格のホテルも多数あり、客室数の多いエリアといえるでしょう」。

■訪日外国人観光客の訪問先・宿泊エリア

    訪問先    宿泊エリア     
1位  渋谷     新宿
2位  新宿     東京・丸の内
3位  銀座     赤坂、六本木、浅草
4位  秋葉原       ―
5位  浅草     銀座
(平成24年度国別外国人旅行者行動特性調査より)

――アジア圏と欧米圏の旅行者では東京での行動にどんな違いがあるのですか。

「アジア圏の旅行者はとにかく東京で買い物したい。日本には安くていいものがあると考えています。一方、欧米圏の旅行者の関心には、ヒストリー、ウォーキング、カルチャー、ヘリテージなどのキーワードが挙げられます。ですから、当財団のプロモーションの考え方としても、アジア客にはどうすれば買い物してもらえるか、欧米客には日本の文化や歴史にいかに興味を持ってもらうか、とはっきり分けています」。

――外国人旅行者は東京での滞在でどんなことに不便を感じているのでしょうか。東京のウィークポイントは何ですか。

「いくつかありますが、なかでも最大のウィークポイントといえるのは、Wi-Fi整備の遅れです。海外発行のクレジットカードでのキャッシングがどこでできるかもよく知られていません。セブン銀行や郵便局、CITI BANKなどで利用できるのですが、外国人にもわかるような表示がきちんとされていないと指摘されています。羽田の深夜便を利用した外客の都心へのアクセスの問題もあります」。

日本政府観光局と観光庁が以前実施した調査に、以下のデータがあります。

■いつ、どこでインターネットを利用したいか?(複数回答)

1位 宿泊先 88.9%
2位 空港 43.1%
3位 街頭 40.9%
4位 駅・バス停 30.5%
5位 公共交通機関 28.8%
6位 観光や買い物時 25.9%
(平成24年度TIC利用外国人旅行者調査報告書(JNTO)より)

■日本滞在中に得た旅行情報で役に立ったもの(複数回答)

1位 インターネット(PC) 45.0%
2位 観光案内所(空港を除く) 21.3%
3位 日本在住の親戚・知人 21.2%
4位 宿泊施設 19.8%
5位 空港の案内所 19.5%
6位 旅行ガイドブック(有料) 15.6%
7位 フリーペーパー 10.1%
8位 インターネット(スマートフォン) 6.4%
(平成22年度訪日外国人の消費動向(観光庁)より)

これを見てわかるのは、外国人旅行者が日本を訪れた後、どのように旅行情報を入手しているかという実態です。やはりフリーペーパーのような紙媒体からではなく、圧倒的にネット経由で情報を探していること。また確かに、観光や移動中もインターネットを利用したいとはいえ、ホテルでじっくりパソコンを使って情報を探している姿が見えてきます。

それだけに、ホテルのWi-Fi整備の遅れは“おもてなし”という観点からも致命的といえます。逆に言えば、都内のホテルにとって、いち早くWi-Fi整備を手がけることが、外国人客の集客にきわめて効果的であるということです。

今後ますます増えることが予想される海外のFIT客を取り込むためには、アジアの近隣諸国と比べても遅れていると指摘されるWi-Fi整備は急務となっているのです。

by sanyo-kansatu | 2014-02-04 12:04 | “参与観察”日誌


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