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2014年 04月 10日
以前、2013年夏に出かけた北朝鮮旅行5泊6日、計14回の食事の内容を公開しましたが、その続編として食事の後のナイトライフ、お酒の話を書いてみようと思います。 とはいえ、入国以降はガイド付きでなければ自由行動できないこの国では、夜の街に勝手に繰り出そうなんてこと、基本的にはできません。仕方がないので、まずはホテルの中で探すことにしましょう。 ![]() 平壌に来た外国人がたいてい最初に宿泊することになる高麗ホテルの1階ロビーには、ビヤホールがあります。真っ赤な制服に身を包んだ女性服務員がジョッキを運んでくれます。ここには、一般の平壌市民は入れないはずですが、外客接遇の仕事や海外との貿易を営む、この国では特別の階層と思われる地元の人たちもいます。目の前にいるのは、ロシア人でした。 ホテルの地下にはカラオケもあります。2006年の対北制裁以降、めっきり数が減ったものの、以前は上客として優遇された日本人がこの店を多く利用したことを物語るように、日本語のカラオケメニューも、新しくはありませんが、一応揃っています。 ![]() ただおかしいのは、カラオケのビデオを見ると、日本の曲なのにバックの映像は平壌市内の凱旋門が映っていたりします。これはこれで、なかなか不思議な気分にさせてくれます。 ![]() たまたまニュージーランド人の男性客と朝鮮の英語ガイドたちのグループも来ていて、欧米のポップスなどを歌っていました。そのうち、まだ20代半ばくらいに見える朝鮮の女性ガイドが、マドンナの『ライク・ア・バージン』を軽快に歌い始めました。 ![]() 歌詞の意味を考えると、こんなハレンチな(!?)歌をこの国の若い女性が歌って大丈夫なの? と思わないではありません。それとも、外国帰りの新しい領袖のことを思えば、いまどきの北朝鮮の若者にとっては、この程度のこと、たいしたことではないのか。まあ、所詮マドンナですし、ずいぶん昔の曲です。彼女の歌う姿を見ながら、改革開放からまだ間のない1980年代の中国でも似たような場面があったことを思い出したのですが、それは一応同時代の音楽だったといえるわけで。いまの北朝鮮の開放度はようやくその段階に至ろうとしているのかどうかはなんとも言えません。それに外客を接遇するのが職業である彼女は一般市民と同じ感覚とはいえないでしょうから。 さて、場所は変わって、金剛山ホテルにて。 ![]() 一時期は韓国客でにぎわっていたこのホテルも閑散としていました。1階ロビーのバーでは韓国の「Hite」のビールサーバーがあったのですが、出てきたのは朝鮮の瓶ビールでした。 面白かったのは、最上階のカラオケスナックです。地方の観光地となると、外国人はホテルの外に出ることができない以上に、気の利いた場所などあるとは思えません。ホテル内で過ごすしかありませんが、それも悪くはないものだと思いました。 ![]() エレベーターで最上階に上がると、店は真っ暗でした。はたして営業しているのかと訝しながら扉を開けると、カウンターの周囲だけぼんやり明かりが点いていて、ふたりの女性が現れました。 ![]() 彼女たちには中国語も英語も通じませんでした。2001年頃、韓国から船で金剛山入りするツアーに参加した日本の友人の話では、外客を接遇するのは、北朝鮮人ではなく中国の延辺出身の朝鮮族たちだったと聞いたことがあります(おそらく当時は南北の一般国民を接触させたくないと北側が考えていたからではないかと思われます)。 地元の出身かどうかは定かではありませんが、外客向けに専門的に教育されたとは思えない女性たちでした。実をいうと、ひとりの男が一時ドアの外からガラス越しに監視していることに気がつきましたが、こちらも見られて困ることをしているわけでなし。しばらくすると、男はいなくなりました。 言葉が通じないというのも、たまには楽しいものです。ハングルが読めないので、メニューを見せられても、何を注文していいのかわからない。どんなお酒があるか見せてよ、と手ぶり身ぶりで伝えると、気さくな彼女たちは、テーブルの上に朝鮮焼酎を気前よく並べてみせてくれたのです。けっこう種類があるんですよ。 ![]() 焼酎の材料も高粱だけでなく、どんぐりとかいろいろですし、マツタケとか薬草のエキスを入れたタイプもあります。 ![]() ほかにも、日本のウィスキーや洋酒、ワインなども置いてありました。こういうの誰が飲むんでしょう。 ![]() 実は彼女、ぼくがスマホで写真を撮っていることに気づいていないんです。カメラだったらバレたに違いありませんが、よくわからなかったみたいです。 そこは場末感たっぷりの世界でした。しかし、この国の管理された「観光」では、ガイド抜きで朝鮮の女性と素の交流ができる機会は少ないだけに、面白かったです。 さて、こんな写真を並べていては、まるで北朝鮮で毎晩飲み歩いてばかりいたみたいですが、これで最後です。平壌に戻って、ホテルの外のカラオケに行ったときの写真です。 これが実現するためには、事前に我々のグループの担当女性ガイドさんに根回ししておくことが必要でした。たいしたことではありませんが、前日くらいから、最後の夜はホテルの外のカラオケに行きたいから連れていって、とお願いしていたのです。 ![]() さて、これがそのカラオケ店の入り口です。基本的に、平壌の夜はネオンも少なく暗いので、いかにもあやしげな雰囲気にも見えますが、店内はわりとふつうです。 ![]() これはカラオケルームが空くまでの時間を過ごす待合室。ここで軽く一杯できます。 ![]() 待合室に置かれていた朝鮮の酒です。ずいぶん種類が多くて、驚きました。 ![]() これがカラオケルームです。席に着くと、ノリのいいふたりの女の子が突然現れて、歌のセッティングをしてくれるのはもちろんですが、歌謡ショーのように本人たちが歌い出したり、客の手をとって一緒に踊り出したり、なにかと場を盛り上げようとしてくれます。あっけにとられたというか、拍子抜けしました。この国の昼と夜の落差はどうしたものか、と思わざるを得ません。まあそんな辛気臭いことを言っても仕方ありませんけど。 10年ぶりに平壌に来たという日本人によると、「当時のカラオケクラブでは、こんな軽いノリの子ではなく、絶世の美女がチマチョゴリで接遇してくれた。ちょっとガッカリ」とか。もしかしたら、その手の美女は日本人よりはるかに訪朝数の多い中国客や欧米客の行く店に移ってしまったのではないか、などと事情通なことをいう人もいました。残念です。 楽しかったのは、滞在中ずっと同行してくれた女性ガイドさんと一緒に日本の曲を歌ったことでしょうか。ガイドさんは30歳。独身だそうです。ちなみに、彼女が歌ったのは、90年代のスピッツの曲『渚』でした。こういう選曲がどうして出てきたのかわかりませんが、先ほどのマドンナを歌った英語ガイドの子に比べれば、外国の歌をよく知っているなあとひとまず感心しておいてよさそうです。
by sanyo-kansatu
| 2014-04-10 11:58
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