2014年 04月 12日
アジアの旅の楽しさは、ローカルバスに乗ったり、ボートで川下りしたり、普段めったに味わえない乗り物体験を、選択の余地もなく、やってしまえることに尽きますね。 「選択の余地もなく」といったのは、それ以外の交通機関が存在しないので、現場に身をまかせるしかないということです。 2013年8月中旬、ラオス北西部の国境の町、フアイサーイにいました。タイとの国境を隔てているのはメコン河です。対岸の町はチェンコーンといいます。 フアイサーイには午前中のうちに着いたので、お昼をここで取り、午後は早目にタイに向かう予定でした。 フアイサーイでは、多くの若い欧米人バックパッカーの姿を見かけましたが、町自体はこれといって何があるというわけではありません。お昼には少し間があったので、ボート乗り場の向かいの高台にあるお寺に上ってみることにしました。 ここからなら、対岸のタイの町がよく見えると思ったからです。 けっこう長い階段を上ると、目の前にお寺が現れました。ワット・マニラ―トといいます。造形的にはタイのお寺に似ていますね。 境内には、オレンジ色の袈裟を着た小学生くらいのお坊さんたちがいました。小坊主といえば、日本では「一休さん」が有名ですが、インドシナの仏教国では、当たり前のように存在しているのですね。彼らは「ハロー」といって手を振ってくれました。 境内からは、確かに対岸のタイの様子とメコン河を渡るボートが見えました。渡し船というやつですね。 お寺から降りて、銀行で手持ちのラオスキップをタイバーツに両替してから、町のホテルでお昼をとりました。ラオビールもこれで飲み納めです。 さて、いよいよメコンを渡ります。まずイミグレーションでラオスの出国手続き。 次に、ここでボートのチケットを買います。片道1万キップ(約100円)。 川沿いにはたくさんのボートが浮かんでいます。 対岸から地元客を乗せたボートがやって来ました。 ぼくの乗ったボートにはタイ人の旅行客や地元の人しかいませんでした。 岸を離れたボートから見ると、ラオス側の乗り場には国旗がはためいています。 対岸に見えるのがタイ側のボート乗り場です。イミグレーションも見えます。 ようやくチェンコーンに到着。地元の人はお米を運んだり、けっこう荷物があります。 「ようこそ、タイへ」 これがタイの入国管理所です。パスポートを見せるだけでOKです。 2015年のアセアン統合を伝える看板がありました。これはタイの空港や国内各地のイミグレーションでもよく見かけます。 入国手続きを終え、さてこれからどうやってゴールデントライアングル方面に行こうかと思案していると、目の前に大型トラックが何台も並んでいるのが見えました。 どうやらラオス行きの物流車のようです。川岸に向かって歩いていくと、トラックを載せてメコン河を渡る船が停泊していました。 船が出港するまでの時間、この光景をずっと見届けてしまいました。 こんな重いトラックを何台も載せて、すごいなあ。まるで素朴すぎる感想ですけど、こういうときは、子供が乗り物を眺めているのと変わらないですね。 そして、ついに出航。轟音を立てて、船はトラックをけん引していきます。 【動画】タイ・ラオス国境 メコン河の物流のいま(フアイサーイ・チェンコーン)2013年8月中旬 ※もしおひまでしたら、どうぞ。 今後、タイとラオスの間には、ビエンチャンとノーンカーイ間のようなメコン河をつなぐ国境橋がいくつもつくられていくのでしょうか。ただし、この状況からわかるのは、メコン河を下る航路や物流を考えると、下手に小さな橋をつくるわけにもいかないということでしょう。船がくぐれなくなると困りますから。相応の物流と人の往来が見込めなければ、投資も簡単にはできないはずです。ラオスの人口は、中国と比較するとおそろしく少ないのです。 中国のインドシナ南進の勢いも、メコン河を隔てた先はそう一筋縄ではいかない気がしますが、これからどうなるのでしょう。 【追記】 その後、フアイサーイとチェンコーンを結ぶ「第4タイ・ラオス友好橋」が2013年12月11日に開通したことをネットで知りました。 第4タイ・ラオス友好橋が開通 http://www.newsclip.be/article/2013/12/12/20069.html 「第4」とあるように、これはタイとラオスの国境であるメコン川をまたいで渡る4つめの橋ということです。橋の全長は630m、幅14.7m。建設費は16億バーツで、タイと中国が半分ずつ負担したそうです。これで、中国雲南省の昆明からタイのバンコクまでを陸路でつなぐ1本のハイウェイが完成したことになります。 現地在住の日本人のブログによると、2013年8月にぼくがこの国境を渡ったボートは、現在地元の人間以外は利用禁止で、外国人は乗れなくなってしまったようです。イミグレーションも閉鎖されたとか。ということは、ぼくはこのボートで渡るのどかな国境の最後の年の渡航者になってしまったということです。 チェンマイ在住日本人のブログより http://chaocnx.seesaa.net/article/384002459.html 今後、中国とタイの物流はますます盛んになることでしょう。船で大型トラックを渡す光景も見納めだったわけです。
by sanyo-kansatu
| 2014-04-12 11:23
| ボーダーツーリズム(国境観光)
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