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ニッポンのインバウンド“参与観察”日誌

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2014年 05月 05日

2013年、金剛山観光はどうなっているのか?

2013年8月下旬、朝鮮国際旅行社創立60周年式典に出席した外国の旅行業者約80名は、2泊3日の金剛山ツアーに出かけました。

金剛山とはいかなる山なのか。朝鮮新報社が刊行した「朝鮮 魅力の旅」(2012年版)に次のように説明されています。

「朝鮮観光の人気ナンバー1と言えば、昔から金剛山。朝鮮だけでなく世界の名山、世界的な景勝地として知られている。

朝鮮東海岸の中部に位置する金剛山は、総面積400㎢、南北60km、東西40㎞の広大な地域を占める。最高峰は毘慮峰(ピロボン)で1639m。古くから1万2000の峰があると言われ、千姿万態の奇岩、石窟、絶壁、潭沼、滝などがこの世とは思われないほどの絶景を作り出す。燃えるような紅葉の秋をはじめ、四季それぞれに美しさが楽しめる」(p72)。

「朝鮮 魅力の旅」によると、現在金剛山の基本となる登山コースは3つあるようです。

①九龍淵(クリョンヨン)コース
②万物相(マンムルサン)コース
③水晶峰(スジョンボン)コース

今回はこのうち①の九龍淵(クリョンヨン)コースのみを歩きました。2泊3日といっても、平壌からの移動が7時間くらいかかるので、このスケジュールでは登山に充てられるのは、中1日だけだからです。
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8時半、ホテルからバスに乗せられ、登山の始点のモンラン(木蘭)橋で下車。地元の女性ガイドさんの案内で歩きはじめます。コースマップはハングルと中国語です。
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橋のたもとに木蘭館というレストランがあります(登山から戻ってきた後、ここで昼食をとりました)。
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登山コースは渓流沿いを歩くのですが、とにかく水が澄んできれいです。あんまりきれいすぎて、ここには魚が棲めないそうです。確かに、こんな澄んだ渓流を日本では見たことがありません。
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金剛山は花崗岩と閃緑岩から成っているため、浸食によって「千姿万態」の姿を見せています。これだけの規模で奇岩が見られる山は日本にはあまりなく、中国名山のコンセプトに近い世界だろうと思います。
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羽が透明なのでミンミンゼミだと思います。
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途中、朝鮮の若い女の子のグループに出会いました。職場か何かの団体旅行でしょうか。
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彼女たちのあまりに天真爛漫な姿に見入ってしまいました。これはガイドの説明する動物に似た奇岩を眺めている彼女たちの素の反応ぶりです。
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なぜかひとりの欧米客(我々と同じ海外の旅行業者です)が彼女たちに交じって奇岩を眺めています。
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これはそのひとつ、カエル岩です。ほかにも、カメ岩、ウサギ岩がありました。
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しばらく歩くと、参鹿水という小さな湧水がありました。この水には野生の朝鮮人参と鹿の角が溶け出しているそうです。みんなポットに水を入れています。
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金剛門という大きな岩の門で、ここをくぐると景観が大きく変わります。
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視界が広がり、渓谷が見えてきました。玉流洞渓谷といいます。
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その先に玉流潭とその滝があります。玉流潭の面積は600㎡、深さ5mだそうです。
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岩にはこの地を訪れた人たちが名前を刻んでいます。名前から見て、朝鮮系のように思います。
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玉流洞渓谷の上の橋を渡って少し登ると、エメラルドグリーンの沼が見えます。連珠潭といいます。戦前の日本の朝鮮旅行ガイドブックに、金剛山の比類なき景観のひとつとして「青藍の潭」が挙げられていますが、まさにそのとおりだと思いました。
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さらに登ると、飛鳳滝が見えます。「落ちる水が鳳凰が舞うように見える」ということで、金剛山4大瀑布のひとつです。滝の高さは139mですが、この時期、水量はあまりないようです。
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飛鳳の滝の近くの渓流です。
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これは今回の目的地の九龍の滝と上八潭に行く分かれ道の標識です。
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ここまでくると九龍の滝ももうわずか。我々より早く出た欧米客が下ってきました。
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九龍の滝を望む「観瀑亭」の石階段が見えてきました。
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これが九龍の滝です。金剛山を守る9匹の龍がこの滝つぼに住んでいたといういわれがあり、朝鮮3大滝のひとつだそうです。高さ74m、幅4mといいますが、こちらも水量は少ないようです。滝の下には滝つぼがあって、同行した朝鮮関係者の方は「昔はあの滝つぼで泳いだもんだ」と話していました。
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ここではみんな記念撮影は欠かせません。
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片道約4㎞というコースなので、のんびり歩いても往復3~4時間で気軽に登れるコースです。登山コースは整備されていて、途中の休憩場所にはトイレもあります。

2013年の金剛山では、外国客だけでなく、朝鮮の人たちも職場や家族連れなどで登山をのどかに楽しんでいたのが印象的でした。もっとも、軍人と思われる若い青年たちのグループを見かけましたが、彼らだけは目つきが鋭かったです。
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下山すると、売店がありました。魚介のバーベキューが味わえるようです。
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土産物屋もあり、朝鮮人参やTシャツなどが売られていました。
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昼食はプルコギとビビンバでした。
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もともと金剛山は、最高峰である毘慮峰の連峰を境にして、内金剛(ネクムガン)、外金剛(ウェクムガン)、海金剛(ヘクムガン)の3つに区分されています。今回登ったのは外金剛のほんの一部にすぎません。もしこれらをすべて踏破しようと思ったら、10日くらいかかるのではないでしょうか。実際、欧米客の中には、金剛山に2週間くらい滞在する人もいるそうです。

さて、その日の午後は海金剛の一部にあたる三日浦に行きました。それは次の機会に

by sanyo-kansatu | 2014-05-05 21:41 | 朝鮮観光のしおり


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