2014年 02月 09日
ソチ冬季オリンピックがついに開幕しましたが、1990年代半ばから右肩下がりで減少してきた日本のスキー人口が、2012年頃から回復の兆しが見られているそうです。 スキー・スノーボード人口は、2012年で790万人(うちスキーは560万人)。ピークの1993年1770万人(レジャー白書)に比べると、3分の1近く落ち込んでいますが、近年は若年層やファミリー層が復活してきたからです。 ![]() 「子どものリフト代や食事無料…家族作戦 スキーブームもう一度」(東京新聞2012年12月26日)では、「バブル期にスキーブームを体験し子育て真っ最中の30~40代に『子連れでゲレンデに戻ってきてもらおう』と、スキー場は子どものリフト無料化などの誘客策を強化。ホテル業界もカップル向けの部屋を思い切って縮小し、家族で泊まれる広い部屋を増やす改修を進めている」と報じています。 同紙によると、「ブームの火付け役となった映画『私をスキーに連れてって』(1987年公開)。劇中歌『恋人がサンタクロース』を歌う松任谷由美さんが毎冬、コンサートを開く苗場スキー場(新潟県)と苗場プリンスホテルが今年、大胆な改革に踏み切った。22年ぶりとなる部屋の大規模改装に着手。カップルの利用を想定した二人部屋を36室減らし、家族用四人部屋を18室増やしたのだ」そうです。 これを「大胆な改革」というのだろうか、という気もしますが、「プリンスホテルの担当者は『30~40代は子育てに忙しく、スキー場から離れているが、またやりたい、子どもにもさせたいという願望はあるはず。家族で来やすい環境を整えれば、足を向けてくれる』とその狙いを説明」しているそうです。 東京新聞はこうした「30代後半から50代のポスト団体世代や団塊ジュニアを狙ったリバイバル市場」に対する関心がことのほか強いようで、「この種の『あの日に帰りたい』ビジネスは年々拡大。企業側は『青春の一コマ』を演出する商品やアイデアを工夫している」(東京新聞2013年2月13日)と報じていて、米米クラブのライブに20年ぶりに来た40代女性の声や、前述した苗場スキー場で「ゲレンデに流す曲を松任谷由美に限定」している例などを紹介しています。 いまの時代、この手の浮かれ気味の「リバイバル市場」の拡大に共感する人ばかりではなさそうですが、保険の比較検討サイト「インズウエブ」がバブル景気経験世代にあたる40~50代の男女に対してアンケートを行ったところ、「スキーもしくはスキーボードの経験がある」との回答が78%。このうち46%が「最近5年以内はスキー・スノーボードに行ってない」と回答したものの、「機会があれば今後スノーボードに行きたい」が56%、「機会を作って必ず行きたい」5%と、6割が「またスキーに行きたい」と回答しているとのこと。まあ誰だってわざわざそう聞かれりゃ「また行きたい」と答えるのが自然な気もしますが。 スキーブーム再来?! バブル世代の61%が「また行きたい」と回答(インフォグラフィック) http://www.insweb.co.jp/research/report/ski-infographic.html それでも、スキー客の回復傾向は今回の年末年始も確かのようで、「スキーブーム再来か 年末年始の来客大幅増 長野」(産経新聞2014年1月24日)、「年末年始に県内主要スキー場に訪れた人の数が前年度同期比で12.5%の大幅増だったことが23日、県が発表したスキー場利用状況調査で分かった」と報じています。 スキー客の減少に歯止めがかからなかった2000年代、国内のスキー場はオーストラリアや香港、韓国などの外国客が増えたことが話題となっていました。3年前の冬、ぼくは北海道のニセコスキー場を訪ねたのですが、そこでは国内客と外国人客の利用が半々だという話を聞き、ちょっと驚いた記憶があります。 北海道ニセコにSir Gordon Wu 現わる http://inbound.exblog.jp/17150909/ また最近では、タイやシンガポールなど、雪を見たことのないアジアからの旅行客も増えています。熱帯生まれの彼らはスキー場に来ても、ゲレンデでソリや雪遊びを無邪気に楽しんでいるそうです。それは微笑ましい光景だといいます。 こうした外客の動きに加え、「家族向け行楽地の色彩を強めている」(東京新聞2012年12月26日)スキー場に国内客が少しずつ戻りつつあることは、とても面白い現象だと思います。国内客と外客がゲレンデに入り混じる光景は、海外のスキー場でもよく見られるからです。スキー場の主役はカップルだと信じられていた1980年代が、国際的に見てずいぶん時代遅れだったことが、いまさらながらよくわかります。 ■
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by sanyo-kansatu
| 2014-02-09 13:14
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