2014年 10月 08日
ツーリズムexpoジャパンの会期直前の9月24日の夜、東京ビッグサイト会議室で一般社団法人アジアインバウンド観光振興会(AISO)の臨時総会がありました。 AISOはアジアからの訪日客の旅行手配を扱う観光業者の団体です。国内ツアー手配を行う旅行会社(ランドオペレーター)をはじめ、ホテルやレジャー施設、自治体関係者らが会員で、アジアインバウンド市場の拡大に伴い、会員数は年々増えています。 AISO http://shadanaiso.net 冒頭のあいさつで王一仁会長はこう語りました。「円安が続き、インバウンド(訪日外国旅行市場)にとって絶好のチャンスが訪れています」 続いて、石井一夫AISO理事(株式会社ジェイテック)が今年の訪日外国人旅行者の動向を以下のように報告しました。 「今年は毎月のように単月の訪日外客数が過去最高を更新し、1300万人超えなるか? という状況です。1~8月までで863万人と前年比25.8%増。伸び率が最大なのが中国で前年比84%増、タイやフィリピン、マレーシア、ベトナムなどアセアン諸国の伸びも大きいです。訪日客数のトップは台湾の190万人で、韓国、中国と続きます。訪日全体にアジア11カ国が占める割合は8割となっています。今後、バスやホテルなどの供給が厳しさを増してくることが予想されます。秋の紅葉のシーズンが心配されます。地方も含め、いかに供給量を増やすかが求められています」 各国市場別でそれぞれの関係者がこう言っています。 まず中国。「好調な勢いで伸びできた中国客ですが、8月末から9月にかけての予約状況でみると、団体客は若干ペースダウンが起きています。今年7月からのバス運賃改訂によって料金アップが起きていることも影響しているようです。中国の海外旅行市場はタイの混乱もあり、東南アジア方面は減少しているぶん、韓国に集中していますが、訪日はまあまあという感じでしょうか」 次に韓国「他国に比べると、訪日客は伸びていないが、最近沖縄が韓国市場で人気となっている」 そして香港「7月から始まった反中国デモの影響もあり、6月まで伸びていた訪日客の伸びが落ちてきた。ただし、香港客の8割は個人客(FIT)なので、円安が効いている」 アセアン最大の訪日客を誇るタイ「8月まで伸びてきた勢いが、9月は減速しそうな気配。バス不足や運賃アップが影響しているもよう」 好調な勢いを見せていたタイ以外のアセアン諸国からの訪日客も、秋以降減速していくのではないか、という声も聞かれました。 その理由について、王会長は言います。 「実は、最近海外の旅行業者から苦情が続出しています。苦情の中身は、貸切バスの不足と料金アップ。日本に送客しても、本当にバスが手配できるのか? 貸切バス運転手が1日10時間しか勤務できないのでは、ツアーに使えないのでは? それならドライバー2名制にすればいいではないか、などと海外の業者は言うのですが、日本のバス運転手は不足し、安全基準もそれを許さないため、対応できないことが増えているのです」 これが一見好調に見える訪日旅行市場の受け入れ態勢の現状です。このままで、本当に1300万人超えなるのか? 今後を考えると本当に現在の好調さが続くのか、明るい見通しばかりではなさそうです。
by sanyo-kansatu
| 2014-10-08 17:16
| “参与観察”日誌
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